説明

ナトリウム利尿ペプチドを経皮送達する器具および方法

ナトリウム利尿ペプチドを経皮送達する器具および方法は、角質層を通して下に位置する表皮層または表皮層と真皮層の中に至る穴を開けるに適した多数の微小突起(またはこれらの配列)を含有する微小突起部材を有する送達システムを含んで成る。1つの態様では、ナトリウム利尿ペプチドを前記微小突起部材に付着させる生体適合性コーティングの中に入れておく。さらなる態様では、本送達システムにナトリウム利尿ペプチド含有ヒドロゲル配合物を含める。代替態様では、ナトリウム利尿ペプチドをコーティングおよびヒドロゲル配合物の両方に入れる。更に別の態様では、ナトリウム利尿ペプチドを固体状態の配合物の中に入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に薬剤経皮送達システムおよび方法に関する。より詳細には、本発明は、ナトリウム利尿ペプチドを経皮送達する器具および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国では急性心不全が年齢が65歳以上の患者が入院する最も一般的な単一の原因であることが良く知られている。実際、急性心不全の結果として1年当たりに約100万人が入院している。
【0003】
安静時または活動が最小限の時に呼吸困難(即ち息切れ)を起こす急性うっ血性心不全にかかっている患者を治療する時にヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)の組換え型であるネシリチドがしばしば用いられる。この示したペプチドであるhBNPは天然に存在する蛋白質であり、これは、心臓が急性心不全に反応して分泌される蛋白質であり、例えば心臓が血液を充分に輸送することができなくなった時にhBNPが産生される。
【0004】
ナトリウム利尿ペプチドhBNPおよび他の脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびそれらを製造するに適した組換え技術の詳細が特許文献1および2に示されている。この示した特許は明らかに引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0005】
最近の研究により、hBNPはいろいろな追加的生理学的(または治療的)効果、例えば血管の弛緩(即ち血管拡張)、ナトリウム排泄(即ちナトリウム利尿)および流体排泄(即ち利尿)の増加および神経ホルモン(即ちエンドテリン、アルドステロン、アンギオテンシンIIなど)の減少などの効果を示すことが示された。この示した生理学的効果(または作用)の全部が血管、心臓および腎臓と共同して働くことで心臓にかかる流体の負荷を低下させ、それによって、心臓の性能が改善する。
【0006】
最近の研究により、また、BNPがTGF−B媒介型心臓線維芽細胞増殖および心筋線維症の阻止である役割を果たしていることも分かった。追加的証拠により、更に、心筋梗塞後の心臓リモデリングを抑制する能力を有することも示唆されている。
【0007】
また、ネシリチドが利尿および潜在的抗線維化効果を有することで、急性および慢性の腎臓病を取り扱う可能性にも大きな興味が持たれている。BNPに関して行われた歴史的な探究により、長期投与によってESRDに向かう病気の進行を遅らせかつ透析の信頼性の点で潜在的長期利点が得られることが分かった。
【0008】
現在行われているhBNPの投与は静脈内(例えば静脈内注射)、鼻内および口腔粘膜経路のみである。不幸なことに、いろいろな活性薬剤、例えばhBNPなどは、経口投与した時の効力が低い、と言うのは、それらが完全には吸収されないか或は血流の中に入る前に悪影響を受けることで所望の活性を示さないからである。他方、そのような薬剤を血流の中に直接注入すると、その薬剤が投与中に修飾を受けないことが確保されはするが、困難であり、不便であり、痛みを伴いかつ不快な手順であり、その結果としてしばしば患者による受諾が劣ってしまう。
【0009】
従って、経皮送達は、皮下注射または静脈内注射で送達する必要があった活性薬剤、特にhBNPを投与するに適した実行可能な代替である。本明細書で用いる如き用語「経皮」は、皮膚を実質的に切ることも刺すこともなく(例えば手術用ナイフで切ることも皮下注射針を皮膚に刺すこともなく)活性薬剤(例えば治療薬、例えばヒト脳ナトリウム利尿ペプチドなど、または免疫学的活性薬剤、例えばワクチンなど)を皮膚に通して局所的組織または全身的循環系に送達することを指す一般的用語である。従って、経皮薬剤送達には、受動的拡散による皮内、真皮内および表皮内送達ばかりでなく外部エネルギー源、例えば電気(例えばイオン導入)および超音波(例えばホノホレシス)が基になった送達が含まれる。
【0010】
受動的経皮薬剤送達システム(これがより一般的である)には、典型的に、活性薬剤が高濃度で入っている薬剤貯蔵部が備わっている。その貯蔵部は皮膚と接触するに適していて、当該薬剤が皮膚を通して拡散して患者の体組織または血流の中に入り込むことを可能にする。
【0011】
本技術分野で良く知られているように、経皮薬剤流量は皮膚の状態、薬剤分子の大きさおよび物理的/化学的特性、および皮膚を横切る濃度勾配に依存する。数多くの薬剤は皮膚を透過する度合が低いことから、経皮送達の用途は限られている。そのように透過率が低いことは、主に、角質層、即ち脂質二重層に取り囲まれているケラチン繊維(即ちケラチノサイト)で満たされている死亡した平らな細胞で構成されている最外皮膚層に起因する。そのように角質層が比較的低い透過性を示すのは脂質二重層の高度に規則的な構造によるものである。
【0012】
受動的経皮拡散薬剤流量を向上させる1つの一般的方法は、最外皮膚層1層または2層以上に穴を機械的に開けることで皮膚に微細通路を生じさせることを伴う。最外皮膚層に機械的に穴を開けるか或はそれを乱すことで皮膚に入り込む通路を作り出す目的で開発された技術および装置は数多く存在する。その例は特許文献3に開示されている薬剤送達デバイスである。
【0013】
経皮薬剤送達を向上させる目的で皮膚に小さな穴を開ける要素が用いられている他のシステムおよび器具が特許文献4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および22(これらは全部引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0014】
その開示されたシステムおよび器具には、皮膚の最外層(即ち角質層)に穴を開けるいろいろな形状および大きさの穴開け要素が用いられている。前記文献に開示された穴開け要素は、一般に、薄くて平らな部材、例えばパッドまたはシートから垂直に伸びている。ある種のそのようなデバイスの中の穴開け要素は極めて小さく、ある場合には、微小突起の長さは約25−400ミクロンのみでありかつ微小突起の厚みは約5−50ミクロンのみである。経皮薬剤送達が向上するようにそのような小さい穴開け/切込み要素が角質層の中に作り出す微小開口部/微小切込みの大きさは相当して小さい。
【0015】
その開示されたシステムには、典型的に、更に、当該薬剤を保持する貯蔵部およびまた前記薬剤を前記貯蔵部から角質層に通して輸送する送達システム、例えば当該デバイス自身の刃物なども備わっている。そのようなデバイスの一例が特許文献23に開示されており、それには液状薬剤を貯蔵する部分が備わっている。しかしながら、そのような液状薬剤を小さな管状要素に通して皮膚の中に押し込むにはその貯蔵部を圧縮する必要がある。そのようなデバイスの欠点には、加圧可能な液体貯蔵部を加えることに関する複雑さおよび費用が加わることと圧力で押し出す送達システムを存在させる必要があることで複雑になることが含まれる。
【0016】
また、特許文献24(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されているように、送達すべき活性薬剤を物理的貯蔵部の中に入れる代わりにそれで微小突起を被覆することも可能である。それによって、個別の物理的貯蔵部が必要でな
くなりかつ特に貯蔵部用の薬剤配合物も組成物も開発する必要がなくなる。
【0017】
記述したように、hBNPの送達は現在のところ静脈内経路のみで行われている。このように、hBNPばかりでなく他のナトリウム利尿ペプチドの皮内投与を助長する薬剤送達システムを提供することができれば、これは望ましいことである。
【0018】
従って、本発明の1つの目的は、患者へのナトリウム利尿ペプチドの皮内投与をもたらす経皮薬剤送達器具および方法を提供することにある。
【0019】
本発明の別の目的は、容認されるCmaxを伴う迅速なオンセット(on−set)をもたらす経皮薬剤送達器具および方法を提供することにある。
【0020】
本発明の別の目的は、hBNPの生物学的作用を2−6時間の範囲の時間に渡ってもたらす経皮薬剤送達器具および方法を提供することにある。
【0021】
本発明の別の目的は、日に一度または2度用いることが可能な経皮薬剤送達器具および方法を提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、ナトリウム利尿ペプチドが基になっていて患者への皮内送達に関して向上した安定性を示す製剤を提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチド、好適にはhBNPが入っている生体適合性コーティングで覆われている微小突起を含有する経皮薬剤送達器具および方法を提供することにある。
【0024】
本発明の別の目的は、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチド、好適にはhBNPが入っているヒドロゲル配合物を収納するに適したゲルパック(gel pack)を含有する経皮薬剤送達器具および方法を提供することにある。
【0025】
本発明の更に別の目的は、固体状態の形態の少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチド、好適にはhBNPが入っていて送達する前にヒドロゲルで再構成させるに適した経皮薬剤送達器具および方法を提供することにある。
【特許文献1】米国特許第5,114,923号
【特許文献2】米国特許第5,674,710号
【特許文献3】米国特許第3,964,482号
【特許文献4】米国特許第5,879,326号
【特許文献5】米国特許第3,814,097号
【特許文献6】米国特許第5,250,023号
【特許文献7】米国特許第3,964,482号
【特許文献8】再発行番号25,637
【特許文献9】PCT公開番号WO 96/37155
【特許文献10】PCT公開番号WO 96/37256
【特許文献11】PCT公開番号WO 96/17648
【特許文献12】PCT公開番号WO 97/03718
【特許文献13】PCT公開番号WO 98/11937
【特許文献14】PCT公開番号WO 98/00193
【特許文献15】PCT公開番号WO 97/48440
【特許文献16】PCT公開番号WO 97/48441
【特許文献17】PCT公開番号WO 97/48442
【特許文献18】PCT公開番号WO 98/00193
【特許文献19】PCT公開番号WO 99/64580
【特許文献20】PCT公開番号WO 98/28037
【特許文献21】PCT公開番号WO 98/29298
【特許文献22】PCT公開番号WO 98/29365
【特許文献23】WO 93/17754
【特許文献24】米国特許出願番号10/045,842
【発明の開示】
【0026】
発明の要約
この上に示した目的および以下に記述しかつ明らかになるであろう目的に従い、本発明に従ってナトリウム利尿ペプチドを経皮送達する器具および方法は、一般に、角質層を通して下に位置する表皮層または表皮層と真皮層の中に至る穴を開けるに適した多数の微小突起(またはこれらの配列)を含有する微小突起部材(またはアセンブリ)を有する送達システムを含んで成る。1つの態様における微小突起部材は、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている生体適合性コーティングを含有する。別の態様における微小突起部材は、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているヒドロゲル配合物を含有する。更に別の態様における微小突起部材は、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている固体状態の配合物および水和性ヒドロゲル配合物を含有する。
【0027】
本器具および方法は、薬物動態が向上するようにナトリウム利尿ペプチドを皮内投与するものであり、そのような薬物動態には、容認されるCmaxを伴う迅速なオンセットおよびナトリウム利尿ペプチド1種または2種以上が2−6時間に渡って生物学的作用を示すことが含まれる。
【0028】
本発明の1つの態様における微小突起部材は微小突起を少なくとも約10個の微小突起/1cm、より好適には少なくとも約200−2000個の微小突起/1cmの範囲
内の密度で有する。
【0029】
1つの態様では、前記微小突起部材をステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金または同様な生体適合性材料で構成させる。
【0030】
別の態様では、前記微小突起部材を非導電性材料、例えば重合体材料などで構成させる。
【0031】
別法として、前記微小突起部材を非導電性材料、例えばParylene(商標)などまたは疎水性材料、例えばTeflon(商標)、ケイ素または他の低エネルギー材料などで被覆してもよい。
【0032】
固体状の生体適合性コーティングを生じさせる目的で前記微小突起部材に付着させるコーティング配合物には水性および非水性配合物が含まれ得る。本発明の少なくとも1つの他の態様では、そのような配合物1種または2種以上に少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドを含有させて、それを生体適合性担体の中に溶解させるか或は前記担体の中に懸濁させてもよい。
【0033】
そのようなナトリウム利尿ペプチドを、好適には、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型または脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)およびウロジラチン(urodilatins)およびこれらの類似物、活性フラグメント、分解生成物、塩、変異体、簡単な誘導体および組み合わせを包含する系列から選択する。好適な態様では、そのようなナトリウム利尿ペプチドにB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、より好適にはhBNP(1−32)を含める。
【0034】
本発明の1つの態様では、そのようなナトリウム利尿ペプチドが前記コーティング配合物の約1−30重量%の範囲を構成するようにする。
【0035】
好適には、前記コーティング配合物に入れるナトリウム利尿ペプチドの量を約1μg−2000μgの範囲内にする。
【0036】
前記コーティング配合物が示すpHを好適には約pH9未満にする。より好適には、前記コーティング配合物が示すpHを約pH3−pH8の範囲内にする。更により好適には、前記コーティング配合物が示すpHを約pH4−pH6の範囲内にする。
【0037】
本発明の1つの態様では、前記コーティング配合物に少なくとも1種の緩衝剤を含有させる。適切な緩衝剤の例には、これらに限定するものでないが、アスコルビン酸、クエン酸、こはく酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタアクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンまたはこれらの混合物が含まれる。
【0038】
本発明の1つの態様では、前記コーティング配合物に少なくとも1種の界面活性剤を含有させるが、そのような界面活性剤は双性イオン、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であってもよく、それらには、これらに限定するものでないが、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、例えばTween 20およびTween 80など、他のソルビタン誘導体、例えばソルビタンラウレートなど、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4などが含まれる。
【0039】
本発明の1つの態様では、そのような界面活性剤の濃度を前記コーティング配合物の約0.001−2重量%の範囲内にする。
【0040】
本発明のさらなる態様では、前記コーティング配合物に両親媒性を有する少なくとも1種の重合体材料または重合体を含有させるが、それらには、これらに限定するものでないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)ばかりでなくプルロニック(pluronics)が含まれ得る。
【0041】
本発明の1つの態様では、前記コーティング配合に入れる両親媒性を示す重合体の濃度を好適には前記コーティング配合物の約0.01−20重量%の範囲、より好適には約0.03−10重量%の範囲内にする。
【0042】
1つの態様では、前記コーティング配合物に下記の群から選択した親水性重合体を含有させる:ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物および同様な重合体。
【0043】
好適な態様では、前記コーティング配合に入れる親水性重合体の濃度を前記コーティング配合物の約0.01−20重量%の範囲、より好適には約0.03−10重量%の範囲内にする。
【0044】
本発明の別の態様では、前記コーティング配合物に生体適合性担体を含有させるが、そのような担体には、これらに限定するものでないが、ヒトアルブミン、生体工学処理ヒトアルブミン、ポルグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノース、スタキオース、マンニトールおよび同様な糖アルコールが含まれ得る。
【0045】
前記コーティング配合に入れる生体適合性担体の濃度を好適には前記コーティング配合物の約2−70重量%の範囲、より好適には約5−50重量%の範囲内にする。
【0046】
別の態様では、前記コーティング配合物に安定剤を含有させるが、そのような安定剤には、これらに限定するものでないが、非還元糖、多糖または還元糖が含まれ得る。
【0047】
適切な非還元糖には、例えばスクロース、トレハロース、スタキオースおよびラフィノースが含まれる。
【0048】
適切な多糖には、例えばデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンが含まれる。
【0049】
適切な還元糖には、例えば単糖、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなど;および二糖、例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソホロースおよびツラノースなどが含まれる。
【0050】
別の態様では、前記コーティング配合物に血管収縮剤を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタイミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニルエフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物が含まれ得る。最も好適な血管収縮剤には、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンが含まれる。
【0051】
そのような血管収縮剤を用いる場合、それの濃度を好適には前記コーティング配合物の約0.1重量%から10重量%の範囲内にする。
【0052】
本発明の別の態様では、前記コーティング配合物に少なくとも1種の「経路解放性調節剤」を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、浸透圧剤(例えば塩化ナトリウム)、両性イオン化合物(例えばアミノ酸)および抗炎症薬、例えばベータメタゾン21−ホスフェートジナトリウム塩、トリアムシノロンロアセトニド21−ジナトリウムホスフェート、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−ホスフェートジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−ホスフェートジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−スクシネートナトリウム塩、パラメタゾンジナトリウムホスフェートおよびプレドニゾロン21−スクシネートナトリウム塩など、および抗凝血剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAなどが含まれ得る。
【0053】
本発明の更に別の態様では、前記コーティング配合物に可溶化/錯化剤を含有させるが、それには、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンが含まれ得る。最も好適な可溶化/錯化剤には、ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7ベータ−シクロデキストリンが含まれる。
【0054】
そのような可溶化/錯化剤を用いる場合、それの濃度を好適には前記コーティング配合物の約1重量%から20重量%の範囲内にする。
【0055】
本発明の別の態様では、前記コーティング配合物に少なくとも1種の非水性溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキサイド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400などを含有させる。そのような非水性溶媒が前記コーティング配合物を構成する量を好適には約1重量%から50重量%の範囲内にする。
【0056】
前記コーティング配合物が示す粘度を好適には約3センチポイズ以上から約500センチポイズ未満にする。
【0057】
本発明の1つの態様では、前記生体適合性コーティングの厚みを前記微小突起の表面から測定して25ミクロン未満、より好適には10ミクロン未満にする。
【0058】
本発明のさらなる態様における送達システムはヒドロゲル配合物を含有する。そのヒドロゲル配合物を好適にはゲルパックの中に入れる。
【0059】
本発明の少なくとも1つの態様では、前記ヒドロゲル配合物に少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドを含有させる。
【0060】
好適な態様では、前記ナトリウム利尿ペプチドが前記ヒドロゲル配合物を構成する量を約0.1−2重量%の範囲内にする。
【0061】
前記ヒドロゲル配合物が示すpHを好適には約pH6未満にする。より好適には、前記ヒドロゲル配合物が示すpHを約pH3−pH6の範囲内にする。更により好適には、前記ヒドロゲル配合物が示すpHを約pH4−pH6の範囲内にする。
【0062】
本発明の1つの態様では、前記ヒドロゲル配合物に上述した緩衝剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0063】
前記ヒドロゲル配合物に好適には水が基になっていて高分子量の重合体網状組織を有するヒドロゲルを含める。
【0064】
本発明の好適な態様における重合体網状組織には、これらに限定するものでないが、ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)およびプルロニックが含まれる。
【0065】
前記ヒドロゲル配合物に好適には少なくとも1種の界面活性剤を含有させるが、そのような界面活性剤は双性イオン、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であってもよい。
【0066】
本発明の1つの態様における界面活性剤には、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、例えばTween 20およびTween 80など、他のソルビタン誘導体、例えばソルビタンラウレートなど、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4などが含まれる。
【0067】
別の態様では、前記ヒドロゲル配合物に両親媒性を有する重合体材料または重合体を含有させるが、それらには、これらに限定するものでないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)ばかりでなくプルロニックが含まれ得る。
【0068】
本発明のさらなる態様では、前記ヒドロゲル配合物に可溶化/錯化剤を含有させるが、それには、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンが含まれ得る。最も好適な可溶化/錯化剤には、ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7ベータ−シクロデキストリンが含まれる。
【0069】
本発明の別の態様では、前記ヒドロゲル配合物に少なくとも1種の非水性溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキサイドおよびポリエチレングリコール400などを含有させる。そのような非水性溶媒が前記ヒドロゲル配合物を構成する量を好適には約1重量%から50重量%の範囲内にする。
【0070】
本発明のさらなる態様では、前記ヒドロゲル配合物に少なくとも1種の経路解放性調節剤を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、浸透圧剤(例えば塩化ナトリウム)、双性イオン化合物(例えばアミノ酸)および抗炎症薬、例えばベータメタゾン21−ホスフェートジナトリウム塩、トリアムシノロンロ、アセトニド21−ジナトリウムホスフェート、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−ホスフェートジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−ホスフェートジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−スクシネートナトリウム塩、パラメタゾンジナトリウムホスフェートおよびプレドニゾロン21−スクシネートナトリウム塩など、および抗凝血剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウムおよびEDTAなどが含まれ得る。
【0071】
本発明の更に別の態様では、前記ヒドロゲル配合物に少なくとも1種の血管収縮剤を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダンゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニルエフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンおよびこれらの混合物が含まれ得る。
【0072】
本発明の更に別の態様に従い、ナトリウム利尿ペプチドを送達する送達システムに、上部表面および下部表面を有する微小突起部材、前記微小突起部材を貫く多数の開口部および前記微小突起部材の下部表面から突き出ている多数の微小突起を含める。前記微小突起部材に、更に、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチド、好適にはhBNP(1−32)が入っている固体状態の配合物およびヒドロゲル配合物も含める。
【0073】
1つの態様では、前記固体状態の配合物を前記微小突起部材の上部表面の近くに位置さ
せる。別の態様では、前記固体状態の配合物を前記微小突起部材の下部表面近くに位置させる。
【0074】
本発明の1つの態様では、前記ヒドロゲル配合物にナトリウム利尿ペプチドを含有させない、即ちそれを単に水和機構にする。
【0075】
1つの態様では、前記固体状態の配合物が固体状膜を構成するようにする。そのような固体状膜を、好適には、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチド、重合体材料、例えばヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)およびプルロニックなど、可塑剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなど、界面活性剤、例えばTween 20およびTween 80など、および揮発性溶媒、例えば水、イソプロパノール、メタノールおよびエタノールなどで構成させた液状配合物を成形することで生じさせる。
【0076】
1つの態様では、前記固体状膜を生じさせる目的で用いる液状配合物に、ナトリウム利尿ペプチドを0.1−20重量%、重合体を5−40重量%、可塑剤を5−40重量%、界面活性剤を0−2重量%含有させそしてその残りに揮発性溶媒を含める。
【0077】
より好適には、前記固体状膜を生じさせる目的で用いる液状配合物に入れるナトリウム利尿ペプチドの濃度を約0.1−2重量%の範囲内の濃度にする。
【0078】
本発明のさらなる態様では、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出から成る群から選択した方法を用いて前記固体状態の配合物を生じさせる。現在のところ好適な方法は噴霧凍結乾燥である。この示した態様では、適切な溶媒を用いて約15分以内、好適には約1分以内に生体適合性コーティングが再構成されるようにそれを適合させる。そのようなコーティング配合物にまた好適には抗酸化剤も含有させる。
【0079】
そのような固体状態の配合物を生じさせる目的で用いる液状配合物のpHを好適には約pH6未満にする。そのような固体状態の配合物を生じさせる目的で用いる配合物のpHをより好適には約pH3−pH6の範囲内にする。そのような固体状態の配合物を生じさせる目的で用いる液状配合物のpHを更により好適には約pH4−pH6の範囲内にする。
【0080】
別の態様では、そのような固体状態の配合物を生じさせる目的で用いる液状配合物に安定剤を含有させるが、そのような安定剤には、これらに限定するものでないが、非還元糖、多糖または還元糖が含まれ得る。
【0081】
適切な非還元糖には、例えばスクロース、トレハロース、スタキオースおよびラフィノースが含まれる。
【0082】
適切な多糖には、例えばデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンが含まれる。
【0083】
適切な還元糖には、例えば単糖、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなど;および二糖、例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソホロースおよびツラノースなどが含まれる。
【0084】
本発明の1つの態様では、そのような固体状態の配合物を生じさせる目的で用いる液状配合物に上述した緩衝剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0085】
本発明の別の態様では、そのような固体状態の配合物を生じさせる目的で用いる液状配合物に上述した錯化/可溶化剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0086】
本発明のさらなる態様では、そのような固体状態の配合物を生じさせる目的で用いる液状配合物に上述した血管収縮剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0087】
本発明のさらなる態様では、そのような固体状態の配合物を生じさせる目的で用いる液状配合物に上述した経路血管解放性調節剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0088】
本発明の1つの態様に従ってナトリウム利尿ペプチドを患者に送達する方法は、下記の段階:(i)多数の微小突起および少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている生体適合性コーティングを含有する微小突起部材を有する送達システムを準備し、(ii)作動装置(actuator)を用いて前記微小突起が前記皮膚に穴を開けそして前記薬剤が入っているコーティングが体液で溶解してそれが皮膚の中に放出されるように前記コーティングを有する微小突起部材を前記患者の皮膚に貼り付ける段階を包含する。
【0089】
前記コーティングを有する微小突起部材を前記皮膚の上に置いたままにする持続期間を好適には5秒から24時間にする。所望の着用時間の後、前記微小突起部材を前記皮膚から取り外す。
【0090】
本発明のさらなる態様に従ってナトリウム利尿ペプチドを患者に送達する方法は、下記の段階:(i)微小突起部材および少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているヒドロゲル配合物を含有するゲルパックを有する送達システムを準備し、(ii)作動装置を用いて前記微小突起が角質層に穴を開けることで前記角質層の中に多数の微小開口部が形成されるように前記微小突起部材を前記患者の皮膚に貼り付け、そして(iii)前記ヒドロゲル配合物が前記微小突起によって生じた微小開口部の中に入り込んで移行するように前記ゲルパックを前記貼り付けた微小突起部材の上部に置く段階を包含する。
【0091】
前記微小突起部材−ゲルパックアセンブリを前記皮膚の上に置いたままにする持続期間を好適には5分から24時間にする。所望の着用時間の後、前記微小突起部材−ゲルパックアセンブリを前記皮膚から取り外す。
【0092】
この示した態様のさらなる面では、前記微小突起部材に薬剤含有生体適合性コーティングを含有させそして前記ヒドロゲル配合物にナトリウム利尿ペプチドを含有させない、即ちそれを単に水和機構にする。
【0093】
本発明の別の態様に従ってナトリウム利尿ペプチドを送達する方法は、下記の段階:(i)微小突起部材および少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているヒドロゲル配合物を含有するゲルパックを有する送達システムを準備し、(ii)作動装置を用いて前記微小突起が角質層に穴を開けることで前記角質層の中に多数の微小開口部が形成されるように前記微小突起部材を前記患者の皮膚に貼り付け、(iii)前記微小突起部材を前記患者の皮膚から取り外し、そして(iv)前記ヒドロゲル配合物が前記微小突起によって生じた微小開口部の中に入り込んで移行するように前記ゲルパックをその前以て処置しておいた皮膚の上部に置く段階を包含する。
【0094】
前記ゲルパックを前記皮膚の上に置いたままにする持続期間を好適には5分から24時間にする。所望の着用時間の後、前記ゲルパックを前記皮膚から取り外す。
【0095】
本発明のさらなる態様に従ってナトリウム利尿ペプチドを送達する方法は、下記の段階:(i)微小突起部材、ヒドロゲル配合物および少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている固体状態の配合物を有する送達システムを準備し、そして(ii)作動装置を用いて前記微小突起が角質層に穴を開け、前記ヒドロゲル配合物が水和しそして前記薬剤配合物が前記固体状態の配合物から放出されて前記薬剤配合物が前記微小突起によって生じた前記角質層の中の微小開口部の中に入り込んで移行するように前記微小突起部材を前記患者の皮膚に貼り付ける段階を包含する。
【0096】
前記微小突起部材を前記皮膚の上に置いたままにする持続期間を好適には5秒から24時間にする。所望の着用時間の後、前記微小突起部材を前記皮膚から取り外す。
【0097】
本発明の更に別の態様に従い、前記ヒドロゲル配合物およびコーティングが前記微小突起によって生じた前記角質層の中の微小開口部の中に入り込んで移行するように、ナトリウム利尿ペプチド含有生体適合性コーティングを有する微小突起部材を患者の皮膚に貼り付けた後、ナトリウム利尿ペプチド含有ヒドロゲル配合物が入っているゲルパックをその貼り付けた微小突起部材の上部に置く。前記微小突起部材−ゲルパックアセンブリを前記皮膚の上に置いたままにする持続期間を好適には5分から24時間、より好適には1−6時間にする。所望の着用時間の後、前記微小突起部材およびゲルパックを取り外す。
【0098】
上述したナトリウム利尿ペプチド方法を用いて皮内送達するナトリウム利尿ペプチドの量を好適には約10−2000μg/日の範囲、より好適には約10−1000μg/日の範囲内にする。
【0099】
添付図に示す如き以下の本発明の好適な態様のより詳細な説明からさらなる特徴および利点が明らかになるであろうが、本図の中の同様な参照文字は一般に本図全体に渡って同じ部分または要素を指す。
発明の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本発明を詳細に例示する材料にも方法にも構造にも限定するものでなく、それらは勿論多様であり得ると理解されるべきである。このように、本明細書に記述する材料および方法に類似または相当するいろいろな材料および方法を本発明の実施で用いることができるが、好適な材料および方法を本明細書に記述する。
【0100】
また、本明細書で用いる用語は単に本発明の個々の態様を記述する目的で用いる用語であり、限定するとして解釈されるべきでないと理解されるべきである。
【0101】
特に明記しない限り、本明細書で用いる技術用語および科学用語の全部に本発明が関係する技術分野の通常の技術を有する技術者が一般的に理解する意味と同じ意味を持たせる。
【0102】
更に、本明細書で引用する出版物、特許および特許出願は全部、本明細書の上で引用したか或は以下で引用するかに拘わらず、引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0103】
最後に、本明細書および添付請求の範囲で用いる如き単数形「a」、「an」および「the」は、内容で明らかに他の様式であることを示さない限り、複数対象を包含する。このように、例えば「あるペプチド」を言及する場合、これは2種以上のそのようなペプチドを包含し、「ある微小突起」を言及する場合、これは2個以上のそのような微小突起を包含する、等々。
【0104】
定義
本明細書で用いる如き用語「経皮」は、局所的または全身治療の目的である薬剤を皮膚の中および/または皮膚に通して送達することを意味する。従って、用語「経皮」は、ある薬剤、例えばペプチドなどを受動的拡散ばかりでなくエネルギーを基にした拡散送達、例えばイオン導入およびホノホレシスなどで皮膚の中および/または皮膚に通して皮内、真皮内および表皮内に送達することを意味しかつそれらを包含する。
【0105】
本明細書で用いる如き用語「経皮流量」は経皮送達の速度を意味する。
【0106】
従って、本明細書で用いる如き用語「ナトリウム利尿ペプチド」は、ナトリウム利尿活性を示すペプチドを意味する。従って、用語「ナトリウム利尿ペプチド」には、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、ウロジラチンおよびこれらに類似したペプチド、およびこれらの類似物、活性フラグメント、分解生成物、塩、変異体、誘導体および組み合わせが含まれる。
【0107】
本明細書で用いる如き用語「脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)」は、米国特許第5,674,710号の図1に示されているDNAの有効部分とハイブリッド形成する能力を有するDNAがコードしかつナトリウム利尿活性を示すアミノ酸配列を指す。
【0108】
本明細書で用いる如き用語「ネシリチド」および「hBNP」は、ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド、それに類似したペプチドおよびそれらの活性フラグメントの組換え形態を指す。従って、この用語には、これらに限定するものでないが、hBNP(1−32)が含まれる。
【0109】
本明細書で用いる如き用語「共送達」は、当該ナトリウム利尿ペプチドを送達する前、当該ナトリウム利尿ペプチドが経皮流入する前および経皮流入している間、当該ナトリウム利尿ペプチドが経皮流入している間、当該ナトリウム利尿ペプチドが経皮流入している間および後および/または当該ナトリウム利尿ペプチドが経皮流入した後に補充用薬剤1種または2種以上を経皮投与することを意味する。加うるに、2種以上のナトリウム利尿ペプチドをコーティングおよび/またはヒドロゲル配合物の中に配合する結果として前記ナトリウム利尿ペプチドを共送達することも可能である。
【0110】
2種以上のナトリウム利尿ペプチドを本発明の薬剤源、配合物および/またはコーティングおよび/または固体状態の配合物の中に組み込んでもよくかつ用語「ナトリウム利尿ペプチド」の使用は決してそのようなペプチドを2種類以上用いることを排除するものでないと理解されるべきである。
【0111】
本明細書で用いる如き用語「微小突起」は、生きている動物、特に哺乳動物、より詳細にはヒトの皮膚の角質層に穴を開けるか或はそれに切込みを入れることで下に位置する表皮層または表皮層と真皮層の中に至らせるに適した穴開け要素を指す。
【0112】
本発明の1つの態様における穴開け要素の突起長は1000ミクロン未満である。さらなる態様における穴開け要素の突起長は500ミクロン未満、より好適には250ミクロ
ン未満である。更に、その微小突起の幅(図1に「W」で表示)は約25−500ミクロンの範囲内でありかつ厚みは約10−100ミクロンの範囲内である。その形成させる微小突起の形状はいろいろであり、例えば針、刃、ピン、パンチおよびこれらの組み合わせなどであってもよい。
【0113】
本明細書で用いる如き用語「微小突起部材」は、一般に、角質層に穴を開けるように整列して配列している多数の微小突起を含んで成る微小突起配列を示す。薄いシートから多数の微小突起をエッチングまたは打ち抜きで生じさせそしてその微小突起を前記シートの面から折り曲げるか或は曲げることで図1に示す如き形態を生じさせることで微小突起部材の成形を行うことができる。また、他の公知様式、例えば米国特許第6,050,988号(引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されているように、片1枚または2枚以上の各々の縁に沿って微小突起を有する片を1枚以上生じさせることなどで微小突起部材の成形を行うことも可能である。
【0114】
本明細書で用いる如き用語「コーティング配合物」は、前記微小突起および/またはこれらの配列を被覆する目的で用いる自由流れする組成物または混合物を意味しかつそれを包含することを意味する。それにナトリウム利尿ペプチドを入れる場合、それを当該配合物の中に入れて溶液または懸濁液の状態にしてもよい。
【0115】
本明細書で用いる如き用語「生体適合性コーティング」および「固体状コーティング」は、実質的に固体状態になった「コーティング配合物」を意味しかつそれを包含することを意味する。
【0116】
本明細書で用いる如き用語「固体状態の配合物」は、成形で生じさせた固体状膜、および噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出で生じさせた粉末またはケーキ(cakes)を意味しかつそれらを包含することを意味する。
【0117】
この上に示したように、本発明は、一般に、角質層に穴を開けて下に位置する表皮層または表皮層と真皮層の中に至らせるに適した多数の微小突起(またはこれらの配列)を有する微小突起部材(またはシステム)を含有する送達システムを包含する。そのような微小突起部材(またはシステム)に少なくとも1種の薬剤源または薬剤送達用媒体(即ち生体適合性コーティング、ヒドロゲル配合物、固体状態の配合物)を含有させる。
【0118】
本明細書に詳細に考察するように、そのような微小突起システムは、向上した薬物動態を伴ってナトリウム利尿ペプチドを皮内投与するものである。そのような向上した薬物動態には、容認されるCmaxを伴う迅速なオンセットおよびナトリウム利尿ペプチドが2−6時間の範囲内の時間に渡って持続的生物学的作用を示すことが含まれる。
【0119】
本発明のさらなる利点は、前記配合物をこれに入っているナトリウム利尿ペプチド1種または2種以上の酸化を実質的に抑制する送達用媒体として用いることができかつそのような送達用媒体をもたらすことができる点にある。このように、薬剤含有媒体の安定性が有意に向上する。
【0120】
ここに図1を参照して、本発明に関連して用いるに適した微小突起部材30の1つの態様を示す。図1に示すように、微小突起部材30は、多数の微小突起34を有する微小突起配列32を含有する。微小突起34は好適にはシートから実質的に90゜の角度で伸びており、この示す態様では、それは開口部38を含有する。
【0121】
本発明に従い、シート36を送達用パッチ(シート36用の支持体40を含有)の中に組み込むことができ、それに追加的に前記パッチを皮膚に接着させるための接着剤16を
含有させることも可能である(図3を参照)。この態様では、薄い金属シート36から多数の微小突起34をエッチングまたは打ち抜きで生じさせそしてその微小突起34をシート36の面から曲げることで微小突起34の成形を実施する。
【0122】
本発明の1つの態様では、微小突起部材30の微小突起密度を少なくとも約10個の微小突起/cm、より好適には少なくとも約200−2000個の微小突起/cmの範囲内にする。当該薬剤が通り抜ける開口部の数(単位面積当たり)を好適には少なくとも約10個の開口部/cmから約2000個未満の開口部/cmにする。
【0123】
示したように、微小突起34の突起長を好適には1000ミクロン未満にする。1つの態様では、微小突起34の突起長を500ミクロン未満、より好適には250ミクロン未満にする。また、微小突起34の幅を好適には約25−500ミクロンの範囲内にしかつ厚みを約10−100ミクロンの範囲内にする。
【0124】
さらなる態様では、微小突起部材30が示す生体適合性を向上させる(例えば、ある被験体の皮膚に貼り付けた後の出血および刺激を最小限にする)目的で、微小突起34の長さを好適には145μm未満、より好適には約50−145μmの範囲内、更により好適には約70−140μmの範囲内にする。更に、微小突起部材30が配列を構成するようにし、微小突起の密度を好適には100個以上の微小突起/cm、より好適には約200−300個の微小突起/cmの範囲内にする。
【0125】
微小突起部材30はいろいろな金属、例えばステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金または同様な生体適合性材料などで製造可能である。
【0126】
本発明に従い、また、微小突起部材30を非導電性材料、例えば重合体などで構成させることも可能である。
【0127】
別法として、微小突起部材を非導電性材料、例えばParylene(商標)などまたは疎水性材料、例えばTeflon(商標)、ケイ素または他の低エネルギー材料などで被覆してもよい。示した疎水性材料および関連した基礎(例えばフォトレジスト)層は米国出願番号60/484,142(これは引用することによって本明細書に組み入れられる)に示されている。
【0128】
本発明に関連して使用可能な微小突起部材には、これらに限定するものでないが、米国特許第6,083,196号、6,050,988号および6,091,975号(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている部材が含まれる。
【0129】
本発明に関連して使用可能な他の微小突起部材には、米国特許第5,879,326号(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている部材のように、ケイ素チップエッチング技術を用いてケイ素をエッチングすることで生じさせた部材またはエッチングしておいた微小鋳型を用いてプラスチックを成形することで生じさせた部材が含まれる。
【0130】
本発明に従い、宿主に投与すべきナトリウム利尿ペプチドを微小突起部材30の上に位置させる生体適合性コーティングの中に入れてもよいか或はヒドロゲル配合物の中に入れてもよいか或は前記生体適合性コーティングおよびヒドロゲル配合物の両方の中に入れてもよい。
【0131】
微小突起部材に薬剤含有固体状態配合物を含有させるさらなる態様では、ナトリウム利
尿ペプチドを生体適合性コーティング、ヒドロゲル配合物または固体状態配合物または三者全部の送達用媒体の中に入れてもよい。
【0132】
本発明に従い、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドを上述した送達用媒体の中の少なくとも1つの中に入れる。そのような送達用媒体、従って微小突起システムで用いるナトリウム利尿ペプチドの量は、そのナトリウム利尿ペプチドを所望の結果の達成に治療的に有効な量で送達するに必要な量であろう。実際、それは個々のナトリウム利尿ペプチド、送達部位、病気のひどさおよび所望の治療効果に応じて幅広く多様であろう。
【0133】
1つの態様では、前記微小突起部材に生体適合性コーティングを含有させて、それに少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチド、好適にはhBNP(1−32)を含有させる。全身治療の場合、皮膚の角質層に穴を開けると、そのナトリウム利尿ペプチド含有コーティングが体液(細胞内液および細胞外液、例えば間質液など)で溶解して皮膚の中に放出(即ちボーラス送達)される。皮内送達されるナトリウム利尿ペプチドの総量が好適には約10−2000μg/日、より好適には10−1000μg/日の範囲内になるようにする。
【0134】
ここに図2を参照して、生体適合性コーティング35を含有する微小突起34を有する微小突起部材31を示す。本発明に従い、コーティング35が各微小突起34をある程度または完全に覆うようにしてもよい。例えば、コーティング35は微小突起34を覆う乾燥した模様塗りの状態であってもよい。また、コーティング35を付着させる時期は微小突起34を生じさせる前または後であってもよい。
【0135】
本発明に従い、いろいろな公知方法を用いてコーティング35を微小突起34に付着させることができる。好適には、微小突起部材31または微小突起34が皮膚に穴を開ける部分(例えば先端39)のみにコーティングを付着させる。
【0136】
そのような1つの被覆方法には浸漬被覆が含まれる。浸漬被覆は、微小突起34の一部または全体をコーティング液の中に浸漬することで微小突起を被覆する手段であるとして記述可能である。部分浸漬技術を用いると、コーティング35を微小突起34の先端39のみに限定することが可能になる。
【0137】
さらなる被覆方法にはローラー塗りが含まれ、この方法では、コーティング35を同様に微小突起34の先端部39に限定するローラー塗り機構を用いる。そのようなローラー塗り方法は米国出願番号10/099,064(公開番号2002/0132054)(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている。その示した出願に詳細に考察されているように、その開示されたローラー塗り方法では、皮膚に穴を開けている間に微小突起34から容易に取り除かれることのない滑らかなコーティングがもたらされる。
【0138】
本発明に従い、微小突起34に、更に、そのような体積のコーティング35を収納しそして/またはその体積を大きくするに適した手段、例えば間隙(示していない)、溝(示していない)、表面の不規則さ(示していない)または同様な修飾を含めることも可能であり、そのような手段によって表面積を大きくすることで、より多い量のコーティングを付着させることができる。
【0139】
本発明の範囲内で使用可能なさらなる被覆方法には吹き付け塗装が含まれる。本発明に従い、吹き付け塗装はコーティング組成物のエーロゾル懸濁液を生じさせることを包含する。1つの態様では、液滴の大きさが約10から200ピコリットルのエーロゾル懸濁液を微小突起10の上に噴霧した後、乾燥させる。
【0140】
また、微小突起34の被覆で模様塗りを用いることも可能である。微小突起の表面に付着させる液体の位置を決める分配装置を用いて模様コーティングを付着させることができる。その付着させる液体の量を好適には0.1から20ナノリットル/微小突起の範囲内にする。液体を精密計量する適切な分配装置の例が米国特許第5,916,524号、5,743,960号、5,741,554号および5,738,728号(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0141】
また、公知の電磁弁分配装置と任意の流体動力手段と位置決め手段が用いられているインクジェット技術(これの制御は一般に電場を用いて行われる)を用いて微小突起被覆用配合物または溶液を付着させることも可能である。本発明の模様コーティングを付着させる時に印刷産業の他の液体分配技術または本技術分野で公知の同様な液体分配技術を使用することも可能である。
【0142】
ここに図7および8を参照して、貯蔵および貼り付けでは、米国出願番号09/976,762(公開番号2002/0091357)(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に詳細に記述されているように、好適には、接着性タブ6を用いて微小突起部材(例えば30または31)を固定用環40の中に吊るす。
【0143】
前記微小突起部材を前記固定用環40の中に入れた後、その微小突起部材を患者の皮膚に貼り付ける。好適には、衝撃貼り付け装置45、例えば図8に示しかつ同時係属中の米国出願番号09/976,978(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述した如き貼り付け装置を用いて微小突起部材を患者の皮膚に貼り付ける。
【0144】
示したように、本発明の1つの態様に従い、固体状の生体適合性コーティングを生じさせる目的で微小突起部材30に付着させるコーティング配合物には、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドを入れておいた水性および非水性配合物が含まれ得る。本発明に従い、ナトリウム利尿ペプチドを生体適合性担体の中に溶解させるか或は前記担体の中に懸濁させてもよい。
【0145】
好適な態様では、脳ナトリウム利尿ペプチドにヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を含めるが、それにはhBNP(1−32)およびこれの類似物、塩、変異体、活性フラグメントおよび簡単な誘導体が含まれる。
【0146】
本発明の1つの態様では、前記ナトリウム利尿ペプチドが当該コーティング配合物を構成する量を約1−30重量%の範囲内にする。
【0147】
1つの態様では、当該コーティング配合物に入れるナトリウム利尿ペプチドの量を好適には約1−2000μgの範囲内にする。
【0148】
ここに図10を参照して、4種類の塩基性pKa(Arg、Lys、CysおよびTyr)および3種類の酸性pKa(His、AspおよびGlu)を示すペプチドであるhBNP(1−32)が示すと予測される電荷プロファイルを示す。図10に示すように、前記ペプチドはpHが11.5の時に正味ゼロの電荷を示す。この点をまた等電点またはpIとも呼ぶ。hBNP(1−32)が示すpIは非常に高いことから、中性種はたいていはpH>8の時に存在すると予測する。このpH範囲の時、前記ペプチドは溶液から沈澱すると予測する。
【0149】
従って、好適な態様では、前記コーティング配合物のpHを約pH9未満にする。より
好適には、前記コーティング配合物のpHを約pH3−pH8の範囲内にする。更により好適には、前記コーティング配合物のpHを約pH4−pH6の範囲内にする。
【0150】
本発明の1つの態様では、前記コーティング配合物に上述した緩衝剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0151】
本発明の1つの態様では、前記コーティング配合物に少なくとも1種の界面活性剤を含有させる。本発明に従い、そのような界面活性剤1種または2種以上は双性イオン、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であってもよい。適切な界面活性剤の例には、これらに限定するものでないが、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、例えばTween 20およびTween 80など、他のソルビタン誘導体、例えばソルビタンラウレートなど、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4などが含まれる。最も好適な界面活性剤にはTween 20、Tween 80およびSDSが含まれる。
【0152】
本発明の1つの態様では、前記界面活性剤の濃度を当該コーティング配合物の約0.001−2重量%の範囲内にする。
【0153】
本発明のさらなる態様では、前記コーティング配合物に両親媒性を有する少なくとも1種の重合体材料または重合体を含有させる。この示した重合体の例には、これらに限定するものでないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)ばかりでなくプルロニックが含まれる。
【0154】
本発明の1つの態様では、前記両親媒性を示す重合体の濃度を当該コーティング配合物の好適には約0.01−20重量%の範囲、より好適には約0.03−10重量%の範囲内にする。更により好適には前記重合体の濃度を当該コーティング配合物の約0.1−5重量%の範囲内にする。
【0155】
本発明に従い、前記コーティング配合物に更に親水性重合体を含有させてもよい。そのような親水性重合体を好適には下記の群:ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物および同様な重合体から選択する。本技術分野で良く知られているように、その示した重合体は粘度を高くする。
【0156】
前記コーティング配合に入れる親水性重合体の濃度を前記コーティング配合物の好適には約0.01−20重量%の範囲、より好適には約0.03−10重量%の範囲内にする。
【0157】
本発明に従い、前記コーティング配合物に更に生体適合性担体、例えば同時係属中の米国出願番号10/127,108(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている如き担体を含有させてもよい。適切な生体適合性担体の例には、これらに限定するものでないが、ヒトアルブミン、生体工学処理ヒトアルブミン、ポルグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースが含まれる。
【0158】
前記コーティング配合物に入れる生体適合性担体の濃度を好適には前記コーティング配合物の約2−70重量%の範囲、より好適には約5−50重量%の範囲内にする。
【0159】
さらなる態様では、前記コーティング配合物に少なくとも1種の安定剤を含有させるが、そのような安定剤には、これらに限定するものでないが、非還元糖、多糖または還元糖が含まれ得る。
【0160】
適切な非還元糖には、例えばスクロース、トレハロース、スタキオースまたはラフィノースが含まれる。
【0161】
適切な多糖には、例えばデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンが含まれる。
【0162】
適切な還元糖には、例えば単糖、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなど;および二糖、例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソホロースおよびツラノースなどが含まれる。
【0163】
前記コーティング配合物、従って本発明の生体適合性コーティングに、更に、血管収縮剤、例えば同時係属中の米国出願番号10/674,626(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている如き血管収縮剤を含有させてもよい。その示した同時係属中の出願に示されているように、前記微小突起物部材を貼り付けている間および貼り付けた後の出血を制御する目的で血管収縮剤を用いる。好適な血管収縮剤には、これらに限定するものでないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタイミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニルエフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物が含まれる。最も好適な血管収縮剤には、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンが含まれる。
【0164】
本分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、前記微小突起部材または配列を貼り付けた後に起こり得る出血を防止しかつ貼り付け部位の所の血流を低下させそして皮膚部位から循環系への吸収速度を低下させてナトリウム利尿ペプチドが示す薬物動態を長引かせる目的で血管収縮剤を前記コーティング配合物、従って本発明の固体状生体適合性コーティング(または以下に考察するヒドロゲル配合物または固体状態の配合物)に添加するのが特に有効である。
【0165】
そのような血管収縮剤を用いる場合、それの濃度を好適には前記コーティング配合物の約0.1重量%から10重量%の範囲内にする。
【0166】
本発明の更に別の態様では、前記コーティング配合物に少なくとも1種の「経路解放性調節剤」、例えば同時係属中の米国出願番号09/950,436(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている如きそれを含有させる。そ
の示した同時係属中の出願に示されているように、経路解放性調節剤は、皮膚の自然な治癒過程を防止または最小限にすることで前記微小突起部材配列によって角質層の中に生じさせた経路または微小開口部が塞がらないようにする。経路解放性調節剤の例には、これらに限定するものでないが、浸透圧剤(例えば塩化ナトリウム)および双性イオン化合物(例えばアミノ酸)が含まれる。
【0167】
前記同時係属中の出願に定義されている如き用語「経路解放性調節剤」には、更に、抗炎症薬、例えばベータメタゾン21−ホスフェートジナトリウム塩、トリアムシノロンロアセトニド21−ジナトリウムホスフェート、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−ホスフェートジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−ホスフェートジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−スクシネートナトリウム塩、パラメタゾンジナトリウムホスフェートおよびプレドニゾロン21−スクシネートナトリウム塩など、および抗凝血剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストリン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAなども含まれる。
【0168】
本発明の更に別の態様では、前記コーティング配合物に可溶化/錯化剤を含有させるが、それには、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンが含まれ得る。最も好適な可溶化/錯化剤には、ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7ベータ−シクロデキストリンが含まれる。
【0169】
そのような可溶化/錯化剤を用いる場合、それの濃度を好適には前記コーティング配合物の約1重量%から20重量%の範囲内にする。
【0170】
本発明の別の態様では、前記コーティング配合物に少なくとも1種の非水性溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキサイド、グリセリン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびポリエチレングリコール400などを含有させる。そのような非水性溶媒の濃度を好適には前記コーティング配合物の約1重量%から50重量%の範囲内にする。
【0171】
また、他の公知の配合アジュバントを前記コーティング配合物に添加することも可能であるが、但しそれらが当該コーティング配合物が示す必要な溶解性および粘度特性および乾燥コーティングの物理的一体性に悪影響を及ぼさないことを条件とする。
【0172】
前記コーティング配合物が示す粘度を好適には約3センチポイズ以上から約500センチポイズ未満にする。
【0173】
本発明の1つの態様では、前記コーティングの厚みを前記微小突起の表面から測定して25ミクロン未満、より好適には10ミクロン未満にする。
【0174】
所望のコーティング厚はいくつかの要因に依存するが、そのような要因には、要求される投薬量、従って、その投薬量を送達するに必要なコーティング厚、シート単位面積当たりの微小突起の密度、コーティング組成物の粘度および濃度および選択する被覆方法が含まれる。
【0175】
本発明に従い、コーティング配合物を微小突起34に付着させた後、そのコーティング配合物をいろいろな手段で乾燥させてもよい。本発明の好適な態様では、その被覆した微小突起部材30を周囲の部屋条件下で乾燥させる。しかしながら、その微小突起に塗布したコーティング配合物を乾燥させる目的でいろいろな温度および湿度レベルを用いることができる。加うるに、その被覆した部材を加熱するか、真空下または乾燥剤の上に貯蔵するか、凍結乾燥させるか、フリーズドライするか、或はコーティングから残存する水を除去する目的で用いられる同様な技術で乾燥させてもよい。
【0176】
ここに図6を参照して、本発明の範囲内で使用可能なさらなる微小突起(または送達)システム(一般的に「80」で表示)を示す。図6に示すように、システム80にはゲルパック62および微小突起アセンブリ70(微小突起部材、例えば図1に示した微小突起部材30などを有する)が含まれている。
【0177】
ここに図5を参照して、微小突起アセンブリ70には支持用膜環72および同様な微小突起配列32が含まれている。前記微小突起アセンブリに更に皮膚接着用環74も含める。
【0178】
ここに図4を参照して、ゲルパック62には、ヒドロゲル配合物68を前以て決めた量で収納するに適した中心に位置する貯蔵部または開口部66を有するハウジングまたは環64が含まれている。図4に示すように、環64には、更に、環64の外側の平らな表面の上に位置する支持部材65も含まれている。その支持部材65は好適にはヒドロゲル配合物を透過しない。
【0179】
好適な態様では、前記ゲルパック6に、更に、通常の接着剤によってゲルパック環64の外側表面に接着する剥離可能な剥離ライナー69も含める。以下に詳細に記述するように、ゲルパック62をその貼り付けた(またははめ込んだ)微小突起アセンブリ70に取り付ける前に剥離ライナー69を剥がす。
【0180】
その示したゲルパック62および微小突起アセンブリ70ばかりでなく本発明の範囲内で使用可能なそれらの追加的態様のさらなる詳細が同時係属中の出願番号10/971,430(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に示されている。
【0181】
この上に示したように、本発明の少なくとも1つの態様では、前記ヒドロゲル配合物に少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドを含有させる。本発明の代替態様では、前記ヒドロゲル配合物にナトリウム利尿ペプチドを含有させない、即ちそれを単に水和機構にする。
【0182】
本発明に従い、前記ヒドロゲル配合物にナトリウム利尿ペプチドを含有させない場合、そのナトリウム利尿ペプチドを、この上に記述したように、微小突起配列32の上のコーティングの中に入れるか、或は固体状態の配合物、例えばPCT公開番号WO 98/28037(これも同様に引用することによって全体が本明細書に組み入れら)に開示されている配合物の中に入れるか、或は微小突起配列32の皮膚側、例えば示した同時係属中の出願番号10/971,430に開示されているように位置させるか、或は配列32の上表面に位置させる。
【0183】
本発明のヒドロゲル配合物に好適には水が基になったヒドロゲルを含める。ヒドロゲルは水含有量が高くかつ生体適合性であることから好適な配合物である。
【0184】
本技術分野で良く知られているように、ヒドロゲルは水中で膨潤する高分子量の重合体網状組織である。適切な重合体網状組織の例には、これらに限定するものでないが、デキストラン、ヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)およびプルロニックが含まれる。最も好適な重合体材料はセルロース誘導体である。そのような重合体はいろいろな平均分子量を示すいろいろなグレードとして入手可能であり、従って、いろいろな流動特性を示す。
【0185】
そのような重合体材料の濃度を好適には前記ヒドロゲル配合物の約0.5−40重量%の範囲内にする。
【0186】
本発明のヒドロゲル配合物は、好適には、この配合物が充分な湿潤特性を示すことを確保するに充分な表面活性を示すが、これは、この配合物と微小突起配列および皮膚および場合により固体状態の配合物の間の最適な接触を確立しようとする時に重要である。
【0187】
本発明に従い、湿潤剤、例えば界面活性剤または両親媒性を示す重合体材料などをヒドロゲル配合物に混合することで充分な湿潤特性を達成する。場合により、湿潤剤をまた固体状態の配合物に混合することも可能である。
【0188】
本発明に従い、そのような界面活性剤1種または2種以上は双性イオン、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であってもよい。適切な界面活性剤の例には、これらに限定するものでないが、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、例えばTween 20およびTween 80など、他のソルビタン誘導体、例えばソルビタンラウレートなど、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4などが含まれる。最も好適な界面活性剤にはTween 20、Tween 80およびSDSが含まれる。
【0189】
適切な重合体の例には、これらに限定するものでないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチル澱粉、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)ばかりでなくプルロニックおよびデキストランが含まれる。
【0190】
そのような界面活性剤の濃度を前記ヒドロゲル配合物の好適には約0.001−2重量%の範囲内にする。両親媒性を示す重合体の濃度を前記ヒドロゲル配合物の好適には約0.01−20重量%の範囲内にする。
【0191】
本分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、その示した湿潤剤は個別または組み合わせて使用可能である。
【0192】
本発明のさらなる態様では、前記ヒドロゲル配合物に可溶化/錯化剤を含有させるが、それには、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、グルコシル−ベータ−シクロデキストリン、マルトシル−ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ガンマ−シクロデ
キストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンが含まれ得る。ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルベータ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7ベータ−シクロデキストリンが最も好適である。
【0193】
本発明の別の態様では、前記ヒドロゲル配合物に少なくとも1種の非水性溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ジメチルスルホキサイド、グリセリンおよびポリエチレングリコール400などを含有させる。そのような非水性溶媒の濃度を前記ヒドロゲル配合物の好適には約1重量%から50重量%の範囲内にする。
【0194】
本発明に従い、前記ヒドロゲル配合物にも同様に少なくとも1種の経路解放性調節剤、例えば同時係属中の米国出願番号09/950,436に開示されている如きそれを含有させる。この上に示したように、経路解放性調節剤には、これらに限定するものでないが、浸透圧剤(例えば塩化ナトリウム)、双性イオン化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症薬、例えばベータメタゾン21−ホスフェートジナトリウム塩、トリアムシノロンロアセトニド21−ジナトリウムホスフェート、塩酸ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン21−ホスフェートジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−ホスフェートジナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−スクシネートナトリウム塩、パラメタゾンジナトリウムホスフェートおよびプレドニゾロン21−スクシネートナトリウム塩など、および抗凝血剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストラン硫酸ナトリウムおよびEDTAなどが含まれ得る。
【0195】
前記ヒドロゲル配合物に、更に、少なくとも1種の血管収縮剤を含有させることも可能である。適切な血管収縮剤には、これらに限定するものでないが、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オリンプレシン、オキシメタゾリン、フェニルエフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンおよびこれらの混合物が含まれ得る。
【0196】
本発明のヒドロゲル配合物は、この配合物をゲルパック62の中に入れることができかつそれの一体性が貼り付け過程中に保持されるに充分な粘度を示すが、それは、微小突起アセンブリの開口部の中を通って皮膚経路の中に流れ込むことができるほどの流動性を示す。
【0197】
ニュートン特性を示すヒドロゲル配合物の場合、このヒドロゲル配合物が示す粘度の範囲を好適には25℃で測定して約2−300ポイズ(P)にする。せん断で粘度が低下するヒドロゲル配合物の場合には、粘度を25℃で測定して好適にはせん断速度が667/秒および2667/秒の時の粘度がそれぞれ1.5−30Pまたは0.5から10Pの範囲内になるようにする。ダイラタント配合物の場合には粘度を25℃で測定してせん断速度が667/秒の時の粘度が好適には約1.5−30Pの範囲内になるようにする。
【0198】
示したように、本発明の少なくとも1つの態様では、前記ヒドロゲル配合物に少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドを含有させる。本発明に従い、前記ヒドロゲル配合物に
ナトリウム利尿ペプチドを含有させる場合、そのナトリウム利尿ペプチドを過飽和または飽和未満の濃度で存在させてもよい。
【0199】
本発明の1つの態様では、そのようなナトリウム利尿ペプチドの濃度を好適には前記ヒドロゲル配合物の少なくとも0.1−2重量%の範囲内にする。
【0200】
皮内送達するナトリウム利尿ペプチドの量を好適には約10−2000μg/日、より好適には約10−1000μg/日の範囲内にする。
【0201】
本発明の更に別の態様に従ってナトリウム利尿ペプチドを送達するための微小突起システムは、(i)上部表面と下部表面を有していて微小突起部材の下部表面から突き出ている多数の微小突起および微小突起部材を貫く多数の開口部を有する微小突起部材、(ii)ヒドロゲル配合物を含有するゲルパックおよび(iii)少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている固体状態の配合物を含んで成る。この示したシステムの詳細が同時係属中の出願番号60/514,433(これは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に示されている。
【0202】
本発明の1つの態様に従い、前記固体状態の配合物を前記微小突起部材の上部表面に近接して位置させる。別の態様では、前記固体状態の配合物を前記微小突起部材の下部表面に近接して位置させる。
【0203】
好適な態様では、前記ヒドロゲル配合物にナトリウム利尿ペプチドを含有させない、従ってそれを水和用媒体として機能させる。
【0204】
1つの態様における固体状態の配合物は、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチド、高分子量材料、例えばヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)およびプルロニックなど、可塑剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなど、界面活性剤、例えばTween 20およびTween 80など、および揮発性溶媒、例えば水、イソプロパノール、メタノールおよびエタノールなどを含有させておいた液状の配合物を成形することで生じさせた固体状膜である。
【0205】
1つの態様では、そのような固体状膜を生じさせる目的で用いる液状配合物にナトリウム利尿ペプチドを0.1−20重量%、重合体を5−40重量%、可塑剤を5−40重量%、界面活性剤を0−2重量%含有させそしてその残りを揮発性溶媒にする。
【0206】
成形を行った後に溶媒を蒸発させると固体状膜が生じる。
【0207】
そのような固体状膜を生じさせる目的で用いる液状配合物にナトリウム利尿ペプチドを好適には約0.1−2重量%の範囲内の濃度で存在させる。
【0208】
本発明の別の態様における固体状態の配合物は粉末またはケーキ配合物である。噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体処理を用いて適切な配合物を得る。本発明に従うそのような方法を用いて高ペイロード(payload)粉末またはケーキ固体状態配合物を生じさせ、そしてナトリウム利尿ペプチドを経皮送達する前に前記ヒドロゲル配合物を用いてそれに再構成を受けさせる。そのような粉末配合物を好適には再構成が助
長されかつ患者による受諾が改善するように間隙率が比較的高い配合物にするのが適切である。
【0209】
その示した粉末およびケーキ配合物製造方法は非常に効率が良く、それの収率は典型的に約85%である。その上、そのような方法ではTgを下げ、相当して貯蔵寿命を短くする可能性のある可塑剤を用いる必要がない。その示した方法で前記配合物に乾燥または超臨界流体抽出を受けさせる場合、ナトリウム利尿ペプチドの保護に役立たせる目的で、前記配合物に好適にはまた炭水化物、例えば糖または糖アルコールなども含有させる。また好適には、前記配合物に抗酸化剤、例えばメチオニンなども含有させる。具体的な配合物を以下に考察する。
【0210】
噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出を用いると、粒径および分布、粒子形状および形態に関して良好な制御がもたらされる。この示した技術もまた本技術分野で公知である。例えば、非常に価値の有る治療薬の場合に噴霧凍結乾燥方法が理想的である、と言うのは、300mgの如き小さいバッチサイズでも高い収率をもたらすことができるからである。
【0211】
理解されるであろうように、噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥および超臨界流体抽出方法では、この上に考察した微小突起システムの中に容易に組み込み可能なケーキ形態がもたらされる。別法として、そのような方法では粉末形態ももたらされ、それを更に処理してケーキを生じさせる。他の態様では、粉末形態物をヒドロゲルと連通するに適した容器の中に保持する。そのような態様では、好適には、再構成が望まれるまで前記粉末形態物をヒドロゲルから分離しておくための剥離可能な剥離ライナーを含める。
【0212】
本発明の1つの態様における適切な噴霧凍結乾燥方法は、一般に、ナトリウム利尿ペプチドが入っている液状配合物を噴霧して液体窒素に接触させることを伴う。そのように温度を低くすると、その噴霧された液滴がミリ秒の時間スケールで凍結する。そのような凍結方法では非常に微細な氷の結晶がもたらされ、それを後で凍結乾燥させる。この示した技術を用いると粒子内間隙率が高いことで水性媒体中で起こさせる迅速な再構成を可能にする粉末がもたらされる。適切なネシリチド配合物の例を以下に示す。
【0213】
本発明の別の態様における適切な超臨界流体方法は、一般に、ナトリウム利尿ペプチドが入っている液状配合物を溶媒に入れてそれを前記溶媒の超臨界温度および圧力より高い温度および圧力に維持することで結晶化を起こさせることを伴う。その結晶化過程の条件を制御することで所望の粒径および分布、粒子形状および形態を有するナトリウム利尿ペプチド粉末を生じさせることができる。
【0214】
前記固体状態の配合物を生じさせる時に用いる液状配合物のpHを好適には約pH6未満にする。前記固体状態の配合物を生じさせる時に用いる配合物のpHをより好適には約pH3−pH6の範囲内にする。前記固体状態の配合物を生じさせる時に用いる液状配合物のpHを更により好適には約pH4−pH6の範囲内にする。
【0215】
別の態様では、前記固体状態の配合物を生じさせる時に用いる液状配合物に安定剤を含有させるが、それには、これらに限定するものでないが、非還元糖、多糖または還元糖が含まれ得る。
【0216】
適切な非還元糖には、例えばスクロース、トレハロース、スタキオースまたはラフィノースが含まれる。
【0217】
適切な多糖には、例えばデキストラン、可溶澱粉、デキストリンおよびインスリンが含
まれる。
【0218】
適切な還元糖には、例えば単糖、例えばアピオース、アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、ジギトキソース、フコース、ケルシトール、キノボース、ラムノース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、マンノース、タガトースなど;および二糖、例えばプリメベロース、ビシアノース、ルチノース、シラビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、ソホロースおよびツラノースなどが含まれる。
【0219】
本発明の1つの態様では、前記固体状態の配合物を生じさせる時に用いる液状配合物に上述した緩衝剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0220】
本発明の別の態様では、前記固体状態の配合物を生じさせる時に用いる液状配合物に上述した錯化/可溶化剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0221】
本発明のさらなる態様では、前記固体状態の配合物を生じさせる時に用いる液状配合物に上述した血管収縮剤の中の少なくとも1種を含有させる。
【0222】
本発明の1つの態様に従ってナトリウム利尿ペプチドを患者に送達する方法は、下記の段階:(i)多数の微小突起34を有しかつ少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている生体適合性コーティングを含有する微小突起部材31を準備し、そして(ii)作動装置を用いて前記微小突起34が角質層に穴を開けて局所的または全身治療を達成するように前記コーティングを有する微小突起部材31を前記患者の皮膚に貼り付ける段階を包含する。
【0223】
前記コーティングを有する微小突起部材31を前記皮膚の上に置いたままにする持続期間を好適には5秒から24時間にする。所望の着用時間の後、前記微小突起部材31を前記患者の皮膚から取り外す。
【0224】
本発明のさらなる態様に従ってナトリウム利尿ペプチドを患者に経皮送達する方法は、下記の段階:(i)多数の微小突起34を含有する微小突起部材30および少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているヒドロゲル配合物68を含有するゲルパック62を有する微小突起アセンブリ70を準備し、(ii)前記微小突起34が前記患者の角質層に穴を開けることで前記角質層の中に多数の微小開口部が形成されるように前記微小突起部材30を前記患者の皮膚に貼り付け、(iii)剥離ライナー69(用いる場合)をゲルパック62から剥がし、そして(iv)前記ヒドロゲル配合物68がゲルパック62から放出されて微小突起配列32の中の開口部38を通って微小突起34の外側表面から下方に前記微小突起34によって生じた微小開口部の中に入り込んで移行することで局所的または全身治療が達成されるように前記ゲルパック60を前記微小突起部材30の上に置く段階を包含する。
【0225】
前記ゲルパック62を前記患者の皮膚の上に置いたままにする時間を好適には約5分から24時間の範囲内にする。所望の着用時間の後、前記ゲルパック62および微小突起部材30を前記皮膚から取り外す。
【0226】
本発明の1つの態様では、微小突起アセンブリ70に少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている生体適合性コーティングを含有させて、それを微小突起部材31、より好適には微小突起34の上に位置させる。
【0227】
さらなる態様では、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドをヒドロゲル配合物68と微小突起部材31の上に位置させる生体適合性コーティングの両方の中に入れておく。
【0228】
本発明のさらなる態様に従い、微小突起部材30を患者の皮膚に貼り付けた後、取り外す。次に、ゲルパック62から剥離ライナー69(用いる場合)を剥がした後、ゲルパック92をその前以て処置しておいた皮膚の上に置くことで、少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているヒドロゲル配合物68がゲルパック62から放出されて微小突起34によって角質層の中に生じた微小突起を通ることで局所的または全身治療が達成されるようにする。
【0229】
前記ゲルパック62を前記患者の皮膚の上に置いたままにする時間を好適には約5分から24時間の範囲内にする。所望の着用時間の後、前記ゲルパック62を前記皮膚から取り外す。
【0230】
本発明の別の態様に従ってナトリウム利尿ペプチドを患者に送達する方法は、下記の段階:(i)微小突起部材30、ゲルパック62および前記微小突起部材30に近接して(またはそれの上に)位置する固体状態の配合物[前記微小突起部材30は多数の微小突起34を含有し、前記ゲルパック62はヒドロゲル配合物68を含有し、そして前記固体状態の配合物は少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドを含有する]を有する微小突起アセンブリを準備し、(ii)前記微小突起34が前記患者の角質層に穴を開けることで前記角質層の中に多数の微小開口部が形成されるように前記微小突起部材30を前記患者の皮膚に貼り付け、(iii)剥離ライナー69(用いる場合)をゲルパック62から剥がし、そして(iv)前記ヒドロゲル配合物68がゲルパック62から放出されて前記固体状態の配合物そして微小突起配列32の中の開口部38を通って微小突起34の外側表面から下方に前記微小突起34によって生じた微小開口部の中に入り込んで移行することで局所的または全身治療が達成されるように前記ゲルパック60を前記微小突起部材30の上に置く段階を包含する。
【0231】
前記ゲルパック62を前記患者の皮膚の上に置いたままにする時間を好適には約5分から24時間の範囲内にする。所望の着用時間の後、前記ゲルパック62および微小突起部材30を前記皮膚から取り外す。
【0232】
この示した態様の各々に従って皮内送達するナトリウム利尿ペプチドの量(1日当たり)を好適には約10−2000μg/日、より好適には約10−1000μg/日の範囲内にする。
【0233】
本発明に従い、その示した量をいろいろな計画で投与してもよい。例として、その示した量を12−26週間に渡って1週間に1または2回投与してもよいか或は12週間の間に12−24日投与してもよい。
【0234】
本分野の通常の技術を有する技術者は、皮膚バリヤーを通り抜ける薬剤輸送を容易にする目的で本発明をまた幅広く多様なイオン導入または電気輸送システムと協力させて用いることも可能であることを理解するであろう(本発明をそれに関して決して限定するものでないが)。典型的な電気輸送薬剤送達システムが米国特許第5,147,296号、5,080,646号、5,169,382号および5,169,383号(これらの開示は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0235】
用語「電気輸送」は、一般に、益剤、例えば薬剤または薬剤前駆体などが体表面、例えば皮膚、粘膜、爪などを通り抜けるようにすることを指す。この薬剤の輸送を電位をかけることで誘発または向上させるが、そのように電位をかけると結果として電流が流れるこ
とで薬剤が送達されるか或は薬剤の送達が向上するか、或は「逆」電気輸送の場合には、薬剤が採取されるか或は薬剤の採取が向上する。そのように薬剤をヒトの体の中にか或はヒトの体から電気輸送することはいろいろな様式で達成可能である。
【0236】
幅広く用いられている1つの電気輸送方法であるイオン導入は、帯電したイオンの輸送を電気で誘発することを伴う。帯電していないか或は電荷が中性の分子の経皮輸送(例えばグルコースの経皮サンプリング)に関係した別の種類の電気輸送方法である電気浸透は、溶媒を薬剤と一緒に電場の影響下で膜の中を移動させることを伴う。更に別の種類の電気輸送である電気せん孔法は、電気パルスである高電圧のパルスを膜にかけることで生じさせた孔の中に薬剤を通すことを伴う。
【0237】
多くの場合、その示した方法の中の2つ以上をいろいろな度合で同時に実施してもよい。従って、本明細書では用語「電気輸送」を可能な最も幅広い解釈で示し、それに、当該薬剤を実際に輸送する具体的な機構1種または2種以上に関係なく、少なくとも1種の帯電もしくは非帯電薬剤またはこれの混合物の輸送を電気的に誘発または向上させることを包含させる。加うるに、他の輸送向上方法、例えばソノホレシス(sonophoresis)または圧電装置などを本発明に関連して用いることも可能である。
【0238】
本発明を電気輸送、ソノホレシスまたは圧電システムと協力させて用いる場合、この上で説明したように、最初に微小突起アセンブリ70を皮膚に貼り付ける。電気輸送、ソノホレシスまたは圧電システムの一部であるゲルパック62から剥離ライナー69を剥がす。次に、このアセンブリを皮膚鋳型(skin template)の上に置き、追加的に電気輸送、ソノホレシスまたは圧電方法で薬剤輸送を助長することを伴わせて、ヒドロゲル配合物68がゲルパック62から放出されて微小突起34によって角質層の中に生じた微小開口部の中を通ることで、局所的または全身治療が達成されるようにする。本発明をこの上に示したシステムの中の1つと協力させて用いる場合、その皮膚接触全体の面積を約2−120cmの範囲内にしてもよい。
【0239】
[実施例]
以下に示す実施例は本分野の技術者が本発明をより明瞭に理解しかつ実施することができるように示すものである。それらは本発明の範囲を限定するとして見なされるべきでなく、単にそれの代表例として示すとして見なされるべきである。
【実施例1】
【0240】
被覆実行性
簡単なスクロース配合物(即ち、hBNPが20%でスクロースが20%でポリソルベート20が0.05%)を被覆することに関する被覆実行性をパイロットプラント施設でドクターブレードの間隙が約100μmになるように0.621インチのドラムが備わっているコーティング貯蔵槽を有する塗布装置を用いて評価した。前記塗布装置を露点が約1℃に維持されるように設定した除湿層流フード(LAF)の中に入れた。冷媒を前記貯蔵槽の下に位置させた伝熱ブロックの中に循環させることで膜温度を露点より0.5−1℃高い温度に維持した。その冷媒を−3.2℃に冷却した。
【0241】
被覆実行性に関して、前記貯蔵槽にhBNPが20%でスクロースが20%でポリソルベートが0.05%の溶液を500μL加え、そしてドラムの速度を速くして50RPMにした。片を前記膜の上にコーティングの高さが250μmになるように通した。被覆量のレベルおよび線形度を決定する目的で片に被覆を4回からいろいろな回数の範囲で受けさせた。コーティング溶液のサンプルを1時間後に前記貯蔵槽から取り出すことでペプチドに前記塗布装置の持続的せん断応力がかかった時のそれの安定性を評価した。
【0242】
その被覆された配列の各高さの所のサンプルを水に溶解させて微小突起の先端から抽出した後にRP−HPLCで分析した。その分析の結果を図11に示す。
【0243】
また、コーティング溶液も溶液の安定性を測定する目的で被覆実験の前および後そして2−8℃で一晩貯蔵した後にRP−HPLCで分析した。この検定の結果を表Iに示す。
【0244】
【表1】

【0245】
表Iに示すように、前記コーティング溶液は被覆検定全体に渡って良好な安定性を示し、コーティング貯蔵槽の中で1時間に渡って持続的せん断応力を受けた時にも全く劣化の増加を示さなかった。
【0246】
示した被覆後溶液のサンプルにまた光顕微鏡を用いた分析も受けさせた。フィブリル形成の証拠は全く検出されなかった。
【0247】
被覆配列の形態
hBNPが20%でスクロースが20%でポリソルベート20が0.05%の配合物で被覆した配列に走査電子顕微鏡(SEM、Hitachi S−2460N、放出電流60μA、加速電圧16kV)を用いた分析を受けさせた。10、8および6回通すことで被覆したサンプルの画像を図12に示し、それらをそれぞれA、BおよびCと識別する。
【0248】
図12に示すように、それらの画像は先端のコーティングの形態が良好であることを示している。
【実施例2】
【0249】
以下の実施例に、hBNPをオスHGPに経皮、静脈内(IV)および皮下注射した後
の薬物動態および薬力学反応を示す。最初に図13を参照して、hBNPを静脈内(IV)経路で投与したオスHGP(黒ひし形)および薬剤で乾燥被覆しておいた微小突起を用いてhBNPを経皮送達で与えたオスHGP(黒四角)の薬物動態反応を示す。IV投与の場合には、hBNPを燐酸塩緩衝食塩水に入れて調製した後、1kg当たり30μhのhBNPの量で動物に注射した。血漿中のhBNP濃度を注射後t=0、2、15、30、60および180分の時に測定した。経皮投与の場合には、hBNP(31.65%[重量/重量])をスクロース(6.25%[重量/重量])、ポリソルベート20(6=0.10%[重量/重量])および注射用USP水(62%)と一緒に配合した後、それで微小突起配列(2cm)を被覆することで乾燥した薄膜を生じさせた(配列当たり112μgのhBNP)。
【0250】
前記微小突起配列をHGPに60分間貼り付け(1kg当たり〜149μgのhBNP)た後、取り外した。血漿中のhBNP濃度を微小突起貼り付け後t=0、5、15、30、60および180分の時に測定した。図13に示した結果は、免疫検定で測定した平均hBNP濃度(n=5 HGP/グループ)を示している。
【0251】
ここに図14を参照して、被覆微小突起を用いてhBNPを経皮送達で与えたHGPが示した薬物動態(黒四角)および薬力学(黒ひし形)反応を示す。hBNPの配合をこの上に記述した如く実施した。
【0252】
前記微小突起配列をHGPに60分間貼り付け(1kg当たり〜149μgのhBNP)た後、取り外した。血漿を微小突起貼り付け後t=0、5、15、30、60および180分の時に採取して、免疫検定でhBNPおよびcGMPを測定した。図14に示した結果は平均hBNPおよびcGMP濃度(n=5 HGP)を示している。
【0253】
ここに図15を参照して、IVによる投与と微小突起を用いたhBNPの経皮送達の間の薬力学反応の比較を示す。IV経路によるhBNPの投与および微小突起配列によるhBNPの投与ばかりでなく血漿の採取もこの上に記述した如く実施した。
【0254】
図15に示した結果は、免疫検定で測定した平均cGMP濃度(n=5 HGP/グループ)を示している。
【実施例3】
【0255】
再構成時間を評価する目的で5種類の固体状態のhBNP配合物を凍結乾燥および噴霧凍結乾燥方法で調製した。各場合とも再構成用媒体は脱イオン水であり、そして各配合物に添加する量は結果としてhBNPの濃度が100mg/mlになるような量であった。噴霧凍結乾燥させたhBNP粉末または凍結乾燥させたhBNPケーキに脱イオン水を添加すると撹拌を行うことなく、その粉末状のhBNP配合物が溶解した。その再構成の結果を表IIに示す。
【0256】
【表2】

【実施例4】
【0257】
この実施例では、粉末およびケーキ固体状態の配合物が示す貯蔵安定性を評価した。3種類の配合物を調製した後、不活性雰囲気下のガラス瓶の中に入れた。そのガラス瓶に蓋をした後、周囲温度および40℃で2週間に渡って貯蔵することで安定性を測定した。表IIIに示すように、凍結乾燥および噴霧凍結乾燥させた配合物は貯蔵期間に渡って充分な安定性を示す。
【0258】
【表3】

【0259】
本分野の通常の技術を有する技術者が理解するであろうように、本発明は数多くの利点を与える。そのような利点の中には、向上した薬物動態を伴わせてナトリウム利尿ペプチドを皮内投与する器具および方法を提供することがあり、そのような向上した薬物動態には、容認されるCMAXを伴う迅速なオンセットおよびナトリウム利尿ペプチド1種または2種以上が2−6時間に渡って生物学的作用を示すことが含まれる。
【0260】
本発明のさらなる利点は、前記配合物をこれに入っているナトリウム利尿ペプチド1種または2種以上の酸化を実質的に抑制する送達用媒体として用いることができかつそのよ
うな送達用媒体をもたらすことができる点にある。このように、薬剤含有媒体の安定性が有意に向上する。
【0261】
追加的利点には、微小突起部材(即ちパッチ)による投与に伴う便利さおよび許容性のお陰で非経口注射に比べて合併症の危険性が低下しかつ患者による受諾が向上することが含まれる。
【0262】
本発明の器具および方法はまたいろいろな病気を治療する時にも使用可能であり、そのような病気には、これらに限定するものでないが、STEMI(ST上昇心筋梗塞)、CKD(慢性腎疾患)、急性冠症候群(クラスIII/IVの心疾患)、肺高血圧および前子癇(pre−eclampsia)が含まれる。
【0263】
通常の技術者は、本発明をいろいろな用途および条件に適合させる目的で本発明の精神および範囲から逸脱することのない本発明のいろいろな変形および修飾形を成すことができるであろう。このように、そのような変形および修飾形は本請求項の相当物の完全な範囲内に適切かつ公平に入りかつその範囲内に入れることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0264】
【図1】図1は、微小突起部材の一例の一部を示す透視図である。
【図2】図2は、本発明に従う微小突起の上に位置するコーティングを有する図1に示した微小突起部材を示す透視図である。
【図3】図3は、接着性支持体を有する微小突起部材を示す側断面図である。
【図4】図4は、微小突起システムのゲルパックの1つの態様を示す分解透視図である。
【図5】図5は、微小突起システムの微小突起部材の1つの態様を示す分解透視図である。
【図6】図6は、図4に示したゲルパックと図5に示した微小突起部材を含んで成る微小突起アセンブリの1つの態様を示す透視図である。
【図7】図7は、微小突起部材が中に位置する固定具を示す側断面図である。
【図8】図8は、図7に示した固定具を示す透視図である。
【図9】図9は、貼り付け具と固定具を示す分解透視図である。
【図10】図10は、hBNP(1−32)が示した変化プロファイルを示すグラフである。
【図11】図11は、本発明のコーティング配合物中のhBNP含有量を塗布回数の関数として示すグラフである。
【図12】図12に、本発明に従う被覆微小突起配列のSEM画像を示す。
【図13】図13は、本発明に従って経皮送達および静脈内送達した後の血漿中hBNP濃度を比較するグラフである。
【図14】図14は、本発明に従ってhBNPを経皮送達した後の薬物動態および薬力学反応を比較するグラフである。
【図15】図15は、本発明に従ってhBNPを経皮送達および静脈内送達した後の薬力学反応を比較するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウム利尿ペプチドを患者に経皮送達するための送達システムであって、
前記患者の角質層に穴を開けるに適した微小突起を多数有する微小突起部材、および
前記微小突起部材の上に位置していて少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているコーティング配合物から作られた生体適合性コーティング、
を含んで成る送達システム。
【請求項2】
前記コーティングが前記多数の微小突起の中の少なくとも1個の上に位置する請求項1記載の送達システム。
【請求項3】
前記コーティング配合物が水性配合物を含んで成る請求項1記載の送達システム。
【請求項4】
前記コーティング配合物が非水性配合物を含んで成る請求項1記載の送達システム。
【請求項5】
前記ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチドおよびウロジラチンおよびこれらの類似物、活性フラグメント、分解生成物、塩および簡単な誘導体および組み合わせから成る群から選択される請求項1記載の送達システム。
【請求項6】
前記ナトリウム利尿ペプチドがhBNP(1−32)を含んで成る請求項5記載の送達システム。
【請求項7】
前記ナトリウム利尿ペプチドが前記コーティング配合物の約1−30重量%の範囲を構成している請求項1記載の送達システム。
【請求項8】
前記ナトリウム利尿ペプチドが前記生体適合性コーティングの1μg−2000μgの範囲を構成している請求項1記載の送達システム。
【請求項9】
前記コーティング配合物のpHが約pH9未満である請求項1記載の送達システム。
【請求項10】
前記コーティング配合物がアスコルビン酸、クエン酸、こはく酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、燐酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラマル酸、ジメチロプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタアクリル酸、イソクロトン酸、β−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドロアクリル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシンおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の緩衝剤を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項11】
前記コーティング配合物がラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、ソルビタン誘導体、アルコキシル化アルコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項12】
前記コーティング配合物が両親媒性を有する少なくとも1種の重合体材料を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項13】
前記コーティング配合物が下記のヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポリ(ビニル
アルコール)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタアクリレート)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物から成る群から選択される親水性重合体を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項14】
前記コーティング配合物がヒトアルブミン、生体工学処理ヒトアルブミン、ポルグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサン多硫酸、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノース、スタキオース、マンニトールおよび同様な糖アルコールから成る群から選択される生体適合性担体を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項15】
前記コーティング配合物が非還元糖、多糖および還元糖から成る群から選択される安定剤を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項16】
前記コーティング配合物がアミデフリン、カファミノール、シクロペンタイミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダンゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニルエフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびこれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の血管収縮剤を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項17】
前記コーティング配合物が浸透圧性薬剤、両性イオン化合物、抗炎症薬および抗凝血剤から成る群から選択される少なくとも1種の経路解放性調節剤を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項18】
前記コーティング配合物がアルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ガンマ−シクロデキストリン、グルコシル−アルファ−シクロデキストリン、マルトシル−アルファ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−ベータ−シクロデキストリン、メチル−ベータ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−アルファ−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−ガンマ−シクロデキストリンから成る群から選択される可溶化/錯化剤を含有する請求項1記載の送達システム。
【請求項19】
前記コーティング配合物が約3−500センチポイズの範囲内の粘度を有する請求項1記載の送達システム。
【請求項20】
前記生体適合性コーティングの厚みが約25ミクロン未満である請求項1記載の送達システム。
【請求項21】
ナトリウム利尿ペプチドを患者に経皮送達するための送達システムであって、
前記患者の角質層に穴を開けるに適した微小突起を多数有する微小突起部材、および
前記微小突起部材と連通していて少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているヒドロゲル配合物、
を含んで成る送達システム。
【請求項22】
前記ナトリウム利尿ペプチドが前記ヒドロゲル配合物の約0.1−2重量%の範囲を構成している請求項21記載の送達システム。
【請求項23】
前記ナトリウム利尿ペプチドが心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリ
ウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチドおよびウロジラチンおよびこれらの類似物、活性フラグメント、分解生成物、塩および簡単な誘導体および組み合わせから成る群から選択される請求項21記載の送達システム。
【請求項24】
前記ナトリウム利尿ペプチドがhBNP(1−32)を含んで成る請求項21記載の送達システム。
【請求項25】
前記ヒドロゲル配合物のpHがpH6未満である請求項21記載の送達システム。
【請求項26】
前記ヒドロゲル配合物が水が基になっていて高分子量の重合体網状組織を有するヒドロゲルを含んで成る請求項21記載の送達システム。
【請求項27】
前記ヒドロゲル配合物がラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、ソルビタン誘導体およびアルコキシル化アルコールから成る群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含有する請求項21記載の送達システム。
【請求項28】
ナトリウム利尿ペプチドを患者に経皮送達するための送達システムであって、
前記患者の角質層に穴を開けるに適した微小突起を多数有する微小突起部材、
前記微小突起部材に近接して位置する固体状態の配合物、および
前記固体状態の配合物と連通するに適したヒドロゲル配合物、
を含んで成る送達システム。
【請求項29】
前記固体状態の配合物が少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチド、重合体材料、可塑剤、界面活性剤および揮発性溶媒を含んで成る液状配合物を成型することで作られた固体状膜である請求項28記載の送達システム。
【請求項30】
前記液状配合物がナトリウム利尿ペプチドを0.1−20重量%、重合体を5−40重量%、可塑剤を5−40重量%、界面活性剤を0−2重量%含有していて残りが揮発性溶媒を含んで成る請求項29記載の送達システム。
【請求項31】
前記液状配合物に入っている前記ナトリウム利尿ペプチドの濃度が約0.1−2重量%の範囲内である請求項29記載の送達システム。
【請求項32】
前記液状配合物のpHが約pH6未満である請求項28記載の送達システム。
【請求項33】
ナトリウム利尿ペプチドを患者に経皮送達する方法であって、
少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているコーティングが上に位置する微小突起を多数有する微小突起部材を準備し、
前記多数の微小突起が角質層に穴を開けることで前記ナトリウム利尿ペプチドが前記患者に送達されるように前記微小突起部材を前記患者の皮膚部位に貼り付け、そして
前記微小突起部材を前記皮膚部位から取り外す、
段階を含んで成る方法。
【請求項34】
前記微小突起部材を前記皮膚部位に5秒から24時間の範囲の時間貼り付けたままにしておく請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記ナトリウム利尿ペプチドを心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)およびウロジラチ
ンおよびこれらの類似物、活性フラグメント、分解生成物、塩および簡単な誘導体および組み合わせから成る群から選択する請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記ナトリウム利尿ペプチドがhBNP(1−32)を含んで成る請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記ナトリウム利尿ペプチドが前記生体適合性コーティングの約1μg−2000μgの範囲を構成している請求項33記載の方法。
【請求項38】
前記ナトリウム利尿ペプチドの前記送達が皮下送達の薬物動態特性に比べて向上した薬物動態を示す請求項33記載の方法。
【請求項39】
ナトリウム利尿ペプチドを患者に経皮送達する方法であって、
微小突起を多数含有する微小突起部材および少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っているヒドロゲル配合物を含有するゲルパックを有する微小突起アセンブリを準備し、
前記微小突起部材を前記患者の皮膚部位に貼り付けることで前記患者の角質層に多数の微小開口部を生じさせ、
前記ゲルパックを前記微小突起部材の上に置くことで前記ヒドロゲル配合物を前記ゲルパックから放出させそして前記微小突起によって生じた前記微小開口部に通して中に移行させ、そして
前記微小突起部材を前記皮膚部位から取り外す、
段階を含んで成る方法。
【請求項40】
前記ゲルパックが剥離ライナーを含有し、そして前記ゲルパックを前記微小突起部材の上に置く前に前記剥離ライナーを剥がす段階を包含する請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記微小突起部材が少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている生体適合性コーティングを含有する請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記微小突起部材を前記皮膚部位に5分から24時間の範囲の時間貼り付けたままにしておく請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記ナトリウム利尿ペプチドを心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチドおよびウロジラチンおよびこれらの類似物、活性フラグメント、分解生成物、塩および簡単な誘導体および組み合わせから成る群から選択する請求項39記載の方法。
【請求項44】
前記ナトリウム利尿ペプチドがhBNP(1−32)を含んで成る請求項39記載の方法。
【請求項45】
前記ナトリウム利尿ペプチドが前記ヒドロゲル配合物の約0.1−2重量%の範囲を構成している請求項39記載の方法。
【請求項46】
前記ナトリウム利尿ペプチドの前記送達が皮下送達の薬物動態特性に比べて向上した薬物動態を示す請求項39記載の方法。
【請求項47】
ナトリウム利尿ペプチドを患者に経皮送達する方法であって、
微小突起を多数含有しかつ更に少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている生体適合性コーティングも含有する微小突起部材およびヒドロゲル配合物を含有するゲルパ
ックを有する微小突起アセンブリを準備し、
前記微小突起部材を前記患者の皮膚部位に貼り付けることで前記患者の角質層に多数の微小開口部を生じさせ、
前記ゲルパックを前記微小突起部材の上に置くことで前記ヒドロゲル配合物を前記ゲルパックから放出させそして前記微小突起によって生じた前記微小開口部に通して中に移行させ、そして
前記微小突起部材を前記皮膚部位から取り外す、
段階を含んで成る方法。
【請求項48】
前記ゲルパックが剥離ライナーを含有し、そして前記ゲルパックを前記微小突起部材の上に置く前に前記剥離ライナーを剥がす段階を包含する請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記微小突起部材を前記皮膚部位に5分から24時間の範囲の時間貼り付けたままにしておく請求項47記載の方法。
【請求項50】
前記ナトリウム利尿ペプチドを心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチドおよびウロジラチンおよびこれらの類似物、活性フラグメント、分解生成物、塩および簡単な誘導体および組み合わせから成る群から選択する請求項47記載の方法。
【請求項51】
前記ナトリウム利尿ペプチドが前記生体適合性コーティングの約1μg−2000μgの範囲を構成している請求項47記載の方法。
【請求項52】
前記ナトリウム利尿ペプチドがhBNP(1−32)を含んで成る請求項47記載の方法。
【請求項53】
前記ナトリウム利尿ペプチドの前記送達が皮下送達の薬物動態特性に比べて向上した薬物動態を示す請求項47記載の方法。
【請求項54】
ナトリウム利尿ペプチドを患者に経皮送達する方法であって、
微小突起を多数含有する微小突起部材、ヒドロゲル配合物を含有するゲルパック、および前記微小突起部材に近接して位置していて少なくとも1種のナトリウム利尿ペプチドが入っている固体状態の配合物を有する微小突起アセンブリを準備し、
前記微小突起部材を前記患者の皮膚部位に貼り付けることで前記患者の角質層に多数の微小開口部を生じさせ、
前記ゲルパックを前記微小突起部材の上に置くことで前記ヒドロゲル配合物を前記ゲルパックから放出させそして前記微小突起によって生じた前記微小開口部に通して中に移行させ、そして
前記微小突起部材を前記皮膚部位から取り外す、
段階を含んで成る方法。
【請求項55】
前記ゲルパックが剥離ライナーを含有し、そして前記ゲルパックを前記微小突起部材の上に置く前に前記剥離ライナーを剥がす段階を包含する請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記微小突起部材を前記皮膚部位に5分から24時間の範囲の時間貼り付けたままにしておく請求項54記載の方法。
【請求項57】
前記ナトリウム利尿ペプチドを心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチドおよびウロジラチンおよびこれらの類似物、活性フラグメント、分解生成物、塩および簡単な誘導体および組み合わせ
から成る群から選択する請求項54記載の方法。
【請求項58】
前記固体状態の配合物を前記ナトリウム利尿ペプチドが0.1−2重量%の範囲で入っている液状配合物から生じさせる請求項54記載の方法。
【請求項59】
前記ナトリウム利尿ペプチドがhBNP(1−32)を含んで成る請求項54記載の方法。
【請求項60】
前記ナトリウム利尿ペプチドの前記送達が皮下送達の薬物動態特性に比べて向上した薬物動態を示す請求項54記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−509746(P2008−509746A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525818(P2007−525818)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/028693
【国際公開番号】WO2006/020841
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】