説明

ナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置

【課題】ナノファイバー及び高分子ウェブを生産性良くかつ均一にしかも簡単な構成にて製造できるナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置を提供する。
【解決手段】複数の小穴3を有する導電性の回転容器としての円筒状容器1内に、高分子物質を溶媒に溶解した高分子溶液11を供給し、円筒状容器1を回転させ、小穴3から高分子溶液11を電荷を帯電させて流出させ、線状に流出した高分子溶液11を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質から成るナノファイバーfを生成し、円筒状容器1の軸心方向一側部に配設した反射電極16や送風手段にて生成工程中のナノファイバーfを円筒状容器1の軸心方向他側方に向けて偏向させて流動させ、そのナノファイバーfを堆積させて高分子ウェブを製造するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子物質から成るナノファイバー及びそのナノファイバーを堆積した高多孔性の高分子ウェブの製造方法と装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高分子物質から成るサブミクロンスケールの直径を有するナノファイバーを製造する方法として、エレクトロスピニング法(電荷誘導紡糸法)が知られている。従来のエレクトロスピニング法では、高電圧を印加した針状のノズルに高分子溶液を供給することで、この針状のノズルから線状に流出する高分子溶液に電荷が帯電され、高分子溶液の溶媒蒸発に伴って帯電電荷間の距離が小さくなって作用するクーロン力が大きくなり、そのクーロン力が線状の高分子溶液の表面張力より勝った時点で線状の高分子溶液が爆発的に延伸される現象が生じ、この静電爆発と称する現象が、一次、二次、場合によっては三次等と繰り返されることで、サブミクロンの直径の高分子から成るナノファイバーが製造されるものである。
【0003】
こうして製造されたナノファイバーを電気的に接地された基板上に堆積させることで、立体的な網目を持つ3次元構造の薄膜を得ることができ、さらに厚く形成することでサブミクロンの網目を持つ高多孔性ウェブを製造することができる。こうして製造された高多孔性ウェブはフィルタや電池のセパレータや燃料電池の高分子電解質膜や電極等に好適に適用することができるとともに、このナノファイバーから成る高多孔性ウェブを適用することによってそれぞれの性能を飛躍的に向上させることが期待できる。
【0004】
ところが、従来のエレクトロスピニング法では、1本のノズルの先から1〜数本のナノファイバーしか製造されないので、高多孔性の高分子ウェブを生産しようとしても、生産性が上がらないため、実現できないという問題があった。そこで、ナノファイバーを多量に生成して高分子ウェブを製造する方法として、複数のノズルを用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1に記載された高分子ウェブ製造装置の構成を、図18を参照して説明すると、複数のノズル61を有する紡糸部62にバレル63内の液状高分子物質をポンプ64にて送給し、高電圧発生部65からノズル61に5〜50kVの高電圧を印加し、接地又はノズル61と異なる極性に帯電させたコレクタ66上にノズル61から排出されたファイバーを堆積させてウェブを形成するとともに、形成されたウェブをコレクタ66にて移送して高分子ウェブを製造するように構成されている。また、ノズル61の先端近傍に電荷分配板67を配設してノズル61間の電気的干渉を最小化させるとともに、コレクタ66との間に高電圧を印加し、帯電したファイバーをコレクタ66に向けて付勢する電界を付与することも記載されている。
【0006】
さらに図19(a)、(b)に示すように、紡糸部62に、単一のノズルを複数設けるのではなく、複数本のノズル61からなるマルチノズル61Aを複数設けて構成し、各マルチノズル61Aからそれぞれ複数本のナノファイバーを生成させるようにすることも開示されている。
【特許文献1】特開2002−201559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、図18や図19に示された構成で、一層生産性よく高分子ウェブを製造するため、紡糸部62におけるノズル61及び各マルチノズル61Aにおけるノズル61の配置間隔を小さくし、単位面積当たりのノズル本数を多くしようとすると、図20に示すように、各ノズル61から流出した高分子物質が同極の電荷を帯電しているため、矢印Gで示すように互いに反発し合い、中央部のノズル61からの流出が阻害されるとともに、周辺部のノズル61からの流出方向が外側に向き、コレクタ66上でのナノファイバーの堆積分布が中央部で極端に少なく、周辺部に集中してしまい、均一な高分子ウェブを製造することができないという問題がある。
【0008】
また、ノズル61の先端近傍に電荷分配板67を配設した場合、図21に示すように、ノズル61間の電気的干渉を低減させるとともに、電荷分配板67からコレクタ66に向かう電界Eが形成されることで、各ノズル61から流出した高分子物質をコレクタ66に向けて加速させる作用が得られることで、図20の場合に比して、中央部と周辺部とのナノファイバーの堆積分布の均一化をある程度図ることができる一方で、ノズル61の配置パターンがそのまま堆積分布に投影されるようになり、堆積分布の均一化に十分な効果を発揮するものではないという問題がある。
【0009】
また、ノズル61の配置密度を高くした場合、溶媒が十分に蒸発しない状態でファイバー同士が接触して互いに溶着してしまう恐れがあり、またノズル近傍の空間で蒸発した溶媒濃度が高くなって絶縁性が低下し、コロナ放電が発生してファイバーが形成されない恐れがあるという問題がある。
【0010】
また、多数のノズル61を配設した場合に、各ノズル61に対して均等に液状高分子物質を供給するのが困難であり、そのため装置構成が複雑になって設備コストが高くなるという問題がある。また、ノズル61から流出した液状高分子物質に静電爆発を起させるためには電荷を集中させる必要があり、そのため各ノズル61は細くて長い形状に形成されているが、多数の細くて長いノズル61を常に適正な状態に維持するためのメンテナンスも極めて困難であるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ナノファイバー及びそれを用いた高分子ウェブを生産性良くかつ均一にしかも簡単な構成にて製造することができるナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のナノファイバーの製造方法は、複数の小穴を有する導電性の回転容器内に、高分子物質を溶媒に溶解した高分子溶液を供給しつつ回転容器を回転させ、回転容器の小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させ、流出した線状の高分子溶液を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質から成るナノファイバーを生成するナノファイバー生成工程と、生成工程中のナノファイバーを回転容器の軸心方向の一側方から他側方に向けて偏向させて流動させる偏向流動工程とを有するものである。
【0013】
上記構成によれば、回転容器の複数の小穴から高分子溶液が電荷を帯電されて線状に流出する際に、まず遠心力の作用によって延伸されるので、静電爆発のみで最初から延伸させるのとは異なって高分子溶液に電荷を帯電させるための細長いノズルは必要でなく、また放射状に流出することで電界干渉に左右され難いために小穴を高密度に配設しても確実かつ効果的に延伸され、その後延伸されて径が細くなるとともに溶媒が蒸発することで帯電されていた電荷が集中し、そのクーロン力が表面張力を超えた時点で一次静電爆発が生じて爆発的に延伸され、その後さらに溶媒が蒸発して同様に二次静電爆発が生じて爆発的に延伸され、場合によってはさらに三次静電爆発等が生じて延伸されることで、複数の小穴から流出した線状の高分子溶液からサブミクロンの直径を有する高分子物質から成るナノファイバーを効率的に製造することができ、さらに上記のように遠心力の作用で延伸された後、そのまま放射状に広がろうとするのを回転容器の軸心方向に偏向させて流動させるので、生成されるナノファイバーを所要の範囲内に容易に収集することができる。また、ファイバー化しなかった液滴などが生じても、それはそのまま遠心力で周囲に飛散し、適正なナノファイバーだけが偏向して流動するため、品質の良いナノファイバーだけを収集することができる。また、上記のように小穴を高密度に配設することができるので、多量のナノファイバーを簡単かつコンパクトな構成にて効率的に製造することができる。また、小穴から流出した高分子溶液をまず遠心力で延伸させるので、小穴を極端に小さくしなくても良く、かつ上記のように電荷を帯電させるために長いノズルを設けなくても良いので、短寸のノズル部材を配置したり、回転容器に小穴を設けるだけでも良く、容易かつ安価に製作できかつ多数の小穴を設けていてもメンテナンスを簡単に行うことができる。また、小穴を極端に小さくした場合でも、回転容器の回転数を上げて遠心力を増すことで、小穴から高分子溶液を流出することができ、ナノファイバーを安定して生成できる。
【0014】
また、偏向流動工程は、回転容器の軸心方向一側部に配設した反射電極に、高分子溶液の帯電電荷と同極の電圧を印加してナノファイバーを偏向させて流動させるのが好ましい。こうすると、帯電した高分子溶液の流出方向に対向しない一側部に反射電極が配設されているので、反射電極の電荷によって高分子溶液の流出が阻害される恐れがなく、安定的かつ効率的にナノファイバーを製造できる。
【0015】
また、偏向流動工程は、回転容器の軸心方向一側から送風してナノファイバーを偏向させて流動させても良く、またこの送風と上記反射電極を組み合わせても良い。こうすると、生成工程中のナノファイバーが空気の流れに乗ることよってより効果的に偏向流動させることができ、さらに空気の流れによって、蒸発した溶媒が速やかに排出されて周辺の雰囲気中の溶媒濃度が高くならず溶媒の蒸発が円滑に行われて静電爆発作用が確実に得られ、所望のナノファイバーが確実に生成される。
【0016】
また、周方向に複数に分割形成された送風路を有する筒状の風洞を通して回転容器の軸心方向一側から回転容器の周囲に送風すると、安定した送風が得られるので、ナノファイバーをより効果的に偏向流動させることができる。
【0017】
また、回転容器が、周面に複数の小穴を有し、軸心回りに回転する筒状容器であると、筒状容器の全周から均一に多量のナノファイバーを一度に製造することができ、高い生産性を確保することができるとともに、形状・構成が簡単であるため設備コストの低廉化を図ることができる。
【0018】
また、回転容器の小穴は、回転容器の軸心方向の一側から他側に向けて回転半径が小さくなるように配置されていると、各小穴から流出する高分子溶液が受ける遠心力の差によって一側の小穴にて形成されるナノファイバーは径方向外方位置を、他側の小穴にて形成されるナノファイバーは径方向内方位置を他側に向けて流動して重ならず、ナノファイバーの流動域の断面形状を幅の狭いドーナツ形状から円形に近づけることができる。
【0019】
また、回転容器の軸心方向他側部におけるナノファイバーの筒状流動域の軸心部と外周部の少なくとも一方に配設した集束電極にてナノファイバーの筒状流動域を集束させると、ナノファイバーの流動域の断面形状をドーナツ形状から中心空洞部を小さくした形状や矩形状等の任意断面形状に集束させることも可能である。この場合、軸心部に配設する集束電極には回転容器より低い同極電圧ないし異極の電圧を印加し、外周部に配設する集束電極に回転容器と同極の電圧を印加する。
【0020】
また、ナノファイバー生成工程中、回転容器内にほぼ一定量の高分子溶液が収容されている状態にすると、円筒容器の小穴から押し出される高分子溶液に作用する遠心力が一定し、高分子溶液を均一に線状に流出させることができ、円筒容器の軸心方向に均一にナノファイバーを製造することができる。
【0021】
また、回転容器内に収容されている高分子溶液の量を検出し、回転容器内にほぼ一定量の高分子溶液が収容されている状態となるように、回転容器内への高分子溶液の供給量を制御すると、回転容器内の高分子溶液の収容量を確実にほぼ一定にできる。
【0022】
また、回転容器内に収容されている高分子溶液の粘度に基づいて回転容器の回転速度を制御すると、高分子溶液の粘度に応じて必要な遠心力を、回転容器を変更せずに高分子溶液に作用させて、確実にかつ効率的にナノファイバーを製造することができる。
【0023】
また、回転容器内に収容されている高分子溶液の粘度に基づいて回転容器の回転軸心と小穴間の半径距離を決定すると、高分子溶液の粘度に応じて必要な遠心力を回転容器の回
転速度を極端に変化させずに高分子溶液に作用させて、確実にかつ効率的にナノファイバーを製造することができる。
【0024】
また、本発明の高分子ウェブの製造方法は、回転容器に対してその軸心方向他側方に間隔をあけて配置した導電性のコレクタに、ナノファイバーの帯電電荷に対して電位差を有する電圧を印加若しくはコレクタを接地し、上記のナノファイバーの製造方法にて生成されたナノファイバーをコレクタ上に堆積させて高分子ウェブを製造するものである。
【0025】
この構成によれば、上記のように電荷を帯電した状態で多量に製造されたナノファイバーが電界の作用を受けてコレクタに向けて移動し、効率的にコレクタ上に堆積することで、高多孔性の高分子ウェブを生産性良く製造することができる。なお、コレクタに、その上に堆積された高分子ウェブを順次移送する機能を持たせても良い。また、コレクタに直接堆積しても、その上に配置した部材に堆積させても良い。
【0026】
また、コレクタ上に沿ってナノファイバーが付着堆積するシート材を所定の速度で移動させると、所要厚さの高分子ウェブが形成されたシートを連続的に製造することができる。
【0027】
また、ナノファイバーを生成してコレクタに向けて流動させるナノファイバー生成部を、少なくともコレンタの一辺と平行な方向又はシート材の移動方向と直交する方向に相対的に往復移動させると、広い面積のコレクタや幅広のシート材上の全面にナノフアイバーを単一の製造工程にて均一に堆積させることができ、コンパクトな構成のナノファイバー生成部を用いて生産性良く大面積の高分子ウェブを製造することができる。
【0028】
また、本発明のナノファイバーの製造装置は、回転自在に支持されるとともに回転軸心から径方向に距離をあけて複数の小穴を有する導電性の回転容器と、回転容器内に溶媒に高分子物質を溶解した高分子溶液を供給する高分子溶液供給手段と、回転容器を回転駆動する回転駆動手段と、回転容器の小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させる帯電手段と、回転容器の軸心方向一側に配置され、回転容器の小穴から帯電して流出する高分子溶液にて生成されるナノファイバーを回転容器の軸心方向他側方に向けて偏向させて流動させる偏向流動手段と、高分子溶液供給手段と回転駆動手段と帯電手段と偏向流動手段を制御する制御部とを備えたものであり、上記ナノファイバーの製造方法を実施してその効果を奏することができる。なお、帯電手段は、好適には回転容器に高電圧を印加し、若しくは回転容器との間で電界を発生するように回転容器と間隔をあけて配設されたナノファイバーのコレクタ等の部材に高電圧を印加する高電圧発生手段にて構成される。
【0029】
また、偏向流動手段が、回転容器の小穴から流出する高分子溶液の帯電電荷と同極の電圧を印加された反射電極を有していると、反射電極にて電荷を帯電したナノファイバーを確実に偏向させて流動させることができ、かつ反射電極の電荷によって高分子溶液の流出が阻害される恐れがなく、安定的かつ効率的にナノファイバーを製造できる。
【0030】
また、偏向流動手段が、回転容器の軸心方向一側方から他側方に向けて送風する送風手段を有していると、生成工程中のナノファイバーを空気の流れに乗せることでより効果的に偏向流動させることができ、さらに空気の流れによって蒸発した溶媒が速やかに排出されて周辺の雰囲気中の溶媒濃度が高くならず、溶媒の蒸発が円滑に行われ、静電爆発作用が確実に得られて所望のナノファイバーが確実に生成される。
【0031】
また、偏向流動手段が、送風手段からの風を、周方向に複数に分割形成された送風路を通して回転容器の周囲に送風する筒状の風洞を有していると、周方向に複数に分割形成された送風路を通して回転容器の周囲に送風されるので、安定した送風が得られてナノファイバーをより効果的に偏向流動させることができる。
【0032】
また、回転容器を、周面に複数の小穴を有する筒状容器にて構成すると、円筒容器の全周から均一に多量のナノファイバーを一度に製造することができ、高い生産性を確保することができるとともに、形状・構成が簡単であるため設備コストの低廉化を図ることができる。
【0033】
また、回転容器を、小穴を回転容器の軸心方向の一側から他側に向けて回転半径が小さくなるように配置した構成とすると、各小穴から流出する高分子溶液が受ける遠心力の差によって一側の小穴にて形成されるナノファイバーは径方向外方位置を、他側の小穴にて形成されるナノファイバーは径方向内方位置を他側に向けて流動して重ならず、ナノファイバーの流動域の断面形状を幅の狭いドーナツ形状から円形に近づけることができる。
【0034】
また、回転容器の軸心方向他側部におけるナノファイバーの筒状流動域の軸心部と外周部の少なくとも一方に、ナノファイバーの筒状流動域を集束させる集束電極を配設すると、軸心部に配設した集束電極に回転容器より低い同極電圧ないし異極の電圧を印加し、外周部に配設した集束電極に回転容器と同極の電圧を印加することで、ナノファイバーの流動域の断面形状をドーナツ形状から中心空洞部を小さくした形状や矩形断面等の任意断面形状に集束させることも可能である。
【0035】
また、高分子溶液を供給する供給管を円筒容器の一端の軸心開口部から挿入配置し、この供給管の先端部を円筒容器内で略L字状とすると、生成されたナノファイバーの流動方向が水平方向だけでなく下向きや上向きになるように、円筒容器の向きを任意に変化させても、高分子溶液を円筒容器一端の軸心開口部から漏れ出す恐れなく円筒容器内に供給することが可能となる。
【0036】
また、回転容器内に収容されている高分子溶液の量を一定に制御する手段を有すると、円筒容器の小穴から押し出される高分子溶液に作用する遠心力が一定し、高分子溶液を均一に線状に流出させることができ、均一なナノファイバーを製造することができる。
【0037】
また、回転容器内の高分子溶液量を一定に制御する手段が、回転容器内に収容されている高分子溶液の量を検出する収容量検出手段と、検出した収容量に基づき、高分子溶液供給手段を制御する供給量制御手段を備えていると、回転容器内の高分子溶液の収容量を確実にほぼ一定にできる。
【0038】
また、本発明の高分子ウェブの製造装置は、上記ナノファイバーの製造装置を適用した高分子ウェブの製造装置であって、回転容器に対してその軸心方向他側方に間隔をあけて、導電性を有しかつナノファイバーの帯電電荷に対して電位差を有する電圧を印加若しくは接地されたコレクタを配設したものであり、上記のように製造されたナノファイバーがコレクタ上に堆積され、効率的に高分子ウェブを製造することができる。
【0039】
また、ナノファイバーが付着堆積するシート材をコレクタ上を所定の速度で移動させるシート材移動手段を設けると、所要厚さの高分子ウェブが形成されたシートを連続的に製造することができる。
【0040】
また、ナノファイバーを生成してコレクタに向けて流動させるナノファイバーの製造装置を、少なくともコレンタの一辺と平行な方向又はシート材の移動方向と直交する方向に相対的に往復移動させる堆積移動手段を設けると、広い面積のコレクタや幅広のシート材上の全面にナノフアイバーを単一の製造工程にて均一に堆積させることができ、コンパクトな構成のナノファイバー生成部を用いて生産性良く大面積の高分子ウェブを製造することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明のナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置によれば、複数の小穴から高分子溶液が線状に流出して遠心力で延伸されるとともに静電爆発によって延伸されるため、高分子物質から成るナノファイバーが効率的に製造され、さらに遠心力で放射状に広がろうとする生成工程中のナノファイバーを回転容器の軸心方向に偏向させて流動させるので、ナノファイバーを所要の範囲内に容易に収集することができ、安定的かつ効率的にナノファイバーを製造でき、またファイバー化しなかった液滴などはそのまま遠心力で周囲に飛散し、適正なナノファイバーだけが偏向して流動するため、品質の良いナノファイバーだけを収集することができ、またそれをコレクタ上に堆積させることで高分子ウェブを生産性良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明のナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置の各実施形態について、図1〜図17を参照しながら説明する。
【0043】
(第1の実施形態)
まず、本発明の高分子ウェブの製造装置の第1の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0044】
図1〜図3において、1は回転容器としての、直径が20〜500mmの円筒状容器であり、その一端の軸心部に回転筒体2の端部が貫通されて一体固定され、回転筒体2にて軸心回りに矢印Rのように回転可能に支持されている。回転筒体2は電気絶縁性の高い材料にて構成されている。円筒状容器1の他端は閉鎖され、周面には、直径が0.01〜2mm程度の小穴3が数mmピッチ間隔で多数形成されている。なお、小穴3は円筒状容器1の周壁に直接開口した穴にて構成しても、周壁に装着した短寸のノズル部材にて構成してもよい。回転筒体2は電気絶縁性の高い材料にて構成された支持フレーム4にてベアリング5を介して回転自在に支持され、かつその外周に設けられたプーリ6とモータ9の出力軸に設けられたプーリ7との間に巻回されたベルト8を介して回転駆動手段としてのモータ9にて、数100〜10000rpmの回転速度で回転駆動される。モータ9としては、センサが高圧ノイズの影響を受けて誤動作する恐れがあるので、センサレスDCモータが好適に適用される。
【0045】
円筒状容器1内には、回転筒体2を貫通して円筒状容器1内に挿入された溶液供給管10を通してナノファイバーの材料である高分子物質を溶媒に溶解した高分子溶液11が供給される。溶液供給管10の先端部はL字屈曲部20が形成され、その先端が円筒状容器1内に突出している回転筒体2の挿入端部2aの外周より径方向外側に位置するように構成されている。高分子溶液11は、貯留容器12から高分子溶液供給手段としての供給ポンプ13にて溶液供給管10に向けて所定流量で送給される。
【0046】
高分子溶液11を構成する高分子物質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が好適なものとして例示でき、さらには核酸や蛋白質などの生体高分子なども例示でき、これらより選ばれる少なくとも一種が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0047】
また、使用できる溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、水等を例示でき、これらより選ばれる少なくとも一種が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0048】
また、高分子溶液11には無機質固体材料を混入することも可能である。その無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、耐熱性、加工性などの観点からは酸化物を用いるのが好ましい。酸化物としては、Al2O3、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B2O3、P2O5、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb2O3、As2O3、CeO2、V2O5、Cr2O3、MnO、Fe2O3、CoO、NiO、Y2O3、Lu2O3、Yb2O3、HfO2、Nb2O5等を例示でき、これらより選ばれる少なくとも一種が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。使用する溶媒の量は、高分子物質の種類や生成する高分子溶液の粘度や回転数や生成するナノファイバーの径等の条件により異なるが、60%体積重量から95%体積重量の間で使用される場合が殆どである。
【0049】
円筒状容器1には、第1の高電圧発生手段14にて発生させた1kV〜100kV、好適には10kV〜100kVの高電圧が、ベアリング5、導電部材15を介して印加され、内部に収容された高分子溶液11に電荷を帯電させるように構成されている。円筒状容器1がモータ9にて高速で回転駆動されると、電荷を帯電された高分子溶液11に遠心力が作用して各小穴3から線状に流出し、さらに遠心力の作用で延伸されて細い高分子線状体が生成されるとともにその溶媒が蒸発することで高分子線状体の径が細くなる。それに伴って、帯電されていた電荷が集中し、そのクーロン力が高分子溶液の表面張力を超えた時点で一次静電爆発が生じて爆発的に延伸され、その後さらに溶媒が蒸発して同様に二次静電爆発が生じて爆発的に延伸され、場合によってはさらに三次静電爆発等が生じて延伸されることで、サブミクロンの直径を有する高分子物質から成るナノファイバーが効率的に製造される。
【0050】
円筒状容器1の一側部に適当間隔あけて対向するように支持フレーム4に反射電極16が配設され、この反射電極16に第2の高電圧発生手段17にて発生させた高電圧が印加されている。この第2の高電圧発生手段17は第1の高電圧発生手段14と同極で、略同等の高電圧を発生して反射電極16に印加するように構成され、図3に示すように、反射電極16にて円筒状容器1から流出・延伸されて生成された高分子線状体及びその後に静電爆発にて生成されるナノファイバーfを、矢印Fで示すように、円筒状容器1の他側方に向けて流動させるように構成されている。
【0051】
円筒状容器1の他側方には、適当距離あけて対向するように導電性を有するコレクタ18が配設され、第3の高電圧発生手段19にて発生させた、円筒状容器1に対する印加電圧とは逆極性の高電圧が印加されている。この円筒状容器1や反射電極16とコレクタ18との間の大きな電位差によって、図3に示すように、帯電したナノファイバーfをコレクタ18に向けて移動させ、その上に堆積させるように構成されている。コレクタ18に円筒状容器1とは逆極性の高電圧を印加することで、円筒状容器1とコレクタ18の間に、例えば2m程度の距離が離れていても、生成されたナノファイバーfをコレクタ18上に堆積させることができる。なお、第1〜第3の高電圧発生手段14、17、19としては、スイッチSW1、SW2、SW3にて必要に応じて任意にオン・オフ切替できるものが好適である。
【0052】
なお、円筒状容器1や反射電極16とコレクタ18との間に大きな電位差を付与すればよいので、単にコレクタ18を接地するだけでもよい。また、逆に、コレクタ18に第3の高電圧発生手段19にて正又は負の高電圧を印加する場合には、円筒状容器1を電気的に接地した構成としても良い。この場合、円筒状容器1とコレクタ18との間に発生する電界にて円筒状容器1の小穴3から流出する高分子溶液11にコレクタ18に印加される電圧の極性とは逆極性の電荷が帯電されることになる。
【0053】
次に、制御構成を図4を参照して説明する。図4において、モータ9と、供給ポンプ13と、第1〜第3の高電圧発生手段14、17、19が制御部21にて制御される。制御部21は、操作部22からの作業指令により、記憶部23に記憶されている動作プログラムや操作部22から入力されて記憶している各種データに基づいて動作制御し、その動作状態や各種データを表示部24に表示する。
【0054】
以上の構成において、供給ポンプ13にて貯留容器12内から所定量の高分子溶液11を円筒状容器1内に供給し、円筒状容器1に対して第1の高電圧発生手段14から所定の高電圧を印加することで、円筒状容器1内に収容された高分子溶液11に電荷を帯電させる。この状態でモータ9にて円筒状容器1を高速回転させることで、上述のように電荷を帯電された高分子溶液11が複数の小穴3から線状に流出して形成された高分子線状体が、まず遠心力の作用によって大きく延伸され、その後延伸されて径が細くなるとともに溶媒が蒸発することで一次静電爆発が生じて爆発的に延伸され、その後さらに溶媒が蒸発して同様に二次静電爆発が生じて爆発的にさらに延伸され、場合によってはさらに三次静電爆発等が生じて延伸されることで、複数の小穴3から流出した高分子溶液線状体からサブミクロンの直径を有する高分子物質から成るナノファイバーfが製造される。
【0055】
さらに、上記ナノファイバーfを生成する際に高分子溶液線状体が遠心力の作用で延伸された後、そのまま放射状に広がろうとするのを反射電極16によって円筒状容器1の軸方向の他側方に偏向させて流動させるので、生成されるナノファイバーfをコレクタ18の所要の範囲内に容易に収集することができる。しかも、反射電極16が円筒状容器1の一側部に配設されているので、円筒状容器1の外周面に対向させて放物鏡状の反射電極を配設した場合のように反射電極16が帯電した高分子溶液11の流出方向に対向せず、高分子溶液11の流出が反射電極16の電荷によって阻害される恐れがないため、安定的かつ効率的にナノファイバーfを製造できる。また、ファイバー化しなかった液滴などが生じても、それはそのまま遠心力で周囲に飛散し、適正なナノファイバーfだけがコレクタ18に向けて偏向して流動するため、品質の良いナノファイバーfだけを収集することができる。こうして製造された帯電を有するナノファイバーfがコレクタ18上に堆積されることで高多孔性の高分子ウェブが生産性良く製造される。
【0056】
ここで、円筒状容器1の小穴3から流出して形成された高分子溶液線状体が遠心力で大きく延伸されるので、小穴3の直径を0.01〜2mm程度とすることができて、極端に小さくする必要がなく、また最初に静電爆発を発生させる場合とは異なって電荷を集中させる必要がないため、小穴3は細長いノズルに形成する必要がなく、また電界干渉に左右され難いために高密度に配設しても確実かつ効果的に延伸させることができるので、多量のナノファイバーfを簡単かつコンパクトな構成にて効率的に製造することができる。また、小穴を極端に小さくした場合でも、回転容器の回転数を上げて遠心力を増すことで、小穴から高分子溶液を流出することができ、ナノファイバーを安定して生成できる。また、円筒状容器1の全周から均一に多量のナノファイバーを一度に製造することができ、高い生産性を確保することができるとともに、形状・構成が簡単であるため設備コストの低廉化を図ることができる。また、小穴3は長く形成する必要がないので、円筒状容器1の外周壁に単純に小穴3を設けるだけで良く、容易かつ安価に製作でき、かつ多数の小穴3を設けていてもメンテナンスも簡単である。
【0057】
なお、モータ9は、円筒状容器1内に収容されている高分子溶液11の粘度に基づいて円筒状容器1の回転速度を制御できるように構成されており、これによって高分子溶液11の粘度に応じて必要な遠心力を高分子溶液11に作用させて、確実にかつ効率的にナノファイバーfを製造することができる。また、円筒状容器1自体を、内部に収容される高分子溶液11の粘度に基づいてその径を決定し、回転速度を極端に変化させることなく、高分子溶液11の粘度に応じて必要な遠心力を作用させることもできる。
【0058】
なお、以上の図示例では、反射電極16を円筒状容器1と絶縁された支持フレーム4に固定して配設し、第2の高電圧発生手段17で発生された高電圧を印加するようにした例を示したが、図5に示すように、反射電極16を回転筒体2の外周に固定するとともに導電部材15に電気的に接続し、第1の高電圧発生手段14で発生された円筒状容器1と同じ高電圧がともに印加されるようにしても良い。この場合、反射電極16も円筒状容器1と共に回転するが機能的には何ら影響はない。
【0059】
また、以上の説明では、円筒状容器1を、図6(a)に示すように、その軸方向が水平になるように配設した例を示したが、円筒状容器1の軸心の配設方向は任意で良く、例えば図6(b)に示すように、円筒状容器1の軸心を垂直方向に向け、高分子溶液11を下方から上向きに供給し、円筒状容器1の下側に配設された反射電極16にて生成されたナノファイバーfを上方に向けて流動させるように構成しても、図6(c)に示すように、高分子溶液11を上方から下向きに供給し、円筒状容器1の上側に配設された反射電極16にて生成されたナノファイバーfを下方に向けて流動させるように構成しても良い。これらの場合も、溶液供給管10の先端にL字屈曲部20が設けられ、円筒状容器1内に回転筒体2の挿入端部2aが突出していることで、高分子溶液11は円筒状容器1の向きに関わらず外部に漏れ出すことなく内部に供給され、円筒状容器1の高速回転による遠心力がその内周面の全体に供給され、全ての小穴3から略均等に流出される。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、本発明の高分子ウェブの製造装置の第2の実施形態について、図7〜図10を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明では、先行する実施形態と同一の構成要素については同一の参照符号を付して説明を省略し、主として相違点についてのみ説明する。
【0061】
上記実施形態では、高分子ウェブの製造量に基づいて所定量の高分子溶液11を円筒状容器1内に供給する例を説明したが、本実施形態は、円筒状容器1内に収容されている高分子溶液11の量を検出し、その検出結果に応じて供給ポンプ13を作動制御し、円筒状容器1内にほぼ一定量の高分子溶液11が収容されている状態となるようにしている。
【0062】
図7において、円筒状容器1内に高分子溶液11の量が所定の量になると接触して回転するように配設された回転板26と、この回転板26の回転を検出する回転検出手段27とから成る収容量検出手段25が設けられ、回転検出手段27の検出信号を制御部21に入力して供給ポンプ13の作動制御を行うように構成されている。これによって、簡単な構成によって円筒状容器1内の高分子溶液11の量を所定量に制御することができ、円筒状容器1内の高分子溶液11に一定の遠心力を作用させて、均一なナノファイバーfを製造することができる。
【0063】
収容量検出手段25の具体構成は、支持フレーム4に配設された軸受29にて回転自在に支持された軸体28が回転筒体2を貫通して円筒状容器1内に挿入され、その先端に回転板26が固定されている。回転板26は、図8(a)、(b)に示すように、外周部に回転方向と直交するように切り起し成形された羽根26bを有する円板26aにて構成されている。軸体28の他端には、図9(a)に示すように、周方向に複数の開口30aが等間隔に配置形成された検出板30が固定され、図9(b)に示すように、この検出板30の両側に開口30aを挟んで対向するように配設された投光器31aと受光器31bからなる光検出器31が配設され、これら検出板30と光検出器31にて回転検出手段27が構成されている。
【0064】
以上の構成において、供給ポンプ13により円筒状容器1内に高分子溶液11を供給してゆくと、図10に示すように、高分子溶液11の量が徐々に増加し、T1時点で高分子溶液11の量が所定のL1となると、その液面が回転板26に接触し、円筒状容器1の回転に連動して回転板26が回転を開始し、その回転が回転検出手段27にて検出され、その検出信号が制御部21に入力される。T2時点で、回転板26の回転数がF1を越えると、制御部21にて供給ポンプ13の動作がオフされ、高分子溶液11の供給が停止される。その後、高分子ウェブの製造に伴って円筒状容器1内の高分子溶液11の量が徐々に減少し、T3時点で高分子溶液11の量がL1まで低下すると、高分子溶液11の液面に回転板26が接触しなくなって回転板26の回転数が低下し、その後T4時点で回転板26の回転数がF2まで低下すると、再び供給ポンプ13による高分子溶液11の供給動作を行い、以後T1〜T4時点の動作を繰り返すことにより、円筒状容器1内の高分子溶液11の量が常にほぼ一定に制御される。
【0065】
本実施形態によれば、以上のように簡単な構成の収容量検出手段25を設けることによって、円筒状容器1内の高分子溶液11の量を所定量に制御することができるので、円筒状容器1内の高分子溶液11に一定の遠心力を作用させ、円筒状容器1の小穴3から押し出される高分子溶液11に作用する遠心力が一定し、高分子溶液11を均一に線状に流出させることができ、均一にナノファイバー及び高分子ウェブを製造することができる。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、本発明の高分子ウェブの製造装置の第3の実施形態について、図11を参照して説明する。
【0067】
本実施形態では、図11に示すように、円筒状容器1とその一側の反射電極16との間に送風手段34を配設している。具体的には、反射電極16と円筒状容器1との間の位置で回転筒体2に送風羽根35を取り付け、回転筒体2の回転に伴って、矢印Dの如く円筒状容器1の他側方に向けて送風するように構成されている。
【0068】
この構成によると、送風手段34による送風によって蒸発した溶媒が速やかに排出され、周辺の雰囲気中の溶媒濃度が高くならないため、溶媒の蒸発が円滑に行われて静電爆発作用が確実に得られ、所望のナノファイバーfが確実に生成される。また、生成工程中のナノファイバーfの流動方向をより効果的に偏向させる作用も得られる。
【0069】
(第4の実施形態)
次に、本発明の高分子ウェブの製造装置の第4の実施形態について、図12を参照して説明する。
【0070】
上記実施形態では、回転容器が円筒状容器1から成る例を示したが、その場合円筒状容器1の軸心方向一側の小穴3と他側の小穴3にて形成されるナノファイバーfの回転軸心に対する半径方向の位置が何れもほぼ同じ位置となり、これらの小穴3にて形成されるナノファイバーfが半径方向に重なり合い、ナノファイバーfの筒状流動域37の断面形状が幅の狭いドーナツ形状となり、均等に分布しない場合も考えられる。
【0071】
そこで、本実施形態では、図12に示すように、回転容器を接頭円錐筒状容器36にて構成することで、小穴3が回転容器の軸心方向の一側から他側に向けて回転半径が小さくなるように配置している。また、接頭円錐筒状容器36の軸心方向他側部におけるナノファイバーfの筒状流動域37の軸心空洞部に軸心集束電極38を配設するとともに、筒状流動域37の外周部に外周集束電極39を配設し、軸心集束電極38にはコレクタ18と同極でそれより低い電圧を印加し、外周集束電極39には接頭円錐筒状容器36や反射電極16と同極でそれより低い電圧を印加している。
【0072】
本実施形態によると、各小穴3から流出する高分子溶液が受ける遠心力の差によって一側の小穴3にて形成されるナノファイバーfは筒状流動域37の径方向外方位置を、他側の小穴3にて形成されるナノファイバーfは筒状流動域37の径方向内方位置を他側に向けて流動するので、各小穴3にて形成されたナノファイバーfが半径方向に重ならず、ナノファイバーfの流動域の断面形状を幅の狭いドーナツ形状から円形に近づけることができる。さらに、軸心集束電極38と外周集束電極39の少なくとも一方を配設することで、ナノファイバーfの筒状流動域37の断面形状の中心空洞部を一層小さくした形状にすることができ、さらに外周集束電極39の形状や配置を適宜に設定することで、ナノファイバーfの筒状流動域37を矩形状等の任意断面形状に集束させることも可能である。
【0073】
この第4の実施形態では、軸心集束電極38と外周集電電極39を用いて、コレクタ18にナノファイバーfを付着堆積させたが、これに限定するものではなく、図13に示すように、軸心集束電極38と外周集束電極がない場合においても、回転容器を接頭円錐筒状容器36にすると、円筒状容器の場合に比較して、ナノファイバーfを付着しない中心部分の面積が減少し、また付着堆積するナノファイバーfも均一に付着するようになる。
【0074】
(第5の実施形態)
次に、本発明の高分子ウェブの製造装置の第5の実施形態について、図14を参照して説明する。
【0075】
上記実施形態では、コレクタ18上にナノファイバーfを堆積させ、コレクタ18上に形成された高分子ウェブを回収し、またはコレクタ18上に高分子ウェブを形成すべき部材を配置し、高分子ウェブを形成して回収する例を示したが、本実施形態では、図14に示すように、コレクタ18上に沿ってナノファイバーfが付着堆積するシート材41を所定の速度で移動させるシート材移動手段42を設けている。このように構成すると、所要厚さの高分子ウェブが形成されたシートを連続的に製造することができる。
【0076】
(第6の実施形態)
次に、本発明の高分子ウェブの製造装置の第6の実施形態について、図15〜図17を参照して説明する。
【0077】
上記第5の実施形態では、シート材移動手段42にて平板状のコレクタ18の上面に沿ってシート材41を移動させるようにした例を示したが、本実施形態では円筒状容器1の径に比べて格段に大きな径と幅寸法を有するドラム状コレクタ43を採用し、ドラム状コレクタ43の外周の一部にシート材41を巻き付けた状態で、ドラム状コレクタ43の回転に伴ってシート材41を移動させるように構成している。すなわち、ドラム状コレクタ43が、コレクタとしての機能とシート材移動手段の両機能を果たしている。ドラム状コレクタ43は、円筒状容器1の軸心方向他側方に適当な距離をあけた位置で、円筒状容器1の回転軸心及びシート材41の移動方向と直交する軸心回りに矢印Q方向に所定の回転速度で回転駆動される。シート材41はシート供給ロール44からドラム状コレクタ43の外周に供給され、ナノファイバーfからなる高分子ウェブWが堆積された状態で、シート巻取ロール45にて巻き取られる。シート材41は、ドラム状コレクタ43の円筒状容器1に対向する位置よりもシート材移動方向上手側に適当距離離れた位置でドラム状コレクタ43の外周に対する巻き付けを開始し、シート材移動方向下手側に適当距離離れた位置でドラム状コレクタ43の外周から離れる。
【0078】
また、本実施形態では、支持フレーム4上で、円筒状容器1を回転駆動可能に支持している回転筒体2の一側部に送風ファン46を配設し、円筒状容器1の一側方から他側方に向けて矢印Dのように送風し、この送風と、円筒状容器1とドラム状コレクタ43の間の電界によってナノファイバーfを矢印Fのように偏向流動させるようにしている。また、本実施形態では、支持フレーム4、回転筒体2、及び円筒状容器1を含むナノファイバー製造装置50の全体を接地電位とし、ドラム状コレクタ43に第3の高電圧発生手段19にて高電圧を印加している。
【0079】
このような構成において、例えば円筒状容器1の直径を30mm、円筒状容器1の他端とドラム状コレクタ43の外周との間の距離を500mmとし、高分子物質がPVA(ポリビニルアルコール)10%、溶媒が水90%から成る高分子溶液11を用い、円筒状容器1を3000rpmで回転させてナノファイバーfを生成し、ドラム状コレクタ43上に10分間堆積させる実験を行ったところ、図16に示すように、堆積分布が中央の頂部に若干の凹みを有する半径が500mm程度の略台形状を呈し、最大200μm程度の堆積量の堆積状態となることが確認された。
【0080】
ここで、上記堆積分布の頂部における堆積量の略均等な範囲の寸法よりも大きい幅寸法の高分子ウェブWを1回の製造工程で製造するため、本実施形態では、ナノファイバー製造装置50を堆積移動手段51にて、ドラム状コレクタ43の軸心方向、すなわちシート材41の幅方向と平行な矢印S方向に往復移動させるように構成している。
【0081】
なお、図15の例では、ドラム状コレクタ43の外周にシート材41を配置し、シート材41上にナノファイバーfを堆積させてシート材41に担持された高分子ウェブWを製造するようにした例を示したが、ドラム状コレクタ43の外周に直接ナノファイバーfを堆積させ、製造された高分子ウェブWをドラム状コレクタ43の回転方向下手側で外周から剥がし取って回収するようにすることもできる。
【0082】
また、図15の例では、円筒状容器1を固定した回転筒体2を支持フレーム4にて回転自在に支持するとともに、その側部に配置したモータ9にて回転駆動するようにし、また送風ファン46を回転筒体2の一側部に配設した例を示したが、生成されたナノファイバーfをより効果的に偏向流動させるため、ナノファイバー製造装置50を図17に示すような構成とするのが好適である。
【0083】
図17において、円筒状容器1の一側端の開口部を通して円筒状容器1内の軸心位置を貫通し、他側壁内面に固定された回転軸52が回転駆動部53にて回転駆動可能に支持されている。回転駆動部53は、支持筒体54内に回転駆動手段としてのモータ9と回転軸52を回転自在に支持する軸受55が軸心方向に並列配置して内蔵され、モータ9の出力軸と回転軸52が軸継手56にて連結されている。支持筒体54は、その外周から放射状に配設された複数枚の整流板57を介して風洞筒体58内に同芯状に配設されて支持されている。風洞筒体58は、円筒状容器1とは反対側に向けて径が絞られた接頭円錐部58aを介してファン配置筒部58bが設けられ、送風ファン59が内蔵されている。このナノファイバー製造装置50が、風洞筒体58の下端から垂下された取付脚60にて堆積移動手段51の移動体51aに固定されて、ドラム状コレクタ43の軸心方向に移動可能に支持されている。なお、円筒状容器1内への高分子溶液11の供給は、回転軸52と円筒状容器1の一側端の開口部との隙間を通して溶液供給管10(図示せず)を通して行うのが好適である。
【0084】
この構成によれば、ナノファイバー製造装置50がコンパクトなユニットに構成できるとともに、送風ファン59による風が、風洞筒体58にて効率的に送風されるとともに、整流板57にて周方向に複数に分割形成された送風路を通ることで周方向に均一に安定して流れるように整えられて円筒状容器1の外周の全周に均一に送風されるので、生成されたナノファイバーfをより効果的に偏向流動させることができる。
【0085】
以上の各実施形態の説明では、回転容器として軸心周りに回転駆動される円筒状容器1や接頭円錐筒状容器36などの筒状容器の例を示したが、必ずしも筒状容器に限定されるものではなく、要するに高分子溶液11を収容して回転し、遠心力で小穴3から高分子溶液11を流出させて高分子線状体を形成する機能を有するものであれば任意の形状に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のナノファイバー及び高分子ウェブの製造方法と装置によれば、回転容器の複数の小穴から流出した線状の高分子溶液からサブミクロンの直径を有する高分子物質から成るナノファイバーが効率的に製造され、さらに生成されるナノファイバーが回転容器の軸心方向に偏向させて流動されるので、ナノファイバーを所要の範囲内に容易に収集して高分子ウェブを製造することができ、また適正なナノファイバーだけが偏向して流動し、品質の良いナノファイバーだけが収集されるので、フィルタや電池のセパレータや燃料電池の高分子電解質膜や電極等に好適に適用される高多孔性ウェブを高い生産性をもって製造するのに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施形態における高分子ウェブの製造装置の斜視図。
【図2】同実施形態における高分子ウェブの製造装置の縦断正面図。
【図3】同実施形態における高分子ウェブの製造状態を示す斜視図。
【図4】同実施形態の制御構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態の他の構成例を示す縦断正面図。
【図6】(a)〜(c)は同実施形態の高分子ウェブの製造装置の各種配置構成を示す縦断正面図。
【図7】本発明の第2の実施形態における高分子ウェブの製造装置の縦断正面図。
【図8】同実施形態における回転板を示し、(a)は側面図、(b)は正面図。
【図9】同実施形態における回転検出手段を示し、(a)はその検出板の正面図、(b)は回転検出手段の側面図。
【図10】同実施形態における高分子溶液量の制御動作の説明図。
【図11】本発明の第3の実施形態における高分子ウェブの製造装置の斜視図。
【図12】本発明の第4の実施形態における高分子ウェブの製造装置の概略構成を示す縦断正面図。
【図13】同実施形態における高分子ウェブの製造装置の変形構成例を示す縦断正面図。
【図14】本発明の第5の実施形態における高分子ウェブの製造装置の斜視図。
【図15】本発明の第6の実施形態における高分子ウェブの製造装置の斜視図。
【図16】ナノファイバーの堆積状態の説明図。
【図17】同実施形態におけるより好適な高分子ウェブの製造装置の概略構成図。
【図18】従来例の高分子ウェブの製造装置の概略構成図。
【図19】同従来例の他の構成例の要部構成を示し、(a)は正面図、(b)は部分拡大下面図。
【図20】同従来例における問題点の説明図。
【図21】同従来例における更なる問題点の説明図。
【符号の説明】
【0088】
1 円筒状容器(回転容器)
3 小穴
9 モータ(回転駆動手段)
10 溶液供給管
11 高分子溶液
13 供給ポンプ(高分子溶液供給手段)
14 第1の高電圧発生手段
16 反射電極
17 第2の高電圧発生手段
18 コレクタ
19 第2の高電圧発生手段
20 L字屈曲部
21 制御部
25 収容量検出手段
34 送風手段
36 接頭円錐筒状容器(回転容器)
37 筒状流動域
38 軸心集束電極
39 外周集束電極
41 シート材
42 シート材移動手段
43 ドラム状コレクタ
46 送風ファン
50 ナノファイバー製造装置
51 堆積移動手段
53 回転駆動部
59 送風ファン
f ナノファイバー
W 高分子ウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の小穴を有する導電性の回転容器内に、高分子物質を溶媒に溶解した高分子溶液を供給しつつ回転容器を回転させ、回転容器の小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させ、流出した線状の高分子溶液を遠心力と溶媒の蒸発に伴う静電爆発にて延伸させて高分子物質から成るナノファイバーを生成するナノファイバー生成工程と、生成工程中のナノファイバーを回転容器の軸心方向の一側方から他側方に向けて偏向させて流動させる偏向流動工程とを有することを特徴とするナノファイバーの製造方法。
【請求項2】
偏向流動工程は、回転容器の軸心方向一側部に配設した反射電極に、高分子溶液の帯電電荷と同極の電圧を印加してナノファイバーを偏向させて流動させることを特徴とする請求項1記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項3】
偏向流動工程は、回転容器の軸心方向一側から送風してナノファイバーを偏向させて流動させることを特徴とする請求項1又は2記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項4】
周方向に複数に分割形成された送風路を有する筒状の風洞を通して回転容器の軸心方向一側から回転容器の周囲に送風することを特徴とする請求項3記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項5】
回転容器は、周面に複数の小穴を有し、軸心回りに回転する筒状容器であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに1つに記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項6】
回転容器の小穴は、回転容器の軸心方向の一側から他側に向けて回転半径が小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項7】
回転容器の軸心方向他側部におけるナノファイバーの筒状流動域の軸心部と外周部の少なくとも一方に配設した集束電極にてナノファイバーの筒状流動域を集束させることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項8】
ナノファイバー生成工程中、回転容器内にほぼ一定量の高分子溶液が収容されている状態にすることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項9】
回転容器内に収容されている高分子溶液の量を検出し、回転容器内にほぼ一定量の高分子溶液が収容されている状態となるように、回転容器内への高分子溶液の供給量を制御することを特徴とする請求項8記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項10】
回転容器内に収容されている高分子溶液の粘度に基づいて回転容器の回転速度を制御することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項11】
回転容器内に収容されている高分子溶液の粘度に基づいて回転容器の回転軸心と小穴間の半径距離を決定することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載のナノファイバーの製造方法。
【請求項12】
回転容器に対してその軸心方向他側方に間隔をあけて配置した導電性のコレクタに、ナノファイバーの帯電電荷に対して電位差を有する電圧を印加若しくはコレクタを接地し、請求項1〜11の何れか1つに記載のナノファイバーの製造方法にて生成されたナノファイバーをコレクタ上に堆積させて高分子ウェブを製造することを特徴とする高分子ウェブの製造方法。
【請求項13】
コレクタ上でナノファイバーが付着堆積するシート材を所定の速度で移動させることを特徴とする請求項12記載の高分子ウェブの製造方法。
【請求項14】
ナノファイバーを生成してコレクタに向けて流動させるナノファイバー生成部を、少なくともコレンタの一辺と平行な方向又はシート材の移動方向と直交する方向に相対的に往復移動させることを特徴とする請求項12又は13記載の高分子ウェブの製造方法。
【請求項15】
回転自在に支持されるとともに回転軸心から径方向に距離をあけて複数の小穴を有する導電性の回転容器と、回転容器内に溶媒に高分子物質を溶解した高分子溶液を供給する高分子溶液供給手段と、回転容器を回転駆動する回転駆動手段と、回転容器の小穴から流出する高分子溶液に電荷を帯電させる帯電手段と、回転容器の軸心方向一側に配置され、回転容器の小穴から帯電して流出する高分子溶液にて生成されるナノファイバーを回転容器の軸心方向他側方に向けて偏向させて流動させる偏向流動手段と、高分子溶液供給手段と回転駆動手段と帯電手段と偏向流動手段を制御する制御部とを備えたことを特徴とするナノファイバーの製造装置。
【請求項16】
偏向流動手段は、回転容器の小穴から流出する高分子溶液の帯電電荷と同極の電圧を印加された反射電極を有していることを特徴とする請求項15記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項17】
偏向流動手段は、回転容器の軸心方向一側方から他側方に向けて送風する送風手段を有していることを特徴とする請求項15又は16記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項18】
偏向流動手段は、送風手段からの風を、周方向に複数に分割形成された送風路を通して回転容器の周囲に送風する筒状の風洞を有していることを特徴とする請求項17記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項19】
回転容器を、周面に複数の小穴を有する筒状容器にて構成したことを特徴とする請求項15〜18の何れか1つに記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項20】
回転容器は、小穴を回転容器の軸心方向の一側から他側に向けて回転半径が小さくなるように配置した構成としたことを特徴とする請求項15〜19の何れか1つに記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項21】
回転容器の軸心方向他側部におけるナノファイバーの筒状流動域の軸心部と外周部の少なくとも一方に、ナノファイバーの筒状流動域を集束させる集束電極を配設したことを特徴とする請求項15〜20の何れかに1つに記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項22】
高分子溶液を供給する供給管を円筒容器の一端の軸心開口部から挿入配置し、この供給管の先端部を円筒容器内で略L字状としたことを特徴とする請求項15〜21の何れかに1つに記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項23】
回転容器内に収容されている高分子溶液の量を一定に制御する手段を有することを特徴とする請求項15〜22の何れかに記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項24】
回転容器内の高分子溶液量を一定に制御する手段は、回転容器内に収容されている高分子溶液の量を検出する収容量検出手段と、検出した収容量に基づき、高分子溶液供給手段を制御する供給量制御手段を備えていることを特徴とする請求項23記載のナノファイバーの製造装置。
【請求項25】
請求項15〜24の何れか1つに記載のナノファイバーの製造装置を適用した高分子ウェブの製造装置であって、回転容器に対してその軸心方向他側方に間隔をあけて、導電性を有しかつナノファイバーの帯電電荷に対して電位差を有する電圧を印加若しくは接地されたコレクタを配設したことを特徴とする高分子ウェブの製造装置。
【請求項26】
ナノファイバーが付着堆積するシート材をコレクタ上を所定の速度で移動させるシート材移動手段を設けたことを特徴とする請求項25記載の高分子ウェブの製造装置。
【請求項27】
ナノファイバーを生成してコレクタに向けて流動させるナノファイバーの製造装置を、少なくともコレンタの一辺と平行な方向又はシート材の移動方向と直交する方向に相対的に往復移動させる堆積移動手段を設けたことを特徴とする請求項25又は26記載の高分子ウェブの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−150769(P2008−150769A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303536(P2007−303536)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的部材産業創出プログラム/新産業創造高度部材基盤技術開発/先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」にかかる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】