説明

ナノ粒子、これらの表面を変性する方法、ナノ粒子の分散液、これらの製造方法および使用

本発明は、新規な表面変性型ナノ粒子に関し、その表面は、(A)架橋性官能基(a)によって表面に共有結合しており、そしてスペーサーである不活性基(b)、ならびに変性される表面の反応性官能基に比べて不活性である基(b)によって基(a)に結合している反応性官能基(c)を含有する変性基;(B)架橋性官能基(a)によって表面に共有結合しており、そしてスペーサーである不活性基(Ab)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有する不活性基(d)を含有する変性基;(C)少なくとも1個のケイ素原子を含有する架橋性官能基(a)によって表面に共有結合しており、そして不活性基(e)を含有し、変性基(A)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有する変性基;によって完全あるいはほぼ完全にその表面が被覆されている。また、本発明は、該ナノ粒子を含む分散体、本発明のナノ粒子の製造および使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の属する分野
本発明は、新規な表面変性型(表面が変性された)ナノ粒子に関する。さらに、本発明は、非プロトン性溶剤中、特に無極性非プロトン性溶剤中における表面変性型ナノ粒子の新規な分散液に関する。加えて、本発明は、表面変性型ナノ粒子、ならびに非プロトン性溶剤中、特に無極性非プロトン性溶剤中におけるこれらの分散液の新規な製造方法に関する。本発明は、被覆材料、接着剤、シーラント、産業用プラスチックを基礎とする化合物の製造、ならびに、コーティング剤、塗装系、接着フィルム、シール剤、成型品、特に光成型品、セルフサポーティングフィルムおよび硬質フォームの製造用の硬化性材料の製造を目的とする、表面変性型ナノ粒子、ならびに非プロトン性溶剤中、特に無極性非プロトン性溶剤中におけるこれらの新規な分散液の使用のみに留まるものではない。
【0002】
従来の技術
n−ヘキサノール等の第一級アルコールを用いて表面を変性したナノ粒子は、米国特許US 4,652,470 Aにより知られている。この変性により、疎水性の性状がナノ粒子に与えられ、これにより、熱硬化性被覆材料中に一般的に使用される有機溶剤中で分散することが可能となる。しかしながら、この既知の表面変性型ナノ粒子は、得られるコーティング剤の三次元ネットワーク中には組み込まれない。
【0003】
ブロックドイソシアネート基を有するシランにより、ならびに加水分解型シランにより変性された表面を有するナノ粒子は、米国特許US 5,998,504 A、あるいは欧州特許出願EP 0 872 500 A1により知られている。表面変性型ナノ粒子は、メトキシプロピルアセテート等の無極性非プロトン性溶剤中で分散させることが可能である。
【0004】
しかしながら、ナノ粒子の凝集を抑制し、分散液を安定化させるためには、莫大な量の第二級アルコール、特にイソプロパノール、の存在が必要である。
【0005】
DE 100 64 637 A1およびDE 199 15 502 A1(ドイツ国特許出願)により、歯科治療用調製物における使用、および細胞のトランスフェクション用ポリヌクレオチド複合体の製造を目的とする無機ナノ粒子が知られているが、ここで無機ナノ粒子は、シランまたはリン化合物により、その表面が変性されている。前記規定の使用により、開示されている粒子は、高い誘電率を有する極性溶剤中において安定である。したがって、静電相互作用を介することにより、これらの粒子はある程度安定化されている。このことは、DE 199 15 502 A1中に開示されるゼータ電位により強調されている。例えばソルベントナフサ、またはその他のコーティング化合物用の溶剤等の芳香族で無極性の溶剤中では、これらの誘電率が非常に低いことから、この種の安定化は実質的に不可能であるため、当該特許出願に開示されるナノ粒子は、在来型のコーティング化合物中での使用には適さない。
【0006】
欧州特許出願であるEP 0 832 947 A2には、その表面が、カルバメート基を含有するシランで変性されているナノ粒子が開示されている。カルバメート基を含有するシランは、一個のイソシアネート基を有するシランを、ヒドロキシプロピルカルバメートと反応させることにより製造される。表面変性型のナノ粒子は、含水極性非プロトン性溶剤中に分散される。
【0007】
これらの既知のコーティング剤は、ナノ粒子を含有しない競合品に比較して、引っかき抵抗性の改善を示しているものの、これらの耐化学性および耐酸性は、未だに改善の余地を残している。さらに、既存の表面変性型ナノ粒子の分散液は、非常に迅速にポリイソシアネートと反応してゲルを形成し、これらから生成されるコーティング剤中の濁りやピンホールを生じるために、ポリイソシアネートをベースとする二成分系の被覆材料の製造には適さない。この理由は、表面変性型ナノ粒子の継続的な高反応性および/またはポリイソシアネートに対する第二級アルコール(これは、分散液の安定化に必要である、)の反応性に起因している。
【0008】
本発明の課題
本発明の目的は、非プロトン性、特に無極性非プロトン性の有機溶剤および/またはオレフィン性不飽和モノマー(反応性希釈剤)中に容易に分散することが可能な、新規な表面変性型ナノ粒子を提供することである。この表面変性型ナノ粒子の新規な分散液は、固体含有量が50重量%を超える場合であっても保存安定性を有し、沈殿傾向を示さない。
【0009】
新規な表面変性型ナノ粒子のみならず、非プロトン性溶剤、とりわけ無極性溶剤および/またはオレフィン性不飽和モノマー(反応性希釈剤)中におけるこれらの分散液もまた、早期におけるゲル形成等の、ポリイソシアネートとの望ましくない反応を全く生じることがない。しかしながら、同時に、これらは熱的に、フリーラジカル的に、陽イオン的に、および/または光化学作用的に開始される、ポリイソシアネート以外の反応性官能基との重合反応あるいは架橋反応を進めるために十分な反応性の高さを有するべきである。
【0010】
新規な表面変性型ナノ粒子およびこれらの分散液は、いかなる複雑な手続きをも必要とせずに、簡単に製造されるべきである。
【0011】
また、新規な表面変性型ナノ粒子、ならびに非プロトン性溶剤、とりわけ無極性溶剤および/またはオレフィン性不飽和モノマー(反応性希釈剤)中におけるこれらの分散液は、熱硬化性の、および/または化学線硬化性の組成物、被覆材料、とりわけポリイソシアネートをベースとする二成分系の被覆材料、接着剤、およびシーラント、ならびに産業用プラスチックを基礎とする化合物の製造に極めて適したものであるべきである。
【0012】
熱的におよび/または化学線的に硬化性の組成物、被覆材料、接着剤およびシーラントは、製造が簡単であるとともに、保存に対して安定であるべきである。特に、いかなる望ましくないゲルであってもこれらが形成することがあってはならない。産業用プラスチックを基礎とする化合物もまた同様に、従来のプラスチック加工法に従って簡単に調整できるものであるべきである。被覆材料、接着剤およびシーラントは、コーティング剤、塗装系、接着フィルムおよびシール剤に極めて適するものであるべきである。硬化性組成物および産業用プラスチックを基礎とする化合物もまた同様に、成型品、特に光成型品、セルフサポーティングフィルムおよび硬質フォームの製造に極めて適するものであるべきである。
【0013】
新規コーティング剤、塗装系、接着フィルム、シール剤、成型品、セルフサポーティングフィルムおよび硬質フォームは、引っかき抵抗性を有するだけでなく、化学的な安定性および酸に対する安定性を有しているべきである。さらに、新規コーティング剤、塗装系、接着フィルム、シール剤、光成型品およびセルフサポーティングフィルムは、濁りあるいはピンホールのない、完全に透明かつクリアーなものであるべきである。さらに、これらの表面はスムーズで欠損がないものでなければならない。
【0014】
さらに、本発明の製法は、簡単に実施することが可能で、用いる素材に関して非常に広範な変更をすることが可能であり、したがって新規な表面装飾ナノ粒子は、非常に多種類の用途に適合する、新規な表面装飾ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。とりわけ、本発明の製法は、例えば二成分系被覆材料の製造に使用されるような非プロトン性溶剤、特に無極性の非プロトン性溶剤および/またはオレフィン性不飽和モノマー(反応性希釈剤)中で容易に分散することができる、表面変性型粒子を提供するはずである。
【0015】
本発明により提供される解決法
したがって、本発明は、新規な表面変性型ナノ粒子であって、
(A)変性基であって、
−架橋性官能基(a)を介して表面に共有結合し、
−不活性スペーサー基(b)を含有し、
−基(b)を介して基(a)に結合しており、変性される表面の反応性官能基に対して不活性である反応性官能基(c)を含有するもの、
(B)変性基であって、
−架橋性官能基(a)を介して表面に共有結合し、
−不活性スペーサー基(Ab)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有する不活性基(d)を含有するもの、
ならびに;
(C)変性基であって、
−架橋性官能基(a)を介して表面に共有結合し、
−不活性基(e)を含有し、
−変性基(A)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有するもの、
によって完全あるいはほぼ完全にその表面が被覆されているナノ粒子を提供するものであり、以下、これらを「本発明のナノ粒子」と称する。
【0016】
さらに本発明は、非プロトン性溶剤中および/または反応希釈液中に本発明のナノ粒子を分散させることにより製造される新規な表面変性型分散液を提供するものであり、以下、これを「本発明の分散液」と称する。
その他の本願発明の主題は、(本明細書の)記載より浮かび上がってくるであろう。
【0017】
本発明により提供される解決法の効果
先行技術を考慮すれば、本発明の基盤となった課題が、本発明のナノ粒子、分散液および製造方法を用いることにより到達可能であったことは、当業者にとって驚くべき、かつ予測することが不可能なものであった。
【0018】
とりわけ、本発明のナノ粒子が非プロトン、特に無極性の非プロトン、有機溶剤および/またはオレフィン性不飽和モノマー(反応性希釈剤)中に容易に分散することが可能であることは、驚きである。本発明のナノ粒子分散液は、驚くべきことに、固体含有量が50重量%を超える場合でさえも保存中に安定であり、沈殿傾向を示さない。
【0019】
本発明のナノ粒子、および本発明の、非プロトン、特に無極性の非プロトン、溶剤および/またはオレフィン性不飽和モノマー(反応性希釈剤)中のこれらの分散液は、早期におけるゲル形成等の、ポリイソシアネートとの望ましくない反応を生じることが全くなかった。しかしながら、同時に、これらは熱的に、フリーラジカル的に、陽イオン的に、および/または光化学作用的に開始される、ポリイソシアネート以外の反応性官能基との重合あるいは架橋反応を生じるために十分な反応性を有していた。
【0020】
本発明の表面変性型ナノ粒子および本発明の分散液は、いかなる複雑な手順をも必要とせずに、簡単に製造された。
【0021】
さらに、本発明の表面変性型ナノ粒子、および本発明の分散液は、熱硬化性の、および/または化学線硬化性の組成物、被覆材料、とりわけポリイソシアネートをベースとする二成分系の被覆材料、接着剤、およびシーラント、ならびに産業用プラスチックを基礎とする化合物の製造に極めて適していた。
【0022】
本発明の組成物、被覆材料、接着剤およびシーラント、熱的におよび/または化学線により硬化性を示す組成物は、製造が簡単であるとともに、保存に対して安定であった。とりわけ、望ましくないゲルを形成することが全くなかった。産業用プラスチックを基礎とする化合物もまた同様に、従来のプラスチック加工法に従って簡単に調整することが可能であった。被覆材料、接着剤およびシーラントは、コーティング剤、塗装系、接着フィルムおよびシール剤に極めて適するものであった。本発明によれば、硬化性組成物および産業用プラスチックを基礎とする化合物もまた、成型品、特に光成型品、セルフサポーティングフィルムおよび硬質フォームの製造に極めて適していた。
【0023】
本発明のコーティング剤、塗装系、接着フィルム、シール剤、成型品、セルフサポーティングフィルムおよび硬質フォームは、引っかき抵抗性を有するだけでなく、化学的に安定であるとともに、酸に対して安定であった。さらに、本発明のコーティング剤、塗装系、接着フィルム、シール剤、光成型品およびセルフサポーティングフィルムは、必要に応じて完全に透明かつクリアーであり、濁りあるいはピンホールを示さなかった。さらに、これらの表面はスムーズで欠損がないものであった。
【0024】
さらに、本発明のナノ粒子および分散液を調整することを目的とする本発明の製法は、実施が簡単であり、用いる素材に関して非常に広範囲に変化させることが可能であり、したがって本発明の表面変性型ナノ粒子は、非常に多種類の用途に適合させることができる。特に、本発明の製造方法は、例えば二成分系および多成分系の被覆材料の製造に使用されるような、非プロトン性、特に無極性の非プロトン性の溶剤中および/またはオレフィン性不飽和モノマー(反応性希釈剤)中で容易に分散することが可能な、表面変性型ナノ粒子を提供する。
【0025】
詳細な説明
本発明のナノ粒子にとって、これらの表面が変性基によって完全あるいはほぼ完全に被覆されていることは不可欠である。「完全あるいはほぼ完全に被覆されている」とは、個々の変性基の立体構造要件により許容される範囲において、本発明のナノ粒子の表面が被覆され、そして、本発明のナノ粒子の表面に依然として存在し得る反応性官能基の全てが立体的に保護されており、したがって、例えば、ポリイソシアネートとの反応が防止されていることを意味する。
【0026】
本発明のナノ粒子の表面は、少なくとも三種類、特に三種類の異なる分類に属する変性基によって被覆されている。
【0027】
本発明によれば、第一分類には変性基(A)が含まれるが、これは、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、特に3個の架橋性官能基(Aa)を介して、共有結合によって表面に結合される。本発明のナノ粒子が使用される条件下において、基(Aa)は、不活性であることが好ましい。架橋性官能基(Aa)は、好ましくは少なくとも1個、とりわけ1個のシリコン原子を含む。架橋性官能基(Aa)は、シロキサン基であることが特に好ましい。
【0028】
基(A)は、少なくとも1個、特に1個の不活性スペーサー基(b)を含有する。
【0029】
ここで、ならびに以下の記載において、基(Ab)に関する「不活性」とは、本発明のナノ粒子が製造され、使用される条件下において、いかなる反応をも起こさないことを意味する(Roempp Online Georg Thieme Verlag、 Stuttgart、New York、2002、“Inert(不活性)”、も参照のこと)。
【0030】
不活性スペーサー基(Ab)は、好ましくは、少なくとも1個の二価、とりわけ二価の有機基Rを含有し、これは、好ましくは、脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族−脂環式、脂肪族−芳香族、脂環式−芳香族、および脂肪族−脂環式−芳香族基よりなる群から選択される。基Rは複数の規定された構造単位を有していても構わない。
【0031】
基Rはさらに、少なくとも1個であって、少なくとも二価以上、特に二価の官能基および/または少なくとも1個の置換基を含有する。二価の官能基および置換基は、上記で定義された意味において不活性であることが不可欠である。好適な二価官能基の例は、以下に記載する架橋性官能基(Ba)である。好適な置換基は、ハロゲン原子、特にフッ素原子、塩素原子、ニトリル基、ニトロ基またはアルコキシ基である。基Rは、非置換型であることが好ましい。
【0032】
変性基(A)はさらに、基(Ab)を介して基(a)に結合し、また、本発明のナノ粒子が製造される条件下において、変性される表面の反応性官能基に対して不活性である、少なくとも1個、特に1個の反応性官能基(Ac)を含有する(Roempp Online Georg Thieme Verlag、 Stuttgart、New York、2002、“Inert(不活性)”、も参照のこと)。それでもなお、本発明のナノ粒子が使用される条件下において、反応性官能基(Ac)は不活性ではなく、反応性である。特に、熱的および/または化学線的にこれを活性化することが可能であり、したがって熱的および/または化学線によって開始される反応、例えば縮合反応または付加反応等のフリーラジカル、カチオン性、アニオン性メカニズムに従って進行することができる反応を開始することが可能である。
【0033】
ここで、ならびに以下において、化学線とは、近赤外線(NIR)、可視光線、紫外線、エックス線、またはガンマ線、特に紫外線等の電磁波、および、電子線または中性子ビーム、特に電子線等の粒子線を意味する。
【0034】
熱的な活性化が可能な反応性官能基(Ac)の好適例は、エポキシド基およびブロックドイソシアネート基、特に一般式Iのブロックドイソシアネート基であり:
−NH−C(X)−R (I)
式中、変数Xは酸素原子または、硫黄原子、特に酸素原子を表し、変数Rはイソシアネート基をブロックするために通常使用されるもの等、ブロッキング剤の基を表す。好ましいブロッキング剤の例は、
i)フェノール類:フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、クロロフェノール、エチルフェノール、t−ブチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸、この酸のエステル、または2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン等;
ii)ラクタム類:ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタムラム、γ−ブチロラクタムまたはβ−プロピオラクタム等;
iii)活性メチレン性化合物類:マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、酢酸メチルまたはエチル、あるいはアセチルアセトン等;
iv)アルコール類:例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、t−アミルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール、グリコール酸、グリコールエステル、乳酸、乳酸エステル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、エチレンクロロヒドリン、エチレンブロモヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−シクロヘキシジメタノールまたはアセトシアノヒドリン等;
v)メルカプタン類:ブチルメルカプタン、へキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノールまたはエチルチオフェノール等;
vi)酸アミド類:アセトアニリド、アセトアニシジンアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酸アミド、ステアルアミドまたはベンズアミド等;
vii)イミド類:スクシンイミド、フタルイミド、またはマレイミド等;
viii)アミン類:ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミンまたはブチルフェニルアミン等;
ix)イミダゾール類:イミダゾールまたは2−エチルイミダゾール等;
x)尿素類:尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素または1,3-ジフェニル尿素等;
xi)カルバメート類:フェニル N−フェニルカルバメートまたは2−オキサゾリドン等;
xii)イミン類:エチレンイミン等;
xiii)オキシム類:アセトンオキシム、ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジイソブチルケトキシム、ジアセタールモノキシム、ベンゾフェノンオキシムまたはクロロヘキサノンオキシム等;
xiv)亜硫酸の塩類:亜硫酸水素ナトリウムまたは亜硫酸水素カリウム等;
xv)ヒドロキサム酸エステル類:ベンジルメタクリロヒドロキサマート(BMH)またはアリルメタクリロヒドロキサマート等;あるいは、
xvi)置換型ピラゾール類、特にジメチルピラゾール、イミダゾールまたはトリアゾール類;ならびに、
xvii)これらのブロッキング剤の混合物、特にジメチルピラゾールおよびスクシンイミド、
である。
【0035】
化学線によって活性化が可能な反応性官能基(Ac)の好適例は、少なくとも1個、特に1個の、化学線を用いて活性化することが可能な結合を含む基である。化学線によって活性化が可能な結合の好適例は、炭素−水素の単結合、あるいは炭素−炭素、炭素−酸素、炭素−窒素、炭素−リンまたは炭素−ケイ素の単結合または二重結合、ならびに炭素−炭素の三重結合である。これらの中で、二重結合、とりわけ炭素―炭素の二重結合(以下、「二重結合」)が好ましいものとして挙げられる。
【0036】
非常に好ましい二重結合は、例えばアクリル(メタクリル)酸、エタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ビニルエーテル、ビニルエステル、エテニルアリーレンエーテル、ジシクロペンタジエニル、ノルボルネニル、イソプレニル、イソプロペニル、アリルまたはブテニル基;エテニルアリーレンエーテル、ジシクロペンタジエニルエーテル、ノルボルネニルエーテル、イソプレニルエーテル、イソプロペニルエーテル、アリルエーテルまたはブテニルエーテル基;あるいは、エテニルアリーレンエステル、ジシクロペンタジエニルエステル、ノルボルネニルエステル、イソプレニルエステル、イソプロペニルエステル、アリルエステルまたはブテニルエステル基、の中に存在する。これらの中で、アクリル(メタクリル)酸、特にアクリル酸が特に好都合であり、したがって、とりわけ非常に好ましいものとして使用される。
【0037】
本発明によれば、第二分類には変性基(B)が含まれるが、これは、少なくとも1個の架橋性官能基(Ba)を介して、変性されるナノ粒子の表面に共有結合される。本発明のナノ粒子が使用される条件下において不活性である基(Ba)を使用することが好ましい。架橋性官能基(Ba)は、好ましくは、エーテル基、チオエーテル基、カルボン酸エステル基、チオカルボン酸エステル基、カーボネート基、チオカーボネート基、リン酸エステル基、チオリン酸エステル基、ホスホン酸エステル基、チオホスホン酸エステル基、ホスファイト基、チオホスファイト基、スルホン酸エステル基、アミド基、アミン基、チオアミド基、リン酸アミド基、チオリン酸アミド基、ホスホン酸アミド基、チオホスホン酸アミド基、スルホン酸アミド、イミド基、ヒドラジド基、ウレタン基、尿素基、チオ尿素基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホン基またはスルホキシド基からなる群より選択される。
【0038】
変性基(B)はさらに、少なくとも1個の、特に1個の、基(Ba)を介して表面に結合される不活性基(Bd)を含有する。基(Ab)と同様に、基(Bd)は、本発明のナノ粒子が製造され、使用される条件下において不活性である。基(Bb)は、好ましくは一価の有機基Rである。これらは、好ましくは脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族−脂環式、脂肪族−芳香族、脂環式−芳香族および脂肪族−脂環式−芳香族の基からなる群より選択される。これらは、前記の、少なくとも二価以上の官能基および/または置換基を含有することが可能である。
【0039】
不活性基(Bd)が、不活性スペーサー基(Ab)に比べてより少ない流体力学的な容量Vを有することが重要である。この流体力学的な容量Vは、光子相関分光法または方程式
=(rcont/2)
を用いて測定することが可能であり、
式中、rcontは、分子の有効輪郭長(effective contour length)である。より詳しくは、教本であるH.−G.Elias、“Makromolekuele”、Huething&Wepf Verlag、Basle、Vol.1、“Grundlagen”[Principles]、第51ページを参照のこと。
【0040】
本発明によれば、第三分類には変性基(C)が含まれるが、これは、少なくとも1個、特に1個、の架橋性官能基(Ca)を介して、共有結合によって本発明のナノ粒子の表面に結合される。本発明のナノ粒子が使用される条件下において、基(Ca)は、不活性であることが好ましい。架橋性官能基(Ca)は、好ましくは少なくとも1個、特に1個、のケイ素原子を含有する。特に好ましくは、架橋性官能基(Ca)はシロキサン基である。
【0041】
変性基(C)はさらに、(Ca)基を介して表面に結合される、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、特に少なくとも3個以上、の不活性基(Ce)を含む。基(Bd)または(Aa)と同様に、基(Ce)は、本発明のナノ粒子が製造され、使用される条件下において、不活性であることが好ましい。好ましくは、基(Ce)は一価の有機基Rである。これらは、好ましくは脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族−脂環式、脂肪族−芳香族、脂環式−芳香族および脂肪族−脂環式−芳香族の基からなる群より選択される。これらは、前記の、少なくとも二価以上の官能基および/または置換基を含有することが可能である。
【0042】
基(C)が、変性基(A)に比べてより少ない流体力学的な容量Vを有することが重要である。
【0043】
変性基(A):(B):(C)の重量比は非常に広範であり、着手中のケースの要件に従って決定される。変性基(A):(B):(C)の重量比は、
−好ましくは(4〜200):(0.1〜60):1、
−より好ましくは(7〜100):(0.2〜15):1、および
−とりわけ(10〜50):(0.5〜10):1、である。
【0044】
本発明のナノ粒子は、有機化学および有機ケイ素化学における常法により、例えば、加水分解可能な基を有する好適なシランを、同時に加水分解と縮合とを行なう、あるいは変性用のナノ粒子を、好適な有機化合物および加水分解可能なシランと反応させることにより製造することが可能である。
【0045】
本発明のナノ粒子は、好ましくは、ナノ粒子の表面の反応性官能基を、以下に記載の変性剤と反応させることにより調整することが可能である。好ましい反応性官能基は、例えばカルボキシル基、スルホン酸基またはリン酸基等の酸性基ならびにヒドロキシル基であり、特にヒドロキシル基である。
【0046】
本発明によれば、変性に用いるナノ粒子は、少なくとも1個の変性剤(A)に対して反応性(反応活性)を有している。
【0047】
変性剤(A)は、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、とりわけ少なくとも3個以上の、変性される表面の反応性官能基に対して反応性を有する反応性官能基(Aa)を含有する。反応性官能基(Aa)は、好ましくは少なくとも1個、特に1個のケイ素原子を含有する。反応性官能基(Aa)は従来のものであり、変性される表面上の相補的な反応性官能基を基準として、当業者によって選択され得るものである。
【0048】
変性剤(A)はさらに、前記の不活性スペーサー基(Ab)を、少なくとも1個、好ましくは1個含有する。これらは反応性官能基(Aa)に共有結合する。
【0049】
加えて、変性剤は、基(Ab)を介して基(Aa)に結合すると共に、変性される表面の反応性官能基に対して反応性を有する前記の反応性官能基(Ac)を、少なくとも1個、特に1個含有する。
【0050】
さらに、本発明によれば、変性に用いるナノ粒子は、少なくとも1個の変性剤(B)と反応する。
【0051】
変性剤(B)は、変性される表面の反応性官能基に対して反応性を有する反応性官能基(Ba)を、少なくとも1個、特に1個含有する。本来、反応性官能基(Ba)は、前記の反応性官能基(Aa)を含有する。しかしながら、反応性官能基(Ba)は、好ましくは架橋性官能基(Ba)からなる群より、好ましくはエーテル基、チオエーテル基、カルボン酸エステル基、チオカルボン酸エステル基、カーボネート基、チオカーボネート基、リン酸エステル基、チオリン酸エステル基、ホスホン酸エステル基、チオホスホン酸エステル基、ホスファイト基、チオホスファイト基、スルホン酸エステル基、アミド基、アミン基、チオアミド基、リン酸アミド基、チオリン酸アミド基、ホスホン酸アミド基、チオホスホン酸アミド基、スルホン酸アミド、イミド基、ヒドラジド基、ウレタン基、尿素基、チオ尿素基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホン基またはスルホキシド基(Ba)から、特にエーテル基(Ba)から選択される。反応性官能基(Ba)は有機化学における従来型の反応性官能基であり、したがって、当業者が、その技術的な知見に基づいて容易に選択することができる。
【0052】
さらに変性基(B)は、前記の不活性スペーサー基(Ab)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有する、前記の不活性基(Bd)を、少なくとも1個、特に1個含有する。好ましくは、基(Bd)は、反応性官能基(Ba)と直接共有結合している。
【0053】
本発明によれば、変性に用いるナノ粒子はさらに、変性剤(A)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有する、少なくとも1個の変性基(C)と反応する。
【0054】
変性基(C)は、少なくとも1個、特に1個のケイ素原子を含有し、変性される表面の反応性官能基に対して反応性を有する反応性官能基(Ca)を、少なくとも1個含有する。
【0055】
さらに変性基(C)は、好ましくは反応性官能基(Ca)と直接結合する、前記の不活性基(Ce)を、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個、とりわけ3個含有する。
【0056】
変性剤(A)は、好ましくは一般式IIのシランによって構成される群から選択され:
[(R(R3−oSi]R(Ac) (II)
式中の指数および変数は以下によって定義付けられる:
mおよびnは、1〜6、好ましくは1〜5、特に1〜3の整数であり;
oは、0、1または2、特に0;
Acは、上記で定義された、熱的および/または化学線的に活性化が可能な基であり;
Rは、上記で定義された、少なくとも二価以上の有機基であり;
は、上記で定義された、一価の有機基であり;
は、加水分解可能な原子または基である。
【0057】
加水分解可能な原子Rは、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子および臭素原子によって構成される群から選択され、加水分解可能な基Rは、好ましくはヒドロキシル基および一価の有機基Rによって構成される群から選択される。
【0058】
一価の有機基Rは、好ましくは一般式IIIによって構成される群から選択され:
−Y−R (III)
式中、変数Yは酸素原子、あるいはカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミノ基 −NH−または第2級アミノ基 −NR−、特に酸素原子であり、変数Rは上記で定義されている通りである。
【0059】
加水分解可能な一価の有機基Rは、好ましくは、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する非置換型のアルコキシ基によって構成される群から選択される。
【0060】
シラン(A)は、それ自体が既知の化合物であり、オルガノシロキサンにおける従来の手法を用いて製造することができる。シラン(A)は、好ましくは、以下により得ることが可能であり、
(1)ポリシロキサンを、先に記載のブロック剤等、および一般式IVのシランと反応させる;
[(R(R3−oSi]RZ (IV)
式中、変数Zはイソシアネート反応性官能基、好ましくはヒドロキシル基、チオール基、あるいは第1級または第2級アミノ基、特にヒドロキシル基を意味し、変数R、RおよびRは先に記載の定義に従う;あるいは、
(2)一般式Vの化合物;
(Ac)R−Z (V)
式中、指数nおよび変数Ac、RおよびZは先に記載の定義に従う;
を、一般式VIのシランと反応させる:
[(R(R3−oSi]R−NCO (VI)
式中、指数nおよび変数R、RおよびRは先に記載の定義に従う。
【0061】
一般式IVの好ましいシランの例は、例えば米国特許であるUS 5,998,504 A1号、第3欄、第37行目〜第4欄、第29行目、あるいは、欧州特許出願であるEP 1 193 278 A1号、第3ページ、第27〜43行目、により知られている。
【0062】
好ましいポリイソシアネートの例は:
−ジイソシアネート類:イソホロン ジイソシアネート(すなわち、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン)、5−イソシアナト−1−(2−イソシアナトエト−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−(4−イソシアナトブト−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトエト−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(4−イソシアナトブト−1−イル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロブタン、1−3−ジイソシアナトシクロブタン、1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン 2,4’−ジイソシアネート、トリメチレン ジイソシアネート、テトラメチレン ジイソシアネート、ペンタメチレン ジイソシアネート、ヘキサメチレン ジイソシアネート(HDI)、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルへキサン ジイソシアネート、ヘプタメチレン ジイソシアネート、またはHenkel(ヘンケル)により商品記号DDI 1410で販売されており、(国際)特許 WO 97/49745号およびWO 97/49747号に記載される二量体脂肪酸由来のジイソシアネート等であり、特に2−ヘプチル−3,4−ビス(9−イソシアナトノニル)−1−ペンチルシクロヘキサン、あるいは1,2−、1,4−または1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−、1,4−または1,3−ビス(2−イソシアナト−1−イル)シクロヘキサン、1,3−ビス(3−イソシアナト−1−イル)シクロヘキサン、1,2−、1,4−または1,3−ビス(4−イソシアナト−1−イル)シクロヘキサン、あるいは特許出願DE 44 14 032 A1号、GB 1 220 717 A1号、DE 16 18 795 A1号またはDE 17 93 785 A1号に記載される、トランス/トランスの含量が30重量%、好ましくは25重量%、特に20重量%以下である、液性ビス−(4−イソシアナトシクロへキシル)メタン、好ましくはイソホロン ジイソシアネート、5−イソシアナト−1−(2−イソシアナトエト−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−(4−イソシアナトブト−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロプ−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトエト−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(4−イソシアナトブト−1−イル)シクロヘキサン、あるいはHDI、特にHDI;あるいは、
−ポリイソシアネート類であって、イソシアヌラート、ビウレット、アロファナート、イミノオキサジアジンジオン、ウレタン、尿素、カルボジイミドおよび/またはウレトジオン基を含有し、先に記載のジイソシアネートから常法によって製造されるもの;好ましい製造方法およびポリイソシアネートの例としては、例えば、CA 2,163,591 A号、US 4,419,513 A号、US 4,454,317 A号、EP 0 646 608 A号、US 4,801,675 A号、EP 0 183 976 A1号、DE 40 15 155 A1号、EP 0 303 150 A1号、EP 0 496 208 A1号、EP 0 524 500 A1号、EP 0 566 037 A1号、US 5,258,482 A号、US 5,290,902 A号、EP 0 649 806 A1号、DE 42 29 183 A1号またはEP 0 531 820 A1号等により知られている。
【0063】
その他の好適なポリイソシアネートは、米国特許US 5,998,504 A号、第5欄、第21行目〜第6欄、第2行目により知られている。
【0064】
特に好適なものとしては、イソホロン ジイソシアネートをベースとしたイソシアヌラートを使用してシラン(A)を製造することが挙げられる。
【0065】
一般式Vの化合物の好ましい例は、グリシドールおよび従来型のヒドロキシル基を含有するオレフィン性不飽和モノマーであり、例えば
−α、β−オレフィン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類として、アクリル酸、メタクリル酸およびエタクリル酸等の、その中のヒドロキシアルキル基が20個以下の炭素原子、例えば2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル アクリレート、メタクリレートまたはエタクリレート等、を含有するもの;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンジメタノールまたはメチルプロパンジオール モノアクリレート、モノエタクリレート、モノメタクリレートまたはモノクロトナート;あるいは環状エステルの反応生成物、例えばエプシロンカプロラクトンおよびこれらのヒドロキシアルキルエステル;
−オレフィン性不飽和アルコール類として、アリルアルコール;
−ポリオールのアリルエステル類として、トリメチロールプロパン モノアリルエーテルまたはペンタエリスリトール モノ−、ジ−またはトリアリルエーテル等。一般的に、より多官能のモノマーは微量でのみ使用される。本発明の目的のためには、本明細書中において、より多官能のモノマーが微量であるとは、本発明が架橋されたマイクロゲルでない限り、コポリマーの架橋あるいはゲル化を引き起こさない量である、と解釈され;
−α、β−オレフィン性不飽和カルボン酸と、分子内に5〜18個の炭素原子を有するα−分岐型モノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応生成物。アクリル酸またはメタクリル酸と、第3α炭素原子を有するカルボン酸のグリシジルエステルとの反応は、重合反応の前、最中あるいは後に行なうことが可能である。成分としては、アクリル酸および/またはメタクリル酸と、Versatic(登録商標)酸のグリシジルエステルとの反応生成物を使用することが好ましい。このグリシジルエステルは、Cardura(登録商標)E10の商品名で購入することが可能である。さらに詳しくは、Rompp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、1998、第605〜606ページ、を参照のこと;
−α、β−オレフィン性不飽和カルボン酸およびα、β−オレフィン性不飽和カルボキサミドのアミノアルキルエステルのホルムアルデヒド付加体であって、N−メチロールアミノエチル アクリレートおよびメタクリレート、ならびにN−メチロールアミノエチル アクリルアミドおよびメタクリルアミド;ならびに、
−アクリロイルオキシシラン基およびヒドロキシル基を含むオレフィン性不飽和モノマー、これらは、ヒドロキシル基官能性シランと、エピクロロヒドリンとを反応させ、続いてこの中間体をα、β−オレフィン性不飽和カルボン酸、特にアクリル酸およびメタクリル酸、あるいはこれらのヒドロキシアルキルエステルと反応させることにより製造される。
【0066】
一般式VIの好ましいシランの例は、例えばドイツ国特許出願であるDE 199 10 876 A1号により知られている。
【0067】
変性剤(B)は、一般式VIIのヒドロキシル基を含む化合物により構成される群から選択されることが好ましい:
−OH (VII)
式中、変数Rは先の記載で定義されている通りである。特に好ましいものとしては脂肪族、特に第一級の、アルコール類、例えば米国特許 US 4,652,470号、第9欄、第59行目〜第10欄、第5行目に記載のもの、を使用することが挙げられる。非常に好ましいものとしては、n−ヘキサノールが使用される。
【0068】
変性基(C)は、一般式(VIII)のシランにより構成される群から選択されることが好ましい:
(R4−pSi(R (VIII)
式中、指数p=1、2、または3、特に1であり、変数RおよびRは先の記載で定義されている通りである。
好ましいシラン(C)の例は、例えば米国特許 US 5,998,504号、第4欄、第30行目〜第5欄、第20行目に記載されている。特に好ましいものとして、トリメチルエトキシシランが使用される。
【0069】
変性用のナノ粒子として、いかなる従来のナノ粒子を選択することも可能である。これらは金属、金属化合物および有機化合物により構成される群から選択されることが好ましい。
【0070】
金属は、好ましくは元素の周期律表の主族グループ3〜5および遷移グループ3〜6、ならびに1および2、加えてランタノイド系から選択され、ならびに好ましくはホウ素、アルミニウム、ガリウム、シリコン、ゲルマニウム、スズ、ヒ素、アンチモン、銀、亜鉛、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル(タンタラム)、モリブデン、タングステンおよびセリウムにより構成される群から選択される。特に、アルミニウムおよびシリコンが使用される。
【0071】
金属化合物は、好ましくは酸化物、オキシ水酸化物、硫酸塩、水酸化物またはリン酸塩、とりわけ酸化物、オキシ水酸化物および水酸化物である。
【0072】
好適な有機化合物はリグニンおよびデンプンである。
【0073】
変性用のナノ粒子は、好ましくは主要粒子径が<50nmであり、より好ましくは5〜50nm、特に10〜30nmを有する。
【0074】
本発明のナノ粒子は、本来、本発明の製造方法において、変性用のナノ粒子と、先に記載の変性剤とを、任意の順序で反応させることにより製造することができる。しかしながら、これらが第一段階において少なくとも1種、特に1種の変性剤(A)と反応し、第二段階において少なくとも1種、特に1種の変性剤(B)と反応し、第三段階において少なくとも1種、特に1種の変性剤(C)と反応することが好ましい。代替としては、これらが第二段階において少なくとも1種、特に1種の変性剤(C)と反応し、第三段階において少なくとも1種、特に1種の変性剤(B)と反応する。他の代替としては、第二段階において少なくとも1種、特に1種の変性剤(B)および(C)と反応する。
【0075】
本発明の製造方法のその他の変形型では、少なくとも1種、特に1種の、一般式IIで示される変性剤(A)、および少なくとも1種、特に1種の、一般式VIIIで示される変性剤(C)がゾル−ゲルプロセスによって相互に加水分解されるとともに縮合され、これにより得られる重縮合物が、少なくとも1種、特に1種の変性剤(B)と反応することにより本発明のナノ粒子が得られる(Roempp Online、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、2002、“sol−gel process”を参照)。
【0076】
本発明のナノ粒子との、あるいはこれを得るための、シラン(A)および(C)の反応においては、有機酸または無機酸等、加水分解に用いられる従来型の触媒を使用することが好ましい。
【0077】
本発明のナノ粒子との、あるいはこれを得るための変性剤(A)、(B)および(C)の反応は、本来、任意の割合で行うことができる。しかしながら、例えば変性基(A)、(B)および(C)が先に記載の重量比となるように変性剤(A)、(B)および(C)を使用することが望ましい。
【0078】
本発明のナノ粒子は、例えば国際特許出願 WO 99/52964号、第12ページ、第10行目〜第14ページ、第4行目に記載されるような、いかなる最終用途に用いることも本来可能であるが、しかしながら、本発明のナノ粒子は、非プロトン性、特に無極性非プロトン性溶剤および/または反応性希釈剤中における分散液の調整に用いることが特に好ましい。
【0079】
非プロトン性溶剤はプロトリシス不可能な水素原子を含有する、すなわちプロトンドナーではない、有機溶剤である。より詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York 1998、第41ページ、“Aprotic solvents”、またはRoempp Online、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、2002、“Aprotic solvents”を参照のこと。
【0080】
反応性希釈剤とは、反応性希釈媒体または反応性溶剤を意味し、DIN 55945:1996−09(この中では、皮膜形成の過程において進行中の化学反応でありバインダーの一部となる希釈剤、と記載されている、)による、より長い意味付けを単純化した表現を表す。特にこれらは、少なくとも1個の二重結合、とりわけ少なくとも2個の二重結合を含有するオレフィン性不飽和モノマーである。より詳細については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York 1998、第491ページ、“Reactive diluents”を参照のこと。
【0081】
特に好ましいものとして、非プロトン性溶剤および/または反応性希釈剤は、変性基(A)および(B)に関してフローリー・ハギンスパラメータ χ>0.5(この点に関しては、K.Kehr、Mittlere Feldtheorie von Polymerloesungen、Schmelzen und Mischungen[Mean field theory of polymer solutions、Melts and mixtures];random phase approximation、in Physik der Polymere、 22nd IFF Holyday Course、Forschungszentrum Juelich GmbH、Juelich を参照、)を有している。
【0082】
これらの総量および重量比に基づき、本発明の分散液は、驚くべきことに固体含有率>30%、好ましくは>40%および、特に50%であり、沈殿やゲル化が全くない。例えば、ケイ素をベースとする本発明のナノ粒子を含有する本発明の分散液は、固体含有率が25〜70%であり、その際、強熱残量によって与えられる純粋なケイ素の分画は、1〜40重量%の間、特に好ましくは20〜30重量%の間であることが好ましい。
【0083】
ポリイソシアネート、例えば溶剤ナフサ/ブチル酢酸中の90%希釈のヘキサメチレンジイソシアネート等、の添加後でさえ、本発明の分散液は、わずかなゲルの形成の傾向すら示さなかった。
【0084】
非プロトン性、特に無極性非プロトン性溶剤または反応性希釈剤への、本発明のナノ粒子の移動は、蒸留により完成される。方法を最適化するためには、使用されるプロトン性溶剤と共に低沸点の共沸混合物を形成する、特定のエントレインメントを使用することが可能である。本発明による方法は、残留するプロトン性溶剤の含有量が1重量%未満である本発明の分散液の製造を可能とするものである(GC分析に基づく)。
【0085】
本発明の分散液は、少なくとも1種の添加剤を含有しても構わない。添加剤は、従来型のポリマー性あるいはオリゴマー性バインダー、架橋剤、着色および/またはエフェクト顔料、有機および無機、透明あるいは乳白色の充填剤、本発明のナノ粒子とは異なるその他のナノ粒子、UV吸収体、光安定化剤、フリーラジカル捕捉剤、揮発成分除去剤、スリップ剤、重合阻害剤、光開始剤、フリーラジカルあるいはカチオン性の重合開始剤、消泡剤、乳化剤、湿潤剤、分散剤、定着剤、均展剤、皮膜形成補助剤、垂み調節剤(sag control agent)(SCA)、レオロジー調節添加剤(増粘剤)、難燃剤、乾燥剤(siccative)、ドライヤー(乾燥剤)、皮張り防止剤、侵食防止剤、ワックスならびにつや消し剤により構成される群から選択されることが好ましい。特にコーティング添加剤が使用される(また、Johan Bielemanによるテキストの“Lackadditive”[コーティング添加剤]、Wiley−VCH、Weinheim、New York、1998、またはRoempp Online、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、2002、“Additives”を参照のこと)。
【0086】
特に、本発明の分散液に対して予想される最終用途により、添加剤の選択が誘導される。本発明の分散液の安定性を損なうものであってはならない、ということが重要である。
【0087】
本発明の分散液の製造は、方法論的な特性を必要とするものではないが、その代わりに、分散液の調整のための従来法に従い、攪拌タンク、溶解機等のインライン溶解機、攪拌ミルまたは押し出し機を含む、好適な混合器中で先に記載の構成物質を混合することにより実施される。
【0088】
本発明のナノ粒子および本発明の分散液はその実用性が非常に広範であり、この点に関して先行技術の変性型ナノ粒子よりも優れている。特に、これらは被覆材料、接着剤、シーラント、産業用プラスチックを基礎とする化合物および硬化性組成物の製造に使用しても構わない。
【0089】
この文脈において、被覆材料はコーティング剤および塗装系の製造に役立ち、接着剤は接着膜の製造に役立ち、シーラントはシール剤の製造に役立ち、産業用プラスチックを基礎とする化合物および硬化性組成物は成型品、特に光学成型品、セルフサポーティングフィルムおよび硬質フォームに役立つ。
【0090】
これらは、とりわけ、いかなる素材の基材の表面をも機構上の損傷からの保護、特にスクラッチに対する保護および/または該基材の装飾用に極めて好適である。特に、これらの基材は、自動車またはその部品、建築物、家具、窓およびドア、細かい工業用部品、コイル、コンテナ、パッケージング、家電、フィルム、光学部品、電気部品、機械部品ならびに中空ガラス製品である。その他の最終用途および基材の例は、ドイツ国特許出願 DE 198 16 136 A1号、第7欄、第54行目〜第8欄第58行目、あるいは国際特許出願 WO 99/52964号、第12ページ、第10行目〜第14ページ、第4行目により知られている。
【0091】
本発明の被覆材料は、驚くべきことに二成分系または多成分系として形成される。本発明の二成分系または多成分系、特にポリイソシアネートをベースとしているものでは、ポットライフ(可使時間)または作用時間が特に長い。これらは熱的および化学線により硬化性(二重硬化性;dual cure)である。
【0092】
特に好ましいものとして、本発明のコーティング剤は、マルチコートカラーおよび/またはエフェクト顔料系を用いた自動車のOEMフィニッシングの一部として引っかき抵抗性の高い透明コートを製造するために使用される。周知のように、これらの特に高級なマルチコート顔料系は、例えばドイツ国特許出願DE 199 30 665 A1号、第15ページ、第15行目〜第16ページ、第24行目等により知られている、ウェットオンウェット技術と呼ばれるものを用いて製造される。
【0093】
本発明のコーティング剤および顔料系を製造するためには、本発明の被覆材料は、問題となる最終用途に対する従来型の適切な技術、例えば噴霧法、ナイフコーティング、はけ塗り、流し塗り、浸し塗り、含浸、浸透、またはローリング等、を使用して塗布される。塗布用の器材またはユニットを動かしながら、被覆される基材自体は静止状態であっても構わない。代わりに、塗布用のユニットを基材に対して静止状態とするか、あるいは適切に移動させながら被覆される基材、特にコイルを移動させても構わない。
【0094】
本発明の成型品を製造するためには、本発明の分散液は適切な中空モールドに注がれ、その中で硬化され、その後これらを中空モールドから抜き取る。産業用プラスチックを基礎とする本発明の化合物は、好ましくは押し出しされ、適切な中空モールド中に注入成型される。
【0095】
本発明のフィルムを製造するためには、キャスティングまたはフィルム吹き付け等の従来型の技術が採用される。
【0096】
本発明の硬質フォームを製造するためには、発砲プラスチックの分野における従来法が利用される(Roempp Online、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、2002、“foamed plastics”を参照のこと)。
【0097】
コーティング剤、接着剤、シーラント、および本発明の硬化性組成物の熱的な硬化は一定の静止時間を置いてから実施しても構わない。これは30秒〜2時間、好ましくは1分〜1時間、特に好ましくは1〜45分の間隔を取り得る。休止期間は、例えばコーティングフィルムの平滑化および揮発分の除去、あるいは揮発性成分の蒸発に役立つ。休止期間は、コーティング剤、接着剤、シーラントおよび本発明の硬化性組成物に対して、例えば不完全な(premature complete)架橋結合等の、いかなるダメージあるいは変性を引き起こさない限りにおいて、これを短縮し、および/または温度の上昇の助けを借りても構わない。
【0098】
熱による硬化は、何ら方法論的な特殊性を有していない代わりに、強制換気炉またはIRランプによる照射等の従来法に従って実施される。また、本明細書における熱硬化は段階を追って行なっても構わない。その他の好ましい硬化方法は、近赤外線(NIR)照射による硬化である。この種の好ましい技術は、例えば、Rodger Talbert in Industrial Paint & Powder、04/01、第30〜33ページ、“Curing in Seconds with NIR”、または Galvanotechnik、第90(11)巻、第3098〜3100ページ中の、“Lackiertechnik,NIR−Trocknung im Sekundentakt von Fluessig− und Pulverlacken”(コーティング技術、液体および粉末コーティングのための即時NIR乾燥)に記載されている。
【0099】
熱による硬化は、温度が50〜200℃、特に好ましくは60〜180℃、とりわけ80〜160℃、時間が1分〜2時間、特に好ましくは2分〜1時間、とりわけ3〜30分の範囲において効果的に実施される。
【0100】
化学線による硬化は、好ましくはUV照射および/または電子線を用いて行なわれる。線量としては、好ましくは1000〜3000、より好ましくは1100〜2900、特に好ましくは1200〜2800、非常に好ましくは1300〜2700、とりわけ1400〜2600mJ/cmが採用される。照射強度は、好ましくは1×10〜3×10、好ましくは2×10〜2×10、特に好ましくは3×10〜1.5×10、とりわけ5×10〜1.2×10Wm−2である。
【0101】
必要に応じて、他の供給源由来の化学線により硬化を補ってもよい。電子線の場合、不活性ガス雰囲気中で操作を行なうことが好ましい。これは、例えば二酸化炭素および/または窒素をコーティングフィルムの表面に直接供給することにより確実に行うことができる。同様に、UV照射による硬化の場合にも、オゾン形成を防止するために不活性ガスまたは酸素欠乏雰囲気中で操作することが可能である。
【0102】
化学線による硬化を行なうためには、従来型の照射源および光学的な補助手段が使用される。好ましい照射源の例は、VISIT社のフラッシュランプ(閃光電球)、405nmまで照射窓を広げるために必要に応じてリードによりドープされる高圧または低圧水銀灯、あるいは電子線源である。これらの硬化方法に対する装置および条件は、例えば、R.Holmesの、U.V. and E.B. Curing Formulations for Printing Inks、Coatings and Paints(印刷インク、コーティングおよび塗料用のUVおよびEB硬化の形成)、SITA Technology、Academic Press、ロンドン、英国、1984年に記載されている。化学線照射による硬化に好適な方法および装置におけるその他の例は、ドイツ国特許出願 DE 198 18 735 A1、第10欄、第31〜61行、R.Stephen Davidsonによる“Exploring the Science、Technology and Applications of U.V. and E.B.Curing(科学調査、UVおよびEB硬化の技術と適用)”、SITA Technology Ltd.、ロンドン、1999年、あるいはDipl.−Ing.Peter Klamann による“Eltosch System−Kompetenz、UV−Technik、Leitfaden fuer Anwender(急速システム(eltosch systems)の専門知識、UVテクノロジー、使用者のための原理の手引き)”1998年10月に記載されている。
【0103】
自動車の車体を想定した場合のように複雑な形状を取る加工中の製品の場合、キャビティ、折り重なり部分等の、直接照射できない領域(表に出ない領域)は、キャビティまたはエッジの照射用の自動運動手段を連結したポイントワイズ用、狭い領域用、あるいは万能のエミッターを使用して(部分的に)硬化しても構わない。
【0104】
本明細書において硬化は、段階を追って、すなわち複数の光線または化学線の照射により行なっても構わない。また、代替として、すなわちUV照射および電子線を代わりに用いて硬化することにより行なっても構わない。
【0105】
熱による硬化および化学線による硬化が共に採用される場合、これらの方法を同時あるいは別々に実施することができる。二種の硬化方法が別々に使用される場合、例えば、熱による硬化をまず第一に行ない、化学線照射による硬化で締めくくることが可能である。他の場合、化学線照射による硬化を手始めに行ない、それで締めくくることが効果的である場合がある。
【0106】
本願発明のコーティング、塗装系、接着フィルム、シール剤、モールディング、セルフサポーティングフィルムおよび硬質フォームは、際立った特性パーフォーマンスを有している。特に、高い透明性および透明度、ならびに、際立った引っかき抵抗性の高さが重要視される。
【0107】
本願発明のコーティングおよび塗装系は際立った特性プロフィールを有しており、メカニズム性、光学性、耐食性および接着性の面から非常に均衡が取れている。したがって、本願発明のマルチコート塗装系は、市場が求めている光学的高品質およびインターコート付着性を有し、耐凝結性の不足、亀裂(マッド・クラック)またはレベリングの不備あるいは表面構造等のいかなる問題も本願発明のクリアコートでは生じない。特に、本願発明のマルチコート塗装系は、傑出したメタリック効果、傑出したD.O.I.(反射像の識別性)および傑出した表面平滑性を示す。
【0108】
したがって、例えば少なくとも1種の本発明のコーティング剤、塗装系またはセルフサポーティングフィルムで被覆され、本発明の接着フィルムで固着され、および/または本発明のシール剤でシールされた基材は、性能的な特性における特に有益なプロフィールと、非常に長期間の耐用年数とを併せ持ち、このことから、経済的、審美的ならびに技術的にこれらが特に価値があるものとなる。
【0109】
実施例
製造例1
変性剤(A1)の製造
欧州特許出願 EP 1 193 278 A1号の製造例1に従い、部分的にブロックするとともに約40%のシラン化を行なったイソホロン ジイソシアネート 三量体(トリマー)80.2gと、3,5−ジメチルピラゾール13.97gを、還流冷却器および検温器を備えた三つ首フラスコ中で混合し、攪拌しながら50℃に加熱した。IR分光法を用い、反応工程をモニターした。13時間後にブロッキング反応が完了した:IR分光法により遊離イソシアネート基を検出することはもはやできなかった。
【0110】
製造例2
変性剤(A2)の製造
欧州特許出願 EP 1 193 278 A1号の製造例1に従い、部分的にブロックするとともに約40%のシラン化を行なったイソホロン ジイソシアネート 三量体(トリマー)40.6gと、2−ヒドロキシエチル メタクリレート9gを、還流冷却器および検温器を備えた三つ首フラスコ中で混合し、攪拌しながら90℃に加熱した。IR分光法を用い、反応工程をモニターした。36時間後にブロッキング反応が完了した:IR分光法により遊離イソシアネート基を検出することはもはやできなかった。
【0111】
製造例3
変性剤(A3)の製造
欧州特許出願 EP 1 193 278 A1号の製造例1に従い、部分的にブロックするとともに約40%のシラン化を行なったイソホロン ジイソシアネート 三量体(トリマー)50.2gと、2−ヒドロキシエチル アクリレート9.8gを、還流冷却器および検温器を備えた三つ首フラスコ中で混合し、攪拌しながら90℃に加熱した。IR分光法を用い、反応工程をモニターした。30時間後にブロッキング反応が完了した:IR分光法により遊離イソシアネート基を検出することはもはやできなかった。
【0112】
実施例1
変性型ナノ粒子の製造および非プロトン性溶剤中におけるこれらの分散液
11.1重量部の製造例1による変性剤A1を70℃に加熱し、19.9重量部のSiOコロイド溶液を含むイソプロパノール(IPA−ST−S、Nissan Chemicalから購入できる、)および1重量部の0.1N酢酸を徐々に混合した。こうして得られた混合物をさらに2時間、70℃にて攪拌した後、少なくとも30分以上をかけた滴下添加により、0.7重量部のトリメチルエトキシシランと徐々に混合した。その後、10.3重量部のソルベント・ナフサおよび1.6重量部のヘキサノールを加え、得られた溶液を70℃でさらに2時間攪拌した。低沸点の構成物を分離するために、減圧下、55℃以下の浴温のロータリー・エバポレータ上で冷却した反応混合物を低沸点の構成物から分離した。
【0113】
得られた変性型ナノ粒子の分散液は、プロトン性溶剤(イソプロパノール、ヘキサノール)の含有量が1重量%未満であった。固体含有量は53%であった。ブロックドイソシアネート基の含有量は2.26重量%であった。この分散液は、40℃において、少なくとも30日以上の期間、観察される粘度の上昇が全く見られず、安定であった。遊離のイソシアネートに対する分散液の反応性は非常に低かった。9重量部のBasonat(登録商標) HI 190(BASF社製のポリイソシアネート)、0.5重量部の酢酸ブチル、0.5重量部のソルベント・ナフサ、および10重量部の本発明の変性型ナノ粒子の分散液は、室温にて6日間経過後も安定であり、ゲル化も全く見られなかった。
【0114】
実施例2および2a
変性型ナノ粒子の製造および非プロトン性溶剤中におけるこれらの分散液
SiO IPA−ST−Sコロイド溶液をSiO IPA−ST(実施例2)コロイド溶液、ならびにSiO MA−ST−S(実施例2a)コロイド溶液に置き換える以外は実施例1の工程を繰り返した。実施例2および2aにより得られた変性型ナノ粒子の分散液は、実施例1における記載と同様に優れた特性を示した。
【0115】
実施例3
変性型ナノ粒子の製造および非プロトン性溶剤中におけるこれらの分散液
実施例1で使用したソルベント・ナフサ溶剤をジイソブチルケトンに置き換える以外は実施例1の工程を繰り返した。得られた変性型ナノ粒子の分散液は、実施例1における記載と同様に優れた特性を示した。
【0116】
実施例4
変性型ナノ粒子の製造および反応性希釈剤におけるこれらの分散液
5.1重量部の製造例2による変性剤A2を70℃に加熱し、9.1重量部のSiOコロイド溶液を含むイソプロパノール(IPA−ST、Nissan Chemicalから購入できる、)および0.5重量部の0.1N酢酸を徐々に混合した。こうして得られた混合物をさらに3時間、70℃にて攪拌した後、少なくとも30分以上をかけた滴下添加により、0.3重量部のトリメチルエトキシシランと徐々に混合した。その後、4.7重量部のn−ブチルメタクリレート(反応性希釈剤)および0.7重量部のヘキサノールを加え、得られた溶液を70℃でさらに3時間攪拌した。低沸点の構成物を分離するために、減圧下、55℃以下の浴温のロータリー・エバポレータ上で冷却した反応混合物を低沸点の構成物から分離した。
【0117】
得られた変性型ナノ粒子の分散液は、プロトン性溶剤(イソプロパノール、ヘキサノール)の含有量が1重量%未満であった。固体含有量は57%であった。ブロックドイソシアネート基の含有量は2.14重量%であった。この分散液は、室温において、少なくとも8日以上の期間、観察される粘度の上昇が全く見られず、安定であった。
【0118】
遊離のイソシアネートに対する分散液の反応性は非常に低かった。9重量部のBasonat(登録商標) HI 190(BASF社製のポリイソシアネート)、0.5重量部の酢酸ブチル、0.5重量部のソルベント・ナフサ、および10重量部の本発明の変性型ナノ粒子の分散液は、室温にて6日間経過後も安定であり、ゲル化も全く見られなかった。
【0119】
変性型ナノ粒子は、アクリレート(メタクリレート)を主成分とするゲルの製造に非常に好適であったと共に、高分岐ポリマーであるが高分子量であるポリマー製造のスタート時点において比較的粘度が低かった。
【0120】
実施例5
変性型ナノ粒子の製造および非プロトン性溶剤中におけるこれらの分散液
11.1重量部の製造例3による変性剤A3を70℃に加熱し、19.9重量部のSiOコロイド溶液を含むイソプロパノール(IPA−ST、Nissan Chemicalから販売されている、)および1重量部の0.1N酢酸を徐々に混合した。こうして得られた混合物をさらに3時間、70℃にて攪拌した後、少なくとも30分以上をかけた滴下添加により、0.7重量部のトリメチルエトキシシランと徐々に混合した。その後、10.3重量部のソルベント・ナフサおよび1.6重量部のヘキサノールを加え、得られた溶液を70℃でさらに3時間攪拌した。低沸点の構成物を分離するために、減圧下、55℃以下の浴温のロータリー・エバポレータ上で冷却した反応混合物を低沸点の構成物から分離した。
【0121】
得られた変性型ナノ粒子の分散液は、プロトン性溶剤(イソプロパノール、ヘキサノール)の含有量が1重量%未満であった。固体含有量は50.4%であった。ブロックドイソシアネート基の含有量は2.39重量%であった。この分散液は、室温において、少なくとも8日以上の期間、観察される粘度が上昇することも全くなく安定であった。
【0122】
遊離のイソシアネートに対する分散液の反応性は非常に低かった。9重量部のBasonat(登録商標) HI 190(BASF社製のポリイソシアネート)、0.5重量部の酢酸ブチル、0.5重量部のソルベント・ナフサ、および10重量部の本発明の変性型ナノ粒子の分散液は、室温にて6日間経過後も安定であり、ゲル化も全く見られなかった。
【0123】
この分散液は、二重硬化性のクリアコート素材(熱および化学線による硬化性を有する)の製造に極めて好適であった。
【0124】
実施例6
変性型ナノ粒子の製造および非プロトン性溶剤中におけるこれらの分散液
11.1重量部の製造例3による変性剤を70℃に加熱し、19.9重量部のSiOコロイド溶液を含むイソプロパノール(IPA−ST、Nissan Chemicalから販売されている、)および1重量部の0.1N酢酸を徐々に混合した。こうして得られた混合物をさらに3時間、70℃にて攪拌した後、少なくとも30分以上をかけた滴下添加により、0.7重量部のトリメチルエトキシシランと徐々に混合した。その後、10.3重量部のSartomer(登録商標) 399(反応性希釈剤、Cray Valley社から販売されている、)および1.6重量部のヘキサノールを加え、得られた溶液を70℃でさらに3時間攪拌した。低沸点の構成物を分離するために、減圧下、60℃以下の浴温のロータリー・エバポレータ上で冷却した反応混合物を低沸点の構成物から分離した。
【0125】
得られた変性型ナノ粒子の分散液は、22.4重量%の含有量のSiOを有していた(800℃/30分における強熱減量から重量測定法により測定)。
【0126】
この分散液は、特にハイソリッドのUV硬化性の被覆材料(100%システム)の製造に極めて好適であった。
【0127】
実施例7
変性型ナノ粒子の製造および非プロトン性溶剤中におけるこれらの分散液
11.1重量部の製造例1による変性剤(A1)を70℃に加熱し、19.9重量部のイソプロパノールおよび1重量部の0.1N酢酸を徐々に混合した。こうして得られた混合物をさらに3時間、70℃にて攪拌した後、少なくとも30分以上をかけた滴下添加により、0.7重量部のトリメチルエトキシシランと徐々に混合した。得られた溶液を70℃にてさらに3時間攪拌した。その後、10.3重量部のソルベント・ナフサおよび1.6重量部のヘキサノールを加えた。低沸点の構成物を分離するために、減圧下、55℃以下の浴温のロータリー・エバポレータ上で冷却した反応混合物を低沸点の構成物から分離した。
【0128】
得られた変性型ナノ粒子の分散液は、プロトン性溶剤(イソプロパノール、ヘキサノール)の含有量が1重量%未満であった。固体含有量は38.1%であった。ブロックドイソシアネート基の含有量は3.21重量%であった。
【0129】
遊離のイソシアネートに対する、得られた分散液の反応性は非常に低かった。9重量部のBASF社製のBasonat(登録商標) HI 190、0.5重量部の酢酸ブチル、0.5重量部のソルベント・ナフサ、および10重量部の変性型ナノ粒子の分散液は、室温にて6日間経過後も安定であり、ゲル化も全く見られなかった。
【0130】
実施例8および9
変性型ナノ粒子の製造および非プロトン性溶剤中におけるこれらの分散液
異なる量のソルベント・ナフサを使用する以外は実施例1の工程を繰り返した:実施例8では5.3重量部のソルベント・ナフサを、実施例9では3.7重量部のソルベント・ナフサを10.3重量部に代えて使用した。
【0131】
これにより、第1表に示される著しく増加した固体画分が得られた。これらの結果として固体含有量が異なっていたこと、ならびに(例えば、ブロックドイソシアネート基の含有量などの)パラメータが異なっていたことを度外視しても、性能の観点から見れば、同様の傑出した物性が創り出された。
【0132】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が、ほぼ完全に又は完全に
(A)変性基であって、
−少なくとも1個の架橋性官能基(a)を介して表面に共有結合し、そして
−少なくも1個の不活性スペーサー基(b)を含有し、そして
−基(b)を介して基(a)に結合しており、変性される表面の反応性官能基に対して不活性である、少なくとも1個の反応性官能基(c)を含有する基、
(B)変性基であって、
−少なくとも1個の架橋性官能基(a)を介して表面に共有結合し、そして
−基(a)を介して表面に結合し、不活性スペーサー基(Ab)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有する、少なくとも1個の不活性基(d)を含有する基、
ならびに;
(C)変性基であって、
−少なくとも1個のケイ素原子を含有する、少なくとも1個の架橋性官能基(a)を介して表面に共有結合し、
−基(a)を介して表面に結合する、少なくとも1個の不活性基(e)を含有し、そして
−変性基(A)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有する基、
により被覆されている、表面変性型ナノ粒子。
【請求項2】
流体力学的な容量Vが、光子相関分光法を用いて測定され得るか、または方程式
=(rcont/2)
[式中、rcontは、分子の有効輪郭長を意味する]を用いて見積もることができる、請求項1に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項3】
変性される表面の反応性官能基がヒドロキシル基である、請求項1または2に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項4】
架橋性官能基(Aa)が、少なくとも1個のケイ素原子を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項5】
不活性スペーサー基(Ab)が、少なくとも二価の有機基Rである、請求項1から4までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項6】
反応性官能基(Ac)が、熱的におよび/または化学線を用いて活性化することが可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項7】
熱的に活性化することが可能な反応性官能基(Ac)がブロックドイソシアネート基であり、化学線を用いて活性化することが可能な反応性官能基(Ac)が、少なくとも1個の炭素−炭素多重結合を有する基からなる群から選択される、請求項6に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項8】
架橋性官能基(Ba)が、エーテル基、チオエーテル基、カルボン酸エステル基、チオカルボン酸エステル基、カーボネート基、チオカーボネート基、リン酸エステル基、チオリン酸エステル基、ホスホン酸エステル基、チオホスホン酸エステル基、ホスファイト基、チオホスファイト基、スルホン酸エステル基、アミド基、アミン基、チオアミド基、リン酸アミド基、チオリン酸アミド基、ホスホン酸アミド基、チオホスホン酸アミド基、スルホン酸アミド、イミド基、ヒドラジド基、ウレタン基、尿素基、チオ尿素基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホン基またはスルホキシド基からなる群から選択される、請求項1から7までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項9】
不活性基(Bd)および不活性基(Ce)が、一価の有機基Rである、請求項1から8までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項10】
一価の有機基Rが、脂肪族、脂環式、芳香族、脂肪族−脂環式、脂肪族−芳香族、脂環式−芳香族および脂肪族−脂環式−芳香族の基からなる群から選択される、請求項9に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項11】
不活性基(Ab)、(Bd)および(Ce)が、少なくとも二価の官能基を少なくとも1個、および/または置換基を少なくとも1個含有するものである、請求項1から10までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項12】
変性されるナノ粒子の表面の反応性官能基を、
(A)以下の
−変性される表面の反応性官能基に対して反応性を有する反応性官能基(a)を少なくとも1個、
−不活性スペーサー基(b)を少なくも1個、および
−基(b)を介して基(a)に結合しており、変性される表面の反応性官能基に対して不活性である反応性官能基(c)を少なくとも1個
を含有する少なくとも1種の変性剤、
(B)以下の
−変性される表面の反応性官能基に対して反応性を有する反応性官能基(a)を少なくとも1個、および
−不活性スペーサー基(Ab)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有する不活性基(d)を少なくとも1個
を含有する少なくとも1種の変性剤、ならびに;
(C)変性剤(A)に比べて少ない流体力学的な容量Vを有し、以下の
−少なくとも1個のケイ素原子を含有し、変性される表面の反応性官能基に対して反応性を有する反応性官能基(a)を少なくとも1個、および
−不活性基(e)を少なくとも1個
を含有する少なくとも1種の変性剤、
と反応させることにより製造することが可能な、請求項1から11までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項13】
変性剤(A)が、一般式II:
[(R(R3−oSi]R(Ac) (II)
[式中、指数および変数は以下によって定義付けられる:
mおよびnは、1〜6の整数であり;
oは、0、1または2であり;
Acは、前記の定義による、熱的および/または化学線を用いて活性化することが可能な基であり、;
Rは、前記の定義による、少なくとも二価の有機基であり、;
は、前記の定義による、一価の有機基であり、;
は、加水分解可能な原子または基である]のシランからなる群から選択される、請求項12に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項14】
加水分解可能な原子Rが、水素原子、フッ素原子、塩素原子および臭素原子からなる群から選択され、加水分解可能な基Rが、ヒドロキシル基および一価の有機基Rからなる群から選択される、請求項13に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項15】
一価の有機基Rが、一般式III:
−Y−R (III)
[式中、変数Yは酸素原子、あるいはカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミノ基−NH−または第2級アミノ基−NR−を表し、変数Rは前記の意味を有する]からなる群から選択される、請求項14に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項16】
一般式IIのシラン(A)が、
(1)ポリイソシアネートと、ブロック剤および一般式IV;
[(R(R3−oSi]RZ (IV)
[式中、変数Zはイソシアネート反応性官能基を表し、変数R、RおよびRは前記の意味を有する]のシランとの反応;あるいは、
(2)一般式V:
(Ac)R−Z (V)
[式中、指数nおよび変数Ac、RおよびZは前記の意味を有する]の化合物と、一般式VI;
[(R(R3−oSi]R−NCO (VI)
[式中、指数mおよび変数R、RおよびRは前記の意味を有する]のシランとの反応
により得られるものである、請求項13から15までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項17】
変性剤(B)が、一般式VII:
−OH (VII)
[式中、変数Rは前記の意味を有する]のヒドロキシル基含有化合物からなる群から選択される、請求項12から16までのいずれか1項記載の、表面変性型ナノ粒子。
【請求項18】
一般式VIIのヒドロキシル基含有化合物が、第一級脂肪族アルコールである、請求項17に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項19】
変性剤(C)が、一般式VIII:
(R4−pSi(R (VIII)
[式中、指数p=1、2、または3であり、変数RおよびRは前記の意味を有する]のシランからなる群から選択される、請求項12から18までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項20】
変性用ナノ粒子が、金属、金属化合物および有機化合物からなる群から選択される、請求項1〜19のいずれかに記載の、表面変性型ナノ粒子。
【請求項21】
金属が、元素の周期律表の第3〜5主族および第3〜6副族、ならびに第1および2副族、加えてランタノイド系から選択される、請求項20に記載の表面変性型ナノ粒子。
【請求項22】
金属化合物が、酸化物、オキシ水酸化物、硫酸塩、水酸化物またはリン酸塩である、請求項20または21に記載の、表面変性型ナノ粒子。
【請求項23】
請求項1から22までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子を製造する方法であって、変性されるナノ粒子を、第一段階において少なくとも1種の変性剤(A)と、また、第二段階において少なくとも1種の変性剤(B)と、第三段階において少なくとも1種の変性剤(C)と反応させるか、あるいは、第二段階において少なくとも1種の変性剤(C)と、第三段階において少なくとも1種の変性剤(B)と反応させるか、あるいは、第二段階において少なくとも1種の変性剤(B)および少なくとも1種の変性剤(C)と反応させることを特徴とする方法。
【請求項24】
変性されるナノ粒子の表面をほぼ完全にまたは完全に被覆するために十分な量の変性剤(A)、(B)および(C)を使用する、請求項23の方法。
【請求項25】
請求項13から22までのいずれか1項記載の変性型ナノ粒子を製造する方法であって、少なくとも1種の一般式IIの変性剤(A)および少なくとも1種の一般式VIIIの変性剤(C)を、同時に加水分解と縮合とを行ない、次に、得られた重縮合物を少なくとも1種の変性剤(B)と反応させることを特徴とする方法。
【請求項26】
非プロトン性溶剤および/または反応性希釈剤中に請求項1から22までのいずれか1項記載の表面変性型ナノ粒子および/または請求項23〜25のいずれかに記載の方法により製造された表面変性型ナノ粒子を含有する分散液。
【請求項27】
非プロトン性溶剤および/または反応性希釈剤が、変性剤(A)および(B)に関してフローリー・ハギンスパラメータ χ>0.5を有する、請求項26に記載の分散液。
【請求項28】
全量に対して固体含有量が少なくとも30重量%である、請求項26または27に記載の分散液。
【請求項29】
ポリマー性およびオリゴマー性バインダー、架橋剤、色付与および/または効果付与顔料、有機および無機の、透明あるいは乳白色の充填剤、本発明のナノ粒子とは異なるその他のナノ粒子、UV吸収体、光安定化剤、フリーラジカル捕捉剤、揮発成分除去剤、スリップ剤、重合阻害剤、光開始剤、フリーラジカルあるいはカチオン性の重合開始剤、消泡剤、乳化剤、湿潤剤及び分散剤、定着剤、均展剤、皮膜形成補助剤、垂み調節剤(SCA)、レオロジー調節添加剤(増粘剤)、難燃剤、乾燥剤、ドライヤー、皮張り防止剤、侵食防止剤、ワックスならびにつや消し剤からなる群から選択される、少なくとも1種の添加剤を含有する、請求項28に記載の分散液。
【請求項30】
請求項1〜22のいずれかに記載の表面変性型ナノ粒子、請求項23〜25のいずれかに記載の方法により製造された表面変性型ナノ粒子、または請求項26〜29のいずれかに記載の分散液の、被覆材料、接着剤、シーラント、産業用プラスチックを基礎とする化合物及び硬化性材料の製造のための使用。

【公表番号】特表2006−502949(P2006−502949A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544064(P2004−544064)
【出願日】平成15年10月2日(2003.10.2)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010922
【国際公開番号】WO2004/035649
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【Fターム(参考)】