説明

ナノスケールの無機粒子を含有する熱可塑性プラスチックからなる組成物および成形体、該組成物および成形体の製造法ならびにそれらの使用

ナノスケールの無機粒子を含有する熱可塑性プラスチックからなる組成物または成形体の製造法であって、その際、熱可塑性プラスチックを溶融状態においてナノスケールの無機粒子および可溶化剤とスクリュー駆動機構を有する押出機中で混合し、その際、プラスチックが溶融体としてかつ可溶化剤が超臨界状態において存在する圧力および温度を設定する製造法において、混合物を押出機の出口で20μm未満の通路間隔を通してフラッシュ帯域に輸送しかつ溶融体を、導入されたナノスケールの無機粒子とともに排出し、冷却後に組成物へと粉砕するかまたは形状付与する処理装置に移送しかつ成形体に形づくることを特徴とする、ナノスケールの無機粒子を含有する熱可塑性プラスチックからなる組成物または成形体の製造法。さらに本発明は、本発明による方法に従って得られる組成物、成形体およびそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
EP1357151A1は、これまで不十分な形でしかまたはそもそも高い経費およびそれと結びついた欠点の下でしか互いに混合することが出来なかったポリマー、例えば種々の分子量のポリエチレンの複峰性混合物を記載する。殊に、種々のポリマーフラクションの良好な混合は、混合物を、超臨界状態における流体、例えばCOと高い圧力および温度にて接触させかつ混合物を引き続き緩和することにより達成される。方法が、添加剤または充填剤、例えばカーボンブラックをポリマー中に組み込むためにも適していることが言及される。
【0002】
US6,753,360B2は、改善された機械的特性を有する強化ポリマーの製造法を記載する。その際、層状ケイ酸塩は、ポリマー、例えばポリプロピレンと混合されかつ超臨界状態における流体、例えばCOと高い圧力および温度にて接触させられる。その際、混合物中で、層状ケイ酸塩の層は板状のケイ酸塩粒子へと切り離される。引き続き行われる、急激な圧力降下の下での混合物の迅速な緩和によって、切り離されたケイ酸塩粒子の非常に均一な分散がポリマー中で達成され、このことによって相応して強化ポリマーが結果として生じる。
【0003】
極めて小さい計器"マイクロラボ(Micro-Lab)"および回路またはモータの開発に加えて、殊にナノ化学がその成果により注目を浴びている。汚れ防止性および撥水性のコーティング、耐引掻性塗料、スプレー攻撃から保護される自動車タイヤまたはラッカー層のための新規の充填剤が考えられる。
【0004】
課題と解決
ポリマープラスチック中へのナノスケールの無機粒子の組み込みに関して、ここで箇条書きにして記載される相当数の利点が期待される。
・表面硬さおよび耐引掻性もしくは耐摩耗性の上昇
・高い靭性との組み合わせにおける剛性の上昇
・屈折率の上昇
・屈折率の温度非依存性
・(熱)膨張の減少
・バリア特性の生成
・表面の反射防止膜
・火災挙動の改善
殊に、新しいまたは改善された特性が、公知の良好なプラスチック特性、例えば透過性、ガラス透明性、無色性ならびに流動学的および機械的な特性を維持しながら達成されることが期待される。
【0005】
当業者に公知の方法、例えば一軸押出機または二軸押出機ならびに溶融混練機での配合によりナノスケールの無機粒子が組み込まれる場合、一次粒子が表面エネルギーの減少下で混合に従って高粘性溶融体と化合しアグリゲートになりうる、という問題が根本的に存在する。しばしば、これらのアグリゲートは、一次粒子に期待されるプラスの特性をもうほとんど有さないかまたはもはや有さない。従来技術の公知の方法により熱可塑性プラスチック中にナノスケールの無機粒子が組み込まれる場合、所定の目標を達成するのをこれまで大幅に妨げてきた量のアグリゲートが形成することになる。
US6,753,360B2は、改善された機械的特性を有する強化ポリマーの製造法を記載する。一次粒子を高い割合で有する、可能な限り均一に分散したナノスケールの無機粒子を含有するプラスチックもしくは組成物を得る、US6,753,360B2に比べ改善された方法を準備することが課題として捉えられていた。
【0006】
US6,753,360B2は、層状ケイ酸塩をその板状の一次粒子の形において組み込むことを記載する。板状のナノ粒子は、その形状と結びついた、ほとんど制御されえない異方性配向に基づき、変性プラスチックの結果として生じる特性となるプラスチック中での高い度合いの異方性の原因となる。それゆえ、殊に板状でないナノ粒子のためにも適している方法が準備されるべきである。
【0007】
さらに他の問題は、使用されるナノスケールの無機粒子の処理中、該無機粒子によって微細な粉塵粒子が形成することがありうるという点にある。一般的に、微細な粉塵粒子の形成は人間の健康上のリスクとなりうるために回避されるべきである。板状の粒子、例えば層状ケイ酸塩の場合、US6,753,360B2のように混合物中に乾式で組み込まれる場合、すでにある程度の粉塵粒子が発生する。しかしながらこの問題は、せいぜい5の一次粒子の最大アスペクト比を有するナノスケールの無機粒子が使用される場合により強まって存在する。それというのも、取り扱いに際して微細な粉塵粒子が形成される可能性が、上で言及された層状ケイ酸塩のような層状の粒子の場合よりさらに著しく高まるからであり、それらは剥離(Exfolierung)の工程によってようやくナノ粒子としてのその特性に達する。技術的な関心が持たれる今日入手可能なナノスケールの粒子の多くは、そのように微細な粉塵粒子を助長する一次粒子の形状を有する。加えて、恒常的に改善された製造法によって、ますます高い一次粒子含量を有するナノ粒子配合物が提供され、そうして製造プロセスの改善と並行して微細な粉塵粒子が放出される可能性が高まる。それゆえ、微細な粉塵粒子を僅かに保つことができるかまたは完全に回避することができる方法変法も準備されるべきである。
【0008】
該課題は、
熱可塑性プラスチックを溶融状態においてナノスケールの無機粒子および可溶化剤とスクリュー駆動機構(Schneckenfoerderung)を有する押出機中で混合し、その際、プラスチックが溶融体としてかつ可溶化剤が超臨界状態において存在する圧力および温度を設定する、ナノスケールの無機粒子を含有する熱可塑性プラスチックからなる組成物または成形体の製造法において、混合物を押出機の出口で20μm未満の通路間隔(Durchlassspalt)を通してフラッシュ帯域(Entspannungszone)に輸送しかつ溶融体を、導入されたナノスケールの無機粒子とともに排出し、冷却後に組成物へと粉砕するかまたは形状付与する処理装置に移送しかつ成形体に形づくることを特徴とする、ナノスケールの無機粒子を含有する熱可塑性プラスチックからなる組成物または成形体の製造法によって解決される。
【0009】
さらに他の押出機、殊に脱気押出機が使用される場合、揮発性成分、例えば可溶化剤が混合物から除去されうる。大部分が均一に導入されたナノスケールの無機粒子を有するプラスチックは、このようにして第二の押出機から排出されかつ冷却後に顆粒物質へと切断されうるかまたは粉末へと粉砕されうる。代替的に、溶融体を直接成形体へと処理してもよい。
【0010】
さらに本発明は、本発明による方法に従って得られる熱可塑性プラスチックからなる組成物または成形体に関し、一次粒子の数、もしくは場合により30個を上回らない一次粒子からなる一次粒子超構造(Primaerteilchenueberstrukturen)、およびアグリゲートの数に対して50%を超える一次粒子の割合を有するナノスケールの無機粒子がその中に含有されていることを特徴とする。本発明による組成物は、熱可塑性材料処理、殊に押出、射出成形または射出圧縮成形(Spritzpraegen)による成形体の製造のために使用されうる。
【0011】
発明の実施
方法
本発明は、ナノスケールの無機粒子を含有する熱可塑性プラスチックからなる組成物または成形体の製造法に関する。
【0012】
熱可塑性プラスチック
熱可塑性プラスチックは、例えばポリアミド、ポリメチルメタクリレート−プラスチック、耐衝撃性改質ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート−プラスチックならびにポリエステルカーボネート、ポリスチレン−プラスチック、スチレン−アクリル−ニトリル−プラスチック、ポリエチレンテレフタレート−プラスチック、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート−プラスチック、ポリビニルクロリド−プラスチック、透明ポリオレフィン−プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)−プラスチック、シクロオレフィンコポリマー(COC)および/または種々の熱可塑性プラスチックの混合物(ブレンド)であってよい。
【0013】
ナノスケールの粒子
ナノスケールの無機粒子は商業的に入手可能であるかまたは公知の方法、例えば沈殿法、ゾル−ゲル法または火炎法(ランプブラック(Flamm-Russ))によって取得されうる。
【0014】
ナノスケールの無機粒子は、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、シリカ(SiO)、酸化ジルコニウムZrO、コランダムAl、水酸化アルミニウム(Al(OH))、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化チタン(TiO)、BaSOまたはカーボンブラックからなっていてよくかつ4nm〜999nm、有利には4nm〜720nm、殊に2〜100nmの領域における平均一次粒度(mittlere Primaerteilchengroesse)(ほぼ丸い外観を有する粒子の場合のおおよその直径)を有してよい。有利なのは、約380〜720nmまたはそれを下回る、殊に380nm未満の可視光の波長の領域における平均一次粒度(直径)を有する粒子である。
【0015】
例えば、平均一次粒度は、顕微鏡、例えば位相差顕微鏡、殊に電子顕微鏡(TEM)によるかまたはマイクロトモグラフィー法によって当業者により確認されえ、例えば粒子(例えば粒子50個または>50個)の代表数を測定することによって、画像評価法によって定められうる。
【0016】
例えばカーボンブラック配合物中において、一次粒子はたいてい個々に存在せず、むしろいくぶん規則的に構造化された一次粒子超構造として存在し、それらは100個を上回らない、殊に50個を上回らない、有利には15個を上回らない一次粒子からなっていてよい。
【0017】
最大アスペクト比
本発明により使用されるナノスケールの無機粒子は、一般にほぼ球状の形をしている。球形に近い形状の測定として、公知のようにアスペクト比のデータが使用されうる。
【0018】
殊に本発明は、せいぜい5の、有利にはせいぜい3の、有利にはせいぜい2の、とりわけ有利にはせいぜい1.5の一次粒子の最大アスペクト比を有するナノスケールの無機粒子の処理に適している。一次粒子の最大アスペクト比とは、三次元の長さ、幅および高さの2つの最大形成可能(maximal bildbar)な相対比と理解される。その際、そのつど最も大きい寸法対他の2つの寸法の最も小さいものの比がつくられる。長さ15nm、幅5nmおよび高さ10nmを有する一次粒子は、例えば3の最大アスペクト比(長さ対幅)を有する。5の最大アスペクト比を有する一次粒子は、例えば短棒状または円板状、タブレット様の粒子であってもよい。一次粒子の最大アスペクト比が、例えばせいぜい1.5であるかまたはそれを下回る場合、一次粒子はいくぶん球状に似たまたは顆粒状の形を有する。それとは対照的に、例えばUS6,753,360B2で使用される層状ケイ酸塩の一次粒子は、5をはるかに超える、20またはそれを超える領域における最大アスペクト比を有する。
【0019】
有利には、せいぜい5の一次粒子の最大アスペクト比を有する上記のナノスケールの無機粒子は安定した分散液の形において混合物中に導入され、その中で粒子は、一次粒子としてか、または30個を上回らない、殊に20個を上回らない、有利には15個を上回らない一次粒子からなる一次粒子超構造として、少なくとも70%、殊に少なくとも80%、有利には少なくとも90%または少なくとも95%で存在する。
【0020】
カーボンブラック配合物中において、一次粒子はたいてい個々に存在せず、むしろ例えば100個を上回らない、殊に50個を上回らない、有利には15個を上回らない一次粒子からなる一次粒子超構造として存在する。一次粒子超構造は、しばしばそのつどの配合物の製造法および適用技術特性を特徴づけるものである。
【0021】
粒子という概念は、一次粒子、一次粒子超構造およびそれらのアグリゲートである。一次粒子および一次粒子超構造と、一次粒子の不所望のアグリゲートまたは一次粒子超構造のアグリゲートとは区別されるべきである。一次粒子のアグリゲートは、2個以上の一次粒子からなってよく、一次粒子超構造のアグリゲートは、一次粒子超構造より多くの一次粒子からなり、しばしばまた多重の一次粒子超構造からなる。不所望のアグリゲートは、一次粒子および一次粒子超構造の安定性が欠けた状態で、粒子、分散液の貯蔵中または不適切な方法条件における処理中に生じうる。
【0022】
分散液
有利には、ナノスケールの無機粒子は分散液の形において混合物中に導入される。これは、微細な粉塵粒子の形成が組み込みに際して回避されるという利点を有する。分散液は、場合により懸濁液またはコロイド溶液とも呼ばれうる。
【0023】
一般に分散液は、含有される一次粒子または場合により一次粒子超構造が、貯蔵中に不所望の形で比較的大きいアグリゲートを形成するのを妨げる1つ以上の安定剤を含有する。顔料分散剤とも呼ばれる公知の安定剤は、例えば乳化剤であり、公知であるのは、例えば界面活性ポリマーまたはホスホン酸誘導体、例えばホスホン酸誘導体であり、その際、分子の一部は無極性である。
【0024】
有利には、分散液は、ナノスケールの無機粒子の10〜40、殊に12〜25質量%の固体割合を有する。
【0025】
ナノスケールの無機粒子の分散液は、発明の意味において可溶化剤ではない液体中に、例えば水中に存在する。それに従って、それは例えば水性分散液である。これは、分散液が可溶化剤とは無関係に計量供給されうるという利点を有する。
【0026】
有利には、ナノスケールの無機粒子の分散液は、室温にて液体の可溶化剤、例えばエタノールまたはメタノール中で存在し、それはプラスチックが溶融体として存在する温度の場合に、相応して高い圧力がかけられる場合に超臨界状態に移行しうる。ここで、例えば方法のために必要とされる可溶化剤の全体の量を分散液の形において添加してよい。しかしながら、全体の方法のために必要とされる可溶化剤の量のより小さい量のみを分散液の形において添加してもよい。次いで、残りの量は別個に計量供給され、それは同じまたは他の可溶化剤、場合により室温にてガス状の可溶化剤、例えばCOであってもよい。
【0027】
有利には、せいぜい5の一次粒子の最大アスペクト比を有する上記のナノスケールの無機粒子は、安定した分散液の形において混合物中に導入される。分散液中で粒子は、一次粒子としてか、または一般に100個を上回らない、殊に50個を上回らない、有利には15個を上回らない一次粒子からなる一次粒子超構造として少なくとも70%、殊に少なくとも80%、有利には少なくとも90%または少なくとも95%で存在する。
【0028】
可溶化剤
発明の意味における可溶化剤は、プラスチックが溶融体として存在する温度の場合に、例えば200〜350℃にてまたは200〜300℃にて、高い圧力、例えば70〜250barの圧力がかけられる場合に超臨界状態に移行しうる物質である。有利なのは、プラスチックが溶融体としてかつ可溶化剤が超臨界状態において存在する圧力および温度の場合に、熱可塑性プラスチックに対して不活性であるかもしくはこれと化学反応を引き起こさない可溶化剤である。
【0029】
適切な可溶化剤は、例えば二酸化炭素、窒素酸化物(NO)、キセノン、クリプトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはイソブタノールまたは記載された可溶化剤の混合物である。有利なのは、二酸化炭素、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはイソブタノールである。
【0030】
処理条件
熱可塑性プラスチックは、ナノスケールの無機粒子および可溶化剤と一緒に、プラスチックが溶融体としてかつ可溶化剤が超臨界状態において存在する圧力および温度の場合に、スクリュー駆動装置を有する押出機、単軸押出機または多軸押出機中で混合される。このために、公知の方法においてプラスチックは押出機の供給帯域を介して固体として、たいてい顆粒物質または粉末として供給、溶融されえかつスクリューによってもしくは多軸押出機の場合には複数のスクリューによって輸送されえかつ混合物の超臨界状態を達成するために必要な圧力および必要な温度が設定されうる。溶融された状態においておよび200℃〜350℃または200℃〜300℃、有利には220℃〜280℃の温度、および70bar〜250bar、有利には170bar〜230barの圧力にてプラスチックが存在した後、そのつどの可溶化剤を押出機中に計量供給箇所を介してポンプにより供給してよい。有利には、後に続けて可溶化剤の計量供給箇所に取り付けられているさらに他の計量供給箇所を介して、ナノスケールの無機粒子の所望される量を水性分散液としてまたは有機溶媒中の分散液として添加してよい。設定される処理パラメータの圧力および温度の場合に超臨界状態において存在する適切な可溶化剤中への分散液の供給も有利な処理方法でありうる。
【0031】
圧力および温度は、選択される可溶化剤の臨界温度および臨界圧力をそのつど上回っていなければならない。
【0032】
その際、有利には、圧力および温度は、熱分解による熱可塑性プラスチックの分解または他の形の特性損失が生じないようにまたは非常にわずかな程度しか生じないように選択されうる。
【0033】
例えば、メタノールは240.5℃の臨界温度および約78.9barの臨界圧力を有する。それゆえ、250℃にて溶融状態で処理することができる、プラスチックのポリメチルメタクリレート中へのナノスケールの無機粒子の組み込みは、例えば250℃および200barにて可溶化剤としてのメタノールとともに行ってよい。
【0034】
例えば、エタノールは約243℃の臨界温度および約63barの臨界圧力を有する。それゆえ、250℃にて溶融状態で処理することができる、プラスチックのポリメチルメタクリレート中へのナノスケールの無機粒子の組み込みは、例えば250℃および200barにて可溶化剤としてのメタノールとともに行ってよい。
【0035】
場合により可溶化剤のエタノールは、ナノスケールの無機粒子のための分散液液相としても使用されえかつ可溶化剤としてのメタノールとともにプラスチック溶融体のために使用されうる。
【0036】
とりわけ有利には、まず熱可塑性プラスチック、例えばポリメチルメタクリレートを、200℃〜350℃または200℃〜300℃、有利には220℃〜280℃、殊に250℃〜270℃の温度および70bar〜250bar、有利には170bar〜230bar、殊に180bar〜220barの圧力にて押出機中で溶融し、適切な可溶化剤を、熱可塑性プラスチックに対して10〜30質量%、有利には15〜25質量の濃度において計量供給し、ナノスケールの粒子の5〜50、有利には10〜30%の分散液(質量/質量)を、記載された温度および圧力にて押出機中で超臨界状態において同様に存在する同一のまたは他の可溶化剤中に計量供給し、そうしてプラスチック中においてもしくはプラスチックに対して0.01質量%〜20質量%、有利には0.1質量%〜10質量%、殊に1質量%〜5質量%のナノスケールの粒子の含有率を設定する方法が実施される。
【0037】
変法
方法工程は、例えば以下の順序で実施されうる:
i)熱可塑性ポリマーを溶融状態へと移行させる工程
ii)ナノスケールの無機粒子を可溶化剤中での分散液の形においてポリマー溶融体に添加しかつ成分を混合する工程
iii)混合物を超臨界状態へと移行させる工程。
【0038】
方法工程は、代替的に以下の順序で実施されうる:
i)熱可塑性ポリマーを溶融状態へと移行させる工程
ii)可溶化剤を同時にまたは引き続き混和する工程
iii)混合物を超臨界状態へと移行させる工程
iv)ナノスケールの無機粒子を分散液の形において超臨界混合物に添加する工程。
【0039】
方法工程は、さらに以下の順序で実施されうる:
i)熱可塑性ポリマーを溶融状態へと移行させる工程
ii)可溶化剤を同時にまたは引き続き混和する工程
iii)ナノスケールの無機粒子を分散液の形において添加する工程
iv)混合物を超臨界状態へと移行させる工程。
【0040】
熱可塑性プラスチックは、ナノスケールの無機粒子および可溶化剤と一緒に200℃〜300℃の温度および70bar〜250barの圧力にて押出機中で混合してよい。
【0041】
熱可塑性プラスチックは、例えば200℃〜300℃の温度および70bar〜250barの圧力にて押出機中で溶融してよく、可溶化剤は熱可塑性プラスチックに対して10〜30質量%の濃度において計量供給してよい。記載された温度および圧力にて押出機中で超臨界状態において同様に存在する同一のまたは他の可溶化剤中でのナノスケールの無機粒子の5〜50%(質量%)、有利には10〜30%の分散液は、液体のもしくはガス状の成分の引き抜き後に0.01質量%〜20、殊に0.1〜18、有利には1〜10質量%のナノスケールの無機粒子の含有率がプラスチック中で設定されるように計量供給されうる。
【0042】
さらに他の変法として、ナノスケールの無機粒子を含有する組成物の顆粒物質もまた製造されうる。組成物がたとえ高い割合の不所望のアグリゲートを含有する場合でも、これらは本発明による方法の使用下でその可能な変法において新たに一次粒子または場合により一次粒子超構造へと分散される(例2および3を参照のこと)。
【0043】
通路間隔/圧力調整弁
20μm未満の通路間隔の選択は、発明の実施のためにとりわけ重要である特別な技術的処置を表す(例1を参照のこと)。該処置は、混合物の緩和のためのみならず、特に非常に高い剪断速度を作り上げるのに使用される。20μm未満の通路間隔の選択により、混合物がこれを10000〜100000、有利には20000〜70000s−1の剪断速度で通過することが保証される。混合物が、このように狭い通路間隔を技術的な問題なしに通過しうることは予測されていなかった。例4は、25μmの通路間隔がすでに不十分な結果をもたらすことを示す。
【0044】
超臨界状態における熱可塑性プラスチック、ナノスケールの無機粒子および可溶化剤とからなる混合物は、押出機の出口で20μm未満、例えば1μm〜20μmもしくは1μm〜20μm未満、有利には2μm〜10μmの通路間隔を抜けてフラッシュ容器、例えば貯蔵器、フラッシュ室(Flash-Kammer)またはさらに他の押出機中に輸送される。該混合物はこの状態においてそのように液状でありかつガス状とも液状とも呼ばれえない流動性の超臨界状態を有し、そのためそれは技術的な問題なしに通路間隔を非常に高い剪断速度で通過しうる。
【0045】
有利には、通路間隔の準備のために環状ギャップを有する圧力調整弁が使用される。ピストン径は、例えば1mm〜10mm、有利には2mm〜5mmであってよい。有利には、ギャップ幅は、5mm〜30mm、有利には5mm〜15mmのギャップ長さの場合、1μm〜20μmもしくは1〜20μm未満、有利には2μm〜10μmの領域にある。
【0046】
有利には、圧力調整弁出口は、さらに他の押出機、有利には脱気押出機と直接接続されておりかつ非常に高い剪断速度の下で混合物の圧力緩和を可能にし、それにより大部分が均一に分散されかつ高い割合の一次粒子が生成されることになる。さらに他の押出機もしくは脱気押出機中で揮発性成分が除去されうる。導入されたナノスケールの無機粒子を有する溶融体は排出されかつ冷却後に組成物、顆粒物質または粉末に粉砕されるかまたは形状付与する処理装置、例えばワイドスリット押出ノズル(Breitschlitzextrusionsduese)または射出成形装置もしくは射出成形モールドに移送されかつそこで成形体が直接形づくられうる。
【0047】
組成物/成形体
本発明による組成物または熱可塑性プラスチックからなる成形体は、記載された方法によって得られる。
【0048】
組成物もしくは成形体は、ナノスケールの無機粒子を、例えば0.01質量%〜20質量%、有利には0.1質量%〜10質量、殊に1質量%〜5質量%の量において含有する。
【0049】
その際、組成物または成形体は、粒子の数もしくは合計または全体に対して50%を超える、有利には少なくとも75%、殊に少なくとも90%の割合の一次粒子または一次粒子超構造、最も小さい粒子またはサブユニット(Untereinheiten)を有するナノスケールの無機粒子を含有する。
【0050】
ナノスケールの粒子が主として一次粒子の形において存在する場合、アグリゲートは2つ以上の一次粒子からなる粒子と理解されうる。例えば一次粒子の割合が90%ひいては粒子が10%である場合にアグリゲートである。
【0051】
ナノスケールの粒子が主として、例えば100個を上回らない一次粒子からなるかまたは一次粒子のより少ない数からのみなる一次粒子超構造の形において存在する場合(例えばカーボンブラック−配合物の場合)、アグリゲートは一次粒子超構造より多くの一次粒子からなり、およびたいていの場合また凝集した一次粒子超構造の大半または多数からなる粒子と理解されうる。
【0052】
例えば一次粒子超構造の割合が90%ひいては粒子が10%である場合にアグリゲートである。
【0053】
一次粒子およびアグリゲートもしくは一次粒子超構造およびそれらのアグリゲートの全体における一次粒子の割合は、例えば光学顕微鏡、電子顕微鏡(TEM)を用いてかまたはマイクロトモグラフィー法によって当業者により確認されえ、例えば粒子(例えば粒子50個または>50個)の代表数を測定することによって、画像評価法によって測定されうる。
【0054】
有利には、熱可塑性プラスチックもしくは組成物または成形体は、せいぜい5の、殊にせいぜい3の、有利にはせいぜい2の、とりわけ有利にはせいぜい1.5の最大アスペクト比を有するナノスケールの無機粒子の一次粒子を含有する。
【0055】
使用
本発明による組成物は、それ自体公知の熱可塑性処理、殊に押出、射出成形または他の公知のプラスチック処理の方法により成形体を製造するために使用されうる。
【0056】

例1(本発明による−通路間隔10μm)
スクリュー径45mmおよびスクリュー長さ36Dを有する単軸押出機およびスクリュー径45mmおよびスクリュー長さ24Dを有するフランジ接合されたさらに他の単軸押出機からなる実験室用押出装置にて、ナノスケールの無機粒子を分散させる試験を実施した。
【0057】
重量計量供給装置により、第一の押出機の供給帯域にポリメチルメタクリレート−組成物(メチルメタクリレート96質量%とメチルアクリレート4質量%とからなるポリマー)10kg/hを顆粒物質として供給する。均一な熱可塑性溶融体の存在後に、Cavity Transfer Mixer(CTM)から構成されている混合帯域中において定量ポンプ(LEWA)によりメタノールを200barの圧力および2.0kg/hの量で押出機中にポンプ供給した。同様にCTMが備え付けられているさらに他の混合帯域中において、ダイヤフラム−定量ポンプ(Membran-Dosierpump)により5nmの平均一次粒度および2未満の一次粒子の最大アスペクト比を有するナノスケールのSiO25%(質量%)の水性分散液を1.2kg/hの量において押出機中にポンプ供給する。
【0058】
押出機の端部には3mmの円柱形状の弁インサートを有する圧力調整弁が取り付けられている。弁ストロークの80%の弁位置にて、20μmより小さい、すなわち10μmの通路間隔を設定し、それは押出機中で200barの圧力レベルをもたらす。測定された溶融温度は250℃である。
【0059】
圧力調整弁を介して、後接続される押出機に直接接続される。極めて高い剪断速度で行われる圧力調整弁の剪断幅を通過した後、ポリマー、溶媒、水およびその中に導入されたナノスケールの無機粒子からなる混合物を緩和し、揮発性成分を気化しかつ押出機の2つの脱気開口部を介して排出する。脱気帯域は、種々の圧力レベルにて運転にかけかつ真空技術的に分離されている。
【0060】
揮発性成分を除去したナノスケールの無機粒子を有するポリマー溶融体は、穴ノズルを介してロッド状(Straengen)に形づくられ、水浴を介して排出しかつグラニュレータにより切断する。そのようにして得られた顆粒物質から、射出成形機Battenfeld BA350CDで射出成形し65×40×3の寸法のプレートをつくる。プレートにて、顕微鏡によりナノスケールの無機SiO−粒子の分散を調べた。
【0061】
噴霧プレート中にアグリゲートを確認することはできなかった。目視検査に際して、該シートは、わずかな濁度を有する出発材料の非常に良好な光学的特性を示す。一次粒子およびアグリゲートに対する一次粒子の割合は、電子顕微鏡写真の評価によって測定することができかつ約85%である。
【0062】
例2(比較例−通過間隔なし)
二軸混練機Leistritz LMS30.34にて、Engelhardt社の重量計量供給装置を介して押出機の供給帯域中にポリメチルメタクリレート−組成物(メチルメタクリレート96質量%とメチルアクリレート4質量%とからなるポリマー)10kg/hを供給し、取り込みかつ可塑化する。
噴射弁、管路およびダイヤフラムポンプから構成されている計量供給装置を介して、例1からの水性ナノ分散液SiO1.2kg/hを押出機中にポンプ供給する。当業者に公知でありかつ押出機供給元から推奨されるように、ナノ分散液がポンプ供給される押出機の混合帯域は、できるだけ良い混合効果を達成するために混合エレメントおよび混練りブロックで備え付けられている。
【0063】
後続する脱気帯域中で揮発性成分を除去し、押出ダイ(Giessduese)により押出物を引き出し、冷却しかつグラニュレータで切断する。
【0064】
得られた顆粒物質から、例1の中で記載されるように、プレート65×40×3mmを射出成形しかつ視覚的に評価した。明らかに比較的大きい、凝集したナノスケールのSiO−粒子が確認されうる。一次粒子の割合は、電子顕微鏡写真の評価によって測定することができかつ20%を下回ってある。
【0065】
例3(本発明による−例2からの顆粒物質の処理)
例2から得られた生成物を、例1に記載のナノ−分散装置で、そこに導入された重量計量供給装置とともに押出機の供給帯域に10kg/hで供給した。例1に相応して、第一の混合帯域中にメタノール2.0kg/hを計量供給する。設定したパラメータの圧力および温度は、例1の中で使用した設定値と同じであった。得られた顆粒物質から、プレートを射出成形した。製造された射出成形体は、ほぼアグロメレート不含の分散したナノ粒子を示す。一次粒子の割合は、電子顕微鏡写真の評価によって測定することができかつ約85%である。
【0066】
例4(比較例−通路間隔25μm)
例4は例1に相当するが、ただし弁ストロークの40%の弁位置にて25μmの通路間隔を設定するという違いを有する。得られた顆粒物質から、例1の中で記載されるように、プレート65×40×3mmを射出成形しかつ視覚的に評価した。明らかに比較的大きい、凝集したナノスケールのSiO−粒子が確認されうる。一次粒子の割合は、電子顕微鏡写真の評価によって測定することができかつ35%を下回ってある。
【0067】
例5(カシウス紫金)
例1からのナノスケールのSiOの水性分散液は、試験目的のために金コロイド溶液、いわゆるカシウス紫金で置き換えることができる。金コロイド溶液は、HOならびに元素Au、Sn、Clおよび場合によりSlを含有する;出発化合物は、金塩化水素酸(HAuCl)でありかつ暗赤色の、紫様の色彩を有する。"カシウス紫金"は当業者に公知である。含有されるナノスケールの金粒子は、主として20〜30nmの領域の平均一次粒度を有する一次粒子として存在する。コロイド状の"金"溶液中における増大したアグリゲートの形成は、青色または褐色への変色によって示される。
【0068】
例えば例1に従う本発明による処理方法の場合、"金"粒子をポリメチルメタクリレート−マトリックス中に、例えば10ppmの領域の濃度において導入する。得られた顆粒物質から、例1の中で記載されるようにプレートを射出成形しかつ視覚的に評価する。暗赤〜紫様に微かに光るポリメチルメタクリレート−射出成形部材が得られる。波長スペクトルから、ポリメチルメタクリレート−射出成形部材およびコロイド出発溶液の500〜580nmの領域における吸収極大の長さがほぼ一致することが判明する。これは、本発明による方法によりコロイド状の"金"溶液に由来する一次粒子の凝集を大幅に防止することの証明となりうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノスケールの無機粒子を含有する熱可塑性プラスチックからなる組成物または成形体の製造法であって、その際、熱可塑性プラスチックを溶融状態においてナノスケールの無機粒子および可溶化剤とスクリュー駆動機構を有する押出機中で混合し、その際、プラスチックが溶融体としてかつ可溶化剤が超臨界状態において存在する圧力および温度を設定する製造法において、混合物を押出機の出口で20μm未満の通路間隔を通してフラッシュ帯域に輸送しかつ溶融体を、導入されたナノスケールの無機粒子とともに排出し、冷却後に組成物へと粉砕するかまたは形状付与する処理装置に移送しかつ成形体に形づくることを特徴とする、ナノスケールの無機粒子を含有する熱可塑性プラスチックからなる組成物または成形体の製造法。
【請求項2】
ナノスケールの無機粒子が、酸化インジウムスズ(ITO)、シリカ(SiO)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化チタン(TiO)、BaSOまたはカーボンブラックからなっておりかつ4〜999nmの領域における平均一次粒度を有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
可溶化剤としてCO、NO、キセノン、クリプトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはイソブタノールまたは記載された可溶化剤の混合物を使用することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ナノスケールの無機粒子を分散液の形において混合物中に導入することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
分散液が、5〜50質量%のナノスケールの無機粒子の固体割合を有することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
せいぜい5の一次粒子の最大アスペクト比を有するナノスケールの無機粒子を使用しかつ安定した分散液の形において混合物中に導入し、該混合物中で粒子が一次粒子としてまたは、30個を上回らない一次粒子からなる一次粒子超構造として、少なくとも70%で存在することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ナノスケールの無機粒子の分散液が、請求項1記載の可溶化剤ではない液体中で存在することを特徴とする、請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
分散液が水中で存在することを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ナノスケールの無機粒子の分散液が請求項1記載の可溶化剤中で存在することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
混合物を緩和するためのフラッシュ帯域がさらに他の単軸押出機であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
第二の単軸押出機により揮発性成分を排出することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性プラスチックが、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート−プラスチック、耐衝撃性改質ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート−プラスチックならびにポリエステルカーボネート、ポリスチレン−プラスチック、スチレン−アクリル−ニトリル−プラスチック、ポリエチレンテレフタレート−プラスチック、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート−プラスチック、ポリビニルクロリド−プラスチック、透明ポリオレフィン−プラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)−プラスチック、シクロオレフィンコポリマー(COC)および/または種々の熱可塑性プラスチックの混合物(ブレンド)であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
方法工程を、以下の順序:
i)熱可塑性ポリマーを溶融状態へと移行させる工程
ii)ナノスケールの無機粒子を可溶化剤中での分散液の形においてポリマー溶融体に添加しかつ成分を混合する工程
iii)混合物を超臨界状態へと移行させる工程
で実施することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
方法工程を、以下の順序:
i)熱可塑性ポリマーを溶融状態へと移行させる工程
ii)可溶化剤を同時にまたは引き続き混和する工程
iii)混合物を超臨界状態へと移行させる工程
iv)ナノスケールの無機粒子を分散液の形において超臨界混合物に添加する工程
で実施することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
方法工程を、以下の順序:
i)熱可塑性ポリマーを溶融状態へと移行させる工程
ii)可溶化剤を同時にまたは引き続き混和する工程
iii)ナノスケールの無機粒子を分散液の形において添加する工程
iv)混合物を超臨界状態へと移行させる工程
で実施することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
熱可塑性プラスチックを、ナノスケールの無機粒子および可溶化剤と一緒に200℃〜350℃の温度および70bar〜250barの圧力にて押出機中で混合することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
可溶化剤を、熱可塑性プラスチックに対して10質量%〜30質量%の濃度において計量供給することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
プラスチック中において0.01質量%〜20質量%のナノスケールの無機粒子の含有率を設定することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
まず熱可塑性プラスチックを200℃〜350℃の温度および70bar〜250barの圧力にて押出機中で溶融し、可溶化剤を熱可塑性プラスチックに対して10〜30質量%の濃度において計量供給し、ナノスケールの無機粒子の5〜50%の分散液(質量/質量)を、記載された温度および圧力にて押出機中で超臨界状態において同様に存在する同一のまたは他の可溶化剤中に計量供給し、そうして0.01質量%〜20質量%のプラスチック中におけるナノスケールの無機粒子の含有率が設定されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
1mm〜10mmの環状ギャップ、1μm〜20μm未満のギャップ幅および5mm〜30mmのギャップ長さを有する圧力調整弁を使用することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
混合物が10000〜100000s−1の剪断速度で通路間隔を通過することを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
請求項1から21までのいずれか1項記載の方法により得られる組成物または成形体であって、その中にはナノスケールの無機粒子が含有されておりかつ一次粒子または、100個を上回らない一次粒子からなる一次粒子超構造の割合が、粒子の数に対して全体で50%を超えることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか1項記載の方法により得られる組成物または成形体。
【請求項23】
ナノスケールの無機粒子が、せいぜい5の最大アスペクト比を有する一次粒子を有することを特徴とする、請求項22記載の組成物または成形体。
【請求項24】
熱可塑性処理、殊に押出、射出成形または射出圧縮成形により成形体を製造するための、請求項22または23記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2008−536983(P2008−536983A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506970(P2008−506970)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003316
【国際公開番号】WO2006/111302
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507346188)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】