説明

ナノウォールを有するピクセル化された光学部品

光学部品であって、部品の表面に対して平行に並置されて壁によって分離されるセルよりなる部品の表面に平行な少なくとも1つの透明なネットワークを含み、各セルが気密封止され、各セルが光学特性を有する少なくとも1つの物質を含み、部品の表面の全部または一部が厚さ100nm未満の壁を含む。この光学部品はセルネットワークによりピクセル化され、セルはそれら自体にピクセル化された壁によって分離されている。このような光学部品は、眼科用レンズのような光学素子の作成に特に役に立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的機能を組み込む透明素子の製造に関する。本発明は、特に、種々の光学特性を有する眼科レンズの製造に適用される。
【背景技術】
【0002】
屈折異常矯正レンズは、従来は、空気より高い屈折率を有する透明材料を成形することによって作られている。レンズの形状は、材料と空気と間の境界面の屈折によって着用者の網膜上に適切に焦点が合わせられるように選択される。レンズは、通常、フレームに適合するように切り抜かれ、矯正される目の瞳孔に対して適切に位置づけられる。
【0003】
様々な種類のレンズ、または眼科光学に必ずしも限定されない他のレンズのなかで、組付けたり他に選択したりするフレームに組み込むように得られる光学素子を切り抜く可能性を残し、または光学素子を保持する任意の他の手段を備え、一方では柔軟かつモジュール式の方法で1つ以上の光学的機能をもたらすのに役立つ構造を提案できることが望ましい。
【非特許文献1】J−P.Perez−Optique,Fondements et applications 7th edition−Dunod−October 2004,p.262
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、このニーズに応えることである。更なる目的は、光学素子を満足な条件下で工業的に応用可能にすることである。
【0005】
従って、本発明は、光学部品を提案し、該光学部品は、近接して並置されると共に壁によって分離される複数セルよりなる部品の表面に平行な少なくとも1つの透明なネットワークを含み、各セルが気密封止され、各セルが光学特性を有する少なくとも1つの物質を含み、部品の表面の全部または一部が厚さ100nm(ナノメートル)未満の壁を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
セルは、セルの光学特性のために選択される様々な物質で満たされてもよく、光学特性は、例えば屈折率、光を吸収したり偏光したりする能力、電気刺激または光刺激に対する反応などに関連する。
【0007】
従って、その構造は、数多くの応用、特に高度な光学的機能を利用する応用に役立つ。そのことは光学素子の表面領域のピクセルによる離散化を意味し、設計における大きな柔軟性、更には素子の応用を提供する。従って、その構造は、壁に囲まれるセルのネットワークを含み、壁の少なくとも一部はナノメートル規模の厚さを有する。
【0008】
平面における隣接セルの連続からなり、離散化によってピクセル化される構造を製造することができる。これらのセルは、壁によって分離される。これらの壁は、光学部品の透明度不足の原因になるので、そのような部品を含む光学素子の透明度不足を引き起こすことがある。本発明の状況において、光学部品が透明であるというときは、コントラストをひどく減ずることなく光学部品による画像の観察ができる場合、すなわち画像品質を低減することなく光学部品による画像形成が得られる場合である。本発明の状況において、透明という用語のこうした定義は、説明においてそのようにみなされるあらゆる物体にあてはまる。
【0009】
光学部品のセルを分離する壁は、光を回折することによって光と相互作用する。光波が物質的に制限されている場合に、回折は観察される光の散乱として定義される(特許文献1)。従って、そのような壁を含む光学部品は、壁が引き起こすこの光の散乱のために、劣化した画像を透過させる。微視的な回折は、散乱によって肉眼に現れる。この肉眼のまたは非干渉性の散乱は、光学部品のピクセル化された構造の拡散ハロー(halo)によって、すなわち構造を通して観察される画像のコントラストの減少によって現れる。上記の通り、コントラストのこうした減少は、透明度の減少とみなすことができる。本発明の状況において理解されるように、この肉眼の散乱効果は、ピクセル化された光学部品を含む光学素子の製造にあたっては、受け入れ難い。光学素子が眼科用レンズである場合、このことは特に真実であり、眼科用レンズは、一方では透明でなければならず、もう一方ではそのような光学素子の着用者の視界を妨げがちな表面的な欠点を含んではならない。
【0010】
この現象を減らす単純な方法は、壁と同じ屈折率を有する液体をセルに充填することである。そのためには、これら2つの構成要素の屈折率が相関するというニーズが要求されるので、そのような解決策は重要性が低い。この肉眼の散乱を減らす別の手段は、壁のサイズを制限することによって、壁における回折を減らすことにある。壁厚が光の波長と比較して小さくなると、相互作用がごくわずかになることがある。従って、壁は、認識できる散乱をもはやまったく引き起こさない。その結果、壁に囲まれたセルを満たす光学的物質の屈折率とは無関係に、壁を含む装置の透明度が保たれる。
【0011】
従って、本発明の1つの目的は、光学部品を提案することであり、該光学部品は、部品の1表面に対して平行に並置されて壁によって分離されるセルの少なくとも1つの透明なネットワークを含み、各セルは気密封止され、各セルは光学特性を有する少なくとも1つの物質を含み、部品の表面の全部または一部は厚さ100nm未満の壁を含む。
【0012】
本発明の第1の変形において、光学部品は、部品表面に対して平行なセルネットワークの全ての壁が厚さ100nm未満である。
【0013】
本発明の第2の変形において、光学部品は、部品の表面に対して平行なセルネットワークの壁の一部は厚さ100nm未満であり、セルネットワークの壁の一部は厚さ0.10μm(マイクロメートル)から5μmである。この第2の変形において、好都合には、厚さ100nmを超えるセルネットワークの壁自体は、厚さ100nm未満の壁のネットワークになる。従って、光学部品は、ナノメートル規模の壁によって分離されるセルのネットワークを含み、ナノメートル規模の壁自体は、隣接するセルを分離できるナノメートル規模の壁のネットワークにグループ化できる。一般に、本発明の状況において、壁のネットワークは、100nmより厚い壁を形成し、かつ隣接するセルを分離することが可能な、ナノメートル規模の壁のグループ化を意味する。セルネットワークは、上記の通り、一体的なナノメートル規模の壁および/または壁のネットワークからなるネットワークを意味する。
【0014】
従って、本発明は、セルのネットワークによってピクセル化される光学部品を含み、各セルは、ナノメートル規模のサイズの壁によって隣のセルから任意に分離される。
【0015】
本発明の状況において、各セルは、任意の幾何構造を採用することができる。従って、セルネットワークは、各セルに閉構造を与えるために、相互にまっすぐおよび/または湾曲する部分の形をした壁からなってもよい。セルネットワークは、任意の幾何学的構造を採用してもよい。従って、本発明の状況において、均一または不均一にネットワークによって占められる表面全体をしっかりおおうあらゆる公知の方法を使用できる。好都合にも、六角形、長方形、または正方形の幾何構造のセルを使用することができる。ナノメートル規模の壁のネットワークは、好都合には、六角形または四角形の種類の幾何学的な格子を有する。
【0016】
セルネットワーク、ならびにネットワーク壁の構築は、当業者にとって周知のマイクロエレクトロニクスに由来する製造方法を使用することによって達成できる。非限定的な説明として、熱転写、熱エンボス加工、成形、フォトリソグラフィー、堆積(例えば接触印刷、スクリーン印刷またはインクジェット印刷)などのプロセスに言及することができる。好都合には、セルネットワークおよび/または壁のネットワークを構成するナノメートル規模の壁は、ナノ成形、ソフトリソグラフィーまたは液浸フォトリソグラフィーのプロセスによって作られる。
【0017】
セルネットワークおよび任意に壁のネットワークの全ての壁は、強固で透明な支持体上に直接に形成することが可能であり、あるいは軟質透明フィルム内に形成してから、強固で透明な支持体上に移すことができる。強固で透明な支持体は、セルを導入する側において、凸面、凹面、または平面でもよい。
【0018】
セルネットワークの幾何構造は、寸法パラメータによって特徴づけられる。寸法パラメータは、通常、光学部品の表面と平行なセルの寸法(D)、セルを分離する壁の高さ(h)に対応する高さ、および(部品表面と平行に測定される)これらの壁の厚さ(e)に縮約することができる。部品表面と平行に、セルは、好ましくは0.1μmから10μm(両方の値を含む)の高さ(h)の壁によって分離される。セルの寸法(D)は、非常に様々であり、数ナノメートルから500μmにわたってもよい。
【0019】
上記のような壁の寸法設計によって、90%を超える充填率τを有する光学部品の表面に並列されるセルの一群を製造することが可能である。本発明の状況において、充填率は、光学部品の単位面積あたりの、物質によって満たされるセルによって占められる領域として定義される。換言すれば、少なくとも、セルの一群を備える光学部品の領域において、全てのセルは部品の少なくとも90%を有する。好都合には、充填率は、90%から99.5%(両方の値を含む)、好ましくは98%から99.5%である。
【0020】
本方法の一実施形態において、少なくともセルの一部に含まれる光学特性を有する物質は、液体またはゲルの形態である。物質は、特に、着色、フォトクロミズム、偏光および屈折率から選択される光学特性の少なくとも1つを有することができる。
【0021】
光学部品のセルの一群は、異なる物質を含むセルのいくつかのグループを含んでもよい。同様に、各セルは、上記の1つ以上の光学特性を有する物質で満たされてもよい。
【0022】
本発明の更なる態様は、そのような光学部品を切り抜くことによって製造される透明な光学素子、特に眼鏡レンズに関する。眼鏡レンズは、眼科用レンズを含む。眼科用レンズとは、眼の保護および/または視力の矯正のために眼鏡フレームに適合したレンズを意味する。これらのレンズは、無限焦点、単焦点、二重焦点、三重焦点および累進多焦点のレンズから選択される。眼科光学は本発明の応用の好ましい分野であるが、本発明を他の種類の透明な光学素子(例えば光学機器用レンズ、特に写真撮影または天文学用のフィルタ、光学的観察レンズ、接眼レンズバイザー(ocular visors)、照明装置用光学素子など)に応用できることを理解すべきである。本発明において、眼科用の光学素子は、眼科用レンズ、ならびにコンタクトレンズおよび眼内レンズを含む。
【0023】
本願明細書に付加する図面に関して、本発明の他の特徴および効果は、限定しない典型的な実施態様で下記の説明で表される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1に示す光学部品10は、眼鏡レンズのための半加工品である。上記のように、眼鏡レンズは、眼科用レンズを含む。もちろん、眼科光学は本発明の応用の好ましい分野であるが、本発明を他の種類の透明な光学素子に応用できることを理解すべきである。
【0025】
図2は、図1の破線によって示す輪郭に沿って半加工品10を切り抜くことによって得られる眼鏡レンズ11を示す。この輪郭は、半加工品10の領域に収まることを条件として、基本的に任意である。従って、大量生産の半加工品を用いることによって、多種多様な眼鏡フレームに適合できるレンズを得ることができる。従来、切り抜かれるレンズの端は、フレームに適合する形状になるように、なおかつこのフレームにレンズを固定する方法に合わせて、および/または美的理由のために、何の問題もなく形を整えることができる。例えば、フレームに固定するために用いるネジを支える穴14をその中に穿設することが可能である。
【0026】
半加工品10の一般的な形状は、例えば直径70mm(ミリメートル)の円形の輪郭、前方の凸面12、および後方の凹面13によって、業界標準に準拠してもよい(図3)。従って、従来の切断、トリミングおよび穿孔のツールを用いることによって、半加工品10からレンズ11を得ることができる。
【0027】
図1および2において、表面層の一部を取り除いてみると、半加工品10およびレンズ11のピクセル化された構造が明らかになる。この構造は、部品の層17の中に形成されるセルまたはマイクロタンク15のネットワークからなり、各セルは壁18によって分離される。図面を読みやすくするために、これらの図において、層17、壁18、およびセル15の寸法は、半加工品10およびその基板16の寸法と比較して誇張されている。
【0028】
図4は、六角形の幾何構造に編成されるナノメートル規模の壁18によって分離されるセルネットワーク15を含む光学部品を示す。
【0029】
図5は、厚さ100nm未満の壁18によってこれらの隣接セルから分離され、2つのスペーサ28を含む、六角形セル15の正面図である。これらのスペーサ28は、光学部品の力学的性質を強化するのに役立つ。
【0030】
スペーサ28は、対応するセルの壁18から離れており、好ましくはそこから多少の距離をおいて位置する。それらは、部品表面と平行に測定される5μm未満の厚さを有してもよい。このように、スペーサ28は、セル15に含まれる物質に起因する特性と比較して、部品10の光学特性を実質的に変更しない。スペーサは、半加工品10の表面に対して垂直に0.1μmから10μmの高さを有する。都合のよいことに、スペーサ28は壁18と同一の高さを有し、セルの一群を構成する。
【0031】
任意に、スペーサ28は、吸収材料から作られてもよい。本発明の状況において、吸収材料は、少なくとも可視スペクトルの一部を吸収する材料、すなわち400nmから700nmの間の少なくとも1つの波長吸収帯を有する材料を意味する。好都合には、本発明によれば、全ての可視スペクトルにわたる吸収帯を有する材料が好ましい。壁を作るために使用する材料は、近赤外(すなわち700nm超)および/または近紫外(すなわち400nm未満)のスペクトル吸収帯を任意に含んでもよい。
【0032】
スペーサ28および壁18は、同一材料のそれぞれの部分を含んでもよい。あるいは、スペーサ28は、セル15に配置されるアドオン素子(added―on elements)でもよい。
【0033】
眼科光学の標準的技法によれば、セルネットワーク15を組み込む層17は、多くのさらなる層19、20によって覆われてもよい(図1)。これらの層は、例えば衝撃強度、耐引っかき性、着色性、反射防止、耐汚損性などの機能を有する。ここに示す例では、セルネットワーク15を組み込む層17は透明基板16の直上に配置されるが、それらの間に1以上の中間層(例えば衝撃強度、耐引っかき性、および着色性の機能を有する層)を配置してもよいことを理解すべきである。
【0034】
透明基板16は、眼科光学において一般に使用するガラスまたは様々なプラスチックから製造してもよい。使用するプラスチックの中で、指示するが限定しない方法で言及できるものは、ポリカーボネート、ナイロン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート/ポリカーボネート共重合体、ポリオレフィン(特にポリノルボルネン)、ジエチレングリコール重合体および共重合体、ビス(アリルカーボネート)、アクリル/メタクリル重合体および共重合体(特にビスフェノールAに由来するアクリル/メタクリル重合体および共重合体)、チオアクリル/メタクリル重合体および共重合体、ウレタンおよびチオウレタン重合体および共重合体、エポキシ重合体および共重合体、ならびにエピスルフィド重合体および共重合体である。
【0035】
セルネットワークを組み込む層17は、好ましくはその前方の凸面12に位置し、後方の凹面13は、必要に応じて機械加工および研摩によって任意に再形成することが自在である。光学部品は、レンズの凹面上に配置してもよい。明らかに、光学部品は、平面光学素子の上に組み込んでもよい。
【0036】
マイクロタンク15は、液体またはゲルの状態で光学特性を有する物質で満たされる。光学特性を有する物質を形成する溶液または懸濁液は、ネットワークの全てのマイクロタンクについて同じでもよく、その場合には、部品の適切な溶液への浸漬、シルクスクリーン印刷などの方法、スピンオンプロセス、またはスプレープロセスによって、簡単に導入することができる。インクジェットシステムを使用して、個々のマイクロタンクに局所的に注入することも可能である。
【0037】
満たされたマイクロタンクの一群を気密封止するために、例えば接着されたプラスチック薄膜を、壁18の最上部に、適用、熱融着または熱積層することができる。閉じられたゾーンに、溶液重合可能な材料(マイクロタンクに含まれる光学特性を有する物質と混合しない)を堆積させ、次に例えば熱または照射によってこの材料を重合させることも可能である。
【0038】
マイクロタンク15のネットワークが完成すると、部品にさらなる層またはコーティング19、20を導入することによって、その製造を完成できる。この種類の部品は、連続的に製造してから保管され、その後、顧客の必要に応じて取り出されて個々に切抜かれる。
【0039】
1つの変形において、マイクロタンクのネットワークからなる光学部品は、軟質透明フィルムの形で造られる。そのようなフィルムは、上記と類似の技術によって作ることができる。この場合、フィルムは、平面的な非凸面または非凹面の支持体の上に製造することができる。
【0040】
フィルムは、例えば、比較的大規模で工業的に製造され、次に適切な寸法に切り抜かれて半加工品の基板16に変形される。この変形は、軟質フィルムの結合、フィルムの熱成形、または真空下の物理的粘着によって達成できる。次に、フィルムは、以前の場合のように、様々なコーティングを導入することが可能であり、または上記のように1つ以上のさらなる層でコーティングされた基板16自体に変形することができる。
【0041】
本発明の1つの応用分野において、マイクロタンク15に導入される物質の光学特性は、その屈折率に関連がある。物質の屈折率を部品の表面に沿って調整することによって、補正レンズが得られる。例えば、マイクロタンクネットワーク15の製造中に異なる屈折率を有する物質を導入することによって、調整を達成することができる。
【0042】
本出願に使用できる物質の中で、例えばメソ多孔性材料または液晶について言及することができる。これらの液晶は、例えば照射によって生じる重合反応によって固定することができる。従って、それらは、通過する光波の所定の光学遅延を導入するように選択された状態に固定できる。メソ多孔性材料の場合、材料の屈折率は、その多孔性を変化させることによって制御することができる。別の可能性としてはフォトポリマーを使用することがあり、フォトポリマーの1つの周知の特性は、放射によって引き起こされる重合反応の間に屈折率が変化する。屈折率のこうした変化は、材料の密度の変更、および化学構造の変化に起因する。フォトポリマーを使用することが好ましく、フォトポリマーは重合反応の間に体積がごくわずかに変化するだけである。
【0043】
溶液または懸濁液の選択重合は、所望の指数調整を得るために、部品表面から空間的に区別された照射の存在下で実施される。この調整は、矯正される患者の眼の推定された屈折異常に従って前もって決定される。
【0044】
本発明の別の利用において、液体またはゲルの形態でマイクロタンクに導入される物質は、偏光特性を有する。本出願で使用される物質の中で、液晶について言及することができる。
【0045】
本発明の別の応用において、液体またはゲルの形態でマイクロタンクに導入される物質は、フォトクロミック特性を有する。本出願において使用される物質の中で中心モチーフ、例えばスピロオキサジン、スピロ(インドリン―[2,3']―ベンゾオキサジン、クロメン、ホモアザアダマンタンスピロオキサジン、スピロ(フルオレン―(2H)―ベンゾピラン)、ナフト[2,1―b]ピランなど)を含むフォトクロミック化合物を挙げられる。
【0046】
本発明の状況において、光学特性を有する物質は、染料、または透過度を変更するのに適切な色素でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の光学部品の正面図である。
【図2】光学部品から得られる光学素子の斜視図である。
【図3】本発明の光学部品の概略断面図である。
【図4】本発明によるセルネットワークおよび壁のネットワークを示す概略斜視図である。
【図5】スペーサを含むセルネットワークの他の型を示す概略正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な光学部品であって、近接して並置されると共に壁によって分離される複数セルよりなる前記部品の表面に平行な少なくとも1つの透明なネットワークを含み、各セルは気密封止され、各セルが光学特性を有する少なくとも1つの物質を含むと共に、前記部品の前記表面の全部または一部が厚さ100nm未満の壁を含む、光学部品。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部品において、前記部品の前記表面に対して平行な前記セルネットワークの全ての前記壁は、厚さ100nm未満である、光学部品。
【請求項3】
請求項1に記載の光学部品において、前記部品の前記表面に対して平行な前記セルネットワークの前記壁の一部は厚さ100nm未満であり、前記セルネットワークの前記壁の一部が厚さ0.10μmから5μmである、光学部品。
【請求項4】
請求項3に記載の光学部品において、厚さ100nmを超える前記セルネットワークの前記壁自体は、厚さ100nm未満の壁のネットワークである、光学部品。
【請求項5】
請求項4に記載の光学部品において、前記壁のネットワークは、四角形または六角形の格子に配置される、光学部品。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学部品において、前記セルの全部または一部は、六角形または四角形の種類の有限な幾何学形状を有する、光学部品。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光学部品において、前記セルの全部または一部は、不定の幾何学形状を有する、光学部品。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学部品において、前記セルネットワークの前記壁および前記壁のネットワークの前記壁は、光学部品の表面と平行に0.1μmから10μmの高さを有する、光学部品。
【請求項9】
前記セルネットワークおよび、任意には、前記壁のネットワークはその上に形成される強固で透明な支持体を含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項10】
前記セルネットワークおよび、任意には、前記壁のネットワークを組み込む透明膜は、その上に移される強固で透明な支持体を含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項11】
請求項9または請求項10のいずれか1項に記載の光学部品において、強固で透明な前記支持体は、前記セルネットワークおよび、任意には、前記壁のネットワークを導入する側の凸面および凹面および平面から選択される、光学部品。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の光学部品において、前記セルの少なくとも一部に含まれる光学特性を有する前記物質は、液体またはゲルの形態である、光学部品。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の光学部品において、前記光学特性は、色付け、フォトクロミズム、偏光および屈折率の特性から選択される、光学部品。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の光学部品において、前記セルの一群は、前記部品表面と平行に90%から99.5%(両方の値を含む)の充填率を有する、光学部品。
【請求項15】
請求項14に記載の光学部品において、前記充填率は、98%から99.5%である、光学部品。
【請求項16】
前記セルネットワークの少なくとも1つの前記セルは、前記部品の表面と平行に配置される1つ以上のスペーサを含む、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項17】
請求項16に記載の光学部品において、前記スペーサの各々は、0.1μmから10μmの高さを有する、光学部品。
【請求項18】
請求項16または請求項17のいずれか1項に記載の光学部品において、前記スペーサの各々は、5μm未満の厚さである、光学部品。
【請求項19】
請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の光学部品において、前記スペーサは吸収性を持つ、光学部品。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の光学部品において、前記スペーサおよび前記セルネットワークの前記壁、および任意には前記壁のネットワークの前記壁は、同一材料から作られる、光学部品。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の光学部品において、前記スペーサは、前記セルに配置されるアドオン素子である、光学部品。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の透明な光学部品の使用において、眼科用レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、光学機器用レンズ、フィルタ、光学的観察レンズ、接眼レンズバイザー、および照明装置用光学素子から選択される透明な光学素子の製作における、光学部品の使用。
【請求項23】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の眼鏡レンズにおいて、前記光学部品を切り抜くことによって製造される、眼鏡レンズ。
【請求項24】
請求項23に記載の眼鏡レンズにおいて、少なくとも1つの穴を前記部品に穿設することによって前記レンズをフレームに固定する、眼鏡レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−501956(P2009−501956A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522103(P2008−522103)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003387
【国際公開番号】WO2007/023394
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(505425373)エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラレ ドプテイク) (74)
【Fターム(参考)】