ナノ・ファイバ製造方法および装置
【課題】コレクタ上に積層されるナノ・ファイバの配向性を高めることのできるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造方法および装置の提供。
【解決手段】繊維の素材と溶媒との溶液を入れたシリンジ1と、シリンジ1内の溶液を押し出すシリンジポンプ2と、溶液供給チューブ3と、紡糸口4aを有するノズル4と、回転体コレクタ5と、ノズル4と回転体コレクタ5との間に高電圧を印加する高圧電源6と、回転体コレクタ5上に巻き付けられるナノ・ファイバに対して除電イオンを照射してナノ・ファイバの電荷を中和する静電除去装置7とを備えたナノ・ファイバ製造装置。回転体コレクタ5に対して、静電除去装置7から、マイナスイオンを照射しているため、2層目、3層目と積層されていく絶縁体であるナノ・ファイバの+電荷が中和されて同極性の電荷の反発は発生せず、揃った配向の一方向ナノ・ファイバの集積体が得られる。
【解決手段】繊維の素材と溶媒との溶液を入れたシリンジ1と、シリンジ1内の溶液を押し出すシリンジポンプ2と、溶液供給チューブ3と、紡糸口4aを有するノズル4と、回転体コレクタ5と、ノズル4と回転体コレクタ5との間に高電圧を印加する高圧電源6と、回転体コレクタ5上に巻き付けられるナノ・ファイバに対して除電イオンを照射してナノ・ファイバの電荷を中和する静電除去装置7とを備えたナノ・ファイバ製造装置。回転体コレクタ5に対して、静電除去装置7から、マイナスイオンを照射しているため、2層目、3層目と積層されていく絶縁体であるナノ・ファイバの+電荷が中和されて同極性の電荷の反発は発生せず、揃った配向の一方向ナノ・ファイバの集積体が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再生医療工学、創傷材料、ドラッグデリバリー等のヘルスケアの分野、生体分子の精製や汚染水質の浄化を目的としたアフィニティ膜、センサー等のバイオテクノロジー・環境工学の分野、ポリマーバッテリー、色素増感太陽電池、高分子膜燃料電池等のエネルギー分野、複合材料の強化材、対バイオテロ攻撃、あるいは、ガス攻撃を想定した防護服等の防護・セキュリティーの分野等の広い分野において、ミクロン(μm)未満のナノオーダーの径(例えば数nm〜数百nm)を有する繊維(ナノ・ファイバ)が注目されている。
【0003】
このようなナノ・ファイバを製造する技術の一つに、エレクトロスピニング法がある。このエレクトロスピニング法の概要を図4および図5に示す。図4は電気力線を示し、図5は紡糸ジェットを示している。これらの図に示すように、基本構成としては、紡糸口20aを有し、繊維の素材となるポリマーと揮発性の溶媒との溶液を噴射するノズル20と、平板状のコレクタ21と、ノズル20とコレクタ21との間に高電圧を印加する高圧電源22とを備える。高電圧が印加されていない状態では、ポリマー溶液は、ノズル20の先端の紡糸口20aの先端部において、表面張力で留まっている。紡糸口20aとコレクタ21との間に、数kV〜30kVの電圧を印加すると、紡糸口20a先端のポリマー溶液の液滴は+(または−)に帯電し、異極に帯電(アース)しているコレクタ21に向かう電気力線(図4参照)に沿って作用する静電力(クーロン力)により吸引される。静電力が表面張力よりも越えると、図5に示すように、ポリマー溶液の紡糸ジェット23がコレクタ21に向かって連続的に噴射される。このとき、ポリマー溶液中の溶媒は揮発し、コレクタ21に到達する際には、ポリマーの繊維のみとなり、ナノレベルの細さのナノ・ファイバとなる。なお、ナノ・ファイバの原料としては、有機物のポリマーのみならず、金属酸化物、セラミック等の無機物をゾル−ゲル法によって、ナノ・ファイバ形状に紡糸することも可能である。
【0004】
紡糸口20aから噴射される紡糸ジェット23は、紡糸口20aからコレクタ21に到達する間に、紡糸口20aとコレクタ21との間の電気力線の分布の影響により、螺旋軌道を描くことが知られている(例えば、非特許文献1,2参照)。
【0005】
このように、紡糸口20aとコレクタ21間の紡糸ジェット23は螺旋軌道を描くため、平板状のコクレター21に集積したナノ・ファイバは、図6のA部拡大図(SEM写真)に示すように、ランダムに配向して不織布状となる。しかし、不織布状になったナノ・ファイバの物性を評価することは難しい。そこで、ナノ・ファイバの配向を一方向に揃える技術がいろいろ提案されている。
【0006】
図7および図8は、鋭端な円周の回転円盤であるディスクコレクタを用いる方法を示している(例えば、非特許文献3参照)。図7は電気力線を示し、図8は紡糸ジェットを示している。この方法では、回転軸24aの回りに回転するディスクコレクタ24を用い、紡糸ジェット23のターゲットを小さくすることで、図9のB部拡大図に示すように、配向性の高いファイバサンプルを作製する技術が提案されている。
【0007】
しかし、この技術では、面積の大きなサンプルが作製できない。また、ディスクコレクタ24の周面がファイバに被覆されると、ターゲットの効果が小さくなり、サンプルの配向性が低くなるという問題がある。
【0008】
また、図10および図11(図10は電気力線、図11は紡糸ジェットを示す)に示すように、所定の間隔を隔てて同一平面上に配置された2枚の平行な金属板を帯状第1コレクタ25,帯状第2コレクタ26として用い、その平行な帯状第1および第2コレクタ25,26間に螺旋軌道を描いた紡糸ジェット23を集積することにより、図12のC部拡大図に示すように、一方向に配向したナノ・ファイバを得る技術が提案されている(例えば、非特許文献4参照)。
【0009】
しかし、帯状第1および第2コレクタ25,26の間隔が広くなると、その効果は低くなり、配向性ファイバが作製できない。つまり、この方法では広い面積の配向性ファイバサンプルは作製できない。
【0010】
これに対し、図13および図14(図13は電気力線、図14は紡糸ジェットを示す)に示すように、回転軸27aの回りに回転する円筒電極などの回転体コレクタ27を用いる方法がある(例えば、非特許文献5,6参照)。この方法では、回転体コレクタ27を低速で回転すると図15のD部拡大図(低速)に示すように配向性が悪いが、紡糸ジェット23を回転体コレクタ27に高速で巻き取ることによって、図15のD部拡大図(高速速)に示すように、ある程度、配向性を高めたファイバサンプルを作製することができる。この場合、紡糸ジェット23は帯電しており、アースに接続された回転体コレクタ27に向かって紡糸ジェット23を飛ばすことができる。
【0011】
【非特許文献1】エー・エル・ヤリン(A. L. Yarin)ら,"ベンディング・インスタビリティ・イン・エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバ(Bending instability in electrospinning of nanofibers)",ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),第89巻,第5号,2001年3月1日,p.3018−3026
【非特許文献2】エー・エル・ヤリン(A. L. Yarin)ら,"テイラー・コーン・アンド・ジェッティング・フロム・リキッド・ドロップレッツ・イン・エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバ(Taylor cone and jetting from liquid droplets in electrospinning of nanofibers)",ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),第90巻,第9号,2001年11月1日,p.4836−4846
【非特許文献3】エー・エル・ヤリン(A. L. Yarin)ら,"エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバー・フロム・ポリマーソリューション(Electrospinning of Nanofibers from Polymer Solutions)",第21回国際理論応用力学会議(ICTAM),2004年8月15〜21日,ワルソー,ポーランド
【非特許文献4】ディー・リー(D. Li),ワイ・シアー(Y. Xia),"エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバ:リインベンティング・ザ・ホイール?(Electrospinning of Nanofibers: Reinventing the Wheel?)",アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials),第16巻,p.1151−1170(2004年)
【非特許文献5】イー・ディー・ボランド(E. D. Boland)ら,"テイラリング・ティッシュ・エンジニアリング・スカッフォルズ・ユージング・エレクトロスタティック・プロセシング・テクニック:ア・スタディー・オブ・ポリ(グリコール・アシッド)エレクトロスピニング(Tailoring tissue engineering scaffolds using electrostatic processing techniques: A study of poly(glycolic acid) electrospinning)",ジェイ・マクロモル・サイエンス・ピュア・アプリケーション・ケミカル(J. Macromol. Sci. Pure Appl. Chem.)A38巻,第12号,p.1231−1243(2001年)
【非特許文献6】ジェイ・エー・マシューズ(J. A. Matthews)ら,"エレクトロスピニング・オブ・コラーゲン・ナノファイバ(Electrospinning of collagen nanofibers)",バイオマクロモレキュールズ(Biomacromolecules),3,p.232−238(2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、回転体コレクタを用いた紡糸方法においては、ナノ・ファイバの1層目を巻き取るときにはナノ・ファイバの電荷はアース電位である回転体コレクタに接触したときに放電して+の電荷は失われるが、2層目、3層目と積層していくと、ナノ・ファイバ自体は絶縁体であるので、+電荷は完全には消失せずに残留する。そのため、先に回転体コレクタ上に紡糸したナノ・ファイバと新たに紡糸されたナノ・ファイバが反発しあって、配向が乱れ、一方向に揃った繊維が得られないという問題がある。
そこで本発明は、コレクタ上に積層されるナノ・ファイバの配向性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成は、紡糸口とコレクタ間に高電圧を印加し、前記紡糸口から、荷電されたファイバ原料と溶剤の溶液を前記コレクタに向かって噴射、吸引することにより前記コレクタ上にナノ・ファイバを集積させるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造方法において、前記コレクタに集積されたナノ・ファイバに対して静電除去装置から除電イオンを噴射することにより、前記コレクタ上のナノ・ファイバの電荷を消失させ、前記コレクタ表面に、一方向に並んだナノ・ファイバを多層に集積することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第2の構成は、紡糸口とコレクタ間に高電圧を印加し、前記紡糸口から、荷電されたファイバ原料と溶剤の溶液を前記コレクタに向かって噴射、吸引することにより前記コレクタ上にナノ・ファイバを集積させるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造装置において、前記コレクタに近接して、コレクタ上に巻き取られたナノ・ファイバの電荷を消失させる静電除去装置を設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明においては、コレクタ表面に集積されるナノ・ファイバを静電除去装置により除電することによって、次々と集積されていくナノ・ファイバが電荷によって反発し合い、配向が乱れることを防止するので、配向の揃った、きれいな一方向材が得られる。
【0016】
コレクタとしては、平板状のほか、円筒状の回転体コレクタとすることができ、層状にナノ・ファイバを積層したものを製造することができる。
【0017】
静電除去装置の設置位置は、特に限定するものではないが、回転体コレクタの場合は、回転体コレクタの近傍であって、紡糸口とはほぼ反対側の位置とすることにより、紡糸ジェットの軌道を乱すことなく、効率的に除電することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エレクトロスピニング法によりナノ・ファイバを紡糸して積層する際、積層する前のナノ・ファイバを静電除去装置により帯電を取り除くことで、ナノ・ファイバ同士の同極性の電荷による反発を防ぎ、きれいな一方向材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図1および図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本的構成を示す正面図、図2はその側面図である。
【0020】
これらの図に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本構成としては、繊維の素材となるポリマーと揮発性の溶媒との溶液を入れたシリンジ1と、シリンジ1内の原料と溶媒との溶液を押し出すシリンジポンプ2と、溶液供給チューブ3と、紡糸口4aを有するノズル4と、回転軸5aの回りに回転駆動される回転体コレクタ5と、ノズル4と回転体コレクタ5との間に高電圧を印加する高圧電源6と、回転体コレクタ5上に巻き付けられるナノ・ファイバに対して除電イオンを照射してナノ・ファイバの電荷を中和する静電除去装置7とを備えた構成である。なお、溶液供給チューブ3は、シリンジポンプ2とノズル4とを直接つなぐこともあり、必須ではない。
【0021】
静電除去装置7としては、紡糸口4aが+の高電圧に帯電しているときは、ナノ・ファイバの電荷は+であるので、マイナスイオンを照射するマイナスイオン発生器を用いることができる。逆に、紡糸口4aが−の高電圧に帯電しているときは、ナノ・ファイバの電荷は−であるので、プラスイオンを照射するプラスイオン発生器を用いる。また、静電除去装置7の設置位置は、図1,図2に示すように、紡糸口4aとは反対側の回転体コレクタ5の近傍が望ましい。しかし、図3に示すように、回転体コレクタ5の側部でもよいし、紡糸口4aと回転体コレクタ5の中間の位置でもよい。
【0022】
次に、このナノ・ファイバ製造装置の動作について説明する。
ノズル4と回転体コレクタ5間に高電圧が印加されていない状態では、ポリマー溶液は、ノズル4の先端の紡糸口4aの先端部において、表面張力で留まっている。紡糸口4aと回転体コレクタ5との間に、例えば数kV〜30kVの高電圧を印加すると、紡糸口4a先端のポリマー溶液の液滴は+に帯電し、異極(またはアース電位)に帯電している回転体コレクタ5に向かう静電力により吸引される。静電力が表面張力よりも越えると、ポリマー溶液の紡糸ジェット8が回転体コレクタ5に向かって連続的に噴射される。
【0023】
回転体コレクタ5は、高速回転により、紡糸空間において螺旋軌道を描いている紡糸ジェット8を、直線的に巻き取る。このとき、ノズル4を回転体コレクタ5の回転軸5aの長手方向に往復動させることにより、所定の長さの範囲で、ナノ・ファイバを巻き取ることができる。または、回転体コレクタ5を回転軸5aの長手方向に往復動させても良い。
【0024】
上述したように、回転体コレクタ5を用いた紡糸方法においては、ナノ・ファイバの1層目を巻き取るときにはナノ・ファイバの電荷はアース電位である回転体コレクタ5に接触したときに放電して+の電荷は失われるが、2層目、3層目と積層していくと、ナノ・ファイバ自体は絶縁体であるので、+電荷は完全には消失せずに残留する。そのため、先に回転体コレクタ5上に紡糸したナノ・ファイバと新たに紡糸されたナノ・ファイバが反発しあって、配向が乱れ、一方向に揃った繊維が得られない。本実施の形態においては、回転体コレクタ5に対して、静電除去装置7から、マイナスイオンを照射しているため、2層目、3層目と積層されていく絶縁体であるナノ・ファイバの+電荷が中和され、電荷が消失するため、同極性の電荷の反発は発生せず、揃った配向の一方向ナノ・ファイバの集積体が得られる。
【0025】
なお、円筒状の回転体コレクタ5に代えて、ベルトコンベア状のコレクタとすることにより、面積の大きな一方向ナノ・ファイバ集積体を製作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、配向性の高いナノ・ファイバを製造する方法及び装置として、ヘルスケアの分野、バイオテクノロジー・環境工学の分野、エネルギー分野、あるいは、防護・セキュリティーの分野等の広い分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本的構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本的構成を示す側面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本的構成を示す側面図である。
【図4】平板状コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を電気力線と共に示す説明図である。
【図5】平板状コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を紡糸ジェットと共に示す説明図である。
【図6】図4および図5に示したエレクトロスピニング法により形成されたナノ・ファイバを示す説明図である。
【図7】ディスクコレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を電気力線と共に示す説明図である。
【図8】ディスクコレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を紡糸ジェットと共に示す説明図である。
【図9】図7および図8に示したエレクトロスピニング法により形成されたナノ・ファイバを示す説明図である。
【図10】2枚の帯状コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を電気力線と共に示す説明図である。
【図11】2枚の帯状コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を紡糸ジェットと共に示す説明図である。
【図12】図10および図11に示したエレクトロスピニング法により形成されたナノ・ファイバを示す説明図である。
【図13】回転体コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を電気力線と共に示す説明図である。
【図14】回転体コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を紡糸ジェットと共に示す説明図である。
【図15】図13および図14に示したエレクトロスピニング法により形成されたナノ・ファイバを示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 シリンジ
2 シリンジポンプ
3 溶液供給チューブ
4 ノズル
4a 紡糸口
5 回転体コレクタ
5a 回転軸
6 高圧電源
7 静電除去装置
8 紡糸ジェット
20 ノズル
20a 紡糸口
21 平板状コレクタ
22 高圧電源
23 紡糸ジェット
24 ディスクコレクタ
25 帯状第1コレクタ
26 帯状第2コレクタ
27 回転体コレクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再生医療工学、創傷材料、ドラッグデリバリー等のヘルスケアの分野、生体分子の精製や汚染水質の浄化を目的としたアフィニティ膜、センサー等のバイオテクノロジー・環境工学の分野、ポリマーバッテリー、色素増感太陽電池、高分子膜燃料電池等のエネルギー分野、複合材料の強化材、対バイオテロ攻撃、あるいは、ガス攻撃を想定した防護服等の防護・セキュリティーの分野等の広い分野において、ミクロン(μm)未満のナノオーダーの径(例えば数nm〜数百nm)を有する繊維(ナノ・ファイバ)が注目されている。
【0003】
このようなナノ・ファイバを製造する技術の一つに、エレクトロスピニング法がある。このエレクトロスピニング法の概要を図4および図5に示す。図4は電気力線を示し、図5は紡糸ジェットを示している。これらの図に示すように、基本構成としては、紡糸口20aを有し、繊維の素材となるポリマーと揮発性の溶媒との溶液を噴射するノズル20と、平板状のコレクタ21と、ノズル20とコレクタ21との間に高電圧を印加する高圧電源22とを備える。高電圧が印加されていない状態では、ポリマー溶液は、ノズル20の先端の紡糸口20aの先端部において、表面張力で留まっている。紡糸口20aとコレクタ21との間に、数kV〜30kVの電圧を印加すると、紡糸口20a先端のポリマー溶液の液滴は+(または−)に帯電し、異極に帯電(アース)しているコレクタ21に向かう電気力線(図4参照)に沿って作用する静電力(クーロン力)により吸引される。静電力が表面張力よりも越えると、図5に示すように、ポリマー溶液の紡糸ジェット23がコレクタ21に向かって連続的に噴射される。このとき、ポリマー溶液中の溶媒は揮発し、コレクタ21に到達する際には、ポリマーの繊維のみとなり、ナノレベルの細さのナノ・ファイバとなる。なお、ナノ・ファイバの原料としては、有機物のポリマーのみならず、金属酸化物、セラミック等の無機物をゾル−ゲル法によって、ナノ・ファイバ形状に紡糸することも可能である。
【0004】
紡糸口20aから噴射される紡糸ジェット23は、紡糸口20aからコレクタ21に到達する間に、紡糸口20aとコレクタ21との間の電気力線の分布の影響により、螺旋軌道を描くことが知られている(例えば、非特許文献1,2参照)。
【0005】
このように、紡糸口20aとコレクタ21間の紡糸ジェット23は螺旋軌道を描くため、平板状のコクレター21に集積したナノ・ファイバは、図6のA部拡大図(SEM写真)に示すように、ランダムに配向して不織布状となる。しかし、不織布状になったナノ・ファイバの物性を評価することは難しい。そこで、ナノ・ファイバの配向を一方向に揃える技術がいろいろ提案されている。
【0006】
図7および図8は、鋭端な円周の回転円盤であるディスクコレクタを用いる方法を示している(例えば、非特許文献3参照)。図7は電気力線を示し、図8は紡糸ジェットを示している。この方法では、回転軸24aの回りに回転するディスクコレクタ24を用い、紡糸ジェット23のターゲットを小さくすることで、図9のB部拡大図に示すように、配向性の高いファイバサンプルを作製する技術が提案されている。
【0007】
しかし、この技術では、面積の大きなサンプルが作製できない。また、ディスクコレクタ24の周面がファイバに被覆されると、ターゲットの効果が小さくなり、サンプルの配向性が低くなるという問題がある。
【0008】
また、図10および図11(図10は電気力線、図11は紡糸ジェットを示す)に示すように、所定の間隔を隔てて同一平面上に配置された2枚の平行な金属板を帯状第1コレクタ25,帯状第2コレクタ26として用い、その平行な帯状第1および第2コレクタ25,26間に螺旋軌道を描いた紡糸ジェット23を集積することにより、図12のC部拡大図に示すように、一方向に配向したナノ・ファイバを得る技術が提案されている(例えば、非特許文献4参照)。
【0009】
しかし、帯状第1および第2コレクタ25,26の間隔が広くなると、その効果は低くなり、配向性ファイバが作製できない。つまり、この方法では広い面積の配向性ファイバサンプルは作製できない。
【0010】
これに対し、図13および図14(図13は電気力線、図14は紡糸ジェットを示す)に示すように、回転軸27aの回りに回転する円筒電極などの回転体コレクタ27を用いる方法がある(例えば、非特許文献5,6参照)。この方法では、回転体コレクタ27を低速で回転すると図15のD部拡大図(低速)に示すように配向性が悪いが、紡糸ジェット23を回転体コレクタ27に高速で巻き取ることによって、図15のD部拡大図(高速速)に示すように、ある程度、配向性を高めたファイバサンプルを作製することができる。この場合、紡糸ジェット23は帯電しており、アースに接続された回転体コレクタ27に向かって紡糸ジェット23を飛ばすことができる。
【0011】
【非特許文献1】エー・エル・ヤリン(A. L. Yarin)ら,"ベンディング・インスタビリティ・イン・エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバ(Bending instability in electrospinning of nanofibers)",ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),第89巻,第5号,2001年3月1日,p.3018−3026
【非特許文献2】エー・エル・ヤリン(A. L. Yarin)ら,"テイラー・コーン・アンド・ジェッティング・フロム・リキッド・ドロップレッツ・イン・エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバ(Taylor cone and jetting from liquid droplets in electrospinning of nanofibers)",ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),第90巻,第9号,2001年11月1日,p.4836−4846
【非特許文献3】エー・エル・ヤリン(A. L. Yarin)ら,"エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバー・フロム・ポリマーソリューション(Electrospinning of Nanofibers from Polymer Solutions)",第21回国際理論応用力学会議(ICTAM),2004年8月15〜21日,ワルソー,ポーランド
【非特許文献4】ディー・リー(D. Li),ワイ・シアー(Y. Xia),"エレクトロスピニング・オブ・ナノファイバ:リインベンティング・ザ・ホイール?(Electrospinning of Nanofibers: Reinventing the Wheel?)",アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials),第16巻,p.1151−1170(2004年)
【非特許文献5】イー・ディー・ボランド(E. D. Boland)ら,"テイラリング・ティッシュ・エンジニアリング・スカッフォルズ・ユージング・エレクトロスタティック・プロセシング・テクニック:ア・スタディー・オブ・ポリ(グリコール・アシッド)エレクトロスピニング(Tailoring tissue engineering scaffolds using electrostatic processing techniques: A study of poly(glycolic acid) electrospinning)",ジェイ・マクロモル・サイエンス・ピュア・アプリケーション・ケミカル(J. Macromol. Sci. Pure Appl. Chem.)A38巻,第12号,p.1231−1243(2001年)
【非特許文献6】ジェイ・エー・マシューズ(J. A. Matthews)ら,"エレクトロスピニング・オブ・コラーゲン・ナノファイバ(Electrospinning of collagen nanofibers)",バイオマクロモレキュールズ(Biomacromolecules),3,p.232−238(2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、回転体コレクタを用いた紡糸方法においては、ナノ・ファイバの1層目を巻き取るときにはナノ・ファイバの電荷はアース電位である回転体コレクタに接触したときに放電して+の電荷は失われるが、2層目、3層目と積層していくと、ナノ・ファイバ自体は絶縁体であるので、+電荷は完全には消失せずに残留する。そのため、先に回転体コレクタ上に紡糸したナノ・ファイバと新たに紡糸されたナノ・ファイバが反発しあって、配向が乱れ、一方向に揃った繊維が得られないという問題がある。
そこで本発明は、コレクタ上に積層されるナノ・ファイバの配向性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成は、紡糸口とコレクタ間に高電圧を印加し、前記紡糸口から、荷電されたファイバ原料と溶剤の溶液を前記コレクタに向かって噴射、吸引することにより前記コレクタ上にナノ・ファイバを集積させるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造方法において、前記コレクタに集積されたナノ・ファイバに対して静電除去装置から除電イオンを噴射することにより、前記コレクタ上のナノ・ファイバの電荷を消失させ、前記コレクタ表面に、一方向に並んだナノ・ファイバを多層に集積することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第2の構成は、紡糸口とコレクタ間に高電圧を印加し、前記紡糸口から、荷電されたファイバ原料と溶剤の溶液を前記コレクタに向かって噴射、吸引することにより前記コレクタ上にナノ・ファイバを集積させるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造装置において、前記コレクタに近接して、コレクタ上に巻き取られたナノ・ファイバの電荷を消失させる静電除去装置を設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明においては、コレクタ表面に集積されるナノ・ファイバを静電除去装置により除電することによって、次々と集積されていくナノ・ファイバが電荷によって反発し合い、配向が乱れることを防止するので、配向の揃った、きれいな一方向材が得られる。
【0016】
コレクタとしては、平板状のほか、円筒状の回転体コレクタとすることができ、層状にナノ・ファイバを積層したものを製造することができる。
【0017】
静電除去装置の設置位置は、特に限定するものではないが、回転体コレクタの場合は、回転体コレクタの近傍であって、紡糸口とはほぼ反対側の位置とすることにより、紡糸ジェットの軌道を乱すことなく、効率的に除電することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エレクトロスピニング法によりナノ・ファイバを紡糸して積層する際、積層する前のナノ・ファイバを静電除去装置により帯電を取り除くことで、ナノ・ファイバ同士の同極性の電荷による反発を防ぎ、きれいな一方向材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図1および図2を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本的構成を示す正面図、図2はその側面図である。
【0020】
これらの図に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本構成としては、繊維の素材となるポリマーと揮発性の溶媒との溶液を入れたシリンジ1と、シリンジ1内の原料と溶媒との溶液を押し出すシリンジポンプ2と、溶液供給チューブ3と、紡糸口4aを有するノズル4と、回転軸5aの回りに回転駆動される回転体コレクタ5と、ノズル4と回転体コレクタ5との間に高電圧を印加する高圧電源6と、回転体コレクタ5上に巻き付けられるナノ・ファイバに対して除電イオンを照射してナノ・ファイバの電荷を中和する静電除去装置7とを備えた構成である。なお、溶液供給チューブ3は、シリンジポンプ2とノズル4とを直接つなぐこともあり、必須ではない。
【0021】
静電除去装置7としては、紡糸口4aが+の高電圧に帯電しているときは、ナノ・ファイバの電荷は+であるので、マイナスイオンを照射するマイナスイオン発生器を用いることができる。逆に、紡糸口4aが−の高電圧に帯電しているときは、ナノ・ファイバの電荷は−であるので、プラスイオンを照射するプラスイオン発生器を用いる。また、静電除去装置7の設置位置は、図1,図2に示すように、紡糸口4aとは反対側の回転体コレクタ5の近傍が望ましい。しかし、図3に示すように、回転体コレクタ5の側部でもよいし、紡糸口4aと回転体コレクタ5の中間の位置でもよい。
【0022】
次に、このナノ・ファイバ製造装置の動作について説明する。
ノズル4と回転体コレクタ5間に高電圧が印加されていない状態では、ポリマー溶液は、ノズル4の先端の紡糸口4aの先端部において、表面張力で留まっている。紡糸口4aと回転体コレクタ5との間に、例えば数kV〜30kVの高電圧を印加すると、紡糸口4a先端のポリマー溶液の液滴は+に帯電し、異極(またはアース電位)に帯電している回転体コレクタ5に向かう静電力により吸引される。静電力が表面張力よりも越えると、ポリマー溶液の紡糸ジェット8が回転体コレクタ5に向かって連続的に噴射される。
【0023】
回転体コレクタ5は、高速回転により、紡糸空間において螺旋軌道を描いている紡糸ジェット8を、直線的に巻き取る。このとき、ノズル4を回転体コレクタ5の回転軸5aの長手方向に往復動させることにより、所定の長さの範囲で、ナノ・ファイバを巻き取ることができる。または、回転体コレクタ5を回転軸5aの長手方向に往復動させても良い。
【0024】
上述したように、回転体コレクタ5を用いた紡糸方法においては、ナノ・ファイバの1層目を巻き取るときにはナノ・ファイバの電荷はアース電位である回転体コレクタ5に接触したときに放電して+の電荷は失われるが、2層目、3層目と積層していくと、ナノ・ファイバ自体は絶縁体であるので、+電荷は完全には消失せずに残留する。そのため、先に回転体コレクタ5上に紡糸したナノ・ファイバと新たに紡糸されたナノ・ファイバが反発しあって、配向が乱れ、一方向に揃った繊維が得られない。本実施の形態においては、回転体コレクタ5に対して、静電除去装置7から、マイナスイオンを照射しているため、2層目、3層目と積層されていく絶縁体であるナノ・ファイバの+電荷が中和され、電荷が消失するため、同極性の電荷の反発は発生せず、揃った配向の一方向ナノ・ファイバの集積体が得られる。
【0025】
なお、円筒状の回転体コレクタ5に代えて、ベルトコンベア状のコレクタとすることにより、面積の大きな一方向ナノ・ファイバ集積体を製作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、配向性の高いナノ・ファイバを製造する方法及び装置として、ヘルスケアの分野、バイオテクノロジー・環境工学の分野、エネルギー分野、あるいは、防護・セキュリティーの分野等の広い分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本的構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本的構成を示す側面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るナノ・ファイバ製造装置の基本的構成を示す側面図である。
【図4】平板状コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を電気力線と共に示す説明図である。
【図5】平板状コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を紡糸ジェットと共に示す説明図である。
【図6】図4および図5に示したエレクトロスピニング法により形成されたナノ・ファイバを示す説明図である。
【図7】ディスクコレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を電気力線と共に示す説明図である。
【図8】ディスクコレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を紡糸ジェットと共に示す説明図である。
【図9】図7および図8に示したエレクトロスピニング法により形成されたナノ・ファイバを示す説明図である。
【図10】2枚の帯状コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を電気力線と共に示す説明図である。
【図11】2枚の帯状コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を紡糸ジェットと共に示す説明図である。
【図12】図10および図11に示したエレクトロスピニング法により形成されたナノ・ファイバを示す説明図である。
【図13】回転体コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を電気力線と共に示す説明図である。
【図14】回転体コレクタを用いたエレクトロスピニング法の概要を紡糸ジェットと共に示す説明図である。
【図15】図13および図14に示したエレクトロスピニング法により形成されたナノ・ファイバを示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 シリンジ
2 シリンジポンプ
3 溶液供給チューブ
4 ノズル
4a 紡糸口
5 回転体コレクタ
5a 回転軸
6 高圧電源
7 静電除去装置
8 紡糸ジェット
20 ノズル
20a 紡糸口
21 平板状コレクタ
22 高圧電源
23 紡糸ジェット
24 ディスクコレクタ
25 帯状第1コレクタ
26 帯状第2コレクタ
27 回転体コレクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡糸口とコレクタ間に高電圧を印加し、前記紡糸口から、荷電されたファイバ原料と溶剤の溶液を前記コレクタに向かって噴射、吸引することにより前記コレクタ上にナノ・ファイバを集積させるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造方法において、
前記コレクタに集積されたナノ・ファイバに対して静電除去装置から除電イオンを噴射することにより、前記コレクタ上のナノ・ファイバの電荷を消失させ、前記コレクタ表面に、一方向に並んだナノ・ファイバを多層に集積することを特徴とするナノ・ファイバ製造方法。
【請求項2】
前記コレクタは、円筒状の回転体コレクタである請求項1記載のナノ・ファイバ製造方法。
【請求項3】
紡糸口とコレクタ間に高電圧を印加し、前記紡糸口から、荷電されたファイバ原料と溶剤の溶液を前記コレクタに向かって噴射、吸引することにより前記コレクタ上にナノ・ファイバを集積させるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造装置において、
前記コレクタに近接して、コレクタ上に巻き取られたナノ・ファイバの電荷を消失させる静電除去装置を設けたことを特徴とするナノ・ファイバ製造装置。
【請求項4】
前記コレクタは、円筒状の回転体コレクタである請求項3記載のナノ・ファイバ製造装置。
【請求項5】
前記静電除去装置は、回転体コレクタの近傍であって、前記紡糸口とはほぼ反対側の位置に設けた請求項4記載のナノ・ファイバ製造装置。
【請求項1】
紡糸口とコレクタ間に高電圧を印加し、前記紡糸口から、荷電されたファイバ原料と溶剤の溶液を前記コレクタに向かって噴射、吸引することにより前記コレクタ上にナノ・ファイバを集積させるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造方法において、
前記コレクタに集積されたナノ・ファイバに対して静電除去装置から除電イオンを噴射することにより、前記コレクタ上のナノ・ファイバの電荷を消失させ、前記コレクタ表面に、一方向に並んだナノ・ファイバを多層に集積することを特徴とするナノ・ファイバ製造方法。
【請求項2】
前記コレクタは、円筒状の回転体コレクタである請求項1記載のナノ・ファイバ製造方法。
【請求項3】
紡糸口とコレクタ間に高電圧を印加し、前記紡糸口から、荷電されたファイバ原料と溶剤の溶液を前記コレクタに向かって噴射、吸引することにより前記コレクタ上にナノ・ファイバを集積させるエレクトロスピニング法を用いたナノ・ファイバ製造装置において、
前記コレクタに近接して、コレクタ上に巻き取られたナノ・ファイバの電荷を消失させる静電除去装置を設けたことを特徴とするナノ・ファイバ製造装置。
【請求項4】
前記コレクタは、円筒状の回転体コレクタである請求項3記載のナノ・ファイバ製造装置。
【請求項5】
前記静電除去装置は、回転体コレクタの近傍であって、前記紡糸口とはほぼ反対側の位置に設けた請求項4記載のナノ・ファイバ製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−223187(P2008−223187A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65835(P2007−65835)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(591202122)株式会社メック (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(591202122)株式会社メック (14)
【Fターム(参考)】
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