説明

ナトリウム−硫黄電池

【課題】従来よりも耐久性を有するナトリウム−硫黄電池を提供する。
【解決手段】ナトリウム−硫黄電池は、ナトリウム容器5に収容されたナトリウム中の微量成分の含有量が、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとされている。さらに、固体電解質管4を形成するβアルミナ固体電解質のβアルミナ中の微量成分の含有量が、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池として電力貯蔵などに利用されるナトリウム−硫黄電池に関するものであり、特にナトリウム等に含まれる不純物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウム−硫黄電池は、電力の平準化やピークカットなどの機能を実現するための電力貯蔵システムなどに使用されている。一般に、ナトリウム−硫黄電池の集合電池は、単電池を所定数直列に接続してストリングが構成され、そのストリングを所定数並列に接続してブロックが構成され、さらにそのブロックを基本単位として所定数直列に接続されることにより構成されている。そして、この集合電池を充電する際には、一定の電圧に達するまで充電が行われる。
【0003】
放電容量を大きくしたり、平均放電電圧を高くしたりするためには、電池の充電量をできるだけ大きくした方がよい。ところが、従来のナトリウム−硫黄電池の充電方法においては、充電打切り電圧を高めて充電量を大きくした場合、特定の単電池に電圧が集中して単電池が過電圧により故障するおそれがあった。一方、充電打切り電圧を低く設定した場合、未充電量が増加し、経時的に電池の劣化が早くなるという問題があった。そこで、ナトリウム−硫黄電池の充電方法について、検討がなされてきている(特許文献1〜2参照)。
【0004】
一方、ナトリウム−硫黄電池に用いられるβアルミナ管は、長期間の使用に耐えうるように一定値以上の機械的強度とナトリウムイオン伝導性とが要求されている。そこで、βアルミナ管の不純物量について、検討がなされてきている(特許文献3〜4参照)。
【0005】
また、電池の充放電効率の低下がないように、負極活物質のNa中の過飽和分の酸化物等に着目し、これがNa供給孔を閉塞しない構造としたナトリウム/硫黄電池も開示されている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2878584号公報
【特許文献2】特許第3505116号公報
【特許文献3】特開平6−72762号公報
【特許文献4】特公平8−21426号公報
【特許文献5】特開平7−249430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、より一層、長期使用に耐えうる耐久性を持たせ、効率よく充放電することが可能で、長期間安定に運転できるナトリウム−硫黄電池が望まれてきている。
【0008】
本発明の課題は、従来よりも耐久性を有するナトリウム−硫黄電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ナトリウム容器に収容された負極活物質であるナトリウム等に含まれる不純物量を規定することにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち本発明によれば、以下のナトリウム−硫黄電池が提供される。
【0010】
[1] 正極容器内に配設された有底円筒状の固体電解質管の内側に負極室、外側に正極室をそれぞれ形成し、正極室内には正極活物質である硫黄を含浸した円筒状の正極モールドを収容し、負極室となる前記固体電解質管の内側には、有底円筒状の隔壁を、前記固体電解質管との間に所定の間隙をもって配置し、更に前記隔壁の内側に、負極活物質であるナトリウムを収容したナトリウム容器を、前記隔壁との間に所定の間隙をもって配置してなるナトリウム−硫黄電池であって、前記ナトリウム−硫黄電池の単電池を所定数直列接続してストリングを構成し、このストリングを所定数並列に接続してブロックを構成し、そのブロックを基本単位として所定数直列に接続した集合電池として用いられるものであり、前記ナトリウム容器に収容されたナトリウム中の微量成分の含有量を、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとしたナトリウム−硫黄電池。
【0011】
[2] 前記固体電解質管を形成するβアルミナ固体電解質のβアルミナ中の微量成分の含有量を、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとした前記[1]に記載のナトリウム−硫黄電池。
【0012】
[3] 前記集合電池の充電時に一定電流Iで端子電圧が下記式(1)において、αを0.05V以下の範囲の定数とし、Vとなるまで充電されるものである前記[1]または[2]に記載のナトリウム−硫黄電池。
=(2.075+α)×m+R×I・・・(1)
(但し、Vは電圧打切り電圧(ボルト)、2.075はナトリウム−硫黄電池の動作温度における単電池の開放電圧、mはストリング中の単電池の総直列数、Iは充電電流(アンペア)である。また、Rは集合電池の内部抵抗(オーム)である。)
【発明の効果】
【0013】
ナトリウム−硫黄電池のナトリウム容器に収容されたナトリウム中の微量成分の含有量を所定値以下にすることにより、耐久性を向上させることができる。さらに、固体電解質管を形成するβアルミナ固体電解質のβアルミナ中の微量成分の含有量を所定値以下とすることにより、より耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ナトリウム−硫黄電池の基本構造の一例を示す断面図である。
【図2】集合電池を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0016】
図1に本発明のナトリウム−硫黄電池の一実施形態を示す。本発明のナトリウム−硫黄電池は、正極容器1内に配設された有底円筒状の固体電解質管4の内側に負極室R1、外側に正極室R2がそれぞれ形成されている。そして正極室R2内には正極活物質である硫黄Sを含浸した円筒状の正極モールド7を収容し、負極室R1となる固体電解質管4の内側には、有底円筒状の隔壁8を、固体電解質管4との間に所定の間隙をもって配置している。更に隔壁8の内側に、負極活物質であるナトリウムを収容したナトリウム容器5を、隔壁8との間に所定の間隙をもって配置している。
【0017】
図2に集合電池を示す回路図を示す。本発明のナトリウム−硫黄電池は、ナトリウム−硫黄電池の単電池10を所定数直列接続してストリング12を構成し、このストリング12を所定数並列に接続してブロック13を構成し、そのブロック13を基本単位として所定数直列に接続した集合電池14として用いられるものである。
【0018】
そして、ナトリウム容器5に収容されたナトリウム中の微量成分の含有量が、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとされている。このように、ナトリウム中の不純物量を所定値以下とすることにより、ナトリウム−硫黄電池の耐久性を向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明のナトリウム−硫黄電池は、固体電解質管4を形成するβアルミナ固体電解質のβアルミナ中の微量成分の含有量を、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとすることが好ましい。このように、βアルミナ中の不純物量を所定値以下とすることにより、より一層、ナトリウム−硫黄電池の耐久性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明のナトリウム−硫黄電池は、集合電池14の充電時に一定電流Iで端子電圧が下記式(1)で示されるVとなるまで充電されるものである。
=(2.075+α)×m+R×I・・・(1)
(但し、Vは電圧打切り電圧(ボルト)であり、2.075はナトリウム−硫黄電池の動作温度における単電池の開放電圧、αは充電末分極電圧であり好ましくは0.05以下の範囲の定数、mはストリング中の単電池の総直列数、Iは充電電流(単位はアンペア)である。また、Rは集合電池の内部抵抗(単位はオーム)であり、充電末の開放電圧Vと定電流放電時の最高電圧Vとから次式により求められる。すなわち、R=(V−V)/放電電流である。)
【0021】
図1を用いてさらに具体的に本発明のナトリウム−硫黄電池の単電池10の構成を説明する。正極容器1内に、ナトリウムイオンを選択的に透過させる機能を有する有底円筒状の固体電解質管4が配置され、固体電解質管4の外側に正極室R2が形成されている。正極容器1はアルミニウムやステンレス鋼等からなり、正極容器1の上端近傍部位には、当該容器の熱変化に伴う膨張・収縮を吸収緩和するためのくびれ9が形成されている。また、固体電解質管4はβアルミナやβ”アルミナ等からなる。正極室R2には、正極活物質である硫黄Sを含浸した円筒状の正極モールド7が収容されている。
【0022】
一方、固体電解質管4の内側には、負極室R1が形成され、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等のナトリウムに対する耐食性に優れた金属材料よりなる有底円筒状の隔壁(安全管)8が、固体電解質管4との間に所定の間隙をもって配置されている。更に、隔壁8の内側に、負極活物質である溶融金属ナトリウムNaを収容した有蓋・有底円筒状のナトリウム容器5が、隔壁8との間に所定の間隙をもって配置されている。
【0023】
正極容器1と固体電解質管4とは、絶縁リング2を介して結合されており、絶縁リング2の上端面には負極蓋3が接合されている。絶縁リング2は、正極室R2と負極室R1との電気的絶縁性を保持する必要から、絶縁性を有するセラミックスからなるものが好ましく、強度、コスト等に鑑みるとαアルミナなどが好適に使用される。ナトリウム容器5の底部には、小孔6が形成されており、また、ナトリウム容器5の上部空間には、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスGが所定の圧力で封入されており、不活性ガスGにより、ナトリウム容器5内のナトリウムNaが小孔6から流出する方向へ加圧される。
【0024】
ナトリウム−硫黄電池の放電時には、ナトリウム容器5底部の小孔6から流出したナトリウムNaが、ナトリウム容器5と隔壁8との間隙を上方に移動し、更に隔壁8の上端縁を乗り越えて、固体電解質管4と隔壁8との間隙を下方に移動して、この間隙に滞留する。
【0025】
ここで、ナトリウムNaは、電子を放出してナトリウムイオンとなり、固体電解質管4を透過して正極室R2に移動し、正極室R2の硫黄S及び外部回路を通ってきた電子と反応して多硫化ナトリウムを生成するとともに電圧を発生する。また、充電時には、放電時とは逆にナトリウムNa及び硫黄Sの生成反応が起こる。
【0026】
また、隔壁8は、固体電解質管4が単電池使用中に破損して正極室R2の硫黄Sが負極のナトリウムNaに直接接触して反応が開始されたとき、その直接反応による発熱により熱膨張し、隔壁8と固体電解質管4との間隙を小さくすることによって、直接反応の量を減少させる役割を行う。これにより、直接反応による発熱が加速度的に単電池を昇温し、正極容器1を溶融させるなどの危険から故障単電池を保護している。
【0027】
本発明のナトリウム−硫黄電池は、ナトリウム容器5に収容されたナトリウム中の微量成分の含有量が、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとされている。各微量成分の数値限定の理由は次の通りである。まずSiが200ppmを越えると、長期通電後の圧環強度およびNaイオン導電率が低下し、特に通電量を大きくした場合にこの傾向が著しくなる。次にFeが1000ppmを越えると、長期通電後の圧環強度およびNaイオン導電率が低下するのみならず、通電前の状態においても圧環強度が低下する傾向を示す。またCaが100ppmを越えた場合およびKが200ppmを越えた場合には、いずれもNaイオン導電率が低下し、固体電解質としての基本的な特性が低下することとなる。
【0028】
さらに、本発明のナトリウム−硫黄電池は、βアルミナ中の微量成分の含有量をSi≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとすることがより好ましい。各微量成分の数値限定の理由は次の通りである。まずSiが200ppmを越えると、長期通電後の圧環強度およびNaイオン導電率が低下し、特に通電量を大きくした場合にこの傾向が著しくなる。次にFeが1000ppmを越えると、長期通電後の圧環強度およびNaイオン導電率が低下するのみならず、通電前の状態においても圧環強度が低下する傾向を示す。またCaが100ppmを越えた場合およびKが200ppmを越えた場合には、いずれもNaイオン導電率が低下し、固体電解質としての基本的な特性が低下することとなる。
【0029】
次に図2を用いて、ナトリウム−硫黄電池の集合電池とその充電について説明する。図2に示すように、ナトリウム−硫黄電池よりなる単電池10を所定の直列数mだけ直列に接続してストリング12が構成され、このストリング12を所定の並列数nだけ並列に接続してブロック13が構成されている。このブロック13を基本単位として、所定数直列に接続することにより、集合電池14が構成されている。なお、上記直列数m、並列数nやブロック13の直列接続数は、目的とする集合電池14の出力電圧、電池容量などにより適宜設定される。
【0030】
次に、この集合電池14の充放電について説明する。単電池10の動作温度は300〜360℃であり、この動作温度で充放電が行われる。電流Iで例えば8時間放電を行うと、電圧は所定時間の間一定値に保持され、その後一定の傾斜で次第に低下する。続いて、放電終了後所定時間経過したとき、充電操作を行う。すなわち、一定電流Iで端子電圧が次式で示されるVとなるまで例えば7.5時間充電を行う。
【0031】
=(2.075+α)×m+R×I・・・(1)
(但し、Vは充電打切り電圧(ボルト)であり、2.075はナトリウム−硫黄電池の動作温度における単電池の開放電圧、αは充電末分極電圧であり好ましくは0.05以下の範囲の定数、mはストリング中の単電池の総直列数、Iは充電電流(単位はアンペア)である。また、Rは集合電池の内部抵抗(単位はオーム)であり、充電末の開放電圧Vと定電流放電時の最高電圧Vとから次式により求められる。すなわち、R=(V−V)/放電電流である。)
【0032】
充放電の効率の面からは、βアルミナに対するナトリウムイオン伝導率の温度特性、等の理由により、ナトリウム−硫黄電池を280℃以上の高温で作動させることが好ましい。反面、電池を構成する種々の部材の耐熱性、等の制約から、ナトリウム−硫黄電池の作動温度の高さには限界がある。従って、ナトリウム−硫黄電池においては、動作温度を所定の範囲(300℃〜360℃)に制御しながら、充放電を行うことが好ましい。
【0033】
以上に説明したように、本発明のナトリウム−硫黄電池は、ナトリウム容器5に収容されたナトリウム中の微量成分の含有量が、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとされている。さらに、固体電解質管4を形成するβアルミナ固体電解質のβアルミナ中の微量成分の含有量が、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmであることが好ましい。また、本発明のナトリウム−硫黄電池は、充電時に一定電流Iで端子電圧がV(αは好ましくは0.05以下)となるまで充電される。このように、ナトリウム中の不純物量、さらにβアルミナ中の不純物量やα値を規定することにより長期間通電後の焼結体特性をも向上させることができるものである。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
[ナトリウムの製造]
不純物量の異なるナトリウムを製造した。製造した試料を表1に示す。
【0036】
[βアルミナ管の製造]
各種アルミナ原料を用いて微量成分の異なるβアルミナ管(固体電解質管4)を以下の方法で製造した。基本アルミナ原料として3種類の原料を用意し、所定の微量成分量を得るためにSiO、Fe、CaCO、KOをそれぞれ添加した。本実施例ではNaO源として、NaCO、MgO源としてMgOの所定量を計量し、ボールミル中において水分50%で30分間の湿式混合を実施した。混合後の泥漿を乾燥した後、アルミナ煉瓦質の坩堝に詰め、電気炉を使用して最高温度1400℃の空気雰囲気中で仮焼した。仮焼後の粉体をボールミル中で湿式粉砕混合し、バインダーとしてエチレングリコールを2%添加しスプレードライヤーで造粒した。得られた造粒粉体を所定形状のゴム型に充填してラバープレス圧2ton/cmで加圧して成形体を得た。この成形体を焼成し、焼結体を得た。このようにして得られたβアルミナ管(固体電解質管4)中の微量成分量は表1の通りである。
【0037】
[耐久性試験の方法]
ナトリウム−硫黄電池を組み立て、放電・充電を繰り返し、耐久性を調べた。具体的には、ナトリウム−硫黄電池は、充電末組み立てのため、放電からスタートし、続いて下記式(1)で求められる充電末カット電圧Vまで充電した。放電・充電を1サイクルとして故障までのサイクル数を調べた。表1のα値は、下記式(1)中のαである。
=(2.075+α)×m+R×I・・・(1)
(但し、Vは充電末打切り電圧(ボルト)であり、2.075はナトリウム−硫黄電池の動作温度における単電池の開放電圧、αは充電末分極電圧であり定数、mはストリング中の単電池の総直列数、Iは充電電流(単位はアンペア)である。また、Rは集合電池の内部抵抗(単位はオーム)であり、充電末の開放電圧Vと定電流放電時の最高電圧Vとから次式により求められる。すなわち、R=(V−V)/放電電流である。)
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示すように、α値を0.1Vとすると、比較例1では、故障までのサイクル数が500回であった。これに対し、ナトリウム中の不純物量を抑えた実施例1,2は、比較例1に比べ、故障までのサイクル数が増加した。特に、βアルミナ管の不純物量も抑えた実施例2では、故障までのサイクル数が1200回であった。
【0040】
またα値を0.04Vとすると、比較例2では、故障までのサイクル数が700回であったのに対し、ナトリウム中の不純物量を抑えた実施例3では、故障までのサイクル数が2000回であった。さらに、α値を0.05Vとすると、ナトリウム中の不純物量とβアルミナ管の不純物量とを抑えた実施例4は、故障までのサイクル数が3000回超であった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のナトリウム−硫黄電池は、従来よりも一層耐久性の向上したナトリウム−硫黄電池として利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:正極容器、2:絶縁リング、3:負極蓋、4:固体電解質管、5:ナトリウム容器、6:小孔、7:正極モールド、8:隔壁(安全管)、9:くびれ、10:単電池、12:ストリング、13:ブロック、14:集合電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極容器内に配設された有底円筒状の固体電解質管の内側に負極室、外側に正極室をそれぞれ形成し、正極室内には正極活物質である硫黄を含浸した円筒状の正極モールドを収容し、負極室となる前記固体電解質管の内側には、有底円筒状の隔壁を、前記固体電解質管との間に所定の間隙をもって配置し、更に前記隔壁の内側に、負極活物質であるナトリウムを収容したナトリウム容器を、前記隔壁との間に所定の間隙をもって配置してなるナトリウム−硫黄電池であって、
前記ナトリウム−硫黄電池の単電池を所定数直列接続してストリングを構成し、このストリングを所定数並列に接続してブロックを構成し、そのブロックを基本単位として所定数直列に接続した集合電池として用いられるものであり、
前記ナトリウム容器に収容されたナトリウム中の微量成分の含有量を、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとしたナトリウム−硫黄電池。
【請求項2】
前記固体電解質管を形成するβアルミナ固体電解質のβアルミナ中の微量成分の含有量を、Si≦200ppm、Fe≦1000ppm、Ca≦100ppm、K≦200ppmとした請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池。
【請求項3】
前記集合電池の充電時に一定電流Iで端子電圧が下記式(1)において、αを0.05V以下の範囲の定数とし、Vとなるまで充電されるものである請求項1または2に記載のナトリウム−硫黄電池。
=(2.075+α)×m+R×I・・・(1)
(但し、Vは、電圧打切り電圧(ボルト)、2.075はナトリウム−硫黄電池の動作温度における単電池の開放電圧、mはストリング中の単電池の総直列数、Iは充電電流(アンペア)である。また、Rは集合電池の内部抵抗(オーム)である。)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−114824(P2013−114824A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258349(P2011−258349)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】