ナノインプリント用スペーサ、及びこれを用いた電子顕微鏡調整用試料の製造方法、並びに電子顕微鏡調整用試料、及びこれを備えた電子顕微鏡
【課題】単一の高分子材料を転写材として、厚さ制御性に優れたナノインプリント法及びこれを用いた電子顕微鏡調整用試料を提供することにある。
【解決手段】転写後の転写材の厚さに設計された壁とスタンパ保持面を有し、単一の高分子材料である転写材及びスタンパをとり囲む形状を持つスペーサをナノインプリント時に同時に挟み込む構造とする。
【解決手段】転写後の転写材の厚さに設計された壁とスタンパ保持面を有し、単一の高分子材料である転写材及びスタンパをとり囲む形状を持つスペーサをナノインプリント時に同時に挟み込む構造とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は転写材に微細な凹凸を有するスタンパを押し付けてパターンを転写するナノインプリントプロセスで用いられるスペーサ、及びそれを用いた電子顕微鏡調整用試料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡における電子線光学系の軸や非点収差の補正は、電子レンズの補正用コイルの制御電流を調整することで行われる。この場合、通常は調整専用の試料が準備される。なぜなら、上述のような調整は、観察しようとする被対象物に直接電子線を当てて得られる2次電子像で行っても構わないが、被対象物が必ずしも軸や非点収差の補正に適した構造であるとは限らないからである。この調整用試料を、電子顕微鏡装置内のステージ上など決まった場所に設置しておくことにより、必要な場合にステージを動かして調整用試料を観察して軸や非点収差を補正することができるようになっている。また、ステージの移動や2次電子像の画像処理をシステム化することで、軸や非点収差の補正を自動で行うこともできる。ただし、この調整用試料による補正がステージ上に設置された被対象物に対して有効に働くためには、調整用試料の表面と被対象物の表面とがほぼ同一平面上にあることが望ましい。調整用試料の表面と被対象物の表面の高さが異なると焦点位置が変化してしまい、軸や非点収差の補正値が影響を受けるためである。
【0003】
ところで、調整用試料を作成する方法として、近年高分子材料をガラス転移点以上に加熱して微細な凹凸を有するスタンパを押し付けてパターンを転写するナノインプリント法と呼ばれる技術がある。この方法は、特に、安価な微細構造転写技術として注目されている。パターンが転写される転写材の構造としては、大きくシリコン製等の頑強な基板の上に高分子材料を数μm程度薄く塗布する方法、数十〜数百μmの厚さを持つ単一の高分子材料を使用する方法の2通りが考えられる。
【0004】
電子顕微鏡調整用試料はステージ上の一部に設置されるためその大きさは数mm〜数十mm程度であり、ナノインプリント法でパターンを転写した後に所望の大きさに割断する必要がある。この場合、シリコン製基板の上に高分子材料を塗布した転写材では膜が剥がれてしまう可能性が高く、単一の高分子材料を転写材とする方が有利である。また、転写材を単一の高分子材料にすると、基板上に高分子材料を塗布する工程が省略できることから、製造プロセスが簡易になるメリットもある。ところで、単一の高分子材料を転写材とした場合、ガラス転移点以上に加熱された高分子材料が、スタンパを押し付けられたことにより変形し、加熱温度や押し付け力、押し付け時間といった条件の違いで転写後の厚さがばらついてしまう問題がある。
【0005】
転写材の面内厚さを制御する手段としては、例えば、特許文献1にあるように、転写材の周囲に同一高さの面一板を設けることで均一な押し付け力を得る方法や、特許文献2にあるようにスタンパの周囲に、ほぼ同じ表面高さを持つダミー部材を設置する方法が考えられる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−268675号公報
【特許文献1】特開2005−349619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、いずれの場合も単一の高分子材料を転写材とした場合に、転写材そのものの厚さを制御することはできない。従って、特許文献1や2の方法では軸や非点収差の補正を正確に行うことができないという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、転写材の厚さを制御することができるナノインプリント用スペーサを提供するものである。また、本発明は、そのスペーサを用いた電子顕微鏡調整用試料の製造方法、その製造方法で製造された試料、その試料を備えて軸や非点収差を補正する電子顕微鏡を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明によるナノインプリント用スペーサは、転写材の表面に、スタンパがその表面に有する微細パターンを転写するナノインプリントプロセスで用いられるナノプリント用スペーサである。そして、スタンパ及び転写材と共に対向するステージに挟み込まれ、転写材をとり囲むように配置された側壁部と、スタンパを保持するスタンパ保持部と、を備えている。また、スタンパ保持部は、転写後の転写材の厚さに設計された壁を有する。そして、転写材及びスタンパをとり囲む形状を持つスペーサを同時に挟み込みナノインプリントするようにしている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のナノインプリント用スペーサを用いれば、スタンパ及び転写材と共に対向するステージに挟み込まれ、転写材をとり囲むように配置された側壁部と、スタンパを保持するスタンパ保持部と、を備えているので、厚さ制御性に優れた電子顕微鏡調整用試料の製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るナノインプリント用スペーサを用いて、スタンパの微細パターンを転写材に転写して電子顕微鏡調整用試料を生成する様子を示す概略構造断面図である。上部ステージ1と下部ステージ2の間に例えばニッケル製のスタンパ3、例えばポリスチレン製の転写材4、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製のスペーサ5が設置されている。図1では、転写材4をガラス転移点以上の温度に加熱した後、上部ステージ1と下部ステージ2を押し付け、転写材4が変形して表面41にスタンパ3の表面31の微細凹凸パターン32が転写された状態を示している。ナノインプリント転写終了の段階で、スペーサ5の壁51の中段に設けられた中段面(スタンパ保持部)52はスタンパ3の表面31に接している。この時、下部ステージ2の表面21と中段面52の間の距離L1を最終的に必要となる転写材の厚さに設計しておくことで、安定した厚さを持つ電子顕微鏡調整用試料が製造可能となる。ここで、中段面52は、スタンパ3の押下方向の高さをLに規制し、スペーサ5の側壁上部50は、スタンパ3の横方向の位置決めのために設けられている。
【0013】
なお、図1においてはスタンパ1を保持してスタンパの高さを規制するための中段面は1段のみ設けられているが、2段以上設けても良い。複数段のスタンパ保持部を設けることにより、金型のサイズが異なっても使用可能となる等の機能化が図れるという技術的効果を奏することが可能となる。
【0014】
図2は図1で使用しているナノインプリント用スペーサの上面図である。空隙部53をとり囲む形で閉ループを形成させておく。本実施形態では閉ループを四角形にしてあるが、円形や多角形、その他の形状であっても構わない。
【0015】
次に、図3を用いて本発明による電子顕微鏡調整用試料の製造工程について説明する。
【0016】
(a)下部ステージ2の上にスペーサ5を乗せ、中央の空隙部53のほぼ中央に転写材4を置き、更にその上のほぼ中央にスタンパ3を乗せる。この時、スペーサ5の高さL2が下部ステージ2の表面21とスタンパ3の表面31との間の距離L3よりも大きくなるように設計することで、スペーサ5の上部内部側壁57をスタンパ3の位置決めガイドとして利用することができる。
【0017】
(b)転写材4のガラス転移点以上にステージを加熱して転写材4を軟化させ、上部ステージ1と下部ステージ2を押し付ける。また、押し付ける際には気泡等が界面に残留しないように周囲雰囲気を予め真空引きしておく。押し付けた状態で数秒〜数分間保持すると、転写材4が変形し、スタンパ3の表面31がスペーサ5の中段面52に接したところで転写材4の変形が終了する。転写材の平面方向の広がりは必ずしも点対称とはならないが、スペーサ5の形状を閉ループ構造にすることで、スペーサ5の空隙部53内に広がりを留めることができる。また、スタンパ3の表面31がスペーサ5の中段面52に接した際に隙間が生じないようにしておけば、転写材4がスタンパ3の側面や裏面に回り込んでスタンパ3と転写材4がナノインプリント後に剥がせなくなるような懸念も解消することができる。
【0018】
(c)ステージを冷却した後、プレス力を解放し、スタンパ3及びスペーサ5を取り外す(転写したパターンを損なわないように垂直方向に外すことが望ましい)。この時、スタンパ3と転写材4がスムーズに離れるようにスタンパ3の表面には事前にシリコーンオイルなどの離型剤を塗布することも行われる。ナノインプリント後の転写材4の側壁42は、ナノインプリント時の広がりによって曲面形状になっている。
【0019】
(d)ナノインプリント時の平面方向の広がり方は均一ではないため、ダイシング等による割断で所望の寸法に仕上げられる。
【0020】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係るナノインプリント用スペーサを用いて、スタンパの微細パターンを転写材に転写して電子顕微鏡調整用試料を生成する様子を示す概略構造断面図である。また、図5は、図4で使用しているナノインプリント用スペーサの上面図である。
【0021】
図4に示されるように、スペーサ5は壁51と底板54を備え、底板54の表面55と中段面52の間の距離L1を最終的に必要となる転写材の厚さに設計しておくことで、安定した厚さを持つ電子顕微鏡調整用試料が製造可能となる。更に、底板54には突起56が設けられている。ナノインプリント時に転写材4が変形すると、突起56の領域には転写材が充填されないため、割断用の溝が形成される。本実施形態では突起56を四角形の閉ループにしてあるが、必ずしも閉ループである必要はなく、割断したい形状であれば、例えば線状の突起を複数個配置しても構わないし、図6に示すように、格子状に配置しても構わない。突起56を予め必要とされる寸法に設計しておけば、ダイサーなどの機械を用いることなく、図7に示すような形状に容易に割断することが可能となる。
【0022】
<第3の実施形態>
図8は、本発明の第2の実施形態に係るナノインプリント用スペーサを用いて、スタンパの微細パターンを転写材に転写して電子顕微鏡調整用試料を生成する様子を示す概略構造断面図である。図9は、図8で使用しているナノインプリント用スペーサの上面図である。
【0023】
図8で示されるように、下部ステージ2の表面21と中段面52の間の距離L1は最終的に必要となる転写材の厚さに設計しておく。スペーサ5の壁51には下部内部側壁58から外部側壁59に貫通する流路60が形成されている。スペーサ5の中段面52と、スペーサ5の下部内部側壁58及び下部ステージ2の表面21とで囲まれる空隙部53の体積を、転写材4の体積とほぼ同じかやや小さめに設計しておくことで、空隙部53はナノインプリント時に転写材4で充填される。流路60のコンダクタンスを小さくしておくことで転写材は空隙部53を全て充填した後、それでも余剰になったわずかな体積が流路60に染み出してくることになる。また、完成した転写材4の側壁42はスペーサ5の下部内部側壁58に沿って形成されるため、スペーサ5の下部内部側壁58を予め必要とされる寸法に設計しておけば、ダイサーなどの機械を用いることなく、流路60に染み出したわずかな転写材4を削るだけで図10に示すような形状に容易に仕上げることが可能となる。本実施形態ではスペーサ5の閉ループを構成する壁51の4ヶ所に流路60を設けているが、1ヶ所でも構わないし、より多く設けても構わない。また、本実施形態ではスペーサ5の下面を削り取って凹型の流路60を形成しているが、中段面52よりも下側であれば流路を壁51の任意の箇所に形成して構わない。
【0024】
<その他の実施形態>
これまでの実施形態では、上部ステージ1と下部ステージ2の間に1個のスタンパ3と1個の転写材4と1個のスペーサ5を配置しているが、ステージの大きさによっては全てを複数個配置しても構わない。また、スペーサ5に中段面52や空隙部53を複数個配置して、1個のスペーサ5に複数個のスタンパ3及び転写材4を配置することも可能である。これらの方法により、一度のナノインプリントで複数個の転写材を製作することも可能となり、生産性の向上を図ることができる。また、生産性を向上させるため、予めスペーサ5をステージ内に組み込んでも構わない。
【0025】
<技術的効果>
以上のように、単一の転写材を使用し、本発明のナノインプリント用スペーサを用いることで厚さ制御性に優れたナノインプリント法及び電子顕微鏡調整用試料の製造が可能となる。また、ナノインプリント用スペーサに突起や流路を設けることにより割断を容易にすることも可能となる。
【0026】
<電子顕微鏡への適用>
以上のように製造された電子顕微鏡調整用試料70は図11に示すように例えばステンレス製の試料台71に例えばエポキシ系の接着剤72で接着した後、上面からアルミニウム等の導電性薄膜73を蒸着で形成し、最終的にステージ74に装着される。電子顕微鏡調整用試料70の構成材料である転写材が導電性であれば、導電性薄膜73の形成を省略しても構わない。
【0027】
図12は、電子顕微鏡装置88における電子線の制御の概略を示したものである。電子顕微鏡装置88では、電子源81から電子線82が放出されるが、電子線82は集束レンズ83により収斂される。また、対物レンズ85は収斂された電子線82を試料に焦点を合わせるためのレンズであり、収差補正用レンズ84は非点収差を補正するためのレンズである。試料に入射した電子線82は2次電子を放出し、検出器86で検出される。試料表面の形状は2次電子の情報を結像することで観察されるが、軸や非点収差を補正する場合、結像された2次電子像のゆらぎが最小となるように各レンズを調整する。
【0028】
上述の実施形態で製造した電子顕微鏡調整用試料70は、これらの補正を効率よく行えるパターンを形成したものであり、この電子顕微鏡装置88内の、例えばステージ87の隅に設置することで必要な場合にステージ87を動かして電子顕微鏡調整試料70を観察し、その結果に基づいて軸や非点収差を補正することが可能となる。シリコンウエハの寸法検査用に用いられる電子顕微鏡においては、被対象物75がほぼ厚さの一定なシリコンウエハであり、例えば、ナノインプリントで製造した電子顕微鏡調整用試料70の表面(表面の凸凹何れかの高さ。従って、試料70の底面を基準にしても頂面を基準にしてもよい。)と被対象物75の表面を同一平面上(同一高さ)にしておくことにより、電子顕微鏡調整用試料70で補正した軸や非点収差の補正値が被対象物75の観察においても変化することがほとんど無くなり、補正精度を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態におけるナノインプリント用スペーサを用いた電子顕微鏡調整用試料の第1の転写実施形態を示す概略構造断面図である。
【図2】第1の実施形態で使用するナノインプリント用スペーサの上面図である。
【図3】本発明の実施形態による効果を説明するための製造工程図である。
【図4】本発明におけるナノインプリント用スペーサを用いた電子顕微鏡調整用試料の第2の転写実施形態を示す概略構造断面図である。
【図5】第2の実施形態で使用するナノインプリント用スペーサの上面図である。
【図6】第2の実施形態で使用するナノインプリント用スペーサ代案の上面図である。
【図7】第2の実施形態で製造した電子顕微鏡調整用試料の割断後形状を示す概略構造断面図である。
【図8】本発明におけるナノインプリント用スペーサを用いた電子顕微鏡調整用試料の第3の転写実施形態を示す概略構造断面図である。
【図9】第3の実施形態で使用するナノインプリント用スペーサの上面図である。
【図10】第3の実施形態で製造した電子顕微鏡調整用試料の割断後形状を示す概略構造断面図である。
【図11】本発明の実施形態によって製造した電子顕微鏡調整用試料を電子顕微鏡のステージに組み込んだ図である。
【図12】電子顕微鏡装置における電子線の制御の概略を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
1・・・上部ステージ、2・・・下部ステージ、3・・・スタンパ、4・・・転写材、5・・・スペーサ、21・・・下部ステージ表面、31・・・スタンパ表面、32・・・微細凹凸パターン、41・・・転写材表面、42・・・ナノインプリント後の転写材側壁、51・・・スペーサの壁、52・・・スペーサの中段面、53・・・スペーサの空隙部、54・・・スペーサの底板、55・・・スペーサの底板表面、56・・・スペーサの底板に設けられた突起、57・・・スペーサの上部内部側壁、58・・・スペーサの下部内部側壁、59・・・スペーサの外部側壁、60・・・流路、70・・・電子顕微鏡調整用試料、71・・・試料台、72・・・接着剤、73・・・導電性薄膜、74・・・ステージ、75・・・被対象物、L1・・・最終的に必要な転写材の厚さ、L2・・・スペーサの高さ、L3・・・ナノインプリント前における下部ステージ表面とスタンパ表面の距離、81・・・電子源、82・・・電子線、83・・・集束レンズ、84・・・収差補正用レンズ、85・・・対物レンズ、86・・・検出器、87・・・ステージ、88・・・電子顕微鏡装置
【技術分野】
【0001】
本発明は転写材に微細な凹凸を有するスタンパを押し付けてパターンを転写するナノインプリントプロセスで用いられるスペーサ、及びそれを用いた電子顕微鏡調整用試料製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子顕微鏡における電子線光学系の軸や非点収差の補正は、電子レンズの補正用コイルの制御電流を調整することで行われる。この場合、通常は調整専用の試料が準備される。なぜなら、上述のような調整は、観察しようとする被対象物に直接電子線を当てて得られる2次電子像で行っても構わないが、被対象物が必ずしも軸や非点収差の補正に適した構造であるとは限らないからである。この調整用試料を、電子顕微鏡装置内のステージ上など決まった場所に設置しておくことにより、必要な場合にステージを動かして調整用試料を観察して軸や非点収差を補正することができるようになっている。また、ステージの移動や2次電子像の画像処理をシステム化することで、軸や非点収差の補正を自動で行うこともできる。ただし、この調整用試料による補正がステージ上に設置された被対象物に対して有効に働くためには、調整用試料の表面と被対象物の表面とがほぼ同一平面上にあることが望ましい。調整用試料の表面と被対象物の表面の高さが異なると焦点位置が変化してしまい、軸や非点収差の補正値が影響を受けるためである。
【0003】
ところで、調整用試料を作成する方法として、近年高分子材料をガラス転移点以上に加熱して微細な凹凸を有するスタンパを押し付けてパターンを転写するナノインプリント法と呼ばれる技術がある。この方法は、特に、安価な微細構造転写技術として注目されている。パターンが転写される転写材の構造としては、大きくシリコン製等の頑強な基板の上に高分子材料を数μm程度薄く塗布する方法、数十〜数百μmの厚さを持つ単一の高分子材料を使用する方法の2通りが考えられる。
【0004】
電子顕微鏡調整用試料はステージ上の一部に設置されるためその大きさは数mm〜数十mm程度であり、ナノインプリント法でパターンを転写した後に所望の大きさに割断する必要がある。この場合、シリコン製基板の上に高分子材料を塗布した転写材では膜が剥がれてしまう可能性が高く、単一の高分子材料を転写材とする方が有利である。また、転写材を単一の高分子材料にすると、基板上に高分子材料を塗布する工程が省略できることから、製造プロセスが簡易になるメリットもある。ところで、単一の高分子材料を転写材とした場合、ガラス転移点以上に加熱された高分子材料が、スタンパを押し付けられたことにより変形し、加熱温度や押し付け力、押し付け時間といった条件の違いで転写後の厚さがばらついてしまう問題がある。
【0005】
転写材の面内厚さを制御する手段としては、例えば、特許文献1にあるように、転写材の周囲に同一高さの面一板を設けることで均一な押し付け力を得る方法や、特許文献2にあるようにスタンパの周囲に、ほぼ同じ表面高さを持つダミー部材を設置する方法が考えられる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−268675号公報
【特許文献1】特開2005−349619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、いずれの場合も単一の高分子材料を転写材とした場合に、転写材そのものの厚さを制御することはできない。従って、特許文献1や2の方法では軸や非点収差の補正を正確に行うことができないという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、転写材の厚さを制御することができるナノインプリント用スペーサを提供するものである。また、本発明は、そのスペーサを用いた電子顕微鏡調整用試料の製造方法、その製造方法で製造された試料、その試料を備えて軸や非点収差を補正する電子顕微鏡を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明によるナノインプリント用スペーサは、転写材の表面に、スタンパがその表面に有する微細パターンを転写するナノインプリントプロセスで用いられるナノプリント用スペーサである。そして、スタンパ及び転写材と共に対向するステージに挟み込まれ、転写材をとり囲むように配置された側壁部と、スタンパを保持するスタンパ保持部と、を備えている。また、スタンパ保持部は、転写後の転写材の厚さに設計された壁を有する。そして、転写材及びスタンパをとり囲む形状を持つスペーサを同時に挟み込みナノインプリントするようにしている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のナノインプリント用スペーサを用いれば、スタンパ及び転写材と共に対向するステージに挟み込まれ、転写材をとり囲むように配置された側壁部と、スタンパを保持するスタンパ保持部と、を備えているので、厚さ制御性に優れた電子顕微鏡調整用試料の製造が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るナノインプリント用スペーサを用いて、スタンパの微細パターンを転写材に転写して電子顕微鏡調整用試料を生成する様子を示す概略構造断面図である。上部ステージ1と下部ステージ2の間に例えばニッケル製のスタンパ3、例えばポリスチレン製の転写材4、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製のスペーサ5が設置されている。図1では、転写材4をガラス転移点以上の温度に加熱した後、上部ステージ1と下部ステージ2を押し付け、転写材4が変形して表面41にスタンパ3の表面31の微細凹凸パターン32が転写された状態を示している。ナノインプリント転写終了の段階で、スペーサ5の壁51の中段に設けられた中段面(スタンパ保持部)52はスタンパ3の表面31に接している。この時、下部ステージ2の表面21と中段面52の間の距離L1を最終的に必要となる転写材の厚さに設計しておくことで、安定した厚さを持つ電子顕微鏡調整用試料が製造可能となる。ここで、中段面52は、スタンパ3の押下方向の高さをLに規制し、スペーサ5の側壁上部50は、スタンパ3の横方向の位置決めのために設けられている。
【0013】
なお、図1においてはスタンパ1を保持してスタンパの高さを規制するための中段面は1段のみ設けられているが、2段以上設けても良い。複数段のスタンパ保持部を設けることにより、金型のサイズが異なっても使用可能となる等の機能化が図れるという技術的効果を奏することが可能となる。
【0014】
図2は図1で使用しているナノインプリント用スペーサの上面図である。空隙部53をとり囲む形で閉ループを形成させておく。本実施形態では閉ループを四角形にしてあるが、円形や多角形、その他の形状であっても構わない。
【0015】
次に、図3を用いて本発明による電子顕微鏡調整用試料の製造工程について説明する。
【0016】
(a)下部ステージ2の上にスペーサ5を乗せ、中央の空隙部53のほぼ中央に転写材4を置き、更にその上のほぼ中央にスタンパ3を乗せる。この時、スペーサ5の高さL2が下部ステージ2の表面21とスタンパ3の表面31との間の距離L3よりも大きくなるように設計することで、スペーサ5の上部内部側壁57をスタンパ3の位置決めガイドとして利用することができる。
【0017】
(b)転写材4のガラス転移点以上にステージを加熱して転写材4を軟化させ、上部ステージ1と下部ステージ2を押し付ける。また、押し付ける際には気泡等が界面に残留しないように周囲雰囲気を予め真空引きしておく。押し付けた状態で数秒〜数分間保持すると、転写材4が変形し、スタンパ3の表面31がスペーサ5の中段面52に接したところで転写材4の変形が終了する。転写材の平面方向の広がりは必ずしも点対称とはならないが、スペーサ5の形状を閉ループ構造にすることで、スペーサ5の空隙部53内に広がりを留めることができる。また、スタンパ3の表面31がスペーサ5の中段面52に接した際に隙間が生じないようにしておけば、転写材4がスタンパ3の側面や裏面に回り込んでスタンパ3と転写材4がナノインプリント後に剥がせなくなるような懸念も解消することができる。
【0018】
(c)ステージを冷却した後、プレス力を解放し、スタンパ3及びスペーサ5を取り外す(転写したパターンを損なわないように垂直方向に外すことが望ましい)。この時、スタンパ3と転写材4がスムーズに離れるようにスタンパ3の表面には事前にシリコーンオイルなどの離型剤を塗布することも行われる。ナノインプリント後の転写材4の側壁42は、ナノインプリント時の広がりによって曲面形状になっている。
【0019】
(d)ナノインプリント時の平面方向の広がり方は均一ではないため、ダイシング等による割断で所望の寸法に仕上げられる。
【0020】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態に係るナノインプリント用スペーサを用いて、スタンパの微細パターンを転写材に転写して電子顕微鏡調整用試料を生成する様子を示す概略構造断面図である。また、図5は、図4で使用しているナノインプリント用スペーサの上面図である。
【0021】
図4に示されるように、スペーサ5は壁51と底板54を備え、底板54の表面55と中段面52の間の距離L1を最終的に必要となる転写材の厚さに設計しておくことで、安定した厚さを持つ電子顕微鏡調整用試料が製造可能となる。更に、底板54には突起56が設けられている。ナノインプリント時に転写材4が変形すると、突起56の領域には転写材が充填されないため、割断用の溝が形成される。本実施形態では突起56を四角形の閉ループにしてあるが、必ずしも閉ループである必要はなく、割断したい形状であれば、例えば線状の突起を複数個配置しても構わないし、図6に示すように、格子状に配置しても構わない。突起56を予め必要とされる寸法に設計しておけば、ダイサーなどの機械を用いることなく、図7に示すような形状に容易に割断することが可能となる。
【0022】
<第3の実施形態>
図8は、本発明の第2の実施形態に係るナノインプリント用スペーサを用いて、スタンパの微細パターンを転写材に転写して電子顕微鏡調整用試料を生成する様子を示す概略構造断面図である。図9は、図8で使用しているナノインプリント用スペーサの上面図である。
【0023】
図8で示されるように、下部ステージ2の表面21と中段面52の間の距離L1は最終的に必要となる転写材の厚さに設計しておく。スペーサ5の壁51には下部内部側壁58から外部側壁59に貫通する流路60が形成されている。スペーサ5の中段面52と、スペーサ5の下部内部側壁58及び下部ステージ2の表面21とで囲まれる空隙部53の体積を、転写材4の体積とほぼ同じかやや小さめに設計しておくことで、空隙部53はナノインプリント時に転写材4で充填される。流路60のコンダクタンスを小さくしておくことで転写材は空隙部53を全て充填した後、それでも余剰になったわずかな体積が流路60に染み出してくることになる。また、完成した転写材4の側壁42はスペーサ5の下部内部側壁58に沿って形成されるため、スペーサ5の下部内部側壁58を予め必要とされる寸法に設計しておけば、ダイサーなどの機械を用いることなく、流路60に染み出したわずかな転写材4を削るだけで図10に示すような形状に容易に仕上げることが可能となる。本実施形態ではスペーサ5の閉ループを構成する壁51の4ヶ所に流路60を設けているが、1ヶ所でも構わないし、より多く設けても構わない。また、本実施形態ではスペーサ5の下面を削り取って凹型の流路60を形成しているが、中段面52よりも下側であれば流路を壁51の任意の箇所に形成して構わない。
【0024】
<その他の実施形態>
これまでの実施形態では、上部ステージ1と下部ステージ2の間に1個のスタンパ3と1個の転写材4と1個のスペーサ5を配置しているが、ステージの大きさによっては全てを複数個配置しても構わない。また、スペーサ5に中段面52や空隙部53を複数個配置して、1個のスペーサ5に複数個のスタンパ3及び転写材4を配置することも可能である。これらの方法により、一度のナノインプリントで複数個の転写材を製作することも可能となり、生産性の向上を図ることができる。また、生産性を向上させるため、予めスペーサ5をステージ内に組み込んでも構わない。
【0025】
<技術的効果>
以上のように、単一の転写材を使用し、本発明のナノインプリント用スペーサを用いることで厚さ制御性に優れたナノインプリント法及び電子顕微鏡調整用試料の製造が可能となる。また、ナノインプリント用スペーサに突起や流路を設けることにより割断を容易にすることも可能となる。
【0026】
<電子顕微鏡への適用>
以上のように製造された電子顕微鏡調整用試料70は図11に示すように例えばステンレス製の試料台71に例えばエポキシ系の接着剤72で接着した後、上面からアルミニウム等の導電性薄膜73を蒸着で形成し、最終的にステージ74に装着される。電子顕微鏡調整用試料70の構成材料である転写材が導電性であれば、導電性薄膜73の形成を省略しても構わない。
【0027】
図12は、電子顕微鏡装置88における電子線の制御の概略を示したものである。電子顕微鏡装置88では、電子源81から電子線82が放出されるが、電子線82は集束レンズ83により収斂される。また、対物レンズ85は収斂された電子線82を試料に焦点を合わせるためのレンズであり、収差補正用レンズ84は非点収差を補正するためのレンズである。試料に入射した電子線82は2次電子を放出し、検出器86で検出される。試料表面の形状は2次電子の情報を結像することで観察されるが、軸や非点収差を補正する場合、結像された2次電子像のゆらぎが最小となるように各レンズを調整する。
【0028】
上述の実施形態で製造した電子顕微鏡調整用試料70は、これらの補正を効率よく行えるパターンを形成したものであり、この電子顕微鏡装置88内の、例えばステージ87の隅に設置することで必要な場合にステージ87を動かして電子顕微鏡調整試料70を観察し、その結果に基づいて軸や非点収差を補正することが可能となる。シリコンウエハの寸法検査用に用いられる電子顕微鏡においては、被対象物75がほぼ厚さの一定なシリコンウエハであり、例えば、ナノインプリントで製造した電子顕微鏡調整用試料70の表面(表面の凸凹何れかの高さ。従って、試料70の底面を基準にしても頂面を基準にしてもよい。)と被対象物75の表面を同一平面上(同一高さ)にしておくことにより、電子顕微鏡調整用試料70で補正した軸や非点収差の補正値が被対象物75の観察においても変化することがほとんど無くなり、補正精度を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態におけるナノインプリント用スペーサを用いた電子顕微鏡調整用試料の第1の転写実施形態を示す概略構造断面図である。
【図2】第1の実施形態で使用するナノインプリント用スペーサの上面図である。
【図3】本発明の実施形態による効果を説明するための製造工程図である。
【図4】本発明におけるナノインプリント用スペーサを用いた電子顕微鏡調整用試料の第2の転写実施形態を示す概略構造断面図である。
【図5】第2の実施形態で使用するナノインプリント用スペーサの上面図である。
【図6】第2の実施形態で使用するナノインプリント用スペーサ代案の上面図である。
【図7】第2の実施形態で製造した電子顕微鏡調整用試料の割断後形状を示す概略構造断面図である。
【図8】本発明におけるナノインプリント用スペーサを用いた電子顕微鏡調整用試料の第3の転写実施形態を示す概略構造断面図である。
【図9】第3の実施形態で使用するナノインプリント用スペーサの上面図である。
【図10】第3の実施形態で製造した電子顕微鏡調整用試料の割断後形状を示す概略構造断面図である。
【図11】本発明の実施形態によって製造した電子顕微鏡調整用試料を電子顕微鏡のステージに組み込んだ図である。
【図12】電子顕微鏡装置における電子線の制御の概略を示した図である。
【符号の説明】
【0030】
1・・・上部ステージ、2・・・下部ステージ、3・・・スタンパ、4・・・転写材、5・・・スペーサ、21・・・下部ステージ表面、31・・・スタンパ表面、32・・・微細凹凸パターン、41・・・転写材表面、42・・・ナノインプリント後の転写材側壁、51・・・スペーサの壁、52・・・スペーサの中段面、53・・・スペーサの空隙部、54・・・スペーサの底板、55・・・スペーサの底板表面、56・・・スペーサの底板に設けられた突起、57・・・スペーサの上部内部側壁、58・・・スペーサの下部内部側壁、59・・・スペーサの外部側壁、60・・・流路、70・・・電子顕微鏡調整用試料、71・・・試料台、72・・・接着剤、73・・・導電性薄膜、74・・・ステージ、75・・・被対象物、L1・・・最終的に必要な転写材の厚さ、L2・・・スペーサの高さ、L3・・・ナノインプリント前における下部ステージ表面とスタンパ表面の距離、81・・・電子源、82・・・電子線、83・・・集束レンズ、84・・・収差補正用レンズ、85・・・対物レンズ、86・・・検出器、87・・・ステージ、88・・・電子顕微鏡装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材の表面に、スタンパがその表面に有する微細パターンを転写するナノインプリントプロセスで用いられるナノプリント用スペーサであって、
前記スタンパ及び前記転写材と共に対向するステージに挟み込まれ、前記転写材をとり囲むように配置された側壁部と、
前記スタンパを保持するスタンパ保持部と、
を有することを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項2】
請求項1記載のナノインプリント用スペーサであって、前記側壁部は前記転写材の周囲をとり囲む閉ループ形状をなすことを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナノインプリント用スペーサであって、さらに、前記転写材の底部を覆うための底板部を有することを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項4】
請求項3記載のナノインプリント用スペーサであって、さらに、前記底板部上に突起構造を有することを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項5】
請求項4記載のナノインプリント用スペーサであって、前記突起構造は閉ループ形状をなすことを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサであって、前記スタンパ保持部は段差を有する階段形状をなしていることを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサであって、前記側壁は、この側壁内側から外側へ貫通する流路を有することを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサであって、前記スペーサは前記転写材よりもガラス転移点が高い高分子材料で生成されていることを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサを用いて電子顕微鏡調整用試料を製造する電子顕微鏡調整用試料製造方法であって、
ナノインプリント用下部ステージに前記スペーサを載置し、前記下部ステージ上であって前記スペーサの前記側壁部内に転写材を配置し、前記転写材上にナノインプリント用スタンパ及びこのスタンパ上にナノインプリント用上部ステージを載せる工程と、
前記上部及び下部ステージを加熱することにより前記転写材をガラス転移点以上に加熱する工程と、
前記上部及び下部ステージとで前記ガラス転移点以上に熱せられた転写材をプレスする工程と、
プレス後前記上部及び下部ステージを冷却し、プレス力を解放して前記スタンパ及び前記スペーサを取り出す工程と、
を備えることを特徴とする電子顕微鏡調整用試料製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサと、
前記スペーサが載置される下部ステージと、
表面にプリントパターンを有するスタンパと、
前記スタンパの上に載置される下部ステージと、を備え、
前記スタンパの前記プリントパターンを転写材に転写することを特徴とするナノインプリント装置。
【請求項11】
請求項9に記載の電子顕微鏡調整用試料製造方法によって、厚さが制御されて製造されたことを特徴とする電子顕微鏡調整用試料。
【請求項12】
請求項11に記載の電子顕微鏡調整用試料であって、単一の高分子材料を構成材料とすることを特徴とする電子顕微鏡調整用試料。
【請求項13】
請求項11に記載の電子顕微鏡調整用試料であって、単一の高分子材料を構成材料とし、その表面に導電性薄膜を形成することを特徴とする電子顕微鏡調整用試料。
【請求項14】
請求項11乃至12の何れか1項に記載の電子顕微鏡調整用試料を装置内に設置し、軸や非点補正を自動で行う機能を有する電子顕微鏡装置。
【請求項1】
転写材の表面に、スタンパがその表面に有する微細パターンを転写するナノインプリントプロセスで用いられるナノプリント用スペーサであって、
前記スタンパ及び前記転写材と共に対向するステージに挟み込まれ、前記転写材をとり囲むように配置された側壁部と、
前記スタンパを保持するスタンパ保持部と、
を有することを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項2】
請求項1記載のナノインプリント用スペーサであって、前記側壁部は前記転写材の周囲をとり囲む閉ループ形状をなすことを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナノインプリント用スペーサであって、さらに、前記転写材の底部を覆うための底板部を有することを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項4】
請求項3記載のナノインプリント用スペーサであって、さらに、前記底板部上に突起構造を有することを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項5】
請求項4記載のナノインプリント用スペーサであって、前記突起構造は閉ループ形状をなすことを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサであって、前記スタンパ保持部は段差を有する階段形状をなしていることを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサであって、前記側壁は、この側壁内側から外側へ貫通する流路を有することを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサであって、前記スペーサは前記転写材よりもガラス転移点が高い高分子材料で生成されていることを特徴とするナノインプリント用スペーサ。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサを用いて電子顕微鏡調整用試料を製造する電子顕微鏡調整用試料製造方法であって、
ナノインプリント用下部ステージに前記スペーサを載置し、前記下部ステージ上であって前記スペーサの前記側壁部内に転写材を配置し、前記転写材上にナノインプリント用スタンパ及びこのスタンパ上にナノインプリント用上部ステージを載せる工程と、
前記上部及び下部ステージを加熱することにより前記転写材をガラス転移点以上に加熱する工程と、
前記上部及び下部ステージとで前記ガラス転移点以上に熱せられた転写材をプレスする工程と、
プレス後前記上部及び下部ステージを冷却し、プレス力を解放して前記スタンパ及び前記スペーサを取り出す工程と、
を備えることを特徴とする電子顕微鏡調整用試料製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のナノインプリント用スペーサと、
前記スペーサが載置される下部ステージと、
表面にプリントパターンを有するスタンパと、
前記スタンパの上に載置される下部ステージと、を備え、
前記スタンパの前記プリントパターンを転写材に転写することを特徴とするナノインプリント装置。
【請求項11】
請求項9に記載の電子顕微鏡調整用試料製造方法によって、厚さが制御されて製造されたことを特徴とする電子顕微鏡調整用試料。
【請求項12】
請求項11に記載の電子顕微鏡調整用試料であって、単一の高分子材料を構成材料とすることを特徴とする電子顕微鏡調整用試料。
【請求項13】
請求項11に記載の電子顕微鏡調整用試料であって、単一の高分子材料を構成材料とし、その表面に導電性薄膜を形成することを特徴とする電子顕微鏡調整用試料。
【請求項14】
請求項11乃至12の何れか1項に記載の電子顕微鏡調整用試料を装置内に設置し、軸や非点補正を自動で行う機能を有する電子顕微鏡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−283674(P2007−283674A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114782(P2006−114782)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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