説明

ナノ尿素を含有する分散液

本発明は、粒子表面に規定した電荷密度を有するナノ粒子の水性分散液、該分散液の製造方法、およびバインダーにおける該分散液の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子表面に規定した電荷密度を有するナノ粒子の水性分散液、該分散液の製造方法、およびバインダーにおける該分散液の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノスケール尿素粒子の水性分散液の製造が、国際公開第2005/063873号に記載されている。この場合、親水性イソシアネートが触媒の存在下に水中に導入され、その結果として、尿素結合を介して分散粒子内に架橋が起こる。これらの粒子は、そこで、ポリクロロプレンに基づく触圧接着剤のための添加剤として使用されている。
【0003】
しかし、国際公開第2005/063873号が記載するナノ尿素分散液は、製造操作およびさらには貯蔵時の分散液の安定性に関連するある種の欠点を有している。国際公開第2005/063873号に開示されている方法によってナノ粒子を製造する過程において、二酸化炭素の放出の結果として、反応混合物の非常に激しい発泡があり、反応形式を相当に損なう。さらに、記載されている分散液は、貯蔵期間中に望ましくないガス発生があるので、貯蔵安定性ではない。
【0004】
国際公開第2005/063873号に記載されている分散液のさらに大きな問題は、その不十分な固体含量にある。30重量%を超える固体含量を、国際公開第2005/063873号に開示されている操作を用いて製造するのは実質的に不可能である。また、記載されているナノ尿素分散液は、陰イオン的に親水性化したペイントまたは接着剤分散液との相溶性の問題を提示し、このことが、水性適用に関連する他の分野における該分散液の使用を明らかに制限する。
【0005】
米国特許第4,171,391号は、水中でのジイソシアネートのポリマー鎖への分解によって製造される陰イオン的および陽イオン的に親水性化したポリ尿素粒子を記載している。しかし、これらの粒子は、架橋を有しておらず、従ってエラストマー挙動を示す。さらに、イオン的親水性化の結果として、高い陽性または陰性の表面電荷、従って対応して高いゼータ電位が生じる。その結果として、他の分散液との広範囲の適合性が達成されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、>30重量%の固体含量を有し、かつ陰イオン的に親水性化したバインダーと相溶する、貯蔵安定性のナノ尿素分散液を提供することであった。さらに意図するのは、上記した方法操作における問題の解決を可能にする新規方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに、ナノ尿素粒子を含み、規定したゼータ電位を有する分散液が、陰イオン的に親水性化したポリマーの分散液と相溶し、かつ30重量%を超える固体含量を有することを見いだした。さらに、既存のナノ尿素粒子とさらに添加したポリイソシアネートとの架橋が存在しない本発明の分散液を製造するための新規方法を見いだした。さらに、大きい粒子を導き、従って不安定な分散液を導くであろう既存粒子への親水性化ポリイソシアネートのグラフト化も存在しない。
【0008】
即ち、本発明は、粒径が10〜300nm、好ましくは20〜250nm、より好ましくは30〜200nmであり、ゼータ電位(pH8.0、23℃)が0〜40mV、好ましくは1〜35mV、より好ましくは3〜30mVであるナノ尿素粒子を含んでなるナノ尿素分散液を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のナノ尿素分散液は、実質的に尿素結合を介して粒子内架橋した粒子の水性分散液である。非架橋または予備架橋した粒子が、水中への親水性化ポリイソシアネートの分散によって生成する。次いで、存在するイソシアネート基の一部が、イソシアネート-水の反応によって分解して、第一アミンを生成する。これらのアミノ基は、さらなるイソシアネート基との反応によって尿素基を生成し、それによって架橋してナノ尿素粒子を与える。この場合、イソシアネート基の一部は、該反応前または該反応中に、水または他のイソシアネート反応性の種(例えば、第一または第二アミンおよび/またはアルコールなど)と反応することもできる。
【0010】
本発明のナノ尿素分散液中に存在する粒子は、酸-塩基滴定によって測定して、陽イオン性基または塩基性基を粒子表面に、0〜95μモル/g固体、好ましくは2〜70μモル/g固体、より好ましくは3〜20μモル/g固体の量で有する。
【0011】
また、本発明により提供されるのは、本発明のナノ尿素分散液の製造方法であって、第1工程において、親水性化のための非イオン性基を持つポリイソシアネートを水と混合し、次いで尿素基に分解し、親水性化ポリイソシアネート:水の比を、1:20〜1:0.75、好ましくは1:10〜1:1、より好ましくは1:3〜1:1.5の合計重量比になるように選択することを特徴とする方法である。ここで、好ましい操作は、親水性化ポリイソシアネートを分割して水に添加し、親水性化ポリイソシアネートの合計量を、2〜50の同一または異なる量の部分、好ましくは3〜20の部分、より好ましくは4〜10の部分に分け、各ポリイソシアネート部分の添加に続いて、次の部分を添加する前に、5分間〜12時間の中断を設けることである。好ましいのは、10分間〜8時間、より好ましくは30分間〜5時間の中断を設けることである。別の可能性は、イソシアネートの少なくとも一部を、例えば1〜24時間にわたって、好ましくは2〜15時間にわたって、連続して計量導入することである。本発明の方法での反応中、反応器温度を、10〜80℃、より好ましくは20〜70℃、非常に好ましくは25〜50℃に維持する。
【0012】
親水性化イソシアネートの分散および反応は、好ましくは撹拌装置による混合、他の種類の混合によって、例えばポンプ循環によって、例えば静的ミキサー、棘付ミキサー、ノズルジェット分散機、回転子および固定子によって、または超音波の作用下で行う。
【0013】
反応に続いて、本発明の分散液を排気し、このための温度を、0〜80℃、好ましくは20〜60℃、より好ましくは25〜50℃とする。排気中の圧力は、1〜900mバール、好ましくは10〜800mバール、より好ましくは100〜400mバールにすべきである。適当な排気期間は、例えば1分間〜24時間、好ましくは10分間〜8時間である。また、排気することなく温度を上昇させることによって後処理を行うこともできる。1つの好ましい方法においては、ナノ尿素分散液を、例えば撹拌することによって、排気と同時に混合する。
【0014】
本発明の方法のさらなる変法において、親水性化ポリイソシアネートを、撹拌容器(A)中で水と混合し、その過程で分散させる。この方法においては、親水性化ポリイソシアネートの合計量の部分を、2〜50の同一または異なる量の部分、好ましくは3〜20の部分、より好ましくは4〜10の部分に分け、使用する水の合計量の部分(この部分を、2〜50の同一または異なる量の部分、好ましくは3〜20の部分、より好ましくは4〜10の部分に分ける)で分散させる。ここでも、親水性化ポリイソシアネート:水の比は、重量比が1:10〜5:1、好ましくは1:5〜3:1、より好ましくは1:3〜1:1になるように選択する。分散操作の過程において、反応器温度を、0〜60℃、好ましくは10〜50℃、より好ましくは25〜40℃に維持する。
【0015】
分散操作に続いて、それぞれの分散液を異なる反応器(B)に移す。この反応器(B)中の温度は、分散に使用した反応器(A)中の温度よりも高い。反応器(B)中の温度は、25〜80℃、好ましくは30〜70℃、より好ましくは35〜60℃である。反応器(B)に好ましくは触媒(適切なら水との混合物において)を導入する。
【0016】
分散液を反応器(A)から反応器(B)に移した後、次の部分を添加する前に、5分間〜12時間の中断が観察されるべきである。好ましいのは、10分間〜8時間、より好ましくは30分間〜5時間の中断を設けることである。別の選択肢は、分散液の少なくとも一部を、反応器(A)から反応器(B)に、例えば1〜24時間にわたって、好ましくは2〜15時間にわたって、連続的に移すことである。
好ましいのは、分散および反応を単一容器中で行う方法である。
【0017】
反応において適する触媒の例は、第三アミン、スズ化合物、亜鉛化合物、ビスマス化合物または塩基性塩である。適する化合物は、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N',N'-テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、N-メチル-およびN-エチル-モルホリン、N,N'-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルピペラジン、N-ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2-ジメチルイミダゾール、N-ヒドロキシプロピルイミダゾール、1-アザビシクロ[2.2.0]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Dabco)およびアルカノールアミン化合物、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチル-およびN-エチル-ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2-(N,N-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、N,N',N-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えばN,N',N-トリス(ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、塩化鉄(II)、塩化亜鉛またはオクタン酸鉛である。好ましいのは、スズ塩、例えばスズジオクトエート、スズジエチルヘキソエート、ジブチルスズジラウレートおよび/またはジブチルジラウリルスズメルカプチド、2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、アルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシドおよびカリウムイソプロポキシドおよび/または10〜20個の炭素原子および適切なら側OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩である。好ましい触媒は第三アミンであり、特に好ましい触媒は、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミンおよび1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。触媒は、全固体含量を基準に、0.01〜8%、好ましくは0.05〜5%、より好ましくは0.1〜3重量%の量で使用される。触媒の混合物を添加することもできる。
【0018】
本発明のナノ尿素分散液を製造するために、適切なら、イソシアネート基と水との反応に加えて、イソシアネート反応性基を含む化合物も使用することができる。この場合、適する例には、全ての既知の脂肪族、脂環式、アリール脂肪族および芳香族のモノ-、ジ-およびポリアミン、ならびに、アミノ基を含むポリマー、例えばアミノポリエーテルまたはオリゴエチレンイミンが含まれる。モノアミン、例えば、メチル-、エチル-、(イソ)プロピル-およびブチルアミンまたはジイソプロピルアミン、ジアミンおよびトリアミン、例えば、エチレンジアミン、N,N'-ジメチルエチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、4,4'-ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジン、メチレンビスアニリンまたはトリアミノノナンを使用することもできる。また適するのは、複素環式アミン、例えば、ピラゾールおよびトリアゾールおよびこれらの誘導体ならびにアミノ官能性ポリエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドである。好ましいのは、ジアミン、より好ましくはエチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたはヒドラジンを使用することである。また可能なのは、2、3またはそれ以上の官能価を有する他のイソシアネート反応性化合物(例えば、アルコール、チオール)による部分的鎖延長である。その例は、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロールまたは1,2-エタンチオールである。異なるイソシアネート反応性基を有する分子、例えば、N-メチルエタノールアミンおよびN-メチルイソプロパノールアミン、1-アミノプロパノール、ジエタノールアミン、1,2-ヒドロキシエタンチオールまたは1-アミノプロパンチオールなども同様に使用することができる。
【0019】
添加するイソシアネート反応性基のイソシアネート基に対する選択される比は、0.5未満、好ましくは0.3未満、より好ましくは0.2未満である。記載した化合物を、水の添加前、それと同時、またはその後に添加することができる。イソシアネート反応性基を含む化合物の溶液を、分散に使用する水に添加することもできる。
【0020】
本発明のナノ尿素分散液の製造に適するポリイソシアネートは、自体既知であり、かつ0.5〜50%、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜25重量%のイソシアネート含量を有する全ての脂肪族、脂環式、アリール脂肪族および芳香族のポリイソシアネート、またはこれらの混合物である。適するポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアナトメチルオクタン-1,8-ジイソシアネート、メチレンビス(4-イソシアナトシクロヘキサン)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)またはトリイソシアナトノナンである。また原則的に適するのは、芳香族ポリイソシアネート、例えば、フェニレン-1,4-ジイソシアネート、トリレン-2,4-および/または-2,6-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン-2,4'-および/または-4,4'-ジイソシアネート(MDI)、トリフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート、およびナフチレン-1,5-ジイソシアネートである。さらに好ましく適するのは、イソシアネート基を含む基中にヘテロ原子を含有するポリイソシアネートである。その例は、カルボジイミド基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレタン基およびビウレット基を含むポリイソシアネートである。好ましいのは、主にペイントの製造において使用されるポリイソシアネートであり、その例は、ビウレット、イソシアヌレートまたはウレトジオン基を含む、上記した単純ポリイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートの修飾生成物である。特に好ましいポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくものである。
【0021】
さらに適するのは、過剰に使用するIPDIまたはTDIとポリオール化合物(2以上のOH官能価を有し、分子量範囲が62〜300である低分子量ポリオールが好ましい)との反応によって得られるような、ウレタン基を含むポリイソシアネートである。適する低分子量ポリオールは、脂肪族、アリール脂肪族または脂環式の短鎖ジオールまたはトリオール(即ち、2〜20個の炭素原子を含むジオールまたはトリオール)である。ジオールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、位置異性のジエチルオクタンジオール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-および1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA[2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン]、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオン酸-(2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピルエステル)である。好ましいのは、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよび1,6-ヘキサンジオールである。適するトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールであり、好ましいのは、トリメチロールプロパンおよびグリセロールである。
【0022】
さらに、適するポリイソシアネートは、特に、上記した単純ポリイソシアネート(好ましくはジイソシアネート)と化学量論量以下の有機化合物(少なくとも2つのイソシアネート反応性官能基を有する)との反応によって得られる種類の、末端イソシアネート基を含む既知のプレポリマーである。これらのプレポリマーにおいて、イソシアネート基:イソシアネート反応性の水素原子の比は、1.05:1〜10:1、好ましくは1.1:1〜3:1であり、この水素原子は好ましくはヒドロキシル基に由来する。適する有機化合物の例は、ヒドロキシル含有ポリウレタン、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオールまたはポリアクリレートもしくはポリメタクリレートポリオールあるいはこれらの混合物である。
【0023】
親水性化剤は、非イオン性の親水性基を含む化合物である。
適する非イオン的に親水性化する化合物の例は、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を含むポリオキシアルキレンエーテルである。これらのポリエーテルは、30〜100重量%のエチレンオキシドに由来する単位の部分を含む。適するのは、1〜3の官能価を有する直鎖構造のポリエーテル、さらには以下の一般式(I)で示される化合物である:
【化1】

[式中、
1およびR2は、互いに独立してそれぞれ、酸素および/または窒素原子によって遮断されていることもある1〜18個の炭素原子を含む二価の脂肪族、脂環式または芳香族基であり、そして
3は、アルコキシ末端のポリエチレンオキシド基である]。
【0024】
また、非イオン的に親水性化する化合物は、例えば、通常の方法により適当な開始剤分子のアルコキシル化によって得られる種類の、1分子あたりに平均して5〜70、好ましくは7〜55のエチレンオキシド単位を有する1官能のポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである(例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie、第4版、第19巻、Verlag Chemie、Weinheim、第31-38頁)。
【0025】
適する開始剤分子の例は、飽和モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル、不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール、芳香族アルコール、例えばフェノール、異性体クレゾールまたはメトキシフェノール、アリール脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール、アニシルアルコールまたはシンナミルアルコール、第二モノアミン、例えばジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチル-およびN-エチル-シクロヘキシルアミンまたはジシクロヘキシルアミン、さらに、複素環式第二アミン、例えばモルホリン、ピロリジン、ピペリジンまたは1H-ピラゾールである。好ましい開始剤分子は、飽和モノアルコールである。特に好ましいのは、メタノール、ブタノールおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルを、開始剤分子として使用することである。
【0026】
アルコキシル化反応に適するアルキレンオキシドは、特にエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらはアルコキシル化反応において任意の順序で使用することができ、また、混合物として使用することができる。
【0027】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、純粋なポリエチレンオキシドポリエーテルまたは混合ポリアルキレンオキシドポリエーテル(アルキレンオキシド単位の少なくとも30モル%、好ましくは少なくとも40モル%がエチレンオキシド単位からなる)のいずれかである。好ましい非イオン性化合物は、少なくとも40モル%のエチレンオキシド単位を含み、60モル%を超えるプロピレンオキシド単位を含まない1官能混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0028】
また、異なる親水性化剤の混合物を使用することもできる。親水性化剤を、自体既知の方法により本発明に従って使用するためのポリイソシアネートに導入することができる。
【0029】
本発明のナノ尿素分散液は、31〜65重量%、好ましくは35〜55重量%、より好ましくは40〜50重量%の固体含量を有する。
【0030】
本発明のナノ尿素分散液の区別される特徴は、一定数の塩基性基のみを表面に含有していることである。この結果として、本発明の分散液は、陰イオン的に親水性化したポリマーの分散液と混和することができ、従って、そのような分散液と組合せて使用するのに適している。
【0031】
ナノ尿素分散液の製造過程において、共溶媒、消泡剤、界面活性剤ならびに他の助剤および添加剤を使用することもできる。ペイント、シーラントまたは接着剤配合物などの分野からの他の添加剤、例えば顔料または充填剤なども添加することができる。
【0032】
本発明のナノ尿素分散液は、ペイント、インク、接着剤およびシーラントなどの被覆組成物を製造するための、例えば添加剤、バインダー、助剤または補剤として使用することができる。
【0033】
また、本発明は、ペイント、インク、接着剤およびシーラントを製造するための、本発明のナノ尿素分散液の使用をも提供するものである。
同様に、本発明は、本発明のナノ尿素分散液を含有する被覆組成物をも提供するものである。
【0034】
本発明のナノ尿素分散液を含むペイント、インク、接着剤および他の配合物の製造は、自体既知の方法によって行う。ナノ尿素分散液に加えて、配合物を、当業者により容易に決定される量の通常の添加剤および他の助剤(例えば、顔料、バインダー、充填剤、流れ制御剤、消泡剤、分散助剤および触媒)と混合することができる。
【0035】
保存の目的で、本発明の分散液に殺生物剤を添加することもできる。これらは、非揮発性部分を基準に、好ましくは0.02〜1重量%の量で使用される。適する殺菌剤の例は、フェノール誘導体およびクレゾール誘導体または有機スズ化合物である。
【実施例】
【0036】
凝固試験
陰イオン的に親水性化した分散液であるImpranil DLN(陰イオン性脂肪族ポリエステルポリウレタン分散液、水中、固体含量 約40%、Bayer MaterialScience AG、独国)およびDispercoll U 54(陰イオン性脂肪族ポリエステルポリウレタン分散液、水中、固体含量 約50%、Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国)を、それぞれ供給されたままの形態で、20mlの量で容器に導入し、それぞれ3mlのナノ尿素分散液を添加した。添加後またはガラス棒による数分間の撹拌後に、凝固が起こるか否かが明らかになった。
【0037】
化学物質
・Bayhydur VP LS 2336:ヘキサメチレンジイソシアネートに基づく親水性化ポリイソシアネート、溶媒不含、粘度 約6800mPas、イソシアネート含量 約16.2%、Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国;
・Isofoam 16:消泡剤、Petrofer-Chemie、Hildesheim、独国。
【0038】
電荷測定
試料の一部を、0.0001gの精度(重量は通常0.2〜1g、電荷の量に依存する)で量り分け、5重量%濃度の界面活性剤水溶液(Brij-96 V、Fluka、Buchs、スイス国、製品No.16011)および2倍の脱イオン水と混合し、規定量の塩酸(0.1N、バッチが当初pH約3を有するように;KMF Laborchemie GmbH、Lohmar、商品No.KMF.01-044.1000)の添加後に、水酸化ナトリウム標準水溶液(0.05N;Bernd Kraft GmbH、Duisburg、商品No.01056.3000)で滴定した。さらに、表面電荷と液相電荷とを区別するために、分散液の一部(約30g)を、Lewatit VP-OC 1293イオン交換体(規定の全電荷に対して10倍の交換能力を用いる、撹拌時間 2.0時間、Lanxess AG、Leverkusen、混合陰イオン/陽イオン交換体)で処理し、得られた分散液を、濾過(E-D-Schnellsieb高速シーブ、綿織物 240μm、Erich Drehkopf GmbH、Ammersbek)した後に滴定した。イオン交換体処理後の試料の滴定により、表面電荷を決定した。全電荷との差異を算出することによって、液相電荷を決定することができる。
【0039】
当量点からの表面電荷の決定は、測定精度の範囲内で、塩酸の添加量に対する水酸化ナトリウム溶液の最少消費からの塩基性基の決定に見合う値を与える。
このことから、決定した電荷量は塩基性基に関連し、弱酸性基(例えばカルボキシル基)には関連しないということになる。
表示μeq/gはマイクロ当量/g固体を表し、1当量は1モルのイオン性基である。
【0040】
ゼータ電位測定
少量の試料を、1ミリモルの塩化カリウム溶液で高希釈し、撹拌により均一化する。希塩酸または水酸化ナトリウム溶液を用いてpH8.0にする。次いで、ゼータ電位を、ZetaSizer 3000HSA"(Malvern Instruments、Herrenberg、独国)において23℃で測定する。
【0041】
貯蔵試験
試料を、1リットルのポリエチレンボトルにおいて貯蔵する。目で検査して、ボトル膨張(これはガス発生の徴候を示す)の有無を調べる。
他に特記することがなければ、全てのパーセント値は重量による。
他に特記することがなければ、全ての分析測定は23℃の温度に基づく。
記載した粘度は、回転粘度法により、DIN 53019に従い、23℃において、回転粘度計(Anton Paar Germany GmbH、Ostfildern、独国)を用いて測定した。
【0042】
他に特記することがなければ、NCO含量は、DIN EN ISO 11909に従って容積測定により測定した。
記載した粒径は、レーザー相関分光法(装置:Malvern Zetasizer 1000、Malvern Inst. Limited)により測定した。
固体含量は、重量測定した試料を120℃において加熱することによって測定した。一定重量のときに、固体含量を、試料の再重量測定後に算出した。
遊離NCO基のモニタリングは、IR分光法(2260cm-1のバンド)により行った。
【0043】
それぞれの接着フィルムの貯蔵弾性率の測定:
試料の固体濃度は約30%または40%であった。最初に、ガラス棒を用いて試料を徹底的に混合した。
フィルムレオメーターと称される超音波反射法を用いて測定を行った。この方法の説明は、例えば、Alig, I.;Lellinger, D.、Chemical Innovation 30 (2)、13 (2000)に見られる。この方法を用いて、超音波の反射係数を、測定セルと試料の間の界面において5MHzの測定周波数で測定した。フィルムの自由表面領域により、フィルム形成および結晶化中の試料の剪断弾性率を測定することができる。
【0044】
測定のために、試料を、超音波フィルムレオメーターの石英結晶に、300μmの湿潤フィルム厚みのフィルムとしてナイフ被覆した。
乾燥およびフィルム形成を、55℃の温度および50%の相対大気湿度で行った。乾燥フィルム厚みは約80〜100μmであり、最小フィルム厚みに対応した。次いで、測定が不適切なフィルム厚みによって影響を受けないかどうかをモニターするために、接着テープ片を乾燥したフィルムに貼り、超音波モニタリング測定を行った。弾性率値が変化しないときには、フィルム厚みは十分であった。行った測定の全てについて、最小フィルム厚みが達成され、従って、それぞれの結果は、フィルム厚みの影響を受けていない。
【0045】
(1)比較例1(国際公開第2005/063873号のナノ尿素1に類似)
Bayhydur VP LS 2336(319.8g)を、室温で撹拌しながら脱イオン水(746.20g)に加え、撹拌を10分間続けた。次いで、トリエチレンジアミン(ジアザビシクロノナン)(0.05g)を加え、混合物を室温で激しく撹拌した。9時間後に、発泡が起こり、泡が反応バッチ体積の3倍以上を占め、反応容器からあふれた。
残存する分散液をさらに10時間撹拌した後に、分散液はもはやイソシアネート基を含んでいなかった(IRスペクトル)。生成した白色分散液は以下の特性を有していた:
固体含量:29%;
粒径(LCS):89nm;
粘度(粘度計、23℃):<50mPas;
電荷測定:全電荷 318±32μeq/g、表面電荷 203±5μeq/g;
ゼータ電位(pH=8):44.3±0.6;
凝固試験:凝固が起こる;
貯蔵試験:ボトルの膨張が約2週間後に明らか。
この方法において、反応動力学に関連する問題が生じた。反応は9時間後にのみ開始され、その後、数分以内に非常に発熱性になり、付随する泡形成の結果として制御不能である。
【0046】
(2)比較例2
Bayhydur VP LS 2336(1640g)を、室温で撹拌しながら脱イオン水(3851.2g)に加え、Isofoam 16(0.32g)を加え、混合物を10分間撹拌した。次いで、トリエチルアミン(10.36g)を加え、混合物を室温で激しく撹拌した。3時間後に、反応容器からの激しい泡オーバーフローがあった。これは、大量の冷水の添加によってこのバッチを停止させなければならなかったことを意味する。
塩基量の増加は反応促進に適するが、消泡剤の添加は泡生成を適切に抑制しないことがわかった。
【0047】
(3)比較例3
比較例2に記載した操作を繰り返したが、消泡剤を3時間後にのみ添加した。これは、反応開始を最初の泡発生によって認識できるためである。その結果、泡は反応容器において4L未満の追加体積を占め、従って、バッチの泡オーバーフローを防止することができた。
得られた白色分散液は以下の特性を有していた:
固体含量:29%;
粒径(LCS):116nm;
粘度(粘度計、23℃):<50mPas;
pH(23℃):6.03;
電荷測定:全電荷 150±11μeq/g、表面電荷 98±5μeq/g;
ゼータ電位(pH=8):42.8±0.3;
凝固試験:凝固が起こる;
貯蔵試験:ボトルの膨張が約2週間後に認められる。
消泡剤を反応過程でのみ添加するのが有利であることがわかった。さらに、得られた分散液が、陰イオン的に親水性化した分散液と相溶しないことがわかった。
【0048】
(4)比較例4
比較例3に記載した操作を繰り返したが、Bayhydur VP LS 2336(2186.6g)を添加した。約3時間後に、反応開始が、反応混合物の激しい泡オーバーフローおよび反応バッチの増粘の結果を与えた。発泡が非常に迅速に起こり、それをIsofoam 16のさらなる滴下によって制御できなかった。この結果、冷水による大希釈および氷浴中での冷却によってバッチを停止させた。
記載した方法を使用すると、消泡剤の使用にもかかわらず、40%の固体含量を有する分散液を製造できないことが明らかであった。
【0049】
(5)比較例5
比較例3に記載した操作を繰り返したが、Bayhydur VP LS 2336(1913g)を添加した。約3時間後に、反応開始が反応混合物の激しい泡オーバーフローの結果を与えた。発泡が非常に迅速に起こり、Isofoam 16のさらなる滴下によって制御できなかった。この結果、冷水による大希釈によってバッチを停止させた。
記載した方法を使用すると、消泡剤の使用にもかかわらず、35%の固体含量を有する分散液を製造できないことが明らかであった。
【0050】
(6)ナノ尿素(本発明、親水性化イソシアネートを水に分割して添加、30%固体)
脱イオン水(976.2g)中のトリエチルアミン(8.25g)およびIsofoam 16(0.09g)の溶液を、室温で激しく撹拌しながら、Bayhydur VP LS 2336(136.67g)と混合し、撹拌を続けた。取付けたガスメーターを用いて二酸化炭素の発生をモニターし、Bayhydur VP LS 2336の次の部分を、イソシアネート基の大部分が反応した後にのみ添加した。3時間後および6時間後に、さらなるBayhydur VP LS 2336(136.67g)をそれぞれ添加し、最終添加後に、さらに5時間撹拌を続けた。反応中に現れた泡は、200ml以下の体積を占めた。
得られた白色分散液は以下の特性を有していた:
固体含量:30%;
粒径(LCS):94nm;
粘度(粘度計、23℃):<50mPas;
pH(23℃):7.33;
凝固試験:明らかな凝固はない;
電荷測定:全電荷 124±6μeq/g、表面電荷 4±1μeq/g;
ゼータ電位(pH=8):11.3±1.6;
貯蔵試験:ボトルの膨張が約2週間後に認められる;12週間の期間にわたり、沈殿の生成は観察されなかった。
親水性化イソシアネートを分割して水に添加しうることが明らかになった。ナノ尿素粒子が既に生成しているが、新たな親水性化イソシアネート部分が添加されると直ちに、この分散液においてさらなる粒子を生成することができる。驚くべきことに、新たに加えた粒子は、既存の粒子と凝集しない(この凝集は、非常に大きい粒子を導き、従って不安定な分散液を導くであろう)。凝集がないことは、LCS粒径測定値が<400nmであること、および12週間の室温貯蔵であっても沈殿の生成が観察されなかったことから明らかである。
【0051】
(7)ナノ尿素(本発明、親水性化イソシアネートを水に分割して添加、40%固体)
脱イオン水(4952g)中のトリエチルアミン(20.72g)の溶液を、30℃で激しく撹拌しながら、Bayhydur VP LS 2336(820.20g)と、次いでIsofoam 16(0.32g)と混合し、撹拌を続けた。3、6および9時間後に、さらなるBayhydur VP LS 2336(820.20g)をそれぞれ添加し、次いでIsofoam 16(0.32g)をそれぞれ添加し、30℃でさらに4時間撹拌を続けた。次いで、混合物を、200mバールの真空下、30℃でさらに3時間撹拌し、生成した分散液を分配した。
得られた白色分散液は以下の特性を有していた:
固体含量:40%;
粒径(LCS):83nm;
粘度(粘度計、23℃):<50mPas;
pH(23℃):8.33;
電荷測定:全電荷 57±6μeq/g、表面電荷 15±1μeq/g;
ゼータ電位(pH=8):24.9±1.0;
凝固試験:明らかな凝固はない;
貯蔵試験:ボトルの膨張は12週間以内に認められず、12週間の期間にわたり沈殿の生成は観察されなかった。
本発明の方法に従って、30%を超える固体含量を有する分散液を得ることができることが明らかである。先行技術の方法に従う対応の実験は成功しなかった(比較例3および4)。貯蔵時の安定性および陰イオン的に親水性化した分散液との相溶性が満たされる。
【0052】
(8)ナノ尿素(本発明、混合容器における水中への親水性化イソシアネートの分割分散および反応容器への移送、40%固体)
トリエチルアミン(10.0g)およびIsofoam 16(1.27g)の溶液を、30℃で撹拌しながら、容器の脱イオン水(200g)中に導入した。
第2の容器において、室温でBayhydur VP LS 2336(700g)を脱イオン水(1050g)に添加し、15分間撹拌して分散させた。次いで、この分散液を第1のフラスコに移した。
3、6および9時間後に、さらなるBayhydur VP LS 2336(700g)を、各時間に脱イオン水(1050g)に添加し、15分間撹拌して分散させ、第1容器に移した。次いで、混合物を30℃でさらに4時間撹拌した。次いで、これを、200mバールの真空下、30℃でさらに3時間撹拌し、生成した分散液を分配した。
得られた白色分散液は以下の特性を有していた:
固体含量:40%;
粒径(LCS):117nm;
粘度(粘度計、23℃):<50mPas;
pH(23℃):6.98;
電荷測定:全電荷 32±2μeq/g、表面電荷 7±2μeq/g;
ゼータ電位(pH=8):3.2±0.4;
凝固試験:明らかな凝固はない;
貯蔵試験:ボトルの膨張は12週間以内に認められず、12週間の期間にわたり沈殿の生成は観察されなかった。
親水性化イソシアネートを分割して水に分散させ、次いで反応容器に移すことにより、高固体のナノ尿素分散液を製造しうることが明らかである。
【0053】
(9)ナノ尿素分散液に基づく接着剤の製造
【表1】


ガラスビーカーにポリクロロプレン分散液を入れることによって配合物を製造する。注意深く撹拌しながら、老化抑制剤、ZnOおよびナノ尿素を加える。
【0054】
(10)流動学的研究の結果
使用する関連の結果は、30分間(55℃)の測定期間後のそれぞれの接着フィルムの貯蔵弾性率であった。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が10〜300nmであり、ゼータ電位(pH8.0、23℃)が0〜40mVであるナノ尿素粒子を含んでなるナノ尿素分散液。
【請求項2】
ナノ尿素分散液中に存在する粒子が、酸-塩基滴定によって測定して、陽イオン性基または塩基性基を粒子表面に0〜95μモル/g固体の量で有することを特徴とする請求項1に記載のナノ尿素分散液。
【請求項3】
固体含量が31〜65重量%であることを特徴とする請求項1に記載のナノ尿素分散液。
【請求項4】
請求項1に記載のナノ尿素分散液の製造方法であって、第1工程において、親水性化のための非イオン性基を保持するポリイソシアネートを水と混合し、次いで尿素基に分解し、親水性化ポリイソシアネート:水の比を、1:20〜1:0.75の合計重量比になるように選択することを特徴とする方法。
【請求項5】
親水性化ポリイソシアネートを分割して水に添加し、親水性化ポリイソシアネートの合計量を、2〜50の同一または異なる量の部分に分け、各ポリイソシアネート部分の添加に続いて、次の部分を添加する前に、5分間〜12時間の中断を設けることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
反応に続いて、分散液を排気し、このための温度が0〜80℃であり、排気中の圧力が1〜900mバールであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
さらにイソシアネート反応性基を含む化合物を反応に加え、イソシアネート反応性基のイソシアネート基に対する選択した比が0.5未満であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
反応を単一容器中で行うことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
ペイント、インク、接着剤およびシーラントを製造するための、請求項1に記載のナノ尿素分散液の使用。
【請求項10】
請求項1に記載のナノ尿素分散液を含有する被覆組成物。
【請求項11】
1つまたはそれ以上の触媒を、全固体含量を基準に、0.01〜8重量%の量で使用することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項12】
触媒が第三アミンであることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ポリイソシアネートが、ビウレット、イソシアヌレートまたはウレトジオン基を含むヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートの修飾生成物であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項14】
非イオン的に親水性化する化合物が、1分子あたりに平均して5〜70のエチレンオキシド単位を含む1官能ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項15】
非イオン的に親水性化する化合物が、少なくとも40モル%のエチレンオキシド単位を含み、かつ60モル%を超えるプロピレンオキシド単位を含まない、1官能混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
被覆組成物、接着剤およびシーラントを製造するための添加剤、バインダー、助剤または補剤としての、請求項1に記載のナノ尿素分散液の使用。

【公表番号】特表2009−531472(P2009−531472A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555666(P2008−555666)
【出願日】平成19年2月12日(2007.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001163
【国際公開番号】WO2007/098851
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】