説明

ナノ構造化物品及びナノ構造化物品の作製方法

ナノ構造化物品は、マトリックス及びナノスケールの分散相を含む。このナノ構造化物品は、ランダムなナノ構造化異方性表面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止物品として有用であるナノ構造化物品に関する。別の態様では、本発明は、ナノ構造化物品を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光が1つの媒体から他へと移動するときはいつでも、光の一部は、2つの媒体の間の境界面から反射される。例えば、透明なプラスチック基材上で光っている光の約4〜5%は上面で反射される。
【0003】
高分子材料の反射を低減するために、異なるアプローチが採用されている。1つのアプローチは、反射防止(AR)コーティング、例えば、反射を低減するために、対照的な屈折率の交互の層を備える、透明な薄膜構造体からなる多層反射コーティングを使用することである。しかしながら、ARコーティングを使用して、広帯域の反射防止を達成するのは難しいことが証明されている。
【0004】
他のアプローチは、広帯域反射防止のために、サブ波長表面構造体(例えばサブ波長スケールの表面グレーティング)を使用することを伴う。しかしながら、サブ波長表面構造体を作製する方法は、複雑かつ費用のかかるバッチプロセスとなる傾向がある。例えば、米国特許出願公開第2005/0233083号に記載される方法は、0.5ミリトール(0.0667Pa)未満の真空条件下で、Ar/Oプラズマで、高分子表面を衝突することを伴う。極端な真空条件この要求条件は、この方法の商業的実現可能性を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のことを考慮し、本発明者らは、表面(特にポリマー表面)の反射を低減するための代替アプローチの必要性があるということを認識している。更に、本発明者らは、表面の反射を低減するためのアプローチを商業的に実現可能にするために、それは比較的単純かつ安価である必要があるということを認識している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡潔に、一態様では、本発明は、マトリックス及びナノスケールの分散相を含み、かつランダムなナノ構造化異方性表面を有する、ナノ構造化物品を提供する。
【0007】
本明細書で使用されるとき、「ナノスケール」は、サブミクロン(例えば約1nm〜約500nm)を意味し、「ナノ構造化」は、ナノスケール上の1つの寸法を有することを意味し、「異方性表面」は、約1.5:1以上(好ましくは2:1以上、より好ましくは5:1以上)の高さと幅(即ち、平均幅)の比率を有する、構造的凹凸を有する表面を意味する。
【0008】
本発明のナノ構造化物品は、同じマトリックス材料及びナノ分散相を含む、非構造化物品と比較して、反射率において有意な低減を呈する。更に、本発明のナノ構造化物品は、耐久性であり得、かつ耐スクラッチ性を有することができる。本発明のナノ構造化物品のいくつかの実施形態は、例えば、防曇、容易な洗浄、抗菌活性、親水性、又は疎水性など、更なる望ましい特性も呈する。
【0009】
別の態様において、本発明は、ランダムなナノ構造化表面を作製する方法を提供する。1つの方法は、ナノ分散相を含むマトリックスを提供する工程と、プラズマを使用してこのマトリックスをエッチングし、ランダムなナノ構造化異方性表面を形成する工程と、を含む。他の方法は、ナノ分散相を含むマトリックスを提供する工程と、プラズマを使用してこのナノ分散相の少なくとも一部分をエッチングし、ランダムなナノ構造化表面を形成する工程と、を含む。
【0010】
本明細書で使用するとき、「プラズマ」は、電子、イオン、中性分子、及びフリーラジカルを含有する物質の、部分的にイオン化されたガス又は液体状態を意味する。
【0011】
本発明の方法は、中程度の真空条件(例えば、約5ミリトール(0.667Pa)〜約10ミリトール(1.33Pa))で実施され得る。それらはまた、円筒型反応性イオンエッチング(円筒型RIE)を使用して、ロールツーロール(即ち、連続)プロセスとして実施され得る。
【0012】
本発明はしたがって、比較的単純で製造に費用のかからないAR表面に関する、当該技術分野における必要性を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に有用なコーティング装置の第1の断片的な斜視図。
【図2】異なる視点からとられた、図1の装置の第2の断片的な斜視図。
【図3】そのガス含有チャンバから取り外された、コーティング装置の他の実施形態の断片的な斜視図。
【図4】異なる視点からとられた図3の装置の第2の斜視図。
【図5】本発明の異方性のナノ構造化物品の走査型電子顕微鏡写真。
【図6】本発明の他の異方性のナノ構造化物品の走査型電子顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ナノ構造化物品は、分散相を備えるマトリックスを含む。マトリックス、即ち、連続相は、高分子材料、無機材料、又は合金、あるいは固溶体(混和性ポリマーを含む)を含むことができる。
【0015】
有用な高分子材料には、熱可塑性樹脂及び熱硬化性プラスチックが挙げられる。好適な熱可塑性樹脂には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、熱可塑性ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエチレンナフタレート、スチレンアクリロニトリル、シリコーンポリオキサミドポリマー、フルオロポリマー、環状オレフィンコポリマー、熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
好適な熱硬化性樹脂には、アリル樹脂、エポキシ、熱硬化性ポリウレタン、シリコーン、又はポリシロキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの樹脂は、少なくとも1つのオリゴマーのウレタン(メタ)アクリレートを含む、重合性組成物の反応生成物から形成され得る。典型的に、オリゴマーのウレタン(メタ)アクリレートは、マルチ(メタ)アクリレートである。用語「(メタ)アクリレート」は、アクリル及びメタクリル酸のエステルを指すために使用され、「マルチ(メタ)アクリレート」は、一般に、(メタ)アクリレートポリマーと呼ばれる、「ポリ(メタ)アクリレート」と反対に、1つ以上の(メタ)アクリレート基を含有する分子を指す。最も多く、マルチ(メタ)アクリレートは、ジ(メタ)アクリレートであるが、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート等を採用することも意図されている。
【0017】
オリゴマーのウレタンマルチ(メタ)アクリレートは、例えば、商品名「Photomer 6000シリーズ」、例えば「Photomer 6010」及び「Photomer 6020」など、及び商品名「CN 900 Series」、例えば「CN966B85」、「CN964」及び「CN972」でSartomerから市販されている。オリゴマーのウレタン(メタ)アクリレートはまた、商品名「Ebecryl 8402」、「Ebecryl 8807」及び「Ebecryl 4827」でSurface Specialitiesから入手可能である。オリゴマーのウレタン(メタ)アクリレートはまた、化学式OCN−R3−NCOの、ポリオールとのアルキレン又は芳香族ジイソシアネートの初期反応によって調製されてもよい。最も多く、ポリオールは、化学式HO−R4−OHのジオールであり、式中、R3は、C2〜100アルキレン又はアルキレン基であり、R4はC2〜100アルキレン基である。この中間生成物は、次いで、ウレタンジオールジイソシアネートであり、これは続いて、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応し得る。好適なジイソシアネートには、2,2,4−トリメチルヘキシレンジイソシアネート及びトルエンジイソシアネートが挙げられる。アルキレンジイソシアネートが一般的に好ましい。このタイプの特定の好ましい化合物は、2,2,4−トリメチルヘキシレンジイソシアネート、ポリ(カプロラクタム)ジオール、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートから調製することができる。少なくともいくつかの場合では、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい脂肪族である。
【0018】
重合性樹脂は、少なくとも1つの他モノマーを含む、放射線硬化性組成物であり得る(即ち、オリゴマーのウレタン(メタ)アクリレート以外)。他のモノマーは、粘度を低減させ、及び/又はサーモメカニカル特性を向上させ、及び/又は屈折率を増加させる。これらの特性を有するモノマーには、アクリルモノマー(即ち、アクリレート及びメタクリレートエステル、アクリルアミド、及びメタクリルアミド)、スチレンモノマー、並びにエチレン性不飽和窒素複素環が挙げられる。
【0019】
好適なアクリルモノマーには、単量体(メタ)アクリレートエステル類が挙げられる。それらには、アルキル(メタ)アクリレート、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、1−プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、及びt−ブチルアクリレートが挙げられる。
【0020】
また、他の機能性を有する(メタ)アクリレートエステルも挙げられる。このタイプの化合物は、2−(N−ブチルカルバミル)エチル(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェノキシルエチル(tribromophenoxylethyl)アクリレート、t−ブチルフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルチオアクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、アルコキシル化フェニルアクリレート、イソボルニルアクリレート及びフェノキシエチルアクリレートによって例示される。テトラブロモビスフェノールAジエポキシド及び(メタ)アクリル酸の反応生成物もまた好適である。
【0021】
他のモノマーもまた、モノマーのN置換又はN,N−二置換(メタ)アクリルアミド、特にアクリルアミドであってもよい。これらとしては、N−アルキルアクリルアミド及びN,N−ジアルキルアクリルアミド、特にC1〜4アルキル基を含有するものが挙げられる。例には、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドがある。
【0022】
他のモノマーは更に、ポリオールマルチ(メタ)アクリレートであってもよい。そのような化合物は典型的に、2〜10の炭素原子を含有する、脂肪族ジオール、トリオール、及び/又はテトラオールから調製される。好適なポリ(メタ)アクリレートの例は、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクレート、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールトリアクリレート(トリメチロールプロパントリアクリレート)、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、相当するメタクリレート、及び前述のポリオールのアルコキシル化(通常はエトキシル化)誘導体の(メタ)アクリレートである。2つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーは架橋剤としての働きをすることができる。
【0023】
他のモノマーとして使用に適したスチレン化合物には、スチレン、ジクロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、4−メチルスチレン及び4−フェノキシスチレンが挙げられる。エチレン性不飽和窒素複素環には、N−ビニルピロリドン及びビニルピリジンが挙げられる。
【0024】
放射線硬化性材料中の構成成分の比率は様々であってもよい。概して、有機成分は、約30〜100%のオリゴマーのウレタンマルチ(メタ)アクリレートを、他の(メタ)アクリレートモノマーエチレン性不飽和基である残部と共に含んでもよい。
【0025】
マトリックスに有用な無機材料には、ガラス、金属酸化物、及びセラミックスが挙げられる。好ましい無機材料には、酸化ケイ素、ジルコニア、五酸化バナジウム、及び炭化タングステンが挙げられる。
【0026】
ナノスケールの分散相は、マトリックス内にランダムに分散した非連続相である。ナノスケールの分散相は、ナノ粒子(例えば、ナノ球体)、ナノチューブ、ナノ繊維、かご状分子、超分岐分子、ミセル、逆ミセル等を含んでもよい。好ましくは、分散相は、ナノ粒子又はかご状分子を含み、より好ましくは、分散相はナノ粒子を含む。
【0027】
ナノ粒子は、約1nm〜約100nmの範囲の平均径を有するのが好ましい。ナノ粒子は、5nm〜20nm、又は80nmの平均径を有するのが好ましい。分散相のナノ粒子は、金属、金属酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、ハロゲン化物、フルオロカーボン固形分等、又はこれらの混合物を含んでもよい。好ましい材料には、SiO、ZrO、TiO、ZnO、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、炭素、ポリ(テトラフルオロエチレン)等が挙げられる。好ましくは、ナノ粒子はSiOを含む。
【0028】
ナノ粒子は、約1重量%〜約60重量%、又は約10重量%〜約40重量%の量で、マトリックス中に存在してもよい。本発明の材料中に使用するためのシリカは、Nalco Chemical Co.(Naperville,Ill.)から市販されている。商標名「Nalco Collodial Silicas」で、例えば製品1040、1042、1050、1060、2327、及び2329で。好適なヒュームドシリカには、商品名「Aerosilシリーズ OX−50」、並びに商品番号−130、−150、及び−200で、Evonikから市販されている製品が挙げられる。他のコロイドシリカは、表記「IPA−ST」、「IPA−ST−L」及び「IPA−ST−ML」でNissan Chemicalsから入手することもできる。ヒュームドシリカはまた、表記「CAB−O−SPERSE 2095」、「CAB−O−SPERSE A105」、及び「CAB−O−SIL M5」でCabot Corp.(Tuscola,Ill.)から市販されている。本発明の組成物及び物品中で使用するジルコニアは、Nalco Chemical Co.より商標名「Nalco OOSSOO8」で入手可能である。
【0029】
ナノサイズの粒子を表面処理することで、ポリマー樹脂中での安定した分散をもたらことができる。好ましくは、表面処理は、粒子が重合性樹脂中に良好に分散されて、実質的に均質な組成物を生じるように、ナノ粒子を安定させる。更に、安定した粒子が硬化中に、重合性樹脂と共重合又は反応できるように、ナノ粒子は、その表面の少なくとも一部分を表面処理剤で改質されてもよい。
【0030】
ナノ粒子は、好ましくは表面処理剤で処理される。一般に、表面処理剤には、粒子表面に結合(共有結合、イオン結合、又は、強力な物理吸着による結合)することになる第1の末端部と、粒子に樹脂との相溶性をもたらすか、及び/又は、硬化中に樹脂と反応する、第2の末端部が備わっている。表面処理剤の例としては、アルコール類、アミン類、カルボン酸類、スルホン酸類、ホスホン酸類、シラン類、及びチタネート類が挙げられる。好ましいタイプの処理剤は、金属酸化物表面の化学的性質によりある程度は決定される。シリカに対してはシランが好ましく、ケイ酸質充填剤に対しては他のものが好ましい。ジルコニアのような金属オキシドに対しては、シラン及びカルボン酸が好ましい。表面改質は、モノマーとの混合に続いて又は混合後のいずれかで行うことができる。シランの場合、樹脂へ組み込む前にシランを粒子又はナノ粒子の表面と反応させるのが好ましい。表面改質剤の必要量は、粒子サイズ、粒子タイプ、改質剤の分子量、及び改質剤のタイプのようないくつかの要素に依存する。
【0031】
表面処理剤の代表的な実施形態としては、化合物、例えば、イソオクチルトリ−メトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシ−エトキシエトキシエチルカルバメート(PEG3TES)、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG2TES)、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)酢酸(MEEAA)、β−カルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及びこれらの混合物が挙げられる。更に、商品名「Silquest A1230」でOSI Specialties(Crompton South Charleston,W.V.)から市販されている独自開発のシラン表面改質剤が適している。
【0032】
コロイド状分散中の粒子の表面改質は、種々の方法で実現できる。そのプロセスは、無機分散液と表面改質剤との混合物を伴う。任意選択的に、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、及び1−メチル−2−ピロリジノンのような共溶媒をこの時点で添加できる。共溶媒は、表面改質剤並びに表面改質された粒子の溶解度を向上できる。無機ゾル及び表面改質剤を含む混合物は、その後、室温又は高温で、混合あり又はなしで、反応される。一方法では、混合物は約85℃で、約24時間反応されてもよく、表面改質されたゾルとなる。別の方法では、金属酸化物が表面改質されているところでは、金属酸化物の表面処理は、好ましくは、粒子表面への酸性分子の吸収を伴う場合がある。重金属酸化物の表面改質は、室温で実施するのが好ましい。
【0033】
シランでのZrOの表面改質は、酸性条件下又は塩基性条件下にて達成することができる。ある場合では、シランは、酸性条件下にて適した時間、加熱される。そのとき、分散体は、アンモニア水(又は他の塩基)と組み合わせられる。この方法は、ZrO表面からの酸対イオンの除去、及びシランとの反応を可能にする。他の方法では、粒子は、分散体から析出され、液相から分離される。
【0034】
表面改質剤の混合物が有用である可能性があり、その場合、表面改質剤の少なくとも1つには、硬化性樹脂と共重合可能な官能基が含まれている。例えば、重合化基は、エチレン性不飽和であるか、又は開環重合を起こす環式官能基であることができる。エチレン性不飽和重合化基は、例えば、アクリレート基又はメタクリレート基、若しくは又はビニル基であることができる。開環重合を起こす環式官能基には一般的に、酸素、イオウ、又は、窒素のようなヘテロ原子が含まれており、好ましくは、エポキシドのように酸素を含有する3員環である。
【0035】
ナノ分散相のための有用なかご状分子には、オリゴマー多面型シルセスキオキサン分子が挙げられ、これは、シリコーン及び酸素のかご様ハイブリッド分子である。オリゴマー多面型シルセスキオキサン(POSS)分子は、組成物及び命名法の共有システムの両方を通じて、シリコーンに密接に関連する、継続的に展開し続ける化合物群由来である。POSS分子は2つの固有の特徴、(1)化学組成物は、シリカ(SiO)とシリコーン(RSiO)との間の、ハイブリッドで中間体(RSiO1.5)であり、(2)分子はポリマー径に対して物理的に大きく、大部分のポリマーセグメント及びコイルに対して、サイズはほぼ等しい。その結果、POSS分子は、シリカの、可能な最小粒子(約1〜1.5nm)として考えることができる。しかしながら、シリカ又は改質された粘度と異なり、それぞれのPOSS分子は、POSSモノマーをポリマー鎖に重合する又はグラフトするために好適な、共有結合した反応性官能基を含有する。更に、POSSアクリレート及びメタクリレートモノマーは、紫外線(UV)硬化に好適である。高機能性POSSアクリレート及びメタクリレート樹脂(例えば、MA0735及びMA0736)は、UV−硬化性アクリル及びアクリルウレタンモノマー又はオリゴマーの大部分と混和性であって、POSS分子が、有機コーティングマトリックス中に均一に分散したナノ相を形成する、機械的に耐久性のあるハードコートを形成する。
【0036】
炭素はまた、ナノ分散相中で、グラファイト、カーボンナノチューブ、バルキーボール(bulky ball)、又はカーボンブラックの形態で、例えば米国特許第7,368,161号(McGurranら)に記載のように使用され得る。
【0037】
ナノ分散相に使用することができる、更なる材料には、Irgastat(商標)P18(Tarrytown,NYのCiba Corporationから入手可能)及びAmpacet LR−92967(Tarrytown,NYのAmpacet Corporationから入手可能)が挙げられる。
【0038】
分散相は典型的に、約1重量%〜約50重量%、好ましくは約5重量%〜約25重量%の濃度で、マトリックス中に存在する。
【0039】
本発明のナノ構造化物品は、ナノ構造化異方性表面を有する。ナノ構造化異方性表面は、典型的に、約2:1以上、好ましくは約5:1以上の、高さ対幅の比を有するナノ構造を含む。いくつかの実施形態では、高さと幅の比は、更には50:1以上、又は100:1以上、又は200:1以上である。ナノ構造化異方性表面は、例えば、ナノピラー若しくはナノコラム、又はナノピラー若しくはナノコラムを含む連続的なナノ壁を含むことができる。好ましくは、ナノ構造は、基材とほぼ垂直である、急勾配の側壁を有する。いくつかの実施形態では、ナノ構造の大部分は、分散相材料で末端保護されている。(マトリックスの内部に対して)表面の分散相の濃度は、約5重量%〜約90重量%、好ましくは約10重量%〜約75重量%であってもよい。いくつかの実施形態では、分散相の濃度は、マトリックス内よりも、マトリックスの表面の方が高い。
【0040】
いくつかの実施形態では、マトリックスは、汚れ及び粒子を引き付けるのを最小限に抑えて、したがって、表面の質を維持するための静電気分散のための材料を含んでもよい。静電気分散のための好適な材料には、例えば、Stat−Rite(商標)ポリマー、例えばX−5091、M−809、S−5530、S−400、S−403、及びS−680(Lubrizol(Wickliffe,OH)から入手可能)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)(H.C.Starck(Cincinnati,OH)から入手可能)、ポリアニリン、ポリチオフェン、Pelestat(商標)NC6321及びNC7530帯電防止添加剤(Tomen America(New York,NY)より入手可能)が挙げられる。
【0041】
ナノ構造化表面は、異方性にマトリックスをエッチングすることによって形成される。マトリックスは、ナノスケールの分散相を含むマトリックスは、例えば、基材上のコーティングとして提供されてもよい。基材は、例えば、高分子基材、ガラス基材若しくは窓、又は有機発光ダイオード(OLED)、ディスプレイ、太陽光デバイス等などの機能デバイスであってもよい。分散相を含むマトリックスは、当該技術分野において既知の方法、例えばキャストドラムによるキャスティング硬化、ダイコーティング、フローコーティング、ディップコーティングなどを使用して、基材上にコーティングされ、硬化され得る。コーティングは、約1マイクロメートル超の又は好ましくは約4マイクロメートル超の任意の望ましい厚さで調製することができる。更に、コーティングは紫外線、電子ビーム、又は熱によって硬化されてもよい。あるいは、分散相を含むマトリックスは、物品それ自体であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、ナノスケールの分散相を含むマトリックスの表面は、マイクロ構造化されてもよい。例えば、V型の溝のマイクロ構造化表面を備える基材は、ナノ分散相を含む重合性マトリックス材料でコーティングされ、プラズマエッチングによって処理されて、V型の溝のマイクロ構造化表面上にナノ構造体を形成してもよい。あるいは、フレネルレンズ、又はナノ分散相を含むマイクロ複製の支柱若しくはコラムを含むマイクロ構造化物品などのマイクロ構造化物品はまた、プラズマエッチングによって処理されて、ナノ構造体をマイクロ構造体上に形成してもよい。
【0043】
化学反応性プラズマを使用して、マトリックスは異方性にエッチングされる。RIEプロセスは、例えば、電磁場によって真空条件下でプラズマを生成することを伴う。プラズマからの高エネルギーイオンが、マトリックス材料に衝突する、即ちエッチングする。
【0044】
典型的なRIEシステムは、2つの平行な電極「通電電極」(即ち「サンプルキャリア電極」)、及びイオンを向けて加速する電場を作る対電極を備える真空チャンバからなる。通電電極は、チャンバの底部分にあり、チャンバの残りから電気的に単離されている。ナノ構造化される予定の物品又はサンプルは、通電電極上に配置されている。反応ガス種は、例えば、チャンバの頂部における小さな入口を介してチャンバに添加されてもよく、チャンバの底部の真空ポンプシステムに出ることができる。プラズマは、RF電磁場を通電電極に印加することによりシステム内に形成される。電磁場は典型的に、13.56MHz発振器を使用して作られるが、他のRF源及び周波数範囲が使用されてもよい。ガス分子は、破壊されて、プラズマ中にイオン化され、通電電極の方に加速し、サンプルをエッチングすることができる。大きな電圧差は、イオンを通電電極の方に向け、ここではイオンはエッチングされる予定のサンプルと衝突する。大半が、イオンの垂直の送達により、サンプルのエッチングのプロファイルは実質的に異方性である。通電電極は、通電電極に隣接するイオンシースにわたって、大きな電位差を作る対電極よりも小さいことが好ましい。エッチングは、約100nm超の深さであることが好ましい。
【0045】
プロセス圧力は、典型的に約20ミリトール(2.67Pa)(好ましくは、約10ミリトール(1.33Pa)以下)に、しかし約1ミリトール(0.133Pa)超に維持される。この圧力範囲は、費用効率のよい方法で異方性ナノ構造体の生成に非常に貢献する。圧力が約20ミリトール(2.67Pa)より高いとき、イオンエネルギーの衝突消失効果により、エッチングプロセスはより異方性となる。同様に、圧力が約1ミリトール(0.133Pa)以下であるとき、反応種の数密度における減少のために、エッチング速度は非常に遅くなる。また、ガス真空条件が非常に高くなる。
【0046】
エッチングプロセスのRF電力の電力密度は、好ましくは約0.1〜約1.0ワット/cm(好ましくは、約0.2〜約0.3ワット/cm)の範囲である。
【0047】
使用されるガスの種類及び量は、エッチングされるマトリックス材料によって決まる。反応性ガス種は、分散相よりはむしろ、マトリックス材料を選択的にエッチングする必要がある。炭化水素のエッチング速度を向上させるために、又は非炭化水素材料エッチングのために、追加のガスが使用されてもよい。SiO、炭化タングステン、窒化ケイ素、アモルファスシリコン等をエッチングするために、例えば、フッ素含有ガス、例えば、パーフルオロメタン、パーフルオロエタン、パーフルオロプロパン、六フッ化硫黄、三フッ化窒素等は、酸素に添加されるか、あるいはそれらによって導入されてもよい。例えばアルミニウム、イオウ、炭化ホウ素等の材料をエッチングするために、塩素含有ガスが同様に添加されてもよい。炭化水素ガス、例えばメタンが、ガリウムヒ素、ガリウム、インジウム等の材料をエッチングするために使用されてもよい。不活性ガス、特に、アルゴンなどの重ガスが添加されて、異方性エッチングプロセスを促進してもよい。
【0048】
有利なことに、本発明の方法は連続のロールツーロールプロセスを使用して実施することもできる。例えば、本発明の方法は「円筒型」のRIEを使用して実施することができる。円筒型RIEは、回転している円筒型電極を利用して、本発明の物品の表面上に異方性にエッチングされたナノ構造体を提供する。
【0049】
一般的に、本発明のナノ構造化物品を作製するための円筒型RIEは以下の通り記載され得る。回転可能な円筒型電極(「ドラム電極」)は、高周波(RF)によって通電され、接地した対電極は減圧容器の内部に提供される。対電極は減圧容器それ自体を構成してもよい。エッチャントを含むガスは、減圧容器内に供給され、プラズマが着火され、ドラム電極と接地した対電極との間に維持された。この条件は、十分なイオン衝突がドラムの周囲に垂直に向けられるように、選択される。ナノ分散相を含有するマトリックスを含む連続性物品は、ドラムの周囲において巻き付けられ、マトリックスは、物品の面に垂直な方向でエッチングされ得る。マトリックスは、例えばフィルム若しくはウェブ上などの物品上のコーティングの形態であってもよく、又はマトリックスは物品それ自体であってもよい。物品の露出時間は、得られるナノ構造体の所定のエッチング深さが得られるように制御され得る。プロセスは、約10ミリトール(1.33Pa)の動作圧力で実施されてもよい。
【0050】
図1及び2は、本発明の方法に有用である、円筒型RIE装置を図示する。プラズマ生成及びイオン加速のための一般的な要素は、10として一般に示されている。このRIE装置10は、支持構造体12と、1つ以上のドア18の前側パネル16を含むハウジング14と、1つ以上の区画に分けられた内側チャンバ24をその中に画定する側壁20及び後側プレート22と、回転可能にチャンバ内に取り付けられたドラム26と、回転可能にチャンバ内に取り付けられ、一般に28と参照される複数のリール機構と、ドラム26を回転可能に駆動させるための駆動機構37と、チャンバ内に回転可能に取り付けられたアイドラーローラー32と、流体可能にチャンバに接続された真空ポンプ34と、を含む。
【0051】
支持構造体12は、この場合では、垂直に直立した方式で、ハウジング14を望ましい構成で支持するための、当該技術分野において既知の任意の手段である。図1及び図2で示されるように、ハウジング14は、以下でより詳細に記載されるように2部のハウジングであってもよい。本実施形態では、支持構造体12は、装置10を支持するための2部のハウジングのそれぞれの側に取り付けられるクロス支持体40を含む。特に、クロス支持体40は、装置10をそれぞれ移動させ、支持するための、ホイール42及び調整可能なフィート44の両方を含む。図1及び2に示される実施形態では、クロス支持体40は、アタッチメント支持体46を介して、ハウジング14のそれぞれの側に取り付けられる。特に、クロス支持体40は、側壁(side wails)20の1つに、即ち底部の側壁に、アタッチメント支持体46を介して接続され、一方でハウジング14の他方の側上のクロス支持体40は、アタッチメント支持体46によって後側プレート22に接続される。更なるクロスバー47が、図1に示されるように装置10の右側にクロス支持体40間に供給される。これは更なる構造的強化をもたらすことができる。
【0052】
ハウジング14は、排気、排気の後に導入されたガスの封じ込め、ガスからのプラズマ生成、イオン衝撃、及びエッチングすることができる、制御された環境を提供する任意の手段であってもよい。図1及び図2で示されている実施形態では、ハウジング14は前側パネル16、4つの側壁20、及び後側プレート22を含む外壁を有する。外壁は、チャンバ24と示される中空の内部を備える箱を画定する。側壁20及び後側プレート22は、当該技術分野において既知の任意の方法で一緒に締結され、側壁20及び後側プレート22を、チャンバ24の排気、プラズマ生成のための流体の封じ込め、プラズマ生成、イオン加速、及びエッチングを可能にするのに十分な方法で、互いに厳密に固定される。前側パネル16は、基材材料の搭載及び除荷のため及びメンテナンス実施のためのチャンバ24へのアクセスを提供するように、固定されていない。前側パネル16は、ヒンジ50(又は同等な接続手段)を介して、一対のドア18を画定する側壁20のうちの1つに接続される2つのプレートに分離される。これらのドアは、好ましくは、真空封止の使用によって(例えば、Oリング)側壁20の縁部に封止する。ロック機構52は選択的にドア18を側壁20に固定し、チャンバ24の排気、プラズマ生成のための流体の保管、プラズマ生成、イオン衝撃、及びエッチングを可能にする方法で、ドア18を壁20に固定することができる任意の機構であってもよい。
【0053】
一実施形態では、チャンバ24は、分離壁54によって2つの区画56及び58に分離される。壁54内の経路又は穴60は、区画間の流体又は基材の経路を提供する。あるいは、チャンバは、1つの区画のみ、又は3つ以上の区画であってもよい。チャンバは1つの区画のみであることが好ましい。
【0054】
ハウジング14は、密閉可能に、ポート62を被覆し、その中で発生しているエッチングプロセスを観察することができる、高圧の、透明なポリマープレート64を備える、複数の観察ポート62を含む。ハウジング14はまた、その中で様々なセンサー(例えば、温度、圧力等)が確保され得る、複数のセンサーポート66を含む。ハウジング14は、それを介して流体が、必要に応じてチャンバ24内に導入され得る導管接続を提供するための入口ポート68を更に含む。ハウジング14はまた、ガス及び液体を送り出すか、ないしは別の方法でチャンバ24から排出することを可能にする、ポンプポート70及び72を含む。
【0055】
ポンプ34は、側部20の1つから、好ましくは底部(図2に示されるように)から延びているように示される。ポンプ34は、ハウジング14内の制御された環境に流体可能に接続される、例えばターボイオンポンプであってもよい。下方のチャンバ58を排気し、その中の圧力を維持するために、他のポンプ、例えば、拡散ポンプ又は低温ポンプが使用されてもよい。エッチング工程中のプロセス圧力は、異方性エッチングを提供するために、約1ミリトール(0.133Pa)〜約20ミリトール(2.67Pa)であるように選択されるのが好ましい。摺動バルブ73は、この流体接続部に沿って配置され、ポンプ34とハウジング14の内部との間の流体連通を選択的に交差するか、又は遮断することができる。摺動バルブ73は、ポンプポート62が十分に開いて、部分的に開いて、又はポンプ34との流体連通に対して閉じているように、ポンプポート62の上を移動可能である。
【0056】
ドラム26は、環状表面82及び2つの平坦な端面84を備える円筒型電極80である。電極は、任意の導電性材料で作製されてもよく、好ましいのは、例えばアルミニウム、銅、スチール、ステンレス鋼、銀、クロム、又は前述の任意の1つ以上の合金である。好ましくは、製造の容易さ、低スパッタ収率、及び低コストから、電極はアルミニウムである。
【0057】
ドラム26は、電界が外側に浸透できるようにする、コーティングされていない導電性の領域と、並びに、電界の浸透を防ぐための非導電性の絶縁領域とを含むよう、したがって電極の非絶縁性若しくは導電性部分へのフィルムのコーティングを制限するように更に作製されてもよい。非導電性材料は典型的に絶縁体、例えばポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)である。導電性領域として、小さなチャンネルのみ(典型的にはコーティングされるべき、基材の幅)を提供するように、この非導電性の目的を満たす様々な実施形態は、当業者の一人によって想定される。
【0058】
図1は、ドラム26の実施形態を示し、コーティングされないまま残り、したがって導電性である環状表面82内の環状チャネル90を除き、ドラム26の環状表面82及び端面84は、非導電性又は絶縁性材料でコーティングされている。更に、暗部シールド86及び88の対は環状表面82上の絶縁材料を被覆し、一部の実施形態では端面84を被覆する。絶縁性材料は、それに沿ってプラズマ生成及び負バイアスが発生し得る電極の表面を限定する。しかしながら、絶縁性材料は、ときにはイオン衝撃によって汚染されるため、暗部シールド86及び88は、絶縁材料の部分又は全てを被覆してもよい。これらの暗部シールドは、アルミニウムなどの金属から作製されてもよいが、これらは、絶縁材料(図示せず)の手段によって電極から分離されているので、導電性作用物質として作用しない、これは、電極へのプラズマの封じ込めを可能にする。
【0059】
ドラム26の別の実施形態は、図3及び図4に示されており、ここではドラム26は、ドラム26の環状表面82に取り付けられた、一対の絶縁性リング85及び87を含む。一部の実施形態では絶縁性リング87は、端面84を被覆するようにも作用するキャップである。ボルト92は、平坦なプレート又はストラップとして具体化された支持手段94を後側プレート22に固定する。ボルト92及び支持手段94は、ドラム26の様々な部分を支持するのを促進することができる。一対の絶縁性リング85及び87は、いったん環状表面82に取り付けられると、チャネル90として具体化された、露出した電極部分を画定する。
【0060】
いずれの場合においても、基材が電極と接触する箇所(即ち、電極のプラズマ暗部限界に接触する、又は電極のプラズマ暗部限界内の(例えば、約3mm))を除き、電極80は、全ての領域において絶縁性材料によって、何らかの方法で被覆される。これは、基材と密接して接触することができる露出した電極部分を画定する。電極の残部は、絶縁性材料によって被覆される。電極が通電され、得られるプラズマに対して負にバイアスされたとき、この比較的厚い絶縁性材料は、それが被覆する表面上のエッチングを防ぐ。結果として、エッチングは、被覆されていない領域(即ち、絶縁性材料で被覆されていない領域、チャンネル90)に限定され、これは好ましくは、比較的薄い基材材料によって被覆されている。
【0061】
図1及び図2を参照すると、ドラム26は、磁性流体貫通(ferrofluidic feedthrough)、及び後側プレート22における穴の中に固定される回転継手(rotary union)38(又は同等の機構)を介して後側プレート22に取り付けられる。磁性流体貫通及び回転継手は、真空封止を保持しながら、標準的な冷却剤流体導管及び電気ワイヤから、回転中の回転可能ドラム26の、中空の冷却剤経路及び導電電極それぞれへ、別個の流体及び電気的接続を提供する。回転継手はまた、必要な応力を供給して、ドラムを回転させ、この応力は、ブラシレスDCサーボモーターなど、任意の駆動手段から供給される。しかしながら、後側プレート22並びに導管及びワイヤへのドラム26の接続は、そのような接続を供給することができ、かつ磁性流体貫通及び回転継手に制限されないような任意の手段によって実施されてもよい。かかる磁性流体貫通及び回転継手の一例は、Ferrofluidics Co.(Nashua,N.H.)製の、内径約2インチ(5cm)の中空のフィードスルーである。
【0062】
ドラム26は、駆動アセンブリ37によって回転可能に駆動され、これは回転運動をドラム26に転換できる任意の機械的及び/又は電気的システムであってもよい。図2に示される一実施形態では、駆動アセンブリ37は、ドラム26に硬く接続されている駆動プーリー39に機械的に接続されている駆動プーリー31で終端する駆動シャフトを備える、モーター33を含む。ベルト35(又は同等の構造体)は、駆動プーリー31からの回転運動を駆動プーリー39に転換する。
【0063】
複数のリール機構28が、後側プレート22に回転可能に取り付けられる。複数の複数のリール機構28は、一対の基材スプール28A及び28Bを備える基材リール機構を含み、一部の実施形態では、一対のスペーシングウェブスプール28C及び28Dを備えるスペーシングウェブリール機構を備える、スペーシングウェブリールと、一対のマスキングウェブスプール28E及び28Fを備えるマスキングウェブリール機構を含み、ここではそれぞれの対は、1つの送達及び1つの巻取りスプールを含む。図2で明らかなように、少なくとも各巻取りリール28B、28D、及び28Fは、エッチング中に、必要に応じて、リールを選択的に回転させる回転応力を供給するための、これに機械的に接続された駆動機構27(例えば、以下に記載のように標準モーター)を含む。更に、選択された実施形態における各送達リール28A、28C、及び28Eは、ウェブ及び/又は駆動機構29に緊張をもたらすためのテンショナーを含む。
【0064】
各リール機構は、送達及び巻取りスプールを含み、これらは、互いに同一又は異なる区画内にあってもよく、これは次いで電極内の同じ区画にあってもよく、あるいはそうでなくてもよい。各スプールは、溝を画定しながら、それぞれの端部から半径方向に延びる、軸方向のロッド及びリムを備える標準的な構造体であり、そこでは、細長い部材(この場合では基材又はウェブ又はウェブ)が巻かれる又は巻き付けられる。各スプールは、後側プレート22を通じて延びる回転可能なステムに密封可能に固定して取り付けられる。スプールが駆動される場合では、ステムはモーター27(例えば、ブラシレスDCサーボモーター)に機械的に接続される。非駆動スプールの場合では、スプールは単に回転可能な方式で、連結部29を介して、後側プレート22に連結され、また、ゆるみを防ぐために伸張機構を含んでもよい。
【0065】
RIE装置10はまた、チャンバ内で回転可能に取り付けられるアイドラーローラー32と、このチャンバに流体接続するポンプ34と、含む。アイドラーローラーは、ドラム26上で基材スプール28Aからチャネル90まで、かつチャネル90から巻取り基材スプール28Bまで基材を案内する。更に、スペーシングウェブ及びマスキングウェブが使用され、アイドラーローラー32は、これらのウェブ及び基材を、基材スプール28A及びマスキングウェブスプール28Eからチャネル90に、並びにチャネル90から巻取り基材スプール28B及び巻取りマスキングウェブスプール28Fにそれぞれ案内する。
【0066】
RIE装置10は、磁性流体貫通38を介して、温度制御液を電極80に供給するための温度制御システムを更に含む。温度制御システムは、装置10上に供給されてもよく、又は別の方法としては、別個のシステムから供給されて、温度制御液が、電極80内の経路と流体接続している限り、導管を介して、装置10に送り出されてもよい。温度制御システムは、エッチングのための正確な温度の電極を供給するために必要とされる場合、電極80を加熱するか、又は冷却してもよい。好ましい実施形態では、温度制御システムは、例えば、水、エチレングリコール、クロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、及び液化ガス(例えば液体窒素)などのクーラント使用するクーラントシステムである。
【0067】
RIE装置10はまた、排気ポート70に流体的に接続された排気ポンプを含む。このポンプはチャンバを排気させることができる、任意の真空ポンプ、例えばルーツ式送風機、ターボ分子ポンプ、拡散ポンプ、低温ポンプであってもよい。更に、このポンプは機械式ポンプによって補助又はバックアップされてもよい。排気ポンプは、装置10上に供給されてもよく、又は別の方法としてあるいは、別個のシステムとして供給され、チャンバに流体接続されてもよい。
【0068】
RIE装置10はまた、薄膜を作製するのに使用される流体を制御する、好ましくはマスフローコントローラーの形態の、流体フィーダーを含み、この流体はチャンバ内に、その排気後に送られる。フィーダーは、装置10上に供給されてもよく、又は別の方法として、別個のシステムとして供給され、チャンバに流体接続されてもよい。フィーダーは、エッチング中に、正確な容積率又は質量流量の流体をチャンバに供給する。エッチングガスは、例えば、酸素、アルゴン、塩素、フッ素、炭素、四フッ化物、四塩化炭素、パーフルオロメタン、パーフルオロエタン、パーフルオロプロパン、三フッ化窒素、六フッ化硫黄、メタン等を含むことができる。ガスの混合物は、エッチングプロセスを促進するために有利に使用されてもよい。
【0069】
RIE装置10はまた、電気端子30を介して、電極80に電気的に接続された電源を含む。電源は、装置10上に供給されてもよく、又は別の方法として、別個のシステム上に供給されて、電気端子(図2に示されるように)を介して電極に電気的に接続されてもよい。いずれの場合においても、電源は、十分な電力を供給することができる任意の発電又は送電システムである。(以下の記載を参照。)
様々な電源が可能であるが、RF電力が好ましい。これは、自己バイアスを、適切に構成された通電された電極上に形成するのに、周波数は十分高いが、得られるプラズマに定在波を作るには十分高くないためである。RF電力は、高出力(幅の広いウェブ又は基材、急速なウェブ速度)に対して測定可能である。RF電力が使用されるとき、電極上の負バイアスは、負自己バイアスであり、即ち電極上に負バイアスを誘発するために使用される、別個の電源は必要ない。RF電力が好ましいため、本記載の残りはそのことについてのみ焦点を当てる。
【0070】
RF電源は、電極80を、0.01〜50MHz、好ましくは13.56MHzの範囲で、又は任意の、その倍の整数(例えば1、2、又は3)の範囲の周波数で通電する。このRF電力は電極80に供給されると、チャンバ内のガスからプラズマを作る。RF電源は、同軸送電線を通じて効果的にRF電力を送電するように、電力供給のインピーダンスが、送電線のインピーダンス(通常は50オーム抵抗)と一致するように働くネットワークを介して、電極に接続された13.56MHz発振器などのRF発生装置であってもよい。
【0071】
RF電力を電極に適用すると、プラズマが確立される。15のRFプラズマでは、通電した電極は、プラズマに対して負バイアスとなる。このバイアスは一般的に、500〜1400ボルトの範囲である。このバイアスはプラズマ内のイオンを電極80に向けて加速させる。加速するイオンは、以下により詳細に記載されるように、電極80と接触する物品をエッチングする。
【0072】
操作時に、その上にエッチングすることが望ましい基材の全体スプールが、スプール28Aとしてステムの上に挿入される。図1及び図2では、スプールは下方の区画58に配置されており、一方で、エッチングは上方の区画56で生じているため、これらのスプールへのアクセスは下方のドア18を通じて供給される。更に、エッチングが生じた後に、巻取りスプールとして機能するように、空のスプールが、スプール28Bとして、スプールを保持する基材と反対側で締結される。
【0073】
スペーサーウェブが、巻き付け又は巻き出し中に基材を弛緩させるために必要とされており、スペーサーウェブ送達及び/又は巻取りスプールは、スプール28C及び28Dとして供給されてもよい(図中に示される特定の場所内のスプールの位置は問題ではない)。同様に、エッチングが、パターン、あるいは部分的な方式で必要とされる場合に、マスキングウェブが、スプール28Eとして入力スプール上に配置され、空のスプールが、スプール28Fとして巻取りスプールとして配置される。
【0074】
基材若しくはウェブを備えたスプール、及びこれらを備えないスプールの全てが配置された後、その上でエッチングが生じる基材は、織られるか、あるいは巻取りリールにシステムを介して引っ張られる。スペーサーウェブは概して、システムを介して織られていないが、代わりに、この工程のちょうど前及び/又はこの工程がちょうど供給された後に、基材から分離される。基材は特に、チャネル90における電極80の周辺に巻き付けられ、したがって、露出した電極部分を被覆する。基材は、十分に張って電極と接触した状態のままであり、かつ基材の長さが常に、エッチングのために電極と接触しているように、電極が回転するにつれて、電極と共に移動する。これは、基材が、ロールの一方の端部から他方へと連続プロセスにおいてエッチングされるのを可能にする。基材は、エッチングのために定置され、下方のドア18は密閉される。
【0075】
チャンバ24は、全ての空気及び他の不純物を取り除くために排気される。いったんエッチャントガス混合物が、排気されたチャンバ内に送られると、装置は、エッチングプロセスを開始する準備が整う。RF電源は、電極80にRF電界を供給するために活性化される。このRF電界は、ガスをイオン化させ、その中で、結果としてイオンとプラズマの形成が得られる。これは特に、13.56MHz発信器を使用して作られるが、他のRF源及び周波数範囲が使用されてもよい。
【0076】
いったんプラズマが作られると、RF電力で電極を通電し続けることによって、負DCバイアス電圧が電極80上に作られる。このバイアスは、電極80の非絶縁電極部分90(電極の残部は絶縁されているか、シールドされているかのいずれか)に向けてイオンを加速させる。イオンは、マトリックス材料を(分散相に対して)、電極80のチャネル90と接触する基材の長さにおいて選択的にエッチングし、基材のその長さ上のマトリックス材料の異方性エッチングを生じさせる。
【0077】
連続エッチングに関して、基材及び任意のマスキングウェブを、上方区画54を通じて、かつ電極80の上で引っ張るように、巻取りスプールが駆動され、よってマトリックスのエッチングは、環状チャネル90と接触する、任意のマスキングされていない基材部分上で発生する。基材はしたがって、上方区画を通じて連続的に引っ張られ、同時に連続的なRF場が電極上に配置され、十分な反応性ガスがチャンバ内に存在する。結果は、細長い基材上及び実質的に基材上のみの連続的エッチングである。エッチングは、電極の絶縁された部分上に発生しなければ、チャンバの他の箇所でも発生しない。プラズマに供給された有効電力が、円筒型電極の末端部プレートにおいて消散するのを防ぐために、接地された暗部シールド86及び88が使用されてもよい。暗部シールド86及び88は、潜在的な汚染の低減に貢献する、任意の形状、寸法、及び材料であってもよい。図1及び2に示される実施形態では、暗部シールド86及び88は、ドラム26の上及びその上の絶縁体上でフィットする金属リングである。暗部シールド86及び88は、暗部シールド86及び88がドラム26に接触する領域において、ドラム26を被覆する絶縁材料のために、バイアスしない。このリング様の実施形態における暗部シールドは、非環状方式で、ドラム26から離れて延びるその各端部上のタブを更に含む。これらのタブは、チャネル90内で基材を位置合わせするのに役立つことができる。
【0078】
好ましくは、温度制御システムは、流体を電極80を通じてプロセス全体で、送り出し、電極を望ましい温度に維持する。典型的に、これは前述のように、クーラントを用いて電極を冷却することを伴うが、一部では、加熱が望ましい場合がある。更に、基材は、電極と直接接触しているため、プラズマから基材への熱移動は、この冷却システムを介して管理されることより、温度に敏感であるフィルムのコーティング、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のコーティングを可能にする。
【0079】
エッチングプロセスの完了後、スプールは、壁にそれらを支持しているシャフトからはずされてもよい。ナノ構造化物品をその中に備える基材は、スプール28B上にあり、使用のための準備が整っている。
【0080】
本発明のナノ構造化物品の一部の実施形態では、ナノ構造化物品は、追加の層を含む。例えば、物品は追加のフルオロケミカル層を含んで、この物品に改善された撥水及び/又は撥油特性を付与してもよい。ナノ構造化表面はまた、(例えば、追加のプラズマ処理で)後処理されてもよい。プラズマ後処理は、ナノ構造体上に存在し得る化学官能基を変更するために、又はナノ構造体の性能を向上させる薄膜の堆積のために、表面改質を含んでもよい。表面改質は、メチル、フッ化物、ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシル、シラノール、アミン、又は他の官能基の結合を含んでよい。堆積した薄膜は、フルオロカーボン、ガラス様、ダイアモンド様、オキシド、炭化物、窒化物、又は他の物質を含んでもよい。表面改質処理が適用されるとき、異方性にエッチングされたナノ構造化表面の大きな表面積により、表面官能基の密度は高い。アミン官能基が使用されるとき、生物学的薬剤、例えば抗体、タンパク質、酵素等は、アミン官能基に容易にグラフトされる。シラノール官能基が使用されるとき、シラン化学は、シラン基のその高密度のために、ナノ構造化表面に容易に適用され得る。シランの化学的性質に基づく抗菌、洗浄容易、及び耐汚染表面処理は、市販されている。抗菌性処理は、シラン末端基を備える第四級アンモニウム化合物を含んでもよい。容易な洗浄化合物は、パーフルオロポリエーテルシラン、ヘキサフルオロプロピレンオキサイド(HFPO)シラン等などのフルオロカーボン処理を含んでもよい。耐汚染処理は、ポリエチレングリコールシランを含んでもよい。薄膜が使用されるとき、これらの薄膜は更なる耐久性をナノ構造体に提供することができ、又は薄膜の屈折率に応じて固有の光学効果を提供することができる。特定のタイプの薄膜は、ダイヤモンド様カーボン(DLC)、ダイヤモンド様ガラス(DLG)、アモルファスシリコン、窒化ケイ素、プラズマ重合シリコーン油、アルミニウム、銅等を含んでもよい。
【0081】
本発明のナノ構造化物品は、反射防止特性、光吸収特性、防曇特性、改善された接着力及び耐久性などの、1つ以上の望ましい特性を呈することができる。
【0082】
例えば、本発明の一部の実施形態では、ナノ構造化異方性表面の表面反射率は、非処理表面の表面反射率の約50%以下である。表面特性の比較に関して本明細書で使用されるとき、用語「非処理表面」は、(それが比較されるとき本発明のナノ構造化表面と)同じマトリックス材料及び同じナノ構造化異方性表面を含む、物品の表面を意味する。
【0083】
本発明の一部の実施形態では、以下の実施例の項に記載の「平均%反射率の測定」方法を使用して測定したとき、ナノ構造化異方性表面のパーセント反射率は、約2%未満(好ましくは約1%未満)である。
【0084】
同様に、本発明の一部の実施形態では、ナノ構造化異方性表面のパーセント透過率は、以下の実施例の項に記載の「平均%透過率の測定」を使用して測定されたとき、非処理表面のパーセント透過率よりも約2%又はそれより多い。
【0085】
本発明の他の実施形態では、以下の実施例の項に記載の「水接触角測定」を使用して測定したとき、ナノ構造化異方性表面は、約20°(好ましくは約15°未満、より好ましくは約10°未満)の水接触角を有する。
【0086】
本発明の更に他の実施形態では、ナノ構造化異方性表面は、非処理表面よりも約2%又はそれより多い光を吸収する。
【0087】
本発明の更に他の実施形態では、ナノ構造化異方性表面は、ASTM D−3363−05に従って測定されたとき、約2H超(好ましくは約4Hよりも大きい)の鉛筆硬度を有する。
【0088】
本発明の一部の実施形態は、ナノ構造化異方性表面に取り付けられた、例えばインク、封止材、接着剤、若しくは金属を含む層又はコーティングを更に含む。層又はコーティングは、非処理表面よりも、本発明のナノ構造化異方性表面への改善された接着力を有することができる。
【0089】
本発明のナノ構造化物品は、例えばディスプレイ用途(例えば液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、又はプラズマディスプレイ)、光抽出、電磁干渉(EMI)遮蔽、眼科用レンズ、顔遮蔽レンズ若しくはフィルム、ウィンドウフィルム、建築用途若しくは交通標識の反射防止等を含む多くの用途で有用である。本発明のナノ構造化物品は、太陽フィルム及びフレネルレンズなどの太陽用途にも有用である。これらは、太陽熱高温液体/空気加熱パネル、又は任意の太陽エネルギー吸収デバイスの前面として、追加のナノスケール表面構造体を備える、マイクロ若しくはマクロ−コラムを有する太陽熱吸収表面用に、アモルファスシリカ光電池又はCIGS光電池で作製された可撓性太陽光電池の前面用に、及び可撓性光電池の上面に適用されたフィルムの前面用に使用することができる。
【0090】
本発明の他の実施形態では、ナノ分散相は、ナノ構造化(又はナノ多孔性)表面を形成するためのプラズマを使用して、エッチングすることができる。本方法は、本質的に上記のように、平坦なRIE又は円筒型RIEを使用して実施することができるが、マトリックスよりはむしろ、ナノ分散相のエッチングを好む選択的なエッチングを使用している(即ち、マトリックス材料よりはむしろ、分散相材料をエッチングするガスを選択することによる)。
【実施例】
【0091】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。
【0092】
プラズマ処理
本発明の異方性ナノ構造体は、米国特許第5,888,594号(Davidら)に記載のプラズマ処理システムを、一部の修正を伴って使用することによって得られた。ドラム電極の幅は、14.5インチ(36.8cm)に増加され、プラズマシステム内の2つの区画間の分離は取り除かれ、よって、全排気はターボ分子ポンプによって実施され、したがって、プラズマプロセスで従来実施される動作圧力よりもはるかに低い動作圧力での操作だった。
【0093】
高分子フィルムのロールはチャンバ内に搭載され、フィルムはドラム電極の周囲に巻き付けられ、ドラムの反対側上の巻取りロールに固定された。巻き出し及び巻取りテンションは3ポンド(13.3N)に維持された。チャンバのドアは閉鎖され、チャンバは基準圧5×10−4トール(0.0000667Pa)まで排気された。純粋な酸素又は酸素若しくはパーフルオロプロパンと組み合わされたアルゴンのいずれかのガス混合物が、以下の例示に記載される様々な条件下でチャンバ内に導入された。動作圧は公称10ミリトール(1.33Pa)だった。プラズマは、高周波電力をドラムに適用することによって2000ワットの電力でオンにされ、フィルムが、以下の実施例で記載されるように所望の速度で移動されるように、ドラムの回転が開始された。別の方法として、高分子フィルムの片は、ドラム電極上の縁部の周囲にテープで止められた。ドラムは、一定の速度で回転し、プラズマ処理は次いで、異なる長さの時間で実施された。
【0094】
平均%反射率の測定
プラズマ処理された表面の平均%反射率(%R)は、PerkinElmer Lamboda 950 UV−VIS−NIR Scanning Spectrophotometerを使用して測定された。各フィルムの1つのサンプルは、Yamato Black Vinyl Tape #200−38(Woodhaven,MIのYamato International Corporationから入手)をサンプルの裏側に貼り付けることによって調製された。両面からの透過率及び反射率が既定である透明なポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)フィルムを使用して、ブラックテープからの%反射率を確定した。このブラックテープは、ブラックテープとサンプルとの間に捕らえられた気泡がないことを確実にするためにローラーを用いてサンプルの裏側へ積層された。積分球検出器によって前面の合計%反射率(正反射及び拡散)を測定するために、テープのない側を開口部に対するように、サンプルを装置内に配置した。8°の入射角で測定された%反射率及び平均%反射率は、400〜800nmの範囲の波長に関するブラックテープの%反射率を引き算することによって計算された。
【0095】
平均%透過率の測定
平均%透過率は、内部で組み立てられた装置で測定した。装置は、安定した源により通電された石英タングステンハロゲン(QTH)ランプ及び光源としてカスタムの4インチ(10.2cm)のSpectralon(商標)球体を使用し、D/0形状を使用して、サンプルの透過率を測定する。2つの検出器:ケイ素CCDは、可視及び近赤外(NIR)に使用され、InGaAsダイオードアレイはNIRの残部に使用される。Czerny−Turner光学レイアウト及び単一のグレーティングを備える、単純な分光写真器を、それぞれの検出器上の光分散に使用する。これは、波長範囲380nm〜1700nmにわたって、0°から60°の間で変化する入射測定角度で、フィルムサンプルの光学透過率測定を可能にする。垂直の入射角で透過率が測定され、平均%透過率は、以下のサンプルにおいて、400〜800nmの波長範囲で算出され、報告された。
【0096】
水接触角の測定
水接触角は、静的接触角測定装置で測定された。装置は、デジタルカメラ、自動液体ディスペンサー、及び水滴の自動配置を介してハンズフリーの接触角を可能にするサンプルステージを備える。水滴の形状は自動的に捕捉され、次いでコンピュータによって水滴形状解析を介して解析され、静的接触角を測定する。
【0097】
実施例1
アクリルコーティングで充填された、40重量%の、20nmのシリカ粒子が、米国特許第5,104,929号(Bilkadi)に記載の方法により、Nalco 2327、SR444(ペンタエリスリトールトリアクリレート)、A−174(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、及びIrgacure(商標)184(光開始剤)から調製された。コーティング配合物は、次いでイソプロピルアルコール(IPA)で希釈され、50重量%の溶液を形成した。コーティング溶液は次いで、下塗りされた2ミル(50.8μm)のPETフィルム上にコーティングされた。溶液は注射器でコーティングダイに圧送され、コーティングは、120℃に設定されたオーブンを通過させて乾燥させ、次いでUV源によって硬化させた。得られる硬化したコーティングは、厚さが約4マイクロメートルだった。サンプルは、異なる処理時間(30、60、90、120、150、及び180秒)で酸素プラズマによって処理された。平均%反射率が測定され表1に報告された。サンプル2〜7では、反射における有意な減少が得られ、90秒の処理は、最高の反射挙動をもたらした。
【0098】
【表1】

【0099】
実施例2
SR295(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)(240gm)、SR238(ヘキサンジオールジアクリレート)(240gm)及びSR506(イソボルニルアクリレート)(120gm)が組み合わされて、混合された。5nmのシリカ粒子、Nalco 2326(400gm)が1qt(0.946L)のジャーに充填された。1−メトキシ−2−プロパノール(450gm)、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(27.82gm)及び5%のProstab 5128(ヒンダードアミンニトロオキシド阻害物質)を水中で(0.23gm)で一緒に混合し、撹拌しながら、コロイド状の分散液に添加した。ジャーを密封し、80℃で16時間加熱した。表面改質されたシリカ分散液(1166gm)、SR295、SR238及びSR506の樹脂混合物(70gm)、並びに水中で5%のProstab(0.58gm)を組み合わせて混合した。水及び1−メトキシ−2−プロパノールは、回転蒸発によって混合物から除去した。これはSiO樹脂混合物の透明な組成物(184.6gm)を生じた。配合物内の修飾シリカの重量%は約60重量%だった。20nmのシリカ粒子の濃度の調製は、Nalco 2326をNalco 2327に代えることによって、同一の手順で実施された。ナノ粒子が充填された樹脂は、アクリルハードコートの配合物中に、シリカのナノ粒子の様々な濃度に関して、SR295、SR238、及びSR506の混合物で希釈した。ハードコートは次いで、表2による、2種類の異なる粒径(5nm及び20nm)及び様々な濃度(10重量%、20重量%、40重量%、及び50重量%)の、アクリルコーティング混合物中のナノ粒子で、下塗りされた5ミル(127μm)のPETフィルムに塗布された。1つの側面のプラズマ処理は、次いで、異なる処理時間(30、60、90、120、150及び180秒)に対応して、様々なウェブ速度(10(0.0508)、5(0.0254)、3.3(0.0168)、2.5(0.0127)、1.7(0.0086)、及び1.3フィート/分(0.0066m/分))で実施された。1つの側面が処理されたサンプルの透過率スペクトルが測定され、波長範囲400〜800nmにおける平均%透過率が測定され、表2に報告され、対応する透過率向上結果は、以下の表3に報告される。
【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
実施例3
MA0736 POSS(商標)分子(Hybrid Plastics Inc.(Hattiesburg,MS)から入手可能)、CN991(Sartomer(Exton,PA)からの脂肪族アクリル酸ウレタン)、CN2303(Sartomerからのアルコキシル化多官能性アクリレートオリゴマー)、テトラヒドロフルフリルアルコール(TFHA)、及びLucirin(商標)TPO−L(BASFから入手可能な光開始剤)のブレンドから作製されたコーティング溶液は、下塗りされたPETフィルムに塗布され、UV源によって硬化された。コーティングされたフィルムは次いで酸素プラズマで90秒間処理された。%反射率が測定され、表4に配合物及び条件と共に報告された。
【0103】
【表4】

【0104】
実施例4
Imperm(商標)103は、3重量%のナノスケールタルクを含み、Nanocor Inc.から市販されているナイロンMXD6である。フィルムサンプルは、スロットダイを通じて溶融押出成形プロセスによって、Imperm 103から調製され、次いでAr−O2プラズマによって、異なる処理時間(30、60、及び90秒)に応じて処理された。%反射率が次いで測定され、表5に報告された。
【0105】
【表5】

【0106】
実施例5
本実施例では、実施例1のサンプル#5は、パーフルオロポリエーテル−シラン(3M Compnayから入手可能なEGC−1720)溶液を、エッチングされた表面に塗布することによって更に処理された。サンプル#1、サンプル#5、及びEGC−1720で処理されたサンプル#5の静的接触角及び透過率が測定された。結果を以下の表6で報告する。水との接触角は、10度以下から120度を超えるまで調整可能であるように示されている。
【0107】
【表6】

【0108】
実施例6
このサンプルでは、ミクロ構造体(米国特許出願公開第20080050560(A1)号における、37重量%の20nmシリカ粒子で充填されたコーティングから作製された、輝度向上フィルム−BEF)を含有する基材ウェブは、プラズマ処理によってミクロ構造体の頂部でナノ構造体を生成するために使用された。エッチング処理に関しては、酸素ガスが、流量500sccm、圧力8ミリトール(1.07Pa)、及び電力が2000ワットにそれぞれ維持された状態で、90秒の処理時間で使用された。パーセント反射率が測定された。波長範囲400〜800nmにおける平均%反射率は、2.2%〜1%に減少され、表面反射における50%の低減である。
【0109】
実施例7
上記の実施例2のプラズマエッチングされたサンプルのうちの2つ(10重量%濃度の60秒及び180秒でエッチングされた20nmシリカ粒子)は、断面の高解像度走査電子顕微鏡(HRSEM)によって特徴付けられた。結果は図5(5フィート/分(0.0254m/分))及び図6(1.3フィート/分(0.0066m/分))に示される。エッチングはサブ100nm範囲において異方性であるということが明らかである。10〜50nmの直径範囲のいくつかの穴及びピラーは、深さが500nmの範囲のオーダーであり、5:1以上のアスペクト比に至る。図6において「A」とマークされた穴は、直径27ナノメートル及び深さ480nmを有し、一方で、「B」とマークされたピラーは直径18ナノメートル及び深さ364ナノメートルを有する。これらの構造体の対応するアスペクト比は、約20:1に迫る。
【0110】
実施例8
可撓性太陽光吸収シートは、押出成形複製プロセスで調製され、その後、構造体表面のプラズマエッチングで処理された。炭素充填された熱可塑性ポリウレタン(PolyOne Corp(Cleveland,OH)から入手可能なURC7000−TC−1)は、押出成形機で溶融され、押出シートダイを通じて、距離が約3mm離れて、深さ0.5cm及び直径2mmの穴のアレイで穿孔されたキャスティングロール上に成形された。押出成形機は、約3.2cmの直径、80rpmの送り速度、及び100℃〜250℃の上昇温度プロファイルを有した。押出成形複製キャスティングロールは、炭素充填されたポリマー溶融物をキャスティング複製ツールロール内に、圧力0.24MPaで押すことができる、ニップロールを備えた、3つのロールスタックのセンターロールだった。押出成形複製キャスティングプロセスは、0.61m/分の速度で操作された。押出成形の複製されたキャストシートの合計厚さは1.1cmであり、1.0cmの高い支柱又はコラム、及び0.1cm厚さの連続ベースフィルムを備えた。この不透明なコラムに構造化されたシートの%反射率は次いで、Lambda 950分光光度計で3.1%であると測定された。不透明な構造化シートは測定可能な光透過率を有さなかったため、%吸収率は、1−%R又は96.9吸収率であると算出された。
【0111】
可撓性太陽光吸収シートは次いでプラズマによって、O−C雰囲気で60秒間処理された。プラズマエッチングされた不透明なコラム構造化シートの%反射率は、Lambda 950分光光度計で1.4%であると測定され、表面反射において55%の低減を実証している。プラズマエッチングされたコラム構造化太陽光吸収シートの%吸収率は98.6%であると算出された。
【0112】
実施例9
本発明の物品は、実施例1のサンプル5に従って、酸素プラズマ及び120秒のエッチング時間を使用して調製された。異方性にエッチングされたランダムなナノ構造体の接着力は、2つの異なるタイプの接着剤(高品質なシリコーン接着剤及び「超強度」のアクリル系接着剤)に対して測定された。比較用に、実施例1のように、ハードコート塗布された基材の、エッチングされていないサンプルが使用された。接着剤の強度を試験するために、180度の剥離試験器が使用された。
【0113】
試験サンプルは幅約2インチ(5.1cm)幅×長さ6インチ(15.2cm)のストリップに切断され、2つの異なる接着剤のタイプを有する、2つの異なるタイプのテープが使用された。シリコーン接着剤テープは、シリコーン接着剤を備えた、1インチ(2.5cm)幅のScotch(商標)テープ番号8403であり、アクリル性接着剤テープは、製品番号34−8505−5627−4を有し、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な、「超強度」の3/4インチ(1.9cm)幅のScotch(商標)Crystal Clearテープである。
【0114】
接着テープは、重量450グラムを有する直径4インチ(10.2cm)のローラーを試験サンプルに転がすことによって、テープ/サンプルのサンドイッチに接着された。剥離測定は、速度12インチ/分(30.5cm/分)で、0.5インチ(1.3cm)の試験長さにわたって行われ、この距離にわたる平均剥離値が測定された。各タイプのサンプル/接着剤の組み合わせに対し6つの異なる測定が実行され、表7に要約された。6つの測定値の平均及び標準偏差もまた、この表に示されている。
【0115】
【表7】

【0116】
実施例10
ASTM D−3363−05の試験方法による鉛筆高度試験が、実施例1のサンプル4の表面硬度を評価するために使用された。鉛筆の完全なセットの等級付けの完全なセットは、硬度9H、8H、7H、6H、5H、4H、3H、2H、F、HB、B、2B、3B、4B、5B、6B、7B、8B、及び9B(後者が最も柔らかい鉛筆)で開始する。試験を実施するために、約1インチ(2.54cm)の長さの線をサンプル上で作るために、鉛筆が使用された。鉛筆が目に見えるスクラッチを表面上に残した場合、次ぎに柔らかい鉛筆をとって試験を繰り返す。目に見えるマークを残していない第1鉛筆の数は、表面の「鉛筆硬度」の格付けである。実施例1のサンプル4が、本試験方法によって4Hであると見出された。
【0117】
本明細書中に引用される刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する「特許請求の範囲」によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス及びナノスケールの分散相を含み、かつランダムなナノ構造化異方性表面を有する、ナノ構造化物品。
【請求項2】
前記ナノ構造化異方性表面が、約5:1以上の、幅に対する高さの比を有するナノスケール構造を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ナノスケール構造が、約10:1以上の、幅に対する高さの比を有する、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記ナノスケール構造が、ナノピラーを含む、請求項2又は3に記載の物品。
【請求項5】
前記ナノピラーの大半が、分散相物質で末端保護されている、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記マトリックスが、ポリマーを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記マトリックスが、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ナイロン、シロキサン、フルオロポリマー、ウレタン、又はこれらのブレンド若しくはこれらのコポリマーを含む、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記マトリックスが、無機材料を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記マトリックスが、酸化ケイ素又は炭化タングステンを含む、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記マトリックスが、合金又は固溶体を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記分散相が、ナノ粒子、ナノチューブ、又はナノ繊維を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記分散相が、ナノ粒子を含む、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記ナノ粒子が、SiO、ZrO、TiO、ZnO、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、ポリ(テトラフルオロエチレン)、又はカーボンを含む、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
前記ナノ粒子が、表面改質されている、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記分散相が、かご状分子、超分岐分子、ミセル、又は逆ミセルを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記分散相が、かご状分子を含む、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記かご状分子が、オリゴマー多面型シルセスキオキサンである、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記ナノ構造化異方性表面の表面反射率は、非処理表面の表面反射率の約50%以下である、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
前記ナノ構造化異方性表面のパーセント反射率が、約2%未満である、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記ナノ構造化異方性表面の前記パーセント反射率が、約1%未満である、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記ナノ構造化異方性表面のパーセント透過率が、非処理表面のパーセント透過率の約2%以上である、請求項1に記載の物品。
【請求項22】
前記ナノ構造化異方性表面が、約20°未満の水接触角を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項23】
前記ナノ構造化異方性表面が、約15°未満の水接触角を有する、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記ナノ構造化異方性表面が、約10°未満の水接触角を有する、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記物品が、前記ナノ構造化異方性表面に取り付けられた、インク、封止材、接着剤、又は金属を含む層若しくはコーティングを更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項26】
前記層若しくはコーティングが、非処理表面に対してよりも、前記ナノ構造化異方性表面に対して、改善された接着力を有する、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記ナノ構造化異方性表面が、非処理表面よりも約2%以上の光を吸収する、請求項1に記載の物品。
【請求項28】
前記ナノ構造化異方性表面が、約2H超の鉛筆硬度を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項29】
前記ナノ構造化異方性表面が、約4H超の鉛筆硬度を有する、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
前記マトリックス内の前記分散相の濃度が、約1重量%〜約50重量%である、請求項1に記載の物品。
【請求項31】
前記マトリックスの表面の前記分散相の濃度が、約5重量%〜約90重量%である、請求項1に記載の物品。
【請求項32】
前記分散相の濃度が、前記マトリックス内よりも、前記マトリックスの表面での方が高い、請求項1に記載の物品。
【請求項33】
前記物品が、基材を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項34】
前記基材が、ポリマー基材、ガラス基材、又は機能性デバイスである、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
前記基材が、太陽光機能性デバイスである、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記基材が、可撓性太陽光機能性デバイスである、請求項35に記載の物品。
【請求項37】
前記物品が、フルオロケミカル撥き剤層を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項38】
前記物品が、前記ナノ構造化異方性表面をその上に有するマイクロ構造化表面を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項39】
ランダムなナノ構造化表面を作製する方法であって、
(a)ナノ分散相を含むマトリックスを提供する工程と、
(b)プラズマを使用して前記マトリックスを異方性エッチングし、ランダムなナノ構造化表面を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項40】
前記マトリックスが、少なくとも約100nmの深さまでエッチングされる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ランダムなナノ構造化表面を作製する方法であって、
(a)ナノ分散相を含むマトリックスを提供する工程と、
(b)プラズマを使用して前記ナノ分散相の少なくとも一部分をエッチングし、ランダムなナノ構造化表面を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項42】
前記ナノ構造化表面をプラズマで2回目の処理に供する工程を更に含む、請求項39又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、円筒型の反応性イオンエッチングを使用して、ロールツーロールで実施される、請求項39又は41に記載の方法。
【請求項44】
前記エッチングが、約1ミリトール(0.133Pa)〜約20ミリトール(2.67Pa)の圧力で実行される、請求項39又は41に記載の方法。
【請求項45】
前記プラズマがCH/Oプラズマである、請求項39又は41に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−514239(P2012−514239A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544481(P2011−544481)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/068657
【国際公開番号】WO2010/123528
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】