説明

ナノ粒子の調節放出に有用な微粒子状経口剤形

本発明は、有効成分、特にはタンパク質、すなわち本質的にはペプチドを調節放出するための新規の微粒子状経口剤形を提案することを目的としている。また、本発明はその使用、特にはこれらの微粒子状経口剤形の治療用又は化粧用の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分(active ingredient:AIと省略)、特にはタンパク質、すなわち本質的にはペプチドを調節放出するための新規の微粒子状経口剤形を提案することを目的としている。また、本発明はその使用、特にはこれらの微粒子状経口剤形の治療用又は化粧用の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
治療用、予防用、化粧用であるかに関係なく、有効成分の全投与方法の中でも、特には患者にとっての快適性や多種多様な処方との相性という観点から、経口投与が特に一般的である。
【0003】
残念ながら、この投与方法だと経口摂取された有効成分は胃腸管を通過する際に極めて多様な生理学的条件下に曝され、特にpHによって、特定の有効成分に関して、例えば酸性媒質中での有効成分の分解によりバイオアベイラビリティに問題が生じる場合がある。更に、有効成分によっては、その吸収域(absorption window)の位置に応じて放出方法を特定のものにしなくてはならない。
【0004】
この点を満足のいくものにするために、多層粒子経口剤形(multiparticle oral dosage form)がすでに開発されている。
【0005】
これらの多層粒子剤形は一般に微粒子又はマイクロカプセルの形態であり、有効成分又は有効成分の混合物を含有しているそのコアはコーティングで覆われており、その組成及び/又は厚さは、この有効成分の放出を制御できるように正確に調節されている。
【0006】
このため、一般に2000μm未満の直径を有する複数のマイクロカプセルから構成されるこれらの微粒子系は、有効成分の放出を確実に遅延、制御するのに特に効果的であると判明している。
【0007】
多層粒子状態のこれらの徐放性剤形の実例として、特に文献US2002/0192285、US6238703、US2002/0192285、US2005/0118268及びUS5800836に記載のもの、とりわけ国際出願WO03/030878に記載のものを挙げることができる。この文献WO03/03878は、少なくとも1種の有効成分を経口投与するための多層粒子系を提案しており、有効成分の放出は、有効成分を含有している微粒子のコアを覆う外被の化学的性質により時間について、またpHに応じて制御される。より正確には、この外被は、中性pHでイオン化基を有する少なくとも1種の親水性ポリマー(例えば、(メタ)クリル酸とアルキル(メタ)クリレートとのコポリマー)及び少なくとも1種の疎水性化合物(水素化植物蝋等)を含む材料から形成される。
【0008】
これらの微粒子系は、一方でそれが担持している有効成分の胃腸管内での輸送、他方で小腸、適切な場合は例えば胃内での放出を信頼性高く制御するのに特に有用であるが、残念ながら、安定性及び/又は吸収性が低い有効成分の輸送には適当ではないと判明している。この安定性の欠如は、酸性度が極めて高いpH及び/又はこれらの有効成分に作用する酵素を含有する胃腸管内腔等の過酷な環境への曝露に起因する速すぎる分解の結果である場合がある。吸収性の低さに関しては、これもまた極めて低い溶解度又は対象となる有効成分に対峙する上皮膜の浸透性が不十分なことに起因する可能性がある。
【0009】
本発明の特定の主題は、これらの問題を解決することを目的とした、ひいては有効成分(タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、多糖類、リポ多糖類、オリゴ−又はポリヌクレオチド、小分子、特には疎水性分子等)のターゲティングに特に有用な新規の経口微粒子系を提案することである。
【0010】
より正確には、本発明の態様は、それ自体は少なくとも1種のポリマー(POMと省略)のナノ粒子と少なくとも部分的に非共有結合的に結合された有効成分を、制御された形で放出するリザーバー型微粒子から主に構成される経口剤形を提案することである。この系は、非結合形態で含有している有効成分を放出する慣用のリザーバー型微粒子系とは異なる。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明は、その第1の態様において、少なくとも1種の有効成分をコンディショニングし、またpH及び/又は時間に応じて制御された放出プロファイルに沿ってその有効成分を生体内で放出するのに有用な微粒子状経口剤形に関し、この剤形は、少なくともその有効成分を含有し且つその有効成分の放出プロファイルに影響を与える少なくとも1つのコーティング層でコーティングされたコアを有する微粒子を少なくとも含み、
コーティング層は、少なくとも1種の疎水性化合物Bに組み合わされた、5〜7のpH範囲内の可溶化pH値を有する少なくとも1種のポリマーAを含む材料から形成され、
微粒子のコア中に存在する有効成分は、1つ以上の疎水性基(G)を有する親水性炭化水素鎖又は両親媒性炭化水素鎖を含む少なくとも1種のポリマーPOMから形成されたナノ粒子と少なくとも部分的に非共有結合的に結合していることを特徴とする。
【0012】
本発明の意味において、用語「コンディショニング(conditioning)」は、有効成分を含有し運搬する本発明の微粒子の能力を意味するものである。
【0013】
その別の態様において、本発明は、少なくとも1種の有効成分をコンディショニングし、またpH及び/又は時間に応じて制御された放出プロファイルに沿って生体内でこの有効成分を放出するのに有用な微粒子を調製するための方法にも関し、この微粒子は、少なくともこの有効成分を含有し且つこの有効成分の放出プロファイルに影響を与える少なくとも1つのコーティング層でコーティングされたコアを有し、この方法は少なくとも、
(a)少なくとも1種の有効成分を、1つ以上の疎水性基(G)を有する親水性炭化水素鎖を含む又は両親媒性炭化水素鎖を含む少なくとも1種のポリマーPOMから形成されたナノ粒子と非共有結合的に結合させ、
(b)工程(a)のナノ粒子から、このナノ粒子と1種以上の賦形剤とを含むコアを形成し、
(c)5〜7のpH範囲内の可溶化pH値を有する少なくとも1種のポリマーA及び少なくとも1種の疎水性化合物Bから、工程(b)において形成したコアの周囲に配置するコーティング層を形成し、
(d)期待される微粒子を回収する
工程を含む。
【0014】
工程(b)は、湿式製粒法、塊状化、押し出し成形/球状化加工、圧縮、微粒化、スプレーコーティング等のいずれの慣用の顆粒化技法を使用しても行うことができる。
【0015】
工程(c)に関して、この工程は、慣用のコーティング技法によって行われる。有利には、この工程を、流動層において、少なくとも1種の疎水性化合物Bと組み合わせた5〜7のpH範囲内の可溶化pH値を有する少なくとも1種のポリマーAを、工程(a)のナノ粒子に噴霧することによって行うことができる。
【0016】
本発明は、より具体的には、本発明による少なくとも1種のポリマーPOMのナノ粒子と結合させた形態での有効成分の上記で定義したような徐放性多層粒子系への組み込みが達成可能であり且つこの結合させたAI/POM形態をその吸収部位(一般に、腸)でより高いバイオアベイラビリティ及び/又はより長い腸内吸収時間でもって放出可能であるとの発明者による観察結果から生まれたものである。理論による拘束を望むものではないが、微粒子から放出された後、有効成分を担持させたナノ粒子は、そのサブミクロンサイズにより腸の粘液と相互作用を起こして、次に徐々に放出される有効成分の吸収を向上させると考えられる。
【0017】
後述の実施例から明らかなように、本発明の微粒子状経口剤形は、有利には、この剤形が含有している有効成分を順次放出すると予測することを可能にする。第1相において、経口投与された有効成分は、ポリマーPOMのナノ粒子と結合した形態で放出され、この形態は、同じ有効成分の遊離形態と比較するとバイオアベイラビリティ及び/又は吸収時間が向上している。この有効成分と結合させた部分のポリマーPOMのナノ粒子からの解離は第2相でしか起こらない。
【0018】
非経口での有効成分の投与に、本発明で検討しているようなポリマーのナノ粒子を使用することは知られている。このため、Flamel Technologies社は、治療用タンパク質が、疎水性基と親水性基とを含むコポリアミノ酸のナノ粒子と結合させられている医薬製剤について記載している(WO96/29991、WO03/043303)。文献WO03/04303は、より具体的には、アスパラギン酸残基及び/又はグルタミン酸残基を含み、これらの残基の少なくとも一部が少なくとも1つのα−トコフェロール単位を含むグラフトを有するポリアミノ酸タイプのポリマー(例えば、α−トコフェロールをグラフトしたポリグルタメート又はポリアスパルテート)について開示している。これらの「疎水性に変性された」ホモポリアミノ酸は、水中で自発的にナノ粒子のコロイド懸濁液を形成し、pH7.4の水性懸濁液において、少なくとも1種の活性タンパク質と容易に結合可能である。特許出願PCT/EP2008/055507も生分解性ポリアミノ酸を提案しており、このポリアミノ酸は、有効成分と可逆的に結合可能なコロイド状ターゲティングナノ粒子又は微粒子に変化させることができる。これらの粒子は、より具体的には、中性又は中性に近いpHでの正の電荷とペンダント疎水性基の両方を有する両親媒性コポリグルタメートである。
【0019】
しかしながら、これらの系は全て、運搬する有効成分の時間及び/又はpHに応じた放出プロファイルを調節することも、この有効成分を胃液から保護することもできないため、結果的に経口投与には適さない。
【0020】
したがって、本発明の粒子状経口剤形は、幾つかの理由により慣用の粒子系より特に有利であることがわかる。
【0021】
本発明の粒子状経口剤形は、目的とする吸収部位にまで有効成分を効果的に運搬する。本発明の粒子状経口剤形は、吸収部位で放出する有効成分を、経口投与されることで求められている生物活性の発揮にとって直接有害となる可能性のある例えば加水分解型の分解又は酵素による消化から効果的に保護する。最後に、本発明の粒子状経口剤形は、含有している有効成分の放出プロファイルを効果的に制御することを可能にする。このため、広い吸収域を有するAIの場合、微粒子は、AI/POMナノ粒子を12時間未満、好ましくは6時間未満に亘って又は2時間未満でさえ放出することができる。一方、吸収域が狭いAIの場合、腸管において、微粒子が、有効成分を担持させたナノ粒子AI/POMを例えば2時間未満、更に好ましくは1時間未満の短時間に亘って放出することが重要である。胃内滞留時間の間、胃の酸性媒質内に留まるポリマーPOMから形成されるナノ粒子にとって、既定の時間に亘るナノ粒子の放出に関するこの要件を満たすことは極めて困難である。胃等の酸性媒質を通過した後のナノ粒子の放出時間を極めて広い範囲内で調節することを可能にする、微粒子をコーティングするための組成物群を同定したことは、出願人の功績である。有利には、このナノ粒子は、酸性媒質内に長時間留まっても影響を受けず、更に個々の粒子状態が保たれるため、これらのナノ粒子が塊となって連続的に放出されるリスクをなくすことができる。
【0022】
まさにこれを目的としたコーティング層は、特には以下で定義されるような、少なくとも1種の疎水性化合物Bと組み合わされた5〜7のpH範囲内の可溶化pH値を有する少なくとも1種のポリマーAを含む材料から形成される。
【0023】
以下で示されるように、この効果は、形成するコーティング層の厚さを調節することによって強化される。
【0024】
微粒子
本発明のリザーバー型微粒子は、少なくとも1種のポリマーPOMのナノ粒子に結合した形態の有効成分を含有しているコアと、このコアを取り囲むコーティングによって構成される。
【0025】
微粒子からのナノ粒子の制御された放出は、各リザーバー粒子のコアを取り囲むコーティングによって確保される。このコーティングは、有効成分とポリマーPOMとを、例えば胃腸管における有効成分の吸収域に対応する胃腸管の極めて限定された部位で放出するように設計される。
【0026】
このコーティングのこの性質により、本発明で考慮される経口剤形は、有利には、時間とpHに応じた2重放出機序を有することができる。
【0027】
すなわち、本発明で考慮される経口剤形は、以下の2つの特殊性を有する。その微粒子のコーティングを形成しているポリマーAの可溶化pH値未満では、本発明の経口剤形は、極めて限られた量のナノ粒子しか放出しない。一方、腸内又は同様の媒質内に在る場合、本発明の経口剤形は、ナノ粒子の効果的な放出を確保する。次にこの放出を、有利には、24時間未満、特には12時間未満、特には6時間未満、特には2時間未満に亘って又は1時間未満でさえ行うことができる。
【0028】
極めて狭い吸収域を有する有効成分の場合、例えば十二指腸又はパイエル板に限定される場合、ナノ粒子の放出時間は2時間未満であり、好ましくは1時間未満である。
【0029】
本発明で考慮される微粒子のサイズは、有利には、2000μm未満、特には100〜1000μmであり、特には100〜800μm、特には100〜500μmである。
【0030】
本発明の意味において、粒子のサイズは、Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instrument社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー粒度分析によって測定される体積平均直径D4,3として表される。
【0031】
粒子のコーティングに関し、このコーティングは、
5〜7のpH範囲内の可溶化pH値を有する少なくとも1種の化合物Aと、
少なくとも1種の疎水性化合物Bと、
任意の少なくとも1種の可塑剤及び/又はその他の慣用の賦形剤
との混合物から得られる複合材料から形成される。
【0032】
ポリマーA
本発明の意味において、ポリマーAの可溶化pH値は、それを下回る値ではポリマーが不溶の状態で見出され、それを上回る値ではこの同じポリマーAが可溶の状態で見出される生理学的媒質又はモデル試験管内媒質のpH値である。
【0033】
当然のことながら、このpH値は所定のポリマーに特異的であり、またその化学的性質、鎖長等のその固有の物理化学的特徴に直接関係している。
【0034】
本発明に適したポリマーAの非限定的な実例として、
メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、
メタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー、
セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートスクシネート(CAS)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(又はヒプロメロースフタレート)(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(又はヒプロメロースアセテートスクシネート)(HPMCAS)等のセルロース誘導体、
シェラック(Shellac)ガム、
ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)及び
これらの混合物
を特に挙げることができる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、このポリマーAは、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、メタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー及びこれらの混合物から選択される。
【0036】
既に詳述したように、本発明で考慮されるポリマーAは、接触するpH値がその可溶化pH値より高いか低いかに応じて異なる溶解度プロファイルを有する。
【0037】
本発明の意味において、ポリマーAは一般に、その可溶化pH値より低いpH値では不溶であり、それとは対照的にその可溶化pH値より高いpH値では可溶である。
【0038】
例えば、ポリマーAは、その可溶化pH値が以下のようなポリマーになり得る。
・5.0。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、特にはShin−Etsu社のHP−50の名で市販のもの
・5.5。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、特にはShin−Etsu社のHP−55の名で市販のもの又はメタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー(1:1)、特にはEvonik社のEudragit L100−55の名で市販のもの
・6.0。例えば、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー(1:1)、特にはEvonik社からEudragit L100の名で市販のもの
・7.0。例えば、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー(1:2)、特にはEvonik社からEudragit S100の名で市販のもの
【0039】
これらのポリマーは全て、その可溶化pHより高いpH値で可溶である。
【0040】
コーティングは、有利には、その総質量に対して25〜90質量%、特には30〜80質量%、特には35〜70質量%又は40〜60質量%でさえあるポリマーAから構成される。
【0041】
より好ましくは、ポリマーAは、メタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー(1:1)である。
【0042】
疎水性化合物B
第1の変形において、化合物Bを、固体状態に結晶化され且つ融点Tfb≧40℃、好ましくはTfb≧50℃、より一層好ましくは40℃≦Tfb≦90℃を有する生成物から選択することができる。
【0043】
より好ましくは、次にこの化合物は以下の生成物群から選択される。
・各種植物蝋単体又はこれらの混合物。例えばDYNASAN P60、DYNASAN116の商標名で市販のもの
・各種水素化植物油単体又はこれらの混合物。好ましくは、水素化綿実油、水素化大豆油、水素化パーム油及びこれらの混合物を含む群から選択されるもの
・グリセロールと少なくとも1種の脂肪酸、好ましくはベヘン酸とのモノ及び/又はジ及び/又はトリエステル単体又はこれらの混合物、及び
・これらの混合物
【0044】
この実施形態において、ポリマーB/A質量比は0.2〜1.5、好ましくは0.45〜1になり得る。
【0045】
より好ましくは、化合物Bは水素化綿実油である。
【0046】
このようなコーティングから形成された微粒子は特に、文献WO03/30878に記載されている。
【0047】
第2の変形において、化合物Bは、消化管液に不溶のポリマーであり得る。
【0048】
消化管液又は胃腸液にも不溶であるこのポリマーはとりわけ
非水溶性セルロース誘導体、
非水溶性(メタ)クリル酸(コ)ポリマー誘導体及び
これらの混合物
から選択される。
【0049】
より好ましくは、このポリマーは、エチルセルロース及び/又は誘導体(例えば、Ethocel(登録商標)の名で市販のもの)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、アンモニオ(メタ)クリレートコポリマー、タイプA又はタイプBのエチルアクリレート、メチルメタクリレートとトリメチルアンモニオエチルメタクリレートとのコポリマー(特には、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)RSの名で市販のもの)、ポリ(メタ)クリル酸エステル(特には、Eudragit(登録商標)NEの名で市販のもの)並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0050】
エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート及びアンモニオ(メタ)クリレートコポリマー、特にはEudragit RS(登録商標)、Eudragit RL(登録商標)の名で市販のものが本発明にとって特に有用である。
【0051】
この際、微粒子のコーティングは、その総質量に対して10〜75質量%のポリマーAを含有し、また好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%又は25〜55質量%でさえあり、より一層具体的には30〜50質量%のポリマーAを含有することができる。
【0052】
有利には、コーティングを次に、この実施形態において、ポリマーB/ポリマーA質量比が0.25より高く、特には0.3以上、特には0.4以上、特には0.5以上又は0.75以上でさえある2種類のポリマーAとポリマーBとの混合物から形成することができる。
【0053】
別の変形実施形態において、ポリマーA/ポリマーB比は更に8未満、特には4未満又は2未満でさえあり、とりわけ1.5未満である。
【0054】
本発明に極めてよく適したポリマーAとポリマーBとの混合物の代表例として、特に、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート又はタイプA若しくはBのアンモニオ(メタ)クリレートコポリマーと少なくとも1種のメタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー又はメタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー又はこれらの混合物との混合物を挙げることができる。
【0055】
上記の2つのタイプの化合物A、Bとは別に、本発明の粒子のコーティングは、少なくとも1種の可塑剤を含むことができる。
【0056】
可塑剤
この可塑剤は特に、
グリセロール及びそのエステル、好ましくはアセチル化グリセリド、グリセリル−モノ−ステアレート、グリセリル−トリアセテート、グリセリル−トリブチレート、
フタレート、好ましくはジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、
シトレート、好ましくはアセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、
セバケート、好ましくはジエチルセバケート、ジブチルセバケート、
アジペート、
アゼラート、
ベンゾエート、
クロロブタノール、
ポリエチレングリコール、
植物油、
フマレート、好ましくはジエチルフマレート、
マレート、好ましくはジエチルマレート、
オキサラート、好ましくはジエチルオキサラート、
スクシネート、好ましくはジブチルスクシネート、
ブチレート、
セチルアルコールエステル、
マロネート、好ましくはジエチルマロネート、
ひまし油及び
これらの混合物
から選択することができる。
【0057】
特に、このコーティングは、その総質量に対して30質量%未満、好ましくは1〜25質量%、より一層好ましくは5〜20質量%の可塑剤を含むことができる。
【0058】
特に有利な実施形態において、コーティング層は、25μm以上、好ましくは30μm以上又は35μm以上でさえある平均厚さを有する。
【0059】
本発明の微粒子経口剤形のコーティング層のこのような厚さによって、有利には、腸のpHを代表する5より高いpHの媒質における、微粒子経口剤形が含有している有効成分の完全な放出が可能になる。
【0060】
別の特定の実施形態において、コーティング層は、200μm未満、とりわけ100μm以下の厚さを有する。
【0061】
特に、500〜700μmのサイズの粒子の場合、コーティング層は、有利には、25〜50μmの厚さを有する。
【0062】
本発明の微粒子の形成は、リザーバー型カプセルの形成に適したいずれの慣用の技法でも行うことができ、そのコアは、全体又は一部が、特には以下で定義され且つ適切な場合は1種以上の結合剤及び1種以上の慣用の賦形剤を使用して中性の基体上に支持される又は支持されないポリマーPOMのナノ粒子に非共有結合的に結合された少なくとも1種の有効成分によって形成される。
【0063】
このため、ある変形実施形態において、有効成分と非共有結合的に結合しているナノ粒子は、微粒子において支持された形態で存在することができる。
【0064】
限定するものではないが、微粒子のコアは、例えば、有効成分と結合したナノ粒子及び慣用の賦形剤とは別に、ショ糖及び/又はブドウ糖及び/又は乳糖、或いはこのナノ粒子の支持体として機能するセルロース等の不活性基体の微粒子も含有することができる。
【0065】
このため、本発明の第1の好ましい実施形態において、微粒子のコアは、POMと、有効成分と、顆粒の接着力を確保するための1種以上の結合剤と当業者に既知の様々な賦形剤とを含有する顆粒である。次に、当業者に既知の技法を使用して、有利にはスプレーコーティングによりコーティングをこの顆粒上に堆積する。
【0066】
この実施形態の微粒子の質量基準による組成は、以下のとおりである。
・コアにおける有効成分を担持させたナノ粒子の質量基準による含有量は、0.1〜80%、好ましくは2〜70%、好ましくは10〜60%である。
・コアにおける結合剤の質量基準による含有量は、0.5〜40%、好ましくは2〜25%である。
・微粒子におけるコーティングの質量基準による含有量は、5〜50%、好ましくは15〜35%である。
【0067】
第2の好ましい実施形態において、本発明の微粒子のコアは、周囲に層が堆積される中性のコアを含み、このコアは、有効成分と、POMナノ粒子と、この層の接着力を確保するための結合剤と、当業者に既知の任意の異なる賦形剤(例えば、ショ糖、トレハロース、マンニトール)を含有している。中性のコアは、コーティングに役立つセルロース又は糖又はいずれの不活性の有機若しくは塩類化合物の粒子になり得る。
【0068】
したがって、この実施形態の粒子の質量基準による組成は、以下のとおりである。
・コアにおける有効成分を担持させたナノ粒子の質量基準による含有量は、0.1〜80%、好ましくは2〜70%、好ましくは10〜60%である。
・微粒子のコアにおける中性コアの質量基準による含有量は、5〜50%、好ましくは10〜30%である。
・微粒子のコアにおける結合剤の質量基準による含有量は、0.5〜40%、好ましくは2〜25%である。
・微粒子におけるコーティングの質量基準による含有量は、5〜50%、好ましくは15〜35%である。
【0069】
好ましくは、微粒子は、化合物A、B及び、存在する場合は、一般に溶質状態にある可塑剤を含むその他の原料の噴霧によって形成される。この溶媒は一般に、水と混合された又は混合されていない有機溶媒を含有する。このようにして形成されるコーティングは、ほぼ水性の液体における同じポリマーの分散液によって形成されるコーティングより組成という観点で均質であると判明している。
【0070】
好ましい変形実施形態において、この噴霧溶液は、40質量%未満、特には30質量%未満、とりわけ25質量%未満の水を含有する。
【0071】
ナノ粒子
上記から明らかなように、本発明の経口粒子状剤形を構成している微粒子のコアが含有している有効成分は、少なくとも一部が少なくとも1種のポリマーPOMのナノ粒子と非共有結合的に結合した形態でコア内に存在している。
【0072】
1種以上の有効成分とポリマーPOMとの関係を限定するのに使用される用語「結合(combination)」又は「結合した(combined)」は、有効成分が、特には非共有結合的な物理的相互作用、特には疎水的相互作用及び/又は静電相互作用及び/又は水素結合及び/又はポリマーPOMによる立体封入によってポリマーPOMに結合されることを意味する。
【0073】
この結合は一般に疎水的及び/又は静電相互作用から生じるため、ポリマーPOMはその構造にこのタイプの相互作用を引き起こすことができる単位を取り込んでいると考えられる。
【0074】
これらの単位、特には疎水性又はイオン化単位は、このポリマーの骨格を形成している炭化水素鎖内に直接存在することができる及び/又はこの炭化水素鎖に付加された1つ以上の疎水性若しくはイオン化基によって形成することができる。
【0075】
「付加基(borne group)」という表現は、この基がペンダント基であることを意味しており、つまりこの基は、1つ以上の共有結合によってポリマーの主鎖に連結された側基である。例えば、ポリマーがアミノ酸残基を含むポリアミノ酸である場合、このペンダント基はアミノ酸残基に関しての側基であり、また特にはこの側基を有するアミノ酸残基のγ位におけるカルボニル官能基の置換基となり得る。
【0076】
本発明で考慮されるポリマーPOMは一般に、10〜1000、特には30〜500、とりわけ50〜250又は20〜150でさえある重合度DPを有する。
【0077】
本発明で考慮されるポリマーPOMは更に、水性媒質、特に水中で分散させられた場合に自発的にナノ粒子を形成することができる。
【0078】
このナノ粒子は、アニオン性、カチオン性又は中性となり得て、好ましくはアニオン性又はカチオン性である。
【0079】
本発明の意味において、「アニオン性ナノ粒子」は、中性pHでの全体的な電荷が負であるポリマーPOMのナノ粒子を意味し、「カチオン性ナノ粒子」は、中性pHでの全体的な電荷が正であるポリマーPOMのナノ粒子を意味する。
【0080】
全体的な電荷は、当業者に既知のいずれの方法でも測定することができ、例えば中性pHでのゼータ電位の測定である。
【0081】
一般的なやり方において、ナノ粒子のサイズは1〜1000nm、特には5〜500nm、特には10〜300nm、とりわけ10〜100nmである。POMのナノ粒子のサイズは、これらの粒子の平均流体力学的直径によって評価される。測定は、ALV社の装置CGS−3を使用した光の準弾性拡散(quasi−elastic diffusion)によって行われる。そのために、POMの懸濁液は、平衡を達成するに十分な静止時間の後、塩類媒質(0.15MのNaCl等)中で0.5mg/mlに濃縮される。
【0082】
炭化水素鎖
上述したように、本発明のポリマーPOMは、1つ以上の疎水性基(G)を有する親水性炭化水素鎖又は両親媒性炭化水素鎖を含む。
【0083】
特定の実施形態において、ポリマーPOMは、1つ以上の疎水性基(G)を有する親水性炭化水素鎖を含むポリマーである。
【0084】
ポリマーPOMを形成している炭化水素鎖は、ポリアミノ酸、例えばデキストランサルフェート、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリガラクツロン酸、ポリグルクロン酸などのアニオン性多糖類、例えばキトサン、コラーゲン及びそのゼラチンタイプ誘導体などのカチオン性多糖類から選択することができる。
【0085】
上記を鑑みると、本発明の意味において、「炭化水素鎖」という表現が、1つ以上の窒素原子を含むことができる炭化水素鎖をカバーすることが理解できる。
【0086】
以下において、「炭化水素鎖」、「1つ以上の窒素原子を含むことができる炭化水素鎖」という表現は、同じ意味で使用される。
【0087】
有利には、ポリマーPOMを形成している炭化水素鎖はポリアミノ酸である。本発明のある態様において、ポリマーPOMは生分解性である。
【0088】
本発明の意味において、「ポリアミノ酸」という用語は、天然ポリアミノ酸、合成ポリアミノ酸の両方、また20個より多いアミノ酸残基を含むポリアミノ酸と同じように10〜20個のアミノ酸残基を含むオリゴアミノ酸をカバーする。
【0089】
ポリアミノ酸は合成線状ポリマーであり、有利にはペプチド結合によって連結されたα−アミノ酸から構成される。
【0090】
ブロック又は統計的(statistical)ポリマー、多鎖ポリマー及び固定アミノ酸配列を含むポリマーを生成するための多数の合成技法がある(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第12巻、786頁、John Wiley&Sonsを参照のこと)。
【0091】
当業者は、その知識に基づいて、本発明に適したポリマーを手に入れるためにこれらの技法を実施することが可能である。特に、当業者は、文献WO96/29991、WO03/104303、WO96/079614及びPCT/EP/2008/055507の教示も参照することができる。ポリマーPOMを形成している炭化水素鎖が事実上両親媒性である本発明の変形例において、このポリアミノ酸は、少なくとも1種又はそれより多い中性の疎水性アミノ酸を含む。
【0092】
より具体的には、このようなポリマーPOMは、少なくとも2つのタイプの反復アミノ酸残基AAN、AAIを含むポリアミノ酸になり得て、
タイプAANは中性疎水性アミノ酸に対応し、
タイプAAIはイオン化可能な側鎖を有するアミノ酸に対応し、タイプAAIのアミノ酸の少なくとも一部はイオン化された形態であり、
各タイプAAN、AAIのアミノ酸は同一又は互いに異なり、ポリアミノ酸の質量基準によるモル質量は、2500D以上、特には4000D以上、好ましくは5000D以上である。
【0093】
このようなポリアミノ酸は特に、文献WO96/29991に記載されており、その内容は参照により組み込まれる。
【0094】
本発明のPOMのこの変形実施形態において、AANはとりわけ以下のリスト:Leu、Ile、Val、Ala、Pro、Phe及びこれらの混合物から選択され、AAIはとりわけGlu及び/又はAspによって形成される。
【0095】
より一層好ましくは、このようなポリアミノ酸は、好ましくはGluに対応する単一のタイプのAAIモノマー及び好ましくはLeuに対応する単一のタイプのAANモノマーを含む。
【0096】
別の変形実施形態において、ポリマーPOMを形成している炭化水素鎖は親水性ポリアミノ酸である。
【0097】
より具体的には、ここでこのようなPOMを形成しているポリアミノ酸は、反復グルタミン酸又はアスパラギン酸単位を含むオリゴマー若しくはホモポリマー又はこれら2つのタイプのアミノ酸残基の混合物を含むコポリマーである。これらのポリマーで考慮される残基は好ましくは構造D又はL又はD/Lを有し、またグルタメート又はグルタミン酸残基の場合はそのα又はγ位、アスパラギン酸又はアスパルテート残基の場合はα又はβ位で連結され、より好ましくは構造Lを有し且つそのα位で連結される。
【0098】
好ましくは、ポリマーPOMは、アスパラギン酸単位及び/又はグルタミン酸単位によって形成されたポリアミノ酸炭化水素鎖を含み、これらの単位の少なくとも一部は、少なくとも1つの疎水性基(G)を含むグラフトを有する。
【0099】
ある変形実施形態において、炭化水素鎖は、α−L−グルタメート又はα−L−グルタミン酸ホモポリマーによって構成される。
【0100】
別の変形実施形態において、炭化水素鎖は、α−L−アスパルテート又はα−L−アスパラギン酸ホモポリマーによって構成される。
【0101】
別の特に好ましい変形実施形態において、炭化水素鎖は、α−L−アスパルテート/α−L−グルタメート又はα−L−アスパラギン酸/α−L−グルタミン酸コポリマーによって構成される。
【0102】
このようなポリマーPOMは特に、文献WO03/104303、WO96/079614及びPCT/EP/2008/055507に記載されており、その内容は参照により組み込まれる。これらのポリアミノ酸は、特許出願PCT WO−A−00/30618に記載のもののタイプにもなり得る。
【0103】
これらのポリマーは、当業者に既知の方法によって得ることができる。
【0104】
本発明で使用できる一定数のポリマー、例えば、様々な質量のポリ(α−L−グルタミン酸)、ポリ(α−D−グルタミン酸)、ポリ(α−D,L−グルタメート)及びポリ(γ−L−グルタミン酸)タイプが市販されている。
【0105】
ポリ(L−グルタミン酸)は、特許出願FR2801226に記載のやり方に従って合成することもできる。
【0106】
重合化学及び基のカップリング反応は標準的なものであり、当業者に周知である(例えば、出願人の上記の特許又は特許出願を参照のこと)。
【0107】
より具体的には、ポリマーPOMは、同一又は異なる複数のペンダント疎水性基(G)、好ましくは少なくとも2つの疎水性基(G)、適切な場合は1つ以上のカチオン性基及び/又は1つ以上のイオン化可能な基及び/又は1つ以上の中性基を含むポリヒドロキシアルキルグルタミンである。
【0108】
本明細書において、「カチオン性基」は、グルタミン酸残基に共有結合によってグラフトされ且つ1つ以上のアミン官能基又は1つ以上の四級アンモニウムを含む基を意味する。アミン官能基の場合、この基は主に、そのpKaより低いいずれのpHでもイオン化され、四級アンモニウムの場合、基はいずれのpHでもイオン化される。
【0109】
本明細書において、「中性基」は、3〜10のいずれのpHでも電荷を有しない基を意味し、例えば、グルタミン酸残基のカルボキシル基とのエタノールアミン(窒素によって結合)、アミノ−プロパンジオール、アルキレングリコール又はポリオキシアルキレングリコールの縮合によって得られる基である。
【0110】
ポリマーPOMは実際、構成要素であるアミノ酸単位に結合されたポリアルキレングリコールタイプの1つ以上のグラフトを有する場合がある。好ましくは、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコールであり、より具合的にはポリエチレングリコールのグラフトのモルパーセンテージ1〜30%で使用される。
【0111】
更に、変性ポリグルタメートの残留カルボン酸官能基は、pH及び組成に応じて中性(COOH形態)又はイオン化(COO-アニオン)のいずれかであることに留意しなくてはならない。したがって、以下の用語:(i)グルタメート残基又はグルタミン酸残基、(ii)ポリグルタメート又はポリグルタミン酸は同じ意味で使用される。
【0112】
疎水性基
より具体的には、疎水性基Gは同一又は互いに異なり、また
(i)アルキル、アシル又は直鎖若しくは分岐アルケニル、好ましくは直鎖C1〜C20、より一層好ましくはC2〜C18
(ii)1つ以上のヘテロ原子を含む炭化水素基、好ましくは酸素及び/又は硫黄を含む炭化水素基並びに、より一層好ましくは、以下の式:
【化1】

(式中、R60は直鎖又は分岐アルキル、アシル又はアルケニル、好ましくは直鎖C1〜C20、より一層好ましくはC2〜C18基であり、R61及びR62は同一又は互いに異なり且つ水素又は直鎖若しくは分岐アルキル、アシル若しくはアルケニルラジカル、好ましくは直鎖C1〜C20、より一層好ましくはC2〜C18基に対応し、q=1〜100である)の炭化水素基、
(iii)アリール、アラルキル又はアルキルアリール、好ましくはアリール、
(iv)疎水性誘導体、好ましくはホスファチジルエタノールアミノ−基、又は、オクチルオキシ−、ドデシルオキシ−、テトラデシルオキシ−、ヘキサデシルオキシ−、オクタデシルオキシ−、9−オクタデセニルオキシ−、トコフェリルオキシ−又はコレステリルオキシ−から選択される基
を含む群から選択される。
【0113】
「炭化水素基」は、本発明の意味において、特には水素原子及び炭素原子を含む基を意味する。
【0114】
好ましくは、この変形において、疎水性基は、以下の群:メチル、エチル、プロピル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルから選択される。
【0115】
特に好ましくは、疎水性基(G)は、以下の群:
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含み得る直鎖又は分岐C8〜C30アルキル、
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含み得るC8〜C30アルキルアリール又はアリールアルキル並びに
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子を含み得るC8〜C30の(多)環式基
から選択される。
【0116】
より正確には、疎水性基(G)の少なくとも1つは、オクタノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、オレイルアルコール、トコフェロール又はコレステロールを含む群から選択される前駆体からグラフトによって得られる。
【0117】
有利には、本発明で考慮される疎水性基Gは、8〜30個の炭素原子を含む。
【0118】
特定の実施形態において、ポリマーPOM中に存在する少なくとも1つ、好ましくは全ての基Gがトコフェリルオキシ−基を形成する。
【0119】
有利には、疎水性基Gの少なくとも1つは、この疎水性G基のポリマーPOMの構造体への連結を可能にする少なくとも1つのスペーサーヒンジ(又は単位)を含む疎水性グラフトに含まれる。
【0120】
このヒンジは、例えば、少なくとも1つの直接共有結合及び/又は少なくとも1つのアミド結合及び/又は少なくとも1つのエステル結合を含むことができる。例えば、ヒンジは、炭化水素鎖、アミノアルコール誘導体、ポリアミン誘導体(例えば、ジアミン)、ポリオール誘導体(例えば、ジオール)及びヒドロキシ酸誘導体を構成しているモノマー単位とは異なるアミノ酸残基を特に含む群に属するタイプのものになり得る。
【0121】
疎水性基Gのアミン鎖へのグラフトは、この鎖への結合が可能な疎水性基Gの前駆体を伴う場合がある。
【0122】
疎水性基Gの前駆体は、実際には、限定するものではないが、アルコール及びアミンを含む群から選択され、これらの化合物は、当業者によって簡単に官能化することができる。
【0123】
疎水性基Gを有する疎水性グラフトを形成しているヒンジは、二価、三価又は四価(又は五価以上でさえある)になり得る。二価のヒンジの場合、疎水性グラフトは単一の基Gを含み、三価のヒンジは、疎水性グラフトに二又の性質をもたらす。すなわち、グラフトは2つのG置換基を有する。三価のヒンジの例として、とりわけ、アミノ酸残基、例えばグルタミン酸又はポリオール残基、例えばグリセロールを挙げることができる。したがって、二又のGを含む疎水性グラフトの2つの有利ではあるが限定的ではない例は、ジアルキルグリセロール及びジアルキルグルタメートである。疎水性グラフトGのカップリングは当業者の能力の範囲内にあり、特には、文献PCT/EP2008/055507、WO03/104303に記載のプロトコールに従って行うことができる。
【0124】
カチオン性基又は中性基
本発明のポリアミノ酸はカチオン性基を有することもできる。これらの基は、グルタミン酸残基に、好ましくはアミド又はエステル結合によってグラフトされる。
【0125】
本発明の別の変形において、カチオン性基は、少なくとも1種の四級アンモニウム又は半中和pHが8.0を超える少なくとも1種の強塩基を含むものから選択することができる。
【0126】
このようなカチオン性基は、以下の前駆体化合物から得ることができる。
・2〜6個の炭素原子を有する直鎖ジアミン、好ましくはプトレシン
・アグマチン
・酸素によって結合されるエタノールアミン
・酸素によって結合されるコリン
・α位でアミン官能基によって結合される、側鎖が中性pHで正に帯電するアミノ酸(すなわち、リシン、アルギニン、オルニチン)のエステル又はアミド誘導体
【0127】
したがって、グルタメート残基の官能化に使用することができるカチオン性基は同一又は互いに異なり、また
ヒスチジンエステル、好ましくはメチルエステル及びエチルエステル、ヒスチジノール、ヒスタミン、ヒスチジンアミド、ヒスチジンアミドのN−モノメチル誘導体並びにヒスチジンアミドのN,N’−ジメチル誘導体を含む群から選択されるヒスチジン誘導体、
以下の一般式:
【化2】

(式中、X=O、NH、Y=独立してH又はCH3、Z-=クロライド、サルフェート、ホスフェート又はアセテート、L=任意でカルボキシルタイプの官能基によって置換される直鎖(C2〜C6)アルキレン又は誘導体)に対応することができる。
【0128】
より正確には、本発明で使用することができるカチオン性基は、以下の群:
−NH−(CH2w−NH3+、Z-、wは2〜6であり、好ましくはwは4に等しい、
−O−(CH22−NH3+、Z-
−O−(CH22−N+(CH33、Z-
以下の群から選択される基:
−NH−(CH24−NH−C(=NH)−NH3+、Z-
式:
【化3】

(式中、R1はアルコキシ、好ましくは−OMe又は−OEt、或いはR1は−NH2、アルキルアミノ、好ましくは−NH−CH3又は−N(CH32であり、R13は−(CH24−NH3+、Z-、−(CH23−NH−C(=NH)−NH3+、Z-、−(CH23−NH3+、Z-である)のアミノ酸残基又はアミノ酸誘導体
から選択され、Z-はクロライド、サルフェート、ホスフェート又はアセテート、好ましくはクロライドである。
【0129】
例えば、カチオン性基は、以下の式:
【化4】

(式中、R1はアルコキシ又はアルキルアミノ、好ましくは−OMe、−OEt、−NH2、−NHCH3又は−N(CH32を表し、R2は、水素原子、−CH2OH、−CO2H又は−C(=O)−R1を表す)を有することができる。
【0130】
中性基に関しては、以下の群:ヒドロキシエチルアミノ−、ジヒドロキシプロピルアミノ−、ヒドロキシアルキルオキシ−又はポリオキシアルキレンから選択することができる。
【0131】
カチオン性基及び任意の中性基とポリマーの酸性官能基とのカップリングは、カップリング剤としてのクロロホルメートの存在下、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)又はジメチルスルホキシド(DMSO)等の適当な溶媒中で第2工程において同時に行われる。
【0132】
カチオン性基が2つの化学的に分化していないアミン官能基(例えば、直鎖ジアミン)を含む場合、カチオン性基を、2つの官能基の一方が保護された形態で導入することができる。その場合、保護基を開裂させる最後の工程が加えられる。
【0133】
重合化学及び基のカップリング反応は標準的なものであり、また当業者に周知である(例えば、出願人の上記の特許又は特許出願を参照のこと)。
【0134】
一般式IのポリマーPOM
本発明の好ましい変形において、ポリマーPOMは、以下の式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の1つであって、
【化5】

式中、
Aは独立して
RNH−(式中、RはH、直鎖C2〜C10アルキル、分岐C3〜C10アルキル又はベンジルを表す)、
式:
【化6】

の末端アミノ酸残基(式中、R7は−OH、−OR9又は−NHR10であり、R8、R9及びR10は独立してH、直鎖C2〜C10アルキル、分岐C3〜C10アルキル又はベンジルを表す)を表し、
Bは直接結合、二価、三価又は四価の結合を有する基であり、好ましくは−O−、−NH−、−N(C1-5アルキル)−、アミノ酸残基(好ましくは天然)、ジオール、トリオール、ジアミン、トリアミン、アミノアルコール又は1〜6個の炭素原子を含むヒドロキシ酸から選択され、
Dは、H、直鎖C2〜C10アシル、分岐C3〜C10アシル又はピログルタメートを表し、
疎水性基Gはそれぞれ互いに独立して
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含むことができる直鎖又は分岐C8〜C30アルキル、或いは
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含むことができるC8〜C30アルキルアリール又はアリールアルキル、或いは
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含むことができるC8〜C30(多)環式基から選択され、
1は、以下の群:
−NH−(CH2w−NH3+、Z-(wは2〜6、好ましくはwは4に等しい)、
−NH−(CH24−NH−C(=NH)−NH3+、Z-
−O−(CH22−NH3+、Z-
−O−(CH22−N+(CH33、Z-
式:
【化7】

のアミノ酸残基又はアミノ酸誘導体(式中、Xは酸素原子又は−NH−であり、R12はH、直鎖C2〜C10アルキル、分岐C3〜C10アルキル又はベンジルであり、R13は−(CH24−NH3+、Z-、−(CH23−NH−C(=NH)−NH3+、Z-、−(CH23−NH3+、Z-から選択され、対アニオンZ-はクロライド、サルフェート、ホスフェート又はアセテート、好ましくはクロライドであり、
3は、ヒドロキシエチルアミノ−、ジヒドロキシプロピルアミノ、アルキレングリコール残基、ポリオキシアルキレングリコール又は式:
【化8】

(式中、R10は、−H、−CO2H、アルキルエステル(好ましくは−COOMe又は−COOEt)、−CH2OH、−C(=O)−NH2、−C(=O)−NH−CH3又は−C(=O)−N(CH32を表す)の基を表し、
p、q、r及びsは正の整数であり、q、r及びsはゼロであってもよく、
重合度DPである(p+q+r+s)は10〜1000、特には20〜500、好ましくは30〜500であり、
疎水性基Gのモルグラフト率(p)/(p+q+r+s)は2〜99モル%、好ましくは3〜50%であり、ただし各コポリマー鎖は少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの疎水性基を有し、
カチオン性基のモルグラフト率(q)/(p+q+r+s)は0〜98モル%であり、
中性基のモルグラフト率(r)/(p+q+r+s)は0〜98モル%であり、
アニオン性基のモルグラフト率(s)/(p+q+r+s)は0〜98モル%であり、
鎖の全体的な電荷レベルQ=(q−s)/(p+q+r+s)は正又は負になり得て、
一般式Iのモノマーの鎖形成はランダム、ブロック又はマルチブロックタイプである。
【0135】
このようなポリマーは特に、文献PCT/EP2008/055507に詳細に記載されており、その内容は参照により組み込まれる。その合成についての更なる詳細については、文献FR0207008、FR0350190の参照が役立つ。
【0136】
上記の一般式(I)は、配列(sequenced)(又はブロック)コポリマーしか表さないと解釈されるべきではなく、ランダムコポリマー又はマルチブロックコポリマーも表す。
【0137】
本発明のポリマーの「薬学的に許容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」という表現は、対イオンがポリマーのイオン化された官能基と結合した全てのポリマーを意味する。正の電荷と負の電荷が同時に存在する特定の構造の場合、電荷の完全な又は部分的な中和があると想定することもできる。同等数の正の電荷と負の電荷とを有する(等電点)ポリマーは、対アニオン又は対カチオンがなくても存在することができる。
【0138】
好ましくは、疎水性基G、アニオン性基及びカチオン性基は、ペンダント基としてランダムに配置される。
【0139】
好ましくは、疎水性基Gは、以下の群:オクチルオキシ−、ドデシルオキシ−、テトラデシルオキシ−、ヘキサデシルオキシ−、オクタデシルオキシ−、9−オクタデセニルオキシ−、トコフェリルオキシ−又はコレステリルオキシ−から選択され、その場合、Bは直接結合である。
【0140】
本発明に極めてよく適しているのは、一般式Iに対応する一般式I’の化合物であり、この式I’において
Aは−NH2を表し、
Bは直接結合であり、
DはH又はピログルタメートを表し、
疎水性基Gはそれぞれ互いに独立してオクチルオキシ−、ドデシルオキシ−、テトラデシルオキシ−、ヘキサデシルオキシ−、オクタデシルオキシ−、9−オクタデセニルオキシ−、トコフェリルオキシ−又はコレステリルオキシ−から選択され、
3は、ヒドロキシエチルアミノ−又はジヒドロキシプロピルアミノを表す。
【0141】
一般式Iの化合物は、これらの化合物がそれぞれ有する疎水性、カチオン性及び/又はアニオン性基の化学的性質、またこれらの基のそれぞれにおけるモルグラフト率に応じて区別することができる。
【0142】
更に、カチオン性及び/又はアニオン性基におけるグラフトの割合に関し、一般式Iの化合物は、中性pHでアニオン性、中性又はカチオン性になり得る。
【0143】
したがって、第1の変形実施形態において、化合物は一般式I又はI’によって表され、
(p+q+r+s)は20〜250、好ましくは50〜225であり、
(p)/(p+q+r+s)は好ましくは4〜30%であり(ただし、各コポリマー鎖は少なくとも2つの疎水性基を有する)、
(q)/(p+q+r+s)は10%以上であり、
(r)/(p+q+r+s)は10%以上であり、
(s)/(p+q+r+s)は10%以上であり、
Q=(q−s)/(p+q+r+s)は、正の場合、+20%〜+60%であり、負の場合、−20%未満である。
【0144】
第2の変形実施形態において、化合物は一般式I又はI’によって表され、
(p+q+r+s)は20〜250、好ましくは50〜225であり、
(p)/(p+q+r+s)は好ましくは4〜30%であり(ただし、各コポリマー鎖は少なくとも2つの疎水性基を有する)、
(q)/(p+q+r+s)は10〜80%、好ましくは10〜60%であり、
(r)/(p+q+r+s)は10%以上であり、
(s)/(p+q+r+s)は15%未満である。
【0145】
第3の変形実施形態において、化合物は一般式I又はI’によって表され、
(p+q+r+s)は20〜250、好ましくは50〜225であり、
(p)/(p+q+r+s)は好ましくは4〜30%であり(ただし、各コポリマー鎖は少なくとも2つの疎水性基を有する)、
(q)/(p+q+r+s)は10%以上であり、
(r)/(p+q+r+s)は5%未満であり、
(s)/(p+q+r+s)は10%より高く、
Q=(q−s)/(p+q+r+s)は、正の場合、+20%〜+60%であり、負の場合、−20%未満である。
【0146】
第4の変形実施形態において、化合物は一般式I又はI’によって表され、
(p+q+r+s)は20〜250、好ましくは50〜225であり、
(p)/(p+q+r+s)は好ましくは4〜30%であり(ただし、各コポリマー鎖は少なくとも2つの疎水性基を有する)、
(q)/(p+q+r+s)は1%未満であり、
(r)/(p+q+r+s)は1%未満である。
【0147】
特定の実施形態において、DPが70〜130、(p)/(p+q+r+s)比が7〜13%、(q)/(p+q+r+s)比が30〜50%、(r)/(p+q+r+s)比が40〜60%、(s)/(p+q+r+s)比が1%未満である上記の第2の変形実施形態のポリマーは、ポリマーPOMとして本発明に特によく適している。
【0148】
特に、10%をビタミンE、40%をアルギニン、50%をエタノールアミンにカチオングラフトさせたポリグルタメートが適切である。
【0149】
別の特定の実施形態において、(p)/(p+q+r+s)比が15〜25%であり、DPが150〜250又は70〜130である上記の第4の変形実施形態のポリマーは、ポリマーPOMとして本発明に特によく適している。
【0150】
特定の例は、ビタミンEと20%グラフトさせたポリグルタメートである。
【0151】
POMと有効成分との結合
1種以上の有効成分と本発明のポリマーPOM、より具体的には本発明の変性ポリアミノ酸とを結合するための技法は、特に特許US6630171に記載のものと同様である。
【0152】
タンパク質、ペプチド又は小分子等の有効成分は、ポリアミノ酸タイプのポリマーPOMと自発的に結合することができる。小分子とは、質量が1000Da未満の有機分子を意味する。
【0153】
この結合は純粋に物理的なものであり、有効成分とポリマーとの間での共有結合の形成を伴わない。
【0154】
理論によって拘束されるものではないが、この非特異的な結合は、疎水的及び/又は静電相互作用、ポリマーと有効成分との間での水素結合及び/又はポリマーによる有効成分の立体封入によって達成されると考えることができる。有効成分をナノ粒子と、ペプチド性の又は抗原/抗体又は酵素/基質タイプの特異的受容体によって結合する必要はなく、また多くの場合望ましくさえないことに留意されたい。
【0155】
得られた粒子の化学的架橋の工程は設けられない。化学的架橋がないことによって、有効成分を含有している粒子の架橋工程中での有効成分の化学分解の回避が可能になる。このような架橋は実際、一般に、重合性の実体の活性化によって行われ、紫外線照射、又はグルタルアルデヒド等の変性を引き起こす可能性がある物質が関わってくる。
【0156】
有効成分とポリマーPOMとの結合は特に、以下の実施形態に従って行うことができる。
【0157】
第1の実施形態において、有効成分は水溶液に溶解させられ、ポリマーPOMの水性懸濁液と混合させられる。
【0158】
第2の実施形態において、粉末の形態の有効成分を、ポリマーPOMの水性懸濁液中に分散させ、均質で澄んだ懸濁液が得られるまで混合物を攪拌する。
【0159】
第3の実施形態において、ポリマーPOMを粉末の形態で有効成分の水溶液中に導入する。
【0160】
第4の実施形態において、有効成分及び/又はポリマーを、水と混和性の有機溶媒(エタノール、又はイソプロパノール等)を含有している溶液に溶解させる。次に、上記の実施形態1〜3の手順に従う。任意で、この溶媒を、透析又は当業者に既知のその他の技法によって除去することができる。
【0161】
これらの実施形態の全てに関して、超音波又は温度の上昇の利用による有効成分とポリマーPOMとの相互作用の促進が有利になる可能性がある。
【0162】
AI/POM混合物を中性球体タイプの中性基体に適用することが望ましい場合、以下の手順に従うことができる。
【0163】
中性コア上に堆積される層の接着性を確保することが意図された慣用の結合剤を、有効成分とポリマーPOMとの均質な混合物に添加する。
【0164】
このような結合剤は特には、Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology,Dilip M.Parikh ed.,Marcel Dekker Inc.,New York,1997中の、Khankari R.K.らのBinders and Solventsにおいて提案されている。
【0165】
以下のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース(MC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、結合剤として本発明に特によく適している。
【0166】
次に、対応する混合物の堆積を、当業者に既知の標準的な技法によって行う。これは特に、有効成分を担持させたナノ粒子の、結合剤、任意のその他の化合物を含有しているコロイド懸濁液の流動層中の支持体上への噴霧を伴う場合がある。
【0167】
当然のことながら、有効成分/ポリマーPOM質量比は、考慮される有効成分の用量に応じて大きく異なる可能性がある。
【0168】
より具体的には、この比は、0.1〜300質量%、1〜100質量%又は5〜80質量%である。
【0169】
有効成分
本発明で考慮される有効成分は有利には、動物又はヒトに経口で投与可能な生理学的に活性な化合物である。
【0170】
本発明のポリアミノ酸と結合し得る有効成分の例として、非限定的な実例として
タンパク質、例えばインシュリン、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポエチン又はサイトカイン、
糖タンパク質、
1種以上のポリアルキレングリコール鎖に連結されるタンパク質(好ましくは、ポリエチレングリコール(PEG):ペグ化タンパク質)、
ペプチド、
多糖類、
リポ糖類、
オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド及び
これらの混合物
を挙げることができる。
【0171】
一般的なやり方において、有効成分はいずれの治療用又は化粧用有効成分であっても、すなわち上記のものとは異なる有効成分であってもよい。本発明の意味において、能動的な薬学的用途のための粒子状経口剤形は、ヒト及び動物の両方の治療に関係する。
【0172】
好ましくは、有効成分は、タンパク質又はペプチドを含む群から選択される。
【0173】
特定の好ましい実施形態において、有効成分はインシュリンである。
【0174】
本発明は、本発明の微粒子状経口剤形から発展させた新規の医薬製剤又は食事療法用の製剤にも関係する。
【0175】
したがって、この粒子状の剤形を、粉末、懸濁液、錠剤又はゼラチンカプセルの形態で提示することができる。
【0176】
ある変形実施形態において、経口剤形は、有効成分及び/又はこの有効成分に結合したPOMの性質が異なる少なくとも2つのタイプのナノ粒子を含むことができる。
【0177】
先行の変形実施形態と組み合わせることもできる更に別の変形において、経口剤形は、コーティング層及び/又は取り込まれている有効成分の性質が互いに異なる少なくとも2つのタイプの微粒子を組み合わせることができる。
【0178】
最後に、本発明は、既定の治療量に従った、上記で定義されたようなマイクロカプセルを含む薬物の経口摂取から成る治療方法にも関する。
【0179】
本発明は、単なる実例として挙げられた以下の実施例によってより良く説明される。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、実施例1の微粒子からのカルベジロールの試験管内放出プロファイルを表し、一方はポリマーPOMと結合していない遊離カルベジロールの放出プロファイルであり(+)、もう一方は、全カルベジロール、すなわち遊離カルベジロール及びPOMと結合したカルベジロールの放出プロファイルであり(◆)、3時間に亘る0.1NのHCl媒質中、次に5Nのソーダ及びリン酸カリウムの添加による媒質のpH及び塩分の調節後のpH=7.0の0.05Mの媒質中での時間T(時間)対する放出プロファイルである。
【図2】図2は、実施例3の微粒子からのインシュリンの試験管内放出プロファイルを表し、一方はPOMと結合していない遊離インシュリンの放出プロファイルであり(+)、もう一方は、全インシュリン、すなわち遊離インシュリン及びPOMと結合したインシュリンの放出プロファイルであり(◆)、3時間に亘る0.1NのHCl媒質中、次に5Nのソーダ及びリン酸カリウムの添加による媒質のpH及び塩分の調節後のpH=7.0の0.05Mの媒質中での時間T(時間)に対する放出プロファイルである。
【図3】図3は、実施例5の微粒子からのインシュリンの試験管内放出プロファイルを表し、2時間に亘る0.1NのHCl媒質中、次に5Nのソーダ及びリン酸カリウムの添加による媒質のpH及び塩分の調節後のpH=6.8の0.05Mの媒質中での時間T(時間)に対する放出プロファイルである。
【図4】図4は、実施例7の微粒子からのカルベジロールの試験管内放出プロファイルを表し、3時間に亘る0.1NのHCl媒質中、次に5Nのソーダ及びリン酸カリウムの添加による媒質のpH及び塩分の調節後のpH=6.8の0.05Mの媒質中での時間T(時間)に対する放出プロファイルである。
【実施例】
【0181】
実施例1
ビタミンEに20%グラフトされた重合度約100のポリグルタメートと結合したカルベジロール塩基の微粒子の調製及び処方
工程1:カルベジロール塩基とビタミンEに20%グラフトされた重合度約100のポリグルタメートポリマー(pGlu−VE 100−20)との結合物の調製
式Iから、このポリマーPOMは、p+q+r+s=100、p=20、q=0、r=0及びs=80によって特徴づけられる。
【0182】
1.21gのカルベジロール塩基を、250mlのガラスフラスコに導入する。133.29gのpGlu−VE 100−20の水溶液(pH=7.0、90mg/gに濃縮)を添加する。調合物を、カルベジロール塩基が完全に溶解するまで(すなわち、未可溶のカルベジロール塩基粉末が消失するまで)外界温度の超音波浴内に入れる。カルベジロール塩基の溶解後、完全に澄んだ溶液が得られる。
【0183】
工程2:顆粒の調製(コーティング工程)
12.5gのショ糖(Tereos社のCompressuc PS)及び6.3gのポビドン(ISP社のPlasdone K29/32)を、工程1で調製したpGlu−VE 100−20と結合させたカルベジロール塩基の134.5gの溶液が入った250mlのガラスフラスコ内にマグネチックスターラで攪拌しながら導入する。ショ糖の結晶及びポビドン粉末が一旦溶解したら、溶液を、底部噴霧構成(コーティング溶液を、粒子層の底部に位置するノズルから噴霧する)のMiniGlatt流動層内の38.0gのセルロース球体(旭化成)上に噴霧する。噴霧後、得られた生成物を630μmの篩で篩過する。次に、630μm未満のサイズの70.5gの顆粒を回収する。
【0184】
Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instruments社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー回折によって測定されるその体積平均直径は、536μmである。
【0185】
580mgの顆粒を、100mlの0.05Mのリン酸カリウム媒質(pH=7.0)を入れたビーカーに導入して懸濁液中のポリマーPOM濃度約1mg/mlを得る。この懸濁液を、外界温度で2時間に亘ってマグネチックスターラの攪拌棒で攪拌する。次に10mlの懸濁液を取り出し、孔径0.45μmのAcrodiscフィルタ上で濾過する。その時、濾液中に浮遊しているナノ粒子の流体力学的直径は(ALV社の装置CGS−3を使用した角度90°での光の拡散によって強度モードで求められる)14nmである。
【0186】
工程3:コーティング相
工程2で調製した45.00gの顆粒を、MiniGlatt流動層内で、78℃の135.3gのイソプロパノールに溶解させた9.00gのメタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー(Evonik社のEudragit L100−55)及び6.00gの水素化綿実油(JRS Pharma社のLubritab)でコーティングする。噴霧後、57.90gの微粒子が得られる。Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instruments社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー回折によって測定されるその体積平均直径は、600μmである。
【0187】
したがって、工程2中に調製された顆粒上に堆積されるコーティングの平均厚さは、上記の工程2で得られた顆粒及び工程3で得られた微粒子について求めた体積平均直径から計算したところ、32μmである。
【0188】
実施例2
試験管内溶解試験
実施例1で調製した微粒子の試験管内の放出動態を、37℃±0.5℃、900mlの0.1NのHCl媒質内で3時間に亘って評価し、次に5Nのソーダ及びリン酸カリウムの添加による媒質のpH及び塩分の調節後、pH=7.0の900mlの0.05Mの媒質において評価する。溶解試験は、USPタイプIIパドル装置で行われる。パドルの回転速度は100rpmである。
【0189】
より正確には、溶解媒質中に存在する一方の遊離カルベジロール(すなわち、pGlu−VE 100−20と結合していない)ともう一方の総カルベジロール(すなわち、遊離カルベジロール及びpGlu−VE 100−20と結合しているカルベジロール)の量は、HPLC液体クロマトグラフィによって経時的に監視される。これを目的として、各試料採取時間で、溶解媒質の試料を一方では直接HPLC液体クロマトグラフィで分析して総カルベジロールの割合を求め、もう一方では、濾液をHPLCで分析する前に、限外濾過によって処理してカルベジロール遊離塩基の割合を求める。
【0190】
試験結果を図1に示す。
【0191】
図1及び以下の表1から、媒質のpH及び塩分の調節後に溶解媒質中で放出されるカルベジロールの殆どがpGlu−VE 100−20と結合することが注目される。
【0192】
【表1】

【0193】
実施例3
pGlu−VEポリマーと結合したインシュリンの微粒子の調製及び処方
工程1:インシュリンとビタミンEに20%グラフトされた重合度約100のポリグルタメートポリマー(pGlu−VE 100−20)との結合物の調製
2.40gのインシュリン(Biocon社)を、250mlのガラスフラスコに導入する。133.7gのpGlu−VE 100−20の水溶液(90mg/gに濃縮)を添加する。調合物を、インシュリンが完全に溶解するまで外界温度の超音波浴内に入れる。インシュリンの溶解後、完全に澄んだ溶液が得られる。
【0194】
工程2:顆粒の調製(コーティング工程)
12.00gのショ糖(Tereos社のCompressuc PS)及び6.60gのポビドン(ISP社のPlasdone K29/32)を、上で調製したpGlu−VE 100−20と結合させたインシュリンの136.1gの溶液が入った250mlのガラスフラスコ内にマグネチックスターラで攪拌しながら導入する。ショ糖の結晶及びポビドン粉末が一旦溶解したら、溶液を、底部噴霧構成(コーティング溶液を、粒子層の底部に位置するノズルから噴霧する)の流動層内の38.00gのセルロース球体(旭化成)上に噴霧する。噴霧後、得られた生成物を630μmの篩で篩過する。次に、630μm未満のサイズの66.2gの顆粒を回収する。
【0195】
Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instruments社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー回折によって測定されるその体積平均直径は、535μmである。
【0196】
580mgの顆粒を、100mlの0.05Mのリン酸カリウム媒質(pH=7.0)を入れたビーカーに導入して懸濁液中のポリマーPOM濃度約1mg/mlを得る。この懸濁液を、外界温度で2時間に亘ってマグネチックスターラの攪拌棒で攪拌する。次に10mlの懸濁液を取り出し、孔径0.45μmのAcrodiscフィルター上で濾過する。ナノ粒子の流体力学的直径は(Malvern Instruments社の装置CGS−3を使用した角度90°での光の拡散によって強度モードで求められる)12nmである。
【0197】
工程3:コーティング相
上で調製した36.06gの顆粒を、MiniGlatt流動層内で、78℃の108.34gのイソプロパノールに溶解させた7.20gのメタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー(Evonik社のEudragit L100−55)及び4.80gの水素化綿実油(JRS Pharma社のLubritab)でコーティングする。噴霧後、46.30gの微粒子が得られる。Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instruments社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー回折によって測定されるその体積平均直径は、623μmである。
【0198】
したがって、工程2中に調製された顆粒上に堆積されるコーティングの平均厚さは、上記の工程2で得られた顆粒及び工程3で得られた微粒子について求めた体積平均直径から計算したところ、44μmである。
【0199】
実施例4
試験管内溶解試験
実施例3で調製した微粒子の試験管内の放出動態を、37℃±0.5℃、900mlの0.1NのHCl媒質内で3時間に亘って監視し、次に5Nのソーダ及びリン酸カリウムの添加による媒質のpH及び塩分の調節後、pH=7.0の900mlの0.05Mの媒質において監視する。溶解試験は、USPタイプIIパドル装置で行われる。パドルの回転速度は100rpmである。
【0200】
より正確には、溶解媒質中に存在する一方の遊離インシュリン(すなわち、ポリマーpGlu−VE 100−20と結合していない)ともう一方の総インシュリン(すなわち、遊離インシュリン及びポリマーpGlu−VE 100−20と結合しているインシュリン)の量は、HPLC液体クロマトグラフィによって経時的に監視される。これを目的として、試料を採取するたびに、溶解媒質の試料を一方では直接HPLC液体クロマトグラフィで分析して総インシュリンの割合を求め、もう一方では、濾液をHPLCで分析する前に、限外濾過によって処理して遊離インシュリンの割合を求める。
【0201】
試験結果を図2に示す。
【0202】
図2及び以下の表2から、媒質のpH及び塩分の調節後に溶解媒質中で放出されるインシュリンの殆どがポリマーpGlu−VE 100−20と結合することが注目される。
【0203】
【表2】

*許容範囲の実験誤差限界に従う
【0204】
実施例5
pGlu−VE−Arg−EAカチオン性ポリマーと結合したインシュリンの微粒子の調製
工程1:インシュリンとビタミンEに10%、アルギニンに40%、エタノールアミンに50%グラフトされたカチオン性ポリグルタメートポリマーとの結合物の調製
式Iから、このポリマーPOMは、p+q+r+s=100、p=10、q=40、r=50及びs=0によって特徴づけられる。
【0205】
0.604gのインシュリン(Biocon社)を、250mlのガラスフラスコに導入する。133.3gのビタミンEに10%、アルギニンに40%、エタノールアミンに50%グラフトさせたポリグルタメートポリマーの水溶液(pH=5.9、79.4mg/gに濃縮)を添加する。調合物を、インシュリンが完全に溶解するまで(すなわち、未可溶のインシュリン粉末が消失するまで)外界温度の超音波浴内に入れる。インシュリンの溶解後、完全に澄んだ溶液が得られる。
【0206】
工程2:顆粒の調製(コーティング工程)
6.0gのショ糖(Tereos社のCompressuc PS)及び4.4gのポビドン(ISP社のPlasdone K29/32)を、上で調製したビタミンEに10%、アルギニンに40%、エタノールアミンに50%グラフトさせたポリグルタメートと結合させたインシュリンの151.18gの溶液が入った250mlのガラスフラスコ内にマグネチックスターラで攪拌しながら導入する。ショ糖の結晶及びポビドン粉末が一旦溶解したら、溶液を、底部噴霧構成(コーティング溶液を、粒子層の底部に位置するノズルから噴霧する)のMiniGlatt流動層内の33.00gのセルロース球体(旭化成)上に噴霧する。噴霧後、得られた生成物を710μmの篩で篩過する。次に、710μm未満のサイズの37.4gの顆粒を回収する。Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instruments社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー回折によって強度モードで測定されるその体積平均直径は、531μmである。
【0207】
95.8mgの顆粒を、20mlの0.05Mのホスフェート媒質(pH=6.8)を入れたビーカーに導入して懸濁液中のポリマーPOM濃度約1mg/mlを得る。この懸濁液を、外界温度で2時間に亘ってマグネチックスターラの攪拌棒で攪拌する。次に懸濁液を取り出し、孔径0.45μmのAcrodiscフィルター上で濾過する。その時、濾液中に浮遊しているナノ粒子の流体力学的半径は(Malvern Instruments社の装置CGS−3を使用した角度90°での光の拡散によって強度モードで求められる)6nmである。
【0208】
インシュリンとの結合前のビタミンEと10%、アルギニンと40%、エタノールアミンと50%グラフトさせたポリグルタメートの、ナノ粒子のMalvern Instruments社の装置CGS−3を使用して角度90°での光の拡散によって求めた流体力学的半径は7nmであることに留意すべきである。この溶液の濃度は、測定前にPOMポリマー中で1mg/mlに調節された。
【0209】
工程3:コーティング相
上で調製した30.0gの顆粒を、MiniGlatt流動層内で、78℃の90.47gのイソプロパノールに溶解させた2.0gのメタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー(Evonik社のEudragit L100−55)、4.0gのメタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー(Evonik社のEudragit S100)及び4.0gの水素化綿実油(JRS Pharma社のLubritab)でコーティングする。噴霧後、39.7gの微粒子が得られる。Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instruments社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー回折によって測定されるその体積平均直径は、588μmである。
【0210】
したがって、工程2中に調製された顆粒上に堆積されるコーティングの平均厚さは、上記の工程2で得られた顆粒及び工程3で得られた微粒子について求めた体積平均直径から計算したところ、28.5μmである。
【0211】
実施例6
試験管内溶解試験
実施例5で調製した微粒子の試験管内の放出動態を、37℃±0.5℃、500mlの0.1NのHCl媒質内で2時間に亘って監視し、次に5Nのソーダ及びリン酸カリウムの添加による媒質のpH及び塩分の調節後、pH=6.8の500mlの0.05Mの媒質において監視する。溶解媒質の各試料を、直接HPLCクロマトグラフィで分析して溶解媒質に溶解しているインシュリンの割合を求める。溶解試験は、USPタイプIIパドル装置で行われる。パドルの回転速度は100rpmである。
【0212】
試験結果を図3に示す。
【0213】
媒質のpH及び塩分の調節後に、インシュリンの全用量が溶解媒質中で放出されることに留意すべきである。
【0214】
実施例7
pGlu−VEポリマーと結合したカルベジロール塩基の微粒子の調製
工程1:カルベジロール塩基とビタミンEに10%グラフトさせたpGlu−VEポリマーとの結合物の調製
式Iから、このポリマーPOMは、p+q+r+s=100、p=10、q=0、r=0及びs=90によって特徴づけられる。
【0215】
1.01gのカルベジロール塩基を、250mlのガラスフラスコに導入する。151.2gのビタミンEに10%グラフトさせたポリグルタメートポリマーの水溶液(pH=6.9、52.8mg/gに濃縮)を添加する。調合物を、カルベジロール塩基が完全に溶解するまで(すなわち、未可溶のカルベジロール塩基粉末が消失するまで)外界温度の超音波浴内に入れる。カルベジロール塩基の溶解後、完全に澄んだ溶液が得られる。
【0216】
工程2:顆粒の調製(コーティング工程)
4.00gのショ糖(Tereos社のCompressuc PS)及び3.03gのポビドン(ISP社のPlasdone K29/32)を、上で調製したビタミンEに10%グラフトさせたポリグルタメートと結合させたカルベジロール塩基の152.2gの溶液が入った250mlのガラスフラスコ内にマグネチックスターラで攪拌しながら導入する。ショ糖の結晶及びポビドン粉末が一旦溶解したら、溶液を、底部噴霧構成(コーティング溶液を、粒子層の底部に位置するノズルから噴霧する)のMiniGlatt流動層内の30.00gのセルロース球体(旭化成)上に噴霧する。噴霧後、得られた生成物を630μmの篩で篩過する。次に、630μm未満のサイズの46.0gの顆粒を回収する。Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instruments社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー回折によって測定されるその体積平均直径は、497μmである。
【0217】
300mgの顆粒を、50mlの0.05Mのホスフェート媒質(pH=6.8)を入れたビーカーに導入して懸濁液中のポリマーPOM濃度約1mg/mlを得る。この懸濁液を、外界温度で2時間に亘ってマグネチックスターラの攪拌棒で攪拌する。次に10mlの懸濁液を取り出し、孔径0.45μmのAcrodiscフィルター上で濾過する。その時、濾液中に浮遊しているナノ粒子の流体力学的半径は(Malvern Instruments社の装置CGS−3を使用した角度90°での光の拡散によって強度モードで求められる)18nmである。
【0218】
工程3:コーティング相
上で調製した36.00gの顆粒を、MiniGlatt流動層内で、78℃の108.78gのイソプロパノールに溶解させた3.85gのメタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー(Evonik社のEudragit L100−55)、2.17gのメタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー(Evonik社のEudragit S100)及び6.00gの水素化綿実油(JRS Pharma社のLubritab)でコーティングする。噴霧後、44.8gの微粒子が得られる。Sirocco2000乾式モジュールを備えたMalvern Instruments社の装置Mastersizer2000を使用したレーザー回折によって測定されるその体積平均直径は、571μmである。
【0219】
したがって、工程2中に調製された顆粒上に堆積されるコーティングの平均厚さは、上記の工程2で得られた顆粒及び工程3で得られた微粒子について求めた体積平均直径から計算したところ、37μmである
【0220】
実施例8
試験管内溶解試験
実施例7で調製した微粒子の試験管内の放出動態を、UV分光分析によって37℃±0.5℃、900mlの0.1NのHCl内で3時間に亘って監視し、次に媒質のpH及び塩分の調節後、pH=6.8、0.05Mのリン酸カリウムにおいて監視する。溶解試験は、USPタイプIIパドル装置で行われる。パドルの回転速度は100rpmである。
【0221】
得られたプロファイルを図4に示す。
【0222】
媒質のpH及び塩分の調節後、カルベジロール塩基が溶解媒質中で全て放出されることに留意すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有効成分をコンディショニングし、またpH及び/又は時間に応じて制御された放出プロファイルに沿ってこの有効成分を生体内で放出するのに有用な微粒子状経口剤形であって、
少なくともその有効成分を含有し且つその有効成分の放出プロファイルに影響を与える少なくとも1つのコーティング層でコーティングされたコアを有する微粒子を少なくとも含み、
コーティング層が、少なくとも1種の疎水性化合物Bと組み合わされた、5〜7のpH範囲内の可溶化pH値を有する少なくとも1種のポリマーAを含む材料から形成され、
微粒子のコア中に存在する有効成分が、少なくとも1種のポリマーPOMから形成されたナノ粒子と少なくとも部分的に非共有結合的に結合し、ポリマーが、1つ以上の疎水性基(G)を有する親水性炭化水素鎖又は両親媒性炭化水素鎖を含むことを特徴とする微粒子状経口剤形。
【請求項2】
ポリマーPOMが、水性媒質、特には水中に分散させられた場合に自発的にナノ粒子を形成することができる、請求項1に記載の経口剤形。
【請求項3】
有効成分と非共有結合的に結合したナノ粒子を、支持された形態で使用する、請求項1又は2に記載の経口剤形。
【請求項4】
微粒子のサイズが2000μm未満、特には100〜1000μm、特には100〜800μm、特には100〜500μm未満である、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項5】
ナノ粒子のサイズが1〜1000nm、特には5〜500nm、特には10〜300nm、とりわけ10〜100nmである、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項6】
コーティング層が、25μm以上、好ましくは30μm以上又は35μm以上でさえある平均厚さを有する、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項7】
腸内又は同様の媒質内に存在する場合、含有しているナノ粒子を24時間未満、特には12時間未満、特には6時間未満、特には2時間未満又は1時間未満でさえ放出可能である、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項8】
炭化水素鎖が、ポリアミノ酸、例えばデキストランサルフェート、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリガラクツロン酸、ポリグルクロン酸などのアニオン性多糖類、例えばキトサン、コラーゲン及びそのゼラチンタイプ誘導体などのカチオン性多糖類から成る群から選択される、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項9】
炭化水素鎖が、α−ペプチド鎖が形成された線状ポリアミノ酸によって形成される、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項10】
ポリマーPOMが少なくとも2つのタイプの反復アミノ酸AAN及びAAIを含むポリアミノ酸であって、
タイプAANが中性疎水性アミノ酸に対応し、
タイプAAIがイオン化可能な側鎖を有するアミノ酸に対応し、タイプAAIの反復アミノ酸の少なくとも一部がイオン化された形態であり、
各タイプAAN、AAIの反復アミノ酸が同一又は互いに異なり、
ポリアミノ酸の質量基準によるモル質量が2500D以上、特には4000D以上、好ましくは5000D以上である、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項11】
ポリマーPOMが、アスパラギン酸単位及び/又はグルタミン酸単位によって形成されたポリアミノ酸であって、これらの単位の少なくとも一部が、少なくとも1つの疎水性基(G)を含むグラフトを有する、請求項1〜9のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項12】
炭化水素鎖が、α−L−グルタメート又はα−L−グルタミン酸ホモポリマーによって構成される、請求項1〜9及び11のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項13】
炭化水素鎖が、α−L−アスパルテート又はα−L−アスパラギン酸ホモポリマーによって構成される、請求項1〜9及び11のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項14】
炭化水素鎖が、α−L−アスパルテート/α−L−グルタメート又はα−L−アスパラギン酸/α−L−グルタミン酸コポリマーによって構成される、請求項1〜9及び11のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項15】
ポリマーPOMが、同一又は異なる少なくとも複数のペンダント疎水性基(G)を含むポリヒドロキシアルキルグルタミンである、請求項1〜9及び11又は12のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項16】
ポリマーPOMとして以下の式(I)の少なくとも1種の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の1つを含み、
【化1】

式中、
Aが独立して
RNH−(式中、RはH、直鎖C2〜C10アルキル、分岐C3〜C10アルキル又はベンジルを表す)、
式:
【化2】

の末端アミノ酸残基(式中、R7は−OH、−OR9又は−NHR10であり、R8、R9及びR10は独立してH、直鎖C2〜C10アルキル、分岐C3〜C10アルキル又はベンジルを表す)を表し、
Bが直接結合、二価、三価又は四価の結合を有する基であり、好ましくは−O−、−NH−、−N(C1-5アルキル)−、アミノ酸残基、ジオール、トリオール、ジアミン、トリアミン、アミノアルコール又は1〜6個の炭素原子を含むヒドロキシ酸から選択され、
Dが、H、直鎖C2〜C10アシル、分岐C3〜C10アシル又はピログルタメートを表し、
疎水性基Gがそれぞれ互いに独立して
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含むことができる直鎖又は分岐C8〜C30アルキル、或いは
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含むことができるC8〜C30アルキルアリール又はアリールアルキル、或いは
任意で少なくとも1つの不飽和及び/又は少なくとも1つのヘテロ原子(好ましくはO及び/又はN及び/又はS)を含むことができるC8〜C30(多)環式基から選択され、
好ましくは以下の群:オクチルオキシ−、ドデシルオキシ−、テトラデシルオキシ−、ヘキサデシルオキシ−、オクタデシルオキシ−、9−オクタデセニルオキシ−、トコフェリルオキシ−又はコレステリルオキシ−から選択され、その場合、Bは直接結合であり、
1が、以下の群:
−NH−(CH2w−NH3+、Z-、wは2〜6、好ましくはwは4に等しく、
−NH−(CH24−NH−C(=NH)−NH3+、Z-
−O−(CH22−NH3+、Z-
−O−(CH22−N+(CH33、Z-
式:
【化3】

のアミノ酸残基又はアミノ酸誘導体(式中、Xは酸素原子又は−NH−であり、R12はH、直鎖C2〜C10アルキル、分岐C3〜C10アルキル又はベンジルであり、R13は−(CH24−NH3+、Z-、−(CH23−NH−C(=NH)−NH3+、Z-、−(CH23−NH3+、Z-)から選択され、対アニオンZ-がクロライド、サルフェート、ホスフェート又はアセテート、好ましくはクロライドであり、
3が、ヒドロキシエチルアミノ−、ジヒドロキシプロピルアミノ、アルキレングリコール残基、ポリオキシアルキレングリコール又は式:
【化4】

(式中、R10は、−H、−CO2H、アルキルエステル(好ましくは−COOMe又は−COOEt)、−CH2OH、−C(=O)−NH2、−C(=O)−NH−CH3又は−C(=O)−N(CH32を表す)の基を表し、
p、q、r及びsが正の整数であり、q、r及びsはゼロであってもよく、
(p+q+r+s)が10〜1000、特には20〜500、好ましくは30〜500であり、
疎水性基Gのモルグラフト率(p)/(p+q+r+s)が2〜99モル%、好ましくは3〜50%であり、ただし各コポリマー鎖が少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの疎水性基を有し、
カチオン性基のモルグラフト率(q)/(p+q+r+s)が0〜98モル%であり、
中性基のモルグラフト率(r)/(p+q+r+s)が0〜98モル%であり、
アニオン性基のモルグラフト率(s)/(p+q+r+s)が0〜98モル%であり、
鎖の全体的な電荷レベルQ=(q−s)/(p+q+r+s)が正又は負になり得て、
一般式Iのモノマーの鎖形成がランダム、モノブロック又はマルチブロックタイプであることを特徴とする、請求項1〜9及び11、12又は13のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項17】
Aが−NH2を表し、
Bが直接結合であり、
DがH又はピログルタメートを表し、
疎水性基Gがそれぞれ互いに独立してオクチルオキシ−、ドデシルオキシ−、テトラデシルオキシ−、ヘキサデシルオキシ−、オクタデシルオキシ−、9−オクタデセニルオキシ−、トコフェリルオキシ−又はコレステリルオキシ−から選択され、
3が、ヒドロキシエチルアミノ−又はジヒドロキシプロピルアミノを表す、先行の請求項に記載の経口剤形。
【請求項18】
(p+q+r+s)が20〜250、好ましくは50〜225であり、
(p)/(p+q+r+s)が好ましくは4〜30%であり、ただし、各コポリマー鎖が少なくとも2つの疎水性基を有し、
(q)/(p+q+r+s)が10%以上であり、
(r)/(p+q+r+s)が10%以上であり、
(s)/(p+q+r+s)が10%以上であり、
Q=(q−s)/(p+q+r+s)が、正の場合、+20%〜+60%であり、負の場合、−20%未満である、請求項16又は17に記載の経口剤形。
【請求項19】
(p+q+r+s)が20〜250、好ましくは50〜225であり、
(p)/(p+q+r+s)が好ましくは4〜30%であり、ただし、各コポリマー鎖が少なくとも2つの疎水性基を有し、
(q)/(p+q+r+s)が10〜80%、好ましくは10〜60%であり、
(r)/(p+q+r+s)が10%以上であり、
(s)/(p+q+r+s)が15%未満である、請求項16又は17に記載の経口剤形。
【請求項20】
(p+q+r+s)が20〜250、好ましくは50〜225であり、
(p)/(p+q+r+s)が好ましくは4〜30%であり、ただし、各コポリマー鎖が少なくとも2つの疎水性基を有し、
(q)/(p+q+r+s)が10%以上であり、
(r)/(p+q+r+s)が5%未満であり、
(s)/(p+q+r+s)が10%より高く、
Q=(q−s)/(p+q+r+s)が、正の場合、+20%〜+60%であり、負の場合、−20%未満である、請求項16又は17に記載の経口剤形。
【請求項21】
(p+q+r+s)が20〜250、好ましくは50〜225であり、
(p)/(p+q+r+s)が好ましくは4〜30%であり、ただし、各コポリマー鎖が少なくとも2つの疎水性基を有し、
(q)/(p+q+r+s)が1%未満であり、
(r)/(p+q+r+s)が1%未満である、請求項16又は17に記載の経口剤形。
【請求項22】
(p)/(p+q+r+s)比が15〜25%であり、
(q)/(p+q+r+s)が1%未満であり、
(r)/(p+q+r+s)が1%未満であり、
重合度が例えば150〜250又は70〜130である、請求項16又は17又は21に記載の経口剤形。
【請求項23】
基Gの少なくとも1つ、好ましくは全てがトコフェリルオキシ基を形成する、請求項1〜9及び11〜22のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項24】
ポリマーPOMが、10〜1000、30〜500、とりわけ50〜250の重合度DPを有することを特徴とする、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項25】
POMが、グルタメート及び/又はアスパルテート単位に連結されたポリアルキレングリコールタイプの少なくとも1つのグラフトを有することを特徴とする、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項26】
ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコールであり、より具体的にはポリエチレングリコールのグラフトのモルパーセンテージ1〜30%で使用される、先行の請求項に記載の経口剤形。
【請求項27】
ポリマーAが、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、メタクリル酸とエチルアクリレートとのコポリマー、セルロース誘導体、例えばセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートトリメリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、シェラックガム、ポリビニルアセテートフタレート及びこれらの混合物から選択される、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項28】
微粒子のコーティングが、その総質量に対して25〜90質量%、特には30〜80質量%、特には35〜70質量%、40〜60質量%でさえあるポリマーAを含有する、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項29】
疎水性化合物Bが、融点Tfb≧40℃、好ましくはTfb≧50℃、より一層好ましくは40℃≦Tfb≦90℃を有する結晶化された固体状態の生成物から選択される、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項30】
化合物Bが、
各種植物蝋、
好ましくは水素化綿実油、水素化大豆油、水素化パーム油を含む群から選択される各種水素化植物油単体又はこれらの混合物、
グリセロールと少なくとも1種の脂肪酸、好ましくはベヘン酸とのモノ及び/又はジ及び/又はトリエステル単体並びに
これらの混合物
から選択される、先行の請求項に記載の経口剤形。
【請求項31】
化合物Bが、胃腸液に不溶のポリマーである、請求項1〜28のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項32】
ポリマーBが、
非水溶性セルロース誘導体、とりわけセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート、
(メタ)クリル酸(コ)ポリマーの非水溶性誘導体、とりわけタイプA又はタイプBのエチルアクリレート、メチルメタクリレートとトリメチルアンモニオエチルメタクリレートとのコポリマー及びポリ(メタ)クリル酸エステル
から選択される、先行の請求項に記載の経口剤形。
【請求項33】
有効成分が、治療用又は化粧用の分子である、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項34】
有効成分が、タンパク質、糖タンパク質、多糖、リポ糖、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド又はペプチドである、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項35】
有効成分がインシュリンである、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項36】
少なくとも2つのタイプのナノ粒子を含み、このナノ粒子が、有効成分及び/又はこの有効成分と結合したPOMの性質によって異なる、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項37】
コーティング層及び/又は取り込んでいる有効成分の性質によって互いに異なる少なくとも2つのタイプの微粒子を組み合わせている、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項38】
粉末、懸濁液の状態又は錠剤若しくはゼラチンカプセルの形態に処方された、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項39】
薬物及び/又は化粧品の調製を目的としていることを特徴とする、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項40】
第1相においてポリマーPOMのナノ粒子と結合した有効成分を放出し、次に第2相においてこの有効成分をナノ粒子から解離させるのに適した、先行の請求項のいずれかに記載の経口剤形。
【請求項41】
少なくとも1種の有効成分をコンディショニングし、またpH及び/又は時間に応じて制御された放出プロファイルに沿って生体内でこの有効成分を放出するのに有用な微粒子を調製するための方法であって、
この微粒子が、少なくともこの有効成分を含有し且つこの有効成分の放出プロファイルに影響を与える少なくとも1つのコーティング層でコーティングされたコアを有し、少なくとも、
(a)少なくとも1種の有効成分を、1つ以上の疎水性基(G)を有する親水性炭化水素鎖を含む又は両親媒性炭化水素鎖を含む少なくとも1種のポリマーPOMから形成されたナノ粒子と非共有結合的に結合させ、
(b)工程(a)のナノ粒子から、このナノ粒子と1種以上の賦形剤とを含むコアを形成し、
(c)5〜7のpH範囲内の可溶化pH値を有する少なくとも1種のポリマーA及び少なくとも1種の疎水性化合物Bから、工程(b)において形成したコアの周囲に配置するコーティング層を形成し、
(d)期待される微粒子を回収する
工程を含む方法。
【請求項42】
工程(c)が、少なくとも1種の疎水性化合物Bと組み合わせた5〜7のpH範囲内の可溶化pH値を有する少なくとも1種のポリマーAを、流動層内で工程(b)のナノ粒子上に噴霧することによって行われる、先行の請求項に記載の方法。
【請求項43】
工程(a)の粒子が請求項2〜26で定義されたとおりである、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
ポリマーA及び化合物Bが、請求項27〜32で定義されたとおりである、請求項40〜43のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−529100(P2011−529100A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520564(P2011−520564)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051495
【国際公開番号】WO2010/012940
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511025765)フラメル テクノロジーズ (6)
【Fターム(参考)】