説明

ナノファイバ製造装置、不織布製造方法

【課題】静電爆発を用いてナノファイバを製造するナノファイバ製造装置において、引火性のある溶剤を使用しても爆発のおそれの低い製造装置を提供する。
【解決手段】ナノファイバ製造用の原料液200を噴射する、電圧が印加される噴射孔112を備えるナノファイバ製造装置101であって、外空間の雰囲気よりもナノファイバ製造空間107を低酸素雰囲気に維持する隔壁102と、前記ナノファイバ製造空間107の低酸素雰囲気を形成する低酸素ガスを供給するガス供給源103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子物質からなるナノファイバを堆積し、不織布を製造する方法、及び、不織布の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子物質から成り、サブミクロンスケールの直径を有する糸状物質(以下、「ナノファイバ」と記す。)を製造する方法として、エレクトロスピニング(電荷誘導紡糸)法が知られている。
【0003】
このエレクトロスピニング法とは、高電圧を印加した針状のノズルから溶媒中に高分子物質を分散させた高分子溶液を空間中に流出(射出)させることにより、ナノファイバを得る方法である。より具体的には、高電圧により帯電した高分子溶液の溶媒が蒸発するに伴い電荷密度が上昇する。そして、高分子溶液中に発生する反発方向のクーロン力が高分子溶液の表面張力より勝った時点で高分子溶液が爆発的に線状に延伸される現象(静電爆発)が生じる。この静電爆発が、空間において次々と発生することで、サブミクロンの直径の高分子から成るナノファイバが製造される。
【0004】
また、前述の方法で製造されたナノファイバを基板上に堆積させることで、立体的な網目を持つ3次元構造の薄膜を得ることができ、さらに厚く形成することでサブミクロンの網目を持つ高多孔性ウェブ(不織布)を製造することができる。
【0005】
このようにエレクトロスピニング法を採用して製造されたウェブは、ナノオーダーの孔からなる高多孔性であり表面積が広いため、フィルタや電池のセパレータや燃料電池の高分子電解質膜や電極等に適用され、高い効果を得ることが期待されている。
【0006】
従来、ナノファイバを多量に製造してナノファイバからなる実用的なウェブを製造する方法として、複数のノズルを並列に配置し、多量のナノファイバを堆積させてウェブを製造する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−201559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前述の通りナノファイバを製造するに当たっては、ナノファイバ製造空間には原料液を構成する揮発性の溶媒が所定の濃度滞留することとなる。一方、原料液を噴射するノズルには高電圧が印加されており、放電の可能性を完全に回避することは困難である。従って、前記溶媒が引火性のある物質からなる場合、爆発の危険性が常に存在することとなる。
【0008】
一方、引火性のない溶媒を採用することは可能ではあるが、環境問題などを勘案すると溶媒として採用しうる物質の選択肢が狭くなり、コストにも影響することとなる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、ナノファイバを製造するに当たり爆発の危険性を回避しうると共に、選択される溶媒の種類を拡げることのできるナノファイバ製造装置の提供などを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造装置は、ナノファイバ製造用の原料液を噴射する、電圧が印加される噴射孔を備えるナノファイバ製造装置であって、ナノファイバ製造空間を低酸素雰囲気にする低酸素ガスを供給するガス供給源と、外空間の雰囲気よりもナノファイバ製造空間を低酸素雰囲気に維持するための隔壁とを備える。
【0011】
これにより、ナノファイバ製造空間が低酸素雰囲気に維持されるため、引火性のある溶剤が当該空間に存在している場合であっても爆発の危険性を可及的に回避することが可能となる。
【0012】
また、前記ガス供給源は、前記外空間よりも窒素濃度の高いガスをナノファイバ製造空間に供給するものとしても良い。
【0013】
窒素濃度の高いガスを導入することで相対的にナノファイバ製造空間の酸素濃度を低下させることができる。また、窒素ガスは不活性で入手容易であるため、容易に低酸素濃度の雰囲気をナノファイバ製造空間に形成することが可能となる。なお、窒素濃度の高いガスとは、大気よりも窒素濃度が高ければ良く、窒素濃度が100%に近いガスでも良い。
【0014】
また、前記ガス供給源は、過熱水蒸気をナノファイバ製造空間に供給するものとしても良い。
【0015】
隔壁の内空間に供給するガスとして過熱水蒸気を導入すると、過熱水蒸気は輻射伝熱と、対流伝熱と、凝集伝熱とにより、噴射される原料液を容易に昇温させることができる。従って、難揮発性の溶剤を原料液の溶媒として使用しても、容易に静電気爆発を生じさせることができる。従って、引火性はないが難揮発性の溶剤など使用できる溶剤の幅を拡げることが可能となり、溶剤選定の段階で防爆を考慮することができる。さらに、過熱水蒸気は低酸素濃度であるから、ナノファイバ製造空間を低酸素状態として爆発を防止することが可能となる。
【0016】
ここで、爆発とは、原料液の溶媒が揮発してナノファイバ製造空間に滞留し、何らかの原因(例えば放電など)により溶媒が引火することにより発生する爆発を意味する。また、防爆とは当該爆発が発生しない状態とすることを指す。また、当該爆発は、ナノファイバを製造するために必要な静電気爆発とは異なるものである。
【0017】
さらに、前記ガス供給源からナノファイバ製造空間へのガスの供給量を変更するガス供給量変更手段と、前記ナノファイバ製造空間のガスの組成を測定するガス組成測定手段と、前記ガス組成測定手段からの信号に基づき前記ナノファイバ製造空間の低酸素雰囲気を維持するように前記ガス供給量変更手段を制御する制御手段とを備えてもよい。
【0018】
さらに、前記ガス供給源からナノファイバ製造空間へのガスの供給量を変更するガス供給量変更手段と、前記ナノファイバ製造空間の圧力を測定する圧力測定手段と、前記圧力測定手段からの信号に基づき前記ナノファイバ製造空間の圧力を陽圧に維持するように前記ガス供給量変更手段を制御する制御手段とを備えてもよい。
【0019】
さらに、前記ガス供給源から供給されるガスの温度を変更するガス温度変更手段と、前記ナノファイバ製造空間の温度を測定する温度測定手段と、前記圧力測定手段からの信号に基づき前記ナノファイバ製造空間を所定温度に維持するように前記ガス温度変更手段を制御する制御手段とを備えてもよい。
【0020】
上記のようにナノファイバ製造空間の雰囲気を一定にコントロールすることで、高い品質のナノファイバを製造することが可能となる。
【0021】
さらに、前記ナノファイバ製造空間の雰囲気を形成するガスを排気する排気手段を備えてもよい。
【0022】
以上のようにナノファイバ製造空間を排気することで、ナノファイバ製造空間の雰囲気を一定の場所に導出することができる。従って、ナノファイバ製造装置が設置されている環境に配慮することが可能となる。特に、ナノファイバ製造空間を隔壁により密閉した場合、隔壁内部の雰囲気をコントロールする場合に特に有用である。つまり、ナノファイバ製造用の原料液の噴射量を考慮した上で、ガス供給源からのガスの供給量と排気手段による雰囲気の排気量とをバランスさせることで、隔壁により密閉されたナノファイバ製造空間の雰囲気を一定に保つことが可能となる。
【0023】
また、上記目的はまた、本願発明にかかるナノファイバ製造方法により達成できる。すなわち、ナノファイバ製造用の原料液を電圧が印加される噴射孔から噴射し、ナノファイバ製造空間において静電爆発にてナノファイバを製造するナノファイバ製造方法において、前記ナノファイバ製造空間を低酸素雰囲気とする低酸素ガスを前記ナノファイバ製造空間に供給し、前記低酸素雰囲気でナノファイバを製造することによっても達成することができ、その効果は上記と同様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、安全にナノファイバを製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明にかかるナノファイバ製造装置、及び、不織布製造装置の実施の形態を合わせて説明する。
【0026】
図1は、本発明にかかる不織布製造装置を概略的に示す斜視図である。
同図に示すように、不織布製造装置100は、ナノファイバ製造装置101を備え、隔壁102と、ガス供給源103と、排気手段としての排気装置105と、圧縮手段300とを備えている。なお、製造されているナノファイバ、または、その原料液には明確に区別できないためいずれにも200の符号を付し、製造された不織布には210を付している。
【0027】
ナノファイバ200は、ポリフッ化ビニリデン(FVDF)、ポリフッ化ビニリデンーコーヘキサフルオロプロピレン、ポリアクリロニトリル等の石油系高分子材料、また、これらの共重合体及び混合物などから選択可能であり、最終製造物の性質や性能等の所望の機能によって前記材料やその組合せを任意に選択すればよい。
【0028】
また、溶媒としてはアセトンやDMF(N,N-ジメチルホルムアミド)を例示することができる。
【0029】
なお、上記ナノファイバの材料、および、溶媒の種類は例示である。特に、溶媒の種類は、後述する導入ガスの種類や雰囲気温度によって種々選択される。
【0030】
隔壁102は、不織布製造装置100のほぼ全体を覆う通気性のない部材である。例えば樹脂製のパネルを組み立てて箱状としたものや、金属製の枠体に柔軟性があり通気性のほぼないシートを張り渡したものが挙示できる。なお、不織布製造装置100が載置される床を隔壁102として用いてもよい。
【0031】
また、隔壁102により閉ざされた内空間は、ナノファイバが製造されるナノファイバ製造空間107を含み、前記内空間と隔壁102で囲われた空間以外の外空間とは、気密状態で隔絶されているわけではない。
【0032】
ガス供給源103は、隔壁102で囲われた内空間にガスを供給する装置である。ガス供給源103が供給するガスとしては、空気から酸素を樹脂膜(中空糸膜)によりある程度除去した低酸素濃度ガスや、過熱水蒸気を挙示することができる。ここで、低酸素濃度とは、通常の地表近傍の大気内で、隔壁102で囲むことなく、また、ガスの供給を行うことなくナノファイバを製造する際のナノファイバ製造空間107における酸素濃度よりも低い濃度を意味する。なお、本記載は酸素の含有がほとんどない高純度なガスなどの使用を除外するものではなく、液体や気体等の状態でボンベに封印された高純度な窒素やドライアイスから供給される二酸化炭素なども利用可能である。
【0033】
以下本実施の形態では、低酸素ガスとして過熱水蒸気を採用した場合として説明する。
排気装置105は、隔壁102の内空間に存在する雰囲気を排気することができる装置である。本実施の形態の場合、排気される雰囲気中に含まれる溶剤などを回収することができる回収装置が排気装置105に取り付けられている。
【0034】
上記ガス供給源103のガス供給量と排気装置105のガス排気量とのバランスにより隔壁102の内空間を陽圧に維持することが可能となっている。なお、陽圧とは隔壁の外空間の圧力より内空間の圧力が高い状態を意味する。
【0035】
ナノファイバ製造装置101は、ナノファイバ発生手段110と、収集電極120とを備えている。
【0036】
ナノファイバ発生手段110は、ナノファイバを製造するための原料液を噴射(流出)する装置であり、電源150に接続されて所定の電位に維持されるものとなっている。また、原料液を貯蔵するタンク(図示せず)と接続されるパイプ111がナノファイバ発生手段110に接続されており、所定の圧力で原料液が供給されるようになっている。
【0037】
図2はナノファイバ発生手段の具体例を示す図である。
同図(a)に示すナノファイバ発生手段110は、先端に噴射孔112を備えたノズル113を複数本備え、各ノズル113には電源150が接続されている。また、各ノズル113にはパイプ111がそれぞれ接続されており、原料液を貯蔵するタンクから所定の圧力で原料液が供給されるものとなっている。
【0038】
同図(a)に示すナノファイバ発生手段110は、供給される圧力により噴射孔112から原料液200を噴射するものであり、ノズル113に接続される電源150により、噴射する原料液200が帯電するようになっている。
【0039】
同図(b)に示すナノファイバ発生手段110は、周壁に多数個の噴射孔112が設けられた円筒形のバレル114を備えている。バレル114は、回転可能であると共に、電源150により所定の電位に維持されるものである。また、回転軸上に設けられたシャフトの一方にはパイプ111が接続され、バレル114内部に原料液200が供給されるものとなっている。
【0040】
同図(b)に示すナノファイバ発生手段110は、遠心力により噴射孔112から原料液200を噴射するものであり、バレル114に接続される電源150により、噴射する原料液200が帯電するようになっている。
【0041】
シート160は、空間中で生成したナノファイバ200が堆積する対象となる部材であり、堆積したナノファイバ200と容易に分離可能な材質で構成された薄く柔軟性のある長尺のシートである。
【0042】
当該シート160は、ロール状に巻き付けられた状態で供給され、ナノファイバ200が堆積する部分をゆっくりと移動手段170により図中矢印方向に移動するものとなっている。そして、シート160上で製造された不織布210とともに再びロール状に巻き付けられるようになっている。シート160が巻き付けられた供給用のロール(図示省略)と不織布210と共に巻き取られたロール(図示省略)とは、隔壁102内空間に収容されるものとなっている。
【0043】
移動手段170は、シート160を所定の張力を維持しつつ一方方向に送ることができる装置であり、モータ(図示せず)などの駆動により図に示されるローラを回転させてシート160を移動させるものである。
【0044】
収集電極120は、ナノファイバ発生手段110と所定の電位差が生じるように電源150により電位が付与される金属製の電極である。この収集電極120は、シート160に対しナノファイバ発生手段110の反対側に、ナノファイバ発生手段110と対向して配置されている。また、収集電極120は、ナノファイバ発生手段110から噴射され生成した帯電状態のナノファイバ200を電気的に吸引し、シート160上にナノファイバ200を堆積させる機能を担っている。
【0045】
なお、収集電極120については、堆積するナノファイバの密度分布を均一にするための複数の態様が存在する。以下収集電極120の各態様を説明する。
【0046】
(収集電極<1>)
図3は、収集電極<1>を概念的に示す斜視図である。
【0047】
同図に示すように、収集電極120は、複数の電極121と、複数の電極121それぞれに電位を付与する電源150と、電極121に印加する電圧を周期的に変化させることのできる電圧変化手段151と、絶縁体130とを備えている。
【0048】
電極121は、シート160の移動方向(図中矢印)に延び、ナノファイバ200が堆積する部分すなわち堆積部161にわたって配置される金属製の部材である。本収集電極<1>の場合、電極121は、シート160の移動方向に対し垂直に6個の電極121が配置されており、電極の間には絶縁体130が設けられている。なお、電極121のそれぞれを区別して示す場合には符号にa〜fを添えて説明する。
【0049】
電源150は、最大−50kv〜−100kvの電位を付与することができる装置である。本収集電極<1>の場合、電極121a〜電極121fに対し、それぞれ電源150a〜電源150fが接続され、各電極121に独立して電位が付与されるようになっている。
【0050】
電圧変化手段151は、電極121に付与する電位を10kv〜100kv程度の電圧の幅で変化させることのできる装置である。
【0051】
以上の構成の収集電極120であれば、電圧変化手段151で各電極121の電位を変化させることによって、シート160の上に発生する電場の分布を任意に変化させることができる。従って、帯電したナノファイバ200の収集が集中する位置を前記電場の分布に従って移動させることができ、堆積するナノファイバ200の厚さの均一化を図ることが可能となる。
【0052】
(収集電極<2>)
次に、他の収集電極120について説明する。
【0053】
図4は、他の収集電極<2>を概念的に示す側面図である。
同図に示すように、収集電極120は、複数の電極121と、複数の電極121それぞれに電位を付与する電源150と、電極121を駆動する駆動手段157と、絶縁板159とを備えている。
【0054】
電極121、電源150については収集電極<1>と同様であるため説明を省略する。
駆動手段157は、各電極121を独立して直線的に往復動作させることのできるものであり、空圧によって直線的に出没する移動軸158を備えている。なお、駆動手段157は、リニアアクチュエータであればよく、空圧や油圧を用いるもの、ボールねじを用いるもの、リニアモータなどを用いるもの、その駆動方法は問わない。また、駆動手段157は、電極121とナノファイバ発生手段110とを結ぶ線に沿って電極121を移動させるものとなっている。
【0055】
絶縁板159は、電極121の移動時における振れを規制すると共に、電極121相互の接触や近接を阻害して異常な放電等を防止する働きを担うものである。
【0056】
以上のような収集電極120であれば、電源150から出力される電圧は一定でよい。また、各電極121の移動を制御することにより、シート160の移動方向と垂直な方向で分割されたシート160の堆積部161の領域毎にアナログ的経時的に変化する電場を形成することが可能となる。
【0057】
(収集電極<3>)
次に、その他の収集電極120について説明する。
【0058】
図5は、他の収集電極<3>を概念的に示す斜視図である。
同図に示すように、収集電極120は、電極121と、電極121に電位を付与する電源150と、電極121を駆動する駆動手段167とを備えている。
【0059】
電源150については収集電極<1>と同様であるため説明を省略する。
駆動手段167は、電極121をレールに沿って直線的に往復動作させることのできるものである。なお、駆動手段157は、前記と同様リニアアクチュエータであればよく、空圧や油圧を用いるもの、ボールねじを用いるもの、リニアモータなどを用いるもの、その駆動方法は問わない。また、駆動手段167は、シート160の幅方向、すなわち、シート160の移動方向と垂直な線に沿って電極121を移動させるものとなっている。
【0060】
以上のような収集電極120であれば、電源150から出力される電圧は一定でよい。また、電極121の移動を制御することにより、シート160の堆積部161にシート160の移動方向と垂直な方向に変化する電場を形成することが可能となる。
【0061】
本実施の形態のように収集電極120により電場を変化させた場合、各電極121の摺動部分等から放電する可能性が高まるため、特にナノファイバ製造空間107の防爆対策が必要となる。従って、ナノファイバ製造空間107を低酸素状態とすることは好ましい態様といえる。
【0062】
図6は、圧縮手段を示す斜視図である。
図7は、圧縮手段を示す断面図である。
【0063】
同図に示すように、圧縮手段300は、堆積されたナノファイバ200からなる不織布210を圧縮するものである。また、圧縮手段300はガス供給源103から供給される過熱水蒸気350を前記不織布210(ナノファイバ200)に吹き付けつつ、隔壁102の内空間に過熱水蒸気350を供給する事のできる装置である。
【0064】
圧縮手段300は、圧縮ローラ301と、ピンチローラ303と、押圧手段305と、駆動手段306と、ギア307、308と、シャフト309とを備えている。
【0065】
圧縮ローラ301は、シート160と共に移動する不織布210を連続的に押圧する円筒状の筒体であり、筒体の周壁には放射状に吹き付け孔302が穿設されている。
【0066】
シャフト309は、圧縮ローラ301の回転軸と同軸上に圧縮ローラ301を貫通して配置される一端が閉塞した筒状の部材である。シャフト309の周壁には、圧縮ローラ301と同様に過熱水蒸気350を放出するための孔が多数放射状に穿設されている。
【0067】
シャフト309と圧縮ローラ301とは、シャフト309を固定した状態で圧縮ローラ301を回転可能に軸支するために、圧縮ローラ301の両端部に取り付けられるベアリング310を介して接続されている。
【0068】
ピンチローラ303は、圧縮ローラ301と協働し、不織布210及びシート160を挟持するローラであり、シート160の移動に伴って回転可能に軸支されている。
【0069】
ここでガス供給源103は、シャフト309の開口端とフレキシブルなパイプで接続されており、ガス供給源103で発生した過熱水蒸気を、シャフト309に導入し、シャフト309に穿設された孔を介して、径大の圧縮ローラ301に過熱水蒸気を導入する構成になっている。
【0070】
これにより、回転しないシャフト309に容易にパイプを接続し、過熱水蒸気を圧縮ローラ301に導入することができる。さらに、一端シャフト309を介して圧縮ローラ301に過熱水蒸気を導入することで、圧縮ローラ301から均等に不織布210および隔壁102の内空間に過熱水蒸気を放出することが可能となる。
【0071】
押圧手段305は、エアの圧力により圧縮ローラ301をピンチローラ303に向けて押圧する装置であり、シリンダ311と移動軸312とを備えている。移動軸312は、シャフト309の両端部と接続されており、エアの圧力により移動軸312をシリンダ311から突出させることでシャフト309を介して圧縮ローラ301を回転可能に押圧している。
【0072】
従って、圧縮ローラ301とピンチローラ303とに挟まれる不織布210は、押圧手段305のエアの圧力による力によって圧縮されることになる。
【0073】
駆動手段306は、圧縮ローラ301を強制的に回転させる装置であり、ステッピングモータと、ギア308とを備えている。ギア308は、圧縮ローラ301の端面外方に向かって取り付けられているギア307とかみ合っている。従って、駆動手段306は、ステッピングモータの駆動を制御することにより圧縮ローラ301の回転を正確に制御することができるものとなっている。
【0074】
駆動手段306を制御し、圧縮ローラ301の回転と不織布210(シート160)の移動とを同期させることで、不織布210がよれることなく不織布210を圧縮することが可能となる。
【0075】
また、圧縮ローラ301には、図8に示すように、交流電源360により交流電圧が印加できるものとなっている。これは、帯電した不織布210と直接接触する圧縮ローラ301に交流電圧を印加することで、不織布210を除電することができ、圧縮ローラ301に不織布210が付着することを防止することが可能となる。なお、過熱水蒸気350により不織布210が除電される場合、除電のための交流電源360が不要となる場合もある。
【0076】
図9は、不織布製造装置100の機能構成を機構部と共に示すブロック図である。
同図に示すように、不織布製造装置100は、前記構成の他に、ガス組成測定手段としてのガス組成センサ191と、温度測定手段としての温度センサ192と、圧力測定手段としての圧力センサ193とを隔壁102の内空間に備えている。また、不織布製造装置100は、ガス供給量変更手段104と、排気ファン106とを備えている。
【0077】
ガス組成センサ191は、隔壁102の内部空間に存在する雰囲気から少なくとも特定のガスを検出しその濃度に対応した信号を提供することのできる装置である。ガス組成センサ191としては、例えば酸素を検出し濃度を測定することのできるセンサや、窒素を検出し濃度を測定することができるセンサなどを用いることができる。また、雰囲気が有するガスの種類を区別して検出し、それらの割合を測定できるものでもよい。
【0078】
温度センサ192は、隔壁102の内部空間の温度を測定し、温度に対応した信号を提供することができるセンサである。例えば、熱電対や赤外温度計などがあげられる。なお、赤外温度計なら、隔壁102の外空間からでも内空間の温度を測定することが可能である。
【0079】
圧力センサ193は、隔壁102の内空間の圧力に対応した信号を提供することができるセンサである。例えば、ダイアフラムの微小変位を電気信号に変換できるセンサ等を例示することができる。
【0080】
ガス供給量変更手段104は、ガス供給源103から隔壁102の内空間にまで挿通されている管の中間に配置され、バルブにより当該管の中を流れるガスの量、つまり、ガスの流量を調整し、ガス供給源103から隔壁102内空間へのガスの供給量を変更しうるものである。本実施の形態におけるガス供給量変更手段104は、前記管の内部を完全に閉状態にすることができるものである。
【0081】
排気ファン106は、排気装置105の内部に備えられ、当該ファンを回転させることにより隔壁102内空間の雰囲気を、排気装置105から隔壁102の内空間にまで挿通されている管を通して吸引することができるものとなっている。また、排気装置105は、排気ファン106よりも隔壁102側に、排気するか否かを選択しうる開閉手段を備えている。
【0082】
また、同図に示すように、不織布製造装置100は、機能部400として主制御部401と、排気量制御部402と、温度制御部403と、供給量制御部404と、組成信号取得部411と、温度信号取得部412と、圧力信号取得部413と、電圧制御部420とを備えている。
【0083】
組成信号取得部411は、ガス組成センサ191からの信号を取得し、当該信号をデジタル信号に変換して主制御部401に送信する処理部である。
【0084】
温度信号取得部412は、温度センサ192からの信号を取得し、当該信号をデジタル信号に変換して主制御部401に送信する処理部である。
【0085】
圧力信号取得部413は、圧力センサ193からの信号を取得し、当該信号をデジタル信号に変換して主制御部401に送信する処理部である。
【0086】
主制御部401は、各センサ191、192、193からの信号を解析する処理部である。また、ガス供給量変更手段104や排気ファン106を供給量制御部404や排気量制御部402を介してフィードバック制御する処理部である。以上から主制御部401により、隔壁102の内空間を所定の雰囲気に維持することが可能となる。なお、主制御部401は、温度制御部403を介し、ガス供給源103に備えられる後述の過熱水蒸気発生装置を制御して、隔壁102の内空間に供給される過熱水蒸気350の温度を制御することが可能である。また、主制御部401は、電圧制御部420を介し、ナノファイバ発生手段110と、収集電極120とに電位を付与する電源150を制御し、ナノファイバ発生手段110と収集電極120との間に所定の電圧を発生させることが可能である。
【0087】
排気量制御部402は、排気ファン106と接続され、排気ファン106のファンの回転数を制御することで、隔壁102内空間の雰囲気を吸引する量を制御することのできる処理部である。
【0088】
温度制御部403は、後述の過熱水蒸気発生装置に接続され、隔壁102内空間に供給する過熱水蒸気350の温度を制御することのできる処理部である。
【0089】
供給量制御部404は、ガス供給量変更手段104に接続され、ガス供給量変更手段104が備えるバルブの開閉状態を変化させてガス供給源103から供給されるガスの流量を制御することのできる処理部である。
【0090】
電圧制御部420は、電源150に接続され、所定の電圧が発生するように電源を制御することのできる処理部である。
【0091】
ガス供給源103としての過熱水蒸気発生装置は、飽和水蒸気を常圧のまま100℃以上に加熱することができ、常圧過熱水蒸気を発生させることのできる装置である。本実施の形態の場合、温度制御部403により、隔壁102内空間に供給する過熱水蒸気350の温度を500度まで任意に設定できるものとなされている。また、飽和水蒸気を過熱する方法は、電気ヒータで加熱するものや、燃料を燃焼させて加熱する方法があるが、本実施の形態では、複数の金属パイプを束ね、これらの金属パイプを誘導加熱で昇温し、各金属パイプに飽和水蒸気を挿通することで過熱水蒸気を発生させる方法を採用している。
【0092】
さらに具体的には、金属パイプを加熱するのは高周波電源(10KHz以上60KHz以下の周波数)である。また、飽和水蒸気は、ボイラから供給される。
【0093】
ここでガス供給源103として過熱水蒸気発生装置を用いれば、過熱水蒸気(H2Oガス)が隔壁102内空間に供給されることになる。この場合、供給される過熱水蒸気の酸素濃度は0.1体積%〜15体積%であり、通常は0.3体積%〜5.0体積%の範囲で維持される。このように、低酸素濃度の過熱水蒸気で充満させることで隔壁102内空間を低酸素雰囲気とすることが可能となる。
【0094】
また、過熱水蒸気は、対流伝熱効果の他に放射伝熱効果も高いため、ナノファイバ製造用の原料液200を構成する溶媒の揮発をより促すことができ、ナノファイバの製造を容易にすることができる。つまり、難揮発性の溶媒を採用した場合でも、ナノファイバ製造空間107中で過熱水蒸気350から付与される熱エネルギーにより難揮発性の溶媒が蒸発し、静電爆発を生じせしめナノファイバを製造することが可能となる。このことはつまり、選択される溶媒の種類を拡げることが可能であることを意味し、低コストや環境に配慮することのできる溶媒を採用することが可能となる。
【0095】
次に、不織布製造装置100の全体の配置を説明する。
図10は、不織布製造装置を概略的に示す側面図である。
【0096】
同図に示すように、不織布製造装置100は、隔壁102で囲われている。また、ナノファイバ発生手段110は、下部に配置されるシート160に向かい、原料液が噴射されるものとなっている。また、ナノファイバ発生手段110とシート160の距離は、静電爆発が複数回発生し、所望の径のナノファイバが得られる距離に設定されている。
【0097】
また、シート160の下側に配置される収集電極120は、ナノファイバ発生手段110と所定の電位差が発生するものとなされている。これらの電位差は、ナノファイバ発生手段110と収集電極120とにそれぞれ独立に接続される電源150により調整される。すなわち、電源150内では、ナノファイバ発生手段110に供給される電源と収集電極120に供給される電源とは、独立にそれぞれに供給できるように構成されている。
【0098】
収集電極120に対し、シート160の移動方向(同図中矢印)の下流側には、圧縮ローラ301と、ピンチローラ303とがシート160および不織布210を挟むように配置されている。
【0099】
また、シート160は、長尺のシート160が巻き付けられたシート供給ロール162から供給され、圧縮状態の不織布210は、シート160と共に巻き取りロール163に巻き取られる。
【0100】
以上の構成の不織布製造装置100による不織布の製造方法を次に説明する。
まず、隔壁102の内空間に過熱水蒸気350を供給する。一方、排気装置105により、隔壁102の内空間の雰囲気を吸引する。以上過熱水蒸気350を供給しつつ、雰囲気が吸引され、隔壁102の内空間は所定の温度、所定の圧力、所定の酸素濃度で平衡状態となる。これら、酸素濃度、温度、圧力はガス組成センサ191、温度センサ192、圧力センサ193でモニタされ、それぞれが所定の値になるようにガス供給量変更手段104、排気ファン106、ガス供給源103(過熱水蒸気発生装置)の過熱水蒸気の発生温度を制御する。
【0101】
次に、ナノファイバ発生手段110の複数の噴射孔112から原料液を噴射する。これにより、隔壁102の内空間の雰囲気が変化するため、再度ガス供給量変更手段104、排気ファン106、ガス供給源103(過熱水蒸気発生装置)の過熱水蒸気の発生温度を制御する。
【0102】
以上の雰囲気中でナノファイバ製造用の原料液から溶媒が蒸発し、静電爆発が繰り返されることでナノファイバ200が製造される。そして、製造されたナノファイバ200は、収集電極に吸引され、シート160上にナノファイバを堆積してゆく。
【0103】
ナノファイバ200が堆積するシート160は、一定の移動速度で移動している。またシート160の移動速度は、ナノファイバ200が堆積する速さと、希望する不織布210の状態(例えば密度など)から計算により求められる。
【0104】
以上のようにしてシート160の上に堆積し、形成された不織布210は、いわゆるふわふわの状態である。この状態の不織布210は、シート160と共に移動する。
【0105】
シート160の移動方向の下流では、圧縮ローラ301とピンチローラ303とによりふわふわの状態の不織布210を圧縮しつつ圧縮ローラ301から不織布210に対して吹き付ける過熱水蒸気により圧縮されている部位を昇温し、不織布210に残存している溶剤をとばし乾燥させる。
【0106】
ここで、不織布210の厚みは、堆積直後の不織布210の厚みと、押圧手段305の押圧力の設定により決まる。これらの設定は、ナノファイバ200を構成するポリマーの種類、使用する溶媒等の条件に基づき決定される。
【0107】
以上のように不織布を製造すれば、低酸素雰囲気中でナノファイバが製造されるため、ナノファイバ製造用の原料液の溶媒に引火性のある溶剤を使用していたとしても、収集電極120等からの放電等による爆発を防止することが可能となる。また、前記原料液は、過熱水蒸気により昇温されるため、難揮発性の溶剤を採用しても静電爆発を誘引することが可能となる。つまり、過熱水蒸気を用いれば、防爆を可能としつつ、採用しうる溶剤の種類の幅を拡げることが可能となる。
【0108】
そして、爆発の心配のない状態で、所望の厚み、密度、機械的強度、単位体積当たりの表面積を備えた不織布210を容易に製造することが可能となる。
【0109】
なお、上記実施の形態では圧縮ローラ301を支持するシャフト309とガス供給源103とを接続し、圧縮ローラ301の周壁に設けられた吹き付け孔(302)から、隔壁102の内空間に過熱水蒸気350を供給するものとしているが、本願発明はこれに限定されるわけではない。例えば、図10に示すように、隔壁102の内空間に直接ガスを供給するものでもよい。
【0110】
また、低酸素雰囲気にするのは、ナノファイバ製造空間107、すなわち、ナノファイバ発生手段110と収集電極120で挟まれる空間であればよい。従って、図11に示すように、隔壁102は、ナノファイバ製造空間107近傍のみを囲むものでもよい。
【0111】
さらに、ナノファイバ製造空間107を隔壁102により密閉し、ガス供給源103から供給されるガス量と排気装置105による排気量、及び、ナノファイバ製造用原料液の噴射量をバランスさせることにより隔壁102で密閉された内空間の雰囲気を一定に維持し、低酸素状態を維持しても構わない。
【0112】
さらに、排気装置105により排気されるガスを再度隔壁102内部に導入するものとしても良い。この場合、ガス供給源103から供給されるガス量を抑制することができ、また、隔壁102内空間の温度を容易に維持することができるため望ましい。
【0113】
また、隔壁102内部にシースヒータなどヒータを備え、隔壁102内空間の温度を一定に保っても良く、また、ガス供給源103により供給されるガスをヒータにより加熱し当該昇温されたガスを隔壁102内空間に導入することにより、隔壁内空間の温度を所定の温度にするものでもよい。
【0114】
また、上記実施の形態は、不織布を製造する場合を示したが、本願発明はナノファイバを利用した紡糸技術などにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、ナノファイバ製造装置や、微小多孔性を利用したフィルタや表面積の広さを利用した触媒の担持体などに適用できる不織布の製造装置などに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明にかかるナノファイバ製造装置を備える不織布製造装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】ナノファイバ発生手段の具体例を示す図である。
【図3】収集電極<1>を概念的に示す斜視図である。
【図4】収集電極<2>を概念的に示す側面図である。
【図5】収集電極<3>を概念的に示す斜視図である。
【図6】圧縮手段を示す斜視図である。
【図7】圧縮手段を示す断面図である。
【図8】圧縮昇温ローラの除電構造を示す図である。
【図9】不織布製造装置の制御構成を示すブロック図である。
【図10】不織布の製造状態を概念的に示す側面図である。
【図11】隔壁の他の態様を概念的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0117】
100 不織布製造装置
101 ナノファイバ製造装置
102 隔壁
103 ガス供給源
104 供給量変更手段
105 排気装置
106 排気ファン
107 ナノファイバ製造空間
110 ナノファイバ発生手段
112 噴射孔
120 収集電極
150 電源
160 シート
161 堆積部
191 ガス組成センサ
192 温度センサ
193 圧力センサ
200 ナノファイバ
200 原料液
210 不織布
300 圧縮手段
301 圧縮ローラ
309 シャフト
350 過熱水蒸気
400 機能部
401 主制御部
402 排気量制御部
403 温度制御部
404 供給量制御部
411 組成信号取得部
412 温度信号取得部
413 圧力信号取得部
420 電圧制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノファイバ製造用の原料液を噴射する、電圧が印加される噴射孔を備えるナノファイバ製造装置であって、
ナノファイバ製造空間を低酸素雰囲気にする低酸素ガスを供給するガス供給源と、
外空間の雰囲気よりもナノファイバ製造空間を低酸素雰囲気に維持するための隔壁と
を備えるナノファイバ製造装置。
【請求項2】
前記ガス供給源は、前記外空間よりも窒素濃度の高いガスをナノファイバ製造空間に供給する請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項3】
前記ガス供給源は、過熱水蒸気をナノファイバ製造空間に供給する請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項4】
さらに、
前記ガス供給源からナノファイバ製造空間へのガスの供給量を変更するガス供給量変更手段と、
前記ナノファイバ製造空間のガスの組成を測定するガス組成測定手段と、
前記ガス組成測定手段からの信号に基づき前記ナノファイバ製造空間の低酸素雰囲気を維持するように前記ガス供給量変更手段を制御する制御手段と
を備える請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項5】
さらに、
前記ガス供給源からナノファイバ製造空間へのガスの供給量を変更するガス供給量変更手段と、
前記ナノファイバ製造空間の圧力を測定する圧力測定手段と、
前記圧力測定手段からの信号に基づき前記ナノファイバ製造空間の圧力を陽圧に維持するように前記ガス供給量変更手段を制御する制御手段と
を備える請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項6】
さらに、
前記ガス供給源から供給されるガスの温度を変更するガス温度変更手段と、
前記ナノファイバ製造空間の温度を測定する温度測定手段と、
前記圧力測定手段からの信号に基づき前記ナノファイバ製造空間を所定温度に維持するように前記ガス温度変更手段を制御する制御手段と
を備える請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項7】
さらに、前記ナノファイバ製造空間の雰囲気を形成するガスを排気する排気手段を備える請求項1に記載のナノファイバ製造装置。
【請求項8】
ナノファイバ製造用の原料液を電圧が印加される噴射孔から噴射し、ナノファイバ製造空間において静電爆発にてナノファイバを製造するナノファイバ製造方法において、
前記ナノファイバ製造空間を低酸素雰囲気とする低酸素ガスを前記ナノファイバ製造空間に供給し、
前記低酸素雰囲気でナノファイバを製造するナノファイバ製造方法。
【請求項9】
ナノファイバ製造用の原料液を噴射する、電圧が印加される噴射孔と、製造されたナノファイバが堆積される被堆積手段とを備える不織布製造装置であって、
ナノファイバ製造空間を低酸素雰囲気にする低酸素ガスを供給するガス供給源と、
外空間の雰囲気よりもナノファイバ製造空間を低酸素雰囲気に維持するための隔壁と、
前記被堆積手段上に堆積されたナノファイバを圧縮する圧縮手段と
を備える不織布製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−202178(P2008−202178A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41314(P2007−41314)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的部材産業創出プログラム/新産業創造高度部材基盤技術開発/先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」にかかる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】