説明

ナノサイズの半球状凹部が形成された基板を用いた高効率の有機発光素子及びこの作製方法

【課題】ナノサイズの半球状凹部が形成された基板を用いた高効率の有機発光素子及びこの作製方法の提供。
【解決手段】本発明は、基板、第1の電極、有機物層、及び第2の電極を順次に積層してなる有機発光素子において、前記第1の電極と接する基板の上面には、複数の連続した半球状凹部が形成されたことを特徴とする有機発光素子を提供する。また、本発明は、a)少なくとも一面がアルミニウムからなる基板を酸溶液に浸した後、10〜400Vの酸化電圧を加えることでアルミニウムからなる基板の一面上にアルミニウム酸化膜を形成し、このアルミニウム酸化膜には複数の連続した凹部を形成し、前記基板とアルミニウム酸化膜との接触面には、前記アルミニウム酸化膜上の凹部の曲面と同じ方向の凹部を形成するステップと;b)前記アルミニウム酸化膜が形成された基板からアルミニウム酸化膜を除去し、前記基板の一面に複数の連続した半球状凹部を形成するステップ;及びc)前記半球状凹部が形成された基板の一面上に有機物層及び電極を形成するステップと;を含むことを特徴とする有機発光素子の作製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子、特に、基板を始めとする層が非平坦構造の有機発光素子に関し、より詳しくは、ナノサイズの半球状凹部が形成された基板を用いた高効率の有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに切り換える現象をいう。即ち、陽極と陰極とで有機物層を挟み込んだ構造を有する素子に電圧をかけると、陽極からは正孔が、陰極からは電子が有機物層に注入され、この有機物層中で正孔と電子とが再結合し励起子を生成し、この励起子が消滅する時に発光する。
【0003】
近年に入って、有機発光を用いてディスプレイや照明器具を作製しようとする研究が盛んに行われている。そして、効率よい有機発光素子を作製するために有機物層を単層から多層構造まで蒸着する研究が行われてきていた。現に使用される大半の有機発光素子は、電極と有機物層が平坦に蒸着された構造を有しており、このうち、図1に示すように正孔注入層、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層等の4種の有機物層と電極が平坦に蒸着された多層構造を有する有機発光素子が最も多用されている。
【0004】
図1に示す平坦構造の有機発光素子において陽極と基板がそれぞれ透明陽極とガラス基板であれば、有機物層から発生した光が透明な陽極層とガラス基板を通るようになる。ところで、発光層から発生する光は、次のような2通りの別の経路を辿り得る。即ち、光が素子の外へと出る場合と、ガラス基板または陽極表面で全反射され素子中に閉じ込められる場合である。このうちで、外へと出る光の量は、発光層から発生した全体の光量の1/2n(nは、有機物層の屈折率である)である。有機物層の屈折率値が1.7であると仮定すれば、発生した光の17%以下だけが有機発光素子の外へと出られる。
【0005】
前述した問題を克服し、有機発光素子の外へとより多量の光を放出するために、図1に示す有機発光素子とは異なって、平坦ではない層を有する構造、即ち、非平坦構造を有する有機発光素子を作製するための方法が試みられてきており、このような方法としては、大別して次のような2通りが挙げられる。
【0006】
第一には、ガラス基板上に透明な陽極を蒸着する前にフォトリソグラフィ(photolithography)方法を用いて凸凹構造を有する光結晶(photonic crystal)を作るか(米国特許公開第2003/0057417号及び文献Y.Lee et al.Appl.Phys.Lett.82, 3779(2003))、または、光の干渉現象を用いて波状構造を具現することにより(国際特許出願公開第00/70691号及び文献B.J.Matterson et al.Adv.Mater.13, 23(2001))、発光効率を増大させる方法である。詳述すれば、前者は、ガラス基板に光結晶構造を形成してから、SiNを用いて平面を平坦化した後に陽極層を蒸着させる方法であり、そして、後者は、フォトレジスト物質と光の干渉現象を用いてガラス基板上に透明な高分子にて波状構造を形成した後、波状構造を保持しながら電極と有機物を蒸着させる方法である。
【0007】
第二には、図1に示す平坦構造の有機発光素子を作製した後、ガラス基板の表面にμmサイズのレンズ構造(国際特許出願公開第03/007663号、及び文献S.Moller et al.J.Appl.Phys.91, 3324(2000))、またはmmサイズのレンズ構造(国際特許出願公開第01/33598号)を付着させることにより素子の発光効率を増大させる方法である。
【0008】
これらの方法を用いる場合、いずれも発光効率が増大したものの、光の効率よい放出のための反射度の大きい物質からなる基板に半球状凹部を形成して使用した例は未だになく、常用化した製品に使用するためには、下記のような複数の問題がある。
【0009】
第一の方法の場合、フォトリソグラフィ方法を使用するため光結晶構造や波状構造を大面積にわたって経済的に具現することが不可能である。光結晶構造を用いた場合、蒸着工程、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程を順次に行う必要があり、この過程において真空下での基板処理を2回以上実施しなければならないためである。また、波状構造を用いた場合、光の干渉を用いたフォトリソグラフィ工程を使用するが、この方法では、数cm以上の基板に均一な波状構造を具現することが不可能であると知られている。
【0010】
第二の方法の場合も同様に、レンズ構造のサイズが数十μm乃至数mmの範囲内であるため、ディスプレイへの適用には限界があり、準備方法のため大面積への適用には向いていない。また、前記国際特許出願公開第03/007663号に開示されたレンズ構造は、最小の平面寸法が有機発光素子から放出される可視光線の最大の波長より大きい、数μmサイズのレンズ構造と限定されており、国際特許出願公開第01/33598号に開示されたレンズ構造は、そのサイズが一単位の有機発光素子より大きい場合と限定されている。
【発明の開示】
【0011】
本発明者らは、有機発光素子の基板及び/または電極が半球状凹部、特に、ナノサイズの半球状凹部が連続して形成された構造を有する場合、有機物層から発生する光を素子の外へと最大限に放出することができ、前記のような構造の電極は、単位面積当たりの表面積の増大に伴い、同一の電圧下で素子に注入される電流の量が増大し、有機発光素子の輝度を増大させることができるという事実を見出した。また、前記複数の連続した半球状凹部が形成された基板は、多孔性アルミニウム酸化膜の形成工程を用いて作製できるため、前記のような構造を含む有機発光素子を大面積で且つ経済的に作製することができる事実を見出した。
【0012】
そこで、本発明は、複数の連続した半球状凹部、好ましくは、ナノサイズの半球状凹部が形成された基板を用いた有機発光素子及びこの作製方法を提供する。
【0013】
本発明は、基板、第1の電極、有機物層、及び第2の電極を順次に積層してなる有機発光素子において、前記第1の電極と接する基板の上面には、複数の連続した半球状凹部が形成されたことを特徴とする有機発光素子を提供する。
【0014】
また、本発明は、
a)少なくとも一面がアルミニウムからなる基板を酸溶液に浸した後、10〜400Vの酸化電圧を加えることでアルミニウムからなる基板の一面上にアルミニウム酸化膜を形成し、このアルミニウム酸化膜には複数の連続した凹部を形成し、前記基板とアルミニウム酸化膜との接触面には、前記アルミニウム酸化膜上の凹部の曲面と同じ方向の凹部を形成するステップと;
b)前記アルミニウム酸化膜が形成された基板からアルミニウム酸化膜を除去し、前記基板の一面に複数の連続した半球状凹部を形成するステップ;及び
c)前記半球状凹部が形成された基板の一面上に有機物層及び電極を形成するステップと;
を含む有機発光素子の作製方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
有機発光素子の分野では、未だに素子基板等が非平坦構造を有する有機発光素子を作製するために、基板に‘半球状凹部’を形成した例がなかった。また、有機発光素子の基板等を非平坦構造に形成するために‘ナノ’サイズの構造を用いた例もない。本発明者らは、有機発光素子の第1の電極と接する基板の上面、及び好ましくは、有機物層と接する第1の電極の上面に複数の‘ナノ’サイズの半球状凹部を連続して形成する場合、下記のような利点があるという事実を見出した(図2参照)。
【0016】
有機発光素子は、屈折率(refractive index)の大きい両電極、即ち、光が出る透明電極及び反射率の大きい不透明電極と、これらで挟み込まれて電荷の注入により発光することができる有機物層を含んでなる。このような有機発光素子において、従来の有機発光素子では、図4(a)に示すように、両電極が平坦な構造を有しているため、光が屈折率の大きい透明電極を透過して大気上へと放出されようとする時に全反射が起こり、この結果、光が有機発光素子内に閉じ込められることがある。しかしながら、図4(b)に示すように、反射率の大きい不透明電極に複数の連続した半球状凹部を形成した有機発光素子では、光が高反射率を有する基板で数回、好ましくは、一・二回だけ反射すれば素子の外へと放出できる。
【0017】
また、図2に示すように、複数の連続した半球状凹部を有する基板上に電極及び有機物層を積層する場合、半球状凹部と接している電極は、平坦構造の有機発光素子の電極に比べて単位面積当たりの表面積が大きくなり、これは、同じ電圧下で素子に注入される電流の量の増大につながり、この結果、有機発光素子の輝度を増大させることができる。
【0018】
そして、本発明において、基板に形成された半球状凹部は、ナノサイズであるため、光の放出時、光の波動性により有機発光素子の輝度を増大させることができる。例えば、前記半球状凹部の直径が可視光線の波長と同じであるか、またはこれより短い場合、この半球状凹部の構造は、光の乱反射や散乱現象により光の経路を変え、この結果、平坦構造に比べて透明電極における全反射の条件を緩和させ、有機発光素子の外へとより多量の光が放出できるようにする。このような効果は、半球状凹部の直径が可視光線の半波長から波長の間の値を有する場合により大きくなる。
【0019】
本発明において、光の波長は、非常に短いことから、前記半球状凹部の構造が光の波長に対し非平坦構造と認知されるためには、半球状凹部の直径が有機発光素子の有機物層の厚さの10倍以下であることが好ましい。即ち、有機発光素子の有機物層の厚さは、通常、100〜500nmの間の値を有するため、半球状凹部の直径は、5μm以下の値を有することが好ましい。そして、前述した本発明の効果を達成するために、本発明の基板上の半球状凹部の構造は、直径が可視光線の半波長乃至波長の値、200〜800nmの値を有することがより好ましい。また、前記半球状凹部は、基板、及び好ましくは、電極上に均一に分布されていることが好ましい。本発明に係る有機発光素子の基板、及び好ましくは、電極の複数の連続した半球状凹部の構造が、図3に例示されている。
【0020】
一方、本発明は、複数の連続した半球状凹部の構造を有する基板を多孔性アルミニウム酸化膜の形成工程を用いて作製することを特徴とする。前記多孔性アルミニウム酸化膜の形成工程は、本発明とは別の技術分野で公知された技術であって、これを有機発光素子の作製に使用した例は、未だに開示されたことがない。本発明者らは、前記工程を有機発光素子の作製に使用することにより、従来の非平坦構造の有機発光素子の作製方法とは異なって、非平坦構造の有機発光素子を大面積で且つ経済的に作製することができるという事実を初めて見出したのである。
【0021】
前記工程に対する詳細は、例えば、文献[A.P.Li et al.J.Appl.Phys., 84, 6023(1998)]に記載されている。詳述すれば、少なくとも一面がアルミニウムからなる基板を適宜の酸溶液、例えば、硫酸、りん酸、シュウ酸、クロム酸等のような酸溶液に浸してから、適宜の酸化電圧、例えば、10〜400Vの電圧を印加すれば、前記基板のアルミニウムからなる一面上に直径が約25〜1000nm、好ましくは、200〜800nmであり、厚さが数百nm〜数μmの凹部が均一に形成された酸化膜を形成することができる。前記凹部の厚さは、実験時間に比例する。この時、この酸化膜と基板との接触面には、前記凹部の曲面と同じ方向の凹部が形成される。
【0022】
前記方法によりアルミニウム酸化膜を形成する過程が、図7に示されている。図7のa、b、c及びdは、前記方法を行う過程で経時的に形成される酸化膜の形態の変化を示すものである。初期には、アルミ基板上に薄くて均一な酸化膜が形成され(a)、継続して酸化膜の容積が膨張することにより酸化膜の表面が不均一になる(b)。このように酸化膜の表面が不均一になると、電流密度も同様に不均一になる。即ち、酸化膜の表面における陥没部では電流密度が増大し、隆起部では電流密度が減少する。次いで、電場の作用及び酸溶液の電解質の作用により電流密度の大きい陥没部には半球状凹部が形成され、ある程度時間が経つと、半球状凹部の直径の増加が停止する(c)。そして、前記半球状凹部の数は、一定に保持されつつ、この凹部の形成された表面の垂直方向への厚さが早く増大する(d)。この時、前記凹部の厚さの増大によりアルミニウム酸化膜とアルミ基板との接触面には、前記凹部の曲面と同じ方向の凹部が形成される(図7のc及びd)。
【0023】
次いで、前記基板上に形成されたアルミニウム酸化膜を除去することにより、図7のeに示すような複数の連続した半球状凹部が形成された基板を作製することができる。酸化膜の除去方法としては、化学的エッチング法、電気化学的エッチング法または電気的衝撃法等を用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0024】
前記酸化膜の除去方法のうちの化学的エッチング法とは、酸溶液を用いて酸化膜をエッチングする方法をいい、ここで、酸溶液としては、例えば、りん酸とクロム酸との混合溶液等を用いることができる。電気化学的エッチング法とは、酸化膜が形成された基板を電極として利用し、酸溶液下での電気化学反応により酸化膜を除去する方法をいい、ここで、酸溶液としては、例えば、エタノールと過塩素酸(HClO)との混合溶液等を用いることができる。電気的衝撃法とは、電気化学的に電圧を調節することで前記基板に電気的衝撃を与えることによりアルミニウム層から酸化膜を剥離する方法をいう。
【0025】
前記方法により作製した複数の連続した半球状凹部が形成された基板上の鋭利なエッジ部分は、滑らかに変形させることで有機発光素子のショートを防止することが好ましい。例えば、前記基板上の鋭利なエッジ部分は、電気的エッチング法やHgCl等を用いた化学的エッチング法、またはポリイミド系の高分子、フォトアクリル系の高分子またはBCB(ベンゾシクロブテン)を用いたスピンコート法を用いてより滑らかな曲面構造に変形することができる。
【0026】
本発明に係る前記少なくとも一面がアルミニウムからなる基板において、少なくとも一面がアルミニウムからなるものの、基板の他の部分に対する材料は、別に限定されない。例えば、本発明においては、前記基板としてアルミニウムだけからなるアルミ基板を使用することもでき、ガラス基板上にアルミニウム層が積層されてなる基板を使用することもできる。アルミ基板としては、200nm以上の厚さを有する純度99%以上のアルミニウムを用いることが好ましい。ガラス基板上にアルミニウム層が積層されてなる基板は、ガラス基板上にスパッタリングのような真空蒸着法を用いてアルミニウム層を形成して作製することができる。この時、ガラス基板とアルミニウム層との接着力の強化のためにアルミニウム蒸着の前にガラス基板上に2nm以上のクロムまたはチタニウム薄膜層を形成することもできる。
【0027】
本発明の方法において、基板の少なくとも2面がアルミニウムからなる場合には、その一面だけに酸化膜が形成されるように他方の面を保護する措置をとるか、または一面だけが酸溶液に浸されるようにすることもできる。
【0028】
本発明においては、前記複数の連続した半球状凹部が形成された基板を用いて有機発光素子を作製することができる。
【0029】
本発明の有機発光素子は、通常、前記基板上に第1の電極、有機物層、及び第2の電極を順次に積層してなる。しかし、半球状凹部が形成された基板が電気伝導性を有する場合には、これが基板の役割だけでなく第1の電極の役割を合わせ持つことができるため、前記基板と有機物層との間に第1の電極を別に積層しなくても済む。
【0030】
本発明の一実施の形態において、本発明の有機発光素子は、図2に例示された構造を有することができる。図2の有機発光素子は、例えば、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(ebeam evaporation)のようなPVD(Physical Vapor Deposition)方法を用い、複数の連続した半球状凹部を有する基板上に前記半球状凹部の構造を保ちながら陽極として使用できる金属または伝導性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させ、その上に有機物層及び陰極として使用できる透明物質を蒸着させることにより作製することができる。
【0031】
本発明の有機発光素子は、前記方法とは別に複数の連続した半球状凹部を有する基板上に陰極物質、有機物層、及び陽極物質を順次に積層して有機発光素子を作製することもできる(国際特許出願公開第03/012890号)。大半の有機発光素子において使用される有機物では、正孔の移動度が電子の移動度より大きい。その結果、大半の有機発光素子内における正孔の密度は、電子の密度より大きい値を有する。従って、前記方法でのように半球状凹部を有する基板上に陰極を形成すれば、陰極の表面積が陽極の表面積より大きくなり、その結果、有機発光素子内への電子の注入量が平坦構造の有機発光素子におけるそれより大きくなる。このような現象を用いれば、有機発光素子内における正孔と電子の密度を近似することにより発光効率の増大をもたらし得る。
【0032】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は、単層構造でもよいが、多層構造でもかまわない。そして、有機物層の多層構造は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層等を含む構造でもよい。前記有機物層は、各種の高分子素材を使用し、蒸着(PVD)ではないソリューションプロセス(solution process)、例えば、スピンコート、スクリーンプリント、またはインクジェット方法によりその層の数をより少なくして作製することができる。
【0033】
本発明の有機発光素子において、陽極、有機物層、及び陰極を形成するためで使用する物質は、当該技術分野において知られている物質を使用することができる。具体的には、次の通りである。
【0034】
本発明の有機発光素子において、前記陽極物質としては、通常、有機物層への正孔の注入が円滑に行われるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明に使用できる陽極物質の具体的な例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金等のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物との組合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDT)、ポリピロル及びポリアニリンのような伝導性高分子等があるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。このうちで陽極物質として、反射度が大きいか(>50%)、透明度の高い物質(>50%)を選択し使用することが好ましく、これにより、下部の凹部構造において全反射が緩められる構造を備えるようになる。特に、本発明では、陽極物質として、Ag、Al、Ni、CrまたはAu、またはこれらを含む合金のように反射率の高い物質を使用することがより好ましい。
【0035】
本発明の有機発光素子において、前記陰極物質としては、通常、有機物層への電子の注入が容易になるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。陰極物質の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、及び鉛のような金属またはこれらの合金;電子輸送物質がドープされた前記金属物質;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造物質等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。このうちで、本発明では、陰極としてMgとAgとの混合物またはAlを透明性を有するように薄膜にした後にインジウム錫酸化物またはインジウム亜鉛酸化物等の透明な伝導性物質を蒸着してなる物質を使用することがより好ましい。
【0036】
正孔注入物質としては、低い電圧で陽極からの正孔の注入を受け易い物質として、HOMO(highest occupied molecular orbital)が陽極物質の仕事関数と周辺の有機物層のHOMOとの間である物質を使用することが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては、金属ポルフィリン(porphyrine)、オリゴチオフェン、アリルアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノン及びポリアニリンとポリチオフェン系の伝導性高分子またはドーパントのような伝導性高分子等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0037】
正孔輸送物質としては、陽極または正孔注入層から正孔を受けて発光層へと輸送することができる物質であって、正孔に対する移動性の高い物質が適している。具体的な例としては、アリルアミン系の有機物、伝導性高分子、及び共役部分と非共役部分が共存するブロック共重合体等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0038】
発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層からそれぞれ正孔と電子を輸送され、これらが結合することにより可視光線領域の光を発することができる物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率のよい物質が好ましい。具体的な例としては、8−ヒドロキシ−キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10−ヒドロキシベンゾキノリン−金属化合物;ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール及びベンズイミダゾール系の化合物;ポリ(p−フェニレンビニレン)系の高分子;ポリフェニレンビニレン(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン、ルブレン等が挙げるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0039】
電子輸送物質としては、陰極から電子を注入され発光層へと輸送することができる物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が適している。具体的な例としては、8−ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン−金属錯体等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0040】
本発明の一実施の形態において、有機発光素子は、基板と第1の電極との間に透明薄膜層を更に積層してなる構造を有することができる。この時、前記透明薄膜層は、可視光線の透過度が50%以上、好ましくは、80%以上であることが好ましい。本発明において、透明薄膜層の可視光線の透過度は、透明薄膜層を構成する材料種及び層の厚さを選択することで調節することができ、これは、当該技術分野の当業者であれば容易に実施することができる。
【0041】
前記透明薄膜層としては、ゾル−ゲル反応を用いた透明な無機物層を使用することができ、または化学蒸着法(chemical vapor deposition)を用いることができるパリレン(parylene)のような有機物層等を使用することもできる。本発明において、前記透明薄膜層は、インジウム錫酸化物またはインジウム亜鉛酸化物の蒸着過程に耐えられる耐熱性の強い物質からなることが好ましい。このような物質の好適な例としては、ポリイミド、フォトアクリルまたはBCB(ベンゾシクロブテン)等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。また、第1の電極が透明電極である場合、第1の電極物質で透明薄膜層を形成することもできる。前記透明薄膜層の形成時、陽極物質としては、インジウム錫酸化物またはインジウム亜鉛酸化物を使用することが好ましく、正孔注入物質としては、フタロシアニン銅化合物(copper phthalocyanine)やヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレンを使用することが好ましい。
【0042】
第1の電極と接する透明薄膜層の面は、基板上の半球状凹部の構造に整合する対応の半球状凹部が形成された形態でもよく、半球状凹部が形成されていない平坦な形態でもよい。詳述すれば、次の通りである。
【0043】
図5に示す有機発光素子には、基板と透明陽極との間に透明薄膜層が更に積層されている。前記透明薄膜層は、半球状凹部を有する基板上に該半球状凹部の構造を保持しつつ絶縁性物質を薄膜コートすることにより形成することができる。このような透明薄膜層は、半球状凹部を有する基板上に存在し得る鋭利な部分を覆うため、有機発光素子の安全性を増大させることができる。また、透明薄膜層は、その上に形成される電極を半球状凹部付きにすることにより表面積の増大といった効果を保持し、低い電圧でより多くの電流を注入させる効果を保つことができる。
【0044】
図6に示す有機発光素子にも同じく、基板と陽極との間に透明薄膜層が更に積層されている。しかし、この有機発光素子では、図5に示す透明薄膜層とは異なり、第1の電極と接する透明薄膜層の面が平坦な形態である。このような透明薄膜層は、アルミ基板の鋭利なエッジ部分による素子のショートを抑制することができ、前記透明薄膜層上に有機発光素子と共に薄膜トランジスタのような素子を載置することにより様々な電子素子を作製することができる。
【実施例】
【0045】
実施例1
複数の連続した半球状凹部を有する基板の作製
アルミ基板(100×100mm、厚さ:0.7mm、純度:99.7%)をりん酸溶液に浸してから150Vの酸化電圧を印加し、アルミ基板上に直径が約200〜400nmで、厚さが数μmの凹部が均一に形成されたアルミニウム酸化膜を形成した。この時、アルミ基板を作動電極(working electrode)とし、銅基板を対極(counter electrode)として使用した。
【0046】
次いで、りん酸とクロム酸との混合溶液を用いた化学的エッチング法によりアルミ基板からアルミニウム酸化膜を除去することにより複数の連続した半球状凹部が形成されたアルミ基板を作製した。
【0047】
図8及び図9は、前記で作製したアルミ基板の表面構造を示す電子顕微鏡の写真図である(図8は、倍率×5,000であり、図9は、倍率×60,000である)。同図に示すように、前記と同様な方法を用いることにより、大面積にわたって半球状凹部の構造を均一に形成することができる。本実施例では、前記構造を有する100×100mmの基板を作製したが、このような基板の大きさは、対極の大きさと反応容器の大きさによりのみ制限される。従って、これらの大きさを調節すれば、前記構造を有するより大面積の基板が作製できることは言うまでもない。しかし、従来の非平坦構造を有する基板の作製方法によれば、100×100mm大きさの基板の作製さえも容易ではない。
【0048】
図10及び図11は、それぞれ前記アルミ基板の表面及び断面構造を原子間力顕微鏡により測定した結果を示す図である。同図に示すように、アルミ基板には、半球に近い半球状凹部が連続して均一に形成された。
【0049】
有機発光素子の作製
前述したように作製した半球状凹部を有するアルミ基板を基板及び陽極電極として使用した。前記アルミ基板上にヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(500Å)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)(400Å)、Alq(500Å)及び下記の一般式1で表される化合物を順次に熱真空蒸着して正孔注入層、正孔輸送層、及び発光と電子の輸送を同時に行う層を順次に形成した。次いで、前記発光と電子の輸送を同時に行う層上に順次に12Å厚さの弗化リチウム(LiF)と100Å厚さのアルミニウムを蒸着して陰極を形成することにより有機発光素子を作製した。この時、形成された陰極層は、半透明な性質を有するため、これを通して発光が観察できる。
【化1】

【0050】
前記有機発光素子の作製過程において、有機物の蒸着速度は、0.4〜0.7Å/secを保持し、陰極の弗化リチウムの蒸着速度は、0.3Å/sec、アルミニウムの蒸着速度は、2Å/secを保持し、蒸着時の真空度は、2×10−7〜5×10−8torrを保持した。
【0051】
前記作製した素子に7.5Vの順方向の電界を加えた時、50mA/cmの電流が流れ、この時、555nmでピークを見せるAlqからの緑色の発光が観測された。
【0052】
実施例2
複数の連続した半球状凹部を有する基板の作製
ガラス基板(100×100mm、厚さ:0.7mm)上にスパッタ法(sputter)を用いて1.5μmのアルミニウム層を形成した。アルミニウム層が形成されたガラス基板をりん酸溶液に浸してから195Vの酸化電圧を印加し、前記アルミニウム層に直径が約200〜500nmのアルミニウム酸化膜を均一に形成した。図12は、前記アルミニウム層に形成された酸化膜の断面構造を示す電子顕微鏡の写真図である(×25,000)。同図に示すように、酸化膜が約1μm厚さで形成された。
【0053】
次いで、りん酸とクロム酸との混合溶液を用いた化学的エッチング法により酸化膜が形成されたアルミニウム層から酸化膜を除去した。酸化膜が除去されたアルミニウム層の表面の電子顕微鏡の写真図を図13に示した(×50,000)。同図に示すように、前記アルミニウム層に半球状凹部が均一に形成された。
【0054】
有機発光素子の作製
前記のように作製した半球状凹部を有する基板を、基板及び陽極電極として使用した。前記基板上に実施例1と同様な方法で正孔注入層、正孔輸送層、発光と電子の輸送を同時に行う層、及び陰極を順次に形成した。
【0055】
前記作製した素子に7.4Vの順方向の電界を加えた時、50mA/cmの電流が流れ、この時、536nmでピークを見せるAlqからの緑色の発光が観測された。該観測された緑色の発光は、視野角によっては変化を示すことはなかった。
【0056】
図14及び図15は、それぞれ前記素子の陰極の表面構造及び断面構造を原子間力顕微鏡で測定した結果を示す図である。前記素子の陰極表面にもナノサイズの半球状凹部の構造が部分的に保持されていることが分かる。
【0057】
実施例3
基板の作製時に酸化電圧をそれぞれ130V、195V、220V印加したことを除いては、実施例2と同様な方法で半球状凹部を有する基板を3つ作製した(それぞれ、基板1、基板2、基板3という)。これらの基板を電子顕微鏡で観測した結果、図16に示すように、酸化電圧の増大につれて半球状凹部の直径の平均値が増大することが観測された。これらの基板の他、基板上に半球状凹部を形成していないことを除いては、実施例2と同様な方法で基板を更に作製した(基板4という)。
【0058】
前記作製した基板(基板1乃至基板4)に対し、n & k Analyaer(n & k Technology社製)を用いて反射度の測定を行った。この時、反射度は、前記装備において入射角を3°に固定し、照射した光の量に対し反射角3°から出る光の量を測定した値である。前記基板は、可視光を反射または散乱させ、可視光に対する吸収と透過は無視してもよい。従って、前記基板において反射度の値が小さければ小さい程、前記基板が可視光をより多く散乱することと見なし得る。
【0059】
前記複数の基板のアルミニウム層は、酸化アルミニウム層の形成の前のスパッタリング過程により形成したものであって、前記スパッタリング過程でアルミニウム層に大きなドメイン(domain)が形成されることが観測できた。その結果、基板4の場合、可視光線領域において反射度が80%以下の値を有した。
【0060】
図17は、前記基板に対する反射度の実験結果を示す図である。同図に示すように、半球状凹部が形成された基板では、半球状凹部のない基板に比べて可視光線領域における反射度の値が更に減少することが分かる。また、基板の作製時に印加した酸化電圧が増大するにつれて、可視光線領域における反射度の値が減少することが分かる。
【0061】
前記のような結果から、ナノサイズの半球状凹部は、可視光線と相互作用して可視光線を散乱させることにより、反射度の値が減少できることが分かる。従って、ナノサイズの半球状凹部を有する基板を有機発光素子に用いる場合、光の散乱効果により透明電極での全反射による光の閉じ込め現象を減少することができ、この結果、高効率の有機発光素子が作製できることが分かる。
【0062】
実施例4
前記実施例2と同様な方法で半球状凹部を有する基板を作製した。前記基板上にアルミニウム(500Å)と15Åの厚さの弗化リチウム(LiF)を熱真空蒸着(thermal evaporation)工程で蒸着し陰極として使用した。次いで、一般式1で表される化合物(200Å)、Alq(300Å)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)(400Å)とヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(700Å)を順次に熱真空蒸着して電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層を順次に形成した。次いで、IZO(Indium doped zinc−oxide、1500Å)を用いてスパッタリング工程で陽極を形成することにより有機発光素子を作製した。この時、形成された陽極層は、透明な性質を有するため、これを通して発光が観察できる。
【0063】
前記作製した素子に6.7Vの順方向電界を加えた時、100mA/cmの電流が流れ、この時、Alqからの緑色の発光が観測され、輝度は5230cd/mであった。
【0064】
比較例
平坦構造の基板を使用したことを除いては、実施例4と同様な方法で有機発光素子を作製した。
【0065】
前記作製した素子に6.9Vの順方向電界を加えた時、100mA/cmの電流が流れ、この時、Alqからの緑色の発光が観測され、輝度は3340cd/mであった。
【0066】
前記実施例4と比較例から、半球状凹部を有する基板を使用した有機発光素子は、半球状凹部を有しない基板を使用した有機発光素子に比べて低電圧を用いて同電流を流すことができ、同電流でより高い輝度を示すことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
複数個の連続した半球状凹部が形成された基板、及び好ましくは、電極を用いた有機発光素子は、前記半球状凹部により有機物層から発生する光を有機発光素子の外へと最大限に放出することができ、電極の単位表面積の増加に伴い、同一の電圧下で素子中へと注入される電流の量が増大し、この結果、有機発光素子の輝度を増大することができる。また、前記構造の基板を、多孔性アルミニウム酸化膜の形成工程を用いて大面積で且つ経済的に作製することができるため、本発明の有機発光素子は、大面積の用途に経済的に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】従来の平坦構造の有機発光素子の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る有機発光素子の例を示す図である。
【図3】複数の連続した半球状凹部が形成された基板の表面と断面の一例を示す図である。
【図4】それぞれ平坦構造の基板及び半球状凹部が形成された基板を有する有機発光素子における光の移動経路を例示する図である。
【図5】基板と第1の電極との間に透明薄膜層が更に積層された本発明に係る有機発光素子の例を示す図である。
【図6】基板と第1の電極との間に透明薄膜層が更に積層された本発明に係る有機発光素子の例を示す図である。
【図7】複数の連続した半球状凹部が形成された基板の作製過程を示す図である。
【図8】実施例1において作製した半球状凹部を有する基板の表面構造を示す電子顕微鏡の写真図である(×5,000)。
【図9】実施例1において作製した半球状凹部を有する基板の表面構造を示す電子顕微鏡の写真図である(×60,000)。
【図10】実施例1において作製した半球状凹部を有する基板の表面構造を原子間力顕微鏡(atomic force microscope)で測定した結果を示す図である。
【図11】実施例1において作製した半球状凹部を有する基板の断面構造を原子間力顕微鏡(atomic force microscope)で測定した結果を示す図である。
【図12】実施例2における酸化膜を形成してから酸化膜を除去する前の基板の断面構造を示す電子顕微鏡の写真図である(×25,000)。
【図13】実施例2において作製した半球状凹部を有する基板の表面構造を示す電子顕微鏡の写真図である(×50,000)。
【図14】実施例2において作製された有機発光素子の陰極表面構造を原子間力顕微鏡で測定した結果を示す図である。
【図15】実施例2において作製された有機発光素子の陰極断面構造を原子間力顕微鏡で測定した結果を示す図である。
【図16】実施例3において作製した半球状凹部を有する基板の表面構造を示す電子顕微鏡の写真図である(×30,000)。
【図17】実施例3の実験結果であって、平坦なアルミ基板及びそれぞれ相違するサイズの半球状凹部を有する基板での光の反射度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、第1の電極、有機物層、及び第2の電極を順次に積層してなる有機発光素子において、
前記第1の電極と接する基板の上面には、複数の連続した半球状凹部が形成されたことを特徴とする有機発光素子。
【請求項2】
第1項において、前記半球状凹部は、直径が25〜1,000nmであることを特徴とする有機発光素子。
【請求項3】
第1項において、前記第1の電極と接する基板の上面がアルミニウムからなることを特徴とする有機発光素子。
【請求項4】
第1項において、前記基板の全体がアルミニウムからなることを特徴とする有機発光素子。
【請求項5】
第1項において、前記基板は、ガラス層及びこのガラス層の上部に積層されたアルミニウム層からなることを特徴とする有機発光素子。
【請求項6】
第1項において、前記基板は、前記第1の電極を兼ねることを特徴とする有機発光素子。
【請求項7】
第1項において、前記基板と前記第1の電極との間に透明薄膜層が更に積層されたことを特徴とする有機発光素子。
【請求項8】
第7項において、前記第1の電極と接する透明薄膜層の上面には、前記基板上の複数の連続した半球状凹部と整合する対応の半球状凹部が形成されたことを特徴とする有機発光素子。
【請求項9】
第7項において、前記第1の電極と接する透明薄膜層の上面が平坦な形態であることを特徴とする有機発光素子。
【請求項10】
第1項において、前記基板は、
a)少なくとも一面がアルミニウムからなる基板を酸溶液に浸した後、10〜400Vの酸化電圧を加えることでアルミニウムからなる基板の一面上にアルミニウム酸化膜を形成し、このアルミニウム酸化膜には複数の連続した凹部を形成し、前記基板とアルミニウム酸化膜との接触面には、前記アルミニウム酸化膜上の凹部の曲面と同じ方向の凹部を形成するステップ;及び
b)前記アルミニウム酸化膜が形成された基板からアルミニウム酸化膜を除去し、前記基板の一面に複数の連続した半球状凹部を形成するステップと;
を含む方法に作製したことを特徴とする有機発光素子。
【請求項11】
第1項において、前記有機物層は、単一層または2つ以上の層からなることを特徴とする有機発光素子。
【請求項12】
第11項において、前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、及び電子輸送層を含むことを特徴とする有機発光素子。
【請求項13】
a)少なくとも一面がアルミニウムからなる基板を酸溶液に浸した後、10〜400Vの酸化電圧を加えることでアルミニウムからなる基板の一面上にアルミニウム酸化膜を形成し、このアルミニウム酸化膜には複数の連続した凹部を形成し、前記基板とアルミニウム酸化膜との接触面には、前記アルミニウム酸化膜上の凹部の曲面と同じ方向の凹部を形成するステップと;
b)前記アルミニウム酸化膜が形成された基板からアルミニウム酸化膜を除去し、前記基板の一面に複数の連続した半球状凹部を形成するステップ;及び
c)前記半球状凹部が形成された基板の一面上に有機物層及び電極を形成するステップと;
を含むことを特徴とする有機発光素子の作製方法。
【請求項14】
第13項において、前記b)ステップの酸化膜の除去は、化学的エッチング法、電気化学的エッチング法、及び電気的衝撃法からなる群より選ばれたいずれかにより行うことを特徴とする有機発光素子の作製方法。
【請求項15】
第13項において、前記c)ステップにおいて前記有機物層及び電極を蒸着方法により形成することを特徴とする有機発光素子の作製方法。
【請求項16】
第13項において、前記c)ステップにおいて有機物層をソリューションプロセス(solution process)により形成することを特徴とする有機発光素子の作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図17】
image rotate

【図12】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2007−505465(P2007−505465A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526024(P2006−526024)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002261
【国際公開番号】WO2005/025276
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】