説明

ナノファイバを含む多層流体透過性繊維構造体およびこの構造体の製造方法

間隙をあけて離れた接点で互いに結合された複数のポリマー繊維を各々が含んだ第1および第2の繊維層を含む多層流体透過性構造体を提供する。これらの繊維層のポリマー繊維は、1ミクロンよりも大きな径を有し、第1および第2の繊維層を貫通する曲がりくねった流体流路を提供する相互接続した間隙空間を全体として規定する。この構造体は、第1の繊維層の少なくとも一部分と第2の繊維層の少なくとも一部分との間に配置された複数のナノファイバをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本願は、参照によりその全体がここに組み込まれている、2009年2月17日に出願された仮出願シリアル番号第61/153,104の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は、一般に結合ポリマー繊維構造体に関し、より詳細には、ナノファイバが結合マイクロファイバ基礎構造体の層の間の界面に埋め込まれているおよびその周りにある多層構造体に関する。このような構造体は、種々の液体およびガスの濾過用途にとって非常に効率的なフィルタを形成する。
【0003】
濾過の科学において、高い濾過効率および同時の低い圧力低下(すなわち流動抵抗)の達成はかなり困難であった。液体またはガス濾過用途の何れかにおける微細粒子の優れた濾過効率を提供するようにフィルタを設計するために、濾材の孔径はフィルタによって排除される粒子の大きさに対して小さくなければならない。しかしながら、繊維状または粒状物質(たとえば焼結プラスチックまたは金属ビーズ)から作られた通常の濾材は、典型的に、濾過される粒子よりも大きいかまたはそれと同程度の大きさである成分から構成されている。このような媒体では、孔径を縮小し、濾材の厚さを増やすことによって効率を向上させる。しかしながら、このような濾材を用いる場合、流体(液体またはガスの何れか)をフィルタの孔隙に押し通すのに必要とされる圧力はかなり大きくなりえて、そのためフィルタの有用性が限定される。また、効率を高めるためにより厚くてより重い媒体を使用することは、濾材内に捕らえられた所望の成分の低い回収率という関連した欠点を有し、これは濾材の汚れを引き起こす。
【0004】
高性能で圧力低下の小さなフィルタを焼結金属線から形成し、典型的にステンレス鋼組成の金属繊維で織物構造体または不織構造体を構成する解決策があった。これらのフィルタは、インクジェット印刷用途での最終的な精密濾過要素として広く使用され、一般に印刷ヘッドの近くに配置される。それらは、大き過ぎる大きさの粒子が印刷ヘッドを汚して、目詰まりおよび不発(misfires)を引き起こすのを防ぐのに使用される。この金属構造体は、それが非常に耐磨耗性であり、ユーザーがインクジェットカートリッジを取り付ける、取り外すまたは交換する際にインクジェットプリンタにおいて最も一般的に認められる擦れ、摩擦および他の力に耐えることができるという追加の利点を提供する。
【0005】
これらの織物または不織ステンレス鋼精密インクフィルタは典型的にシートまたはロールの形態で供給され、裁断されて、インクジェットカートリッジへの設置にまたは、印刷ヘッドがカートリッジではなくプリンタに取り付けられているプリンタの場合には、印刷ヘッドの直前のインクコンジットに取り付けられるのに望ましい形状にされる。両方の場合において、カートリッジまたはプリンタ自体の何れかの製造は、この硬いステンレス鋼を裁断し、最も典型的にはポリプロピレンなどのプラスチックから得られるハウジング内にそれを取り付けなければならず、次に、それが永続的に取り付けられて漏れも緩みも受けないようにそれをこのハウジングに固定させなければならない。これを為すためには、複雑な製造方法を用いて、金属フィルタとプラスチックハウジングとの間の結合を形成する場合がある。この製造方法には、ステンレス鋼フィルタを裁断するのに必要とされる力が大きい場合があり、フィルタ取り付け技術が複雑でありかつ費用がかかる場合があるという欠点がある。
【0006】
したがって、優れた粒子精密濾過能力と、低い圧力低下と、優れた耐磨耗性とを有し、容易に裁断でき、インクジェットプリンタ構造に典型的に認められるプラスチック部材に超音波的に(そうでなければ熱的に)結合できるインクジェットプリンタ精密濾過用途のための精密フィルタについての必要性が存在する。
【0007】
発明の概要
本発明は、1つの特定の態様において、間隙をあけて離れた接点で互いに結合した第1の複数のポリマー繊維を含んだ第1の繊維層を含む多層流体透過性構造体を提供する。第1の繊維層のポリマー繊維は、1ミクロンより大きな径を有し、第1の繊維層を貫通する曲がりくねった流体流路を提供する第1の複数の相互接続した間隙空間を全体として規定する。この構造体は、第1の繊維層に接着した第2の繊維層をさらに含む。第2の繊維層は、間隙をあけて離れた接点で互いに結合した第2の複数のポリマー繊維を含む。第2の繊維層のポリマー繊維は、1ミクロンよりも大きな径を有し、第2の繊維層を貫通する曲がりくねった流体流路を提供する第2の複数の相互接続した間隙空間を全体として規定する。この多層構造体は、第1の繊維層の少なくとも一部と第2の繊維層の少なくとも一部との間に配置された複数のナノファイバをさらに含む。
【0008】
前述の一般的説明および以下の詳細な説明の両方は例示的および説明的なものに過ぎず、特許を受けようとする本発明を限定しないことを理解されたい。参照によりここに組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を説明しており、詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0009】
ここで、本発明の理解を助けるために、添付の図面を参照する。ここでは、同様の参照符号は同様の要素を指している。図面は例示的なものに過ぎず、本発明を限定するものと解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、ナノファイバの層が裏地材料の下流層によって補強されている濾過構造体の斜視図である。
【図2】図2は、本発明のある実施形態による多層流体透過性構造体の斜視図である。
【図3】図3は、本発明のある実施形態による多層流体透過性構造体の斜視図である。
【図4】図4は、本発明のある実施形態による多層流体透過性構造体の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の種々の実施形態に認められうるマイクロファイバおよびナノファイバの相対的な大きさおよび位置を示すSEM顕微鏡写真である。
【図6】図6は、本発明の種々の実施形態に認められうるマイクロファイバおよびナノファイバの相対的な大きさおよび位置を示すSEM顕微鏡写真である。
【図7】図7は、本発明のある実施形態による多層流体透過性構造体の斜視図である。
【0011】
発明の詳細な説明
ここで、その例が添付の図面に示された本発明の実施形態を詳細に参照する。
【0012】
本発明は、高効率濾過用途のために使用できる多層結合繊維構造体を提供する。これらの構造体は、許容されない圧力低下を招くことなしに濾過効率を向上させるために、ナノファイバを利用する。
【0013】
ここで使用する限りにおいて、用語「ナノファイバ」は、1ミクロン(1000ナノメートル)以下の径を有するあらゆる繊維を指す。当業者に周知されている静電紡糸技術を利用することによって、500ナノメートル未満の径を有するナノファイバを製造できる。
【0014】
ナノファイバを濾材として利用してフィルタを構成する場合、濾過効率と圧力低下との比にプラスの影響を与えることができる。たとえば、類似した大きさの粒子を有する流体の濾過中に、一方の媒体が約100−500ナノメートルの繊維径を有するナノファイバから構成されており、他方がマイクロファイバ(この用語は、ここでは、1ミクロンないし100ミクロンの範囲にある径を有する繊維を指すのに使用される)から構成されている同様のポロシティの濾材を比較した場合、ナノファイバから構成されている媒体はより優れた濾過効率およびより低い圧力低下を有するであろう。
【0015】
しかしながら、ナノファイバは、それらの非常に小さな大きさのせいで限られた構造的保全性を有しており、その結果、引き裂き力および磨耗力を受ける。ナノファイバの層に支持材料を裏当てすることによって、この層に幾らかの機械的保全性を与えることができる。濾過用途では、このような支持材はそれ自体が多孔質材料であろう。たとえば、図1に示す濾過用途では、ナノファイバの層10が不織裏地材料20の下流の層によって補強されている。裏地20は濾過プロセス中に流体によってかかる圧力に対抗するのに役立つ。このタイプの構造体は典型的にひだ状であり、高性能ガス濾過用途、たとえばHEPAフィルタ、高性能真空クリーナー、高性能産業ガスフィルタなどでの使用の拡大が認められている。
【0016】
ナノファイバは、最も多くは静電紡糸技術によって作られ、典型的には、紙、フィルムおよび従来の繊維から作られる不織布のうちの1つ以上を含む裏地上に繊維を紡糸することによって作られる。たとえば、米国特許第6,743,273号(Chungら)は、このような構造体と濾材の構成におけるそれらの使用とを記載している。この特許および他の文献において説明されているように、当技術で知られているナノファイバ濾材は、好ましくは不織繊維構造体から構成された多孔質裏地上に敷かれたナノファイバの層またはウェブとして形成されることがあり、前記不織構造体は、10ないし100ミクロン程度、またはそれよりも大きな径を有する繊維から構成されうる。得られた濾材は、本質的に、不織材料が構造支持体として働き、ナノファイバ層が高効率濾材として働く二層構造体である。
【0017】
上に説明しかつ図1に図示した二層構造体は欠点を有すことがある。インクジェット濾過用途において、現在使用されている金属繊維フィルタは、典型的に裁断され、これは、ユーザーがインクジェットカートリッジを取り付ける、取り外すまたは交換する際に認められる擦れ、摩擦および他の力を使用時に受ける。金属繊維フィルタの代わりに図1に図示した二層構造体を用いることを意図する場合、裁断の行為およびこれらの用途で認められる摩擦または擦れの力は、露出したナノファイバ層(図1における10)にダメージを与えるかまたはそうでなくともこれに干渉することが予期されうる。裁断が可能であり、さらには敏感なナノファイバ成分を摩擦または擦れの力から保護するであろうフィルタを有することが望ましい。
【0018】
本発明は、ナノファイバ濾過特性を組み込みかつこれを利用する、自己支持性の複合結合繊維構造体を提供する。これらの構造体は、典型的にマイクロファイバから形成されている多孔質繊維層を提供する。これら外層は、対象(challenge)の流体がそれを通して構造体に入る入口表面と、対象の流体がそれを通して構造体から出て行く出口表面とを規定する。この構造体は、この構造体の内側に配置された複数のナノファイバをさらに含む。いくつかの実施形態では、これらのナノファイバは、第3の繊維層であって、これに結合して多層複合構造体を形成する2つの外層の間にある層を形成してもよい。他の実施形態では、外層は、結合界面の近くにある外層繊維の周りおよびこれらの間に配置されたナノファイバによって互いに結合されてもよい。
【0019】
ここで、本発明の実施形態を詳細に論じる。図2を参照すると、本発明のある実施形態による多層複合構造体100は、互いに結合した第1、第2および第3の繊維層110、120および130を有する。第1および第2の繊維層110、120は結合繊維構造体であり、対象表面112および出口表面122を規定している。第3の繊維層130は、ナノファイバのマトリックスである。典型的な濾過用途では、第1の層110は、耐磨耗性の対象側プレフィルタを提供しうるし、第3の層130は低い圧力低下の精密フィルタを提供しうるし、第2の層120は多孔質の構造裏地材料を提供しうる。
【0020】
第1および第2の繊維層110、120の結合繊維構造体は、熱可塑性繊維材料のウェブから形成されてもよく、これは、非常に分散しており、間隙をあけて離れた接点で互いに結合した連続繊維および/またはステープルファイバの相互接続ネットワークを含む。各々その全体が参照によりここに組み込まれている米国特許第5,607,766号、第5,620,641号、第5,633,082号、第6,103,181号、第6,330,883号および第6,840,692号(集合的に「結合繊維構造体特許」)に説明されているように、このような結合繊維構造体は、多種多様な繊維のタイプおよび製造方法を使用して形成できる。特に有用なものは、実質的に自己支持性の立体多孔質部材に形成されるマクロファイバまたはミクロファイバのウェブから作られる構造体である。これら構造体の分散した結合繊維は、非常に大きな表面積およびポロシティを提供できるこの構造体を貫通する曲がりくねった通路を規定し、種々の大きさおよび形状に形成されうる。繊維を形成するのに使用できるポリマー材料としては、限定されないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、およびポリアミド、ならびにこれらのコポリマーを挙げることができる。特定の材料としては、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびナイロンが挙げられる。
【0021】
第1および第2の繊維層110、120は、特に、不織マイクロファイバ材料を含んでもよく、これはカーディングされていてもよいし、エアレイドされていてもよいし、ウェットレイドされていてもよいし、メルトブローされてもよいし、または他の不織構造でもよい。繊維は、本質的に一成分でもよいしまたは多成分でもよく、不織構造体に強度を与えるために熱的または化学的手段によって互いに結合されていてもよい。特定の実施形態では、第1および第2の層の一方または両方が、芯鞘型二成分繊維を含む、カーディングされた通風接着不織構造体であってもよい。ここで使用する限りにおいて、用語「二成分繊維」は、繊維の不連続な断面領域に配置された異なる化学的性質の2種類のポリマーの使用を指す。他の形態の二成分繊維が考えられるが、より一般的な技術は2種類のポリマーの関係が「並列型」または「芯鞘型」の何れかであるものを製造する。たとえば、あるポリマーの芯と別のポリマーの被覆すなわち鞘とを含む二成分繊維が多くの用途にとって特に望ましい。なぜなら、芯材料は比較的安価で、繊維に嵩および強度を提供しうる一方、より高価なまたは堅牢性が低い鞘材料の比較的薄いコーティングは繊維に独特な性質を提供しうるからである。また、鞘材料は、多くの場合、より構造的に堅牢な芯材料と比べた場合のそれらの相対的結合性に基づいて選択される。
【0022】
本発明の構造体で使用されうる例示的な二成分繊維は、ポリエチレン鞘材料とポリプロピレン芯材料とを有するそれである。他の鞘および芯ポリマーが使用されてもよいし、これらは当業者に周知されているであろう。幾つかの実施形態では、第1および第2の層110、120は、二成分繊維のメルトブローウェブとして形成されてもよく、これらはカレンダーがけされていてもよいし、カレンダーがけされていなくてもよい。織布、連接フィルム(articulated film)および他の多孔質媒体も用いることができるであろう。
【0023】
第1および第2の層110、120の具体的な繊維材料は、容易な裁断、超音波または熱結合を可能とするようにおよび/または比較的大きなポロシティおよび孔径を提供するように選択されうる。構成材料は、好ましくは、濾過される特定の流体に対して化学的および機械的耐性を有する。論じるように、第1の層110の材料および構造特性は、第2の層120のそれとは異なってもよく、両方の特徴は特定の用途に合わせて調整されうる。
【0024】
第3の繊維層130は、ナノファイバのウェブまたはマトリックスであり、これに第1および第2の繊維層が結合している。これらのナノファイバは、当技術において知られている任意の方法を使用して製造できるが、典型的には静電紡糸またはメルトブローであろう。このようなナノファイバは50ないし500nmの範囲内の径を有しうる。特定の実施形態では、ナノファイバは径が100ないし400nmの範囲内にあり、および特に有効な実施形態では、150ないし250nmの範囲内にある。ナノファイバウェブは孔径が、構造体100の製造中に測定した場合、0.1ないし15ミクロンの範囲内にありうるし、より好ましくは1ないし6ミクロンの範囲内にありうる。ウェブのナノファイバは任意の好適な材料、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、または他の高分子系から形成できる。第3の層130の材料は、好ましくは、濾過される特定の流体に対する化学的および機械的耐性を有する。
【0025】
第3の層130の厚さは、典型的に、50−5000nmの範囲内にあるであろう。特定の実施形態では、厚さは150−1500nmの範囲内にあるであろう。
【0026】
ある特定の実施形態では、複合構造体100の第3の層130は、径が150−250nmの範囲内にあり、1ないし6ミクロンの範囲内の孔径を提供するPVDFナノファイバのウェブでもよい。
【0027】
上に説明したタイプの多層繊維構造体は、ナノファイバ層がマクロファイバ層のミクロファイバによって取り囲まれるのであれば、三層にも任意の他の特定の数の層にも限定されない。図3を参照すると、たとえば、本発明のある実施形態による複合構造体200は、3つの非ナノファイバ層210、220、240を有しており、これらが2つのナノファイバ層230、250を支持している。支持層210、220、240は、図2に示した構造体100の外側の繊維層110、120について上に説明したような任意の形態の結合繊維材料でもよい。支持層210、220、240のうち1つ、その一部またはその全てが結合不織繊維材料でもよい。支持層210、220、240は、同種または異種の繊維材料を使用してもよい、および/または、同種または異種の構造特性および流体流れ特性を有してもよい。
【0028】
ナノファイバ層230、250は、各々、支持層210、220、240が結合するナノファイバのウェブまたはマトリックスでありうる。ナノファイバは、それら自体、当技術において知られている任意の方法を使用して製造できるが、典型的には静電紡糸またはメルトブローであろう。それらの大きさ材料および他の特性は、図2に示した構造体100のナノファイバ層130に関連して上に説明したそれと実質的に同じでもよい。
【0029】
本発明の多層構造体で使用されうる層の数に制限はない。特定の用途において、これらの層の特性は、フィルタ内に所望される効率プロファイルを提供するように規定されうる。たとえば、特定の構造体は、この構造体を通る流れ方向におけるナノファイバ層の濾過効率が向上するように構成されうる。また、多層構造体は、間にナノファイバ層を持たない隣接する非ナノファイバ層をさらに含んでもよい。
【0030】
凝集した自己支持性の構造体を提供するために、上に説明した多層繊維構造体は、支持(すなわち、非ナノファイバ)層が典型的には熱的接着によってナノファイバ層に結合されることを必要とする。しかしながら、材料に依存するが、支持層をナノファイバ層に構造的に結合させることが困難または実施不可能な場合がある。さらに、ナノファイバ層の構造的保全性の欠如自体が、複合構造体全体の保全性を著しく下げることがある。
【0031】
これらの潜在的な欠点に対処するために、本発明のもう1つの実施形態は、他の層を結合させなければならない不連続なナノファイバ層の使用を必要とすることなくナノファイバ濾過特性を組み込んでこれを利用する、自己支持性の多層結合繊維構造体を提供する。図4を参照すると、本発明のある実施形態による多層複合構造体300は、第1の繊維層310を有し、これが第2の繊維層320に結合している。以下により詳細に論じるが、複合構造体300は、第1および第2の層310、320が互いに結合している領域315に、第1および第2の層310、320の繊維の間に散在した複数のナノファイバをさらに含む。
【0032】
第1および第2の繊維層310、320は、種々の多孔質材料、たとえば織られたポリマー材料、不織ポリマー材料および焼結ポリマー材料から形成できる。前の実施形態と同様に、第1および第2の繊維層310、320は、非常に分散しており、間隙をあけて離れた接点で互いに結合した連続繊維および/またはステープルファイバの相互接続ネットワークを含む、熱可塑性繊維材料のウェブから形成されてもよい。特に有用なのは、実質的に自己支持性の立体多孔質部材に形成されるマクロファイバまたはマイクロファイバのウェブから作られる構造である。これら構造体の分散した結合繊維は、非常に大きな表面積およびポロシティを提供できるこの構造体を貫通する曲がりくねった通路を規定し、種々の大きさおよび形状に形成されうる。これらの構造体を形成するのに使用される繊維は、本質的に一成分でもよいしまたは多成分でもよく、この構造体に強度を与えるために熱的または化学的手段によって互いに結合されていてもよい。ステープルファイバおよび/または連続繊維が使用されうる。
【0033】
第1および第2の繊維層310、320は、各々、1よりも多くの繊維タイプから形成されてもよく、各タイプは繊維層に互いに異なる特性を与える。いくつかの実施形態では、たとえば、これら繊維の一部はそれらの結合特性に主に基づいて選択されうる。
【0034】
ある特定の実施形態では、第1および第2の層の一方または両方が、芯鞘型二成分繊維を含む、カーディングされた通風接着不織構造体であってもよい。本発明の構造体で使用されうる例示的な二成分繊維は、ポリエチレン鞘材料およびポリプロピレン芯材料を有するそれである。他の芯鞘型ポリマーを使用してもよいし、これらは当業者に周知されているであろう。いくつかの実施形態では、第1および第2の層310、320は、二成分繊維のメルトブローウェブとして形成されてもよく、これはカレンダーがけされてもよいしまたはカレンダーがけされなくてもよい。織布、連接フィルムおよび他の多孔質媒体も用いることができるであろう。
【0035】
前の実施形態と同様に、第1および第2の層310、320の具体的な繊維材料は、容易な裁断、超音波または熱結合を可能とするようにおよび/または比較的大きなポロシティおよび孔径を提供するように選択されうる。構成材料は、好ましくは、濾過される特定の流体に対する化学的および機械的耐性を有する。第1の層310の材料および構造特性は、第2の層320のそれとは異なってもよく、両方の特徴は特定の用途に合わせて調整されうる。
【0036】
上で説明したタイプの繊維構造体を、一方の繊維構造体の繊維を他方の繊維構造体の繊維に結合させるように互いに結合させてもよいことは、当業者によって理解されるであろう。これは、構造体の表面を加熱して、各層の繊維が他方の層の繊維に結合するようにそれらを互いにプレスすることによって一般的に達成される。これは多孔質界面領域をもたらし、これは両方の構造体の繊維を含み、一方の構造体の曲がりくねった通路を他方の構造体のそれに繋いで、流体を一方から他方へ通すことを可能にする。
【0037】
多層構造体300では、第1の繊維層310が界面領域315において第2の繊維層320に結合している。複数のナノファイバが多層構造内のこの界面領域315に配置されている。これら複数のナノファイバは、これらナノファイバの一部または全てが、第1の層310の繊維、第2の層320の繊維間、または第1および第2の繊維層310、320の両方の繊維間の間隙の中に位置するように配置されている。ナノファイバの少なくとも一部は界面領域315自体の中に配置されている。
【0038】
図5および図6は、構造体300に類似した多層構造体の製造中に撮った顕微鏡写真である。これらの顕微鏡写真は最終的な多層構造体を示してはいないが、支持層のマイクロファイバに対するナノファイバの大きさおよび位置を示すのに役立つ。
【0039】
前の実施形態と同様に、多層構造体300は、対象の流体が流れうる3つの異なる領域を提供する。第1の領域は第1の繊維層310の流れ特性によって規定され、第2の領域はナノファイバが中に配置された界面領域315の流れ特性によって規定され、第3の領域は第2の層320の流れ特性によって規定される。しかしながら、前の実施形態とは異なり、第1および第2の層310、320は、ナノファイバを含有する界面領域315を通して互いに直接結合しており、それにより、堅牢な自己支持性の構造体を提供している。
【0040】
結合繊維層内にナノファイバが埋め込まれている多層構造体は、図4の構造体300の2つの支持層に限定されない。任意の数の支持層を使用でき、ナノファイバを何れか2つの支持層間の界面に配置させてもよい。図7を参照すると、たとえば、本発明の実施形態による複合構造体400は、第1の非ナノファイバ層410を有しており、これが第1の界面領域415において第2の非ナノファイバ層420に結合している。第2の層420は、次に、界面領域425において第3の非ナノファイバ層430に結合している。第1、第2および第3の層410、420、430は、図2に示した構造体100の外側繊維層110、120または図4に示した構造体300の支持層310、320に関して上に説明したのと同様に、任意の形態の繊維材料でありうる。支持層410、420、430のうちの1つ、一部または全てが結合不織繊維材料であってもよい。支持層410、420、430は同種または異種の繊維材料を使用してもよいおよび/または同一または異なる構造的および流体流れ特性を有してもよい。
【0041】
第1の複数のナノファイバは多層構造体内の第1の界面領域415に配置されており、第2の複数のナノファイバはこの構造体内の第2の界面領域425に配置されている。第1の複数のナノファイバは、これらナノファイバの一部または全てが第1の層410の繊維間、第2の層420の繊維間、または第1および第2の繊維層410、420の両方の繊維間の間隙の中に位置するように配置されている。ナノファイバの少なくとも一部は界面領域415自体の中に配置されている。第2の複数のナノファイバは、同様に、第2および第3の層420、430の繊維に関連して、第2の界面領域425に配置されている。これらナノファイバ自体は、当技術において知られているあらゆる方法を使用して製造できるが、典型的には静電紡糸またはメルトブローであろう。それらの大きさ、材料および他の特徴は前の実施形態に関して上に説明したそれと実質的に同じでもよい。この2つの群のナノファイバは材料、大きさおよび流れ特性が異なっていてもよい。
【0042】
また、このタイプの多層構造体で使用できる層の数に制限はない。特定の用途では、これらの層の特徴は、所望の効率プロファイルをフィルタ内に提供するように規定されうる。たとえば、ナノファイバ層が構造体を通る流れ方向での濾過効率を高めるような特定の構造が構成されてもよい。この多層構造体は、間にナノファイバ層を持たない隣接した複数の非ナノファイバ層をさらに含んでもよい。
【0043】
本発明の多層構造体は、いくつかの製造手法のうちの何れかを使用して形成されうる。それぞれの非ナノファイバ層は、結合繊維構造体特許で説明されている技術のうちの何れかを使用して、または当技術で知られている任意の他の方法によって別々に製造できる。これらの層を、その後、本発明の多層積層体の形成での使用のために供給できる。
【0044】
本発明の多層繊維構造体を形成する例示的な方法は、多層複合構造体のための多孔質基層として働く第1(非ナノファイバ)の繊維材料を準備することを含む。静電紡糸またはメルトブローによって形成されたナノファイバウェブをこの基層上に載せる。このナノファイバウェブを任意に熱間圧延してこのウェブを基層により十分に接着させてもよい。次に、カバー層として働く第2(非ナノファイバ)の繊維材料をナノファイバウェブの上に敷く。これらの合わせた層を基層として処理しかつナノファイバおよびカバー層の工程を繰り返すことによって、追加の層を追加してもよい。
【0045】
基層上に直接載せる代わりに、ナノファイバウェブを裏地紙上に紡糸してもよいしもしくはメルトブローしてもよいし、または後者の除去および取替えのための他の使い捨て基材を基層上に載せてもよい。
【0046】
次に、この積層材料を、加熱カレンダーロールなどの加熱成形デバイスを通してプレスする。このロールは、3つの層を永続的に互いに結合させて、濾過要素として使用できる単一の構造体を作るのに十分な温度まで加熱する。あるいは、これらの材料を加熱成形型に通してプレスしてもよい。加熱成形型は、材料を加熱するために水蒸気または温風を使用してもよいし、カレンダーロール上で作ることができるより低い密度とより大きな厚さを有する構造体を形成するのに使用できる。また、加熱ダイは、構造体を所望の形状にするのにも使用できる。加熱ダイおよびカレンダーロールのどちらの方法においても、熱および圧力をかけて、各非ナノファイバ層の繊維を、ウェブのナノファイバおよび/または1つ以上の他の非ナノファイバ層の繊維に結合させる。
【0047】
上に説明した方法は、不連続なナノファイバ層を有し、これに外層が結合されている多層構造体、または結合した外層間の界面領域に分散したナノファイバによって外層が互いに結合されている多層構造体を製造するのに使用できる。前者は一般に比較的厚いまたは緻密なナノファイバウェブ(たとえば、95%を超える独立型のDOP効率を有するウェブ)を使用して製造され、後者は、外層の繊維間の間隙に容易に押し込まれて基層の繊維とカバー層の繊維との結合を可能にする、比較的薄く、分散したウェブ(たとえば50%未満の独立型DOP効率を有するウェブ)を使用して製造される。ここで使用する限りにおいて、「DOP効率」は、フィルタによって遮断される0.3ミクロンのジオクチルフタレート(DOP)粒子の百分率を指す。DOP濾過試験は、デプスフィルタ、メンブランフィルタまたは他の粒子捕集デバイスの効率を評価するために、0.3ミクロン径のDOP粒子の単分散粒子を使用する。最も透過する(すなわち濾過するのが最も困難な)粒子の大きさに近いので、0,3ミクロンを使用する。
【0048】

静電紡糸したPVDFナノファイバのウェブを、4dtexの芯鞘型二成分マイクロファイバから形成したカーディングした通風乾燥結合不織材料の裏地上に紡糸した。鞘ポリマーは低密度ポリエチレンであり、芯ポリマーはポリプロピレンであった。不織材料(「アルファ」と呼ぶ)の基本重量は平方メートル当たり75グラムであった。ナノファイバは180ないし200nmの範囲内の径を有していた。試料を、1.5μmのポリシティを有するウェブと5.5μmのポリシティを有するウェブとの2つのナノファイバウェブポロシティを使用して構成した。これら構造体の各々の上に、第2の不織ウェブアルファを載せた。次に、これらの材料を加熱カレンダーロールを通してプレスし、どちらの場合においても十分に結合した多孔質構造体が得られた。
【0049】
1.5および5.5μmのポロシティの構造体に対して濾過試験を行った。参照の構造体も試験した。この参照の構造体は、メルトブローした二成分マイクロファイバから構成されており、この繊維は、ポリプロピレンの芯とナイロン/ポリエチレングリコールコポリマーの鞘とを有し、15−20μmの繊維径と0.8μmのポロシティとを有していた。
【0050】
2つの濾過試験を行った:第1は「ISO 4022 (1987年)による清浄空気透過性」であり、積層体を試験チャンバ内に入れ、空気をcm2当たり毎分3リットルの流量で9.44cm2の試験面積に通した。mm水の単位での圧力差を記録した。結果を表1に示す。
【表1】

【0051】
第2の試験は、「ASTM F795-88による初期保持効率(Initial Retention Efficiency)」という題の擬似インク粒子除去試験であった。試験した流体は、粘度が2cpsであるグリセリンおよび水の溶液であった。110±10mm水の圧力差での流量を測定した。汚染物質は、3−4、4−5、5−8、8−10、および>10ミクロンの寸法の粒子を有する、PTF微細試験粉塵12013-1 A2であった。積層シートを切り出して90mmの径のディスクにし、これらを試験用取り付け具に入れて試験した。結果を表2に示す。
【表2】

【0052】
表1および表2のデータから、ナノファイバ材料を含有した積層体は、試験したどちらのナノファイバ積層体よりも低い多孔率を有する標準的な不織布シートよりも、著しく優れた濾過効率、低い圧力低下、向上した流れ特性を有することが分かる。
【0053】
もう1つの例では、静電紡糸したPVDFナノファイバのウェブを、75gsmの基本重量で40mmの平均長さおよび4dpfのデニールを有したステープルファイバから形成されたカーディングした通風乾燥結合不織材料上に紡糸した。このステープルファイバは、低密度ポリエチレン(LDPE)の鞘とポリプロピレンの芯とを有する二成分繊維であった。ナノファイバ層を、第1のそれと実質的に類似した第2の不織層で覆った。次に、これら材料を加熱カレンダーロールに通してプレスし、最終的な結合繊維構造体を形成した。
【0054】
6つの異なるナノファイバ層寮基本重量を使用して試料を形成した。これらのうち4つ(表3において基本重量1−4として確認される)を使用して、ナノファイバ層を互いに結合させた構造体を製造し、2つ(表3において基本重量5および6として確認される)を使用して、非ナノファイバ層がナノファイバ層によって隔てられた構造体を製造した。全ての場合において、ナノファイバは、径が180ないし200nmの範囲内にあった。DOP濾過効率および空気透過性試験を全てのサンプルについて行い、種々のナノファイバ量を使用して相対的な性能を評価した。結果を表3に示す。
【表3】

【0055】
当業者には、本発明の範囲または精神から逸れることなく、本発明の方法、製造、構成、および/または使用の種々の修正および変更を行うことができることが明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層流体透過性構造体であって:
間隙をあけて離れた接点で互いに結合した第1の複数のポリマー繊維を含む第1の繊維層であって、前記ポリマー繊維は、1ミクロンよりも大きな径を有し、前記第1の繊維層を貫通する曲がりくねった流体流路を提供する第1の複数の相互接続した間隙空間を全体として規定する第1の繊維層と;
前記第1の繊維層に接着した第2の繊維層であって、前記第2の繊維層は、間隙をあけて離れた接点で互いに結合した第2の複数のポリマー繊維を含み、前記ポリマー繊維は、1ミクロンよりも大きな径を有し、前記第2の繊維層を貫通する曲がりくねった流体流路を提供する第2の複数の相互接続した間隙空間を全体として規定する第2の繊維層と;
前記第1の繊維層の少なくとも一部と前記第2の繊維層の少なくとも一部との間に配置された複数のナノファイバと
を含む多層流体透過性構造体。
【請求項2】
前記複数のナノファイバは、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含んだナノファイバを含む請求項1に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項3】
前記第1および第2の複数のポリマー繊維からなる群のうちの少なくとも1つは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびナイロンからなる群から選択される材料のうちの1種以上を含んだ繊維を含む請求項1に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項4】
前記第1および第2の繊維層は、各々、織られたポリマー材料および不織ポリマー材料からなる群のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項5】
前記第1および第2の繊維層からなる群のうちの少なくとも1つは、複数の芯鞘型二成分繊維を含む結合不織繊維構造体である請求項1に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項6】
前記第1の繊維層は第1のポロシティを有し、前記第2の繊維層は前記第1のポロシティと異なる第2のポロシティを有する請求項1に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項7】
前記第2の繊維層は、前記複数のナノファイバから形成されたナノファイバウェブを含んだ中間繊維層によって前記第1の繊維層に接着されており、前記中間繊維層は前記第1および第2の繊維層の間に配置されかつこれらに結合している請求項1に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項8】
前記複数のナノファイバは前記中間繊維層を貫通する曲がりくねった流路を全体として規定し、前記曲がりくねった流路は約1ミクロンないし約6ミクロンの範囲内にある孔径を生じさせている請求項7に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項9】
前記第2の繊維層が前記第1の繊維層に直接結合している請求項1に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項10】
前記第2の複数のポリマー繊維の少なくとも一部が前記第1の複数のポリマーマイクロファイバの少なくとも一部に結合して、前記第1および第2の繊維層の両方の繊維を含む界面領域を形成しており、前記複数のナノファイバの一部または全てが前記界面領域内の前記第1および第2の間隙空間内に配置されている請求項9に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項11】
前記界面領域内の前記第1および第2の間隙空間内に配置された前記ナノファイバは、約1ミクロンないし約6ミクロンの範囲内にある孔径を生じさせる曲がりくねった流路を全体として規定する請求項10に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項12】
前記第2の複数のポリマー繊維の少なくとも一部が、前記第1の複数のポリマーマイクロファイバの少なくとも一部に結合して、前記第1および第2の繊維層の両方の繊維を含む界面領域を形成しており、前記複数のナノファイバの第1の部分が前記界面領域内の前記第1および第2の間隙空間内に配置されており、前記複数のナノファイバの第2の部分が前記界面領域に隣接する前記第1および第2の間隙空間内に配置されている請求項9に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項13】
前記第2の繊維層に接着した第3の繊維層であって、前記第3の繊維層は、間隙をあけて離れた接点で互いに結合した第3の複数のポリマー繊維を含み、前記ポリマー繊維は、1ミクロンよりも大きな径を有し、前記第3の繊維層を貫通する曲がりくねった流体流路を提供する第3の複数の相互接続した間隙空間を全体として規定する第3の繊維層と;
前記第3の繊維層の少なくとも一部と前記第2の繊維層の少なくとも一部との間に配置された第2の複数のナノファイバと
をさらに含む請求項1に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項14】
多層流体透過性構造体の製造方法であって:
1ミクロンよりも大きな径を有する第1の複数のポリマー繊維を含む第1の繊維層を準備することと;
ナノファイバのウェブを前記第1の繊維層上に配置することと;
1ミクロンよりも大きな径を有する第2の複数のポリマー繊維を含む第2の繊維層を前記ナノファイバのウェブ上に設置することと;
熱および圧力をかけて、前記第2の繊維層を前記第1の繊維層に接着させることと
を含む方法。
【請求項15】
前記第2の繊維層を前記ナノファイバのウェブ上に設置する前に、前記ナノファイバのウェブを前記第1の繊維層上に接着させること
をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
熱および圧力をかける行為は、以下からなる群のうちの1つを含む請求項14に記載の方法:
加熱カレンダーロールを使用して、第1の繊維層、ナノファイバのウェブおよび第2の繊維層の集合体をカレンダーがけすること、および
第1の繊維層、ナノファイバのウェブおよび第2の繊維層の集合体を加熱ダイに通すこと。
【請求項17】
ナノファイバのウェブを前記第1の繊維層上に配置する行為は
静電紡糸プロセスおよびメルトブロープロセスからなる群のうちの1つによってナノファイバを形成することと;
前記ナノファイバのウェブを、それらを形成した直後に、それらを前記第1の繊維層上に置くことによって形成することと
を含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
熱および圧力をかける行為は、前記第2の繊維層の少なくとも一部が前記第1の繊維層の少なくとも一部に直接結合することをもたらす請求項14に記載の方法。
【請求項19】
熱および圧力をかける行為は、前記第1および第2の繊維層が前記ナノファイバのウェブに結合することをもたらす請求項14に記載の方法。
【請求項20】
第2のナノファイバのウェブを前記第1の繊維層上に配置することと;
1ミクロンよりも大きな径を有する第3の複数のポリマー繊維を含む第3の繊維層を前記第2のナノファイバのウェブ上に設置することと
をさらに含み、熱および圧力をかける行為は、前記第3の繊維層を前記第2の繊維層に接着させるのに役立つ請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記ナノファイバの少なくとも一部は、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種のポリマー材料を含む請求項14に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項22】
前記第1および第2の複数のポリマー繊維からなる群のうちの少なくとも1つは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびナイロンからなる群から選択される材料のうちの1種以上を含んだ繊維を含む請求項14に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項23】
前記第1および第2の繊維層は、各々、織られたポリマー材料および不織ポリマー材料からなる群のうちの少なくとも1つを含む請求項14に記載の多層流体透過性構造体。
【請求項24】
前記第1および第2の繊維層からなる群のうちの少なくとも1つは、複数の芯鞘型二成分繊維を含んだ結合不織繊維構造体である請求項1に記載の多層流体透過性構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−517898(P2012−517898A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551168(P2011−551168)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/024347
【国際公開番号】WO2010/096398
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511201015)フィルトロナ・ポーラス・テクノロジーズ・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】