説明

ナノファイバーを用いた導電性ポリマー接着剤及びその製造方法

【課題】本発明は、ナノファイバーを用いた導電性ポリマー接着剤及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、電子部品の電気接続部同士の選択的な通電のための電子部品パッケージ用の導電性接着剤であって、不規則に形成された網構造の非導電性のポリマーナノファイバー構造体が一つまたは二つ以上の接着層に含まれており、隣り合う前記ナノファイバー構造体によって規定されている空間に一つ以上の導電性粒子が分布されている部分が含まれている電子部品パッケージ用接着剤について開示している。このような接着剤は、ポリマー樹脂の流れ及び導電性粒子の流れを抑制することにより、電子部品の表面に微細凹凸や屈曲が形成された電子部品同士をパッケージングする際にも微細空隙が効果的に充填され、ポリマー樹脂内の導電性粒子の自由な流れを防止し、ポリマー樹脂と網構造のポリマーナノファイバー構造体の複合構造を有することにより、機械的強度に優れ、少量の導電性粒子により選択的な通電が行われ、ショートを防止するという長所を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の電気接続部同士の選択的な通電のための電子部品パッケージ用の導電性接着剤に関し、より具体的には、電子部品同士を接着する際にポリマー樹脂内の導電性粒子の流れを効果的に抑制し、電極間の電気的絶縁及び熱−機械的特性に優れたナノファイバーを用いた導電性ポリマー接着剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子素子または部品をパッケージングする際に使用される接着剤は、その使用形態に応じてフィルム型とペースト型とに分けられ、導電性粒子を含むか否かによって導電性、異方導電性、非導電性に分けられる。通常、異方導電性フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)、異方導電性ペースト(ACP;Anisotropic Conductive Paste)、非導電性フィルム(NCF;Non−Conductive Film)、及び非導電性ペースト(NCP;Non−Conductive Paste)に分けられる。
【0003】
フィルム型の接着剤(ACF、NCF)とペースト型の接着剤(ACP、NCP)は、その形態と組成に応じて大きく相違する。ACFは、フィルム型にコーティングできるように、組成物中にコーティング性を促進する有機溶媒が含まれており、フィルム型にコーティングされた後、有機溶媒を乾燥してから製品化される。ACPは、フィルムとは異なり、ディスペンシングなどのような方法により基板上に直接塗布してフリップチップのような電子素子をパッケージングするため、内部の気泡生成を防ぐために有機溶媒を含まない。また、ACPは、シリンジ(syringe)にペースト型に入れて製品化される。
【0004】
フィルム型の接着剤(ACF、NCF)は、ポリマー樹脂の熱硬化により電子部品同士を機械的に接続するために絶縁性ポリマー樹脂を用いる。ACFは、機械的接続とともに、電子部品の電極間の選択的な電気的接続を同時に行うために、ポリマー樹脂中に分散している導電性粒子をさらに含む。
【0005】
ポリマー樹脂としては、エポキシ、ポリイミド、シリコン、アクリル、ポリエステルまたはポリスルホン樹脂が使用され、導電性粒子としては、通常、銀、金、銅、ニッケル、炭素、金属がコーティング(coating)されたポリマー、固有導電性ポリマー(intrinsically conductive polymer)などの微細粒子が使用され、使用分野によって導電性粒子の種類が相違し、熱膨張係数を低下するために、非導電性粒子が含まれる場合もある。
【0006】
特に、ACFを用いた電子部品同士の接続方法は、既存のはんだ工程の代わりに鉛フリー(lead free)工程を用いる方法であって、きれいで工程自体が簡単であり、環境にやさしく、製品に瞬間的に高温を加える必要のない(低温工程)熱的により安定した工程である。また、ガラス基板やポリエステルフレックスのような安価の基板を使用することにより工程コストを下げることができ、微細な導電性粒子を使用して電気的接続が行われるため、超微細電極ピッチ(pitch)を具現することができるという長所がある。
【0007】
このような長所により、フィルム型の接着剤(ACF、NCF)は、スマートカード、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Organic Light Emitting Diodes)などのディスプレイのパッケージング(display packaging)、コンピュータ、携帯電話、通信システムなどのパッケージングにその活用範囲が拡大されている。
【0008】
パッケージング用のフィルム型接着剤(ACF、NCF)を用いて電子部品同士をパッケージングする際に、接着剤の粘度(viscosity)及び接着工程中の接着剤の流れ(adhesive flow)は技術的に大きな重要性を有している。
【0009】
例えば、電気配線(Cu trace)、金属バンプなどの構造体を有している一つの部品と他の部品とを接着剤を用いて接着する場合、接着剤の粘度が低すぎると、接着の際に電気配線間の窪みや通路を介して接着剤が外部に急速に流出されるため、二つの部品間の空間全体を完全に充填することができず、空隙(void)や気泡(bubble)を形成する恐れがある。その反面、接着剤の粘度が高すぎると、部品の表面に存在する微細凹凸を完全に充填することができず、部分的に接着されない領域が生じる恐れがある。従って、接着の際に接着剤の流れは非常に重要な要素であり、接着剤の熱−機械的特性を向上させるとともにポリマー樹脂(resin)の流動性を制御する必要がある。
【0010】
さらに、ACFの場合、このような熱圧着の際に熱硬化性ポリマー樹脂の流れによって導電性粒子の移動が発生し、これにより、オープン(open)を防止するために、大量の導電性粒子を使用しなければならないという限界がある。また、ショート(short)を防止するために、非導電性物質を用いて外部を包むコアシェル構造の導電性粒子または導電性粒子とともに非導電性粒子を混合して使用しなければならないという限界がある。
【0011】
超微細ピッチ接続に対する要求が高まるにつれて、安定した選択的な通電を可能にするとともに、不要な電極同士の通電を防止する技術に対する重要性がさらに高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、超微細ピッチでも必要な電極同士の選択的な通電が安定して行われ、不要な電極同士の通電が防止されるようにする接着剤を提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、電子部品の表面に微細凹凸や屈曲が形成された電子部品をパッケージングする際にも微細空隙を効果的に充填し、ポリマー樹脂の内部にある導電性粒子の流れを抑制して電気的絶縁性を改善する導電性接着剤を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的は、接着剤の接着性能を害することなく、機械的強度に優れ、少量の導電性粒子でも選択的な通電を可能にする接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するための本発明の一側面は、電子部品の電気接続部同士の選択的な通電のための電子部品パッケージ用の導電性接着剤であって、不規則に形成された網構造の非導電性のポリマーナノファイバー構造体が一つまたは二つ以上の接着層に含まれている電子部品パッケージ用接着剤を提供する。
【0016】
本発明の他の側面による電子部品パッケージ用接着剤は、隣り合う前記ナノファイバー構造体によって規定されている空間に一つ以上の導電性粒子が分布されている部分を含むか、前記ナノファイバー構造体に一つ以上の導電性粒子を含む。このように構成された本発明による電子部品パッケージ用接着剤に含有されている導電性粒子は、前記ナノファイバー構造体によってその流れが制限されて、電子部品に選択的な通電性が与えられる。
【0017】
また、本発明の他の側面による接着剤における前記接着層は、異方導電性フィルム(ACFs)、非導電性フィルム(NCFs)、またはこれらを組み合わせて形成された複合積層型フィルムを含んでもよい。
【0018】
また、本発明のまた他の側面は、(a)非導電性ポリマー溶液を電界紡糸(electro−spining)することにより、金属箔、例えばアルミニウム箔(foil)に非導電性のポリマーナノファイバーが物理的に絡み合って形成されたポリマーナノファイバー構造体を形成する段階と、(b)接着剤フィルム(adhesive film)と異形フィルム(releasing film)が積層された積層フィルムに前記金属箔上に形成されたポリマーナノファイバー構造体を積層し、熱と圧力を加えて、ポリマーナノファイバー構造体を前記接着剤フィルムの内部に挿入する段階と、(c)前記金属箔を物理的に除去する段階と、を含むことを特徴とする電子パッケージ用接着剤の製造方法を提供する。
【0019】
また、本発明のまた他の側面は、(a)第1接着剤フィルムと第1異形フィルムが積層された第1積層フィルムの第1異形フィルムの背面に、非導電性ポリマー溶液を電界紡糸(electro−spining)することにより非導電性のポリマーナノファイバーが物理的に絡み合って形成された非導電性のポリマーナノファイバー構造体を積層する段階と、(b)前記ナノファイバー構造体と前記第2接着剤フィルムとが接するように前記ナノファイバー構造体の上部に、前記第2接着剤フィルムと第2異形フィルムが積層された第2積層フィルムを積層する段階と、(c)前記第1積層フィルム、前記ナノファイバー構造体、及び前記第2積層フィルムの積層体に熱と圧力を加えて、前記ナノファイバー構造体を第1接着剤フィルムと第2接着剤フィルムの内部に挿入する段階と、を含むことを特徴とする電子パッケージ用接着剤の製造方法を提供する。
【0020】
本発明のまた他の側面において、網構造のポリマーナノファイバー構造体を前記接着剤フィルムに挿入するために印加される熱は、30〜150℃の範囲が好ましく、圧力は、0.5〜20MPaの範囲が好ましく、その適用時間は約1〜60秒が好ましい。
【0021】
本発明のまた他の側面において、前記接着剤フィルムのうち何れか一つ以上または全ては導電性粒子を含む。
【0022】
本発明において、網構造のポリマーナノファイバー構造体は、様々な形態を有するが、シート(sheet)型が作業上有利である。網構造のポリマーナノファイバー構造体を形成するポリマーナノファイバーの直径は、10〜5000nmの範囲が好適であり、シートの見かけ体積当たりの重量は10−6〜10−1g/cmであることが有利である。
【0023】
本発明において、電界紡糸(electro−spinning)に使用される非導電性ポリマー溶液は、有機溶媒に、ポリオレフィン(polyolefin)、ポリアミド(polyamide)、ポリエステル(polyester)、アラミド(aramide)、アクリル(acrylic)、ポリエチレンオキシド(PEO;polyethylene oxide)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephtalate)、ポリベンゾイミダゾール(PBI;polybenzimidazole)、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート(poly(2−hydroxyethyl methacrylate))、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリ(エーテルイミド)(poly(ether imide))、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SBS;styrene−butadiene−styrene triblock copolymer)及びポリ(フェロセニルジメチルシラン)(poly(ferrocenyldimethylsilane))で構成された群から選択される1種または2種以上の混合物が溶解された溶液であり、網構造の非導電性のポリマーナノファイバー構造体としては、ポリオレフィン(polyolefin)、ポリアミド(polyamide)、ポリエステル(polyester)、アラミド(aramide)、アクリル(acrylic)、ポリエチレンオキシド(PEO;polyethylene oxide)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephtalate)、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、ポリベンゾイミダゾール(PBI;polybenzimidazole)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリ(エーテルイミド)、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SBS;styrene−butadiene−styrene triblock copolymer)、ポリ(フェロセニルジメチルシラン)(poly(ferrocenyldimethylsilane))またはこれらの混合物が使用される。
【発明の効果】
【0024】
以上で言及したように、本発明による電子部品パッケージ用の導電性接着剤は、内部に不規則に形成された網構造のポリマーナノファイバー構造体が含まれており、隣り合うナノファイバーによって規定された空間に導電性粒子が分布されており、ポリマー樹脂の流れ及び導電性粒子の流れを抑制させることにより、電子部品の表面に微細凹凸や屈曲が形成された電子部品をパッケージングする際にも微細空隙が効果的に充填され、ポリマー樹脂内の導電性粒子の流れを防止させる。また、ポリマー樹脂と網構造のポリマーナノファイバー構造体の複合構造を有することにより、電極間の電気的絶縁性を維持するとともに機械的強度に優れ、少量の導電性粒子でも選択的な通電が行われ、ショートを防止させるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による接着剤を製造する際に使用される不規則に形成された網構造のナノファイバー構造体及び前記ナノファイバー構造体を構成するナノファイバーを示す図面である。
【図2】本発明による接着剤を製造する際に使用される網構造のナノファイバー構造体を製造する際に使用される装置の主部を概略的に示す図面である。
【図3】本発明により網構造のナノファイバー構造体を挿入対象のフィルムに挿入する過程を示す図面であって、ナノファイバー構造体を1枚のフィルム上に積層してから接着する過程を示す図面である。
【図4】本発明により網構造のナノファイバー構造体を挿入対象のフィルムに挿入する過程を示す図面であって、ナノファイバー構造体を2枚のフィルムの間に積層してから接着する過程を示す図面である。
【図5】本発明により網構造のナノファイバー構造体を挿入対象のフィルムに挿入する過程を示す図面であって、ナノファイバー構造体を導電性粒子が内部に分布されている1枚のフィルム(ACF)上に積層してから接着する過程を示す図面である。
【図6】本発明により網構造のナノファイバー構造体を挿入対象のフィルムに挿入する過程を示す図面であって、ナノファイバー構造体を導電性粒子が内部に分布されているフィルム(ACF)と内部に導電性粒子を有していないフィルム(NCF)との間に積層してから接着する過程を示す図面である。
【図7】本発明により網構造のナノファイバー構造体を挿入対象のフィルムに挿入する過程を示す図面であって、ナノファイバー構造体を導電性粒子がそれぞれの内部に分布されている2枚のフィルムの間に積層してから接着する過程を示す図面である。
【図8】導電性粒子が電極の間に凝集している形状を示す光学顕微鏡写真である。
【図9】(a)は、PS、(b)は、PANの走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】本発明による接着剤での絶縁抵抗の測定結果を示すグラフである。
【図11】NCFとACFとの間にPANナノファイバー構造体を接着した後、液体窒素に入れて急冷してから試片を切断して製造された断面の走査光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を添付の図面を参照してより詳細に説明する。本発明の明細書では主にACFとNCFの接着層を例示しているが、本発明による接着層は、前記ACFとNCFに限定されるものではなく、接着性を有するものであれば如何なる物質またはシートを含んでもよい。
【0027】
本発明は、電子部品の電気接続部同士の選択的な通電のための電子部品パッケージ用の導電性接着剤を提供する。本発明による接着剤は、不規則に形成された網構造の非導電性のポリマーナノファイバー構造体が一つまたは二つ以上の接着層または接着剤フィルムに含まれている構成を有する。
【0028】
また、本発明による電子部品パッケージ用接着剤は、隣り合う前記ナノファイバー構造体によって規定されている空間に一つ以上の導電性粒子が分布されている部分を含むか、前記ナノファイバー構造体に一つ以上の導電性粒子を含む。このように構成された本発明による電子部品パッケージ用接着剤に含有されている導電性粒子は、前記ナノファイバー構造体によってその流れが制限されて、電子部品に選択的な通電性が与えられる。
【0029】
本発明による接着剤の一部を構成する接着層は、異方導電性フィルム(ACFs)、非導電性フィルム(NCFs)、またはこれらを組み合わせて形成された複合積層型フィルムを含んでもよい。
【0030】
図1には、本発明で使用される網構造のポリマーナノファイバー構造体10、前記ナノファイバー構造体10を構成するナノファイバー11、及びナノファイバー構造体10が電界紡糸される金属箔20が図示されている。
【0031】
本発明による電子部品パッケージ用接着剤は、非導電性ポリマー溶液を電界紡糸(electro−spinning)することにより非導電性のポリマーナノファイバー11が物理的に絡み合って形成された網構造のポリマーナノファイバー構造体10を形成し、前記ナノファイバー構造体10を挿入対象の接着剤フィルムに積層した後、熱と圧力を加えて、前記ナノファイバー構造体10を前記接着剤フィルムに挿入することにより製造される。
【0032】
本発明で使用されるナノファイバー構造体10は、大体ナノメートルオーダの短軸直径を有し、非導電性を有する。このようなナノファイバー構造体10を構成するナノファイバー11は、非導電性ポリマーが溶解された溶液(非導電性ポリマー溶液)を電界紡糸することにより得られる。
【0033】
図2には、本発明で使用されるナノファイバー構造体10を製造するための構成が概略的に図示されている。
【0034】
図2を参照すると、非導電性ポリマー溶液をニードル(needle)が備えられたシリンジ(syringe)に注入した後、吐出される領域に電場(E−field)をかけるとともに、前記シリンジに圧力を加えてナノファイバー11を連続して形成し、電界紡糸により連続して製造される前記ナノファイバー11が自ら絡み合って前記ナノファイバー構造体10が形成される。
【0035】
前記非導電性のポリマーナノファイバー11の直径は、前記ニードルの直径、前記非導電性ポリマー溶液の粘度、印加される電場の大きさ、及びシリンジに加えられる吐出圧力に応じて制御される。
【0036】
前記非導電性ポリマー溶液を用いた電界紡糸を行う際に、金属箔20を用いて前記吐出口で電場が形成されるようにして、前記金属箔20に前記ナノファイバー構造体10を形成してもよい。
【0037】
前記網構造のポリマーナノファイバー構造体(ポリマーナノファイバー、電界紡糸に使用される非導電性ポリマー溶液の非導電性ポリマー)は、ポリオレフィン(polyolefin)、ポリアミド(polyamide)、ポリエステル(polyester)、アラミド(aramide)、アクリル(acrylic)、ポリエチレンオキシド(PEO;polyethylene oxide)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephtalate)、ポリベンゾイミダゾール(PBI;polybenzimidazole)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート(poly(2−hydroxyethyl methacrylate))、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリ(エーテルイミド)(poly(ether imide))、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SBS;styrene−butadiene−styrene triblock copolymer)、ポリ(フェロセニルジメチルシラン)(poly(ferrocenyldimethylsilane))またはこれらの混合物であることが好ましい。
【0038】
本発明の製造方法に使用される前記ナノファイバー構造体10は、シート(sheet)であることが好ましく、接着剤のポリマー樹脂及び接着剤に含有された粒子の流れに直接影響を与える前記ナノファイバー構造体10を構成するポリマーナノファイバー11の直径は10〜5000nmであることが好ましく、ポリマーナノファイバー構造体10の気孔率であるポリマーナノファイバー構造体10の見かけ体積当たりの重量は10−6〜10−1g/cmであることが好ましい。ここで、前記見かけ体積は、ポリマーナノファイバー構造体の幅、奥行き、及び高さを乗じた体積を意味し、好ましくは、図1のシートの幅、奥行き、及び高さを乗じた体積を意味する。
【0039】
前記ナノファイバー11の直径及び前記ナノファイバー構造体10の見かけ体積当たりの重量は、ポリマーナノファイバーが不規則に絡み合っている網構造により本発明による接着剤を用いた電子素子を接着する際に誘発されるポリマー樹脂の流れ及び粒子の流れを抑制する。また、本発明によると、接着剤内部にトラップされた気孔が形成されず、接着剤フィルムに均一に前記ナノファイバー構造体10が挿入される。
【0040】
前記ナノファイバー構造体10を構成するポリマーナノファイバー11の直径は10〜5000nmであることが好ましい。これは、前記ナノファイバー11の直径が大きすぎる場合、本発明による接着剤の接着性能が劣化して接着対象である電子素子または部品と接着剤との界面での強度が低下し、ポリマーナノファイバー11間の物理的な絡みにより生成される網構造の開口気孔が大きくなって、ポリマー樹脂及び粒子の流れを抑制する効果を得るのが難しいためである。また、前記ナノファイバー11の直径が小さすぎる場合、ポリマー樹脂の流れ及び粒子の流れは効果的に抑制されるが、接着対象である電子素子に存在する表面の微細凹凸をポリマー樹脂が効果的に充填(filling)できなくなり、電子素子と接着剤との界面に微細気孔が存在する恐れがあり、熱と圧力を用いてポリマーナノファイバー構造体10とシート型の接着剤フィルム31(図3参照)を接着するのが難しくなる。
【0041】
ポリマーナノファイバー構造体10の見かけ体積当たりの重量は10−6〜10−1g/cmであることが好ましく、これは、接着性能を有する所定粘度のポリマー樹脂とポリマーナノファイバー構造体10とを接着することにより、本発明により製造される電子素子パッケージング用接着剤の粘度を調節するためである。
【0042】
前記ナノファイバー構造体10の見かけ体積当たりの重量は、接着対象である電子素子に存在する表面の微細凹凸の有無、前記表面の微細凹凸の大きさ、接着剤フィルム31(図3参照)の導電性または非導電性粒子の存在有無等を考慮して適切に調節してもよい。しかし、本発明による接着剤の接着性能を劣化させず、接着剤と接着対象である電子素子との間に微細気孔を形成することなくポリマー樹脂の流れを効果的に抑制し、3〜5μmの大きさを有する導電粒子の流動を防止するために、ポリマーナノファイバー構造体10の見かけ体積当たりの重量は10−6〜10−1g/cmであることが好ましい。
【0043】
前記ナノファイバー構造体10の見かけ体積当たりの重量は、電界紡糸の際に印加される電場の大きさ、シリンジに加えられる射出圧力、射出量、シリンジまたはコレクタ(金属箔)の移動速度により調節することができるだけでなく、非導電性ポリマー溶液を電界紡糸してポリマーナノファイバーが絡み合って形成されたシートを製造した後、製造されたシートに圧力または熱と圧力を加えてポリマーナノファイバー構造体の見かけ体積当たりの重量を調節することができることは言うまでもない。
【0044】
前記ナノファイバー構造体10の厚さは、接着される前記接着剤フィルム31(図3参照)の厚さを考慮して調節されることが好ましく、現在電子素子パッケージング分野で製造、市販及び使用される非導電性接着剤フィルム(NCF)または異方導電性接着剤フィルム(ACF)の厚さに基づき、前記ナノファイバー構造体10の実質的な厚さは5〜100μmであることが好ましい。
【0045】
前記のように、本発明による電子パッケージ用接着剤の製造方法は、接着性能を有するポリマー樹脂自体の粘度ではなく、前記ナノファイバー構造体10を用いて接着剤の粘度を調節することを特徴とし、シート型のポリマーナノファイバー構造体10とシート型の接着剤フィルム31(図2参照)とを積層した後、熱と圧力を加えて二つのシート10及び31を接着して製造することを特徴とする。
【0046】
より詳細に、図3に図示したように、本発明による電子パッケージ用接着剤の製造方法(I)は、電界紡糸を用いて金属箔20にシート型にポリマーナノファイバー構造体10を形成した後、接着剤フィルム(adhesive film)31と異形フィルム(releasing film)32が積層された積層フィルム30に、前記金属箔20上に形成されたポリマーナノファイバー構造体10を積層して、異形フィルム32−接着剤フィルム31−ポリマーナノファイバー構造体10−金属箔20の順に積層された積層体を形成する。その後、前記積層体の異形フィルム32と金属箔20の両側に熱と圧力を加えて、前記ナノファイバー構造体10を前記接着剤フィルム31の内部に挿入した後、前記金属箔20を物理的に除去して本発明による電子パッケージ用接着剤を製造する。
【0047】
ここで、図3には、異形フィルム32−接着剤フィルム31−ポリマーナノファイバー構造体10−金属箔20の順に積層された場合を図示しているが、金属箔20−ポリマーナノファイバー構造体10−接着剤フィルム31−異形フィルム32の順に積層された場合にも本発明の思想が維持されることは言うまでもない。
【0048】
前記積層体を形成した後、本発明により、前記積層体に熱を加えて前記接着剤フィルム31の粘度を減少させ、圧力を印加して低い粘度を有する接着剤フィルム31の内部に前記ナノファイバー構造体10を挿入する。
【0049】
前記ナノファイバー構造体10と前記接着剤フィルム31を接着するために加えられる熱は30〜150℃が好ましく、これは、気泡を生成することなく均一にポリマーナノファイバー構造体10を接着剤フィルム31に挿入するための温度であり、接着剤フィルムの接着性能が損傷されない温度である。
【0050】
前記ナノファイバー構造体10と前記接着剤フィルム31とを接着するために加えられる圧力は0.5〜20MPaが好ましく、これはポリマーナノファイバー構造体10を物理的に損傷することなく前記加熱によって粘度が低下した接着剤フィルム31にポリマーナノファイバー構造体10を挿入する圧力である。
【0051】
前記熱及び圧力を印加する場合、熱と圧力を同時に印加してもよく、熱を印加して接着剤フィルム31の粘度を下げた後、圧力を印加して接着剤フィルム31とポリマーナノファイバー構造体10とを接着した後、圧力を維持した状態で常温に温度を下げた後、圧力を除去することが好ましい。即ち、前記積層体を順に加温−加圧−冷却−減圧して接着剤フィルム31とポリマーナノファイバー構造体10とを接着する。
【0052】
ここで、熱と圧力を加えて前記ナノファイバー構造体10を前記接着剤フィルム31の内部に挿入する際、図3に図示したように、積層体に圧力が均一に印加されるように圧力印加板A、Bを積層体の両側に備えてもよく、圧力印加体は、圧力印加板A、Bのような板型でないロール(roll)型であってもよい。
【0053】
前記接着剤フィルム31とポリマーナノファイバー構造体10とを接着した後、前記金属箔20を物理的に剥離して除去することを特徴とし、電界紡糸の際の前記金属箔20は、導電性を有する全ての金属を使用してもよく、通電性、熱安全性、及び物理的な力による容易な除去(軟性)側面においてアルミニウム箔であることが好ましい。
【0054】
本発明のまた他の側面による電子パッケージ用接着剤の製造方法(II)は、図4に図示されたように、第1接着剤フィルム(adhesive film)41と第1異形フィルム(releasing film)42が積層された第1積層フィルム40の第1異形フィルム42の背面に、前記ポリマーナノファイバー構造体10を積層した後、前記ナノファイバー構造体10と第2接着剤フィルム51とが接するように前記ナノファイバー構造体10の上部に前記第2接着剤フィルム(adhesive film)51と第2異形フィルム(releasing film)52とが積層された第2積層フィルム50を積層する。その後、前記第1積層フィルム40−前記ナノファイバー構造体10−前記第2積層フィルム50の積層体に熱と圧力を加えて、前記ナノファイバー構造体10を第1接着剤フィルム41と第2接着剤フィルム51の内部に挿入して本発明による電子パッケージ用接着剤を製造する。
【0055】
このような電子部品パッケージ用接着剤の製造方法(II)における前記ナノファイバー構造体10は、前記のように、非導電性ポリマーが溶解された溶液(非導電性ポリマー溶液)を電界紡糸して形成されたことを特徴とし、電界紡糸を用いて金属箔20上にシート型のポリマーナノファイバー構造体10を形成した後、前記金属箔20を物理的に除去して形成したものを含む。
【0056】
本発明による電子パッケージ用接着剤の製造方法(I)で説明したように、製造方法(II)の前記ナノファイバー構造体10は、シート(sheet)型であることが好ましく、接着剤のポリマー樹脂及び接着剤に含有された粒子の流れに直接影響を与える前記ナノファイバー構造体10を構成するポリマーナノファイバー11の直径は10〜5000nmであることが好ましく、ポリマーナノファイバー構造体10の気孔率であるポリマーナノファイバー構造体10の見かけ体積当たりの重量は10−6〜10−1g/cmであることが好ましい。また、前記ナノファイバー構造体(ポリマーナノファイバー、電界紡糸に使用される非導電性ポリマー溶液の非導電性ポリマー)は、ポリオレフィン(polyolefin)、ポリアミド(polyamide)、ポリエステル(polyester)、アラミド(aramide)、アクリル(acrylic)、ポリエチレンオキシド(PEO;polyethylene oxide)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephtalate)、ポリベンゾイミダゾール(PBI;polybenzimidazole)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート(poly(2−hydroxyethyl methacrylate))、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリ(エーテルイミド)(poly(ether imide))、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SBS;styrene−butadiene−styrene triblock copolymer)、ポリ(フェロセニルジメチルシラン)(poly(ferrocenyldimethylsilane))またはこれらの混合物であることが好ましい。
【0057】
この際、前記製造方法(I)と異なり、二つの接着剤フィルム41、51とポリマーナノファイバー構造体10が接着されることにより、前記ナノファイバー構造体10の厚さは接着される二つの接着剤フィルム41、51の厚さを考慮して調節されることが好ましく、現在電子素子パッケージング分野で製造、市販及び使用される非導電性接着剤フィルム(NCF)または異方導電性接着剤フィルム(ACF)の厚さに基づき、前記ナノファイバー構造体10の実質的な厚さは5〜200μmであることが好ましい。
【0058】
二つの接着剤フィルム41、51とポリマーナノファイバー構造体10を接着する際に、前記製造方法(I)のように、30〜150℃の温度及び0.5〜20MPaの圧力が印加されることが好ましく、加温−加圧−冷却−減圧を順に行って二つの接着剤フィルム41、51とナノファイバー構造体10とを接着することが好ましい。この際、図3に図示したように、接着のために熱と圧力が加えられることにより、前記ナノファイバー構造体10と二つの接着剤フィルム41、51とが接着されるだけでなく、二つの接着剤フィルム41、51もまた互いに結合して単一の接着剤フィルム61が製造される。
【0059】
図5に図示したように、本発明の製造方法(I)において、前記積層フィルム30’を構成する接着剤フィルム31’は、フィルム内部に導電性粒子pが均一に分布された接着剤フィルムを含み、図3を参照すると、前記本発明による製造方法(I)により異方導電性を有する半導体パッケージ用接着剤33’が製造される。
【0060】
本発明の製造方法(II)において、前記第1積層フィルム40’を構成する第1接着剤フィルム41’及び前記第2積層フィルム50’を構成する第2接着剤フィルム51’から選択される少なくとも一つの接着剤フィルムは、導電性粒子pが均一に分布された接着剤フィルムであることを特徴とする。図6は、第1接着剤フィルム41’に導電性粒子pが均一に分布された場合を図示したものであり、本発明によりポリマー樹脂の流れ及び導電性粒子の流れが抑制される接着剤63’が製造されるため、より少量の導電性粒子でオープンまたはショートが防止され、選択的な通電が行われるという効果がある。
【0061】
導電性粒子pを含む第1接着剤フィルム及び導電性粒子pを含む第2接着剤フィルムと前記ナノファイバー構造体10とを接着して異方導電性を有する半導体パッケージ用接着剤を製造することができるが、導電性粒子の流れが防止されて、少量の導電性粒子で信頼性のある選択的な通電が行われる本発明の特徴により、図5に図示したように、導電性粒子pを含む接着剤フィルム41’(図5の参照)と導電性粒子を含まない接着剤フィルム51’(図6参照)との間にポリマーナノファイバー構造体10を位置させ、熱及び圧力を加えて異方導電性を有する電子パッケージ用接着剤63’を製造することが好ましい。
【0062】
一実施形態として、図7に図示されたように、多数の導電性粒子が内部に含まれている接着剤フィルムに、ナノファイバー構造体を熱と圧力によって接着させる。
【0063】
他の実施形態として、図8に図示されたように、多数の導電性粒子が内部に含まれている接着剤フィルムと導電性粒子が内部に含まれていない接着剤フィルムとの間にナノファイバー構造体を配置してから接着する方式により、本発明による接着剤が製造されることができる。第1積層フィルム40’を構成する第1接着剤フィルム41’及び第2積層フィルム50’を構成する第2接着剤フィルム51’から選択される少なくとも一つの接着剤フィルムは、導電性粒子pが均一に分布された接着剤フィルムであることを特徴とする。図7は、本発明によりポリマー樹脂の流れ及び導電性粒子の流れが抑制される接着剤63’が製造されるため、より少量の導電性粒子でオープンまたはショートが防止され、選択的な通電が行われるという効果がある。
【0064】
導電性粒子pを含む第1接着剤フィルム及び導電性粒子pを含む第2接着剤フィルムと前記網構造のポリマーナノファイバー構造体10とを接着して異方導電性を有する半導体パッケージ用接着剤を製造することができるが、導電性粒子の流れが防止されて、少量の導電性粒子で信頼性のある選択的な通電が行われる本発明の特徴により、図5に図示したように、導電性粒子pを含む接着剤フィルムと導電性粒子を含まない接着剤フィルムとの間に網構造のポリマーナノファイバー構造体10を位置させ、熱及び圧力を加えて異方導電性を有する電子パッケージ用接着剤63’を製造することが好ましい。
【0065】
前記積層フィルム、第1積層フィルム、及び第2積層フィルムは、それぞれ熱硬化性、UVを含む光硬化性あるいは化学的硬化性を有する非導電性接着物質であるエポキシ、ポリイミド、シリコン、アクリル、ポリエステルまたはポリスルホン樹脂物質が異形フィルムにフィルム型に塗布されたものであり、前記接着物質は、銀、金、銅、ニッケル、炭素、金属がコーティング(coating)されたポリマー、固有導電性ポリマー(intrinsically conductive polymer)などの微細粒子またはこれらの混合粒子である導電性粒子を含んでもよく、前記異形フィルムは、ポリエステル(polyester)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリエチレンテレフタレート(PET;polyethylene terephthalate)またはこれらの混合フィルムである。ここで、前記積層フィルム、第1積層フィルム、及び第2積層フィルムは、Sony Chemical、Hitachi Chemical、Cheil Industries、H&S Hightechなどで製造して市販するCP6920F(Sony Chemical)、ANISOLM(AC−7000seriesなど;Hitachi Chemical)、TCG13000series(H&S Hightech)などの製品を用いてもよい。
【実施例】
【0066】
実験例
本発明で使用される不規則に形成された網構造の非導電性のポリマーナノファイバー構造体10による導電性粒子pの流動性制御有無は隣り合うパターン同士の絶縁抵抗を測定して確認することができる。絶縁抵抗は電気的に連結されていないパターンを形成して隣り合うパターン同士が通電されていないことを確認するための測度である。図8の光学写真から分かるように、微細ピッチパッケージの場合、隣り合うパターンの間に導電性粒子が凝集または凝結していると、隣り合うパターン同士の通電が行われ、電気的ショート(short)が発生する。通常、絶縁抵抗を測定してその値が10Ω以上の場合には絶縁性がよく維持されたとし、その以下である場合にはショートと定義する。
【0067】
電界紡糸による物質及びナノファイバーの形成
電気抵抗の測定対象であるナノファイバーを下記表の条件に従って製造した。下記の表に提示されているPS(Mw:192000)、PAN(Mw:150000)、TBAB(Fluka)は、シグマアルドリッチ(Sigma aldrich)で購入して使用しており、電界紡糸の構成は、図2に図示されている。これらの光学顕微鏡写真は、図9の(a)(PS)及び(b)(PAN)にそれぞれ示されている。
【0068】
【表1】

【0069】
本発明による接着剤製造
本発明による接着剤を下記の表に提示されたラミネーション条件に従って製造した。
【0070】
【表2】

【0071】
絶縁抵抗測定
通常のACFを使用した場合と、本発明のようにナノファイバーACFを使用した場合の絶縁抵抗を測定して、20μmピッチでの絶縁回路の割合(Insulated circuit ratio in 20μm pitch)を図10のグラフで示した。ここで、絶縁回路の割合は、絶縁抵抗測定値が10Ω以上に安定して維持される割合を示す。図10に示されたグラフにおけるCOF2は一般的なACFを、N1、N2はナノファイバーACFを使用した場合を示す。図11の走査光学顕微鏡写真とともに図10のグラフにより、ナノファイバーACFを使用する場合、既存ACFを使用した場合より隣り合うパターン同士の絶縁性がより安定的に維持されることが分かる。これは、隣り合うパターン同士の導電性粒子の凝集が相対的に減少したためであり、これにより、接着中の導電性粒子の流れがナノファイバーにより効果的に制御されることができることを類推することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明による接着剤は、携帯電話のような電子部品のパッケージングだけでなく、選択的な通電が要求される高集積電子部品のパッケージングにも非常に有利に適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の電気接続部同士の選択的な通電のための電子部品パッケージ用の導電性接着剤であって、
不規則に形成された網構造の非導電性のポリマーナノファイバー構造体が一つまたは二つ以上の接着層に含まれることを特徴とする電子部品パッケージ用接着剤。
【請求項2】
隣り合う前記ナノファイバー構造体によって規定されている空間に、一つ以上の導電性粒子が分布されている部分が含まれることを特徴とする請求項1に記載の電子部品パッケージ用接着剤。
【請求項3】
前記ナノファイバー構造体に、一つ以上の導電性粒子が含まれることを特徴とする請求項1に記載の電子部品パッケージ用接着剤。
【請求項4】
前記接着層は、異方導電性フィルム(ACFs)、非導電性フィルム(NCFs)、またはこれらを組み合わせて形成された複合積層型フィルムを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品パッケージ用接着剤。
【請求項5】
前記非導電性のポリマーナノファイバー構造体を形成する非導電性のポリマーナノファイバーの直径は10〜5000nmであり、シートの見かけ体積当たりの重量は10−6〜10−1g/cmであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品パッケージ用接着剤。
【請求項6】
前記非導電性のポリマーナノファイバー構造体を形成する非導電性のポリマーナノファイバーの材質は、ポリオレフィン(polyolefin)、ポリアミド(polyamide)、ポリエステル(polyester)、アラミド(aramide)、アクリル(acrylic)、ポリエチレンオキシド(PEO;polyethylene oxide)、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリスチレン(polystyrene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephtalate)、ポリベンゾイミダゾール(PBI;polybenzimidazole)、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(poly(2−hydroxyethyl methacrylate))、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride)、ポリ(エーテルイミド)(poly(ether imide))、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体(SBS;styrene−butadiene−styrene triblock copolymer)及びポリ(フェロセニルジメチルシラン)(poly(ferrocenyldimethylsilane))で構成された群から選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品パッケージ用接着剤。
【請求項7】
(a)非導電性ポリマー溶液を電界紡糸(electro−spining)することにより、金属箔に非導電性のポリマーナノファイバーが物理的に絡み合って形成されたポリマーナノファイバー構造体を形成する段階と、
(b)接着剤フィルム(adhesive film)と異形フィルム(releasing film)が積層された積層フィルムに前記金属箔上に形成されたポリマーナノファイバー構造体を積層し、熱と圧力を加えて、ポリマーナノファイバー構造体を前記接着剤フィルムの内部に挿入する段階と、
(c)前記金属箔を物理的に除去する段階と、を含むことを特徴とする電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項8】
前記(b)段階における熱及び圧力は、それぞれ30〜150℃及び0.5〜20MPaであり、その適用時間は1〜60秒であることを特徴とする請求項7に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項9】
前記接着剤フィルムは導電性粒子を含むことを特徴とする請求項7に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項10】
前記ナノファイバー構造体を形成するポリマーナノファイバーの直径は10〜5000nmであり、シートの見かけ体積当たりの重量は10−6〜10−1g/cmであることを特徴とする請求項7に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項11】
前記金属箔はアルミニウム箔(foil)であることを特徴とする請求項7に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項12】
(a)第1接着剤フィルムと第1異形フィルムが積層された第1積層フィルムの第1異形フィルムの背面に、非導電性ポリマー溶液の電界紡糸(electro−spining)により非導電性のポリマーナノファイバーが物理的に絡み合って形成された非導電性のポリマーナノファイバー構造体を積層する段階と、
(b)前記ナノファイバー構造体と第2接着剤フィルムとが接するように前記ナノファイバー構造体の上部に前記第2接着剤フィルムと第2異形フィルムが積層された第2積層フィルムを積層する段階と、
(c)前記第1積層フィルム、前記ナノファイバー構造体、及び前記第2積層フィルムの積層体に熱と圧力を加えて、前記ナノファイバー構造体を第1接着剤フィルムと第2接着剤フィルムの内部に挿入する段階と、を含むことを特徴とする電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項13】
前記(b)段階における熱及び圧力は、それぞれ30〜150℃及び0.5〜20MPaであり、その適用時間は1〜60秒であることを特徴とする請求項12に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項14】
前記接着剤フィルムは導電性粒子を含むことを特徴とする請求項12に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項15】
前記ナノファイバー構造体を形成するポリマーナノファイバーの直径は10〜5000nmであり、シートの見かけ体積当たりの重量は10−6〜10−1g/cmであることを特徴とする請求項12に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項16】
前記金属箔はアルミニウム箔(foil)であることを特徴とする請求項12に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項17】
(a)非導電性ポリマー溶液を電界紡糸することにより、非導電性のポリマーナノファイバーが物理的に絡み合って形成された網構造の非導電性のポリマーナノファイバー構造体を形成する段階と、
(b)前記(a)段階の非導電性のポリマーナノファイバー構造体を一つ以上の接着剤フィルムまたはその間に配置した後、熱及び圧力を加えて接着することにより、前記非導電性のポリマーナノファイバー構造体を前記接着剤フィルムのうち何れか一つ以上に挿入する段階と、を含むことを特徴とする電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項18】
前記接着剤フィルムのうち何れか一つ以上に導電性粒子が含まれることを特徴とする請求項17に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項19】
前記(b)段階における熱及び圧力は、それぞれ30〜150℃及び0.5〜20MPaであり、その適用時間は1〜60秒であることを特徴とする請求項17に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項20】
前記接着剤フィルムは導電性粒子を含むことを特徴とする請求項17に記載の電子パッケージ用接着剤の製造方法。
【請求項21】
(a)非導電性ポリマー溶液及び導電性粒子をともに電界紡糸することにより、ポリマーナノファイバーが物理的に絡み合って形成された網構造の導電性粒子を含むポリマーナノファイバー構造体を形成する段階と、
(b)前記(a)段階のポリマーナノファイバー構造体を一つ以上の接着剤フィルムまたはその間に配置した後、熱及び圧力を加えて接着することにより、前記導電性粒子を含むポリマーナノファイバー構造体を前記接着剤フィルムのうち何れか一つ以上に挿入する段階と、を含むことを特徴とする電子パッケージ用接着剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−506260(P2013−506260A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532008(P2012−532008)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006623
【国際公開番号】WO2011/040752
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(596071752)コリア アドバンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (60)
【Fターム(参考)】