説明

ドレーン部材の打設装置及びドレーン部材の打設方法

【課題】共上がりしたドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げ、確実に、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する。
【解決手段】アンカ部材3が先端部4aに配置され、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2が内部4bに挿通され、ロッド部材5が内部4bに収納された状態のマンドレル4を、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤100中の所定の深さまで打設し、ドレーン部材2を軟弱地盤100中の所定の深さまで打設する際にドレーン部材2が共上がりした場合、ロッド部材5を、マンドレル4から突き出してアンカ部材3を軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げて、ドレーン部材2を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に含まれる水分等を排出して軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を軟弱地盤に打設するドレーン部材の打設装置及びドレーン部材の打設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、軟弱地盤中の水分や空気(以下、水分等という。)を排出することによって軟弱地盤を改良する地盤改良方法の一つとして、バーチカルドレーン工法がある。打設装置により軟弱地盤中の所定の深さまでドレーン材を打設し、盛土等により荷重を負荷する。そして、軟弱地盤中の水分等がドレーン材を介して排出されることで、地盤の圧密促進を図る工法である。
【0003】
このようなバーチカルドレーン工法に用いられるドレーン部材を打設する打設装置としては、特許文献1のようなものがある。具体的に、特許文献1の打設装置は、上端及び下端が開口され、下端開口部に開閉自在の蓋体が設けられたマンドレル(特許文献1ではケーシングと記載)と、マンドレル内に設けられ、軟弱地盤中の水分等を透過するドレーン部材と、マンドレル内に移動可能に設けられ、マンドレルの全長よりも長く、下端がドレーン部材の先端と係合し、上端にマンドレルの上端と係合するストッパ部を有するロッド部材とを備えている。
【0004】
このような特許文献1の打設装置は、先ず、蓋体によって下端開口部が閉塞され、この蓋体とロッド部材の下端とでドレーン部材の先端が狭持された状態のマンドレルが打設機によって軟弱地盤中の所定の深さに打ち込まれる。次いで、特許文献1の打設装置は、蓋体が開放されると共に、打設機によってマンドレルだけが引き上げられる。このとき、特許文献1の打設装置は、ロッド部材が自重によってマンドレルの下端開口部から外部に突き出され、ロッド部材の下端がドレーン部材の先端と係合されることで、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さに留める。次いで、特許文献1の打設装置は、マンドレルが打設機によってある程度引き上げられると、マンドレルの上端がロッド部材のストッパ部に係合され、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さに留めた状態で、マンドレルの引き上げに伴ってロッド部材が引き上げられる。以上のようにして、特許文献1の打設装置では、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する。
【0005】
しかしながら、特許文献1の打設装置では、ロッドの自重が重い場合や軟弱地盤中の水分等の含有率が多い場合、ロッド部材が軟弱地盤中の所定の深さに留まらずに、ロッドによってドレーン部材が軟弱地盤中の所定の深さよりも深い位置まで押し下げられる虞がある。
【0006】
更に、特許文献1の打設装置では、ロッド部材がマンドレルの全長よりも長いので、扱いが不便であり、更に、コストが掛かり経済的ではない。
【0007】
更に、特許文献1の打設装置は、ドレーン部材を打設している際にドレーン部材が引き上がる、所謂、共上がりがロッド部材を引き上げた後に起こった場合、ドレーン部材はアンカレスであり、ロッド部材の下端とドレーン部材の先端とを再度係合させることは困難であるので、ロッド部材によって共上がりしたドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げることはできない。従って、共上がりが起こった場合には、ドレーン部材を引き抜き、ドレーン部材の打設作業をやり直す必要がある。よって、作業性が悪く、工期が長くなり、経済的ではない。
【0008】
更に、ロッド部材の下端とドレーン部材の先端とが再度係合できたとしても、特許文献1の打設装置は、ロッド部材を駆動する駆動部を有していないので、ロッド部材単体では移動できず、ロッド部材によって共上がりしたドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げるためには、打設機によってマンドレルを再度下方へ移動させる必要がある。従って、作業性が悪く、経済的ではない。
【0009】
更に、ロッド部材を所定の範囲内で突き出し可能な油圧駆動装置がマンドレルの下端に内蔵された打設装置がある。
【0010】
このような油圧駆動装置が内蔵された打設装置は、先ず、ロッド部材の下端とドレーン部材の先端が係合された状態で、マンドレルが軟弱地盤の所定の深さまで打ち込まれる。次いで、マンドレルが引き上げられるのと同時に、ロッド部材が油圧駆動装置によってマンドレルの下端開口部から外部に突き出され、ロッド部材の下端がドレーン部材の先端と係合されることで、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さに留める。次いで、マンドレルがある程度引き上げられた後に、ロッド部材が油圧駆動装置によってマンドレル内に収納され、ドレーン部材を軟弱地盤中に所定の深さに留めた状態で、マンドレルが引き上げられる。以上のようにして、油圧駆動装置が内蔵された打設装置では、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する。
【0011】
しかしながら、このような油圧駆動装置が内蔵された打設装置では、マンドレルに油圧駆動装置を内蔵する必要があるので、マンドレルが大型化し、装置が複雑になり、コストが掛かり経済的ではない。
【0012】
更に、このような油圧駆動装置が内蔵された打設装置では、ロッド部材を引き上げた後にドレーン部材が共上がりした場合、ドレーン部材がアンカレスであり、ロッド部材の下端とドレーン部材の先端とを再度係合させることは困難であるので、再度、油圧駆動装置によってロッド部材を突き出しても、ロッド部材によって共上がりしたドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げることはできない。従って、共上がりが起こった場合には、ドレーン部材を引き抜き、ドレーン部材の打設作業をやり直す必要がある。よって、作業性が悪く、工期が長くなり、経済的ではない。
【0013】
更に、ロッド部材の下端とドレーン部材の先端とが再度係合できたとしても、油圧駆動装置によるロッド部材の突き出し量が決まっているので、ロッド部材を引き上げてマンドレル内に収納し、マンドレルが油圧駆動装置のロッド部材の突き出し量以上引き上げられた際に共上がりが起こった場合、ロッド部材によって共上がりしたドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げるためには、打設機によって再度マンドレルを下方へ移動させる必要がある。従って、作業性が悪く、経済的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭59−195915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する際にドレーン部材が共上がりしても、共上がりしたドレーン部材を押し下げて、確実に軟弱地盤中の所定の深さに打設することができるドレーン部材の打設装置及びドレーン部材の打設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るドレーン部材の打設装置は、軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、ドレーン部材の先端部に連結されるアンカ部材と、アンカ部材が先端部に配置されると共に、ドレーン部材が内部に挿通されるマンドレルと、マンドレルの内部に移動可能に設けられ、マンドレルから突き出してアンカ部材を押圧するロッド部材とを備えている。そして、本発明に係るドレーン部材の打設装置は、アンカ部材が先端部に配置され、ドレーン部材が内部に挿通され、ロッド部材が内部に収納された状態のマンドレルを、アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤中の所定の深さまで打設し、軟弱地盤中に所定の深さまで打設されたマンドレル及びロッド部材を、軟弱地盤中の所定の深さから引き上げて軟弱地盤中から引き抜き、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する。更に、本発明に係るドレーン部材の打設装置は、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する際にドレーン部材が共上がりした場合、ロッド部材を、マンドレルから突き出してアンカ部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げて、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する。
【0017】
本発明に係るドレーン部材の打設方法は、アンカ部材が先端部に配置され、軟弱地盤中の水分を透過し、アンカ部材が先端部に連結されたドレーン部材が内部に挿通され、ロッド部材が内部に収納された状態のマンドレルを、アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤中の所定の深さまで打設し、軟弱地盤中の所定の深さまで打設されたマンドレル及びロッド部材を、軟弱地盤中の所定の深さから引き上げて軟弱地盤中から引き抜き、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する。更に、本発明に係るドレーン部材の打設方法は、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する際にドレーン部材が共上がりした場合、ロッド部材を、マンドレルから突き出してアンカ部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げて、ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るドレーン部材の打設装置及びドレーン部材の打設方法によれば、軟弱地盤を改良するために用いられるドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する際にドレーン部材が共上がりしても、ロッド部材をマンドレルの先端部から突き出して、共上がりしたドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げることができる。従って、本発明に係るドレーン部材の打設装置及びドレーン部材の打設方法によれば、ドレーン部材を確実に軟弱地盤中の所定の深さまで打設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した打設装置を示した縦断面図である。
【図2】本発明を適用した打設装置を示した縦断面図であり、先端部側を拡大したものである。
【図3】本発明を適用した打設装置を示した平面図である。
【図4】ドレーン部材の透水部を示した斜視図である。
【図5】ドレーン部材がアンカ部材に連結された様子を示した斜視図である。
【図6】本発明を適用した打設装置を用いた打設作業を説明するための工程図である。
【図7】ドレーン部材の打設作業の様子を示した概略図である。
【図8】ドレーン部材の先端部の深さの時間に対する軌跡を示した図であり、(A)は、共上がりしなかったときの軌跡を示し、(B)は、共上がりしたときの軌跡を示している。
【図9】先端部側を先端部側に向かうにつれて次第に縮径されるように設けたマンドレルを示した縦断面図である。
【図10】連結部を本体部の幅方向の略中央部よりも幅方向の一端部側に形成したアンカ部材を示した平面図である。
【図11】マンドレルにロッド部材の移動をガイドするガイド部材を設け、ロッド部材の外周面にガイド部材と係合する係合部を設けた変形例の打設装置を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用したドレーン部材の打設装置及びドレーン部材の打設方法について、図面を参照して説明する。
【0021】
本発明を適用したドレーン部材の打設装置(以下、打設装置という。)1は、図1に示すように、軟弱地盤100を改良するために用いられるドレーン部材2を軟弱地盤100中の所定の深さまで打設することができる。更に、この打設装置1は、ドレーン部材2を軟弱地盤100中の所定の深さまで打設する際に、ドレーン部材2が引き上がる、所謂、共上がりが起きても、共上がりしたドレーン部材2を再度軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げて、ドレーン部材2を確実に軟弱地盤100中の所定の深さまで打設することができる。
【0022】
具体的に、打設装置1は、図1乃至図3に示すように、軟弱地盤100中の水分を透過するドレーン部材2と、このドレーン部材2の先端部2aに連結されたアンカ部材3と、先端部4aにアンカ部材3が配置されると共に、ドレーン部材2が内部4bに挿通されるマンドレル4と、マンドレル4の内部4bに移動可能に設けられ、マンドレル4の先端部4aから突き出してアンカ部材3を押圧するロッド部材5とを備えている。
【0023】
軟弱地盤100中の水分を透過するドレーン部材2は、軟弱地盤100中に打設されるものであり、図4に示すように、リールに巻き付けることができる程度の可撓性と形状保持性とを有する芯材6aと、芯材6aを覆う透水性材料からなるフィルタ6bとを有している。これにより、ドレーン部材2は、芯材6aとフィルタ6bとの隙間により形成される中空部6cを流入した水分が通水される。
【0024】
芯材6aは、長手方向に多数の溝を有し、その溝が軟弱地盤100中の水分の通水路9となる。芯材6aは、運搬等の利便性を考慮してリールに巻き付けることができる程度の可撓性を有すると共に、軟弱地盤100への打設後において十分な通水路9を確保するための形状保持性を有し、例えばプラスチック等の樹脂材料で形成されている。より具体的には、芯材6aは、塩化ビニル、ポリエチレンなどの材料で形成されている。
【0025】
なお、芯材6aは、上述に限らず、運搬等の利便性を考慮した可撓性と通水路9となる中空部6cが確保できる形状保持性を有するものであれば、いかなる材質、形状からなるものであっても良い。また、芯材6aは、上述に限らず、生分解性の樹脂材料で形成することにより、環境へ配慮したものとすることができる。
【0026】
フィルタ6bは、透水性を有する材料から形成され、芯材6aの外周を中空部6cを残して覆うように形成されている。フィルタ6bは、例えば、ポリエステル製の不織布から形成され、軟弱地盤100中の水分を中空部6cに透過させる。また、フィルタ6bは、上述に限らず、生分解性の樹脂材料で形成することにより、環境へ配慮したものとすることができる。
【0027】
このようなドレーン部材2は、図1に示すように、例えば、ドラム状のリール10に巻き付けられて、軟弱地盤100の地表面101上に配設される。更に、ドレーン部材2には、リール10等によってバックテンションが付加され、ドレーン部材2が弛むことや絡むことが防止されている。更に、ドレーン部材2は、リール10の回転量を測定する測定装置等の測定部12によって、リール10から引き出されたドレーン部材2の引出量が測定される。従って、作業者等は、打設作業時に、ドレーン部材2の引出量を把握することで、ドレーン部材2の先端部2aの軟弱地盤100中の位置(深さ)を容易に把握することができる。ここで、ドレーン部材2は、リール10等によってバックテンションが付加されているので、共上がりすると、弛むことなくリール10に巻き取られ、引出量が減少する。従って、作業者等は、打設作業時に、軟弱地盤100中の所定の深さまで打設された後のドレーン部材2の引出量の変化を把握することで、ドレーン部材2が共上がりしたのか否か、更には、どの程度ドレーン部材2が共上がりしたのかを容易に把握することができる。
【0028】
なお、ドレーン部材2は、リール10によってバックテンションが付加される他に、ドレーン部材2の搬送をガイドする搬送ガイド部11によってバックテンションが付加されるようにしても良い。更に、測定部12は、リール10の回転量の他に、搬送ガイド部11の回転量やリール10から引き出されたドレーン部材2の長さを直接測定することで、ドレーン部材2の引出量を測定するようにしても良い。
【0029】
更に、ドレーン部材2は、軟弱地盤100中の水分を透過する透水部と、この透水部6に連結され、塩化ビニル等の不透水材料により円環状に形成され、内部は通水性を有し、周面から通気を遮断させた不透水部とを有するものを用いても良い。
【0030】
アンカ部材3は、図5に示すように、本体部3aと、この本体部3aの一主面に形成され、ドレーン部材2の先端部2aに連結される連結部3bとを有する。
【0031】
アンカ部材3の本体部3aは、マンドレル4が軟弱地盤100に打設される際の挿入端となるものであり、例えば略矩形板状に形成され、軟弱地盤100に打設できる程度の機械的強度を有するような厚さを有している。ここでは、図3に示すように、本体部3aは、長手方向がマンドレル4の直径よりも大きく、幅方向がマンドレル4の直径よりもやや小さくなるように形成されている。
【0032】
アンカ部材3の連結部3bは、図5に示すように、本体部3aの一主面の幅方向の略中央部に、一主面の長手方向に向けて、略逆U字状に形成されている。この連結部3bは、ドレーン部材2の一主面の幅方向の長さよりもやや長く、連結部3bと本体部3aとの間に、ドレーン部材2が連結される連結口3cが形成されている。このような連結口3cを有するアンカ部材3は、ドレーン部材2の下端部2bが、連結口3cを挿通した後に折り返され、このドレーン部材2の下端部2bと連結部3bを挟んで対向するドレーン部材2に、ステイプラ等の締結部材13で締結されることで、ドレーン部材2の先端部2aと連結されている。
【0033】
なお、本体部3aは、上述に限らず、軟弱地盤100に打設できる程度の機械的強度を有するような厚さを有するものであれば、如何なる大きさのものでも良く、更に、円形状、楕円形状、多角形状等、如何なる形状のものでも良い。また、連結部3bは、上述に限らず、ドレーン部材2と連結することができるものであれば、如何なる形状でも良い。更に、アンカ部材3とドレーン部材2とは、上述に限らず、連結することができれば、如何なる連結方法でも良い。
【0034】
マンドレル4は、図1及び図3に示すように、断面略円形状の有底筒状に形成されている。また、有底筒状に形成されたマンドレル4は、先端部4aが軟弱地盤100の地表面101から所定の深さまで打設された際に、基端部4cが地表面101から所定の長さ臨むような全長を有している。
【0035】
このようなマンドレル4の先端部4aには、図2及び図3に示すように、ドレーン部材2が挿通されるドレーン開口部4dと、ロッド部材5が挿通されるロッド開口部4fとが形成されている。ドレーン開口部4dは、略矩形状に形成され、ドレーン部材2及びアンカ部材3の連結部3bと略同じ大きさ又はやや大きく、ドレーン部材2及びアンカ部材3の連結部3bが挿通可能な大きさを有し、マンドレル4の先端部4aの略中央部に設けられている。ロッド開口部4fは、略円形状に形成され、ロッド部材5が挿通可能な大きさを有し、マンドレル4の先端部4aのドレーン開口部4dの幅方向の一端部側(ドレーン部材2の一主面側)に設けられている。
【0036】
このようなマンドレル4は、図1に示すように、内部4bに挿通されたドレーン部材2の先端部2aに連結されたアンカ部材3が先端部4aの外側に配置され、ロッド部材5が内部4bに収納される。これにより、マンドレル4は、アンカ部材3が先端部4aに配置され、ドレーン部材2が内部4bに挿通され、ロッド部材5が内部4bに収納された組立体14となる。このような組立体14は、アンカ部材3を挿入端として、フリクションローラ方式等の打設機構21aを有する打設機21によって、軟弱地盤100に打設される。この際、組立体14は、マンドレル4の先端部4aに形成されたドレーン開口部4dとロッド開口部4fとがアンカ部材3によって覆われているので、ドレーン開口部4dとロッド開口部4fとからマンドレル4の内部4bに軟弱地盤100の土砂等が侵入することを防止できる。
【0037】
なお、マンドレル4は、上述に限らず、楕円状、矩形状、多角形状等、マンドレル4の先端部4aの外側にアンカ部材3を配置でき、ドレーン部材2を内部4bに挿通させ、ロッド部材5を内部4bに収納することができれば如何なる形状でも良い。
【0038】
ロッド部材5は、図1に示すように、マンドレル4の長手方向の長さ(全長)よりも短い円柱状に形成され、下端部5aをマンドレル4の先端部4aに向けて、マンドレル4の内部4bにマンドレル4の長手方向に移動可能に設けられている。更に、ロッド部材5は、マンドレル4の内部4bにおいて、例えば、下端部5aがマンドレル4の先端部4aのロッド開口部4fに挿通され、マンドレル4の先端部4aと面一になるように設けられている。
【0039】
更に、ロッド部材5は、上端部5bにワイヤ15が取り付けられ、ワイヤ15によってマンドレル4の内部4bに吊り下げられている。このワイヤ15は、マンドレル4の内部4bを挿通され、マンドレル4の基端部4c側の開口部4eから露出されて、マンドレル4の外、例えば地表面101上に設けられたウインチ16に接続されている。
【0040】
このようなロッド部材5は、ウインチ16によってワイヤ15が引き出されることで、自重によってマンドレル4の先端部4a側に移動される。更に、ロッド部材5は、ウインチ16によってワイヤ15が巻き上げられることで、マンドレル4の基端部4c側に移動される。即ち、ロッド部材5は、マンドレル4の外に設けられたウインチ16によって、マンドレル4と独立して移動することができる。
【0041】
更に、ロッド部材5は、上述したように自重によってマンドレル4の先端部4a側に移動することで、下端部5aの一部をロッド開口部4fから外部に突き出すことができる。更に、ロッド部材5は、ウインチ16から引き出されるワイヤ15の引出量を調整することで、ロッド開口部4fから外部に突き出す突き出し量を容易に調整することができる。これにより、ロッド部材5は、共上がりしたドレーン部材2のアンカ部材3を押圧して軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げることができる。
【0042】
更に、このようなワイヤ15には、ウインチ16等によってバックテンションが付加されて、ワイヤ15が弛むことや絡むことが防止されている。更に、ワイヤ15は、ウインチ16の回転量を測定する測定装置等の測定部18によって、ウインチ16から引き出された引出量が測定されている。従って、作業者等は、打設作業時に、ワイヤ15の引出量を把握することで、ロッド部材5の軟弱地盤100中の位置(深さ)を容易に把握することができる。
【0043】
なお、ワイヤ15は、ウインチ16によってバックテンションが付加される他に、ワイヤ15の搬送をガイドする搬送ガイド部17等によってバックテンションが付加されるようにしても良い。更に、測定部18は、ウインチ16の回転量の他に、搬送ガイド部17の回転量やウインチ16から引き出されたワイヤ15の長さを直接測定することで、ワイヤ15の引出量を把握し、ロッド部材5の軟弱地盤100中の位置(深さ)を把握するようにしても良い。
【0044】
なお、ロッド部材5は、円柱状に形成されることに限らず、楕円柱や角柱等、如何なる形状でも良い。
【0045】
次に、打設装置1を用いた、ドレーン部材2を軟弱地盤100へ打設する打設作業について、図6を用いて説明をする。
【0046】
先ず、ステップS1において、組立体14を形成する。具体的に、ドレーン部材2が巻き付けられたドラム状のリール10から、ドレーン部材2の下端部2bを引き出す。そして、リール10から引き出されたドレーン部材2の下端部2bを、マンドレル4の基端部4cの開口部4eからマンドレル4の内部4bに挿入し、マンドレル4の内部4bを挿通させて、マンドレル4の先端部4aのドレーン開口部4dから露出させる。そして、図5に示すように、ドレーン開口部4dから露出されたドレーン部材2の下端部2bを、アンカ部材3の連結口3cに挿通させた後に折り返して、このドレーン部材2の下端部2bと連結部3bを挟んで対向されるドレーン部材2にステイプラ等の締結部材13で締結する。これにより、ドレーン部材2は、先端部2aにおいて、アンカ部材3と連結される。
【0047】
そして、アンカ部材3と先端部2aにおいて連結されたドレーン部材2をリール10によって巻き取り、図1に示すように、アンカ部材3を、マンドレル4の先端部4aの外側に配置する。更に、ロッド部材5を、マンドレル4の基端部4cの開口部4eから挿入して、マンドレル4の内部4bに設ける。このとき、ロッド部材5は、下端部5aがマンドレル4の先端部4aのロッド開口部4fに挿通され、マンドレル4の先端部4aと面一になるように設けられる。以上のようにして、マンドレル4は、アンカ部材3が先端部4aの外側に配置され、アンカ部材3と先端部2aが連結されたドレーン部材2が内部4bに挿通され、ロッド部材5が内部4bに収納された組立体14となる。
【0048】
次いで、ステップS2において、マンドレル4の組立体14を打設する。具体的に、図7(A)に示すように、マンドレル4の組立体14を、所定の打設位置で、アンカ部材3を挿入端として、アンカ部材3(ドレーン部材2の先端部2a)が軟弱地盤100の地表面101から軟弱地盤100中の所定の深さまで打設する。この際、マンドレル4は、打設機21によって、軟弱地盤100に打設される。マンドレル4の内部4bに収納されているロッド部材5は、自重による移動速度がマンドレル4の打設速度と略同じになるように、ウインチ16によって、マンドレル4と共に軟弱地盤100内に降ろされる。このとき、アンカ部材3(ドレーン部材2の先端部2a)の地表面101からの深さは、打設機21の打設機構21aのフリクションローラの回転量や、測定部12によって測定されたドレーン部材2の引出量や、測定部18によって測定されたワイヤ15の引出量等から把握する。
【0049】
次いで、ステップS3において、マンドレル4の引き上げを行う。具体的に、図7(B)に示すように、打設機21によってマンドレル4だけを所定の距離だけ引き上げる。すると、ロッド部材5は、マンドレル4が引き上げられるのに伴い、マンドレル4のロッド開口部4fから外部に突き出され、下端部5aがアンカ部材3を押圧した状態となり、ドレーン部材2を軟弱地盤100中の所定の深さに留める。この際、マンドレル4が引き上げられることによって形成されたアンカ部材3とマンドレル4との間の空間部には、周囲から土が侵入して埋め戻される。そして、マンドレル4が所定の距離まで引き上げられた後に、図7(C)に示すように、ロッド部材5がウインチ16によって引き上げられて、マンドレル4の内部4bに収納される。
【0050】
次いで、ステップS4において、ドレーン部材2の共上がりの有無を検出する。具体的に、ロッド部材5が軟弱地盤100中の所定の深さから引き上げられている際に、測定部12によってドレーン部材2の引出量の変化を検出することで、ドレーン部材2の共上がりの有無を検出する。
【0051】
ここで、図8(A)及び図8(B)は、アンカ部材3(ドレーン部材2の先端部2a)、マンドレル4、ロッド部材5の軟弱地盤100中の位置(深さ)の時間に対する軌跡を示している。縦軸は、軟弱地盤100中の深さを示し、横軸は、時間を示している。更に、縦軸上のH1は、軟弱地盤100の地表面101を示し、H2は、打設予定の軟弱地盤100中の所定の深さを示している。更に、L1(破線)は、測定部12によってリール10から引き出されたドレーン部材2の引出量から導き出されたアンカ部材2(ドレーン部材2の先端部2a)の軟弱地盤100中の位置(深さ)の時間に対する軌跡を示している。L2(細い実線)は、打設機21の打設機構21aのフリクションローラの回転量から導き出されたマンドレル4の軟弱地盤100中の位置(深さ)の時間に対する軌跡を示している。L3(太い実線)は、測定部18によってウインチ16から引き出されたワイヤ15の引出量から導き出されたロッド部材5の軟弱地盤100中の位置(深さ)の時間に対する軌跡を示している。
【0052】
そして、図8(A)に示すように、ロッド部材5が軟弱地盤100中の所定の深さから地表面101に引き抜かれるまでの間(t1)にアンカ部材3(ドレーン部材2の先端部2a)の深さに変化がなかった場合には、ドレーン部材2が共上がりしなかったと判断し、ステップS6に進む。また、図8(B)中の軌跡L1aに示すように、アンカ部材3の深さに変化があった場合には、図7(C)の矢印Aに示すように、ドレーン部材2が共上がりしたと判断する。この場合には、ステップS5に進み、共上がりしたドレーン部材2を修正する。
【0053】
次いで、ステップS5において、共上がりしたドレーン部材2を修正する。具体的に、図7(B)に示すように、ウインチ16を駆動させてワイヤ15を引き出し、ロッド部材5を自重によってマンドレル4の先端部4a側に移動させて、ロッド部材5の下端部5a側の一部をマンドレル4の先端部4aのロッド開口部4fから突き出す。そして、ロッド部材5によってアンカ部材3を軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げる。これにより、図7(B)及び図8(B)中の軌跡L1bに示すように、ドレーン部材2の先端部2aは、共上がりした位置から、再度、軟弱地盤100中の所定の深さの位置に配置される。
【0054】
そして、図7(C)に示すように、ロッド部材5をウインチ16によって引き上げて、マンドレル4の内部4bに収納する。そして、マンドレル4を打設機21によって引き上げて軟弱地盤100中から引き抜くと共に、マンドレル4と共に、ロッド部材5をウインチ16によって引き上げる。
【0055】
そして、ロッド部材5をマンドレル4の内部4bに収納してから地表面101に引き抜くまでの間、例えば、ロッド部材5の長さ以上マンドレル4が引き上げられた後に、アンカ部材3(ドレーン部材2の先端部2a)の深さに変化があった場合には、ドレーン部材2が共上がりしたと判断し、共上がりしたドレーン部材2を修正する。具体的に、マンドレル4及びロッド部材5の引き上げを停止する。そして、ウインチ16を駆動させてワイヤ15を引き出し、ロッド部材5を自重によってマンドレル4の先端部4a側に移動させて、ロッド部材5をマンドレル4の先端部4aのロッド開口部4fから突き出す。そして、ロッド部材5によってアンカ部材3を軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げる。これにより、図8(B)中の軌跡L1cに示すように、ドレーン部材2の先端部2aは、共上がりした位置から、再度、軟弱地盤100中の所定の深さの位置に配置される。即ち、ロッド部材5の長さ以上マンドレル4が引き上げられても、マンドレル4を再度下降させることなく、ロッド部材5によってアンカ部材3を軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げることができる。
【0056】
そして、ロッド部材5をウインチ16によって引き上げて、マンドレル4の内部4bに収納する。そして、図7(D)に示すように、マンドレル4を打設機21によって引き上げて軟弱地盤100中から引き抜くと共に、マンドレル4と共に、ロッド部材5をウインチ16によって引き上げて、軟弱地盤100中から引き抜き、ステップS6に進む。なお、ロッド部材5をマンドレル4の内部4bに収納することなく、ロッド部材5が突き出た状態のままで、マンドレル4及びロッド部材5を軟弱地盤100中から引き抜くようにしても良い。
【0057】
次いで、ステップS6において、ドレーン部材2の上端部2cを、地表面101から所定の長さ臨むように切断する。以上のようにして打設されたドレーン部材2は、アンカ部材3が連結された先端部2aが軟弱地盤100中の所定の深さに位置し、上端部2cが地表面101から所定の長さ臨むように埋設されている。そして、以後、新たな打設位置に移動し、ドレーン部材2を所定本数打設するまで、ステップS1〜ステップS6の工程を順に繰り返す。そして、ドレーン部材2を所定本数打設すると、打設作業は完了する。
【0058】
そして、打設作業の完了後、ドレーン部材2を用いて、軟弱地盤100の水分等を排出して地盤を圧密し、地盤改良が行われる。
【0059】
なお、ステップS3において、マンドレル4を引き上げる際にドレーン部材2が共上がりしないように、ロッド部材5によってアンカ部材3を押圧しているが、これに限定されるものではなく、組立体14を打設後、ロッド部材5によってアンカ部材3を押圧することなく、マンドレル4及びロッド部材5を共に引き上げるようにしても良い。この場合、ステップS4において、マンドレル4及びロッド部材5が引き上げられている際のドレーン部材2の共上がりの有無を検出し、ドレーン部材2が共上がりしたとき、マンドレル4及びロッド部材5の引き上げを停止する。そして、ステップS5において、ロッド部材5によって共上がりしたドレーン部材2を修正するようにする。このような打設方法によれば、マンドレル4の引き上げる際にドレーン部材2が共上がりしないようにロッド部材5によってアンカ部材3を押圧する時間を短縮することができるので、作業時間を短縮することができる。
【0060】
更に、図1に示すように、測定部12、測定部18、打設機21の打設機構21a及びウインチ16に接続され、測定部12、測定部18及び打設機21の打設機構21aで測定された測定結果が入力される例えばコンピュータ等で構成された制御部19を設け、この制御部19によって、ステップS2からステップS5の工程を自動的に行うようにしても良い。
【0061】
例えば、制御部19は、ステップS2において、測定部12、測定部18及び打設機20の打設機構21aの測定結果に基づいて、打設機21の打設機構21a及びウインチ16を駆動させて、組立体14を軟弱地盤100中の所定の深さまで打設する。そして、制御部19は、ステップS3において、打設機21の打設機構21a及びウインチ16を駆動させて、マンドレル4及びロッド部材5を引き上げる。そして、制御部19は、ステップS4において、測定部12の測定結果に基づいて、アンカ部材3(ドレーン部材2の先端部2a)の深さの変化量が予め内部メモリに設定された閾値以上になったときに、ドレーン部材2が共上がりしたものと判断する。そして、制御部19は、ステップS5において、測定部12及び測定部18の測定結果に基づいて、ウインチ16を駆動させて、ロッド部材5によってアンカ部材3を軟弱地盤100の所定の深さまで押し下げて、ドレーン部材2を軟弱地盤100の所定の深さに配置する。そして、制御部19は、打設機21の打設機構21a及びウインチ16を駆動させて、マンドレル4及びロッド部材5を軟弱地盤100中から引き抜く。
【0062】
以上のように、本発明に係る打設装置1は、アンカ部材3がマンドレル4の先端部4aに配置され、このアンカ部材3と先端部2aにおいて連結されたドレーン部材2がマンドレル4の内部4bに挿通され、ロッド部材5がマンドレル4の内部4bに収納された状態の組立体14を、アンカ部材3を挿入端として、軟弱地盤100中の所定の深さまで打設し、マンドレル4及びロッド部材5を軟弱地盤100中から引き抜くことで、アンカ部材3が先端部2aに連結されたドレーン部材2を軟弱地盤100中の所定の深さに打設することができる。
【0063】
更に、本発明に係る打設装置1は、マンドレル4又はロッド部材5を軟弱地盤100中から引き上げる際にドレーン部材2が共上がりしても、ウインチ16を駆動させてワイヤ15を引き出し、ロッド部材5を、自重によってマンドレル4の先端部4a側に移動させて、マンドレル4の先端部4aのロッド開口部4fから突き出して、アンカ部材3を軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げることができる。従って、本発明に係る打設装置1は、ドレーン部材2を確実に軟弱地盤100中の所定の深さまで打設することができる。
【0064】
更に、本発明に係る打設装置1は、ウインチ16がマンドレル4の外に設けられ、更に、マンドレル4を駆動する打設機21の打設機構21aと独立し、マンドレル4と独立してロッド部材5を駆動することができる。従って、本発明に係る打設装置1は、ドレーン部材2の共上がりを修正する場合に、マンドレル4を再度下方へ移動させる必要がないので、従来よりも作業性に優れ、工期を短縮することができ、経済性に優れている。
【0065】
更に、本発明に係る打設装置1は、ロッド部材5を駆動するウインチ16がマンドレル4の外に設けられているので、マンドレル4の内部の構造を簡単にすることができ、経済的に優れている。
【0066】
更に、本発明に係る打設装置1は、ウインチ16から引き出されたワイヤ15の引出量に応じて、ロッド部材5のマンドレル4の先端部4aのロッド開口部4fから突き出す突き出し量が決まるので、ワイヤ15の引出量を調整することで、容易にロッド部材5の突き出し量を調整することができる。即ち、本発明に係る打設装置1は、マンドレル4の位置に依存しないで、ロッド部材5を、マンドレル4の先端部4aのロッド開口部4fから所望の突き出し量突き出して、アンカ部材3を軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げることができる。
【0067】
なお、図9に示すように、マンドレル4の先端部4a側は、打設中に軟弱地盤100に対する抵抗を抑えるために、先端部4a側に向かうにつれて次第に縮径されるようにしても良い。このとき、ロッド開口部4fを傾斜部4gに設けるようにしても良い。
【0068】
更に、アンカ部材3は、図3に示すように、連結部3bを本体部3aの幅方向の略中央部に形成し、本体部3aによって、ドレーン開口部4dとこのドレーン開口部4dの幅方向に隣接するマンドレル4の先端部4aの両端部とを覆うことに限定されるものではない。アンカ部材3は、図10に示すように、連結部3bを本体部3aの幅方向の略中央部よりも幅方向の一端部側に形成し、本体部3aによって、ドレーン開口部4dとこのドレーン開口部4dの幅方向に隣接してロッド開口部4fが形成されたマンドレル4の先端部4aの一端部だけを覆うようにしても良い。このようなアンカ部材3は、ドレーン開口部4dの幅方向に隣接するマンドレル4の先端部4aの他端部を覆わない分、本体部3aの幅方向の長さを短くすることができ、経済性に優れている。
【0069】
更に、ロッド部材5は、マンドレル4の内部4bにおいて、ドレーン部材2の一主面側に1個設けることに限定されるものではなく、例えば、ドレーン部材2の両主面側に各1個、一主面側に複数個又は両主面側に複数個設けるようにしても良い。このとき、各ロッド部材5をウインチ16で独立して駆動できるようにしても良い。これにより、ロッド部材5は、共上がりしたドレーン部材2のアンカ部材3を押圧して軟弱地盤100中の所定の深さまで押し下げることに加え、共上がりの際に傾いたアンカ部材3を水平となるように修正することができる。更に、ロッド部材5は、下端部5a側が複数個に分離されているようなものでも良い。
【0070】
更に、図11に示すように、マンドレル4の内部4bに、ロッド部材5の移動をガイドするガイド部材20を設けるようにしても良い。このガイド部材20は、例えば、ブラケット等で構成され、ロッド部材5が挿通されている。更に、ガイド部材20は、下端部5aがマンドレル4の先端部4aと面一になるようにロッド部材5がマンドレル4の内部4bに収納された際に、ロッド部材5の下端部5a近傍と上端部5b近傍に対応する位置にそれぞれ設けられている。即ち、ガイド部材20は、ロッド部材5の下端部5a近傍に対応する位置に設けられた下端ガイド部材20aとロッド部材5の上端部5b近傍に対応する位置に設けられた上端ガイド部材20bとで構成されている。このようなガイド部材20は、ロッド部材5の移動をガイドすると共に、ロッド部材5を支持して、ロッド部材5のふらつきを防止する。
【0071】
更に、ガイド部材20を、ロッド部材5の上端部5bよりも基端部4c側のマンドレル4の内部4bに設け、ワイヤ15が挿通されるようにしても良い。これにより、ガイド部材20は、ワイヤ15とドレーン部材2とが接触し、ドレーン部材2の傷付きを防止することができる。
【0072】
更に、ロッド部材5の外周面5cに、下端ガイド部材20a及び上端ガイド部材20bと係合する係合部5dを設けるようにしても良い。このとき、係合部5dは、下端ガイド部材20aと上端ガイド部材20bとの間に設けるようにする。
【0073】
これにより、下端ガイド部材20aは、ロッド部材5がマンドレル4の先端部4a側に移動した際に、係合部5dと係合することで、ロッド部材5がマンドレル4の先端部4aから脱落することを防止する。即ち、下端ガイド部材20aは、ロッド部材5の脱落防止部として機能する。更に、上端ガイド部材20bは、ロッド部材5がマンドレル4の基端部4c側に移動した際に、係合部5dと係合することで、マンドレル4の基端部4c側の移動を規制し、ガイド部材20から抜け出ることを防止する。即ち、上端ガイド部材20bは、ロッド部材5の抜け止め部として機能する。
【0074】
更に、上端ガイド部材20bは、組立体14を打設する際に、ロッド部材5の係合部5dと係合することで、打設機21によって、マンドレル4を打設すると共にロッド部材5を下降させることができる。
【0075】
なお、ガイド部材20は、下端ガイド部材20aと上端ガイド部材20bとで構成されることに限定されるものではなく、下端ガイド部材20aだけを設けるようにしても良く、上端ガイド部材20bだけを設けるようにしても良い。更に、ガイド部材20は、パイプ等の筒状部材で構成されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 打設装置、2 ドレーン部材、2a 先端部、2b 下端部、2c 上端部、3 アンカ部材、3a 本体部、3b 連結部、3c 連結口、4 マンドレル、4a 先端部、4b 内部、4c 基端部、4d ドレーン開口部、4e 開口部、4f ロッド開口部、4g 傾斜部、5 ロッド部材、5a 下端部、5b 上端部、5c 外周面、5d 係合部、6a 芯材、6b フィルタ、6c 中空部、9 通水路、10 リール、11 搬送ガイド部、12 測定部、13 締結部材、14 組立体、15 ワイヤ、16 ウインチ、17 搬送ガイド部、18 測定部、19 制御部、20 ガイド部材、20a 下端ガイド部材、20b 上端ガイド部材、21 打設機、21a、打設機構、100 軟弱地盤、101 地表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟弱地盤中の水分を透過するドレーン部材と、
上記ドレーン部材の先端部に連結されるアンカ部材と、
上記アンカ部材が先端部に配置されると共に、上記ドレーン部材が内部に挿通されるマンドレルと、
上記マンドレルの内部に移動可能に設けられ、該マンドレルから突き出して上記アンカ部材を押圧するロッド部材とを備え、
上記アンカ部材が先端部に配置され、上記ドレーン部材が内部に挿通され、上記ロッド部材が内部に収納された状態の上記マンドレルを、該アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤中の所定の深さまで打設し、該軟弱地盤中の所定の深さまで打設されたマンドレル及びロッド部材を、軟弱地盤中の所定の深さから引き上げて軟弱地盤中から引き抜き、該ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設し、
上記ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する際に該ドレーン部材が共上がりした場合、上記ロッド部材を、上記マンドレルから突き出して上記アンカ部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げて、該ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設することを特徴とするドレーン部材の打設装置。
【請求項2】
上記マンドレルは、マンドレル駆動部によって移動され、上記ロッド部材は、ロッド駆動部によって移動されることを特徴とする請求項1記載のドレーン部材の打設装置。
【請求項3】
上記ロッド駆動部は、上記マンドレルの外に設けられていることを特徴とする請求項2記載のドレーン部材の打設装置。
【請求項4】
上記ロッド駆動部は、ウインチであり、
上記ロッド部材は、上記ウインチから引き出されたワイヤによって、上記マンドレルの内部に吊り下げられており、該ウインチからワイヤが更に引き出されることで、自重によって該マンドレルから突き出すことを特徴とする請求項3記載のドレーン部材の打設装置。
【請求項5】
上記ロッド部材は、上記マンドレルの内部に設けられたガイド部材にガイドされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか1項記載のドレーン部材の打設装置。
【請求項6】
上記ロッド部材は、外周面に上記ガイド部材と係合する係合部を有し、
上記係合部は、上記ガイド部材と係合することで、上記ロッド部材の先端部側への移動を規制することを特徴とする請求項5記載のドレーン部材の打設装置。
【請求項7】
上記ロッド部材は、外周面に上記ガイド部材と係合する係合部を有し、
上記係合部は、上記ガイド部材と係合することで、上記ロッド部材の基端部側への移動を規制することを特徴とする請求項5又は請求項6記載のドレーン部材の打設装置。
【請求項8】
上記ロッド部材は、上記ドレーン部材の一主面側に少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうち何れか1項記載のドレーン部材の打設装置。
【請求項9】
上記ロッド部材は、上記ドレーン部材の両主面側に少なくとも1つずつ設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうち何れか1項記載のドレーン部材の打設装置。
【請求項10】
アンカ部材が先端部に配置され、軟弱地盤中の水分を透過し、該アンカ部材が先端部に連結されたドレーン部材が内部に挿通され、ロッド部材が内部に収納された状態のマンドレルを、該アンカ部材を挿入端として、軟弱地盤中の所定の深さまで打設し、該軟弱地盤中の所定の深さまで打設されたマンドレル及びロッド部材を、軟弱地盤中の所定の深さから引き上げて軟弱地盤中から引き抜き、該ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設し、
上記ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設する際に該ドレーン部材が共上がりした場合、上記ロッド部材を、上記マンドレルから突き出して上記アンカ部材を軟弱地盤中の所定の深さまで押し下げて、該ドレーン部材を軟弱地盤中の所定の深さまで打設することを特徴とするドレーン部材の打設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−96217(P2013−96217A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243405(P2011−243405)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)
【出願人】(303056368)東急建設株式会社 (225)
【出願人】(390001993)みらい建設工業株式会社 (26)
【出願人】(000182030)若築建設株式会社 (39)
【出願人】(502080047)キャドテック株式会社 (10)
【出願人】(000109233)チカミミルテック株式会社 (19)
【Fターム(参考)】