説明

ナノ多孔性被覆した多孔性材料

本発明は、少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材および被覆を含有する多孔性材料に関する。本発明において、i)有機ポリマーを基礎とする未被覆の基材Aはマクロ多孔性であり、ii)マクロ多孔性基材の表面を反応性樹脂を基礎とするポリマーBで被覆し、iii)前記ポリマーB被覆がナノ多孔性であり、ナノ細孔の平均径は最大1000nmである(記録材料を除く)。本発明はまた、多孔性材料の製造方法および気体または液体のフィルターとしての前記材料の使用に関する。最後に、本発明は、多孔性材料を含有するフィルターおよび気体または液体の濾過方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材および被覆を含む多孔性材料に関し、
i)有機ポリマーAを基礎とする未被覆の基材はマクロ多孔性であり、
ii)マクロ多孔性基材の表面が反応性樹脂を基礎とするポリマーBで被覆されており、
iii)このポリマーBを用いた被覆はナノ多孔性であり、ナノ細孔の平均径は1000nm以下であり、
かつ記録材料を除いたものである。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材および被覆を含む多孔性材料に関し、
i)少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材は、マクロ多孔性および開放気泡であり、
ii)基材の細孔表面が少なくとも1種の反応性樹脂を基礎とするポリマーBで被覆されており、
iii)少なくとも1種のポリマーBを用いた被覆はナノ多孔性であり、ナノ細孔の平均径は1000nm以下であり、被覆の平均層厚は、未被覆の基材の平均孔径未満である。
【0003】
本発明はまた、多孔性材料の製造方法および気体または液体のフィルターとしての多孔性材料の使用に関する。
【0004】
最後に、本発明は、多孔性材料を含むフィルターおよび気体または液体の濾過方法に関する。
【0005】
フィルターは、流体相の通過時に懸濁固体を機械的に保持することにより、液体または気体から固体を分離するために使用する。フィルター孔径が小さくなるとともに、小径の固体粒子も保持するため、保持性能、つまりフィルターの分離効率が増加する。しかし、フィルターの流動抵抗もフィルター孔径が小さくなるとともに増加し、例えば、フィルターに沿った圧力低下として測定可能であり、フィルター孔は、より急速に遮断され、これがフィルター寿命を低下させる。第1に保持性能、第2に圧力低下または寿命を最適化するため、連続して連結した、粗フィルター、微細フィルターおよび適宜、極細フィルターを含むフィルターの使用が可能であるが、これは装置の点からより複雑となる。
【0006】
本明細書において、フィルターはまた、エアロゾルまたはミストの場合に存在するような、微細液体(滴、小滴)を気体から分離するものを意味すると理解する。
【0007】
米国特許第5470612号は、衛星光学装置または半導体製造において発生し、不可避とされる不純物質のゲッターについて開示している。ゲッターは、低密度の多孔性エアロゾルで被覆される金属網からなる。エアロゾルは、ゾル−ゲル法で製造され、好ましくはSiO2またはレゾルシノールホルムアルデヒドあるいはメラミンホルムアルデヒドからなる。金属網以外の基材については記述しない。
【0008】
J.Mater.Chem.15,4385−4398(2005)でMahltigらは、SiO2または他の金属酸化物の、ゾル−ゲル法で得られたナノ粒子で被覆することによる、例えばポリエステル、綿またはポリアミドの繊維または網目の機能化について記載している。多孔率および有機ポリマーを含む被覆については記述しない。
【0009】
これまでに既刊されていない独国特許出願「インクジェット用紙」の、出願番号12.09.05の第1020050593216号は、例えば、フェノールアルデヒド樹脂またはアミノアルデヒド樹脂を含む有機乾燥ゲルで被覆される記録材料(紙)について記載している。ゲル層は、インクジェットプリントのインク受取層であり、細孔、特に<10μm、例えば10nm〜1μm径のものを有する。明細書では、フィルターとして、または濾過に全く使用しないと述べている。本発明において、記録材料を除く。
【0010】
米国、サンタバーバラのカリフォルニア大学、David J.PineおよびBradley F.Chmelkaは、以下のインターネットアドレスhttp://www.solgel.com/articles/june01/pine.aspのインターネット論文誌で、「Hierarchically Ordered Nanoporous−Macroporous Materials」の記事の中の最後の第4段落の終わりに、吸収されるケイ素/ブロックコポリマーの骨格として作用するマクロ多孔性のポリスチレン発泡体について記載している。メソ/マクロ多孔性のケイ素モノリスは、硬化および焼成により得られる。
【0011】
今日まで、液体または気体から固体を分離あるいは気体から液体を分離するために使用されるフィルター材料は、特に、厳しい濾過の作業課題について必ずしも満たしていない。特に、保持性能は、全ての場合で満たされず、圧力低下があまりにも高く、または寿命があまりにも短い。
【0012】
上記の不利な点を改善することが目的であった。特に、フィルターとして使用でき、簡易な方法で製造できる多孔性材料の提供が目的であった。これらをフィルターとして使用する場合、保持性能が良好であり、圧力低下が小さく、長寿命であることにより、材料を区別する。
【0013】
さらなる目的において、多孔性材料は、エアロゾルのフィルター材料として適切なような細孔構造を有するものとする。多孔性材料は、マクロ多孔性およびナノ多孔性材料のフィルター特性を組み合わせるものとする。
【0014】
それにより、最初に定義した多孔性材料を見出した。その製造方法およびフィルターとしての材料の使用も見出した。さらに、その材料を含む前記フィルターおよび前述の濾過方法を見出した。好ましい実施形態を、下位請求項および以下の説明で記載する。好ましい実施形態の組み合わせは、本発明の範囲から逸脱しない。他に明記しない限り、全ての圧データは、絶対圧である。
【0015】
マクロ多孔性基材
本発明における多孔性材料は、少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材を含み、未被覆の基材はマクロ多孔性であり、その表面を反応性樹脂を基礎とするポリマーBで被覆し、被覆はナノ多孔性であり、平均孔径は1000nm以下であり、記録用紙を除く。
【0016】
好ましい実施形態において、少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材は、マクロ多孔性および開放気泡であり、基材の細孔表面を、反応性樹脂を基礎とする、好ましくはゲル前駆物質から出発する少なくとも1種のポリマーBで被覆する。好ましい本実施形態において、被覆はナノ多孔性であり、被覆の平均層厚(数平均)は、未被覆の基材の平均孔径未満である(体積質量平均)。
【0017】
本発明に関して、マクロ多孔性またはマクロ細孔は、平均孔径が1μm(1000nm)以上、好ましくは10μm以上、特に好ましくは50μm以上であることを意味し、これは、DIN66133における水銀圧入測定により決定される。このように決定される値は、体積質量平均孔径である。
【0018】
本発明に関して、マクロ多孔性は、体積質量平均孔径が1μm(1000nm)以上、好ましくは10μm以上、特に好ましくは50μm以上であることを意味することが好ましく、これは、DIN66133における水銀圧入測定により決定される。
【0019】
本発明に関して、ナノ多孔性またはナノ細孔は、平均孔径が1μm(1000nm)以下、好ましくは500nm以下、特に好ましくは300nm以下であることを意味し、これは、走査型電子顕微鏡を使用後、少なくとも50個の細孔の画像分析による評価により決定される。このように決定された平均孔径は、数質量平均である。
【0020】
本発明に関して、ナノ多孔性被覆は、被覆の数平均孔径が1μm(1000nm)以下、好ましくは500nm以下、特に好ましくは300nm以下であることを意味し、これは、走査型電子顕微鏡を使用後、少なくとも50個の細孔の画像分析による評価により決定される。
【0021】
DIN66133における水銀圧入測定はポロシメトリー法であり、通常、ポロシメーターで行う。本明細書において、水銀を多孔性材料の被検物質に圧入する。小さい細孔は、大きい細孔に比べ、水銀で充填するため大きな圧を必要とし、細孔径分布を当該圧/体積図から決定することができる。
【0022】
特に圧縮強度の小さい材料の場合(Scherer et al.,J.Non−Cryst.Solids,1995,186,309−315を参照)、DIN66131におけるBET比表面積(Brunauer,Emmet,Teller)をさらに決定することができる。
【0023】
発泡体の場合、開放気泡は泡沫セルの大部分が独立せず、互いにつながっていることを意味する。互いにつながらず、独立している細孔の体積分率(非開放気泡または独立気泡分率)は、開放気泡型発泡体の場合、好ましくは50体積%以下である。特に好ましくは、開放気泡型発泡体の場合、細孔の非開放気泡型発泡体積分率は、30体積%以下、例えば、20体積%以下および特に10体積%以下である。
【0024】
開放気泡型発泡体の場合、平均孔径は、壁および/または壁体が境界となる細孔の平均的な大きさを意味するとして理解することが好ましい。平均孔径の決定は、DIN66133における水銀圧入測定により体積質量平均値として行い、これは、本発明で記述の未被覆の基材の孔径に関連する。
【0025】
基材として、すなわち、ナノ多孔性反応性樹脂で被覆する前の、通常、適切な発泡体は、5〜500、好ましくは10〜300および特に好ましくは15〜200g/dm3の密度を有し、これは、化学組成物に応じて、DIN EN ISO845において決定する(さらに以下を参照)。
【0026】
不織布とは、織物でなく、編物でなく、房状でなく、かつ繊維を含む製品であり、この場合、一般に、繊維に特異な粘着により結合する。これらには、例えば、繊維網、スパンボンド式布地および不揃いの網目であってよい。本明細書において、不織布はまた、接着した繊維網およびフェルトを意味すると理解する。不織布は、例えば、ニードルパンチ、インターメッシュ、または強力な水もしくは空気ジェットによるランダム化により機械的に安定していることが好ましい。さらに不織布を、粘着により、または結合により安定させることができる。粘着により安定した不織布は、例えば、液体結合剤を用いて繊維を粘着結合し、または結合剤を用いて、生成中の不織布に添加した繊維を融解することにより得ることができる。結合により安定している不織布は、例えば、適切な化学物質を用いた、繊維の部分溶解および加圧により得ることができる。
【0027】
基材として(すなわち、被覆前の)適切な不織布は、化学組成物に応じて、概して10〜2000、好ましくは50〜1000および特に100〜800g/m2の単位面積当たりの質量を有する。
【0028】
織布は、繊維を交差させた、好ましくは繊維を直角に交差させた製品である。基材として(被覆前の)適切な織布は、化学組成物に応じて、概して10〜2000、好ましくは30〜1000および特に50〜500g/m2の単位面積当たりの質量を有する。
【0029】
不織布または織布の場合、平均孔径は、不織布または織布の繊維の隙間から生じる細孔の平均的な大きさを意味すると理解することが好ましい。不織布または織布の平均孔径の決定は、同様に、DIN66133における水銀圧入測定により行う。
【0030】
被覆前の基材、例えば、発泡体、織布または不織布の固有表面積は、概して30m2/g以下、例えば1〜20m2/gであり、これは、DIN66131におけるBET(Brunauer、Emmet、Teller)法に従った気体吸着により決定される。
【0031】
濾紙は、原稿用紙、画用紙および印画紙などの記録材料を含まない。適切な濾紙は、化学組成物に応じて、概して5〜200、好ましくは8〜150および特に15〜100g/m2の単位面積当たりの質量を有する。
【0032】
本発明に関して、基材の表面はまた、巨視的物体の可視的外部表面に加えて、基材内の壁、壁体および繊維である材料の内部表面を含むことが好ましく、ただし、当該材料の表面は、流体に接することが可能である。それにより、独立した細孔の内部領域は、表面の一部ではない。細孔表面は、内部表面および巨視的物体の可視的外部表面を含む。
【0033】
化学的に、基材は、少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材である。「〜を基礎とする」または「〜を基礎とした」は、基材の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%および特に少なくとも80質量%の割合を意味する。
【0034】
おもに、加工して発泡体または繊維を得ることができる全ての有機ポリマーAは、基材に適している。未被覆の基材のポリマーAは、アミノ−アルデヒド樹脂、フェノール−アルデヒド樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースおよびセルロースを基礎とする繊維から選択されることが好ましい。
【0035】
ポリマーA
適切なポリマーAは、合成、または天然であってよい。以下にこれらをより詳細に記載する。
【0036】
第1の好ましい実施形態において、ポリマーAは、重縮合反応性樹脂を基礎とするものである。既知の重縮合反応性樹脂は、芳香族多官能性アミノ化合物およびアルデヒド、いわゆる、アミノ−アルデヒド樹脂を基礎とする(アミノ樹脂)プレポリマー組成物(予備縮合体)、ならびに芳香族ポリヒドロキシ化合物およびアルデヒド、いわゆる、フェノール−アルデヒド樹脂(フェノール樹脂)を基礎とするものを含む。
【0037】
アミノ樹脂およびフェノール樹脂は、概して多官能性芳香族ヒドロキシ化合物の多官能性アミノ化合物とアルデヒドを予備縮合することにより得られる。予備縮合において、プレポリマーは、なお反応性官能基形態を含み、そうして、さらなる縮合により、ゲル形態のポリマーAである架橋ポリマーネットワークを形成することができる。示された反応性樹脂、特に、アミノ樹脂またはフェノール樹脂は、従ってゲル前駆物質を特徴づけるのに好ましい。
【0038】
適切なアルデヒドは、例えば、ホルムアルデヒドまたはフルフラールである。例えば、尿素、ベンゾグアナミン、メラミンまたはアニリンは、アミノ化合物として適切である。適切な芳香族ヒドロキシ化合物(フェノール化合物)は、例えば、ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール、カテコール[ピロカテコール]、ヒドロキノン)、フロログルシノールおよびクレゾールがある。さらに、前記モノマーの混合物を使用することも可能である。
【0039】
好ましいアミノ−アルデヒド樹脂は、尿素、ベンソグアナミンまたはメラミンおよびホルムアルデヒドから得られたものである。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/尿素−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。好ましいフェノール−アルデヒド樹脂は、フェノール−ホルムアルデヒドおよびクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂から得られたものである。
【0040】
アミノ−アルデヒドまたはフェノール−アルデヒド樹脂は、未修飾または例えば、メタノールもしくはエタノールなどの単純アルコールを用いて修飾することができる。樹脂は、水溶性が好ましく、特に水溶液として使用されることが好ましい。さらに以下を参照。
【0041】
アミノ−アルデヒド樹脂およびフェノール−アルデヒド樹脂を基礎とする基材を、概して発泡体として、または織布もしくは不織布としての繊維形態で使用する。このような繊維およびそれから得ることができる織布または不織布の製造は公知である。発泡体の製造は、モノマーから、またはそれらから得ることができる予備縮合体(プレポリマー)から直接出発することができる。予備縮合体の変形例が好ましく、メラミンおよびホルムアルデヒドを基礎とする特に好ましい発泡体において、実施例として以下に示す。
【0042】
メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体を、発泡体を製造するための出発材料として使用することが好ましい。メラミン−ホルムアルデヒド縮合体は、メラミンに加えて他の熱硬化性可塑性形成剤を50以下、好ましくは20質量%以下、およびホルムアルデヒドに加えて他のアルデヒドを50以下、好ましくは20質量%以下含むことができ、縮合単位形態で取り込まれる。未修飾のメラミン−ホルムアルデヒド縮合体が特に好ましい。
【0043】
他の適切な熱硬化性可塑性形成剤の例は、アルキル−およびアリール置換メラミン、尿素、ウレタン、カルボキサミド、ジシアンジアミド、グアニジン、スルフリルアミド、スルホンアミド、脂肪族アミン、グリコール、フェノールおよびその誘導体である。例えば、アセトアルデヒド、トリメチロールアセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラール、グリオキサル、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒドおよびテレフタルアルデヒドをその他のアルデヒドとして使用することができる。メラミン/ホルムアルデヒド縮合体のさらなる詳細については、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,volume 14/2,1963,page319 to 402に見つけられる。
【0044】
メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、概して1:1.3〜1:3.5、特に1:1.6〜1:3.1である。メラミン樹脂はまた、縮合単位形態で取り込まれた亜硫酸基を含むことができ、これを、例えば、樹脂の縮合中に亜硫酸水素ナトリウム1〜20質量%を添加することにより行うことができる。欧州特許出願公開第37470号参照。
【0045】
通常、メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体は、溶液または分散液として存在し、発泡体の製造に必要とされる従来の添加剤と混合する。このような添加剤は、特に、発泡剤を乳化するための、および発泡体を安定するための乳化剤、例えば、陰イオン性、陽イオン性または非イオン性界面活性剤、例えば、硫酸アルキルならびに、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂溶液から発泡体を製造する発泡剤(化学発泡剤または物理発泡剤、例えばペンタン)である。さらに、硬化剤(触媒ともいう)を併用し;一般に、これらは酸、例えば、蟻酸または酢酸であり、これらは、樹脂のさらなる縮合を触媒し、硬化発泡体を得る。添加剤を、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂の水溶液または分散液と、例えば押出機内で均質に混合し、さらに、適宜、加圧下において発泡剤に圧入することが可能である。しかし、固体、例えば、噴霧乾燥した樹脂から出発後、これを乳化剤、硬化剤および発泡剤の水溶液と混合することも可能である。混合後、溶液または分散液を、ノズルを通して放出し、その直後に、例えば2.45GHzの高周波照射またはマイクロ波照射により加熱し、それにより発泡する。温度上昇および発泡剤の蒸発により発泡する混合物を、例えば、発泡体のひも状に成形し、スラブ状に切断する。
【0046】
DIN EN ISO845において決定された、8〜120、特に12〜50g/dm3の総密度を有するアミノアルデヒドおよびフェノール−アルデヒド発泡体が特に好ましい。
【0047】
出発材料、例えば、乳化剤、発泡剤および硬化剤のさらなる情報およびメラミン−ホルムアルデヒド発泡体の製造方法のさらなる詳細について、例えば、国際出願第01/94436号、欧州特許出願公開第17671号、17672号および37470号に見出すことができる。
【0048】
このように、すなわち溶液もしくは分散液として適切なアミノ−アルデヒド樹脂またはフェノールアルデヒド樹脂は、例えば、BASF製のKaurit(登録商標)、Kauramin(登録商標)またはLuwipal(登録商標)が市販されている。開放気泡型発泡体も例えば、BASF製のメラミン−ホルムアルデヒド発泡体であるBasotect(登録商標)が市販されている。
【0049】
以下に挙げるポリマーから製造される発泡体が、完全または大部分が独立気泡である場合、発泡体に必要な開放気泡特性を、発泡体を機械的に処理する(例えば、針、切断道具または強力な圧縮空気もしくは水ジェットで気泡を開放する)ことにより、または発泡中の発泡体自体を開放する適切な発泡剤および核形成剤の併用により、あるいは適切な発泡状態により実現することができる。
【0050】
さらに好ましい実施形態において、基材はポリスチレンを基礎とするものである。本明細書において、ポリスチレンは一般的な語句として使用され、ビニル芳香族モノマーのホモおよびコポリマーを含む。適切なモノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、tert−ブチルスチレン、ビニルスチレン、ビニルトルエン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1−ジフェニルエチレンまたはその混合物である。好ましいモノマーは、スチレンである。
【0051】
ポリスチレンを、概して発泡体として使用する。粒子状発泡体または押出成形発泡体として、ポリスチレン発泡体の製造が公知である。粒子状発泡体の場合、発泡剤含有発泡性ポリスチレン(EPS)をはじめに製造し、これを、懸濁方法(発泡剤の存在下において重合)、浸漬方法(加圧下において、発泡剤を用いて加熱懸濁液に発泡剤非含有ポリスチレン粒子を浸漬させ、発泡剤が軟化した粒子に拡散し、加圧下において懸濁液を冷却する)、または押出成形方法(押出機により融解したポリスチレンに発泡剤を混合し、加圧下において発泡剤含有融解物を放出し、続いて水圧下において造粒)により行うことができる。次いで、予備発泡および最終発泡により、EPS粒子を発泡し、ポリスチレン発泡体を得る。
【0052】
押出ポリスチレン発泡体(XPS)を、押出機により融解したポリスチレンに発泡剤を混合することにより製造し、発泡剤含有融解物は、周囲に直接発生し、加圧下において放出されない。押出機ダイ由来の発生では、融解物は安定して発泡する。
【0053】
さらに好ましい実施形態において、基材は、ポリ塩化ビニルを基礎とするものである。例えば、ホモポリマーである剛性PVCは、乳液、懸濁液または塩化ビニルの塊状重合により得ることができ、可塑剤含有柔軟性PVCおよびPVCペーストは、ポリ塩化ビニル(PVC)として適切である。適切な塩化ビニルコポリマーは、−酢酸ビニル(VCVAC)または−エチレン(VCE)、−塩化ビニリデン(VCVDC)、−アクリル酸メチル(VCMA)またはアクリル酸オクチル、−メタクリル酸メチル(VCMMA)、−マレイン酸または無水マレイン酸(VCMAH)、−マレイミド(VCMAI)あるいは−アクリロニトリルのものである。塩素化PVC(C−PVC)も適切である。ポリ塩化ビニルはまた、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、すなわち、塩化ビニリデンおよび塩化ビニルのコポリマーを含む。
【0054】
ポリ塩化ビニルを、発泡体として、または織布もしくは不織布としての繊維形態で使用することが好ましい。
【0055】
さらに好ましい実施形態において、基材は、イソシアネート重付加物を基礎とするものである。イソシアネートを基礎とする重付加物の好ましい実施形態は、ポリウレタンである。適切なポリウレタンはまた、他の結合、特にイソシアヌレートおよび/または尿素結合を含むことができる。柔軟性、半剛性もしくは剛性および熱可塑性または架橋ポリウレタン型は、基材のポリマーAとして適切である。
【0056】
ポリウレタンの製造は広く記載されており、通常、イソシアネートI)とイソシアネートに反応性の化合物II)を一般的に既知の条件下において反応させることにより行われる。反応を、触媒III)の存在下および一般に補助剤IV)の存在下において実施することが好ましい。発泡ポリウレタンの場合、これらを従来の発泡剤V)の存在下において、またはポリウレタン発泡体の既知の製造方法により製造することが好ましい。
【0057】
適切なイソシアネートは、例えば、2,2’−、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、3,3’−ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネートおよび/またはp−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタおよび/またはオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン、1,5−ジイソシアネート、2−エチル−ブチレン、1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、ブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−および/または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−および/または−2,6−シクロヘキサンジイソシアネートおよび/または4,4’−、2,4’−および/または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0058】
芳香族ジイソシアネート、特に、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、2,2’−、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)ならびにパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)の使用が好ましい。TDIを基礎とするまたはMDIを基礎とするイソシアネートの使用が特に好ましい。MDIを基礎とする多核芳香族イソシアネートオリゴマーもまた適切である。
【0059】
例えば、60〜10000分子量であり、1〜8個、好ましくは2〜6個のイソシアネートに関する官能基を有する一般に既知の化合物を、イソシアネートに対して反応性の化合物II)として使用することができる。適切な化合物II)は、例えば、ポリオール、特に、500〜10000の分子量を有するもの、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオールおよび/または500以下の分子量を有するジオール、トリオールおよび/またはポリオールである。
【0060】
適宜、イソシアネートとイソシアネートに対して反応性の化合物の反応を促進する一般に既知の化合物をポリウレタンの製造のための触媒III)として使用することができ、触媒合計量は、イソシアネートに対して反応性の化合物II)と合わせて使用する質量に対して、0.001〜15質量%、特に0.05〜6質量%が好ましく、例えば、第3級アミンおよび/または金属塩、例えば、従来の金属酸化状態の鉄、鉛、亜鉛および/またはスズの無機および/または有機化合物が使用される。
【0061】
適宜、従来の物質を補助剤IV)として使用することができる。例として、表面活性物質、充填剤、染料、顔料、難燃剤、加水分解安定剤、静真菌性および静菌性物質ならびにUV安定剤と抗酸化剤を挙げることができる。
【0062】
当業者であれば、ポリウレタン、ポリイソシヌレートおよびポリウレアに関する詳細をKunststoff−Handbuch,3rd edition,volume7"Polyurethanes",Hanser Verlag,Munich 1993に見出すことができる。
【0063】
ポリウレタンは、発泡体形態で使用することが好ましい。
【0064】
さらに好ましい実施形態において、基材はポリアミドを基礎とするものである。適切なポリアミド(PA)は、いずれかの種類の脂肪族半結晶性または部分的芳香族および非晶性組成物ならびにその混和物を有するものであり、ポリエーテルブロックアミドなどのポリエーテルアミドを含む。本発明に関して、ポリアミドは、既知のポリアミド全てを意味するとして理解される。一般にこのようなポリアミドは、90〜350、好ましくは110〜240ml/gの粘度数を有し、これは、ISO307において、25℃の硫酸96質量%濃度において0.5質量%濃度で決定された。
【0065】
適切なポリアミドの例は、(モノマーは( )に示す)、
PA46 (テトラメチレンジアミン、アジピン酸)
PA66 (ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸)
PA69 (ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸)
PA610(ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸)
PA612(ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸)
PA613(ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸)
PA1212(1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸)
PA1213(1,12−ドデカンジアミン、ウンデカンジカルボン酸)
PA1313(1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸)
PAMXD6(m−キシレンジアミン、アジピン酸)
PATMDT(トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)
PA4 (ピロリドン)
PA6 (ε−カプロラクタム)
PA7 (エタノラクタム)
PA8 (カプリルラクタム)
PA9 (9−アミノペラルゴン酸)
PA11(11−アミノウンデカン酸)
PA12(ラウロラクタム)
PA6T(ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)
PA6I(ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸)
PA6/6TPA(カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)
PA6−3−T(トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)
PA6およびPA66が好ましい。前記ポリアミドおよびそれらの製造は公知である。当該ポリアミドは、例えば、BASF製商標名Ultramid(登録商標)で入手することができる。
【0066】
ポリアミドは、繊維形態、すなわち、織布または不織布で使用することが好ましい。
【0067】
さらに好ましい実施形態において、基材はポリエステルを基礎とするものである。適切なポリエステルは、主鎖に芳香族環を含み、これは芳香族ジカルボン酸に由来する。芳香族環はまた、ハロゲン、例えば、塩素および臭素により、またはC1−C4アルキル基、例えば、メチル、エチル、イソプロピルもしくはn−プロピルおよびn−ブチル、イソブチルもしくはtert−ブチル基により置換することができる。ポリエステルを、芳香族ジカルボン酸、そのエステルまたはその他のエステル形成誘導体と脂肪族ジヒドロキシ化合物を、それ自体既知の様式において反応させることにより製造することができる。
【0068】
好ましいジカルボン酸は、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸およびイソフタル酸またはその混合物である。芳香族ジカルボン酸10mol%以下を脂肪族または脂環式ジカルボン酸、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸およびシクロヘキサンジカルボン酸により置換することができる。脂肪族ジヒドロキシ化合物のうち、炭素原子2〜6個を有するジオール、特に、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールまたはその混合物が好ましい。
【0069】
特に好ましいポリエステルは、ポリアルキレンテレフタレートであり、これは炭素原子2〜6個を有するアルカンジオール由来である。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリブチレンテレフタレート(PBT)が、特に好ましい。ポリテトラヒドロフラン(PolyTHF)もまた適切なポリエステルである。
【0070】
ポリエステルは、繊維形態、すなわち、織布または不織布で使用することが好ましい。
【0071】
さらに好ましい実施形態において、基材はポリオレフィンを基礎とするものである。適切なポリオレフィンは、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、4−メチルペンテンおよび/または1−ヘキセンを含むホモおよびコポリマーである。ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)が好ましい。ポリブテン、例えばポリ1−ブテンおよびポリイソブチレン(PIB)もまた使用することができる。
【0072】
適切なポリエチレンは、例えば、ULDPE(ULD超低密度)、LDPE(LD低密度)、LLDPE(LLD直鎖状低密度)、HDPE(HD高密度)、HMWPE(HD−HMWPEとも呼ばれる、HMW高分子量)およびUHMWPE(HD−UHMWPEとも呼ばれる、UHMW超高分子量)である。架橋ポリエチレン(XPE)および塩素化およびクロロスルホン化ポリエチレン(CPE)もまた適切であり、この場合、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVAL)およびエチレン−アクリル酸エチル(EEA)、−アクリル酸ブチル(EBA)、−アクリル酸メチル(EMA)、−アクリル酸(EAA)または−メタクリル酸(EMAA)コポリマーである。さらに、エチレン−ノルボーネンコポリマーを使用することも可能であり、これらはまた、シクロオレフィンコポリマー(COC)と呼ばれる。このようなポリエチレンおよびそれらの製造物が公知である。
【0073】
適切なポリプロピレンは、例えば、ホモポリプロピレンまたはコモノマー、特に、C2-8アルカン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテンまたは1−ヘキセンを有するプロピレンのコポリマーである。コポリマーは、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーまたはインパクトコポリマーであってよく、コモノマー分率は、概して50質量%以下である。通常、ランダムコポリマーは、15以下、好ましくは6質量%以下の他の1−アルケン、例えばエチレン、1−ブテンまたはその混合物を含む。
【0074】
同様の適切なプロピレンのブロックまたはインパクトコポリマーの場合、プロピレンホモポリマー、または前記1−アルケン15以下、好ましくは6質量%以下を有するプロピレンのコポリマーを第1ステージで製造し、第2ステージで重合を行い、15〜80質量%のエチレン量を有するプロピレン−エチレンコポリマーを得、プロピレン−エチレンコポリマーが追加のC4-8アルケンをさらに含むことが可能になる。通常、第2ステージのブロックまたはインパクトコポリマーの割合は、3〜60質量%である。ポリエチレン同様に、ポリプロピレンも塩素化することができる(CPP)。エチレン−プロピレンコポリマー(EPM)またはエチレン−プロピレン−ジエンコポリマー(EPDM)もまた、適切である。
【0075】
前記ポリオレフィンは既知のものである。これらを例えば、チーグラー・ナッタ触媒系またはメタロセン触媒系により製造することができ、市販されている。
【0076】
ポリオレフィンを発泡体形態または織布または不織布としての繊維形態で使用できる。例えば、ポリスチレン発泡プロセスの場合、これより上記のように、ポリオレフィン発泡体を製造する。
【0077】
さらに好ましい実施形態において、基材はセルロースを基礎とするものである。セルロースは、繊維形態、特に織布または不織布として使用することが好ましい。適切なセルロースを基礎とする繊維は、綿、パルプ、カポック、リネン、ラミー、ジュート、麻、ココナッツ繊維、サイザルおよび他の全てのセルロース含有天然繊維ならびに再生セルロースまたはセルロースエステルを基礎とする繊維、例えば、レーヨン、銅アンモニアレーヨン、セロファン、ビスコース、酢酸セルロースまたは酢酸レーヨンである。パルプが特に好ましい。
【0078】
このようなセルロースを基礎とする織布および不織布の製造は公知である。
【0079】
好ましい実施形態において、未被覆の基材をアミノ−アルデヒド樹脂、フェノールアルデヒドおよびポリウレタンを基礎とする発泡体から選択する。
【0080】
同様に好ましい実施形態において、未被覆の基材をポリエステルまたはセルロースを基礎とする織布または不織布から選択する。
【0081】
ポリマーBを用いた被覆
本発明において、マクロ多孔性基材の表面を反応性樹脂を基礎とするポリマーBで被覆し、この被覆はナノ多孔性であり、ナノ細孔の平均径は、1000nm以下であり、これは、DIN66133における水銀圧入測定により決定される。
【0082】
「〜を基礎とする」という語句は、反応性または非反応性形態の1つまたは複数の各化合物をともに含み、すなわち、この語句は、ゲル前駆物質および架橋ポリマーにともに関連する。「〜を基礎とする」は、概して硬化ポリマーBに対して、反応性樹脂を少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60、特に好ましくは少なくとも70および特に少なくとも80質量%の割合を意味する。
【0083】
反応性樹脂は低分子量有機化合物または予備縮合体からなり、これは、例えば、添加または縮合反応により架橋反応を行うことができる。本発明に関して、反応性樹脂という語句は、モノマー出発材料およびプレポリマー、すなわち事前に反応していたモノマーをともに含むことが好ましい。反応性樹脂は、ゲル前駆物質が好ましい。ゲル前駆物質は、少なくとも1個のモノマーおよび/またはプレポリマー化した化合物を含む組成物であり、この化合物はゲル化し、溶剤の存在下の架橋反応により反応し、ゲルを得ることができる。
【0084】
反応性樹脂、好ましくはゲル前駆物質から出発するナノ多孔性ポリマーの製造は、公知である。通常、ゾル−ゲル法により、製造を行い、反応性前駆物質を最初に得、次いで、これをゲルに変換する。その後、通常、代替溶剤に交換後に溶剤を除去する。おもに、上記の方法によりゲルに変換することができる既知のゲル前駆物質全ては、ポリマーBの前駆物質として適切である。
【0085】
反応性樹脂を、アミノ−アルデヒド樹脂(アミノ樹脂)、フェノール−アルデヒド樹脂(フェノール樹脂)およびイソシアネートを基礎とするゲル前駆物質から選択することが好ましい。これらのうち、アミノ−アルデヒド樹脂およびイソシアネートを基礎とするゲル前駆物質が特に好ましい。アミノ−アルデヒド樹脂のうち、尿素−ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
【0086】
反応性樹脂を、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/尿素−ホルムアルデヒド樹脂およびイソシアネートおよびフェノールを基礎とするゲル前駆物質から選択することが特に好ましい。イソシアネートおよびフェノールを基礎とするゲル前駆物質のうち、分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基を有する多官能性芳香族イソシアネートおよびフェノールを基礎とするゲル前駆物質が非常に特に好ましい。
【0087】
ポリマーBの前駆物質として適切なアミノ−アルデヒド樹脂およびフェノール−アルデヒド樹脂は、ナノ多孔性基材(ポリマーA)の場合に、すでに前に上記されている。メラミン−ホルムアルデヒド発泡体の製造の場合、ここで挙げられた熱硬化性可塑性形成剤が例として記載され、または他のアルデヒドを併用することもできる。
【0088】
アミノ−アルデヒド樹脂およびフェノール−アルデヒド樹脂は、水溶性が好ましい。
【0089】
樹脂を非修飾またはアルコールで修飾することができ、従って疎水性となる。
【0090】
ポリマーBの前駆物質として、非常に特に好ましい反応性樹脂は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、好ましくはメラミン対ホルムアルデヒドのモル比が1:1.2〜1:3.5、好ましくは1:1.4〜1:2、特に1:1.4〜1:1.6を有するものである。
【0091】
このように、すなわち溶液もしくは分散液として適切なアミノ−アルデヒド樹脂またはフェノール−アルデヒド樹脂は、例えば、BASF製Kaurit(登録商標)、Kauramin(登録商標)またはLuwipal(登録商標)として市販されている。
【0092】
適切なイソシアネートを基礎とする反応性樹脂は、以下の構成成分を含むものである:(I)少なくとも2個の官能基を有する少なくとも1個のイソシアネートおよび(II)イソシアネートに対して反応性であり、少なくとも2個の官能基を有する少なくとも1個の化合物。構成成分(I)および(II)の反応を、触媒(III)の存在下において実施することが好ましい。
【0093】
本発明に関して、化合物の官能基は、分子当たりの反応基の数を意味するとして理解する。官能基は、分子当たりのイソシアネート基の数またはイソシアネートに対して反応性の基の数を反映する。
【0094】
イソシアネートを基礎とする反応性樹脂から出発して、重付加物をさらに以下に記載のようにナノ多孔性被覆の形態でポリマーBとして製造することができる。通常、この製造は、溶剤または分散剤の存在下においてゾル−ゲル法により行われ、これを反応性樹脂の架橋(ゲル化)後に除去する。イソシアネートの重付加物を基礎とするポリマーBは、イソシアヌレート、尿素またはウレタン結合あるいはこれらの結合の2つもしくは3つを含むことができる。
【0095】
適切なイソシアネートは、例えば、ポリマーAにおいて記載された脂肪族、脂環式および芳香族ジイソシアネートである。芳香族ジイソシアネート、特に、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、2,2’−、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)およびパラフェニレンジイソシアネート(PPDI)をイソシアネートとして使用することが好ましい。TDIを基礎とするまたはMDIを基礎とするイソシアネートを使用することが特に好ましい。
【0096】
適切なイソシアネートは、特にいわゆるイソシアネートオリゴマーである。これらは、オリゴマーまたはポリマー縮合体、およびそれゆえ、芳香族モノマージイソシアネートの誘導体である。これらは、MDIを基礎とする芳香族イソシアネートオリゴマーであることが好ましい。イソシアネートをイソシアネートモノマーとイソシアネートオリゴマーの混合物として使用することもできる。
【0097】
MDIのオリゴマーは2個以上、好ましくは3、4または5個の官能基を有するMDIの多核縮合体である。MDIオリゴマーは公知であり、通常、様々な官能基を有するMDIを基礎とするイソシアネートの混合物を含む。通常、こうして使用されるMDIオリゴマーはまた、かなりの割合のMDIモノマーを含む。混合MDIオリゴマーの(平均)官能基は、約2.5〜約5、例えば2.7〜3.5と多様であってよい。様々な官能基を有するMDIを基礎とするイソシアネートのこのような混合物は、例えば粗製MDIであり、これはMDIの製造で得られる。
【0098】
上記のイソシアネートまたは複数のMDIを基礎とするイソシアネートの混合物が公知であり、例えば、商標名Lupranat(登録商標)でElastogran GmbHより販売されている。
【0099】
イソシアネートに対して反応性の適切な化合物は、おもにナノ多孔性ポリマー発泡体に関して当業者に公知であり、これをゾル−ゲル法により製造した。
【0100】
特に、個々に、または混合物として、以下の化合物は、ナノ多孔性被覆の製造のためのイソシアネートに対して反応性の化合物として適切である:
米国特許第2006/0211840号の段落[0009]および[0014]に記載のポリオキシアルキレンアミンまたはアミンを基礎とするポリオールあるいはその混合物、または国際出願第95/03358号の8ページ4段落目から最終段落に記載の官能性の高い、イソシアネートに対して反応性のアルコキシル化化合物;
さらに、通常、500〜12000g/mol、好ましくは600〜6000、特に800〜4000の分子量および平均官能基約2〜約5個を有する「ポリオール」という語句に要約されるポリエステロール、ポリエーテルオールおよび/またはポリカーボネートジオール;
ポリエーテルポリアルコール、ポリエステルポリアルコール、ポリエーテルポリエステルアルコール、ポリチオエーテルポリオール、ヒドロキシル基を含有するポリアセタールおよびヒドロキシル基を含有する脂肪族ポリカーボネートまたは少なくとも2個の前記ポリオールの混合物;
高分岐化合物、例えば、エステル基を含む高分岐ポリオール、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸から得られる縮合体であり、これは、国際出願第2006/128872号に記載のようにPerstorp ABから商標名Boltorn(登録商標)で市販されている;
少なくとも2個のヒドロキシル基を有するフェノール化合物、例えば、ベンゼンジオール誘導体、例えば、カテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン)、レゾルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゼン)、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)またはオルシノール(3,5−ジヒドロキシトルエン)。さらに、少なくとも2個のベンゼン環を有するフェノール化合物、特にビスフェニル誘導体、例えば、4,4’−ビフェノールまたはビスフェノールAが適切である。さらに、OH官能基3個を有するフェノール化合物が適切であり、例えば、ピロガロールおよび特にフロログルシノール。OH官能基3個を有するフェノール化合物、特に、フロログルシノールは、フェノール化合物として特に適切である。
【0101】
前記アミノ−アルデヒド樹脂、フェノール−アルデヒド樹脂およびイソシアネートを基礎とするゲル前駆物質から出発するが、さらに以下に説明されるように、ナノ多孔性被覆製造のプロセスと基材製造のプロセスとは、区別される。基材は、通常、発泡剤を使用することにより前記反応性樹脂から出発して製造されるが、ナノ多孔性被覆の製造は、通常、ゾル−ゲル法により、上記の反応性樹脂から出発して行われる。
【0102】
本発明における多孔性材料の目的とする使用および所望の特性側面に応じて、未被覆マクロ多孔性基材のポリマーAおよびナノ多孔性被覆のポリマーBは、化学性質が同一(例:メラミン−ホルムアルデヒド発泡体にメラミン−ホルムアルデヒド被覆)または化学性質が異なって(例:セルロース不織布またはポリエステル織布にメラミン−ホルムアルデヒド被覆)よい。
【0103】
本発明はまた、本発明における多孔性材料を製造する方法に関し、反応性樹脂は、マクロ多孔性の未被覆の基材と接触し、次いでその存在下においてポリマーBに硬化される。
【0104】
好ましい実施形態において、本方法は、以下の工程を含む:
a)ポリマーBの前駆物質としての反応性樹脂を液体中の溶液または分散液として得る
b)工程a)で得られた溶液または分散液に触媒を添加する
c)マクロ多孔性の未被覆の基材を工程b)で得られた混合物と接触させる
d)工程c)の基材と接触させた混合物を基材の存在下において硬化する
e)混合物中に含まれる液体を除去する
方法を、a−b−c−d−eの順序で実施することが好ましい。硬化が急速に生じる場合、a−c−b−d−eの順序も、変形例として可能である。さらなる実施形態において、触媒の添加は選択可能であり、方法をa−b(場合により)−c−d−eまたはa−c−b(場合により)−d−eの順序に従い実施する。
【0105】
工程a)において、ポリマーBのゲル前駆物質としての反応性樹脂を液体中の溶液または分散液として得る。
【0106】
アミノ−アルデヒド樹脂およびフェノール−アルデヒド樹脂の場合、工程a)で使用する反応性樹脂は、予備縮合体(プレポリマー)が好ましい。例えば、予備縮合体の製造で直接得られるように溶液または分散液を使用し、または所望の溶液または分散液量となるまでこのような溶液または分散液を液体で希釈することが可能である。さらに、固体、例えば、噴霧乾燥の反応性樹脂から出発し、溶液または分散液が得られるように液体とこの固体を混合することが可能である。
【0107】
イソシアネートを基礎とするゲル前駆物質を工程a)の反応性樹脂として使用する場合、2つの構成成分であるイソシアネートI)およびイソシアネートと反応性の化合物II)を溶液または分散液として互い別々に得ることが好ましい。工程b)の場合でさらに以下に記載のように、ポリウレタンの場合、触媒を構成成分の1つに添加後にのみ、もう一方の構成成分を添加することが好ましい。
【0108】
工程a)の溶剤または分散剤として使用されることが好ましい液体は、ポリマーBのゲル前駆物質としてアミノ−アルデヒド樹脂およびフェノール−アルデヒド樹脂の場合には水であり、ポリイソシアネートを基礎とするゲル前駆物質または疎水性反応樹脂を使用する場合には、有機溶剤、例えば、ポリウレタンの製造に通常使用されるものである。アミノ−アルデヒドまたはフェノール−アルデヒド樹脂水溶液または分散液から出発することが好ましい。
【0109】
ポリマーBを用いた被覆の層厚、密度および機械的安定性を、特に、溶剤または分散剤中の反応性樹脂濃度を介して調整することができる。溶剤または分散剤中の反応性樹脂の濃度は、あまり低いものを選択してはならず、そうでなければ、それは、完全な被覆、力学的に安定した被覆または必要条件を十分に満たす被覆が、硬化(ゲル化)時に得られないためである。反応性樹脂量が少なくとも0.5および特に少なくとも1質量%である溶液または分散液を使用することが好ましい。
【0110】
フィルター効率が高く、大きい機械的応力を受ける本発明における多孔性材料の場合、例えば、濾過される媒体の流量が多く、かつ/または固体量が大きい場合、または研磨固体を分離する場合、あるいは特に長いフィルター寿命を所望する場合、機械的安定性の高い、特に安定したナノ多孔性被覆が有利となりうる。これは、反応性樹脂溶液または分散液に対して少なくとも5質量%の高量の反応性樹脂を使用して得られ、その結果、機械的に十分安定した被覆を形成する。
【0111】
一方で、反応性樹脂溶液または分散液の最大量は、溶液または分散液の粘性に左右される。溶液または分散液は、非常に粘性が低いので、未被覆の基材に接触させる場合、基材の所望の表面全てに広がるはずである。従って、例えば、基材が発泡体の場合、発泡体の内部の少なくとも一部分がナノ多孔性被覆を有し、そのために、反応性樹脂溶液または分散液は、発泡体内部に浸透しなければならないことが好ましい。
【0112】
基材の被覆を実現するために、被覆の平均層厚は、基材の平均孔径未満であることが好ましく、一方で、溶剤または分散剤中の反応性樹脂量に上限がある。これは、反応性樹脂溶液の濃度が、基材の細孔の充填を完了または事実上完了させる濃度に比べ低くなるように選択することが好ましいことを意味する。
【0113】
好ましくは、溶剤中の反応性樹脂濃度は、10質量%以下、例えば0.5〜10質量%である。溶剤中の反応性樹脂濃度1〜8質量%、特に2〜7質量%が特に好ましい。
【0114】
通常、工程a)の温度および圧は重要ではなく、例えば、それぞれ、0〜150℃、好ましくは10〜100℃および0.8〜50、好ましくは1〜20barである。
【0115】
工程b)において、触媒を工程a)で得られた溶液または分散液に添加する。有機酸、例えば、炭素原子1〜6個を有するカルボン酸は、アミノ−アルデヒド樹脂またはフェノール−アルデヒド樹脂の触媒として適切である。蟻酸および酢酸が好ましい。同様に、無機酸、特に鉱酸、例えば、硫酸、硝酸、リン酸またはハロゲン化水素酸、例えば、塩化水素酸が好ましい。
【0116】
例えば、構成成分III)としてポリウレタンの説明中の、これより上記で挙げた慣例の触媒、例えば第3級アミンまたは金属塩は、ポリウレタンの触媒として適切である。ポリマーBがポリウレタンの場合、構成成分であるイソシアネートI)およびイソシアネートに対して反応性の化合物II)(ポリオールなど)を互いに別々に得、2つの構成成分I)およびII)のうちの1つに触媒III)を添加し、完全に混合後にのみ、他の構成成分を添加することが有利であることが明らかにされている。特に好ましくは、触媒III)をイソシアネートに対して反応性の構成成分II)と混合後、イソシアネート構成成分I)を添加する。
【0117】
触媒をこのように、すなわち溶剤である溶液中に添加することができる。この溶剤は、工程a)で使用された液体、ただし反応性樹脂溶液または分散液と同一であることが好ましい。触媒を、概して反応性樹脂溶液または分散液と撹拌しながら混合する。
【0118】
さらに好ましい実施形態において、1個または複数個の炭酸塩を触媒に添加する。適切な炭酸塩は、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩である。各金属の重炭酸塩もまた適切である。しかし、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩の添加が好ましく、特に炭酸カルシウムが好ましい。触媒への炭酸塩の添加は、有機または無機酸を触媒として使用する場合、アミノ−アルデヒド樹脂またはフェノール−アルデヒド樹脂の製造などに特に有利である。純粋物質中の触媒に対して炭酸塩0.5〜15質量%の割合を触媒に添加することが好ましい。炭酸塩、特に炭酸カルシウム1〜8質量%を添加することが特に好ましい。炭酸塩、特に炭酸カルシウムを添加することにより、本発明における材料の細孔径分布が多様となる。
【0119】
概して、工程b)の温度および圧は重要ではなく、例えば、それぞれ、10〜150℃、好ましくは20〜100℃および0.8〜50、好ましくは1〜10barである。
【0120】
工程c)において、マクロ多孔性の未被覆の基材を工程b)で得られた混合物と接触させる。接触させるには、基材の外表面のみを反応性樹脂/触媒混合物で湿潤させるが、「内部」表面、すなわち、基材内部のマクロ細孔は湿潤させないような方法(変形例1)で行うことができる。さらに、基材および混合物が互いに接触することが可能であり(変形例2)、そうして、内部基材表面も、例えば、混合物が部分的にまたは完全に多孔性基材を通過することにより湿潤する。内部表面を湿潤する変形例2が好ましく、例えば、濾過の作業課題の厳しいフィルターの場合に有利となりうる。
【0121】
特に、外部基材表面を湿潤する変形例1の場合、噴霧、ブラシ、被毛ローラー(fur covered roller)を用いたローラー被覆、ハードローラーを用いたローラー被覆、鋳型成形またはナイフ被覆により、または他の従来の方法により、混合物を未被覆の基材に塗布することにより、接触することができる。これらの方法は、特に、シート様、例えば織布、不織布または濾紙であるような薄層基材に適切である。シート様基材の場合、一面または両面を湿潤させることができ、その結果、続いてナノ多孔性被覆の空間的に均質な分布が得られる。
【0122】
例えば、混合物が基材内部のマクロ細孔に浸透することができるように、混合物に基材を浸漬し、または変形例1の場合に挙げた湿潤方法を数回繰り返すことは、好ましい変形例2に適切である。基材の形状および特性(浸透性、細孔径分布、開放気泡特性の程度)および混合物の粘性に応じて、浸漬のための特定の時間、例えば1秒〜6時間を必要としうる。小さい形状(体積は小さく、表面積は大きい)および良好な浸透性を有する基材と低粘性混合物は浸透を促進し、この結果、浸漬時間を短縮し、または別の様式で接触させる。
【0123】
好ましくは、本発明の方法において、工程c)の接触を、混合物に未被覆の基材を浸漬させることにより行う。浸漬は、厚みのあるシート様基材および嵩高の基材、例えば、厚みのある織布および不織布ならびに全ての開放気泡型発泡体に特に適切である。
【0124】
必要な場合、混合物の粘性を低下させるために工程c)の温度上昇時に行い、このようにして基材の湿潤または浸透を促進することが可能である。通常、手法を、20〜100℃、好ましくは25〜80℃で行う。特に、変形例2の場合、浸透はまた、加圧下において行うことにより促進することができ、その結果、混合物を基材の内部に圧入する。概して、圧は、0.8〜50、好ましくは1〜10barである。
【0125】
基材のマクロ細孔に存在する空気を除去し、従って基材内部に混合物を浸透させることを促進するために、基材を接触させる前に減圧下において「換気」することができ、または浸漬した基材を超音波処理することができ、あるいは基材に弾性があり、十分な回復力がある場合、空気を圧縮または動軸回転により機械的に除去することもできる。
【0126】
基材を浸漬により混合物と接触させる場合、続いて、例えば浸透後の、工程d)で硬化する前の混合物から基材を取り出すことができる。基材は、硬化中浸漬していることが好ましい。
【0127】
工程d)において、工程c)の基材に塗布された混合物を硬化する。混合物の硬化がナノ多孔性ゲルを生じ、このナノ細孔はなおも、液体、すなわち工程a)で使用された液体、好ましくは水で充填されていると考えられる。
【0128】
通常、基材の被覆が有効となることにより、例えば、混合物を噴霧した織布または不織布が有効となることにより、または混合物に浸漬した発泡体、織布または不織布が有効となることにより、硬化が行われる。混合物に浸漬した基材の場合、ゲル形成を阻害する恐れがあるため、混合物を撹拌せず、または別に混合物の硬化中に混合しないことが好ましい。硬化(ゲル化)中に混合物に覆いをつけ、または浸漬容器を閉じることが有利であることが明らかにされている。
【0129】
工程d)の温度は、例えば10〜150℃、好ましくは20〜100℃および特に25〜80℃である。最も簡易な場合、室温(20℃)で有効にさせることにより、硬化を行うことができる。使用される反応性樹脂Bに応じて、高温により硬化を促進することができる。例えば、アミノ−アルデヒド樹脂、例えば、メラミン−ホルムアルデヒドの被覆は、40〜90℃、好ましくは50〜80℃にて硬化できる。
【0130】
概して、工程d)の圧は重要ではなく、例えば、0.8〜50、好ましくは1〜10barである。
【0131】
硬化期間は、特に、基材の大きさ、形状および多孔率、塗布される混合物の量、そのモノマーまたは予備縮合体および触媒量ならびに温度に左右され、例えば1秒〜48時間、特に1分から12時間および特に好ましくは5分〜6時間の広範囲で変化することができる。当業者は、基材なしで容易に実施することができるいくつかの予備実験において硬化期間を決定する。
【0132】
硬化中に形成するゲルは、実質的に硬化前の(通常、低粘性の)混合物に比べ高粘性である。その結果、粘性の増加により硬化をモニターすることができ、塗布された混合物の粘性がさらに増加しなくなる場合完了となる。
【0133】
工程e)において、塗布された混合物に含まれる液体を除去、すなわち、工程d)で得られたゲルを乾燥する。
【0134】
液体の除去中の温度および圧条件は、液体の種類および硬化性混合物(ゲル)中の液体量に左右する。例えば、液体を−5〜150℃、好ましくは0〜120℃および0.001〜10bar、好ましくは0.01〜1barにて除去することができる。液体が水である場合、この場合好ましいが、水を水含有ゲルから、例えば、0〜150℃、好ましくは10〜120℃および特に好ましくは15〜100℃ならびに、高真空(10-7mbar)〜例えば10bar、好ましくは1mbar〜10barおよび特に10mbar〜5barにて除去する。例えば、乾燥は、0.5〜2barおよび0〜100℃にて行うことができる。特に好ましくは、雰囲気圧および0〜80℃、特に室温にて乾燥を行う。
【0135】
液体の除去において、適宜、硬化中に使用される覆いまたは容器の蓋を取り外し、液体が気体状態に移行することにより除去される、すなわち、液体が蒸発(気化)するまで、前記圧および温度条件を維持する。
【0136】
乾燥は、空気中または混合物が酸素感受性である場合、他の気体、例えば、窒素または希ガス中で行われることができ、さらに、適宜、このために乾燥オーブンまたは他の適切な装置を使用することができる。
【0137】
減圧を適用することにより、乾燥を促進または完了することができる。乾燥の効果をさらに改良するために、この減圧下の乾燥を慣例の加圧時の乾燥に比べ高温で実施することができる。例えば、最初に大部分の水を、例えば8〜12日間で室温および雰囲気圧で除去し、次いで、残りの水を、例えば1〜5日間で1〜100、特に10〜30mbarの減圧下において40〜80℃にて除去することができる。
【0138】
このような段階的な乾燥の代わりに、乾燥中に、圧を連続的に、例えば直線的または指数的に低下させることもでき、あるいは温度をこのような様式において増加することができ、すなわち、乾燥を圧または温度プログラムに沿って行うことができる。
【0139】
当然ながら、空気の水分含量が低いほど、混合物がより急速に乾燥する。乾燥は、大気を循環および/または交換することにより促進することもできる。同様に、水以外の液体相および空気以外の気体に関しても適用される。
【0140】
工程e)の乾燥中、概して液体を、最終的なナノ多孔性反応性樹脂ポリマー層に対して完全にまたは残量0.01〜1質量%まで除去する。
【0141】
あるいは、またはさらに触媒を使用して、加熱により硬化を実施することもできる。
【0142】
多孔性材料の特性および使用
多孔性材料を基礎とする基材の構造的態様は、これより上記で説明した。本発明において、マクロ多孔性基材の表面を反応性樹脂を基礎とするポリマーBで被覆する。
【0143】
被覆は、基材の壁体、壁および/または繊維上のシート様形態の硬化性反応性樹脂の塊が存在することを意味するものとして理解することが好ましい。被覆は、被覆材料で部分的または完全に基材表面を被覆することが好ましく、基材の細孔表面(すなわち、内部および外部表面)を被覆材料で完全にまたは部分的に被覆することが特に好ましい。「被覆した」という語句は、マクロ細孔の完全な充填は除く。
【0144】
好ましくは、基材の細孔表面を、被覆材料を用いて、基材の細孔表面全体の少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、特に少なくとも50%の割合で被覆することが好ましい。
【0145】
被覆した細孔表面(被覆の程度)および平均の層厚の割合は、走査型電子顕微鏡および画像分析法により決定される。統計的に有意な平均値を得るために、少なくとも各20回の測定を行うものとする。
【0146】
平均層厚は、少なくとも各20回の走査型電子顕微鏡および画像分析測定による数質量平均として決定し、基材の平均孔径に比べ小さいことが好ましく、これは、DIN66133における水銀圧入測定による体積質量平均として決定される。それにより、基材のマクロ細孔および被覆のナノ細孔により、多孔性材料はマクロ多孔性およびナノ多孔性の両方であることが好ましい。
【0147】
液体の除去後(工程e)に得られた最終的なナノ多孔性反応性樹脂ポリマー層の厚さは、概して0.01〜10、好ましくは0.05〜1および特に0.1〜0.9μmである。
【0148】
所望の場合、上記の方法を1回または数回繰り返すことができ、このようにして、2回目または追加のナノ多孔性ポリマー層を塗布することができる。各ナノ多孔性層の反応性樹脂Bは、同一または異なっていてよい。
【0149】
本発明における材料において、ポリマーBを用いたナノ多孔性被覆は、基材のマクロ細孔を均一にまたは不規則に裏張りすることができ、またはマクロ細孔の網目、繊維および/または壁を完全または不完全に被覆することができる。さらに、反応性樹脂を硬化前に下方で回収し、かつ本発明の材料に硬化性反応性樹脂を部分的に充填する場合、マクロ細孔が存在する可能である。しかし、マクロ細孔が硬化性反応性樹脂で完全に充填されず、それゆえ、上記の意味の被覆が存在する多孔性材料が好ましい。
【0150】
最初に挙げたように、ナノ多孔性被覆の平均孔径は、1000nm以下、好ましくは500nm以下である。さらに、好ましくは少なくとも1nm、特に好ましくは少なくとも10nmである。ナノ多孔性被覆の平均孔径は、数平均径が好ましく、これは走査型電子顕微鏡により決定される。
【0151】
材料が2種以上のナノ多孔性反応性樹脂被覆を有する場合、各層の厚さおよび孔径は異なっていてよい。
【0152】
構造的な点において、本発明における多孔性材料(すなわち、被覆物質)は、開放気泡型発泡体、織布、不織布または濾紙が好ましく、すなわち、本発明における多孔性材料は、少なくとも部分的に基材の開放気泡構造を保持する。特に好ましくは、本発明における多孔性材料は、開放気泡型発泡体または不織布、特に開放気泡型発泡体である。
【0153】
本発明における多孔性材料、例えば、発泡体、織布、不織布または濾紙は、強固な、堅固な、剛性、柔軟性、順応性、軟性または回復力があってよく、弾性特性の有無に関らない。
【0154】
本発明における多孔性材料は、マクロ多孔性基材およびナノ多孔性反応性樹脂層を含み、以下の特性の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に4つ全てにより区別され、少なくとも特性3)および4)を満たすことが非常に特に好ましい。
1)固有表面積が大きい。概して、少なくとも10、好ましくは少なくとも20および特に好ましくは少なくとも50m2/gであり、これは、DIN66131におけるBET(Brunauer、Emmet、Teller)法による気体吸収により決定される。
2)密度が低い。通常、300以下、好ましくは200以下および特に100g/dm3以下である。
3)全ての細孔にわたる細孔径分布(ナノ細孔およびマクロ細孔)は、二相性である。細孔径分布は、ナノ細孔およびマクロ細孔がともに存在するように広範囲であることが好ましい。
4)最初に記載したように水銀圧入測定により決定した、全ての細孔にわたる細孔径分布(ナノ細孔およびマクロ細孔)は、通常、1〜60、好ましくは2〜50および特に好ましくは3〜40体積%の細孔が1μm(1000nm)以下の径であるようにする。
【0155】
これらの特性により、本発明における材料を種々の目的に使用することができる。特に、固有表面積が大きいことにより、本発明における材料は、フィルター効率が高い。
【0156】
好ましくは、および同様に、本発明の目的は、気体または液体のフィルターとして本材料を使用することである。「気体」または「液体」は、流体相を指し、この場合、固体(適宜、濾過して除去する)を分散することができる。気体の場合、液体またはエアロゾル粒子もまた濾過して除去することができる。
【0157】
好ましい使用は、以下の場合におけるフィルターとしてのものである
建物の空調、例えば、空調システムにおいて、および建物または室内、例えば、住居用建物、管理用建物、産業用建物または貯蔵庫の新鮮な空気(吸気)または排気の精製において、
工場および発電所の排気の精製において、
自動車の排気ガスの精製において、
自動車の空調システムにおいて、
粉塵排出の多い産業、例えば、織物業、建築材料産業、顔料産業、木材加工、家具産業において、および石炭、岩塩、鉱物、鉱石または他の鉱物資源の輸送、処理および加工における排気の精製において、
非常に清潔な室内、例えば、半導体製造または化学微量分析のための吸気の精製において、
医薬品または医薬製品の製造における吸気の精製において、
病院、例えば、隔離病棟または研究施設、例えば、化学、細菌学またはウィルス研究施設あるいはパイロットプラントの吸気または排気の精製において、
あらゆる種類、例えば、化学、化学技術、生物学、生化学、バイオ技術、遺伝子工学、分子生物学、食品技術の懸濁液、または固体/液体混合物の濾過において、
望ましくない固体を除去するためのあらゆる種類の液体および気体の精製において、
水、例えば、飲料水または廃棄用水の精製、処理または製造において、
気体、例えば、塗装店および噴霧室のエアロゾルまたは噴霧ミスト由来の液滴の分離において、
呼吸マスク、防護マスクおよび人工呼吸器において、
ナノ技術領域において。
【0158】
これらは、研究施設規模、試験工場規模または産業製造においての使用であってよい。
【0159】
フィルターにより保持される固体は、例えば、有機または無機粒子、粉塵、微細粉塵、繊維、ナノ粒子、細菌、ウィルス、胞子(例えば、全ての種類の菌類、藻、地衣類または細菌)であってよい。
【0160】
保持される固体は、望ましくない、例えば、空調システムの粉塵または病院の病原性細菌であってよく、または例えば、化学物質中の予め析出した固体を分離する望ましい製造物であってよい。同様に、保持される液体に関しても適用する。
【0161】
本発明はまた、上記の多孔性材料を含むフィルターおよび気体または液体を濾過する方法に関し、本発明における材料または本発明におけるフィルターを併用する。
【0162】
本発明における多孔性材料をフィルターとして種々の方法で使用することができる。これらを簡易な様式で製造することができ、フィルターとして使用する場合、保持性能が良好であり、圧力低下が小さく、長寿命を有する。本発明における材料は、機械的安定性が高く、流量が大きい時でもフィルター材料として使用することができる。これに比べて、ナノ細孔以外を有するフィルターは、圧力低下が大きく、かつ流量の大きい時に使用することができない。
【0163】
実施例
被覆の平均層厚を、走査型電子顕微鏡(SEM)の観察方向に沿って基材由来の繊維または壁体の位置を合わせた後、画像分析により基材からポリマー/空気相の境界線の最も外側の点までの距離を測定することにより、決定した。数質量平均値を各20本の繊維を測定することにより算出した。
【0164】
分別効率は、フィルターとして、試験材料を用いて測定する過程で保持される粒子の割合に対応する。分別効率を50mm径および50mm高の円筒状フィルターを使用して決定した。使用する被検体エアロゾルは、粒子径1μmのNaClエアロゾルであった。体積流量は、23℃で600I/hであった。
【0165】
手法を大気圧の空気中で実施した(約1000mbar)。
【0166】
実施例1:
a)メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体の水溶液26gを20℃のビーカーに入れた。溶液量は16質量%であり、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.5であった。
b)酢酸100質量%濃度4.3gを20℃にて撹拌しながら添加した。透明、低粘性の混合物を得た。
c)メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む発泡体をこの混合物に基材として浸漬させた。BASF製の発泡体Basotect(登録商標)を使用した。発泡体は、円筒状(25mm径、40mm高)であり、混合物により完全に被覆された。
d)硬化を60℃にて24時間浸漬状態で行わせた。
e)その後、発泡体円筒をビーカーから取り出し、液体(水および酢酸)を20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0167】
被覆の平均層厚(数平均)は10μmであった。得られた材料のBET表面積は、123.2m2/gであった。工程c)で使用された未被覆の基材のBET表面積は3m2/g以下であり、体積質量平均孔径は162μmであり、これは、DIN66133における水銀圧入測定により決定された。被覆および乾燥が完了後、本発明における多孔性材料において、体積質量平均孔径12.1μm、1000nm以下の細孔の割合31.5体積%を、DIN66133における水銀圧入測定により決定した。ナノ多孔性被覆の孔径は、走査型電子顕微鏡により決定し、10〜1000nmであった。
【0168】
実施例2:
a)メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体の水溶液28.5gを20℃のビーカーに入れた。溶液量は7.7質量%であり、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.5であった。
b)酢酸100質量%濃度1.56gを20℃にて撹拌しながら添加した。透明、低粘性の混合物を得た。
c)メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む発泡体をこの混合物に基材として浸潤させた。BASF製の発泡体Basotect(登録商標)を使用した。発泡体は、円筒状(25mm径、40mm高)であり、混合物により完全に被覆された。
d)硬化を60℃にて24時間浸漬状態で行わせた。
e)その後、発泡体円筒をビーカーから取り出し、液体(水および酢酸)を20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0169】
被覆の平均層厚(数平均)は5μmであった。得られた材料のBET表面積は42m2/gであった。工程c)で使用された未被覆の基材のBET表面積は3m2/g以下であり、体積質量平均孔径は162μmであり、これは、DIN66133における水銀圧入測定により決定された。被覆および乾燥が完了後、本発明における多孔性材料において、体積質量平均孔径50.8μm、1000nm以下の細孔の割合3.3体積%を、DIN66133における水銀圧入測定により決定した。ナノ多孔性被覆の孔径は、走査型電子顕微鏡により決定し、10〜800nmであった。
【0170】
実施例3:
a)メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体の水溶液29gを20℃のビーカーに入れた。溶液量は6質量%であり、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.5であった。
b)蟻酸100質量%濃度0.936gを20℃にて撹拌しながら添加した。透明、低粘性の混合物を得た。
c)メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む発泡体をこの混合物に基材として浸漬させた。BASF製の発泡体Basotect(登録商標)を使用した。発泡体は、円筒状(25mm径、40mm高)であり、混合物により完全に被覆された。
d)硬化を60℃にて48時間浸漬状態で行わせた。
e)その後、発泡体円筒をビーカーから取り出し、液体(水および蟻酸)を20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0171】
被覆の平均層厚(数平均)は2.5μmであった。得られた材料のBET表面積は、70.3m2/gであった。工程c)で使用された未被覆の基材のBET表面積は3m2/g以下であり、体積質量平均孔径は162μmであり、これは、DIN66133における水銀圧入測定により決定された。ナノ多孔性被覆の孔径は、走査型電子顕微鏡により決定し、10〜500nmであった。
【0172】
実施例4:
a)メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体の水溶液28.7gを20℃のビーカーに入れた。溶液量は6.5質量%であり、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.5であった。
b)酢酸100質量%濃度1.33gを20℃にて撹拌しながら添加した。透明、低粘性の混合物を得た。
c)メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む発泡体をこの混合物に基材として浸漬させた。BASF製の発泡体Basotect(登録商標)を使用した。発泡体は、円筒状(25mm径、40mm高)であり、混合物により完全に被覆された。
d)硬化を、60℃にて48時間浸漬状態で行わせた。
e)次いで、発泡体円筒をビーカーから取り出し、液体(水および蟻酸)を20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0173】
被覆の平均層厚(数平均)は2.5μmであった。得られた材料のBET表面積は、26m2/gであった。工程c)で使用された未被覆の基材のBET表面積は3m2/g以下であり、体積質量平均孔径は162μmであり、これは、DIN66133における水銀圧入測定により決定された。被覆および乾燥が完了後、本発明における多孔性材料において、体積質量平均孔径80.1μm、1000nm以下の細孔の割合3.7体積%を、DIN66133における水銀圧入測定により決定した。ナノ多孔性被覆の孔径は、走査型電子顕微鏡により決定し、10〜500nmであった。
【0174】
工程c)で使用された未被覆の基材の分別効率は32%であった。本発明における多孔性材料において、分別効率を90%まで改良した(被覆の塗布および乾燥後)。流量19800I/h時の圧力低下は、87Paであった。
【0175】
実施例5:
a)メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体の水溶液0.5gを20℃のビーカーに入れた。溶液量は6質量%であり、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.5であった。
b)酢酸100質量%濃度0.026gを20℃にて撹拌しながら添加した。透明、低粘性の混合物を得た。
c)0.5mm厚および25mm径の丸いパルプ片をこの混合物に浸漬させた。パルプを混合物により完全に被覆した。
d)硬化を60℃にて24時間浸漬状態で行わせた。
e)次いで、パルプをビーカーから取り出し、液体(水および酢酸)を20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0176】
被覆の平均層厚(数平均)は1μmであった。得られた多孔性材料のBET表面積は4.7m2/gであったが、固有表面積が小さいため、未被覆バルクのBETは決定することが出来なかった。ナノ多孔性被覆の孔径は、走査型電子顕微鏡により決定し、10〜500nmであった。
【0177】
実施例6:
a)メラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体の水溶液7.1gを20℃のビーカーに入れた。溶液量は6質量%であり、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.5であった。
b)酢酸100質量%濃度0.4gを20℃にて撹拌しながら添加した。透明、低粘性の混合物を得た。
c)10mm厚および25mm径の繊維ガラスを含む丸い不織布をこの混合物に浸漬させた。不織布を混合物により完全に被覆した。
d)硬化を60℃にて24時間浸漬状態で行わせた。
e)次いで、不織布をビーカーから取り出し、液体(水および酢酸)を20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0178】
被覆の平均層厚(数平均)は1μmであった。得られた多孔性材料のBET表面積は、12.2m2/gであったが、固有表面積が小さいため、未被覆繊維ガラス不織布のBETは決定することが出来なかった。ナノ多孔性被覆の孔径は、走査型電子顕微鏡により測定し、10〜600nmであった。
【0179】
実施例7:
a)炭酸カルシウム30mgを蟻酸100質量%濃度0.9gに20℃にて撹拌しながら添加し、透明な溶液を得た。
b)a)で得られた溶液をメラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体の水溶液29.1gと20℃にて混合した。後者の溶液量は5.8質量%であり、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.5であった。
c)メラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含む発泡体をこの混合物に基材として浸漬させた。BASF製の発泡体Basotect(登録商標)を使用した。発泡体は、円筒状(25mm径、40mm高)であり、混合物により完全に被覆された。
d)硬化を60℃にて24時間浸漬状態で行わせた。
e)次いで、液体(水および蟻酸)を発泡体円筒から取り出し、20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0180】
得られた多孔性材料のBET表面積は35.2m2/gであった。工程c)で使用された未被覆の基材のBET表面積は3m2/g以下であった。ナノ多孔性被覆の孔径は、走査型電子顕微鏡により決定し、10〜500nmであった。
【0181】
実施例8:
a)TDI140mgを20℃にて2−ブタノン7.9gに入れ、触媒としてフロログルシノール65mgおよびDBU2μlをそれぞれ2つのビーカーの2−ブタノン8gに溶解した。
b)2つの溶液を混合した。透明な低粘性の混合物を得た。
c)3mm厚および50mm径のポリエチレンテレフタレート(PET)を含む丸い不織布をこの混合物に基材として浸漬させた。上清をデカントした。不織布を混合物により完全に被覆した。
d)硬化を室温にて24時間浸漬状態で行わせた。
e)次いで、不織布をビーカーから取り出し、液体(2−ブタノン)を20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0182】
得られた多孔性材料のBET表面積は18.3m2/gであったが、固有表面積が小さいため、未被覆PET不織布のBETは決定することが出来なかった。被覆の数平均層厚は0.5μmであった。ナノ多孔性被覆の孔径は、走査型電子顕微鏡により決定し、10〜600nmであった。
【0183】
実施例9V−基材を含まないナノ多孔性発泡体:
a)炭酸カルシウム120mgを蟻酸100質量%濃度2.7gに20℃にて撹拌しながら添加し、透明な溶液を得た。
b)a)で得られた溶液をメラミン−ホルムアルデヒド予備縮合体の水溶液27.3gと20℃にて混合した。後者の溶液量は17質量%であり、メラミン対ホルムアルデヒドのモル比は、1:1.5であった。
c)硬化を60℃にて24時間行わせた。
d)次いで、液体(水および蟻酸)を20℃にて7日間乾燥させることにより除去した。
【0184】
得られたナノ多孔性発泡体は、DIN66133における水銀圧入測定に基づき以下の特性を有した:平均孔径696nm、多孔率83体積%、1000nm以下の細孔の割合:70体積%。密度は281g/dm3であった。
【0185】
実施例は、様々な種類の本発明における多孔性材料を簡易な様式において製造することができること示す。分別効率に対するフィルター率を、本発明における被覆により、大幅に改良することができた。本発明における多孔性材料は、濾過する気体流が高流量の場合に圧力低下が非常に小さい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材および被覆を含む多孔性材料であって、
i)前記有機ポリマーAを基礎とする未被覆の基材がマクロ多孔性であり、
ii)前記マクロ多孔性基材の表面が反応性樹脂を基礎とするポリマーBで被覆されており、
iii)このポリマーBを用いた被覆がナノ多孔性であり、前記ナノ細孔の平均径が1000nm以下であり、かつ
記録材料を除く多孔性材料。
【請求項2】
少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材および被覆を含む多孔性材料であって、
i)前記少なくとも1種の有機ポリマーAを基礎とする基材がマクロ多孔性および開放気泡であり、
ii)前記基材の細孔表面が少なくとも1種の反応性樹脂を基礎とするポリマーBを用いて被覆されており、
iii)前記少なくとも1種のポリマーBを用いた被覆がナノ多孔性であり、前記ナノ細孔の平均径が1000nm以下であり、前記被覆の平均層厚が前記未被覆の基材の平均孔径未満である多孔性材料。
【請求項3】
前記被覆が少なくとも部分的に前記基材の細孔表面を被覆することを特徴とする、請求項1または2に記載の多孔性材料。
【請求項4】
前記被覆が0.01〜10μmの平均層厚を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の多孔性材料。
【請求項5】
前記基材の細孔表面の少なくとも20%が前記ポリマーBにより被覆されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の多孔性材料。
【請求項6】
前記未被覆の基材が開放気泡型発泡体、織布、不織布または濾紙であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の多孔性材料。
【請求項7】
前記未被覆の基材のポリマーAが反応性アミノ−アルデヒド樹脂、反応性フェノール−アルデヒド樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースまたはセルロースを基礎とする繊維からなることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の多孔性材料。
【請求項8】
前記未被覆の基材がアミノ−アルデヒド樹脂、フェノール−アルデヒド樹脂およびポリウレタンを基礎とする発泡体から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の多孔性材料。
【請求項9】
前記未被覆の基材がポリエステルまたはセルロースを基礎とする織布または不織布から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の多孔性材料。
【請求項10】
前記反応性樹脂がアミノ−アルデヒド樹脂、フェノール−アルデヒド樹脂およびイソシアネートを基礎とするゲル前駆物質から選択されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の多孔性材料。
【請求項11】
前記反応性樹脂がメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/尿素−ホルムアルデヒド樹脂ならびにイソシアネートおよびフェノールを基礎とするゲル前駆物質から選択されることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の多孔性材料。
【請求項12】
前記反応性樹脂を前記マクロ多孔性の未被覆の基材に接触させ、その後に硬化させてポリマーBとすることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の多孔性材料を製造する方法。
【請求項13】
以下の工程
a)反応性樹脂を液体中の溶液または分散液として得る工程、
b)先行工程で得られた混合物に触媒を添加する工程、
c)マクロ多孔性の未被覆の基材を先行工程で得られた混合物と接触させる工程、
d)先行工程で基材と接触させた混合物を基材の存在下において硬化させる工程、
e)前記混合物に含まれる液体を除去する工程、
を含み、前記工程をa−b−c−d−eまたはa−c−b−d−eの順序で実施する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記工程c)で接触を前記混合物に前記未被覆の基材を浸漬させることにより行うことを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
気体または液体のフィルターとしての請求項1から11までのいずれか1項に記載の多孔性材料の使用。
【請求項16】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の多孔性材料を含むフィルター。
【請求項17】
気体または液体を請求項1から11までのいずれか1項に記載の材料に導く、または請求項16に記載のフィルターに導くことを特徴とする、気体または液体を濾過する方法。

【公表番号】特表2009−541506(P2009−541506A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515815(P2009−515815)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055548
【国際公開番号】WO2007/147730
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】