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ナノファイバー
説明

ナノファイバー

【課題】耐熱性を有し、かつ、生体に影響を与えない構造を有するナノファイバーを提供する。
【解決手段】窒化ケイ素から成り、直径(繊維径)が1nm〜100nmであり、網目状構造を有するナノファイバーを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ケイ素から成るナノファイバーに係わる。
【背景技術】
【0002】
耐熱性を有するナノファイバーとして、炭化ケイ素ナノファイバーや窒化ケイ素ナノファイバーが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
この炭化ケイ素ナノファイバーや窒化ケイ素ナノファイバーは、CVD法によって作製することができる。
【0003】
しかしながら、CVD法によって作製した炭化ケイ素ナノファイバーや窒化ケイ素ナノファイバーは、細く尖った針状となり、生体に及ぼす影響が懸念されたため、製品化が断念された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−360115号公報([0003])
【特許文献2】特開平10−310500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、省エネルギー技術において高温に対する耐熱性を有する材料のニーズが高まっており、耐熱性を有するナノファイバーに対する期待が大きくなっている。
そこで、生体に影響を与えないような形態や、針状のナノファイバーが単離状態で存在しないようにする技術が望まれている。
【0006】
上述した問題の解決のために、本発明においては、耐熱性を有し、かつ、生体に影響を与えない構造を有するナノファイバーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のナノファイバーは、窒化ケイ素から成り、直径(繊維径)が1nm〜100nmであり、網目状構造を有するものである。
【0008】
上述の本発明のナノファイバーの構成によれば、ナノファイバーが窒化ケイ素から成るので、窒化ケイ素の融点(昇華)が1900℃と高温であることから、十分な耐熱性を有する。
また、ナノファイバーが網目状構造を有するので、生体に影響を与えないようにすることが可能になる。
【発明の効果】
【0009】
上述の本発明によれば、耐熱性を有し、かつ、生体に影響を与えない構造を有するナノファイバーを実現することができる。
従って、本発明のナノファイバーを使用して、安全な耐熱材を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】A〜C カーボンブラックの種類を変えた各試料の生成物のSEM写真である。
【図2】使用したカーボンブラック及び各試料反応生成物の細孔径の度数分布である。
【図3】A〜C PMSQの混合比を変えた各試料の生成物のSEM写真である。
【図4】A〜C PMSQの混合比を変えた各試料の生成物のTEM写真である。
【図5】PMSQの混合比を変えた各試料の粉末X線回折の測定結果である。
【図6】A〜C PMSQの混合比を変えた各試料の1本のナノファイバーを拡大したTEM写真である。
【図7】A〜D 添加量50%の試料の網目状構造のナノファイバーのTEM写真である。
【図8】A〜C 添加量50%の試料の網目状構造のナノファイバーのTEM写真である。
【図9】添加量50%の試料の網目状構造のナノファイバーのTEM写真である。
【図10】A、B 添加量10%の試料の生成物のSEM写真である。
【図11】A、B 添加量20%の試料の生成物のSEM写真である。
【図12】A、B 添加量30%の試料の生成物のSEM写真である。
【図13】A、B 添加量40%の試料の生成物のSEM写真である。
【図14】A、B 添加量50%の試料の生成物のSEM写真である。
【図15】A、B 添加量60%の試料の生成物のSEM写真である。
【図16】A、B 二段の反応セルの上段の生成物のSEM写真及びTEM写真である。
【図17】質量分析の結果の温度と重量変化との関係を示す図である。
【図18】従来の炭化ケイ素ナノファイバーの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の概要
2.実験
【0012】
<1.本発明の概要>
まず、本発明の概要を説明する。
耐熱性材料の一種として、炭化ケイ素ナノファイバーや窒化ケイ素ナノファイバーが提案されている。
しかしながら、前述したように、従来提案されている炭化ケイ素ナノファイバーや窒化ケイ素ナノファイバーは、細く尖った針状であることから、生体に及ぼす影響が懸念される。
【0013】
従来の炭化ケイ素ナノファイバーの写真を、図18に示す。
図18に示すように、微細な針状のナノファイバーが形成されているため、生体に影響を及ぼすと考えられる。
【0014】
そこで、耐熱性を有し、かつ、生体に影響を与えない構造を有するナノファイバーを実現することを目的として、鋭意研究の結果、本発明に至った。
本発明は、窒化ケイ素から成る、網目状構造を有するナノファイバーを提供する。本発明のナノファイバーの直径(繊維径)は、1nm〜100nmの範囲内である。
本発明のナノファイバーの網目状構造は、ナノファイバーが2本に枝分かれするように分岐しており、さらに分岐した先でまた別のナノファイバーとの2本のナノファイバーがくっついていることにより、網目状となっている構造である。
【0015】
上述の本発明のナノファイバーの構成によれば、ナノファイバーが窒化ケイ素から成るので、窒化ケイ素の融点(昇華)が1900℃と高温であることから、十分な耐熱性を有する。
また、ナノファイバーが網目状構造を有するので、生体に影響を与えないようにすることが可能になる。
従って、本発明のナノファイバーを使用して、安全な耐熱材を構成することができる。
【0016】
そして、本発明のナノファイバーは、網目状構造を有するので、例えば、網目の開口の大きさを制御することができれば、開口を通過する物質と通過しない物質とを分離する、耐熱性フィルターを構成することが可能になる。
本発明のナノファイバーの直径(繊維径)は、試料中10視野を観察し、90〜150本の繊維を抽出し直径を測定した結果、1nm〜100nmの範囲を有していた。
【0017】
本発明のナノファイバーは、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、カーボンブラックと、ケイ素を含む化合物(以下、「ケイ素系化合物」と呼ぶ)を混合して、カーボンブラックにケイ素系化合物を含浸させる。
カーボンブラックとしては、詳細を後述するように、半径(細孔径)が30nm以上の細孔が多いものが好ましい。
ケイ素系化合物としては、ケイ素を含有する有機化合物を使用することが好ましく、例えば、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)を使用することができる。
カーボンブラックとケイ素系化合物とを混合する際には、必要に応じて、ケイ素系化合物を溶媒に溶解又は分散させる溶媒を使用する。そして、カーボンブラックと混合してカーボンブラックにケイ素系化合物を含浸させた後に、溶媒を加熱除去する。
【0018】
そして、窒素雰囲気中で、ケイ素系化合物を含浸させたカーボンブラックを熱処理することにより、窒素とケイ素とを反応させて、窒化ケイ素から成るナノファイバーを形成することができる。
熱処理の温度は、使用するケイ素系化合物にもよるが、例えば、前述したポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)を使用する場合、1000〜1300℃とする。
【0019】
カーボンブラックとケイ素系化合物との混合量は、使用するケイ素系化合物にもよるが、例えば、前述したポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)を使用する場合、全体に対するPMSQの量(質量比)を50%〜60%とすることが望ましい。
【0020】
なお、上述のようにして、ナノファイバーを製造した場合、窒化ケイ素から成るナノファイバーが生成すると共に、カーボンブラックが残る。
この残ったカーボンブラックは、例えば空気中等の酸化雰囲気、もしくは水素中等の還元雰囲気下で反応させることにより、分解除去させることが可能である。
【0021】
<2.実験>
実際に各種の作製条件を変えて、本発明のナノファイバーが形成されるための作製条件について調べた。
【0022】
(実験1:カーボンブラックの特性の生成物への影響)
カーボンブラックの特性を変えて、生成物を調べた。具体的には、以下のようにして、反応を行った。
まず、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)1gを、100mlのエタノールに溶解させた。
次に、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)とカーボンブラック(CB)との混合比が、PMSQ50%−CB50%(質量比)となるように、カーボンブラックを投入して、マグネチックスターラーにより攪拌した。このようにして、カーボンブラックにPMSQを含浸させた。
その後、80℃に設定した湯浴上で、ロータリーエバポレーターにより溶媒を留去し、得られた固形物を80℃に加熱したオーブン中で終夜乾燥した。
続いて、赤外線高温加熱炉(MR39−H/D、ULVAC製)を用いて、窒素雰囲気中、1200℃で2時間熱処理を行った。なお、昇温速度は10℃/分とした。
このようにして、反応を行って、生成物を調べた。
【0023】
カーボンブラックとしては、特性の異なる3種類のカーボンブラック(いずれも東海カーボン製)を使用した。
以下、使用した3種類のカーボンブラックを、CB1,CB2,CB3と呼ぶこととする。カーボンブラックCB1,CB2,CB3の特性をまとめて、表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
表1において、DBP吸油量は、DBP(ジブチルフタレート)を使用して測定した吸油量である。メソ孔は直径2nm〜50nmとし、ミクロ孔は直径2nm未満とした。
なお、DBP(ジブチルフタレート)の化学構造は、下記の通りである。
【化1】

【0026】
CB1は、標準的なカーボンブラックである。
CB2は、DBP吸油量はCB1と同程度であるが、BET比表面積がCB1よりも小さい。
CB3は、BET比表面積はCB1と同程度であるが、DBP吸油量がCB1よりも小さい。
ミクロ孔の量が多いと、BET比表面積は大きくなる。CB2はBET比表面積が小さく、メソ孔容積及びミクロ孔容積が、CB1やCB3よりも小さくなっている。
DBP吸油量は、カーボンブラックのストラクチャと正の相関がある。
即ち、CB2は、ストラクチャはCB1と同程度であるが、細孔が少なくなっている。CB3は、CB1よりもストラクチャが小さくなっている。
【0027】
それぞれの窒素雰囲気中で反応させた試料を、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。得られた写真を、図1A〜図1Cに示す。
図1AはCB1を使用した場合を示し、図1BはCB2を使用した場合を示し、図1CはCB3を使用した場合を示す。
【0028】
CB1を使用した場合には、図1Aに示すように、網目状のナノファイバーが形成されている。
CB2を使用した場合には、図1Bに示すように、凝集体の内部にナノファイバーが形成されている。
CB3を使用した場合には、図1Cに示すように、塊状のカーボンブラックの間に、窒化ケイ素の六角柱状結晶が形成されている。
【0029】
また、それぞれのカーボンブラック単体(CB1,CB2,CB3)と、PMSQとカーボンブラックとを50%ずつ混合した後窒素雰囲気中で反応させた試料(50%−CB1,50%−CB2,50%−CB3)について、細孔径の度数分布を測定した。
測定結果を、図2に示す。図2の横軸は、細孔径(半径)rを示し、縦軸は体積分布で各細孔径毎の度数分布を示している。
【0030】
ここで、図2において、特に30nm以上の細孔に注目する。
図2より、CB2は、30nm以上の細孔がCB1よりも減少している。CB3は、30nm以上の細孔がCB1よりも大幅に少なくなっている。
また、PMSQと混合して窒素雰囲気中で反応させた試料では、CB1とCB2については原料のカーボンブラックと似た特徴を示しているが、CB3では、元のカーボンブラックCB3と比較して、メソ孔が大幅に減少している。
【0031】
以上の結果から、カーボンブラックのストラクチャや細孔の量により生成物が変わり、特に、半径(細孔径)30nm以上の細孔の分布が生成物の形状を支配していると考えられる。
半径(細孔径)30nm以上の細孔の割合が多いと、網目状のナノファイバーが形成される。
また、半径(細孔径)30nm以上の細孔の割合の減少に伴い、ナノファイバーが内部に形成されるようになり、ほとんどなくなると、カーボンブラックの表面で窒化ケイ素の結晶が形成される。
【0032】
なお、以上の結果を考慮すると、カーボンブラック以外の炭素系材料でも、半径(細孔径)30nm以上の細孔の量が十分にあれば、窒化ケイ素ナノファイバーを生成する可能性があると考えられる。
【0033】
(実験2:混合比の生成物への影響1)
次に、使用するカーボンブラックはCB1として、PMSQの混合比(全体に対するPMSQの割合)を、50%,67%,80%と変えて、それぞれ窒素雰囲気中、1200℃で反応を行って、生成物を調べた。
【0034】
それぞれの生成物の走査型電子顕微鏡(SEM)による写真を、図3A〜図3Cに示す。
図3AはPMSQが50%の場合を示し、図3BはPMSQが67%の場合を示し、図3CはPMSQが80%の場合を示す。
また、それぞれの生成物の透過型電子顕微鏡(TEM)による写真を、図4A〜図4Cに示す。
図4AはPMSQが50%の場合を示し、図4BはPMSQが67%の場合を示し、図4CはPMSQが80%の場合を示す。
【0035】
PMSQ添加量が50%の場合には、網目状構造のナノファイバーが形成される。そして、ナノファイバーの形態は、PMSQ添加量の増加に伴い、網目状構造から直線的構造へと変化していく。80%添加したときには、ナノファイバー以外に、カーボンブラックをコートしたものも形成される。
図4Aと図4Bを比較してわかるように、網目状構造のナノファイバーと、直線的構造のナノファイバーとは、直径が異なり、直線的構造のナノファイバーよりも、網目状ナノファイバーの方が細くなっている。
そこで、TEMによる写真を用いて、PMSQが50%と67%の各試料中10視野を観察し、90〜150本の繊維を抽出し直径を測定した。
測定した結果、50%の試料は、1nm〜100nmの範囲を有し、平均23nmであった。また、67%の試料は、10nm〜300nmの範囲を有し、平均62nmであった。
【0036】
また、それぞれの添加量の試料の粉末X線回折測定(JIS1640に準じる)を行った。測定結果を、図5に示す。図5には、比較対照として、Siの結晶の測定結果も示している(標準データを使用)。
図5より、いずれの添加量でも、Siの結晶と一致するピークが見られる。このことから、雰囲気の窒素とPMSQのケイ素とから、窒化ケイ素が生成していると考えられる。
また、PMSQの添加量によって、結晶性が異なることがわかる。添加量67%の場合、比較的結晶性が高いが、添加量50%と添加量80%では結晶性が低くなっている。
なお、2θ=39°のピークを用いて結晶子径を算出したところ、どの試料も700Å前後で大きな差が見られなかった。
【0037】
さらに、それぞれの添加量の試料の1本のナノファイバーを拡大した、透過型電子顕微鏡(TEM)による写真を、図6A〜図6Cに示す。
図6AはPMSQが50%の場合を示し、図6BはPMSQが67%の場合を示し、図6CはPMSQが80%の場合を示す。
図6Bの67%の場合、結晶質を示す干渉縞が観察された。一方、図6Aの50%の場合及び図6Cの80%の場合は、無定形であった。
【0038】
さらに、添加量50%の試料の網目状構造のナノファイバーの透過型電子顕微鏡(TEM)による写真を、図7A〜図7D、図8A〜図8C、図9に示す。
図7Bは、図7Aの長方形で囲った部分の拡大図を示し、図7Dは、図7Cの長方形で囲った部分の拡大図を示す。
図8Bは、図8Aの長方形で囲った部分の拡大図を示し、図8Cは、図8Bの長方形で囲った部分の拡大図を示す。
【0039】
これらのTEM写真の拡大図から、網目状のナノファイバーの分岐点では、複数本のナノファイバーが重なっているのではなく、1本のナノファイバーから2本に枝分かれしていると考えられる。
例えば、図7Dでは、1本のナノファイバーから上方に枝分かれした2本のナノファイバーが、分岐点付近で一部重なっている。即ち、別々の2本のナノファイバーが上下に重なっている状態ではないことがわかる。
【0040】
(実験3:混合比の生成物への影響2)
次に、網目状構造のナノファイバーが生成される、PMSQとカーボンブラックとの混合比の範囲を調べるために、混合比を変えて反応を行い、生成物を調べた。
CB1へのPMSQの混合比(全体に対するPMSQの割合)を、10%,20%,30%,40%,50%,60%と変えて、それぞれ窒素雰囲気中、1200℃で反応を行って、生成物を調べた。
【0041】
それぞれの生成物の走査型電子顕微鏡(SEM)による写真を、図10〜図15に示す。
図10A及び図10BはPMSQが10%の場合を示し、図11A及び図11BはPMSQが20%の場合を示し、図12A及び図12BはPMSQが30%の場合を示し、図13A及び図13BはPMSQが40%の場合を示し、図14A及び図14BはPMSQが50%の場合を示し、図15A及び図15BはPMSQが60%の場合を示す。
【0042】
図10A及び図10Bより、PMSQ10%の場合、ほぼナノファイバーの生成がない。
図11A及び図11Bより、PMSQ20%の場合、少量のナノファイバーが生成している。また、その他六角柱構造が見られる。
図12A及び図12Bより、PMSQ30%の場合、局所的にナノファイバーが生成している。
図13A及び図13Bより、PMSQ40%の場合、局所的にナノファイバーが生成している。30%の場合よりもナノファイバーが多い。
図14A及び図14Bより、PMSQ50%の場合、全体的にナノファイバーが生成している。
図15A及び図15Bより、PMSQ60%の場合、全体的にナノファイバーが生成している。一部直線的に遷移しつつあるような形状のナノファイバーが見られる。
【0043】
これらの結果をまとめると、PMSQが10〜40%の場合には、ナノファイバーが生成しない、またあったとしても、網目状構造を取るほどには成長していない。
また、PMSQが50〜60%の場合には、カーボンブラック表面を覆う網目状のナノファイバーの形成が見られる。
PMSQが67%以上では、前述した80%の場合と同様に、剛直なナノファイバーへと変化している。
従って、網目状構造のナノファイバーが生成する、PMSQの添加量の範囲は、50〜60%と非常に狭い範囲である。
【0044】
(実験4:反応機構の検討)
本発明のナノファイバーは、窒化ケイ素から成り、PMSQのケイ素と雰囲気の窒素とが反応して生成していることから、このナノファイバーが生成される反応は、気相反応であると考えられる。
そこで、ナノファイバーが生成される反応機構を調べるための実験を行った。
【0045】
反応セルを二段に分けて、下段は、石英セル内に、PMSQを担持したカーボンブラックCB1(PMSQ添加量80%)を収容した。
この石英セルの上を石英メッシュで覆って、石英メッシュ上に石英管を載置して、上段の反応セルとした。
そして、上段の石英管内に未担持のカーボンブラックCB1を収容した。
このようにして作製した、二段の反応セルに対して、窒素雰囲気中で熱処理を行った。
その結果、上段の反応セルにおいて、ナノファイバーが生成した。
【0046】
上段の反応セルの生成物の走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)による写真を、それぞれ図16A及び図16Bに示す。
図16A及び図16Bから、カーボンブラックの塊の他に、ナノファイバーが生成していることがわかる。
即ち、PMSQから遊離したケイ素成分が石英メッシュを通過して、カーボンブラックのみが収容された上段においても、遊離したケイ素と雰囲気の窒素とから窒化ケイ素ナノファイバーが生成したことがわかる。
この結果から、気相成分の移動がナノファイバーの形成に関与していることがわかる。
【0047】
また、同じくPMSQの添加量を80%とした試料について、質量分析を行った。
質量分析の結果として、温度と重量変化(%)との関係を、図17に示す。
【0048】
図17中、分子量44に相当する質量減少はSiO(酸化シリコン)による質量減少であり、分子量16に相当する質量減少はCHによる質量減少であると考えられる。
質量分析の結果、PMSQよりSiO(300〜1000℃)とCH(620〜940℃)の生成が認められた。
SiOの原料となるSiOは、300〜1000℃の間でPMSQより生成する。一方、CHは620〜940℃で生成する。
また、前述した、空間的に隔離した二段セルを用いた実験より、気相成分の輸送が重要であることが判明した。
以上の結果から、還元窒化法のメカニズムで、SiOナノファイバーが形成され、さらにCHが還元剤として働いて、Siを形成すると考えられる。
【0049】
本発明は、上述の実験例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上の通り、本発明に係るナノファイバーは、生体へ影響が少ない耐熱性材料として、産業上の利用可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ケイ素から成り、直径(繊維径)が1nm〜100nmであり、網目状構造を有する
ナノファイバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−112904(P2013−112904A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258151(P2011−258151)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【出願人】(000219576)東海カーボン株式会社 (155)
【Fターム(参考)】