説明

ナノシルバーを含むニキビ治療用組成物及びその使用

本発明は、ニキビ治療用の改良された組成物、及びそれに関連する方法に関する。いくつかの実施形態において本発明は、局所媒体、ナノシルバー、ニキビ薬剤及び鎮静剤を含み、刺激を起こさずにニキビを治療するのに有効な組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニキビ(acne)治療用の改良された組成物、及びその関連方法に関する。いくつかの実施形態で本発明は、局所媒体、ナノシルバー、ニキビ薬剤及び鎮静剤(soothing agent)を含み、刺激を起こさずにニキビを治療するのに有効な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
尋常性座瘡(acne vulgaris)は、皮脂腺の閉塞、並びにそれに伴う患者の顔及び/又は体の皮膚における毛包によって生じる一般的な慢性病であり、皮膚上に吹出物が形成されることを特徴とする。皮脂は油っぽい物質であり、保護及び潤滑化のために皮膚が天然に作り出すものであるが、皮脂腺は、死んだ皮膚細胞、汚れ、汚染物質及び化粧品によって塞がれることがあり、或いは不適切な食生活、ストレス、不衛生、遺伝的性質、ステロイド薬物又はホルモン変化等の要素により閉塞の影響を受けやすくなる。
【0003】
閉塞した皮脂腺に細菌が封じ込められると感染をもたらす可能性があり、それにより炎症が生じ得る。皮膚上の細菌が油に封じ込められると、栄養分に富んだ嫌気性環境ができあがり、細菌分裂が促進される。皮膚表面近傍の炎症により、皮膚表面又はその近傍に膿の小さな堆積である膿疱ができる。より強い炎症では、膿を含まない小さな皮膚の固形隆起である丘疹が形成されることがある。さらに炎症が強くなると、嚢胞と呼ばれる閉じた嚢、又は根粒と呼ばれる硬い腫脹が形成されることがある。
【0004】
ニキビができると見栄えが悪く、痒みと痛みも伴うことがある。さらに、炎症化した丘疹がつぶれるときには、その周囲に感染を生じさせることがあり、吹出物が増加し、治癒後に瘢痕化する。ニキビが繰返しできることにより、特に思春期に社会的差別を受ける場合もある。
【0005】
ニキビは青少年期に初めて発生することが多い。青少年の85%がニキビを患うと推定されている。Smith, JA et al., Impact of Acne on Quality of Life in Adolescents, p. 113, in Care Management of Skin Diseases: Life Quality and Economic Impact (Rajagopalan, R. et al., eds), 1998。しかし、ニキビは青少年だけが患うものではなく、男性の約25%、女性の50%がその成人期のいずれかの時期にニキビを患うとの推測がある。Acne Resource Center (http://www.acne-resource.org/acne-skin-care/why-adults.html)。
【0006】
ニキビを患う人口数と現在行われている治療の数の多さとを考慮すると、この症状の罹患率が引き続き高いことは、現在行われている治療法の全てとは言わないものの殆どが適切でないことを示している。よって、当技術分野では、改良されたニキビ治療法が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Smith, JA et al., Impact of Acne on Quality of Life in Adolescents, p. 113, in Care Management of Skin Diseases: Life Quality and Economic Impact (Rajagopalan, R. et al., eds), 1998
【非特許文献2】Acne Resource Center (http://www.acne-resource.org/acne-skin-care/why-adults.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、ナノシルバーにおける抗細菌性、サリチル酸又は他の認められているニキビ薬剤における油分を除去する特性やニキビを治療する他の特性、並びに保湿成分及び沈静成分を組み合わせることにより、ニキビの根本原因(例えば細菌及び油分)を治療する製剤であって、治療自体による過酷な影響を改善若しくは減少させる独特の製剤を作製する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の一態様では、局所媒体、ナノシルバー、ニキビ薬剤及び鎮静剤を含み、刺激を起こさずにニキビを治療するのに有効な組成物を提供する。この組成物は、固体状でも液体状でもよい。いくつかの実施形態において、この組成物は保湿剤を含み得る。いくつかの実施形態において、この組成物は洗浄剤を含み得る。いくつかの実施形態において、ナノシルバーはナノシルバー送達系で送達され得る。
【0010】
いくつかの実施形態でニキビ薬剤は、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、及び/又はこれらの組合せであり得るが、これらに限定はされない。
【0011】
いくつかの実施形態において、鎮静剤としては、パーム脂肪酸ナトリウム(sodium palmate)、パーム核脂肪酸ナトリウム(sodium palm kernelate)、ブチロスパーマムパーキー(シアバター)、メンテピペリタ(ペパーミント)葉油、セリシン、ピリドキシン(ビタミンB6の一形態)、レチニルパルミテート及び/若しくはビタミンAの他の形態、酢酸トコフェロール及び/若しくはビタミンEの他の形態、ラウリルラウレート、ヒアルロン酸、アロエバルバデンシス葉汁パウダー、ワカバキャベツヤシ(euterpe oleracea:アサイーベリー)果実抽出物、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミンHCl及び/若しくはビタミンB1の他の形態、並びに/又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定はされない。
【0012】
いくつかの実施形態において、媒体としては、水、グリセリン、二酸化チタン、トウモロコシ(コーン)スターチ、加水分解コーンスターチ、加水分解オクテニルコハク酸スターチ、合成ワックス、塩化ナトリウム、コカミドプロピルジメチルアミン、ヒドロキシエチルベヘナミドプロピルジモニウムクロリド、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、ステアリン酸グリセロール、テトラナトリウムEDTA、シリカ、シリカジメチルシリレート、ブチレングリコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アテロコラーゲン、ブチルパラベン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、プロピルパラベン、エチルパラベン、及び/又はイソブチルパラベンが含まれるが、これらに限定はされない。
【0013】
別の態様において本発明は、ニキビ治療を必要とする患者のニキビを治療する方法であって、本発明の組成物の1つを治療有効量で前記患者に投与することによりニキビを治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、この組成物は局所投与される。いくつかの実施形態において、この組成物は患者の顔及び/又は体に適用され、かかる部位に少なくとも約6分間留まる。いくつかの実施形態において患者は青少年期のヒトである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について以下に詳細に記載する。実施形態の記載には、明確さを期して特定の専門用語を使用する。しかし、本発明は、そのように選択した特定の専門用語に限定されることを意図していない。関連技術の当業者は、他の同等な部分も採用できること、また、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の方法が開発されることも認めるであろう。本明細書で引用する全ての参考文献は、それぞれの文献が個別に援用されていたかのように、参考として本明細書に援用する。
【0015】
「ナノシルバー」という用語は、ナノスケールサイズの銀粒子を包含する用語である。例えば「ナノシルバー」は、直径が約5〜約100ナノメーターの銀粒子を包含する。しかし、当業者であれば理解するように、これより大きい又は小さいサイズの銀粒子であっても、例えばかかる粒子が本願開示の組成物及び方法において抗細菌作用及び抗微生物作用を呈することができるような表面容積比を有しているなど、本発明の実施形態にしたがって使用したときに効果的である場合には、それら粒子もまた「ナノシルバー」なる用語に包含される。本明細書で用いる「ナノシルバー」、「シルバーナノ粒子」及び「ナノシルバー粒子」なる用語は、実質的に同じ用語である。本明細書で用いる「ナノ粒子」は、一般的にシルバーナノ粒子のことであると意図される。
【0016】
ナノシルバー粒子には、コーティングを施しても施さなくてもよい。例えば、ナノシルバー粒子は送達系に組み込むことができる。「ナノシルバー送達系」とは、本発明の組成物又は方法においてナノシルバーの活性を促進又は向上させるような方法でパッケージ化又はコーティングされたナノシルバーのことをいう。例えば、Bugla-Ploskonska, G. et al.(Bactericidal properties of silica particles with silver islands located on the surface, International Journal of Antimicrobial Agents 29:6, 746-748 (June 2007))におけると同様に、シリカミクロスフェア上にナノシルバーをプレーティングしてもよい。特定の理論に拘束されることは望まないが、ナノシルバー粒子はシリカミクロスフェアの孔に捕捉され、その後シリカミクロスフェアがナノシルバー粒子を皮膚に送達すると考えられている。ナノシルバー粒子を二酸化チタンでコーティングし、ナノシルバー送達系を形成してもよい。典型的なナノシルバー送達系は、Benvict Chemical Co., Ltd(台湾)、Utopia Silver Supplements(テキサス州ユートピア)、Active Concepts LLC(ニュージャージー州ピスカタウエイ)、Kelly Colloidal Silver(アリゾナ州ペオリア)、及びPurest Colloids, Inc.(ニュージャージー州ウエストハンプトン)から入手できる。
【0017】
「ニキビ薬剤」には、ニキビの症状若しくは影響の治療若しくは低減に有効な、又はニキビ進行の予防若しくは回避に有効な、本発明の組成物の成分が包含される。例えば、ニキビ薬剤として表示された製品に用いることが承認されたニキビ薬剤には、サリチル酸、過酸化ベンゾイル及びレチノイン酸が含まれる。本明細書では、「ニキビ薬剤(acne medicine)」及び「ニキビ薬物(acne medication)」は実質的に同じ用語である。
【0018】
「ニキビ」とは、当技術分野で一般的に理解されている状態及び関連症状のことをいう。例えば「ニキビ」には、皮脂腺が塞がれるのに伴い患者の顔及び/又は体の皮膚に毛嚢が生じることにより引き起こされ、皮膚に吹出物が形成されることを特徴とする一般的な慢性病である尋常性座瘡(acne vulgaris)が包含される。「ニキビ」には、油性肌、黒吹出物や白吹出物等の吹出物、発疹、丘疹、結節、嚢胞及び/又は関連瘢痕等のニキビに通常伴う症状も包含される。
【0019】
薬物について「局所」なる用語を使用する場合、皮膚外表面への適用をいう。「局所媒体」とは、1又は2以上の活性剤と組合せたときに、皮膚外表面への適用に適した医薬担体又は送達系のことをいう。
【0020】
「治療有効(therapeutically effective)」という語句は、活性剤の送達ということと同時に使用される場合、満足のいく結果をもたらすのに十分であること、或いは、使用者が活性剤を含む組成物の適用によって対処しようとする少なくとも1つの状態又は症状に関して十分であることを意味する。本明細書で用いる「活性剤」とは、疾病又は状態における1又は2以上の症状又は影響を軽減し得る化合物又は組成物のことを意味する。各使用者に対する治療有効投与量は種々の要素により異なり、それら要素としては、達成されるべき応答の種類及び程度;採用する特定の作用物質(agent)又は組成物の活性;採用する特定の作用物質又は組成物;患者及び/若しくは使用者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別及び食生活;投与時期;治療期間;特定の作用物質と組み合わせて又は同時に使用する薬;並びに当技術分野で周知の類似要素がある。例えば、作用物質を、所望の治療効果を得るための必要量よりも低量で投与することから始め、所望の効果が得られるまで次第に投与量を増やしていくことは当技術分野の範囲内のことである。治療は、急性又は慢性の状態のいずれに対するものであってもよく、治療有効量を、単回投与又は複数回投与で一日、数日間、数週間、数ヶ月間又はそれより長い期間にわたって投与できることは当業者には明らかである。
【0021】
「治療する(treat)」及び「治療(treatment)」という用語は、治療処置(therapeutic treatment)及び予防手段(prophylactic or preventative measures)の両方を指し、その目的は、望ましくない生理的状態、障害又は疾患の予防、その進行の遅延又は軽減にあり、或いは有益な又は所望の結果を得ることにある。本発明の目的として、有益な又は所望の結果には、症状の軽減;状態、障害又は疾患の程度の低減;状態、障害又は疾患の状態の安定化(悪化させない);状態、障害又は疾患の発病又は進行を遅らせること;状態、障害又は疾患の状態の改善;部分的又は全体的な、検出可能又は検出不可能な回復;或いは状態、障害又は疾患の改善又は良化が含まれるが、これらに限定されない。「治療」には、過度な副作用なく有意な応答を誘発することが含まれる。
【0022】
「刺激」とは、治療する皮膚表面域に生じる望ましくない影響のことをいう。刺激としては、乾燥、炎症、赤み、かさつき、瘢痕、又は感染に起因するものが例示されるが、「刺激を起こさずに」とは、例えば、本発明の組成物を患者の皮膚に適用した後に、これらの影響を回避又は緩和することをいう。
【0023】
「サリチル酸」とは、天然型及び合成型の両方の形態のサリチル酸のことであり、ニキビ薬剤に使用したときにサリチル酸と実質的に同じ効果を呈するその誘導体及びバリアント(例えばその塩又は代謝物)も含まれる。「サリチル酸」は、サリチル酸の天然供給源のことも指す。例えば「サリチル酸」には、サリチル酸の天然供給源であり、Salix alba樹皮抽出物又はSalix nigra樹皮抽出物としても知られるヤナギ樹皮抽出物が包含される。
【0024】
ジベンゾイルジオキシダンとしても知られる過酸化ベンゾイルは、ニキビ薬剤における一般的な活性剤である。本明細書において「過酸化ベンゾイル」は、ニキビ薬剤の活性成分として使用したときに過酸化ベンゾイルと実質的に同じ効果を呈するその誘導体(例えばその塩又は代謝物)のことも指す。
【0025】
「レチノイン酸」とは、ビタミンAに関連する化合物群の1種又は2種以上のことをいう。本明細書において「レチノイン酸」及び「レチノイド」は、実質的に同じ意味を有する。「レチノイン酸」には、例えば、ニキビ治療に有効で、イソトレチノインともいう13−シスレチノイン酸が含まれる。しかし、当業者には理解されるように、ニキビ治療に有効なビタミンAの誘導体は全て「レチノイン酸」の定義に包含される。
【0026】
「ポリクオタニウム−67」とは、ポリカチオン性多糖ポリマーのことをいう。ポリクオタニウム化合物には、セルロースポリマー鎖にグラフトされ、疎水性に改変された四級化アンモニウム基が含まれる。ポリクオタニウム−67はそのようなポリマーの1種である。しかし、本明細書において「ポリクオタニウム−67」とは、本発明の化合物として用いることができるポリクオタニウム化合物の全てをいうと理解される。いくつかの実施形態でポリクオタニウム−67は、ヒアルロン酸及びサリチル酸をより効果的に皮膚に送達するために、これら成分のコーティングとして用いることができる。
【0027】
「鎮静剤」には、本発明のニキビ薬剤などのニキビ薬剤を適用することにより生じる刺激を予防し、減少させ、軽減させ、緩和させ得る成分が包含される。「鎮静剤」には、例えば鎮静植物抽出物が含まれる。このような鎮静剤としては、パーム脂肪酸ナトリウム、パーム核脂肪酸ナトリウム、ブチロスパーマムパーキー(シアバター)、メンテピペリタ(ペパーミント)葉油、セリシン、ピリドキシン(ビタミンB6)、レチニルパルミテート(ビタミンA)、酢酸トコフェロール(ビタミンE)、ラウリルラウレート、ヒアルロン酸、アロエバルバデンシス葉汁パウダー、ワカバキャベツヤシ(euterpe oleracea)(アサイーベリー)果実抽出物、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミンHCl(ビタミンB1)、及びこれらの組合せが例示されるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書において「固体」とは、本発明の組成物のあらゆる固体製剤のことをいう。例えば、本発明の組成物は、バー状等の固形石鹸の形態として製剤化できる。しかし、当業者であればわかるように、組成物の有効性と整合性をもって採用できる固体製剤であれば、本発明にしたがって用いることができる。
【0029】
本明細書において「液体」とは、本発明の組成物のあらゆる液体製剤のことをいう。例えば、本発明の組成物は、ローション又はボディセラムの形態として製剤化できる。いくつかの実施形態でかかる液体は、皮膚に適用したときに気泡作用を呈して一定時間、残存する。
【0030】
「投与する」とは、本発明の組成物を、その組成物が、その目的に照らして治療上有効であり得る方法で患者に送達することをいう。例えば「投与する」には、患者の皮膚に組成物を適用する、すなわち局所適用することが含まれるが、これに限定されない。
【0031】
一般的に、様々な活性成分に言及するときに用いる名称は、かかる名称を有する成分と同様の生物活性を有する誘導体、塩、代謝物及びその他のバリアントを全て指すものと理解されるべきである。また、必要に応じ、かかる名称はその抽出物も指すこととする。他の単位が適切であると本明細書の文脈で特定又は指定されていない限り、パーセンテージで表示した濃度は全て重量%であり、本明細書では「w/w」とも表示する。
【0032】
本発明の組成物は、かかる組成物を必要とし、本発明の組成物の有益な効果を得ることができる全ての哺乳動物に投与することができる。そのような哺乳動物は、「患者」とみなされる。そのような患者には、ヒト及びペットや家畜等の非ヒトが含まれる。「患者」には、医学的な監督指導なしに薬物を受ける者、すなわち処方箋なしに組成物を入手及び/又は使用する者が含まれる。「患者」という用語には、あらゆる年齢のヒトが含まれる。例えば「患者」には、青少年、すなわち約11歳から約22歳の者が含まれる。しかし、当業者であれば理解するように青少年以外のヒトもニキビを患い、それらも相応に患者という。いくつかの実施形態において本発明は、本発明の組成物を患者に投与することを含む、ニキビ治療を必要とする患者のニキビを治療する方法に関する。
【0033】
組成物
一態様において本発明は、局所媒体、ナノシルバー、ニキビ薬剤及び鎮静剤を含み、刺激を起こさずにニキビを治療するのに有効な組成物を提供する。
【0034】
銀化合物は、様々な疾患の治療又は予防に用いられてきた。例えば、硝酸銀の治療への使用は認識されている。医師は、皮膚潰瘍、複雑骨折、及び化膿した(膿が出た)創傷の治療に硝酸銀を使用して成果を出してきたし、淋菌性眼炎を予防するために硝酸銀希釈液を新生児の目に適用している。傷口を覆うために銀箔ドレッシングが使用され、複雑骨折における感染症の治療にシルバーコーティングしたファブリックも使用されてきた。特定の理論に拘束されることは望まないが、銀は、液体と接触させるとその少量が金属表面から放出されるために抗細菌効果及び抗微生物効果を呈すると考えられている。本明細書において、「抗細菌」組成物は細菌に対して効果があり、「抗微生物」組成物は細菌、ウイルス及び/又は真菌に対して効果がある。
【0035】
銀は、生物の酸素代謝を阻害することにより、細菌、ウイルス及び真菌を破壊することができる。この作用は本質的に病原体を窒息させる。ヒトの細胞も含め、多くの多細胞生物の細胞は治療による影響を殆ど受けない。侵入した細胞は、銀に曝されると窒息し、免疫系、リンパ系及び排泄系によって体外へと取り除かれる。ナノシルバーは、ニキビの一原因である窒素呼吸細菌に対して有効である。
【0036】
シルバーナノ粒子がどのようにして病原体を殺すかをより仔細に理解するためには、細菌、ウイルス及び真菌がどのようにして生き、増殖するかを理解することが必要である。
【0037】
細菌:全ての細菌は、酵素を「化学的肺(chemical lung)」として用いて酸素を代謝する。銀イオンは酵素を不活化させ、酸素摂取を止めさせる。その結果、細菌を効率よく窒息させて速やかに殺し(例えば約6分間で)、周辺の組織又は物質(material)は殆ど影響を受けない。
【0038】
ウイルス:ウイルスは、別の生細胞を占有して、そのウイルスを複製するように細胞核を再プログラミングすることにより増殖する。ナノシルバーは、ウイルスに感染した細胞に有効であり得る。
【0039】
真菌:真菌は、単一細胞が連なって構成される。各細胞は、細菌でみられるものと似た「化学的肺」の助けを得て生存している。細菌におけると同様に、銀イオンが存在することにより化学的肺が機能しなくなり、真菌が死ぬ。
【0040】
薬剤耐性病原体:シルバーナノ粒子は抗生物質よりも利点を有している。病原体中のその他多くの抗細菌物質及び抗微生物物質は多くの薬剤療法に対して耐性を獲得できるが、本発明の組成物及び方法に用いられるような銀に対する耐性に関しては、現在までの研究からは何ら証拠が見い出されていない。シルバーナノ粒子は、抗生物質耐性菌を含む、あらゆる種類の真菌感染症、細菌及びウイルスを殺す。また、あらゆる種類の細菌に有効な非薬剤系抗生物質はないが、シルバーナノ粒子は広く奏功する。
【0041】
銀は、病原体を殺すだけでなく、創傷の適切な治癒をも促進する。一部の神経損傷の修復の助けともなり得る。
【0042】
純銀メタルから対象物全体を製造したり、対象物を銀でコーティングすると消費財としては高価になりすぎるが、他の材料をシルバーナノ粒子で含浸することは、銀の抗細菌力(germ fighting properties)を活用する上で実際的な方法である。銀は非常に低濃度でも効果を呈することが知られているが、粒子サイズがさらに小さくなれば表面容積比が大きくなるため、より効果的である。銀は、病原体と接触する表面積に応じた効果しか発揮できない。ナノスケールのシルバー粒子のサイズは、例えば5〜100ナノメーターの範囲にあり、より大きなサイズの粒子に比べ、表面容積比が増大するために、より一層効果的な抗細菌作用及び抗微生物作用を有することができる。
【0043】
シルバーナノ粒子のサイズが非常に小さいということは、嵩高い材料に比べて異なる特性や、予期せぬ優れた特性が備わっているということである。シルバーナノ粒子における容積に対する表面積が大きいことにより、それら粒子が他の粒子と容易に相互作用することが可能となり、その抗細菌効果が向上する。かかる効果は非常に大きく、シルバーナノ粒子1gで、基質材料の数百平方メートルに抗細菌性を付与する効果をもちえる。シルバーナノ粒子を含む本発明の組成物は、従来利用可能であったニキビ医薬品に比べ、ニキビ治療に驚くべき効果があることが見い出されている。また、ナノサイズの粒子は、種々の溶液中に容易に分散させることができるので、人体の皮膚系など、皮膚系に有効となり得る。その結果、送達系の一部として送達されるか否かに関わらず、ナノシルバーはニキビ治療に高活性を示す。
【0044】
いくつかの実施形態でナノシルバーの濃度は、約0.5〜約500ppm(parts per million)である。いくつかの実施形態でナノシルバーの濃度は、約2.5〜約200ppmである。例えば、ナノシルバー濃度は、約0.5、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約20、約30、約40、約45、約50、約55、約60、約70、約80、約85、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約175、約200、約300、約400、約500ppm以下、又はそれを超える濃度であり得る。本明細書において「約」とは、表した数字より10%下回る数値から10%上回る数値をいう。例えば、「約50」は、45〜55を意味し得る。これ以外の「約」の意味は文脈から明らかである。
【0045】
いくつかの実施形態でナノシルバーは、送達系に組み込まれる。いくつかの実施形態で送達系の濃度は、約0.1〜約20%(w/w)である。いくつかの実施形態で送達系の濃度は、約1〜約10%(w/w)である。例えば、ナノシルバー送達系は、約0.1%、約0.5%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約2.25%、約2.5%、約2.75%、約3.0%、約3.5%、約4.0%、約4.5%、約4.75%、約5%、約5.25%、約5.5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%(w/w)、又はそれ以上であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、サリチル酸を含む。サリチル酸は、毛包への細胞脱落の抑制に役立ち、毛穴が塞がるのを防ぎ、ニキビの発症を回避又は減少させる。サリチル酸は既存ニキビの除去にも役立つ。サリチル酸は、皮膚構造の一部を形成するタンパク質であるケラチンを軟化させることによって機能する。かかる作用により乾燥した鱗状の皮膚が緩み、除去し易くなる。サリチル酸は、皮膚の上部層を除去し、ニキビ薬剤等の他の成分のより効率的な浸透を可能にする。
【0047】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、ヤナギ樹皮抽出物を含む。ヤナギ樹皮抽出物は、天然に産生したサリチル酸を含み、収斂性、防腐性及び抗炎症性を有する。局所に適用する組成物にヤナギ樹皮抽出物を組み込むと、ニキビ原因菌を含む細菌が皮膚から自然かつ優しく除去される。ヤナギ樹皮はまた、収斂剤としても作用し、洗浄過程において皮膚を優しくひきしめる。ヤナギ樹皮は、その収斂性、防腐性及び抗炎症性の他にも解熱性を示し、皮膚内の血行を促進し、それにより皮膚老化による影響の一部を低減又は妨げることができる。ヤナギ樹皮抽出物としては、Arch Personal Care Products社(ニュージャージー州サウスプレインフィールド)から入手できるNAB(登録商標)ヤナギ樹皮抽出物が例示される。ヤナギ樹皮抽出物は、サリチル酸又はその前駆体を約1〜約40%、例えば約10%(w/w)の濃度で含むことができる。換言すれば、サリチル酸又はその前駆体を10%で含む典型的なヤナギ樹皮抽出物においては、5%濃度のヤナギ樹皮抽出物によって0.5%のサリチル酸又はその前駆体が送達される。
【0048】
いくつかの実施形態でニキビ薬剤には、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レチノイン酸及び/又はこれらの組合せを含めることができる。
【0049】
本発明の組成物は、サリチル酸を約0.005〜約10%(w/w)で含むことができる。例えば、かかる組成物は、約0.005%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.55%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.75%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%(w/w)又はそれ以上のサリチル酸を含むことができる。過酸化ベンゾイル及びレチノイン酸は、同様の量で含めることができる。上記の濃度は、ヤナギ樹皮抽出物に含まれるサリチル酸又はその前駆体にも適用される。いくつかの実施形態において、サリチル酸の濃度は、0.1〜5%(w/w)であり、過酸化ベンゾイルの濃度は、1〜10%(w/w)であり、レチノイン酸の濃度は、0.25〜4.0mg又は0.25〜4.0%(w/w)である。
【0050】
いくつかの実施形態で鎮静剤としては、パーム脂肪酸ナトリウム、パーム核脂肪酸ナトリウム、ブチロスパーマムパーキー(シアバター)、メンテピペリタ(ペパーミント)葉油、セリシン、ピリドキシン(ビタミンB6の一形態)、レチニルパルミテート及び/又はビタミンAの他の形態、酢酸トコフェロール及び/又はビタミンEの他の形態、ラウリルラウレート、ヒアルロン酸、アロエバルバデンシス葉汁パウダー、ワカバキャベツヤシ(アサイーベリー)果実抽出物、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミンHCl及び/又はビタミンB1の他の形態、並びに/又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0051】
鎮静剤は以下の量で含めることができる:約40〜約70%、例えば約56%(w/w)のパーム脂肪酸ナトリウム;約10〜約20%、例えば約14%(w/w)のパーム核脂肪酸ナトリウム;約1〜約10%、例えば約3.5%(w/w)のブチロスパーマムパーキー(シアバター);約0.1〜約5%、例えば約1%(w/w)のメンテピペリタ(ペパーミント)葉油;約0.1〜約2%、例えば約0.25%(w/w)のセリシン;約0.01〜約1%、例えば約0.1%(w/w)のピリドキシン(ビタミンB6);約0.01〜約1%、例えば約0.1%(w/w)のレチニルパルミテート(ビタミンA);約0.01〜約1%、例えば約0.1%(w/w)の酢酸トコフェロール(ビタミンE);約0.01〜約1%、例えば約0.07%(w/w)のラウリルラウレート;約0.005〜約0.5%、例えば約0.045%(w/w)のヒアルロン酸;約0.001〜約0.1%、例えば約0.02%(w/w)のアロエバルバデンシス葉汁パウダー;約0.001〜約0.01%、例えば約0.0025%(w/w)のワカバキャベツヤシ(アサイーベリー)果実抽出物;約0.0001〜約0.01%、例えば約0.001%(w/w)のリボフラビン(ビタミンB2)、及び/又は約0.0001〜約0.01%、例えば約0.001%(w/w)のチアミンHCl(ビタミンB1)。
【0052】
いくつかの実施形態で媒体としては、水、グリセリン、二酸化チタン、トウモロコシ(コーン)スターチ、加水分解コーンスターチ、加水分解オクテニルコハク酸スターチ、合成ワックス、塩化ナトリウム、コカミドプロピルジメチルアミン、ヒドロキシエチルベヘナミドプロピルジモニウムクロリド、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、ステアリン酸グリセロール、テトラナトリウムEDTA、シリカ、シリカジメチルシリレート、ブチレングリコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アテロコラーゲン、ポリクオタニウム−67、及び/又は1又は2以上の保存剤(例えば、ブチルパラベン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、プロピルパラベン、エチルパラベン及び/又はイソブチルパラベン)が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0053】
担体成分は以下の量で含めることができる:約10〜約20%、例えば約12%の水;約1〜約10%、例えば約6%(w/w)のグリセリン;約0.1〜約5%、例えば約0.9%(w/w)の二酸化チタン;約0.1〜約5%、例えば約0.9%(w/w)のトウモロコシ(コーン)スターチ;約0.1〜約5%、例えば約0.8%(w/w)の加水分解コーンスターチ;約0.1〜約5%、例えば約0.8%(w/w)の加水分解オクテニルコハク酸スターチ;約0.1〜約5%、例えば約0.7%(w/w)の合成ワックス;約0.05〜約2%、例えば約0.3%(w/w)の塩化ナトリウム;約0.05〜約2%、例えば約0.3%(w/w)のコカミドプロピルジメチルアミン;約0.05〜約2%、例えば約0.3%(w/w)のヒドロキシエチルベヘナミドプロピルジモニウムクロリド;約0.05〜約2%、例えば約0.2%(w/w)のテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル;約0.05〜約2%、例えば約0.2%(w/w)のステアリン酸グリセロール;約0.001〜約0.1%、例えば約0.06%(w/w)のテトラナトリウムEDTA;約0.0005〜約0.1%、例えば約0.009%(w/w)のシリカ;約0.0005〜約0.01%、例えば約0.006%(w/w)のシリカジメチルシリレート;約0.0005〜約0.01%、例えば約0.0025%(w/w)のブチレングリコール;約0.0005〜約0.01%、例えば約0.002%(w/w)のコンドロイチン硫酸ナトリウム;約0.00005〜約0.01%、例えば約0.0007%(w/w)のアテロコラーゲン;約0.005〜約0.2%、例えば約0.07%(w/w)のポリクオタニウム−67;及び/又は約0.0005〜約0.1%、例えば約0.0025%(w/w)の保存剤。
【0054】
組成物のその他の成分としては、レモン(citrus medica limonum)果皮油、ヒマワリ(helianthus annuus)種子油、ツルマメ(glycine soja)油、酸化鉄、チャノキ(camellia sinensis)(白茶)葉抽出物、キュウリ(cucumis sativus)果実抽出物、ザクロ(punica granatum)抽出物、ヤシ脂肪酸カリウム、オリーブ脂肪酸カリウム、ポリヒドロキシステアリン酸、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルヘキシル、コカミドプロピルPGジモニウムクロリドリン酸ナトリウム、ペルフルオロブチルメチルエーテル、ペルフルオロイソブチルメチルエーテル、アクリル酸コポリマー、PEG−12ジメチコンスルホコハク酸ジナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココグルコシドココナッツアルコール、コカミドプロピルベタイン、ヤシ脂肪酸グリセリル、トリエタノールアミン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、プロピレングリコール、チャノキ葉抽出物、ガルシニア、マンゴスチン果皮抽出物、ザクロ抽出物、パンテノール、リン脂質、レチニルパルミテート、酢酸トコフェロール、アスコルビルパルミテート、クエン酸、加水分解コラーゲン、ベンジルPCA、フェノキシエタノール、乳酸、及び/又はレモングラス(cymbopogon schoenanthus)オイルが含まれるが、これらに限定されることはない。
【0055】
前記その他の成分は以下の量で含めることができる:約0.1〜約5%、例えば約1.25%(w/w)のレモン果皮油;約0.1〜約5%、例えば約1.1%(w/w)のヒマワリ種子油;約0.01〜約0.5%、例えば約0.1%(w/w)のツルマメ(大豆)油;約0.0001〜約0.01%、例えば約0.02%(w/w)の酸化鉄;約0.0001〜約0.01%、例えば約0.001%(w/w)のチャノキ(白茶)葉抽出物;約0.0001〜約0.01%、例えば約0.001%(w/w)のキュウリ果実抽出物;約0.0001〜約0.01%、例えば約0.001%(w/w)のザクロ抽出物;約5〜約40%、例えば約20%(w/w)のラウレス硫酸ナトリウム;約1〜約30%、例えば約10%(w/w)の、ヤシ脂肪酸カリウム及びオリーブ脂肪酸カリウムを含む混合物;約1〜約30%、例えば約10%(w/w)の、ポリヒドロキシステアリン酸、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルヘキシル、コカミドプロピルPGジモニウムクロリドリン酸ナトリウム、ペルフルオロブチルメチルエーテル及びペルフルオロイソブチルメチルエーテルを含む混合物;約1〜約30%、例えば約9%(w/w)のカルボポールアクア(carbopol Aqua)SF1(アクリル酸コポリマー);約0.5〜約20%、例えば約5%(w/w)のPEG−12ジメチコンスルホコハク酸ジナトリウム;約0.5〜約20%、例えば約5%(w/w)のラウロイルサルコシンナトリウム;約0.1〜約10%、例えば約3%(w/w)の、ココグルコシド及びココナッツアルコールを含む混合物;約0.1〜約10%、例えば約3%(w/w)のコカミドプロピルベタイン;約0.1〜約10%、例えば約3%(w/w)のPEG−7ヤシ脂肪酸グリセリル;約0.1〜約10%、例えば約1.25%(w/w)のトリエタノールアミン;約0.1〜約10%、例えば約1%(w/w)の、フェノキシエタノール及びエチルヘキシルグリセリンを含む混合物;約0.01〜約5%、例えば約0.5%(w/w)の、プロピレングリコール、チャノキ葉抽出物、ガルシニア、マンゴスチン果皮抽出物、及びザクロ抽出物を含む混合物;約0.01〜約5%、例えば約0.5%(w/w)のパンテノール;約0.01〜約5%、例えば約0.5%(w/w)の、水、リン脂質、レチニルパルミテート、酢酸トコフェロール及びアスコルビルパルミテートを含む混合物;クエン酸;約0.1〜約10%、例えば約2%(w/w)の加水分解コラーゲン;約0.1〜約10%、例えば約1%(w/w)の、ベンジルPCA及びフェノキシエタノールを含む混合物;約0.1〜約10%、例えば約1%(w/w)の乳酸;約0.01〜約5%、例えば約0.125%(w/w)のレモングラス(cymbopogon schoenanthus)オイル、並びに/又はこれらの組合せ。
【0056】
本発明の組成物は、固体又は液体いずれの形態であってもよい。いくつかの実施形態では組成物に保湿剤を含めることができる。いくつかの実施形態では組成物に洗浄剤を含めることができる。「保湿剤」とは、皮膚の含水量を維持又は増加させる任意の成分のことをいう。保湿剤としては、ヒアルロン酸、アロエ、セリシン、キトサン及び/又はコラーゲンが例示されるが、これらに限定されない。「洗浄剤」とは、汚れ、死細胞、又は毛穴を塞ぐその他の物質を除去する任意の成分のことを指し、通常は界面活性剤である。洗浄剤としては、パーム脂肪酸ナトリウム、パーム核脂肪酸ナトリウム及び/又はラウレス硫酸ナトリウムが例示されるが、これらに限定されない。
【0057】
いくつかの実施形態でナノシルバーは、ナノシルバー送達系によって送達することができる。かかる組成物は、液体洗浄剤等の液体状とすることもできる。液体洗浄剤は、例えばポンプ式ディスペンサーにパッケージングすることができる。かかる組成物は、石鹸等の固体状とすることもできる。いくつかの実施形態で本発明は、ナノシルバー、コラーゲン、鎮静剤、及びヤナギ樹皮抽出物等の他の有益成分を含む組成物を提供する。かかる組成物は、ニキビ菌を殺し、ニキビ発生を減らし、化粧を落とし、毛穴を小さくし、角質を取り除き皮膚を引き締めるために男性、女性及び青少年が使用できる。
【0058】
いくつかの実施形態で本発明は以下の成分を含むことができるが、これらに限定されない。ナノシルバーをシリカミクロスフェアにプレーティングして二酸化チタンでコーティングしたような、送達系中のナノシルバー;植物性石鹸及び合成石鹸;海洋コラーゲン;ヤナギ樹皮抽出物;キトサン;アロエベラゲル(アロエ・バルバデンシス・ミラー);アロエベラ汁;ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C及びE;ロイヤルゼリー;ブルーベリー抽出物;レモンオイル;アサイーベリー;イェルバ・マテ(yerba mate);有機ヨーグルト;つぶしイチゴ;ペパーミントオイル;キュウリ汁;ザクロ;ゴジベリー;白茶;緑茶;紅茶;グレープシード抽出物;セリシン;及びトリクロサン。
【0059】
いくつかの実施形態で本発明は、蒸留水の代わりにアロエ汁にビタミン強化抗酸化成分を含み、乾燥皮膚用の治療用皮膚保湿剤として使用する組成物を提供する。いくつかの実施形態において、かかる組成物にはブルーベリー抽出物、コラーゲン及びバージンココナッツオイルを含めることができる。いくつかの実施形態において、かかる組成物はオイリースキン用の治療用スキントリートメントとすることができる。いくつかの実施形態において、かかる組成物にはブルーベリー抽出物、コラーゲン、有機ヨーグルト、つぶしイチゴ、ライム汁及びキュウリ汁を含めることができる。
【0060】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、ヒアルロン酸(HA)を含む。本発明の任意の実施形態において、ヒアルロン酸は、その塩又は他の誘導体(ヒアルロン酸ナトリウム等)で代替することができる。ヒアルロン酸は、皮膚の天然の水分を保ち、皮膚を引き締め、毛穴を小さくすることを助ける。ヒアルロン酸は、皮膚組織を含む身体の殆ど全ての細胞に天然に見い出される。ヒアルロン酸は、目に見える表皮上層と真皮深層の両方に存在する。若い皮膚は滑らかで弾力があり、ヒアルロン酸を大量に含み、皮膚の外観を若く健康的に保つのに役立つ。ヒアルロン酸は、自己の重量の約1000倍までの水と結合することができるため、皮膚の水分源として機能し得る。皮膚がヒアルロン酸を産生する能力は加齢に伴って低下するため、高齢患者の皮膚は皺っぽい外観を呈し、その他にも影響が及ぶ。
【0061】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、アロエベラを含む。本明細書ではアロエベラを「アロエ」ともいう。本明細書では、「アロエベラ」と「アロエ」はいずれもアロエベラのあらゆる形態及び抽出物のことを指し、アロエバルバデンシス葉汁パウダーや、生物活性を有するそのバリアントを含む。アロエベラは、約75種類の栄養素、200種類の活性化合物、20種類の必須ミネラル、18種類のアミノ酸、及び12種類のビタミンを含有する。アロエベラは、水和物質及び鎮静剤として機能できるため、ダメージを受け、乾燥し、荒れ、又は日光に曝された皮膚に有益な効果をもたらすことが可能である。アロエは、皮膚に生じる老化プロセスの影響をいくつかの方法で減じ、又は対抗することができる。例えば、アロエは、毛穴などの皮膚から、死んだ皮膚細胞、老廃物及び毒素を取り除く。アロエは、皮膚組織におけるタンパク質分解酵素の作用を促進し、細胞分裂プロセスを増進する。具体的には、皮膚を引き締めて保つのに必要なコラーゲンを作り出す線維芽細胞は、アロエで治療した細胞では、治療しなかった細胞に比べて6〜8倍早く産生される。アロエに含まれるビタミン類、ミネラル類及びアミノ酸類は皮膚細胞に栄養を供給し、また、皮膚の保湿にも役立つ。アロエは、皮膚からの蒸発を遅らせ、空気中の水分を皮膚に取り込むことにより、保湿剤として作用する。アロエは皮膚外側表面に浸透し、その効果が皮膚組織深部にもたらされる。
【0062】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、セリシンを含む。セリシンはカイコから得られる。セリシンは、皮膚のケラチンや他のタンパク質と結合し、保護層を形成する。セリシンは、水とも結合し、皮膚の水分バランス調節に役立つ。セリシンは、顔への皺の出現を減少させ、皮膚が柔らかで滑らかな触感を呈するのに役立つ。
【0063】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、キトサンを含む。キトサンは、キチンが分解してできる脱アセチル化産物であり、豊富に存する天然多糖ポリマーである。キトサンは、ゲルの性質を有し、そのため、水と結合して皮膚水分量を増加させることができ、それにより皮膚乾燥の治療及び予防に役立つ。キトサンは抗微生物効果も有する。
【0064】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、アサイーベリー及び/又はそのバリアント若しくは抽出物を含む。本明細書において「アサイーベリー」とは、ベリー自体と、そのあらゆる形態、誘導体及び抽出物のことをいう。アサイーベリーは、ワカバキャベツヤシ(Euterpe oleracea)としても知られるアサイーパームから得られ、抗酸化物質として、老化した外観の一因となる酸化による皮膚組織へのダメージを低減又は防止する。アサイーベリー抽出物は、抗炎症効果のあるフラボノイドを含む。アサイーベリーは、皮膚再生に役立つ必須アミノ酸及び脂肪酸も含有し、また、皮膚コラーゲンの保持に寄与し得る植物ステロールも含有する。
【0065】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、白茶抽出物及び緑茶抽出物を含む。本明細書において「白茶」及び「緑茶」は、その抽出物のこともいう。白茶抽出物及び緑茶抽出物は、強力な抗酸化性を有する。これら抽出物の有益な特性の多くは、ポリフェノールと呼ばれるフラボノイド光化学物質、特にカテキンとして知られるポリフェノール群の存在に起因する。かかるカテキンとしては、ガロカテキン(GC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキン(EC)及びエピガロカテキンガレート(EGCG)が挙げられる。白茶抽出物及び緑茶抽出物は、抗炎症活性も有する。ポリフェノン(例えば緑茶抽出物の一部に含まれる)を2%で適用すると、赤み、炎症、並びに顔面皮膚上の丘疹及び発疹の形成を特徴とする酒さ性座瘡(papulopustular rosacea)に対して有効である。ポリフェノンは、炎症性病変の減少に大きく寄与する。緑茶ポリフェノールの局所使用は、一部の老化兆候の進展を遅延させることに有効である。白茶抽出物及び緑茶抽出物はエラグ酸を含めこともある。
【0066】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、ビタミンAを含む。本明細書において「ビタミンA」は、その化学的に活性なバリアントのことも指し、それにはレチニルパルミテートを含むが、これに限定されない。ビタミンAは、皮膚の保護組織を強化してニキビを防ぐことができる。ビタミンAは、皮膚及び粘膜組織の維持及び修復にも機能し、また、皮脂産生の減少にも役立つ。ビタミンAはまた、抗酸化性も有する。ビタミンA欠損は、ニキビ罹患率の上昇と関連している。組織中でビタミンAが減少すると、細胞内の不飽和脂肪酸が酸化し、細胞内に有毒作用が生じ得る。
【0067】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、ビタミンCを含む。ビタミンCはL−アスコルビン酸としても知られ、組織の成長及び修復に関連する多くの代謝機能など、体内における数多くの代謝機能に必要である。ビタミンCは感染症防御に役立ち、免疫系の機能を強化する。ビタミンCは、線維芽細胞によるコラーゲン合成を促進することもできる。
【0068】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、ビタミンEを含む。本明細書において「ビタミンE」は、その化学的に活性なバリアントのことも指し、それには酢酸トコフェロールを含むが、これに限定されない。ビタミンEは、細胞膜をダメージから防ぐ役割を担う。ビタミンEは抗酸化性を示し、細胞代謝の過程で生成したフリーラジカルを減少又は除去することにより健康な皮膚を維持するのに役立つ。ビタミンEは、皮膚のニキビ瘢痕を修復し、ニキビの後に出現する瘢痕を減らすことに役立つ。また、ビタミンEは、ヒトのビタミンAレベルを調節する役割も担う。ビタミンEによる治療により、男性と女性いずれのニキビも改良される。
【0069】
いくつかの実施形態で本発明の組成物は、海洋コラーゲンを含む。コラーゲンは、皮膚の真皮層における主要な支持線維であり、強さ及び構造をもたらす。コラーゲンを局所に使用すると、保湿剤として作用し得る。本発明の組成物は、キュウリを含むこともでき、キュウリは皮膚の健康的な輝きを促進する。本組成物は、フリーラジカルが引き起こす皮膚へのダメージを防ぎ、又は減少させることに役立つ抗酸化剤を含むことができる。フリーラジカルは酸化分解の一因となり、ダメージを引き起こす。酸化は、皮膚老化の目に見える数々の兆候を生じさせる。本組成物は、殺菌性及び抗炎症性を有する精油も含むことができる。本組成物は、ビタミンB1、B2及びB6の1種又は2種以上を含むこともできる。ビタミンB類は、免疫系を強化し、細胞の増殖及び分裂を促進し、細胞代謝に作用する。本組成物はザクロを含むこともできる。ザクロは、抗酸化性を示し、ある種の癌に対しても奏功する。ビタミンB1は、例えばチアミンHClの形態をとることができるが、当業者であれば他の形態のビタミンB1も本発明の範囲に含まれると理解するであろう。また、ビタミンB2は本明細書中、「リボフラビン」ともいい、「ビタミンB2」又は「リボフラビン」のいずれも、その生物学的に活性なバリアントも指すものとする。ビタミンB6は、例えばピリドキシンの形態をとることができるが、当業者であれば他の形態のビタミンB6、及び他のビタミンB類も本発明の範囲に含まれると理解するであろう。
【0070】
治療方法
別の態様において本発明は、ニキビ治療を必要とする患者のニキビを治療する方法であって、本発明の組成物の1種を治療有効量で前記患者に投与することによりニキビを治療する方法を提供する。かかる組成物は局所投与される。
【0071】
いくつかの実施形態で本組成物は、患者の顔及び/又は体に適用し、少なくとも約6分間、当該部位に留まる。いくつかの実施形態でナノシルバーの有効性は、患者の顔及び/又は体に前記時間程度の間、本組成物が留まる場合に最大化する。しかし本発明は、この時間枠に限定されない。本組成物は、より長時間又はより短時間で適用することができ、かかる時間枠が組成物の有効性と整合性がとれている限りにおいて、例えば、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分又はそれ以上の時間、適用することができる。いくつかの実施形態で本組成物は、数分後に気泡効果を示すが、かかる気泡効果は患者にとって、組成物中の成分が効果的に作用しているという指標となる。
【0072】
いくつかの実施形態で本発明の方法は、患者のニキビの重症度が顕著に低減するまで、本発明の組成物の1種を患者の顔及び/又は体に、少なくとも1日に約3〜4回適用することを含む。ニキビの重症度が顕著に低減した後は、本組成物を少なくとも1日に2回適用する。いくつかの実施形態で本発明の方法は、本発明の組成物の1種を、患者のニキビの重症度に応じて1週間に1、2、3又は4回以上、或いは1日に1、2、3又は4回適用することを含む。本発明の組成物及び方法による治療は、1日以上、1週間以上、1ヶ月以上、1年以上、又は無期限に継続できる。
【0073】
いくつかの実施形態で患者は、青少年期のヒトである。しかし、他の年代のヒトもニキビを患い、又はニキビの1又は2以上の症状を経験する。そのようなヒトに対して本願開示の組成物及び方法により治療することも本発明の範囲に含まれる。
【0074】
キット
いくつかの実施形態で本発明は、本発明の組成物をディスペンサーに収容するキットを提供する。ディスペンサーは、本組成物を保持して分配することができ、本組成物と顕著に相互作用することのない適切な容器又はその他の収容手段であれば任意のものでよい。ディスペンサーとしては、例えば、プラスチックボトル、バイアル、ガラス容器、再密封式エンクロージャーを備えた絞り出し式容器、ホイルパケット、又はその他の適切な容器が可能であり、当業者には理解されるであろう。
【0075】
いくつかの実施形態でキットは、1又は2以上の印刷されたラベルをさらに含む。印刷されたラベルは、任意のキットを使用して任意の本組成物を投与するための指示、又は本明細書記載のその他の任意の方法を行うための指示を提供できるという点で、本組成物/ディスペンサーと機能的に関連している。ラベルによる指示は、本明細書に記載の治療法と一致する。かかるラベルは、非限定的な例によってディスペンサーとラベル表示との物理的近接性を維持する任意の手段により、ディスペンサーに付随させることができ、両者はいずれも箱やプラスチック製収縮包装等の包装材に収容させてもよく、或いはラベルの指示を妨害しない糊、又は他の結合手段若しくは保持手段を用いてラベルをディスペンサーに付随させることもできる。このようなラベルは、例えばディスペンサー内の本組成物を患者の顔及び/又は体に局所適用し、顔及び/又は体に少なくとも約6分間留まらせるための指示を与えることができる。
【0076】
特に、ナノシルバーと、サリチル酸等のニキビ薬剤とを一緒に含む一組成物を調製し、投与することはこれまで禁忌とされてきた。なぜなら、ナノシルバーは皮膚上で5〜6分間の「インキュベーション」時間を必要とするのに対し、サリチル酸等のニキビ薬剤は、さらなる発生につながる可能性のある過度の乾燥及び刺激を回避するために直ちに除去しなければならないからである。驚くべきことに、本発明による組合せを鎮静成分と共に用いることにより、ナノシルバーとサリチル酸等のニキビ薬剤とを本発明の組成物及び方法に同時に使用することが可能となる。したがって、サリチル酸等のニキビ薬剤は推奨用量で使用することができ、それより遅く作用するナノシルバーは、本発明の鎮静成分の作用のために適切な時間、皮膚上で保持することができる。さらに、いくつかの実施形態における気泡作用により、非気泡性試薬と比べて被覆性が向上し、かかる気泡性により得られた遅延時間は、いつ皮膚から組成物を取り除いてよいかを患者に示す指標として用いることができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態に基づき、ナノシルバー、サリチル酸等のニキビ薬剤、及び他の成分を組み合わせることにより驚くべき効果がもたらされ、ニキビの治療、低減及び回避、並びにニキビの発生及び関連症状及び状態に予期せぬ優れた成果が示される。特定の理論に拘束されることは望まないが、ナノシルバーにはニキビ原因菌を殺す効果があり、サリチル酸及びその他の成分は乾燥及び角質除去に効果がある。ナノシルバー、サリチル酸及びその他の成分を含む本発明の組成物は、本発明がなされる以前には予期し得なかったような驚くべき効果を発揮する。
【0078】
本発明の組成物に関するいくつかの実施形態に含まれる鎮静剤は、ニキビ発生中の皮膚を鎮静して治癒させる。従来利用されたニキビ製品は、皮膚を乾燥させたり皮膚に赤みと色むらを残すなど、皮膚に悪影響を及ぼし得る多数の化学物質から作製されている。本明細書に開示の、本発明による成分の組合せは、毛穴サイズを小さくし、皮膚を引き締め、また、治癒プロセスを促進するという驚くべき優れた成果を発揮する。
【0079】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するものではないと解釈すべきである。
[実施例]
【実施例1】
【0080】
実施例1:ニキビ治療用組成物
【0081】
(実施例1A:ニキビ治療用固体組成物)
局所適用するためのニキビ治療用固体組成物の例を以下の表1Aに示す。この組成物の有効量を本発明の方法により皮膚に適用するとニキビが治療される。
【0082】
【表1】


【0083】
(実施例1B:ニキビ治療用固体組成物)
局所ニキビ治療用の固体組成物の別の例を以下の表1Bに示す。この組成物の有効量を本発明の方法により皮膚に適用するとニキビが治療される。
【0084】
【表2】

【0085】
(実施例1C:ニキビ治療用液体組成物)
局所に適用するためのニキビ治療用液体組成物の例を以下の表1Cに示す。この組成物の有効量を本発明の方法により皮膚に適用するとニキビが治療される。
【0086】
【表3】

【0087】
(実施例1D:ニキビ治療用液体製剤(formula))
局所に適用するためのニキビ治療用液体組成物の例を表1Dに示す。この組成物の有効量を本発明の方法により皮膚に適用するとニキビが治療される。
【0088】
【表4】

【実施例2】
【0089】
実施例2:スキントリートメント組成物
【0090】
(実施例2A:スキントリートメント固体組成物)
局所に適用するためのスキントリートメント固体組成物の例を以下の表2Aに示す。この組成物の有効量を本発明の方法により皮膚に適用するとニキビが治療される。
【0091】
【表5】


【0092】
(実施例2B:スキントリートメント固体組成物)
局所に適用するためのスキントリートメント固体組成物の別の例を表2Bに示す。この組成物の有効量を本発明の方法により皮膚に適用するとニキビが治療される。
【0093】
【表6】

【0094】
(実施例2C:スキントリートメント液体組成物)
局所に適用するためのスキントリートメント液体組成物の例を表2Cに示す。この組成物の有効量を本発明の方法により皮膚に適用するとニキビが治療される。
【0095】
【表7】


【0096】
(実施例2D:スキントリートメント液体組成物)
局所に適用するためのスキントリートメント液体組成物の例を表2Dに示す。この組成物の有効量を本発明の方法により皮膚に適用するとニキビが治療される。
【0097】
【表8】

【実施例3】
【0098】
実施例3:有効性試験
【0099】
本発明の組成物に関するプラセボ対照ハーフフェイス(split-face)有効性試験に、ニキビを患う数名の被験者を登録する。各被験者の顔の半分を本発明の組成物で治療する。被験者の顔の反対側の半分はプラセボで治療する。各治療の間、本発明の組成物とプラセボとを被験者の顔のそれぞれの半面に適用し、その部位に約6分間留まるようにする。この治療を数日間にわたり1日2〜3回繰り返す。被験者のニキビの重症度は、本発明の組成物で治療した半面において顕著に低減される。
【0100】
これらの実施例は、本発明で可能な実施形態を説明するものである。当業者であれば理解することであるが、本明細書で開示する組成物及びかかる組成物の使用方法は多様であるため、かかる組成物及び方法は、本明細書に記載されている方法と同様の別の様式によっても使用することができる。したがって、本発明はいくつかの実施形態に基づいて具体的に示して説明されてはいるが、当業者であれば理解することであるが、それは単に例示のためであって限定するものではなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細に種々の変更を加えることができる。したがって、本発明の広さと範囲は、例示のための前記実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ特定されるべきである。
【0101】
学術論文若しくは抄録、公開された若しくは対応する米国特許出願若しくは外国特許出願、発行された特許若しくは外国の特許、又は他のあらゆる書類など、本明細書で引用する全ての文献は、かかる引用書類に示される全てのデータ、表、図及び文章を含め、その全体を本明細書でそれぞれ援用する。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所媒体、ナノシルバー、ニキビ薬剤及び鎮静剤を含み、刺激を起こさずにニキビを治療するのに有効な組成物。
【請求項2】
固体形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
液体形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
保湿剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
保湿剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
洗浄剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
洗浄剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ナノシルバーがナノシルバー送達系で送達される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ナノシルバーの濃度が約50〜約1000ppmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ナノシルバーの濃度が約100ppmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ニキビ薬剤が、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、レチノイン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
サリチル酸の濃度が0.1〜5%(w/w)、過酸化ベンゾイルの濃度が1〜10%(w/w)、及び/又はレチノイン酸の含有量が0.25〜4.0%(w/w)である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
鎮静剤が、パーム脂肪酸ナトリウム、パーム核脂肪酸ナトリウム、ブチロスパーマムパーキー(シアバター)、メンテピペリタ(ペパーミント)葉油、セリシン、ピリドキシン(ビタミンB6)、レチニルパルミテート(ビタミンA)、酢酸トコフェロール(ビタミンE)、ラウリルラウレート、ヒアルロン酸、アロエバルバデンシス葉汁パウダー、ワカバキャベツヤシ(アサイーベリー)果実抽出物、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミンHCl(ビタミンB1)、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
約40〜約70%(w/w)のパーム脂肪酸ナトリウム、約10〜約20%(w/w)のパーム核脂肪酸ナトリウム、約1〜約10%(w/w)のブチロスパーマムパーキー(シアバター)、約0.1〜約5%(w/w)のメンテピペリタ(ペパーミント)葉油、約0.1〜約2%(w/w)のセリシン、約0.01〜約1%(w/w)のピリドキシン(ビタミンB6)、約0.01〜約1%(w/w)のレチニルパルミテート(ビタミンA)、約0.01〜約1%(w/w)の酢酸トコフェロール(ビタミンE)、約0.01〜約1%(w/w)のラウリルラウレート、約0.005〜約0.5%(w/w)のヒアルロン酸、約0.001〜約0.1%(w/w)のアロエバルバデンシス葉汁パウダー、約0.001〜約0.01%(w/w)のワカバキャベツヤシ(アサイーベリー)果実抽出物、約0.0001〜約0.01%(w/w)のリボフラビン(ビタミンB2)、及び約0.0001〜約0.01%(w/w)のチアミンHCl(ビタミンB1)の1又は2以上を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
媒体が、水、グリセリン、二酸化チタン、トウモロコシ(コーン)スターチ、加水分解コーンスターチ、加水分解オクテニルコハク酸スターチ、合成ワックス、塩化ナトリウム、コカミドプロピルジメチルアミン、ヒドロキシエチルベヘナミドプロピルジモニウムクロリド、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、ステアリン酸グリセロール、テトラナトリウムEDTA、シリカ、シリカジメチルシリレート、ブチレングリコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アテロコラーゲン、ポリクオタニウム−67、ブチルパラベン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、プロピルパラベン、エチルパラベン及びイソブチルパラベンの1又は2以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
約10〜約20%(w/w)の水、約1〜約10%(w/w)のグリセリン、約0.1〜約5%(w/w)の二酸化チタン、約0.1〜約5%(w/w)のトウモロコシ(コーン)スターチ、約0.1〜約5%(w/w)の加水分解コーンスターチ、約0.1〜約5%(w/w)の加水分解オクテニルコハク酸スターチ、約0.1〜約5%(w/w)の合成ワックス、約0.05〜約2%(w/w)の塩化ナトリウム、約0.05〜約2%(w/w)のコカミドプロピルジメチルアミン、約0.05〜約2%(w/w)のヒドロキシエチルベヘナミドプロピルジモニウムクロリド、約0.05〜約2%(w/w)のテトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、約0.05〜約2%(w/w)のステアリン酸グリセロール、約0.001〜約0.1%(w/w)のテトラナトリウムEDTA、約0.0005〜約0.1%(w/w)のシリカ、約0.0005〜約0.01%(w/w)のシリカジメチルシリレート、約0.0005〜約0.01%(w/w)のブチレングリコール、約0.0005〜約0.01%(w/w)のコンドロイチン硫酸ナトリウム、約0.00005〜約0.01%(w/w)のアテロコラーゲン、約0.005〜約0.2%(w/w)のポリクオタニウム−67、及び約0.0005〜約0.1%(w/w)の保存剤の1又は2以上を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
レモン果皮油、ヒマワリ種子油、ツルマメ油、酸化鉄、チャノキ(白茶)葉抽出物、キュウリ果実抽出物、ザクロ抽出物、ヤシ脂肪酸カリウム、オリーブ脂肪酸カリウム、ポリヒドロキシステアリン酸、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルヘキシル、コカミドプロピルPGジモニウムクロリドリン酸ナトリウム、ペルフルオロブチルメチルエーテル、ペルフルオロイソブチルメチルエーテル、アクリル酸コポリマー、PEG−12ジメチコンスルホコハク酸ジナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココグルコシドココナッツアルコール、コカミドプロピルベタイン、ヤシ脂肪酸グリセリル、トリエタノールアミン、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、プロピレングリコール、チャノキ葉抽出物、ガルシニア、マンゴスチン果皮抽出物、ザクロ抽出物、パンテノール、リン脂質、レチニルパルミテート、酢酸トコフェロール、アスコルビルパルミテート、クエン酸、加水分解コラーゲン、ベンジルPCA、フェノキシエタノール、乳酸及びレモングラスオイルの1又は2以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
約0.1〜約5%(w/w)のレモン果皮油;約0.1〜約5%(w/w)のヒマワリ種子油;約0.01〜約0.5%(w/w)のツルマメ油;約0.0001〜約0.01%(w/w)の酸化鉄;約0.0001〜約0.01%(w/w)のチャノキ葉抽出物;約0.0001〜約0.01%(w/w)のキュウリ果実抽出物;約0.0001〜約0.01%(w/w)のザクロ抽出物;約5〜約40%(w/w)のラウレス硫酸ナトリウム;約1〜約30%(w/w)の、ヤシ脂肪酸カリウム及びオリーブ脂肪酸カリウムを含む混合物;約1〜約30%(w/w)の、ポリヒドロキシステアリン酸、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸エチルヘキシル、コカミドプロピルPGジモニウムクロリドリン酸ナトリウム、ペルフルオロブチルメチルエーテル及びペルフルオロイソブチルメチルエーテルを含む混合物;約1〜約30%(w/w)のアクリル酸コポリマー;約0.5〜約20%(w/w)のPEG−12ジメチコンスルホコハク酸ジナトリウム;約0.5〜約20%(w/w)のラウロイルサルコシンナトリウム;約0.1〜約10%(w/w)の、ココグルコシド及びココナッツアルコールを含む混合物;約0.1〜約10%(w/w)のコカミドプロピルベタイン;約0.1〜約10%(w/w)のPEG−7ヤシ脂肪酸グリセリル;約0.1〜約10%(w/w)のトリエタノールアミン;約0.1〜約10%(w/w)の、フェノキシエタノール及びエチルヘキシルグリセリンを含む混合物;約0.01〜約5%(w/w)の、プロピレングリコール、チャノキ葉抽出物、ガルシニア、マンゴスチン果皮抽出物及びザクロ抽出物を含む混合物;約0.01〜約5%(w/w)のパンテノール;約0.01〜約5%(w/w)の、水、リン脂質、レチニルパルミテート、酢酸トコフェロール及びアスコルビルパルミテートを含む混合物;約0.1〜約10%(w/w)の加水分解コラーゲン;約0.1〜約10%(w/w)の、ベンジルPCA及びフェノキシエタノールを含む混合物;約0.1〜約10%(w/w)の乳酸;並びに約0.01〜約5%(w/w)のレモングラスオイルの1又は2以上を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
ニキビ治療を必要とする患者のニキビを治療する方法であって、請求項1に記載の組成物を治療有効量で前記患者に投与することによりニキビを治療する方法。
【請求項20】
治療有効量の組成物を局所投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
治療有効量が少なくとも約6分間、患者に留まるようにするステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
患者が青少年期のヒトである、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
局所媒体、ナノシルバー、ヤナギ樹皮抽出物、及び鎮静剤を含み、刺激を起こさずにニキビを治療するのに有効な組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の組成物をディスペンサーに含有するキットであって、前記ディスペンサーにラベルが付随し、前記ディスペンサーに含有される前記組成物がニキビ治療に使用されることが前記ラベルに表示されているキット。
【請求項25】
ラベルに、組成物を患者の皮膚に局所適用して少なくとも約6分間は前記皮膚上に留まらせておくことが記載された指示が備わった、請求項24に記載のキット。

【公表番号】特表2011−522831(P2011−522831A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512699(P2011−512699)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/046440
【国際公開番号】WO2009/149369
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510320405)
【氏名又は名称原語表記】DAVIDSON,Richard,E.
【Fターム(参考)】