説明

ナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法

【課題】溶媒蒸気を効率よく排出しナノファイバの品質を向上させる。
【解決手段】原料液300を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバ301を製造するナノファイバ製造装置100であって、原料液300を空間中に一方向に流出させる複数の流出孔118の開口部119が細長い帯状の仮想的な二次元範囲である配列範囲内に配列される流出体101と、流出体101から流出する原料液300を帯電させる帯電手段102と、流出体101から原料液300が流出する方向である流出方向と同じ方向で原料液300に沿って流れ、かつ、前記配列範囲の長手方向全体に略均一に広がる幕状の気体流Aを発生させる送風手段103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、静電延伸現象によりサブミクロンオーダーやナノオーダーの細さである繊維(ナノファイバ)を製造するナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂などから成り、サブミクロンスケールやナノスケールの直径を有する糸状(繊維状)物質を製造する方法として、静電延伸現象(エレクトロスピニング)を用いた方法が知られている。
【0003】
この静電延伸現象とは、溶媒中に樹脂などの溶質を分散または溶解させた原料液を空間中にノズルなどにより流出(噴射)させるとともに、原料液に電荷を付与して帯電させ、空間を飛行中の原料液を電気的に延伸させることにより、ナノファイバを得る方法である。
【0004】
より具体的に静電延伸現象を説明すると次のようになる。すなわち、帯電され空間中に流出された原料液は、空間を飛行中に徐々に溶媒が蒸発していく。これにより、飛行中の原料液の体積は、徐々に減少していくが、原料液に付与された電荷は、原料液に留まる。この結果として、空間を飛行中の原料液は、電荷密度が徐々に上昇することとなる。そして、溶媒は、継続して蒸発し続けるため、原料液の電荷密度がさらに高まり、原料液の中に発生する反発方向のクーロン力が原料液の表面張力より勝った時点で原料液が爆発的に線状に延伸される現象が生じる。これが静電延伸現象である。この静電延伸現象が、空間において次々と幾何級数的に発生することで、直径がサブミクロンオーダーからナノオーダーの樹脂から成るナノファイバが製造される。
【0005】
以上のような静電延伸現象を用いてナノファイバを製造する場合、蒸発した溶媒の濃度が問題となる。つまり、原料液が飛翔する空間中の溶媒の濃度が高ければ原料液から溶媒が蒸発し難くなり、製造されるナノファイバの品質に影響が出ることとなる。
【0006】
そこで例えば特許文献1に記載の装置は、ナノファイバを堆積させて収集する被堆積部材を備えており、当該被堆積部材のナノファイバが堆積しない側である裏側から気体を吸引することにより、ナノファイバを被堆積部材に誘引するとともに、蒸発した溶媒を吸引排気する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−223179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1の装置では、ナノファイバが堆積する被堆積部材の裏側から気体を吸引するため、原料液が飛翔する空間にある溶媒蒸気を効率的に吸引することは困難である。
【0009】
また、広範囲に広がる溶媒蒸気を吸引しようとすると、強く空気を吸引する必要が生じるが、この場合、気体流が渦巻くなどの乱流が発生し、ナノファイバの製造に悪影響をおよぼし、製造されるナノファイバの品質が低下する恐れがある。
【0010】
本願発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、溶媒蒸気を原料液の飛翔経路上から効率よく排出すると共に、製造されるナノファイバの品質を高い状態で維持しうるナノファイバ製造装置、および、ナノファイバ製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造装置は、原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造装置であって、原料液を空間中に一方向に流出させる複数の流出孔を有し、前記流出孔の開口部が細長い帯状の仮想的な二次元範囲である配列範囲内に配列される流出体と、前記流出体から流出する原料液を帯電させる帯電手段と、前記流出体から原料液が流出する方向である流出方向と同じ方向で原料液に沿って流れ、かつ、前記配列範囲の長手方向全体に略均一に広がる幕状の気体流を発生させる送風手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
これによれば、配列範囲の長手方向に広がって一方向に流れる原料液の流れに沿って幕状の気体流を略均一に流すため、空間中を飛翔する原料液やナノファイバに影響をおよぼすことなく、原料液やナノファイバが飛翔する飛翔空間から溶媒蒸気を排出することが可能となる。
【0013】
さらに、前記送風手段が発生させた幕状の気体流を前記配列範囲の長手方向全体に渡って略均一に吸気する吸気手段を備えてもよい。
【0014】
これによれば、略均一な幕状の気体流を略均一に吸気するため原料液やナノファイバが飛翔する空間に乱流が発生することを可及的に抑制できる。従って、製造されるナノファイバの品質を高い状態で維持しつつ溶媒蒸気を効率的に飛翔空間から排出することが可能となる。
【0015】
さらに、前記配列範囲の長手方向全体に広がり、空間中で製造されたナノファイバを堆積状態で収集する被堆積部材と、前記流出体と前記被堆積部材とを前記長手方向と交差する方向に相対的に移送する移送手段とを備えてもよい。
【0016】
これによれば、配列範囲の長手方向全体を幅とするナノファイバからなる不織布を製造することが可能となる。しかも、溶媒蒸気が略均一な幕状の気体流により排出されるため、高品質でムラのないナノファイバによって形成される不織布を製造することが可能となる。
【0017】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造方法は、原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造方法であって、複数の流出孔の開口部が細長い帯状の仮想的な二次元範囲である配列範囲内に配列される流出体から原料液を空間中に一方向に流出させる流出工程と、前記流出体から流出する原料液を帯電手段により帯電させる帯電工程と、前記流出体から原料液が流出する方向である流出方向と同じ方向で原料液に沿って流れ、かつ、前記配列範囲の長手方向全体に略均一に広がる幕状の気体流を送風手段により発生させる送風工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
これによれば、配列範囲の長手方向に広がって一方向に流れる原料液の流れに沿って幕状の気体流を略均一に流すため、空間中を飛翔する原料液やナノファイバに影響をおよぼすことなく、原料液やナノファイバが飛翔する飛翔空間から溶媒蒸気を排出することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明によれば、製造されるナノファイバの品質の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、ナノファイバ製造装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、流出体を切り欠いて示す斜視図である。
【図3】図3は、流出体から原料液が流出している状態を流出体の先端部側から示す斜視図である。
【図4】図4は、ナノファイバ製造装置を気体流と共にY軸方向から示す側面図である。
【図5】図5は、送風手段の別例を示す斜示図である。
【図6】図6は、送風手段の別例を示す斜示図である。
【図7】図7は、送風手段の別例を示す斜示図である。
【図8】図8は、送風手段の別例を示す斜示図である。
【図9】図9は、送風手段の別例を示す斜示図である。
【図10】図10は、送風手段の別例を示す斜示図である。
【図11】図11は、吸気手段の別例を示す斜示図である。
【図12】図12は、吸気手段の別例を示す斜示図である。
【図13】図13は、吸気手段の別例を示す斜示図である。
【図14】図14は、吸気手段の別例を示す斜示図である。
【図15】図15は、吸気手段の別例を示す斜示図である。
【図16】図16は、吸気手段の別例を示す斜示図である。
【図17】図17は、ナノファイバ製造装置の別例を気体流と共にY軸方向から示す側面図である。
【図18】図18は、ナノファイバ製造装置を気体流と共にY軸方向から示す側面図である。
【図19】図19は、ナノファイバ製造装置の他の実施の形態を示す斜示図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本願発明に係るナノファイバ製造装置、ナノファイバ製造方法を、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、ナノファイバ製造装置を示す斜視図である。
同図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、原料液300を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバ301を製造する装置であって、流出体101と、帯電手段102と、送風手段103とを備えている。さらに、ナノファイバ製造装置100は、吸気手段104と、収集手段105と、供給手段106とを備えている。
【0023】
図2は、流出体を切り欠いて示す斜視図である。
流出体101は、原料液300を空間中に一方向に流出させる複数の流出孔118を備え、流出孔118の先端に存在する開口部119が細長い帯状の仮想的な二次元範囲である配列範囲内に配列される部材であり、原料液300の圧力(重力も含む場合がある)により原料液300を空間中に流出させるものである。
【0024】
ここで、「配列範囲」の語は、前述した通り、流出孔118の先端にある開口部119が配置され得る帯状の仮想的な2次元範囲の意味であり、本願明細書、および、特許請求の範囲全体において同様の意味で使用している。例えば図2において、配列範囲は、先端部116(後述)に該当する範囲となる。上記のように、配列範囲は、帯状の仮想的な2次元範囲であるが、図2のように、物理的な形状から示される領域(先端部116)と一致する場合がある。しかし、本願発明において、仮想的な配列範囲と物理的な領域とが一致する必要は無い。
【0025】
また、流出体101は、流出する原料液300に電荷を供給する電極としても機能しており、原料液300と接触する部分の少なくとも一部は導電性を備えた部材で形成される。本実施の形態の場合、流出体101全体が金属で形成されており、さらに、先端部116と、側面部117と、貯留槽113とを備えている。
【0026】
流出孔118は、原料液300を一方向(図1において、Z軸方向下向き)に向かって空間中に流出させる孔であり、流出体101の一部を占める領域である細い帯状の配列範囲内に複数個設けられている。本実施の形態の場合、流出孔118は、相互に平行となるようにY軸方向に一直線上に並べて配置されており、流出孔118の先端にある開口部119は、所定の間隔で一列に並んで配置されている。
【0027】
流出孔118の孔長や孔径は、特に限定されるものではなく、原料液300の粘度などにより適した形状を選定すれば良い。具体的には、孔長は、1mm以上、5mm以下の範囲から選定されるのが好ましい。孔径は、0.1mm以上、2mm以下の範囲から選定されるのが好ましい。また、流出孔118の形状は、円筒形状に限定されるわけではなく、任意の形状を選定しうる。特に開口部119の形状は、円形に限定されるわけではなく、三角形や四角形などの多角形、星形など内側に突出する部分のある形状などでもかまわない。
【0028】
また、開口部119が並べられる間隔は、全てを等間隔としてもよく、また、流出体101の端部における開口部119の間隔は、流出体101の中央部における開口部119の間隔よりも広く、または、狭くするなど任意に定めることができる。現在得られている知見において、開口部119の孔径が0.3mmの場合、開口部119のピッチは、2.5mm以上が好ましい。2.5mm未満の場合、隣接して流出する原料液が合体する可能性が高まるからである。なお、これら孔径やピッチなどは、原料液300の粘度など他の条件により変化することが考えられる。
【0029】
また、開口部119は、同一直線上に配置されるばかりでなく、細い帯状の配列範囲内であればどのように配置されも良い。例えば開口部119は、ジグザグに配置されてもよく、サインカーブなどの波を描くように配置されてもよい。
【0030】
先端部116は、流出孔118の開口部119が配置される流出体101の部分であり、所定の間隔で配置される開口部119の間を滑らかな面で接続する部分である。本実施の形態の場合、先端部116は、細長い矩形の平面を表面に備え、その幅は、対応する開口部119の径よりも広くなるように設定されている。
【0031】
なお、先端部116の形状が、図2のような帯状でない場合、例えば、先端部116の形状が、曲面形状の場合や、切り立った形状であっても、また、針状のノズルが並んだような先端部116が無い場合であっても、「配列範囲」は、開口部119が配列されうる帯状領域として仮想的に設定できるものであることは変わりない。
【0032】
図3は、流出体から原料液が流出している状態を流出体の先端部側から示す斜視図である。
【0033】
同図に示すように、開口部119の周囲の全てにわたって表面が滑らかな面(本実施の形態の場合、平面)の先端部116が存在することにより、開口部119の周りに液溜まり303(いわゆるテーラーコーン)が発生する。この液溜まり303は、原料液300の粘性により発生すると考えられ、開口部119よりも大きな円形の底面を備える円錐形状となっている。液溜まり303は、開口部119を覆うように流出体101の先端部116に付着する。そして、円錐状の液溜まり303から原料液300が空間中に細く流出するものとなっている。これにより開口部119が空気と直接接触しないので、開口部119から発生するイオン風を抑制することが可能となる。
【0034】
以上のように、先端部116は、複数存在する開口部119の間を滑らかな面でつなげているため、複数のノズルを並べたときに発生する電界干渉を抑制することが可能となる。また、開口部119と開口部119との間の領域で発生するイオン風を抑制することができる。従って、開口部119の間隔を狭めた状態で配置しても、良好にナノファイバ301を製造することができるため、単位時間、単位面積あたりのナノファイバ301の生産量を向上させることが可能となる。
【0035】
また、先端部116により液溜まり303を良好な状態で保持することが可能であるため、イオン風の発生を抑制し、ナノファイバ301の品質向上や生産効率の向上が図れると考えられる。
【0036】
側面部117は、図2に示すように、流出孔118を挟むように配置される二つの面であり、先端部116から延設され、起立状態で配置される流出体101の部分である。また、側面部117は、配列範囲の長手方向(Y軸方向)に延びた状態で設けられており、全ての流出孔118を二つの側面部117で挟むように設けられている。また、側面部117は、図2に示すように、先端部116から離れるに従い相互の間隔が広がるように配置されている。
【0037】
流出体101は、上記側面部117を備えることで、イオン風の発生を抑制し、また、イオン風が発生したとしても、空間中に流出する原料液300と交差しない方向にイオン風を飛ばせることができるため、イオン風が影響を及ぼすことなく安定した状態でナノファイバ301を製造することが可能となる。
【0038】
また、側面部117は先端部116に向かって徐々に細くなるように配置されているため、先端部116に電荷が集中させやすく、原料液300に効率的に電荷を供給することができる。
【0039】
さらに、開口部119の周囲の空間を広く開放することができるため、側面部117の側方に送風手段103によって発生する気体流によって効率よく溶媒蒸気を排出できると考えられる。
【0040】
貯留槽113は、図2に示すように、流出体101の内部に形成され、供給手段106(図1参照)から供給される原料液300を貯留するタンクである。また、貯留槽113は、複数の流出孔118に接続され、流出孔118に同時に原料液300を供給するものとなっている。本実施の形態の場合、貯留槽113は、流出体101に一つ設けられており、流出体101の一端部から他端部にわたって広く設けられ、全ての流出孔118と接続されている。
【0041】
以上のように貯留槽113は、原料液300を流出孔118の近傍で一時的に貯留し、複数の流出孔118に均等な圧力で原料液300を供給する機能を備えており、これにより、各流出孔118から均等な状態で原料液300を流出させることが可能となる。従って、製造されるナノファイバ301の品質の空間的なムラを抑制することが可能となる。
【0042】
なお、本実施の形態では、流出体101は、細く長い先端部116を備え、かつ、先端部から徐々に広がるように配置される側面部117を備えるものとして説明したが、本願発明はこれに限定されるものでは無い。例えば、流出孔118の開口部119が細長い帯状の仮想的な二次元範囲である配列範囲内に配列されるものであれば、円形のパイプの周壁に流出孔118を設けたものや、矩形で箱形の流出体101の底面に行列状に流出孔118を並べるもの、一つの流出孔118が軸方向に沿って設けられる針状のノズルを複数個並べるものなどを他の形態として例示できる。
【0043】
供給手段106は、図1に示すように、流出体101に原料液300を供給する装置であり、原料液300を大量に貯留するタンクと、当該タンクから原料液300を圧送するポンプと、圧送される原料液300を案内するパイプを備えている。
【0044】
帯電手段102は、流出体101から流出する原料液300に電荷を付与して帯電させる装置である。本実施の形態の場合、帯電手段102は、帯電電極121と、帯電電源122とを備えている。また、流出体101も帯電手段102を構成する要素として機能している。
【0045】
帯電電極121は、流出体101と所定の間隔を隔てて配置され、自身が流出体101に対し高い電圧もしくは低い電圧となることで、流出体101に電荷を誘導するための導電性を備える部材である。本実施の形態の場合、帯電電極121は、ナノファイバ301を収集手段105に誘引する誘引手段107としても機能している。帯電電極121は、流出体101の先端部116と対向する位置に配置されており、帯電電源122を介して接地されている。一方、流出体101は、接地されている。従って、帯電電極121に正の電圧が印加されると流出体101には負の電荷が誘導され、原料液300は負に帯電する。一方、帯電電極121に負の電圧が印加されると流出体101には正の電荷が誘導され、原料液300は正に帯電する。
【0046】
帯電電源122は、流出体101と帯電電極121との間に高電圧を印加して原料液300を所望の電荷密度に帯電させることのできる電源である。帯電電源122は、一般には、直流電源が好ましいが交流電源の採用を妨げるものでは無い。
【0047】
なお、流出体101に帯電電源122を接続して流出体101を帯電電極121に対し高い電圧もしくは低い電圧としてもかまわない。また、帯電電極121と流出体101とのいずれも接地しないような接続状態とし、帯電電源122の両極をそれぞれ帯電電極121と流出体101に接続してもかまわない。
【0048】
収集手段105は、静電延伸現象により製造されるナノファイバ301を収集する装置である。収集手段105は、被堆積部材151と、被堆積部材151を移送することのできる移送手段152とを備えている。
【0049】
被堆積部材151は、配列範囲の長手方向全体に広がり、空間中で製造されたナノファイバ301を堆積状態で収集する部材である。本実施の形態の場合、被堆積部材151は、配列範囲の長手方向を幅とする薄い帯状の長尺の部材でありロール153に巻き付けられた状態で供給されている。また、被堆積部材151は、表面に堆積したナノファイバ301と分離が容易なように、表面処理が施されている。
【0050】
移送手段152は、流出体101と被堆積部材151とを配列範囲の長手方向(Y軸方向)と交差する方向(X軸方向)に相対的に移送する装置である。本実施の形態の場合、流出体101は固定されており、被堆積部材151のみを流出体101に対して移送するものとなっている。移送手段152は、長尺の被堆積部材151を巻き取りながらロール153から引き出し、堆積するナノファイバ301と共に被堆積部材151を移送して巻き取るものとなっている。
【0051】
なお、移送手段152は、被堆積部材151を移動させるばかりではなく、流出体101を収集手段105に対して移動させるものでもかまわない。また、移送手段152は、被堆積部材151を一定方向に移送し、流出体101を被堆積部材151の移送方向と交差する方向に往復動させるもの等でもよい。また、開口部119の並び方向と直交する方向に収集手段105を移動させているが、それに限定するものではなく、開口部119の並び方向に被堆積部材151を移動させ、流出体101を開口部119の並び方向と直交する方向に往復動させるものであってもかまわない。
【0052】
送風手段103は、流出体101から原料液300が流出する方向である流出方向(Z軸方向)と同じ方向で原料液300に沿って流れ、かつ、流出孔118の配列範囲の長手方向(Y軸方向)全体に略均一に広がる幕状の気体流を発生させる装置である。
【0053】
ここで、本願明細書、および、特許請求の範囲に記載する「略均一」の語は、完全な均一も含む意味で使用している。また、「略」の語は、本願発明を逸脱しない程度の誤差(公差)や広がりを含む意味で使用している。
【0054】
本実施の形態の場合、送風手段103は、いわゆるエアーカーテンを発生させる装置であり、Y軸方向に延びる長尺のシロッコファンをモータにより回転させて発生させた気体流をY軸方向に延びるスリット状の送風口131から吐出することにより幕状の気体流をZ軸方向の下向きに発生させるものである。
【0055】
これによれば、原料液300の流れに沿って原料液300の近傍に強制的に気体流を略均一に流すことができ、原料液300やナノファイバ301の飛翔に悪影響をおよぼすことなく飛翔空間から溶媒蒸気を効果的に排出することが可能となる。
【0056】
また、送風手段103の送風口131は、流出方向において流出孔の開口部119よりも上流側にある。これにより、流出体101から原料液300が流出した直後の溶媒蒸気も含めて排出することができるため好ましい。
【0057】
原料液300の流出方向に沿って流れる気体流は、流出体101の先端部116に垂下状に出現する原料液300の液溜まり303(テーラーコーン)にあまり影響を与えることなく液溜まり303近傍の溶媒蒸気を排出するため、製造されるナノファイバ301の品質を高い状態で維持させることが可能となる。
【0058】
なお、送風手段103は、シロッコファンを備えるものに限定される訳ではない。例えば図5に示すように、複数の軸流ファンを配列範囲の長手方向(Y軸方向)に並べたものでもかまわない。この場合、送風手段103は、前記軸流ファンを駆動する駆動手段を備えており、前記軸流ファンと前記駆動手段との組み合わせによる送風能力を前記駆動手段を調整することにより制御することで、長手方向に略均一な気体流を創出するものでもよい。
【0059】
また、図6に示すように、コンプレッサなどにより昇圧された空気Bを送風口131の近傍に備えられたバッファ132に一旦蓄えたうえで、送風口131から幕状の気体流Aを吐出するものでもかまわない。また、送風口131の形状も単なるスリット状ばかりでなく、気体流の発生源の種類や配置によって形状を変えてもかまわない。例えば、図7に示すように、気体流の発生源133が送風口131の中央部の近傍に配置されている場合において、送風口131として独立に開口する孔を並べて設け、中央部に配置される孔の開口面積よりも端部に配置される孔の開口面積が大きいものとしても良い。また、図8に示すように、スリット状の送風口131の幅を中央部より端部を長くして、開口面積が中央部と端部とで異なるものとしてもよい。
【0060】
逆に、図9に示すように、気体流の発生源133が送風口131の両端部の近傍に接続されている場合において、送風口131として独立に開口する孔を並べて設け、中央部に配置される孔の開口面積よりも端部に配置される孔の開口面積が小さいものとしても良い。また、図10に示すように、スリット状の送風口131の幅を中央部より端部を短くして、開口面積が中央部と端部とで異なるものとしてもよい。
【0061】
以上の様に、気体流の発生源133からの距離が小さい気体流の圧力が高い部分では送風口131の開口面積を小さくし、気体流の発生源133からの距離が長くなることによる気体流の圧力の低下に伴って徐々に開口面積を大きくすることで、略均一な気体流を吐出することが可能となる。
【0062】
吸気手段104は、送風手段103が発生させた幕状の気体流を流出孔118の配列範囲の長手方向全体に渡って略均一に吸気する装置である。
【0063】
図4は、ナノファイバ製造装置を気体流と共にY軸方向から示す側面図である。
同図に示すように、吸気手段104は、送風手段103がY軸方向全体に広がってZ軸方向の下向きに幕状に発生させた気体流AをY軸方向に広がった状態で略均一に吸気する。本実施の形態の場合、吸気手段104は、空間中を飛翔する原料液300やナノファイバ301に対し、送風手段103の送風口131と反対側に配置されている。吸気手段104は、Y軸方向に延びる長尺のシロッコファンをモータにより回転(送風手段103とは逆向き)させてY軸方向に延びるスリット状の吸気口141から気体流Aを吸気するものである。
【0064】
以上の様に、略均一な幕状の気体流Aを吸気手段104が配列範囲の長手方向に略均一に吸気するため、原料液300やナノファイバ301が飛翔する空間に乱流が発生することを可及的に抑制できる。従って、製造されるナノファイバ301の品質を高い状態で維持しつつ溶媒蒸気を効率的に飛翔空間から排出することが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態の場合、吸気手段104によって、気体流Aの方向を変更し原料液300やナノファイバ301と交差させることにより、原料液300やナノファイバ301の飛翔経路を曲げて長くしている。従って、溶媒の蒸発時間を稼ぐことができ、品質の高いナノファイバを製造することが可能となる。
【0066】
また、流出体101と被堆積部材151との中間位置よりも被堆積部材151側、つまり、液溜まり303から遠い位置で気体流Aと原料液300やナノファイバ301とを交差させているため、液溜まり303に影響をおよぼすことなく、飛翔経路を変更するため、ナノファイバ301の品質を高い状態で維持することが可能となる。
【0067】
なお、吸気手段104は、シロッコファンを備えるものに限定される訳ではない。例えば図11に示すように、複数の軸流ファンを配列範囲の長手方向(Y軸方向)に並べたものでもかまわない。この場合、吸気手段104は、前記軸流ファンを駆動する駆動手段を備えており、前記軸流ファンと前記駆動手段との組み合わせによる吸気能力を前記駆動手段を調整することにより制御することで、長手方向に略均一に気体流Aを吸気してもかまわない。
【0068】
また、図12に示すように、真空排気などができる吸気源143により大気圧よりも低圧にすることができる真空槽142を備えて、吸気口141から幕状の気体流Aを吸気するものでもかまわない。また、吸気口141の形状も単なるスリット状ばかりでなく、吸気源143の種類や配置によって形状を変えてもかまわない。例えば、図13に示すように、気体流の吸気源143が吸気口141の中央部の近傍に配置されている場合において、吸気口141として独立に開口する孔を並べて設け、中央部に配置される孔の開口面積よりも端部に配置される孔の開口面積が大きいものとしても良い。また、図14に示すように、スリット状の吸気口141の幅を中央部より端部を長くして、開口面積が中央部と端部とで異なるものとしてもよい。
【0069】
逆に、図15に示すように、気体流の吸気源143が吸気口141の両端部の近傍に接続されている場合において、吸気口141として独立に開口する孔を並べて設け、中央部に配置される孔の開口面積よりも端部に配置される孔の開口面積が小さいものとしても良い。また、図16に示すように、スリット状の吸気口141の幅を中央部より端部を短くして、開口面積が中央部と端部とで異なるものとしてもよい。
【0070】
以上の様に、吸気源143からの距離が小さい圧力が低い部分では吸気口141の開口面積を小さくし、吸気源143からの距離が長くなることによる圧力の上昇に伴って徐々に開口面積を大きくすることで、略均一に気体流を吸気することが可能となる。
【0071】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、特許請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0072】
例えば、図1において、吸気手段104がなくても構わない。また、図17に示すように、送風手段103の送風口131を流出孔118の間に配置し、吸気手段104を複数備えて幕状の気体流Aを二方向から吸引してもかまわない。なお、同図は、流出孔118を備える流出体101を複数備え、送風口131は、流出体101の間に配置されている。また、吸気手段104を備えず、単に、被堆積部材151の方向に気体流を発生させるだけでも良い。また、上記流出体101の説明においても記載したとおり、同図において流出体101のいずれか一方、または、両方を針状のノズルを並べた流出体101に置き換えたナノファイバ製造装置100も本願発明に含まれる。
【0073】
これによれば、狭い空間に流出孔118を多数備えた場合でも、流出孔118の間を流れる気体流Aによって、効率的に溶媒蒸気を排出することが可能となる。従って、品質の高いナノファイバ301を生産効率の高い状態で生産することが可能となる。
【0074】
また、図18に示すように、流出体101の両脇に複数の送風手段103を配置し、複数の幕状の気体流Aで飛翔する原料液300やナノファイバ301を挟んでもかまわない。また、複数の気体流Aを複数の吸気手段104で吸気してもかまわない。さらに、気体流Aは、被堆積部材151や堆積したナノファイバ301を貫通した状態で吸気されてもかまわない。
【0075】
また、図19に示すように、吸気手段104が吸気した気体流Aを送風手段103に案内する案内手段145を備えてもかまわない。同図に示される案内手段145は、吸気手段104の排気口と送風手段103の吸入口とをつなげるダクトである。このように、気体流Aを案内手段145を用いて循環させることで、送風手段103のモータなどに係る負荷を軽減することが可能となる。さらに、吸気手段104は、モータやファンを備えることなく、単に吸気口141のみを備え、送風手段103の吸気力を用いて原料液300やナノファイバ301の飛翔経路と交差した気体流Aを吸気するものでもかまわない。
【0076】
次に、上記構成のナノファイバ製造装置100を用いたナノファイバ301の製造方法を説明する。
【0077】
ここで、ナノファイバを構成する樹脂であって、原料液に溶解、または、分散する溶質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等およびこれらの共重合体等の高分子物質を例示できる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記樹脂に限定されるものではない。
【0078】
原料液に使用される溶媒としては、揮発性のある有機溶剤などを例示することができる。具体的に例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を挙示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明に用いられる原料液は上記溶媒を採用することに限定されるものではない。
【0079】
さらに、原料液に無機質固体材料を添加してもよい。当該無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、製造されるナノファイバの耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。当該酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明の原料液に添加される物質は、上記添加剤に限定されるものではない。
【0080】
原料液における溶媒と溶質との混合比率は、選定される溶媒の種類と溶質の種類とにより異なるが、溶媒量は、約60重量%から98重量%の間が望ましい。好適には溶質が5〜30重量%となる。
【0081】
まず、供給手段106により流出体101に原料液300を供給する(供給工程)。以上により、流出体101の貯留槽113に原料液300が満たされる。
【0082】
次に、帯電電源122により帯電電極121を正または負の高電圧とする。帯電電極121と対向する流出体101の先端部116に電荷が集中し、当該電荷が流出孔118を通過して空間中に流出する原料液300に転移し、原料液300が帯電する(帯電工程)。
【0083】
前記帯電工程と供給工程とは同時期に実施することにより、流出体101の開口部119から帯電した原料液300が流出する(流出工程)。
【0084】
また、送風手段103により、原料液300の流れに沿った気体流Aを送風口131から吐出する(送風工程)。
【0085】
ここで、開口部119から流出する原料液300は、開口部119を覆い先端部116から垂れ下がる液溜まり303を形成する。この液溜まり303は、複数ある開口部119毎に形成され、その先端から原料液300が糸状に垂れ下がる(図3参照)。このように液溜まり303が形成されることで、イオン風の発生を抑制し、製造されるナノファイバ301の品質を高めることが可能となる。
【0086】
また、気体流Aは、液溜まり303に大きな影響を与えることなく、液溜まり303近傍も含めて溶媒蒸気を押し出す。
【0087】
次にある程度空間中を飛行した原料液300に静電延伸現象が作用することによりナノファイバ301が製造される(ナノファイバ製造工程)。ここで、原料液300は、イオン風に影響されることなく強い帯電状態(高い電荷密度)で流出し、また、各開口部119から飛行する原料液300がまとまることなく細い状態で流出する。これにより、原料液300のほとんどがナノファイバ301に変化していく。また、原料液300は、強い帯電状態(高い電荷密度)で流出しているため、静電延伸が何次にもわたって発生し、線径の細いナノファイバ301が大量に製造される。さらに、気体流Aは、溶媒蒸気を飛翔経路から排出しつつ、原料液300やナノファイバ301の飛翔経路を押し曲げるため、飛翔経路が長くなり、より溶媒の蒸発を促して静電延伸現象を促す。
【0088】
この状態において、被堆積部材151の背方に配置される帯電電極121と流出体101との間に発生する電界により、ナノファイバ301が被堆積部材151に誘引される(誘引工程)。
【0089】
一方、吸気手段104により、気体流Aは幕状態を維持したままY軸方向全体にわたって略均一に吸気される(吸気行程)。
【0090】
次に、被堆積部材151にナノファイバ301が堆積して収集される(収集工程)。被堆積部材151は、移送手段152によりゆっくり移送されているため、ナノファイバ301も移送方向に延びた長尺の帯状部材として回収される。
【0091】
以上のような構成のナノファイバ製造装置100を用い、以上のナノファイバ製造方法を実施することによって、原料液300やナノファイバ301の飛翔が気体流Aによって乱されることなく、溶媒蒸気が効率よく排出され、高い生産効率を維持しつつ、品質の高いナノファイバ301を製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本願発明は、ナノファイバの製造やナノファイバを用いた紡糸、不織布の製造に利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
100 ナノファイバ製造装置
101 流出体
102 帯電手段
103 送風手段
104 吸気手段
105 収集手段
106 供給手段
107 誘引手段
113 貯留槽
116 先端部
117 側面部
118 流出孔
119 開口部
121 帯電電極
122 帯電電源
131 送風口
132 バッファ
133 発生源
141 吸気口
142 真空槽
143 吸気源
145 案内手段
151 被堆積部材
152 移送手段
153 ロール
300 原料液
301 ナノファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造装置であって、
原料液を空間中に一方向に流出させる複数の流出孔を有し、前記流出孔の開口部が細長い帯状の仮想的な二次元範囲である配列範囲内に配列される流出体と、
前記流出体から流出する原料液を帯電させる帯電手段と、
前記流出体から原料液が流出する方向である流出方向と同じ方向で原料液に沿って流れ、かつ、前記配列範囲の長手方向全体に略均一に広がる幕状の気体流を発生させる送風手段と
を備えるナノファイバ製造装置。
【請求項2】
さらに、
前記送風手段が発生させた幕状の気体流を前記配列範囲の長手方向全体に渡って略均一に吸気する吸気手段を備える
請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項3】
前記吸気手段は、前記配列範囲の長手方向全体に広がって配置される吸気口を備え、
吸気のための圧力が低い部分の前記吸気口の開口面積は、前記圧力が比較的高い部分の開口面積よりも小さい
請求項2に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項4】
前記送風手段は、前記配列範囲の長手方向全体に広がって配置される送風口を備え、
気体流の圧力が高い部分の前記送風口の開口面積は、前記圧力が比較的低い部分の開口面積よりも小さい
請求項2に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項5】
さらに、
前記吸気手段が吸気した気体を前記送風手段に案内する案内手段を備える
請求項2に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項6】
さらに、
前記配列範囲の長手方向全体に広がり、空間中で製造されたナノファイバを堆積状態で収集する被堆積部材と、
前記流出体と前記被堆積部材とを前記長手方向と交差する方向に相対的に移送する移送手段と
を備える請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項7】
原料液を空間中で電気的に延伸させて、ナノファイバを製造するナノファイバ製造方法であって、
複数の流出孔の開口部が細長い帯状の仮想的な二次元範囲である配列範囲内に配列される流出体から原料液を空間中に一方向に流出させる流出工程と、
前記流出体から流出する原料液を帯電手段により帯電させる帯電工程と、
前記流出体から原料液が流出する方向である流出方向と同じ方向で原料液に沿って流れ、かつ、前記配列範囲の長手方向全体に略均一に広がる幕状の気体流を送風手段により発生させる送風工程と
を含むナノファイバ製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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