説明

ナノ粒子の堆積

本発明は、液体キャリアからの、基板上への細長いナノ粒子の堆積のためのプロセス、およびこのプロセスによって調製された電子デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に、液体キャリアから細長いナノ粒子を堆積(deposit)するためのプロセス、およびこのプロセスによって調製された電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
単一ナノワイヤに基づくトランジスタは、非常に高い移動度および高いオン‐オフ比を有する[Xiang et al., Nature, 441( 2006), 489-493 ]。ナノワイヤ(「NW」)またはナノチューブのような、導電性または半導電性ナノ粒子の、ナノスケールデバイスおよび回路への作り込み(assembly)は、ナノエレクトロニクスおよびフォトニクスにおける様々な用途を可能とする。個々の半導電性ナノワイヤは、既に、電界効果トランジスタ(FET)[Xiang et al., Nature, 441 (2006), 489-493]、メモリデバイス[Lee et al., Nature Nanotechnology, 2 (2007), 626-630]、光検知器および太陽電池[Tian et al., Nature, 449 (2007), 885-889; Hayden et al., Nature Materials, 5 (2006), 352-356]として、構成されている。
【0003】
先行技術は、ボトムアップ法、すなわち、ナノワイヤを基板上に成長させ、そこに維持する、に基づいた、ナノワイヤデバイスを作成する方法も記載している。しかしながら、かかる方法は、時間がかかり、大量生産において使用するためには高価すぎ、また、コントロールが難しい。一方、ナノワイヤの大量生産のための方法も報告されたので[Wan et al., Applied Physics Letters, 84(1) (2004),124-126]、かかる方法によって調製されたナノワイヤを、それらの最終目的の基板に、堆積する技術(トップダウン法)が必要である。後者の方法の有利な点は、顕著に安価であることである。
【0004】
電気および磁気誘導整列、フロー整列およびブレードコーティングなどのいくつかのナノワイヤ堆積方法が開発されている。これらの全ての整列プロセスは、ナノワイヤが分散した溶媒を伴う。ナノワイヤが整列しているか否かにかかわりなく、乾燥プロセスの間、ナノワイヤ同士が凝集(aggregate)する傾向にあり、分布および整列の試みは歪められるか、完全に消滅する。ナノワイヤは比較的固く、これはナノワイヤの基板への接着をとても弱くする。ナノワイヤが溶液から基板へ堆積した後、溶液は蒸発し、濃度が高まる。さらに、ナノワイヤは溶媒と共に動き、いわゆる「コーヒー染み(coffee stain)」効果をもたらす。これは2つの異なるスケールで見受けられる:大きなスケール(mm〜cm)において(小滴の角における蓄積のような)、および小さなスケールにおいてである。小さなスケールにおいて、長いナノワイヤは、多くの短いナノワイヤおよびナノ粒子と共に集合(clump together)し、染み(spot)を生む。
【0005】
凝集したナノワイヤは、ナノワイヤトランジスタに不都合である。例えば、集合体(clump)の下方のワイヤは、ナノワイヤが誘電体層に付着することを妨げる。さらに、これらは電場を遮る。したがって、ゲート電極により導入された電場は、より弱い効果を有し、よって強く減ぜられたデバイス性能を示す。実際、集合体形成は、トランジスタのオン/オフ比の大きな降下をもたらし得る。集合体を伴うナノワイヤトランジスタは、通常、およそ10またはそれ以下のオン/オフ比を有する。
【0006】
集合体を取り除くことは非常に重要である。本発明の一つの目的は、基板の表面に、集合体を形成することなく、ナノワイヤを堆積するための方法を見出すことであった。
【0007】
先行技術において、ナノワイヤまたはナノ粒子を基板上に整列させ堆積するために、液体フロー(US 20030186522)およびソフトプリント(WO 2005/017962)を使用した方法が記載されているが、これらは本明細書に記載のアプローチとは異なる。
【0008】
さらに、使用されたナノワイヤは、いくらかの短いナノワイヤおよびナノ粒子も含有し得る。これらのより小さい粒子は、より長いナノワイヤよりも早く動き、容易に凝集体(aggregate)を形成する。かかる凝集は、ナノワイヤトランジスタの性能を著しく減少させる。
【発明の概要】
【0009】
したがって、トランジスタのような電子デバイス、ならびに他のナノパーティクルベースの電子機器、例えばダイオード(LED、フォトダイオード)、センサーおよび太陽電池など、の組み立てにおいて、特にかかるデバイスの大量生産のために、使用することができ、上述の、先行技術において開示された方法の欠点を有さない、改良された、単純で効果的な、細長いナノ粒子の堆積のためのプロセスへの需要がいまだ存在する。本発明の一つの目標は、かかる改良された堆積プロセスを提供することである。本発明の他の目的は、かかるプロセスによって得られる、改良された電子デバイス、特にトランジスタおよび太陽電池を提供することである。本発明の他の目的は、以下の詳細な説明から、当業者に直ちに明確となる。
【0010】
本発明において請求されたプロセスを提供することにより、これらの目標を達成することができることが見出された。
【0011】
本明細書において、本出願人は、細長いナノ粒子のための単純な堆積技術を示すが、ここで、ナノ粒子は堆積の直後に基板上に固定化する。後の乾燥プロセスは、これらの位置をそれ以上変えない。この方法は、凝集や集合体を形成することなく、基板上に不規則に分布したナノ粒子を製造するために非常に有用である。当該方法は、余分な溶媒のほとんどを動かしてなくす(roll away)ことにより、整列を妨げることなく、整列したナノ粒子の薄いフィルムを乾燥するためにも有用である。当該方法を、「ロール鋳造法」と称する。
【0012】
本発明は、基板を、細長いナノ粒子を含む液体キャリアで濡らすこと、および、かかる液体キャリアで濡れた基板上で円筒ローラーを転がすことを含む、基板上に、細長いナノ粒子を堆積するためのプロセスに関する。
【0013】
好ましくは堆積したナノ粒子および残った液体キャリアを第3ステップにおいて乾燥する。通常、液体キャリアの揮発性部は、蒸発する。代替的にまたは追加で、乾燥は、液体モノマーのポリマー化を含む。乾燥の効果は、堆積したナノ粒子がさらに基板に固定化されることである。
【0014】
ロール鋳造法は、現実には、基板上の集合体形成を防止する理想的な方法である。ロール鋳造プロセスにおいて、ローラーは、堆積の直後に、ナノワイヤの分散を掻き出し、これは、ナノワイヤを持ち上げること、または移転させることが不可能である、非常に薄い液体層をもたらす。ワイヤは、理想的で、不規則な配置で固定化される。
【0015】
図1は、ロール鋳造法を使用することにより、溶液から堆積した、ナノワイヤトランジスタ(20μmソースおよびドレインチャネル)の伝達曲線を示す。6*10のオン/オフ比は非常に高い。ここで、ロール鋳造法が、分散体において、より短いナノワイヤおよびナノ粒子の集合体を生じない、ナノワイヤを堆積する理想的な方法であることが示された。
【0016】
ロール鋳造法は、表面上の離散位置において、ナノ粒子の凝集を引き起こさずに、基板上にナノ粒子を不規則に分配することができる方法として認識することができる。
【0017】
この方法は、材料が、ローラーから基板へと移動するものである、グラビア印刷とは異なり、あるいはその反対で;バーコーティングおよびブレードコーティングに似た手法である。しかしながら、これらのケースにおいて、バー(バーコーティング)またはブレード(ブレードコーティング)と、基板との間のギャップは固定されている。ロール鋳造においては、ローラーは、基板上の細長いナノ粒子にそっと接触し、操作の間ダメージを生じないか、または少しのダメージを生じる。ローラーと基板の距離は、ナノ粒子フィルムの厚みによって決定され、これは、残っている溶液の厚みが、ナノ粒子の厚みによって限定されることを保証する。軽い重さのローラーは、ナノ粒子へのダメージを限定する。
【0018】
この方法およびその原理は、ナノワイヤ整列を完成するための整列技術および堆積プロセスと組み合わせて使用することができる。本発明は、ナノワイヤの蓄積、以下「集合体」という、がない、ナノワイヤフィルムを堆積するための方法を実証する。この方法を使用することにより、均一で、不規則に分布したNWを基板上に堆積することができる。この方法は、非常に迅速で、再現性がある。
【0019】
したがって、本発明にしたがったプロセスは、細長いナノ粒子の迅速な特性化にとって、および大量生産にとって、理想的である。再現性のあるデバイス組み立てにおいて、強い改善を示し、したがって、デバイス組み立ておよび材料評価のための理想的な候補である。6*10の高いオン/オフ比を有する、ナノワイヤトランジスタを、この方法を使用して製造した。
【0020】
好ましくは、ロール鋳造法を円筒形のローラーで行い、ここで、移動する部位は、好ましくは、長円柱軸にそって回転してもよい。ローラーの材料は、ローラーのナノ粒子または溶媒との相互作用を防止するために、好ましくは化学的に不活性である。ナノ粒子の付着を最小限に抑えるために、ローラーの表面は、好ましくはコーティングまたは化学的に処理されている。従来のナノ粒子について、通常ローラーの表面が疎水性になっている場合に、最良の結果が得られる。
【0021】
好ましくは、ローラーと基板の間の、一定で、小さな圧力での、連続した接触を確保するために、ローラーを柔らかいポリマーで覆う。最も好ましくは、ローラーの柔らかいカバーを、疎水性ポリマーで構成する。ポリマーコートは2つの機能を有している:第1に、ナノワイヤ上をころがしたときに、ナノワイヤにより少ないダメージを生じる、柔らかい表面を有している;第2に、その疎水性表面は、ロール鋳造プロセスの間、ナノワイヤがこれに付着することを防ぐ。柔らかいポリマーは、好ましくは、使用さられるナノ粒子をはじく種類、例えばフッ素化ポリマーである。
【0022】
好ましくは、1または2以上のデバイス構造、好ましくは少なくとも1つの作用電極(ソース/ドレイン、ゲート電極)と接するように、ナノ粒子を配置する。
【0023】
ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノロッド、ナノリボン、ナノウィスカーなどの顕著に細長い形状、またはナノディスクのようなプレートレット形状を有する場合に、ナノ粒子の堆積のために有利である。本発明の好ましい側面において、特に半導電性ナノワイヤである、細長いナノ粒子でプロセスを行う。
【0024】
本発明はさらに、本発明にしたがったプロセスによって堆積した他の粒子の、電子、電気光学、光起電、エレクトロルミネセントまたは光学デバイスにおける、電荷輸送、導電性または半導電性構成要素としての使用に関する。
【0025】
本発明はさらに、以下の工程を含む、電子、電気光学、光起電、エレクトロルミネセントまたは光学デバイス、好ましくは電子デバイスを調製する方法に関する:
a)作用電極、好ましくはソースおよびドレイン電極を、基板上または誘電体層上に適用すること、
b)流体に分散した、細長く、好ましくは半導電性のナノ粒子の層を、基板または誘電体層上よび作用電極に堆積すること、
c)基板または誘電体層が、ナノ粒子を有するかかる流体で濡れている間に、基板または誘電体層の上で円筒ローラーを転がし、ナノ粒子層から流体を除去するか、またはあらゆるモノマーをポリマー化すること、
d)任意に、ナノ粒子層上に、さらなる機能層を提供すること、
ここで、異なる順序で工程を行うことも可能である。
好ましくは、工程はこの与えられた順序で行われる。
【0026】
本発明はさらに、上記および下記のプロセスによって堆積したナノ粒子を含むデバイスに関する。
本発明はさらに、本発明にしたがったプロセスによって調製された、細長いナノ粒子を含む半導電性層に関する。
【0027】
本発明はさらに、ナノ粒子が作用電極に接続している、堆積したナノワイヤおよび作用電極を含む、電子、電気光学、光起電、エレクトロルミネセントまたは光学デバイスに関する。作用電極は好ましくは、基板上に、より好ましくは、平らな基板上に配置される。
【0028】
本発明にしたがったデバイスは、好ましくは複数のナノ粒子を含む。専用の位置に単一または限られた数のナノ粒子を配置するために特に有益である、他の方法と比較して、本発明にしたがったプロセスは、複数のナノ粒子の堆積に、特に有益である。
【0029】
デバイスは、好ましくは
− 基板、
− ゲート電極、
− 誘電体層、
− ソースおよびドレイン電極、
− 上記および下記のプロセスによって、堆積したナノ粒子を含む半導電性層、
を含む電界効果トランジスタFETを含む。
通常、半導電性層は、ソースおよびドレイン電極を接続している。
【0030】
電子、電気光学、光起電エレクトロルミネセントまたは光学デバイスは、限定することなく、(有機)電界効果トランジスタ((O)FET)、集積回路(IC)、(有機)薄膜トランジスタ((O)TFT)、無線自動識別タグ(RFID)、(有機)発光ダイオード((O)LED)、(有機)発光トランジスタ((O)LET)、エレクトロルミネセントディスプレイ、(有機)光起電力((O)PV)電池、(有機)太陽電池((O-)SC)、フレキシブル(O)PVおよび(O−)SC、(有機)レーザーダイオード((O)−レーザー)、(有機)集積回路((O−)IC)、照明デバイス、センサーデバイス、電極材料、光伝導電性、光検知器、電子写真記録デバイス、キャパシタ、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電フィルム、導電性基板、導電性パターン、光伝導電体、電子写真デバイス、有機メモリデバイス、バイオセンサ、バイオチップ、光学偏光板、光学位相差板、および光学補償板を含む。
【0031】
用語の定義
用語「ナノ粒子」(本文献において「ナノ材料」とも称する)は、例えば、その開示全体を本出願に参照とし組み込む、US 7,344,961において定義されるように、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノウィスカー、ナノチューブ、ナノディスク、ナノテトラポッド、ナノリボンおよび/またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0032】
用語「細長い」は、長い方の直径と、短い方の直径との縦横比が、5以上、好ましくは10以上、更に好ましくは20以上、最も好ましくは100以上のである粒子を特に表す。
用語「II族」、「IV族」等は、元素周期表を参照する。
【0033】
用語「ナノワイヤ」または「NW」は、少なくとも1つの断面の寸法が、<500nm、好ましくは<100nmであり、>10、好ましくは>50、さらに好ましくは>100の縦横比(長さ:幅)を有するものを含む、あらゆる細長い、好ましくは導電性または半導電性の、粒子または材料を意味する。ナノワイヤは、変化する直径または実質的に均一な直径を有することができる。典型的に、直径は、ナノワイヤの端から離れて(例えば、ナノワイヤの中心20%、50%、または80%を)評価する。ナノワイヤは、その長軸全体にわたって、または部分的に、真っすぐであり得、または湾曲しているかまたは曲がっていてもよい。本発明のために、真っすぐなナノワイヤが、曲がっているものよりも好ましく、さらに曲がっているものはコイル状のものよりも好ましい。本発明にしたがったナノワイヤは、カーボンナノチューブを明示的に除くことができ、特定の態様において、最も短い直径が、150nmよりも大きい、細長い粒子を除く。
【0034】
用語「作用電極」は、ナノ粒子の堆積位置の近隣に、または直接的に配置される、あらゆるデバイスの電極(単数または複数)を表す。ある好ましい態様において、作用電極は、例えば、トランジスタ様のデバイスの、ソース電極および/またはドレイン電極である。
【0035】
本発明において使用されるナノ粒子は、好ましくは異方性形状を有している、すなわち、これらは、例えば、ナノワイヤまたはナノチューブのように、異なる長さおよび幅/直径を有している。ナノワイヤの直径または幅は、典型的には、数ナノメートルから、数百ナノメートル、好ましくは5〜100nmの範囲である。ナノ粒子の長さは、典型的には、500nm以上、好ましくは1〜100マイクロメートル(μm)である。縦横比(長さ:幅)は、好ましくは5〜1000である。この異方性形状は、ナノ粒子を、本発明の方法により基板上への堆積により順応させ、堆積層に興味深い機能性を加える。ナノワイヤおよびナノチューブが特に好ましい。特に好ましいのは、半導電性ナノワイヤである。
【0036】
本発明のために好ましく使用されるナノ粒子は、材料特性において、実質的に均質であり、またはある態様においては、(例えばナノワイヤヘテロ構造の様に)異質であり得る。これらは、あらゆる従来の材料(単数)または材料(複数)から組み立てることができ、例えば、実質的に結晶、実質的に単結晶、多結晶、アモルファスまたはこれらの組み合わせである。
好ましくは、流体に容易に分散するナノ粒子を、本発明のために使用する。
【0037】
一般的に、幅広い様々な材料をナノ粒子として使用することができ、IV族半導体、III〜V族半導体、II〜VI族半導体、遷移金属または合金または上記の混合物からなる群から選択される半導電性材料を含むがこれらに限定されない。特に好ましいIV族半導体は、Si、Ge、Snおよびこれらの合金である。さらに好ましいのは、III〜V族半導体の他のIII族および/またはV族元素との合金、およびII〜VI族半導体と他のII族および/またはVI族元素との合金である。これらのクラスのナノ材料は、本発明のプロセスと非常に上手く働く。
【0038】
適した好ましい半導電性材料は、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、B-C、B-P(BP6)、B-Si、Si-C、Si-Ge、Si-SnおよびGe-Sn、SiC、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN2、CaCN2、ZnGeP2、CdSnAs2、ZnSnSb2、CuGeP3、CuSi2P3、(Cu、Ag)(Al、Ga、In、Ti、Fe)(S、Se、Te)2、Si3N4、Ge3N4、Al2O3、(Al、Ga、In)2 (S、Se、Te)3、Al2CO、および上記材料の2または3以上の適した組み合わせ、を含むがこれらに限定されない。
【0039】
ナノ粒子は、Au、Ag、Ni、Pd、Ir、Co、Cr、Al、Ti、Fe、Snなどの金属、金属合金など、(半−)導電性ポリマーを含むポリマー、セラミック、および/またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、他の材料からなることも、または含むこともできる。他の導電性または半導電性材料を用いることもできる。
【0040】
ナノ粒子を、p−型またはn−型半導体に堆積することもできる。例えば、III族元素、特にB、AlまたはInから選択されるp型ドーパント、V族元素、特にP、AsおよびSbから選択されるn型ドーパント、II族元素、特にMg、Zn、CdおよびHgから選択されるp型ドーパント、IV族元素、特にCおよびSiから選択されるp型ドーパント、またはSi、Ge、Sn、S、SeおよびTeからなる群から選択されるn型ドーパントからなる群から選択されるドーパントを含有することができる。他の既知のドーパント材料を用いることもできる。
【0041】
ナノ粒子は、実質的に、1つの材料からなることもできるが、例えば、コアと、それを包囲するシェルが異なる材料または異なる材料組成物からなる、コア/シェル構造を有することもできる。例えば、コア/シェルナノ粒子は、例えばC、Si、GeおよびSnからなる群から独立して選択される、IV族元素を含む、ナノ粒子コアおよびナノ粒子シェルからなり得る。シェルは、絶縁材料、例えば、IV族原子の酸化物からなることも、含むこともできる。
【0042】
有機単層は、頻繁に、ナノ粒子/ナノワイヤ上に堆積する。
この層は、いくつかの役割を果たし得る:
‐ ナノ粒子が、溶媒により良く分散する。
‐ ナノ粒子の酸化からの保護。
‐ ナノ粒子の仕事関数の改変。
‐ ナノ粒子が、本発明のプロセスと上手く働く。
【0043】
有機単層は、上記の機能にしたがって、J. Am. Chem. Soc (2004), 126(47), 15466に記載されるように、例えば、アルキル、アルカンチオールタイプ等、多くのタイプであり得る。
ナノワイヤまたはナノリボンは、カーボンナノチューブ、または導電性または半導電性有機材料、例えばペンタセン、有機ポリマー、または遷移金属酸化物から形成されたナノチューブを含むこともできる。
【0044】
ナノ粒子を、様々な異なる方法により製造することができる。例えば、ナノワイヤを、vapor-liquid-solid(VLS)技術を使用して成長させることができる。例えば量子ドットの様な球状無機ナノ粒子、ならびに、例えば、ナノロッドおよびナノテトラポッドの様な、細長いナノ粒子を製造するために、溶媒ベースの界面活性剤媒介結晶成長が記載されている。気相法を含む、他の方法もナノ粒子の製造に用いられている。例えば、シリコンナノ結晶が、シランガスのレーザー熱分解によって製造されることが報告されている。
【0045】
ナノワイヤを調製するための好適な方法は、金属ハロゲン化物、または上述の元素の有機金属化合物の様な、好適な前駆体材料、から成長した溶液を使用する。これは、例えば、有機溶媒を含むナノワイヤ成長溶液において、好適な温度において、ナノワイヤ前駆体を、金属ナノ結晶に被ばくさせることにより達成することができる。高められた温度において、前駆体は、分解し、所望のナノ材料を形成する。金属ナノ結晶は、半導体ナノワイヤの細長い成長を触媒する、シード粒子として働く。金コロイドの様な、好ましい金属ナノ結晶は、従来技術から知られている。
【0046】
ナノ粒子のための好適な材料および形状、ならびにそれらの調製方法は一般的に当業者に知られており、または、文献に、例えば、上述の文書において、またはUS 2005/0029678 A1、A.T. Heitsch, D.D. Fanfair, H.-Y. Tuan & B.A. Korgel, J. Am. Chem. Soc. (2008), 130, 5346-7、T. Hanrath, B.A. Korgel, J. Am. Chem. Soc. 126 (2004), 15466-72、D. Fanfair et al. Crystal Growth & Design 5 (2005), 1971-6、A.M. Morales et al. Science (1998), 279, 208-11、WO 02/17362、WO 01/03208、およびUS 7,344,961 B2ならびにこれらにおいて引用された文献において記載されている。上述の文書の、ナノ粒子の製造に関する開示全体を、参照として本出願に組み込む。
【0047】
液体堆積技術によって適用されるために、ナノ粒子は、まず好適な流体または溶媒に分散させる。ナノ粒子はしっかりと分散させるべきである。流体の媒体は、溶媒または溶媒混合物、好ましくは有機溶媒タイプであることができる。好ましい溶媒は、通常NWの表面の特性に依存する。不動態化されていないNWのためには、表面が酸化された場合、アルコールタイプの溶媒がよく使用される。表面が不動態化されたNWのためには、多くの使用することのできる有溶媒が存在する。
【0048】
好ましい流体および溶媒は、ナノ粒子を封入するために使用する単層のタイプに依存する。ほとんどのアルキルまたはアルケンタイプの単層には、クロロホルム、ジクロロベンゼンの様な、中位(medium)極性ハロゲン化溶媒が良好な溶媒である。好ましい流体は、一般的に、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ブタノンまたはアニソールを含む。高い双極子モーメントを有する溶媒が好ましく、特に、1.5D(デバイ)以上の永続的な双極子モーメントを有するものが好ましい。
【0049】
溶媒は、例えば、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水性化剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、反応性または非反応性補助剤であり得る希釈剤、着色剤、染料または顔料、感光薬、安定剤、他のナノ粒子または阻害剤の様な、1または2以上のさらなる構成要素を追加で含むことができる。
好ましくは、ナノ粒子は不動態化される。不動態層は、共有的にまたは物理的に結合した、アルケン、イソプレン、またはチオールを含んでもよく、好ましくはこれらからなる。好ましくは、不動態化剤は、アルキル基またはチオエーテルにそれぞれ変換することにより、ナノ粒子の表面に共有的に結合する。
【0050】
ナノ粒子の堆積の後、溶媒を、通常、例えば、常温および常圧において、蒸発させることにより、除去する。熱および/または減圧をかけ、蒸発を促進することも可能である。
堆積したナノ粒子の層を、次いで、デバイスの他の機能性層で、または1または2以上の保護層で、例えば、トップゲートトランジスタのために、上に堆積したポリマー誘電体層を、またはナノ粒子の酸素ダメージを避けるためにポリマー保護層を、覆うことができる。
【0051】
本発明のプロセスにより堆積したナノ粒子は、電子、電気光学、エレクトロルミネセント、光起電光輝性または光学構成要素またはデバイスにおける、電荷輸送、半導電性、電気導電性、光伝導性または発光材料として有用である。
【0052】
好ましいデバイスは、FET、TFT、IC、論理回路、キャパシタ、RFIDタグ、LED、LET、PV、太陽電池、レーザーダイオード、光伝導電体、光検知器、電子写真デバイス、電子写真記録デバイス、有機メモリデバイス、センサーデバイス、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、帯電防止フィルム、導電性基板および導電性パターンである。これらのデバイスにおいて、本発明の整列したナノ粒子は、典型的に薄層またはフィルムとして適用される。特に好ましいのはFETおよびTFTである。
【0053】
好ましい電子デバイスは、以下の構成要素を含む:
‐ 任意で、基板、
‐ 1または2以上の導体、好ましくは電極、
‐ 誘電体を含む絶縁層、
‐ 本発明にしたがって堆積したナノ粒子を含む、好ましくは半導電性の層。
【0054】
本発明の第1の好ましい態様は、下記の順番で以下の構成要素を含む、ボトムゲート(BG)FETデバイスに関する:
‐ 任意で、基板、
‐ ゲート電極、
‐ 誘電体を含む絶縁層、
‐ ソースおよびドレイン電極、および
‐ 本発明にしたがって堆積したナノ粒子を含む、半導電性層。
【0055】
このBGトランジスタデバイスを調製するためのプロセスは、好ましくは、
‐ ゲート電極を基板上に適用すること、
‐ 誘電体層をゲート電極および基板の上部に適用すること、
‐ ソースおよびドレイン電極を誘電体層の上部に適用すること、
‐ 液体キャリアに分散した半導電性ナノ粒子の層を、誘電体層およびソースおよびドレイン電極上に堆積させること、
‐ 誘電体層が、かかる液体キャリアで濡れている間に、誘電体層上に円筒ローラーを転がすこと、
‐ ナノ粒子層から流体を除去すること、
‐ 任意で、1または2以上の更なる層をナノ粒子層上に提供すること、
の工程を含む。
【0056】
第2の好ましい態様は、下記の順序で以下の構成要素を含む、トップゲート(TG)FETデバイスに関する:
‐ 基板、
‐ ソースおよびドレイン電極、
‐ ロール鋳造したナノ粒子を含む半導電性層、
‐ 誘電体を含む絶縁層、および
‐ ゲート電極。
【0057】
このTGトランジスタデバイスを調製するためのプロセスは、好ましくは、
‐ ソースおよびドレイン電極を基板上に適用すること、
‐ 液体キャリアに分散した半導電性ナノ粒子の層を、誘電体層およびソースおよびドレイン電極上に堆積させること、
‐ 誘電体層が、かかる液体キャリアで濡れている間に、誘電体層上に円筒ローラーを転がすこと、
‐ ナノ粒子層から流体を除去すること、
‐ ナノ粒子層の上部に、誘電体層を適用すること、および
‐ 誘電体層の上部に、ゲート電極を適用すること、
の工程を含む。
【0058】
これらのデバイス構造およびプロセスの変形は、当該技術分野において知られた従来の方法および材料を使用して、例えば、トップコンタクト(TG)またはボトムコンタクト(BC)トランジスタデバイスを提供するために、当業者によって容易に行うことができる。
【0059】
FETデバイスにおける、ゲート、ソースおよびドレイン電極ならびに絶縁および半導電性層は、いかなる順序で配置してもよく、ただし、ソースおよびドレイン電極は、絶縁層によって、ゲート電極から離れており、ゲート電極および半導体層は両方とも絶縁層に接触しており、ソース電極およびドレイン電極は両方とも半導電性層に接触している。
【0060】
より一般的な手法において、電子デバイス、好ましくは半透明電子デバイスを調製するプロセスは、以下のとおりである:
a)作用電極、好ましくはソースおよびドレイン電極を、基板上または誘電体層上に適用すること、
b)液体キャリアに分散した、好ましくは半導電性のナノ粒子の層を、基板または誘電体層およびソースおよびドレイン電極上に堆積し、基板がかかる液体キャリアで濡れている間に、基板上に円筒ローラーを転がすこと、
c)任意に、ナノ粒子層から流体を除去すること、
d)任意に、ナノ粒子層上に1または2以上のさらなる機能性層を提供すること。
【0061】
当該デバイスの他の構成要素および適した材料およびこれらの調製方法は、当業者に知られており、文献、例えばUS 7,029,945において記載されている。
【0062】
例えば、ガラスまたはプラスチックの様な、様々な基板をOEデバイスの組み立てに使用してもよい。プラスチック材料が一般的に好ましく、例として、アルキド樹脂、アルキルエステル、ベンゾシクロブテン、ブタジエン‐スチレン、セルロース、セルロースアセテート、エポキシド、エポキシポリマー、エチレン‐クロロトリフルオロエチレン、エチレン‐テトラ‐フルオロエチレン、ガラス繊維強化プラスチック、フルオロカーボンポリマー、ヘキサフルオロプロピレンビニリデン‐フルオリドコポリマー、高密度ポリエチレン、パリレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリビニルクロライド、シリコーンラバー、シリコーンが挙げられる。
【0063】
好ましい基板材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、およびポリエチレンナフタレートである。基板は、上記材料で被覆された、あらゆるプラスチック材料、金属またはガラスも含んでもよい。基板は、良好なパターン記述を確保するために、好ましくは均質であるべきである。キャリア移動度を確保するために、細長いナノ粒子の配向性を誘導するために、押出しすること、引き伸ばすこと、ラビングすることによって、または光化学技術によって、基板を前もって均一に整列させてもよい。
【0064】
ソース、ドレインおよびゲート電極は、スプレー‐、ディップ‐、ウェブ‐またはスピン‐コーティングなどの液体コーティングによって、または真空堆積法または蒸気堆積法によって、または導電性ナノ粒子を使用した本発明にしたがってプロセスによって、堆積することができる。好ましい電極材料および堆積方法は、当業者に知られている。好ましい電極材料は、無機または有機材料、またはこの2つの複合材料を含むが、これらに限定されない。好ましい導体または電極材料のための例として、ポリアニリン、ポリピロール、PEDOTまたはドープされた共役ポリマー、さらにグラファイトの分散体またはペースト、カーボンナノチューブまたはグラフェンフレークまたはAu、Ag、Cu、Al、Niまたはこれらの混合物などの金属粒子、ならびにスパッタコートされたか、または蒸発させた、例えばCu、Cr、Pt/Pdなどの金属、および例えばITOなどの半導体が挙げられる。有機金属前駆体も、液体相から堆積させて使用してもよい。
【0065】
本発明にしたがったPVデバイスは、好ましくは:
‐ 低仕事関数電極(例えばアルミニウム)、
‐ 高仕事関数電極(例えばITO)、うち1つが透明である、
‐ ホール輸送および電子輸送材料およびこれらの混合物からなる単一の混合層または二重層;二重層は2つのはっきりと異なる層として、または混合した混合物として存在することができる(例えばCoakley, K.M. and McGehee, M.D. Chem. Mater. (2004), 16, 4533参照)
‐ ホールのための抵抗接点を提供するために、高仕事関数電極の仕事関数を改変するための、任意の導電性ポリマー層(例えばPEDOT:PSS等)
‐ 電極のための抵抗接点を提供するための、高仕事関数電極上の任意のコーティング(LiFなど)、
を含み、
ここで、ホールおよび/または電子輸送材料は、本発明にしたがってロール鋳造されたナノ粒子を含む。
【0066】
代替的に、本発明にしたがって堆積したナノ粒子は、有機発光デバイスまたはダイオード(LED)として、例えば、ディスプレイ用途において、または液晶ディスプレイなどのバックライトとして、使用することもできる。通常、LEDは、多層構造を使用して実現される。発光層は一般的に1または2以上の電子輸送および/またはホール輸送層で挟まれる。電圧をかけることにより、電子およびホールは電荷キャリアとして、発光層に向かって移動し、ここで、これらの再結合が励起をもたらし、そして発光層において含まれる発光団ユニットの発光をもたらす。ナノ粒子を、1または2以上の電荷輸送層において、および/またはLEDデバイスの発光層において、電気および/または光学特性に対応して、用いることができる。例えば、US 6,918,946またはUS 6,846,565に記載されるように、エレクトロルミネセントナノワイヤを、発光層として、LEDデバイスにおいて使用することができる。
【0067】
導電性材料を含むナノ粒子を、LED用途における固形材料、電荷注入層およびITO平坦化層、印刷回路板およびコンデンサなどの電子用途における固形材料、およびフラットパネルディスプレーおよびタッチスクリーン用フィルム、帯電フィルム、印刷導電性基板、パターンまたはトラクトを含むが、これらに限定されない、用途における固形材料の代替として、使用することもできる。
【0068】
本明細書の記載および請求の範囲を通して、単語「含む(comprise)」および「含有する(contain)」およびこの単語の変形、例えば「comprising」および「comprises」は、「含むが、限定されない」ことを意味し、他の構成要素を除くことを意図するものでも、除くものでもない。記載が明確に示さない限り、本明細書において、用語の複数形は単数形を含むと解釈され、その逆もそうである。
【0069】
本発明の上記態様の変形を、本発明の範囲内で作ることが可能であることは理解されるべきである。本明細書において記載された夫々の特徴は、明記されない限り、同一、同等または同類の目的を果たす、代替えの特徴によって置き換えられ得る。したがって、明記されない限り、記載されたそれぞれの特徴は、同等または同類の特徴の一般系の単なる一例である。
【0070】
本明細書および請求の範囲において記載された特徴の全ては、あらゆる組み合わせで組み合わせてもよく、ただし、少なくともある特徴および/または工程が互いに排他的であるような組み合わせは除く。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての側面に適用可能であり、あらゆる組み合わせにおいて使用され得る。同様に、非必須の組み合わせにおいて記載された特徴は、個別に(組み合わせることなく)使用することができる。
【0071】
本発明の態様の更なる組み合わせおよび本発明の変形は、請求の範囲によって記載もされる。
本発明をより詳細に、以下の例を参照して記載するが、これは単に例示的であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0072】
略語
NW/NWs ナノワイヤ(単数)/ナノワイヤ(複数)
Au/Ge/Si/Al 金/ゲルマニウム/シリコン/アルミニウム
(BG)FET (ボトムゲート)電界効果トランジスタ
OE 有機電子
PV 光起電
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、ロール鋳造法を使用して堆積したNWトランジスタの伝達曲線を示す。
【0074】
実験
本出願の例において使用されたナノワイヤは、A.T. Heitsch et al. in J. Am. Chem. Soc. (2008) 130, 5436-7によって例示されるように、solid-liquid-solid (SLS)成長によって製造された。本発明の例は、しかしながら、上記およびAdv. Mater. (2004) 7, 646-649、J. Am. Chem. Soc. (2002) 124(7), 1424-1429、およびChem. Mater. (2005) 17, 5705-5711の文献のいずれかにおいて記載されるように、SLSアプローチによって製造されるナノワイヤに限定されない。また、ナノワイヤの蒸気ベースの成長法も適用可能である。
【0075】
使用されるナノ粒子は、イソプレンで不動態化されたゲルマニウムナノワイヤである。不動態化分子は、ナノワイヤが、有機溶媒に容易に懸濁することを助け、ゲルマニウムの酸化を防ぐ保護層としても働く。
ジクロロベンゼンなどの有機溶媒に、ナノワイヤを分散させ、ナノワイヤは非常によく分散した。ナノワイヤの濃度は0.5mg/ml溶媒であった。適用前に、溶媒において、ナノワイヤを均一に分散させるために超音波処理を使用した。
【0076】
ナノワイヤトランジスタ特性化のために使用した基板は、シリコンウエハ上のゲート基板であり、ここで、ドープしたシリコンを、上部に誘電性層として230mnのSiO2を有するグローバルゲート電極として使用した。パターン化したAuソースおよびドレイン電極を、誘電体層の上部に堆積し、Auの接着層としてITOを使用する。ソースおよびドレインチャネルは指の構造を有する20μmである。
【0077】
ナノワイヤ堆積の前に、フォトレジストを除去するために、アセトンを使用して基板を洗浄する。アセトンおよびイソプロパノールを更なる洗浄のために使用し、最後に10分オゾン洗浄プロセスを使用する。最終工程は、表面上の有機化合物残渣を除去することを助け、OH結合を作ることにより、表面を親水性にする。
【0078】
トランジスタの伝達曲線を、パーソナルコンピューターからコントロールされた、Agilent? 4155Cセミコンダクタパラメータアナライザを使用して、測定する。ナノワイヤ堆積のために使用される方法は、本明細書において、「ロール鋳造法」と称する。かかる方法の利点を示すために、従来のドロップ鋳造法も示す。
【0079】
1)比較例:ドロップ鋳造法
ドロップ鋳造法は、ナノワイヤを堆積する簡易な方法である。ピペットを使用して、少量のナノワイヤ溶液をとり、洗浄した基板上にこれをドロップする。溶媒の乾燥プロセスの間、ナノワイヤは凝集し、もとのドロップの端に、「コーヒー染み」効果が明確に観察された。
【0080】
2)例:ローラーの調製
ガラスピペットまたはガラス管から、軽量ガラスローラーを作成する。ローラーの表面を超音波浴中のDecon 90を用いて洗浄し、水で流し、N2ガスを使用して乾燥し、そして、アモルファスのパーフルオロポリマー(CYTOP?, AGC, 日本)でその表面をコーティングし、表面を柔らかくまた疎水性にする。均一の表面を達成するために、回転させながらおよびプラスチップブレードを適用しながら、いくらかのポリマー溶液を管にドロップすることによりコーティングを作成した。管を100℃で1時間乾燥した。
【0081】
3)例:ロール鋳造
洗浄した基板をガラススライド上に置き、スライドの一側の下に小さな物体を入れて、小さな角度(30°)で傾けた。全ての表面を覆うまで、いくらかのナノワイヤ溶液をガラス上にドロップした。
ローラーをガラススライド(上面)上に置き、重力下で基板上を自然に転がす。ローラーは、基板上を転がりながら、ナノワイヤ溶液を非常に薄い層に押し出した(squeeze)。ナノワイヤは基板上に付着し、非常に薄い残余溶液の乾燥は、それ以上の凝集を生じさせない。表面上のナノワイヤの分散をTEM画像によりチェックする。ナノワイヤは、集合体は殆どなく、不規則に広がる。
【0082】
4)例:トランジスタ機能の比較
ドロップ鋳造およびロール鋳造法を使用して基板上にナノワイヤを堆積させる。ナノワイヤは、SiO2誘電体層およびパターン化したソースおよびドレイン電極を誘電体層上に含む、基板を覆う。ナノワイヤ-堆積の後、窒素で充填したグローブ・ボックスに基板を移動する。そこで、トランジスタの特性を測定する。本発明のロール鋳造法により調製したデバイスに関して、オン/オフ比は6・10である。
【0083】
ドロップ鋳造によって調製したデバイスは、集合したナノワイヤからなる染みを含む。約10のオン/オフ比を有する。
本発明にしたったロール鋳造プロセスは、従来のドロップ法と比較して、表面上のナノ粒子のより均一な分散を提供する。さらに、本発明の方法によって作られたトランジスタデバイスのパフォーマンスは、明らかに従来のアプローチより優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)基板を、細長いナノ粒子を含む液体キャリアで濡らすこと、
2)前記液体キャリアで基板が濡れている間に、基板上に円筒ローラーを転がすこと、
の工程を含む、基板上に細長いナノ粒子を堆積するプロセス。
【請求項2】
ナノ粒子が、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、ナノディスク、ナノリボンおよび/またはこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ナノ粒子が、有機溶媒に分散または溶解していることを特徴とする、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
ナノ粒子が、1または2以上の半導電性材料、遷移金属、または合金または上記の混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ナノ粒子が、不動態化層を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
堆積したナノ粒子を乾燥し、残余液体キャリアを取り除きおよび/または液体キャリアに含まれるモノマーをポリマー化する、第3ステップを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
円筒ローラーの表面がポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
堆積の後、ナノ粒子が基板上に不規則に分散していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
電子、電気光学、光起電、エレクトロルミネセントまたは光学デバイスにおける、またはセンサーにおける、電荷輸送または導電性または半導電性構成要素としての、請求項1〜8のいずれか一項に記載にプロセスにより堆積したナノ粒子の使用。
【請求項10】
以下の工程を含む、電子、電気光学、光起電、エレクトロルミネセントまたは光学デバイスの調製プロセス:
a) 基板上にまたは誘電体層上に、作用電極を適用すること、
b) 請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセスによって、基板または誘電体層および作用電極上に、ナノ粒子の層を堆積すること、
c) ナノ粒子の層を乾燥すること、および
d) 任意に、ナノ粒子層上に、1または2以上のさらなる機能層を提供すること。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセスによる、基板上の細長いナノ粒子の堆積する工程と、
堆積した層の少なくとも1つの電子または光学特徴を測定する
工程とを含む、細長いナノ粒子の電子または光学特徴を分析する方法。
【請求項12】
基板が、電極、トランジスタ要素を含む、および/または基板が透明である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれか一項にしたがってナノ粒子が堆積されていることを特徴とする、導電性または半導電性ナノ粒子および作用電極を含む電子、電気光学、光起電、エレクトロルミネセントまたは光学デバイス。
【請求項14】
‐ 基板、
‐ ゲート電極、
‐ 誘電体層、
‐ ソースおよびドレイン電極、および
‐ 請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセスにより堆積したナノ粒子を含む半導電性層
を含む電界効果トランジスタであることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2013−514193(P2013−514193A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543495(P2012−543495)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006960
【国際公開番号】WO2011/072787
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】