説明

ナノレベル構造組成観察装置

【課題】 ナノレベル構造組成観察装置に関し、レーザ光の反射光による測定誤差の発生を防止する。
【解決手段】 針状試料4の表面より、少なくとも外部エネルギー3により原子1つ1つ或いは複数の元素からなるクラスター1集団1集団が外部空間に離脱することにより針状試料4のナノレベルの構造組成を観察するためのナノレベル構造組成観察装置を構成する観察室1の内部の少なくとも一部に黒色光吸収体5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノレベル構造組成観察装置に関するものであり、特に、針状試料にレーザ光等の外部エネルギーを照射してナノレベル構造組成観察する場合の入射レーザ光の迷光を遮断するための構成に特徴のあるナノレベル構造組成観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、HDD(ハードディスクドライブ)の小型化、大容量化が急速に進んでおり、高密度磁気記録を実現するためのヘッド及び媒体の開発が求められている
媒体に微細に配列された記録ビットから発生する磁気的信号を再生ヘッドで高効率に電気信号に変換するために、MRヘッドの微細化・薄層化が求められている。
【0003】
この様に微細化・薄層化されたMRヘッドにおいては、スピンバルブ膜を構成する各層の層厚を精度良く形成するとともに、各層間の界面状態を良好に保つ必要がある。
例えば、膜厚分布が不均一であったり、界面が湾曲していたり、或いは、界面で構成原子が相互拡散して界面が不明確になっていれば、所望の特性が得られなくなる。
【0004】
そこで、従来においては、界面におけるX線の反射を利用した2θ法を用いて、スピンバルブ膜等の各層の膜厚及び界面状態を評価して、結果を製造工程へフィードバックすることによって、性能の向上と製造歩留りの向上を図っていた。
【0005】
しかし、2θ法は界面でのX線の反射強度を利用する手法であるため、界面で構成原子が相互拡散して界面が不明確になっている場合には精度の高い解析が困難であり、また、予期せぬ層が介在していた場合にも、精度の高い解析が困難であった。
【0006】
そこで、この様な問題を解決する手法として、原子レベルの3次元構造を直接観察する手法として3次元アトムプローブ法が知られており(例えば、特許文献1或いは特許文献2参照)、このアトムプローブ法は針状に鋭角に形成された先端径が1μm以下の針状試料にパルス状高電界やレーザを照射し、このエネルギーで、表面の原子或いはクラスターを電解蒸発させ2次元位置検出器により試料の3次元原子レベルの構造を観察するものであるので、ここで、図7を参照して従来のレーザアシスト電界蒸発法によるアトムプローブ法を説明する。
【0007】
図7参照
図7は、上述の従来のレーザアシスト電界蒸発法によるアトムプローブ法の原理の説明図であり、先端半径が例えば、100nm(=0.1μm)の針状試料61に高圧電界を印加するとともにレーザ光62を照射して針状試料61の先端から構成物質63,64を蒸発させ、飛来する構成物質63,64の到達時間(TOF:Time of Flight)を二次元位置検出器65によって測定し、到達時間から構成物質63,64のイオン種を同定するものである。
【特許文献1】特開2002−042715号公報
【特許文献2】特開2001−208659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述のレーザアシスト電界蒸発法においては、レーザ光を針状試料の先端部にのみに照射したいにも拘わらず、実際には針状試料の先端部以外の領域を通過したレーザ光が反対側のチャンバー内壁に当たり、その乱反射により、3次元アトムプローブで用いる電界蒸発イオンに間違った信号が混じることがたびたび起こるという問題がある。
【0009】
しかし、従来の3次元アトムプローブ用装置では、レーザ光の迷光に関する対応は全くなされておらず、且つ、超高真空で観察を行う精密な3次元アトムプローブ装置においては、構成成分が揮発する黒色樹脂や黒色塗料等を使用することができないという問題がある。
【0010】
したがって、本発明は、レーザ光の反射光による測定誤差の発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
なお、図における符号6は二次元位置検出器等の検出器である。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、針状試料4の表面より、少なくとも外部エネルギー3により原子1つ1つ或いは複数の元素からなるクラスター1集団1集団が外部空間に離脱することにより針状試料4のナノレベルの構造組成を観察するためのナノレベル構造組成観察装置において、観察室1の内部の少なくとも一部に黒色光吸収体5を設けたことを特徴とする。
【0012】
このように、レーザ光等の外部エネルギー3の不要照射部分に、黒色光吸収体5を設けることによって、外部エネルギー3の不要部分を吸収することができ、それによって、レーザ光の反射光等による測定誤差の発生を低減して、精度の高い信号を取得することが可能になる。
【0013】
この場合の黒色光吸収体5としては、金黒、白金黒等でも良いが、広範囲の波長域に渡って吸収性が高いニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜が好適であり、特に、光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)、即ち、表面に電子顕微鏡で観察可能な円錐状の多数の連なった微細孔が形成されず、電子顕微鏡で観察可能なモヘア状突出物が多数の超微細な凹凸をともなって一様に形成され、かつ波長域320nm〜2200nmにおいて黒体の全反射率が0.1〜0.4%であるニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜(特許2661983号参照)が好適である。
【0014】
この黒色光吸収体5は、最低限、観察室1の外部エネルギー3の入射側と対向する側に設ければ良く、さらには、外部エネルギー3の二次照射位置、或いは、それ以上の高次照射位置にも設けることがより望ましい。
【0015】
この場合、黒色光吸収体5は、観察室1内に移動可能に配置しても良く、それによって、レーザ照射に伴う黒色光吸収体5自体の蒸発による光吸収特性の劣化を低減することができる。
【0016】
或いは、黒色吸収体を観察室1の外部エネルギー入射部4を除く内面全面に設けても良いものであり、外部エネルギー3の不要部分を全てを吸収することができる。
【0017】
この場合には、黒色光吸収体5が磁性を有していることが望ましく、それによって、地磁気や高圧送電線等の外部磁場の影響を遮蔽して精度の高い測定が可能になる。
なお、ニッケル・リン合金のメッキ被膜は、成膜時にはほとんど磁性を帯びていないが、熱処理を施すことにより磁性を帯びる性質を有している。
【0018】
上述のナノレベル構造組成観察装置を用いてナノレベル構造組成を観察する場合には、針状試料4の表面にパルス状高電界等の内部エネルギーを印加するとともに、外部エネルギー3も照射するレーザアシスト電界蒸発法が典型的であるが、外部エネルギー3のみを照射するようにしても良いものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、観察用チャンバーの内部のレーザ光等の外部エネルギーの不要照射部分に黒色光吸収体を設けているので、反射レーザ光の影響を受けることなく超高真空で観察することが必須の3次元アトムプローブ装置の観察精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、観察用チャンバーの内部の少なくとも一部、最低限、観察用チャンバーのレーザ光の入射側と対向する側、さらには、レーザ光の二次照射位置、或いは、それ以上の高次照射位置に、ニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜、特に、光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)等の黒色光吸収体を設けたものである。
【0021】
また、黒色光吸収体に磁性を持たせることによって、地磁気や高圧送電線等の外部磁場の影響を遮蔽して精度の高い測定が可能になる。
【実施例1】
【0022】
ここで、図2及び図3を参照して、本発明の実施例1のナノレベル構造組成観察装置を説明するが、図においては、円筒状観察用チャンバーを透視斜視図的に示しているが、実際には円筒状観察用チャンバーの両底面(側面)は開閉自在に遮蔽されて密閉構造になっている。
図2参照
図2は、本発明の実施例1のナノレベル構造組成観察装置の概念的構成図であり、ビューポート12を備えた観察用チャンバー11、観察用チャンバー11内に設置された針状試料20、針状試料20から電界蒸発した原子やクラスタ等がイオン化した荷電粒子21を検出する二次元位置検出器22によって基本構成が構成される。
なお、レーザ光13としては、フェムト秒レーザ光をビューポート12から照射する。
【0023】
本発明の実施例1においては、観察用チャンバー11内の入射するレーザ光の照射位置にCu基板31上にニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜32を形成した黒色光吸収体30を設置する。
【0024】
図3参照
なお、黒体メッキ被膜32としては、光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)を用いるが、この光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)は、表面に電子顕微鏡で観察可能な円錐状の多数の連なった微細孔が形成されず、電子顕微鏡で観察可能なモヘア状突出物が多数の超微細な凹凸をともなって一様に形成され、かつ波長域320nm〜2200nmにおいて黒体の全反射率が0.1〜0.4%であるニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜(特許2661983号参照)であり、図3に示す光反射特性を有している。
【0025】
このように、本発明の実施例1においては、観察用チャンバー11内の入射したレーザ光の照射位置にCu基板31上に光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)からなる黒体メッキ被膜からなる黒色光吸収体30を設置しているので、従来よりノイズレベルの下がった観察データの取得が可能になる。
【実施例2】
【0026】
次に、図4を参照して、本発明の実施例2のナノレベル構造組成観察装置を説明する。 図4参照
図4は、本発明の実施例2のナノレベル構造組成観察装置の概念的構成図であり、ビューポート12を備えた観察用チャンバー11、観察用チャンバー11内に設置された針状試料20、針状試料20から電界蒸発した原子やクラスタ等がイオン化した荷電粒子21を検出する二次元位置検出器22によって基本構成が構成される。
なお、レーザ光13としては、フェムト秒レーザ光をビューポート12から照射する。
【0027】
本発明の実施例2においては、観察用チャンバー11の内壁の入射するレーザ光の照射位置に、ニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜33、特に、光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)を直接無電解メッキ法によって形成したものである。
なお、この場合、無電解メッキ後に、硫酸を含有する硝酸塩水溶液でエッチング処理してモヘア状突出物が多数の超微細な凹凸を形成する必要がある(必要ならば、上述の特許2661983号参照)。
【0028】
このように、本発明の実施例2においては、観察用チャンバー11の内壁の入射するレーザ光の照射位置に黒体メッキ被膜33を直接メッキ成膜しているので、黒色光吸収体を設置するための機械的構成が不要になる。
【実施例3】
【0029】
次に、図5を参照して、本発明の実施例3のナノレベル構造組成観察装置を説明する。 図5参照
図5は、本発明の実施例3のナノレベル構造組成観察装置の概念的構成図であり、ビューポート12を備えた観察用チャンバー11、観察用チャンバー11内に設置された針状試料20、針状試料20から電界蒸発した原子やクラスタ等がイオン化した荷電粒子21を検出する二次元位置検出器22によって基本構成が構成される。
なお、レーザ光13としては、フェムト秒レーザ光をビューポート12から照射する。
【0030】
本発明の実施例3においては、観察用チャンバー11の内壁の入射するレーザ光の照射位置と、この照射位置からの反射光が照射する二次照射位置にも、ニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜33,34、特に、光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)を上記の実施例2と全く同様に直接無電解メッキ法によって形成したものである。
【0031】
このように、本発明の実施例3においては、観察用チャンバー11の内壁の入射するレーザ光の二次照射位置にも黒体メッキ被膜34を設けているので、実施例1,2よりさらにノイズレベルの下がった観察データの取得が可能になる。
【実施例4】
【0032】
次に、図6を参照して、本発明の実施例4のナノレベル構造組成観察装置を説明する。 図6参照
図6は、本発明の実施例4のナノレベル構造組成観察装置の概念的構成図であり、ビューポート12を備えた観察用チャンバー11、観察用チャンバー11内に設置された針状試料20、針状試料20から電界蒸発した原子やクラスタ等がイオン化した荷電粒子21を検出する二次元位置検出器22によって基本構成が構成される。
なお、レーザ光13としては、フェムト秒レーザ光をビューポート12から照射する。
【0033】
本発明の実施例4においては、観察用チャンバー11の内壁の全面にニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜35、特に、光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)を上記の実施例2と全く同様に直接無電解メッキ法によって形成したものである。
【0034】
次いで、熱処理を施すことによって、ニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜35に磁性を付与する。
なお、ニッケル・リン合金のメッキ膜は成膜時にはほとんど磁性を帯びていないが、熱処理を施すことによって磁性を帯びることは知られている(必要ならば、http://www.nc−net.or.jp/kouza/mekki/009b.html参照)。
【0035】
このように、本発明の実施例4においては、観察用チャンバー11の内壁の全面に黒体メッキ被膜34を設けているので、高次照射位置におけるレーザ光を吸収することができ、実施例3よりさらにノイズレベルの下がった観察データの取得が可能になる。
【0036】
また、この実施例4においては、黒体メッキ被膜34に磁性を付与しているので磁気シールドとしても機能することになり、それによって、外部磁場の影響を受けない精度の高い観察データの取得が可能になる。
【0037】
即ち、針状試料20から電界蒸発した粒子はイオン化しているので、磁場の影響を受けることになるが、ナノレベル構造組成観察装置は地磁気以外に高圧送電線や屋内電源配線に起因する外部磁場に晒されることになり、この様な外部磁場の影響を受けないようにするためには、ナノレベル構造組成観察装置の設置場所について、予め高圧送電線や屋内電源配線の位置を確認する必要がある。
【0038】
しかし、黒体メッキ被膜に磁気シールドを兼ねさせることによって、外部磁場を意識することなくナノレベル構造組成観察装置を任意の位置に設置することが可能になる。
【0039】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載した条件・構成に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、ナノレベル構造組成観察装置の観察用チャンバーの形状を軸が横方向の円筒状のチャンバーとしているが、矩形のチャンバーでも良く、或いは、軸が縦方向の円筒状のチャンバーを用いても良いものである。
【0040】
また、上記の各実施例においては、電界蒸発及びイオン化に際してパルス電圧に同期させてレーザ光を照射するレーザアシスト電界蒸発を前提に説明しているが、必ずしも、レーザアシスト電界蒸発法に限られるものではなく、パルス電圧を印加せずにレーザ光のみを照射するようにしても良いものである。
【0041】
また、上記の各実施例においては、外部エネルギーとしてレーザ光を用いているがレーザ光に限られるものではなく、特に、不要な光を吸収する黒色光吸収体を設けているので、レーザ光以外の指向性の低い光を用いても良く、この場合、フェムト秒オーダのパルス光にするために超高速光シャッタを用いれば良い。
【0042】
また、上記の各実施例においては特に言及していないが、針状試料の先端部近傍に引出電極、特に、中空円錐台状の引出電極を設けてもの良いものであり、この場合には、引出電極の少なくとも外周部に上述の黒体メッキ被膜と同様の黒体メッキ被膜を設けることが望ましい。
【0043】
また、上記の実施例1においては、黒色光吸収体を固定して設置しているが、黒色光吸収体をチャンバー外からの操作により移動可能に設置しても良いものであり、それによって、所定時間間隔で微小移動させることによって一箇所にレーザ光が集中して照射されにくなるので、黒体メッキ被膜を構成する成分が加熱蒸発することによる光吸収特性の劣化を低減することができる。
【0044】
また、上記の実施例1においては、黒色光吸収体をレーザ光が照射される位置にのみ設置しているが、上記の実施例3と同様に、照射位置からの反射光が入射する二次照射位置も黒色光吸収体を設けても良いものである。
【0045】
また、上記の実施例3においては、黒色光吸収体をレーザ光が照射される一次照射位置及び二次照射位置に黒色光吸収体を設けているが、三次以上の高次照射位置にも設けても良いものである。
【0046】
また、上記の実施例4においては、黒体メッキ被膜を熱処理して磁気シールド層としても用いているが、磁気シールド機能は必須ではなく、黒体メッキ被膜を成膜したのち熱処理を施すことなく、そのまま黒体メッキ被膜のみとして使用しても良いものである。
【0047】
また、上記の各実施例においては、黒体メッキ被膜として光吸収体「ウルトラブラック」(アンリツ株式会社製商品名)を用いているが、他の黒体被膜でも良く、従来の他のニッケル・リン合金の無電解メッキ被膜を用いても良いものである。
【0048】
また、上記の各実施例においては、針状試料と二次位置検出器を対向配置して針状試料から電界蒸発した粒子を直接二次位置検出器で検出しているが、観察用チャンバー内にリフレクトロンを設け、リフレクトロンで粒子の軌道を偏向させて針状試料側に配置した二次元位置検出器で検出するようにしても良いものである。
【0049】
ここで再び図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) 針状試料4の表面より、少なくとも外部エネルギー3により原子1つ1つ或いは複数の元素からなるクラスター1集団1集団が外部空間に離脱することにより前記針状試料4のナノレベルの構造組成を観察するためのナノレベル構造組成観察装置において、観察室1の内部の少なくとも一部に黒色光吸収体5を設けたことを特徴とするナノレベル構造組成観察装置。
(付記2) 上記黒色光吸収体5が、ニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜であることを特徴とする付記1記載のナノレベル構造組成観察装置。
(付記3) 上記黒色光吸収体5が、表面に電子顕微鏡で観察可能な円錐状の多数の連なった微細孔が形成されず、電子顕微鏡で観察可能なモヘア状突出物が多数の超微細な凹凸をともなって一様に形成され、かつ波長域320nm〜2200nmにおいて黒体の全反射率が0.1〜0.4%であるニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜であることを特徴とする付記2記載のナノレベル構造組成観察装置。
(付記4) 上記黒色光吸収体5を、上記観察室1の上記外部エネルギー3の入射側と対向する側に設けたことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1に記載のナノレベル構造組成観察装置。
(付記5) 上記外部エネルギー3の二次照射位置にも上記黒色光吸収体5を配置したことを特徴とする付記4記載のナノレベル構造組成観察装置。
(付記6) 上記外部エネルギー3の三次以上の高次照射位置にも上記黒色光吸収体5を配置したことを特徴とする付記5記載のナノレベル構造組成観察装置。
(付記7) 上記黒色光吸収体5が、上記観察室1内に移動可能に配置されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1に記載のナノレベル構造組成観察装置。
(付記8) 上記黒色吸収体が、上記観察室1の外部エネルギー入射部2を除く内面全面に設けられていることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1に記載のナノレベル構造組成観察装置。
(付記9) 上記黒色光吸収体5が、磁性を有していることを特徴とする付記8記載のナノレベル構造組成観察装置。
(付記10) 付記1乃至9のいずれか1に記載のナノレベル構造組成観察装置を用いたナノレベル構造組成観察方法において、針状試料4の表面に外部エネルギー3のみを照射することを特徴とするナノレベル構造組成観察方法。
(付記11) 付記1乃至9のいずれか1に記載のナノレベル構造組成観察装置を用いたナノレベル構造組成観察方法において、針状試料4の表面に内部エネルギーを印加するとともに、外部エネルギー3も照射することを特徴とするナノレベル構造組成観察方法。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の活用例としては、3次元アトムプローブ装置が典型的なものであるが、少なくともレーザ光等の電磁波を試料に照射して測定を行う測定装置一般に適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1のナノレベル構造組成観察装置の概念的構成図である。
【図3】本発明の実施例1に使用した黒体メッキ被膜の光反射特性図である。
【図4】本発明の実施例2のナノレベル構造組成観察装置の概念的構成図である。
【図5】本発明の実施例3のナノレベル構造組成観察装置の概念的構成図である。
【図6】本発明の実施例4のナノレベル構造組成観察装置の概念的構成図である。
【図7】レーザアシスト電界蒸発法を用いたアトムプローブ法の原理の説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 観察室
2 外部エネルギー入射部
3 外部エネルギー
4 針状試料
5 黒色光吸収体
6 検出器
11 観察用チャンバー
12 ビューポート
13 レーザ光
20 針状試料
21 荷電粒子
22 二次元位置検出器
30 黒色光吸収体
31 Cu基板
32 黒体メッキ被膜
33 黒体メッキ被膜
34 黒体メッキ被膜
35 黒体メッキ被膜
61 針状試料
62 レーザ光
63 構成物質
64 構成物質
65 二次元位置検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針状試料の表面より、少なくとも外部エネルギーにより原子1つ1つ或いは複数の元素からなるクラスター1集団1集団が外部空間に離脱することにより前記針状試料のナノレベルの構造組成を観察するためのナノレベル構造組成観察装置において、観察室の内部の少なくとも一部に黒色光吸収体を設けたことを特徴とするナノレベル構造組成観察装置。
【請求項2】
上記黒色光吸収体が、ニッケル・リン合金の黒体メッキ被膜であることを特徴とする請求項1記載のナノレベル構造組成観察装置。
【請求項3】
上記黒色光吸収体を、上記観察室の上記外部エネルギーの入射側と対向する側に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のナノレベル構造組成観察装置。
【請求項4】
上記黒色吸収体が、上記観察室の外部エネルギー入射部を除く内面全面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のナノレベル構造組成観察装置。
【請求項5】
上記黒色光吸収体が、磁性を有していることを特徴とする請求項4に記載のナノレベル構造組成観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−261006(P2006−261006A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78790(P2005−78790)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】