説明

ナノ材料とポリマーとを含む組成物によるパターン形成

最適なインクとインク担体マトリックスとを含む混合物を利用する直接描画パターン形成方法を提供する。本方法は、チップまたはスタンプ上に混合物を配置する工程と、チップまたはスタンプから表面上に混合物を輸送することでインクを含有するパターンを形成する工程とを包含する。本方法は、表面に混合物を輸送する工程の前に、チップもしくはスタンプまたは表面のいずれかの化学的または物理的な改質を必要としない。本方法は、ナノ材料および結晶化ポリマーなどのハードインク、ならびにペプチドおよびタンパク質を含む生体材料などのソフトインクのパターン形成に適用することができる。関連する生体材料およびハードインクアレイも提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2007年6月20日出願の米国仮出願第60/945,164号、および2007年6月21日出願の米国仮出願第60/929,314号、および2008年4月24日出願の米国仮出願第61/047,642号の優先権を主張するものであり、これらはいずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府の財政支援に関する表明
本発明は、NSF-NSEC助成金第EEC 0118025号; およびDARPA-ARD助成金第DAAD 19-03-1-0065号; およびNSF助成金第EEC0647560号; およびASAF/AFOSR FA9550-08-1-0124による連邦政府の資金援助の使用により発展したものである。連邦政府は本発明における権利を留保する。
【背景技術】
【0003】
背景
ナノ科学は、類似のバルク構造が保有していないナノスケール材料の独自の化学的および物理的性質を解明することに焦点を置いている(37,38)。金属材料(1,4,5,11)、磁性材料(6,7)、半導体材料(8,9)、シリカ系材料(18)、ならびにフラーレンおよびカーボンナノチューブなどの炭素系材料(3,73)であり、粒径および形が精密制御された(74,36)そのようなナノスケール材料を合成および作製するためにボトムアップおよびトップダウンのアプローチが使用されている。過去10年間で、ナノスケール材料は様々な方法を使用して研究および特徴づけがなされており、理解が高まりつつある。
【0004】
ナノスケール材料は、ますます多くの新規用途において利用が始まっており、これには、ナノ回路集積(75)、生物学的マイクロアレイおよびナノアレイの作製(76)、ならびにナノスケールセンシング(77,78)など、表面上の制御された加工寸法(feature size)を有する計画的なパターンへとナノビルディングブロック(NBB)を配列する能力に主に依存する用途を含む。ナノビルディングブロックを所望の位置にパターン形成するための現行の方法は、以下の2つの工程を通常含む: (1)表面パターン生成工程、および(2)ナノ粒子自己集合工程。第1の工程はフォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー(EBL)、または集束イオンビーム(FIB)リソグラフィーを使用して表面上にプレパターンを作り出し(79)、一方、第2の工程ではナノ粒子を表面上のプレパターン形成された領域に露出させ、それに沿ってさらに集合させる(39)。残念ながら、このような表面パターン形成方法は、高価な機器構成を必要とすることがあり、また複雑で時間がかかることがある。例えば、第2の工程中に望ましくない領域に対するナノ粒子の非特異的結合を回避することは、多くの場合、不可能ではないにしても非常に困難な作業であり得る。そのような問題は100nm以下のサイズのレジームで特に顕著であり得る。
【0005】
ディップペンナノリソグラフィー(DPN)は、単一工程での直接描画および直接読み取りのリソグラフィー手段であり、小さい有機分子、DNA、およびタンパク質などのソフトインク(60)を、いくつかの場合ではミリメートルおよびセンチメートルのスケールで(61,62)パターン形成するために利用される。いくつかの場合では、DPNを使用してナノ粒子、フラーレン、または結晶化導電性ポリマーなどのハードインクを直接描画することは、そのようなハードインクの平坦なコーティングをAFMチップ上で得ることおよびインクの輸送速度を制御することに関する問題が理由で、より困難であることがある。結果として、ナノ粒子パターンは不整合になりかつ制御不可能な加工寸法を有することがある。さらに、いくつかの場合では、ハードインクはDPNプロセス中に急速乾燥しかつ凝集する傾向を有することがあり、これによって描画時間の延長が実現不可能になる(63-68)。
【0006】
したがって、パターン形成された加工寸法に対する制御を与えかつ描画時間の延長を可能にする、表面上でのハードインクの直接パターン形成のための単一工程の方法を開発する必要性が存在する。特に、タンパク質系ナノ構造用の直接パターン形成方法の開発は、プロテオミクスおよびセラノスティクスの分野で働く研究者には重要である。そのような方法はタンパク質、オリゴヌクレオチド、およびウイルスの多成分生体ナノ構造の生成を可能にすると考えられる。
【0007】
米国特許第7,005,378号(特許文献1)では、パターン形成を容易にするためのポリエチレンオキシドの使用を含む金属前駆体のパターン形成が記載されている。
【0008】
「On-Wire Lithography」という論文(Qin et al., Science, vol. 309, July 1, 2005, 113-115(非特許文献1))では、間隙構造の調製、および導電性ポリマーとポリエチレンオキシドとの混合物による間隙の充填が記載されている。
【0009】
米国特許出願公開第2003/0162004号(Mirkin et al., Northwestern University)(特許文献2)では、ブロック共重合体を含むゾル-ゲル混合物のパターン形成が記載されている。
【0010】
米国特許出願公開第2004/0142106号(Mirkin et al., Northwestern University)(特許文献3)では、前駆体磁性材料のパターン形成が記載されている。
【0011】
米国特許出願公開第2002/0122873号(Mirkin et al., Northwestern University)(特許文献4)では、磁気駆動力を使用する磁性ナノ粒子のパターン形成が記載されている。
【0012】
米国特許出願公開第2004/0026007号(Hubert et al., MIT)(特許文献5)ではナノ粒子の堆積が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7,005,378号
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0162004号
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0142106号
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0122873号
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0026007号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「On-Wire Lithography」Qin et al., Science, vol. 309, July 1, 2005, 113-115
【発明の概要】
【0015】
概要
本出願は、作製方法、物品、デバイス、組成物、および使用方法を特に記載する。
【0016】
一態様は、チップを設ける工程、チップの端部に配置されるインクを設ける工程であって、インクが少なくとも1つのマトリックスおよびマトリックスとは異なる少なくとも1つのナノ材料を含む工程、基材表面を設ける工程、ならびにチップから基材表面にインクを輸送してマトリックスとナノ材料の両方を含む構造を表面上に形成する工程を含む方法を提供する。
【0017】
別の例では、チップを設ける工程、チップの端部に配置されるインクを設ける工程であって、インクが少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つのナノ材料を含む工程、基材表面を設ける工程、ならびにチップから基材表面にインクを輸送してポリマーとナノ材料の両方を含む構造を表面上に形成する工程を含む方法を提供する。
【0018】
少なくとも1つの態様の1つの利点は、パターン形成が困難な場合があるインクのパターンの形成を可能にするということである。少なくとも1つの態様の別の利点は、チップまたはスタンプの化学的または物理的改質を必要としないということである。さらに、多くの場合でこれは、基材表面の化学的または物理的改質を必要とせず、また基材表面の材料とは無関係にインク分子を表面に輸送することを可能にする。多くの態様では、本方法は、高スループットの直接描画方式でナノ材料などのハードインクおよびタンパク質またはペプチドなどの生体分子のサブミクロンおよび100nm以下のパターンを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マトリックス支援ディップペンナノリソグラフィー(DPN)を使用するナノ材料のパターン形成を模式的に例示する。
【図2】図2(A)〜(F)は、様々な基材上の各種ポリマーのDPNによって生成したパターン、および選択された高さプロファイルを提示する。(A)は描画速度0.16μm/秒でのAu基材上の分子量(MW)8,000を有するポリエチレングリコール(PEG)のパターンのトポグラフィー原子間力顕微鏡(AFM)像である。(B)は描画速度0.022μm/秒でのGaAs基材上のPEG(MW 8,000)のパターンのAFM像である。(C)は描画速度0.05μm/秒でのSiOx基材上のMW 100,000を有するポリエチレンオキシド(PEO)のパターンのAFM像である。(D)は描画速度0.05μm/秒でのAu基材上のPEO(MW 100,000)のパターンのAFM像である。(E)は0.6μm/秒および0.3μm/秒でのInAs上のMW 10,000を有するポリエチレンイミン(PEI)のパターンのAFM像である。(F)は0.6μm/秒および0.3μm/秒でのInAs上のPEI(MW 10,000)と2nm Auナノ粒子との混合物のパターンのAFM像である。
【図3】図3(A)および3(B)は下記のラインパターンの高さプロファイルを提示する: (A)PEIのみ(対応するトポグラフィーAFM像は図2Eに); および(B)InAs基材上の2nm Auナノ粒子とPEIとの混合物(対応するトポグラフィーAFM像は図2Fに)。図3(C)はAu上のPEOのみのラインパターンの高さプロファイルである(対応するAFMトポグラフィー像は図2Dに示した)。
【図4】図4(A)〜(D)はDPNによって生成したアレイの画像を提示する。(A)は上から下にそれぞれ64秒、32秒、および16秒の接触時間でのPEOアレイのトポグラフィーAFM像である。(B)は2nm Auナノ粒子とPEOとの混合物を使用して堆積されたドットアレイのトポグラフィーAFM像を示し、チップ基材接触時間は上から下にそれぞれ64秒、32秒、および16秒である。(C)は5nm Auナノ粒子とPEOとの混合物を使用して堆積されたドットアレイのトポグラフィーAFM像であり、チップ-基材接触時間は上から下にそれぞれ64、32、16、および8であり、挿入図はDPNによってTEMグリッド上に作り出されたドットの透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す。(D)は13nm Auナノ粒子とPEOとの混合物を使用して堆積されたドットアレイのトポグラフィーAFM像を示し、チップ基材接触時間は上から下にそれぞれ64秒、32秒、および16秒である。
【図5】図5(A)〜(D)は、4.7nm磁性ナノ粒子とPEOとの混合物を使用してDPNによって生成したパターンの画像を提示する。(A)はドットアレイのAFM像であり、チップ基材接触時間は上から下にそれぞれ64秒、32秒、および16秒である。(B)は描画速度0.05μm/秒のダイヤモンド形ラインアレイのAFM像である。(C)はより大きいスケールのドットアレイの磁力顕微鏡(MFM)像である。挿入図は、単一のドット走査(G)がDPNによって作り出されたダイヤモンド形ラインのアレイのMFM像であることを示す。挿入図は単一のダイヤモンド形ライン走査を示す。
【図6】図6(A)〜(D)は、フラーレンとPEOとの混合物を使用してDPNによって生成したアレイに関する。(A)は上から下にそれぞれ16秒、8秒、および4秒の接触時間でのドットアレイのAFM像である。(B)は(A)のドットアレイの高さプロファイルである。(B)はそれぞれ0.05μm/秒、0.1μm/秒、および0.2μm/秒の描画速度でのラインアレイを提示する。(C)は500nm間隙のナノ電極を横切る、DPNによって生成したラインの三次元AFM像である。(F)は(E)のラインのI-V曲線を示す。
【図7】図7(A)および(B)はそれぞれDPNによって生成したAu基材上のフラーレン/PEOドットパターンのトポグラフィーAFM像(A)および高さプロファイル(B)である。接触時間は図7Aの上から下にそれぞれ64秒、32秒、および16秒である。図7(C)は、左から右にそれぞれ0.05μm/秒、0.1μm/秒、および0.2μm/秒の描画速度でDPNによって生成したAu基材上のフラーレン/PEOラインパターンの高さプロファイルである。対応するAFMトポグラフィー像は図6Bに示した。
【図8】タンパク質アレイの生成を模式的に例示する。
【図9】図9(A)および(B)は、マトリックス支援(MA)DPNによって生成したAu(A)およびケイ素(B)の表面上の抗トリIgG AF 488ナノアレイのAFM像を提示する。
【図10】ケイ素基材上にMA-DPNによって生成した抗トリIgG AF 488ナノアレイの蛍光顕微鏡像を示す。
【図11】(A)選択されたインク材料の、DPNによって生成したドットサイズとチップ-基材接触時間との関係を示すプロットであり、プロットの傾斜は対応するインクの拡散定数を反映している。(B)異なる比でPEOを加えることによるインク(抗ユビキチン)拡散速度の変化を示すチャートである。(C)1:5の比でのBSA/PEOおよび抗ユビキチン/PEOの拡散速度の比較であり、チャートは非常に近接した拡散速度を示す。(D)IgGおよびβ-ガラクトシダーゼのインク拡散速度をそれぞれ1:5および1:7.5のインク/PEG比で非常に近く調整できることを示すチャートである。
【図12】(A)DPNによって生成したドットアレイの蛍光画像である。AFMチップはそれぞれBSA/PEG(緑)および抗ユビキチン/PEG(赤)で、いずれも1:5の比で次々にコーティングされ、両インクは受動一次元A-26 AFMチップアレイを使用して同時にパターン形成された。(B)蛍光信号の鋭いコントラストを示す、(A)における矩形内の領域のズームイン画像である。(C)および(E)は、IgG/PEG(1:5)およびβ-ガラクトシダーゼ/PEG(1:7.5)をそれぞれ含有するDPNによって生成したナノアレイのAFM像である。(D)および(F)は、対応する蛍光標識抗体でインキュベートした後の(C)および(E)におけるナノアレイの蛍光画像である。
【図13】代わりの2つのインク(BSA/PEGおよび抗ユビキチン/PEG)コーティングに使用されるインクウェルの(A)概観および(B)ズームイン領域である。DPNによる複数インクパターン形成に使用されるAFMチップアレイ(A-26)の(C)光学顕微鏡像および(D)蛍光顕微鏡像である。IgG/PEGおよびβ-ガラクトシダーゼ/PEGコーティングに使用されるインクウェルの(E)概観および(F)ズームイン領域である。インクウェルおよびチップアレイはNanoInk, Inc.(イリノイ州スコーキー)から入手可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
序論
2007年6月20日出願の優先権米国仮出願第60/945,164号、および2007年6月21日出願の優先権米国仮出願第60/929,314号、および2008年4月24日出願の優先権米国仮出願第61/047,642号は、いずれも実施例、図面、特許請求の範囲、および各種態様の説明を含むその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0021】
Mirkinらに帰属する本出願と同日に出願された同時係属中の出願第 号「Patterning with Compositions Comprising Lipids」は、図面、特許請求の範囲、実施例、および他の態様の説明を含むその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0022】
Mirkinらに帰属する本出願と同日に出願された同時係属中の出願第 号「Universal Matrix」は、図面、特許請求の範囲、実施例、および他の態様の説明を含むその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0023】
インクウェルおよびペンアレイを含む、直接描画印刷用のナノリソグラフィーの機器およびアクセサリーは、イリノイ州シカゴのNanoInk, Inc.から得ることができる。DIP PEN NANOLITHOGRAPHY(登録商標)およびDPN(登録商標)はNanoInk, Inc.の登録商標である。
【0024】
以下の特許および同時係属中の出願は、例えばカンチレバー、チップ、およびパターン形成用化合物の使用による直接描画印刷に関するものであり、その全体が参照により本明細書に組み入れられる:
Mirkinらに帰属する2003年10月21日発行の米国特許第6,635,311号(「Methods Utilizing Scanning Probe Microscope Tips and Products Therefor or Produced Thereby」)、インク、チップ、基材、ならびに他の機器構成パラメータおよびパターン形成方法を含むDPN印刷の基本的局面を記載。
Mirkinらに帰属する2004年12月7日発行の米国特許第6,827,979号(「Methods Utilizing Scanning Probe Microscope Tips and Products Therefor or Produced Thereby」)、ソフトウェア制御、エッチング手順、ナノプロッター、およびアレイ形成を含むDPN印刷の基本的局面をさらに記載。
2002年9月5日公開の米国特許出願公開第2002/0122873A1号(「Nanolithography Methods and Products Produced Therefor and Produced Thereby」)、DPN印刷の開口の態様および駆動力の態様を記載。
2003年10月2日公開のEbyらに帰属する米国特許出願公開第2003/0185967号(「Methods and Apparatus for Aligning Patterns on a Substrate」)、DPN印刷用の位置合わせ方法を記載。
2006年6月13日発行のDupeyratらに帰属する米国特許第7,060,977号(「Nanolithographic Calibration Methods」)、DPN印刷用の較正方法を記載。
Mirkinらに帰属する2003年4月10日公開の米国特許出願公開第2003/0068446号(「Protein and Peptide Nanoarrays」)、タンパク質およびペプチドのナノアレイを記載。
Mirkinらに帰属する2002年12月2日出願の米国正規特許出願第10/307,515号(「Direct-Write Nanolithographic Deposition of Nucleic Acids from Nanoscopic Tips」)、核酸パターン形成を記載。
2003年8月28日公開のMirkinらに帰属する米国特許出願公開第2003/0162004号(「Patterning of Solid State Features by Direct-Write Nanolithographic Printing」)、反応性パターン形成およびゾルゲルインクを記載。
Liuらに帰属する2003年11月4日発行の米国特許第6,642,129号(「Parallel, Individually Addressible Probes for Nanolithography」)。
Schwartzに帰属する2004年5月18日発行の米国特許第6,737,646号(「Enhanced Scanning Probe Microscope and Nanolithographic Methods Using Same」)。
Schwartzに帰属する2004年1月6日発行の米国特許第6,674,074号(「Enhanced Scanning Probe Microscope」)。
2006年8月29日発行の米国特許第7,098,058号。
2004年2月12日公開の米国特許出願公開第2004/0026681号。
2006年2月28日発行の米国特許第7,005,378号。
2004年9月9日公開の米国特許出願公開第2004/0175631号。
2006年4月25日発行の米国特許第7,034,854号。
2005年1月13日公開の米国特許出願公開第2005/0009206号。
2005年12月8日公開の米国特許出願公開第2005/0272885号。
2005年11月17日公開の米国特許出願公開第2005/0255237号。
2005年10月27日公開の米国特許出願公開第2005/0235869号。
Sheehanらに帰属する米国特許出願公開第2006/0040057号(Thermal Control of Deposition in Dip Pen Nanolithography)。
【0025】
二次元アレイは、2007年3月23日出願のMirkinらに帰属する米国特許出願公開第2008/0105042号に記載されており、これは図面、特許請求の範囲、実施例、および他の説明的な態様を含むその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に記載の直接描画ナノリソグラフィー方法は、ペプチド、タンパク質、核酸、DNA、RNA、ウイルスなどに基づくバイオアレイ、ナノアレイ、およびマイクロアレイの調製における使用を特に対象とすることがある。例えば、チップおよびライブラリーの大量作製に関しては米国特許第6,787,313号; ピペットチップを有する自動分子生物学実験室に関しては米国特許第5,443,791号; 薬学的用途における分子アレイの自動合成用の装置に関しては米国特許第5,981,733号を参照。
【0027】
DPN印刷を含む直接描画方法は、例えばDirect-Write Technologies, Sensors, Electronics, and Integrated Power Sources, Pique and Chrisey (Eds), 2002に記載されている。
【0028】
走査型プローブ顕微鏡法はBottomley, Anal. Chem., 1998, 70, 425R-475Rにおいて考察されている。米国特許第5,705,814号(Digital Instruments)に記載のプローブ交換機構を含む走査型プローブ顕微鏡は当技術分野で公知である。
【0029】
本発明者らは、ポリマーおよびナノ材料を含む混合物を利用するパターン形成方法を開発した。本方法の一態様では、混合物を最初にチップまたはスタンプ上に配置し、次にチップまたはスタンプから基材表面上に輸送して最適なインクを含むパターンを表面上に形成する。ディップペンナノリソグラフィー印刷に適用される本方法を図1に例示する。
【0030】
インク
インクは、チップまたはスタンプからでも、輸送を開始する何らかの他の表面からでも、表面に対して輸送することができる。インクは複合材料であり得るものであり、少なくとも1つのポリマーおよびポリマーとは異なる少なくとも1つのナノ材料を含む少なくとも2つの成分を含み得る。インクは、溶媒の使用により最初に調合可能であり、溶媒、または少なくともポリマー用の残存する溶媒をさらに含んでもよい。多くの場合では、チップの端部にまたはスタンプ表面上にインクを配置する時点で溶媒は除去される。しかし他の場合では、インクは溶媒を含み、液体として使用される。例えば、インクをチップの端部に流路によって送出することができる。
【0031】
基本的かつ新規の特徴は、インクがポリマーおよびナノ材料から本質的になりかつポリマーおよびナノ材料の輸送に干渉する成分を実質的に含まないということであり得る。いくつかの場合では、インクは少なくとも70重量%または少なくとも90重量%のポリマーおよびナノ材料を含む。インクは30重量%未満または10重量%未満のポリマーまたはナノ材料ではない材料を含み得る。
【0032】
ポリマー
通常、インク担体マトリックスは、DPN印刷によって比較的容易にパターン形成可能な任意の材料として選ばれる。特定の加工寸法および特別のパターンが望ましい場合、インク担体マトリックスのポリマー材料は、それ自体で使用する際に所望の加工寸法およびパターンを与えるように十分に制御された方式でDPNによって容易にパターン形成可能な任意の材料であり得る。好ましくは、ポリマーインク担体マトリックスは、以下の基準のうち少なくとも一部を満たすように選択される:
1)ポリマーインク担体マトリックスはインクの分子またはチップもしくはスタンプの材料のいずれとも化学的に反応しない;
2)ポリマーインク担体マトリックスの輸送速度はマトリックスと混合したインクの輸送速度よりも大きい;
3)ポリマーインク担体マトリックスはインクの固有の物理的または生物学的特性に干渉しない。
【0033】
インク担体マトリックスは例えばポリマーマトリックスであり得る。ポリマーは非生体ポリマーであり得る。ポリマーは可溶性ポリマーであり得るものであり、それは線状ポリマー主鎖または少量のみの分岐を有する線状ポリマーであり得る。ポリマーは共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ターポリマー、または分岐ポリマーであり得る。ポリマーは架橋用に官能化されていてもよいが、多くの場合、特にポリマーを溶媒洗浄によって除去しなければならない場合、これは望ましくない。
【0034】
ポリマーは水と有機溶媒または非水性溶媒の両方に可溶性であり得る。
【0035】
ポリマーマトリックスを形成するポリマーは、例えばポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、またはポリアルキレンイミンであり得る。いくつかの態様では、ポリマーマトリックスとして使用されるポリアルキレンオキシドは、50,000を超える分子量を有するポリアルキレンオキシドであり得る。しかし、いくつかの態様では、約50,000以下の分子量を有するポリアルキレンオキシドを使用できる。
【0036】
いくつかの態様では、約100,000の分子量(MW)を有するポリエチレンオキシド(PEO)がポリマーマトリックス用の材料として好ましいことがある。そのようなポリマーは低い融点を有しており、DPNを使用してそれ自体容易にパターン形成可能である。
【0037】
一般に、PEOは多くのハードインクまたは生体材料とは反応せず、したがってそれらの化学的、生物学的、または物理的特性には影響を与えない。さらに、PEOは親水性溶媒と疎水性溶媒の両方、水性溶媒と有機溶媒の両方、極性溶媒と非極性溶媒の両方を含む様々な溶媒に可溶性である。この良好な溶解性によってPEOは様々なインクと相溶性になる。例えば、フラーレンまたはカーボンナノチューブとPEOとをトルエンを共通の溶媒として使用して混合することができ、磁性ナノ粒子とPEOとをジクロロメタンを共通の溶媒として使用して混合することができ、Auナノ粒子またはスルホン化ポリアニリン(SPAN)もしくはドープポリピロールなどの水溶性導電性ポリマーとPEOとを水を共通の溶媒として使用して混合することができ、量子ドットとPEOとをヘキサンを共通の溶媒として使用して混合することができ、核酸またはタンパク質などの生体分子とPEOとを適切な生物学的緩衝液を共通の溶媒として利用して混合することができる。さらに、PEOはAu表面などの金属表面、GaAsもしくはInAs表面などの半導体表面、またはSiOx表面などの酸化物表面を含む様々な基材表面上にパターン形成可能である。ポリエチレングリコールとも時々呼ばれる低分子量PEOを使用できる。
【0038】
ポリマーと基材表面とを、ポリマーが表面に化学吸着または共有結合しないように適応させることができる。また、ポリマーとナノ材料とを、ポリマーがナノ材料と化学的に反応しないように適応させることができる。
【0039】
ナノ材料
ナノ材料は、少なくとも約100nm以下、または約50nm以下、または約25nm以下の少なくとも1つの横方向の寸法を有する粒子状の種類の材料であり得る。ナノ材料は、例えば球形の材料、または実質的に球形の材料、または細長い材料であり得る。例えば、本明細書でのフラーレンは実質的に球形の材料と考えることができる。この横方向の寸法は、多くの別々の単位または粒子の統計的平均であり得る。それは例えば実質的に球形の粒子の平均粒径、または細長い粒子の平均粒子長または粒子幅であり得る。ナノ材料は有機または無機、硬質または軟質、軟性または剛性であり得る。ナノ材料は非分子材料であり得る。好ましい態様では、ナノ材料は例えば、金属ナノ粒子、磁性ナノ粒子、またはフラーレンナノ粒子であり得る。
【0040】
本明細書に記載の方法は、多種多様のインクナノ材料の送出に適用可能であるが、多くの場合、インクナノ材料は、例えばDPN印刷を使用してインク担体マトリックスとしてのポリマーなしにはそれ自体パターン形成することが困難な材料であることがある。例えば、輸送速度が遅すぎる、または輸送が不確実すぎる場合がある。
【0041】
例えば、最適なインクは、AuまたはAg銀ナノ粒子などの金属ナノ粒子、量子ドットとしての半導体ナノ粒子、シリカまたはアルミナ粒子などの酸化物ナノ粒子、磁性粒子、フラーレンおよびカーボンナノチューブなどの炭素系粒子、結晶性導電性ポリマーを含む結晶性ポリマーを含むハードインクであり得る。
【0042】
本方法は、ハードインクのパターン形成に限定されず、核酸、DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、抗体、ならびにオリゴ糖および多糖などの生体材料、生体分子、または生体巨大分子を含むソフトインクのパターン形成に使用することもできる。結晶化導電性ポリマーを使用できる。
【0043】
一態様では、ナノ材料はナノ粒子ナノ材料を含む。ナノ材料は、約2nm〜約100nm、または約2nm〜約25nmの平均粒径を含むナノ粒子を含み得る。
【0044】
他の態様では、ナノ材料は、単層であれ、2層であれ、多層であれ、カーボンナノチューブであり得る。ナノ材料は、ナノワイヤまたはナノロッドを含み得る。ナノ材料は、半導体関連材料を含むことができ、例えば量子ドットであり得る。
【0045】
ナノ材料と基材表面とを、ナノ材料が表面に化学吸着または共有結合しないように適応させることができる。
【0046】
チップおよびスタンプ
チップの態様をさらに説明する。スタンプの態様もさらに説明する。パターン形成用化合物、表面、および接触条件の選択などの、本明細書に記載のパラメータの多くは、チップの態様とスタンプの態様の両方に使用可能である。チップおよびスタンプはDPN印刷およびマイクロコンタクトプリンティング以外の他の技術において使用されている。
【0047】
DPN印刷の分野において公知のチップを使用できる。鋭い先細の端部によって特徴づけられる鋭いチップを使用できる。チップは例えばナノスコープチップであり得る。チップは例えば走査型プローブ顕微鏡チップまたは原子間力顕微鏡チップであり得る。
【0048】
例えばカンチレバーおよびフィードバック機構に好適に適応させれば、チップを走査型プローブまたはAFMでの測定に有用になるように設計することができる。特に、チップをカンチレバーの端部に配置することができる。チップは中空チップ、または中実チップ、または非中空チップであり得る。チップはインク混合物の送出用の流路を含み得る。中実チップ、非中空チップ、および中空チップを含むチップは、例えば米国特許第6,635,311号および第6,827,979号、ならびに第2002/0122873号にさらに記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。また、2005年12月8日公開のHendersonらに帰属する国際公開公報第2005/115630号では、表面上に堆積用の細長い開口を有する細長いビームが記載されている。また、スリットまたは溝の技術に基づく堆積に関してはBergaudらに帰属する米国特許出願公開第2006/0096078号を参照; また、ナノファウンテンプローブでの描画に関してはEspinosa et al., Small, 1, No. 6, 632-635, 2005 for nanofountain probe writingを参照; Lewis et al., Appl. Phys.Lett., 1999, 75, 2689-2691; Taha et al., Appl. Phys. Lett., 2003, 83, 1041-1043; Hong et al, Appl. Phys. Lett., 2000, 77, 2604-2606; Meister et al., Microelectron. Eng., 2003, 67-68, 644-650; Deladi et al., Appl. Phys. Lett., 85, 5361-5363を参照。
【0049】
チップは硬質の無機材料、セラミック材料、または軟質の有機材料を含み得る。半導体材料を使用できる。絶縁性材料および導電性材料を使用できる。ケイ素または窒化ケイ素を含む、例えばAFMイメージングの分野で公知のチップを使用できる。例えば、ポリマーチップまたはポリマーコーティングチップを使用できる。例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられるZhangらに帰属する米国特許出願公開第2005/0255237号を参照。ポリマーチップおよびカンチレバーは、例えば走査型プローブ接触印刷に関するMirkinおよびLiuの米国特許出願公開第2004/0228962号に記載されている。
【0050】
カンチレバー上に配置されるチップは、複数のカンチレバー上に配置される複数のチップを含むより大きい構造の一部であり得る。これらを複数ペン構造または平行ペン構造と呼ぶことができる。例えば、複数ペン構造は20を超える、または100を超える、または1,000を超える、または10,000を超える、または100,000を超える、または1,000,000を超える個々のチップを有し得る。カンチレバーおよびチップは個々の作動用に適応可能であり、1つのチップを別のチップとは無関係に上昇または下降させることができる。個々の作動は、例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられるLiuらに帰属する米国特許第6,867,443号および第6,642,129号に記載されている。静電作動および熱作動を使用できる。
【0051】
チップを熱によって加熱しかつ温度制御用に駆動することができる。特に、チップを加熱することで輸送を実施することができる。
【0052】
チップは無機表面を含み得るものであり、作製後に有機材料または有機コーティングで改質されていないチップを使用することができる。
【0053】
一態様では、チップの端部に配置されたインクを含む複数のチップを設けることができ、チップから基材表面にインクを輸送してポリマーとナノ材料の両方を含む複数の構造を表面上に形成する。
【0054】
さらに、マイクロコンタクトプリンティング用スタンプを含むスタンプを使用できる。例えば、Xia and Whitesides, "Soft Lithography," Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 550-575および当該論文に引用されている参考文献を、スタンプを含むマイクロコンタクトプリンティングの記載に関して参照(558〜563頁)。一般に、スタンプは、精密なXY運動を伴う一連の運動よりもZ方向運動を使用する大量平行印刷用に作製される。スタンプは、単一の材料を含み得るか、または印刷を向上させるための表面処理を含む多層形成方法によって形成可能である。支持体とは異なる性質を有する、例えばより堅い1つの表面層を支持することができる。スタンプは、インクの受け入れだけでなくインクの堆積にも適応している、エラストマーまたは架橋ゴムを含むポリマー、例えばシリコーンポリマーまたはシロキサンポリマーなどの疎水性ポリマーを含み得る。スタンプをパターン形成することで、直線状および曲線状のラインを含むラインまたはサークルもしくはドットを形成することができる。
【0055】
スタンプは、チップであり得る非常に小さい構造を有するように作製可能である。さらに、レリーフ構造を与える表面を使用できる。ここで、表面の一部領域は表面の他の領域よりも上に存在し、インクは上に存在する領域を主にコーティングする。
【0056】
本方法の利点の1つは、チップまたはスタンプの化学的または物理的改質を必要としないということである。すなわち、いくつかの態様では、チップまたはスタンプは未改質のチップまたはスタンプであり、すなわち、チップまたはスタンプは、インクおよびインク担持マトリックスを含む混合物をチップまたはスタンプ上に配置する前に、化学的または物理的改質にさらされない。
【0057】
通常、チップまたはスタンプの化学的または物理的改質は、チップまたはスタンプに対するインクコーティングを促進または強化し、チップまたはスタンプに対するインク付着を促進または強化し、かつ/あるいはチップまたはスタンプから基材表面に対するインク輸送を促進または強化するための先行技術の方法において使用される。チップまたはスタンプの化学的または物理的改質の例としては、窒化ケイ素チップの荷電表面を付与するための塩基処理、アミノシラン化剤またはメルカプトシラン化剤によるシラン化、ポリエチレングリコール(PEG)などの小分子またはポリマー剤による非共有結合性の改質が挙げられるが、それに限定されない。
【0058】
基材表面
基材表面は任意の基材の表面であり得るが、インク、ポリマー、ナノ材料、および手近な応用品によって機能するように表面を適応させることができる。パターンの分解度の向上をもたらすには、より平滑な基材が一般に好ましい。例えば、基材表面は、例えばガラスなどの絶縁体、または例えば金を含む金属などの導体の表面であり得る。さらに、基材は金属、半導体、磁性材料、ポリマー材料、ポリマーコーティング基材、または超伝導体材料であり得る。基材を1つまたは複数の吸着物質で予め処理することができる。さらに、好適な基材の例としては金属、セラミックス、金属酸化物、半導体材料、磁性材料、ポリマー基材またはポリマーコーティング基材、超伝導体材料、ポリスチレン、およびガラスが挙げられるが、それに限定されない。金属としては金、銀、アルミニウム、銅、白金、およびパラジウムが挙げられるが、それに限定されない。その上に化合物がパターン形成され得る他の基材としては、シリカ、酸化ケイ素SiOx、GaAs、InP、およびInAsが挙げられるが、それに限定されない。
【0059】
本方法の利点の1つは、インクおよびインク担体マトリックスを含む混合物を基材表面に輸送する前に、基材表面を化学的または物理的に改質することを必要としないということである。したがって、いくつかの態様では、基材表面は、未改質の基材表面、すなわち、パターン形成される前に化学的または物理的に改質されなかった基材表面であり得る。
【0060】
通常、基材表面の化学的または物理的改質は、チップまたはスタンプから基材表面に対するインク輸送を促進するか、基材表面に対するインク付着を強化するか、あるいは基材表面を共有結合的に改質するための先行技術の方法において使用される。基材表面の物理的または化学的改質の例としては、酸化ケイ素の荷電表面の塩基処理、アミノシラン化剤またはメルカプトシラン化剤によるシラン化、あるいは化学反応性基を担持するポリマーによる改質が挙げられるが、それに限定されない。
【0061】
本方法の別の利点は、基材表面のプレパターン形成を必要としないということである。
【0062】
基材は一体状であってもよく、複数の層を含む複数の材料を含んでいてもよい。好ましい態様では、基材表面は半導体または金属の基材表面である。
【0063】
基材表面は導電性部分、絶縁性部分、またはその両方を提示することができる。導電性部分は例えば電極であり得る。インクは電極上または電極間に輸送可能であり、これにより電極との接触を確立する。
【0064】
インク輸送
混合物は、チップまたはスタンプから基材表面にいくつかの異なる方法で輸送可能であり、特に限定されない。DPN印刷およびマイクロコンタクトプリンティングにおける公知の方法を使用できる。例えば、走査型プローブおよびAFMに関連する技術では、接触モード、非接触モード、および断続接触モードまたはタッピングモードを含む異なるモードを、チップと表面とを相互作用させるために使用することができる。カンチレバーを振動させることができる。X方向、Y方向、およびZ方向での位置決めおよび位置合わせに公知のフィードバック方法を使用することができる。
【0065】
チップから表面への混合物の輸送は、基材表面のXY面に対してZ方向にのみ上下にチップを動かすことで、表面に係合しかつ表面から解放することによって行うことができる。接触時間を使用することができ、接触がインクの流れを活性化するものである場合、インクは接触時間中に流れる。混合物の送出を、チップを基材表面より上で平行移動させることなく、XY面内で動かすことなく、かつチップを固定して保持することによって実行することができる。あるいは、チップを表面より上で平行移動させることでXY面内で動かすことができる。チップを動かしかつ表面を固定して保持することができるか、または表面を動かしかつチップを固定して保持することができるかのいずれかである。
【0066】
輸送は、チップと表面との間に水メニスカスを与える、湿度、温度、および気体雰囲気などの条件下で行うことができる。例えば、相対湿度は少なくとも約25%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約70%であり得る。条件は環境室の使用により制御可能である。気体雰囲気は、空気、不活性雰囲気、制御された湿度を有する雰囲気、あるいは、メタノールもしくはエタノールのようなアルコールなどの有機化合物または揮発性溶媒の蒸気などの他の揮発性または気体状化合物の存在下での雰囲気であり得る。例えば無水条件またはすべての試薬および表面が水を含まないように選択される条件を含む条件を、水メニスカスを忌避するために選択することができる。
【0067】
輸送は手動でまたはコンピュータ制御付きの機器によって行うことができる。パターン設計、較正、レベリング、および位置合わせを容易にすることができるソフトウェアを使用できる。較正方法は、例えば参照により本明細書に組み入れられるCruchon-Dupeyratらに帰属する米国特許第7,060,977号に記載されている。位置合わせ方法は、例えば参照により本明細書に組み入れられるEbyらに帰属する第2003/0185967号に記載されている。
【0068】
輸送は、同一地点または異なる位置のいずれかで、複数回繰り返して行うことができる。
【0069】
インク輸送は、ポリマーとナノ材料との混合物の輸送により特徴づけられるインク輸送速度によって特徴づけることができる。ポリマー輸送はポリマー輸送速度によって特徴づけることができる。ナノ材料輸送はナノ材料輸送速度によって特徴づけることができる。ポリマー輸送速度はナノ材料輸送速度よりも速い可能性がある。また、インク輸送速度はナノ材料輸送速度よりもポリマー輸送速度に近い可能性がある。
【0070】
本方法では、混合物の輸送速度は、PEOなどのインク担体マトリックスの材料の輸送速度に左右される。したがって、形成されたパターンの長さ、幅、および/または高さなどのサイズは、インク担体マトリックスの材料の輸送速度によって決定されるものであり、この輸送速度は先に論じたように湿度を変動させること、またはチップと基材表面との間の接触時間を変えることのいずれかによって制御することができる。PEOなどのインク担体マトリックスの材料の輸送速度を制御することで精密に調整可能な速度で、インクを含むパターンを描画する能力は、本方法の利点の1つである。
【0071】
DPNおよびマイクロコンタクトプリンティング以外の他のリソグラフィー
マイクロコンタクトプリンティングを含むソフトリソグラフィー方法を使用できる。例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられるXia and Whitesides, "Soft Lithography," Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 550-575を参照。パターン形成されたエラストマー材料を、マスク、スタンプ、または鋳型として使用する方法。マイクロコンタクトプリンティング以外に他の方法としては、レプリカ成形(REM)、マイクロトランスファー成形(μTM)、毛細管中でのマイクロ成形(MIMIC)、および溶媒支援マイクロ成形(SANIM)が挙げられる。
【0072】
構造
表面上のインク輸送の結果として形成される構造は、そのまま使用可能であるか、または熱、光、乾燥、真空、もしくは化学反応などのさらなる方法によって処理可能である。そのようなさらなる処理は、構造を化学的に改質するかまたは構造を乾燥させることができる。例えばポリマーを架橋またはアニールしかつ形態的に改変することができる。
【0073】
構造を洗浄することで、ポリマー、またはポリマーの少なくとも実質的に大部分を除去することができる。
【0074】
構造は、例えば1ミクロン以下、または500nm以下、または300nm以下、または100nm以下、または50nm以下などの長さ、幅、直径などの横方向の寸法によって特徴づけることができる。
【0075】
構造はドットまたはラインであり得るものであり、ラインは直線状または曲線状であり得る。環、正方形、および三角形を含む任意の形を形成できる。
【0076】
構造は、例えば少なくとも約5nm、または少なくとも約10nm、または少なくとも約15nm、または少なくとも約20nm、または少なくとも約25nmであり得る高さを有し得る。範囲は例えば、約5nm〜約100nm、または約10nm〜約50nm、または約10nm〜約25nmであり得る。
【0077】
高さを使用してナノ材料の存在を検出することができる。例えば、構造は、ナノ材料がない以外は実質的に同一に調製される構造の高さに対して、少なくとも2倍、2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも4倍の高さを有し得る。
【0078】
構造はポリマーおよびナノ材料、ならびに残存する溶媒または水分を含み得る。ポリマーおよびナノ材料は、実質的に均一に分布していてもよく、相分離していてもよい。
【0079】
本方法を繰り返すことで、例えば少なくとも2個、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも500個、少なくとも1,000個、または少なくとも50,000個の構造を単一表面上に含むアレイ形成を含む複数の構造を、表面上に設けることができる。
【0080】
アレイ
本方法は、DIP PEN(商標)ナノリソグラフィー印刷で使用する場合、ナノアレイ、すなわちナノスケールの形状を有するサブマイクロメートルスケールのアレイの調製に特に有用であり得る。好ましくは、複数のドットまたは複数のラインを基材上に形成する。複数のドットは当技術分野で公知の六角形または正方形の格子を含むドットの格子であり得る。複数のラインはラインの垂直および平行な配列を含むグリッドを形成することができる。
【0081】
ドット径およびライン幅を含む個々のパターンの横方向の寸法は、例えば約2,000以下、約1,000nm以下、約500nm以下、約300nm以下、より具体的には約100nm以下であり得る。寸法の範囲は例えば約1nm〜約750nm、約10nm〜約2,000nm、約10nm〜約500nm、より具体的には約100nm〜約350nmであり得る。
【0082】
複数のパターンにおけるパターンの数は特に限定されない。それは例えば少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1,000、少なくとも10,000、さらには少なくとも100,000であり得る。例えば10×10アレイなどの正方形の配列が可能である。高密度アレイが好ましいことがある。
【0083】
ナノアレイ上の個々のパターン間の距離は変動し得るものであり、特に限定されない。例えば、パターンは1ミクロン未満または1ミクロン超の距離で離れていることがある。距離は例えば約300〜約1,500ミクロン、または約500ミクロン〜約1,000ミクロンであり得る。離れているパターン間の距離は、ドットの中心またはラインの中央などのパターンの中心から測定可能である。
【0084】
互いに1ミクロン未満離れている複数の構造を表面上に設けるために、本明細書に記載の方法を繰り返すことができる。
【0085】
本方法は、ミクロンスケール、ミリメートルスケール、またはセンチメートルスケールなどのより大きいスケールのパターンの形成にも適用可能である。そのようなより大きいパターンは、例えば、マイクロコンタクトプリンティングスタンプから基材表面に、最適なインクおよびインク担体マトリックスを含む混合物を輸送するためのマイクロコンタクトプリンティングを利用して調製することができる。
【0086】
ナノビルディングブロックのアレイ
本方法は、AuまたはAg銀ナノ粒子などの金属ナノ粒子、量子ドットなどの半導体ナノ粒子、シリカまたはアルミナ粒子などの酸化物ナノ粒子、磁性粒子、フラーレンおよびカーボンナノチューブなどの炭素系粒子、結晶性導電性ポリマーを含む結晶性ポリマーを含むがそれに限定されないハードインクのパターン形成に適用可能である。
【0087】
本方法はハードインクアレイの形成に特に有用であり得る。そのようなハードインクアレイは、基材と、最適なハードインクおよびインク担体マトリックスを含む複数のパターンとを含む。最適なハードインクがフラーレンなどの炭素系材料を含む場合、ハードインクアレイはトランジスタなどの電子デバイスとして役立ち得る。
【0088】
バイオアレイ
本方法は、核酸、タンパク質、またはオリゴ糖もしくは多糖など、生体材料のパターン形成に適用可能である。この場合、混合物は、最適な生体材料であるインク、およびポリアルキレンオキシドまたはポリアルキレンイミンなどのポリマーであり得るインク担体マトリックスを含む。
【0089】
いくつかの態様では、生体分子は、ペプチド結合を含む各種の化学構造を含み得る。これらは、単純であれ複雑であれ、ペプチド、タンパク質、オリゴペプチド、およびポリペプチドを含む。ペプチド単位は非ペプチド単位との組み合わせでもよい。タンパク質またはペプチドは、単一のポリペプチド鎖または複数のポリペプチド鎖を含有し得る。オリゴペプチドを含む低分子量ペプチドも使用できるが、高分子量ペプチドが一般に好ましい。ペプチド中のペプチド結合の数は、例えば少なくとも3、10以下、少なくとも100、約100〜約300、または少なくとも500であり得る。
【0090】
タンパク質が特に好ましい。タンパク質は単純タンパク質でも複合タンパク質でもよい。複合タンパク質の例としては、核タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、金属タンパク質、および糖タンパク質が挙げられるが、それに限定されない。
【0091】
タンパク質は、複合体中で他のタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドと共存する際に機能的であり得る。タンパク質は、DNA型であれRNA型であれ、タンパク質と核酸との複合体であり得るウイルスであり得る。タンパク質は、シェルから球および棒状構造などのより大きい構造までであり得る。
【0092】
タンパク質は、立体構造において球状または線維状であり得る。一般に、後者は典型的には水に不溶性の強靱な材料である。それらは、ポリペプチド鎖、または例えば線維におけるように平行に配列されているポリペプチド鎖を含み得る。例としてはコラーゲンおよびエラスチンが挙げられる。球状タンパク質は、球形または球状の形に堅く折りたたまれかつ大部分が水溶液系に可溶性である、ポリペプチドである。例えば、多くの酵素は、血清アルブミンおよびヘモグロビンのような抗体、一部のホルモン、および輸送タンパク質と同様に、球状タンパク質である。
【0093】
強靱で棒状の構造であるが可溶性である、ミオシンおよびフィブリノーゲンのような線維状の性質と球状の性質の両方を有するタンパク質を使用することができる。タンパク質は複数のポリペプチド鎖を保有することができ、オリゴマータンパク質であり得るものであり、その個々の成分はプロトマーと呼ばれる。通常、オリゴマータンパク質は、普通は互いに共有結合していない偶数のポリペプチド鎖を含有している。ヘモグロビンがオリゴマータンパク質の一例である。
【0094】
本発明のナノアレイに組み入れることができるタンパク質の種類としては、酵素、貯蔵タンパク質、輸送タンパク質、収縮タンパク質、保護タンパク質、毒素、ホルモン、および構造タンパク質が挙げられるが、それに限定されない。
【0095】
酵素の例としては、リボヌクレアーゼ、シトクロムc、リゾチーム、プロテアーゼ、キナーゼ、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼが挙げられるが、それに限定されない。酵素およびその結合機構は例えばEnzyme Structure and Mechanism, 2nd Ed., by Alan Fersht, 1977に開示されており、第15章には以下の酵素の種類が含まれる: デヒドロゲナーゼ、プロテアーゼ、リボヌクレアーゼ、ブドウ球菌(staphyloccal)ヌクレアーゼ、リゾチーム、炭酸脱水酵素、およびトリオースリン酸イソメラーゼ。
【0096】
貯蔵タンパク質の例としては、卵白アルブミン、カゼイン、フェリチン、グリアジン、およびゼインが挙げられるが、それに限定されない。
【0097】
輸送タンパク質の例としては、ヘモグロビン、ヘモシアニン、ミオグロビン、血清アルブミン、β1-リポタンパク質、鉄結合タンパク質、セルロプラスミンが挙げられるが、それに限定されない。
【0098】
収縮タンパク質の例としては、ミオシン、アクチン、ダイニンが挙げられるが、それに限定されない。
【0099】
保護タンパク質の例としては、抗体、補体タンパク質、フィブリノーゲン、およびトロンビンが挙げられるが、それに限定されない。
【0100】
毒素の例としては、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)毒素、ジフテリア毒素、ヘビ毒、およびリシンが挙げられるが、それに限定されない。
【0101】
ホルモンの例としては、インスリン、副腎皮質刺激ホルモンおよびインスリン様成長ホルモン、ならびに成長ホルモンが挙げられるが、それに限定されない。構造タンパク質の例としては、ウイルスコートタンパク質、糖タンパク質、膜構造タンパク質、α-ケラチン、スクレロチン、フィブロイン、コラーゲン、エラスチン、およびムコタンパク質が挙げられるが、それに限定されない。
【0102】
天然または合成のペプチドおよびタンパク質を使用できる。例えば、組換え法により調製されるタンパク質を使用できる。
【0103】
好ましいタンパク質の例としては、免疫グロブリン、IgG(ウサギ、ヒト、マウスなど)、タンパク質A/G、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、リゾチーム、ストレプトアビジン、アビジン(avdin)、フェリチン、レクチン(Con. A)、およびBSAが挙げられる。ウサギIgG、およびサンドイッチ状でIgGに結合しているウサギ抗IgGが有用な例である。
【0104】
スプライソソームおよびリボソームなどを使用できる。
【0105】
多種多様なタンパク質が当業者に公知でありかつ使用可能である。例えば参照により本明細書に組み入れられる、Chapter 3、「Proteins and their Biological Functions: A Survey,」頁55〜66、BIOCHEMISTRY、A. L. Lehninger、1970を参照。
【0106】
本方法の利点の1つは、サブミクロンサイズのパターン、すなわち約1ミクロン未満の横方向の寸法を有する形状を有するパターン、または100nm以下のパターン、すなわち約100nm未満の横方向の寸法を有するパターンを形成する際に、チップから表面にタンパク質を含む混合物を輸送する前に、パターン形成用化合物による基材表面のプレパターン形成を必要としないということである。
【0107】
パターン形成用化合物は、サブミクロンまたは100nm以下の形状を含有するタンパク質の安定性を向上させるために先行技術の方法によって使用された。パターン形成用化合物の例としては、例えばチオール、ポリチオール、スルフィド、環状ジスルフィドなどの硫黄含有化合物、カルボン酸末端基を有するアルカンチオールなど、一方の末端に硫黄基を有し、他方の末端に末端反応性基を有する硫黄含有化合物が挙げられる。さらなるパターン形成用化合物は、Mirkinらに帰属する2003年4月10日公開の米国特許出願公開第2003/0068446号に開示されている。
【0108】
基材表面の区域に対するタンパク質の非特異的結合は、生体分子およびインク担体マトリックスを含む混合物にさらされなかった基材表面の当該区域を、1つまたは複数の不動態化用化合物によって被覆すなわち「不動態化」することによって防ぐことができる。公知の不動態化用化合物が使用可能であり、非特異的吸着が起こらない限り、この特徴によって本発明は特に限定されない。例えば、基材に吸着されるように官能化されたアルキレングリコールなどの界面活性剤を含む、様々な不動態化用化合物を使用することができる。不動態化に有用な化合物の一例は、11-メルカプトウンデシル-トリ(エチレングリコール)である。タンパク質は、11-メルカプトウンデシル-トリ(エチレングリコール)でコーティングされた表面に対して比較的弱い親和性を有することがあり、したがってそのような表面に結合しないことがある。例えば参照により本明細書に組み入れられるBrowning-Kelley et al., Langmuir 13, 343, 1997; Waud-Mesthrige et al., Langmuir 15, 8580, 1999; Waud-Mesthrige et al., Biophys. J. 80 1891, 2001; Kenseth et al., Langmuir 17, 4105, 2001; Prime & Whitesides, Science 252, 1164, 1991; およびLopez et al., J.Am.Chem.Soc. 115, 10774, 1993を参照。しかしながら、表面を同様に被覆して基材表面に対するタンパク質の非特異的結合を防ぐために、ウシ血清アルブミン(BSA)および粉乳などの他の化学薬品および化合物を使用することができる。しかしながら、BSAは11-メルカプトウンデシル-トリ(エチレングリコール)よりも低い性能を示すことがある。不動態化後、得られたアレイをタンパク質またはペプチドの不動態化アレイと呼ぶことができる。
【0109】
不動態化後、表面上のパターン形成された区域からマトリックスを洗い流すことができる。マトリックスとしてのポリアルキレンオキシドの使用は、マトリックスを洗い流した際にパターン形成された区域において生体材料の生物活性を保持することを可能にする。
【0110】
本方法に係るタンパク質アレイの作製の一態様を図8に例示する。
【0111】
用途
生物学的用途、診断用途、アッセイ用途、センサ用途、半導体用途、電子用途、フォトマスク修復用途、電界効果トランジスタを含むトランジスタの作製および修復の用途、フラットパネルディスプレイの作製および修復の用途、ならびに磁気用途は、本明細書に記載の各種態様の使用によって利益を享受することができる。
【0112】
DPN印刷の多くの用途は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるGinger, Zhang, and Mirkin,「The Evolution of Dip Pen Nanolithography,」Angew. Chem. Int. Ed., 2004, 43, 30-45に記載されている。
【0113】
マイクロコンタクトプリンティング用の用途は、例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられるXia and Whitesides,「Soft Lithography,」Angew. Chem. Int. Ed., 1998, 37, 550-575、および当該論文に引用されている参考文献に記載されている。
【0114】
生物学的用途としてはアッセイ、診断、センサ、タンパク質マイクロアレイ、核酸およびDNAマイクロアレイ、ナノアレイ、細胞接着および細胞増殖などが挙げられる。生体診断用途は、例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられるRose & Mirkin,「Nanostructures in Biodiagnostics,」Chem. Rev., 2005, 105, 1547-1562に記載されている。DNAマイクロアレイはDNA Microarrays, A Practical Approach, Ed. Schena, 1999, Oxford University Pressに記載されている。
【0115】
タンパク質およびペプチドのナノアレイに関する用途は、例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられるMirkinらに帰属する米国特許出願公開第2003/0068446号に記載されている。例えば、様々なタンパク質およびペプチド構造の捕捉に適応されている化合物によって表面をパターン形成することができる。
【0116】
例えばHIVなどの疾患に関する試験を含むさらなるアッセイを開発することができる。例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられるLee et al,「Nano-Immunoassays for Ultrahigh Sensitive/Selective Detection of HIV,」NanoLett. 2004, 4, 1869-1872を参照。これにはMHAのパターン形成が記載されており、このMHAは次に脱プロトン化されて形状が負に帯電する。HIV-1 p24抗原に対するモノクローナル抗体が次にMHA上に固定化され、次に感染患者から採取された血漿サンプルにさらされる。ナノ粒子プローブを使用して信号を検出および増幅することができる。
【0117】
これらおよび他の生物学的用途では、表面を不動態化することで、非特異的タンパク質結合を含む非特異的結合を防ぐことができる。その全体が参照により本明細書に組み入れられるMirkinらに帰属する米国特許出願公開第2005/0009206号も参照。
【0118】
電界効果トランジスタ用途では、ソース、ドレイン、ゲート、電極、およびチャネルを当技術分野で公知の方法によって作製することができる。
【0119】
本発明を以下の実施例によってさらに例示するが、それに決して限定されるわけではない。
【0120】
実施例
1. 材料および機器構成
ポリエチレンオキシド(PEO、MW=100,000)、ポリエチレングリコール(PEO、MW=8,000)、およびポリエチレンイミン(PEI、MW=2,000)をSigma-Aldrich(ウィスコンシン州ミルウォーキー)から購入した。Auナノ粒子(AuNP)溶液をTed Pella(カリフォルニア州レディング)から得た。磁性ナノ粒子(MNP)を合成した。
【0121】
フラーレンをMer Corporation(アリゾナ州ツーソン)から購入した。アセトニトリル、ジクロロメタン、トルエンを、Fisher Scientific(ニュージャージー州フェアローン)から購入した。すべての化学薬品は受け取ったまま使用した。
【0122】
500nm酸化物コーティング層を有するSi/SiOxウェーハをWaferNet, Inc.(カリフォルニア州サンノゼ)から購入した。金基材を、Ti接着層(7nm)でプレコーティングされたSi/SiOx基材上での金薄膜(30nm)の熱蒸着によって得た。GaAsおよびInAsウェーハをWafer World Inc.(フロリダ州ウエストパームビーチ)から購入した。
【0123】
すべてのDPN実験はThermoMicroscopes CP AFM(Veeco Instruments Inc.、カリフォルニア州)上で行った。この機器は湿度制御室に封入され、市販のDPNソフトウェア(NanoInk Inc.、イリノイ州シカゴ)で駆動した。湿度をすべてのPEO関連実験について70%、PEI実験について50%に制御した。AFMプローブ(S-1またはS-2)をNanoInk Inc.から購入し、ばね定数をそれぞれ0.041N/mおよび0.1N/mとした。MFMデータは予め磁化したAFMプローブを使用してDIマルチモードSPM(Veeco Instruments Inc.、カリフォルニア州)で得た。
【0124】
インクの調製
すべてのDPN実験について、PEOをアセトニトリル、ジクロロメタン、水、またはトルエンに溶解させることでPEOおよびPEG溶液(16mg/mL)を作製した。AuNP/PEOインクを調製するために、アセトニトリル中PEO(16mg/mL)とAuNP溶液とを1:1(2nm AuNP)、2:1(5nm AuNP)、および4:1(13nm AuNP)の体積比で混合した。4.7nm MNP/PEO溶液を調製するために、ジクロロメタン中PEO(16mg/mL)とMNP溶液とを2:1の体積比で混合した。フラーレン/PEOインクを調製するために、トルエン中PEO(16mg/ml)とトルエン中飽和フラーレン溶液とを1:2の体積比で混合した。2nm AuNP/PEIインクを調製するために、5%希釈PEI水溶液と2nm AuNP溶液とを1:1の体積比で混合した。
【0125】
2. ナノビルディングブロックのマトリックス支援DPN
A. ポリマーのみの対照
図2は、いくつかの種類の基材上でDPNを使用して作り出したポリエチレングリコール(PEG、MW 8,000)、ポリエチレンオキシド(PEO、MW 100,000)、およびポリエチレンイミン(PEI、MW 2000)の対照パターンを示す。特に、図2Aおよび図2Bは、それぞれAu(描画速度0.16μm/秒)およびGaAs(描画速度0.022μm/秒)上のDPNによって生成したPEGパターンのトポグラフィーAFM像を提示する。図2Cおよび図2Dは、いずれも0.05μm/秒の描画速度でそれぞれSiOxおよびAu上のDPNによって生成したPEOパターンを示す。図2Eは、InAs基材上の0.6μm/秒および0.3μm/秒の描画速度でのPEIの直接パターン形成を示す。図3Aの対応する高さプロファイルは、異なる描画速度が異なるパターンの高さをもたらすことを示す。描画速度が速いほど(0.6μm/秒)生じる高さが小さくなり(1.75nm)、一方、描画速度が遅いほど(0.3μm/秒)生じる高さが大きくなる(2.75nm)。
【0126】
図2Fは、0.1μm/秒および0.05μm/秒の描画速度で生じたInAs基材上のPEIと2nm Auナノ粒子との混合物のDPNパターンを提示することで、担体マトリックスとして働くPEIの能力を示す。図3Bの対応する高さプロファイルは、0.1μm/秒の描画速度によって12nmの高さを有するパターンが生じ、一方、0.05μm/秒の描画速度によって14nmの高さを有するパターンが生じることを示す。高さプロファイルの比較は、2nm Auナノ粒子を含有する混合物のパターンがPEIのみのそれよりも明らかに大きいことを示す。このことは、Auナノ粒子を含有する混合物から調製されるパターンにおけるAuナノ粒子の存在を示す。
【0127】
B. Auナノ粒子
担体マトリックスとして働くこれらのポリマーの能力を、通常のナノ材料について示した。具体的には、図4は単一工程の直接パターン形成プロセスを使用して生成したAuナノ粒子(AuNP)のアレイを示す。対照として、図4Aは、上から下にそれぞれ64秒、32秒、および16秒のチップ-基材接触時間でのPEOのみを使用して生じたドットアレイのトポグラフィーAFM像を示す。得られたドットアレイの形状の高さは、それぞれ64秒、32秒、および16秒の接触時間について8.5nm、3.3nm、および1.7nmである(表1を参照)。図4A、図4B、および図4Cは、PEOと混合したそれぞれ2nm、5nm、および13nmのAuナノ粒子のDPNによって生成したドットアレイのトポグラフィーAFM像である。表1にこれらの構造の高さを列挙する。明らかに、Auナノ粒子を含有するナノスケール形状はいずれも、PEOのみのそれよりもはるかに高さが大きい。高さの増加は、より大きい直径のナノ粒子を含有するパターンについてさらに大きくなる。同様に、5nm Auナノ粒子とPEOとの混合物を透過型電子顕微鏡(TEM)グリッド上でパターン形成した。TEMグリッド上のDPNによって生成したドットのTEM像である図3Eの挿入図は、Auナノ粒子のクラスターを示すものであり、これはこれらのパターンにおけるAuナノ粒子の存在を証明している。
【0128】
【表1】

【0129】
C. 磁性ナノ粒子
磁性ナノ粒子(MNP)のパターンもマトリックス支援DPNを使用して作り出した。図5は、PEOを担体マトリックスとして使用して調製した4.7nm磁性ナノ粒子(MNP)を含有するパターンを特徴的に示す。図5Aおよび図5Bはそれぞれ、上から下に64秒、32秒、および16秒のチップ基材接触でのDPNによって生成したドットアレイのトポグラフィーAFM像、ならびに0.05μm/秒の描画速度でのダイヤモンド形ラインパターンである。また、これらのパターンの高さと純粋なPEOのそれとを比較した際に明白な高さの違いが観察された(表1を参照)。MNPを含有する混合物から調製したパターンにおける高さの増加は、MNPがこれらのパターンに埋め込まれていることを示している。
【0130】
MNPを含有する混合物から調製したパターン内のMNPの存在をさらに証明するために、サンプルの磁性に基づいて明確なコントラストを示す技術である磁力顕微鏡法(MFM)を使用して、パターンをさらに特徴づけた。図5Cおよび図5DのMFM像において、MNPを含有するパターン形成された形状と非磁性の裸SiOx基材とを、間違いなく識別することができる。この強いコントラストは単一形状であっても観察される(パターン形成された形状全体にわたって磁性粒子が均一に分布していたことを示す図5Cおよび図5Dの挿入図を参照)。単一ラインパターンのMFM像(図5Dの挿入図を参照)は、パターン内の磁性クラスターを示す。これらの種類のクラスターは、純粋なPEOのパターンにおいては観察されない。この観察は、これらのクラスターがMNPのポケットであることを示す。図4(C)〜(D)において提示される大面積パターンは、マトリックス支援DPNが描画時間の延長および平滑かつ十分に制御されたインク転写速度を与えることができるということも示す。
【0131】
D. フラーレン
Auナノ粒子および磁性ナノ粒子に加えて、炭素系ナノ材料(フラーレン)のDPNパターンも、PEOを担体として使用して生成した。フラーレンをパターン形成する能力は、ナノエレクトロニクスにおけるその潜在的な用途が理由で特に重要である(71)。
【0132】
図6は、フラーレンとPEOとの混合物のDPNによって生成したナノアレイを示す。図6Aは、16秒、8秒、および4秒(上から下に)のチップ-基材接触時間でのドットアレイを示す。80ナノメートルの加工寸法を、4秒の接触時間で容易に作り出した(図6A)。このことは、この技術を使用して、100nm以下の形状を容易に得ることができることを証明している。64秒、32秒、および16秒の接触時間で、高さ21.8nm、14.6nm、および9.8nmの形状が生じた(表1、ならびに図7Aおよび図7BのトポグラフィーAFM像および対応する高さプロファイルを参照)。また、これらの高さは対応する純粋なPEOパターンのそれに対して大きく増加しており、このことはフラーレンを含有する混合物から生成されるDPNドットアレイにおけるフラーレンの存在を示している。高さの増加に関するこれらの同一の傾向(図7Cを参照)は、フラーレンとPEOとの混合物を使用して生じた連続的ライン(描画速度=0.05μm/秒、0.1μm/秒、および0.2μm/秒)について観察された(図6Bを参照)。
【0133】
概念の証明として、およびDPNによって生成したこれらの形状においてフラーレン分子が実際にパターン形成されていることをさらに確認するために、DPNを経由して第1のフラーレン系トランジスタを構築した。フラーレン/PEOインクのラインを、EBLによって生成したナノ電極を横切って500nmの間隙サイズで生成した。図6Cの3DトポグラフィーAFM像は、これらの間隙を横切って配線されている2つの交差した連続的ラインを明確に示している。-0.7V〜0.85Vの範囲の電圧でのこのデバイスの出力電流をモニタリングする電流-電圧(I-V)測定を図6Dに示す。黒色線は暗環境で測定したトランジスタのI-V応答のプロットであり、一方、赤色(灰色)線はXeランプ(150W)での照明下で得られた電流を示す。観察された電流の増加(約6倍、0.85Vで約0.015pA対0.85Vで約0.10pA)は、光照明に対するフラーレン分子の特徴的な応答である(70,72)。そのような応答は、光活性フラーレン分子がDPNによって生成したパターン内に活性状態で存在していることを示している。さらに、500nm間隙のナノ電極内にフラーレン/PEOラインが正確に送出されたことは、DPNの高い空間分解能も示している。
【0134】
3. タンパク質ナノアレイ
ヤギ抗トリIgG Alexafluor 488のナノアレイを、図8に提示する一般的スキームに例示するように、マトリックス支援DPNによって調製した。低分子量ポリマー(ポリエチレングリコール、MW=8000)をマトリックスとして使用してAFMチップから基材表面に抗トリIgG AF 488を輸送した。PEGは表面上の非特異的タンパク質吸着に耐性のある優れた材料である。
【0135】
PEGをマトリックスとして使用することで、タンパク質ナノアレイの生成後にPEGを洗い流してタンパク質の生物活性を保持することが可能になる。DPNを相対湿度75%および25℃で実行した。未改質のNanoInk A型チップを、抗体およびPEGを含有する混合物でディップコーティングし、窒素で乾燥させた。図9Aおよび図9Bは、それぞれ金基材およびケイ素基材上にMA-DPN法によって生成した抗トリIgG Alexafluor 488のナノアレイのAFM像を示す。
【0136】
図10に示すように、抗トリIgG Alexafluor 488ナノアレイを、蛍光顕微鏡法によってさらに特徴づけた。
【0137】
AFM像および蛍光画像は、MA-DPNを使用してタンパク質の均一なナノアレイを生成可能であることを明確に示している。マイクロコンタクトプリンティングによって生成したマイクロアレイでの本発明者らの結果が示すように、マトリックスでカプセル化されたタンパク質は生物学的に活性であることがわかっている。
【0138】
さらなる例
このユニバーサルインクの重要な用途は、複数の生体分子の同時パターン形成の可能性、およびその生物活性の保持である。既に述べたように、各インクはそれ自体の拡散速度を有しており、このことが複数のインクの同時パターン形成、さらにはチップ-基材接触時間を介した加工寸法の制御を非常に困難にしている(可能な場合でも)。図11Aは、PBS緩衝液中のPEGおよび4つの生体分子のインク拡散速度を示す。選択される異なるインク材料に従ってインク拡散速度が劇的に変動することは容易に認識できることであり、このことは結果的に、同時に複数インクのパターンを形成する過程で極めて類似のまたは同一の加工寸法を本発明者らが期待する場合に大きな問題になる。例えば、純粋なIgGの勾配は、30.81の大きさであり得るものであり、一方、抗ユビキチンのそれはわずか11.30であり、このことは同一のチップ-基材接触時間(4秒)で生成したドットサイズがβ-ガラクトシダーゼについて439.0nm、BSAについて144.7nmであり、実際に非常に異なっていることを意味する。さらには、異なる勾配は、ドットサイズの増加傾向も異なるということも意味する。
【0139】
しかしながら、PEGがインク担体として働くユニバーサルインクを使用することで、インク拡散速度を一定範囲内で容易に調整することができる。この点を証明するために、本発明者らは、異なる比での抗ユビキチン/PEGの混合物のインク拡散速度の変化をモニタリングした(図11B)。1:2の抗ユビキチン:PEG比で、混合インクの拡散速度は11.30から28.72に飛躍的に上昇し、それは1:5の比で29.41にさらに増加する。図11Cおよび11Dのプロットは、PEGが有するそのような能力のさらなる例を与えるだけでなく、個々のインクの拡散速度を一定範囲内に調整することができ、さらには本発明者らが、2つの異なるインクが極めて類似する拡散速度を有するようにすることができるということも示す。このことは、チップ-基材接触時間が常に同一であることから(本発明者らが使用したAFMプローブアレイが受動モードであるため)、複数インクDPNパターン形成後の各インクの最終加工寸法および経時的なサイズ増加の傾向の正確な制御を容易にする重要なパラメータである。インク担体としての能力を除いて、ユニバーサルインクキット中でPEGが果たす別の重要な役割は、インクの拡散速度を調整するその能力である。
【0140】
次に、DPNを経由して同時に複数のインクをパターン形成するために、一次元AFMチップアレイ(Model No.: A-26、NanoInk Inc.、イリノイ州スコーキー)を使用した。蛍光標識BSA(緑色)および抗ユビキチン(赤色)を含有する2つの複合インクのコーティングを、それぞれ1つおきのAFMプローブにおいて、そのような目的用に特別に設計されたインクウェル(NanoInk Inc.、イリノイ州スコーキー)を使用して行った。インクコーティング前後の、本発明者らが使用したインクウェルとAFMチップアレイの両方の光学顕微鏡像を図13に示す。図11Cに示すBSA:PEGと抗ユビキチン:PEGの両方の1:5の比に従って、2つのインクの拡散速度を意図的に非常に類似するように調整した。図11Cに記載のものと同一の実験条件下でDPNを行った。図12Aの蛍光画像は、2つの異なる種類の生体分子(緑色のBSAおよび赤色の抗ユビキチン)が、設計されたアレイに同時にパターン形成されたことを明確に証明した。図12Bのズームイン画像は、蛍光信号のさらなる詳細および明確なコントラストを示す。生成したパターンのサイズの差を比較するために、DPN実験後のAFM像を撮影して、生成したドットサイズを特徴づけた。代表として、32秒のチップ-基材接触時間では、平均ドット径はBSAについて328.3nm、抗ユビキチンについて306.1nmであり、7%未満の差しか有さない(AFM像は図示せず)。他方、PEGと混合しない場合は、図11Aに示すプロットに基づいて、生成されるドットサイズは284.3nmおよび223.1nmであると考えられる。
【0141】
パターン形成された生体分子の生物活性をさらに証明するために、本発明者らは、最初にIgGおよびβ-ガラクトシダーゼのパターンを個々に生成した。図12Cおよび12Eは、32秒のチップ-基材接触時間で生成したIgGおよびβ-ガラクトシダーゼのドットアレイのAFM像である。平均ドット径は、IgGについて347.2nm、β-ガラクトシダーゼについて380.3nmであり、約8%の差を有する。同様に、PEGがない場合は、図11Aに従って、生成される生体分子のドットサイズはそれぞれ251.0nmおよび439.1nmであると考えられる。
【0142】
次に生体分子アレイを、対応する抗体懸濁液中にインキュベートした。図12Dおよび12Fの対応する蛍光画像は、抗IgG(緑色)とβ-ガラクトシダーゼ(赤色)の両方が、予め生成した抗原分子のドットアレイ上に成功裏に結合可能であることを示しており、このことはパターン形成されたIgGおよびβ-ガラクトシダーゼが依然としてその生物活性を残していることを意味する。
【0143】
本明細書において引用される刊行物、特許出願、および特許はいずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0144】
参考文献リスト





【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを設ける工程、
チップの端部に配置されるインクを設ける工程であって、インクが少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つのナノ材料を含む、工程、
基材表面を設ける工程、ならびに
チップから基材表面にインクを輸送してポリマーとナノ材料の両方を含む構造を表面上に形成する工程
を含む方法。
【請求項2】
チップがナノスコープチップである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
チップが走査型プローブ顕微鏡チップである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
チップが原子間力顕微鏡チップである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
チップが非中空チップである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
チップが中空チップである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
チップが無機表面を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
チップが有機材料で表面改質されていない、請求項1記載の方法。
【請求項9】
チップの端部に配置されるインクを含む複数のチップが設けられ、チップから基材表面にインクを輸送することでポリマーとナノ材料の両方を含む複数の構造を表面上に形成する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
チップを加熱することで輸送を実施する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
チップが作動型チップである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
チップをカンチレバーの端部に配置する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ナノ材料がナノ粒子ナノ材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ナノ材料が約2nm〜約100nmの平均粒径を含むナノ粒子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
ナノ材料が約2nm〜約25nmの平均粒径を含むナノ粒子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ナノ材料が実質的に球形の材料または細長い材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
ナノ材料が金属ナノ粒子、磁性ナノ粒子、またはフラーレンナノ粒子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
ナノ材料がカーボンナノチューブを含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
ナノ材料がナノワイヤまたはナノロッドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
ナノ材料が量子ドットを含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
ナノ材料が少なくとも1つの生体巨大分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
ナノ材料が少なくとも1つの生体分子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
ナノ材料が少なくとも1つのタンパク質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
ナノ材料が少なくとも1つの抗体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
ナノ材料が少なくとも1つの結晶化導電性ポリマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
ポリマーが非生体ポリマーである、請求項1記載の方法。
【請求項27】
ポリマーが合成線状ポリマーである、請求項1記載の方法。
【請求項28】
ポリマーが可溶性ポリマーである、請求項1記載の方法。
【請求項29】
ポリマーが水および有機溶媒に可溶性である、請求項1記載の方法。
【請求項30】
ポリマーがポリ(アルキレンオキシド)またはポリ(アルキレンイミン)である、請求項1記載の方法。
【請求項31】
ポリマーが50,000を超える分子量を有するポリエチレンオキシドである、請求項1記載の方法。
【請求項32】
インクがポリマーおよびナノ材料から本質的になる、請求項1記載の方法。
【請求項33】
インクがポリマー用の溶媒をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項34】
ポリマーがナノ材料に共有結合も化学吸着もしていない、請求項1記載の方法。
【請求項35】
ポリマーが表面に化学吸着も共有結合もしていない、請求項1記載の方法。
【請求項36】
ナノ材料が表面に化学吸着も共有結合もしていない、請求項1記載の方法。
【請求項37】
ポリマーがナノ材料と化学的に反応しない、請求項1記載の方法。
【請求項38】
基材表面が半導体または金属の基材表面である、請求項1記載の方法。
【請求項39】
基材表面がナノ電極間隙を含む、請求項1記載の方法。
【請求項40】
輸送工程がチップと表面との間にメニスカスを与える湿度および環境条件下で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項41】
輸送工程が少なくとも40%の相対湿度で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項42】
輸送工程が少なくとも70%の相対湿度で行われる、請求項1記載の方法。
【請求項43】
構造が約1ミクロン以下の横方向の寸法を有する、請求項1記載の方法。
【請求項44】
形成されるパターンが約100nm以下の横方向の寸法によって特徴づけられる、請求項1記載の方法。
【請求項45】
構造がドットまたはラインである、請求項1記載の方法。
【請求項46】
構造が少なくとも10nmの高さを有する、請求項1記載の方法。
【請求項47】
構造がナノ材料がないことを除いて実質的に同一に調製される構造の高さに対して少なくとも2倍の高さを有する、請求項1記載の方法。
【請求項48】
構造がナノ材料がないことを除いて実質的に同一に調製される構造の高さに対して少なくとも3倍の高さを有する、請求項1記載の方法。
【請求項49】
構造がナノ材料がないことを除いて実質的に同一に調製される構造の高さに対して少なくとも4倍の高さを有する、請求項1記載の方法。
【請求項50】
構造が実質的に均一に分布しているポリマーおよびナノ材料を含む、請求項1記載の方法。
【請求項51】
ポリマーが輸送速度によって特徴づけられ、ナノ材料が輸送速度によって特徴づけられ、ポリマー輸送速度がナノ材料輸送速度よりも速い、請求項1記載の方法。
【請求項52】
インクがインク輸送速度によって特徴づけられ、ポリマーがポリマー輸送速度によって特徴づけられ、ナノ材料がナノ材料輸送速度によって特徴づけられ、インク輸送速度がナノ材料輸送速度よりもポリマー輸送速度に近い、請求項1記載の方法。
【請求項53】
複数の構造を表面上に設けるために繰り返される、請求項1記載の方法。
【請求項54】
互いに1ミクロン未満離れている複数の構造を表面上に設けるために繰り返される、請求項1記載の方法。
【請求項55】
輸送工程が、チップと表面とを接触させることおよびチップを固定して保持することによって行われる、請求項1記載の方法。
【請求項56】
輸送工程が、チップと表面とを接触させること、およびチップを表面に対して動かすことまたは表面をチップに対して動かすことによって行われる、請求項1記載の方法。
【請求項57】
輸送工程がタッピングモードで行われる、請求項1記載の方法。
【請求項58】
構造からポリマーの少なくとも一部を除去する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項59】
チップがナノスコープチップであり、ポリマーが可溶性ポリマーであり、かつナノ材料がナノ粒子である、請求項1記載の方法。
【請求項60】
チップが走査型プローブチップであり、ポリマーが合成ポリマーであり、かつナノ材料がナノ粒子、タンパク質、または抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項61】
チップがAFMチップであり、ポリマーがポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、またはポリエチレンイミンであり、かつナノ材料がナノ粒子または生体材料である、請求項1記載の方法。
【請求項62】
エラストマーのパターン形成されたスタンプを設ける工程、
スタンプの表面上に配置されるインクを設ける工程であって、インクが少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つのナノ材料を含む、工程、
基材表面を設ける工程、ならびに
スタンプから基材表面にインクを輸送してポリマーとナノ材料の両方を含む構造を表面上に形成する工程
を含む方法。
【請求項63】
チップ、またはエラストマーのパターン形成されたスタンプを設ける工程、
チップまたはスタンプの表面上に配置されるインクを設ける工程であって、インクが少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つのナノ材料を含む、工程、
基材表面を設ける工程、ならびに
チップまたはスタンプから基材表面にインクを輸送してポリマーとナノ材料の両方を含む構造を表面上に形成する工程
を含む方法。
【請求項64】
(A)チップまたはスタンプを設ける工程、
(B)インクおよび担体マトリックスを含む混合物を設ける工程であって、担体マトリックスが(a)50,000を超える分子量を有するポリアルキレンオキシドおよび(b)ポリアルキレンイミンより選択される、工程、
(C)チップまたはスタンプに混合物を配置する工程、
(D)基材表面を設ける工程、ならびに
(E)チップまたはスタンプから基材表面に混合物を輸送してパターンを基材表面上に、パターンがインクを含むように形成する工程
を含む方法。
【請求項65】
チップまたはスタンプが、化学的または物理的に改質されていないチップまたはスタンプである、請求項64記載の方法。
【請求項66】
チップまたはスタンプがチップである、請求項64記載の方法。
【請求項67】
チップが走査型プローブ顕微鏡チップである、請求項64記載の方法。
【請求項68】
チップが原子間力顕微鏡チップである、請求項64記載の方法。
【請求項69】
配置工程がチップを混合物中に浸漬させることを含む、請求項64記載の方法。
【請求項70】
配置工程がチップを混合物中に浸漬させることおよび混合物を乾燥させることを含む、請求項64記載の方法。
【請求項71】
チップまたはスタンプがマイクロコンタクトプリンティングスタンプである、請求項64記載の方法。
【請求項72】
インクがハードインクである、請求項64記載の方法。
【請求項73】
インクがハードインクであり、かつハードインクがナノ粒子、炭素系材料、および結晶化ポリマーからなる群より選択される、請求項64記載の方法。
【請求項74】
インクがハードインクであり、かつハードインクが金属ナノ粒子、磁性ナノ粒子、およびフラーレンの群より選択される、請求項64記載の方法。
【請求項75】
インクが少なくとも1つの生体分子を含む、請求項64記載の方法。
【請求項76】
生体分子が核酸、ペプチド、およびタンパク質からなる群より選択される、請求項75記載の方法。
【請求項77】
インクが少なくとも1つのタンパク質を含む、請求項64記載の方法。
【請求項78】
前記少なくとも1つのタンパク質が抗体である、請求項77記載の方法。
【請求項79】
ポリマーがポリエチレンオキシドである、請求項64記載の方法。
【請求項80】
(A)チップまたはスタンプを設ける工程、
(B)ハードインクおよび担体マトリックスを含む混合物を設ける工程、
(C)チップまたはスタンプ上に混合物を配置する工程、
(D)基材表面を設ける工程、ならびに
(E)チップまたはスタンプから基材表面に混合物を輸送してパターンを基材表面上に、パターンがハードインクを含むように形成する工程
を含む方法。
【請求項81】
(A)基材、ならびに
(B)基材上の複数のパターンであって、ハードインク材料およびマトリックス材料を含むパターン
を含むハードインクナノアレイ。
【請求項82】
(A)チップまたはスタンプを設ける工程、
(B)インクおよび担体マトリックスを含む混合物を設ける工程であって、インクが少なくとも1つの生体分子を含み、かつ担体マトリックスがポリアルキレンオキシドおよびポリアルキレンイミンからなる群より選択される材料を含む、工程、
(C)チップまたはスタンプに混合物を配置する工程、
(D)基材表面を設ける工程、
(E)チップまたはスタンプから基材表面に混合物を輸送して少なくとも1つのパターンを基材表面上に、少なくとも1つのパターンが少なくとも1つの生体分子を含むように形成する工程
を含む方法。
【請求項83】
(A)チップまたはスタンプを設ける工程、
(B)インクおよびマトリックスを含む混合物を、マトリックスの輸送速度がインクの輸送速度よりも大きくなるように設ける工程、
(C)チップまたはスタンプ上に混合物を配置する工程、
(D)基材表面を設ける工程、ならびに
(E)チップまたはスタンプから基材表面に混合物を輸送して少なくとも1つのパターンを基材表面上に、少なくとも1つのパターンがインクを含むように形成する工程
を含む方法。
【請求項84】
チップを設ける工程、
チップの端部に配置されるインクを設ける工程であって、インクが少なくとも1つのマトリックスおよびマトリックスとは異なる少なくとも1つのナノ材料を含む、工程、
基材表面を設ける工程、ならびに
チップから基材表面にインクを輸送してマトリックスとナノ材料の両方を含む構造を表面上に形成する工程
を含む方法。
【請求項85】
マトリックスがポリマーである、請求項84記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−532267(P2010−532267A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513359(P2010−513359)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/067231
【国際公開番号】WO2008/157550
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(507294960)ノースウエスタン ユニバーシティ (10)
【Fターム(参考)】