説明

ナノファイバー補強透明複合材

【課題】キチン又はキトサンのナノファイバーを補強繊維として用いた透明複合材であって、広い範囲の樹脂屈折率において高い透明性を発揮でき、フレキシブルであり、機械強度、軽量性、表面平滑性、耐熱性、耐UV性等を発揮する新規複合材を提供する。
【解決手段】少なくとも3官能のものを含むアルコキシシラン又は少なくとも3官能のものを含むクロロシランを酸性又はアルカリ性条件下で加水分解、縮合し、得られた反応混合物から得られるラダー型又はランダム型を主とする硬化性シリコン樹脂混合物を、キチンナノファイバー及びキトサンナノファイバーから選択される少なくとも1種のナノファイバーに含浸させてなるナノファイバー補強透明複合材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キチン又はキトサンのナノファイバーとシリコン樹脂とからなる繊維補強型透明複合材に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD、PDP、有機EL、電子ペーパー、タッチパネル等の表示デバイス用基板として、透明性、耐熱性、低吸水性、表面硬度、信頼性等の観点から、一般的にガラスが用いられている。しかし、近年LCDを始めとした表示デバイスは、より一層の薄型・軽量化やフレキシビリティーが求められており、デバイスの中で大きな重量を占めているガラス基板の軽量化が課題となっている。
【0003】
このような要求に対しては、ガラスの薄型加工による対応も検討されているが、一定の強度を保つ観点からは限界がある。さらに、薄く、軽く、割れにくい表示デバイスを一層安価に製造するために、印刷技術を応用して電子回路を形成する「プリンテッドエレクトロニクス」と呼ばれる技術によるロールtoロール方式での製造プロセスの検討も行われており、ガラスの持っているような信頼性に加え、フレキシビリティーと強度を兼ね備えた軽量な基板の要求は高い。
【0004】
そこで、このような要求を満たすことができるガラス代替の軽量な材料として、種々の透明樹脂の開発が行われている。このようなガラス代替の透明樹脂は、表示デバイス等の電子材料のみならず、自動車産業、例えば、自動車用ガラスの樹脂化による軽量化、等においても要求が高まっている。
【0005】
表示デバイスの基板に用いられる樹脂としては、例えば、脂環式エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤、硬化触媒からなる熱硬化性組成物(例えば、特許文献1参照。)や熱可塑性樹脂フイルム(例えば、特許文献2参照。)等が検討されている。また、非晶質の熱可塑性樹脂及び活性エネルギー線硬化の可能なビス(メタ)アクリレートからなる樹脂組成物が検討されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、一般に有機系の樹脂は、ガラスに比べ線膨張係数が大きく、寸法安定性が悪いことから、高度な位置合わせが必要となる表示デバイスの製造工程で問題が生じることが多く、さらには、膨張による反りやアルミ配線の断線等が生じるという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する手段として、ガラスフィラーやガラス繊維(ガラスクロス)等に樹脂を含浸させ、シート状に成型した繊維補強型複合材の検討も行われている(例えば、特許文献4、5参照。)。しかしながら、このようなガラス繊維と樹脂との複合材において、高度な透明性を得るためには、ガラス繊維と樹脂の屈折率及びアッベ数を厳密に合わせる必要があるが、ガラスを構成しているケイ酸塩の組成の僅かな違いにより屈折率が変動するため、樹脂との複合材において、安定した品質の透明基板を製造することは極めて難しい。また、このような複合材においては、ガラスクロスを用いることが一般的であるが、ガラスクロスのアンジュレーションのために、表面平滑性を確保することが難しく、高度な表面平滑性が必要とされる表示デバイス用基板材料としては問題が生じることが多い。
【0007】
ガラス繊維の代わりにキチンナノファイバーを用いたアクリル系樹脂フィルムが透明でしかも熱膨張を押さえ込むことができる材料として提案されている(例えば非特許文献1参照。)。該文献には、アクリルモノマーをキチンナノファイバーに60%程度含浸させ、紫外線照射重合させたフィルムの600nm光透過率が89.8%であったことが示されている。これは樹脂のみの光透過率より1.5%程低いだけの高い透明性であることを示している。また、キチンナノファイバー補強樹脂フィルムの光透過率と使用する樹脂の屈折率との関係として、樹脂屈折率が約1.49の場合に光透過率が約72%であり、樹脂屈折率が1.49から高くなるにつれてキチンナノファイバー補強樹脂フィルムの光透過率が右肩上がりに上昇し、樹脂屈折率が約1.50で約80%、樹脂屈折率が約1.52で約86%、そして樹脂屈折率が約1.53〜1.54にかけて約89%のプラトーに達し、樹脂屈折率がさらに高くなるにつれて、今度は光透過率が急激に低下し、樹脂屈折率が約1.56でキチンナノファイバー補強樹脂フィルムの光透過率が約83%になったことを観察している。この観察を解釈して該文献には、様々な屈折率を持つ樹脂を用いても高い透明度を保持することができたと指摘している。確かに、樹脂屈折率が1.53〜1.54にかけての範囲でナノファイバーと樹脂との屈折率差の変化によらずに光透過率が約89%を維持し、高い透明度を達成したことが示されている。そして、このことから、透明材料の作成において用途に応じて多彩な種類の樹脂を選択することができると指摘している。しかしながら、該文献には、キチンナノファイバーを用いて樹脂屈折率が1.53〜1.54の範囲外においても高い透明度を確保することができるとは記載されておらず、ガラス繊維を使用した場合ほどには厳密な屈折率合わせの必要がないとしても、上記よりもさらに広い範囲の樹脂屈折率でも高い透明度を実現できるか否かについては、なんら開示も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−337408号公報
【特許文献2】特開平07−120740号公報
【特許文献3】特開平10−77321号公報
【特許文献4】特開2004−231934号公報
【特許文献5】特開2007−217673号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】伊福 伸介著、月刊ディスプレイ、テクノタイムス社、2010年3月号、54−61頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、キチン又はキトサンのナノファイバーを補強繊維として用いた透明複合材であって、広い範囲の樹脂屈折率において高い透明性を発揮でき、フレキシブルであり、機械的強度、軽量性、表面平滑性、耐熱性、耐UV性、耐薬品性等を発揮する新規複合材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、少なくとも3官能のものを含むアルコキシシラン又は少なくとも3官能のものを含むクロロシランを酸性又はアルカリ性条件下で加水分解、縮合し、得られた反応混合物からなるシリコン樹脂混合物を、キチンナノファイバー及びキトサンナノファイバーから選択される少なくとも1種のナノファイバーに含浸させてなるナノファイバー補強透明複合材である。
本発明はまた、上記複合材を用いた表示デバイス基板である。
本発明はまた、上記複合材を用いた構造材でもある。
【発明の効果】
【0012】
上述の構成により、本発明の複合材は、シリコン樹脂混合物が、キチン又はキトサンのナノファイバーに対する含浸性、密着性が良好であり、広い範囲の樹脂屈折率において高い透明性(すなわち、高い光透過率、かつ、低いヘイズ値)を実現し、しかも耐熱性、機械的強度に優れ、線膨張係数の低い複合材料を得ることができる。
また、本発明の複合材は、シリコン樹脂混合物が広い範囲で屈折率の調整が容易であり、さらに、キチン又はキトサンのナノファイバーの屈折率が安定していることから、広い範囲の屈折率において高度な透明性を有する複合材を安定的に製造することが可能である。
従って、本発明によって、表示デバイス用を初めとするガラス基板代替の樹脂基板や自動車用ガラス代替の透明樹脂等として好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明におけるシリコン樹脂混合物は、少なくとも3官能のものを含むアルコキシシラン又は少なくとも3官能のものを含むクロロシランを酸性又はアルカリ性条件下で加水分解、縮合して得られる反応混合物である。3官能性シランのみを加水分解、縮合して得られるシリコン化合物は、シルセスキオキサン化合物と称され、かご型、梯子型、ランダム型などの構造を有するものが知られている。本発明におけるシリコン樹脂混合物としては、梯子型やランダム型の構造を有する樹脂を主成分とするものである。このような本発明におけるシリコン樹脂混合物は、アルコキシシランやクロロシランを酸性若しくはアリカリ性条件下で加水分解、縮合反応を同時に行う、又は、アルコキシシランやクロロシランを酸性若しくはアリカリ性条件下で加水分解した後、シラノールを含有する中間体を単離することなくさらに縮合を行うことで得られる。従って、特開2009−167390号公報に記載のダブルデッカータイプのシリコン樹脂等のような、多段階の合成工程により製造され、特定構造の化合物のみを含有するシリコン樹脂は含まない。
【0014】
上記アルコキシシランとしては、1分子中にアルコキシシリル基を3つ含有するアルコキシシラン(本明細書中、3官能のアルコキシシランともいう。1〜4官能のアルコキシシランもこれに準じる。)としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、s−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0015】
上記3官能のアルコキシシランは原料アルコキシシラン化合物中の10〜100重量%使用することが好ましい。より好ましくは30〜95重量%である。
【0016】
上記3官能のアルコキシシラン以外に、原料のアルコキシシラン化合物中の90重量%以下の、50重量%以下の、又は10重量%以下、1、2又は4官能のシラン化合物を使用してもよい。上記3官能以外のアルコキシシラン化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
【0017】
上記クロロシランとしては、1分子中にクロル基を3つ含有するクロロシラン(本明細書中、3官能のクロロシランともいう。1〜4官能のクロロシランもこれに準じる。)としては、例えば、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、イソブチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、アリルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等を挙げることができる。
【0018】
上記3官能のクロロシランは原料クロロシラン化合物中の10〜100重量%使用することが好ましい。より好ましくは30〜95重量%である。
【0019】
上記3官能のクロロシラン以外に、原料クロロシラン化合物中の、好ましくは90重量%以下の、より好ましくは5〜75重量%の、1、2又は4官能のシラン化合物を使用してもよい。上記3官能以外のクロロシラン化合物としては、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、ジイソプロピルジクロロシランを挙げることができる。
【0020】
上記シリコン樹脂には、硬化性を付与する官能基(以下、単に硬化基ともいう。)を有することが好ましい。上記硬化基としては、例えば、エポキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、オキセタニル基等の環状エーテル基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基等を挙げることができる。上記硬化基をシリコン樹脂に導入する方法としては、硬化基含有シラン化合物を原料シラン化合物の全部又は一部として使用する方法、シリコン樹脂にヒドロシリル化反応等の手法により硬化基含有化合物を導入する方法等を挙げることができる。これらの手法はいずれも公知の方法を用いることができる。ヒドロシリル化反応の手法については例えば特開2009−173910号公報に記載された手法を用いることができる。
【0021】
上記シリコン樹脂の硬化方法は特に限定されず、熱硬化又はUV硬化、あるいはそれらの複合方法であっても良い。
【0022】
上記硬化基含有シラン化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0023】
上記硬化基含有シラン化合物の原料シラン化合物中の配合割合は、10〜100重量%が好ましく、30〜95重量%がより好ましい。
【0024】
上記シリコン樹脂混合物は、その常温(例えば25℃)での樹脂粘度がナノファイバーへの含浸性に優れているので、重量平均分子量が1500〜30000であることが好ましい。重量平均分子量はGPC法により測定される。
【0025】
上記シリコン樹脂混合物の製造においては、反応温度20〜120℃が好ましく、40〜80℃がより好ましい。反応時間は30〜300分が好ましく、60〜180分がより好ましい。酸性またはアルカリ条件で加水分解、縮合を行うために、反応には触媒を用いてもよい。
【0026】
上記触媒としては、有機酸や無機酸、有機塩基や無機塩基が挙げられる。
【0027】
有機酸としては、ギ酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、スルホン酸、酒石酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が例示できる。無機酸としては、塩酸、リン酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、フッ酸等を挙げることができる。これらの中でも、触媒活性の観点から、ギ酸、酢酸、塩酸、硝酸が好ましい。
【0028】
有機塩基としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類が挙げられる。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物を挙げることが出来る。これらの中でも、触媒活性の観点から、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
【0029】
触媒の配合量としては、原料シラン化合物100重量部に対して0.05〜5重量部が好ましい。
【0030】
また、必要に応じて溶媒を使用してもよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの溶媒が例示される。これら溶媒は単独でまたは二種類以上混合して使用することができる。
【0031】
加水分解、縮合ののち、適宜、溶剤で反応混合物を希釈後、水洗、吸着材処理、ろ過などの常法により反応系から反応触媒などを除去することで、目的の樹脂混合物の溶液を得ることが出来る。また、この樹脂混合物の溶液から、溶剤を除去することで、半液状から固形状の、目的の樹脂混合物が得られる。
【0032】
この反応によって、主として(例えば、樹脂混合物中の80重量%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上)得られる構造は、ラダー型やランダム型である。副次的に得られる籠型や不完全籠型のシリコン樹脂が樹脂混合物中に含有されていてもかまわない。
【0033】
本発明におけるナノファイバーは、キチン又はキトサンのナノファイバーである。キトサンのナノファイバーとしては、キチンナノファイバーの表面がキトサンに変換されたナノファイバーであることが好ましい(本明細では表面キトサン化キチンナノファイバーと呼ぶ)。ナノファイバーは、直径がナノメートル単位で表されるものであり、1ミクロン又はそれより細いのであるが、一般的には1nm〜100nm程度の太さであって、アスペクト比が100以上のものを指していると当業者には了解されている。本明細書でも単にナノファイバーというときは、直径が1〜100nmでアスペクト比が100以上であるものをいう。本発明におけるキチン又はキトサンのナノファイバーは、製造方法にもよるが、直径が、5〜50nmが好ましく使用され、10〜20nmがより好ましい。またアスペクト比は、100〜1000が好ましく、下限は500以上がより好ましい。
【0034】
キチンはN−アセチル−D−グルコサミンを主要な構成成分とするアミノ多糖類であり、キチンナノファイバーはキチン鎖が数十〜百数十本が平行に配列した伸びきり鎖結晶を形成してなる。キトサンは、D−グルコサミンを主要な構成成分として含有するものであり、一般には、キチンをアルカリ処理してN−アセチル−D−グルコサミン単位中のアセチル基を除くことにより得ることができる。表面キトサン化キチンナノファイバーは、キチンをアルカリ処理した後、解繊することにより調製される。表面キトサン化キチンナノファイバーの表面はキトサンに変換されているが、内部はキチンナノファイバーの結晶構造が保持されている。
【0035】
キチンナノファイバーの製造方法としては、具体的には、例えば、以下に述べる方法を挙げることができる。すなわち、原料として、天然に存在するキチン含有材料を準備し、キチンナノファイバーを単離する。キチン含有材料としては、動物界、菌界、植物界由来のものが使用可能であり、例えば、カニ、エビ、昆虫等の外殻又は外皮、カビ、キノコ、藻類等を挙げることができる。カニやエビの外殻は産業廃棄物として扱われることが多く、入手容易でしかも有効利用の観点から、出発原料として好ましい。カニ殻を原料とする場合を例示すると、まず、1N塩酸、2N水酸化ナトリウム、エタノールで順次処理してキチンを精製する。精製したカニ殻(キチン)に、つぎに、酢酸を添加してグラインダーやホモジェナイザーで解繊処理する。具体的には、例えば、精製したキチンを水に分散させ、酢酸を添加した後、例えば、スーパーマスコロイダー(増幸産業製)を用いて解繊し、キチンナノファイバーが得られる。酸は酢酸に限らず、多彩な有機酸および無機酸を使用しても良い。また、解繊処理は物理的な負荷をかけることが重要であるため、スーパーマスコロイダーに限らず、超音波ホモジナイザーや高速ブレンダーなどの各種ホモジナイザーを使用することができる。こうして直径が10〜20nmのキチンナノファイバーを得ることができる。こうした天然由来のキチン含有材料を用いる処理において、製造工程においてキチンを乾燥させることなく、未乾燥状態で一連の処理を行う方法であってもよく、又は、キチンを精製取得した段階で乾燥させたものを解繊処理の対象としてもよい。キチンを精製後に一旦乾燥させることにより、保管や輸送の面で有利となり、製造コストを抑えることが可能である。また、乾燥キチンを解繊処理しても、上記の酢酸を使用する方法によれば、充分に高品質のキチンナノファイバーを得ることができる。
【0036】
キトサンナノファイバーの製造方法としては、例えば、精製したキチンを水酸化ナトリウム水溶液中で加熱処理する方法が挙げられる。水酸化ナトリウムの濃度は40%以上の場合はキチン表面に止まらず、内部まで脱アセチル化が進行し、キチンの溶解、結晶性の低下、各種物性の低下等が起こるため、不都合である。それゆえ、水酸化ナトリウムの濃度は5〜30%程度が好ましく、20〜30%程度がより好ましい。脱アセチル化処理を施したキチンを水に分散させ、酢酸を添加した後、例えば、スーパーマスコロイダー(増幸産業製)を用いて解繊し、表面キトサン化キチンナノファイバーが調製される。
【0037】
キチン又はキトサンのナノファイバーの形態としては、例えば、不織布、フレーク、パウダー等の形態を挙げることができる。
【0038】
本発明の複合材において、上記シリコン樹脂混合物対上記ナノファイバーの配合割合は重量比で、10:90〜90:10が好ましく、30:70〜80:20がより好ましい。ナノファイバーが重量比で10より少ないと線膨張係数が大きくなり、重量比で90を超えると本発明の複合材の機械強度が低下する。
【0039】
本発明において、シリコン樹脂混合物は硬化基を含有していなくてもよいが、硬化基を含有していてもよい。硬化基を含有する場合には、硬化剤と必要により硬化触媒を用いるか、又は、硬化剤を使用せずに重合開始剤を配合することができる。重合開始剤を含有し、硬化剤を含有しない組成物の場合は、硬化剤成分を含有する組成物よりもシリコン樹脂混合物の組成物中の割合を高くすることができ、また硬化剤を含有しないことから、シリコン樹脂の特質が発揮しやすいという利点があり、一方、硬化剤を含有し、重合開始剤を含有しない組成物の場合は、硬化剤の種類を選択して組成物の硬化性を調節しやすいという利点がある。
【0040】
上記重合開始剤は、環状エーテル基の開環重合又は、不飽和結合のラジカル重合の開始剤として作用する化合物であればよく、例えば、環状エーテル基のカチオン重合開始剤があり、具体的には、四級アンモニウム塩、三級アミン塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。また、不飽和結合のラジカル重合開始剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、キサントン化合物、α−アミノアルキルフェノン化合物等が挙げられる。
【0041】
上記四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート等が挙げられる。
【0042】
上記三級アミン塩としては、例えば、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−ベンジルトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0043】
上記ホスホニウム塩としては、例えば、エチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0044】
上記スルホニウム塩としては、例えば、旭電化工業(株)製のオプトマーSP150、オプトマーSP170、オプトマーSP172、アデカオプトンCP−66、アデカオプトンCP−77、三新化学(株)製のサンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、ユニオンカーバイド(株)製のCYRACURE
UVI−6974等が挙げられる。
【0045】
上記ジアゾニウム塩としては、例えば、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0046】
上記ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、ビス(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート、フェニル(4―メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルシネート等が挙げられる。
【0047】
上記ベンゾイン化合物の具体例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0048】
上記アセトフェノン化合物の具体例としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が挙げられる。
【0049】
アントラキノン化合物の具体例としては、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等が挙げられる。
【0050】
チオキサントン化合物の具体例としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
【0051】
ケタール化合物の具体例としては、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0052】
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィド等が挙げられる。
【0053】
α−アミノアルキルフェノン化合物の具体例としては、例えば、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
【0054】
上記重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】
上記重合開始剤としては、なかでも、スルホニウム塩が好ましい。
【0056】
上記重合開始剤の配合量は、上記シリコン樹脂混合物の環状エーテル基量にもよるが、通常は、シリコン樹脂混合物100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜2重量部がより好ましい。
【0057】
上記硬化剤とは、環状エーテル基と反応可能な官能基を含有する化合物を言う。このような化合物としては、エポキシ樹脂硬化剤として公知の各種化合物を使用することができ、例えば、酸無水物(例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等が挙げられる)、フェノール化合物(例えば、ビスフェノールAやビスフェノールFのようなビスフェノール化合物、フェノールノボラック、クレゾールノボラックやビスフェノールA型ノボラック樹脂等のノボラック樹脂、2−(4−(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のトリスフェノール型化合物)等が挙げられる。
【0058】
硬化剤の配合量は、硬化剤の反応性官能基(例えば、酸無水物であれば、酸無水物基、フェノール化合物であれば、フェノール性水酸基)1モルに対してエポキシ基0.5〜2.0モルが好ましく、より好ましくは0.8〜1.3モルである。
【0059】
上記硬化触媒としては、例えば、イミダゾール化合物、3級アミン類、有機ホスフィン化合物類またはこれらの塩類等が挙げられる。具体的には例えば、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。また、有機リン化合物を使用することができ、その具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(p−トルイル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等のトリオルガノホスフィン化合物やテトラフェニルホスホニウムブロマイド(TPP−PB)、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等の4級ホスホニウム塩等のオルガノホスフィン類及びその誘導体が挙げられる。3級アミン類としては、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノ)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン等を挙げることができる。これらの化合物は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上を併用して使用することもできる。
【0060】
硬化触媒の添加量としては、例えば、硬化性樹脂組成物中の環状エーテル基を含有する化合物100重量部に対して、0.1から20重量部が好ましく、0.5から10重量部がさらに好ましい。
【0061】
本発明の複合材は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない種類の物質又は本発明の効果に悪影響を及ぼさない量の他の物質の存在を排除しない。
【0062】
本発明の効果に悪影響を及ぼさない種類の物質としては、例えば、硬化性組成物から得られる硬化物の架橋密度を調整したり、硬化性組成物中のエポキシ基や不飽和結合等の反応性官能基の含有量を調整する目的を達成するためのエポキシ樹脂や(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0063】
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂等が例示される。その配合量としては、一般には樹脂成分100重量部あたり、5〜50重量部である。
【0064】
上記(メタ)アクリレート化合物としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリイソプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。このような(メタ)アクリレート化合物の配合量としては、シリコン樹脂混合物100重量部あたり、5〜200重量部である。
【0065】
上記ウレタンアクリレートとしては、例えば、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとを反応させて得られる化合物を挙げることができる。ここで、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレートなどが挙げられる。これらのヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0066】
また、ポリイソシアネートとしては、脂肪族系、芳香族系および脂環式系のいずれのポリイソシアネートでもよく、例えば、メチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、メチレンビスフェニルジイソシアネートなどを挙げることができる。これらのポリイソシアネートは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのポリイソシアネートのうち、無黄変ウレタンとなるものが好適である。
【0067】
ウレタン(メタ)アクリレートは、各種の市販品を利用することもできる。ウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、EBECRYLシリーズ(ダイセル・サイテック株式会社製)、紫光シリーズ(日本合成化学工業株式会社製)、ニューフロンティアR−1000シリーズ(第一工業製薬株式会社製)、UA−306H、UF−8001(共栄社化学株式会社製)、NKオリゴUシリーズ、NKオリゴUAシリーズ(新中村化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
【0068】
本発明の複合材は、上述の成分を混合した樹脂成分を、ナノファイバーに含浸させることにより製造することができる。硬化性樹脂組成物の粘度としては、25℃において1000〜5000cPが好ましい。また、硬化条件としては、120〜180℃、1〜5時間が好ましい。また、硬化基を持たない樹脂の場合は、150〜200℃、3〜12時間、加熱処理することが好ましい。
【0069】
本発明の複合材は、透明樹脂であるシリコン樹脂混合物にナノファイバーを含有させたものであり、キチン又はキトサンのナノファイバーは上述のとおり伸びきり鎖であるため、繊維として構造的欠陥が少なく、強度、膨張、耐熱性に優れているので、複合材の機械強度、耐熱性、膨張性、耐候性、耐UV性等に優れている。また、ナノファイバーの直径が可視光の波長よりも充分に小さいので、繊維の界面において光の散乱が生じにくく、樹脂との屈折率を厳密に合わせることなく高い透明度を達成でき、しかも、従来のキチン含有透明材料に比べてはるかに広い範囲の屈折率において、非常に高い透明度を達成することができる。また、ナノファイバーを配合したことで複合材の表面平滑性に優れている。
【0070】
本発明の複合材は、その形状として、板状、フィルム状等適宜の形状にすることが可能である。好ましくは、厚みが0.02〜2.0mmのシート状である。また、本発明の複合材は、好ましくは、厚みが0.05〜1.2mmのシートのヘイズ値が5%以下であり、より好ましくは2.5%以下である。また、本発明の複合材は、好ましくは、厚みが0.05〜1.2mmのシートの全可視光透過率が90%以上である。ヘイズ値は全透過光に占める散乱光成分の割合である。これらの値は、測定方法により値が異なる場合は、JIS K 7105により積分球式光線透過率測定装置により求めた値である。
【0071】
本発明の複合材の用途としては、各種透明樹脂基板、透明樹脂シートとして、例えば、LCD、PDP、有機EL等に使用される表示素子透明基板、カラーフィルター基板、タッチパネルや電子ペーパーの透明樹脂シート、太陽電池モジュールの板材や太陽電池素子封入樹脂シートを挙げることができる。また、構造材、例えば、車両用の窓材又は天井材等の用途に好適に使用される。
【実施例】
【0072】
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明する。なお、表中の略号は次のとおりである。
SQエポキシ1:合成例1で得られたシルセスキオキサン誘導体(SQ−1)
SQエポキシ2:合成例2で得られたシルセスキオキサン誘導体(SQ−2)
SQエポキシ3:合成例3で得られたシルセスキオキサン誘導体(SQ−3)
SQエポキシ4:合成例4で得られたシルセスキオキサン誘導体(SQ−4)
SQエポキシ5:合成例5で得られたシルセスキオキサン誘導体(SQ−5)
SQエポキシ6:合成例6で得られたシルセスキオキサン誘導体(SQ−6)
SQエポキシ7:合成例7で得られたシルセスキオキサン誘導体(SQ−7)
SQアクリル1:合成例8で得られたシルセスキオキサン誘導体(SQ−8)
AER−260:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成株式会社製)
YX−8000:水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製)
DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学株式会社製)
EBCRYL9270:ウレタンアクリレート樹脂(ダイセル・サイテック株式会社製)
MH−700:脂環式酸無物(新日本理化株式会社製)
TPP−PB:テトラフェニルホスホニウムブロミド(北興化学工業株式会社)
TrisP−PA:トリスフェノールメタン型樹脂(本州化学工業株式会社)
TPP:トリフェニルホスフィン(北興化学工業株式会社)
SI−100L:芳香族スルホニウム塩(三新化学工業株式会社製)
CP−66:トリアルキルスルホニウム塩(株式会社ADEKA製)
Irgacure184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・ジャパン株式会社製)
Irgacure907:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製)
ナノファイバー:上述の製造法で得られらたキチンナノファイバー懸濁液を0.5μmのメンブランで吸引濾過することにより調製した厚さ100μmの不織布
Eガラスクロス:日東紡績株式会社製、織物、厚み100μm
NEガラスクロス:日東紡績株式会社製、織物、厚み100μm
Tガラスクロス:日東紡績株式会社製、織物、厚み100μm
Eガラスフィラー:旭化成イーマテリアルズ株式会社製、パウダー、平均粒径0.8μm
EPCy:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基
Gly:グリシドキシプロピル基
Ph:フェニル基
Hexyl:ヘキシル基
i−Butyl:イソブチル基
Mac:3−メタアクリロイルオキシプロピル基
【0073】
合成例1:シルセスキオキサン誘導体(SQ−1)の合成
撹拌機及び温度計を設置した反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK)200g、水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液13.4g(水酸化テトラメチルアンモニウム0.03mol)、蒸留水37.8g(2.7mol)を仕込んだ後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン110.8g(0.46mol)、フェニルトリメトキシシラン89.2g(0.45mol)を50〜55℃で徐々に加え、3時間撹拌放置した。反応終了後、系内にMIBK200gを加え、さらに100gの蒸留水で水層のpHが中性になるまで水洗した。次いで、MIBK層を100gの蒸留水で2回水洗後、減圧下でMIBKを留去して、137gのシルセスキオキサン誘導体(SQ−1)を得た。
【0074】
合成例2:シルセスキオキサン誘導体(SQ−2)の合成
撹拌機及び温度計を設置した反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK)200g、水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液13.3g(水酸化テトラメチルアンモニウム0.03mol)、蒸留水37.4g(2.7mol)を仕込んだ後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン147.1g(0.62mol)、フェニルトリメトキシシラン52.9g(0.27mol)を50〜55℃で徐々に加え、3時間撹拌放置した。反応終了後、系内にMIBK200gを加え、さらに100gの蒸留水で水層のpHが中性になるまで水洗した。次いで、MIBK層を100gの蒸留水で2回水洗後、減圧下でMIBKを留去して、138gのシルセスキオキサン誘導体(SQ−2)を得た。
【0075】
合成例3:シルセスキオキサン誘導体(SQ−3)の合成
撹拌機及び温度計を設置した反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK)200g、水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液15.0g(水酸化テトラメチルアンモニウム0.03mol)、蒸留水42.3g(3.0mol)を仕込んだ後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン74.4g(0.30mol)、イソブチルトリメトキシシラン125.6g(0.70mol)を50〜55℃で徐々に加え、3時間撹拌放置した。反応終了後、系内にMIBK200gを加え、さらに100gの蒸留水で水層のpHが中性になるまで水洗した。次いで、MIBK層を100gの蒸留水で2回水洗後、減圧下でMIBKを留去して、141gのシルセスキオキサン誘導体(SQ−3)を得た。
【0076】
合成例4:シルセスキオキサン誘導体(SQ−4)の合成
撹拌機及び温度計を設置した反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK)200g、水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液13.5g(水酸化テトラメチルアンモニウム0.03mol)、蒸留水38.1g(2.7mol)を仕込んだ後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン108.3g(0.46mol)、フェニルトリメトキシシラン71.8g(0.36mol)を50〜55℃で徐々に加え、3時間撹拌放置した。反応終了後、系内にMIBK200gを加え、さらに100gの蒸留水で水層のpHが中性になるまで水洗した。次いで、MIBK層を100gの蒸留水で2回水洗後、減圧下でMIBKを留去して、138gのシルセスキオキサン誘導体(SQ−4)を得た。
【0077】
合成例5:シルセスキオキサン誘導体(SQ−5)の合成
撹拌機及び温度計を設置した反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK)200g、水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液12.5g(水酸化テトラメチルアンモニウム0.03mol)、蒸留水35.3g(2.5mol)を仕込んだ後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン165.4g(0.67mol)、ヘキシルトリメトキシシラン34.6g(0.17mol)を50〜55℃で徐々に加え、3時間撹拌放置した。反応終了後、系内にMIBK200gを加え、さらに100gの蒸留水で水層のpHが中性になるまで水洗した。次いで、MIBK層を100gの蒸留水で2回水洗後、減圧下でMIBKを留去して、141gのシルセスキオキサン誘導体(SQ−5)を得た。
【0078】
合成例6:シルセスキオキサン誘導体(SQ−6)の合成
撹拌機及び温度計を設置した反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK)200g、水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液14.3g(水酸化テトラメチルアンモニウム0.03mol)、蒸留水40.5g(2.9mol)を仕込んだ後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン108.3g(0.19mol)、フェニルトリメトキシシラン152.6g(0.77mol)を50〜55℃で徐々に加え、3時間撹拌放置した。反応終了後、系内にMIBK200gを加え、さらに100gの蒸留水で水層のpHが中性になるまで水洗した。次いで、MIBK層を100gの蒸留水で2回水洗後、減圧下でMIBKを留去して、131gのシルセスキオキサン誘導体(SQ−6)を得た。
【0079】
合成例7:シルセスキオキサン誘導体(SQ−7)の合成
拌機及び温度計を設置した反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK)200g、水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液14.7g(水酸化テトラメチルアンモニウム0.03mol)、蒸留水41.6g(3.0mol)を仕込んだ後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン23.4g(0.10mol)、フェニルトリメトキシシラン176.6g(0.89mol)を50〜55℃で徐々に加え、3時間撹拌放置した。反応終了後、系内にMIBK200gを加え、さらに100gの蒸留水で水層のpHが中性になるまで水洗した。次いで、MIBK層を100gの蒸留水で2回水洗後、減圧下でMIBKを留去して、130gのシルセスキオキサン誘導体(SQ−7)を得た。
【0080】
合成例8:シルセスキオキサン誘導体(SQ−8)の合成
拌機及び温度計を設置した反応容器に、メチルイソブチルケトン(MIBK)200g、水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液12.6g(水酸化テトラメチルアンモニウム0.028mol)、蒸留水41.6g(3.0mol)を仕込んだ後、3−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン158.0g(0.64mol)、フェニルトリメトキシシラン42.0g(0.21
mol)を50〜55℃で徐々に加え、3時間撹拌放置した。反応終了後、系内にMIBK200gを加え、さらに100gの蒸留水で水層のpHが中性になるまで水洗した。次いで、MIBK層を100gの蒸留水で2回水洗後、減圧下でMIBKを留去して、132gのシルセスキオキサン誘導体(SQ−8)を得た。
【0081】
製造例:ナノファイバーの調整
カニ殻由来のキチン粉末(ナカライテスク社製)に蒸留水を加えて1wt%のキチン懸濁液とし、撹拌しながら酢酸を添加してpHを3に調節した。次に、懸濁液を石臼式摩砕機MKCA6−3(増幸産業製)を用いて解繊(砥石の回転数:1500rpm、パス回数:1〜2回)することにより、濃度1%のナノファイバーを得た。SEM測定を行ったところ、ナノファイバーの繊維幅は10−20nmであった。さらに、得られたナノファイバー懸濁液を0.5μmの親水性PTFE製メンブランフィルター(東洋濾紙株式会社製、品名;T050A047A)で減圧吸引濾過することにより、シート状のナノファイバーを得た。さらに得られたシート状のナノファイバーを60℃乾燥器で12時間乾燥させ、厚さ100μmのナノファイバーシートを得た。
【0082】
実施例1〜5、比較例1〜4
表1の配合によりそれぞれ各成分を混合し、樹脂組成物を得た。これをナノファイバー(上記製造例で得られたもの。表1中では便宜上ナノファイバと表記した。)又はガラス繊維に、温度25℃にて、ナノファイバー又はガラス繊維10重量部に樹脂組成物10重量部の割合で含浸し、150℃、3時間硬化させることにより、厚さ0.1mmの透明複合材を得た。
【0083】
比較例5
表1の配合によりそれぞれ各成分を混合し、樹脂組成物を得た。これをナノファイバー10重量部に樹脂組成物10重量部の割合で含浸し、露光量1000mJ/cm(UVH−1500M;ウシオ電機製)で硬化させることにより、厚さ0.1mmの透明複合材を得た。
【0084】
各透明複合材について、屈折率、全光線透過率、ヘイズ値、線膨張係数、平面ラフネス、耐屈曲性を下記の方法で測定した。結果を表1に示した。
【0085】
評価方法
全光線透過率:JIS K 7105、測定方法Aに準拠して、分光光度計U−4100(株式会社日立製作所製)で測定した。
ヘイズ値:JIS K 7105に準拠して、ヘーズメーターHZ−2(スガ試験機株式会社製)で測定した。
線膨張係数:SS120C型熱応力歪測定装置(セイコー電子株式会社製)を用いて、1分間に5℃の割合で温度を30℃から400℃まで上昇させて20分間保持し、30〜150℃の時の値を測定して求めた。
屈折率、アッベ数:JIS K 7105に準拠して、アッベ屈折計DR−M2(株式会社アタゴ製)で測定した。
平面ラフネス:触針式表面形状測定装置Dektak6M(株式会社アルバック製)で測定した。
耐屈曲性:試験片(幅10mm×長さ70mm)の両端を手で持ち、試験片を曲げて元の状態に戻す操作を30回繰り返した。試験片に折れ目または裂け目が生じるか否かを検証した。下記の基準で評価した。
○:30回の繰り返し操作で、外観に全く変化が認められなかった場合
×:30回の繰り返し操作の途中で、裂け目が生じた場合
【0086】
実施例6〜9
表2の配合によりそれぞれ各成分を混合し、樹脂組成物を得た。これをナノファイバー(上記製造例で得られたもの。表2中では便宜上ナノファイバと表記した。)10重量部に樹脂組成物10重量部の割合で含浸した後、これを平滑なガラス板で挟み、UV照射装置(20J/cm2、装置名;スポットキュアSP−7、USHIO製)で硬化させることにより、厚さ0.1mmの透明複合材を得た。
【0087】
比較例6
表2の配合によりそれぞれ各成分を混合し、樹脂組成物を得た。これをスペーサーを設けた平滑なガラス板で挟み、UV照射装置(20J/cm2、装置名;スポットキュアSP−7、USHIO製)で硬化させることにより、厚さ0.1mmの透明樹脂硬化物を得た。
【0088】
実施例6〜9の各複合材及び比較例6の透明樹脂硬化物について、屈折率、600nm分光透過率、熱分解温度、引っ張り強度、ヤング率、線膨脹係数の測定を下記の方法で測定した。結果を表2に示した。
【0089】
評価方法
屈折率:アッベ屈折計DR−A2(株式会社アタゴ製)で室温下、測定した。
600nm分光透過率:試料の透明性は紫外可視分光光度計V−550(日本分光製)を用いて600nm光で評価した。
熱分解温度:試料の熱分解温度を示差熱天秤TG 8120(リガク製)を用いてアルゴンガス雰囲気下、評価した。測定する試料の重量は5mg、昇温速度は10℃/minである。
引っ張り強度およびヤング率:試料の破壊強度(引っ張り強度MPa)及びヤング率(弾性率GPa)は精密万能試験機オートグラフAG−X(島津製作所製)を用いて測定した。ロードセルの容量は50kN、試験速度は1mm/min、試験片のサイズは1cm×5cmである。
線膨脹係数(ppm):試料の熱膨張係数は熱機械測定装置(TMA)Q400(TAインスツルメント製)を用いてアルゴンガス雰囲気下、評価した。測定温度範囲は30〜160℃、昇温速度は5℃/min、試験片のサイズは3mm×30mmである。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】


【0092】
上記表の結果から、本発明の複合材は、樹脂屈折率が1.512〜1.547の広い範囲で優れた透明性、機械強度、低線膨張係数を併せ持つことが明確であった。そして、光線透過率が高く、しかもヘイズ値が比較例と比べて有意に低い結果から、レイリー散乱を抑えることができ、高い透明度を持つことが実証された。また、(メタ)アクリル化合物を利用した透明複合材の実験結果(表2)から、本発明の透明複合材料は、透明性が優れると共に、引っ張り強度、ヤング率が向上し強度に優れ、線膨脹率が低く、寸法安定性に優れることが実証された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3官能のものを含むアルコキシシラン又は少なくとも3官能のものを含むクロロシランを酸性又はアルカリ性条件下で加水分解、縮合し、得られた反応混合物からなるシリコン樹脂混合物を、キチンナノファイバー及びキトサンナノファイバーから選択される少なくとも1種のナノファイバーに含浸させてなるナノファイバー補強透明複合材。
【請求項2】
シリコン樹脂混合物は、3官能のアルコキシシラン又は3官能のクロロシランを、それぞれ、原料アルコキシシラン化合物中の10〜100重量%又は原料クロロシラン化合物中の10〜100重量%使用して得られるシリコン樹脂混合物である請求項1記載の複合材。
【請求項3】
シリコン樹脂混合物は、エポキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基及びオキセタニル基からなる群から選択される少なくとも1種の環状エーテル基を有するアルコキシシラン又はクロロシランを、それぞれ、原料アルコキシシラン化合物中の10〜100重量%又は原料クロロシラン化合物中の10〜100重量%使用して得られるシリコン樹脂混合物である請求項1又は2記載の複合材。
【請求項4】
シリコン樹脂混合物は、エポキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基及びオキセタニル基からなる群から選択される少なくとも1種の環状エーテル基を有する重量平均分子量1500〜30000のポリシロキサン混合物であり、さらに、硬化剤又は重合開始剤を含有する請求項3記載の複合材。
【請求項5】
ナノファイバーは、キチンナノファイバーである請求項1〜4のいずれか記載の複合材。
【請求項6】
ナノファイバーは、キトサンナノファイバーである請求項1〜4のいずれか記載の複合材。
【請求項7】
ナノファイバーは、直径5〜50nm、アスペクト比100〜1000である請求項1〜6のいずれか記載の複合材。
【請求項8】
ナノファイバーは、乾燥キチン由来のナノファイバーである請求項1〜7のいずれか記載の複合材。
【請求項9】
シリコン樹脂混合物対ナノファイバーの配合割合は、重量比で10:90〜90:10である請求項1〜8のいずれか記載の複合材。
【請求項10】
板状又はフィルム状である請求項1〜9ののいずれか記載の複合材。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか記載の複合材を用いた表示素子透明基板。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか記載の複合材を用いた構造材。
【請求項13】
車両用の窓材又は天井材である請求項12記載の構造材。

【公開番号】特開2012−62457(P2012−62457A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13830(P2011−13830)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(504150461)国立大学法人鳥取大学 (271)
【出願人】(000214250)ナガセケムテックス株式会社 (173)
【Fターム(参考)】