ナノエマルジョンを製造および使用するための組成物および方法
【課題】均一かつ離散的範囲の非常に小さなナノサイズ粒子直径を有する改善されたナノエマルジョンを提供する。
【解決手段】得られる均一性により、減少したTmax、増加したCmax、および増加したAUCを含むがそれらに限定されない様々な薬物動態パラメータに反映されるように、組み入れられた化合物(すなわち薬剤または栄養補助食品)のバイオアベイラビリティが改善される。これらの均一ナノエマルジョンを製造する改善された方法は、ナノ粒子組成物を生成させるのに使用される従来の摩砕および粉砕技術と比較すると、過程および機構の両方が異なるマイクロ流動化を使用する。さらに、これらのナノエマルジョンは、細菌耐性であり、温度およびpH変化の両方において極端に安定であることが観察されている。結果として、これらのナノエマルジョンは、現在入手可能なナノエマルジョンよりも著しく長い保存期間を有すると予測される。
【解決手段】得られる均一性により、減少したTmax、増加したCmax、および増加したAUCを含むがそれらに限定されない様々な薬物動態パラメータに反映されるように、組み入れられた化合物(すなわち薬剤または栄養補助食品)のバイオアベイラビリティが改善される。これらの均一ナノエマルジョンを製造する改善された方法は、ナノ粒子組成物を生成させるのに使用される従来の摩砕および粉砕技術と比較すると、過程および機構の両方が異なるマイクロ流動化を使用する。さらに、これらのナノエマルジョンは、細菌耐性であり、温度およびpH変化の両方において極端に安定であることが観察されている。結果として、これらのナノエマルジョンは、現在入手可能なナノエマルジョンよりも著しく長い保存期間を有すると予測される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はナノエマルジョンの分野に関する。1つの態様では、ナノエマルジョンは高せん断応力技術を用いて製造される。1つの態様では、本発明は均一マイクロ流動化(microfluidized)ナノエマルジョンを含む。別の態様では、均一なナノエマルジョンは、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品などの化合物を含む。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンに比べ改善された薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、本発明は細菌耐性ナノエマルジョンの製造方法を企図する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイクロ/ナノエマルジョン技術は実質的に商業的価値を有する。栄養補助食品領域のみに関しては、市場価値は世界で2500億ドルのビジネスと評価されている。結果として、脂溶性栄養補助食品を飲料(食品産業の一番の成長要素)および低または無脂肪食品に組み入れることができることは非常に興味深い。
【0003】
必要とされるのは、i)改善された温度およびpH安定性;ii)改善されたバイオアベイラビリティ;ならびにiii)微生物耐性による改善された保存期間を有するナノエマルジョンである。さらに、ナノエマルジョンは比較的調製が容易で安価であるべきである。
【発明の概要】
【0004】
概要
本発明はナノエマルジョン分野に関する。1つの態様では、ナノエマルジョンは高せん断応力技術を用いて製造される。1つの態様では、本発明は均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを含む。別の態様では、均一ナノエマルジョンは、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品などの化合物を含む。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンに比べ改善された薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、本発明は細菌耐性ナノエマルジョンの製造方法を企図する。
【0005】
1つの態様では、本発明は、最大および最小直径を有する粒子の集団を含むエマルジョンを企図し、ここで、最大および最小直径の間の差は100nmを超えない。
【0006】
1つの態様では、本発明は、約10と約110nmの間の直径を有する粒子の集団を含むエマルジョンを企図し、ここでナノエマルジョンには、110nmを超える直径を有する粒子が混入していない。1つの態様では、粒子は化合物を封入する。1つの態様では、化合物は薬剤である。別の態様では、化合物は栄養補助食品である。
【0007】
1つの態様では、本発明は、第1および第2の粒子集団を含むナノエマルジョンを企図し、ここで、第1集団中の粒子の大部分が約10〜約20nmの間の直径を有し、ここで、第2集団中の粒子の大部分が約40〜約80nmの間の直径を有し、ナノエマルジョンには110nmを超える直径を有する粒子が混入していない。1つの態様では、粒子は化合物を封入する。1つの態様では、化合物は薬剤である。1つの態様では、化合物は栄養補助食品である。約50〜約150nmの間の直径を有する粒子集団を含むナノエマルジョンには、160nmを超える直径を有する粒子が混入していない。1つの態様では、粒子は化合物を封入する。1つの態様では、化合物は薬剤である。1つの態様では、化合物は栄養補助食品である。
【0008】
1つの態様では、本発明は、a)i)化合物および液体分散媒質を含むプレミックスであって、ここで該化合物が該媒質中で30mg/mlを超える溶解度を有する、プレミックス、ならびにii)少なくとも25,000PSIを維持することができるマイクロフルイダイザー(microfluidizer)を提供する工程;b)プレミックスのマイクロフルイダイザーへのシングルパス(single pass)暴露を使用して、約10〜110nmの間の範囲の直径を有するナノエマルジョン粒子集団を生成させる工程を含む方法を企図する。1つの態様では、分散媒質は、水性媒質および油性媒質からなる群より選択される。1つの態様では、水性媒質は、水、リンゲル液、デキストロース、および短鎖アルコールからなる群より選択される。1つの態様では、油性媒質は、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油、シリコーン油、鉱物油、および植物由来の油を含むが、それらに限定されない群より選択される。1つの態様では、化合物は、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、および大豆タンパク質を含むが、それらに限定されない群から選択される。
【0009】
1つの態様では、本発明は、a)i)加熱分散媒質;ii)媒質中で実質的な溶解度を有する化合物;およびiii)媒質から均一なナノエマルジョンを製造することができるマイクロフルイダイザーを提供する工程;b)少なくとも70℃の温度で媒質に化合物を添加し、プレミックスを生成させる工程;ならびにc)少なくとも25,000PSIの圧力でプレミックスをマイクロ流動化し、10〜110nmの間の範囲の粒子直径を有するナノエマルジョンを生成させる工程を含む方法を企図する。1つの態様では、分散媒質は大豆油および水からなる群より選択される。1つの態様では、分散媒質は少なくとも65℃まで加熱される。1つの態様では、化合物は、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン、ホエータンパク質、および大豆タンパク質を含む群から選択してもよい。1つの態様では、ナノエマルジョンは化合物を封入する。1つの態様では、粒子直径の86%が54nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の14%が16nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の82%が64nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の17%が19nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の78%が88nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の22%が27nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の84%が90nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の16%が23nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の80%が55nmの平均直径を有する。
【0010】
1つの態様では、本発明は、a)i)化合物、第1の酸化防止剤、第2の酸化防止剤、および水性分散媒質を含むプレミックスであって、該化合物が該媒質中で30mg/mlを超える溶解度を有する、プレミックス;ならびにiii)少なくとも25,000PSIで維持することができるマイクロフルイダイザーを提供する工程;c)プレミックスのマイクロフルイダイザーへのシングルパス暴露を用いて、約40〜110nmの間の範囲の直径を有するナノエマルジョン粒子集団を生成させる工程であって、粒子直径が少なくとも4ヶ月安定なままである工程を含む方法を企図する。1つの態様では、方法はナノ粒子集団を低温殺菌する工程であって、粒子直径が安定なままである工程をさらに含む。1つの態様では、方法は、ナノエマルジョン粒子集団を凍結させる工程であって、粒子直径が安定なままである工程を含む。
【0011】
1つの態様では、本発明は、a)i)第1の酸化防止剤を含む安定な水性分散媒質;ii)天然乳化剤を含む溶液;ii)第2の酸化防止剤を含む該媒質中で、実質的な溶解度を有する化合物;iii)媒質から均一なナノエマルジョンを製造することができるマイクロフルイダイザーを提供する工程;b)化合物および溶液を媒質に添加し、少なくとも50℃の温度まで加熱しプレミックスを生成させる工程;ならびにc)プレミックスを少なくとも25,000PSIの圧力でマイクロ流動化させ、40〜110nmの範囲の粒子直径を有するナノエマルジョンを生成させる工程であって、粒子直径が少なくとも4ヶ月安定なままである工程を含む方法を企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは化合物を封入する。1つの態様では、方法はさらに、ナノエマルジョンを低温殺菌する工程であって、粒子直径が安定なままである工程を含む。1つの態様では、方法はさらに、ナノエマルジョンを凍結させる工程であって、粒子直径が安定なままである工程を含む。1つの態様では、溶液は乳を含む。1つの態様では、化合物はDHA魚油を含む。1つの態様では、低温殺菌はナノエマルジョンを75℃に30秒間暴露する工程を含む。1つの態様では、凍結はナノエマルジョンを-4℃に24時間暴露する工程を含む。
【0012】
1つの態様では、本発明は、a)i)治療的有効量で投与した化合物に対し不応性である被験体;ii)化合物を封入している約10〜約110nmの直径を有する粒子集団を含むナノエマルジョンであって、110nmを超える直径を有する粒子が混入していないナノエマルジョンを提供する工程;b)化合物アベイラビリティが改善され、化合物が治療的に有効となるような条件下で、ナノエマルジョンを患者に送達する工程を含む方法を企図する。1つの態様では、改善されたバイオアベイラビリティは、減少したTmax、増加したCmax、および増加したAUCからなる群より選択される薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、送達工程は、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、および皮下からなる群より選択される方法を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは植物ステロールを含む。1つの態様では、ナノエマルジョンはリコピンを含む。
【0013】
1つの態様では、本発明は、均一なマイクロ流動化ナノエマルジョンを提供する工程、および均一ナノエマルジョンを被験体に送達する工程を含む、ナノエマルジョンバイオアベイラビリティを改善するための方法を企図する。1つの態様では、被験体は哺乳類を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは化合物を封入する。1つの態様では、ナノエマルジョンは経口投与により送達される。別の態様では、ナノエマルジョンは、経皮、静脈内、腹腔内、筋内または皮下を含むがそれらに限定されない方法により送達される。1つの態様では、改善されたバイオアベイラビリティは減少したTmax、増加したCmax、および増加したAUCからなる群より選択される薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは経口投与のために製剤化される。1つの態様では、ナノエマルジョンは植物ステロールを含む。1つの態様では、ナノエマルジョンはリコピンを含む。
【0014】
1つの態様では、本発明は、細菌耐性特性を有するナノエマルジョンを企図し、ここで、ナノエマルジョンは化合物を封入している粒子集団を含み、粒子は約10〜約110nmの間の直径を有し、ナノエマルジョンには110nmを超える直径を有する粒子が混入していない。1つの態様では、ナノエマルジョンは少なくとも3ヶ月間の細菌増殖に抵抗する。1つの態様では、細菌耐性特性は、せん断力により誘発された細胞溶解を含む。1つの態様では、細菌耐性特性は、酸化環境を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは無菌である。
【0015】
1つの態様では、本発明は、細菌耐性特性を有する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは少なくとも3ヶ月間細菌増殖に抵抗する。1つの態様では、ナノエマルジョンは10〜110nmの間の直径分布を有する粒子を含む。1つの態様では、細菌耐性特性は、せん断力により誘発された細胞溶解を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは無菌である。
【0016】
1つの態様では、本発明は、a)i)化合物および液体分散媒質を含むプレミックス;ならびにii)高圧下で連続乱流を生成させることができる装置を提供する工程;b)装置を使用して、均一な直径を有するナノエマルジョン粒子集団を生成させる工程を含む方法を企図する。1つの態様では、分散媒質は、水性媒質および油性媒質からなる群より選択される。1つの態様では、水性媒質は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース、および短鎖アルコールからなる群より選択される。1つの態様では、油性媒質は、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油、シリコーン油、鉱物油からなる群より選択される。1つの態様では、化合物は、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、および大豆タンパク質からなる群より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、調製後3ヶ月での、マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。図1Aは、調製後3ヶ月での、マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンの粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図2】調製後4ヶ月のマイクロ流動化タラ肝油ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図3】調製後5ヶ月のマイクロ流動化トコフェロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図4】マイクロ流動化ルテイン/ゼアキサンチンナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図5】マイクロ流動化大豆タンパク質ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図6】マイクロ流動化ホエータンパク質ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図7】マイクロ流動化オレンジジュース/植物ステロール/ルテインナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図8】調製後2ヶ月のマイクロ流動化DHA魚油/水ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図9】調製後3週間のマイクロ流動化DHA魚油/乳ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図10】マイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図11】低温殺菌後のマイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図12】凍結-融解過程後のマイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図13】リコピン-強化食を与えた時のスナネズミ血漿リコピンレベルの例示的なデータを示す。
【図14】マイクロ流動化リコピンナノエマルジョン食を与えた時のスナネズミ血漿リコピンレベルの例示的なデータを示す。
【図15】マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンの調製中に生成した抗菌特性の1つの態様を示す。
【図16】実施例12で使用したマイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図17】マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン食は、4週間の間、微粉化植物ステロール食または結晶植物ステロール食のいずれかよりも、高コレステロール血症ハムスターの血漿LDL-Cの減少においてより効果的であることを示す例示的なデータを示す。
【図18】パネルA:‘118特許のようにTween(登録商標)80/水;およびパネルB:本発明の1つの態様により企図されるように油/レシチン/Tween(登録商標)80/水由来のプレミックスコレステロール粒子直径分布を比較した例示的なデータを示す。
【図19】パネルA:繰り返しマイクロ流動化パスを使用する‘118特許のようなTween(登録商標)80/水;およびパネルB:シングルマイクロ流動化パスを使用する本発明の1つの態様により企図されるような油/レシチン/Tween(登録商標)80/水由来のマイクロ流動化コレステロールナノエマルジョン粒子直径分布を比較した例示的なデータを示す。
【図20】パネルA:シングルパス暴露を使用する‘118特許のようなTween(登録商標)80/水;およびパネルB:シングルパス暴露を使用する本発明の1つの態様により企図されるような油/レシチン/Tween(登録商標)80/水由来のマイクロ流動化コレステロールナノエマルジョン粒子直径分布を比較した例示的なデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
一般に、本明細書で使用される用語は、当業者に一般に認められる定義に従い解釈されるべきである。しかしながら、下記で列挙した用語は、下記定義に従い解釈されるべきである。
【0019】
本明細書で使用されるように、「マイクロ流動化された」、「マイクロ流動化する」、または「マイクロフルイダイザー」は、高圧で連続乱流を使用する機器または過程を意味し、均一エマルジョンを生成させるのに有用である可能性のあるマイクロフルイダイザーまたは他の同様の装置が挙げられるが、それらに限定されない。例えばマイクロ流動化は、30秒間以内でプレミックスから薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品を含む均一ナノエマルジョンを生成し得る(典型的には、シングルパス暴露と呼ばれる)。典型的には、マイクロフルイダイザーは約25,000PSIの圧力で動作させてもよく、均一のナノエマルジョンが発生する。
【0020】
本明細書で使用されるように「均一エマルジョン」は、最小直径と最大直径との間の差が約600nm、好ましくは約300nm、より好ましくは約200nm、もっとも好ましくは約100nmを超えない、特定の範囲の粒子直径サイズを有する任意のエマルジョンを意味する(すなわち、本明細書で企図されるように、マイクロ流動化は約10〜110nmの範囲を有する均一ナノエマルジョンを生成し、本明細書では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンと呼ばれる)。好ましくは、総粒子分布(すなわち、100%)が、特定の粒子直径サイズ範囲内に包含される。3%未満が特定の粒子直径サイズ範囲外にある粒子直径分布もさらに、本明細書で均一ナノエマルジョンとして企図される。
【0021】
本明細書で使用されるように「集団」という用語は、直径サイズのある分布を有するナノエマルジョン粒子の任意の混合物を意味する。例えば、ナノエマルジョン粒子の集団は、約10〜110nmの間の粒子直径範囲であってもよい。
【0022】
本明細書で使用されるように「ナノ粒子」という用語は、国立科学財団により規定されるように、300ナノメートル(nm)未満、または国立衛生研究所により規定されるように、好ましくは100nm未満の直径を有する任意の粒子を意味する。ほとんどの従来の技術では、約300ナノメートル(nm)またはそれ以上の平均粒子直径を有するナノ粒子組成物が生成される。
【0023】
本明細書で使用されるように「分散媒質」という用語は、加熱の際、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品が溶解され得る任意の油性または水性液を意味する。油性液としては、大豆、紅花、オリーブ、トウモロコシ、綿実、亜麻仁、紅花、ヤシ、ピーナッツ、アマニ、ヒマワリ、米ぬか、ゴマ、菜種、ココアバターなど、およびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油;シリコーン油;および鉱物油が挙げられるが、それらに限定されない。また、水性媒質としては、水、生理食塩水、短鎖アルコール、5%デキストロース、リンゲル液(乳酸加リンゲル液、乳酸加リンゲル+5%デキストロース液、アシル化リンゲル液)、Normosol-M、Isolyte Eなど;ならびに、高い界面活性剤特性を有する合成および/または天然洗浄剤、デオキシコール酸、シクロデキストリン、カオトロピック塩およびイオン対形成剤(ion pairing agent)、など、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用されるように「化合物」という用語は、実質的に分散媒質中に溶解しうる任意の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品(すなわち、例えば、有機化学薬品、脂質、タンパク質、油、ビタミン、結晶、鉱物など)を意味する。
【0025】
本明細書で使用されるように「実質的に可溶性の」という用語は、30mg/mlを超える濃度まで分散媒質中に溶解する任意の化合物を意味する。好ましくは、化合物を溶解させる間、分散媒質を加熱する。
【0026】
本明細書で使用されるように「プレミックス」という用語は、その後、ナノ粒子組成物または均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを生成させるために使用される任意の混合物を意味する。典型的には、プレミックスは液体分散媒質および化合物を含み、任意で、乳化剤および/または酸化防止剤を含む。
【0027】
本明細書で使用されるように「安定な」という用語は、直径が、長期にわたり(すなわち、例えば、1日〜24ヶ月、好ましくは2週間〜12ヶ月、より好ましくは2ヶ月〜5ヶ月)、約10〜110nmの範囲内にあるナノエマルジョン粒子の任意の集団を意味する。例えば、ナノエマルジョン粒子集団が長期保存、温度変化、および/またはpH変化に供され、その直径が約10〜110nmの間の範囲にある場合、ナノエマルジョンは安定である。
【0028】
本明細書で使用されるように「細菌耐性」という用語は、観察可能な細菌の増殖がないことを意味する。
【0029】
本明細書で使用されるように「無菌」という用語は、生きた細菌細胞を含んでいないナノエマルジョンを意味する。
【0030】
本明細書で使用されるように「薬学的に許容される」という用語は、信頼できる医療判断の範囲内にある、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適しており、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症がなく、相応な利益/危険比に見合った、化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味する。
【0031】
本明細書で使用されるように「薬学的に許容される塩」という用語は、親化合物が、その酸性塩または塩基性塩を形成することにより修飾された誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸性塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩;などが挙げられるが、それらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性無機または有機酸から形成された親化合物の通常の非毒性塩または四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような通常の非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されるもの;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、などの有機酸から調製される塩が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用されるように「治療的有効量」という用語は、薬物用量に関し、治療の必要な有意数の被験体に薬物を投与または送達すると、特定の薬理応答を提供する用量を意味する。特定の場合に特定の被験体に投与した「治療的有効量」は、そのような用量が当業者により「治療的有効量」と考えられたとしても、本明細書で記載した疾患の治療において必ずしも有効ではないことを強調する。実際、特定の被験体は、「治療的有効量」に対し「不応性」である可能性がある。例えば、不応性被験体は、低いバイオアベイラビリティを有する可能性があり、そのため、臨床効果が得られない。さらに、特定の場合、薬物用量は、経口用量として測定され、または血液中で測定した薬物レベルを参照したものであることを理解すべきである
【0033】
本明細書で使用されるように「不応性」という用語は、活動している医療従事者により普通観察される化合物の送達後に予測される臨床効果をもって応答しない任意の被験体を意味する。
【0034】
本明細書で使用されるように「送達」または「投与」という用語は、医学界で標準と認められているような、被験体に薬剤または栄養補助食品を提供するための任意の経路を意味する。例えば、本発明は、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、または皮下を含むがそれらに限定されない送達または投与経路を企図する。
【0035】
本明細書で使用されるように「被験体」という用語は、本発明の態様が送達または投与される可能性のある任意の動物を意味する。例えば、被験体は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、マウス、ラット、スナネズミ、ハムスターなどとしてもよい。
【0036】
「封入する」、「封入された」または「封入している」という用語は、保護材料により完全に取り囲まれた任意の化合物を意味する。例えば、化合物は、マイクロ流動化中にナノエマルジョン粒子形成集団に封入されてもよい。
【0037】
「栄養補助食品」という用語は、基本的な栄養価の他に健康または医学的利益を提供する、食事源に添加される任意の化合物(すなわち、例えば、強化食品または健康補助食品)を意味する。
【0038】
「薬用化粧品」という用語は、化粧品および薬剤特性の両方を有する調製物に添加される任意の化合物(すなわち、例えば、過酸化ベンゾイルまたはレチノール)を意味する。薬用化粧品は一般に、顔貌または全体の外見を改善するために、外用薬として有用である。クリーム、油、フォーム、噴霧、液体などを含むがそれらに限定されない組成物として、薬用化粧品を適用してもよい。薬用化粧品は、カロテノイド、フェノール化合物、または水溶性酸化防止剤などのカテゴリを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0039】
発明の詳細な説明
本発明はナノエマルジョンの分野に関する。1つの態様では、ナノエマルジョンは高せん断応力技術により生成される。1つの態様では、本発明は均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを含む。別の態様では、均一ナノエマルジョンは、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品などの化合物を含む。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンと比較すると改善された薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、本発明は、細菌耐性ナノエマルジョンを製造する方法を企図する。
【0040】
送達システムとしてのナノエマルジョンの使用は、一般に薬剤を対象とする。しかしながら、ナノエマルジョン栄養補助食品の送達にはほとんど関心が寄せられていない。例えば、1つのナノエマルジョン系は植物ステロールを含む。Bruce et al., “Method for producing dispersible sterol and stanol compounds”米国特許第6,387,411号(2002)(参照により本明細書に組み入れられる)。しかしながら、この技術は、ナノエマルジョンを生成させるために粉砕法を使用し、その結果、粒子直径は、本明細書で企図したものより少なくとも6倍大きくなる。発明の機序を理解する必要はないが、この直径差は安定性および有効性(以下)において特に有利であると考えられる。さらに、‘411特許は吸収性微量栄養素の組み込みについて開示していない。
【0041】
送達システムとしてのナノエマルジョンの別の使用は、薬用化粧品を対象とする。薬用化粧品は、例えば、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコピン、クロセチン、フコキサンチン、ハロシンチアキサンチン、カンタキサンチン、アストラキサンチン、ルテイン、またはゼアキサンチンを含むがそれらに限定されないカロテノイド;ケルセチン、ルチン、ミリセチン、カエムフェロール、カテキン、エピガロカテキン、エピカテキン、レゼルバトロール、トコフェロール、フェルレート、ユビキノール-10、大豆イソフラボン、例えばゲネステイン、ダイドゼイン、αリポ酸、アントシアニン、エラグタンニン、没食子酸またはエラグ酸を含むがそれらに限定されないフェノール化合物;または水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、尿酸、またはビリルビンを含んでもよい。
【0042】
本発明は、脂肪酸、カロテノイド、トコフェロール、トコトリエノール、およびコエンザイム-Qを含むがそれらに限定されない吸収可能な(すなわち、例えば、脂溶性)栄養素のための経口送達ビヒクルを含むナノ粒子またはナノエマルジョンの集団を対象とする。しかしながら、送達法は経口に限定されず、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、または皮下を含むが、それらに限定されない。別の態様では、カロテノイドは、ルテインおよびゼアキサンチンを含むが、それらに限定されない。本発明はまた、フェトステロールおよびフィトスタノールを含むが、それらに限定されない非吸収(すなわち、例えば、脂溶性)植物ステロール化合物のための経口送達ビヒクルを含むナノ粒子またはナノエマルジョンの集団を対象とする。1つの態様では、化合物はナノ粒子またはナノエマルジョンにより封入される。1つの態様では、一般的な乳化剤を使用してナノエマルジョンを調製する。1つの態様では、乳化剤としては、リン脂質、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、またはポリソルベートが挙げられるが、それらに限定されない。
【0043】
本発明はまた、本発明のあるナノエマルジョン態様は、当技術分野において公知の現在の方法および組成物に対し、改善されたバイオアベイラビリティが得られる表面積対体積比を含むことを企図する。
【0044】
本発明はまた、本発明のあるナノエマルジョン態様は、微生物増殖に対し耐性を有することを企図する。発明の機序を理解する必要はないが、マイクロ流動化過程は、高せん断応力を含み、および/または酸化環境を生成させ、これにより、微生物完全性が妨害され、および/または微生物増殖が阻止される。
【0045】
I.ナノエマルジョンの製造方法
ナノエマルジョンは様々な方法により生成される。特に、これらの方法は粒子直径の広範囲にわたる変動を提供し、有機溶媒およびまたはポリマーを必要とする。これらの公知のナノエマルジョンを経口薬または栄養素送達システムのために考えると、生体適合性および生理学的副作用の問題が重要な問題となってくる。
【0046】
1つの態様では、本発明は、高圧の連続乱流を含むナノエマルジョンを製造する方法を企図する。1つの態様では、高圧乱流は、マイクロ流動化を含む。1つの態様では、シングルパス暴露(すなわち、例えば、30秒以内)を用いプレミックスから均一ナノエマルジョンを生成させる。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは、最小直径および最大直径の間の差が約100nmを超えない粒子集団を含む。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは少なくとも25,000PSIの圧力を用いて生成される。1つの態様では、本発明は、有機溶媒またはポリマー無しで均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを製造する方法を企図する。1つの態様では、マイクロ流動化ナノエマルジョンは、懸濁液から製造される。別の態様では、マイクロ流動化ナノエマルジョンはマイクロエマルジョンから製造される。
【0047】
1つの態様では、本発明は、液体分散媒質に実質的に可溶性の化合物を使用する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは化合物を封入する。1つの態様では、化合物は薬剤および/または栄養補助食品を含む。
【0048】
例示的な栄養補助食品および健康補助食品は、例えば、特に参照により組み入れられているRoberts et al., Nutriceuticals: The Complete Encyclopedia of Supplements, Herbs, Vitamins, and Healing Foods (American Nutriceutical Association, 2001) において開示されている。健康補助食品および栄養補助食品はまた、どちらも参照により組み入れられているPhysicians’ Desk Reference for Nutritional Supplements, 1st Ed. (2001)およびThe Physicians’ Desk Reference for Herbal Medicines, 1st Ed. (2001)において開示されている。植物化学物質または機能性食品としても公知の栄養補助食品または健康補助食品は一般に、健康補助食品、ビタミン、ミネラル、ハーブ、または身体に対し医学的または生物学的効果を有する治癒食品のクラスのいずれか一つである。
【0049】
例示的な栄養補助食品または健康補助食品としては、ルテイン、葉酸、脂肪酸(例えば、DHAおよびARA)、果実および野菜抽出物、ビタミンおよびミネラル補助食品、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエベラ、グッグル、アミノ酸(例えば、グルタミン、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、およびバリン)、緑茶、リコピン、ホールフード、食品添加物、ハーブ、植物栄養素、酸化防止剤、果実のフラボノイド成分、月見草油、亜麻仁、魚および海洋動物油、およびプロバイオティクスが挙げられるが、それらに限定されない。栄養補助食品および健康補助食品はまた、「医薬食品(pharmafood)」としても公知の、所望の特性を有するように遺伝的に設計された生物工学食品を含む。
【0050】
特に、これらの化合物は、天然由来の油、脂肪酸、およびタンパク質を含むが、それらに限定されない。1つの態様では、天然由来の油は魚油(すなわち、例えば、タラ肝油)を含む。1つの態様では、天然由来の脂肪酸はω-3(すなわち、例えば、DHA)を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンはほとんどまたは全く脂肪を含まない。1つの態様では、天然由来のタンパク質は大豆またはホエーを含む。
【0051】
1つの態様では、本発明は、直径が10〜110nmの間の範囲にある粒子集団を含む均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを製造する方法を企図する。
【0052】
A.マイクロフルイダイザー
マイクロフルイダイザーは、単動式インテンシファイアポンプに動力を供給する独特な過程である。インテンシファイアポンプは、油圧を選択したレベルまで増幅し、生成物ストリームにその圧力を付与する。ポンプが圧力ストロークにより移動するにつれ、相互作用チャンバを通して一定圧力で生成物を駆動する。相互作用チャンバ内では、固定形状のマイクロチャネルが特別に設計され、それを通して生成物ストリームが高速まで加速され、高せん断および衝撃力が生成され、これにより、高速生成物ストリームがそれ自体、および耐摩耗性表面に作用するにつれ、均一なナノエマルジョンが生成する。
【0053】
インテンシファイアポンプがその圧力ストロークを完了すると、方向を逆にし、新しい多量の生成物を吸引する。取り込みストロークの終了時に、再び方向を逆にし、生成物を一定圧力で駆動し、これにより過程を繰り返す。
【0054】
相互作用チャンバを出ると、生成物は、生成物を所望の温度に調節する機内熱交換器を通って流れる。この時点で、生成物を、さらに処理するためシステムを通って再循環させてもよく、または過程の次の工程に向かって外部に誘導してもよい。Cook et al., “Apparatus For Forming Emulsion” 米国特許第4,533,254号(1985);およびCook et al., “Method Of Forming A Microemulsion” 米国特許第4,908,154号(1990)(どちらも参照により本明細書に組み入れられる)。
【0055】
B.ナノ粒子組成物
ナノ粒子組成物を作製するためにマイクロフルイダイザーを使用する初期の試みは、液体分散媒質中での溶解度が低い薬物を必要とした。1つの開示された技術では、「溶解度が低い」は10mg/ml未満と規定された。Bosch et al., “Process for preparing therapeutic compositions containing nanoparticles”米国特許第5,510,118号(1996)(参照により本明細書に組み入れられる)。好ましくは非水溶性が考えられたが、非油溶性化合物もまたマイクロ流動化過程に供した。‘118特許のマイクロ流動化過程は、「摩砕(milling)」作用として記載されており、このように、不溶性化合物粒子はナノ粒子組成物の生成中に物理的崩壊を受けることが示される。さらに、この前の過程は長い処理時間を必要とし(すなわち、繰り返しマイクロ乳化サイクル)、これにより、マイクロフルイダイザー中での熱蓄積が促進される。その結果、この初期技術では40℃未満の処理温度が必要となる。1つの問題は、この技術により、約300nmの平均ナノエマルジョン粒子直径が得られたことである。より低い粒子直径(すなわち、100nm未満)が達成できるという‘118特許の教示にもかかわらず、そのような可能性を証明するデータが示されていない。本明細書で示した例示的なデータはBoscheらの過程を使用し、完全な粒子直径分布プロファイルを生成させた。実施例13を参照されたい。これらのデータは、Boschらの技術は、本発明により企図されるような均一ナノエマルジョンを生成させることができないことを示す。
【0056】
ほかの幾人かは基本の‘118技術を実行し様々な不溶性化合物を封入させた。実際、これらのその後の開示は、ナノ粒子組成物を、「非架橋表面安定化剤をその表面上に吸着させた、またはその表面と結合させた、溶解度の低い治療または診断薬」として規定する。Cooper et al., “Nanoparticulate Sterol Formulations And Novel Sterol Combinations”米国特許出願公開番号第2004/0033202 A1号(2004)(1ページ3パラグラフを参照されたい)(参照により本明細書に組み入れられる)。‘118特許のように、Cooperらは、液体分散媒質(すなわち、水、油、アルコール、グリコールなど)中での溶解度が低い化合物を使用したナノ粒子組成物の調製を開示する。例えば、Cooperらは、「溶解度に低い」薬物を約30mg/ml未満の溶解度を有するものとして規定する。例えば、1つまたは複数のステロールまたはスタノール(すなわち、シトステロールまたはフィトステロール)を含む植物ステロールナノ粒子が、当技術分野において、50nm未満の粒子直径を有するものとして示唆されている。Cooperらは、マイクロフルイダイザーを使用しておらず、10〜110nmの間の範囲の均一粒子直径を提供できることを示すデータも示していない。その代わりに、Cooperらは、10〜110nmの間の範囲の均一粒子直径分布を生成させないより従来の摩砕過程に頼っている。
【0057】
Cooperらは当技術分野においてDYNO(登録商標)-MILL KDLとして公知の摩砕粉砕機を使用する。この装置は現在米国では、Glen Mills, Inc.(Clifton, NJ)により市販されており、下記技術情報で宣伝されている。DYNO(登録商標)-MILLは、塗料およびコーティングから薬物製造およびタンパク質抽出のための細胞破壊までの用途を有する用途の広い水平ビードミルである。平均直径320nmまでの粉砕が研究報告で報告されている。DYNO(登録商標)-MILLの動作は常に湿性であり、すなわち、粉砕される材料は任意の適した液体中の懸濁液として保持される。ジャケット形粉砕チャンバは、中心軸の長さに沿って等間隔の一連の攪拌機を含む。粉砕チャンバ上のジャケットを使用して、処理する材料温度を制御する。チャンバは一端で固定され、軸上で片持ちとなる。軸受端はセパレータギャップを含み、これは、20μmと密着して設定することができるクリアランス公差を有する。チャンバはその最大容積の約80%までビーズ(すなわち、PolyMill(登録商標)500;500μm直径粉砕ビーズ)で充填される。特定の用途により、ガラス、セラミック、金属、炭化タングステンおよび他の材料から作製したビーズを使用することができる。加工材料をここで、チャンバに導入する。チャンバが材料およびビーズで満たされると、機械はスイッチが入れられ、撹拌機ディスクが回転し、ビーズを何度も繰り返して、加工材料とハリケーン様力で衝突させる。何千もの別個の衝突を有するこの作用により、迅速な、一貫したサイズ減少が得られる。バッチおよび連続処理を、同じミルで、粉砕チャンバおよびギャップ設定を変更することにより取り扱うことができる。
【0058】
最高でも、Cooperらは、粒子直径の90%が187nm未満である植物ステロールナノ粒子組成物に制限される。しかしながら、実際の粒子直径分布は示されていない。1つの態様では、本発明は、Cooperらにより記載されている技術は10〜110nmの範囲の均一粒子直径分布を生成させることができないことを企図する。実施例14を参照されたい。本発明のいくつかの態様とは異なり、Cooperらは加熱過程を含むナノ粒子組成物の製造法を考えていなかった。実際、Cooperらは、加熱を含む過程を用いた植物ステロールナノ粒子組成物の調製は望ましくなく、問題があると結論づける考察を提示している。本発明のいくつかの態様は、それらの問題を解決している。
【0059】
選択した液体分散媒質中で不溶性の2つの薬物、メロキシカムおよびトピラメートが、Cooperらのナノ粒子組成物技術を用いた改善臨床投与のための可能性のある候補として示唆されている。Cooper et al., “Nanoparticulate meloxicam formulations”米国特許出願公開番号第2004/0229038号(2004);およびGustow et al., “Nanoparticulate topiramate formulations”米国特許出願公開番号第2004/0258758号(2004)。いずれの公開も、約10〜110nmの範囲の粒子直径範囲を有する均一マイクロ流動化マイクロエマルジョンの生成を証明する例示的なデータを含まない。
【0060】
C.ナノ乳化
主に小粒子の均一混合物(すなわち、例えば、集団)の形成には、「乳化」と呼ばれる物理過程が含まれる可能性がある。エマルジョンは、従来、当技術分野では、「非混和性液体中、通常、コロイドサイズよりも大きな滴で、乳化剤と共に、または乳化剤なしで、分散された液体から構成される系として」規定されている。Medline Plus Online Medical Dictionary, Merriam Webster(2005)。結果的に、当技術分野で、徐々に小さな直径の粒子を生成させることができる乳化剤が開発されたので、「マイクロエマルジョン」および「ナノエマルジョン」という用語が公知になった。概念的には、マイクロエマルジョンの直径はナノエマルジョンよりも1000倍大きい。しかしながら、粒子直径分布は、非制御乳化過程では大きく変動する可能性があり、ナノエマルジョンとマイクロエマルジョン技術との間にはかなりの重なりが生じる。
【0061】
1つの態様では、本発明は液体分散媒質(すなわち、例えば、加熱液体分散媒質)に実質的に可溶性の(すなわち、例えば、30mg/mlを超える)化合物、および、任意で、リン脂質、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、またはポリソルベートを含むがそれらに限定されない一般的な乳化剤を含むプレミックスを企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは、プレミックスを高圧の連続乱流に暴露することにより生成され、ここで、圧力は少なくとも25,000PSIである。1つの態様では、高圧乱流はマイクロ流動化を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは薬剤または栄養補助食品を封入した粒子を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは安定粒子を有する均一ナノエマルジョンを含む。1つの態様では、マイクロ流動化はシングルパス暴露(すなわち、例えば、約30秒)を含む。1つの態様では、均一植物ステロールマイクロ流動化ナノエマルジョンは、改善された低密度リポタンパク質コレステロール低下の効果を有する。
【0062】
経口薬物投与は、薬剤および栄養補助食品を任意の被験体に提供するための一般的な方法である。ナノエマルジョンを送達する企図した方法は、経口に限定されず、例えば、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、または皮下投与経路を含む。製剤(すなわち、液体または懸濁液)が比較的安価に製造され、よく許容されるので、経口投与が好ましい。しかしながら、製剤成分のその後の胃腸吸収は、予測できるようなものではない。薬剤および栄養補助食品が被験体内に入るには、製剤は、消化系と適合しなければならない。結果として、脂質系薬物送達システムは、多くの薬物送達システムのための担体として有用であることが知られている。しかしながら、これらの有効性は、i)脂質組成(すなわち、例えば、分子サイズおよび電荷);ii)薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品化学構造(すなわち、分子サイズおよびpHイオン化);およびiii)被験体の健康全般に依存する可能性がある。脂質は一般に、生理学的に非吸収性または吸収性と分類される。胃腸吸収過程は化合物の溶解度特性に関連しないことを認識すべきである。本発明は、吸収性または非吸収性脂質を含み、これによりバイオアベイラビリティが改善された均一マイクロ流動化ナノエマルジョンに関連する組成物および方法を企図する。
【0063】
1.非吸収性脂質
植物ステロール、スタノール、およびトリテルペンアルコール(すなわち、例えば、オリザノール)は、経口投与後、血流中に吸収されず、または不十分に吸収される。1つの態様では、本発明は、液体分散媒質中で実質的な溶解度を有する非吸収性脂質、および任意で、改善されたナノエマルジョンを製剤化するためのリン脂質、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、またはポリソルベートなどの一般的な乳化剤を含む、均一ナノエマルジョン(すなわち、例えば、マイクロ流動化された)を製造する方法を企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは、10〜110nmの間の範囲の粒子直径を含み、これにより経口投与が改善される。
【0064】
β-シトステロールなどの植物ステロールの使用は、非吸収性であるため、血液コレステロールレベルを減少させることが公知である。胃腸系に非吸収植物ステロールが存在すると、コレステロールの正常な代謝が阻害され、同時に、血液コレステロールレベルが減少する。特に、20gmの結晶植物ステロールの投与により血漿コレステロールレベルを約10%減少させることができる。Pollack et al., “Sitosterol”,In: Monographs on Atherosclerosis, Vol. 10, Eds. O.J. Pollack & D. Kritchevsky, Basel, New York., Karger(1981)。
【0065】
さらに、非吸収性脂質は、副作用がないので、栄養補助食品として好都合である。従来の薬用全身性コレステロール降下栄養補助食品(すなわち、例えば、HMG CoAレダクターゼ阻害剤またはナイアシン)を使用すると副作用が日常的に観察される。副作用の発生率が非常に低いので、植物ステロールは、全身的な処置がめったに推奨されない子供を含む一般の集団に対し、処方することができる。十分な量の植物ステロールの摂取は血液コレステロールレベルを低下させることが公知である。本発明は、植物ステロールまたはスタノールを送達する現在公知の方法における改善を企図する。
【0066】
第1の公知の方法は、植物油含有マーガリン中に、有効レベルの植物ステロールとなるまで植物ステロールを溶解させる工程を含む。遊離スタノールまたはステロールの脂溶性を、i)オレイン酸またはリノール酸などの脂肪酸との相互エステル化;ii)植物油中での混合;またはiii)水素化してマーガリンを生成することにより増加させると、血漿コレステロールを約30%減少させることができる。十分な植物ステロールを摂取するために、この過程により、約18gまでの脂肪の摂取が得られる。Miettinen et al.,“Use of a stanol fatty acid ester for reducing serum cholesterol level”米国特許第5,502,045号(1996);およびWester et al., “Phytosterol compositions”米国特許第6,589,588号(2003)(どちらも参照により本明細書に組み入れられる)。太っていることを自覚しているアメリカ人にとっては、マーガリンの高いコストと合わせると、これは血漿コレステロールを低下させる自然療法アプローチとして許容することはできない。この方法の欠点は、太りすぎまたは肥満のヒトはしばしば、高いコレステロールレベルを有することである。当然、医者は、この被験体群に、さらなる食事脂肪を避けるように警告する。1つの態様では、本発明は、植物ステロールを含む飲料ナノエマルジョンを製造する方法を企図する。例えば、飲料ナノエマルジョンを製造する方法は、高圧の連続乱流を含んでもよい。1つの態様では、連続高圧乱流はマイクロ流動化を含む。別の態様では、ナノエマルジョン飲料はオレンジジュース製品を含む。
【0067】
第2の公知の方法は、その後に飲料または食品に添加することができるミクロンサイズのミセル(すなわち、数千ナノメートルの直径を有するマイクロエマルジョン)を組み入れることにより水分散性植物ステロール(すなわち、例えば、脂肪に溶解されないスタノール)の経口送達を含む。Ostlund, Jr.,“Sitostanol formulation to reduce cholesterol absorption and method for preparing and use of same”米国特許第5,932,562号(1999)(参照により本明細書に組み入れられる)。植物ステロールを含むマイクロエマルジョンを腸に投与すると、コレステロール吸収は約37%減少した。Ostlund, Jr.,“Sitostanol formulation to reduce cholesterol absorption and method for preparing and use of same”米国特許第5,932,562号(1999)(参照により本明細書に組み入れられる);およびSpillburg et al., “Fat-free foods supplemented with soy stanol-lecithin powder reduce cholesterol absorption and LDL cholesterol”J Am Diet Assoc. 103:577-581 (2003)。この方法の欠点は、これらのマイクロエマルジョン調製物の粒子直径が、何千ナノメートル(すなわちμm直径)ものオーダーであり、これにより、最適有効性が提供されないことである。本発明は、特定の製剤および10〜110nmの間の粒子直径を提供するマイクロ流動化過程を含むナノエマルジョン技術を企図する。1つの態様では、ナノ粒子は改善されたpHおよび温度安定性特性を有し、これにより胃腸系を通して粒子の完全性が安定化される。
【0068】
第3の公知の方法は、水分散性ステロール生成物を生成させることによる植物ステロールの経口送達を含む。これらの水分散性生成物は通常、モノグリセリドおよびポリソルベートを含むが、それらに限定されない乳化剤を含む。これらの水分散性生成物は、1000nm(平均=358nm)未満の粒子直径を有する液/液分散を用いてホモジナイズされることが知られている。しかしながら、本発明は、これらの水分散性植物ステロールの、約40〜60nmの粒子直径を有するナノエマルジョンへの乳化を改善するマイクロ流動化ナノエマルジョン技術(すなわち、例えば、連続流高圧過程により生成されるもの)を企図する。
【0069】
同様に、スタノール/ステロールを高分枝炭化水素と共融解(co-melt)し、得られた生成物を粉砕することにより、水分散性ステロール/スタノールまたはステロール/スタノールエステル組成物を調製するための方法が公知である。Bruce et al., “Method for producing dispersible sterol and stanol compounds”米国特許第6,387,411号(2002)(参照により本明細書に組み入れられる)。この粉砕法は典型的には、10〜150μmの範囲の粒子直径を生成させる。水分散性ステロール生成物を生成させることが知られている別の方法は、モノグリセリドおよびポリソルベートを含むが、それらに限定されない乳化剤中での均質化を使用する。これらの均質化手順は、1000nm未満(平均=358nm)の粒子直径を有する液/液分散物を生成することが報告されている。Stevens et al., “Aqueous dispersible sterol product”米国特許第6,623,780号(2003)(参照により本明細書に組み入れられる)。この調製物を、オレンジジュースに添加すると、LDLコレステロールを約12%減少させることができる。Devaraj et al., “Plant sterol-fortified orange juice effectively lowers cholesterol levels in mildly hypercholesterolemic healthy individuals”Arterioscler Thromb Vasc Biol. 24:25-28 (2004)。
【0070】
発明の機序を理解する必要はないが、本発明により製造された均一マイクロ流動化ナノエマルジョン調製物では非常に大きな表面対体積比が達成され(すなわち、例えば、6倍まで)、優れた安定性が得られると考えられる。結果的に、さらに、組み入れられた任意の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品は改善された有効性(すなわち、例えば、植物ステロールによる血漿コレステロール低下)を有すると考えられる。さらに、本発明の1つの態様により企図されたより小さなサイズの植物ステロール含有ナノ粒子は、公知のμmサイズのミセルまたはマイクロエマルジョンと比べて、消化管への食事コレステロールの正常ミセル送達の改善された阻害を有すると考えられる。例えば、植物スタノールを含む予め形成されたμmサイズのミセルは、結晶スタノールの懸濁液に比べ、コレステロール吸収阻害において、最大3倍、より有効であることが知られている。Ostlund et al., “Sitostanol administered in lecithin micelles potently reduces cholesterol absorption in humans”Am J Clin Nutr 70:826-831 (1999)。
【0071】
2.吸収性脂質
本発明はまた、脂肪酸、カロテノイド、トコフェロールおよび他の脂溶性ビタミン、トコトリエノール、およびコエンザイム-Qを含むが、それらに限定されない吸収性脂質のための経口送達ビヒクルとしてのナノエマルジョンの使用に関する。1つの態様では、本発明は、液体分散媒質中で実質的な溶解度を有する吸収性脂質および任意で、改善されたナノエマルジョンを製剤化するためのリン脂質、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、またはポリソルベートなどの一般的な乳化剤を含む、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの製造方法を企図する。1つの態様では、方法は、プレミックスを高圧の連続乱流に暴露する工程を含む。1つの態様では、圧力は少なくとも25,000PSIである。1つの態様では、ナノエマルジョンは、ルテインおよびゼアキサンチンを含むが、それらに限定されない、カロテノイドを含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは10〜110nmの範囲の粒子直径を有するナノ粒子を含み、これによりバイオアベイラビリティが改善される。1つの態様では、ナノエマルジョンバイオアベイラビリティは、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内または皮下送達後に改善される。
【0072】
1つの態様では、本発明は、少なくとも1つのカロテノイドを含む改善されたナノエマルジョンを提供する黄斑変性(すなわち、65の人々における失明の主原因)を治療または予防する方法を企図する。1つの態様では、カロテノイドは、ルテインまたはゼアキサンチンからなる群より選択される。
【0073】
正常な生理学的条件下では、これらの種類の化合物は、胃腸系に吸収されにくい可能性がある。結果的に、予測される脂質栄養素吸収は大きく変動し、このため脂質バイオアベイラビリティ(すなわち、例えば、吸収される用量の割合)は大きく変動する。バイオアベイラビリティに影響する因子としては、食品加工法、食品マトリクス、および天然由来のミセル(すなわち、例えば、脂質ミセル輸送系)中での生理学的溶解度が挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
脂溶性栄養素を高脂肪含有植物油に組み入れ、脂肪マトリクス中に分散させることができる(すなわち、例えば、ミクロンサイズのミセル)。ミセルは脂溶性栄養素を可溶化し、これにより小腸による吸収が可能となる。例えば、植物ステロールがミセルで送達されると、コレステロール吸収阻害が、最大3倍に増加する。Ostlund et al.,“Sitostanol administered in lecithin micelles potently reduces cholesterol absorption in humans”Am J Clin Nutr 70:826-831(1999)。
【0075】
同様に、カロテノイドをミセル中で可溶化すると、細胞培養におけるインビトロカロテノイドバイオアベイラビリティの増加が観察される。Xu et al., “Solubilization and stabilization of carotenoids using micelles:delivery of lycopene to cells in culture”Lipids 34:1031-1036 (1999)。しかしながら、ミセルを使用する欠点には、塩素化有機溶媒の使用が含まれ、これは、食料品の加工において避けるべき慣習である。別のインビトロ実験により、親油性物質、例えば、脂肪酸、ビタミン、およびβ-カロテンのナノエマルジョン調製物は、細胞培地(RPMI-1640)中に送達することができ、TK-6細胞に組み入れられうることが証明されている。Zuelli et al., “Delivering lipophilic substances into cells using nanoemulsions”米国特許第6,558,941号(2003)(参照により本明細書に組み入れられる)。
【0076】
II.均一ナノエマルジョン薬物動態
1つの態様では、本発明は、当技術分野において現在公知の、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンと比べると、改善された薬物動態特性を有する高圧連続乱流により生成したナノエマルジョンを企図する。ナノ粒子は薬物(すなわち、例えば、ノルフラキシン(norflaxin))および/またはタンパク質(すなわち、例えば、血清アルブミン)を、微粒子よりも効果的に送達および/または放出することが知られている。Jeon et al., “Effect of solvent on the preparation of surfactant-free poly(DL-lactide-co-glycolide)nanoparticles and norfloxacin release characteristics”Int J Pharm 207;99-108 (2000);およびPanyam et al., “Polymer degradation and in vitro release of a model protein from poly(D,L-lactide-co-glycolide)nano- and microparticles”J Control Release 92: 173-187 (2003)。
【0077】
本発明の1つの態様は、当技術分野において現在公知の、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンと比べると、改善された薬物動態特性を有する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。均一なマイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの利点は、狭い粒子直径範囲(すなわち、例えば、10〜110nm)を含む。現在公知の、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンのほとんどは、広い粒子直径分布を有し、これが、より小さなサイズの粒子の改善された有効性およびバイオアベイラビリティを妨害する。
【0078】
本発明は、様々な粒子直径を有するナノエマルジョンを生成する問題を解決し、より均一な小さなサイズのナノエマルジョン(すなわち、例えば、安定な粒子を含む均一ナノエマルジョン)を提供する。結果として、均一なナノエマルジョンは、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、皮下などを含むが、それらに限定されない送達様式に関係なく、当技術分野において現在公知の、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンと比べて、改善された薬物動態パラメータを提供する。
【0079】
A.吸収段階
従来のナノ粒子組成物またはナノエマルジョンの使用は、作用発現の遅延のために理想的ではない。対照的に、本発明により企図される均一マイクロ流動化ナノエマルジョンはより迅速な治療効果を示す。
【0080】
薬剤および栄養補助食品は、一般に経口投与を対象とした、錠剤、液体、ゲルキャップ(gel cap)、カプセルなどとして市販されている。これらの組成物のピーク血漿濃度は通常、投与後2〜4時間の間に生じる。
【0081】
本発明により企図された均一マイクロ流動化ナノエマルジョンは、経口用量形態に製剤化されると、組み入れられた化合物のピーク血漿濃度は、約2時間未満、好ましくは約1時間未満、より好ましくは約30分未満、最も好ましくは1〜15分の間で得られる。
【0082】
B.投与頻度および用量
ほとんどの薬剤および栄養補助食品の推奨される1日の総用量は、分割投与される。1日1回の投与は、毎日複数回投与よりも好ましい可能性があることは当技術分野では公知である。例えば、部分発生発作を患う大人の研究では、200mg/日の毎日用量は矛盾した効果を有し、400mg/日よりも効果が低い。Physicians’ Desk Reference, 57. Sup. th Edition, pp. 2502(2003)を参照されたい。
【0083】
対照的に、本発明のいくつかの均一マイクロ流動化ナノエマルジョンは、より低い頻度、より低い用量で、液体分散物、粉末、噴霧、固体再分散可能剤形、軟膏、クリームなどの剤形で、投与してもよい。本発明で有用な製剤の例示的な種類としては、任意の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の液体分散物、ゲル、エアロゾル(肺および鼻)、軟膏、クリーム、固体剤形などが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の態様のより小さな粒子直径により、より完全な吸収が確保されるので、より低い用量を使用することができる。
【0084】
1つの態様では、本発明は、従来の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品製剤の治療的有効量の1/6、1/5、1/4、1/3、または1/2を有する、治療的有効量の均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。
【0085】
C.経口投与
従来のナノ粒子またはナノエマルジョン組成物の液体剤形は、被験体集団によりあまり許容されない、かなり多量の、高粘度物質であると予測される。さらに、粘性溶液は、シリンジをゆっくり押す必要があり、管に粘着する可能性があるため、非経口投与では問題となることがある。さらに、水に溶けにくい活性作用物質の従来の製剤は、静脈内投与技術では安全でない傾向があり、静脈内投与は主に、水に溶けやすい物質と共に使用される。本発明により企図された態様は、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品が実質的に溶解できる液体分散媒質を使用することにより、この問題を解決する。
【0086】
均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの態様の液体剤形は、従来のナノ粒子またはナノエマルジョンの液体剤形よりも大きな利益を提供する。1つの態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンは低粘度を有する。別の態様では、均一ナノエマルジョンは、絹のようなテクスチャを含む。これらの利点は、例えば、i)摂取および消化がより容易な、より簡単な製剤と認識することによる被験体のより良好な服薬遵守;ii)カップまたはシリンジを使用することができることによる分注の容易さ;iii)用量をより少なくし、これにより被験体が摂取する体積をより少なくすることにつながる、より高濃度の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品を製剤化する可能性;およびiv)全体の製剤化関連の容易さを含む。
【0087】
本発明により企図される均一ナノエマルジョンの液体剤形は、摂取がより容易であり、これは、若年被験体、末期症状被験体、および高齢者被験体を考えると特に重要である。粘性の、またはザラザラした製剤、ならびにかなり多量の投与体積を必要とするものは、これらの被験体集団にあまり許容されない。液体経口剤形は、幼児および高齢者などの錠剤を摂取することが困難な被験体集団にとって特に好ましい可能性がある。
【0088】
本発明によるナノ粒子トピラメートの液体剤形の粘度は、好ましくは、1mlあたりほぼ同じ濃度で、従来のナノ粒子組成物またはナノエマルジョンの液体経口剤形の約1/200未満、約1/175未満、約1/150未満、約1/125未満、約1/100未満、約1/75未満、約1/50未満、または約1/25未満である。
【0089】
1つの態様では、本発明は、濁っていない均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。1つの態様では、濁ったという用語は、裸眼で見ることができる、または摂取すると「ザラザラした」ように感じられる粒状物質の特性を意味する。本発明により企図されるナノエマルジョンの態様は、容器から、水と同じくらい容易に注ぎ出し、または抽出することができ、一方、従来のナノ粒子またはナノエマルジョン組成物の剤形は、著しく「遅い」特性を示すと予測される。
【0090】
D.バイオアベイラビリティの増加
1つの態様では、本発明は、同じ用量で投与される従来のナノ粒子組成物およびナノエマルジョンに比べ、増加したバイオアベイラビリティ、およびより少量の用量要求を有する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。
【0091】
任意の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品は、特定の用量で、特定の期間投与すると、有害な副作用を有する可能性がある。このように、より高い用量で観察される治療効果と同じまたは、それよりも良好な治療効果を達成することができる、より低い用量が望ましい。そのようなより低い用量は、従来のナノ粒子組成物およびナノエマルジョンに比べると大きなバイオアベイラビリティのため、本発明により企図される均一マイクロ流動化ナノエマルジョンにより実現される可能性があり;結果として、所望の治療効果を得るのに、より少ない用量の薬剤および栄養補助食品が必要とされる可能性がある。
【0092】
例えば、従来のナノ粒子またはナノエマルジョンに組み入れられる薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の相対バイオアベイラビリティは、約85%(すなわち、純粋溶液に比べて)である可能性がある。1つの態様では、経口薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品剤形に製剤化した均一マイクロ流動化ナノエマルジョンは、好ましくは、約85%を超える相対バイオアベイラビリティを有する。別の態様では、相対バイオアベイラビリティは約90%を超え、または約95%を超え、または約98%を超える。
【0093】
E.薬物動態プロファイル
本発明はまた、哺乳類被験体に投与すると、改善された薬物動態プロファイルを有する、組み入れられた薬剤および/または栄養補助食品を有する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの態様を提供する。1つの態様では、改善されたプロファイルを、従来のナノ粒子組成物およびナノエマルジョンと比較する。
【0094】
本発明による改善された薬物動態(pK)プロファイルは、いくつかの異なる種類の属性を有することができる。1つの態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの改善されたpKプロファイルは、より低い用量で、従来のナノ粒子組成物またはナノエマルジョンと同じpKプロファイルを生成させる可能性がある。別の態様では、改善されたpKプロファイルは、従来のナノ粒子組成物またはナノエマルジョンに比べ、より頻度の低い投与を必要とする。1つの態様では、改善されたpKプロファイルは、従来のナノ粒子組成物およびナノエマルジョンに比べ、より速い活性の発現および/またはより多い吸収薬物量(すなわち、より大きなバイオアベイラビリティ)を示す。別の態様では、改善されたpKプロファイルは、治療血漿レベルへの被験体のより効果的なおよびまたはより速い用量設定を可能とする。
【0095】
本発明は、最大濃度到達時間(Tmax)、最大濃度(Cmax)、および/または曲線下面積(AUC)プロファイルにより反映されるような、改善された薬物動態プロファイルを含む均一マイクロ流動化ナノエマルジョンのある態様を企図する。
【0096】
1つの態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンに組み入れられる薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の投与用量は、同じ用量で投与される、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンよりも小さなTmaxを含む。好ましくは、Tmaxは、同じ用量で投与された従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンのTmaxの約99%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、または約10%未満である。
【0097】
別の態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンに組み入れられる薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の投与用量は、同じ用量で投与される、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンよりも大きなCmaxを含む。好ましくは、Cmaxは、同じ用量で投与された従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンのCmaxよりも約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、または約150%大きい。
【0098】
1つの態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンに組み入れられる薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の投与用量は、同じ用量で投与される、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンよりも大きなAUCを含む。好ましくは、AUCは、同じ用量で投与された従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンのAUCよりも約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、または約150%大きい。
【0099】
III.滅菌ナノエマルジョン
本発明は、抗菌特性を有するナノエマルジョンの製造方法を企図する。1つの態様では、本方法は、プレミックスを高圧の連続乱流に暴露する工程を含む。1つの態様では、抗菌ナノエマルジョンはマイクロ流動化により調製される。1つの態様では、暴露は、約30秒を含む。別の態様では、暴露は少なくとも25,000PSIの圧力を含む。別の態様では、抗菌ナノエマルジョンは大豆タンパク質を含む。
【0100】
例えば、粉末大豆タンパク質調製物を水に添加し、これにより懸濁液を生成させた。その後、懸濁液の第1のアリコートを、対照として機能する第1の容器(すなわち、例えば、細胞培養ファルコンフラスコ)に添加した。懸濁液の第2のアリコートをマイクロ流動化し(上記)、ナノエマルジョンを生成させた。調製物を実施例5に従いマイクロ流動化した。マイクロ流動化ナノエマルジョンをその後、第2の容器に添加した。両方の容器を直ちに冷蔵し、次の数日間観察した。対照懸濁液は凝集し、細菌が増殖した。図15Aおよび15Bを参照されたい。対照的に、大豆タンパク質を含むマイクロ流動化ナノエマルジョンは凝集せず、細菌が増殖しなかった。図15Cおよび15Dを参照されたい。
【0101】
発明の機序を理解する必要はないが、マイクロ流動化は細菌を滅菌すると考えられる。さらに、マイクロ流動化せん断応力により細菌細胞溶解が生じ、これによりさらなる細菌の増殖が阻止されると、考えられる。結果として、本明細書で企図されるように、マイクロ流動化は、微生物学的滅菌組成物を生成させる。
【0102】
1つの態様では、本発明は、高圧の連続乱流を含む方法により生成される酸化環境を含むナノエマルジョンを企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを含む。1つの態様では、酸化環境は細菌増殖を阻止する。別の態様では、酸化環境は殺菌性である。別の態様では、酸化環境は殺菌ナノエマルジョンを提供する。
【0103】
酸化ナノエマルジョン環境は表面対体積比の増加により得られる可能性がある。1つの態様では、本発明はまた、酸化防止剤の存在下でのマイクロ流動化による酸化環境の生成を避ける方法を企図する。1つの態様では、酸化防止剤はマイクロ流動化ナノエマルジョン中の反応性酸素種(ROS)の存在を減少させる。別の態様では、酸化防止剤はナノ粒子により封入され、その後に、被験体に放出される。
【0104】
(表1)マロンジアルデヒド形成により測定されるナノエマルジョン製剤中での酸化ストレス
【0105】
任意のナノエマルジョン調製物中へのROSの導入は、酸化環境の指標を測定することにより定量的に決定することができる。マロンジアルデヒド(MDA)は、酸化環境の公知の指標である。
【0106】
上記表1からわかるように、マイクロ流動化ナノエマルジョンを製造する過程は、約13倍MDAレベルを増加させる。さらに、ビタミンCおよび/またはビタミンEの両方が存在すると、マイクロ流動化ナノエマルジョン中でのMDA生成が完全に阻止され、これによりMDAは恒常性血漿レベルに戻る。
【実施例】
【0107】
実験
下記実施例は本発明により企図される特定の態様であり、制限するものではない。
【0108】
実施例1:植物ステロールマイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの植物ステロール態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油4gの加熱
2.大豆レシチン5gの添加、撹拌、および90℃までの加熱
3.植物ステロール1gの添加、撹拌、および加熱10分
4.ポリソルベート80 250mgの添加
5.脱イオン水240mlの70℃までの加熱
6.工程5混合物に工程4混合物を添加、撹拌バーの維持、および30分の加熱
7.工程6混合物の2〜4分間ホモジナイズ
8.ホットプレート上での10分の製剤の撹拌
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0109】
これらのマイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンの平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は39nmであった。図1を参照されたい。植物ステロールマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径を下記表2に示す。
【0110】
(表2)マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン
Z-平均;38.91;PDI:0.228;切片:0.9764
【0111】
3ヶ月後、粒子直径を再び決定した。このマイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1)は64.4nmであった。図1Aを参照されたい。3ヶ月植物ステロールナノエマルジョンに対する平均粒子直径データを、下記表3で示す。
【0112】
(表3)3ヶ月保存:マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン
Z-平均;64.4;PDI:0.196;切片:0.969
【0113】
実施例2:タラ肝油マイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、少なくとも4ヶ月間、安定な粒子直径を有するマイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのタラ肝油態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油5gの加熱(65℃)
2.タラ肝油5gの添加、撹拌、および80℃までの加熱
3.ポリソルベート80 6gの添加、撹拌および加熱20分
4.脱イオン水200mlの添加、撹拌および加熱30分
5.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
6.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0114】
このタラ肝油マイクロ流動化ナノエマルジョンの平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は58nmであった。マイクロ流動化前では、タラ肝油懸濁液の平均粒子直径は2,842nmであった。これは、マイクロフルイダイザーを通すシングルパスによる50倍の減少を示す。マイクロ流動化過程後4ヶ月で、粒子直径を再び決定し、変化していないことが見出された。図2を参照されたい。4ヶ月マイクロ流動化試料から得られた平均粒子直径を下記表4に示す。
【0115】
(表4)調製後4ヶ月のマイクロ流動化タラ肝油ナノエマルジョン
Z-平均;45.15;PDI:0.247;切片:0.9707
【0116】
実施例3:トコフェロールマイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、少なくとも5ヶ月間、粒子直径を維持するマイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのトコフェロール態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油13.5gの加熱
2.トコフェロール2gの添加、撹拌、および90℃までの加熱
3.脱イオン水100mLに溶解したポリソルベート80 2gの加熱、75℃までの加熱
4.工程3混合物の工程2混合物への添加
5.脱イオン水300mlおよびポリソルベート80 6gの加熱、70℃となるまで加熱
6.工程4混合物の工程5混合物への添加、撹拌バーの維持および加熱
7.工程6混合物の2〜4分間のホモジナイズ
8.ホットプレート上での3〜5分の製剤の撹拌
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0117】
トコフェロールマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径は64nmであった。マイクロ流動化前では、トコフェロール懸濁液の平均粒子直径は1,362nmであった。これは、マイクロフルイダイザーを通すシングルパスによる21倍の減少を示す。マイクロ流動化過程後5ヶ月で、粒子直径を再び決定し、変化していないことが見出された。図3を参照されたい。5ヶ月マイクロ流動化試料から得られた平均粒子直径を下記表5に示す。
【0118】
(表5)調製後5ヶ月のマイクロ流動化トコフェロールナノエマルジョン
Z-平均;58.07;PDI:0.234;切片:0.9697
【0119】
実施例4:ルテインおよびゼアキサンチンマイクロ流動化ナノエマルジョンの製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのルテイン/ゼアキサンチン態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油5gの加熱
2.レシチン2gの添加
3.加熱および撹拌、10分
4.ルテイン125mgおよびゼアキサンチン125mgの添加
5.加熱および撹拌、10分
6.脱イオン水240mLの加熱、50℃
7.加熱水の混合物への添加
8.溶液となるまでの撹拌および加熱
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0120】
ルテインおよびゼアキサンチンマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は62nmであった。図4を参照されたい。試料に対する平均粒子直径を下記表6に示す。
【0121】
(表6)マイクロ流動化ルテイン/ゼアキサンチンナノエマルジョン
Z-平均;62.26;PDI:0.245;切片:0.976
【0122】
実施例5:大豆タンパク質マイクロ流動化ナノエマルジョンの製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの大豆タンパク質態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油5gの加熱
2.液体レシチン5gの添加
3.加熱および撹拌10分、70℃
4.脱イオン水240mLの加熱、65℃
5.加熱水の混合物への添加
6.大豆タンパク質9gの添加、撹拌および加熱10分
7.大豆タンパク質9gの添加
8.撹拌および加熱20分、70℃
9.ホモジナイズ1分
10.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化10回
11.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0123】
バニラ大豆タンパク質(Central Soya)マイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は55nmであった。図5を参照されたい。試料に対する平均粒子直径を下記表7に示す。
【0124】
(表7)マイクロ流動化大豆タンパク質ナノエマルジョン
Z-平均;54.97;PDI:0.283;切片:0.9819
【0125】
実施例6:ホエータンパク質マイクロ流動化ナノエマルジョンの製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのホエータンパク質態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油5gの加熱
2.大豆レシチン5gの添加
3.ポリソルベート80 250mgの添加
4.加熱および撹拌10分、70℃
5.脱イオン水240mLの加熱、65℃
6.加熱水の混合物への添加
7.ホエータンパク質10gの添加
8.撹拌および加熱10分
9.ホモジナイズ1分
10.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
11.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0126】
ホエータンパク質マイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は108nmであった。図6を参照されたい。試料に対する平均粒子直径を下記表8に示す。
【0127】
(表8)マイクロ流動化ホエータンパク質ナノエマルジョン
Z-平均;108.2;PDI:0.263;切片:0.948
【0128】
実施例7:オレンジジュース、植物ステロールおよびルテインマイクロ流動化ナノエマルジョンの製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのオレンジジュース/植物ステロール/ルテイン態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油の加熱、80℃
2.植物ステロール1.5gの添加
3.撹拌および加熱、5分
4.ポリソルベート80 5gの添加
5.ルテイン70mgの添加
6.撹拌および加熱、10分
7.オレンジジュース(Tropicana(登録商標))240mLの添加
8.撹拌および加熱、1時間
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化2回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0129】
オレンジジュース/植物ステロール/ルテインマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は46nmであった。図7を参照されたい。試料に対する平均粒子直径を下記表9に示す。
【0130】
(表9)マイクロ流動化オレンジジュース/植物ステロール/ルテインナノエマルジョン
Z-平均;46.41;PDI:0.322;切片:0.9609
【0131】
実施例8:DHA魚油/水マイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、少なくとも2ヶ月粒子直径を維持するマイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのDHA魚油/水態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.DHA魚油6.4gの加熱
2.大豆レシチン6gの添加
3.ポリソルベート80 250mgの添加
4.脱イオン水240mLの加熱、75℃
5.加熱水の混合物への添加
6.撹拌および加熱、20分
7.ホモジナイズ2分
8.撹拌および加熱、10分
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0132】
DHA魚油/水マイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1)は73nmであった。マイクロ流動化過程後2ヶ月で、粒子直径を再び決定し、変化していないことが見出された。図8を参照されたい。2ヶ月マイクロ流動化試料から得られた平均粒子直径を下記表10に示す。
【0133】
(表10)安定マイクロ流動化DHA魚油/水ナノエマルジョン
Z-平均;72.58;PDI:0.205;切片:0.9636
【0134】
実施例9:DHA魚油/乳マイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、少なくとも3週間粒子直径を維持する、乳化剤を添加していない、1つのDHA魚油/乳態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.DHA魚油1.5gの加熱、50℃
2.全乳200mLの加熱、50℃
3.2つを共に混合
4. 撹拌および加熱、10分
5.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
6.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0135】
DHA魚油/乳マイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1)は93nmであった。このナノエマルジョン調製物は乳化剤を添加せずに製造された。マイクロ流動化過程後3週間に、魚油は溶液中に依然として存在し、粒子直径を再び決定し、変化していないことが見出された。図9を参照されたい。3週マイクロ流動化試料から得られた平均粒子直径データを表11に示す。
【0136】
(表11)安定マイクロ流動化DHA魚油/乳ナノエマルジョン
Z-平均;93.11;PDI:0.178;切片:0.9341
【0137】
実施例10:マイクロ流動化ナノエマルジョンの温度安定性
この実施例は、高温または低温のいずれかに暴露した後のマイクロ流動化ナノエマルジョンの安定性を提供する。この実験で使用した製剤はDHA魚油乳/トコフェロールを含んだ。
1.脱イオン水25mL中へのビタミンC 1gの溶解
2.工程1へ全乳200mLの添加
3.DHA魚油1.7gの取得およびδトコフェロール800mgの添加
4.工程1および2の工程3への添加
5.撹拌および加熱、10分、50℃
6.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
7.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0138】
DHA魚油/乳/トコフェロールマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1)は87nmであった。図10を参照されたい。このナノエマルジョン調製物は乳化剤を添加せずに製造した。元のナノエマルジョンに対する平均粒子直径データを表12に示す。
【0139】
(表12)マイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロールオリジナルナノエマルジョン
Z-平均;87.09;PDI:0.216;切片:0.9339
【0140】
この元のマイクロ流動化ナノエマルジョンを75℃で30秒間低温殺菌した。24時間後、油は依然として溶液中に存在し、粒子直径は元のナノエマルジョンに比べ安定であった。図11を参照されたい。低温殺菌したマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径データを表13に示す。
【0141】
(表13)マイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロール低温殺菌ナノエマルジョン
Z-平均;87.18;PDI:0.198;切片:0.9281
【0142】
この元のマイクロ流動化ナノエマルジョンを-4℃で24時間凍結融解試験した。24時間後、油は依然として溶液中に存在し、粒子直径は元のナノエマルジョンに比べ安定であった。図12を参照されたい。凍結融解したマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径データを表14に示す。
【0143】
(表14)マイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロール凍結融解ナノエマルジョン
Z-平均;87.58;PDI:0.198
【0144】
実施例11:食事リコピンの改善されたバイオアベイラビリティ
この実施例は、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンとして供給した場合の、標準食事製剤中に混合した場合に対する、リコピンの改善されたバイオアベイラビリティを証明する。
【0145】
リコピンマイクロ流動化ナノエマルジョンを、下記のように段階的に調製した。
1.大豆油5gの加熱
2.レシチン2gの添加
3.撹拌および加熱、10分
4.リコピン125mgの添加
5.加熱および撹拌、10分
6.脱イオン水(またはグレープジュース)240ml加熱;50℃
7.加熱水(またはグレープジュース)の混合物への添加
8.撹拌および加熱、溶液となるまで
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0146】
リコピンマイクロ流動化ナノエマルジョンの平均粒子直径は74nmであった。
【0147】
スナネズミにおけるバイオアベイラビリティ
マイクロ流動化ナノエマルジョンを食餌(chow-based diet)に組み入れ、スナネズミに4週にわたり与えた。対照群には、油-強化食餌中のリコピンを与えた。4週の終わりに、血液を採取し、血漿を収集し、血漿リコピンレベルを両方のスナネズミ群でHPLCにより決定した。
【0148】
図13は対照スナネズミが検出可能な血漿リコピンレベルを示さなかったことを証明する。しかしながら、マイクロ流動化リコピンナノエマルジョンを含む食餌を与えたスナネズミは上昇した血漿リコピンレベルを示した。図14を参照されたい。
【0149】
ヒトにおけるバイオアベイラビリティ
その後、マイクロ流動化リコピンナノエマルジョンを水の代わりにグレープジュースを用いて調製し、2人のヒト被験体に、4日の期間にわたり(125mg/サービング、1日につき2サービング)に経口投与させた。この投与により、約38%だけ血漿リコピンレベルが上昇した(データ図示せず)。
【0150】
実施例12:マイクロ流動化ナノエマルジョンの改善された有効性
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンが従来のナノエマルジョンにおいて見られるものを超える改善された有効性を提供することを示すデータを提供する。特に、この実施例は高コレステロール血ハムスターにおいて血漿低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を減少させる3つの植物ステロール製剤の可能性を比較する。
【0151】
マイクロ流動化混合植物ステロール(60%シトステロール)ナノエマルジョンを、下記のように段階的に調製した。
1.大豆油5gの加熱
2.大豆レシチン5gの添加、撹拌および加熱15分
3.工程2の繰り返し
4.大豆油15gの添加、撹拌および加熱10分
5.植物ステロール4gの添加、撹拌および加熱10分
6.工程4の4度の繰り返し
7.ポリソルベート80 1gの添加、撹拌および加熱10分
8.MinuteMaid Heartwise(登録商標)オレンジジュース200mlの加熱(75℃)
10.MinuteMaid Heartwise(登録商標)オレンジジュース1800mlの加熱(70℃)
11.工程8の工程7への添加。撹拌および加熱20分(80℃)
12.工程10への加熱
13.ポリソルベート80 1gの添加、撹拌および加熱20分(80℃)
14.2〜4分のホモジナイズ
15.ホットプレート上での10分のホモジネートの撹拌
16.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化
17.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0152】
マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンに対する平均粒子直径は41.95nmであった。図16を参照されたい。
【0153】
40匹のハムスターをそれぞれ10匹ずつの4つの群に分けた。群1には、対照高コレステロール食(HCD)を与え;群2には30mg/dの結晶植物ステロールを与え;群3には20mg/dのMinuteMaid Heartwise(登録商標)微粉化植物ステロール(Cargill)を与え;群4には10mg/dのマイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンを与えた。4週後、血液試料に対し、血漿LDL-Cレベルを分析した。マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンは、MinuteMaid Heartwise(登録商標)微粉化食よりも2倍、結晶植物ステロール食よりも3倍効果的であった。図17を参照されたい。
【0154】
データから、実施例11で示される改善されたバイオアベイラビリティにより、μm-サイズまたは結晶植物ステロール食に比べて改善された臨床治療が得られることが示される。
【0155】
実施例13:コレステロールナノエマルジョン:不溶性対可溶性分散媒質
この実施例は、均一マイクロ流動化ナノエマルジョン組成物は、液体分散媒質中で実質的な溶解度を有する化合物に依存することを証明するデータを提供する。この実施例は、米国特許第5,510,118号で記載されているマイクロ流動化技術を、本発明により企図される1つの態様と比較する。吸収性脂質コレステロールを試験化合物として選択した。
【0156】
群Iは‘118プレミックスを示し、コレステロール(2gm)、水(100ml)およびTween(登録商標)80(0.2gm)を分散させることにより調製し、ここでコレステロールは液体分散媒質(水)に不溶(すなわち、少なくとも30mg/ml未満)であった。その後、このコレステロール/水/Tween(登録商標)80溶液を、M-100EHユニットを用いてマイクロ流動化した。4,000〜20,000の間の範囲のPSIで、マイクロフルイダイザーを通すマルチプルパス(10〜15)を実施したが、生成した熱が70℃を超えた(‘118特許で推奨された30〜40℃よりずっと高い)ので終了した。マイクロ流動化後、コレステロールのほとんどが沈殿したことが観察された。24時間後、群Iナノエマルジョン調製物は元のコレステロール重量の0.44gm(すなわち、22%)しか含んでいなかった。
【0157】
群IIは本発明の1つの態様を示し、コレステロール(2gm)を含む加熱した大豆油(10gm)、大豆レシチン(5gm)およびTween(登録商標)80(0.2gm)を分散させることにより調製し、ここでコレステロールは実質的に液体分散媒質(油)に溶解できた(すなわち、少なくとも30mg/mlを超える)。その後、このコレステロール/油/レシチン/Tween(登録商標)80を加熱水100mlに添加し、M-100EHユニットを用い、25,000PSIでの30秒のシングルパスを使用してマイクロ流動化した。マイクロ流動化後、コレステロール沈殿はそれほど顕著ではなかった。24時間後、群IIナノエマルジョンの沈殿は元のコレステロール重量の1.66gm(すなわち、83%)を含んだ。
【0158】
データから、群Iおよび群IIプレミックス調製物両方からの粒子直径分布は実際に同一であることが示される。図18Aおよび18Bをそれぞれ、参照されたい。特に、約900nmの平均粒子直径を有する700〜1000nmの範囲の単一ピークが両方の調製物で観察される。表15および16を参照されたい。
【0159】
(表15)コレステロール/Tween(登録商標)80/水プレミックス粒子直径:群I
Z-平均;1982;PDI:0.210;切片:0.6797
【0160】
(表16)コレステロール/油/レシチン/Tween(登録商標)80/水プレミックス粒子直径:群II
Z-平均;1328;PDI:0.427;切片:0.6989
【0161】
しかしながら、マイクロ流動化後、粒子直径分布は群Iと群II間では非常に異なる。図19Aおよび図19Bをそれぞれ、参照されたい。群Iは2つの非常に異なる明確なピークを示す。表17を参照されたい。しかしながら、群IIは、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの態様を示す単一ピークを示す。表18を参照されたい。
【0162】
(表17)マイクロ流動化コレステロール/Tween(登録商標)80/水ナノエマルジョン
Z-平均;246.5;PDI:0.789;切片:0.7687
【0163】
(表18)マイクロ流動化コレステロール/油/レシチン/Tween(登録商標)80/水ナノエマルジョン
Z-平均;86.8;PDI:0.240;切片:0.9455
【0164】
上記データから、本発明のいくつかの態様は、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの生成において当技術の改善を企図する。特に、Boschら(‘118特許)およびCooperらポートフォリオ(‘758、‘038および‘202出願公開)は均一粒子直径分布を生成するマイクロ流動化過程を教示していないことは現在明らかである。
【0165】
実施例14:ナノ粒子組成物対均一マイクロ流動化ナノエマルジョン
この実施例は、摩砕したナノ粒子組成物(例えば、Cooperらの米国特許出願公開番号第2004/0033202号に従い製造したもの)は、本発明の1つの態様により企図されるマイクロ流動化ナノエマルジョンのような均一粒子直径分布を生成させないことを示す証明について記載する。吸収性フィトステロールを試験化合物として選択する。
【0166】
群Iは、5%(w/w)フィトステロール/水溶液を1%(w/w)Tween(登録商標)80と共に分散させることにより調製される‘202プレミックスを示し、ここでフィトコレステロールは液体分散媒質(水)に不溶である(すなわち、少なくとも30mg/ml未満)。その後、このフィトステロール/水/Tween(登録商標)80溶液を10℃で1.5〜2時間、DYNO(登録商標)-Mill KDL(Willy A Bachofen AG, Machinefabrik, Basel, Switzerland)において、Polymill(登録商標)500の500μm摩砕媒質(すなわち、粉砕ビーズ)を用いて摩砕した。摩砕後、フィトコレステロールの多くが沈殿したことが観察される。少なくとも24時間後、群Iナノ粒子の調製物は元のフィトステロール重量の1/2未満を含んだ。
【0167】
群IIは本発明の1つの態様を示し、5%(w/w)フィトステロール/加熱大豆油溶液、大豆レシチンを1%(w/w)Tween(登録商標)80と共に分散させることにより調製され、ここでフィトステロールは液体分散媒質(油)に実質的に可溶性である(すなわち、少なくとも30mg/mlを超える)。その後、このフィトステロール/油/レシチン/Tween(登録商標)80プレミックスを加熱水100mlに添加し、M-100EHユニットを使用して、25,000PSIで30秒のシングルパスを用いてマイクロ流動化する。マイクロ流動化後、フィトステロール沈殿はそれほど明確ではない。24時間後、群IIナノエマルジョンの調製物が含むフィトステロール重量は元の3/4を超えた。
【0168】
データから、群Iおよび群IIプレミックス調製物の両方から得られる粒子直径分布は実際に同一であることが示される。例えば、約900nmの平均粒子直径を有する700〜1000nmの範囲の単一ピークが両方の調製物で観察される。表19および20を参照されたい。
【0169】
(表19)フィトステロール/Tween 80/水プレミックス粒子直径:群I
Z-平均;1982;PDI:0.210;切片:0.6797
【0170】
(表20)フィトステロール/油/レシチン/Tween 80/水プレミックス粒子直径:群II
Z-平均;1328;PDI:0.427;切片:0.6989
【0171】
しかしながら、処理後、粒子直径分布は、群Iと群II間では非常に異なることが予測される。例えば、群Iは、たいがい、少なくとも2つの非序に異なる明確なピークを示す。表21を参照されたい。しかしながら、群IIは、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの態様を示す単一ピークのみを有する。表22を参照されたい。
【0172】
(表21)マイクロ流動化コレステロール/Tween 80/水ナノエマルジョン:群I
Z-平均;246.5;PDI:0.789;切片:0.7687
【0173】
(表22)マイクロ流動化コレステロール/油/レシチン/Tween 80/水ナノエマルジョン:群II
Z-平均;86.8;PDI:0.240;切片:0.9455
【0174】
上記データから、ナノ粒子組成物は、本明細書で企図されるナノエマルジョンのいくつかの態様により企図されるように均一粒子直径分布を生成させることができないことが証明される。特に、Cooperらのポートフォリオ(‘758、‘038、‘202出願公開)は、均一粒子直径分布を生成させる摩砕過程を教示していないことが現在明らかである。
【0175】
実施例15:従来のナノ粒子組成物よりも改善されたバイオアベイラビリティ
この実施例は、本発明の1つの態様により企図された均一マイクロ流動化ナノエマルジョンが、従来のナノ粒子組成物よりも改善された植物ステロールバイオアベイラビリティおよび/または有効性を有することを示すデータを提供する。
【0176】
30匹のハムスターに1μCi 3H-コレステロールを強制飼養することにより標準曲線を構成させる。血漿コレステロールレベルをその後、1日目、2日目、4日目、および7日目で決定する。これらのデータを使用して、曲線下面積(AUC)として7日期間中の3H-コレステロールのバイオアベイラビリティを計算する。
【0177】
血漿放射能レベルがバックグラウンドレベルに戻った後(すなわち、約7.5コレステロール代謝半減期)、下記処置群(n=10)を使用して実験を繰り返す。
群I:植物ステロールと混合した標準食
群II:実施例1に従い調製した均一マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンと混合した標準食
群III:‘202 Cooperらの出願において記載されている従来の摩砕粉砕機技術に従い調製した従来のリコピンナノ粒子組成物と混合した標準食
【0178】
AUC測定は、各調製物のバイオアベイラビリティおよび/または有効性に比例する3H-コレステロールの血流中への各調製物の吸収を減少させる能力を決定する。
【0179】
i)均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの平均粒子直径が従来のナノ粒子組成物よりも小さい(すなわち、例えば、300nm対50nm);ii)マイクロ流動化により、摩砕または均質化のいずれかよりも安定な粒子が生成される;およびiii)マイクロ流動化により摩砕または均質化のいずれかにより生成されるものとは異なりpH-耐性粒子(すなわち、胃酸または小腸基準状態)が生成されるので、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンとして投与した場合の植物ステロールのバイオアベイラビリティおよび/または有効性が大きくなることが見られる。
【0180】
実施例16:従来のナノ粒子組成物よりも改善された有効性
この実施例は、本発明の1つの態様により企図された均一マイクロ流動化ナノエマルジョンが、従来のナノ粒子組成物よりも血漿コレステロールレベルを低下させるのに改善された有効性を有することを示すデータを提供する。
【0181】
研究は6週間の期間を有する。簡単に言うと、70匹のハムスターに、2週間の試験前期間に液体系高コレステロール食を与え、血漿コレステロールレベルを上昇させ、安定化させる。その後、ハムスターを下記に示す7つの試験群(n=10)に分ける。各群を液体系高コレステロール食およびi)ナノ粒子組成物(すなわち、例えば、‘202 Cooperらの出願のように調製したもの);またはii)本発明の1つの態様により企図される均一マイクロ流動化ナノエマルジョンで、さらに4週間維持する。
群I:高コレステロール食のみ
群II:高コレステロール食+0.1%(w/w)植物ステロールナノ粒子組成物
群III:高コステロール食+0.5%(w/w)植物ステロールナノ粒子組成物
群IV:高コステロール食+1%(w/w)植物ステロールナノ粒子組成物
群V:高コステロール食+0.1%(w/w)植物ステロール均一マイクロ流動化ナノエマルジョン
群VI:高コステロール食+0.5%(w/w)植物ステロール均一マイクロ流動化ナノエマルジョン
群VII:高コステロール食+1%(w/w)植物ステロール均一マイクロ流動化ナノエマルジョン
【0182】
血液試料を0、2、3、4、5および6週に採取し、ここで、血漿コレステロールレベルを当技術分野で公知の方法により決定する。
【0183】
i)均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの平均粒子直径が従来のナノ粒子組成物よりも小さい(すなわち、例えば、300nm対50nm);ii)マイクロ流動化により、摩砕または均質化のいずれかよりも安定な粒子が生成される;およびiii)マイクロ流動化により摩砕または均質化のいずれかにより生成されるものとは異なりpH-耐性粒子(すなわち、胃酸または小腸基準状態)が生成されるので、血漿コレステロールレベルを低下させる植物ステロール均一マイクロ流動化ナノエマルジョンのより大きな有効性が見られる。
【0184】
実施例17:マイクロ流動化シングルパス比較
この実施例は、Bosch技術が、本発明の1つの態様と比較すると、同一のマイクロ流動化技術下では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを生成しないことを示すデータを提供する。
【0185】
群IおよびIIプレミックスを実施例13に従い調製した。各プレミックスをマイクロフルイダイザー中、25,000PSIでのシングルパスに供した。群I(Bosch製剤を示す)では、粒子の85%が815nmの平均直径を有することが示される。図20Aを参照されたい。群II(本発明の1つの態様を示す)では、粒子の98%が78nmの平均直径を有することが示される。図20Bを参照されたい。これにより、平均直径が10倍以上も異なることが示される。重大なことに、Bosch粒子の15%しか100nm範囲内になく、これにより、このより低い範囲内での粒子直径分布は6倍異なることが示される。
【0186】
群Iと群IIの間の平均粒子直径分布を下記表23および24に示す。
【0187】
(表23)マイクロ流動化コレステロール/Tween(登録商標) 80/水ナノエマルジョン:シングルパス
Z-平均;651.5;PDI:84.5;切片:0.7487
【0188】
(表24)マイクロ流動化コレステロール/油/レシチン/Tween(登録商標) 80/水ナノエマルジョン:シングルパス
Z-平均;65.98;PDI:0.190;切片:0.9210
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はナノエマルジョンの分野に関する。1つの態様では、ナノエマルジョンは高せん断応力技術を用いて製造される。1つの態様では、本発明は均一マイクロ流動化(microfluidized)ナノエマルジョンを含む。別の態様では、均一なナノエマルジョンは、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品などの化合物を含む。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンに比べ改善された薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、本発明は細菌耐性ナノエマルジョンの製造方法を企図する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
マイクロ/ナノエマルジョン技術は実質的に商業的価値を有する。栄養補助食品領域のみに関しては、市場価値は世界で2500億ドルのビジネスと評価されている。結果として、脂溶性栄養補助食品を飲料(食品産業の一番の成長要素)および低または無脂肪食品に組み入れることができることは非常に興味深い。
【0003】
必要とされるのは、i)改善された温度およびpH安定性;ii)改善されたバイオアベイラビリティ;ならびにiii)微生物耐性による改善された保存期間を有するナノエマルジョンである。さらに、ナノエマルジョンは比較的調製が容易で安価であるべきである。
【発明の概要】
【0004】
概要
本発明はナノエマルジョン分野に関する。1つの態様では、ナノエマルジョンは高せん断応力技術を用いて製造される。1つの態様では、本発明は均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを含む。別の態様では、均一ナノエマルジョンは、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品などの化合物を含む。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンに比べ改善された薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、本発明は細菌耐性ナノエマルジョンの製造方法を企図する。
【0005】
1つの態様では、本発明は、最大および最小直径を有する粒子の集団を含むエマルジョンを企図し、ここで、最大および最小直径の間の差は100nmを超えない。
【0006】
1つの態様では、本発明は、約10と約110nmの間の直径を有する粒子の集団を含むエマルジョンを企図し、ここでナノエマルジョンには、110nmを超える直径を有する粒子が混入していない。1つの態様では、粒子は化合物を封入する。1つの態様では、化合物は薬剤である。別の態様では、化合物は栄養補助食品である。
【0007】
1つの態様では、本発明は、第1および第2の粒子集団を含むナノエマルジョンを企図し、ここで、第1集団中の粒子の大部分が約10〜約20nmの間の直径を有し、ここで、第2集団中の粒子の大部分が約40〜約80nmの間の直径を有し、ナノエマルジョンには110nmを超える直径を有する粒子が混入していない。1つの態様では、粒子は化合物を封入する。1つの態様では、化合物は薬剤である。1つの態様では、化合物は栄養補助食品である。約50〜約150nmの間の直径を有する粒子集団を含むナノエマルジョンには、160nmを超える直径を有する粒子が混入していない。1つの態様では、粒子は化合物を封入する。1つの態様では、化合物は薬剤である。1つの態様では、化合物は栄養補助食品である。
【0008】
1つの態様では、本発明は、a)i)化合物および液体分散媒質を含むプレミックスであって、ここで該化合物が該媒質中で30mg/mlを超える溶解度を有する、プレミックス、ならびにii)少なくとも25,000PSIを維持することができるマイクロフルイダイザー(microfluidizer)を提供する工程;b)プレミックスのマイクロフルイダイザーへのシングルパス(single pass)暴露を使用して、約10〜110nmの間の範囲の直径を有するナノエマルジョン粒子集団を生成させる工程を含む方法を企図する。1つの態様では、分散媒質は、水性媒質および油性媒質からなる群より選択される。1つの態様では、水性媒質は、水、リンゲル液、デキストロース、および短鎖アルコールからなる群より選択される。1つの態様では、油性媒質は、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油、シリコーン油、鉱物油、および植物由来の油を含むが、それらに限定されない群より選択される。1つの態様では、化合物は、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、および大豆タンパク質を含むが、それらに限定されない群から選択される。
【0009】
1つの態様では、本発明は、a)i)加熱分散媒質;ii)媒質中で実質的な溶解度を有する化合物;およびiii)媒質から均一なナノエマルジョンを製造することができるマイクロフルイダイザーを提供する工程;b)少なくとも70℃の温度で媒質に化合物を添加し、プレミックスを生成させる工程;ならびにc)少なくとも25,000PSIの圧力でプレミックスをマイクロ流動化し、10〜110nmの間の範囲の粒子直径を有するナノエマルジョンを生成させる工程を含む方法を企図する。1つの態様では、分散媒質は大豆油および水からなる群より選択される。1つの態様では、分散媒質は少なくとも65℃まで加熱される。1つの態様では、化合物は、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン、ホエータンパク質、および大豆タンパク質を含む群から選択してもよい。1つの態様では、ナノエマルジョンは化合物を封入する。1つの態様では、粒子直径の86%が54nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の14%が16nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の82%が64nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の17%が19nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の78%が88nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の22%が27nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の84%が90nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の16%が23nmの平均直径を有する。1つの態様では、粒子直径の80%が55nmの平均直径を有する。
【0010】
1つの態様では、本発明は、a)i)化合物、第1の酸化防止剤、第2の酸化防止剤、および水性分散媒質を含むプレミックスであって、該化合物が該媒質中で30mg/mlを超える溶解度を有する、プレミックス;ならびにiii)少なくとも25,000PSIで維持することができるマイクロフルイダイザーを提供する工程;c)プレミックスのマイクロフルイダイザーへのシングルパス暴露を用いて、約40〜110nmの間の範囲の直径を有するナノエマルジョン粒子集団を生成させる工程であって、粒子直径が少なくとも4ヶ月安定なままである工程を含む方法を企図する。1つの態様では、方法はナノ粒子集団を低温殺菌する工程であって、粒子直径が安定なままである工程をさらに含む。1つの態様では、方法は、ナノエマルジョン粒子集団を凍結させる工程であって、粒子直径が安定なままである工程を含む。
【0011】
1つの態様では、本発明は、a)i)第1の酸化防止剤を含む安定な水性分散媒質;ii)天然乳化剤を含む溶液;ii)第2の酸化防止剤を含む該媒質中で、実質的な溶解度を有する化合物;iii)媒質から均一なナノエマルジョンを製造することができるマイクロフルイダイザーを提供する工程;b)化合物および溶液を媒質に添加し、少なくとも50℃の温度まで加熱しプレミックスを生成させる工程;ならびにc)プレミックスを少なくとも25,000PSIの圧力でマイクロ流動化させ、40〜110nmの範囲の粒子直径を有するナノエマルジョンを生成させる工程であって、粒子直径が少なくとも4ヶ月安定なままである工程を含む方法を企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは化合物を封入する。1つの態様では、方法はさらに、ナノエマルジョンを低温殺菌する工程であって、粒子直径が安定なままである工程を含む。1つの態様では、方法はさらに、ナノエマルジョンを凍結させる工程であって、粒子直径が安定なままである工程を含む。1つの態様では、溶液は乳を含む。1つの態様では、化合物はDHA魚油を含む。1つの態様では、低温殺菌はナノエマルジョンを75℃に30秒間暴露する工程を含む。1つの態様では、凍結はナノエマルジョンを-4℃に24時間暴露する工程を含む。
【0012】
1つの態様では、本発明は、a)i)治療的有効量で投与した化合物に対し不応性である被験体;ii)化合物を封入している約10〜約110nmの直径を有する粒子集団を含むナノエマルジョンであって、110nmを超える直径を有する粒子が混入していないナノエマルジョンを提供する工程;b)化合物アベイラビリティが改善され、化合物が治療的に有効となるような条件下で、ナノエマルジョンを患者に送達する工程を含む方法を企図する。1つの態様では、改善されたバイオアベイラビリティは、減少したTmax、増加したCmax、および増加したAUCからなる群より選択される薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、送達工程は、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、および皮下からなる群より選択される方法を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは植物ステロールを含む。1つの態様では、ナノエマルジョンはリコピンを含む。
【0013】
1つの態様では、本発明は、均一なマイクロ流動化ナノエマルジョンを提供する工程、および均一ナノエマルジョンを被験体に送達する工程を含む、ナノエマルジョンバイオアベイラビリティを改善するための方法を企図する。1つの態様では、被験体は哺乳類を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは化合物を封入する。1つの態様では、ナノエマルジョンは経口投与により送達される。別の態様では、ナノエマルジョンは、経皮、静脈内、腹腔内、筋内または皮下を含むがそれらに限定されない方法により送達される。1つの態様では、改善されたバイオアベイラビリティは減少したTmax、増加したCmax、および増加したAUCからなる群より選択される薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは経口投与のために製剤化される。1つの態様では、ナノエマルジョンは植物ステロールを含む。1つの態様では、ナノエマルジョンはリコピンを含む。
【0014】
1つの態様では、本発明は、細菌耐性特性を有するナノエマルジョンを企図し、ここで、ナノエマルジョンは化合物を封入している粒子集団を含み、粒子は約10〜約110nmの間の直径を有し、ナノエマルジョンには110nmを超える直径を有する粒子が混入していない。1つの態様では、ナノエマルジョンは少なくとも3ヶ月間の細菌増殖に抵抗する。1つの態様では、細菌耐性特性は、せん断力により誘発された細胞溶解を含む。1つの態様では、細菌耐性特性は、酸化環境を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは無菌である。
【0015】
1つの態様では、本発明は、細菌耐性特性を有する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは少なくとも3ヶ月間細菌増殖に抵抗する。1つの態様では、ナノエマルジョンは10〜110nmの間の直径分布を有する粒子を含む。1つの態様では、細菌耐性特性は、せん断力により誘発された細胞溶解を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは無菌である。
【0016】
1つの態様では、本発明は、a)i)化合物および液体分散媒質を含むプレミックス;ならびにii)高圧下で連続乱流を生成させることができる装置を提供する工程;b)装置を使用して、均一な直径を有するナノエマルジョン粒子集団を生成させる工程を含む方法を企図する。1つの態様では、分散媒質は、水性媒質および油性媒質からなる群より選択される。1つの態様では、水性媒質は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース、および短鎖アルコールからなる群より選択される。1つの態様では、油性媒質は、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油、シリコーン油、鉱物油からなる群より選択される。1つの態様では、化合物は、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、および大豆タンパク質からなる群より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、調製後3ヶ月での、マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。図1Aは、調製後3ヶ月での、マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンの粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図2】調製後4ヶ月のマイクロ流動化タラ肝油ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図3】調製後5ヶ月のマイクロ流動化トコフェロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図4】マイクロ流動化ルテイン/ゼアキサンチンナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図5】マイクロ流動化大豆タンパク質ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図6】マイクロ流動化ホエータンパク質ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図7】マイクロ流動化オレンジジュース/植物ステロール/ルテインナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図8】調製後2ヶ月のマイクロ流動化DHA魚油/水ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図9】調製後3週間のマイクロ流動化DHA魚油/乳ナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図10】マイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図11】低温殺菌後のマイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図12】凍結-融解過程後のマイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図13】リコピン-強化食を与えた時のスナネズミ血漿リコピンレベルの例示的なデータを示す。
【図14】マイクロ流動化リコピンナノエマルジョン食を与えた時のスナネズミ血漿リコピンレベルの例示的なデータを示す。
【図15】マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンの調製中に生成した抗菌特性の1つの態様を示す。
【図16】実施例12で使用したマイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン集団の粒子直径分布を示す例示的なデータを示す。
【図17】マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン食は、4週間の間、微粉化植物ステロール食または結晶植物ステロール食のいずれかよりも、高コレステロール血症ハムスターの血漿LDL-Cの減少においてより効果的であることを示す例示的なデータを示す。
【図18】パネルA:‘118特許のようにTween(登録商標)80/水;およびパネルB:本発明の1つの態様により企図されるように油/レシチン/Tween(登録商標)80/水由来のプレミックスコレステロール粒子直径分布を比較した例示的なデータを示す。
【図19】パネルA:繰り返しマイクロ流動化パスを使用する‘118特許のようなTween(登録商標)80/水;およびパネルB:シングルマイクロ流動化パスを使用する本発明の1つの態様により企図されるような油/レシチン/Tween(登録商標)80/水由来のマイクロ流動化コレステロールナノエマルジョン粒子直径分布を比較した例示的なデータを示す。
【図20】パネルA:シングルパス暴露を使用する‘118特許のようなTween(登録商標)80/水;およびパネルB:シングルパス暴露を使用する本発明の1つの態様により企図されるような油/レシチン/Tween(登録商標)80/水由来のマイクロ流動化コレステロールナノエマルジョン粒子直径分布を比較した例示的なデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
一般に、本明細書で使用される用語は、当業者に一般に認められる定義に従い解釈されるべきである。しかしながら、下記で列挙した用語は、下記定義に従い解釈されるべきである。
【0019】
本明細書で使用されるように、「マイクロ流動化された」、「マイクロ流動化する」、または「マイクロフルイダイザー」は、高圧で連続乱流を使用する機器または過程を意味し、均一エマルジョンを生成させるのに有用である可能性のあるマイクロフルイダイザーまたは他の同様の装置が挙げられるが、それらに限定されない。例えばマイクロ流動化は、30秒間以内でプレミックスから薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品を含む均一ナノエマルジョンを生成し得る(典型的には、シングルパス暴露と呼ばれる)。典型的には、マイクロフルイダイザーは約25,000PSIの圧力で動作させてもよく、均一のナノエマルジョンが発生する。
【0020】
本明細書で使用されるように「均一エマルジョン」は、最小直径と最大直径との間の差が約600nm、好ましくは約300nm、より好ましくは約200nm、もっとも好ましくは約100nmを超えない、特定の範囲の粒子直径サイズを有する任意のエマルジョンを意味する(すなわち、本明細書で企図されるように、マイクロ流動化は約10〜110nmの範囲を有する均一ナノエマルジョンを生成し、本明細書では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンと呼ばれる)。好ましくは、総粒子分布(すなわち、100%)が、特定の粒子直径サイズ範囲内に包含される。3%未満が特定の粒子直径サイズ範囲外にある粒子直径分布もさらに、本明細書で均一ナノエマルジョンとして企図される。
【0021】
本明細書で使用されるように「集団」という用語は、直径サイズのある分布を有するナノエマルジョン粒子の任意の混合物を意味する。例えば、ナノエマルジョン粒子の集団は、約10〜110nmの間の粒子直径範囲であってもよい。
【0022】
本明細書で使用されるように「ナノ粒子」という用語は、国立科学財団により規定されるように、300ナノメートル(nm)未満、または国立衛生研究所により規定されるように、好ましくは100nm未満の直径を有する任意の粒子を意味する。ほとんどの従来の技術では、約300ナノメートル(nm)またはそれ以上の平均粒子直径を有するナノ粒子組成物が生成される。
【0023】
本明細書で使用されるように「分散媒質」という用語は、加熱の際、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品が溶解され得る任意の油性または水性液を意味する。油性液としては、大豆、紅花、オリーブ、トウモロコシ、綿実、亜麻仁、紅花、ヤシ、ピーナッツ、アマニ、ヒマワリ、米ぬか、ゴマ、菜種、ココアバターなど、およびそれらの混合物を含むがそれらに限定されない、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油;シリコーン油;および鉱物油が挙げられるが、それらに限定されない。また、水性媒質としては、水、生理食塩水、短鎖アルコール、5%デキストロース、リンゲル液(乳酸加リンゲル液、乳酸加リンゲル+5%デキストロース液、アシル化リンゲル液)、Normosol-M、Isolyte Eなど;ならびに、高い界面活性剤特性を有する合成および/または天然洗浄剤、デオキシコール酸、シクロデキストリン、カオトロピック塩およびイオン対形成剤(ion pairing agent)、など、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用されるように「化合物」という用語は、実質的に分散媒質中に溶解しうる任意の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品(すなわち、例えば、有機化学薬品、脂質、タンパク質、油、ビタミン、結晶、鉱物など)を意味する。
【0025】
本明細書で使用されるように「実質的に可溶性の」という用語は、30mg/mlを超える濃度まで分散媒質中に溶解する任意の化合物を意味する。好ましくは、化合物を溶解させる間、分散媒質を加熱する。
【0026】
本明細書で使用されるように「プレミックス」という用語は、その後、ナノ粒子組成物または均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを生成させるために使用される任意の混合物を意味する。典型的には、プレミックスは液体分散媒質および化合物を含み、任意で、乳化剤および/または酸化防止剤を含む。
【0027】
本明細書で使用されるように「安定な」という用語は、直径が、長期にわたり(すなわち、例えば、1日〜24ヶ月、好ましくは2週間〜12ヶ月、より好ましくは2ヶ月〜5ヶ月)、約10〜110nmの範囲内にあるナノエマルジョン粒子の任意の集団を意味する。例えば、ナノエマルジョン粒子集団が長期保存、温度変化、および/またはpH変化に供され、その直径が約10〜110nmの間の範囲にある場合、ナノエマルジョンは安定である。
【0028】
本明細書で使用されるように「細菌耐性」という用語は、観察可能な細菌の増殖がないことを意味する。
【0029】
本明細書で使用されるように「無菌」という用語は、生きた細菌細胞を含んでいないナノエマルジョンを意味する。
【0030】
本明細書で使用されるように「薬学的に許容される」という用語は、信頼できる医療判断の範囲内にある、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適しており、過剰の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症がなく、相応な利益/危険比に見合った、化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味する。
【0031】
本明細書で使用されるように「薬学的に許容される塩」という用語は、親化合物が、その酸性塩または塩基性塩を形成することにより修飾された誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸性塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩;などが挙げられるが、それらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性無機または有機酸から形成された親化合物の通常の非毒性塩または四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような通常の非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導されるもの;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、などの有機酸から調製される塩が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用されるように「治療的有効量」という用語は、薬物用量に関し、治療の必要な有意数の被験体に薬物を投与または送達すると、特定の薬理応答を提供する用量を意味する。特定の場合に特定の被験体に投与した「治療的有効量」は、そのような用量が当業者により「治療的有効量」と考えられたとしても、本明細書で記載した疾患の治療において必ずしも有効ではないことを強調する。実際、特定の被験体は、「治療的有効量」に対し「不応性」である可能性がある。例えば、不応性被験体は、低いバイオアベイラビリティを有する可能性があり、そのため、臨床効果が得られない。さらに、特定の場合、薬物用量は、経口用量として測定され、または血液中で測定した薬物レベルを参照したものであることを理解すべきである
【0033】
本明細書で使用されるように「不応性」という用語は、活動している医療従事者により普通観察される化合物の送達後に予測される臨床効果をもって応答しない任意の被験体を意味する。
【0034】
本明細書で使用されるように「送達」または「投与」という用語は、医学界で標準と認められているような、被験体に薬剤または栄養補助食品を提供するための任意の経路を意味する。例えば、本発明は、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、または皮下を含むがそれらに限定されない送達または投与経路を企図する。
【0035】
本明細書で使用されるように「被験体」という用語は、本発明の態様が送達または投与される可能性のある任意の動物を意味する。例えば、被験体は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、マウス、ラット、スナネズミ、ハムスターなどとしてもよい。
【0036】
「封入する」、「封入された」または「封入している」という用語は、保護材料により完全に取り囲まれた任意の化合物を意味する。例えば、化合物は、マイクロ流動化中にナノエマルジョン粒子形成集団に封入されてもよい。
【0037】
「栄養補助食品」という用語は、基本的な栄養価の他に健康または医学的利益を提供する、食事源に添加される任意の化合物(すなわち、例えば、強化食品または健康補助食品)を意味する。
【0038】
「薬用化粧品」という用語は、化粧品および薬剤特性の両方を有する調製物に添加される任意の化合物(すなわち、例えば、過酸化ベンゾイルまたはレチノール)を意味する。薬用化粧品は一般に、顔貌または全体の外見を改善するために、外用薬として有用である。クリーム、油、フォーム、噴霧、液体などを含むがそれらに限定されない組成物として、薬用化粧品を適用してもよい。薬用化粧品は、カロテノイド、フェノール化合物、または水溶性酸化防止剤などのカテゴリを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0039】
発明の詳細な説明
本発明はナノエマルジョンの分野に関する。1つの態様では、ナノエマルジョンは高せん断応力技術により生成される。1つの態様では、本発明は均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを含む。別の態様では、均一ナノエマルジョンは、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品などの化合物を含む。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンと比較すると改善された薬物動態パラメータを含む。1つの態様では、本発明は、細菌耐性ナノエマルジョンを製造する方法を企図する。
【0040】
送達システムとしてのナノエマルジョンの使用は、一般に薬剤を対象とする。しかしながら、ナノエマルジョン栄養補助食品の送達にはほとんど関心が寄せられていない。例えば、1つのナノエマルジョン系は植物ステロールを含む。Bruce et al., “Method for producing dispersible sterol and stanol compounds”米国特許第6,387,411号(2002)(参照により本明細書に組み入れられる)。しかしながら、この技術は、ナノエマルジョンを生成させるために粉砕法を使用し、その結果、粒子直径は、本明細書で企図したものより少なくとも6倍大きくなる。発明の機序を理解する必要はないが、この直径差は安定性および有効性(以下)において特に有利であると考えられる。さらに、‘411特許は吸収性微量栄養素の組み込みについて開示していない。
【0041】
送達システムとしてのナノエマルジョンの別の使用は、薬用化粧品を対象とする。薬用化粧品は、例えば、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコピン、クロセチン、フコキサンチン、ハロシンチアキサンチン、カンタキサンチン、アストラキサンチン、ルテイン、またはゼアキサンチンを含むがそれらに限定されないカロテノイド;ケルセチン、ルチン、ミリセチン、カエムフェロール、カテキン、エピガロカテキン、エピカテキン、レゼルバトロール、トコフェロール、フェルレート、ユビキノール-10、大豆イソフラボン、例えばゲネステイン、ダイドゼイン、αリポ酸、アントシアニン、エラグタンニン、没食子酸またはエラグ酸を含むがそれらに限定されないフェノール化合物;または水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、尿酸、またはビリルビンを含んでもよい。
【0042】
本発明は、脂肪酸、カロテノイド、トコフェロール、トコトリエノール、およびコエンザイム-Qを含むがそれらに限定されない吸収可能な(すなわち、例えば、脂溶性)栄養素のための経口送達ビヒクルを含むナノ粒子またはナノエマルジョンの集団を対象とする。しかしながら、送達法は経口に限定されず、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、または皮下を含むが、それらに限定されない。別の態様では、カロテノイドは、ルテインおよびゼアキサンチンを含むが、それらに限定されない。本発明はまた、フェトステロールおよびフィトスタノールを含むが、それらに限定されない非吸収(すなわち、例えば、脂溶性)植物ステロール化合物のための経口送達ビヒクルを含むナノ粒子またはナノエマルジョンの集団を対象とする。1つの態様では、化合物はナノ粒子またはナノエマルジョンにより封入される。1つの態様では、一般的な乳化剤を使用してナノエマルジョンを調製する。1つの態様では、乳化剤としては、リン脂質、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、またはポリソルベートが挙げられるが、それらに限定されない。
【0043】
本発明はまた、本発明のあるナノエマルジョン態様は、当技術分野において公知の現在の方法および組成物に対し、改善されたバイオアベイラビリティが得られる表面積対体積比を含むことを企図する。
【0044】
本発明はまた、本発明のあるナノエマルジョン態様は、微生物増殖に対し耐性を有することを企図する。発明の機序を理解する必要はないが、マイクロ流動化過程は、高せん断応力を含み、および/または酸化環境を生成させ、これにより、微生物完全性が妨害され、および/または微生物増殖が阻止される。
【0045】
I.ナノエマルジョンの製造方法
ナノエマルジョンは様々な方法により生成される。特に、これらの方法は粒子直径の広範囲にわたる変動を提供し、有機溶媒およびまたはポリマーを必要とする。これらの公知のナノエマルジョンを経口薬または栄養素送達システムのために考えると、生体適合性および生理学的副作用の問題が重要な問題となってくる。
【0046】
1つの態様では、本発明は、高圧の連続乱流を含むナノエマルジョンを製造する方法を企図する。1つの態様では、高圧乱流は、マイクロ流動化を含む。1つの態様では、シングルパス暴露(すなわち、例えば、30秒以内)を用いプレミックスから均一ナノエマルジョンを生成させる。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは、最小直径および最大直径の間の差が約100nmを超えない粒子集団を含む。1つの態様では、均一ナノエマルジョンは少なくとも25,000PSIの圧力を用いて生成される。1つの態様では、本発明は、有機溶媒またはポリマー無しで均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを製造する方法を企図する。1つの態様では、マイクロ流動化ナノエマルジョンは、懸濁液から製造される。別の態様では、マイクロ流動化ナノエマルジョンはマイクロエマルジョンから製造される。
【0047】
1つの態様では、本発明は、液体分散媒質に実質的に可溶性の化合物を使用する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは化合物を封入する。1つの態様では、化合物は薬剤および/または栄養補助食品を含む。
【0048】
例示的な栄養補助食品および健康補助食品は、例えば、特に参照により組み入れられているRoberts et al., Nutriceuticals: The Complete Encyclopedia of Supplements, Herbs, Vitamins, and Healing Foods (American Nutriceutical Association, 2001) において開示されている。健康補助食品および栄養補助食品はまた、どちらも参照により組み入れられているPhysicians’ Desk Reference for Nutritional Supplements, 1st Ed. (2001)およびThe Physicians’ Desk Reference for Herbal Medicines, 1st Ed. (2001)において開示されている。植物化学物質または機能性食品としても公知の栄養補助食品または健康補助食品は一般に、健康補助食品、ビタミン、ミネラル、ハーブ、または身体に対し医学的または生物学的効果を有する治癒食品のクラスのいずれか一つである。
【0049】
例示的な栄養補助食品または健康補助食品としては、ルテイン、葉酸、脂肪酸(例えば、DHAおよびARA)、果実および野菜抽出物、ビタミンおよびミネラル補助食品、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエベラ、グッグル、アミノ酸(例えば、グルタミン、アルギニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、およびバリン)、緑茶、リコピン、ホールフード、食品添加物、ハーブ、植物栄養素、酸化防止剤、果実のフラボノイド成分、月見草油、亜麻仁、魚および海洋動物油、およびプロバイオティクスが挙げられるが、それらに限定されない。栄養補助食品および健康補助食品はまた、「医薬食品(pharmafood)」としても公知の、所望の特性を有するように遺伝的に設計された生物工学食品を含む。
【0050】
特に、これらの化合物は、天然由来の油、脂肪酸、およびタンパク質を含むが、それらに限定されない。1つの態様では、天然由来の油は魚油(すなわち、例えば、タラ肝油)を含む。1つの態様では、天然由来の脂肪酸はω-3(すなわち、例えば、DHA)を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンはほとんどまたは全く脂肪を含まない。1つの態様では、天然由来のタンパク質は大豆またはホエーを含む。
【0051】
1つの態様では、本発明は、直径が10〜110nmの間の範囲にある粒子集団を含む均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを製造する方法を企図する。
【0052】
A.マイクロフルイダイザー
マイクロフルイダイザーは、単動式インテンシファイアポンプに動力を供給する独特な過程である。インテンシファイアポンプは、油圧を選択したレベルまで増幅し、生成物ストリームにその圧力を付与する。ポンプが圧力ストロークにより移動するにつれ、相互作用チャンバを通して一定圧力で生成物を駆動する。相互作用チャンバ内では、固定形状のマイクロチャネルが特別に設計され、それを通して生成物ストリームが高速まで加速され、高せん断および衝撃力が生成され、これにより、高速生成物ストリームがそれ自体、および耐摩耗性表面に作用するにつれ、均一なナノエマルジョンが生成する。
【0053】
インテンシファイアポンプがその圧力ストロークを完了すると、方向を逆にし、新しい多量の生成物を吸引する。取り込みストロークの終了時に、再び方向を逆にし、生成物を一定圧力で駆動し、これにより過程を繰り返す。
【0054】
相互作用チャンバを出ると、生成物は、生成物を所望の温度に調節する機内熱交換器を通って流れる。この時点で、生成物を、さらに処理するためシステムを通って再循環させてもよく、または過程の次の工程に向かって外部に誘導してもよい。Cook et al., “Apparatus For Forming Emulsion” 米国特許第4,533,254号(1985);およびCook et al., “Method Of Forming A Microemulsion” 米国特許第4,908,154号(1990)(どちらも参照により本明細書に組み入れられる)。
【0055】
B.ナノ粒子組成物
ナノ粒子組成物を作製するためにマイクロフルイダイザーを使用する初期の試みは、液体分散媒質中での溶解度が低い薬物を必要とした。1つの開示された技術では、「溶解度が低い」は10mg/ml未満と規定された。Bosch et al., “Process for preparing therapeutic compositions containing nanoparticles”米国特許第5,510,118号(1996)(参照により本明細書に組み入れられる)。好ましくは非水溶性が考えられたが、非油溶性化合物もまたマイクロ流動化過程に供した。‘118特許のマイクロ流動化過程は、「摩砕(milling)」作用として記載されており、このように、不溶性化合物粒子はナノ粒子組成物の生成中に物理的崩壊を受けることが示される。さらに、この前の過程は長い処理時間を必要とし(すなわち、繰り返しマイクロ乳化サイクル)、これにより、マイクロフルイダイザー中での熱蓄積が促進される。その結果、この初期技術では40℃未満の処理温度が必要となる。1つの問題は、この技術により、約300nmの平均ナノエマルジョン粒子直径が得られたことである。より低い粒子直径(すなわち、100nm未満)が達成できるという‘118特許の教示にもかかわらず、そのような可能性を証明するデータが示されていない。本明細書で示した例示的なデータはBoscheらの過程を使用し、完全な粒子直径分布プロファイルを生成させた。実施例13を参照されたい。これらのデータは、Boschらの技術は、本発明により企図されるような均一ナノエマルジョンを生成させることができないことを示す。
【0056】
ほかの幾人かは基本の‘118技術を実行し様々な不溶性化合物を封入させた。実際、これらのその後の開示は、ナノ粒子組成物を、「非架橋表面安定化剤をその表面上に吸着させた、またはその表面と結合させた、溶解度の低い治療または診断薬」として規定する。Cooper et al., “Nanoparticulate Sterol Formulations And Novel Sterol Combinations”米国特許出願公開番号第2004/0033202 A1号(2004)(1ページ3パラグラフを参照されたい)(参照により本明細書に組み入れられる)。‘118特許のように、Cooperらは、液体分散媒質(すなわち、水、油、アルコール、グリコールなど)中での溶解度が低い化合物を使用したナノ粒子組成物の調製を開示する。例えば、Cooperらは、「溶解度に低い」薬物を約30mg/ml未満の溶解度を有するものとして規定する。例えば、1つまたは複数のステロールまたはスタノール(すなわち、シトステロールまたはフィトステロール)を含む植物ステロールナノ粒子が、当技術分野において、50nm未満の粒子直径を有するものとして示唆されている。Cooperらは、マイクロフルイダイザーを使用しておらず、10〜110nmの間の範囲の均一粒子直径を提供できることを示すデータも示していない。その代わりに、Cooperらは、10〜110nmの間の範囲の均一粒子直径分布を生成させないより従来の摩砕過程に頼っている。
【0057】
Cooperらは当技術分野においてDYNO(登録商標)-MILL KDLとして公知の摩砕粉砕機を使用する。この装置は現在米国では、Glen Mills, Inc.(Clifton, NJ)により市販されており、下記技術情報で宣伝されている。DYNO(登録商標)-MILLは、塗料およびコーティングから薬物製造およびタンパク質抽出のための細胞破壊までの用途を有する用途の広い水平ビードミルである。平均直径320nmまでの粉砕が研究報告で報告されている。DYNO(登録商標)-MILLの動作は常に湿性であり、すなわち、粉砕される材料は任意の適した液体中の懸濁液として保持される。ジャケット形粉砕チャンバは、中心軸の長さに沿って等間隔の一連の攪拌機を含む。粉砕チャンバ上のジャケットを使用して、処理する材料温度を制御する。チャンバは一端で固定され、軸上で片持ちとなる。軸受端はセパレータギャップを含み、これは、20μmと密着して設定することができるクリアランス公差を有する。チャンバはその最大容積の約80%までビーズ(すなわち、PolyMill(登録商標)500;500μm直径粉砕ビーズ)で充填される。特定の用途により、ガラス、セラミック、金属、炭化タングステンおよび他の材料から作製したビーズを使用することができる。加工材料をここで、チャンバに導入する。チャンバが材料およびビーズで満たされると、機械はスイッチが入れられ、撹拌機ディスクが回転し、ビーズを何度も繰り返して、加工材料とハリケーン様力で衝突させる。何千もの別個の衝突を有するこの作用により、迅速な、一貫したサイズ減少が得られる。バッチおよび連続処理を、同じミルで、粉砕チャンバおよびギャップ設定を変更することにより取り扱うことができる。
【0058】
最高でも、Cooperらは、粒子直径の90%が187nm未満である植物ステロールナノ粒子組成物に制限される。しかしながら、実際の粒子直径分布は示されていない。1つの態様では、本発明は、Cooperらにより記載されている技術は10〜110nmの範囲の均一粒子直径分布を生成させることができないことを企図する。実施例14を参照されたい。本発明のいくつかの態様とは異なり、Cooperらは加熱過程を含むナノ粒子組成物の製造法を考えていなかった。実際、Cooperらは、加熱を含む過程を用いた植物ステロールナノ粒子組成物の調製は望ましくなく、問題があると結論づける考察を提示している。本発明のいくつかの態様は、それらの問題を解決している。
【0059】
選択した液体分散媒質中で不溶性の2つの薬物、メロキシカムおよびトピラメートが、Cooperらのナノ粒子組成物技術を用いた改善臨床投与のための可能性のある候補として示唆されている。Cooper et al., “Nanoparticulate meloxicam formulations”米国特許出願公開番号第2004/0229038号(2004);およびGustow et al., “Nanoparticulate topiramate formulations”米国特許出願公開番号第2004/0258758号(2004)。いずれの公開も、約10〜110nmの範囲の粒子直径範囲を有する均一マイクロ流動化マイクロエマルジョンの生成を証明する例示的なデータを含まない。
【0060】
C.ナノ乳化
主に小粒子の均一混合物(すなわち、例えば、集団)の形成には、「乳化」と呼ばれる物理過程が含まれる可能性がある。エマルジョンは、従来、当技術分野では、「非混和性液体中、通常、コロイドサイズよりも大きな滴で、乳化剤と共に、または乳化剤なしで、分散された液体から構成される系として」規定されている。Medline Plus Online Medical Dictionary, Merriam Webster(2005)。結果的に、当技術分野で、徐々に小さな直径の粒子を生成させることができる乳化剤が開発されたので、「マイクロエマルジョン」および「ナノエマルジョン」という用語が公知になった。概念的には、マイクロエマルジョンの直径はナノエマルジョンよりも1000倍大きい。しかしながら、粒子直径分布は、非制御乳化過程では大きく変動する可能性があり、ナノエマルジョンとマイクロエマルジョン技術との間にはかなりの重なりが生じる。
【0061】
1つの態様では、本発明は液体分散媒質(すなわち、例えば、加熱液体分散媒質)に実質的に可溶性の(すなわち、例えば、30mg/mlを超える)化合物、および、任意で、リン脂質、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、またはポリソルベートを含むがそれらに限定されない一般的な乳化剤を含むプレミックスを企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは、プレミックスを高圧の連続乱流に暴露することにより生成され、ここで、圧力は少なくとも25,000PSIである。1つの態様では、高圧乱流はマイクロ流動化を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは薬剤または栄養補助食品を封入した粒子を含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは安定粒子を有する均一ナノエマルジョンを含む。1つの態様では、マイクロ流動化はシングルパス暴露(すなわち、例えば、約30秒)を含む。1つの態様では、均一植物ステロールマイクロ流動化ナノエマルジョンは、改善された低密度リポタンパク質コレステロール低下の効果を有する。
【0062】
経口薬物投与は、薬剤および栄養補助食品を任意の被験体に提供するための一般的な方法である。ナノエマルジョンを送達する企図した方法は、経口に限定されず、例えば、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、または皮下投与経路を含む。製剤(すなわち、液体または懸濁液)が比較的安価に製造され、よく許容されるので、経口投与が好ましい。しかしながら、製剤成分のその後の胃腸吸収は、予測できるようなものではない。薬剤および栄養補助食品が被験体内に入るには、製剤は、消化系と適合しなければならない。結果として、脂質系薬物送達システムは、多くの薬物送達システムのための担体として有用であることが知られている。しかしながら、これらの有効性は、i)脂質組成(すなわち、例えば、分子サイズおよび電荷);ii)薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品化学構造(すなわち、分子サイズおよびpHイオン化);およびiii)被験体の健康全般に依存する可能性がある。脂質は一般に、生理学的に非吸収性または吸収性と分類される。胃腸吸収過程は化合物の溶解度特性に関連しないことを認識すべきである。本発明は、吸収性または非吸収性脂質を含み、これによりバイオアベイラビリティが改善された均一マイクロ流動化ナノエマルジョンに関連する組成物および方法を企図する。
【0063】
1.非吸収性脂質
植物ステロール、スタノール、およびトリテルペンアルコール(すなわち、例えば、オリザノール)は、経口投与後、血流中に吸収されず、または不十分に吸収される。1つの態様では、本発明は、液体分散媒質中で実質的な溶解度を有する非吸収性脂質、および任意で、改善されたナノエマルジョンを製剤化するためのリン脂質、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、またはポリソルベートなどの一般的な乳化剤を含む、均一ナノエマルジョン(すなわち、例えば、マイクロ流動化された)を製造する方法を企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは、10〜110nmの間の範囲の粒子直径を含み、これにより経口投与が改善される。
【0064】
β-シトステロールなどの植物ステロールの使用は、非吸収性であるため、血液コレステロールレベルを減少させることが公知である。胃腸系に非吸収植物ステロールが存在すると、コレステロールの正常な代謝が阻害され、同時に、血液コレステロールレベルが減少する。特に、20gmの結晶植物ステロールの投与により血漿コレステロールレベルを約10%減少させることができる。Pollack et al., “Sitosterol”,In: Monographs on Atherosclerosis, Vol. 10, Eds. O.J. Pollack & D. Kritchevsky, Basel, New York., Karger(1981)。
【0065】
さらに、非吸収性脂質は、副作用がないので、栄養補助食品として好都合である。従来の薬用全身性コレステロール降下栄養補助食品(すなわち、例えば、HMG CoAレダクターゼ阻害剤またはナイアシン)を使用すると副作用が日常的に観察される。副作用の発生率が非常に低いので、植物ステロールは、全身的な処置がめったに推奨されない子供を含む一般の集団に対し、処方することができる。十分な量の植物ステロールの摂取は血液コレステロールレベルを低下させることが公知である。本発明は、植物ステロールまたはスタノールを送達する現在公知の方法における改善を企図する。
【0066】
第1の公知の方法は、植物油含有マーガリン中に、有効レベルの植物ステロールとなるまで植物ステロールを溶解させる工程を含む。遊離スタノールまたはステロールの脂溶性を、i)オレイン酸またはリノール酸などの脂肪酸との相互エステル化;ii)植物油中での混合;またはiii)水素化してマーガリンを生成することにより増加させると、血漿コレステロールを約30%減少させることができる。十分な植物ステロールを摂取するために、この過程により、約18gまでの脂肪の摂取が得られる。Miettinen et al.,“Use of a stanol fatty acid ester for reducing serum cholesterol level”米国特許第5,502,045号(1996);およびWester et al., “Phytosterol compositions”米国特許第6,589,588号(2003)(どちらも参照により本明細書に組み入れられる)。太っていることを自覚しているアメリカ人にとっては、マーガリンの高いコストと合わせると、これは血漿コレステロールを低下させる自然療法アプローチとして許容することはできない。この方法の欠点は、太りすぎまたは肥満のヒトはしばしば、高いコレステロールレベルを有することである。当然、医者は、この被験体群に、さらなる食事脂肪を避けるように警告する。1つの態様では、本発明は、植物ステロールを含む飲料ナノエマルジョンを製造する方法を企図する。例えば、飲料ナノエマルジョンを製造する方法は、高圧の連続乱流を含んでもよい。1つの態様では、連続高圧乱流はマイクロ流動化を含む。別の態様では、ナノエマルジョン飲料はオレンジジュース製品を含む。
【0067】
第2の公知の方法は、その後に飲料または食品に添加することができるミクロンサイズのミセル(すなわち、数千ナノメートルの直径を有するマイクロエマルジョン)を組み入れることにより水分散性植物ステロール(すなわち、例えば、脂肪に溶解されないスタノール)の経口送達を含む。Ostlund, Jr.,“Sitostanol formulation to reduce cholesterol absorption and method for preparing and use of same”米国特許第5,932,562号(1999)(参照により本明細書に組み入れられる)。植物ステロールを含むマイクロエマルジョンを腸に投与すると、コレステロール吸収は約37%減少した。Ostlund, Jr.,“Sitostanol formulation to reduce cholesterol absorption and method for preparing and use of same”米国特許第5,932,562号(1999)(参照により本明細書に組み入れられる);およびSpillburg et al., “Fat-free foods supplemented with soy stanol-lecithin powder reduce cholesterol absorption and LDL cholesterol”J Am Diet Assoc. 103:577-581 (2003)。この方法の欠点は、これらのマイクロエマルジョン調製物の粒子直径が、何千ナノメートル(すなわちμm直径)ものオーダーであり、これにより、最適有効性が提供されないことである。本発明は、特定の製剤および10〜110nmの間の粒子直径を提供するマイクロ流動化過程を含むナノエマルジョン技術を企図する。1つの態様では、ナノ粒子は改善されたpHおよび温度安定性特性を有し、これにより胃腸系を通して粒子の完全性が安定化される。
【0068】
第3の公知の方法は、水分散性ステロール生成物を生成させることによる植物ステロールの経口送達を含む。これらの水分散性生成物は通常、モノグリセリドおよびポリソルベートを含むが、それらに限定されない乳化剤を含む。これらの水分散性生成物は、1000nm(平均=358nm)未満の粒子直径を有する液/液分散を用いてホモジナイズされることが知られている。しかしながら、本発明は、これらの水分散性植物ステロールの、約40〜60nmの粒子直径を有するナノエマルジョンへの乳化を改善するマイクロ流動化ナノエマルジョン技術(すなわち、例えば、連続流高圧過程により生成されるもの)を企図する。
【0069】
同様に、スタノール/ステロールを高分枝炭化水素と共融解(co-melt)し、得られた生成物を粉砕することにより、水分散性ステロール/スタノールまたはステロール/スタノールエステル組成物を調製するための方法が公知である。Bruce et al., “Method for producing dispersible sterol and stanol compounds”米国特許第6,387,411号(2002)(参照により本明細書に組み入れられる)。この粉砕法は典型的には、10〜150μmの範囲の粒子直径を生成させる。水分散性ステロール生成物を生成させることが知られている別の方法は、モノグリセリドおよびポリソルベートを含むが、それらに限定されない乳化剤中での均質化を使用する。これらの均質化手順は、1000nm未満(平均=358nm)の粒子直径を有する液/液分散物を生成することが報告されている。Stevens et al., “Aqueous dispersible sterol product”米国特許第6,623,780号(2003)(参照により本明細書に組み入れられる)。この調製物を、オレンジジュースに添加すると、LDLコレステロールを約12%減少させることができる。Devaraj et al., “Plant sterol-fortified orange juice effectively lowers cholesterol levels in mildly hypercholesterolemic healthy individuals”Arterioscler Thromb Vasc Biol. 24:25-28 (2004)。
【0070】
発明の機序を理解する必要はないが、本発明により製造された均一マイクロ流動化ナノエマルジョン調製物では非常に大きな表面対体積比が達成され(すなわち、例えば、6倍まで)、優れた安定性が得られると考えられる。結果的に、さらに、組み入れられた任意の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品は改善された有効性(すなわち、例えば、植物ステロールによる血漿コレステロール低下)を有すると考えられる。さらに、本発明の1つの態様により企図されたより小さなサイズの植物ステロール含有ナノ粒子は、公知のμmサイズのミセルまたはマイクロエマルジョンと比べて、消化管への食事コレステロールの正常ミセル送達の改善された阻害を有すると考えられる。例えば、植物スタノールを含む予め形成されたμmサイズのミセルは、結晶スタノールの懸濁液に比べ、コレステロール吸収阻害において、最大3倍、より有効であることが知られている。Ostlund et al., “Sitostanol administered in lecithin micelles potently reduces cholesterol absorption in humans”Am J Clin Nutr 70:826-831 (1999)。
【0071】
2.吸収性脂質
本発明はまた、脂肪酸、カロテノイド、トコフェロールおよび他の脂溶性ビタミン、トコトリエノール、およびコエンザイム-Qを含むが、それらに限定されない吸収性脂質のための経口送達ビヒクルとしてのナノエマルジョンの使用に関する。1つの態様では、本発明は、液体分散媒質中で実質的な溶解度を有する吸収性脂質および任意で、改善されたナノエマルジョンを製剤化するためのリン脂質、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、またはポリソルベートなどの一般的な乳化剤を含む、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの製造方法を企図する。1つの態様では、方法は、プレミックスを高圧の連続乱流に暴露する工程を含む。1つの態様では、圧力は少なくとも25,000PSIである。1つの態様では、ナノエマルジョンは、ルテインおよびゼアキサンチンを含むが、それらに限定されない、カロテノイドを含む。1つの態様では、ナノエマルジョンは10〜110nmの範囲の粒子直径を有するナノ粒子を含み、これによりバイオアベイラビリティが改善される。1つの態様では、ナノエマルジョンバイオアベイラビリティは、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内または皮下送達後に改善される。
【0072】
1つの態様では、本発明は、少なくとも1つのカロテノイドを含む改善されたナノエマルジョンを提供する黄斑変性(すなわち、65の人々における失明の主原因)を治療または予防する方法を企図する。1つの態様では、カロテノイドは、ルテインまたはゼアキサンチンからなる群より選択される。
【0073】
正常な生理学的条件下では、これらの種類の化合物は、胃腸系に吸収されにくい可能性がある。結果的に、予測される脂質栄養素吸収は大きく変動し、このため脂質バイオアベイラビリティ(すなわち、例えば、吸収される用量の割合)は大きく変動する。バイオアベイラビリティに影響する因子としては、食品加工法、食品マトリクス、および天然由来のミセル(すなわち、例えば、脂質ミセル輸送系)中での生理学的溶解度が挙げられるが、それらに限定されない。
【0074】
脂溶性栄養素を高脂肪含有植物油に組み入れ、脂肪マトリクス中に分散させることができる(すなわち、例えば、ミクロンサイズのミセル)。ミセルは脂溶性栄養素を可溶化し、これにより小腸による吸収が可能となる。例えば、植物ステロールがミセルで送達されると、コレステロール吸収阻害が、最大3倍に増加する。Ostlund et al.,“Sitostanol administered in lecithin micelles potently reduces cholesterol absorption in humans”Am J Clin Nutr 70:826-831(1999)。
【0075】
同様に、カロテノイドをミセル中で可溶化すると、細胞培養におけるインビトロカロテノイドバイオアベイラビリティの増加が観察される。Xu et al., “Solubilization and stabilization of carotenoids using micelles:delivery of lycopene to cells in culture”Lipids 34:1031-1036 (1999)。しかしながら、ミセルを使用する欠点には、塩素化有機溶媒の使用が含まれ、これは、食料品の加工において避けるべき慣習である。別のインビトロ実験により、親油性物質、例えば、脂肪酸、ビタミン、およびβ-カロテンのナノエマルジョン調製物は、細胞培地(RPMI-1640)中に送達することができ、TK-6細胞に組み入れられうることが証明されている。Zuelli et al., “Delivering lipophilic substances into cells using nanoemulsions”米国特許第6,558,941号(2003)(参照により本明細書に組み入れられる)。
【0076】
II.均一ナノエマルジョン薬物動態
1つの態様では、本発明は、当技術分野において現在公知の、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンと比べると、改善された薬物動態特性を有する高圧連続乱流により生成したナノエマルジョンを企図する。ナノ粒子は薬物(すなわち、例えば、ノルフラキシン(norflaxin))および/またはタンパク質(すなわち、例えば、血清アルブミン)を、微粒子よりも効果的に送達および/または放出することが知られている。Jeon et al., “Effect of solvent on the preparation of surfactant-free poly(DL-lactide-co-glycolide)nanoparticles and norfloxacin release characteristics”Int J Pharm 207;99-108 (2000);およびPanyam et al., “Polymer degradation and in vitro release of a model protein from poly(D,L-lactide-co-glycolide)nano- and microparticles”J Control Release 92: 173-187 (2003)。
【0077】
本発明の1つの態様は、当技術分野において現在公知の、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンと比べると、改善された薬物動態特性を有する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。均一なマイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの利点は、狭い粒子直径範囲(すなわち、例えば、10〜110nm)を含む。現在公知の、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンのほとんどは、広い粒子直径分布を有し、これが、より小さなサイズの粒子の改善された有効性およびバイオアベイラビリティを妨害する。
【0078】
本発明は、様々な粒子直径を有するナノエマルジョンを生成する問題を解決し、より均一な小さなサイズのナノエマルジョン(すなわち、例えば、安定な粒子を含む均一ナノエマルジョン)を提供する。結果として、均一なナノエマルジョンは、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、皮下などを含むが、それらに限定されない送達様式に関係なく、当技術分野において現在公知の、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンと比べて、改善された薬物動態パラメータを提供する。
【0079】
A.吸収段階
従来のナノ粒子組成物またはナノエマルジョンの使用は、作用発現の遅延のために理想的ではない。対照的に、本発明により企図される均一マイクロ流動化ナノエマルジョンはより迅速な治療効果を示す。
【0080】
薬剤および栄養補助食品は、一般に経口投与を対象とした、錠剤、液体、ゲルキャップ(gel cap)、カプセルなどとして市販されている。これらの組成物のピーク血漿濃度は通常、投与後2〜4時間の間に生じる。
【0081】
本発明により企図された均一マイクロ流動化ナノエマルジョンは、経口用量形態に製剤化されると、組み入れられた化合物のピーク血漿濃度は、約2時間未満、好ましくは約1時間未満、より好ましくは約30分未満、最も好ましくは1〜15分の間で得られる。
【0082】
B.投与頻度および用量
ほとんどの薬剤および栄養補助食品の推奨される1日の総用量は、分割投与される。1日1回の投与は、毎日複数回投与よりも好ましい可能性があることは当技術分野では公知である。例えば、部分発生発作を患う大人の研究では、200mg/日の毎日用量は矛盾した効果を有し、400mg/日よりも効果が低い。Physicians’ Desk Reference, 57. Sup. th Edition, pp. 2502(2003)を参照されたい。
【0083】
対照的に、本発明のいくつかの均一マイクロ流動化ナノエマルジョンは、より低い頻度、より低い用量で、液体分散物、粉末、噴霧、固体再分散可能剤形、軟膏、クリームなどの剤形で、投与してもよい。本発明で有用な製剤の例示的な種類としては、任意の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の液体分散物、ゲル、エアロゾル(肺および鼻)、軟膏、クリーム、固体剤形などが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の態様のより小さな粒子直径により、より完全な吸収が確保されるので、より低い用量を使用することができる。
【0084】
1つの態様では、本発明は、従来の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品製剤の治療的有効量の1/6、1/5、1/4、1/3、または1/2を有する、治療的有効量の均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。
【0085】
C.経口投与
従来のナノ粒子またはナノエマルジョン組成物の液体剤形は、被験体集団によりあまり許容されない、かなり多量の、高粘度物質であると予測される。さらに、粘性溶液は、シリンジをゆっくり押す必要があり、管に粘着する可能性があるため、非経口投与では問題となることがある。さらに、水に溶けにくい活性作用物質の従来の製剤は、静脈内投与技術では安全でない傾向があり、静脈内投与は主に、水に溶けやすい物質と共に使用される。本発明により企図された態様は、薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品が実質的に溶解できる液体分散媒質を使用することにより、この問題を解決する。
【0086】
均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの態様の液体剤形は、従来のナノ粒子またはナノエマルジョンの液体剤形よりも大きな利益を提供する。1つの態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンは低粘度を有する。別の態様では、均一ナノエマルジョンは、絹のようなテクスチャを含む。これらの利点は、例えば、i)摂取および消化がより容易な、より簡単な製剤と認識することによる被験体のより良好な服薬遵守;ii)カップまたはシリンジを使用することができることによる分注の容易さ;iii)用量をより少なくし、これにより被験体が摂取する体積をより少なくすることにつながる、より高濃度の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品を製剤化する可能性;およびiv)全体の製剤化関連の容易さを含む。
【0087】
本発明により企図される均一ナノエマルジョンの液体剤形は、摂取がより容易であり、これは、若年被験体、末期症状被験体、および高齢者被験体を考えると特に重要である。粘性の、またはザラザラした製剤、ならびにかなり多量の投与体積を必要とするものは、これらの被験体集団にあまり許容されない。液体経口剤形は、幼児および高齢者などの錠剤を摂取することが困難な被験体集団にとって特に好ましい可能性がある。
【0088】
本発明によるナノ粒子トピラメートの液体剤形の粘度は、好ましくは、1mlあたりほぼ同じ濃度で、従来のナノ粒子組成物またはナノエマルジョンの液体経口剤形の約1/200未満、約1/175未満、約1/150未満、約1/125未満、約1/100未満、約1/75未満、約1/50未満、または約1/25未満である。
【0089】
1つの態様では、本発明は、濁っていない均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。1つの態様では、濁ったという用語は、裸眼で見ることができる、または摂取すると「ザラザラした」ように感じられる粒状物質の特性を意味する。本発明により企図されるナノエマルジョンの態様は、容器から、水と同じくらい容易に注ぎ出し、または抽出することができ、一方、従来のナノ粒子またはナノエマルジョン組成物の剤形は、著しく「遅い」特性を示すと予測される。
【0090】
D.バイオアベイラビリティの増加
1つの態様では、本発明は、同じ用量で投与される従来のナノ粒子組成物およびナノエマルジョンに比べ、増加したバイオアベイラビリティ、およびより少量の用量要求を有する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを企図する。
【0091】
任意の薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品は、特定の用量で、特定の期間投与すると、有害な副作用を有する可能性がある。このように、より高い用量で観察される治療効果と同じまたは、それよりも良好な治療効果を達成することができる、より低い用量が望ましい。そのようなより低い用量は、従来のナノ粒子組成物およびナノエマルジョンに比べると大きなバイオアベイラビリティのため、本発明により企図される均一マイクロ流動化ナノエマルジョンにより実現される可能性があり;結果として、所望の治療効果を得るのに、より少ない用量の薬剤および栄養補助食品が必要とされる可能性がある。
【0092】
例えば、従来のナノ粒子またはナノエマルジョンに組み入れられる薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の相対バイオアベイラビリティは、約85%(すなわち、純粋溶液に比べて)である可能性がある。1つの態様では、経口薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品剤形に製剤化した均一マイクロ流動化ナノエマルジョンは、好ましくは、約85%を超える相対バイオアベイラビリティを有する。別の態様では、相対バイオアベイラビリティは約90%を超え、または約95%を超え、または約98%を超える。
【0093】
E.薬物動態プロファイル
本発明はまた、哺乳類被験体に投与すると、改善された薬物動態プロファイルを有する、組み入れられた薬剤および/または栄養補助食品を有する均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの態様を提供する。1つの態様では、改善されたプロファイルを、従来のナノ粒子組成物およびナノエマルジョンと比較する。
【0094】
本発明による改善された薬物動態(pK)プロファイルは、いくつかの異なる種類の属性を有することができる。1つの態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの改善されたpKプロファイルは、より低い用量で、従来のナノ粒子組成物またはナノエマルジョンと同じpKプロファイルを生成させる可能性がある。別の態様では、改善されたpKプロファイルは、従来のナノ粒子組成物またはナノエマルジョンに比べ、より頻度の低い投与を必要とする。1つの態様では、改善されたpKプロファイルは、従来のナノ粒子組成物およびナノエマルジョンに比べ、より速い活性の発現および/またはより多い吸収薬物量(すなわち、より大きなバイオアベイラビリティ)を示す。別の態様では、改善されたpKプロファイルは、治療血漿レベルへの被験体のより効果的なおよびまたはより速い用量設定を可能とする。
【0095】
本発明は、最大濃度到達時間(Tmax)、最大濃度(Cmax)、および/または曲線下面積(AUC)プロファイルにより反映されるような、改善された薬物動態プロファイルを含む均一マイクロ流動化ナノエマルジョンのある態様を企図する。
【0096】
1つの態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンに組み入れられる薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の投与用量は、同じ用量で投与される、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンよりも小さなTmaxを含む。好ましくは、Tmaxは、同じ用量で投与された従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンのTmaxの約99%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、または約10%未満である。
【0097】
別の態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンに組み入れられる薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の投与用量は、同じ用量で投与される、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンよりも大きなCmaxを含む。好ましくは、Cmaxは、同じ用量で投与された従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンのCmaxよりも約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、または約150%大きい。
【0098】
1つの態様では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンに組み入れられる薬剤、栄養補助食品、または薬用化粧品の投与用量は、同じ用量で投与される、従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンよりも大きなAUCを含む。好ましくは、AUCは、同じ用量で投与された従来のナノ粒子組成物および/またはナノエマルジョンのAUCよりも約5%、約10%、約15%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、または約150%大きい。
【0099】
III.滅菌ナノエマルジョン
本発明は、抗菌特性を有するナノエマルジョンの製造方法を企図する。1つの態様では、本方法は、プレミックスを高圧の連続乱流に暴露する工程を含む。1つの態様では、抗菌ナノエマルジョンはマイクロ流動化により調製される。1つの態様では、暴露は、約30秒を含む。別の態様では、暴露は少なくとも25,000PSIの圧力を含む。別の態様では、抗菌ナノエマルジョンは大豆タンパク質を含む。
【0100】
例えば、粉末大豆タンパク質調製物を水に添加し、これにより懸濁液を生成させた。その後、懸濁液の第1のアリコートを、対照として機能する第1の容器(すなわち、例えば、細胞培養ファルコンフラスコ)に添加した。懸濁液の第2のアリコートをマイクロ流動化し(上記)、ナノエマルジョンを生成させた。調製物を実施例5に従いマイクロ流動化した。マイクロ流動化ナノエマルジョンをその後、第2の容器に添加した。両方の容器を直ちに冷蔵し、次の数日間観察した。対照懸濁液は凝集し、細菌が増殖した。図15Aおよび15Bを参照されたい。対照的に、大豆タンパク質を含むマイクロ流動化ナノエマルジョンは凝集せず、細菌が増殖しなかった。図15Cおよび15Dを参照されたい。
【0101】
発明の機序を理解する必要はないが、マイクロ流動化は細菌を滅菌すると考えられる。さらに、マイクロ流動化せん断応力により細菌細胞溶解が生じ、これによりさらなる細菌の増殖が阻止されると、考えられる。結果として、本明細書で企図されるように、マイクロ流動化は、微生物学的滅菌組成物を生成させる。
【0102】
1つの態様では、本発明は、高圧の連続乱流を含む方法により生成される酸化環境を含むナノエマルジョンを企図する。1つの態様では、ナノエマルジョンは均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを含む。1つの態様では、酸化環境は細菌増殖を阻止する。別の態様では、酸化環境は殺菌性である。別の態様では、酸化環境は殺菌ナノエマルジョンを提供する。
【0103】
酸化ナノエマルジョン環境は表面対体積比の増加により得られる可能性がある。1つの態様では、本発明はまた、酸化防止剤の存在下でのマイクロ流動化による酸化環境の生成を避ける方法を企図する。1つの態様では、酸化防止剤はマイクロ流動化ナノエマルジョン中の反応性酸素種(ROS)の存在を減少させる。別の態様では、酸化防止剤はナノ粒子により封入され、その後に、被験体に放出される。
【0104】
(表1)マロンジアルデヒド形成により測定されるナノエマルジョン製剤中での酸化ストレス
【0105】
任意のナノエマルジョン調製物中へのROSの導入は、酸化環境の指標を測定することにより定量的に決定することができる。マロンジアルデヒド(MDA)は、酸化環境の公知の指標である。
【0106】
上記表1からわかるように、マイクロ流動化ナノエマルジョンを製造する過程は、約13倍MDAレベルを増加させる。さらに、ビタミンCおよび/またはビタミンEの両方が存在すると、マイクロ流動化ナノエマルジョン中でのMDA生成が完全に阻止され、これによりMDAは恒常性血漿レベルに戻る。
【実施例】
【0107】
実験
下記実施例は本発明により企図される特定の態様であり、制限するものではない。
【0108】
実施例1:植物ステロールマイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの植物ステロール態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油4gの加熱
2.大豆レシチン5gの添加、撹拌、および90℃までの加熱
3.植物ステロール1gの添加、撹拌、および加熱10分
4.ポリソルベート80 250mgの添加
5.脱イオン水240mlの70℃までの加熱
6.工程5混合物に工程4混合物を添加、撹拌バーの維持、および30分の加熱
7.工程6混合物の2〜4分間ホモジナイズ
8.ホットプレート上での10分の製剤の撹拌
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0109】
これらのマイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンの平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は39nmであった。図1を参照されたい。植物ステロールマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径を下記表2に示す。
【0110】
(表2)マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン
Z-平均;38.91;PDI:0.228;切片:0.9764
【0111】
3ヶ月後、粒子直径を再び決定した。このマイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1)は64.4nmであった。図1Aを参照されたい。3ヶ月植物ステロールナノエマルジョンに対する平均粒子直径データを、下記表3で示す。
【0112】
(表3)3ヶ月保存:マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョン
Z-平均;64.4;PDI:0.196;切片:0.969
【0113】
実施例2:タラ肝油マイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、少なくとも4ヶ月間、安定な粒子直径を有するマイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのタラ肝油態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油5gの加熱(65℃)
2.タラ肝油5gの添加、撹拌、および80℃までの加熱
3.ポリソルベート80 6gの添加、撹拌および加熱20分
4.脱イオン水200mlの添加、撹拌および加熱30分
5.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
6.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0114】
このタラ肝油マイクロ流動化ナノエマルジョンの平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は58nmであった。マイクロ流動化前では、タラ肝油懸濁液の平均粒子直径は2,842nmであった。これは、マイクロフルイダイザーを通すシングルパスによる50倍の減少を示す。マイクロ流動化過程後4ヶ月で、粒子直径を再び決定し、変化していないことが見出された。図2を参照されたい。4ヶ月マイクロ流動化試料から得られた平均粒子直径を下記表4に示す。
【0115】
(表4)調製後4ヶ月のマイクロ流動化タラ肝油ナノエマルジョン
Z-平均;45.15;PDI:0.247;切片:0.9707
【0116】
実施例3:トコフェロールマイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、少なくとも5ヶ月間、粒子直径を維持するマイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのトコフェロール態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油13.5gの加熱
2.トコフェロール2gの添加、撹拌、および90℃までの加熱
3.脱イオン水100mLに溶解したポリソルベート80 2gの加熱、75℃までの加熱
4.工程3混合物の工程2混合物への添加
5.脱イオン水300mlおよびポリソルベート80 6gの加熱、70℃となるまで加熱
6.工程4混合物の工程5混合物への添加、撹拌バーの維持および加熱
7.工程6混合物の2〜4分間のホモジナイズ
8.ホットプレート上での3〜5分の製剤の撹拌
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0117】
トコフェロールマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径は64nmであった。マイクロ流動化前では、トコフェロール懸濁液の平均粒子直径は1,362nmであった。これは、マイクロフルイダイザーを通すシングルパスによる21倍の減少を示す。マイクロ流動化過程後5ヶ月で、粒子直径を再び決定し、変化していないことが見出された。図3を参照されたい。5ヶ月マイクロ流動化試料から得られた平均粒子直径を下記表5に示す。
【0118】
(表5)調製後5ヶ月のマイクロ流動化トコフェロールナノエマルジョン
Z-平均;58.07;PDI:0.234;切片:0.9697
【0119】
実施例4:ルテインおよびゼアキサンチンマイクロ流動化ナノエマルジョンの製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのルテイン/ゼアキサンチン態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油5gの加熱
2.レシチン2gの添加
3.加熱および撹拌、10分
4.ルテイン125mgおよびゼアキサンチン125mgの添加
5.加熱および撹拌、10分
6.脱イオン水240mLの加熱、50℃
7.加熱水の混合物への添加
8.溶液となるまでの撹拌および加熱
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0120】
ルテインおよびゼアキサンチンマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は62nmであった。図4を参照されたい。試料に対する平均粒子直径を下記表6に示す。
【0121】
(表6)マイクロ流動化ルテイン/ゼアキサンチンナノエマルジョン
Z-平均;62.26;PDI:0.245;切片:0.976
【0122】
実施例5:大豆タンパク質マイクロ流動化ナノエマルジョンの製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの大豆タンパク質態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油5gの加熱
2.液体レシチン5gの添加
3.加熱および撹拌10分、70℃
4.脱イオン水240mLの加熱、65℃
5.加熱水の混合物への添加
6.大豆タンパク質9gの添加、撹拌および加熱10分
7.大豆タンパク質9gの添加
8.撹拌および加熱20分、70℃
9.ホモジナイズ1分
10.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化10回
11.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0123】
バニラ大豆タンパク質(Central Soya)マイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は55nmであった。図5を参照されたい。試料に対する平均粒子直径を下記表7に示す。
【0124】
(表7)マイクロ流動化大豆タンパク質ナノエマルジョン
Z-平均;54.97;PDI:0.283;切片:0.9819
【0125】
実施例6:ホエータンパク質マイクロ流動化ナノエマルジョンの製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのホエータンパク質態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油5gの加熱
2.大豆レシチン5gの添加
3.ポリソルベート80 250mgの添加
4.加熱および撹拌10分、70℃
5.脱イオン水240mLの加熱、65℃
6.加熱水の混合物への添加
7.ホエータンパク質10gの添加
8.撹拌および加熱10分
9.ホモジナイズ1分
10.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
11.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0126】
ホエータンパク質マイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は108nmであった。図6を参照されたい。試料に対する平均粒子直径を下記表8に示す。
【0127】
(表8)マイクロ流動化ホエータンパク質ナノエマルジョン
Z-平均;108.2;PDI:0.263;切片:0.948
【0128】
実施例7:オレンジジュース、植物ステロールおよびルテインマイクロ流動化ナノエマルジョンの製剤
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのオレンジジュース/植物ステロール/ルテイン態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.大豆油の加熱、80℃
2.植物ステロール1.5gの添加
3.撹拌および加熱、5分
4.ポリソルベート80 5gの添加
5.ルテイン70mgの添加
6.撹拌および加熱、10分
7.オレンジジュース(Tropicana(登録商標))240mLの添加
8.撹拌および加熱、1時間
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化2回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0129】
オレンジジュース/植物ステロール/ルテインマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1/ピーク2)は46nmであった。図7を参照されたい。試料に対する平均粒子直径を下記表9に示す。
【0130】
(表9)マイクロ流動化オレンジジュース/植物ステロール/ルテインナノエマルジョン
Z-平均;46.41;PDI:0.322;切片:0.9609
【0131】
実施例8:DHA魚油/水マイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、少なくとも2ヶ月粒子直径を維持するマイクロ流動化ナノエマルジョンの1つのDHA魚油/水態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.DHA魚油6.4gの加熱
2.大豆レシチン6gの添加
3.ポリソルベート80 250mgの添加
4.脱イオン水240mLの加熱、75℃
5.加熱水の混合物への添加
6.撹拌および加熱、20分
7.ホモジナイズ2分
8.撹拌および加熱、10分
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0132】
DHA魚油/水マイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1)は73nmであった。マイクロ流動化過程後2ヶ月で、粒子直径を再び決定し、変化していないことが見出された。図8を参照されたい。2ヶ月マイクロ流動化試料から得られた平均粒子直径を下記表10に示す。
【0133】
(表10)安定マイクロ流動化DHA魚油/水ナノエマルジョン
Z-平均;72.58;PDI:0.205;切片:0.9636
【0134】
実施例9:DHA魚油/乳マイクロ流動化ナノエマルジョンの安定製剤
この実施例は、少なくとも3週間粒子直径を維持する、乳化剤を添加していない、1つのDHA魚油/乳態様を提供する。段階的な手順は下記の通りである。
1.DHA魚油1.5gの加熱、50℃
2.全乳200mLの加熱、50℃
3.2つを共に混合
4. 撹拌および加熱、10分
5.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
6.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0135】
DHA魚油/乳マイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1)は93nmであった。このナノエマルジョン調製物は乳化剤を添加せずに製造された。マイクロ流動化過程後3週間に、魚油は溶液中に依然として存在し、粒子直径を再び決定し、変化していないことが見出された。図9を参照されたい。3週マイクロ流動化試料から得られた平均粒子直径データを表11に示す。
【0136】
(表11)安定マイクロ流動化DHA魚油/乳ナノエマルジョン
Z-平均;93.11;PDI:0.178;切片:0.9341
【0137】
実施例10:マイクロ流動化ナノエマルジョンの温度安定性
この実施例は、高温または低温のいずれかに暴露した後のマイクロ流動化ナノエマルジョンの安定性を提供する。この実験で使用した製剤はDHA魚油乳/トコフェロールを含んだ。
1.脱イオン水25mL中へのビタミンC 1gの溶解
2.工程1へ全乳200mLの添加
3.DHA魚油1.7gの取得およびδトコフェロール800mgの添加
4.工程1および2の工程3への添加
5.撹拌および加熱、10分、50℃
6.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
7.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0138】
DHA魚油/乳/トコフェロールマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径(すなわち、ピーク1)は87nmであった。図10を参照されたい。このナノエマルジョン調製物は乳化剤を添加せずに製造した。元のナノエマルジョンに対する平均粒子直径データを表12に示す。
【0139】
(表12)マイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロールオリジナルナノエマルジョン
Z-平均;87.09;PDI:0.216;切片:0.9339
【0140】
この元のマイクロ流動化ナノエマルジョンを75℃で30秒間低温殺菌した。24時間後、油は依然として溶液中に存在し、粒子直径は元のナノエマルジョンに比べ安定であった。図11を参照されたい。低温殺菌したマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径データを表13に示す。
【0141】
(表13)マイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロール低温殺菌ナノエマルジョン
Z-平均;87.18;PDI:0.198;切片:0.9281
【0142】
この元のマイクロ流動化ナノエマルジョンを-4℃で24時間凍結融解試験した。24時間後、油は依然として溶液中に存在し、粒子直径は元のナノエマルジョンに比べ安定であった。図12を参照されたい。凍結融解したマイクロ流動化ナノエマルジョンに対する平均粒子直径データを表14に示す。
【0143】
(表14)マイクロ流動化DHA魚油/乳/トコフェロール凍結融解ナノエマルジョン
Z-平均;87.58;PDI:0.198
【0144】
実施例11:食事リコピンの改善されたバイオアベイラビリティ
この実施例は、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンとして供給した場合の、標準食事製剤中に混合した場合に対する、リコピンの改善されたバイオアベイラビリティを証明する。
【0145】
リコピンマイクロ流動化ナノエマルジョンを、下記のように段階的に調製した。
1.大豆油5gの加熱
2.レシチン2gの添加
3.撹拌および加熱、10分
4.リコピン125mgの添加
5.加熱および撹拌、10分
6.脱イオン水(またはグレープジュース)240ml加熱;50℃
7.加熱水(またはグレープジュース)の混合物への添加
8.撹拌および加熱、溶液となるまで
9.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化1回
10.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0146】
リコピンマイクロ流動化ナノエマルジョンの平均粒子直径は74nmであった。
【0147】
スナネズミにおけるバイオアベイラビリティ
マイクロ流動化ナノエマルジョンを食餌(chow-based diet)に組み入れ、スナネズミに4週にわたり与えた。対照群には、油-強化食餌中のリコピンを与えた。4週の終わりに、血液を採取し、血漿を収集し、血漿リコピンレベルを両方のスナネズミ群でHPLCにより決定した。
【0148】
図13は対照スナネズミが検出可能な血漿リコピンレベルを示さなかったことを証明する。しかしながら、マイクロ流動化リコピンナノエマルジョンを含む食餌を与えたスナネズミは上昇した血漿リコピンレベルを示した。図14を参照されたい。
【0149】
ヒトにおけるバイオアベイラビリティ
その後、マイクロ流動化リコピンナノエマルジョンを水の代わりにグレープジュースを用いて調製し、2人のヒト被験体に、4日の期間にわたり(125mg/サービング、1日につき2サービング)に経口投与させた。この投与により、約38%だけ血漿リコピンレベルが上昇した(データ図示せず)。
【0150】
実施例12:マイクロ流動化ナノエマルジョンの改善された有効性
この実施例は、マイクロ流動化ナノエマルジョンが従来のナノエマルジョンにおいて見られるものを超える改善された有効性を提供することを示すデータを提供する。特に、この実施例は高コレステロール血ハムスターにおいて血漿低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を減少させる3つの植物ステロール製剤の可能性を比較する。
【0151】
マイクロ流動化混合植物ステロール(60%シトステロール)ナノエマルジョンを、下記のように段階的に調製した。
1.大豆油5gの加熱
2.大豆レシチン5gの添加、撹拌および加熱15分
3.工程2の繰り返し
4.大豆油15gの添加、撹拌および加熱10分
5.植物ステロール4gの添加、撹拌および加熱10分
6.工程4の4度の繰り返し
7.ポリソルベート80 1gの添加、撹拌および加熱10分
8.MinuteMaid Heartwise(登録商標)オレンジジュース200mlの加熱(75℃)
10.MinuteMaid Heartwise(登録商標)オレンジジュース1800mlの加熱(70℃)
11.工程8の工程7への添加。撹拌および加熱20分(80℃)
12.工程10への加熱
13.ポリソルベート80 1gの添加、撹拌および加熱20分(80℃)
14.2〜4分のホモジナイズ
15.ホットプレート上での10分のホモジネートの撹拌
16.M-110EHユニットを用いた、25,000PSIでのマイクロ流動化
17.Malvern Nano S機器を用いた粒子直径分析の実施
【0152】
マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンに対する平均粒子直径は41.95nmであった。図16を参照されたい。
【0153】
40匹のハムスターをそれぞれ10匹ずつの4つの群に分けた。群1には、対照高コレステロール食(HCD)を与え;群2には30mg/dの結晶植物ステロールを与え;群3には20mg/dのMinuteMaid Heartwise(登録商標)微粉化植物ステロール(Cargill)を与え;群4には10mg/dのマイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンを与えた。4週後、血液試料に対し、血漿LDL-Cレベルを分析した。マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンは、MinuteMaid Heartwise(登録商標)微粉化食よりも2倍、結晶植物ステロール食よりも3倍効果的であった。図17を参照されたい。
【0154】
データから、実施例11で示される改善されたバイオアベイラビリティにより、μm-サイズまたは結晶植物ステロール食に比べて改善された臨床治療が得られることが示される。
【0155】
実施例13:コレステロールナノエマルジョン:不溶性対可溶性分散媒質
この実施例は、均一マイクロ流動化ナノエマルジョン組成物は、液体分散媒質中で実質的な溶解度を有する化合物に依存することを証明するデータを提供する。この実施例は、米国特許第5,510,118号で記載されているマイクロ流動化技術を、本発明により企図される1つの態様と比較する。吸収性脂質コレステロールを試験化合物として選択した。
【0156】
群Iは‘118プレミックスを示し、コレステロール(2gm)、水(100ml)およびTween(登録商標)80(0.2gm)を分散させることにより調製し、ここでコレステロールは液体分散媒質(水)に不溶(すなわち、少なくとも30mg/ml未満)であった。その後、このコレステロール/水/Tween(登録商標)80溶液を、M-100EHユニットを用いてマイクロ流動化した。4,000〜20,000の間の範囲のPSIで、マイクロフルイダイザーを通すマルチプルパス(10〜15)を実施したが、生成した熱が70℃を超えた(‘118特許で推奨された30〜40℃よりずっと高い)ので終了した。マイクロ流動化後、コレステロールのほとんどが沈殿したことが観察された。24時間後、群Iナノエマルジョン調製物は元のコレステロール重量の0.44gm(すなわち、22%)しか含んでいなかった。
【0157】
群IIは本発明の1つの態様を示し、コレステロール(2gm)を含む加熱した大豆油(10gm)、大豆レシチン(5gm)およびTween(登録商標)80(0.2gm)を分散させることにより調製し、ここでコレステロールは実質的に液体分散媒質(油)に溶解できた(すなわち、少なくとも30mg/mlを超える)。その後、このコレステロール/油/レシチン/Tween(登録商標)80を加熱水100mlに添加し、M-100EHユニットを用い、25,000PSIでの30秒のシングルパスを使用してマイクロ流動化した。マイクロ流動化後、コレステロール沈殿はそれほど顕著ではなかった。24時間後、群IIナノエマルジョンの沈殿は元のコレステロール重量の1.66gm(すなわち、83%)を含んだ。
【0158】
データから、群Iおよび群IIプレミックス調製物両方からの粒子直径分布は実際に同一であることが示される。図18Aおよび18Bをそれぞれ、参照されたい。特に、約900nmの平均粒子直径を有する700〜1000nmの範囲の単一ピークが両方の調製物で観察される。表15および16を参照されたい。
【0159】
(表15)コレステロール/Tween(登録商標)80/水プレミックス粒子直径:群I
Z-平均;1982;PDI:0.210;切片:0.6797
【0160】
(表16)コレステロール/油/レシチン/Tween(登録商標)80/水プレミックス粒子直径:群II
Z-平均;1328;PDI:0.427;切片:0.6989
【0161】
しかしながら、マイクロ流動化後、粒子直径分布は群Iと群II間では非常に異なる。図19Aおよび図19Bをそれぞれ、参照されたい。群Iは2つの非常に異なる明確なピークを示す。表17を参照されたい。しかしながら、群IIは、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの態様を示す単一ピークを示す。表18を参照されたい。
【0162】
(表17)マイクロ流動化コレステロール/Tween(登録商標)80/水ナノエマルジョン
Z-平均;246.5;PDI:0.789;切片:0.7687
【0163】
(表18)マイクロ流動化コレステロール/油/レシチン/Tween(登録商標)80/水ナノエマルジョン
Z-平均;86.8;PDI:0.240;切片:0.9455
【0164】
上記データから、本発明のいくつかの態様は、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの生成において当技術の改善を企図する。特に、Boschら(‘118特許)およびCooperらポートフォリオ(‘758、‘038および‘202出願公開)は均一粒子直径分布を生成するマイクロ流動化過程を教示していないことは現在明らかである。
【0165】
実施例14:ナノ粒子組成物対均一マイクロ流動化ナノエマルジョン
この実施例は、摩砕したナノ粒子組成物(例えば、Cooperらの米国特許出願公開番号第2004/0033202号に従い製造したもの)は、本発明の1つの態様により企図されるマイクロ流動化ナノエマルジョンのような均一粒子直径分布を生成させないことを示す証明について記載する。吸収性フィトステロールを試験化合物として選択する。
【0166】
群Iは、5%(w/w)フィトステロール/水溶液を1%(w/w)Tween(登録商標)80と共に分散させることにより調製される‘202プレミックスを示し、ここでフィトコレステロールは液体分散媒質(水)に不溶である(すなわち、少なくとも30mg/ml未満)。その後、このフィトステロール/水/Tween(登録商標)80溶液を10℃で1.5〜2時間、DYNO(登録商標)-Mill KDL(Willy A Bachofen AG, Machinefabrik, Basel, Switzerland)において、Polymill(登録商標)500の500μm摩砕媒質(すなわち、粉砕ビーズ)を用いて摩砕した。摩砕後、フィトコレステロールの多くが沈殿したことが観察される。少なくとも24時間後、群Iナノ粒子の調製物は元のフィトステロール重量の1/2未満を含んだ。
【0167】
群IIは本発明の1つの態様を示し、5%(w/w)フィトステロール/加熱大豆油溶液、大豆レシチンを1%(w/w)Tween(登録商標)80と共に分散させることにより調製され、ここでフィトステロールは液体分散媒質(油)に実質的に可溶性である(すなわち、少なくとも30mg/mlを超える)。その後、このフィトステロール/油/レシチン/Tween(登録商標)80プレミックスを加熱水100mlに添加し、M-100EHユニットを使用して、25,000PSIで30秒のシングルパスを用いてマイクロ流動化する。マイクロ流動化後、フィトステロール沈殿はそれほど明確ではない。24時間後、群IIナノエマルジョンの調製物が含むフィトステロール重量は元の3/4を超えた。
【0168】
データから、群Iおよび群IIプレミックス調製物の両方から得られる粒子直径分布は実際に同一であることが示される。例えば、約900nmの平均粒子直径を有する700〜1000nmの範囲の単一ピークが両方の調製物で観察される。表19および20を参照されたい。
【0169】
(表19)フィトステロール/Tween 80/水プレミックス粒子直径:群I
Z-平均;1982;PDI:0.210;切片:0.6797
【0170】
(表20)フィトステロール/油/レシチン/Tween 80/水プレミックス粒子直径:群II
Z-平均;1328;PDI:0.427;切片:0.6989
【0171】
しかしながら、処理後、粒子直径分布は、群Iと群II間では非常に異なることが予測される。例えば、群Iは、たいがい、少なくとも2つの非序に異なる明確なピークを示す。表21を参照されたい。しかしながら、群IIは、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの1つの態様を示す単一ピークのみを有する。表22を参照されたい。
【0172】
(表21)マイクロ流動化コレステロール/Tween 80/水ナノエマルジョン:群I
Z-平均;246.5;PDI:0.789;切片:0.7687
【0173】
(表22)マイクロ流動化コレステロール/油/レシチン/Tween 80/水ナノエマルジョン:群II
Z-平均;86.8;PDI:0.240;切片:0.9455
【0174】
上記データから、ナノ粒子組成物は、本明細書で企図されるナノエマルジョンのいくつかの態様により企図されるように均一粒子直径分布を生成させることができないことが証明される。特に、Cooperらのポートフォリオ(‘758、‘038、‘202出願公開)は、均一粒子直径分布を生成させる摩砕過程を教示していないことが現在明らかである。
【0175】
実施例15:従来のナノ粒子組成物よりも改善されたバイオアベイラビリティ
この実施例は、本発明の1つの態様により企図された均一マイクロ流動化ナノエマルジョンが、従来のナノ粒子組成物よりも改善された植物ステロールバイオアベイラビリティおよび/または有効性を有することを示すデータを提供する。
【0176】
30匹のハムスターに1μCi 3H-コレステロールを強制飼養することにより標準曲線を構成させる。血漿コレステロールレベルをその後、1日目、2日目、4日目、および7日目で決定する。これらのデータを使用して、曲線下面積(AUC)として7日期間中の3H-コレステロールのバイオアベイラビリティを計算する。
【0177】
血漿放射能レベルがバックグラウンドレベルに戻った後(すなわち、約7.5コレステロール代謝半減期)、下記処置群(n=10)を使用して実験を繰り返す。
群I:植物ステロールと混合した標準食
群II:実施例1に従い調製した均一マイクロ流動化植物ステロールナノエマルジョンと混合した標準食
群III:‘202 Cooperらの出願において記載されている従来の摩砕粉砕機技術に従い調製した従来のリコピンナノ粒子組成物と混合した標準食
【0178】
AUC測定は、各調製物のバイオアベイラビリティおよび/または有効性に比例する3H-コレステロールの血流中への各調製物の吸収を減少させる能力を決定する。
【0179】
i)均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの平均粒子直径が従来のナノ粒子組成物よりも小さい(すなわち、例えば、300nm対50nm);ii)マイクロ流動化により、摩砕または均質化のいずれかよりも安定な粒子が生成される;およびiii)マイクロ流動化により摩砕または均質化のいずれかにより生成されるものとは異なりpH-耐性粒子(すなわち、胃酸または小腸基準状態)が生成されるので、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンとして投与した場合の植物ステロールのバイオアベイラビリティおよび/または有効性が大きくなることが見られる。
【0180】
実施例16:従来のナノ粒子組成物よりも改善された有効性
この実施例は、本発明の1つの態様により企図された均一マイクロ流動化ナノエマルジョンが、従来のナノ粒子組成物よりも血漿コレステロールレベルを低下させるのに改善された有効性を有することを示すデータを提供する。
【0181】
研究は6週間の期間を有する。簡単に言うと、70匹のハムスターに、2週間の試験前期間に液体系高コレステロール食を与え、血漿コレステロールレベルを上昇させ、安定化させる。その後、ハムスターを下記に示す7つの試験群(n=10)に分ける。各群を液体系高コレステロール食およびi)ナノ粒子組成物(すなわち、例えば、‘202 Cooperらの出願のように調製したもの);またはii)本発明の1つの態様により企図される均一マイクロ流動化ナノエマルジョンで、さらに4週間維持する。
群I:高コレステロール食のみ
群II:高コレステロール食+0.1%(w/w)植物ステロールナノ粒子組成物
群III:高コステロール食+0.5%(w/w)植物ステロールナノ粒子組成物
群IV:高コステロール食+1%(w/w)植物ステロールナノ粒子組成物
群V:高コステロール食+0.1%(w/w)植物ステロール均一マイクロ流動化ナノエマルジョン
群VI:高コステロール食+0.5%(w/w)植物ステロール均一マイクロ流動化ナノエマルジョン
群VII:高コステロール食+1%(w/w)植物ステロール均一マイクロ流動化ナノエマルジョン
【0182】
血液試料を0、2、3、4、5および6週に採取し、ここで、血漿コレステロールレベルを当技術分野で公知の方法により決定する。
【0183】
i)均一マイクロ流動化ナノエマルジョンの平均粒子直径が従来のナノ粒子組成物よりも小さい(すなわち、例えば、300nm対50nm);ii)マイクロ流動化により、摩砕または均質化のいずれかよりも安定な粒子が生成される;およびiii)マイクロ流動化により摩砕または均質化のいずれかにより生成されるものとは異なりpH-耐性粒子(すなわち、胃酸または小腸基準状態)が生成されるので、血漿コレステロールレベルを低下させる植物ステロール均一マイクロ流動化ナノエマルジョンのより大きな有効性が見られる。
【0184】
実施例17:マイクロ流動化シングルパス比較
この実施例は、Bosch技術が、本発明の1つの態様と比較すると、同一のマイクロ流動化技術下では、均一マイクロ流動化ナノエマルジョンを生成しないことを示すデータを提供する。
【0185】
群IおよびIIプレミックスを実施例13に従い調製した。各プレミックスをマイクロフルイダイザー中、25,000PSIでのシングルパスに供した。群I(Bosch製剤を示す)では、粒子の85%が815nmの平均直径を有することが示される。図20Aを参照されたい。群II(本発明の1つの態様を示す)では、粒子の98%が78nmの平均直径を有することが示される。図20Bを参照されたい。これにより、平均直径が10倍以上も異なることが示される。重大なことに、Bosch粒子の15%しか100nm範囲内になく、これにより、このより低い範囲内での粒子直径分布は6倍異なることが示される。
【0186】
群Iと群IIの間の平均粒子直径分布を下記表23および24に示す。
【0187】
(表23)マイクロ流動化コレステロール/Tween(登録商標) 80/水ナノエマルジョン:シングルパス
Z-平均;651.5;PDI:84.5;切片:0.7487
【0188】
(表24)マイクロ流動化コレステロール/油/レシチン/Tween(登録商標) 80/水ナノエマルジョン:シングルパス
Z-平均;65.98;PDI:0.190;切片:0.9210
【特許請求の範囲】
【請求項1】
110nmを超える直径を有する粒子が混入していない、約10〜約110nmの間の直径を有する粒子集団を含むナノエマルジョン。
【請求項2】
粒子が化合物を封入する、請求項1記載のナノエマルジョン。
【請求項3】
化合物が薬剤である、請求項2記載のナノエマルジョン。
【請求項4】
化合物が栄養補助食品である、請求項2記載のナノエマルジョン。
【請求項5】
第1集団中の粒子の大部分が約10〜約20nmの間の直径を有し、第2集団中の粒子の大部分が約40〜約80nmの間の直径を有する第1および第2の粒子集団を含むナノエマルジョンであって、110nmを超える直径を有する粒子が混入していないナノエマルジョン。
【請求項6】
粒子が化合物を封入する、請求項5記載のナノエマルジョン。
【請求項7】
化合物が薬剤である、請求項6記載のナノエマルジョン。
【請求項8】
化合物が栄養補助食品である、請求項6記載のナノエマルジョン。
【請求項9】
a)i)化合物および液体分散媒質を含むプレミックスであって、該化合物が該媒質中で30mg/mlを超える溶解度を有する、プレミックス、ならびに
ii)少なくとも25,000PSIを維持することができるマイクロフルイダイザー(microfluidizer)を提供する工程;
b)該プレミックスの該マイクロフルイダイザーへのシングルパス(single pass)暴露を使用して、約10〜110nmの間の範囲の直径を有するナノエマルジョン粒子の集団を生成させる工程
を含む方法。
【請求項10】
分散媒質が、水性媒質および油性媒質からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
水性媒質が、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース、および短鎖アルコールからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項12】
油性媒質が、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油、シリコーン油、ならびに鉱物油からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項13】
化合物が、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、および大豆タンパク質からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
a)i)化合物、第1の酸化防止剤、第2の酸化防止剤、および水性分散媒質を含むプレミックスであって、該化合物が該媒質中で30mg/mlを超える溶解度を有する、プレミックス、ならびに
iii)少なくとも25,000PSIを維持することができるマイクロフルイダイザーを提供する工程;
c)該プレミックスの該マイクロフルイダイザーへのシングルパス暴露を使用して、約40〜110nmの間の範囲の直径を有するナノエマルジョン粒子の集団を生成させる工程であって、粒子直径が少なくとも4ヶ月間安定なままである工程
を含む方法。
【請求項15】
ナノエマルジョン粒子集団を低温殺菌する工程であって、該粒子直径が安定なままである工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ナノエマルジョン粒子集団を凍結させる工程であって、該粒子直径が安定なままである工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
a)i)治療的有効量で投与した化合物に対し不応性である被験体、
ii)該化合物を封入している約10〜約110nmの間の直径を有する粒子集団を含むナノエマルジョンであって、110nmを超える直径を有する粒子が混入していないナノエマルジョンを提供する工程;
b)治療的に有効である化合物のバイオアベイラビリティが改善されるような条件下でナノエマルジョンを患者に送達する工程
を含む、方法。
【請求項18】
改善されたバイオアベイラビリティが、減少したTmax、増加したCmax、および増加したAUCからなる群より選択される薬物動態パラメータを含む、請求項19記載の方法。
【請求項19】
送達工程が、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、および皮下からなる群より選択される方法を含む、請求項19記載の方法。
【請求項20】
ナノエマルジョンが植物ステロールを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
ナノエマルジョンがリコピンを含む、請求項19記載のナノエマルジョン。
【請求項22】
細菌耐性特性を有するナノエマルジョンであって、該ナノエマルジョンが化合物を封入している粒子集団を含み、該粒子が約10〜約110nmの間の直径を有し、該ナノエマルジョンが110nmを超える直径を有する粒子が混入していない、ナノエマルジョン。
【請求項23】
少なくとも3ヶ月間、細菌増殖に抵抗する、請求項22記載のナノエマルジョン。
【請求項24】
細菌耐性特性が、せん断力により誘発された細胞溶解を含む、請求項22記載のナノエマルジョン。
【請求項25】
細菌耐性特性が、酸化環境を含む、請求項22記載のナノエマルジョン。
【請求項26】
無菌である、請求項22記載のナノエマルジョン。
【請求項27】
a)i)化合物および液体分散媒質を含むプレミックス、ならびに
ii)高圧下で連続乱流を生成させることができる装置を提供する工程;
b)該装置を使用して、均一な直径を有するナノエマルジョン粒子集団を生成させる工程
を含む、方法。
【請求項28】
分散媒質が、水性媒質および油性媒質からなる群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
水性媒質が、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース、および短鎖アルコールからなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
油性媒質が、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油、シリコーン油、および鉱物油からなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項31】
化合物が、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、および大豆タンパク質からなる群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項1】
110nmを超える直径を有する粒子が混入していない、約10〜約110nmの間の直径を有する粒子集団を含むナノエマルジョン。
【請求項2】
粒子が化合物を封入する、請求項1記載のナノエマルジョン。
【請求項3】
化合物が薬剤である、請求項2記載のナノエマルジョン。
【請求項4】
化合物が栄養補助食品である、請求項2記載のナノエマルジョン。
【請求項5】
第1集団中の粒子の大部分が約10〜約20nmの間の直径を有し、第2集団中の粒子の大部分が約40〜約80nmの間の直径を有する第1および第2の粒子集団を含むナノエマルジョンであって、110nmを超える直径を有する粒子が混入していないナノエマルジョン。
【請求項6】
粒子が化合物を封入する、請求項5記載のナノエマルジョン。
【請求項7】
化合物が薬剤である、請求項6記載のナノエマルジョン。
【請求項8】
化合物が栄養補助食品である、請求項6記載のナノエマルジョン。
【請求項9】
a)i)化合物および液体分散媒質を含むプレミックスであって、該化合物が該媒質中で30mg/mlを超える溶解度を有する、プレミックス、ならびに
ii)少なくとも25,000PSIを維持することができるマイクロフルイダイザー(microfluidizer)を提供する工程;
b)該プレミックスの該マイクロフルイダイザーへのシングルパス(single pass)暴露を使用して、約10〜110nmの間の範囲の直径を有するナノエマルジョン粒子の集団を生成させる工程
を含む方法。
【請求項10】
分散媒質が、水性媒質および油性媒質からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項11】
水性媒質が、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース、および短鎖アルコールからなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項12】
油性媒質が、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油、シリコーン油、ならびに鉱物油からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
【請求項13】
化合物が、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、および大豆タンパク質からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
a)i)化合物、第1の酸化防止剤、第2の酸化防止剤、および水性分散媒質を含むプレミックスであって、該化合物が該媒質中で30mg/mlを超える溶解度を有する、プレミックス、ならびに
iii)少なくとも25,000PSIを維持することができるマイクロフルイダイザーを提供する工程;
c)該プレミックスの該マイクロフルイダイザーへのシングルパス暴露を使用して、約40〜110nmの間の範囲の直径を有するナノエマルジョン粒子の集団を生成させる工程であって、粒子直径が少なくとも4ヶ月間安定なままである工程
を含む方法。
【請求項15】
ナノエマルジョン粒子集団を低温殺菌する工程であって、該粒子直径が安定なままである工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ナノエマルジョン粒子集団を凍結させる工程であって、該粒子直径が安定なままである工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項17】
a)i)治療的有効量で投与した化合物に対し不応性である被験体、
ii)該化合物を封入している約10〜約110nmの間の直径を有する粒子集団を含むナノエマルジョンであって、110nmを超える直径を有する粒子が混入していないナノエマルジョンを提供する工程;
b)治療的に有効である化合物のバイオアベイラビリティが改善されるような条件下でナノエマルジョンを患者に送達する工程
を含む、方法。
【請求項18】
改善されたバイオアベイラビリティが、減少したTmax、増加したCmax、および増加したAUCからなる群より選択される薬物動態パラメータを含む、請求項19記載の方法。
【請求項19】
送達工程が、経口、経皮、静脈内、腹腔内、筋内、および皮下からなる群より選択される方法を含む、請求項19記載の方法。
【請求項20】
ナノエマルジョンが植物ステロールを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
ナノエマルジョンがリコピンを含む、請求項19記載のナノエマルジョン。
【請求項22】
細菌耐性特性を有するナノエマルジョンであって、該ナノエマルジョンが化合物を封入している粒子集団を含み、該粒子が約10〜約110nmの間の直径を有し、該ナノエマルジョンが110nmを超える直径を有する粒子が混入していない、ナノエマルジョン。
【請求項23】
少なくとも3ヶ月間、細菌増殖に抵抗する、請求項22記載のナノエマルジョン。
【請求項24】
細菌耐性特性が、せん断力により誘発された細胞溶解を含む、請求項22記載のナノエマルジョン。
【請求項25】
細菌耐性特性が、酸化環境を含む、請求項22記載のナノエマルジョン。
【請求項26】
無菌である、請求項22記載のナノエマルジョン。
【請求項27】
a)i)化合物および液体分散媒質を含むプレミックス、ならびに
ii)高圧下で連続乱流を生成させることができる装置を提供する工程;
b)該装置を使用して、均一な直径を有するナノエマルジョン粒子集団を生成させる工程
を含む、方法。
【請求項28】
分散媒質が、水性媒質および油性媒質からなる群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
水性媒質が、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース、および短鎖アルコールからなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
油性媒質が、野菜および海洋起源由来の飽和油および不飽和油、シリコーン油、および鉱物油からなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項31】
化合物が、植物ステロール、タラ肝油、トコフェロール、レシチン、ルテイン、ゼアキサンチン、および大豆タンパク質からなる群より選択される、請求項27記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−28615(P2013−28615A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198182(P2012−198182)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2008−526014(P2008−526014)の分割
【原出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(508017971)ユニバーシティ オブ マサチューセッツ ロウエル (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2008−526014(P2008−526014)の分割
【原出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(508017971)ユニバーシティ オブ マサチューセッツ ロウエル (3)
【Fターム(参考)】
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