ナノ構造を含む材料を集めるおよび分類する方法および関連する物品
物体あるいは基板上にナノ構造を含む材料を堆積させるための方法は、(1)ナノ構造を含む材料の溶液あるいは懸濁液を形成する工程と、(2)前記溶液に選択的に「チャージャ」を追加する工程と、(3)前記溶液に複数の電極を浸す工程であって、前記ナノ構造の材料が堆積することになる前記基板あるいは物体が前記複数の電極の1つとして作用する工程と、(4)前記2つの電極間に所定期間直流および/又は交流を印加することによって前記溶液中の前記ナノ構造の材料を前記基板電極に向かって移動させて付着させる工程と、(5)前記コーティングされた基板のその後のオープションの処理工程と、のうちの1つ以上の工程を含む。関連する物体とデバイスもまた提供される。ナノ構造の特性および/又は幾何学的形状に基づいてナノ構造を分離する方法もまた記載される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体にナノ構造あるいはナノチューブを含む材料を堆積させる方法、ナノ構造またはナノチューブを含む材料を分類する方法、ナノ構造またはナノチューブを含む材料から物品を形成する方法、ナノ構造またはナノチューブを含む材料を分類する為の方法、および関連する構造およびデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法119条に基づいて、仮米国特許出願第60/431,719号の優先権を主張し、その全体の内容がここで参照文献として組み込まれる。また、この出願は、米国特許法119条に基づいて、仮米国特許出願第60/461,401号の優先権を主張し、その全体の内容がここで参照文献として組み込まれる。
【0003】
(連邦政府の資金援助による研究または開発に関する声明)
本発明の少なくとも一部の態様は、契約番号N00014−98−1−0597およびNAG−1−01061の下での政府援助によってなされた。政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
【0004】
背景技術の記載において、ある構造や方法に対する参照がなされる。しかしながら、そのような参照は、これらの構造と方法が適切な法律の条文の下での従来技術としての資格を有することの認可として、必ずしも解釈されるべきではない。出願人は、参照された要旨のいずれもが本発明に関して従来技術を構成しないことを示す権利を留保する。
【0005】
用語「ナノ構造」材料(“nanostructure”material)は、C60フラ−レン、フラ−レンタイプの同心状の黒鉛粒子、金属、CdSe,InPなどの半導体化合物などのナノ粒子、Si,Ge,SiOx、GeOxなどのナノワイヤ/ナノロッド、あるいは、カーボン、BxNy、CxByNz、MoS2、およびWS2などの単一または複数元素で構成されたナノチューブ、を含む材料を指定するために、この技術に精通した人によって使用されている。ナノ構造材料の共通の特徴の1つは、それらの基本の基礎単位(buildingblock)である。単一のナノ微粒子またはカーボンナノチューブは、少なくとも一方向で500nm未満である寸法を持っている。これらの種類の材料は、さまざまなアプリケ−ションとプロセスへのかなりの関心をもたらすある特性を現すことが示されてきた。
【0006】
ゾウらの米国特許第6,280,697号および第6,422,450号(どちらも「ナノチューブ基の高エネルギー材料とその製造方法」の名称)は、その開示が、カーボン基ナノチューブ材料の製造とバッテリー電極材料としてのその利用を開示する、その全体がここで参照文献として組み込まれる(特許文献1、2)。
【0007】
米国特許第号(出願番号09/296,572号(「カーボンナノチューブ電界エミッター構造を有するデバイスとそのデバイスの製造方法」の名称)は、その開示が、カーボンナノチューブ基の電子エミッター構造を開示する、その全体がここで参照文献として組み込まれる(特許文献3)。
【0008】
ボーワー等の米国特許第6,630,772号(「薄膜のカーボンナノチューブの電界エミッター構造を有するデバイス」の名称)は、その開示が、高い放出電流密度をもつカーボンナノチューブ電界エミッター構造を開示する、その全体がここで参照文献として組み込まれる(特許文献4)。
【0009】
ボーワーらの米国特許第6,277,318号(「パターン化されたカーボンナノチューブ薄膜の製造方法」の名称)は、その開示が、基体上に、粘着性のパターン化されたカーボンナノチューブ薄膜の製造方法を開示する、その全体がここで参照文献として組み込まれる(特許文献5)。
【0010】
ゾウらの米国特許第6,334,939号(「ナノチューブ基の高エネルギー材料とその製造方法」の名称)は、その開示が、その構成要素の1つとしてアルカリ金属とのナノ構造合金を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。そのような材料は、あるバッテリーアプリケ−ションにおいて役に立つものであると記載されている(特許文献6)。
【0011】
ゾウらの米国特許第6,553,096号(「電界放出カソードを用いるX線発生機構」の名称)は、その開示が、ナノ構造を含む材料を組み込むX線発生装置を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献7)。
【0012】
米国特許出願公開第2002/0140336号(「高められた電子放出および点火特性をもつ被覆された電極」の名称)は、その開示が、第1電極材料、接着促進剤、接着促進層の少なくとも一部に配置されたカーボンナノチューブおよびそのような電極を組み込んだ関連デバイスを開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献8)。
【0013】
米国特許出願公開第2002/0193040号(「高められた電界放出をもつナノチューブ基材料の製造方法」の名称)は、その開示が、その特性を改善するためにナノチューブ基材料中に外来種を導入する技術を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献9)。
【0014】
米国特許出願公開第2002/0094064号(「大きな面積を個別にアドレス可能なマルチビームX線システムおよびそれを形成する方法」の名称)は、その開示が、複数の固定され、個々に電気的にアドレス可能な電界放出電子源例えば、カーボンナノチューブ、をもつX線を発生するための構造を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献10)。
【0015】
米国特許出願公開第2003/0180472号(「ナノ物体を集める方法」の名称)は、その開示が、所望のアスペクト比および/又は化学的な機能性を与えるために処理され得る、前形成されたナノチューブの物体を持つ大きな構造の自己集合(self assembly)の技術を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献11)。
【0016】
上記によって証明されたように、大きなアスペクト比(すなわち、長さが直径よりも実質的に大きい)を持つナノ構造材料、特に、カーボンナノチューブや他のナノ物体は、さまざまなアプリケーション、例えば、照明要素、フラットパネルディスプレイのような電界放出デバイス、過電圧保護用のガス放出管、エックス線発生装置、小さい導電ワイヤ、センサ、アクチュエータ、および走査顕微鏡において使用されているような高解像度のプローブに対して、魅力的にする有望な特性を保有する。
【特許文献1】米国特許第6,280,697号
【特許文献2】第6,422,450号
【特許文献3】米国特許第号(出願番号09/296,572号)
【特許文献4】米国特許第6,630,772号
【特許文献5】米国特許第6,277,318号
【特許文献6】米国特許第6,334,939号
【特許文献7】米国特許第6,553,096号
【特許文献8】米国特許出願公開第2002/0140336号
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0193040号
【特許文献10】米国特許出願公開第2002/0094064号
【特許文献11】米国特許出願公開第2003/0180472号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そのようなデバイス中にその材料を効果的に組み込むことは、その材料を処理する工程で遭遇する困難さによって妨げられた。例えば、レーザアブレーションなどの技術、およびアーク放電方法、溶液合成、化学的エッチング、分子線エピタキシー、化学蒸着、レーザアブレーションなどによって、ナノ構造の材料を形成することができる。しかしながら、これらのナノ構造材料を集める(assemble)ための処理技術はある困難を引き起こした。
【0018】
スクリーン印刷およびスプレーなどの後形成(post-formation)方法は、基板上のカーボンナノチューブなどの前形成(pre-formed)されたナノ物体を堆積するのに利用された。しかしながら、そのような技術はある欠点を引き起こす。例えば、スクリーン印刷は、活性化工程と同様にバインダー材料の使用を必要とする。スプレーは効率が悪い場合があり、大規模な製造には実用的でない。そのうえ、これらの技術では、通常、基板上にナノ構造材料がランダムに分散される。
【0019】
カーボンナノチューブは化学蒸着(CVD)技術の使用で、直接的に基板上に成長する。例えば、J.Hafneretal.,Nature,Vol.398,pg,761,1999および米国特許第6,457,350号および第6,401,526号参照。本技術の1つの潜在的応用が、カーボンナノチューブなどのナノ構造と電気回路から作られた導電ワイヤの形成である。CVD処理は、導電ワイヤを形成するのにCVD技術を使用して特定の位置で電極に取り付けられる導電ワイヤを形成するために使用し得る。しかしながら、そのような技術は、反応性の環境とともに比較的高温度(例えば、600〜1000℃)を必要とし、ナノチューブを効率的に成長させるために触媒作用を用いる。そのような厳しい環境条件に対する要求は、使用できる基板材料の種類を厳しく限定する。さらに、CVD技術ではしばしば多壁カーボンナノチューブ(multi-wall carbon nanotube)をもたらす。これらの多壁カーボンナノチューブは一般に、同じレベルの構造的な完全性を持っていないため、単一壁カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube)と比べると粗悪な電子放出特性を持っている。また、そのような技術によって基板上へナノチューブの直接成長させるのは、堆積したナノチューブの長さ、配向および数を制御するのが難しい。
【0020】
鋭い先端(sharp tip)や突起(projection)などの基板上にカーボンナノチューブなどのナノ物体を個々にあるいは小グループでの堆積を正確に制御するために他の技術が取り組まれた。例えば、Dai, Nature, Vol.384, pas.147-150(1996)およびR.Stevens etal., Appl. Phys. Lett.,Vol.77,pg.3453参照。しかしながら、そのような技術は骨が折れて手間がかかり、効率的な大規模生産またはバッチ処理に適さない。例えば、米国特許第6,528,785号は、プレート状電極が電気泳動溶液中に配置され、ナノチューブが少なくとも電極の1つに堆積される工程を記載する。電極は溶液から引き上げられ、その上に堆積したナノチューブは、更なる処理工程において鋭い先端にするために移される。ナノチューブは、次に、先端に付着したナノチューブの少なくとも一部の上にコーティング材料の堆積を含み得る更なる別の処理工程によって、先端に「溶融溶接」(fusion welded)される。この処理工程は遅く、配向の制御ができない。通常、形成された先端は、1先端あたり1個のカーボンナノチューブ(CNT)を含む。先端とCNT間の界面結合は、弱い傾向がある。1度に多くの先端を作るのは難しい。この処理は複雑かつ長時間かかり望ましくなく、商業スケールの生産に対しては非実用的である。
【0021】
この技術における別の考慮は、ナノ構造材料を用いる電気装置の製造では、電子特性など同じ特性を持つ材料を得ることが必要であるという点である。これは達成されなかった。例えば、レーザアブレーション方法によって合成された単一壁カーボンナノチューブ材料は、金属性および半導体性の性質の両方をもつ材料を含んでいる。現在、それらの特性に基づくナノチューブを分離するための効果的な方法はない。例えば、金属性および半導体性のナノチューブの分離が多くのデバイスアプリケーションに対して必要である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
[概要]
ナノ構造を含む材料の特性に基づいて、比較的温和な条件でナノ構造を含む材料を効率よく有効的に集め分離する技術およびそれらの関連物品が開発された、この方法はバッチスケール処理工程に対して適している。
【0023】
一つの態様によれば、物体の鋭い先端にナノ構造を含む材料を付着する方法は、(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、(ii)少なくとも1つの電極を前記懸濁液中に浸す工程と、(iii)前記鋭い先端を前記懸濁液中に配置する工程と、(iv)前記浸された電極と鋭い先端とに直流または交流を印加し、前記懸濁液中の前記ナノ構造を含む材料の少なくとも一部を前記物体の鋭い先端の頂点に近い部分に付着させる工程と、を有する。
【0024】
別の態様によれば、提供されるワイヤは、0.5nm〜100μmの直径と、10nm〜1cm以上の長さを持ち、ナノ構造を含む材料を有する。
【0025】
別の態様によれば、供給される物体は、1つのナノチューブ、カーボンナノチューブ束、またはナノワイヤでコーティングされた鋭い先端をもち、この物体は、1つの点電場の放出源(point electron field emission source)、原子間力顕微鏡(AFM:atomic force microscope)のプローブ、走査トンネル顕微鏡(STM:scanning electron microscope)のプローブ、透過電子顕微鏡(TEM:transmissin electron microscope)の電子源、走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)の電子源、磁力顕微鏡(MFM:magnetic force microscope)のプローブ、または粗面計(profilometer)のうちの少なくとも1つを有する。
【0026】
別の態様によれば、物体の鋭い先端にナノ構造を含む材料を付着する方法は、(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、(ii)少なくとも1つの電極を前記懸濁液中に浸す工程と、(iii)前記鋭い先端を前記懸濁液中に配置する工程と、(iv)前記浸された電極と鋭い先端とに直流または交流を印加し、前記懸濁液中の前記ナノ構造を含む材料の少なくとも一部を前記物体の鋭い先端の頂点に近い部分に付着させる工程と、を有する。
【0027】
別の態様によれば、供給されるデバイスは、円錐軸を持つほぼ円錐状の鋭い先端と、前記鋭い先端に付着し、前記鋭い先端の円錐軸に沿ってほぼ整列したナノワイヤの長手方向軸が、前記鋭い先端の円錐軸に沿って整列される(alighed)、ナノ構造を含む材料を有する小繊維と、を有し、前記小繊維は0.5nm〜1μmの直径を持つ。
【0028】
別の態様によれば、複数の構成要素(component)間の電気的な接続を作る方法は、(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、(ii)前記懸濁液を前記複数の構成要素と接触させる工程と、(iii)前記複数の構成要素に直流又は交流を印加し、それによって、前記複数の構成要素の間に電場を確立して、前記ナノ構造を含む材料から形成されるワイヤにより前記複数の構成要素を接続させる工程と、を含む。
【0029】
別の態様によれば、提供される配置は、第1の構成要素と、第2の構成要素と、前記第1および前記第2の構成要素の両方に付着したナノ構造を含む材料を有する第1のワイヤであって、前記第1の構成要素と第2の構成要素との間に電気的接続を提供する第1のワイヤとを有する。
【0030】
別の態様によれば、ナノ構造を含む材料のグループを分離する方法は、(i)分離すべきナノ構造を含む材料のグループと液体媒体とを含む混合物を形成する工程と、(ii)前記混合物中に複数の電極を導入する工程と、(iii)前記混合物中で非対称的な電場を確立する工程と、(iv)前記混合物中でナノ構造を含む材料のグループを分極し、それによって、少なくとも第1グループを第1電極に移動させ、第2グループを第2電極に移動させる工程と、(v)前記第1電極で前記液体媒体から少なくとも前記第1グループを回収する工程と、を含む。
【0031】
別の態様によれば、混合物中に含まれる第2粒子グループから第1粒子グループを分離させる方法は、前記第1粒子グループと第2粒子グループの少なくとも1つがナノ構造を含んでおり、前記方法は、(i)複数の電極の配置をする工程と、(ii)前記配置に交流電源を印加する工程と、(iii)前記配置のすぐ近くに前記混合物を運び込む工程と、(iv)前記第1粒子グループを、前記第2粒子グループと異なるように分極する工程と、(v)極性の違いに基づいて、前記第2粒子グループから前記第1粒子グループを分離する工程と、(vi)前記第1粒子グループまたは第2粒子グループの少なくとも1つを回収する工程と、を有する。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「ナノ構造を含む材料」は、C60フラ−レン、フラ−レンタイプの同心状の黒鉛粒子、金属、CdSe,InPなどの半導体化合物などのナノ粒子、Si,Ge,SiOx、GeOxなどのナノワイヤ/ナノロッド、あるいは、カーボン、BxNy、CxByNz、MoS2、およびWS2などの単一または複数元素で構成されたナノチューブ、から少なくとも一部が構成されている材料を意味する。
【0033】
用語「ほぼ円錐形」(generally conical)は、主に円錐形で実在する幾何学的な形状を包含するが、純粋な円錐形状からの様々な構造的な変形を含み得る。これらの変形の範囲は、原子間力顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡、磁力顕微鏡、粗面計(profilometer)、透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡などのプローブ形成において使用される鋭い先端の形成において通常観測されるものであり、そのような鋭い先端を形成するための従来の技術を利用している。
【0034】
用語「ほぼ整列された」(generally aligned)は、最大15度またはわずかに超える程度のアライメントにおける差異を含む。
【0035】
用語「小繊維」(fibril)は、1つのナノ構造粒子、ナノワイヤあるいはナノチューブ、複数のそのような粒子、ナノワイヤあるいはナノチューブ、これらの物体の束、または、複数の同じような束を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の原理に一致し実施例に基づいて実行された方法は、対応する構造とデバイスと共に以下の通り記載される。
【0037】
一般に、本発明の原理に基づいて実行される方法は、以下の工程のいくつかあるいはすべての組み合わせを含むことができる。(1)適切なナノ構造を含む材料を形成する工程、(2)ナノ構造を含む材料を精製する工程、(3)ナノ構造を含む材料を機能化させる工程、(4)ナノ構造の材料を含む溶液または懸濁液を形成する工程、(5)溶液に選択的にチャージャを添加する工程、(6)溶液に電極を浸ける工程であって、ナノ構造の材料が堆積することになっている基板または物体が電極の1つとして機能する工程、(7)直流および/又は交流を印加して、ある期間、電極間に電場を生成し、それにより溶液中のナノ構造の材料を基板電極に向かって移動させて付着させる工程、(8)基板上にナノ構造の材料の連続堆積を許容するために液体と接触して堆積した材料の最上表面を保持しながら、徐々に物体を液体から遠くに引き上げる工程、(9)コーティングされた基板のオープションの後処理工程。これらの一般的な工程のいくつかあるいはすべての組み合わせに単にその処理を限定することは、本発明の範囲ないである。しかしながら、追加の工程と処理とを含み得ることもまた予期される。また、記載された工程のいくつかの組み合わせあるいはすべての特有な一連の方法を実行することが本発明の範囲内であることは理解される。別の態様として、一連の工程がここで記載されるものと異なることができる。
【0038】
この処理は、前処理された、「未精製(raw)」のナノ構造を含む材料、好ましくは、高いアスペクト比を持ち、カーボンナノチューブを含む材料などのナノチューブを含む材料を用いて始まる。この未精製(raw)材料は、単一壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、珪素、酸化珪素、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、窒化炭素、硼素、硼化窒素、ジカルゴゲナイド(dichalcogenide)、銀、金、鉄、酸化チタン、酸化ガラニウム(gallanium oxide)、リン化インジウム、あるいはナノ構造中に密閉された(enclosed)Fe,Co,Niのような磁性粒子のうちの少なくとも1つを含む。好ましい実施例によれば、未精製のカーボンナノチューブを含む材料は単一壁カーボンナノチューブを有する。カーボンナノチューブは上記説明したアーク放電、レーザアブレーションおよび化学蒸着の方法などの適切な技術によって形成することができる。
【0039】
BxCyNzの組成(B=ほう酸、C=カーボン、N=窒素)を持つナノ構造、あるいは、MS2の組成(M=タングステン、モリブデンまたは酸化バナジウム)を持つナノチューブまたは同心のフラ−レン型構造の形態である未精製の材料が利用できることが、本発明によって予想される。これらの未精製の材料は、上記説明したアーク放電のような適切な技術によって形成することができる。
【0040】
背景技術で上記説明したような多くの異なる技術に基づいて技術に精通した人がこの未精製の材料を作ることができる。
【0041】
本発明の別の実施例によると、磁気チューブあるいはナノワイヤは出発材料として使用することができる。例えば、図1で示すように、カーボンナノチューブなどのナノ構造材料100は、磁気粒子110を含むことができる。これらの磁気粒子を形成するいくつかの技術が予想される。そのような技術の1つに化学蒸着方法が含まれる。Fe、Coおよび/又はNiなどの磁気粒子は触媒としてCVD技術中で使用される。炭化水素はカーボン源として使用される。適切な条件のもとでは、磁気粒子はナノチューブ形成のための核サイトとして機能するだろう。磁気粒子110はナノチューブの端部あるいは先端で捕集される。別の実施例によると、単一壁あるいは多壁カーボンナノチューブなどのナノチューブは、適切な技術を使用して出発材料として形成される。次に、出発材料は、ナノチューブの端部を開口するために処理される。次に、磁気粒子は、溶液、電気化学、蒸気相、または固体状態の処理技術によってナノチューブのコア中に挿入される。次に、不動態化層の形成などの適切な方法によって端部は密閉され得る。そのような技術は、米国特許出願第2003/0180472号でより詳細に記載されており、その開示はここで参照文献としてその全体が組み込まれる。
【0042】
図2は上記記載したそのような磁気粒子の例示である。例えば、図2に例示されるように、多壁カーボンナノチューブ200が提供され、その中に証明されるCo粒子210を含んでいる。図3で例示されるように磁気粒子310は、ここでより詳細に開示した方法に基づいて、原子間力顕微鏡のプローブなどの鋭い先端に集められるまたは付着することもできる。
【0043】
ここでさらに説明し例示するように、これらの磁気粒子は、ここでより詳細に開示した方法に基づいて、原子間力顕微鏡のプローブなどの鋭い先端に集められるまたは付着することもできる。上記記載されるようにして作られる磁気先端と画像を描くための物体間の相互作用力を測定することによって、物体の磁気構造を描くことができる。そのような1つの物体は磁気データ記憶媒体を含む。上記記載した磁気粒子の小さいサイズのために、かなり高精度を期待することができる。
【0044】
未精製のナノ構造を含む材料は精製するために晒され得る。未精製の材料の精製するための多くの技術が予想される。好ましい実施例によると、未精製の材料は、過酸化物(H2O2)、1〜40容積%濃度のH2O2、好ましくは約20容積%濃度のH2O2と水の組み合わせなどの適切な溶剤中での環流、その後のCS2中およびメタノール中でのすすぎ、続いてろ過によって精製することができる。模範的な技術に基づいて、媒体中の1〜10mgのナノチューブごとに約10〜100mlの過酸化物が媒体中に導入され、環流反応は、20〜100℃の温度で実行される(米国特許第6,553、096号(出願番号09/679、303)参照)。
【0045】
別の実施例によると、未精製の材料は、酸性媒体、有機溶剤、またはアルコール、好ましくはメタノールなどの適切な液体媒体中に配置される。未精製のナノ構造を含む材料は、高出力の超音波ホーンを使用して数時間液体媒体中で懸濁液中に保持され、懸濁液は多孔性膜を通過される。別の実施例では、未精製のナノ構造を含む材料は、200〜700℃の温度で、空気または酸素環境中での酸化によって精製され得る。未精製のナノ構造を含む材料中の不純物はナノチューブり速い速度で酸化される。
【0046】
また別の実施例では、未精製の材料は、液体クロマトグラフィーによって精製され、不純物からナノチューブ/ナノワイヤを分離することができる。
【0047】
次に、未精製の材料は、オープションに化学エッチングまたは粉砕などのナノチューブとナノチューブ束を短くするための更なる処理に晒される。
【0048】
精製された材料は、上記説明した短くする処理に晒されるか否かに関係なく、100℃〜1200℃のような適切な温度でオープションにアニーリングされ得る。好ましい実施例によれば、アニーリング温度は100℃〜600℃である。この材料は、約1〜60分などの適当な期間アニーリングされる。好ましい実施例によれば、この材料は、約1時間アニーリングされる。この材料は、約10-2torrの真空中あるいはさらに高い真空圧でアニーリングされる。好ましい実施例によると、真空は約5×10-7torrである。
【0049】
上記記載した「未精製(raw)」あるいは前形成された材料は、物体あるいは基板上に堆積および/又は導電ワイヤなどの物品を形成するために溶液中に導入され得る。
【0050】
別の実施例によると、精製されたナノ構造を含む材料は、上記説明した溶液あるいは懸濁液中に配置される前に機能化される。例えば、精製されたナノ構造を含む材料は、その材料を親水性に変えるために強酸中で酸化され得る。これを実行する1つの模範的な処理は、精製されたナノ構造を含む材料をH2SO4およびHNO3溶液中に10〜24時間導入し、超音波エネルギーに晒される工程を含む。別の実施例によると、精製されたナノ構造を含む材料は、ナノ構造を溶解可能にあるいは安定な懸濁液の形成を容易にするために、化学的にあるいは物理的にナノ構造の外表面に化学種を付着することによって、化学的に機能化される。
【0051】
選択される適切な液体媒体は、内部に未精製のナノ構造材料の安定した懸濁液の形成を可能にする。好ましい実施例によると、液体媒体は、水、メタノール、エタノール、アルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびグリセリン(glycerol)のうちの少なくとも1つを含む。この未精製材料を液体媒体に添加した状態で、混合物は、安定した懸濁液の形成を容易にするためにオープションに超音波エネルギーあるいは磁気撹拌バーなどの攪拌の使用に晒される。超音波エネルギーが適用される時間は変更可能であるが、室温で約2時間が十分であることがわかった。
【0052】
安定した懸濁液が形成される限り、液体媒体中の未精製材料の濃度は変更され得る。例えば、メタノールを含む液体媒体とともに、単一壁カーボンナノチューブなどの未精製材料の約0.01mgが液体媒体の1ml当たり存在し(0.01mg/ml)、安定した懸濁液を提供することができる。液体媒体がDMFを含み、単一壁カーボンナノチューブなどの未精製材料の約0.4〜0.5mgが液体媒体の1ml当たり存在し(0.4〜0.5mg/ml)、安定した懸濁液を提供することができる。短くされたカーボンナノチューブが使用されると、安定した懸濁液がより高い濃度で得ることができる。例えば、水中で短くされたナノチューブの約0.1mg/mlの安定した分散物を形成することができる。別の例では、化学処理によって親水性にされた単一壁カーボンナノチューブ束は水中で分散される。ナノチューブ濃度は所望の堆積速度に応じて調整される。
【0053】
1つの実施例によると、チャージャは、電気泳動堆積を容易にするために懸濁液に加えられる。そのような好ましいチャージャの1つは、MgCl2である。他の可能なチャージャは、Mg(NO3)2、La(NO3)3、Y(NO3)3、AlCl3および水酸化ナトリウムを含む。いかなる適切な量も利用することができる。1重量%未満から50重量%までの範囲の量、ナノ構造を含む材料の量まで測定されるように、が適している。好ましい実施例によると、懸濁液は1%未満のチャージャを含み得る。
【0054】
本発明の別の実施例に従って、カーボンナノチューブの少量は水中に分散される。懸濁液は、カーボンナノチューブの均質な分散を達成するために音波粉砕される。この懸濁液にはチャージャは加えられない。所望の物体上にカーボンナノチューブを堆積するために交流非電気泳動技術(alternating current dielectrophoresis)が使用される。交流場の下では、カーボンナノチューブは分極されて、電場濃度、交流電場の周波数、および液体とカーボンナノチューブの誘電定数に依存しながら電場方向に移動し得る。
【0055】
次に複数の電極が懸濁液中に導入される。好ましい実施例によると、2つの電極が利用される。電極の1つはナノ構造の材料が堆積することになっている物体を含む。必要な程度の電気導電率をもつ限り、いかなる適切な物体あるいは基板の材料も予想される。好ましい実施例によると、物体は金属あるいはドーピングされたシリコンである。別の好ましい実施例によると、電極の少なくとも1つは、1つ以上の鋭い先端を含んでいる。
【0056】
交流または直流が電極に印加され、それによって、電極間に電場が生成される。これによって、懸濁液中のナノ構造材料は基板電極向かって移動し付着する。1つの実施例によると、電極間に印加された電場は0.1〜1000V/cmであり、0.1〜200mA/cm2の直流が1秒〜1時間印加される。別の実施例によると、10Hz〜10GHzの周波数で交流が印加される。
【0057】
好ましい実施例によると、上記記載された電気泳動堆積は室温で実行される。
【0058】
堆積されたナノ構造の材料の構造と形態と同様に堆積速度は多くの要素によって影響を受け得る。そのような要素は、懸濁液中でのナノ構造材料の濃度、懸濁液中に存在するならばチャージャ材料(例えば、MgCl2)の濃度、物体の導電率、電源の制御(すなわち、交流が印加されるときの印加する電流、電圧条件、周波数)を含む。
【0059】
例えば、直流が印加されるとき、ナノ構造材料が移動する特定の電極(すなわち、アノードあるいはカソード)は、チャージャ材料の選択を通して制御することができる。例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)などの負のチャージャを使用すると、ナノ構造材料に負のチャージを与えて、それによりナノ構造材料が正電極(カソード)に向かって移動する傾向を生成する。逆に、MgCl2のような正のチャージャ材料を使用すると、ナノ構造材料に正のチャージを与えて、それによりナノ構造材料が負電極(アノード)に向かって移動する傾向を生成する。
【0060】
交流場が使用されると、ナノ構造材料が移動する特定の電極は、交流周波数の選択、ナノ構造材料に比較する液体の誘電定数、電場濃度および電極の幾何学的形状によって制御することができる。
【0061】
その上に堆積されたナノ構造を含む材料を持つコーティングされた物体は、オープションに、更なる処理に晒され得る。例えば、コーティングされた物体は、液体媒体を除去するためにアニーリングされ得る。そのようなアニーリング手順は、残留懸濁媒体などの不純の除去がナノ構造材料と物体間の電気的および熱的接触および結合を改良するので、好ましいかもしれない。例として、コーティングされた基板は、約100〜1200℃の温度で約1時間、次に、約800℃で2時間、どちらも約5×10-7torrの真空で加熱され得る。
【0062】
別の実施例によると、カーボンナノチューブの基板への付着は、バインダー、カーボンを溶かすあるいはカーバイドを形成する金属などの接着を促進する材料の組み込みおよび高温アニーリングによってさらに改良することができる。これらの材料は、例えば、以下の処理、ナノ構造と接着促進材料の粒子との共堆積、連続した堆積、あるいは接着促進材料の層の前堆積などの1つによって挿入することができる。
【0063】
1つの実施例では、高分子バインダーなどのバインダーは、ナノ構造を含む材料の懸濁液に加えられ、次に、均質な懸濁液を得るために攪拌される、あるいは、音波粉砕される。適切な高分子バインダーは、ポリ(ビニール ブチィラル−コ−ビニールアルコール−コ−ビニールアセテート)およびポリ(フッ化ビニリデン)を含む。適切なチャージャは、直流あるいは交流の印加された電場の下で、バインダーとナノ構造が、ナノ構造とバインダーの親密な混合物を用いるコーティングを形成するために同じ電極に移動するように選択される。
【0064】
別の実施例では、チタン、鉄、鉛、スズ、コバルトのような小さい金属粒子は、ナノ構造を含む材料の懸濁液中は混合される。適切なチャージャは、印加された電場の下で、金属粒子とナノ構造が、金属とナノ構造の親密な混合物を用いるコーティングを形成するために同じ電極に移動するように選択される。堆積の後に、コーティングされた物体は真空中で基準の10-3torrの真空圧またはそれ以上で0.1〜1時間アニールされる。好ましくは、粒子の直径は1μmより小さい。
【0065】
バインダーあるいは接着促進材料はいかなる適切な量でも加えることができる。ナノ構造を含む材料の量に比例して測定された0.1〜20重量%の範囲の量が予想される。
【0066】
別の実施例では、ナノ構造でコーティングされるべき物は、最初に、チタン、鉄、鉛、スズ、コバルト、ニッケル、タンタル、タングステン、ニオビウム、ジルコニウム、バナジウム、クロムまたはハフニウムなどの接着促進金属の少なくとも1層でコーティングされる。層は、電気化学メッキ、熱蒸発、スパッタリングまたはパルスレーザ堆積などの技術によって形成され得る。ナノ構造の電気泳動堆積の後に、膜は基準真空圧が10-3torrあるいはそれより大きい圧力で0.1〜10時間アニーリングされる。
【0067】
上記記載された処理は高い生産高と自動化によく適合していて有利である。また、これらの処理は非常に万能である。本発明の方法はナノ構造を含む材料を含む物品の製造にで役に立ち、その材料は、多くの異なったアプリケーションにおける使用に対して有益とする特性を有する。この処理は、より大きいあるいはDNAを含む巨大分子と同様に、マイクロメータのサイズあるいはそれより大きいサイズの物品を作り出すのに使用することができる。
【0068】
一般に、本発明の方法は、粗面計(profilometer)、電子顕微鏡用のプローブ、X線発生装置などのデバイス用の電界放出カソード、ガス放出管、照明デバイス、電子レンジパワーアンプ、イオン銃、電子線リソグラフィーデバイス、高エネルギー加速器、自由電子レーザおよびフラットパネルディスプレイなどへの組み込みのためのナノチューブおよび/またはナノロッド材料を供給することにおいて特に有益である。例えば、開示された電気泳動方法は、カーボンナノチューブあるいはナノワイヤの1つずつあるいは1つの束を鋭い先端に堆積するために使用され得る。例えば、この鋭い先端は、原子間力顕微鏡(AFM)、走査トンネル顕微鏡(STM)、磁力顕微鏡(MFM)、および化学力顕微鏡(CFM)を含む顕微鏡に使用される先端となり得える。また、この方法は、カーボンナノチューブあるいはナノ構造材料の連続繊維あるいは長繊維の製造に誘導することができる。この方法はさらに、電気回路中にナノ構造の材料を使用して電気的な内部接続を作るのに使用することができる。
【0069】
上記概説された本発明の原理と一致している特定の技術とそれに関連した物品は、これより例示の目的のために記載されるだろう。
【0070】
そのような技術の1つは、図4Aと4Bで例示されるようにナノチューブやナノワイヤなどのナノ構造を含む材料の希薄な懸濁液が最初に準備される。対電極410は最初に、懸濁液420中に浸される。金属先端430は第2電極として使用される。例えば、金属先端は、タングステンワイヤなどの標準金属ワイヤを化学エッチングすることによって形成することができる。金属先端430は、最初に、ナノ構造を含む材料が堆積されるべき鋭い先端を有する懸濁液420の表面に垂直にかつ懸濁液420の最上表面のわずか上に配置される。次に、先端430は徐々に懸濁液420の表面に向かって移動される。電源440は電極410および先端430と電気的に接続される。電流計のようなメーターは、対電極と金属先端間の電流をモニターするために使用し得る。さらに、適切な光学的な拡大デバイスが金属先端430と懸濁液表面420間のギャップをモニターするために使用し得る。先端430が懸濁液420の表面に触れるとき、2つの電極間を通過する電流が検出される。懸濁液中のナノ構造含有材料の濃度と使用した電場に依存しながら、先端430は、接触した状態で所定時間留まるようにされる。電源440を経由して直流又は交流によって電圧が2つの電極間に印加される。次に、電圧は所定時間の後、止められ、先端430は堆積処理を止めるために懸濁液上に上げられる。別の例では、図4Bで例示されるように、電圧はオンのままで残し、先端430が懸濁液420から徐々に引き上げられ、それによって先端430に付着したナノチューブ450のワイヤあるいはストランドを形成することができる。先端430へ回転および/又は線運動を伝えるためのステージあるいはローラーでありえるデバイス460は、組み込まれるかもしれない。先端430が引き上げられる速度は、先端430に付着したナノ構造材料の最上の表面のみが懸濁液420中に接触されるようにナノ構造材料450の堆積速度に基づいて制御される。真空中でその上に付着したカーボンナノチューブ450あるいは他のナノ構造を有する金属先端430もまた、先端とナノ構造間の接着を増加させるためにアニールされ得る。
【0071】
本発明の別の実施例は、図5Aおよび5Bを参照して記載される。すでに開示した材料のいずれかのナノ構造を含む材料は、好ましくはカーボンナノチューブは、水などの適切な溶剤中で、0.01g/lの濃度で分散される。懸濁液は、材料が液体中で均質に分散されるように音波粉砕される。ナノチューブ/水の懸濁液510の小滴は、金属O−リング520に加えられる。例えば、金属O−リング520は可動であり、平行移動ステージ(図示せず)に取り付けられている。金属先端530は、金属O−リング520にも接続されている電源540と電気的に接続される。初めは、金属先端530は小滴510と接触していない。好ましい実施例において、セットアップは光学顕微鏡の下に置かれる。20V、10MHzの交流信号は、交流電源540によって確立される。顕微鏡下で、先端530は徐々に小滴510に向かって移動される。物理的に接触した後で、約1〜60秒間、その電場に保持される。次に、先端530は液体から徐々に取り除かれる。金属先端530が小滴510と物理的に接触すると、電気回路が形成され、金属先端530と金属O−リング520が2つの電極として作用する。図5Bに示されたように、交流場のもとで、ナノ構造550は分極される。電極が非対称であるので、電場は均等に分配されないで、先端の周りが濃縮される。それによって、ナノ構造550、例えば、ナノチューブは、図5Bに例示されるように、先端530に引き寄せられる。ナノ構造濃度と堆積時間とを調整することによって、1つのカーボンナノチューブあるいはカーボンナノチューブ束などの1つあるいはグループのナノ構造は、金属先端に付着され得る。
【0072】
上記記載された手順の1つの可能な変形として、交流電場よりむしろ直流電場が先端530と対電極あるいはO−リング520間で確立される。MgCl2のような適切なチャージャは懸濁液に加えられる。電場の下で、ナノ構造550あるいはナノチューブは先端530に向かって移動し、先端の表面に付着する。
【0073】
本発明の別の実施例では、ナノ構造を含むワイヤは、好ましくはカーボンナノチューブであり、図4A、4B、5Aおよび5Bを参照して記載された1つと同様の技術によって作られる。図4Bと5Bに示されたように、交流電場が確立されると、液体中のナノ構造450、550あるいはカーボンナノチューブは、分極されて、電場の方向に整列される。次に、非対称的な電場の下では、ナノ構造450、550は、電場がより高い、鋭い電極先端430,530に向かって移動する。次に、ナノ構造450、550は、最初に電極の最外表面である先端430,530に付着する。多くのナノ構造450、550が引き出されて付着すると、付着した最も外側のナノ構造450、550あるいはカーボンナノチューブは、電極の最も外側の表面になる。上記処理(図9参照)によってナノ構造材料の長い連続ワイヤを形成することができる。回転速度、電場、電場の周波数、およびナノ構造材料を分散した液体濃度を最適化することによって、ナノ構造材料の連続繊維の1巻を作ることができる。ワイヤの長さは、電流および使用される懸濁液中のナノ構造の濃度などのパラメータによって制御される。堆積の後に、ワイヤはアニーリングなどによってさらに処理されて、機械的強度が増加し、機能性を変更することができる。
【0074】
繊維の更なる処理の工程が上記記載された堆積処理中に統合することができることが更に予想される。例えば、繊維の特性が1工程における形成処理の間に高められるようにするために、液体から引き上げられたワイヤあるいは繊維が、デバイス460と液体の間に配置された炉を通過して走る(run)ことが可能である。また、高分子溶解物あるいは高分子溶液などの異なる種類の材料を含む浴槽を通って繊維を走ることができることが予想される。液体から最初にナノ構造材料の繊維を引き出し、次に、液体通過して移動することによって、高分子が浸積して繊維をコーティングし、その結果、ナノ構造材料と高分子の複合物を形成するであろう。
【0075】
一般に上記記載されたこの種の処理および/又は装置の例示的な実施例は、図6で例示される。例示された実施例によると、電極610は容器620中に配置される。容器620は、次に、ナノ構造材料630を含む媒体で満たされる。ナノ構造を含む材料640の連続ストリングあるいはストランドは以下に示すように媒体630から引き出されることができる。ロール650の形態での対電極は、初めに、媒体630の表面と接触して配置される。対電極650は、次に、媒体630の最上表面から離れている方向に移動され、電源660は電極610と対電極650間に交流ポテンシャルを供給する。ここで詳しく記載されたように、媒体630に含まれるナノ構造含有材料は対電極650に付着し、次に互いに付着し、連続ストリングあるいはストランド640を形成することができる。ナノ構造を含む材料640のストリングあるいはストランドは、オープションに、媒体630中に含まれている液体などを除去するのに利用することができる加熱装置あるいは炉670を通過させることができる。別の変形によると、一連のロール680は、様々な追加処理工程を通してさらにストリングあるいはストランド640を輸送するために利用され得る。例えば、図6で例示されるように、ストリングあるいはストランド640は、第2の媒体690を通してストリングあるいはストランド640を通過させることができる。この第2の材料は、ナノ構造を含む材料のストリングあるいはストランド640と結合することが期待されるものである。例えば、媒体690は、ナノ構造を含む材料のストリングあるいはストランド640に浸積し、それによって複合繊維を形成することができる高分子溶解物を含むことができる。媒体690は、容器695中に配置される。ストランド640は次に容器695から引き上げられて処理の追加工程に輸送される、あるいは、最終ロール680上に集められる。ナノ構造を含む材料のストリングあるいはストランド640は、単一壁カーボンナノチューブを含むあるいは主成分として含む。別の例では、ナノ構造を含む材料は、本開示で前に言及したナノ構造を含むあるいは主成分として含むことができる。
【0076】
本発明の別の実施例では、同時に多くの鋭い先端の同時処理のためのバッチタイプの処理が予想される。図7で例示されるように、先端710のグループは、出発材料からエッチングすることによって直接形成される、あるいは、ホルダー720上に配置される。カーボンナノチューブなどのナノ構造730の懸濁液は、容器740中に配置される。同じ容器中に、平たんな金属電極750がある。交流電源760はホルダー720と平たんな電極750に接続される。交流電場は、先端710と平たんな電極750間で確立される。周波数の一例は1KHz〜10GHzである。容器740は、先端710が懸濁液730の表面と接触するまで上げられる(あるいは先端710が下ろされる)。固定された休止時間(例えば1秒から10秒)の後に、先端710が懸濁液730から分離される。電流、懸濁液中のナノ構造を含む材料の濃度、休止時間を制御することによって、1つのナノ構造あるいはカーボンナノチューブ、あるいはナノ構造あるいはカーボンナノチューブ束のグループが各先端に付着されることが可能である。堆積の後に、先端710は結合強度を増加させるために更に処理され得る。コーティングされた先端は、AFM、STMまたは他の走査型プローブ顕微鏡用のプローブとして、センサ用の微小電極として、または、電気化学的セルとして使用することができる。
【0077】
別の実施例において、ナノ物体を含むワイヤは、電気回路中の異なった構成要素間を電気接続するために所定のパターン中に集められて形成される。1つの特別な例が図8Aと8Bに例示される。カーボンナノチューブなどのナノ物体を含む液体の小滴850は、回路基板の構成要素であり得る4つの構成要素810,820、830および840によって画定される領域に配置される。交流電場などの電場は、ナノ物体またはナノチューブを含むワイヤ860が形成されて810と830とを接続するまで、最初に2つの構成要素間、例えば、810と830間で確立される。次に、前述のナノ物体を有するワイヤが形成されて820と840を接続するまで、820と840間に電場が確立される。その結果、4つの構成要素810〜840の間で交差している電気的な接続が確立される。
【0078】
図9A〜9Eは、本発明に基づいて形成されたカーボンナノチューブあるいはナノワイヤ920が付着した鋭い金属先端910のSEM画像である。図9Cは、本発明の処理によってタングステン先端に付着した単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)束を含むワイヤの走査電子顕微鏡(SEM)画像である。模範的な実施例によると、小繊維(fibril)の直径は10μm未満であり、好ましくは0.5nm〜10μmであり、より好ましくは1μm未満であり得る。小繊維の長さは50nm〜50μm、好ましくは30μm未満であり得る。本発明に基づいて構成された先端は、1〜10mAオーダの安定な電子放出電流の能力がある。
【0079】
図10は、小繊維Fがほぼ円錐軸Acに沿って配向されるような方法で、一般に長手方向の軸AFを持っている小繊維Fが円錐軸Acを有するほぼ円錐形状の鋭い先端Tに付着していることを示す概要図である。すなわち、軸AFと軸Acは、互いに関して約15°未満、好ましくは約10°未満である角度αを定める。
【0080】
本発明に基づいて作られたカーボンが付着した先端は、原子間力顕微鏡、走査トンネル顕微鏡、磁力顕微鏡、および化学力顕微鏡を含む走査型プローブ顕微鏡中で使用することができる。カーボンナノチューブなどのナノ構造材料の大きいアスペクト比と小さい直径のために、より良い画像品質を得ることができる。例えば、図11は、先端に集められたナノ構造1120をもつ典型的な原子間力顕微鏡のプローブ1110を例示する。図12はその上に整列したナノ構造1220を持つ走査電子顕微鏡の先端1210を例示する。図13は先端に集められたナノ構造1320をもつSpindt型の電界エミッタ1310である。
【0081】
本発明の別の態様によると、その特性の違いに基づいてナノ構造材料を分離するための技術および配置が提供される。1つ以上のナノ構造を含む材料の混合物を含む材料は分離することができる。例えば、カーボンナノチューブなどの金属性および半導体性のナノ構造は、2つの下位集団に分離することができる。例えば、1つの下位集団は、金属性カーボンナノチューブだけを含み、もう片方のサブグループは半導体性のカーボンナノチューブだけを含む。1つの特別な例では、予め作られた単一壁カーボンナノチューブは水中で分散される。より好ましくは、単一壁カーボンナノチューブは、最初に、不純物相を取り除くための適切な技術によって精製される。非対称の交流電場は、2つの電極間に交流電圧を印加することによって、液体中に確立される。非対称の電場を確立する1つの方法は、異なった幾何学的形状をもつ2つの電極を使用することである。例えば、1つの電極は平らな幾何学的形状を持ち、他方の電極は、鋭い突起(sharp protrusion)を持つ。交流電場の周波数は調整される。電子特性の違いのために、金属性と半導体性のカーボンナノチューブの分極は、異る周波数依存性があるだろう。最適な周波数の下で、金属性カーボンナノチューブは半導体性カーボンナノチューブより突起をもつ電極に向かって速く動くであろう。別の状況では、ある条件で、金属性カーボンナノチューブが1つの電極に向かって移動するが、半導体性カーボンナノチューブが反対の電極に向かって移動するように、使用される周波数と液体とを調整することが可能である。ある時間電場を印加した後に、それぞれの材料のグループを反対の電極の液体表面から集めることができる。また、ここで記載された方法は、未精製の材料中に存在する磁気粒子からカーボンナノチューブを分離するために使用され得る。この方法はカーボンナノチューブに限定されない。その電子特性および/又は幾何学的形状に基づいて他のナノ物体を分離するのに使用することができる。
【0082】
本発明に基づいて分離技術/配置の別の例示的な実施例が図14で示される。
【0083】
配置1400は、特定のパターンに基づいて配置された複数の電極1402、1404を含む。例示の実施例によると、電極1402、1404は互いに関して90°の角度で配置されている。しかしながら、多数の他の電極が予想されることは認識されるべきである。電源1406は交流を電極1402、1404に供給する。不均等な電場は、電極1402、1404を通る交流の流れによって引き起こされるフリンジング効果(fringing effect)をもたらす。例示の実施例において、比較的高い強度の電場1408の領域が生成される。また、さらに、比較的低い電場強度1410の領域が生成される。
【0084】
配置1400は、1412で概略的に例示されるチャンバーまたはチャンネル内に配置され得る。第1種の粒子1416と第2種の粒子1418を含む混合物は、チャンバーまたはチャンネル1412中に導入され得る。少なくとも2つの異なる種類の粒子を含む混合物は、多くの形態を取ることができる。例えば、粒子1416と1418の少なくとも1つは、ナノ構造を含む材料を含むことができる。1つの例によると、粒子1416と1418は、液体媒体中に配置される。別の例によると、混合物は、第1種のナノ構造を含む材料粒子1416と第2種の異なるナノ構造を含む材料粒子1418とを含み、液体媒体中に配置される。液体媒体は、その一端からチャンバーまたはチャンネル1412中に導入され、例えば、一般に、矢印Fによって示された方向に流れを引き起こし得る。その特性の差異によって粒子1416と1418は分極され、あるいは異なった方法で印加された電場によって影響を受ける。例えば、第1種の粒子1416は印加された電場によって負に分極され、第2種の粒子1418は印加された電場によって正に分極されるかもしれない。したがって、分極における差異によって、第2種の粒子1418は、比較的高い強度電場領域1408中に保有され、捕集されて、電極1402、1404に接着し得る。対照的に、第1種の粒子1416は、その極性によって比較的高い強度電場領域1408に引きつけられないが、その代わりに、図14の矢印Fで示した方向への比較的低い強度電場の領域1410内に流れることができる。この様に、第1粒子1416は、チャンバーまたはチャンネル1412内の川下に流れることができ、電極から離れた位置に集めることができる。第2種の粒子1418は、電場1408中に保管され、および/又は電極1402、1404に接着し、その結果、そこから回収することができる。
【0085】
別の例示的な分離技術/配置の実施例は図15に含まれる。配置1500は、複数のパターン化された電極1502、1504、1506、および1508を含む。交流はこれらの電極に印加され、1つの実施例による交流は、これらの電極のすべてに関して等しい大きさである。しかしながら、電流は他の電極に対して位相が90°異なるようにして印加される。次に、配置1500は少なくとも第1種および第2種の粒子1510、1512を含む混合物中に配置される。混合物は前に記載した混合物の種類のいずれかを含み得る。第1種および第2種の粒子1510、1512上に印加された電場によって引き起こされる差異および効果によって、これらの粒子と電極1502、1504、1506および1508との相互作用は、相対的な動きがそれぞれの粒子に伝えられる。動きの特定の方向は2つの異なった種類の粒子1510,1520のそれぞれの分極率に依存する。したがって、粒子の1つ、例えば、1510は図15で例示されるように配置1500の中心に向かって移動するようになり、他方の粒子1512は配置1500の中心から離れた方向に向かって移動するようになる。したがって、粒子の2つのグループはこの様にして分離される。第1グループの粒子1510は配置1500の中心から集めることができて、実際には電極1502、1504、1506、および1508に接着しているかもしれない。第2グループの粒子1512は配置1500から離れた方向に移動し、その結果、そこから離れた位置で回収することができる。
【0086】
本発明の原理は、以下の実施例を参照して更に記載されるが、実施例に制限されるものではない。
【0087】
[実施例]
化学エッチングによって調整されたタングステン先端は作用電極として使用され、対電極として小さい金属プレートあるいはリングが使用される。それらは別々に平行移動ステージ(translation stage)に配置され、光学顕微鏡の下に配置された。単一壁カーボンナノチューブは最初に精製され、束の長さが約2μmまでエッチングされ、化学的酸化によって親水性が付与される。次に、脱イオン水中で分散された。ナノチューブ懸濁液の小滴は金属リング中に置かれた。堆積を始めるために、交流電場(2MHz、10V)が最初に2つの電極間に印加された。先端電極はナノチューブ/水懸濁液と接触するために水平に平行移動されて、所望の長さを持つ小繊維(fibril)が形成されるまで、電場下で徐々に引き上げられた。
【0088】
堆積後、付着したナノチューブの小繊維を持つ金属先端は、残留溶剤を取り除き、金属先端へのナノチューブの接着とナノチューブ間の接着を増加させるために、800℃、10-6torrの真空で1時間アニーリングされた。
【0089】
これら先端の電場放出特性は、カソードとしてマイクロメータヘッド上に配置された先端と、アノードとして反対の金属プレートを用いて、点平面幾何学的形状(point-plane geometry)を使用して測定された。2つの間の距離は、マイクロメータヘッドを平行移動することによって調整され、約200mmに固定された。セットアップは真空チャンバー中に5×l0-7Torrの基準圧で配置された。先端からの総放出電流は、印加電圧の関数として集められた。図16および挿入図は、約50nmの先端径を持つ先端から集められたデータを示す。放出電流−電圧特性は、ln(1/V2)と1/Vの間に直線関係を持つ古典的なファウラーノーデイム(Fowler-Nordheim)タイプの挙動を示した。放出電流は、1000V未満の印加電圧で5mAに達し、その放出電流密度は2.5×l0-5A/cm2である。
【0090】
放出の安定性は、電圧を固定した直流(DC)モードで放出電流の変化を10時間連続してモニターすることによって測定された。図17は、3つの異なった電圧で連続して測定される先端(直径約50nm)からのデータを示す。放出電流は、印加電圧を800Vおよび1000Vにそれぞれ固定されたとき、1mAおよび2.8mAで安定しており、放出電流の総合的な劣化(overall decay)はなかった。カソードと直列結合の安定抵抗(ballast resistor)を用いて、局所的な電流の変動は、1mAで5%、2.8mAで2.5%であると計算された。同じサンプルからの放出電流は、電圧がさらに1200Vに増加したときに5.5mAに達したが、それから突然1時間後ゼロまで落ちた。それより高い電圧ではいかなる電流も検出されなかった。SEMによる調査はタングステンワイヤの破損と図17で示されるような全先端の消滅から壊滅的な損傷を明らかにした。これはタングステンと小繊維の界面での抵抗加熱によるものである。別の準備された先端では、6.5mAの安定した電流は得られた。安定抵抗を用いないこのサンプルの電流変動は、約12%であり、安定化されていない個々の単一壁カーボンナノチューブから報告される値に匹敵する。
【0091】
図18で例示されるように、先端1800からの放出パターンを記録するために、上記の測定で使用した金属アノードは、燐コーティングされたITO(酸化インジウムスズ)ガラス1810と取り替えられた。放出された電子によって燐光体スクリーン上に形成された画像1820は、真空チャンバーの外に置かれたCCDカメラによって記録された。放出画像1820は多壁ナノチューブ/先端から得られた。1つの放出スポットは全操作電圧で観測され、それぞれのタングステン先端に固定された1個の詰まっているカーボンナノチューブしかないことを示したSEM結果と一致していた。1400Vで燐光体スクリーンの上の明るいスポットの直径は、約200mmであり、50°のビームの広がり角度を示している。大きい広がり角度は、ナノチューブから電界放出電子の本質的な広がり角度よりむしろ点平面幾何学的形状における電場分布に起因する。
【0092】
本発明は上記説明した実施例を参照して記載され、ある変更と変形は当業者に対して明白になるだろう。したがって、本発明は付属の請求の範囲と精神だけによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】ナノ構造を含む材料の概要を示す図である。
【図2】ナノ構造を含む材料のTEM画像である。
【図3】開示された方法によって物体上に集められた図1と図2のナノ構造を含む材料の概要を示す図である。
【図4A】、
【図4B】開示された方法によって行われる処理の1つの実施例の概要を示す図である。
【図5A】、
【図5B】開示された方法によって行われる処理の更なる実施例の概要を示す図である。
【図6】処理を行う装置の実施例の概要を示す図である。
【図7】処理を行う装置の別の実施例の概要を示す図である。
【図8A】、
【図8B】本発明の原理によって行われる処理の更なる実施例の概要を示す図である。
【図9A】、
【図9B】、
【図9C】、
【図9D】、
【図9E】カーボンナノチューブあるいはナノワイヤの小繊維が付着した、拡大されたSEM画像の先端である。
【図10】小繊維が先端に付着したときの様々な配向の関係を示す概要図である。
【図11】本発明の別の実施例に基づいて形成された更なる物体の概要を示す図である。
【図12】本発明の別の実施例に基づいて形成された別の物体の概要を示す図である。
【図13】本発明の別の実施例に基づいて形成された更なる物体を示す図である。
【図14】本発明に基づく分離の配置および/又は技術の概要を示す図である。
【図15】本発明に基づく別の分離の配置および/又は技術の概要を示す図である。
【図16】本発明に基づいて形成されたデバイスに対して、印加電圧に対する放出電子電流をプロットした図である。
【図17】本発明に基づいて形成されたデバイスに対して、時間に対する放出電子電流をプロットした図である。
【図18】本発明に基づいて形成されたデバイスに対して、点電場の放出源と放出パターンを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体にナノ構造あるいはナノチューブを含む材料を堆積させる方法、ナノ構造またはナノチューブを含む材料を分類する方法、ナノ構造またはナノチューブを含む材料から物品を形成する方法、ナノ構造またはナノチューブを含む材料を分類する為の方法、および関連する構造およびデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法119条に基づいて、仮米国特許出願第60/431,719号の優先権を主張し、その全体の内容がここで参照文献として組み込まれる。また、この出願は、米国特許法119条に基づいて、仮米国特許出願第60/461,401号の優先権を主張し、その全体の内容がここで参照文献として組み込まれる。
【0003】
(連邦政府の資金援助による研究または開発に関する声明)
本発明の少なくとも一部の態様は、契約番号N00014−98−1−0597およびNAG−1−01061の下での政府援助によってなされた。政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
【0004】
背景技術の記載において、ある構造や方法に対する参照がなされる。しかしながら、そのような参照は、これらの構造と方法が適切な法律の条文の下での従来技術としての資格を有することの認可として、必ずしも解釈されるべきではない。出願人は、参照された要旨のいずれもが本発明に関して従来技術を構成しないことを示す権利を留保する。
【0005】
用語「ナノ構造」材料(“nanostructure”material)は、C60フラ−レン、フラ−レンタイプの同心状の黒鉛粒子、金属、CdSe,InPなどの半導体化合物などのナノ粒子、Si,Ge,SiOx、GeOxなどのナノワイヤ/ナノロッド、あるいは、カーボン、BxNy、CxByNz、MoS2、およびWS2などの単一または複数元素で構成されたナノチューブ、を含む材料を指定するために、この技術に精通した人によって使用されている。ナノ構造材料の共通の特徴の1つは、それらの基本の基礎単位(buildingblock)である。単一のナノ微粒子またはカーボンナノチューブは、少なくとも一方向で500nm未満である寸法を持っている。これらの種類の材料は、さまざまなアプリケ−ションとプロセスへのかなりの関心をもたらすある特性を現すことが示されてきた。
【0006】
ゾウらの米国特許第6,280,697号および第6,422,450号(どちらも「ナノチューブ基の高エネルギー材料とその製造方法」の名称)は、その開示が、カーボン基ナノチューブ材料の製造とバッテリー電極材料としてのその利用を開示する、その全体がここで参照文献として組み込まれる(特許文献1、2)。
【0007】
米国特許第号(出願番号09/296,572号(「カーボンナノチューブ電界エミッター構造を有するデバイスとそのデバイスの製造方法」の名称)は、その開示が、カーボンナノチューブ基の電子エミッター構造を開示する、その全体がここで参照文献として組み込まれる(特許文献3)。
【0008】
ボーワー等の米国特許第6,630,772号(「薄膜のカーボンナノチューブの電界エミッター構造を有するデバイス」の名称)は、その開示が、高い放出電流密度をもつカーボンナノチューブ電界エミッター構造を開示する、その全体がここで参照文献として組み込まれる(特許文献4)。
【0009】
ボーワーらの米国特許第6,277,318号(「パターン化されたカーボンナノチューブ薄膜の製造方法」の名称)は、その開示が、基体上に、粘着性のパターン化されたカーボンナノチューブ薄膜の製造方法を開示する、その全体がここで参照文献として組み込まれる(特許文献5)。
【0010】
ゾウらの米国特許第6,334,939号(「ナノチューブ基の高エネルギー材料とその製造方法」の名称)は、その開示が、その構成要素の1つとしてアルカリ金属とのナノ構造合金を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。そのような材料は、あるバッテリーアプリケ−ションにおいて役に立つものであると記載されている(特許文献6)。
【0011】
ゾウらの米国特許第6,553,096号(「電界放出カソードを用いるX線発生機構」の名称)は、その開示が、ナノ構造を含む材料を組み込むX線発生装置を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献7)。
【0012】
米国特許出願公開第2002/0140336号(「高められた電子放出および点火特性をもつ被覆された電極」の名称)は、その開示が、第1電極材料、接着促進剤、接着促進層の少なくとも一部に配置されたカーボンナノチューブおよびそのような電極を組み込んだ関連デバイスを開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献8)。
【0013】
米国特許出願公開第2002/0193040号(「高められた電界放出をもつナノチューブ基材料の製造方法」の名称)は、その開示が、その特性を改善するためにナノチューブ基材料中に外来種を導入する技術を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献9)。
【0014】
米国特許出願公開第2002/0094064号(「大きな面積を個別にアドレス可能なマルチビームX線システムおよびそれを形成する方法」の名称)は、その開示が、複数の固定され、個々に電気的にアドレス可能な電界放出電子源例えば、カーボンナノチューブ、をもつX線を発生するための構造を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献10)。
【0015】
米国特許出願公開第2003/0180472号(「ナノ物体を集める方法」の名称)は、その開示が、所望のアスペクト比および/又は化学的な機能性を与えるために処理され得る、前形成されたナノチューブの物体を持つ大きな構造の自己集合(self assembly)の技術を開示する、その全体が参照文献としてここで組み込まれる。(特許文献11)。
【0016】
上記によって証明されたように、大きなアスペクト比(すなわち、長さが直径よりも実質的に大きい)を持つナノ構造材料、特に、カーボンナノチューブや他のナノ物体は、さまざまなアプリケーション、例えば、照明要素、フラットパネルディスプレイのような電界放出デバイス、過電圧保護用のガス放出管、エックス線発生装置、小さい導電ワイヤ、センサ、アクチュエータ、および走査顕微鏡において使用されているような高解像度のプローブに対して、魅力的にする有望な特性を保有する。
【特許文献1】米国特許第6,280,697号
【特許文献2】第6,422,450号
【特許文献3】米国特許第号(出願番号09/296,572号)
【特許文献4】米国特許第6,630,772号
【特許文献5】米国特許第6,277,318号
【特許文献6】米国特許第6,334,939号
【特許文献7】米国特許第6,553,096号
【特許文献8】米国特許出願公開第2002/0140336号
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0193040号
【特許文献10】米国特許出願公開第2002/0094064号
【特許文献11】米国特許出願公開第2003/0180472号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そのようなデバイス中にその材料を効果的に組み込むことは、その材料を処理する工程で遭遇する困難さによって妨げられた。例えば、レーザアブレーションなどの技術、およびアーク放電方法、溶液合成、化学的エッチング、分子線エピタキシー、化学蒸着、レーザアブレーションなどによって、ナノ構造の材料を形成することができる。しかしながら、これらのナノ構造材料を集める(assemble)ための処理技術はある困難を引き起こした。
【0018】
スクリーン印刷およびスプレーなどの後形成(post-formation)方法は、基板上のカーボンナノチューブなどの前形成(pre-formed)されたナノ物体を堆積するのに利用された。しかしながら、そのような技術はある欠点を引き起こす。例えば、スクリーン印刷は、活性化工程と同様にバインダー材料の使用を必要とする。スプレーは効率が悪い場合があり、大規模な製造には実用的でない。そのうえ、これらの技術では、通常、基板上にナノ構造材料がランダムに分散される。
【0019】
カーボンナノチューブは化学蒸着(CVD)技術の使用で、直接的に基板上に成長する。例えば、J.Hafneretal.,Nature,Vol.398,pg,761,1999および米国特許第6,457,350号および第6,401,526号参照。本技術の1つの潜在的応用が、カーボンナノチューブなどのナノ構造と電気回路から作られた導電ワイヤの形成である。CVD処理は、導電ワイヤを形成するのにCVD技術を使用して特定の位置で電極に取り付けられる導電ワイヤを形成するために使用し得る。しかしながら、そのような技術は、反応性の環境とともに比較的高温度(例えば、600〜1000℃)を必要とし、ナノチューブを効率的に成長させるために触媒作用を用いる。そのような厳しい環境条件に対する要求は、使用できる基板材料の種類を厳しく限定する。さらに、CVD技術ではしばしば多壁カーボンナノチューブ(multi-wall carbon nanotube)をもたらす。これらの多壁カーボンナノチューブは一般に、同じレベルの構造的な完全性を持っていないため、単一壁カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube)と比べると粗悪な電子放出特性を持っている。また、そのような技術によって基板上へナノチューブの直接成長させるのは、堆積したナノチューブの長さ、配向および数を制御するのが難しい。
【0020】
鋭い先端(sharp tip)や突起(projection)などの基板上にカーボンナノチューブなどのナノ物体を個々にあるいは小グループでの堆積を正確に制御するために他の技術が取り組まれた。例えば、Dai, Nature, Vol.384, pas.147-150(1996)およびR.Stevens etal., Appl. Phys. Lett.,Vol.77,pg.3453参照。しかしながら、そのような技術は骨が折れて手間がかかり、効率的な大規模生産またはバッチ処理に適さない。例えば、米国特許第6,528,785号は、プレート状電極が電気泳動溶液中に配置され、ナノチューブが少なくとも電極の1つに堆積される工程を記載する。電極は溶液から引き上げられ、その上に堆積したナノチューブは、更なる処理工程において鋭い先端にするために移される。ナノチューブは、次に、先端に付着したナノチューブの少なくとも一部の上にコーティング材料の堆積を含み得る更なる別の処理工程によって、先端に「溶融溶接」(fusion welded)される。この処理工程は遅く、配向の制御ができない。通常、形成された先端は、1先端あたり1個のカーボンナノチューブ(CNT)を含む。先端とCNT間の界面結合は、弱い傾向がある。1度に多くの先端を作るのは難しい。この処理は複雑かつ長時間かかり望ましくなく、商業スケールの生産に対しては非実用的である。
【0021】
この技術における別の考慮は、ナノ構造材料を用いる電気装置の製造では、電子特性など同じ特性を持つ材料を得ることが必要であるという点である。これは達成されなかった。例えば、レーザアブレーション方法によって合成された単一壁カーボンナノチューブ材料は、金属性および半導体性の性質の両方をもつ材料を含んでいる。現在、それらの特性に基づくナノチューブを分離するための効果的な方法はない。例えば、金属性および半導体性のナノチューブの分離が多くのデバイスアプリケーションに対して必要である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
[概要]
ナノ構造を含む材料の特性に基づいて、比較的温和な条件でナノ構造を含む材料を効率よく有効的に集め分離する技術およびそれらの関連物品が開発された、この方法はバッチスケール処理工程に対して適している。
【0023】
一つの態様によれば、物体の鋭い先端にナノ構造を含む材料を付着する方法は、(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、(ii)少なくとも1つの電極を前記懸濁液中に浸す工程と、(iii)前記鋭い先端を前記懸濁液中に配置する工程と、(iv)前記浸された電極と鋭い先端とに直流または交流を印加し、前記懸濁液中の前記ナノ構造を含む材料の少なくとも一部を前記物体の鋭い先端の頂点に近い部分に付着させる工程と、を有する。
【0024】
別の態様によれば、提供されるワイヤは、0.5nm〜100μmの直径と、10nm〜1cm以上の長さを持ち、ナノ構造を含む材料を有する。
【0025】
別の態様によれば、供給される物体は、1つのナノチューブ、カーボンナノチューブ束、またはナノワイヤでコーティングされた鋭い先端をもち、この物体は、1つの点電場の放出源(point electron field emission source)、原子間力顕微鏡(AFM:atomic force microscope)のプローブ、走査トンネル顕微鏡(STM:scanning electron microscope)のプローブ、透過電子顕微鏡(TEM:transmissin electron microscope)の電子源、走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)の電子源、磁力顕微鏡(MFM:magnetic force microscope)のプローブ、または粗面計(profilometer)のうちの少なくとも1つを有する。
【0026】
別の態様によれば、物体の鋭い先端にナノ構造を含む材料を付着する方法は、(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、(ii)少なくとも1つの電極を前記懸濁液中に浸す工程と、(iii)前記鋭い先端を前記懸濁液中に配置する工程と、(iv)前記浸された電極と鋭い先端とに直流または交流を印加し、前記懸濁液中の前記ナノ構造を含む材料の少なくとも一部を前記物体の鋭い先端の頂点に近い部分に付着させる工程と、を有する。
【0027】
別の態様によれば、供給されるデバイスは、円錐軸を持つほぼ円錐状の鋭い先端と、前記鋭い先端に付着し、前記鋭い先端の円錐軸に沿ってほぼ整列したナノワイヤの長手方向軸が、前記鋭い先端の円錐軸に沿って整列される(alighed)、ナノ構造を含む材料を有する小繊維と、を有し、前記小繊維は0.5nm〜1μmの直径を持つ。
【0028】
別の態様によれば、複数の構成要素(component)間の電気的な接続を作る方法は、(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、(ii)前記懸濁液を前記複数の構成要素と接触させる工程と、(iii)前記複数の構成要素に直流又は交流を印加し、それによって、前記複数の構成要素の間に電場を確立して、前記ナノ構造を含む材料から形成されるワイヤにより前記複数の構成要素を接続させる工程と、を含む。
【0029】
別の態様によれば、提供される配置は、第1の構成要素と、第2の構成要素と、前記第1および前記第2の構成要素の両方に付着したナノ構造を含む材料を有する第1のワイヤであって、前記第1の構成要素と第2の構成要素との間に電気的接続を提供する第1のワイヤとを有する。
【0030】
別の態様によれば、ナノ構造を含む材料のグループを分離する方法は、(i)分離すべきナノ構造を含む材料のグループと液体媒体とを含む混合物を形成する工程と、(ii)前記混合物中に複数の電極を導入する工程と、(iii)前記混合物中で非対称的な電場を確立する工程と、(iv)前記混合物中でナノ構造を含む材料のグループを分極し、それによって、少なくとも第1グループを第1電極に移動させ、第2グループを第2電極に移動させる工程と、(v)前記第1電極で前記液体媒体から少なくとも前記第1グループを回収する工程と、を含む。
【0031】
別の態様によれば、混合物中に含まれる第2粒子グループから第1粒子グループを分離させる方法は、前記第1粒子グループと第2粒子グループの少なくとも1つがナノ構造を含んでおり、前記方法は、(i)複数の電極の配置をする工程と、(ii)前記配置に交流電源を印加する工程と、(iii)前記配置のすぐ近くに前記混合物を運び込む工程と、(iv)前記第1粒子グループを、前記第2粒子グループと異なるように分極する工程と、(v)極性の違いに基づいて、前記第2粒子グループから前記第1粒子グループを分離する工程と、(vi)前記第1粒子グループまたは第2粒子グループの少なくとも1つを回収する工程と、を有する。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「ナノ構造を含む材料」は、C60フラ−レン、フラ−レンタイプの同心状の黒鉛粒子、金属、CdSe,InPなどの半導体化合物などのナノ粒子、Si,Ge,SiOx、GeOxなどのナノワイヤ/ナノロッド、あるいは、カーボン、BxNy、CxByNz、MoS2、およびWS2などの単一または複数元素で構成されたナノチューブ、から少なくとも一部が構成されている材料を意味する。
【0033】
用語「ほぼ円錐形」(generally conical)は、主に円錐形で実在する幾何学的な形状を包含するが、純粋な円錐形状からの様々な構造的な変形を含み得る。これらの変形の範囲は、原子間力顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡、磁力顕微鏡、粗面計(profilometer)、透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡などのプローブ形成において使用される鋭い先端の形成において通常観測されるものであり、そのような鋭い先端を形成するための従来の技術を利用している。
【0034】
用語「ほぼ整列された」(generally aligned)は、最大15度またはわずかに超える程度のアライメントにおける差異を含む。
【0035】
用語「小繊維」(fibril)は、1つのナノ構造粒子、ナノワイヤあるいはナノチューブ、複数のそのような粒子、ナノワイヤあるいはナノチューブ、これらの物体の束、または、複数の同じような束を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の原理に一致し実施例に基づいて実行された方法は、対応する構造とデバイスと共に以下の通り記載される。
【0037】
一般に、本発明の原理に基づいて実行される方法は、以下の工程のいくつかあるいはすべての組み合わせを含むことができる。(1)適切なナノ構造を含む材料を形成する工程、(2)ナノ構造を含む材料を精製する工程、(3)ナノ構造を含む材料を機能化させる工程、(4)ナノ構造の材料を含む溶液または懸濁液を形成する工程、(5)溶液に選択的にチャージャを添加する工程、(6)溶液に電極を浸ける工程であって、ナノ構造の材料が堆積することになっている基板または物体が電極の1つとして機能する工程、(7)直流および/又は交流を印加して、ある期間、電極間に電場を生成し、それにより溶液中のナノ構造の材料を基板電極に向かって移動させて付着させる工程、(8)基板上にナノ構造の材料の連続堆積を許容するために液体と接触して堆積した材料の最上表面を保持しながら、徐々に物体を液体から遠くに引き上げる工程、(9)コーティングされた基板のオープションの後処理工程。これらの一般的な工程のいくつかあるいはすべての組み合わせに単にその処理を限定することは、本発明の範囲ないである。しかしながら、追加の工程と処理とを含み得ることもまた予期される。また、記載された工程のいくつかの組み合わせあるいはすべての特有な一連の方法を実行することが本発明の範囲内であることは理解される。別の態様として、一連の工程がここで記載されるものと異なることができる。
【0038】
この処理は、前処理された、「未精製(raw)」のナノ構造を含む材料、好ましくは、高いアスペクト比を持ち、カーボンナノチューブを含む材料などのナノチューブを含む材料を用いて始まる。この未精製(raw)材料は、単一壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、珪素、酸化珪素、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、窒化炭素、硼素、硼化窒素、ジカルゴゲナイド(dichalcogenide)、銀、金、鉄、酸化チタン、酸化ガラニウム(gallanium oxide)、リン化インジウム、あるいはナノ構造中に密閉された(enclosed)Fe,Co,Niのような磁性粒子のうちの少なくとも1つを含む。好ましい実施例によれば、未精製のカーボンナノチューブを含む材料は単一壁カーボンナノチューブを有する。カーボンナノチューブは上記説明したアーク放電、レーザアブレーションおよび化学蒸着の方法などの適切な技術によって形成することができる。
【0039】
BxCyNzの組成(B=ほう酸、C=カーボン、N=窒素)を持つナノ構造、あるいは、MS2の組成(M=タングステン、モリブデンまたは酸化バナジウム)を持つナノチューブまたは同心のフラ−レン型構造の形態である未精製の材料が利用できることが、本発明によって予想される。これらの未精製の材料は、上記説明したアーク放電のような適切な技術によって形成することができる。
【0040】
背景技術で上記説明したような多くの異なる技術に基づいて技術に精通した人がこの未精製の材料を作ることができる。
【0041】
本発明の別の実施例によると、磁気チューブあるいはナノワイヤは出発材料として使用することができる。例えば、図1で示すように、カーボンナノチューブなどのナノ構造材料100は、磁気粒子110を含むことができる。これらの磁気粒子を形成するいくつかの技術が予想される。そのような技術の1つに化学蒸着方法が含まれる。Fe、Coおよび/又はNiなどの磁気粒子は触媒としてCVD技術中で使用される。炭化水素はカーボン源として使用される。適切な条件のもとでは、磁気粒子はナノチューブ形成のための核サイトとして機能するだろう。磁気粒子110はナノチューブの端部あるいは先端で捕集される。別の実施例によると、単一壁あるいは多壁カーボンナノチューブなどのナノチューブは、適切な技術を使用して出発材料として形成される。次に、出発材料は、ナノチューブの端部を開口するために処理される。次に、磁気粒子は、溶液、電気化学、蒸気相、または固体状態の処理技術によってナノチューブのコア中に挿入される。次に、不動態化層の形成などの適切な方法によって端部は密閉され得る。そのような技術は、米国特許出願第2003/0180472号でより詳細に記載されており、その開示はここで参照文献としてその全体が組み込まれる。
【0042】
図2は上記記載したそのような磁気粒子の例示である。例えば、図2に例示されるように、多壁カーボンナノチューブ200が提供され、その中に証明されるCo粒子210を含んでいる。図3で例示されるように磁気粒子310は、ここでより詳細に開示した方法に基づいて、原子間力顕微鏡のプローブなどの鋭い先端に集められるまたは付着することもできる。
【0043】
ここでさらに説明し例示するように、これらの磁気粒子は、ここでより詳細に開示した方法に基づいて、原子間力顕微鏡のプローブなどの鋭い先端に集められるまたは付着することもできる。上記記載されるようにして作られる磁気先端と画像を描くための物体間の相互作用力を測定することによって、物体の磁気構造を描くことができる。そのような1つの物体は磁気データ記憶媒体を含む。上記記載した磁気粒子の小さいサイズのために、かなり高精度を期待することができる。
【0044】
未精製のナノ構造を含む材料は精製するために晒され得る。未精製の材料の精製するための多くの技術が予想される。好ましい実施例によると、未精製の材料は、過酸化物(H2O2)、1〜40容積%濃度のH2O2、好ましくは約20容積%濃度のH2O2と水の組み合わせなどの適切な溶剤中での環流、その後のCS2中およびメタノール中でのすすぎ、続いてろ過によって精製することができる。模範的な技術に基づいて、媒体中の1〜10mgのナノチューブごとに約10〜100mlの過酸化物が媒体中に導入され、環流反応は、20〜100℃の温度で実行される(米国特許第6,553、096号(出願番号09/679、303)参照)。
【0045】
別の実施例によると、未精製の材料は、酸性媒体、有機溶剤、またはアルコール、好ましくはメタノールなどの適切な液体媒体中に配置される。未精製のナノ構造を含む材料は、高出力の超音波ホーンを使用して数時間液体媒体中で懸濁液中に保持され、懸濁液は多孔性膜を通過される。別の実施例では、未精製のナノ構造を含む材料は、200〜700℃の温度で、空気または酸素環境中での酸化によって精製され得る。未精製のナノ構造を含む材料中の不純物はナノチューブり速い速度で酸化される。
【0046】
また別の実施例では、未精製の材料は、液体クロマトグラフィーによって精製され、不純物からナノチューブ/ナノワイヤを分離することができる。
【0047】
次に、未精製の材料は、オープションに化学エッチングまたは粉砕などのナノチューブとナノチューブ束を短くするための更なる処理に晒される。
【0048】
精製された材料は、上記説明した短くする処理に晒されるか否かに関係なく、100℃〜1200℃のような適切な温度でオープションにアニーリングされ得る。好ましい実施例によれば、アニーリング温度は100℃〜600℃である。この材料は、約1〜60分などの適当な期間アニーリングされる。好ましい実施例によれば、この材料は、約1時間アニーリングされる。この材料は、約10-2torrの真空中あるいはさらに高い真空圧でアニーリングされる。好ましい実施例によると、真空は約5×10-7torrである。
【0049】
上記記載した「未精製(raw)」あるいは前形成された材料は、物体あるいは基板上に堆積および/又は導電ワイヤなどの物品を形成するために溶液中に導入され得る。
【0050】
別の実施例によると、精製されたナノ構造を含む材料は、上記説明した溶液あるいは懸濁液中に配置される前に機能化される。例えば、精製されたナノ構造を含む材料は、その材料を親水性に変えるために強酸中で酸化され得る。これを実行する1つの模範的な処理は、精製されたナノ構造を含む材料をH2SO4およびHNO3溶液中に10〜24時間導入し、超音波エネルギーに晒される工程を含む。別の実施例によると、精製されたナノ構造を含む材料は、ナノ構造を溶解可能にあるいは安定な懸濁液の形成を容易にするために、化学的にあるいは物理的にナノ構造の外表面に化学種を付着することによって、化学的に機能化される。
【0051】
選択される適切な液体媒体は、内部に未精製のナノ構造材料の安定した懸濁液の形成を可能にする。好ましい実施例によると、液体媒体は、水、メタノール、エタノール、アルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびグリセリン(glycerol)のうちの少なくとも1つを含む。この未精製材料を液体媒体に添加した状態で、混合物は、安定した懸濁液の形成を容易にするためにオープションに超音波エネルギーあるいは磁気撹拌バーなどの攪拌の使用に晒される。超音波エネルギーが適用される時間は変更可能であるが、室温で約2時間が十分であることがわかった。
【0052】
安定した懸濁液が形成される限り、液体媒体中の未精製材料の濃度は変更され得る。例えば、メタノールを含む液体媒体とともに、単一壁カーボンナノチューブなどの未精製材料の約0.01mgが液体媒体の1ml当たり存在し(0.01mg/ml)、安定した懸濁液を提供することができる。液体媒体がDMFを含み、単一壁カーボンナノチューブなどの未精製材料の約0.4〜0.5mgが液体媒体の1ml当たり存在し(0.4〜0.5mg/ml)、安定した懸濁液を提供することができる。短くされたカーボンナノチューブが使用されると、安定した懸濁液がより高い濃度で得ることができる。例えば、水中で短くされたナノチューブの約0.1mg/mlの安定した分散物を形成することができる。別の例では、化学処理によって親水性にされた単一壁カーボンナノチューブ束は水中で分散される。ナノチューブ濃度は所望の堆積速度に応じて調整される。
【0053】
1つの実施例によると、チャージャは、電気泳動堆積を容易にするために懸濁液に加えられる。そのような好ましいチャージャの1つは、MgCl2である。他の可能なチャージャは、Mg(NO3)2、La(NO3)3、Y(NO3)3、AlCl3および水酸化ナトリウムを含む。いかなる適切な量も利用することができる。1重量%未満から50重量%までの範囲の量、ナノ構造を含む材料の量まで測定されるように、が適している。好ましい実施例によると、懸濁液は1%未満のチャージャを含み得る。
【0054】
本発明の別の実施例に従って、カーボンナノチューブの少量は水中に分散される。懸濁液は、カーボンナノチューブの均質な分散を達成するために音波粉砕される。この懸濁液にはチャージャは加えられない。所望の物体上にカーボンナノチューブを堆積するために交流非電気泳動技術(alternating current dielectrophoresis)が使用される。交流場の下では、カーボンナノチューブは分極されて、電場濃度、交流電場の周波数、および液体とカーボンナノチューブの誘電定数に依存しながら電場方向に移動し得る。
【0055】
次に複数の電極が懸濁液中に導入される。好ましい実施例によると、2つの電極が利用される。電極の1つはナノ構造の材料が堆積することになっている物体を含む。必要な程度の電気導電率をもつ限り、いかなる適切な物体あるいは基板の材料も予想される。好ましい実施例によると、物体は金属あるいはドーピングされたシリコンである。別の好ましい実施例によると、電極の少なくとも1つは、1つ以上の鋭い先端を含んでいる。
【0056】
交流または直流が電極に印加され、それによって、電極間に電場が生成される。これによって、懸濁液中のナノ構造材料は基板電極向かって移動し付着する。1つの実施例によると、電極間に印加された電場は0.1〜1000V/cmであり、0.1〜200mA/cm2の直流が1秒〜1時間印加される。別の実施例によると、10Hz〜10GHzの周波数で交流が印加される。
【0057】
好ましい実施例によると、上記記載された電気泳動堆積は室温で実行される。
【0058】
堆積されたナノ構造の材料の構造と形態と同様に堆積速度は多くの要素によって影響を受け得る。そのような要素は、懸濁液中でのナノ構造材料の濃度、懸濁液中に存在するならばチャージャ材料(例えば、MgCl2)の濃度、物体の導電率、電源の制御(すなわち、交流が印加されるときの印加する電流、電圧条件、周波数)を含む。
【0059】
例えば、直流が印加されるとき、ナノ構造材料が移動する特定の電極(すなわち、アノードあるいはカソード)は、チャージャ材料の選択を通して制御することができる。例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)などの負のチャージャを使用すると、ナノ構造材料に負のチャージを与えて、それによりナノ構造材料が正電極(カソード)に向かって移動する傾向を生成する。逆に、MgCl2のような正のチャージャ材料を使用すると、ナノ構造材料に正のチャージを与えて、それによりナノ構造材料が負電極(アノード)に向かって移動する傾向を生成する。
【0060】
交流場が使用されると、ナノ構造材料が移動する特定の電極は、交流周波数の選択、ナノ構造材料に比較する液体の誘電定数、電場濃度および電極の幾何学的形状によって制御することができる。
【0061】
その上に堆積されたナノ構造を含む材料を持つコーティングされた物体は、オープションに、更なる処理に晒され得る。例えば、コーティングされた物体は、液体媒体を除去するためにアニーリングされ得る。そのようなアニーリング手順は、残留懸濁媒体などの不純の除去がナノ構造材料と物体間の電気的および熱的接触および結合を改良するので、好ましいかもしれない。例として、コーティングされた基板は、約100〜1200℃の温度で約1時間、次に、約800℃で2時間、どちらも約5×10-7torrの真空で加熱され得る。
【0062】
別の実施例によると、カーボンナノチューブの基板への付着は、バインダー、カーボンを溶かすあるいはカーバイドを形成する金属などの接着を促進する材料の組み込みおよび高温アニーリングによってさらに改良することができる。これらの材料は、例えば、以下の処理、ナノ構造と接着促進材料の粒子との共堆積、連続した堆積、あるいは接着促進材料の層の前堆積などの1つによって挿入することができる。
【0063】
1つの実施例では、高分子バインダーなどのバインダーは、ナノ構造を含む材料の懸濁液に加えられ、次に、均質な懸濁液を得るために攪拌される、あるいは、音波粉砕される。適切な高分子バインダーは、ポリ(ビニール ブチィラル−コ−ビニールアルコール−コ−ビニールアセテート)およびポリ(フッ化ビニリデン)を含む。適切なチャージャは、直流あるいは交流の印加された電場の下で、バインダーとナノ構造が、ナノ構造とバインダーの親密な混合物を用いるコーティングを形成するために同じ電極に移動するように選択される。
【0064】
別の実施例では、チタン、鉄、鉛、スズ、コバルトのような小さい金属粒子は、ナノ構造を含む材料の懸濁液中は混合される。適切なチャージャは、印加された電場の下で、金属粒子とナノ構造が、金属とナノ構造の親密な混合物を用いるコーティングを形成するために同じ電極に移動するように選択される。堆積の後に、コーティングされた物体は真空中で基準の10-3torrの真空圧またはそれ以上で0.1〜1時間アニールされる。好ましくは、粒子の直径は1μmより小さい。
【0065】
バインダーあるいは接着促進材料はいかなる適切な量でも加えることができる。ナノ構造を含む材料の量に比例して測定された0.1〜20重量%の範囲の量が予想される。
【0066】
別の実施例では、ナノ構造でコーティングされるべき物は、最初に、チタン、鉄、鉛、スズ、コバルト、ニッケル、タンタル、タングステン、ニオビウム、ジルコニウム、バナジウム、クロムまたはハフニウムなどの接着促進金属の少なくとも1層でコーティングされる。層は、電気化学メッキ、熱蒸発、スパッタリングまたはパルスレーザ堆積などの技術によって形成され得る。ナノ構造の電気泳動堆積の後に、膜は基準真空圧が10-3torrあるいはそれより大きい圧力で0.1〜10時間アニーリングされる。
【0067】
上記記載された処理は高い生産高と自動化によく適合していて有利である。また、これらの処理は非常に万能である。本発明の方法はナノ構造を含む材料を含む物品の製造にで役に立ち、その材料は、多くの異なったアプリケーションにおける使用に対して有益とする特性を有する。この処理は、より大きいあるいはDNAを含む巨大分子と同様に、マイクロメータのサイズあるいはそれより大きいサイズの物品を作り出すのに使用することができる。
【0068】
一般に、本発明の方法は、粗面計(profilometer)、電子顕微鏡用のプローブ、X線発生装置などのデバイス用の電界放出カソード、ガス放出管、照明デバイス、電子レンジパワーアンプ、イオン銃、電子線リソグラフィーデバイス、高エネルギー加速器、自由電子レーザおよびフラットパネルディスプレイなどへの組み込みのためのナノチューブおよび/またはナノロッド材料を供給することにおいて特に有益である。例えば、開示された電気泳動方法は、カーボンナノチューブあるいはナノワイヤの1つずつあるいは1つの束を鋭い先端に堆積するために使用され得る。例えば、この鋭い先端は、原子間力顕微鏡(AFM)、走査トンネル顕微鏡(STM)、磁力顕微鏡(MFM)、および化学力顕微鏡(CFM)を含む顕微鏡に使用される先端となり得える。また、この方法は、カーボンナノチューブあるいはナノ構造材料の連続繊維あるいは長繊維の製造に誘導することができる。この方法はさらに、電気回路中にナノ構造の材料を使用して電気的な内部接続を作るのに使用することができる。
【0069】
上記概説された本発明の原理と一致している特定の技術とそれに関連した物品は、これより例示の目的のために記載されるだろう。
【0070】
そのような技術の1つは、図4Aと4Bで例示されるようにナノチューブやナノワイヤなどのナノ構造を含む材料の希薄な懸濁液が最初に準備される。対電極410は最初に、懸濁液420中に浸される。金属先端430は第2電極として使用される。例えば、金属先端は、タングステンワイヤなどの標準金属ワイヤを化学エッチングすることによって形成することができる。金属先端430は、最初に、ナノ構造を含む材料が堆積されるべき鋭い先端を有する懸濁液420の表面に垂直にかつ懸濁液420の最上表面のわずか上に配置される。次に、先端430は徐々に懸濁液420の表面に向かって移動される。電源440は電極410および先端430と電気的に接続される。電流計のようなメーターは、対電極と金属先端間の電流をモニターするために使用し得る。さらに、適切な光学的な拡大デバイスが金属先端430と懸濁液表面420間のギャップをモニターするために使用し得る。先端430が懸濁液420の表面に触れるとき、2つの電極間を通過する電流が検出される。懸濁液中のナノ構造含有材料の濃度と使用した電場に依存しながら、先端430は、接触した状態で所定時間留まるようにされる。電源440を経由して直流又は交流によって電圧が2つの電極間に印加される。次に、電圧は所定時間の後、止められ、先端430は堆積処理を止めるために懸濁液上に上げられる。別の例では、図4Bで例示されるように、電圧はオンのままで残し、先端430が懸濁液420から徐々に引き上げられ、それによって先端430に付着したナノチューブ450のワイヤあるいはストランドを形成することができる。先端430へ回転および/又は線運動を伝えるためのステージあるいはローラーでありえるデバイス460は、組み込まれるかもしれない。先端430が引き上げられる速度は、先端430に付着したナノ構造材料の最上の表面のみが懸濁液420中に接触されるようにナノ構造材料450の堆積速度に基づいて制御される。真空中でその上に付着したカーボンナノチューブ450あるいは他のナノ構造を有する金属先端430もまた、先端とナノ構造間の接着を増加させるためにアニールされ得る。
【0071】
本発明の別の実施例は、図5Aおよび5Bを参照して記載される。すでに開示した材料のいずれかのナノ構造を含む材料は、好ましくはカーボンナノチューブは、水などの適切な溶剤中で、0.01g/lの濃度で分散される。懸濁液は、材料が液体中で均質に分散されるように音波粉砕される。ナノチューブ/水の懸濁液510の小滴は、金属O−リング520に加えられる。例えば、金属O−リング520は可動であり、平行移動ステージ(図示せず)に取り付けられている。金属先端530は、金属O−リング520にも接続されている電源540と電気的に接続される。初めは、金属先端530は小滴510と接触していない。好ましい実施例において、セットアップは光学顕微鏡の下に置かれる。20V、10MHzの交流信号は、交流電源540によって確立される。顕微鏡下で、先端530は徐々に小滴510に向かって移動される。物理的に接触した後で、約1〜60秒間、その電場に保持される。次に、先端530は液体から徐々に取り除かれる。金属先端530が小滴510と物理的に接触すると、電気回路が形成され、金属先端530と金属O−リング520が2つの電極として作用する。図5Bに示されたように、交流場のもとで、ナノ構造550は分極される。電極が非対称であるので、電場は均等に分配されないで、先端の周りが濃縮される。それによって、ナノ構造550、例えば、ナノチューブは、図5Bに例示されるように、先端530に引き寄せられる。ナノ構造濃度と堆積時間とを調整することによって、1つのカーボンナノチューブあるいはカーボンナノチューブ束などの1つあるいはグループのナノ構造は、金属先端に付着され得る。
【0072】
上記記載された手順の1つの可能な変形として、交流電場よりむしろ直流電場が先端530と対電極あるいはO−リング520間で確立される。MgCl2のような適切なチャージャは懸濁液に加えられる。電場の下で、ナノ構造550あるいはナノチューブは先端530に向かって移動し、先端の表面に付着する。
【0073】
本発明の別の実施例では、ナノ構造を含むワイヤは、好ましくはカーボンナノチューブであり、図4A、4B、5Aおよび5Bを参照して記載された1つと同様の技術によって作られる。図4Bと5Bに示されたように、交流電場が確立されると、液体中のナノ構造450、550あるいはカーボンナノチューブは、分極されて、電場の方向に整列される。次に、非対称的な電場の下では、ナノ構造450、550は、電場がより高い、鋭い電極先端430,530に向かって移動する。次に、ナノ構造450、550は、最初に電極の最外表面である先端430,530に付着する。多くのナノ構造450、550が引き出されて付着すると、付着した最も外側のナノ構造450、550あるいはカーボンナノチューブは、電極の最も外側の表面になる。上記処理(図9参照)によってナノ構造材料の長い連続ワイヤを形成することができる。回転速度、電場、電場の周波数、およびナノ構造材料を分散した液体濃度を最適化することによって、ナノ構造材料の連続繊維の1巻を作ることができる。ワイヤの長さは、電流および使用される懸濁液中のナノ構造の濃度などのパラメータによって制御される。堆積の後に、ワイヤはアニーリングなどによってさらに処理されて、機械的強度が増加し、機能性を変更することができる。
【0074】
繊維の更なる処理の工程が上記記載された堆積処理中に統合することができることが更に予想される。例えば、繊維の特性が1工程における形成処理の間に高められるようにするために、液体から引き上げられたワイヤあるいは繊維が、デバイス460と液体の間に配置された炉を通過して走る(run)ことが可能である。また、高分子溶解物あるいは高分子溶液などの異なる種類の材料を含む浴槽を通って繊維を走ることができることが予想される。液体から最初にナノ構造材料の繊維を引き出し、次に、液体通過して移動することによって、高分子が浸積して繊維をコーティングし、その結果、ナノ構造材料と高分子の複合物を形成するであろう。
【0075】
一般に上記記載されたこの種の処理および/又は装置の例示的な実施例は、図6で例示される。例示された実施例によると、電極610は容器620中に配置される。容器620は、次に、ナノ構造材料630を含む媒体で満たされる。ナノ構造を含む材料640の連続ストリングあるいはストランドは以下に示すように媒体630から引き出されることができる。ロール650の形態での対電極は、初めに、媒体630の表面と接触して配置される。対電極650は、次に、媒体630の最上表面から離れている方向に移動され、電源660は電極610と対電極650間に交流ポテンシャルを供給する。ここで詳しく記載されたように、媒体630に含まれるナノ構造含有材料は対電極650に付着し、次に互いに付着し、連続ストリングあるいはストランド640を形成することができる。ナノ構造を含む材料640のストリングあるいはストランドは、オープションに、媒体630中に含まれている液体などを除去するのに利用することができる加熱装置あるいは炉670を通過させることができる。別の変形によると、一連のロール680は、様々な追加処理工程を通してさらにストリングあるいはストランド640を輸送するために利用され得る。例えば、図6で例示されるように、ストリングあるいはストランド640は、第2の媒体690を通してストリングあるいはストランド640を通過させることができる。この第2の材料は、ナノ構造を含む材料のストリングあるいはストランド640と結合することが期待されるものである。例えば、媒体690は、ナノ構造を含む材料のストリングあるいはストランド640に浸積し、それによって複合繊維を形成することができる高分子溶解物を含むことができる。媒体690は、容器695中に配置される。ストランド640は次に容器695から引き上げられて処理の追加工程に輸送される、あるいは、最終ロール680上に集められる。ナノ構造を含む材料のストリングあるいはストランド640は、単一壁カーボンナノチューブを含むあるいは主成分として含む。別の例では、ナノ構造を含む材料は、本開示で前に言及したナノ構造を含むあるいは主成分として含むことができる。
【0076】
本発明の別の実施例では、同時に多くの鋭い先端の同時処理のためのバッチタイプの処理が予想される。図7で例示されるように、先端710のグループは、出発材料からエッチングすることによって直接形成される、あるいは、ホルダー720上に配置される。カーボンナノチューブなどのナノ構造730の懸濁液は、容器740中に配置される。同じ容器中に、平たんな金属電極750がある。交流電源760はホルダー720と平たんな電極750に接続される。交流電場は、先端710と平たんな電極750間で確立される。周波数の一例は1KHz〜10GHzである。容器740は、先端710が懸濁液730の表面と接触するまで上げられる(あるいは先端710が下ろされる)。固定された休止時間(例えば1秒から10秒)の後に、先端710が懸濁液730から分離される。電流、懸濁液中のナノ構造を含む材料の濃度、休止時間を制御することによって、1つのナノ構造あるいはカーボンナノチューブ、あるいはナノ構造あるいはカーボンナノチューブ束のグループが各先端に付着されることが可能である。堆積の後に、先端710は結合強度を増加させるために更に処理され得る。コーティングされた先端は、AFM、STMまたは他の走査型プローブ顕微鏡用のプローブとして、センサ用の微小電極として、または、電気化学的セルとして使用することができる。
【0077】
別の実施例において、ナノ物体を含むワイヤは、電気回路中の異なった構成要素間を電気接続するために所定のパターン中に集められて形成される。1つの特別な例が図8Aと8Bに例示される。カーボンナノチューブなどのナノ物体を含む液体の小滴850は、回路基板の構成要素であり得る4つの構成要素810,820、830および840によって画定される領域に配置される。交流電場などの電場は、ナノ物体またはナノチューブを含むワイヤ860が形成されて810と830とを接続するまで、最初に2つの構成要素間、例えば、810と830間で確立される。次に、前述のナノ物体を有するワイヤが形成されて820と840を接続するまで、820と840間に電場が確立される。その結果、4つの構成要素810〜840の間で交差している電気的な接続が確立される。
【0078】
図9A〜9Eは、本発明に基づいて形成されたカーボンナノチューブあるいはナノワイヤ920が付着した鋭い金属先端910のSEM画像である。図9Cは、本発明の処理によってタングステン先端に付着した単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)束を含むワイヤの走査電子顕微鏡(SEM)画像である。模範的な実施例によると、小繊維(fibril)の直径は10μm未満であり、好ましくは0.5nm〜10μmであり、より好ましくは1μm未満であり得る。小繊維の長さは50nm〜50μm、好ましくは30μm未満であり得る。本発明に基づいて構成された先端は、1〜10mAオーダの安定な電子放出電流の能力がある。
【0079】
図10は、小繊維Fがほぼ円錐軸Acに沿って配向されるような方法で、一般に長手方向の軸AFを持っている小繊維Fが円錐軸Acを有するほぼ円錐形状の鋭い先端Tに付着していることを示す概要図である。すなわち、軸AFと軸Acは、互いに関して約15°未満、好ましくは約10°未満である角度αを定める。
【0080】
本発明に基づいて作られたカーボンが付着した先端は、原子間力顕微鏡、走査トンネル顕微鏡、磁力顕微鏡、および化学力顕微鏡を含む走査型プローブ顕微鏡中で使用することができる。カーボンナノチューブなどのナノ構造材料の大きいアスペクト比と小さい直径のために、より良い画像品質を得ることができる。例えば、図11は、先端に集められたナノ構造1120をもつ典型的な原子間力顕微鏡のプローブ1110を例示する。図12はその上に整列したナノ構造1220を持つ走査電子顕微鏡の先端1210を例示する。図13は先端に集められたナノ構造1320をもつSpindt型の電界エミッタ1310である。
【0081】
本発明の別の態様によると、その特性の違いに基づいてナノ構造材料を分離するための技術および配置が提供される。1つ以上のナノ構造を含む材料の混合物を含む材料は分離することができる。例えば、カーボンナノチューブなどの金属性および半導体性のナノ構造は、2つの下位集団に分離することができる。例えば、1つの下位集団は、金属性カーボンナノチューブだけを含み、もう片方のサブグループは半導体性のカーボンナノチューブだけを含む。1つの特別な例では、予め作られた単一壁カーボンナノチューブは水中で分散される。より好ましくは、単一壁カーボンナノチューブは、最初に、不純物相を取り除くための適切な技術によって精製される。非対称の交流電場は、2つの電極間に交流電圧を印加することによって、液体中に確立される。非対称の電場を確立する1つの方法は、異なった幾何学的形状をもつ2つの電極を使用することである。例えば、1つの電極は平らな幾何学的形状を持ち、他方の電極は、鋭い突起(sharp protrusion)を持つ。交流電場の周波数は調整される。電子特性の違いのために、金属性と半導体性のカーボンナノチューブの分極は、異る周波数依存性があるだろう。最適な周波数の下で、金属性カーボンナノチューブは半導体性カーボンナノチューブより突起をもつ電極に向かって速く動くであろう。別の状況では、ある条件で、金属性カーボンナノチューブが1つの電極に向かって移動するが、半導体性カーボンナノチューブが反対の電極に向かって移動するように、使用される周波数と液体とを調整することが可能である。ある時間電場を印加した後に、それぞれの材料のグループを反対の電極の液体表面から集めることができる。また、ここで記載された方法は、未精製の材料中に存在する磁気粒子からカーボンナノチューブを分離するために使用され得る。この方法はカーボンナノチューブに限定されない。その電子特性および/又は幾何学的形状に基づいて他のナノ物体を分離するのに使用することができる。
【0082】
本発明に基づいて分離技術/配置の別の例示的な実施例が図14で示される。
【0083】
配置1400は、特定のパターンに基づいて配置された複数の電極1402、1404を含む。例示の実施例によると、電極1402、1404は互いに関して90°の角度で配置されている。しかしながら、多数の他の電極が予想されることは認識されるべきである。電源1406は交流を電極1402、1404に供給する。不均等な電場は、電極1402、1404を通る交流の流れによって引き起こされるフリンジング効果(fringing effect)をもたらす。例示の実施例において、比較的高い強度の電場1408の領域が生成される。また、さらに、比較的低い電場強度1410の領域が生成される。
【0084】
配置1400は、1412で概略的に例示されるチャンバーまたはチャンネル内に配置され得る。第1種の粒子1416と第2種の粒子1418を含む混合物は、チャンバーまたはチャンネル1412中に導入され得る。少なくとも2つの異なる種類の粒子を含む混合物は、多くの形態を取ることができる。例えば、粒子1416と1418の少なくとも1つは、ナノ構造を含む材料を含むことができる。1つの例によると、粒子1416と1418は、液体媒体中に配置される。別の例によると、混合物は、第1種のナノ構造を含む材料粒子1416と第2種の異なるナノ構造を含む材料粒子1418とを含み、液体媒体中に配置される。液体媒体は、その一端からチャンバーまたはチャンネル1412中に導入され、例えば、一般に、矢印Fによって示された方向に流れを引き起こし得る。その特性の差異によって粒子1416と1418は分極され、あるいは異なった方法で印加された電場によって影響を受ける。例えば、第1種の粒子1416は印加された電場によって負に分極され、第2種の粒子1418は印加された電場によって正に分極されるかもしれない。したがって、分極における差異によって、第2種の粒子1418は、比較的高い強度電場領域1408中に保有され、捕集されて、電極1402、1404に接着し得る。対照的に、第1種の粒子1416は、その極性によって比較的高い強度電場領域1408に引きつけられないが、その代わりに、図14の矢印Fで示した方向への比較的低い強度電場の領域1410内に流れることができる。この様に、第1粒子1416は、チャンバーまたはチャンネル1412内の川下に流れることができ、電極から離れた位置に集めることができる。第2種の粒子1418は、電場1408中に保管され、および/又は電極1402、1404に接着し、その結果、そこから回収することができる。
【0085】
別の例示的な分離技術/配置の実施例は図15に含まれる。配置1500は、複数のパターン化された電極1502、1504、1506、および1508を含む。交流はこれらの電極に印加され、1つの実施例による交流は、これらの電極のすべてに関して等しい大きさである。しかしながら、電流は他の電極に対して位相が90°異なるようにして印加される。次に、配置1500は少なくとも第1種および第2種の粒子1510、1512を含む混合物中に配置される。混合物は前に記載した混合物の種類のいずれかを含み得る。第1種および第2種の粒子1510、1512上に印加された電場によって引き起こされる差異および効果によって、これらの粒子と電極1502、1504、1506および1508との相互作用は、相対的な動きがそれぞれの粒子に伝えられる。動きの特定の方向は2つの異なった種類の粒子1510,1520のそれぞれの分極率に依存する。したがって、粒子の1つ、例えば、1510は図15で例示されるように配置1500の中心に向かって移動するようになり、他方の粒子1512は配置1500の中心から離れた方向に向かって移動するようになる。したがって、粒子の2つのグループはこの様にして分離される。第1グループの粒子1510は配置1500の中心から集めることができて、実際には電極1502、1504、1506、および1508に接着しているかもしれない。第2グループの粒子1512は配置1500から離れた方向に移動し、その結果、そこから離れた位置で回収することができる。
【0086】
本発明の原理は、以下の実施例を参照して更に記載されるが、実施例に制限されるものではない。
【0087】
[実施例]
化学エッチングによって調整されたタングステン先端は作用電極として使用され、対電極として小さい金属プレートあるいはリングが使用される。それらは別々に平行移動ステージ(translation stage)に配置され、光学顕微鏡の下に配置された。単一壁カーボンナノチューブは最初に精製され、束の長さが約2μmまでエッチングされ、化学的酸化によって親水性が付与される。次に、脱イオン水中で分散された。ナノチューブ懸濁液の小滴は金属リング中に置かれた。堆積を始めるために、交流電場(2MHz、10V)が最初に2つの電極間に印加された。先端電極はナノチューブ/水懸濁液と接触するために水平に平行移動されて、所望の長さを持つ小繊維(fibril)が形成されるまで、電場下で徐々に引き上げられた。
【0088】
堆積後、付着したナノチューブの小繊維を持つ金属先端は、残留溶剤を取り除き、金属先端へのナノチューブの接着とナノチューブ間の接着を増加させるために、800℃、10-6torrの真空で1時間アニーリングされた。
【0089】
これら先端の電場放出特性は、カソードとしてマイクロメータヘッド上に配置された先端と、アノードとして反対の金属プレートを用いて、点平面幾何学的形状(point-plane geometry)を使用して測定された。2つの間の距離は、マイクロメータヘッドを平行移動することによって調整され、約200mmに固定された。セットアップは真空チャンバー中に5×l0-7Torrの基準圧で配置された。先端からの総放出電流は、印加電圧の関数として集められた。図16および挿入図は、約50nmの先端径を持つ先端から集められたデータを示す。放出電流−電圧特性は、ln(1/V2)と1/Vの間に直線関係を持つ古典的なファウラーノーデイム(Fowler-Nordheim)タイプの挙動を示した。放出電流は、1000V未満の印加電圧で5mAに達し、その放出電流密度は2.5×l0-5A/cm2である。
【0090】
放出の安定性は、電圧を固定した直流(DC)モードで放出電流の変化を10時間連続してモニターすることによって測定された。図17は、3つの異なった電圧で連続して測定される先端(直径約50nm)からのデータを示す。放出電流は、印加電圧を800Vおよび1000Vにそれぞれ固定されたとき、1mAおよび2.8mAで安定しており、放出電流の総合的な劣化(overall decay)はなかった。カソードと直列結合の安定抵抗(ballast resistor)を用いて、局所的な電流の変動は、1mAで5%、2.8mAで2.5%であると計算された。同じサンプルからの放出電流は、電圧がさらに1200Vに増加したときに5.5mAに達したが、それから突然1時間後ゼロまで落ちた。それより高い電圧ではいかなる電流も検出されなかった。SEMによる調査はタングステンワイヤの破損と図17で示されるような全先端の消滅から壊滅的な損傷を明らかにした。これはタングステンと小繊維の界面での抵抗加熱によるものである。別の準備された先端では、6.5mAの安定した電流は得られた。安定抵抗を用いないこのサンプルの電流変動は、約12%であり、安定化されていない個々の単一壁カーボンナノチューブから報告される値に匹敵する。
【0091】
図18で例示されるように、先端1800からの放出パターンを記録するために、上記の測定で使用した金属アノードは、燐コーティングされたITO(酸化インジウムスズ)ガラス1810と取り替えられた。放出された電子によって燐光体スクリーン上に形成された画像1820は、真空チャンバーの外に置かれたCCDカメラによって記録された。放出画像1820は多壁ナノチューブ/先端から得られた。1つの放出スポットは全操作電圧で観測され、それぞれのタングステン先端に固定された1個の詰まっているカーボンナノチューブしかないことを示したSEM結果と一致していた。1400Vで燐光体スクリーンの上の明るいスポットの直径は、約200mmであり、50°のビームの広がり角度を示している。大きい広がり角度は、ナノチューブから電界放出電子の本質的な広がり角度よりむしろ点平面幾何学的形状における電場分布に起因する。
【0092】
本発明は上記説明した実施例を参照して記載され、ある変更と変形は当業者に対して明白になるだろう。したがって、本発明は付属の請求の範囲と精神だけによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】ナノ構造を含む材料の概要を示す図である。
【図2】ナノ構造を含む材料のTEM画像である。
【図3】開示された方法によって物体上に集められた図1と図2のナノ構造を含む材料の概要を示す図である。
【図4A】、
【図4B】開示された方法によって行われる処理の1つの実施例の概要を示す図である。
【図5A】、
【図5B】開示された方法によって行われる処理の更なる実施例の概要を示す図である。
【図6】処理を行う装置の実施例の概要を示す図である。
【図7】処理を行う装置の別の実施例の概要を示す図である。
【図8A】、
【図8B】本発明の原理によって行われる処理の更なる実施例の概要を示す図である。
【図9A】、
【図9B】、
【図9C】、
【図9D】、
【図9E】カーボンナノチューブあるいはナノワイヤの小繊維が付着した、拡大されたSEM画像の先端である。
【図10】小繊維が先端に付着したときの様々な配向の関係を示す概要図である。
【図11】本発明の別の実施例に基づいて形成された更なる物体の概要を示す図である。
【図12】本発明の別の実施例に基づいて形成された別の物体の概要を示す図である。
【図13】本発明の別の実施例に基づいて形成された更なる物体を示す図である。
【図14】本発明に基づく分離の配置および/又は技術の概要を示す図である。
【図15】本発明に基づく別の分離の配置および/又は技術の概要を示す図である。
【図16】本発明に基づいて形成されたデバイスに対して、印加電圧に対する放出電子電流をプロットした図である。
【図17】本発明に基づいて形成されたデバイスに対して、時間に対する放出電子電流をプロットした図である。
【図18】本発明に基づいて形成されたデバイスに対して、点電場の放出源と放出パターンを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の鋭い先端にナノ構造を含む材料を付着させる方法であって、
(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、
(ii)少なくとも1つの電極を前記懸濁液中に浸す工程と、
(iii)前記鋭い先端を前記懸濁液中に配置する工程と、
(iv)前記浸された電極と鋭い先端とに直流または交流を印加し、前記懸濁液中の前記ナノ構造を含む材料の少なくとも一部を前記物体の鋭い先端の頂点に近い部分に付着させる工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記物体は、点電場の放出源(point electron field emission source)、原子間力顕微鏡(atomic force microscope)のプローブ、走査トンネル顕微鏡(scanning electron microscope)のプローブ、透過電子顕微鏡(transmissin electron microscope)の電子源、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope)の電子源、磁力顕微鏡(magnetic force microscope)のプローブ、または粗面計(profilometer)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(i)より前に、前記ナノ構造を含む材料を機能化させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(iii)と(iv)とは、前記懸濁液と電気接触が確立されるまで前記懸濁液の表面に向かって前記先端を移動する工程と、所定期間、前記電気接触を維持する工程と、前記懸濁液から前記先端を引き出す工程と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ構造を含む材料は、カーボンナノチューブを含み、
工程(iv)は、単一のカーボンナノチューブ、1つのナノチューブ束、または1つのナノワイヤを前記鋭い先端に付着させる工程、あるいは、複数のカーボンナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤを有する小繊維(fibril)を付着させる工程をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記単一のカーボンナノチューブ、1つのナノチューブ束、または1つのナノワイヤの長手方向軸が、前記鋭い先端の円錐形の軸に沿って整列される(aligned)ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
カーボンナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤを有する小繊維の長手方向軸が、前記鋭い先端の円錐形の軸に沿って整列されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記小繊維内の前記カーボンナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤの長手方向の軸が、前記小繊維の長手方向軸に沿って整列されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記小繊維は筒状形状の胴体と2つの端部を持ち、前記小繊維の第1端部が前記鋭い先端の頂点に付着され、前記小繊維の第2端部がテーパの幾何学的形状を持ち、前記テーパ端部の先端直径が0.5nm〜100nmであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤが付着した後に、前記先端をアニーリングする工程を更に有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項11】
工程(iii)が前記懸濁液中に複数の鋭い先端を配置する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程(iv)は、10Hz〜10GHzの周波数で交流を印加する工程を有する特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程(iv)が直流を印加する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(i)は、前記ナノ構造を含む材料にチャージ特性を与えるために前記懸濁液に少なくとも1つの化合物を添加する工程を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの化合物が、MgCl2、NaOH、Mg(NO3)2、La(NO3)3、AlCl3の1つ以上を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ構造を含む材料が、単一壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、シリコン、酸化珪素、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、窒化カーボン、ホウ素、ホウ窒化物、ジカルゴゲナイド(dichalcogenide)、銀、金、鉄、酸化チタン、酸化ガリウム、リン化インジウム、ナノチューブ内に密閉された磁気粒子、組成BXCyNzを持つナノチューブ、および、MS2(M=タングステン、モリブデン、または酸化バナジウム)の組成をもつナノチューブまたは同心状のフラーレンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記印加された電流のもとで、ナノ構造を含む材料が、前記先端の頂点の最も近くに最初に集められ、次に、前に付着したナノ構造を含む材料上に集められて、それによってナノ構造を含む材料のワイヤを形成するようにして、前記先端が前記懸濁液の表面から徐々に引きあげられることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項18】
前記ワイヤは、0.5nm〜100μmの直径で形成されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程(iv)の後に、前記鋭い先端とナノ構造を含む材料とをアニールする工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
0.5nm〜100μmの直径を持ち、ナノ構造を含む材料を有することを特徴とするワイヤ。
【請求項21】
0.5nm〜100μmの直径を持つことを特徴とする請求項20に記載のワイヤ。
【請求項22】
50nm〜50μmの長さを持つことを特徴とする請求項21に記載のワイヤ。
【請求項23】
前記ナノ構造を含む材料がカーボンナノチューブを有することを特徴とする請求項20に記載のワイヤ。
【請求項24】
前記ナノ構造を含む材料単一壁カーボンナノチューブを有することを特徴とする請求項23に記載のワイヤ。
【請求項25】
請求項17に記載の方法によって形成されたことを特徴とする請求項20に記載のワイヤ。
【請求項26】
工程(iv)は、鋭い先端の頂点の上に1つのカーボンナノチューブを付着させる工程を有し、前記カーボンナノチューブの長手方向の軸が前記鋭い先端の円錐軸に沿って整列され、前記鋭い先端の頂点から離れて示している前記カーボンナノチューブの1つの端部は、1つの磁気粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記鋭い先端が原子間力顕微鏡のプローブであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記磁気粒子が前記カーボンナノチューブによって密閉されていることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
円錐軸を持つほぼ円錐状の鋭い先端と、
前記鋭い先端に付着し、前記鋭い先端の円錐軸に沿ってほぼ整列しているナノ構造を含む材料を有する小繊維と、
を有し、
前記小繊維は0.5nm〜1μmの直径を持つことを特徴とするデバイス。
【請求項30】
前記デバイスが点電場の放出源を有することを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記デバイスが、原子間力顕微鏡のプローブ、走査型プローブ顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡、磁力顕微鏡、または粗面計(profilometer)を含むことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項32】
前記鋭い先端がタングステンにより形成されていることを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項33】
前記ナノ構造を含む材料が、単一壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、シリコン、酸化珪素、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、窒化炭素、ホウ素、窒化ホウ素、ジカルゴゲナイド(dichalcogenide)、銀、金、鉄、酸化チタン、酸化ガリウム、リン化インジウム、ナノチューブ内に密閉された磁気粒子、組成BXCyNzを持つナノチューブ、および、MS2(M=タングステン、モリブデン、または酸化バナジウム)の組成をもつナノチューブまたは同心状のフラーレン、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項34】
前記小繊維が、単一のカーボンナノチューブ、複数のカーボンナノチューブ、1つのカーボンナノチューブ束、または、複数のカーボンナノチューブ束を有することを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項35】
前記単一のカーボンナノチューブあるいは複数のカーボンナノチューブが単一壁カーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記小繊維が、50nm〜50μmの長さを持つことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項37】
前記デバイスが、0.5μAより大きい放射電子電流と、10時間連続運転後における15%未満の電流減衰とを示すことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項38】
前記デバイスが、1.0μAより大きい放射電子電流と、10時間連続運転後における15%未満の電流減衰とを示すことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項39】
前記デバイスが、3.0μAより大きい放射電子電流と、10時間連続運転後における15%未満の電流減衰とを示すことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項40】
前記デバイスが、5.0μAより大きい放射電子電流と、10時間連続運転後における15%未満の電流減衰とを有することを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項41】
前記付着した小繊維は、前記鋭い先端の円錐軸との角度を定める、実質的に長手方向の軸を有し、前記角度が15°未満であることを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項42】
前記付着した小繊維は、前記鋭い先端の円錐軸との角度を定める、実質的に長手方向の軸を有し、前記角度が10°未満であることを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項43】
複数の構成要素間の電気的な接続を作る方法であって、
(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、
(ii)前記懸濁液を前記複数の構成要素と接触させる工程と、
(iii)前記複数の構成要素に直流又は交流を印加し、それによって、前記複数の構成要素の間に電場を確立して、前記ナノ構造を含む材料から形成されるワイヤにより前記複数の構成要素を接続させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
前記複数の構成要素は2つの構成要素を含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記構成要素は4つの構成要素を有し、
工程(ii)は、前記懸濁液を4つの構成要素全てと接触させる工程を有し、
工程(iii)は、4つの構成要素の第1の組に直流又は交流を印加して前記第1の組の間に第1結合を形成する工程と、次に、4つの構成要素の第2の組に直流又は交流を印加して、前記第2の組の間に第2結合を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記複数の構成要素は、回路基板上に配置された構成要素を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記ナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤが付着された後に、前記先端をアニールする工程を更に有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項48】
工程(iii)は、10Hz〜10GHzの周波数で交流を印加する工程を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項49】
工程(iii)は、直流を印加する工程を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項50】
工程(i)は、ナノ構造を含む材料にチャージ特性を与えるために、前記懸濁液に少なくとも1つの化合物を添加する工程をさらに含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの化合物が、MgCl2、NaOH、Mg(NO3)2、La(NO3)3、AlCl3の1つ以上を含むことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ナノ構造を含む材料が、単一壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、シリコン、酸化珪素、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、窒化カーボン、ホウ素、ホウ窒化物、ジカルゴゲナイド(dichalcogenide)、銀、金、鉄、酸化チタン、酸化ガリウム、リン化インジウム、ナノチューブ内に密閉された磁気粒子、組成BXCyNzを持つナノチューブ、および、MS2(M=タングステン、モリブデン、または酸化バナジウム)の組成をもつナノチューブまたは同心状のフラーレン、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項53】
第1の構成要素と、
第2の構成要素と、
前記第1および前記第2の構成要素の両方に付着したナノ構造を含む材料を有する第1のワイヤであって、前記第1の構成要素と第2の構成要素との間に電気的接続を提供する第1のワイヤと、
を有することを特徴とする配置。
【請求項54】
前記第1のワイヤが請求項43の方法によって形成されることを特徴とする請求項53に記載の配置。
【請求項55】
第3の構成要素と、
第4の構成要素と、
前記第3および前記第4の構成要素の両方に付着したナノ構造を含む材料を有する第2のワイヤであって、前記第3の構成要素と第4の構成要素との間に電気的接続を提供する第2のワイヤと、
を更に有することを特徴とする請求項53に記載の配置。
【請求項56】
前記第2のワイヤが請求項43の方法によって形成されたことを特徴とする請求項55に記載の配置。
【請求項57】
前記構成要素が回路基板上に配置されていることを特徴とする請求項53に記載の配置。
【請求項58】
ナノ構造を含む材料のグループを分離する方法であって、
(i)分離すべきナノ構造を含む材料のグループと液体媒体とを含む混合物を形成する工程と、
(ii)前記混合物中に複数の電極を導入する工程と、
(iii)前記混合物中で非対称的な電場を確立する工程と、
(iv)前記混合物中でナノ構造を含む材料のグループを分極し、それによって、少なくとも第1グループを第1電極に移動させ、第2グループを第2電極に移動させる工程と、
(v)前記第1電極で前記液体媒体から少なくとも前記第1グループを回収する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項59】
工程(v)がさらに前記第2電極で前記液体媒体から前記第2グループを回収する工程を含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1グループは複数の導体を含み、前記第2のグループは複数の半導体を含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記導体は、金属性又は導電性のカーボンナノチューブを含み、前記半導体は半導体性カーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記液体媒体が水を含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項63】
工程(iii)は、交流を印加する工程をさらに含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項64】
工程(iv)は、前記印加された交流の周波数を調整する工程を有することを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
混合物中に含まれる第2粒子グループから第1粒子グループを分離させる方法であって、前記第1粒子グループと第2粒子グループの少なくとも1つがナノ構造を含んでおり、
前記方法は、
(i)複数の電極の配置をする工程と、
(ii)前記配置に交流電源を印加する工程と、
(iii)前記配置のすぐ近くに前記混合物を運び込む工程と、
(iv)前記第1粒子グループを、前記第2粒子グループと異なるように分極する工程と、
(v)極性の違いに基づいて、前記第2粒子グループから前記第1粒子グループを分離する工程と、
(vi)前記第1粒子グループまたは第2粒子グループの少なくとも1つを回収する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項66】
前記ナノ構造がカーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記混合物が液体媒体を含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項68】
工程(i)が互いに関して90°で交差する複数の電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項69】
工程(i)が複数の同心状の電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項70】
工程(ii)は、他の同心状の電極と少なくとも90°位相が異なる同心状の電極のそれぞれに交流を印加する工程を有することを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
工程(v)が前記複数の電極に少なくとも1つの粒子グループを付着させる工程を含むすることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項1】
物体の鋭い先端にナノ構造を含む材料を付着させる方法であって、
(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、
(ii)少なくとも1つの電極を前記懸濁液中に浸す工程と、
(iii)前記鋭い先端を前記懸濁液中に配置する工程と、
(iv)前記浸された電極と鋭い先端とに直流または交流を印加し、前記懸濁液中の前記ナノ構造を含む材料の少なくとも一部を前記物体の鋭い先端の頂点に近い部分に付着させる工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記物体は、点電場の放出源(point electron field emission source)、原子間力顕微鏡(atomic force microscope)のプローブ、走査トンネル顕微鏡(scanning electron microscope)のプローブ、透過電子顕微鏡(transmissin electron microscope)の電子源、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope)の電子源、磁力顕微鏡(magnetic force microscope)のプローブ、または粗面計(profilometer)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(i)より前に、前記ナノ構造を含む材料を機能化させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(iii)と(iv)とは、前記懸濁液と電気接触が確立されるまで前記懸濁液の表面に向かって前記先端を移動する工程と、所定期間、前記電気接触を維持する工程と、前記懸濁液から前記先端を引き出す工程と、をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ構造を含む材料は、カーボンナノチューブを含み、
工程(iv)は、単一のカーボンナノチューブ、1つのナノチューブ束、または1つのナノワイヤを前記鋭い先端に付着させる工程、あるいは、複数のカーボンナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤを有する小繊維(fibril)を付着させる工程をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記単一のカーボンナノチューブ、1つのナノチューブ束、または1つのナノワイヤの長手方向軸が、前記鋭い先端の円錐形の軸に沿って整列される(aligned)ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
カーボンナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤを有する小繊維の長手方向軸が、前記鋭い先端の円錐形の軸に沿って整列されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記小繊維内の前記カーボンナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤの長手方向の軸が、前記小繊維の長手方向軸に沿って整列されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記小繊維は筒状形状の胴体と2つの端部を持ち、前記小繊維の第1端部が前記鋭い先端の頂点に付着され、前記小繊維の第2端部がテーパの幾何学的形状を持ち、前記テーパ端部の先端直径が0.5nm〜100nmであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤが付着した後に、前記先端をアニーリングする工程を更に有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項11】
工程(iii)が前記懸濁液中に複数の鋭い先端を配置する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程(iv)は、10Hz〜10GHzの周波数で交流を印加する工程を有する特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程(iv)が直流を印加する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(i)は、前記ナノ構造を含む材料にチャージ特性を与えるために前記懸濁液に少なくとも1つの化合物を添加する工程を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの化合物が、MgCl2、NaOH、Mg(NO3)2、La(NO3)3、AlCl3の1つ以上を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ構造を含む材料が、単一壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、シリコン、酸化珪素、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、窒化カーボン、ホウ素、ホウ窒化物、ジカルゴゲナイド(dichalcogenide)、銀、金、鉄、酸化チタン、酸化ガリウム、リン化インジウム、ナノチューブ内に密閉された磁気粒子、組成BXCyNzを持つナノチューブ、および、MS2(M=タングステン、モリブデン、または酸化バナジウム)の組成をもつナノチューブまたは同心状のフラーレンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記印加された電流のもとで、ナノ構造を含む材料が、前記先端の頂点の最も近くに最初に集められ、次に、前に付着したナノ構造を含む材料上に集められて、それによってナノ構造を含む材料のワイヤを形成するようにして、前記先端が前記懸濁液の表面から徐々に引きあげられることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項18】
前記ワイヤは、0.5nm〜100μmの直径で形成されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程(iv)の後に、前記鋭い先端とナノ構造を含む材料とをアニールする工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
0.5nm〜100μmの直径を持ち、ナノ構造を含む材料を有することを特徴とするワイヤ。
【請求項21】
0.5nm〜100μmの直径を持つことを特徴とする請求項20に記載のワイヤ。
【請求項22】
50nm〜50μmの長さを持つことを特徴とする請求項21に記載のワイヤ。
【請求項23】
前記ナノ構造を含む材料がカーボンナノチューブを有することを特徴とする請求項20に記載のワイヤ。
【請求項24】
前記ナノ構造を含む材料単一壁カーボンナノチューブを有することを特徴とする請求項23に記載のワイヤ。
【請求項25】
請求項17に記載の方法によって形成されたことを特徴とする請求項20に記載のワイヤ。
【請求項26】
工程(iv)は、鋭い先端の頂点の上に1つのカーボンナノチューブを付着させる工程を有し、前記カーボンナノチューブの長手方向の軸が前記鋭い先端の円錐軸に沿って整列され、前記鋭い先端の頂点から離れて示している前記カーボンナノチューブの1つの端部は、1つの磁気粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記鋭い先端が原子間力顕微鏡のプローブであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記磁気粒子が前記カーボンナノチューブによって密閉されていることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
円錐軸を持つほぼ円錐状の鋭い先端と、
前記鋭い先端に付着し、前記鋭い先端の円錐軸に沿ってほぼ整列しているナノ構造を含む材料を有する小繊維と、
を有し、
前記小繊維は0.5nm〜1μmの直径を持つことを特徴とするデバイス。
【請求項30】
前記デバイスが点電場の放出源を有することを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記デバイスが、原子間力顕微鏡のプローブ、走査型プローブ顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査電子顕微鏡、磁力顕微鏡、または粗面計(profilometer)を含むことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項32】
前記鋭い先端がタングステンにより形成されていることを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項33】
前記ナノ構造を含む材料が、単一壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、シリコン、酸化珪素、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、窒化炭素、ホウ素、窒化ホウ素、ジカルゴゲナイド(dichalcogenide)、銀、金、鉄、酸化チタン、酸化ガリウム、リン化インジウム、ナノチューブ内に密閉された磁気粒子、組成BXCyNzを持つナノチューブ、および、MS2(M=タングステン、モリブデン、または酸化バナジウム)の組成をもつナノチューブまたは同心状のフラーレン、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項34】
前記小繊維が、単一のカーボンナノチューブ、複数のカーボンナノチューブ、1つのカーボンナノチューブ束、または、複数のカーボンナノチューブ束を有することを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項35】
前記単一のカーボンナノチューブあるいは複数のカーボンナノチューブが単一壁カーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記小繊維が、50nm〜50μmの長さを持つことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項37】
前記デバイスが、0.5μAより大きい放射電子電流と、10時間連続運転後における15%未満の電流減衰とを示すことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項38】
前記デバイスが、1.0μAより大きい放射電子電流と、10時間連続運転後における15%未満の電流減衰とを示すことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項39】
前記デバイスが、3.0μAより大きい放射電子電流と、10時間連続運転後における15%未満の電流減衰とを示すことを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項40】
前記デバイスが、5.0μAより大きい放射電子電流と、10時間連続運転後における15%未満の電流減衰とを有することを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項41】
前記付着した小繊維は、前記鋭い先端の円錐軸との角度を定める、実質的に長手方向の軸を有し、前記角度が15°未満であることを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項42】
前記付着した小繊維は、前記鋭い先端の円錐軸との角度を定める、実質的に長手方向の軸を有し、前記角度が10°未満であることを特徴とする請求項29に記載のデバイス。
【請求項43】
複数の構成要素間の電気的な接続を作る方法であって、
(i)液体媒体中でナノ構造を含む材料の懸濁液を形成する工程と、
(ii)前記懸濁液を前記複数の構成要素と接触させる工程と、
(iii)前記複数の構成要素に直流又は交流を印加し、それによって、前記複数の構成要素の間に電場を確立して、前記ナノ構造を含む材料から形成されるワイヤにより前記複数の構成要素を接続させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
前記複数の構成要素は2つの構成要素を含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記構成要素は4つの構成要素を有し、
工程(ii)は、前記懸濁液を4つの構成要素全てと接触させる工程を有し、
工程(iii)は、4つの構成要素の第1の組に直流又は交流を印加して前記第1の組の間に第1結合を形成する工程と、次に、4つの構成要素の第2の組に直流又は交流を印加して、前記第2の組の間に第2結合を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記複数の構成要素は、回路基板上に配置された構成要素を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記ナノチューブ、ナノチューブ束、またはナノワイヤが付着された後に、前記先端をアニールする工程を更に有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項48】
工程(iii)は、10Hz〜10GHzの周波数で交流を印加する工程を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項49】
工程(iii)は、直流を印加する工程を有することを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項50】
工程(i)は、ナノ構造を含む材料にチャージ特性を与えるために、前記懸濁液に少なくとも1つの化合物を添加する工程をさらに含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1つの化合物が、MgCl2、NaOH、Mg(NO3)2、La(NO3)3、AlCl3の1つ以上を含むことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ナノ構造を含む材料が、単一壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、シリコン、酸化珪素、ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、窒化カーボン、ホウ素、ホウ窒化物、ジカルゴゲナイド(dichalcogenide)、銀、金、鉄、酸化チタン、酸化ガリウム、リン化インジウム、ナノチューブ内に密閉された磁気粒子、組成BXCyNzを持つナノチューブ、および、MS2(M=タングステン、モリブデン、または酸化バナジウム)の組成をもつナノチューブまたは同心状のフラーレン、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項53】
第1の構成要素と、
第2の構成要素と、
前記第1および前記第2の構成要素の両方に付着したナノ構造を含む材料を有する第1のワイヤであって、前記第1の構成要素と第2の構成要素との間に電気的接続を提供する第1のワイヤと、
を有することを特徴とする配置。
【請求項54】
前記第1のワイヤが請求項43の方法によって形成されることを特徴とする請求項53に記載の配置。
【請求項55】
第3の構成要素と、
第4の構成要素と、
前記第3および前記第4の構成要素の両方に付着したナノ構造を含む材料を有する第2のワイヤであって、前記第3の構成要素と第4の構成要素との間に電気的接続を提供する第2のワイヤと、
を更に有することを特徴とする請求項53に記載の配置。
【請求項56】
前記第2のワイヤが請求項43の方法によって形成されたことを特徴とする請求項55に記載の配置。
【請求項57】
前記構成要素が回路基板上に配置されていることを特徴とする請求項53に記載の配置。
【請求項58】
ナノ構造を含む材料のグループを分離する方法であって、
(i)分離すべきナノ構造を含む材料のグループと液体媒体とを含む混合物を形成する工程と、
(ii)前記混合物中に複数の電極を導入する工程と、
(iii)前記混合物中で非対称的な電場を確立する工程と、
(iv)前記混合物中でナノ構造を含む材料のグループを分極し、それによって、少なくとも第1グループを第1電極に移動させ、第2グループを第2電極に移動させる工程と、
(v)前記第1電極で前記液体媒体から少なくとも前記第1グループを回収する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項59】
工程(v)がさらに前記第2電極で前記液体媒体から前記第2グループを回収する工程を含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1グループは複数の導体を含み、前記第2のグループは複数の半導体を含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記導体は、金属性又は導電性のカーボンナノチューブを含み、前記半導体は半導体性カーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記液体媒体が水を含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項63】
工程(iii)は、交流を印加する工程をさらに含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項64】
工程(iv)は、前記印加された交流の周波数を調整する工程を有することを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
混合物中に含まれる第2粒子グループから第1粒子グループを分離させる方法であって、前記第1粒子グループと第2粒子グループの少なくとも1つがナノ構造を含んでおり、
前記方法は、
(i)複数の電極の配置をする工程と、
(ii)前記配置に交流電源を印加する工程と、
(iii)前記配置のすぐ近くに前記混合物を運び込む工程と、
(iv)前記第1粒子グループを、前記第2粒子グループと異なるように分極する工程と、
(v)極性の違いに基づいて、前記第2粒子グループから前記第1粒子グループを分離する工程と、
(vi)前記第1粒子グループまたは第2粒子グループの少なくとも1つを回収する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項66】
前記ナノ構造がカーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記混合物が液体媒体を含むことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項68】
工程(i)が互いに関して90°で交差する複数の電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項69】
工程(i)が複数の同心状の電極を形成する工程を有することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項70】
工程(ii)は、他の同心状の電極と少なくとも90°位相が異なる同心状の電極のそれぞれに交流を印加する工程を有することを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
工程(v)が前記複数の電極に少なくとも1つの粒子グループを付着させる工程を含むすることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2006−513048(P2006−513048A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508477(P2005−508477)
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/038743
【国際公開番号】WO2004/052489
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/038743
【国際公開番号】WO2004/052489
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(501345323)ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル (52)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
【住所又は居所原語表記】308 Bynum Hall,Campus Box 4105,Chapel Hill,North Carolina 27599−4105, United States of America
【Fターム(参考)】
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