説明

ドングル(dongle)装置および再生システム

【課題】MIDIデータ等の演奏情報からオーディオデータを生成するための機能を電気製品に付加することを可能とするドングル装置を提供する。
【解決手段】本発明によるドングル装置は、電気製品と電気的に接続するための端子(105)と、端末装置から演奏情報を受信するための通信部(101)と、前記演奏情報に基づいてオーディオデータを生成し、前記端子を介して前記電気製品に前記オーディオデータを出力する音源(102)とを備える。通信部(101)で受信された演奏情報に基づいて音源(102)がオーディオデータを生成して端子(105)を介して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏情報に基づいてオーディオデータを生成する音源を備えたドングル装置および該ドングル装置を備えた再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)規格等に適合する音源を備えた電子楽器が知られている。この音源によれば、ユーザによる鍵盤等の操作子の操作に応じたMIDIデータ等の演奏情報に基づきオーディオデータが生成され、高品質な楽音を得ることができる。
【0003】
一方、薄型テレビに代表されるように、家庭電気製品のデジタル化と高機能化が推し進められている。例えば、中国特許出願公開第101442625号明細書(特許文献1)には、音楽教習機能を備えたテレビ装置が開示されている。この音楽教習機能を備えたテレビ装置によれば、ユーザは、教習ソフトウェアによりテレビ画面上に表示される教習内容に従って、このテレビ装置に接続された鍵盤等の楽器の演奏を練習することができる。また、中国特許出願公開第101778223号(特許文献2)には楽器演奏機能を備えたテレビ装置が開示されている。この楽器演奏機能を備えたテレビ装置によれば、実際の楽器と同様の演奏環境を安価に実現することができ、また、「楽器操作情報」に基づいて電子楽器と同等の楽音を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第101442625号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第101778223号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術に係る音楽教習機能を備えたテレビ装置は、電子楽器に内蔵されているような高機能な音源を備えていない。このため、この音楽教習機能を備えたテレビ装置に鍵盤等を接続しても、ユーザは高品質な音質で演奏を楽しむことはできない。
【0006】
また、上述の従来技術に係る楽器演奏機能を備えたテレビ装置によれば、「楽器操作情報」に基づいて楽音を生成するためのハードウェアを必要とし、これによりテレビ装置の製造コストが上昇する。
従って、一般の家庭電気製品で高品質な楽音を発生させる技術が要請される。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、一般の家庭電気製品で高品質な楽音を発生させることを可能とするドングル装置および該ドングル装置を備えた再生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電気装置と電気的に接続するための端子(図1の端子105に対応する要素)と、端末装置から演奏情報を受信するための通信部(図1の通信部101に対応する要素)と、前記通信部により受信された演奏情報に基づいてオーディオデータを生成し、前記端子を介して前記電気装置に前記オーディオデータを出力する音源(図1の音源102に対応する要素)と、を備えたドングル装置の構成を有する。上記ドングル装置において、例えば、前記通信部は、前記音源で生成されたオーディオデータを無線により送信する機能を更に備える。また、前記演奏情報は、例えばMIDIデータである。また、本発明による再生システムは、演奏情報を生成する端末装置と、上記ドングル装置が接続された電気装置と、を備える。
【0009】
本ドングル装置の構成によれば、通信部が端末装置から演奏情報を受信する。音源は、通信部により受信された演奏情報に基づいてオーディオデータを生成する。このオーディオデータは音源から端子を介して出力される。従って、本ドングル装置を電気装置に接続すれば、演奏情報に基づいてオーディオデータを生成する機能を電気装置に付加し、電気装置の機能を拡張させることができる。これにより、一般の家庭電気製品等の電気装置で高品質な楽音を発生させることが可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、演奏情報に基づいてオーディオデータを生成する機能を家庭電気製品等の電気装置に付加することが可能になり、これにより一般家庭電気製品等の電気装置で高品質な楽音を発生させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態によるドングル装置100の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるドングル装置100が適用された再生システムの構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるドングル装置100Aが適用された再生システムの構成を示す図である。
【図4】本発明の第1または第2の実施形態による薄型テレビの画面の表示例を説明するための図である。
【図5】通信ネットワークを利用した本発明の実施形態による再生システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
なお、各図において同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態によるドングル装置100の構成を示す。
一般に、ドングル装置は、ソフトウェアの不正コピー防止のためにコンピュータ等の入出力ポートに取り付ける小型の装置を指すが、インターフェイス変換のためのドングル装置もある。本実施形態によるドングル装置100は、演奏情報をオーディオデータに変換するインターフェイスとしての機能を有する点で後者のドングル装置に分類される。
図1に示すように、本実施形態によるドングル装置100は、通信部101、音源102、メモリ103、バス104、端子105を備える。通信部101、音源102、メモリ103は、バス104を介して相互に接続され、バス104は端子105に接続される。
【0014】
ここで、通信部101は、後述の鍵盤楽器300(端末装置)からMIDIデータ(演奏情報)を無線通信により受信するためのものである。音源102は、通信部101で受信されたMIDIデータに基づいてオーディオデータを生成するためのものである。MIDIデータは、演奏による楽音を再現するための各種の命令情報を含んだ演奏データである。オーディオデータは、アナログの楽音信号に対応したデジタルデータである。メモリ103は、ドングル装置100を使用した楽音の再生システムを構築するためのアプリケーションプログラムや、上記再生システムがドングル装置100をアクセスするためのドライバ用ソフトウェアを格納する。メモリ103は、好ましくはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。
なお、本実施形態では、端子105は、USB規格に適合したコネクタ(プラグ)であるものとするが、この例に限定されない。即ち、端子105は、後述のテレビ装置200のデータ端子と接続できるものであれば、どのような規格の端子であってもよい。
【0015】
図2に、本実施形態によるドングル装置100を使用した楽音の再生システムの構成例を示す。
図2に示す再生システムは、楽器システムとして構成され、上述のドングル装置100が接続されたテレビ装置200と、通信部301が備えられた鍵盤楽器(端末装置)300から構成される。なお、楽器システムに限定されず、本実施形態による再生システムは、音を発生させるシステムであれば、どのようなシステムであってもよい。
【0016】
テレビ装置200は、メインCPU201、メインメモリ202、コーデック(CODEC)203、スピーカ204を備える。図2では、説明の簡略化のため、テレビ装置200の構成要素として、ドングル装置100と関係する上述の要素のみが示され、その他の要素は省略されている。
【0017】
加えて、テレビ装置200は、USBポート205を備え、このUSBポートにドングル装置100の図1に示す端子105が接続される。本実施形態では、テレビ装置200は、USBポート205を備えるものとするが、この例に限定されない。また、テレビ装置200は、USBポート等のデータ端子を備えたものであれば、どのようなものであってもよく、いわゆる薄型テレビと称されるデジタル化されたテレビ装置を用いることができる。
【0018】
前述のドングル装置100の端子105がテレビ装置200のUSBポート205に接続されると、USBポート205を介して電源がドングル装置100に供給されると共に、テレビ装置200内のメインCPU201およびコーデック203は、ドングル装置100内のバス104を介して通信部101および音源102と電気的に接続される。
【0019】
ここで、テレビ装置200が備えるメインCPU201は、本再生システムの全体動作を制御するためのものであり、例えば、オーディオデータの生成および復号に関連する処理を制御する。コーデック203は、オーディオデータを復号して楽音信号を生成するためのものである。このコーデック203は、ソフトウェアおよびハードウェアの何れによって構築されてもよい。
【0020】
メインメモリ202には、ドングル装置100内の音源102でオーディオデータを生成する際に使用される各種の音色データが格納されている。この音色データは、後述するように、本再生システムを構築するためのアプリケーションソフトウェアをテレビ装置200に導入する際に、このアプリケーションソフトウェアの一部としてメインメモリ202に格納される。
【0021】
ただし、この例に限らず、音色データをドングル装置100内のメモリ103に格納しておいてもよい。この場合、ドングル装置100をテレビ装置200に接続したときに、ドングル装置100から音色データをテレビ装置200内のメインメモリ202に転送する。
【0022】
ドングル装置100内の音源102で使用される音色データは、デフォルトの音色データとしてピアノの音色データが設定されるものとするが、任意の音色データをデフォルトとして設定することができる。また、ユーザは、例えば鍵盤楽器300上での操作により、または、例えばテレビ装置200のリモコン操作により、ギターやバイオリン等の他の音色データを任意に指定することができる。
また、演奏で使用された音色データを、次回の演奏で使用される音色データのデフォルトとして、ドングル装置100内の記憶部103に記憶させてもよい。
更に、ユーザが鍵盤楽器300上で設定した音色データをドングル装置100が取得し、これを、ドングル装置100内のメモリ103、またはテレビ装置200内のメインメモリ202に記憶させてもよい。
【0023】
鍵盤楽器300は、ユーザによる鍵盤操作に応じてMIDIデータを生成する機能を備える。このMIDIデータは通信部301によりドングル装置100に送信される。
なお、本実施形態では、鍵盤楽器300を使用するものとするが、鍵盤楽器300に限らず、MIDIデータを生成する機能を有するものであれば、ギター、ドラム、トランペット、バイオリン等の任意の電子楽器を使用することができ、また、電子楽器に限らず、パソコン等の情報端末を使用することもできる。
【0024】
本実施形態では、ドングル装置100にドライバ用ソフトウェアが組み込まれている。ドングル装置100がテレビ装置200に取り付けられると、ドングル装置100内のメモリ103からドライバ用ソフトウェアがテレビ装置200にインストールされ、これにより、テレビ装置200側からドングル装置100をアクセスすることが可能になる。
【0025】
なお、例えばドライバ用ソフトウェアが予めテレビ装置200に組み込まれている場合や、テレビ装置200がドライバ用ソフトウェアを必要としない場合には、ドングル装置100にドライバ用ソフトウェアを組み込んでおく必要はない。
【0026】
次に、図1に示すドングル装置100の動作を含めて、図2に示す再生システムの動作を説明する。
先ず、ユーザがドングル装置100をテレビ装置200のUSBポート205に差し込む。これにより、USBポート205を介してドングル装置100に電源が供給され、このドングル装置100が動作可能な状態となる。
続いて、本再生システムの機能をテレビ装置200上に構築するための所定のアプリケーションソフトウェアをテレビ装置200に導入する。本実施形態では、ドングル装置100がテレビ装置200に接続されたときに、ドングル装置100内のメモリ103に予め格納されたアプリケーションソフトウェアがテレビ装置200に導入される。
【0027】
テレビ装置200にアプリケーションソフトウェアを導入するための他の手法としては、例えば、アプリケーションソフトウェアを光ディスクなどの記録媒体に格納しておき、この記録媒体からDVDプレイヤなどの再生装置を介してテレビ装置200に読み込む方法を使用することができる。
【0028】
または、ドングル装置100がテレビ装置200に接続されたときに、インターネットを介して必要なアプリケーションソフトウェアを外部のサーバーから自動的にテレビ装置200に導入するものとしてもよい。
【0029】
このようにしてアプリケーションソフトウェアをテレビ装置200に導入すると、本再生システムに必要とされる各種の機能がテレビ装置200上に構築される。例えば、ドングル装置100内の通信部101および音源102の動作と、テレビ装置200内のコーデック203の動作を制御するための機能が、メインCPU201の機能として構築される。
【0030】
アプリケーションソフトウェアの導入後、ドングル装置100の端子105をテレビ装置200のUSBポート205に接続すると、このUSBポート205を介してテレビ装置200からドングル装置100に電源が供給され、ドングル装置100内の通信部101および音源102が動作可能な状態になる。続いて、メインCPU201は、デフォルトの音色データをメインメモリ202から読み出して、ドングル装置100内の音源102に転送する。
【0031】
この状態でユーザが演奏を開始し、鍵盤楽器300の鍵盤を操作すると、この鍵盤操作に応じて鍵盤楽器300がMIDIデータを生成する。そして、このMIDIデータを通信部301が送信する。
【0032】
ドングル装置100内の通信部101は、メインCPU201の制御の下、鍵盤楽器300からMIDIデータを受信して音源102に供給する。音源102は、メインCPU201の制御の下、このメインCPU201により転送された音色データを用いて、通信部101から供給されたMIDIデータに基づきオーディオデータを生成する。例えば、音源102は、FM(Frequency Modulation)音源またはPCM(Pulse Code Modulation)音源である。音源102は、生成したオーディオデータをバス104および端子105を介してテレビ装置200に供給する。
【0033】
テレビ装置200内のコーデック203は、メインCPU201の制御の下、ドングル装置100から供給されたオーディオデータを復号して楽音信号を生成し、これをスピーカ204に供給する。これにより、ユーザによる鍵盤楽器300上での鍵盤操作に応じてテレビ装置200内のスピーカ204から楽音が放音される。
【0034】
この第1の実施形態によれば、ドングル装置100を一般のテレビ装置200に取り付けることにより、高音質な電子楽器システムを簡易に構成することができる。従ってユーザに高品質な演奏環境を提供することが可能になる。また、ドングル装置100をテレビ装置200に取り付け、ドングル装置100が鍵盤楽器300から受信したMIDIデータに基づいてオーディオデータを生成するようにしたので、一般のテレビ装置と電子楽器を用いて、音源を備えた高品位な再生システムを実現することができる。更に、MIDIデータからオーディオデータを生成するので、鍵盤楽器300の機能を十分に活かすことができ、高度な演奏も可能になる。
【0035】
また、第1の実施形態によれば、データ量の小さなMIDIデータを鍵盤楽器300からドングル装置100に送信するので、ドングル装置100と鍵盤楽器300との間で無狭帯域の無線通信を使用しても、データ量の大きいオーディオデータを送信する場合に比較して、データの伝送遅延が顕在化せず、リアルタイムに楽音を放音させることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、ドングル装置100の通信部101と鍵盤楽器300の通信部301との間を無線により接続するものとしたが、これに限定されることなく、有線により接続してもよく、どのような通信手段を用いてもよい。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態では、外付けスピーカユニットから楽音を放音する。
図3において、前述の図2に示す構成要素と共通する要素には同一符号を付す。
【0038】
図3は、本発明の第2の実施形態によるドングル装置100Aが使用された再生システムの構成例を示す。図3に示す再生システムは、ドングル装置100Aが取り付けられたテレビ装置200、鍵盤楽器300、外付けスピーカ400から構成される。
なお、図3では、テレビ装置200の構成要素として、この第2の実施形態に関連する要素のみが示されており、その他の要素は省略されている。
【0039】
この第2の実施形態によるドングル装置100Aは、基本的には、前述の図1に示す第1の実施形態によるドングル装置100と同様の構成に構成されるが、その通信部101が、音源102で生成されたオーディオデータを無線により送信する機能を更に備える点で、第1の実施形態によるドングル装置100と異なる。
【0040】
本実施形態において、外付けスピーカ400は、ドングル装置100Aで生成されたオーディオデータに基づいて楽音を放音するものであり、ドングル装置100Aからオーディオデータを受信するための通信部401を備えると共に、このオーディオデータを復号してアナログの楽音信号を生成するためのデジタル・アナログ変換器(DAC)402と、この楽音信号に駆動されるスピーカ403を内蔵している。
【0041】
この第2の実施形態では、前述の第1の実施形態と同様に、ドングル装置100A内の音源102が、テレビ装置200内のメインCPU201の制御の下、通信部101で受信されたMIDIデータに基づいてオーディオデータを生成する。ここで、本実施形態において、通信部101は、メインCPU201の制御の下、音源101で生成されたオーディオデータを送信する。
【0042】
外付スピーカ400の通信部401は、ドングル装置100Aからオーディオデータを受信する。デジタル・アナログ変換器(DAC)402は、通信部401で受信されたオーディオデータを復号してアナログの楽音信号を生成し、この楽音信号によりスピーカ403が駆動される。従って、ユーザによる鍵盤操作に応じて外付けのスピーカユニット400から楽音が放音される。
【0043】
この第2の実施形態によれば、テレビ装置200に組み込まれたスピーカ204による制約を受けることなく、外付けのスピーカユニット400から楽音を放音することが可能になる。従って、例えばテレビ装置200から離れた任意の場所に鍵盤楽器300とスピーカユニット400を設置して演奏を楽しむことができる。
【0044】
なお、この第2の実施形態において、テレビ装置200内のスピーカ204から楽音を放音するかどうかは任意である。例えば、前述の第1の実施形態と同様に、ドングル装置100Aからテレビ装置200にもオーディオデータを供給することにより、上述の外付けスピーカユニット400からの放音と併せて、テレビ装置200内のスピーカ204から楽音を放音してもよい。
【0045】
次に、上述の第1の実施形態によるドングル装置100が取り付けられたテレビ装置200と鍵盤楽器300から構築される再生システムの利用形態を説明する。
なお、以下では、第1の実施形態の構成を用いて説明するが、第2の実施形態の構成を用いてもよい。ただし、ドングル装置100の通信部101と鍵盤楽器300の通信部301は、メインCPU201の制御の下で双方向の無線通信機能を有するものとする。
【0046】
テレビ装置200に所望のアプリケーションソフトウェアを導入することにより、本再生システムの機能を様々に設定し、その利用形態を拡張することができる。例えば、楽器の初心者の演奏を支援するシステムとしての利用形態を挙げることができる。
【0047】
この場合、メインCPU201の制御の下、ユーザが選択した楽曲の鍵盤操作に関する情報をテレビ装置200からドングル装置100を介して鍵盤楽器300に送信し、この鍵盤楽器300上で、操作すべき鍵の位置を例えばLEDの発光等により案内するようにしてもよい。
【0048】
また、テレビ装置200に演奏ガイダンス用のアプリケーションソフトウェアを導入することにより、楽器の操作を案内するための情報をテレビ装置200に表示させてもよい。例えば、図4のテレビ装置200の小画面210に示すように、楽曲の進行に従ってユーザが操作すべき鍵盤の位置を案内してもよい。
【0049】
ただし、この例に限らず、楽器の操作を案内するための情報として、静止画、動画、数字など、任意の形式の情報をテレビ装置200の画面上に表示させることができる。また、この場合、ユーザによる演奏の巧拙を評価し、その評価結果を画面上に表示してもよい。
【0050】
また、テレビ装置200に複数のUSBポート205を設け、この複数のUSBポート205に、鍵盤楽器300に代えて、複数種類の楽器(例えば、ピアノ、ギター、トランペット、バイオリンなど)に対応した複数のドングル装置100を接続してもよい。これにより、複数の楽器によるセッションが可能になる。この場合、複数のドングル装置100と複数の楽器が一対一に対応する必要がある。このため、各ドングル装置100と各楽器に識別番号が割り付けられ、この識別番号を用いて、対応関係にあるドングル装置100と楽器が認識され、これらの間の無線通信が確立される。
【0051】
また、ドングル装置100で生成されたオーディオデータをテレビ装置200に一旦記憶しておき、それを事後的に再生したり、或いは例えばメモリカードやインターネットを介して外部に持ち出すことも可能である。
【0052】
また、鍵盤楽器300からドングル装置100で受信されたMIDIデータを時間情報と共にテレビ装置200内に記憶しておき、このMIDIデータを用いて事後的に演奏を再現することも可能である。
【0053】
また、テレビ装置200の画面上に鍵盤操作に関する案内情報(前述の鍵の位置を案内するためのLEDの発光等に相当する情報)を表示させるようにしたので、鍵盤楽器300の操作者(演奏者)以外の人がテレビ装置200の画面を見ながら演奏を聴くことができ、その演奏を楽しむことができる。
【0054】
また、図5に例示するように、インターネットなどの通信ネットワークを介して複数のテレビ装置200A,200Bやパソコン600をサーバー500と接続することにより、通信ネットワークを利用したサービスを提供することができる。図5において、テレビ装置200A,200Bは前述の図2に示すテレビ装置200に対応しており、ドングル装置100(または100A)が接続されている。また、サーバー500には、音色データ、アプリケーションソフトウェア、演奏データ等が格納されている。
【0055】
図5の例では、テレビ装置200A,200Bがサーバー500から必要なアプリケーションソフトウェアをダウンロードすることにより、ユーザは所望のシステムをテレビ装置200A,200B上に構築することができる。また、例えばテレビ装置200Aから演奏データ(MIDIデータ、オーディオデータ)をサーバー500にアップロードしておき、その演奏データを遠隔地のテレビ装置200Bでサーバー500からダウンロードすることにより、この演奏データを複数のテレビ装置200A,200Bの各ユーザが共有することができる。
【0056】
また、このネットワークを利用したシステムでは、サーバー500が、音楽学習用のストリーム画像を例えばテレビ装置200Aへ配信し、このテレビ装置200A上で再生することにより、音楽学習者のための教育カリキュラムをテレビ装置200Aのユーザに提供することができる。この場合、学習者であるテレビ装置200Aのユーザは、音楽学習用カリキュラムに応じてテレビ装置200Aの画面やスピーカから出力される画像や音声に従って鍵盤楽器300の鍵盤を操作する。この鍵盤操作により、鍵盤楽器300がMIDIデータを生成し、またはドングル装置100がオーディオデータを生成する。鍵盤楽器300が生成したMIDIデータまたはドングル装置100が生成したオーディオデータは、テレビ装置200Aの例えばメインメモリ202に蓄積される。
【0057】
そして、学習者は、テレビ装置200Aのメインメモリ202に蓄積されたMIDIデータやオーディオデータを、例えばインターネットを介して遠隔地の指導者の端末(図示なし)に送信することにより、その指導者に評価を依頼し、その指導を受けることもできる。また、テレビ装置200Aのユーザは、鍵盤楽器300の鍵盤操作により得られた演奏データを例えばインターネットを介して遠隔地の家族の端末に送信することにより、家族に演奏を披露することもできる。
【0058】
また、図5の例では、パソコン600がインターネットを介してサーバー500から各種のデータをダウンロードし、これを例えばメモリカード等の記録媒体やLAN等を介してテレビ装置200A(または200B)に導入することができる。逆にパソコン600がテレビ装置200から例えば演奏データを取り込み、これをサーバー500にアップロードすることもできる。即ち、サーバー500とテレビ装置200A(または200B)とパソコン600との間で任意にデータを交換することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形が可能である。
【0060】
また、例えば、鍵盤楽器300固有の識別コードをドングル装置100,100Aに送信するものとし、ドングル装置100,100Aが鍵盤楽器300から、例えば鍵盤楽器300の種類を表す特定の識別コードを受信しない場合、そのドングル装置の機能を制限し、例えば通信部101の通信機能のみを提供するように構成してもよい。また、ドングル装置100,100Aが、鍵盤楽器300から、上記特定の識別コードを受信した場合には、ドングル装置100,100Aの機能を制限せず、ドングル装置100,100Aが有する全ての機能を提供してもよい。これにより、鍵盤楽器300の種類等に応じてドングル装置の機能を提供することが可能になる。
【0061】
また、テレビ装置200の画面には、ドングル装置100,100Aの機能に関連した情報を表示するだけでなく、任意の他の情報を表示するようにしてもよい。例えば、テレビ装置200の画面の表示領域を複数に分割し、或る表示領域にドングル装置100,100Aの機能に関連する情報を表示させ、別の表示領域にテレビ放送による映像を表示させてもよい。また、テレビ装置200の画面にテレビ放送による映像のみを表示させてもよい。この場合、ドングル装置100,100Aの機能に関連した音声と、テレビ放送による映像に対応した音声の両方をテレビ装置200のスピーカ204から出力するようにしてもよいし、ユーザの選択により何れか一方の音声を出力してもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では、本発明によるドングル装置100.100Aをテレビ装置に接続する場合を例として説明したが、本発明はこの例に限らない。即ち、本発明によるドングル装置は、スピーカ等の放音手段、液晶ディスプレイ等の表示手段、USBポート等のデータ端子、CPU等の情報処理装置を有する家庭電気製品であれば、どのようなものにも接続することができる。そのような家庭電気製品として、例えば、テレビ装置以外に、ビデオカメラ、プロジェクタ、冷蔵庫、電子レンジなどの電気装置を挙げることができる。
【符号の説明】
【0063】
100,100A…ドングル装置、101…通信部、102…音源、103…メモリ、104…バス、105…端子、200…テレビ装置、201…メインCPU、202…メインメモリ、203…コーデック(CODEC)、204…スピーカ、205…USBポート、300…鍵盤楽器(端末装置)、301…通信部、400…外付けスピーカユニット、401…通信部、402…デジタル・アナログ変換器(DAC)、403…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置と電気的に接続するための端子と、
端末装置から演奏情報を受信するための通信部と、
前記通信部により受信された演奏情報に基づいてオーディオデータを生成し、前記端子を介して前記電気装置に前記オーディオデータを出力する音源と、
を備えたドングル装置。
【請求項2】
前記通信部は、
前記音源で生成されたオーディオデータを無線により送信する機能を更に備えたことを特徴とする請求項1記載のドングル装置。
【請求項3】
前記演奏情報は、MIDIデータであることを特徴とする請求項1または2の何れか1項記載のドングル装置。
【請求項4】
前記電気装置は、表示手段と放音手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のドングル装置。
【請求項5】
前記電気装置は、テレビ装置であることを特徴とする請求項1記載のドングル装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載のドングル装置が接続された前記電気装置と、
前記ドングル装置が受信すべき演奏情報を生成して送信する前記端末装置と、
を備えた再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−24915(P2013−24915A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156626(P2011−156626)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】