説明

ナノファイバ積層シート

【課題】取り扱い性が格段に向上し、対象物の表面に容易に付着させることができるナノファイバのシートを提供すること。
【解決手段】化粧料成分又は薬効成分を含有するナノファイバの層と、該層の少なくとも一方の面側に配置された水溶性基材層とを有するナノファイバ積層シートである。水溶性基材層は、ナノファイバの層よりも水溶性が低いものである。水溶性基材層は、ナノファイバ部位とフィルム状部位とが混在してなるものであることが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノファイバの層と水溶性基材層との積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノファイバは、例えば、ナノサイズ効果を利用した高透明性などの光学特性が要求される分野に応用されている。一例として、ナノファイバの直径を可視光の波長以下にすることで、透明なファブリックを実現できる。また、ナノファイバの直径を可視光の波長と同じにすることで、構造発色を発現させることができる。また、高い比表面積効果を利用して、高吸着特性や高表面活性が要求される分野や、高い分子配列効果を利用して、引張強度等の力学的特性や高電気伝導性等の電気的特性が要求される分野でも検討がなされている。このような特徴を有するナノファイバは、例えば単繊維として用いられるほか、集積体(ファブリック)や複合材としても用いられている。
【0003】
ナノファイバの応用例として、水溶性高分子化合物のナノファイバからなる網目状構造体に、化粧料やアスコルビン酸等の化粧料成分を保持させてなる化粧用シートが提案されている(特許文献1参照)。同文献の記載によれば、この化粧用シートは、顔面や手足に対する密着性や装着感を向上させることができ、また、保存性も向上させることができるとされている。また特許文献2には、乳化成分、安定化成分、殺菌成分、保湿成分等の機能性成分をナノファイバシートに添加してもよいと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−179629号公報
【特許文献2】国際公開第2009/031620号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、水溶性高分子化合物を原料とするナノファイバは、その比表面積が大きいがゆえに、バルク状態に比べて水溶性が一層高くなるので、該ナノファイバのシートを指で触れるだけで、汗等に由来する水分で溶解してしまうようになる。その結果、ナノファイバのシートを対象部位に付着させるまでの間に、該シートが溶解してしまったり、該シートに穴が開いてしまったりすることがあり、取り扱い性が良好とは言えない。
【0006】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るナノファイバ積層シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、化粧料成分又は薬効成分を含有するナノファイバの層と、
該層の少なくとも一方の面側に配置された水溶性基材層とを有し、
該水溶性基材層は、該ナノファイバの層よりも水溶性が低いものであるナノファイバ積層シートを提供することによって、前記の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、これまで取り扱い性が良好といえなかったナノファイバのシートの取り扱い性が格段に向上し、該シートを対象物の表面に容易に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ナノファイバ層及び水溶性基材層の溶解時間を測定するための装置の一部を示す斜視図である。
【図2】図2(a)ないし(c)は、図1に示す装置を用いたナノファイバ層及び水溶性基材層の溶解時間を測定する手順を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明のナノファイバ積層シートの製造に好適に用いられる装置を示す模式図である。
【図4】図4は、実施例1で得られたナノファイバ積層シートにおける水溶性基材層の走査型電子顕微鏡像である。
【図5】図5は、実施例2で得られたナノファイバ積層シートにおける水溶性基材層の走査型電子顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のナノファイバ積層シート(以下、単に「積層シート」ともいう。)は、ナノファイバの層(以下、「ナノファイバ層」という。)と、水溶性基材層とを、その基本構成として有している。水溶性基材層は、ナノファイバ層の少なくとも一方の面側に配置されている。積層シートの用途によっては、ナノファイバ層の両方の面に水溶性基材層が配置されることもある。この場合には、ナノファイバ層の一方の面側に配置された水溶性基材層と、他方の面側に配置された水溶性基材層とは、同一のものでもよく、あるいは異なるものであってもよい。水溶性基材層が、ナノファイバ層の一方の面側に配置されているか、それとも両方の面側に配置されているかを問わず、水溶性基材層は、ナノファイバ層に隣接して配置されていることが好適である。尤も、積層シートの用途によっては、ナノファイバ層と水溶性基材層との間に、これらの層とは異なる層を配置してもよい。
【0011】
ナノファイバ層は、ナノファイバのみから構成されていることが好ましい。尤も、ナノファイバ層が、ナノファイバに加えて他の成分を含むことは妨げられない。ナノファイバは、その太さを円相当直径で表した場合、一般に10〜3000nm、特に10〜1000nmのものである。ナノファイバの太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、ナノファイバを10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(ナノファイバの塊、ナノファイバの交差部分、ポリマー液滴)を除き繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き、その線が繊維を横切る長さを直接読み取ることで測定することができる。
【0012】
ナノファイバの長さは本発明において臨界的でなく、ナノファイバの製造方法に応じた長さのものを用いることができる。ナノファイバは、その長さが、その太さの100倍以上あれば、繊維と呼ぶことができる。また、ナノファイバは、ナノファイバ層において、一方向に配向した状態で存在していてもよく、あるいはランダムな方向を向いていてもよい。更に、ナノファイバは、一般に中実の繊維であるが、これに限らず例えば中空のナノファイバや、中空のナノファイバがその縦断面方向に潰れた形状のリボン状ナノファイバを用いることもできる。
【0013】
ナノファイバ層の厚みは、積層シートの具体的な用途に応じて適切な範囲が設定される。積層シートを、例えばヒトの肌、歯、歯茎等に付着させるために用いる場合には、ナノファイバ層の厚みを50nm〜1mm、特に500nm〜500μmに設定することが好ましい。ナノファイバ層の厚みは、接触式の膜厚計ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(R5mm超硬球面測定子)を使用して測定できる。測定時にシートに加える荷重は0.01Nとする。
【0014】
ナノファイバ層の坪量も、積層シートの具体的な用途に応じて適切な範囲が設定される。積層シートを、例えばヒトの肌、歯、歯茎に付着させるために用いる場合には、ナノファイバ層の坪量を0.01〜100g/m2、特に0.1〜50g/m2に設定することが好ましい。
【0015】
ナノファイバ層において、ナノファイバは、それらの交点において結合しているか、又はナノファイバどうしが絡み合っている。それによって、ナノファイバ層は、それ単独でシート状の形態を保持することが可能となる。ナノファイバどうしが結合しているか、あるいは絡み合っているかは、ナノファイバ層の製造方法によって相違する。
【0016】
ナノファイバは、高分子化合物を原料とするものである。高分子化合物としては、天然高分子及び合成高分子のいずれをも用いることができる。この高分子化合物は、好ましくは水溶性である。
【0017】
本明細書において「水溶性高分子化合物」とは、1気圧・23℃の環境下において、高分子化合物1g秤量したのちに、10gのイオン交換水に浸漬し、24時間経過後、浸漬した高分子化合物の0.5g以上が溶解する性質を有する高分子化合物をいう。
【0018】
ナノファイバを構成する水溶性高分子化合物としては、例えばプルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β-グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(後述する架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子等が挙げられる。これらの水溶性高分子化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水溶性高分子化合物のうち、ナノファイバの調製が容易である観点から、プルラン、並びに部分鹸化ポリビニルアルコール、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキサイド等の合成高分子を用いることが好ましい。
【0019】
ナノファイバには、化粧料成分又は薬効成分が含有されている。このような有効成分を含むナノファイバの層を、例えばヒトの肌、歯、歯茎に付着させることによって、該有効成分に起因する有利な効果が発現する。
【0020】
化粧料成分又は薬効成分としては、酸性ムコポリサッカライド、カミツレ、セイヨウトチノキ、イチョウ、ハマメリエキス、ビタミンE、ニコチン酸誘導体及びアルカロイド化合物から選択される血行促進剤;セイヨウトチノキ、フラボン誘導体、ナフタリンスルホン酸誘導体、アントシアニン、ビタミンP、キンセンカ、コンコリット酸、シラノール、テルミナリア、ビスナガ及びマユスから選択されるむくみ改善剤;アミノフィリン、茶エキス、カフェイン、キサンチン誘導体、イノシット、デキストラン硫酸誘導体、セイヨウトチノキ、エスシン、アントシアニジン、有機ヨウ素化合物、オトギリ草、シモツケ草、スギナ、マンネンロウ、朝鮮人参、セイヨウキヅタ、チオムカーゼ及びヒアルウロニダーゼから選択されるスリム化剤;インドメタシン、ジクロフェナック、dl−カンフル、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、トウガラシエキス、ピロキシカム、フェルビナック、サリチル酸メチル及びサリチル酸グリコールから選択される鎮痛剤;ポリオール類、セラミド類及びコラーゲン類から選択される保湿剤;プロテアーゼからなるピーリング剤;チオグリコール酸カルシウムからなる除毛剤;及びγ−オリザノールからなる自律神経調節剤、その他にアスナロ、キキョウ根、ユーカリ、シラカバ、ショウキョウ、ユズ等のエキス類、トラネキサム酸、アラントイン、グリチルレチン酸ステアリル、ナイアシンアミド、Lメントール、ビタミンC等のビタミン類等が挙げられる。ナノファイバに含まれるこの有効成分の割合は、その種類にもよるが、一般に0.01〜70質量%であることが好ましい。この割合は、液体クロマトグラフィー又は熱重量測定等によって測定することができる。
【0021】
ナノファイバは、上述の有効成分に加えて他の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば、架橋剤、顔料、填料、界面活性剤、帯電防止剤、発泡剤等が挙げられる。架橋剤は、例えば上述の部分鹸化ポリビニルアルコールを架橋して、これを不溶化する目的で用いられる。顔料は、ナノファイバを着色する目的で用いられる。
【0022】
ナノファイバ層の少なくとも一方の面側に配置される水溶性基材層は、水溶性材料を含む層から構成されている。水溶性の意味は、先に述べたとおりである。水溶性基材層はその水溶性の程度が、ナノファイバ層の水溶性の程度と異なる点に特徴の一つを有している。具体的には、水溶性基材層はその水溶性が、ナノファイバ層よりも相対的に低くなっている。つまり、水溶性基材層は、ナノファイバ層よりも相対的に水に溶けにくくなっている。その結果、本発明の積層シートを例えば指で摘んで所定の部位に付着させるまでの間、汗等の水分に起因するナノファイバ層の溶解が、水溶性基材層で阻止されて、付着を首尾良く行うことができる。つまり、水溶性基材層が、ナノファイバ層よりも水に溶けにくくなっていることで、ナノファイバ層の水への溶解に対する取り扱い性が向上する。また、水溶性基材層は、それ自体水溶性なので、所定の時間の経過後には水分に溶解して消失し、ナノファイバ層に対して悪影響を及ぼさない。水溶性基材層が、ナノファイバ層の両面に配置されている場合には、いわばナノファイバ層が2つの水溶性基材層によって閉塞された状態になっているので、ナノファイバ層に含まれる有効成分が長時間にわたって徐放されるという有利な効果も奏される。
【0023】
水溶性基材層とナノファイバ層との溶解性の程度は、例えば次の方法I又は方法IIで測定される。
〔方法I〕
ナノファイバ積層シートを製造する前の水溶性基材層及びナノファイバ層それぞれ単独について、4cm×6cmの大きさに切断してサンプルシートを作製し、これをポリエチチレンテレフタレートフィルム(厚み0.2mm)上に両面テープで貼り付ける。その後、CCP製の超音波加湿器(KX−80UP)を使用し、90ml/Hrの加湿能力で蒸気を発生させる。該蒸気がφ30mmの範囲に発生するよう吹き出し口を取り付け、サンプルシートを吹き出し口から10mmの距離で固定し、シートが透明化するまでの時間を目視で観察し溶解時間とする。この手法によるナノファイバ層の溶解時間が、120秒以下、特に10秒〜60秒であることが好ましい。又水溶性基材層の溶解時間が30秒以上、好ましくは35秒〜180秒、更に好ましくは40秒〜100秒であることが好ましい。また〔水溶性基材層の溶解時間/ナノファイバ層の溶解時間〕の値は、1.1以上であることが好ましく、1.1〜50であることが更に好ましい。なお、以上の測定方法は、水溶性基材層とナノファイバ層とを積層して、ナノファイバ積層シートを製造した後に行うこともできる。
〔方法II〕
測定装置として富山産業株式会社製の口腔内崩壊状試験器ODT−101を用いる。この試験器は、図1に示すように中央に円孔10aが設けられた板状の試料固定枠10と、検出用シート11とを有している。検出用シート11は、互いに同形の半円形の金属シート11a,11bからなり、それらの直径部分が所定距離隔てて向かい合うことで、スリット(図示せず)が形成されるように配置されている。検出用シート11の中心部には多数の小孔12が設けられている。ナノファイバ積層シートを製造する前の水溶性基材層及びナノファイバ層それぞれ単独について、4cm×4cmの大きさに切断してサンプルシート13を作製する。サンプルシート13を、図2(a)に示すように試験器の試料固定枠10と検出用シート11との間に挟んで固定する。試料固定枠10の円孔上には金属製の錘14を配置させる。次に、図2(b)に示すように、錘14を水平面内で回転させつつ円孔10a内に向けて降下させる。そして、錘14を回転させつつ、円孔内において露出しているサンプルシート13に接触させる。この接触と同時に、検出用シート11の裏側からスリット14を通じて水15を浸出させ、サンプルシート13を湿潤させる。このときを測定時間の開始時とする。水15による湿潤と錘14の回転によって、サンプルシート13は徐々に水に溶解していく。そして、図2(c)に示すように、サンプルシート13が完全に溶解して錘14の下面が検出用シート11に接触した時点をもって測定終了とする。測定開始から測定終了までの時間を計測することで、その時間を溶解時間とする。この方法で測定されたナノファイバ層の溶解時間は、100秒以下であることが好ましく、0.1〜50秒であることが更に好ましい。水溶性基材層の溶解時間は、5秒以上であることが好ましく、更に好ましくは5秒〜600秒、一層好ましくは5秒〜90秒である。また〔水溶性基材層の溶解時間/ナノファイバ層の溶解時間〕の値は、1.1以上であることが好ましく、1.1〜200であることが更に好ましい。
溶解時間を本範囲内とすることにより、ナノファイバ層と水溶性基材層を積層した積層シートを容易に手で取り扱うことが可能となる。更にはナノファイバ積層シートをナノファイバ層が対象物側となるように対象物に付着させた際に、ナノファイバ層が水溶性基材層よりも早く溶解することでナノファイバ層が含有する化粧料成分又は薬効成分が対象物に供給されるとともに水溶性基材層が化粧料成分又は薬効成分を被覆することとなり、該化粧料成分又は薬効成分が対象物以外に流れ出すことを防止するとともに、化粧料又は薬効成分の対象物への浸透性向上効果も期待できる。そして更に時間が経過することで水溶性基材層も溶解してしまうことから、積層シートの使用に際して廃棄物が発生せず、より良好な使用方法の提供が可能となる。
【0024】
水溶性基材層の水溶性を、ナノファイバ層の水溶性よりも低くするためには、例えば(イ)水溶性基材層の構成材料として、ナノファイバの構成材料よりも水溶性の低いもの(ただし水不溶性のものは除く)を用いればよい。また、(ロ)水溶性基材層の構成材料とナノファイバの構成材料とが同じである場合には、水溶性基材層の比表面積を、ナノファイバ層の比表面積よりも小さくすればよい。(イ)と(ロ)の組み合わせを採用することもできる。また、水溶性基材層が通気性を有するような形態であってもよい。
【0025】
前記の(ロ)を採用する場合、水溶性基材層を無孔のフィルム若しくは有孔のフィルム又はメッシュから構成すればよい。これらのフィルムの厚み及び坪量や、孔の大きさ及び個数等を適切に調整することで、所望の水溶性を得ることができる。そのような厚み及び坪量や、孔の大きさ及び個数等は、当業者が通常の知識の範囲内で決定し得るものである。具体的な水溶性基材層としては、オブラートやプルラン等の多糖類系の材料;ポリビニルアルコール;寒天及びカラギーナンを原料とするフィルムを用いることができる。このようなフィルムを使用する場合、該フィルムは必ずしもその全体が水溶性である必要はなく、水分存在下で容易に崩壊する特性を有していればよい。つまり、水溶性基材層が水溶性であるとは、該層が完全に水に溶解する場合だけでなく、水との接触で該層がシート形態を失う場合も包含する。
【0026】
同じく前記の(ロ)を採用する場合であって、かつ水溶性基材層がナノファイバを含むときには、該水溶性基材層を、ナノファイバ部位と、該水溶性基材層の比表面積を低下させる部位、例えば後述する図4及び図5に示すフィルム部位との混在から構成すればよい。水溶性基材層が、ナノファイバ部位とフィルム状部位との混在からなる場合、水溶性基材層を平面視観察したとき、ナノファイバ部位とフィルム状部位との面積比は、90:10〜10:90、特に85:15〜10:90に設定することが、所望の水溶性を得る点から好ましい。この面積比は、水溶性基材層を100倍でSEM観察し、その画像を例えば日本ローパー社製の画像処理ソフト(ImagePro Plus)を使用し、背景抽出し自動で二値化処理することで求めることができる。水溶性基材層にスポット上のフィルム部位が認められない場合には、1000倍でSEM観察し、前述の画像処置をすることで面積比を求めることができる。
【0027】
なお、水溶性基材層に、ナノファイバに含有されている有効成分を含有させることは妨げられないが、そのようにしても特に有利な効果は得られないので、通常は、水溶性基材層には前記の有効成分は含有させる必要はない。
【0028】
次に、本発明の積層シートの好適な製造方法について説明する。積層シートにおけるナノファイバ層は、例えばエレクトロスピニング法を用い、平滑な基板の表面にナノファイバを堆積させてすることで好適に製造することができる。図3には、エレクトロスピニング法を実施するための装置30が示されている。エレクトロスピニング法を実施するためには、シリンジ31、高電圧源32、導電性コレクタ33を備えた装置30が用いられる。シリンジ31は、シリンダ31a、ピストン31b及びキャピラリ31cを備えている。キャピラリ31cの内径は10〜1000μm程度である。シリンダ31a内には、ナノファイバの原料となる高分子化合物及び有効成分を含む溶液が充填されている。この溶液の溶媒は、高分子化合物の種類に応じ、水若しくは有機溶媒、又は水及び水と相溶性のある有機溶媒の混合溶媒とする。高電圧源32は、例えば10〜30kVの直流電圧源である。高電圧源32の正極はシリンジ31における高分子溶液と導通している。高電圧源32の負極は接地されている。導電性コレクタ33は、例えば金属製の板であり、接地されている。シリンジ31におけるキャピラリ31cの先端と導電性コレクタ33との間の距離は、例えば30〜300mm程度に設定されている。図3に示す装置30は、大気中で運転することができる。運転環境に特に制限はなく、温度20〜40℃、湿度10〜50%RHとすることができる。
【0029】
シリンジ31と導電性コレクタ33との間に電圧を印加した状態下に、シリンジ31のピストン31bを徐々に押し込み、キャピラリ31cの先端から高分子化合物の溶液を押し出す。押し出された溶液においては、溶媒が揮発し、溶質である高分子化合物が固化しつつ、電位差によって伸長変形しながらナノファイバを形成し、導電性コレクタ33に引き寄せられる。このようにして形成されたナノファイバは、その製造の原理上は、無限長の連続繊維となる。なお、中空のナノファイバを得るためには、例えばキャピラリ31cを二重管にして芯と鞘に相溶し合わない溶液を流せばよい。
【0030】
水溶性基材層が無孔若しくは有孔のフィルム状又はメッシュ状のものである場合には、上述した基板として該水溶性基材層を用い、その一面上にナノファイバを堆積させることで、ナノファイバ層を形成することができ、一層の水溶性基材層と一層のナノファイバ層とを有する積層シートが得られる。
【0031】
水溶性基材層がナノファイバを含む場合には、別途用意した基板の一面上に、ナノファイバを含む水溶性基材層を形成し、次いでその上にナノファイバ層を形成すれば一層の水溶性基材層と一層のナノファイバ層とを有する積層シートが得られる。更に、必要に応じ、ナノファイバ層の上に水溶性基材層を形成すれば、一層のナノファイバ層の各面に水溶性基材層が積層されてなる三層構造の積層シートが得られる。水溶性基材層及びナノファイバ層の形成のためには、例えば異なる2つのシリンジを用い、一方のシリンジから水溶性基材層を形成するための溶液を押し出し、その後に他方のシリンジからナノファイバ層を形成するための溶液を押し出だせばよい。このようにして得られた積層シートにおいては、該積層シートの厚み方向でみたときに、水溶性基材層との組成と、ナノファイバの層の組成との間に明瞭な境界が存在することになる。
【0032】
このような溶液の押出方式に代えて、2つのシリンジを同時に動作させ、一方のシリンジからは、水溶性基材層を形成するための溶液を、押出量0から徐々に増加させていき、設定押出量まで増量しつつ、他方のシリンジからは、ナノファイバ層を形成するための溶液を、設定押出量から徐々に減少させていき、押出量0まで減量するという方式を採用することができる。この方式で積層シートを製造すると、該積層シートの厚み方向でみたときに、該積層シートの組成が、水溶性基材層の組成から、ナノファイバの層の組成へと徐々に変化したものとなる。この押出方式の変形例として、2つのシリンジを同時に動作させ、一方のシリンジからは、ナノファイバ層を形成するための溶液を、押出量0から徐々に増加させていき、設定押出量まで増量しつつ、他方のシリンジからは、水溶性基材層を形成するための溶液を、設定押出量から徐々に減少させていき、押出量0まで減量するという方式を採用することもできる。このように水溶性基材層とナノファイバの層との間に明瞭な境界が存在しない場合、ナノファイバの層の溶解時間が遅くなるので、有効成分が長時間にわたって徐放されやすくなるという有利な効果も奏される。
【0033】
先に述べたとおり、水溶性基材層がナノファイバを含む場合には、水溶性基材層を、ナノファイバ部位と、該水溶性基材層の比表面積を低下させる部位、例えばフィルム部位との混在から構成することが好ましい。上述したエレクトロスピニング法によって、ナノファイバ部位に加えてフィルム部位を形成するには、例えば以下の(i)又は(ii)の手法を採用することができる。
【0034】
(i)エレクトロスピニング法を行うときのキャピラリ31cの先端と、堆積用の基板との間の距離を短くするか、及び/又は押出量を多くして、空間中を飛翔しているナノファイバのうち、一部のナノファイバ中に溶媒が含まれている状態で、ナノファイバを堆積用の基板上に堆積させる。
(ii)エレクトロスピニング法を行うときのキャピラリ31cの先端と、堆積用の基板との間の距離を短くするか、及び/又は押出量を多くして、キャピラリ31cから押し出された溶液の液滴の一部が、ナノファイバ状態に引き伸ばされる前に、該液滴を堆積用の基板上に堆積させる。
【0035】
(i)の手法を採用した場合には、一部のナノファイバ中に溶媒が含まれた状態でナノファイバの堆積が起こるので、形成された水溶性基材層においては、該水溶性基材層を構成するナノファイバどうしの交点において、ナノファイバが溶解した状態を反映したフィルム状になる。
【0036】
(ii)の手法を採用した場合には、一部の液滴が引き伸ばされない状態でナノファイバの堆積が起こるので、形成された水溶性基材層においては、該水溶性基材層を構成するナノファイバに加えて、該液滴を反映したスポット的なフィルム状部位が形成される。このスポット的なフィルム状部位は、ナノファイバの交点の位置とは無関係に存在する。このスポット的なフィルム状部位の大きさは、エレクトロスピニング法の条件にもよるが、円相当直径で表すと5〜500μmである。
【0037】
以上の(i)又は(ii)の手法を採用し、キャピラリ31cの先端と堆積用の基板との間の距離及び/又は溶液の押出量を適宜調整することで、所望の水溶性を有する水溶性基材層を得ることができる。
【0038】
このようにして得られた本発明の積層シートは、例えばヒトの皮膚、歯、歯茎、非ヒト哺乳類の皮膚、歯、歯茎、枝や葉等の植物表面等に付着させて用いることができる。積層シートが、一層のナノファイバ層と一層の水溶性基材層とから構成される場合には、ナノファイバ層を、付着対象物の表面に臨ませて付着を行う。積層シートが、一層のナノファイバ層と、その各面に位置する水溶性基材層とから構成される場合には、どちらかの水溶性基材層を、付着対象物の表面に臨ませて付着を行えばよい。
【0039】
積層シートを対象物の表面に付着させるのに先立ち、該表面を液状物で湿潤状態にしておいてもよい。そうすることによって、表面張力の作用を利用して、積層シートを対象物の表面に首尾良く付着させることができる。対象物の表面を湿潤状態にすることに代えて、積層シートの表面(付着対象物の表面に臨む面)を液状物で湿潤状態にしてもよい。
【0040】
対象物の表面を湿潤状態にするためには、例えば各種の液状物を該表面に塗布又は噴霧すればよい。塗布又は噴霧される液状物としては、積層シートを付着させる温度において液体成分を含み、かつその温度における粘度(E型粘度計を用いて測定される粘度)が5000mPa・s程度以下の粘性を有する物質が用いられる。そのような液状物としては、例えば水、水溶液及び水分散液等の水系液体、並びに非水系溶剤、それを含む溶液及びそれを含む分散液等が挙げられる。また、O/WエマルションやW/Oエマルション等の乳化液、増粘性多糖類等をはじめとする各種の増粘剤で増粘された液等も挙げられる。具体的には、本発明の積層シートを例えば化粧料として用い、ヒトの肌に付着させる場合には、対象物である肌の表面を湿潤させるための液体として、化粧水や化粧クリームを用いることができる。
【0041】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、ナノファイバの製造方法として、エレクトロスピニング法を採用した場合を例にとり説明したが、ナノファイバの製造方法はこれに限られない。
【0042】
また、図3に示すエレクトロスピニング法においては、形成されたナノファイバが板状の導電性コレクタ33上に堆積されるが、これに代えて導電性の回転ドラムを用い、回転する該ドラムの周面にナノファイバを堆積させるようにしてもよい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0044】
〔実施例1〕
ナノファイバ層として林原商事製のプルランを用い、これを80℃の温水中に溶解し、濃度15%に調整して原料液を調製した。次いでこの原料液を室温に冷却した後、アスコルビン酸をその濃度が5%になるように溶解し、電界紡糸原料液とした。電界紡糸は図3に示す装置を用いて行った。そして、コレクタ33の表面に配置されたアルミホイル(厚み30μm)の表面に、厚み53μmの水溶性ナノファイバ層を形成した。電界紡糸の条件は以下のとおりとした。
・印可電圧:25kV
・キャピラリーコレクタ間距離:185mm
・吐出量 :1.0ml/h
・環境:26℃、40%RH
【0045】
水溶性基材層として林原商事製のプルランを用い、これを80℃の温水中に溶解し、濃度15%に調整したのち、室温に冷却して原料液を得た。この原料液を用い、先に製造した水溶性ナノファイバ層の表面に電界紡糸を行い、ナノファイバからなる厚み48μmの水溶性基材層を形成し、目的とするナノファイバ積層シートを得た。この積層シートの厚みは101μmであった。電界紡糸の条件は以下のとおりとした。本条件においては、原料液の吐出量を、ナノファイバ層の形成時よりも多くして、一部の液滴が引き伸ばされない状態でナノファイバの堆積を生じさせ、該液滴を反映したスポット的なフィルム状部位を形成させた。
・印可電圧:25kV
・キャピラリーコレクタ間距離: 185mm
・吐出量:15.0ml/h
・環境:26℃、40%RH
このようにして、一層のナノファイバ層と、ナノファイバからなる一層の水溶性基材層とから構成される積層シートを得た。各層におけるナノファイバの太さをSEM観察で測定したところ、表1に示すとおりであった。得られた積層シートにおける水溶性基材層のSEM像を図4に示す。同図から明らかなように、水溶性基材層においては、スポット的なフィルム状部位が多数形成されていることが判る。水溶性基材層におけるナノファイバ部の割合を、先に述べた方法で測定したところ、表1に示すとおりであった。
【0046】
〔実施例2〕
ナノファイバ層は実施例1と同じ原料液、条件及び基材を使用して形成した。ナノファイバ層の厚みは53μmであった。一方、水溶性基材層は、実施例1と同じ原料液を使用し、先に製造したナノファイバ層の表面に電界紡糸を行い形成した(厚み51μm)。電界紡糸の条件は以下のとおりとした。本条件においては、キャピラリ31cの先端とナノファイバ層との距離を、ナノファイバ層の形成時よりも短くするとともに、原料液の吐出量を、ナノファイバ層の形成時よりも多くして、一部のナノファイバ中に溶媒が含まれた状態でナノファイバの堆積を生じさせ、ナノファイバどうしの交点において、ナノファイバが溶解した状態を反映したフィルム状部位を形成させた。このようにして目的とするナノファイバ積層シートを得た。この積層シートの厚みは104μmであった。
・印可電圧:25kV
・キャピラリーコレクタ間距離:90mm
・吐出量:4.0ml/h
・環境:26℃、40%RH
このようにして、一層のナノファイバ層と、ナノファイバからなる一層の水溶性基材層とから構成される積層シートを得た。各層におけるナノファイバの太さをSEM観察で測定したところ、表1に示すとおりであった。得られた積層シートにおける水溶性基材層のSEM像を図5に示す。同図から明らかなように、水溶性基材層においては、ナノファイバどうしの交点において、ナノファイバが溶解した状態を反映したフィルム状部位が多数形成されていることが判る。水溶性基材層におけるナノファイバ部の割合を、先に述べた方法で測定したところ、表1に示すとおりであった。
【0047】
〔実施例3〕
水溶性基材層として市販のオブラートフィルム(坪量25g/m2、厚み30μm)を使用した。ナノファイバ層は実施例1と同じ原料液条件で電界紡糸を行い、前記水溶性基材層を基材にして、該基材上に積層した。ナノファイバ層の厚みは53μmであった。得られたナノファイバ積層シートの厚みは83μmであった。このようにして、一層のナノファイバ層と、フィルムからなる一層の水溶性基材層とから構成される積層シートを得た。ナノファイバ層におけるナノファイバの太さをSEM観察で測定したところ、表1に示すとおりであった。
【0048】
〔実施例4〕
ナノファイバ層は実施例1と同じ原料液、条件及び基材を使用して形成した。ナノファイバ層の厚みは53μmであった。一方、水溶性基材層は、実施例1と同じ原料液を使用し、先に製造したナノファイバ層の表面に電界紡糸を行い形成した(厚み55μm)。電界紡糸の条件は以下のとおりとした。本条件においては、原料液の吐出量を、ナノファイバ層の形成時よりも多くして、一部の液滴が引き伸ばされない状態でナノファイバの堆積を生じさせ、該液滴を反映したスポット的なフィルム状部位を形成させた。このようにして目的とするナノファイバ積層シートを得た。この積層シートの厚みは108μmであった。
・印可電圧:25kV
・キャピラリーコレクタ間距離:185mm
・吐出量:11.0ml/h
・環境:26℃、40%RH
このようにして、一層のナノファイバ層と、ナノファイバからなる一層の水溶性基材層とから構成される積層シートを得た。各層におけるナノファイバの太さをSEM観察で測定したところ、表1に示すとおりであった。また、水溶性基材層におけるナノファイバ部の割合を、先に述べた方法で測定したところ、表1に示すとおりであった。
【0049】
〔実施例5〕
水溶性基材層としてポリビニルアルコールフィルム(日本合成化学工業株式会社製 ハイセロンM−250、厚み22μm)を使用した。ナノファイバ層は実施例1と同じ原料液条件で電界紡糸を行い、前記水溶性基材層を基材にして、該基材上に積層した。ナノファイバ層の厚みは53μmであった。得られたナノファイバ積層シートの厚みは75μmであった。このようにして、一層のナノファイバ層と、フィルムからなる一層の水溶性基材層とから構成される積層シートを得た。ナノファイバ層におけるナノファイバの太さをSEM観察で測定したところ、表1に示すとおりであった。
【0050】
〔比較例1〕
実施例1と同じ原料液、条件及び基材を用いて電界紡糸を行い、厚み110μmのナノファイバシートを製造した。
【0051】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたシートについて、以下の方法でナノファイバ層及び水溶性基材層の溶解性、並びにシートのハンドリング性を評価した。その結果を以下の表1に示す。
【0052】
〔ナノファイバ層及び水溶性基材層の溶解性〕
〔方法I〕
ナノファイバ層及び水溶性基材層をそれぞれ単独に製造して得られたサンプルシートについて、溶解性の評価を行った。4cm×6cmの大きさのサンプルシートを、ポリエチチレンテレフタレートフィルム(厚み0.2mm)上に両面テープで貼り付けた。その後、CCP製の超音波加湿器(KX−80UP)を使用し、90ml/hrの加湿能力で蒸気を発生させた。該蒸気がφ30mmの範囲に発生するよう吹き出し口を取り付け、サンプルシートを吹き出し口から10mmの距離で固定し、シートが透明化するまでの時間を目視で観察し、この時間を方法I溶解時間とした。測定は3点のサンプルで行い、その平
均時間を算出した。
〔方法II〕
図1及び図2に示す構造を有する富山産業株式会社製の口腔内崩壊状試験器ODT−101を用い、ナノファイバ層及び水溶性基材層をそれぞれ単独に製造して得られたサンプルシートについて溶解時間を測定した。ナノファイバ層及び水溶性基材層をそれぞれ単独に製造して得られたサンプルシートを4cm×4cmの大きさに切断して試験器に取り付けた。錘14の直径は20mmで、重さは15gとした。錘14の回転数は5rpmとした。水温は23℃とした。本方法で得られた溶解時間を方法II溶解時間とした。
【0053】
〔シートのハンドリング性〕
23℃、50%RHの環境下で、指先の水分を、コットンワイパーを用い良く拭き取った。その後、シートにおける水溶性基材層の表面(比較例1ではナノファイバ層の表面)を、指先で3秒間押さえつけた後、指を放した。そして、シート表面の変化を目視で確認し、以下の基準で判断した。
○:シート表面の指先をおいた箇所の一部に微細な孔が発生する等の変化が僅かに見られる。
×:シート表面の指先をおいた箇所全体に微細な孔が空くなどの変化が確認される。
【0054】
【表1】

【0055】
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の積層シート(本発明品)は、比較例のナノファイバシートに比べて、水への溶解に対する取り扱い性が格段に向上していることが判る。
【符号の説明】
【0056】
30 装置
31 シリンジ
31c キャピラリ
32 高電圧源
33 導電性コレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料成分又は薬効成分を含有するナノファイバの層と、
該層の少なくとも一方の面側に配置された水溶性基材層とを有し、
該水溶性基材層は、該ナノファイバの層よりも水溶性が低いものであるナノファイバ積層シート。
【請求項2】
水溶性基材層は、ナノファイバ部位とフィルム状部位とが混在してなるものである請求項1記載のナノファイバ積層シート。
【請求項3】
水溶性基材層は、ナノファイバの層からなり、該層においては、ナノファイバどうしの交差部分においてナノファイバどうしが固着した状態のフィルム状になっている請求項2記載のナノファイバ積層シート。
【請求項4】
水溶性基材層を平面視観察したとき、ナノファイバ部位とフィルム状部位との面積比が、90:10〜10:90である請求項2又は3記載のナノファイバ積層シート。
【請求項5】
ナノファイバ積層シートの厚み方向でみたときに、該ナノファイバ積層シートの組成が、水溶性基材層の組成から、ナノファイバ層の組成へと徐々に変化している請求項1ないし4のいずれか一項に記載のナノファイバ積層シート。
【請求項6】
ナノファイバ積層シートの厚み方向でみたときに、水溶性基材層の組成と、ナノファイバ層の組成との間に明瞭な境界が存在する請求項1ないし4のいずれか一項に記載のナノファイバ積層シート。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−30581(P2012−30581A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139753(P2011−139753)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】