説明

ナノ凹凸構造用樹脂組成物、およびそれを用いた自動車メータカバー用透明部材とカーナビゲーション用透明部材

【課題】優れた防汚性、耐擦傷性および低反射性を有し、かつ耐候性に優れたナノ凹凸構造体を形成できるナノ凹凸構造用樹脂組成物、およびそれを用いた自動車メータカバー用透明部材とカーナビゲーション用透明部材の提供。
【解決手段】4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)を50〜95質量部、ポリアルキレングリコール構造の繰り返し単位の合計が4〜25の2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を5〜35質量部、前記モノマー(A)、(B)と共重合可能な単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)を15質量部以下含む重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤(D)、0.01〜3質量部の離型剤(E)、0.01〜3質量部の滑剤(F)を含有するナノ凹凸構造用樹脂組成物、および該樹脂組成物を用いた自動車メータカバー用透明部材とカーナビゲーション用透明部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ凹凸構造を成形するのに好適なナノ凹凸構造用樹脂組成物、およびそれを用いた自動車メータカバー用透明部材とカーナビゲーション用透明部材に関する。
【背景技術】
【0002】
各種ディスプレー、レンズ、ショーウィンドー、自動車用部品(メータカバーやカーナビゲーションなど)等の空気と接する界面(表面)では、太陽光や照明等が表面で反射することによる視認性の低下が問題となっていた。反射を低減する方法としては、フィルム表面での反射光と、フィルムと基材の界面での反射光とが干渉によって打ち消し合うように、屈折率の異なる数層のフィルムを積層する方法が知られている。これらのフィルムは、通常、スパッタリング、蒸着、コーティング等の方法で製造される。しかし、このような方法でフィルムの積層数を増やしても、反射率及び反射率の波長依存性の低下には限界があった。また、製造コスト削減の観点から積層数を減らすために、より低い屈折率の材料が求められている。
【0003】
材料の屈折率を下げるためには、何らかの方法で材料中に空気を導入することが有効である。そのような方法の一つとして、例えば、フィルムの表面にナノ凹凸構造体を形成する方法が知られている。ナノ凹凸構造体が基材上に形成されたフィルム(反射防止膜)は、膜面方向に切断した時の断面積が連続的に変化し、空気から基材まで徐々に屈折率が増大していくので有効な反射防止の手段となる。また、この反射防止膜は、他の方法では置き換えられない優れた光学性能を示す。
【0004】
ナノ凹凸構造体を表面に有する反射防止膜は、空気と接する界面で使用されるので、主に防汚性と耐擦傷性が求められる。しかし、ナノ凹凸構造体は、同じ樹脂組成物から成る表面が平滑なハードコート等の成形体に比べて防汚性や耐擦傷性に劣る傾向にあった。
【0005】
反射防止膜の汚れとしては、油汚れ、指紋、ワックス、埃、塵など様々なものがあり、反射防止膜の防汚性には、これらの汚れが付着しにくい特性と、汚れが付着しても除去しやすい特性がある。
【0006】
反射防止膜に防汚性を付与する方法としては、親水性の高い樹脂組成物を使用して膜を親水化し、膜に付着した汚れを水で浮かせて拭き取る方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/096872号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のように親水性の高い樹脂組成物から得たナノ凹凸構造体は、防汚性に優れるものの、耐擦傷性や耐候性等の各特性のさらなる向上が求められる。
【0009】
耐擦傷性を発現させる方法としては、樹脂組成物にシリコーン系化合物等の滑剤を配合する方法が知られている。
しかし、滑剤を配合した樹脂組成物から得られたナノ凹凸構造体に耐候性試験等を行うと、滑剤がブリードアウトしやすく、接触角が上昇しやすかった。その結果、防汚性、特に指紋拭き取り性が低下しやすかった。滑剤のブリードアウトを防ぐには、滑剤の配合量を減らせばよいが、滑剤の配合量が少量の場合には十分な耐擦傷性が得られない。
【0010】
一方、耐候性を向上させる方法としては、樹脂組成物に紫外線吸収剤や光安定剤を配合する方法が知られている。
しかし、紫外線吸収剤や光安定剤を配合した樹脂組成物から得られたナノ凹凸構造体に耐候性試験等を行うと、紫外線吸収剤や光安定剤がブリードアウトしやすく、接触角が上昇しやすかった。その結果、防汚性、特に指紋拭き取り性が低下しやすかった。
【0011】
このように、これまでにナノ凹凸構造体を形成するための樹脂組成物が提案されているが、耐候性等の耐久性を十分に満足するものではなかった。また、防汚性、特に指紋拭き取り性、耐擦傷性および低反射性を有し、かつ耐候性に優れたナノ凹凸構造体を得ることは必ずしも容易ではなかった。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、優れた防汚性、耐擦傷性および低反射性を有し、かつ耐候性に優れたナノ凹凸構造体を形成できるナノ凹凸構造用樹脂組成物、およびそれを用いた自動車メータカバー用透明部材とカーナビゲーション用透明部材の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定のモノマー成分を用い、耐擦傷性の向上と防汚性を両立させる滑剤や、耐候性試験による撥水化を抑制し、防汚性を維持するための内部離型剤を選定し、特定のモノマー成分にバランスよく配合することで、優れた防汚性、特に指紋拭き取り性、耐擦傷性および低反射性を有し、かつ耐候性に優れたナノ凹凸構造体を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明のナノ凹凸構造用樹脂組成物は、1分子中に4個のラジカル重合性官能基を有する4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)を50〜95質量部と、1分子中に2個のラジカル重合性官能基およびポリアルキレングリコール構造を有し、1分子中に存在する該アルキレングリコール構造の繰り返し単位の合計が4〜25である2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を5〜35質量部と、前記4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)および2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と共重合可能で、1分子中に1個のラジカル重合性官能基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)を15質量部以下含む重合反応性モノマー成分と、前記重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤(D)と、0.01〜3質量部の離型剤(E)と、0.01〜3質量部の滑剤(F)とを含有することを特徴とする。
また、前記重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜5質量部の紫外線吸収剤および/または光安定剤(G)をさらに含有することが好ましい。
【0015】
さらに、前記4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)が、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸の縮合反応物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)のポリアルキレングリコール構造が、ポリエチレングリコール構造であることが好ましい。
さらに、前記離型剤(E)が、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物であることが好ましい。
【0016】
【化1】

【0017】
式(I)中、Rはアルキル基を示し、mは1〜20の数を示し、nは1〜3の数を示す。
【0018】
さらに、前記滑剤(F)が、ポリエーテル変性されたポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物であることが好ましい。
【0019】
また、本発明の自動車メータカバー用透明部材は、前記ナノ凹凸構造用樹脂組成物を用いて形成されたナノ凹凸構造体を有することを特徴とする。
また、本発明のカーナビゲーション用透明部材は、前記ナノ凹凸構造用樹脂組成物を用いて形成されたナノ凹凸構造体を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、優れた防汚性、耐擦傷性および低反射性を有し、かつ耐候性に優れたナノ凹凸構造体を形成できるナノ凹凸構造用樹脂組成物、およびそれを用いた自動車メータカバー用透明部材とカーナビゲーション用透明部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のナノ凹凸構造用樹脂組成物を用いて形成されたナノ構造体の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のナノ凹凸構造用樹脂組成物を用いて形成されたナノ構造体の他の例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
また、「活性エネルギー線」とは、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等のエネルギー線を意味する。
【0023】
[ナノ凹凸構造用樹脂組成物]
本発明のナノ凹凸構造用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」という場合がある)は、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物は、重合反応性モノマー成分と、活性エネルギー線重合開始剤(D)と、離型剤(E)と、滑剤(F)と、必要に応じて紫外線吸収剤および/または光安定剤(G)とを含有する。
以下、各成分について説明する。
【0024】
<重合反応性モノマー成分>
重合反応性モノマー成分は、4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)と、2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と、単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)とを含む。
【0025】
(4官能(メタ)アクリレートモノマー(A))
4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)(以下、「モノマー(A)」という場合がある。)は、樹脂組成物の主成分であり、硬化物の機械特性(特に耐擦傷性)を良好に維持する役割を果たす。
モノマー(A)は、ラジカル重合性官能基を1分子中に4個有する。これにより、樹脂組成物の硬化物の架橋点間分子量が小さくなり、硬化物の弾性率や硬度が高くなり、耐擦傷性に優れた硬化物が得られる。
【0026】
モノマー(A)としては、4つのアクリロイルオキシ基が結合した炭化水素化合物を用いることが好ましい。このような化合物は、例えば4つの水酸基が結合した炭化水素化合物に対して、4つの(メタ)アクリル系化合物を反応させることにより得られる。
また、モノマー(A)としては、前記4つのアクリロイルオキシ基が結合した炭化水素化合物において、アクリロイルオキシ基と炭化水素基の間にエトキシ構造を導入したエトキシ変性物を用いることも好ましい。
モノマー(A)の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸の縮合反応物などが挙げられる。
【0027】
モノマー(A)としては市販品を用いることができ、例えば新中村化学工業社製のNKエステルATM−4EおよびNKエステルA−TMMT、大阪有機化学工業社製のTAS、ダイセル・サイテック社製のEBECRYL40等が好適である。これらを使用すれば、耐擦傷性と防汚性、特に指紋拭き取り性のバランスが取りやすい。
モノマー(A)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
モノマー(A)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、50〜95質量部であり、耐水性や耐薬品性の観点から、好ましくは60〜90質量部、より好ましくは65〜85質量部である。モノマー(A)の含有量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物の硬化物の弾性率、硬度、耐擦傷性が向上する。一方、モノマー(A)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物の弾性率が高くなりすぎることを抑制でき、スタンパから剥離する際のひび割れの発生を防止できる。加えて、硬化物が硬くかつ脆くなりすぎることを抑制でき、耐擦傷性に優れたナノ凹凸構造体を形成できる。
【0029】
(2官能(メタ)アクリレートモノマー(B))
2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)(以下、「モノマー(B)」という場合がある。)は、ナノ凹凸構造体の表面を親水化する役割を果たし、ナノ凹凸構造体に防汚性を付与する。
モノマー(B)は、ラジカル重合性官能基を1分子中に2個有する。また、ポリアルキレングリコール構造を有し、1分子中に存在するその構造の繰り返し単位の合計は4〜25であり、好ましくは9〜23、より好ましくは10〜20である。繰り返し単位の合計が上記下限値以上であれば、親水性、防汚性が向上する。一方、繰り返し単位の合計が上記上限値以下であれば、モノマー(A)との相溶性が向上する。
ポリアルキレングリコール構造としては、親水化の点から、ポリエチレングリコール構造が特に好ましい。
【0030】
モノマー(B)としては、長鎖ポリエチレングリコール構造を有するジ(メタ)アクリレート類が好ましく、特にポリエチレングリコールジアクリレートが好ましい。
モノマー(B)としては市販品を用いることができ、例えば東亞合成社製の「アロニックス」シリーズのM240、M260;新中村化学工業社製の「NKエステル」シリーズのA−400、A−600、A−1000等が挙げられる。
モノマー(B)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
モノマー(B)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、5〜35質量部であり、好ましくは10〜30質量部、より好ましくは15〜25質量部である。モノマー(B)の含有量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物の硬化物の表面を十分に親水化でき、防汚性が向上する。一方、モノマー(B)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物の表面の弾性率、耐擦傷性が向上する。加えて、硬化物の耐水性が向上するので、水拭きしても良好な光学性能を発揮するナノ凹凸構造体を形成できる。
【0032】
(単官能(メタ)アクリレートモノマー(C))
単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)(以下、「モノマー(C)」という場合がある。)は、樹脂組成物のハンドリング性や重合反応性を向上させる役割や、後述する透明基材との密着性向上の役割を果たす。
モノマー(C)は、ラジカル重合性官能基を1分子中に1個有し、前記モノマー(A)およびモノマー(B)と共重合可能な単官能モノマーである。
【0033】
ところで、本発明の樹脂組成物の物性を大きく左右するのは、主成分となるモノマー(A)である。このモノマー(A)は粘度が高い傾向にあるので、樹脂組成物のハンドリング性が低下する場合がある。そのような場合には、ハンドリング性を改良するために低粘度の単官能モノマーや2官能モノマーで希釈すればよい。ただし、2官能モノマーは1つのラジカル重合性官能基が反応すると、残りのラジカル重合性官能基の反応性が低下しやすい。従って、樹脂組成物全体での重合反応性を向上させるには、単官能モノマーが適しており、粘度の高いモノマー(A)を用いる場合には、モノマー(C)を併用するのが好ましい。
【0034】
また、樹脂組成物は透明基材上で硬化させ、透明基材と一体化させて用いることが一般的である。ここで、モノマー(C)の中でも特に低分子量の単官能モノマーを用いれば、透明基材と樹脂組成物の硬化物との密着性がより良好となる傾向にある。
モノマー(C)種類は、透明基材の材質によって適宜最適なものを選択すればよいが、透明基材との密着性を向上させるためには、特に、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適である。また、アクリロイルモルホリン等の粘度調整剤、アクリロイルイソシアネート等も使用できる。また、透明基材としてアクリル系フィルムを使用する場合は、モノマー(C)としてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートが特に好ましい。
モノマー(C)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
モノマー(C)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、15質量部以下であり、好ましくは5〜15質量部である。モノマー(C)の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の硬化性が向上する。また、硬化後の未反応のモノマー(C)の残存量を低減し、未反応のモノマー(C)が可塑剤として作用して硬化物の弾性率を低くしたり、耐擦傷性を低下させたりする問題を防止できる。
【0036】
<活性エネルギー線重合開始剤(D)>
活性エネルギー線重合開始剤(D)は、活性エネルギー線を照射することで開裂し、重合反応を開始させるラジカルを発生する化合物である。
装置コストや生産性の観点から、活性エネルギー線として紫外線を用いるのが一般的である。
【0037】
活性エネルギー線重合開始剤(D)としては特に限定されない。その具体例としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジンなどが挙げられる。
活性エネルギー線重合開始剤(D)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、吸収波長の異なる2種以上を併用することが好ましい。
【0038】
また必要に応じて、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物、アゾ系開始剤などの熱重合開始剤を併用してもよい。
【0039】
活性エネルギー線重合開始剤(D)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対して0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.2〜3質量部である。活性エネルギー線重合開始剤(D)の含有量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物の硬化性が向上し、硬化物の機械特性(特に耐擦傷性)が向上する。一方、活性エネルギー線重合開始剤(D)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物内の活性エネルギー線重合開始剤(D)の残存に起因する硬化物の弾性率や耐擦傷性の低下を抑制できるとともに、着色も防止できる。
【0040】
<離型剤(E)>
離型剤(E)としては、リン酸エステル化合物が挙げられ、接触角の上昇を抑制する点で、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物(以下、「化合物(I)」という。)が特に好ましい。
【0041】
【化2】

【0042】
式(I)中、Rはアルキル基である。Rはとしては、炭素数3〜18のアルキル基が好ましい。
また、式(I)中、mはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜20の数を示し、1〜10が好ましい。一方、nは1〜3の数を示す。
【0043】
化合物(I)は、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体の何れであってもよい。また、ジエステル体又はトリエステル体である場合、それぞれのポリオキシエチレンアルキル残基が相互に異なっていてもよい。
【0044】
離型剤(E)として化合物(I)を用いると、樹脂組成物の硬化物のスタンパからの離型性が良好となり、ナノ凹凸構造体の形成に好適である。また、離型時の負荷が極めて低いので、欠陥の少ないナノ凹凸構造体が高い生産性で得られる。さらに、耐候性試験における撥水化を抑制する効果があり、優れた耐久性を示すナノ凹凸構造体を形成できる樹脂組成物となる。
【0045】
化合物(I)としては市販品を用いることができ、例えば城北化学工業社製のJP−506H;アクセル社製の「モールドウイズ」シリーズのINT−1856;日光ケミカルズ社製のTDP−10、TDP−8、TDP−6、TDP−2、DDP−10、DDP−8、DDP−6、DDP−4、DDP−2、TLP−4、TCP−5、DLP−10が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
離型剤(E)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対して0.01〜3質量部であり、好ましくは0.05〜1質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。離型剤(E)の含有量が上記下限値以上であれば、スタンパからの離型性低下によるスタンパへの樹脂残り(離型不良)を防止できるとともに、撥水化(耐候不良)を抑制でき、初期および耐候性試験での防汚性の低下を防止できる。一方、離型剤(E)の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の硬化物本来の性能の維持しつつ、後述する透明基材との密着性低下によるスタンパへの樹脂残り(離型不良)を防止できる。加えて、ナノ凹凸構造体の使用時における透明基材と硬化物との剥離を防止できるとともに、斑や外観不良の発生を抑制できる。さらに、硬化物の耐候性を良好に維持できる。
【0047】
<滑剤(F)>
滑剤(F)は、耐擦傷性を向上させる役割を果たす。
滑剤(F)としては、ポリエーテル変性されたポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が好ましく、またアクリル基などを有した反応性のものであってもよい。これは、ブロック共重合体でもグラフト共重合体でもよい。
滑剤(F)としては市販品を用いることができ、例えばビックケミー・ジャパン社製のBYK−378、BYK−333、BYK−331、BYK−377、BYK−3500、BYK−3510等が挙げられる。
滑剤(F)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
滑剤(F)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対して0.01〜3質量部であり、好ましくは0.05〜2質量部、より好ましくは0.1〜1.0質量部である。滑剤(F)の含有量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物の硬化物の耐擦傷性が低下するのを抑制できる。一方、滑剤(F)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物と後述する透明基材との密着性が低下するのを抑制でき、斑や外観不良が発生しにくくなり、かつ耐候性試験による撥水化を防止できる。
なお、滑剤(F)と、滑剤(F)以外の成分との相溶性が悪い場合には、硬化物の色ムラやヘイズの上昇などを引き起こすことがある。
【0049】
<紫外線吸収剤および/または光安定剤(G)>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤および/または光安定剤(G)(以下、これらを総称して「(G)成分」という場合がある。)を含有するのが好ましい。
(G)成分は、黄帯色の抑制やヘイズの上昇抑制等の耐候性を付与する役割を果たす。
【0050】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線吸収剤等が挙げられる。市販品としては、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「チヌビン」シリーズの400、479、109;共同薬品社製の「Viosorb」シリーズの110等が挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「チヌビン」シリーズの152、292等が挙げられる。
(G)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
(G)成分の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.01〜3質量部、より好ましくは0.01〜1質量部、特に好ましくは0.01〜0.5質量部である。(G)成分の含有量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物の硬化物が黄着色するのを抑制できるとともに、ヘイズ上昇を抑制するなどして耐候性が向上する。一方、(G)成分の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の硬化性の低下、硬化物の耐擦傷性の低下、初期および耐候性試験での防汚性、特に指紋拭き取り性の低下を効果的に防止できる。
【0052】
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
【0053】
<樹脂組成物の物性>
(粘度)
樹脂組成物は、ナノ凹凸構造体を形成させるスタンパへ流し込むことを考慮すると、25℃における回転式B型粘度計で測定される粘度が、10Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは5Pa・s以下、特に好ましくは2Pa・s以下である。
また、樹脂組成物はスタンパへ流し込む際に、予め加温して粘度を下げることが可能である。
【0054】
樹脂組成物の粘度は、モノマー(A)、モノマー(B)、およびモノマー(C)の種類や含有量を調節することで調整できる。具体的には、水素結合などの分子間相互作用を有する官能基や化学構造を含むモノマーを多量に用いると、樹脂組成物の粘度は高くなる傾向にある。また、分子間相互作用のない低分子量のモノマーを多量に用いると、樹脂組成物の粘度は低くなる傾向にある。
【0055】
(屈折率)
樹脂組成物は、後述する透明基材上で硬化させ、透明基材と一体化させて用いることが一般的である。しかし、硬化物と透明基材との屈折率が異なる場合、硬化物と透明基材との界面で反射が起こり、反射率が上昇しやすくなる。このことから、本発明の樹脂組成物を光学用途に用いる場合、使用する透明基材の屈折率に合わせて樹脂組成物の屈折率を調整し、屈折率差を小さくすることが好ましい。
【0056】
以上説明した本発明の樹脂組成物は、上述したモノマー(A)、モノマー(B)およびモノマー(C)を含む重合反応性モノマー成分と、活性エネルギー線重合開始剤(D)と、離型剤(E)と、滑剤(F)とを特定量含有するので、優れた防汚性、特に指紋拭き取り性、耐擦傷性および低反射性を有し、かつ耐候性に優れたナノ凹凸構造体を形成できる。
【0057】
本発明の樹脂組成物は、重合および硬化させて成形品として使用でき、そのような成形品は、特にナノ凹凸構造を表面に有するナノ凹凸構造体として極めて有用である。
また、本発明の樹脂組成物は、ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパを用いた転写法によりナノ凹凸構造を転写する際に用いる樹脂組成物として最適である。
以下、本発明により得られるナノ凹凸構造体の一例について、詳しく説明する。
【0058】
[ナノ凹凸構造体]
図1は、本発明により得られるナノ凹凸構造体の一実施形態を模式的に示す断面図である。
この例のナノ凹凸構造体10は、後述する透明基材11の上に本発明の樹脂組成物の硬化物からなる硬化物層12が積層されている。硬化物層12の表面には、表面が表面反射防止等の機能を発現するナノ凹凸構造を有する。具体的には、硬化物層12の表面に凸部13および凹部14が等間隔で形成されている。
【0059】
良好な反射防止性能を発現するためには、ナノ凹凸構造の隣り合う凸部13または凹部14の間隔(図1では、隣り合う凸部13の中心点(頂部)13aの間隔w1)が、可視光の波長以下のサイズである必要がある。ここで「可視光」とは、波長が380〜780nmの光を指す。この間隔w1が380nm以下であれば、可視光の散乱を抑制できる。この場合、本発明により得られるナノ凹凸構造体を反射防止膜などの光学用途に好適に使用できる。
また、最低反射率や特定波長の反射率の上昇を抑制する観点から、凸部13の高さまたは凹部14の深さ(図1では、凹部14の中心点(底点)14aから凸部13の中心点(頂部)13aまでの垂直距離d1)が、60nm以上であることが好ましく、90nm以上がより好ましい。
【0060】
ナノ凹凸構造の凸部の形状は特に限定されず、例えば図1に示すように円錐状または角錐状や、図2に示すように釣鐘状などが挙げられる。
また、ナノ凹凸構造の凸部の形状はこれらに限定されず、硬化物層12の膜面で切断した時の断面積の占有率が連続的に増大するような構造であればよい。さらに、より微細な凸部が合一してナノ凹凸構造を形成していてもよい。すなわち、図1、2に示す形状以外であっても、空気から材料表面まで連続的に屈折率を増大し、低反射率と低波長依存性を両立させた反射防止性能を示すような形状であればよい。
【0061】
本発明の樹脂組成物から形成される硬化物(ナノ凹凸構造体)は、防汚性に優れる。また、滑剤を用いているので耐擦傷性に優れる。
特に、ナノ凹凸構造の隣り合う凸部同士の距離が可視光の波長(380nm)以下であれば、反射防止性に優れるので、反射防止物品に好適に使用できる。また、凸部の高さが60nm以上であれば反射防止性により優れる。さらに、耐候性にも優れる。
【0062】
なお、本発明により得られるナノ凹凸構造体は、図1、2に示す実施形態に限定されるものではなく、ナノ凹凸構造は本発明の樹脂組成物の硬化物の片面に形成されていてもよいし、硬化物の全面に形成されていてもよい。また、ナノ凹凸構造は硬化物の全体に形成されていてもよいし、硬化物の一部に形成されていてもよい。
【0063】
<製造方法>
ナノ凹凸構造体の製造方法としては、例えば、(1)ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパを用いて射出成形やプレス成形する方法、(2)スタンパと透明基材との間に樹脂組成物を配し、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化して、スタンパの凹凸形状を転写し、その後スタンパを剥離する方法、(3)樹脂組成物にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後で活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化する方法などが挙げられる。
これらの中でも、ナノ凹凸構造の転写性、表面組成の自由度の点から、(2)の方法が特に好ましい。(2)の方法は、連続生産が可能なベルト状やロール状のスタンパを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。
【0064】
(透明基材)
透明基材は、光を透過する成形体であれば特に限定されない。透明基材を構成する材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等の合成高分子、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等の半合成高分子、ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラス等が挙げられる。
【0065】
透明基材の形状や製造方法は、特に限定されない。例えば、射出成形体、押し出し成形体、キャスト成形体を使用できる。また形状は、シート状でもフィルム状でもよい。さらに、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、透明基材の表面に、コーティングやコロナ処理が施されていてもよい。
【0066】
(スタンパ)
スタンパにナノ凹凸構造を形成する方法は、特に限定されない。その具体例としては、電子ビームリソグラフィー法、レーザー光干渉法が挙げられる。例えば、適当な支持基板上に適当なフォトレジスト膜を塗布し、紫外線レーザー、電子線、X線等の光で露光し、現像することによってナノ凹凸構造を有する型が得られる。この型をそのままスタンパとして使用することもできるが、フォトレジスト層を介して支持基板をドライエッチングにより選択的にエッチングして、レジスト層を除去することで支持基板そのものに直接ナノ凹凸構造を形成することも可能である。
【0067】
また、陽極酸化ポーラスアルミナをスタンパとして利用することも可能である。例えば、アルミニウムをシュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化することにより形成される20〜200nm間隔の細孔構造をスタンパとして利用してもよい。この方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、一旦酸化皮膜を除去し、再び陽極酸化することで非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成できる。さらに、二回目に陽極酸化する工程で、陽極酸化処理と孔径拡大処理を組み合わせることで、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型であるナノ凹凸構造も形成可能となる。
【0068】
さらに、ナノ凹凸構造を有する原型から電鋳法等で複製型を作製し、これをスタンパとして使用してもよい。
【0069】
スタンパそのものの形状は特に限定されず、例えば、平板状、ベルト状、ロール状のいずれでもよい。特に、ベルト状やロール状にすれば、連続的にナノ凹凸構造を転写でき、生産性をより高めることができる。
【0070】
(重合・硬化条件)
活性エネルギー線照射による重合・硬化方法としては、紫外線照射による重合・硬化が好ましい。紫外線を照射するランプとしては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フュージョンランプが挙げられる。
【0071】
紫外線の照射量は、樹脂組成物中の重合開始剤の吸収波長や含有量に応じて決定すればよい。通常、その積算光量は、100〜6000mJ/cmが好ましく、400〜4000mJ/cmがより好ましい。積算光量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物を十分に硬化させることができ、硬化不足による耐擦傷性低下を防止できる。一方、積算光量が上記上限値以下であれば、硬化物の着色や透明基材の劣化を防止できる。
照射強度も特に制限されないが、透明基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
【0072】
このようにして重合・硬化して得られるナノ凹凸構造体は、その表面にスタンパのナノ凹凸構造が鍵と鍵穴の関係で転写される。
【0073】
本発明の樹脂組成物の硬化物からなるナノ凹凸構造体は、良好な防汚性と高い耐擦傷性を兼ね備えるとともに、連続的な屈折率の変化によって優れた反射防止性能を発現でき、かつ耐候性にも優れている。従って、本発明により得られるナノ凹凸構造体は、反射防止膜(反射防止フィルムを含む)、立体形状の反射防止体等の反射防止物品として特に好適である。
【0074】
ナノ凹凸構造体を反射防止膜として使用する場合は、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置等の画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、自動車メータカバー、カーナビゲーション、タッチパネル、ヘッドアップディスプレイ、ミラーディスプレイ、オーディオディスプレイ、メータ内ディスプレイ、眼鏡レンズ等の対象物に、ナノ凹凸構造体を貼り付けて使用する。
【0075】
ナノ凹凸構造体を貼り付ける部分が立体形状である場合は、あらかじめそれに応じた形状の透明基材を用いてナノ凹凸構造体を製造しておき、これを対象物品の所定部分に貼り付ければよい。
【0076】
また、対象物品が画像表示装置である場合は、その表面に限らず、その前面板に対してナノ凹凸構造体を貼り付けてもよいし、前面板そのものをナノ凹凸構造体から構成することもできる。
【0077】
また、ナノ凹凸構造体は、上述した用途以外にも、例えば、光導波路、レリーフホログラム、太陽電池、レンズ、偏光分離素子、有機エレクトロルミネッセンスの光取り出し率向上部材などの光学用途や、細胞培養シートの用途にも適用できる。
【0078】
[自動車メータカバー用透明部材・カーナビゲーション用透明部材]
本発明の自動車メータカバー用透明部材およびカーナビゲーション用透明部材は、本発明の樹脂組成物を用いて形成されたナノ凹凸構造体を有する。これら透明部材は反射防止性能に優れるため、視認性が高い。また、良好な防汚性と高い耐擦傷性を兼ね備えるとともに、耐候性にも優れる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
スタンパは、以下のようにして製造した。
【0080】
[スタンパの製造]
純度99.99%のアルミニウム板を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
(a)工程:
このアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
(b)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
(c)工程:
このアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行った。
(d)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程および(d)工程を合計で5回繰り返し、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
【0081】
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、表面の水分をエアーブローで除去した後、これを、表面防汚コーティング剤(ダイキン社製、「オプツールDSX」)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、「HD−ZV」)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してスタンパを得た。
得られたスタンパの細孔を下記の方法により測定した結果、隣り合う細孔の間隔が100nm、細孔の深さが180nmの略円錐形状のテーパー状凹部(細孔)からなるナノ凹凸構造を表面に形成していた。
【0082】
スタンパの細孔の測定;
陽極酸化ポーラスアルミナからなるスタンパの一部の縦断面を1分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)により加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔の間隔(周期)及び細孔の深さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
【0083】
[実施例1]
(樹脂組成物の調製)
モノマー(A)としてエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルATM−4E」)80質量部、モノマー(B)としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA−600」)20質量部、活性エネルギー線重合開始剤(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE184」)0.5質量部、および2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「DAROCUR TPO」)0.5質量部、離型剤(E)としてポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカル社製、「NIKKOL TLP−4」)0.1質量部、滑剤(F)としてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー・ジャパン社製、「BYK−378」)0.5質量部、(G)成分として紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「チヌビン400」)0.1質量部、およびヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「チヌビン292」)0.1質量部を混合し、樹脂組成物を調製した。
【0084】
(ナノ凹凸構造体の製造)
スタンパの細孔が形成された表面上に得られた樹脂組成物を数滴垂らし、その上に厚さ100μmのアクリルフィルム(三菱レイヨン社製、「HBS010」)で押し広げながら被覆した。その後、フィルム側から高圧水銀灯を用いて1200mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して硬化させた。ついで、フィルムとスタンパを剥離して、フィルム状のナノ凹凸構造体を得た。
得られたナノ凹凸構造体の凹凸を下記の方法により測定した結果、隣り合う凸部もしくは凹部の間隔が100nm、凸部の高さが180nmの略円錐形状のナノ凹凸構造を表面に形成していた。
【0085】
ナノ凹凸構造体の凹凸の測定;
ナノ凹凸構造体の縦断面を10分間Pt蒸着し、スタンパの場合と同じ装置および条件にて、隣り合う凸部または凹部の間隔、および凸部の高さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
【0086】
(評価)
得られたナノ凹凸構造体について、下記の(1)〜(7)の評価を行った。なお、評価の際は、粘着剤(スミロン社製、「RA−600」)を用いて、ナノ凹凸構造体のアクリルフィルム側をアクリル板(三菱レイヨン社製、「アクリライトL」、厚さ2.0mm)に貼り付け、これをテストサンプルとして使用した。結果を表1に示す。
ここで、ナノ凹凸構造が形成されている側のテストサンプルの面を「表面」、ナノ凹凸構造が形成されていない側のテストサンプルの面を「裏面」とする。
【0087】
(1)反射率の測定
テストサンプルの表面側から、分光光度計(日立製作所社製、「U−4100」)を用いて、入射角5°の条件で波長380nm〜780nmの間の相対反射率を測定し、視感度反射率である550nmの反射率を求め、以下の評価基準にて評価した。
○:反射率が4.5%以下。
×:反射率が4.5%を超える。
【0088】
(2)密着性の評価
テストサンプルの表面について、JIS K5600−5−6に準じて碁盤目剥離試験を行い、以下の評価基準にて評価した。
○:剥離部分が5%未満。
△:剥離部分が5%以上、35%未満。
×:剥離部分が35%以上。
【0089】
(3)耐擦傷性の評価(スチールウール擦傷試験)
磨耗試験機(HEIDON社製、「Type:30S」)を用いて、2cm四方のスチールウール(#0000)に50gの荷重をかけ、往復距離30mm、ヘッドスピード30mm/s、10往復の条件で、テストサンプルの表面を擦傷した。ついで、黒い紙の上にテストサンプルをその裏面が接するように配置し、テストサンプルの表面から外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:0〜10本の傷が確認される。
△:11〜20本の傷が確認される。
×:無数(21本以上)の傷が確認される。
【0090】
(4)防汚性の評価
前記特許文献1が引用する特開2006−147149号公報に記載の方法(疑似指紋成分1を調製して使用)にて、疑似指紋液をテストサンプルの表面に付着させた後、往復磨耗試験機(新東科学社製「HEIDON Type:30S」)に、20mm角の圧子に水を滲み込ませたネル布を取り付け、荷重100g、ストローク40mm、10往復の条件でテストサンプルの表面を拭き取った。ついで、黒い紙の上にテストサンプルをその裏面が接するように配置し、テストサンプルの表面から外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:汚れが目視では分からない。
△:目視で若干の指紋が確認される。
×:指紋がのび広がるだけで、ほとんど拭き取られてない。
【0091】
(5)耐水性の評価
クリーニングクロス(東レ社製、「トレシー」)に水道水を十分染込ませたものを水滴が滴り落ちなくなる程度まで絞り、これでテストサンプルを拭き取った時の外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
○:良好な反射防止性能を維持している。
△:わずかに白く靄がかかっている。
×:明らかに白濁している。
【0092】
(6)水接触角の判定
テストサンプルの表面について、接触角測定装置(協和界面科学社製、「DM−501」)を用いて水接触角を測定し、以下の評価基準にて評価した。
○:水接触角が25°未満。
△:水接触角が25°以上、35°未満。
×:水接触角が35°以上。
【0093】
(7)耐候性試験
サンシャインウェザオメーター(スガ試験機社製)を用いて、ブラックパネル温度83℃、槽内湿度50%、降雨なしの条件で、テストサンプルの耐候性試験を行った。300時間経過後、上記(1)〜(6)の評価を行った。
【0094】
[実施例2〜6、比較例1〜10]
表1、2に示す配合組成に従って各成分を混合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、ナノ凹凸構造体を製造し、評価した。結果を表1、2に示す。
なお、各実施例および比較例で得られたナノ凹凸構造体の表面には、スタンパのナノ凹凸構造が転写されており、隣り合う凸部もしくは凹部の間隔が100nm、凸部の高さが180nmの略円錐形状のナノ凹凸構造が形成されていた。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
表1、2中の略号等は下記の通りである。
・モノマー(A):4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)
・モノマー(B):2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)
・モノマー(C):単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)
・重合開始剤(D):活性エネルギー線重合開始剤(D)
・(G)成分:紫外線吸収剤および/または光安定剤(G)
・A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA−TMMT」)
・TAS:トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸の縮合反応物(大阪有機化学工業社製、「TAS」)
・ATM−4E:エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルATM−4E」)
・A−400:ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA−400」)
・A−600:ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA−600」)
・M260:ポリエチレングリコールジアクリレート(東亜合成社製、「アロニックスM260」)
・HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・MA:メチルアクリレート
・DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
・Irg.184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE184」)
・Irg.819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGCURE819」)
・Dar.1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「DAROCURE1173」)
・Dar.TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「DAROCUR TPO」)
・INT1856:ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物(アクセル社製、「モールドウイズINT−1856」)
・TLP4:ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカル社製、「NIKKOL TLP−4」)
・BYK378:滑剤(ビックケミー・ジャパン社製、「BYK−378」)
・BYK333:滑剤(ビックケミー・ジャパン社製、「BYK−333」)
・BYK3500:滑剤(ビックケミー・ジャパン社製、「BYK−3500」)
・TV400:紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「チヌビン400」)
・TV479:紫外線吸収剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「チヌビン479」)
・Viosorb110:紫外線吸収剤(共同薬品社製、「Viosorb110」)
・TV292:ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「チヌビン292」)
【0098】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜6で得られたナノ凹凸構造体は、良好な密着性、耐擦傷性、防汚性、耐水性と低反射を有し、かつ耐候性試験後も同様の結果が得られた。
なお、実施例1の場合、重合反応性モノマー成分はモノマー(C)を含有していないが、モノマー(A)およびモノマー(B)をバランスよく含み、かつ重合開始剤(D)、離型剤(E)および滑剤(F)を所定量含有するので、良好な密着性を有していた。
【0099】
一方、比較例1で得られたナノ凹凸構造体は、重合反応性モノマー成分がモノマー(A)のみで構成されているため、水接触角が高くなり、防汚性が発現しなかった。また、樹脂組成物が滑剤(F)を含有しないため、良好な耐擦傷性が得られなかった。
比較例2で得られたナノ凹凸構造体は、樹脂組成物中の重合反応性モノマー成分がモノマー(B)を含有しないため、水接触角が高くなり、防汚性が発現しなかった。また、樹脂組成物が滑剤(F)を含まないため、良好な耐擦傷性が得られなかった。
比較例3で得られたナノ凹凸構造体は、重合反応性モノマー成分中のモノマー(B)の含有量が多いため、防汚性は発現するものの、耐水性に劣り、水拭きによって光学性能を損なってしまった。また、重合反応性モノマー成分がモノマー(C)を含まないため、密着性も悪かった。さらに、樹脂組成物が滑剤(F)を含まないため、良好な耐擦傷性が得られなかった。
比較例4で得られたナノ凹凸構造体は、重合反応性モノマー成分中のモノマー(C)の含有量が多く、かつ樹脂組成物が滑剤(F)を含有しないため、良好な耐擦傷性が得られなかった。また耐水性に劣り、水拭きによって光学性能を損なってしまった。
比較例5で得られたナノ凹凸構造体は、樹脂組成物が滑剤(F)を含まないため、良好な耐擦傷性が得られなかった。また、樹脂組成物が離型剤(E)を含んでおらず、かつ、紫外線吸収剤の含有量が比較的多いので、水接触角が高くなり、初期および耐候性試験において防汚性が発現しなかった。
比較例6で得られたナノ凹凸構造体は、樹脂組成物が滑剤(F)を含まないため、耐擦傷性が得られなかった。
比較例7で得られたナノ凹凸構造体は、樹脂組成物中の滑剤(F)の含有量が多いので初期の密着性が低下し、また耐候性試験によって水接触角が上昇し、防汚性を損ねた。
比較例8で得られたナノ凹凸構造体は、樹脂組成物中の離型剤(E)の含有量が多いので表面が斑になり外観不良を起こし、かつ耐候性試験後に反射率が上昇した。また樹脂組成物が滑剤(F)を含まないため、良好な耐擦傷性が得られなかった。
比較例9で得られたナノ凹凸構造体は、良好な初期性能を有しているが、樹脂組成物が離型剤(E)を含んでいないので、耐候性試験によって水接触角が上昇し、防汚性が悪化した。
比較例10で得られたナノ凹凸構造体は、重合反応性モノマー成分がモノマー(A)を含まず、かつ樹脂組成物が滑剤(F)を含有しないが、重合反応性モノマー成分が6官能モノマーであるDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を含んでいたため、各実施例と同等の耐擦傷性が得られた。加えて、重合反応性モノマー成分中のモノマー(B)の含有量が多いものの、耐水性も有していた。しかし、DPHAは、基材との密着性が低く、密着性向上成分であるモノマー(C)を含むにもかかわらず、得られたナノ凹凸構造体は、基材フィルムとの初期密着性が不良であり、商品として使用するには不向きであった。
なお、比較例1〜4、10は、初期評価で良好な性能が得られず実用性に乏しいものでであったため、耐候性試験は行わなかった。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のナノ凹凸構造用樹脂組成物を硬化させて得られるナノ凹凸構造体は、ナノ凹凸構造体としての優れた光学性能を維持しながら、良好な指紋拭き取り性と高い耐擦傷性を両立し、かつ耐候性に優れる。従って、屋外で使用される可能性のある各種ディスプレイパネル、レンズ、ショーウィンドー、自動車メータカバー、カーナビゲーションシステム、眼鏡レンズや太陽電池の光取り出し率向上部材などの光学用途に利用可能であり、工業的に極めて有用である。また、水滴が付着することで視認性が悪くなる鏡や窓材などにも利用可能である。
【符号の説明】
【0101】
10:ナノ凹凸構造体、
11:透明基材、
12:硬化物層、
13:凸部、
13a:凸部の頂点、
14:凹部、
14a:凹部の底点、
w1:隣り合う凸部の間隔、
d1:凹部の底点から凸部の頂点までの垂直距離。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に4個のラジカル重合性官能基を有する4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)を50〜95質量部と、1分子中に2個のラジカル重合性官能基およびポリアルキレングリコール構造を有し、1分子中に存在する該アルキレングリコール構造の繰り返し単位の合計が4〜25である2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)を5〜35質量部と、前記4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)および2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)と共重合可能で、1分子中に1個のラジカル重合性官能基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマー(C)を15質量部以下含む重合反応性モノマー成分と、
前記重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤(D)と、0.01〜3質量部の離型剤(E)と、0.01〜3質量部の滑剤(F)とを含有する、ナノ凹凸構造用樹脂組成物。
【請求項2】
前記重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜5質量部の紫外線吸収剤および/または光安定剤(G)をさらに含有する、請求項1に記載のナノ凹凸構造用樹脂組成物。
【請求項3】
前記4官能(メタ)アクリレートモノマー(A)が、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸の縮合反応物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載のナノ凹凸構造用樹脂組成物。
【請求項4】
前記2官能(メタ)アクリレートモノマー(B)のポリアルキレングリコール構造が、ポリエチレングリコール構造である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノ凹凸構造用樹脂組成物。
【請求項5】
前記離型剤(E)が、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノ凹凸構造用樹脂組成物。
【化1】

式(I)中、Rはアルキル基を示し、mは1〜20の数を示し、nは1〜3の数を示す。
【請求項6】
前記滑剤(F)が、ポリエーテル変性されたポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナノ凹凸構造用樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のナノ凹凸構造用樹脂組成物を用いて形成されたナノ凹凸構造体を有する、自動車メータカバー用透明部材。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のナノ凹凸構造用樹脂組成物を用いて形成されたナノ凹凸構造体を有する、カーナビゲーション用透明部材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−8825(P2013−8825A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140359(P2011−140359)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】