説明

ナトリウム供給装置及びナトリウム供給方法

【課題】窒化ガリウム(GaN)の結晶成長を促進するフラックスとして機能するナトリウムを低コストで精製し供給する装置及び方法を提供する。
【解決手段】原料である固体ナトリウムslを収容すると共に、液体ナトリウムmlについて通過自在かつ前記固体ナトリウムslに不可避的に含まれるナトリウム化合物については通過を阻止して除去するろ過機能を有するろ過容器1と、固体ナトリウムslが溶融し、かつ、前記ナトリウム化合物が溶融しない温度に固体ナトリウムslを加熱する加熱保温部15と、ろ過機能に基づいてろ過容器1から流れ出た液体ナトリウムmlを坩堝Bに供給する供給手段と、ろ過容器1、加熱保温部15及び供給手段を非酸化性雰囲気に保持するチャンバ16とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナトリウム供給装置及びナトリウム供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、フラックス法を用いたIII族窒化物系化合物半導体の結晶成長装置が開示されている。この場合のフラックス法は、周知のようにナトリウム(Na)をフラックス(融剤)として用いるナトリウムフラックス法である。上記結晶成長装置は、段落0024に記載されているように、純度が約4N(99.99%)の固体Na(原料ナトリウム)を蒸留することによって、つまり固体Naを気化させる温度(例えば650°以上)まで加熱することによって6N(99.9999%)以上の高純度まで精製し、この蒸留処理によって得られた液体ナトリウムをIII族窒化物系化合物の結晶成長に供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−254999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記結晶成長装置は、固体ナトリウム(固体Na)を気化する温度まで加熱するものなので、固体ナトリウムの精製に多大のエネルギーを必要とすると共に、固体ナトリウムの精製に要する装置構成が複雑である。この結晶成長装置はあくまでも実験設備として考えられたものであり、固体ナトリウムの精製に要するランニングコストの観点、また固体ナトリウムの精製に要する初期コストの観点から、III族窒化物系化合物を製品として製造する製造設備に上記結晶成長装置を適用することは困難である。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、固体ナトリウムの精製に要するコストを従来よりも低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、ナトリウム供給装置に係る第1の解決手段として、原料である固体ナトリウムを収容すると共に、液体ナトリウムについて通過自在かつ前記固体ナトリウムに含まれるナトリウム化合物については除去する除去手段と、前記固体ナトリウムが溶融し、かつ、前記ナトリウム化合物が溶融しない温度に前記固体ナトリウムを加熱する加熱手段と、前記除去手段から流れ出た前記液体ナトリウムを外部容器に供給する供給手段と、前記除去手段、前記加熱手段及び供給手段を非酸化性雰囲気に保持するチャンバとを具備する、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、ナトリウム供給装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記供給手段は、前記液体ナトリウムについて通過自在かつナトリウム化合物については除去する機能を有する除去体を備える、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、ナトリウム供給装置に係る第3の解決手段として、液体ナトリウムを貯留すると共に前記液体ナトリウムを排出する排出口が設けられた貯留手段と、前記液体ナトリウムを前記貯留手段に投入する投入手段と、前記排出口に連通し、前記貯留手段から排出される前記液体ナトリウムを外部容器に供給する供給手段と、前記貯留手段に貯留される前記液体ナトリウムに含まれるナトリウム化合物を除去するコールドトラップと、前記貯留手段、前記投入手段、前記供給手段及び前記コールドトラップを非酸化性雰囲気に保持するチャンバとを具備する、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、ナトリウム供給装置に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記貯留手段は、前記液体ナトリウムを貯留すると共に当該液体ナトリウムを排出する第1の排出口及び前記液体ナトリウムを受け入れる第1の受入口が設けられた第1のタンクと、前記第1の排出口から流れ出た前記液体ナトリウムを貯留すると共に当該液体ナトリウムを排出する第2の排出口及び前記第1の排出口から流れ出た前記液体ナトリウムを受け入れる第2の受入口が設けられた第2のタンクとを有し、前記第1のタンク及び第2のタンクのいずれか一方に設けられた第3の排出口に前記供給手段が連通され、他方に設けられた第3の受入口を介して前記投入手段により前記液体ナトリウムが投入され、前記第2の排出口から排出された前記液体ナトリウムを前記第1の受入口に戻し、前記チャンバに保持される循環手段をさらに備え、前記コールドトラップは、該循環手段における前記液体ナトリウムの通過経路に設けられている、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、ナトリウム供給装置に係る第5の解決手段として、上記第4の解決手段において、前記第1のタンクは、前記第2のタンクよりも高い位置に配置され、前記第1のタンクから前記第2のタンクへは重力を用いて前記液体ナトリウムを流動させ、前記第2のタンクから前記第1のタンクへは前記循環手段において発生させた圧力を用いて前記液体ナトリウムを流動させる、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、ナトリウム供給装置に係る第6の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記貯留手段は、前記液体ナトリウムを貯留すると共に当該液体ナトリウムを排出する第1の排出口、前記供給手段に連通して、前記液体ナトリウムを排出するもう一方の第2の排出口、前記液体ナトリウムを受け入れる第1の受入口及び前記投入手段から投入された前記液体ナトリウムを受け入れるもう一方の第2の受入口が設けられたタンクを有し、前記第1の排出口から排出された前記液体ナトリウムを前記第1の受入口に戻し、前記チャンバに保持される循環手段をさらに備え、前記コールドトラップは、該循環手段における前記液体ナトリウムの通過経路に設けられている、という手段を採用する。
【0012】
本発明では、ナトリウム供給装置に係る第7の解決手段として、上記第4〜第6のいずれか1つの解決手段において、前記第1のタンク、第2のタンク及び前記タンクのうちのいずれかは、それぞれに設置された受入口と排出口とが対向する側部に配置されている、という手段を採用する。
【0013】
本発明では、ナトリウム供給装置に係る第8の解決手段として、上記第1〜第7のいずれか1つの解決手段において、前記除去手段、前記除去体及び前記コールドトラップのうちのいずれかは、ナトリウムよりも酸化性の高い物質から形成されている、という手段を採用する。
【0014】
本発明では、ナトリウム供給装置に係る第9の解決手段として、上記第1〜第8のいずれか1つの解決手段において、前記供給手段は、前記液体ナトリウムの通過流量を調節する制御弁を備え、前記外部容器の重量を計測する重量計測手段と、該重量計測手段の計測値に基づいて前記外部容器内に目標重量の前記液体ナトリウムが供給されるように前記制御弁を制御する供給制御手段とをさらに備える、という手段を採用する。
【0015】
本発明では、ナトリウム供給方法に係る手段として、非酸化性雰囲気において、原料である固体ナトリウムが溶融し、かつ、当該固体ナトリウムに含まれるナトリウム化合物が溶融しない温度に前記固体ナトリウムを加熱する溶融工程と、前記非酸化性雰囲気において、液体ナトリウムを通過させる一方、前記ナトリウム化合物を除去する除去工程と、前記非酸化性雰囲気において、前記除去工程を経た前記液体ナトリウムを外部容器に供給する供給工程と、を具備する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、処理として簡単なろ過によって固体ナトリウムに含まれるナトリウム化合物(固形物)を液体ナトリウムから除去するので、固体ナトリウムの精製に要するコスト(初期コスト及びランニングコスト)を従来よりも低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るナトリウム供給装置Aの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における受入タンク2の第1変形例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態における加熱手段の変形例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における確認手段を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態における押圧手段を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態における受入タンク2の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るナトリウム供給装置Aは、図1に示すように、ろ過容器(除去手段)1、受入タンク2(第1のタンク)、供給タンク3(第2のタンク)、接続パイプ4、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6、供給パイプ7、供給口フィルタ8、制御弁9、重量計10、制御器11、循環パイプ12、循環ポンプ13、コールドトラップ14、加熱保温部15(加熱手段)及びチャンバ16を備える。なお、これら各構成要素のうち供給パイプ7、供給口フィルタ8、制御弁9、重量計10及び制御器11は、本実施形態における供給手段を構成する。
【0019】
このナトリウム供給装置Aは、原料である固体ナトリウムslを加熱溶融させてナトリウム融液(以下、液体ナトリウムmlという。)とし、この液体ナトリウムmlを坩堝B(外部容器)に供給する装置である。この坩堝Bは、III族窒化物系化合物半導体の一種である窒化ガリウム(GaN)をナトリウムフラックス法に基づいて結晶成長させるための容器である。ナトリウムフラックス法に基づく窒化ガリウム(GaN)の生成方法については多数の公知文献が存在するので詳細な説明を省略するが、本ナトリウム供給装置Aが坩堝Bに供給する液体ナトリウムmlは、坩堝B内における窒化ガリウム(GaN)の結晶成長を促進するフラックス(融剤)として機能する。
【0020】
ろ過容器1は、所定量の固体ナトリウムsl(原料)を収容すると共に、当該固体ナトリウムslが溶解して得られる液体ナトリウムmlについて通過自在、かつ、固体ナトリウムslに不可避的に含まれる酸化ナトリウム(NaO)等のナトリウム化合物(固形物)については通過を阻止して除去するろ過機能を有する。このろ過容器1は、受入タンク2の上部に設けられた原料受入口2a(第3の受入口)から受入タンク2内に収納され、フランジ部材等を用いることにより受入タンク2の内上部に密閉状態で収容される。
【0021】
ここで、原料である固体ナトリウムslは、金属材料メーカーが市場に供給している3N(99.9%)程度の純度を有するナトリウム塊である。上述した特許文献1では、ナトリウムフラックス法を用いた窒化ガリウム(GaN)の結晶成長では6N以上の高純度の液体ナトリウムが必要であると主張しているが、本発明者による研究によれば、3N程度の純度でも十分に実用に耐え得る窒化ガリウム(GaN)の単結晶を生成することが可能であることが分かった。
【0022】
しかしながら、特許文献1にも記載されているようにナトリウムは酸化性の高い金属であり、上記ナトリウム塊は、流通供給過程等において容易に酸素と化学反応を起こして表面にナトリウム化合物が生成される。このナトリウム化合物は、高品質な窒化ガリウム(GaN)の単結晶を得る上で大きな阻害要因であり、何らかの方法で除去する必要がある。本ナトリウム供給装置Aでは、固体ナトリウムslに含まれるナトリウム化合物(固形物)を除去するために、性能及び製造装置への適用性の点で機械的なフィルタリングである「ろ過」を採用する。
【0023】
上記ろ過容器1は、例えば、ナトリウムに対して耐腐食性を有するSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等からなり、固形物であるナトリウム化合物の通過を阻止する所定径の透過孔(ろ孔)が多数かつ均等に形成されたメッシュ状のカゴである。また、ろ過容器1は、より好ましくは、上記耐腐食性の材料に代えて、ナトリウムよりも酸化性の高い物質、例えばジルコニウム、ハフニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、珪素、アルミニウムあるいはセリウム等から形成される。このように酸化性の高い物質からろ過容器1を形成することにより、液体ナトリウムmlの内部に存在し得る微量な酸素を化学的に除去することができる。
【0024】
このようなろ過容器1を収容する受入タンク2は、ステンレス等の金属からなる箱型容器(直方体形状)であり、後述する加熱保温部15の作動によりろ過容器1内の固体ナトリウムslが溶融してろ過容器1から下方に流れ出た(滴下した)液体ナトリウムmlを一時的に貯留する。この受入タンク2の底部には接続パイプ4の一端(上端)に接続された第1の排出口2bが設けられ、また側部には循環パイプ12の一端(上端)に接続された第1の受入口2cが設けられている。このような受入タンク2は、一時的に貯留した液体ナトリウムmlを第1の排出口2bから接続パイプ4を介して供給タンク3に向けて排出する一方、循環パイプ12から供給される液体ナトリウムmlを第1の受入口2cで受け入れる。
【0025】
供給タンク3は、スタンレス等の金属からなる箱型容器(直方体形状)であり、接続パイプ4を介して上記第1の排出口2bから供給された液体ナトリウムmlを一時的に貯留する。この供給タンク3の上部には接続パイプ4の他端(下端)に接続された第2の受入口3aが設けられ、また循環パイプ12の他端(下端)に接続された第2の排出口3bと底部には制御弁9が接続された第3の排出口3cとが設けられている。このような供給タンク3は、一時的に貯留した液体ナトリウムmlを第3の排出口3cから制御弁9を介して供給パイプ7に向けて排出する一方、循環パイプ12を介することにより受入タンク2に向けて液体ナトリウムmlを排出する。なお、受入タンク2は、供給タンク3よりも高い位置に配置されており、つまり、受入タンク2から供給タンク3へは重力を用いて液体ナトリウムmlを流動させている。
【0026】
接続パイプ4は、図示するように上記受入タンク2の第1の排出口2bと供給タンク3の第2の受入口3aとの間に、例えばフランジ結合方式等により着脱自在に挿入された配管である。第1中間フィルタ5は、受入タンク2における第1の排出口2bに設けられるろ体(除去体)であり、上述したろ過容器1と同様なろ過性能を有する。また、第1中間フィルタ5は、ろ過容器1と同様に、ナトリウムに対する耐腐食性材料あるいはナトリウムよりも酸化性の高い物質から形成されるメッシュ状部材である。
【0027】
第2中間フィルタ6は、接続パイプ4内に設けられるろ体であり、上述したろ過容器1と同様なろ過性能を有する。また、この第2中間フィルタ6も、ろ過容器1及び第1中間フィルタ5と同様に、ナトリウムに対する耐腐食性材料あるいはナトリウムよりも酸化性の高い物質から形成されるメッシュ状部材である。
【0028】
供給パイプ7は、一端(上端)が制御弁9に接続された配管であり、供給口7a(下端)に供給口フィルタ8が取り付けられている。この供給パイプ7は、供給口7aから坩堝Bに向けて液体ナトリウムmlを供給する。供給口フィルタ8は、上記供給口7aに設けられたろ体であり、上述したろ過容器1と同様なろ過性能を有する。また、供給口フィルタ8は、上述したろ過容器1、第1中間フィルタ5及び第2中間フィルタ6と同様に、ナトリウムに対する耐腐食性材料あるいはナトリウムよりも酸化性の高い物質から形成される。
【0029】
制御弁9は、上述したように第3の排出口3cと供給パイプ7との間に介装された電磁弁である。この制御弁9は、制御器11から入力される制御信号に基づいて開口度を可変設定することにより、供給タンク3から供給パイプ7に排出される液体ナトリウムmlの流量、つまり供給パイプ7から坩堝Bに供給される液体ナトリウムmlの流量を調整する。重量計10は、坩堝B及び当該坩堝Bに供給された液体ナトリウムmlの重量を計測する計測器であり、計測値を制御器11に出力する。制御器11は、上記重量計10の計測値に基づいて制御弁9を制御することによって、坩堝Bに供給する液体ナトリウムmlの重量を所望の目標値に調整する。
【0030】
循環パイプ12は、供給タンク3における第2の排出口3bと受入タンク2における第1の受入口2cとの間に設けられた配管であり、液体ナトリウムmlを供給タンク3から受入タンク2に向けて戻すためのものである。循環ポンプ13は、図示するように上記循環パイプ12において供給タンク3側に設けられており、上記第2の排出口3bから所定量の液体ナトリウムmlを払い出すポンプである。この循環ポンプ13が作動することにより、供給タンク3から払い出された液体ナトリウムmlが受入タンク2に強制的に戻され、この結果として受入タンク2と供給タンク3との間での液体ナトリウムmlの循環が実現される。つまり、供給タンク3から受入タンク2へは循環ポンプ13において発生させた圧力を用いて液体ナトリウムmlを流動させている。
【0031】
コールドトラップ14は、上記循環パイプ12において受入タンク2側(循環ポンプ13の吐出口側)に設けられており、液体ナトリウムmlと当該液体ナトリウムml中に存在し得る不純物との温度に応じた溶解度の差を利用して不純物を除去するものである。コールドトラップ14における液体ナトリウムmlの温度調節方法(冷却方法)は、安全性を考慮してナトリウムに対する反応性が低い冷媒(液体、ガスの何れでも可)が最も望ましいが、この冷媒は密封性を十分に確保できるのであれば、空気等を用いてもよい。
【0032】
加熱保温部15は、図示するように受入タンク2、供給タンク3、接続パイプ4、供給パイプ7、制御弁9、循環パイプ12、循環ポンプ13及びコールドトラップ14に設けられている。この加熱保温部15は、これら構成要素を外側から加熱・保温することにより、受入タンク2に収容されたろ過容器1内の固体ナトリウムslを加熱溶解させて液体ナトリウムmlとすると共に、供給タンク3、接続パイプ4、供給パイプ7、制御弁9、循環パイプ12、循環ポンプ13及びコールドトラップ14内を通過する液体ナトリウムmlを液体状態に維持する。このような加熱保温部15は、例えば電気ヒーターと保温ジャケットとから構成されている。
【0033】
ここで、ナトリウム(固体ナトリウムsl)の融点は周知のように約98℃である。これに対して、固体ナトリウムslに含まれるナトリウム化合物、例えば酸化ナトリウム(NaO)の融点は1132℃である。加熱保温部15は、固体ナトリウムslが溶融して液体ナトリウムmlとなる一方、酸化ナトリウム(NaO)等のナトリウム化合物が溶融しない所定温度(設定温度)、つまり98℃以上から1132℃未満となるように固体ナトリウムsl及び液体ナトリウムmlを加熱・保温する。このような加熱保温部15の設定温度としては、エネルギー効率の観点から、固体ナトリウムslの融点に近い温度が好ましく、例えば100度〜300度である。
【0034】
チャンバ16は、上述したろ過容器1、受入タンク2、供給タンク3、接続パイプ4、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6、供給パイプ7、供給口フィルタ8、制御弁9、重量計10、制御器11、循環パイプ12、循環ポンプ13、コールドトラップ14及び加熱保温部15を非酸化性雰囲気(例えば不活性ガス雰囲気)に保持する密閉容器である。なお図示していないが、このようなチャンバ16には、内部を非酸化性雰囲気に保持したまま固体ナトリウムslの外部からの搬入及び液体ナトリウムmlが収容された坩堝Bの外部への搬出を可能と搬送機能が設けられている。
【0035】
次に、このように構成された本ナトリウム供給装置Aの動作について詳しく説明する。
【0036】
本ナトリウム供給装置Aでは、加熱保温部15(加熱手段)が作動することによってろ過容器1内に収容された固体ナトリウムslが選択的に溶融する。すなわち、加熱保温部15の設定温度は、固体ナトリウムslが溶融するが、当該固体ナトリウムslに不可避的に含まれるナトリウム化合物が溶融しない温度(例えば100〜300度)に設定されているので、加熱保温部15による加熱によって固体ナトリウムslは溶融するものの、ナトリウム化合物は溶融せず固体のままである。
【0037】
したがって、ろ過容器1のろ過機能によって、液体ナトリウムmlのみがろ過容器1の透過孔を選択的に通過して受入タンク2内に流れ出て(滴下し)、一方、ナトリウム化合物は、ろ過容器1の透過孔を通過することなくろ過容器1内に捕集される。
【0038】
また、ろ過容器1がナトリウムよりも酸化性の高い物質(例えばジルコニウム、ハフニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、珪素、アルミニウムあるいはセリウム等)から形成されている場合、液体ナトリウムmlの内部に存在し得る微量な酸素は、ナトリウム(液体ナトリウムml)ではなく、ろ過容器1と優先的に化学反応するので、液体ナトリウムmlから除去される。
【0039】
このようにしてろ過容器1から滴下した液体ナトリウムmlは、受入タンク2内に一時的に貯留され、第1の排出口2bから第1中間フィルタ5、また接続パイプ4内の第2中間フィルタ6を通過し、第2の受入口3aを介して供給タンク3に供給される。ナトリウム化合物は、初段フィルタとして機能するろ過容器1によって実質的に問題のないレベルまで除去されるが、上述した受入タンク2から供給タンク3への液体ナトリウムmlの供給過程において、液体ナトリウムmlに微量だけ含まれる可能性のあるナトリウム化合物は、第1中間フィルタ5及び第2中間フィルタ6によってさらに除去される。
【0040】
そして、供給タンク3に供給された液体ナトリウムmlは、受入タンク2に一時的に貯留されるが、その一部は、循環ポンプ13によって第2の排出口3bから払い出され、循環パイプ12を経由して受入タンク2に戻される。すなわち、受入タンク2から供給タンク3に供給される液体ナトリウムmlは、受入タンク2と供給タンク3との間を循環移動しつつ、最終的に第3の排出口3cから制御弁9を経由して接続パイプ4に供給される。なお、循環パイプ12に含まれる可能性のあるナトリウム化合物(固形物)以外の不純物は、循環パイプ12の途中に設けられたコールドトラップ14によって確実に除去される。
【0041】
また、供給タンク3から接続パイプ4に供給された液体ナトリウムmlは、接続パイプ4から坩堝Bに順次供給される。この際に、液体ナトリウムmlは、供給口フィルタ8を通過することによって、ろ過容器1、第1中間フィルタ5及び第2中間フィルタ6によって除去されなかったナトリウム化合物、また液体ナトリウムmlの通過経路で液体ナトリウムmlに混じり込む可能性のある固形物が確実に除去される。
【0042】
さらに、供給タンク3から接続パイプ4を経由して坩堝Bに供給される際に、液体ナトリウムmlは、制御弁9を通過して流量調節を受ける。すなわち、重量計10は、液体ナトリウムmlが坩堝Bに順次供給されることによって増大する坩堝B(当該坩堝Bに収容された液体ナトリウムmlをも含む)の重量を計測し、その計測値を制御器11に順次出力し、一方、制御器11は、上記計測値が予め設定された目標重量になると、制御弁9を開状態から閉状態に状態変化させる。この結果、坩堝Bには目標重量に対応する液体ナトリウムmlが収容される。
【0043】
ここで、制御器11は、例えば重量計10から入力される計測値が所定の設定重量(<目標重量)に到達すると制御弁9の開度を段階的に小さくし、さらに計測値が目標重量になると制御弁9を完全に閉状態にすることにより、目標重量に対応する液体ナトリウムmlをより正確に坩堝Bに収容させる。
【0044】
このような本実施形態によれば、加熱保温部15(加熱手段)によって、固体ナトリウムslが溶融し、かつ、ナトリウム化合物が溶融しない温度にろ過容器1内の固体ナトリウムslを加熱することにより、ろ過容器1のろ過機能によって固形物であるナトリウム化合物を液体ナトリウムmlから選択的に除去することができる。したがって、本実施形態によれば、固体ナトリウムの精製に要するコスト(初期コスト及びランニングコスト)を従来よりも大幅に低減させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、ろ過容器1に加えて、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6、供給口フィルタ8及び14コールドトラップを使用して、液体ナトリウムmlに混入する可能性があるナトリウム化合物やこれ以外の不純物を除去するので、液体ナトリウムmlの純度を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、ろ過容器1、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6、供給口フィルタ8及び14コールドトラップをナトリウムよりも酸化性の高い物質から形成されることによって、液体ナトリウムmlに混入する酸素をより確実に除去することができる。
【0047】
さらに、本実施形態によれば、制御器11が重量計10の計測値に基づいて制御弁9の開度を調節するので、目標重量に対応する液体ナトリウムmlを坩堝Bに確実に供給することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、ろ過容器1、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6及び供給口フィルタ8を設けたが、本発明はこれに限定されない。固体ナトリウムslが溶融した液体ナトリウムmlに混じり込むナトリウム化合物は、初段のろ過容器1によって実質的に問題のないレベルまで除去することが可能である。したがって、ろ過容器1の後段に位置する第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6及び供給口フィルタ8を省略してもよい。なお、後段の第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6及び供給口フィルタ8のうち最も需要なものは、初段のろ過容器1で除去できなかったナトリウム化合物及び液体ナトリウムmlの通過経路で混じり込む可能性のある固形物を除去する観点から、最終段に設けられた供給口フィルタ8である。
【0049】
(2)上記実施形態では、ろ過容器1、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6及び供給口フィルタ8のろ過性能を何れも同等としたが、本発明はこれに限定されない。液体ナトリウムmlの通過経路においてより下流側に位置するフィルタのろ過性能を高くしてもよい。例えばろ過容器1、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6、供給口フィルタ8の順で透過孔(ろ孔)の径を順次小さくすることにより、上記下流側に位置するフィルタのろ過性能を順次高くすることができる。このように各フィルタのろ過性能を設定することにより、ナトリウム化合物をより確実かつ精度良く除去することが可能である。
【0050】
(3)上記実施形態では、ナトリウム化合物(固形物)以外の不純物を除去するためにコールドトラップ14を設けたが、本発明はこれに限定されない。コールドトラップ14は、固体ナトリウムslに初期的に含まれる不純物の量等に応じて適宜設ければよい。
【0051】
また、上記実施形態では、ろ過容器1、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6、供給口フィルタ8及びコールドトラップ14の5つを備えているが、ろ過容器1、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6及び供給口フィルタ8を省略して、コールドトラップ14のみを用いて液体ナトリウムmlに含まれるナトリウム化合物を除去するようにしてもよい。このような場合には、ろ過容器1を介さずに原料受入口2aから液体ナトリウムmlを投入する投入手段によって受入タンク2に液体ナトリウムmlを投入する。
【0052】
(4)上記実施形態では、受入タンク2を底部に第1の排出口2bを設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば図2に示すように、第1の排出口2bが第1の受入口2cに対向する側部に設けられた受入タンク2Aを採用してもよい。このような受入タンク2Aによれば、第1の受入口2cに戻された液体ナトリウムmlに含まれたナトリウム化合物を受入タンク2Aの底部に沈殿させることができるので、上記実施形態の受入タンク2よりもナトリウム化合物(固形物)の除去性能を向上させることができる。また、同様の理由によって、第2の排出口3b及び第3の排出口3cのうちの少なくとも1つが第2の受入口3aに対向する側部に設けられた供給タンク3を採用してもよい。
【0053】
(5)上記実施形態では、ろ過容器1内の固体ナトリウムslを溶融させる一方、当該固体ナトリウムslに含まれるナトリウム化合物を溶融させない温度に固体ナトリウムslを加熱する加熱手段として加熱保温部15を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば図3(a)に示すように、所定温度に加熱したアルゴン(Ar)ガス等の不活性ガスを受入タンク2の上部に設けたガス噴出口2dからろ過容器1内の固体ナトリウムslに上方から吹き付けるガス噴出部17Aを加熱手段としてもよい。なお、この場合、上記不活性ガスを受入タンク2に設けたガス回収口2eから受入タンク2外に回収するガス回収部17Bを設けることが好ましい。
【0054】
(6)また、例えば図3(b)に示すように、ろ過容器1に巻回された電気ヒータ17C(例えばニクロム線)にヒータ電源17Dから加熱用電流を供給する加熱手段を採用してもよい。このような加熱手段では、ろ過容器1内の固体ナトリウムslが電気ヒータ17Cの発熱によってろ過容器1と共に加熱される。
【0055】
(7)また、例えば図3(c)に示すように、先端部がろ過容器1の底部に接触する第1の電極17Eと、先端部がろ過容器1の上部に接触する第2の電極17Fと、これら第1、第2の電極17E,17F間に加熱用電流を供給する加熱用電源17Gとを加熱手段として採用してもよい。このような加熱手段では、加熱用電流によってろ過容器1が発熱し、この発熱によってろ過容器1内の固体ナトリウムslが加熱溶融する。なお、この場合には、ろ過容器1に直接通電するので、ろ過容器1を受入タンク2から電気的に絶縁するために、ゴムパッキン等の絶縁材を介してろ過容器1を受入タンク2に取り付けることが好ましい。
【0056】
(8)さらに、例えば図3(d)に示すように、先端部が固体ナトリウムslにそれぞれ接触する第3、第4の電極17H,17Iを設け、これら第3、第4の電極17H,17I間に加熱用電源17Gから加熱用電流を供給する加熱手段を採用してもよい。この場合には、第3の電極17Hと第4の電極17Iとの間に加熱用電流が専ら流れるので、上述した絶縁材は不要である。
【0057】
(9)例えば図4に示すような固体ナトリウムslの溶融状態を確認するための確認手段をさらに設けてもよい。すなわち、図4(a)に示すように、受入タンク2の上部からろ過容器1内の固体ナトリウムslに対して進退自在に設けた確認棒18Aを確認手段として採用してもよい。このような確認手段によれば、作業者が確認棒18Aを固体ナトリウムslに向けて前進させた際の感触によって固体ナトリウムslの溶融状態を確認することが可能である。なお、この場合、確認棒18Aと受入タンク2との摺動部分にシール部材18Bを設けて受入タンク2の密閉性を確保することが好ましい。
【0058】
(10)また、例えば図4(b)に示すように、ろ過容器1内に収容される固体ナトリウムslが目視可能なように受入タンク2に設けられたのぞき窓18Cを確認手段として採用してもよい。また、このようなのぞき窓18Cの変形例として、例えば図4(c)に示すように、ろ過容器1を上方から視認可能なように受入タンク2に設けると共にろ過容器1の上方に反射鏡18Dを設け、当該反射鏡18Dに写るろ過容器1内の固体ナトリウムslの映像に基づいて固体ナトリウムslの溶融状態を確認してもよい。また、図4(c)に示すように、上述した反射鏡18Dに代えて、ろ過容器1内の固体ナトリウムslを撮像する監視カメラ18Eと当該監視カメラ18Eが撮像した映像を表示する表示部18Fとを設け、当該表示部18Fに表示される固体ナトリウムslの映像に基づいて固体ナトリウムslの溶融状態を確認してもよい。
【0059】
(11)上記実施形態では、加熱保温部15による固体ナトリウムslを単純に加熱することによって液体ナトリウムmlからナトリウム化合物をろ過する、つまりろ過容器1内の液体ナトリウムmlを自重によってろ過容器1の複数の透過孔(ろ孔)を通過させて下方に滴下させることによってナトリウム化合物をろ過するが、本発明はこれに限定されない。例えば図5に示すように、液体ナトリウムmlがろ過容器1の透過孔(ろ孔)を透過し易くするために、ろ過容器1内の液体ナトリウムmlを押圧する押圧手段を備えてもよい。
【0060】
すなわち、図5(a)に示すように、上述した確認棒18Aの先端部に平板を水平状態に取り付けた押圧具19Aを押圧手段として採用してもよい。このような押圧具19Aによれば、作業者が確認棒18Aを操作することによって上記平板でろ過容器1内の液体ナトリウムmlを押圧するので、液体ナトリウムmlをろ過容器1の透過孔(ろ孔)を強制的に通過させて滴下させることができる。
【0061】
(12)また、図5(b)に示すように、上述したガス噴出部17Aを押圧手段として採用してもよい。このようなガス噴出部17A(押圧手段)によれば、ろ過容器1内の液体ナトリウムmlに上方から所定の流速で不活性ガスを吹き付けることにより液体ナトリウムmlを下方に押圧する。なお、この場合には、ろ過容器1の上部領域に被膜等を施すことにより閉塞部(透過孔が目詰まり状態の部分)を形成し、不活性ガスの押圧力を液体ナトリウムmlに効果的に作用させることが好ましい。
【0062】
(13)上記実施形態では、底部が平坦な受入タンク2を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば図6に示すように、底部が第1の排出口2bに向けて緩やかに傾斜した形状(漏斗形状)の受入タンク2Bを採用してもよい。このような受入タンク2Bを採用することにより、ナトリウム化合物を受入タンク2Bの底部に沈殿させるのではなく、ナトリウム化合物を第1の排出口2bから積極的に排出して後段のフィルタ等によって除去することができる。なお、この場合には、第1の排出口2bを第1の受入口2cからできるだけ離すことが好ましい。
【0063】
(14)上記実施形態では、本実施形態における第1のタンクである受入タンク2に液体ナトリウムmlを投入し、第2のタンクである供給タンク3から液体ナトリウムmlを坩堝Bに供給したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1のタンクを供給タンク3と擦ると共に、第2のタンクを受入タンク2とするようにしてもよい。つまり、第2のタンクである受入タンク2に液体ナトリウムmlを投入し、受入タンク2から第1のタンクである供給タンク3にコールドトラップ14を通過させた液体ナトリウムmlを供給する。そして、コールドトラップ14によってナトリウム化合物が除去された液体ナトリウムmlを供給タンク3から坩堝Bに供給する。この結果、コールドトラップ14を通過した液体ナトリウムmlを坩堝Bに供給できるので、坩堝Bに供給される液体ナトリウムmlに混じり込むナトリウム化合物をより低減させることが可能になる。
【0064】
(15)上記実施形態では、受入タンク2と供給タンク3との2つのタンクにより本実施形態における貯留手段を構成したが、液体ナトリウムmlを貯留するタンクを1つにしてもよい。例えば、1つにしたタンクには、液体ナトリウムmlを排出する第1の排出口と、制御弁9が接続され、坩堝Bに液体ナトリウムmlを排出するもう一方の第2の排出口と、液体ナトリウムmlを受け入れる第1の受入口と、ろ過容器1または投入手段によって投入された液体ナトリウムmlを受け入れるもう一方の第2の受入口とを設ける。そして、第1の排出口と第1の受入口とを循環パイプにより接続し、循環ポンプ(電磁ポンプや機械式ポンプ)によって第1の排出口から排出された液体ナトリウムmlを第1の受入口に戻す。そして、コールドトラップ14を上記循環パイプ12において循環ポンプ13の後段に設けることにより、コールドトラップ14を用いて液体ナトリウムmlに含まれるナトリウム化合物を除去するようする。
【0065】
なお、タンクにおいて、第1の排出口及び第2の排出口のうちの少なくとも1つが第1の受入口及び第2の受入口のうちの少なくとも1つに対向する側部に設けられるようにしてもよい。また、本発明では、受入タンク2(第1のタンク)、供給タンク3(第2のタンク)及び上記タンクのうちのいずれかが、それぞれに設置された受入口と排出口とが対向する側部に配置されているようになっていてもよい。
【0066】
(16)上記実施形態において、コールドトラップ14は、ナトリウムに対する耐腐食性材料あるいはナトリウムよりも酸化性の高い物質から形成されていてもよい。また、本発明では、ろ過容器1、第1中間フィルタ5、第2中間フィルタ6及び供給口フィルタ8及びコールドトラップ14のうちのいずれかが、ナトリウムよりも酸化性の高い物質から形成されているようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
A…ナトリウム供給装置、B…坩堝、1…ろ過容器(除去手段)、2,2A,2B…受入タンク(第1のタンク)、2a…原料受入口(第3の受入口)、2b…第1の排出口、2c…第1の受入口、2d…ガス噴出口、2e…ガス回収口、3…供給タンク(第2のタンク)、3a…第2の受入口、3b…第2の排出口、3c…第3の排出口、4…接続パイプ、5…第1中間フィルタ、6…第2中間フィルタ、7…供給パイプ、8…供給口フィルタ、9…制御弁、10…重量計、11…制御器、12…循環パイプ、13…循環ポンプ、14…コールドトラップ、15…加熱保温部(加熱手段)、16…チャンバ、17A…ガス噴出部、17B…ガス回収部、17C…電気ヒータ、17D…ヒータ電源、17E…第1の電極、17F…第2の電極、17G…加熱用電源、17H…第3の電極、17I…第4の電極、18A…確認棒、18B…シール部材、18C…のぞき窓、18D…反射鏡、18E…監視カメラ、18F…表示部、19A…押圧具、sl…固体ナトリウム、ml…液体ナトリウム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料である固体ナトリウムを収容すると共に、液体ナトリウムについて通過自在かつ前記固体ナトリウムに含まれるナトリウム化合物については除去する除去手段と、
前記固体ナトリウムが溶融し、かつ、前記ナトリウム化合物が溶融しない温度に前記固体ナトリウムを加熱する加熱手段と、
前記除去手段から流れ出た前記液体ナトリウムを外部容器に供給する供給手段と、
前記除去手段、前記加熱手段及び供給手段を非酸化性雰囲気に保持するチャンバと
を具備することを特徴とするナトリウム供給装置。
【請求項2】
前記供給手段は、前記液体ナトリウムについて通過自在かつナトリウム化合物については除去する機能を有する除去体を備えることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム供給装置。
【請求項3】
液体ナトリウムを貯留すると共に前記液体ナトリウムを排出する排出口が設けられた貯留手段と、
前記液体ナトリウムを前記貯留手段に投入する投入手段と、
前記排出口に連通し、前記貯留手段から排出される前記液体ナトリウムを外部容器に供給する供給手段と、
前記貯留手段に貯留される前記液体ナトリウムに含まれるナトリウム化合物を除去するコールドトラップと、
前記貯留手段、前記投入手段、前記供給手段及び前記コールドトラップを非酸化性雰囲気に保持するチャンバと
を具備することを特徴とするナトリウム供給装置。
【請求項4】
前記貯留手段は、前記液体ナトリウムを貯留すると共に当該液体ナトリウムを排出する第1の排出口及び前記液体ナトリウムを受け入れる第1の受入口が設けられた第1のタンクと、前記第1の排出口から流れ出た前記液体ナトリウムを貯留すると共に当該液体ナトリウムを排出する第2の排出口及び前記第1の排出口から流れ出た前記液体ナトリウムを受け入れる第2の受入口が設けられた第2のタンクとを有し、前記第1のタンク及び第2のタンクのいずれか一方に設けられた第3の排出口に前記供給手段が連通され、他方に設けられた第3の受入口を介して前記投入手段により前記液体ナトリウムが投入され、
前記第2の排出口から排出された前記液体ナトリウムを前記第1の受入口に戻し、前記チャンバに保持される循環手段をさらに備え、
前記コールドトラップは、該循環手段における前記液体ナトリウムの通過経路に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のナトリウム供給装置。
【請求項5】
前記第1のタンクは、前記第2のタンクよりも高い位置に配置され、
前記第1のタンクから前記第2のタンクへは重力を用いて前記液体ナトリウムを流動させ、
前記第2のタンクから前記第1のタンクへは前記循環手段において発生させた圧力を用いて前記液体ナトリウムを流動させることを特徴とする請求項4に記載のナトリウム供給装置。
【請求項6】
前記貯留手段は、前記液体ナトリウムを貯留すると共に当該液体ナトリウムを排出する第1の排出口、前記供給手段に連通して、前記液体ナトリウムを排出するもう一方の第2の排出口、前記液体ナトリウムを受け入れる第1の受入口及び前記投入手段から投入された前記液体ナトリウムを受け入れるもう一方の第2の受入口が設けられたタンクを有し、
前記第1の排出口から排出された前記液体ナトリウムを前記第1の受入口に戻し、前記チャンバに保持される循環手段をさらに備え、
前記コールドトラップは、該循環手段における前記液体ナトリウムの通過経路に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のナトリウム供給装置。
【請求項7】
前記第1のタンク、第2のタンク及び前記タンクのいずれかは、それぞれに設置された受入口と排出口とが対向する側部に配置されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のナトリウム供給装置。
【請求項8】
前記除去手段、前記除去体及び前記コールドトラップのうちのいずれかは、ナトリウムよりも酸化性の高い物質から形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のナトリウム供給装置。
【請求項9】
前記供給手段は、前記液体ナトリウムの通過流量を調節する制御弁を備え、
前記外部容器の重量を計測する重量計と、
該重量計の計測値に基づいて前記外部容器内に目標重量の前記液体ナトリウムが供給されるように前記制御弁を制御する制御器と
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のナトリウム供給装置。
【請求項10】
非酸化性雰囲気において、原料である固体ナトリウムが溶融し、かつ、当該固体ナトリウムに含まれるナトリウム化合物が溶融しない温度に前記固体ナトリウムを加熱する溶融工程と、
前記非酸化性雰囲気において、液体ナトリウムを通過させる一方、前記ナトリウム化合物を除去する除去工程と、
前記非酸化性雰囲気において、前記除去工程を経た前記液体ナトリウムを外部容器に供給する供給工程と、
を具備することを特徴とするナトリウム供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−112550(P2013−112550A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258924(P2011−258924)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】