説明

ナノ粒子を含有する多孔質無機材料またはマトリックス材料の製造方法

本発明は、高い厚さ均一性および/または高い有効表面積を有するナノ粒子を含有する多孔質無機材料またはマトリックス材料の製造の方法、ならびに本方法により得ることができる材料に関する。上述した方法によって、所定の厚さが平均厚さの±10%、好ましくは±5%の範囲にある材料が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い厚さ均一性および/または高い有効表面積を有するナノ粒子を含有する多孔質無機材料またはマトリックス材料の製造の方法、ならびに本方法により得られる材料に関する。上述した方法によって、所定の厚さが平均厚さの±10%、好ましくは±5%の範囲にある材料が得られる。
【0002】
球状の単分散SiO2粒子は、たとえばUS-A-3,634,588から公知である。これらはアルコラート化合物の加水分解重縮合により得られる。
【0003】
US-B-3,681,017に開示されている、長さ対厚さの比5:1以上、表面積400〜500m2/gである微孔質プレートレットシリカ粒子の製造方法は、
(a)アンモニウム安定化ケイ酸溶液を形成し、
(b)前記溶液を凍結させ、
(c)プレートレットシリカ粒子を含有する廃液を融解し、前記プレートレットシリカ粒子を回収することを含む。
【0004】
EP-A-325484は、染料または有色顔料を含有する、金属酸化物でコーティングされたマイカ粒子または他の板状のシリケート粒子をベースとする真珠箔顔料に関する。この真珠箔顔料は、(a)板状のシリケート粒子および金属酸化物コーティングから予備段階生成物を製造し、b)このように得られた金属酸化物でコーティングされた粒子を、鉱酸で、おそらくは酸化体とともに浸出し、c)このように得られたカチオンをほとんどまたは全く含有しない金属酸化物でコーティングされた多孔質粒子を、染料1種以上または有色顔料1種を用いて染色することにより得られる。
【0005】
粒子サイズ分布が小さく、高度に単分散で非多孔質の球状SiO2粒子が、EP-A-275668に開示されている。これらの粒子は、アルカリ性の媒体中で、テトラアルコキシシランの一次粒子のゾルまたは懸濁液を加水分解重縮合することにより製造され、これをさらなるテトラアルコキシシランの制御された付加により、目的の最終サイズに至らせる。
【0006】
球状のSiO2粒子の後続のコーティングが、JP-A-06-011872に記載されている。
【0007】
WO01/57287には、金属酸化物層、特に酸化チタン層、コア層、特に酸化ケイ素層および金属酸化物層、特に酸化チタン層を、順にキャリヤ上に蒸発させ、次にキャリヤから分離する干渉顔料の製造方法が開示されている。
【0008】
DE-A-4341162には、基材、たとえばガラス、金属、セラミック、プラスチックなどの上に、異なる蒸発器から非吸収材料および有機染料を同時に蒸着する工程を含む、有色層の製造方法が開示されている。
【0009】
EP-A-803 550には、個々の点でTiO2、Fe23でコーティングされたサイズが5〜500nmの球状のSiO2粒子、またはサイズが60nm未満のZrO2粒子が記載されている。コーティングされたSiO2は、SiO2粒子の水性分散液に、TiCl4の溶液を加えることにより調製する。得られた生成物は、ペイント、印刷インク、プラスチックおよび塗装の顔料着色用にまたは日焼け止め剤として用いられる。
【0010】
US-A-6,103,209には、実質的に分散媒中で酸性シリカゾルを乳化し、ゾルのミクロドロップを乳化した状態でゲル化し、乳化剤液体および、ゾルゲル化ベースの存在下で得られたゲルを熱処理に付すことからなる、多孔質球状シリカ粒子の製造方法が記載されている。
【0011】
US-B-6,335,396には、CTAB比表面積が140および240m2/gであり、多孔質の分布が直径175〜275Åの気孔により形成される多孔質の容積が、直径400Å以下の気孔により形成される多孔質の容積の50%未満であるという特徴がある、粉末および実質的に球状のビーズまたは顆粒の形態のシリカが記載されている。このシリカを、エラストマー用補強充填剤として用いることができる。
【0012】
本発明の目的は、高い厚さ均一性および/または高い有効表面積を有する、ナノ粒子、特に多孔質酸化ケイ素を含有する多孔質無機材料またはマトリックス材料の製造方法を提供することであり、この方法により面平行度の度合いが高く、所定の厚さが平均厚さの±10%、好ましくは±5%範囲にある、および/または所定の気孔率を有する材料を製造することができる。
【0013】
前記目的は、工程
a)キャリヤ上に分離剤を蒸着して分離剤層を生成し、
b)分離剤層(a)上に材料と分離剤とを同時に蒸着し、
c)分離剤から材料を分離すること
を含む多孔質材料の製造方法により解決された。
【0014】
用語「0.70≦y≦1.80のSiOy」は、酸化ケイ素層のケイ素に対する酸素のモル比が平均値で0.70〜1.80であることを意味する。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(electron spectroscopy for chemical analysis)により測定することができる。
【0015】
用語「0.70≦z≦2.0のSiOz」は、酸化ケイ素層のケイ素に対する酸素のモル比が平均値で0.70〜2.0であることを意味する。酸化ケイ素層の組成は、ESCA(electron spectroscopy for chemical analysis)により測定することができる。
【0016】
本発明によれば、用語「アルミニウム」はアルミニウムおよびアルミニウム合金を含む。アルミニウム合金は、たとえば、G. Wassermann in Ullmanns Enzyklopadie der Industriellen Chemie, 4. Auflage, Verlag Chemie, Weinheim, Band 7, p. 281 to 292に記載されている。特に好適なのは、WO00/12634の10〜12頁に記載される耐食性アルミニウム合金であり、これはアルミニウムのほかに、ケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、スズ、カドミウム、ビスマス、チタン、クロムおよび/または鉄を20重量%未満、好ましくは10重量%未満の量で含む。
【0017】
用語「ケイ素/酸化ケイ素層またはフレーク」は、SiOyの面平行構造を、無酸素雰囲気中で400℃より高い温度で加熱することによって、場合により酸化加熱処理によって得られる面平行構造を含む。
【0018】
本発明は、多孔質プレート状(面平行)構造(フレーク)、特に、粒子が長さ1μm〜5mm、幅1μm〜2mm、厚さ20nm〜1.5μm、長さ対厚さの比2:1以上であり、粒子は実質的に平行な2面を有し、この間の距離が粒子の最も短い軸であるSiOzフレークに関する。多孔質SiOzフレークはメソ多孔質(mesoporous)材料であり、すなわち約2〜約50nmの気孔幅を有する。気孔は三次元方向にランダムに相互に連結される。そこで、触媒または支持体として用いた場合、気孔が二次元方向に配列するSiO2フレークで頻繁に起こる通過妨害を防止することができる。多孔質SiOzフレークは、比表面積が500m2/gより大きく、特に600m2/gより大きいのが好ましい。BET比表面積は、DIN 66131またはDIN 66132(R. Haul und G. Dumbgen, Chem.-Ing.-Techn. 32(1960)349 and 35(1063)586)にしたがって、Brunauer-Emmet-Teller法(J. Am. Chem. Soc. 60(1938)309)を用いて測定する。
【0019】
本発明のフレークは均一な形状ではない。それでも、簡潔に説明するために、フレークは「直径」を有するものとして参照する。ケイ素/酸化ケイ素フレークは面平行であり、所定の厚さが平均厚さの±10%、特に±5%の範囲にある。ケイ素/酸化ケイ素フレークの厚さは20〜2000nm、特に100〜500nmである。本発明ではフレークの直径は、好ましくは約1〜60μmの範囲、より好ましくは約5〜40μmの範囲、最も好ましくは約5〜20μmの範囲にある。したがって、本発明のフレークのアスペクト比は、好ましくは約2.5〜625の範囲、より好ましくは50〜250の範囲にある。
【0020】
本発明によれば、分離剤層に用いる分離剤は、材料と分離剤とを含む層(混合層)に用いる分離剤と異なってもよい。分離剤層および混合層に用いる分離剤は同じであるのが好ましい。分離剤の除去は、溶剤中で分離剤を溶解し、溶剤から材料を分離することにより行うのが好ましい。あるいはまた、特に、混合層中では、高真空下、250℃までの温度で留去することのできる有機分離剤を用いることができる。以下で述べる適切な有機分離剤のほかに、フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キナクリドンなどのような有機顔料が適切である。
【0021】
プレート状材料は、材料と分離剤との混合層の厚さ、および混合層に含有される材料の量の2つだけのプロセスパラメータを変えることにより、種々の識別可能で再現可能な変種を製造することができる。
【0022】
さらに、本発明は多孔質プレート状材料、特に、上述した方法により得られるSiOzフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.4≦z≦2.0、さらに特にz=2.0)、ならびに多孔質SiOzフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に0.95≦z≦2.0、さらに特にz=2.0)にも関する。
【0023】
図1は、実施例1で得られた多孔質SiO2フレークの顕微鏡写真である。気孔または良好な(ナノ)キャビティが認められる。図2から明らかなように、これらの気孔またはキャビティは、多孔質SiO2フレークの表面に限定されない。
【0024】
図2はパラジウムが詰め込まれた多孔質SiO2フレークの極めて薄い部分である。金属(黒色スポット)がフレークの内側にある。金属スポットサイズは1〜3nmである。
【0025】
図3は、実施例1の多孔質SiO2フレークの原子間力顕微鏡(AFM)画像を示す。気孔サイズは30nmまでである。
【0026】
本発明によれば、多孔質プレート状材料は、分離剤層の上に材料/分離剤の混合層を付着することにより製造する。混合層中の分離剤の量を制御することにより、材料の気孔率を簡単な方法で制御することができる。
【0027】
混合層および分離剤層は真空中で蒸着するが、真空中で同時に蒸着することにより分離剤は材料と混合する。一般に、混合層は分離剤を、材料と分離剤の合計重量に基づいて1〜60重量%の量で含有する。
【0028】
(多孔質)材料は、金属または金属酸化物または非金属酸化物またはこれらの混合物であるのが好ましい。最も好適な非金属酸化物はSiOz(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.4≦z≦2.0)である。最も好適な金属酸化物はTiO2である。
【0029】
高分解能電子顕微鏡によれば、本発明の多孔質材料は気孔の直径が一般に30nm未満である。
【0030】
多孔質材料の製造は、蒸着技術により行う。気化させる物質を高真空下で加熱し、気化させる。蒸気が冷たい基材表面上に凝縮し、目的の薄層を与える。蒸発は、通電または、電子ビームの衝突により直接加熱されるいずれかの金属コンテナ(タングステン、モリブデンまたはタンタル金属シートのボート)中で起こる。
【0031】
スパッタリング技術の場合または陰極アトマイズの場合、ガス放電(プラズマ)を、プレートの形態で、基材とコーティング材料(ターゲット)の間に点火する。コーティング材料は、プラズマからの高エネルギーイオン、たとえばアルゴンイオンを衝突させ、これにより磨滅させるかアトマイズする。アトマイズされたコーティング材料の原子および分子は基材上に付着し、目的の薄層を形成する。
【0032】
金属または合金は、スパッタリング技術に特に適切である。これらは、特にいわゆるDCマグネトロン法では比較的高速でアトマイズすることができる。化合物、たとえば酸化物または亜酸化物または酸化物の混合物を、高周波スパッタリングを用いて同様にアトマイズすることができる。層の化学組成はコーティング材料(ターゲット)の組成で特定する。しかし、それは物質をプラズマ形成ガスに加えることにより、影響を受ける可能性がある。特に、酸化物または窒化物層は、気相に酸素または窒素を加えることにより生成する(たとえば、US-A-5,440,446およびEP-A-733919を参照)。
【0033】
製造は極めて簡単であり、蒸気ビームが重なり合う2個の蒸発器により混合層を形成すれば、そのため重なり合った領域に混合層が生成する。あるいはまた、1個の蒸発器を用いて、両方の成分を同時にまたは交互に気化させ、蒸着を行うことができる。
【0034】
エバポレータとして、抵抗加熱エバポレータ、電子ビーム加熱エバポレータ、誘導加熱エバポレータ、またはアーク作動エバポレータを使用するのが好ましい。
【0035】
キャリヤの分離の平易化のために、材料は平滑または構造化された表面を示すべきである。可動キャリヤは、軸の周りを回転する1個以上のディスク、シリンダーまたは他の回転対称な物体からなることが可能で(WO01/25500を参照)、ポリマーでコーティングされたもしくはされない1個以上の連続金属ベルト、または1個以上のポリイミドもしくはポリエチレンテレフタレートベルトを含むのが好ましく、そのため連続材料の製造が可能になる(DE19844357)。ポリイミドフィルムまたは金属フィルムまたはこれらの材料の組み合わせのフィルムは、キャリヤ材料として特に適切である。
【0036】
工程a)でキャリヤ上に蒸着させる分離剤は、ラッカー(表面コーティング)、ポリマー、たとえば(熱可塑性)ポリマー、特にUS-B-6,398,999に記載されているようなアクリルもしくはスチレンポリマーまたはこれらの混合物、有機溶剤または水に可溶性かつ真空中で気化可能な有機物質、たとえばアントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニル−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミドおよびそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリンおよびその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール、またはこれらの物質2種以上の混合物とすることができる。分離剤は、水に可溶性かつ真空中で気化可能な無機塩(たとえばDE 198 44 357を参照)、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウムナトリウムおよび四ホウ酸二ナトリウムが好ましい。
【0037】
以下、本発明の好適な実施態様を詳細に述べる。
【0038】
工程a)およびb)では、蒸着は0.5Paより低い真空下で行うのが好ましい。工程c)では、分離剤層の溶解は、好ましくは1〜5×10Pa、特に600〜10Pa、さらに特に10〜5×10Paの範囲の圧力で行う。
【0039】
本発明の好適な実施態様では、次の層
−分離剤層、および
−2個の蒸発器、あるいはまた1個の蒸発器を用いて、同時に蒸着することにより材料に組み入れられる分離剤層上の望ましい量の材料と分離剤との混合層
を真空下、好ましくは10-1〜10-3Pa、より好ましくは1〜10-3Paで、PVD法による熱蒸発により順次蒸着する。
【0040】
基本的に、本発明の方法の条件のもとで処理できる全ての無機材料を本発明による方法に使用できる。金属、金属酸化物および/または非金属酸化物を使用するのが好ましい。
【0041】
材料が金属酸化物の場合、亜酸化チタン、一酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、セリウム金属(空気中で処理するとCeO2が生じる)、たとえば市販されているセリウム混合金属より選択するのが好ましい。
【0042】
材料が金属の場合、金属、たとえばアルミニウム、ニッケル、鉄、コバルト、銀、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、バナジウム、チタンまたは合金、たとえばクロム−ニッケル、鉄−ニッケル、鉄−クロム、ニッケル−コバルトなどが好ましい。合金の蒸発は、実際には、異なる蒸発器を用いて、望ましいモル比を維持することにより行う。
【0043】
本発明の特に好適な実施態様は、0.5Pa未満の真空下、蒸発器を経由して通る連続金属ベルトであってよいキャリヤ上に、塩、たとえばNaCl、続いて亜酸化ケイ素(SiOy)と分離剤、特にNaClまたは有機分離剤との層を順次蒸着する多孔質SiOzフレークの製造に関する。
【0044】
亜酸化ケイ素(SiOy)と分離剤との混合層を、それぞれ2種の材料の1種で装填し、蒸気ビームが重なり合う2個の別個の蒸発器により蒸着し、ここで、分離剤は混合層に混合層の合計重量に基づいて1〜60重量%の量で含有する。
【0045】
生成物の使用目的によって、蒸着する塩の厚さは、約20nm〜100nm、特に30〜60nmであり、混合層の厚さは20〜2000nm、特に50〜500nmである。
【0046】
その先の経路では、閉じてループを形成するベルト状キャリヤを公知の構造のダイナミック真空ロックチャンバー(US-B-6,270,840を参照)により1〜5×10Paの圧力、好ましくは600〜10Paの圧力、特に10〜5×10Paの圧力の領域に通し、溶解浴に浸漬する。溶剤の温度は、その蒸気圧が示された圧力範囲にあるように選択するべきである。機械的援助を用いて、分離剤層と、混合層の分離剤が分離剤層の分離剤と同じである場合はSiOz層が含有する分離剤とは迅速に溶解し、生成物層はフレークに粉砕し、そして溶剤中に懸濁液の形態で存在する。2種の異なる分離剤を用いる場合は、分離剤層の分離剤を溶解する工程を行い、混合層の分離剤を溶解する工程を続ける。好適な実施態様では、分離剤層の分離剤はNaClであり、混合層の分離剤は有機分離剤、たとえばフェノールフタレインであり、NaClを水または水溶液(たとえば塩酸)に溶解し、有機分離剤をイソプロパノールなどの有機溶剤に溶解するか昇華する。その後の経路では、ベルトを乾燥し、まだそれに付着するあらゆる汚染物質を除去する。それを第2グループのダイナミック真空ロックチャンバーに通して蒸発チャンバーに戻し、分離剤およびSiOy/分離剤の生成物層のコーティング工程を繰り返す。
【0047】
両方の場合でこうして存在する、生成物構造、溶剤、および溶剤に溶解した分離剤を含む懸濁液を、次に公知の技術にしたがってさらなる操作で分離する。そのために、生成物構造をまず液体で濃縮し、溶解した分離剤を洗い流すために新たな溶剤で数回すすぐ。次に、まだ湿った固体の形態の生成物を、ろ過、沈降、遠心分離、デカンテーションまたは蒸発によって分離し、乾燥する。
【0048】
SiO1.00-1.8層は、蒸発器中で、1300℃より高い温度で、SiとSiO2の混合物の反応により生成する一酸化ケイ素蒸気から形成するのが好ましい。
【0049】
SiO0.70-0.99層は、1300℃より高い温度で、ケイ素を20重量%までの量含有する一酸化ケイ素の蒸発により形成するのが好ましい。
【0050】
多孔質SiOzフレーク(式中、z>1)の製造は、蒸発の間に、追加の酸素を供給することにより行うことができる。この目的のために、真空チャンバーはガス入口を設けることができ、これにより真空チャンバー内の酸素分圧を一定値に制御することができる。
【0051】
あるいはまた、乾燥後、生成物を酸化加熱処理に付すことができる。そのために公知の方法を使用できる。空気または他の酸素含有ガスが、200℃より高い、好ましくは400℃より高い、特に500〜1000℃の温度で、ばら材料の形態のまたは流動床中のSiOy面平行構造(式中、yは蒸着条件に依存し、0.70〜、特に1〜約1.8である)を通過する。数時間後、全ての構造はSiO2に酸化される。次に生成物を粉砕または風篩によって望ましい粒子サイズにし、さらなる使用に送ることができる。
【0052】
多孔質SiOzフレークは、加工を可能にするために、最小厚さ50nmを有するべきである。最大厚さは目的の用途に左右される。干渉が重要な役割を果たす用途には、厚さは150〜500nmの範囲にある。
【0053】
二酸化ケイ素の多孔質面平行構造が表面コーティング層の表面にほぼ平行に配向することを実現するために、表面コーティングに公知の化学物質を加えることにより、たとえば市販されているシランオリゴマーによって、構造の表面張力を変えることができる。商品名DYNASILAN(登録商標)、HYDROSIL(登録商標)、PROTECTOSIL(登録商標)で公知のこのようなオリゴマーは、液相からまたは縮合により(後者は表面コーティングへ導入する前に)、面平行構造の表面に直接付着することもできる。このような有機オリゴマーは限られた温度耐性(temperature resistance)しか持たないので、このような処理はSiO2への酸化が起こった後に限り、温度0°〜250℃で行うのが有利なことが確かめられている。
【0054】
このような表面コーティングまたは分散系の表面の耐摩耗性(耐引掻性)および耐衝撃性を高めるために、二酸化ケイ素の多孔質面平行構造を表面コーティングまたは分散系層に組み込むことができる。
【0055】
さらに、二酸化ケイ素の多孔質面平行構造の表面は、式ClSiX123(式中、X1、X2およびX3は有機基を表し、同じでも異なってもよい)を有する典型的なシランカップリング剤を用いる誘導(derivatization)により疎水性にすることができる。あるいはまた、最初に塩化チオニルを用いてシリカ表面を塩素化し、次にアルキルリチウムを用いてメタセシス(metathesizing)してアルキル基を導入し、次いでLiCIを除去することにより、シリカ表面をアルキル化することができる(J. D. Sunseri et al., Langmuir 19(2003)8608-8610)。
【0056】
別の実施態様では、本発明は、(1−y/y+a)ケイ素を含有する多孔質プレート状SiOy+a粒子(式中、0.70≦y≦1.8、特に1.0≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、yとaの合計が2以下である)に関する。
【0057】
多孔質SiOy+aフレーク、特に(1−y/y+a)Siナノ粒子を含有するSiO2フレークは、無酸素雰囲気、すなわちアルゴンもしくはヘリウム雰囲気中で、または13Pa(10-1Torr)未満の真空中で、多孔質SiOy粒子を、400℃より高温、特に400〜1100℃で加熱することにより得ることができる。
【0058】
無酸素雰囲気中でSiOy粒子を加熱することにより、SiOyはSiO2およびSiに不均化すると考えられる。
【0059】
【化1】

【0060】
この不均化で、(1−(y/y+a))Siを含有する多孔質SiOy+aフレーク(式中、0.70≦y≦1.8、特に0.70≦y≦0.99または1≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、yおよびaの合計が2以下である)が形成する。SiOy+aは富酸素亜酸化ケイ素である。SiOyのSiおよびSiO2への完全な転化が好ましい。
【0061】
【化2】

【0062】
温度範囲400〜900℃で形成したケイ素はアモルファスである。温度範囲900〜1100℃でケイ素微結晶を形成する。平均微結晶サイズは1〜20nm、特に2〜10nmの範囲である。一方では、サイズは温度に依存する。すなわち、900℃よりも1100℃で、より大きな微結晶が形成する。他方では、SiOyの酸素レベルが高いほど、小さな微結晶が形成する明らかな傾向が見られる。Siを含有する面平行SiOy+a粒子、特にSiO2粒子の生成によって、ホトルミネセンスを示すことができる。
【0063】
多孔質ケイ素/酸化ケイ素フレークは、加工を可能にするために、最小厚さ50nmを有するべきである。最大厚さは目的の用途に依存する。干渉が重要な役割を果たす用途には、厚さは150〜500nmの範囲にある。
【0064】
干渉に必要なさらなる層を、マイカおよび/またはSiO2コアを用いるエフェクト顔料について公知の通常の方法にしたがって付着することができ、多孔質SiOzフレークによって、以下に詳細に示す。
【0065】
さらに、多孔質SiOyの面平行構造を、それらの表面から出発して、部分的に炭化ケイ素(SiC)に転化することが可能である(本明細書の文脈において、この方法を「加炭」と呼ぶ)。そのために、最高約1500℃に加熱できる気密な反応器中で、面平行多孔質SiOy構造を、好ましくはばら材料の形態で、アルキン、たとえばアセチレン、アルカン、たとえばメタン、アルケン、芳香族化合物など、およびこれらの混合物から選択される炭素含有ガスと、場合により酸素含有化合物、たとえば、アルデヒド、ケトン、水、一酸化炭素、二酸化炭素など、またはこれらの混合物との混合状態で、500〜1500℃、好ましくは500〜1000℃で反応させ、酸素除去を伴うのが有利である。反応を調節するために、不活性ガス、たとえばアルゴンまたはヘリウムを炭素含有ガスと混ぜてもよい。このような加炭では、SiOyの全てが反応してSiCを形成することが可能であり、好ましくはSiOyの5〜90重量%が反応してSiCを形成する。
【0066】
したがって、本発明は、表面に炭化ケイ素(SiC)を含む層を有する、多孔質面平行酸化ケイ素基材をベースとする面平行構造(顔料)にも関する。SiOyからSiCへの反応は、面平行構造の表面から出発して起こり、したがってはっきりした転移というよりは勾配をもたらす。これは、この実施態様では、SiC含有層は(ケイ素/酸化ケイ素)および(SiC)b(式中、0≦a<1および0<b≦1)からなり、顔料の表面近くでは、bが1かつaが0であり、ケイ素/酸化ケイ素基材との境界近くではSiCの量は0に近づくことを意味する。
【0067】
面平行構造のうちの残存するSiOyを、さらなる工程で約200℃以上約400℃までの温度で、酸素含有ガス、たとえば空気を用いて酸化することができる。
【0068】
炭化物形成が終了した後、場合により、面平行構造中にまだ存在する残留SiOyを、酸素含有ガス、たとえば空気を用いて、200℃以上の温度で酸化することにより、形成したSiCを破壊せずにSiO2に転化することが可能である。この場合、面平行構造の比表面積が大きいので、酸素の存在下では、温度は約400℃を超えるべきではない。
【0069】
好ましくは厚さが50〜2000nmの範囲にある多孔質(加炭)酸化ケイ素フレークは、新規であり、本発明のさらなる対象を形成する。これらは、赤外線の選択反射特性を得るために、たとえばモース硬度8〜9を有するコーティング中の耐食性の添加剤として、またはコーティング組成物中の耐食性の添加剤として用いることができる。さらに、干渉顔料用基材として多孔質(加炭)酸化ケイ素フレークを用いることができる。この顔料はせん断安定性が高く、プラスチック、表面塗装または印刷インク中で、度合いの高い彩度および優れた堅牢性、ならびに、干渉顔料の場合は、度合いの高い目視角度依存色度(goniochromicity)(たとえばPCT/EP03/01323を参照)をもたらす。
【0070】
高い化学安定性および熱安定性、大きな表面積ならびに他の材料との良好な相溶性のために、多孔質酸化ケイ素フレークは多くの目的、たとえば、選択分離(M. Asaeda, S. Yamasaki, Separation of inorganic/organic gas mixtures by porous silica membranes, Sep. Purif. Technol. 25 (2001) 151-159)、触媒作用(H. Suquet, S. Chevalier, C. Marcilly, D. Barthomeuf, Preparation of porous materials by chemical activation of the Lanovermiculite, Clay Miner, 26 (1991) 49-60; Y. Deng C. Lettmann, W. F. Maier, Leaching of amorphous V- and Ti-containing porous silica catalysts in liquid phase oxidation reactions, Appl. Catal. A 214 (2001) 31-45; M. O. Coppens, J. H. Sun, T. Maschmeyer, Synthesis of hierarchical porous silicas with a controlled pore size distribution at various length scales, Catal. Today 69 (2001) 331-335)、絶縁材料(A. Jain, S. Rogojevic, S. Ponoth, N. Agarwal, I. Matthew, W. N. Gill, P. Persans, M. Tomozawa, J. L. Plawsky, E. Simonyi, Porous silica materials as low-k dielectrics for electronic and optical interconnects, Thin solid Films 398-399 (2001) 513-522)、人工装具材料(J. M. Gomez-Vega, M. Iyoshi, K. Y. Kim, A. Hozumi, H. Sugimura, O. Takai, Spin casted mesoporous silica coatings for medical applications, Thin Solid Films 398-399 (2001) 615-20)の分野で、またはガス吸着剤としての多孔質シリカの使用(K. 0kada, A. Shimai, T. Takei, S. Hayashi, A. Yasumori, K.J.D. MacKenzie, Preparation of microporous silica from metakaolinite by selective leaching method, Microporous Mesoporous Mater. 21 (1998) 289-296)、重金属イオン吸着剤(B. Lee, Y. Kim, H. Lee, J. Yi, Synthesis of functionalized porous silicas via templating methods as heavy metal ion adsorbents: the introduction of surface hydrophilicity onto the surface of adsorbents, Microporous Mesoporous Mater. 50 (2001) 77-90)、モレキュラーシーブ(US-B-5,958,368)、遅延放出効果を示す薬物送達用キャリヤとして(J. F. Chen, H. M. Ding, J. X. Wang, L. Shao, Biomaterials 25 (2004) 723-727)、エレクトロカイネティックマイクロチャンネル電池の製造用(J. Yang, F. Lu, L. W. Kostiuk, D. Y. Kwok, J. Micromech. Microeng. 13 (2003) 963-970)、および酵素固定用無機キャリヤ(F. He, R. X. Zhuo, L. J. Liu, D. B. Jin, J. Feng, X. L. Wang, Immobilized lipase on porous silica beads: preparation and application for enzymatic ring-opening polymerization of cyclic phosphate, Reactive Functional Polym. 47 (2001) 153-89)に、特に触媒系用キャリア、たとえば、オレフィン重合用またはSuzukiカップリング用キャリヤとして、またはエラストマー、特にタイヤまたはシリコーンゴム用補強充填剤として(たとえば、US-B-6,335,396およびEP-A-407262を参照)用いることができる。
【0071】
SiOzフレークは、触媒金属、たとえば銅またはニッケル系リホーミング触媒、またはSuzuki反応用パラジウム系触媒を支えるのに理想的であると思われる。これらの粒子は、極めて高い表面積(〜700m2/g)およびナノスケールの気孔(2〜50nm)を有する。
【0072】
本発明の特に好適な実施態様では、多孔質SiOzフレークをイメージアブル媒体(imageable media)のインク受容層に用いる。したがって、本発明は、支持体と、多孔質SiOzフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)および親水性バインダーを含有するインク受容層とを含むイメージアブル媒体にも関する。
【0073】
本発明では、インク受容層で使用する多孔質シリカフレークの合計量の範囲は、好ましくは2〜30g/m2である。上述した範囲は、インク吸収特性およびインク受容層の強度の点で好ましい。
【0074】
本発明で使用する支持体として、プラスチック樹脂フィルム、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど、耐水性支持体、たとえば、紙の両面にポリオレフィン樹脂を積層した樹脂でコーティングされた紙、または吸水性支持体、たとえば高品質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙などを用いることができる。耐水性支持体を用いるのが好ましい。使用するこれら支持体の厚さは、好ましくは約50〜250μmの範囲である。
【0075】
本発明のインク受容層に、親水性バインダーを加えてフィルムとしての特性を維持する。使用する親水性バインダとして、従来公知のいろいろな種類のバインダーを用いることができ、透明度が高く、インクの高い透過性を与える親水性バインダーを使用するのが好ましい。親水性バインダーの使用には、インク透過の初期段階で、親水性バインダーが膨潤により気孔をふさがないことが重要である。この視点から、室温付近での膨潤性が比較的低い親水性バインダーを使用するのが好ましい。特に好適な親水性バインダーは、完全にまたは部分的にけん化したポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0076】
ポリビニルアルコールの中で、特に、けん化度80%以上である、部分的にまたは完全にけん化したポリビニルアルコールが好ましい。平均重合度500〜5000を有するポリビニルアルコールが好ましい。
【0077】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとして、たとえば、日本国公開公報 No.10483/1986に開示されているような、ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖に第一級〜第三級のアミノ基または第四級アンモニウム基を有するポリビニルアルコールが挙げられる。
【0078】
また、他の親水性バインダーを組み合わせて用いることができるが、これらの量はポリビニルアルコールの量に基づいて20重量%以下であるのが好ましい。
【0079】
本発明によるインク受容層では、多孔質SiO2粒子および親水性バインダーの重量比は、好ましくは60:40〜92:8の範囲、より好ましくは70:30〜90:10である。
【0080】
本発明のインク受容層では、多孔質シリカフレーク以外の無機微粒子を、多孔質シリカフレークの量の約30重量%以下の量で含有することができる。
【0081】
本発明では、インク受容層Bが平均粒子サイズ3〜10μmの微粒子を含有するのが好ましい。微粒子として、無機または有機微粒子を用いることができ、有機樹脂微粒子が好ましい。顔料インクを用いることによる印刷を行う場合、上述した微粒子をインク受容層Bに加えることにより、不均一な光沢度を克服することができる。
【0082】
本発明の実施態様は、インク受容層がさらなる材料を粒子および/または顆粒状で含むことが可能である。いくつかの用途に適切な材料の例は、炭酸カルシウム、ヒュームドシリカ、沈降シリカアルミナ、アルキル第四級アンモニウムベントナイト、アルキル第四級アンモニウムモンモリロナイト、クレイ、カオリン、タルク、酸化チタン、チョーク、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化ケイ素炭酸バリウム、ベーマイト、擬ベーマイト、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム珪藻土、仮焼クレイなどを含む。さらなる粒子は、インク定着を含む種々の機能を果たすことができる。粒子機能の例は、顔料着色充填(pigmentation filling)、潤滑、紫外線吸収、白化、熱安定化などを含む。
【0083】
上述した有機樹脂微粒子として、たとえば、オレフィンホモポリマーまたはコポリマー、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンオキシド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン−(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマーなどまたはこれらの誘導体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−(メタ)アクリレートコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、スチレン−ブタジエンゴム、NBRゴムなど、単独またはこれらの混合状態が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートは、本明細書ではアクリル酸および/もしくはメタクリル酸、またはアクリレートおよび/もしくはメタクリレーを意味する。
【0084】
本発明によるインク受容層の各層は、耐水性の改善を目的として、カチオン化合物を含有するのが好ましい。カチオン化合物として、カチオンポリマーおよび水溶性金属化合物が挙げられる。カチオンポリマーとして、好ましくは、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、ポリアルキルアミン、ならびに第一級〜第三級のアミノ基または第四級アンモニウム塩基を有するポリマーが挙げられる。これらのカチオンポリマーの分子量(重量平均分子量;Mw)は、好ましくは約5,000〜約100,000である。
【0085】
本発明で使用する水溶性の金属化合物として、たとえば、水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステンおよびモリブデンよりなる群から選択される水溶性の金属塩が挙げられる。具体的には、たとえば酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン二水和物、硫酸アンモニウムマンガン六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)二水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸アンモニウムニッケル六水和物、硫酸アミドニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ(塩化アルミニウム)、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、ジルコニウムオキシクロリド八水和物、ジルコニウムヒドロキシクロリド、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸アンモニウムジルコニウム、炭酸カリウムジルコニウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、リンタングステン酸ナトリウム、クエン酸タングステンナトリウム、十二タングストリン酸塩n水和物、十二タングストケイ酸塩二十六水和物、塩化モリブデン、十二モリブドリン酸塩n水和物(dodecamolybdatephosphate n hydrate)などが挙げられる。これらのうち、透明度が高く、耐水性向上効果を有するジルコニウムタイプ化合物を使用するのが好ましい。
【0086】
本発明のインク受容層は、フィルムの脆さを改善するために、いろいろな種類の油滴を含有することができる。このような油滴として、いずれも室温での水への溶解性が0.01重量%以下である、疎水性の高沸点有機溶剤(たとえば流動パラフィン、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレシル、シリコーン油など)またはポリマー粒子(たとえば、重合性モノマー、たとえばスチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどの1種以上が重合した粒子)を含有することができる。このような油滴は、親水性バインダーの量に基づいて10〜50重量%の範囲の量で使用できる。
【0087】
本発明では、インク受容層中で、親水性バインダーの架橋剤(硬化剤)を用いることができる。硬化剤の具体例は、アルデヒドタイプ化合物、たとえばホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒド、ケトン化合物、たとえばジアセチルおよびクロロペンタンジオン、ビス(2−クロロエチルウレア)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、US-B-3,288,775に開示されているような反応性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、U. S. Patent No.3,635,718に開示されているような反応性オレフィンを有する化合物、US-B-2,732,316に開示されているようなN−メチロール化合物、US-B-3,103,437に開示されているようなイソシアネート化合物、US-B-3,017,280および2,983,611に開示されているようなアジリジン化合物、US-B-3,100,704に開示されているようなカルボジイミドタイプ化合物、US-B-3,091,537に開示されているようなエポキシ化合物、ハロゲンカルボキシアルデヒド化合物、たとえばムコクロル酸、ジオキサン誘導体、たとえばジヒドロキシジオキサン、無機硬化剤、たとえばクロムミョウバン、硫酸ジルコニウム、ホウ酸およびホウ酸塩を含むことができ、これらは単独または2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0088】
上述したような硬化剤の中で、ホウ酸およびホウ酸塩が特に好ましい。本発明で使用するホウ酸として、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸塩として、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。インク受容層中のホウ酸またはホウ酸塩の含量は、ポリビニルアルコールの量に基づいて、好ましくは0.5〜80重量%である。
【0089】
本発明では、インク受容層の各層に、硬化剤のほかに、いろいろな種類の従来公知の添加剤、たとえば着色染料、着色顔料、インク染料の固着剤、UV吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH緩衝剤などを添加することができる。
【0090】
本発明によるイメージアブル媒体は、身分証明書、運転免許証、パスポートなどの作成に使用できる。好適な実施態様では、イメージ受容材料は、水性のインクを含むイメージを受け取るように適合される。特に好適な実施態様では、イメージ受容材料は、インクジェットプリンターで用いるように適応された、水性の顔料着色インクを含むイメージを受け取るように適合される。本発明にしたがって印刷したイメージは、セキュリティしるしを1種以上含むのが好ましい。いくつかの用途で適切なセキュリティしるしの例は、人の顔の画像、人の指紋の表示、バーコード、および/またはカードホルダーの署名の表示を含む。
【0091】
有機または無機顔料が詰め込まれた多孔質SiOzフレークは、透明な易分散性粒子をもたらす。無機顔料は、特に、金属酸化物、アンチモンイエロー、クロム酸鉛、クロム酸硫酸鉛、モリブデン酸鉛、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、マンガンブルー、酸化クロムグリーン、水和酸化クロムグリーン、コバルトグリーンおよび金属硫化物、たとえば硫化セリウムまたは硫化カドミウム、セレン化硫化カドミウム、亜鉄酸亜鉛、バナジウム酸ビスマスおよび混合金属酸化物よりなる群から選択されるものを含む。用いることができる有機顔料(ならびにこれらの置換誘導体)の例は、たとえば、W. Herbst, K. Hunger, Industrielle Organische Pigmente, 2nd completely revised edition, VCH 1995:1−アミノアントラキノン顔料:p.503〜511;アントラキノン顔料:p.504〜506、513〜521および521〜530;アントラピリミジン:p.513〜415;アゾ顔料:p.219〜324および380〜398;アゾメチン顔料:p.402〜411;キナクリドン顔料:p.462〜481;キナクリドンキノン顔料:p.467〜468;キノフタロン顔料:p.567〜570;ジケトピロロピロール顔料:p.570〜574;ジオキサジン顔料:p.531〜538;フラバントロン顔料:p.517〜519、521;インダントロン顔料:p.515〜517;イソインドリン顔料:p.413〜429;イソインドリノン顔料:p.413〜429;イソビオラントロン顔料:p.528〜530;ペリノン顔料:p.482〜492;ペリレン顔料:p.482〜496;フタロシアニン顔料:p.431〜460;ピラントロン顔料:p.522〜526;チオインジゴ顔料(インジゴ顔料):p.497〜500に記載されており、固体の溶液を含むこのような顔料の混合物を使用することも可能である。用語「顔料」は、ルミネセント材料も含む。このようなSiOzフレークは、たとえば、顔料が可溶性の媒体、たとえば濃HSO4中でSiOzフレークと有機顔料を混合し、顔料は不溶性である媒体、たとえば水を加えて顔料を沈殿させ、ろ過して顔料着色SiOzフレークを単離し、乾燥することにより得ることができる。顔料が詰め込まれた多孔質SiOzフレークを、基材など、たとえば、高分子量有機材料の顔料着色に用いることができる。
【0092】
好ましくは、顔料が詰め込まれた多孔質SiOzフレークは、顔料にいわゆる潜在性顔料を詰め、顔料形態中で潜在性顔料を転化することにより得ることができる。潜在性顔料を用いる多孔質材料の顔料着色、および好適な潜在性顔料は、たとえばEP-A-648770、EP-A-648817、EP-A-764628、EP-A-761772、EP-A-1086984、WO98/32802、WO00/63297およびPCT/EP03/10968に記載されている。
【0093】
潜在性顔料は通常、次式:A(B)x(I)である(式中、
xは1〜8の整数であり、
Aは、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、インダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、アゾ、フタロシアニンまたはジケトピロロピロールシリーズの発色団の基であり、x個のB基に、窒素、酸素および硫黄よりなる群から選択され、A基の一部を形成するヘテロ原子1個以上により結合し、
Bは式
【0094】
【化3】

【0095】
の基であり、xが2〜8の数である場合は、B基は同じか異なることができ、
Lは溶解性を与えるのに適切な所望の基である)。
【0096】
Lは、式
【0097】
【化4】

【0098】
[式中、Y1、Y2およびY3は、互いに独立に、C1〜C6アルキルであり、
4およびY8は、互いに独立に、C1〜C6アルキル、酸素、硫黄またはN(Y122で中断されたC1〜C6アルキル、あるいは非置換またはC1〜C6アルキル−、C1〜C6アルコキシ−、ハロ−、シアノ−またはニトロ−置換されたフェニルまたはビフェニルであり、
5、Y6およびY7は、互いに独立に、水素またはC1〜C6アルキルであり、
9は、水素、C1〜C6アルキルまたは式
【0099】
【化5】

【0100】
の基であり、
10およびY11は、互いに独立に、水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、N(Y122、あるいは非置換またはハロ−、シアノ−、ニトロ−、C1〜C6アルキル−またはC1〜C6アルコキシ−置換されたフェニルであり、
12およびY13は、C1〜C6アルキルであり、Y14は、水素またはC1〜C6アルキルであり、Y15は、水素、C1〜C6アルキル、あるいは非置換またはC1〜C6アルキル−置換されたフェニルであり、
Qは、非置換またはC1〜C6アルコキシ、C1〜C6アルキルチオまたはC2〜C12ジアルキルアミノによりモノ−もしくはポリ−置換された、p,q−C2〜C6アルキレン(式中、pおよびqは、異なる位置番号であり)であり、
Xは、窒素、酸素および硫黄よりなる群から選択されるヘテロ原子であり、Xが酸素または硫黄である場合、mは数0であり、Xが窒素である場合、mは数1であり、
1およびL2は、互いに独立に、非置換のあるいはモノ−またはポリ−C1〜C12アルコキシ−、−C1〜C12アルキルチオ−、−C2〜C24ジアルキルアミノ−、−C6〜C12アリールオキシ−、−C6〜C12アリールチオ−、−C7〜C24アルキルアリールアミノ−もしくは−C12〜C24ジアリールアミノ−置換されたC1〜C6アルキルまたは[−(p’,q’−C2〜C6アルキレン)−Z−]n−C1〜C6アルキル(nは1〜1000の数であり、p’およびq’は異なる位置番号であり、各Zは、それぞれ他のいずれとも独立に、ヘテロ原子の酸素、硫黄またはC1〜C12アルキル置換された窒素であり、繰り返し単位[−C2〜C6アルキレン−Z−]中のC2〜C6アルキレンが同じまたは異なる可能性がある)であり、
1およびL2は、飽和でも1〜10箇所不飽和でもよく、任意の位置に−(C=O)−および−C64−よりなる群から選択される1〜10個の基で中断されていても中断されていなくてもよく、さらなる置換基を持たなくてもよいか、ハロゲン、シアノおよびニトロよりなる群から選択されるさらなる置換基1〜10個を持っていてもよい]の基が好ましい。特に対象となるのは、LがC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニルまたは
【0101】
【化6】

【0102】
(式中、Qは、C2〜C4アルキレンであり、
1およびL2は、[−C2〜C12アルキレン−Z−]n−C1〜C12アルキル、またはC1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキルチオまたはC2〜C24ジアルキルアミノでモノ−もしくはポリ−置換されたC1〜C12アルキルであり、mおよびnは、前記定義のとおりである、式(I)の化合物である。
【0103】
特に対象となるのは、LがC4〜C5アルキル、C3〜C6アルケニルまたは
【0104】
【化7】

【0105】
(式中、Qは、C2〜C4アルキレンであり、Xは、酸素であり、mは、0であり、L1は、[−C2〜C12アルキレン−O−]n1〜C12アルキル、またはC1〜C12アルコキシでモノ−もしくはポリ−置換されたC1〜C12アルキルであり、特に−Q−X−が式−C(CH32−CH2−O−の基である)である式(I)の化合物である。
【0106】
式(I)の適切な化合物の例は、EP-A-0 648 770、EP-A-0 648 817、EP-A-0 742 255、EP-A-0 761 772、WO98/32802、WO98/45757、WO98/58027、WO99/01511、WO00/17275、WO00/39221、WO00/63297およびEP-A-1 086 984に開示されている。
【0107】
顔料前駆物質は、単独でも、他の顔料前駆物質または着色剤、たとえば対象の用途用の通常の染料との混合物でも用いることができる。
【0108】
Aは、基本構造A(H)xを有する公知の発色団の基(式中、Aは好ましくは、x個のB基に結合された各ヘテロ原子において、すぐ隣接するまたは共役のカルボニル基1個以上を有する)、たとえば
【0109】
【化8】







【0110】
(式中、たとえば、Zは、
【0111】
【化9】

【0112】
であり、x″は、数1〜16、特に1〜4である)、ならびに、それぞれの場合でのそれらの公知の誘導体の全てである。
【0113】
式A(H)xの顔料は、カラーインデックスピグメントイエロー13、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー94、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー185、ピグメントイエロー194、ピグメントオレンジ31、ピグメントオレンジ71、ピグメントオレンジ73、ピグメントレッド122、ピグメントレッド144、ピグメントレッド166、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド202、ピグメントレッド214、ピグメントレッド220、ピグメントレッド221、ピグメントレッド222、ピグメントレッド242、ピグメントレッド248、ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド262、ピグメントレッド264、ピグメントブラウン23、ピグメントブラウン41、ピグメントブラウン42、ピグメントブルー25、ピグメントブルー26、ピグメントブルー60、ピグメントブルー64、ピグメントバイオレッド19、ピグメントバイオレッド29、ピグメントバイオレッド32、ピグメントバイオレッド37、3,6−ジ(4’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3,6−ジ(3,4−ジクロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオンまたは3−フェニル−6−(4’−t−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオンである可溶性の発色団が、特に言及に値する。さらなる例が、Willy HerbstおよびKlaus Hungerにより"Industrial Organic Pigments"(ISBN 3-527-28161-4, VCH/Weinheim 1993)に記載されている。
【0114】
アルキルまたはアルキレンは、直鎖状、分岐状、単環状または多環状であることができる。
【0115】
したがって、C1〜C12アルキルは、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、n−ヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、トリメチルシクロヘキシル、デシル、メンチル、ツイル、ボルニル、1−アダマンチル、2−アダマンチルまたはドデシルである。
【0116】
2〜C12アルキルがモノまたはポリ不飽和である場合、それはC2〜C12アルケニル、C2〜C12アルキニル、C2〜C12アルカポリエニルまたはC2〜C12アルカポリビニルであり、適切な場合には、孤立したまたは共役の、2個以上の二重結合が存在することができる、たとえばビニル、アリル、2−プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イル、2−シクロブテン−1−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−2−イル、2−メチル−1−ブテン−3−イル、2−メチル−3−ブテン−2−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、1,4−ペンタジエン−3−イル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、1−p−メンテン−8−イル、4(10)−ツジェン−10−イル、2−ノルボルネン−1−イル、2,5−ノルボルナジエン−1−イル、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イルならびにヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニルおよびドデセニルの種々の異性体である。
【0117】
2〜C4アルキレンは、たとえば1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、2,3−ブチレン、1,4−ブチレンおよび2−メチル−1,2−プロピレンである。C5〜C12アルキレンは、たとえば、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、デシレンまたはドデシレンの異性体である。
【0118】
1〜C12アルコキシは、O−C1〜C12アルキル、好ましくはO−C1〜C4アルキルである。
【0119】
6〜C12アリールオキシは、O−C6〜C12アリール、たとえばフェノキシまたはナフチルオキシ、好ましくはフェノキシである。
【0120】
1〜C12アルキルチオは、S−C1〜C12アルキル、好ましくはS−C1〜C4アルキルである。
【0121】
6〜C12アリールチオは、S−C6〜C12アリール、たとえばフェニルチオまたはナフチルチオ、好ましくはフェニルチオである。
【0122】
2〜C24ジアルキルアミノは、N(アルキル1)(アルキル2)(アルキル1およびアルキル2の2個の基中の炭素原子の合計が2〜24である)、好ましくはN(C1〜C4アルキル)−C1〜C4アルキルである。
【0123】
7〜C24アルキルアリールアミノは、N(アルキル1)(アリール2)(基アルキル1およびアリール2の2個の中の炭素原子の合計が7〜24である)、たとえばメチルフェニルアミノ、エチルナフチルアミノまたはブチルフェナントリルアミノ、好ましくはメチルフェニルアミノまたはエチルフェニルアミノである。
【0124】
12〜C24ジアリールアミノは、N(アリール1)(アリール2)、(アリール1およびアリール2の2個基中の炭素原子の合計が12〜24である)、たとえばジフェニルアミノまたはフェニルナフチルアミノ、好ましくはジフェニルアミノである。
【0125】
ハロゲンは、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素、好ましくはフッ素または塩素、特に塩素である。
【0126】
a)多孔質SiOz粒子を潜在性顔料の溶液に加え、
b)潜在性顔料をキャリヤ粒子上に沈殿させ、
c)続いて、潜在性顔料を顔料に転化すること(PCT/EP03/10968)
を含む方法が好ましい。
【0127】
好適な実施態様では、潜在性顔料、たとえば
【0128】
【化10】

【0129】
を有機溶剤、たとえばTHFおよびエタノールの混合物に、20℃から溶剤の沸点までの温度で、最初に完全に溶解する。次にこの溶液を、前もって用意した有機溶剤、たとえばエタノール中の多孔質SiOz粒子の懸濁液に加え、20℃から溶剤の沸点までの温度で、5〜60分攪拌する。次に、激しく攪拌しながら、10〜120分の時間内に、潜在性顔料が溶解性に乏しい溶剤、通常水を混合物にゆっくり滴下し、その結果潜在性顔料がキャリヤ粒子上に付着する。攪拌をさらに10〜120分行う。次に、潜在性顔料で着色されたキャリヤ粒子をろ別し、洗浄し、乾燥する。
【0130】
顔料前駆物質のその顔料形態への転化は、公知の条件、たとえば熱的な条件下、場合によりさらなる触媒、たとえばWO00/36210に記載されている触媒の存在下での断片化によって行う。
【0131】
フレークの気孔が有機顔料で充填された場合は干渉が観察され、フレークの厚さが200〜500nmの範囲にある場合、これにより顔料の色を改質することができる。気孔サイズが50nmより小さい場合、有機顔料が詰め込まれたフレークは透明である。
【0132】
フレークの気孔を無機顔料、たとえば酸化鉄で充填することもでき、これにより黒色、黄色または赤色を形成することができる。このようなフレークは有機バインダーに容易に分散することができる。酸化鉄が詰め込まれたSiOzフレークは、酸化鉄の相に依存して、磁気を帯びることができる。磁性の酸化鉄が詰め込まれ、さらにAgでコーティングされたSiOzフレークは、たとえば電磁線遮蔽に用いることができる。
【0133】
さらに、プラズマエンハンスト化学蒸着(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposotion、PECVD)による蒸気相からプラズマアシスト蒸着によって、またはマグネトロンスパッタリング(たとえば、US-B-6,524,381を参照)によって、多孔質SiOzフレーク、特にフレークの気孔を、炭素、たとえばダイヤモンド状炭素およびアモルファス炭素で覆うことができる。プラズマ蒸着は、たとえば、室温、圧力1〜50×103Paで行うことができ、バッファとしてアルゴンまたは不活性ガスを、プロセスガスとしてメタン、エテンまたはアセチレンを用いて、場合によりドーピングガスの存在下で行うことができる。
【0134】
したがって、本発明は、炭素、特にダイヤモンド状炭素でコーティングされた多孔質SiOz基材をベースとする面平行構造(顔料)にも関する。炭素が気孔内に存在するばかりでなく、層も形成する場合は、炭素層の厚さは、10〜150nmの範囲にある。
【0135】
さらに、多孔質SiOzフレーク、特にフレークの気孔は、元素チタン、鉄またはジルコニウムの酸化物で充填することができる。
【0136】
SiOzフレークの気孔は、この場合、気孔直径が30nm未満を示し、これにより紫外線領域での吸収および反射が高い、半透明性が高い生成物を得る。粒子は、たとえば、四塩化チタン溶液をSiOzフレークの水性分散液に加え、コーティングされたSiOzフレークを分離し、これを乾燥し、場合によりこれを仮焼することにより得ることができる。粒子サイズ1〜50nmのルチルタイプのナノTiO2を、TiCl4を温度0〜60℃で、塩酸で加水分解することにより製造することもできる(R. J. Nussbaumer, W. Caseri, T. Tervoort and P. Smith, Journal of Nanoparticle Research 2002, 4, 319-323; Anpo et al. J. Phys. Chem. 1987, 91, 4305)。粒子サイズ10〜40nmのアナターセタイプのナノTiO2を、Ti(OiPr)4(=チタニウムテトライソプロポキシド)を、0〜50℃で水で加水分解し、続いて形成されたイソプロパノールを温度50〜100℃および低真空(約200Torr)で除去することにより製造することもできる(微結晶サイズ:<10nm)(K. I. Gnanasekar et al. Journal of Materials Research 2002, 17(6), 1507-1512)。TiCl4から水酸化アンモニウムで加水分解し、続いてH22で酸化することにより生成したチタン酸の溶液を、SiOzフレークの希薄溶液に加えることができる。100〜250℃で加熱することにより、この溶液から粒子サイズ約10nmのアナターセタイプのナノTiO2粒子が自然に生じる(H. Ichinose, M. Terasaki and H. Katsuki, Journal of the Chemical Sciety of Japan, Int. Edition 1996, 104(8), 715-718)。一方では、このような溶液および分散液は市販もされている(Kon Corporation, 91-115 Miyano Yamauchi, Kishimagun Saga-prefecture, Japan 849-2305)。チタン、ジルコニアおよび鉄の酸化物が詰め込まれたSiOzフレークは、公知の方法にしたがって有機または無機化合物でコーティングすることができる。TiO2でコーティングされたSiOzフレークは、半透明性が高いことが重要である場合、媒体中、たとえば、ワニス、ペイント、プラスチックまたはガラス中で、および/または化粧品配合物中の日光保護剤として使用できる。さらにコーティングされたSiOzフレークは、ペイント、印刷インク、プラスチックおよび塗装の顔料着色に用いることができる(たとえば、EP-A-803550を参照)。TiO2、特にアナターセタイプのTiO2でコーティングされたSiOzフレークは、光触媒活性を有することができる。したがって、このようなフレークは紫外線暴露のもとで、自己清浄および消毒する特性を示す。これらの特性は、フレークを滅菌、衛生設備および矯正用途での使用候補にさせる。
【0137】
ルチル変性TiO2で覆われたSiOzフレークは、非常に有効な、半透明の、光活性が少ししかないかほとんどないUV吸収剤として、たとえば化粧品(日光保護クリーム)、自動車または木材ワニスなどに用いることができる。このようなSiOzフレークは、UV保護に加えて耐引掻性も高め、他の物性、たとえば弾性率も改善する。
【0138】
本発明によれば、用語「TiO2(または任意の他の材料)でコーティングされたSiOzフレーク」または「TiO2で覆われたSiOzフレーク」は、全表面がTiO2でコーティングされたSiOzフレーク、気孔または気孔の一部がTiO2で充填されたSiOzフレーク、および/または個々の点でTiO2でコーティングされたSiOzフレークを含む。
【0139】
着色が望ましい場合は、顔料の色効果は、通常
−TiO2層の厚さ、
−中間層の厚さ、および
−中間層の組成物
を介して調節することができる。
【0140】
TiO2でコーティングされたSiOyフレーク(式中、0.70≦y≦1.8、特に1.1≦y≦1.5)は、PCT/EP03/50690に記載されているように、最初に非酸化ガス雰囲気中、600℃より高い温度で仮焼することができ、次にTiO2でコーティングされたSiOyプレートレットを、適切な場合には、200℃より高い、好ましくは400℃より高い、特に500〜1000℃の温度で、空気または別の酸素含有ガスで処理する。
【0141】
非酸化雰囲気中でTiO2/SiOyを仮焼すると、屈折率に変化を起こす中間層が生成すると考えられる。しかし、中間層が連続層ではなく、むしろ、TiO2およびSiOyの界面で個々の領域だけが、屈折率に変化を起こす転化を受けるという可能性は捨てきれない。さらに、屈折率の変化はSiOyによるTiO2の還元のせいであることが考えられる。したがって、本発明による原理は、SiOyでTiO2を還元することにより、屈折率に変化を起こす中間層が生成することに基づいている。
【0142】
【化11】

【0143】
中間層を形成するつもりのない場合は、多孔質SiOyフレークは、TiO2でコーティングする前にSiO2に酸化しなければならない。本明細書では、TiO2/SiOy粒子を、無酸素雰囲気、すなわちアルゴンもしくはヘリウム雰囲気中、または13Pa(10-1Torr)未満の真空中で、温度400℃より高温、特に400〜1100℃の温度で加熱することにより、SiOyによるTiO2の還元のほかに、SiOyはSiO2およびSiに不均化もする(PCT/EP03/50229)ことを除外できない。
【0144】
【化12】

【0145】
この不均化で、(1−(y/y+a))Siを含有するSiOy+aフレークが形成する(式中、0.70≦y≦0.99または1.0≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、特に0.05≦a≦1.0、yとaの合計が2以下である)。SiOy+aは富酸素亜酸化ケイ素である。
【0146】
SiOzフレークに、たとえばWO02/31060の実施例5に記載されているように、ドープされた材料、たとえばスズでドープされた酸化インジウムが詰め込まれた場合は、赤外線吸光度の高いSiOzフレークを得ることができる。
【0147】
SiOzフレークに、SnO2、Sb23/SnO2、In23またはIn23/SnO2が詰め込まれた場合は、赤外線反射能の高いSiOzフレークを得ることができる(US-B-4,548,836を参照)。
【0148】
干渉顔料を製造するために、本発明による方法を、材料と分離剤の混合層2層の間に、金属または金属酸化物のさらなる層を付着するおよび/または顔料の非対称の層構造の場合には材料と分離剤の混合層の前に金属または金属酸化物のさらなる層を付着する、ように変更することができる。
【0149】
したがって、本発明は多孔質材料、特にSiOz層(式中、0.70≦z≦2.0)を含むプレート状顔料にも関する。
【0150】
特に、
(a)金属、特にアルミニウムのコア、
(b)場合によりアルミニウムのコア上のSiOz層、および
(c)アルミニウムのコアまたはSiO層の上の多孔質SiOz
(式中、0.70≦z≦2.0)を含む顔料、たとえば多孔質SiOz/Al/多孔質SiOz、多孔質SiOz/SiOz/Al/SiOz/多孔質SiOzが好ましく、ここで非対称の構造、たとえば多孔質SiOz/Al/SiOzまたはSiOz/Al/SiOz/多孔質SiOzはそれほど好ましくない。
【0151】
金属は、Ag、Al、Au、Cu、Cr、Ge、Mo、Ni、Si、Ti、またはこれらの合金から選択するのが好ましい。Alが最も好ましい。
【0152】
多孔質SiOz層(c)は、無機または有機着色剤、たとえば染料または無機もしくは有機顔料、特に有機顔料を含有するのが好ましい。
【0153】
前記実施態様では、
(c1)多孔質SiOz層(厚さ=40〜60nm、特に約50nm)、
(b1)SiOz層(厚さ=20〜500nm)、
(a)アルミニウムコア(厚さ=40〜60nm、特に約50nm)、
(b2)SiOz層(厚さ=20〜500nm)および
(c2)多孔質SiOz層(厚さ=40〜60nm、特に約50nm)
(式中、1.40≦z≦2.0、特に2.0)を(この順序で)含む顔料が特に好ましく、ここで層(c1)および(c2)は染料または無機もしくは有機顔料、特に有機顔料を含有する。前記顔料は場合により低屈折率の材料、特にSiO2の保護層でコーティングされていてもよい。この顔料は、多孔質層に組み込まれた顔料の吸収および顔料の干渉色の組み合わせによりもたらされる、彩度が高いという特徴がある。
【0154】
別の特に好適な顔料は、
(a)多孔質SiOz層、
(b)SiOz層、および
(c)場合により多孔質SiOz
(式中、0.70≦z≦2.0)を(この順序で)含み、湿式化学法により、高屈折率の金属酸化物、特にTiO2でコーティングするのが好ましい。すなわち、顔料のコアは多孔質SiOz/SiOzまたは多孔質SiOz/SiOz/多孔質SiOzフレークにより形成する。
【0155】
多孔質SiOz/SiOzフレークは、工程
a)(可動)キャリヤ上に分離剤を蒸着して分離剤層を生成し、
b)分離剤層上にSiOyと分離剤の混合層を蒸着し、
c)混合層上にSiOy層(式中、0.70≦y≦1.80)を蒸着し、
d)場合により、SiOy層上にSiOyと分離剤の混合層を蒸着し、
e)溶剤中で分離剤層を溶解し、次いで
f)溶剤から、得られた多孔質SiOz/SiOzフレークを分離すること
を含むPVD法により製造する。
【0156】
多孔質層の気孔は上述したように、有機顔料を充填することができ、これにより干渉色と顔料の吸収を組み合わせることが可能である。SiOz層の層厚さに依存して、極めて高い彩度を得ることができる。
【0157】
有効屈折率が、SiO2(n=1.46)の屈折率より低く、1.25〜1.40の範囲にある多孔質SiOzフレーク、特にSiO2フレークは、SiO2フレークまたは層状のシリケートフレーク(たとえばマイカ、モンモリロナイト、サポナイトなど)の代わりに干渉顔料用基材として用いることができる。
【0158】
したがって、本発明は、粒子が、実質的に平行な2面を有しこの間の距離がコアの最も短い軸である、多孔質SiOz、多孔質SiOz/SiOz、SiOz/多孔質SiOz/SiOzまたは多孔質SiOz/SiOz/多孔質SiOz(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.1≦z≦2.0、さらに特に1.4≦z≦2.0)のコアを有し、(a)高屈折率の金属酸化物を含む、通常、長さ1μm〜5mm、幅1μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μm、長さ対厚さの比2:1以上である顔料;または
粒子が、実質的に平行な2面を有しこの間の距離がコアの最も短い軸である、多孔質SiOz、多孔質SiOz/SiOz、SiOz/多孔質SiOz/SiOzまたは多孔質SiOz/SiOz/多孔質SiOz(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.1≦z≦2.0、さらに特に1.4≦z≦2.0)のコアを有し、(a)半透明の金属薄層を含む、通常、長さ1μm〜5mm、幅1μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μm、長さ対厚さの比2:1以上である顔料、にも関する。
【0159】
半透明な金属層に適切な金属は、たとえばCr、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、またはNiである。半透明な金属層は通常厚さ5〜25nm、特に5〜15nmである。SiOy基材は平行な表面の一面だけに金属層を有してもよいが、金属層は基材の平行な面の両面上に存在するのが好ましい。
【0160】
あるいはまた、金属層は湿式化学コーティングによりまたは化学蒸着、たとえば金属カルボニルの気相付着により得ることができる。金属化合物が含まれる水性および/または有機溶剤含有媒体に基材を懸濁させ、還元剤を加えることにより基材に付着させる。金属化合物は、たとえば硝酸銀またはニッケルアセチルアセトナトである(WO03/37993)。
【0161】
US-B-3,536,520によれば、塩化ニッケルを金属化合物として用いることができ、次亜リン酸塩を還元剤として用いることができる。EP-A-353544によれば、次の化合物:アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド)、ケトン(アセトン)、カルボン酸およびその塩(酒石酸、アスコルビン酸)、レダクトン(イソアスコルビン酸、トリオースレダクトン、レダクチン酸)、ならびに還元糖(グルコース)を湿式化学コーティング用還元剤として用いることができる。
【0162】
半透明な金属層が望ましいなら、金属層の厚さは通常5〜25nm、特に5〜15nmである。
【0163】
金属外観(=不透明な金属層)を有する顔料が望ましいなら、金属層の厚さは25nm〜100nm、好ましくは30〜50nmである。有色金属エフェクトを有する顔料が望ましいなら、有色または無色の金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物および/または金属の追加の層を付着させることができる。これらの層は透明または半透明である。高屈折率層および低屈折率層が交互になっているか、層内で屈折率が徐々に変化する1層が存在するのが好ましい。さらなる被膜によって、耐候性を高めることが可能であり、これは同時にバインダー系へ最適な適応をもたらす(EP-A-268918およびEP-A-632109)。たとえばAgまたはNiでコーティングされた多孔質SiOzフレークは導電性であり、たとえばハイブリッド超小型回路、太陽電池、超伝導回路および大面積電子構造を、たとえばインクジェット印刷により、メタライズするのに用いることができる。
【0164】
本発明の好適な一実施態様では、干渉顔料は、本明細書では約1.65より高い屈折率と定義される「高」屈折率材料と、場合により、本明細書では屈折率約1.65以下と定義される「低」屈折率材料とを含む。無機材料、たとえば金属酸化物、金属亜酸化物、金属フッ化物、金属オキシハライド、金属硫化物、金属カルコゲニド、金属窒化物、金属オキシナイトライド、金属炭化物、これらの組合せなど、ならびに有機絶縁材料を含む種々の(絶縁)材料を使用することができる。これらの材料は、入手が容易で、物理蒸着法もしくは化学蒸着法により、または湿式化学コーティング法により簡単に付着される。
【0165】
特に好適な実施態様では、多孔質酸化ケイ素基材(多孔質SiOz、多孔質SiOz/SiOz、SiOz/多孔質SiOz/SiOzならびに多孔質SiOz/SiOz/多孔質SiOzを含む)をベースとする干渉顔料は、「高」屈折率、すなわち屈折率が約l.65よりも高い、好ましくは約2.0よりも高い、最も好ましくは約2.2よりも高い絶縁材料のさらなる層を含み、これをケイ素/酸化ケイ素基材の表面全体に付着する。このような絶縁材料の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、二酸化チタン(TiO2)、炭素、酸化インジウム(In23)、インジウム酸化スズ(ITO)、五酸化タンタル(Ta25)、酸化クロム(Cr23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ユウロピウム(Eu23)、酸化鉄、たとえば酸化鉄(II)/鉄(III)(Fe34)、酸化鉄(III)(Fe23)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La23)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd23)、酸化プラセオジム(Pr611)、酸化サマリウム(Sm23)、三酸化アンチモン(Sb23)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se23)、酸化スズ(SnO2)、三酸化タングステン(WO3)またはこれらの組合せである。絶縁材料は、金属酸化物が好ましい。金属酸化物は単独の酸化物または酸化物の混合物とすることができ、吸収特性のあるまたはないたとえばTiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23またはZnOであり、TiO2が特に好ましい。
【0166】
TiO2層の上に、低屈折率の金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23またはこれらの混合物、好ましくはSiO2を、場合によりさらなるTiO2層を付着することにより、色がより濃くより透明な顔料を得ることが可能である(EP-A-892832、EP-A-753545、WO93/08237、WO98/53011、WO9812266、WO9838254、WO99/20695、WO00/42111およびEP-A-1213330)。使用することのできる適切な低屈折率絶縁材料の例として、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23)および金属フッ化物、たとえばフッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、フッ化セリウム(CeF3)、フッ化ランタン(LaF3)、フッ化アルミニウムナトリウム(たとえばNa3AlF6またはNa5Al314)、フッ化ネオジム(NdF3)、フッ化サマリウム(SmF3)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化リチウム(LiF)、これらの組合せ、または屈折率約1.65以下の他の任意の低屈折率材料が含まれるが、これらに限定されない。たとえば、ジエンまたはアルケン、たとえばアクリレート(たとえば、メタクリレート)、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、これらの組合せなどを含む有機モノマーおよびポリマーを低屈折率材料として用いることができる。さらに、上述の材料は、蒸発、凝縮および架橋した透明なアクリレート層を含み、これらは、参照により本明細書に組み入れられるU.S. Pat. No. 5,877,895に記載されている方法により付着させることができる。
【0167】
したがって、好適な干渉顔料は(a)高屈折率金属酸化物のほかに、さらに(b)屈折率の差が0.1以上である低屈折率金属酸化物または非金属酸化物を含む。
【0168】
示した順序で湿式化学法によりコーティングされた酸化ケイ素(SiOy)基材をベースとする顔料が特に好ましい:
TiO2(基材:酸化ケイ素;層:TiO2、好ましくはルチル変性で)、(SnO2)TiO2、Fe23、Fe34、TiFe25、Cr23、ZrO2、Sn(Sb)O2、BiOCl、Al23、Ce23、MoS2、Fe23・TiO2(基材:酸化ケイ素;Fe23とTiO2の混合層)、TiO2/Fe23(基材:酸化ケイ素;第1層:TiO2;第2層:Fe23)、TiO2/ベルリンブルー、TiO2/Cr23、またはTiO2/FeTiO3。一般に、層厚さは1〜1000nm、好ましくは1〜300nmである。
【0169】
別の特に好適な実施態様では、本発明は高および低屈折率層が交互になる3層以上、たとえば、TiO2/SiO2/TiO2、(SnO2)TiO2/SiO2/TiO2、TiO2/SiO2/TiO2/SiO2/TiO2またはTiO2/SiO2/Fe23などを含有する干渉顔料に関する。:好適な層構造は次の通りである:
(A)屈折率>1.65の被膜、
(B)屈折率≦1.65の被膜、
(C)屈折率>1.65の被膜および
(D)場合により外側保護層。
【0170】
ベース基材上の高および低屈折率の個々の層の厚さは、顔料の光学特性に重要である。個々の層、特に金属酸化物層の厚さは、使用用途に依存し、通常10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0171】
(A)層の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。(B)層の厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に30〜600nmである。(C)層の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。
【0172】
(A)層に特に適切な材料は、金属酸化物、金属硫化物または金属酸化物の混合物、たとえばTiO2、Fe23、TiFe25、Fe34、BiOCl、CoO、Co34、Cr23、VO2、V23、Sn(Sb)O2、SnO2、ZrO2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(酸化状態2〜4未満の還元チタン種)、ビスマスバナデート、アルミン酸コバルト、さらにこれらの化合物と別の1種または他の金属酸化物との混合物または混合相である。金属硫化物被膜は、スズ、銀、ランタン、希土類金属、好ましくはセリウム、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよび/またはニッケルの硫化物から選択するのが好ましい。
【0173】
(B)層に特に適切な材料は、金属酸化物または対応する酸化物水和物、たとえばSiO2、MgF2、Al23、AlOOH、B23またはこれらの混合物であり、SiO2が好ましい。
【0174】
(C)層に特に適切な材料は、無色または有色金属酸化物、たとえばTiO2、Fe23、TiFe25、Fe34、BiOCl、CoO、Co34、Cr23、VO2、V23、Sn(Sb)O2、SnO2、ZrO2、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(酸化状態2〜4未満の還元チタン種)、ビスマスバナデート、アルミン酸コバルト、さらにこれらの化合物と別の1種または他の金属酸化物との混合物または混合相である。TiO2層は、さらに吸収材料、たとえば炭素、選択的吸収着色剤、選択的吸収金属カチオンを含有することができ、吸収材料でコーティングすることができ、または部分的に還元することができる。
【0175】
吸収または非吸収材料の中間層は、層(A)、(B)、(C)および(D)の間に存在することができる。中間層の厚さは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、特に1〜30nmである。
【0176】
この実施態様では、好適な干渉顔料は次の層構造を有する:
【0177】
【表1】

【0178】
本発明の顔料は、所定の厚さが正確で、薄い多孔質SiOzフレークの表面が平滑であるという特徴がある。干渉顔料用基材として、透明な多孔質SiOzフレークの代わりに、多孔質の不透明なまたは半透明なケイ素/酸化ケイ素フレークを用いることができる。
【0179】
金属酸化物層を、CVD(化学蒸着、chemical vapor deposition)により、または湿式化学コーティングにより付着することができる。金属酸化物層は、水蒸気の存在下(比較的低分子量の金属酸化物、たとえば磁鉄鉱)、または酸素および適切な場合には水蒸気の存在下(たとえば、酸化ニッケルおよび酸化コバルト)、金属カルボニルを分解することにより得ることができる。金属酸化物層は、特に、金属カルボニル(たとえば、五カルボニル鉄、ヘキサカルボニルクロム;EP-A-45 851)の酸化気相分解によって、金属アルコラート(たとえば、チタンおよびジルコニウムテトラ−n−およびイソプロパノラート;DE-A-41 40 900)または金属ハロゲン化物(たとえば、四塩化チタン;EP-A-338 428)の気相加水分解によって、有機スズ化合物(特にアルキルスズ化合物、たとえばテトラブチルスズおよびテトラメチルスズ;DE-A-44 03 678)の酸化分解によって、またはEP-A-668 329に記載されている有機ケイ素化合物(特にジ−t−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって付着し、塗装作業を流動床反応器中で行うことができる(EP-A-045 851およびEP-A-106 235)。
【0180】
クロメートおよび/またはバナデートを含有するならびにSiO2を含有する金属酸化物層は、DE-A-42 36 332およびEP-A-678 561に記載されている不動態化法にしたがって、金属のオキシドハライド(たとえば、CrO2Cl2、VOCl3)、特にリンオキシハライド(たとえば、POCl3)、リン酸および亜リン酸エステル(たとえば、ジおよびトリメチルならびにジおよびトリエチルホスファイト)およびアミノ基含有有機ケイ素化合物(たとえば、3−アミノプロピルトリエトキシおよびトリメトキシシラン)の気相加水分解または気相酸化分解によって付着することができる。
【0181】
金属ジルコニウム、チタン、鉄および亜鉛の酸化物、これらの金属の酸化物水和物、チタン酸鉄、亜酸化チタンまたはこれらの混合物の層は、湿式化学法による沈殿により付着させるのが好ましく、適切な場合には、金属酸化物を還元することが可能である。湿式化学コーティングの場合、真珠箔顔料の製造用に開発された湿式化学コーティング法を使用することができる。これらは、たとえばDE-A-14 67 468、DE-A-19 59 988、DE-A-20 09 566、DE-A-22 14 545、DE-A-22 15 191、DE-A-22 44 298、DE-A-23 13 331、DE-A-25 22 572、DE-A-31 37 808、DE-A-31 37 809、DE-A-31 51 343、DE-A-31 51 354、DE-A-31 51 355、DE-A-32 11 602およびDE-A-32 35 017、DE 195 99 88、WO 93/08237、WO 98/53001およびWO03/6558に記載されている。
【0182】
高屈折率金属酸化物はTiO2および/または酸化鉄が好ましく、低屈折率金属酸化物はSiO2が好ましい。TiO2の層はルチルまたはアナターセ変性であることができるが、ルチル変性が好ましい。TiO2層は、EP-A-735,114、DE-A-3433657、DE-A-4125134、EP-A-332071、EP-A-707,050またはWO93/19131に記載されているように、公知の手段、たとえばアンモニア、水素、炭化水素蒸気またはこれらの混合物、あるいは金属粉末により還元することもできる。
【0183】
コーティングを目的として基材粒子を水に懸濁させ、副次的な沈殿を生じさせずに、金属酸化物または金属酸化物水和物が粒子上に直接沈殿するように選択した加水分解に適切なpHで、加水分解性金属塩を1種以上加える。pHは、塩基の同時計量供給により常に一定に保つ。次いで、顔料を分離し、洗浄し、乾燥し、適切な場合には仮焼し、仮焼温度は対象の被膜についてできる限り最適化する。必要なら、さらなる層の沈殿を目的として、個々の被膜を付着した後に、顔料を分離し、乾燥し、適切な場合には仮焼し、次に再懸濁することができる。
【0184】
金属酸化物層はさらに、たとえばDE-A-195 01 307に記載されている方法と同様に、適切な場合には有機溶剤および塩基触媒の存在下で、ゾル−ゲル法によって、1種以上の金属酸エステルの制御された加水分解による金属酸化物層の製造により得られる。適切な塩基触媒は、たとえばアミン、たとえばトリエチルアミン、エチレンジアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミンおよびメトキシプロピルアミンである。有機溶剤は、水混和性の有機溶剤、たとえばC1-4アルコール、特にイソプロパノールである。
【0185】
適切な金属酸エステルは、バナジウム、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびホウ素のアルキルおよびアリールアルコラート、カルボキシレート、ならびにカルボキシル基もしくはアルキル基もしくはアリール基置換アルキルアルコラートまたはカルボキシレートから選択される。アルミン酸トリイソプロピル、チタン酸テトライソプロピル、ジルコニウム酸テトライソプロピル、オルトケイ酸テトラエチルおよびホウ酸トリエチルの使用が好ましい。さらに、前述の金属のアセチルアセトナトおよびアセトアセチルアセトナトを使用できる。このタイプの金属酸エステルの好適な例は、ジルコニウムアセチルアセトナト、アルミニウムアセチルアセトナト、チタンアセチルアセトナトおよびジイソブチルオレイルアセトアセチルアルミナトまたはジイソプロピルオレイルアセトアセチルアセトナトおよび金属酸エステルの混合物、たとえばDynasil(登録商標)(Huls)、混合アルミニウム/ケイ素金属酸エステルである。
【0186】
高屈折率の金属酸化物として、二酸化チタンを使用するのが好ましく、本発明の実施態様によれば、二酸化チタン層の付着には、US-B-3,553,001に記載されている方法を使用する。
【0187】
コーティングされる材料の懸濁液にチタン塩水溶液をゆっくり加えるが、懸濁液は約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱し、塩基、たとえばアンモニア水溶液またはアルカリ金属水酸化物の水溶液などの同時計量添加により、実質的に一定のpH値、約0.5〜5、特に約1.2〜2.5に保つ。沈殿TiO2が望ましい層厚さに達したら、チタン塩溶液と塩基の添加を止める。
【0188】
「滴定法」とも呼ぶこの方法は、過剰のチタン塩を避ける事実により特徴づけられる。それは、単位時間当りの加水分解のための供給が、水和されたTiO2で均一にコーティングするために必要な量だけであり、コーティングされる粒子の利用できる表面によって単位時間あたり吸収できることにより達成される。基本的に、アナターセ型TiO2が出発顔料の表面に生成する。しかし、少量のSnO2の添加により、ルチル構造を形成させるのが可能である。たとえばWO93/08237に記載されているように、二酸化チタンの沈殿の前に二酸化スズを付着することができ、二酸化チタンでコーティングされた生成物を800〜900℃で仮焼することができる。
【0189】
TiO2は場合により通常の方法:US-B-4,948,631(NH3、750〜850℃)、WO93/19131(H2、>900℃)またはDE-A-19843014(固体の還元剤、たとえばケイ素など、>600℃)で還元することができる。
【0190】
適切な場合には、二酸化チタン層の上にSiO2(保護)層を付着することができ、そのために次の方法を用いることができる:約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱したコーティングされる材料の懸濁液に、ソーダ水ガラス溶液を計量添加する。10%塩酸の同時添加により、pHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液の添加後、30分攪拌を行う。
【0191】
TiO2層の上に、「低」屈折率の、すなわち屈折率が約1.65よりも小さい金属酸化物、たとえばSiO2、Al23、AlOOH、B23またはこれらの混合物、好ましくはSiO2を付着し、最後の層の上にさらにFe23および/またはTiO2層を付着することにより色がより濃くより透明な顔料を得ることが可能である。このような多孔質酸化ケイ素基材または多孔質ケイ素/酸化ケイ素基材ならびに交互になった高および低屈折率の金属酸化物層を含む多層コーティングされた干渉顔料は、WO98/53011およびWO99/20695に記載されている方法と同様に製造することができる。
【0192】
さらに、さらなる層、たとえば有色金属酸化物またはベルリンブルー、遷移金属、たとえばFe、Cu、Ni、Co、Crの化合物、または有機化合物、たとえば染料または染色レーキを付着することにより、顔料の粉末色を変性することが可能である。
【0193】
さらに、本発明による顔料は、可溶性が乏しく、固く固着する、無機または有機着色剤でコーティングすることもできる。染色レーキ、特にアルミニウム染色レーキの使用が好ましい。そのために水酸化アルミニウム層を沈殿させ、第2工程で、これを染色レーキの使用によりレーキ化する(DE-A-24 29 762およびDE 29 28 287)。
【0194】
さらに、本発明による顔料は、錯体塩顔料、特にシアノ鉄酸塩錯体(EP-A-141173およびDE-A-23 13 332)を用いてさらなるコーティングを有してもよい。
【0195】
DE-A-4009567によれば、本発明による顔料を有機染料、特にフタロシアニンまたは金属フタロシアニンおよび/またはインダントレン染料でコーティングすることもできる。染料の溶液中に顔料の懸濁液をを生成し、染料が不溶性である溶剤を加える。さらに、金属カルコゲニドおよび/または金属カルコゲニド水和物ならびにカーボンブラックをさらなるコーティングに用いることができる。
【0196】
用途の分野に依存するが、耐候安定性および光安定性を高めるために、多層酸化ケイ素フレークに表面処理を行うことができる。有用な表面処理は、たとえばDE-A-2215191、DE-A-3151354、DE-A-3235017、DE-A-3334598、DE-A-4030727、EP-A-649886、WO97/29059、WO99/57204およびUS-A-5,759,255に記載されている。前記表面処理は、顔料の取り扱い、特にその種々の塗装媒体への組み込みを容易にすることもできる。
【0197】
多層顔料の場合、干渉色を特定の波長の増大で測定し、多層顔料中の2層以上が同じ光学厚さを有する場合、層の数が増えるにつれて反射光の色はより濃くより強くなる。これに加えて、層厚さの適切な選択によって、視角の関数として特に色の強い変化を達成することが可能である。本発明による顔料に望ましい明白な色フロップが発現する。したがって、個々の金属酸化物層の厚さは、その屈折率とは無関係に、20〜500nmの範囲、特に50〜300nmの範囲にある。
【0198】
層の数および厚さは目的とする効果に依存する。3層系TiO2/SiO2/TiO2を用いて、個々の層の厚さが互いに光学的に同調する場合に、目的とする効果は達成される。光学的に比較的薄いTiO2およびSiO2層(層厚さ<100nm)を用いることにより、本質的にTiO2含量がより低く、色がより濃く、純粋なTiO2/マイカ顔料のようにより透明である顔料を製造することができる。厚いSiO2層(層厚さ>100nm)の付着により、視角の関数として特に色の強い変化を有する顔料を得る。
【0199】
さらなるTiO2層およびSiO2層の付着により、5層系またはそれより多層の系を得ることができるが、層の数は経済的状況により制限される。基材として、均一な厚さの多孔質SiOzフレークまたは多孔質ケイ素/酸化ケイ素フレークを使用することにより、明確に定められた干渉効果を得ることができる。
【0200】
この場合、基材をたとえば上述した構造3層でコーティングすることにより、明確に定められた厚さの7薄層の干渉系を得る。このような顔料の反射および/または透過スペクトルは、対応する顔料、すなわち厚さの分布が広い基材、たとえばマイカをベースとする顔料のスペクトルのような、良好で正確に調節できる構造を示す。
【0201】
これらの顔料は、非常に薄いTiO2層(層厚さ50nm未満)で、すでに強い干渉色を示す。干渉色の角度依存も特に明瞭である。
【0202】
本発明による(エフェクト)顔料は光沢が強く厚さの均一性が高いという特徴があり、これにより高い色純度と高い色の濃さを実現できる。
【0203】
本発明による(エフェクト)顔料は全ての通常の目的に使用することができ、たとえばポリマーの練り込み着色、塗装(自動車部門用を含むエフェクト仕上げ塗装を含む)および印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、金付けおよびフレキソ印刷を含む)、さらに、たとえば化粧品、インクジェット印刷、生地の染色用の用途、セラミックおよびガラスの艶だし、ならびに紙およびプラスチックのレーザマーキングに使用することができる。このような用途は参考資料、たとえば"Industrielle Organische Pigmente"(W. Herbst and K. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York, 2nd, completely revised edition, 1995)から公知である。
【0204】
ナノ粒子が詰め込まれたマトリックス材料の製造方法は、本発明のさらなる対象を形成する。この方法は
a)キャリヤ上に分離剤を蒸着して分離剤層を生成し、
b)次に、分離剤層(a)上にマトリックス材料とナノ粒子を形成する材料とを同時に蒸着し、
c)分離剤から材料を分離、特に溶剤中で分離剤を溶解することにより分離し、
d)場合により、ナノ粒子が装填されたマトリックス材料を溶剤から分離すること
を含む。
【0205】
この方法は、材料と分離剤の代わりに、マトリックスを形成する材料とナノ粒子を形成する材料とを蒸発させるほかは、根本的に上述した方法と同様に行う。
【0206】
主に、マトリックス材料またはナノ粒子形成材料として、高真空下で蒸発させることができる任意の材料を用いることができる。可視領域で本質的に透明である金属酸化物および非金属酸化物ならびにモノマー、オリゴマー、またはポリマーをマトリックス材料として用いるのが好ましい。ナノ粒子が詰め込まれた材料の光の散乱を減らすために、ナノ粒子が詰め込まれた材料の屈折率は、ナノ粒子が詰め込まれた材料が組み込まれる材料(たとえば、塗装、ペイントなど)と類似しているのが有利である。ナノ粒子が装填された材料の屈折率は、ナノ粒子が装填された材料が組み込まれる材料の屈折率から、特に0.3以下だけわずかに異なってもよい。
【0207】
本発明の好適な実施態様では、マトリックス材料は非金属酸化物、特に透明なSiOz(式中、1.4≦z≦2.0)である。このようなマトリックス材料は耐磨耗性の(耐掻性の)コーティング中の添加剤として特に適切であり、それは生成物は水の透明度を有する表面コーティング中でも、屈折率がほとんど同じであるので、見えないままだからである。SiOzフレークの官能性は、中に組み込まれるナノ粒子で測定する。
【0208】
本発明の方法にしたがって製造したフレークは、疎水性、親水性または帯電防止性を得るためにまたは有機化合物のカップリングを可能にするために、公知の方法にしたがって、その表面に、さらなる処理を施してもよい。面平行構造はコーティングされた物体の表面に平行に配向し、後述する後続の処理の後、表面コーティングの表面のすぐ近くに硬質層を形成する。
【0209】
別の好適な実施態様では、マトリックス材料は、真空中で気化可能であり、本発明の方法によりフレークに加工できる高分子量有機材料、特にペイント、印刷インク、または塗装の成分である。適切なマトリックス材料は、分解を伴わずに気化可能であり、マトリックスに組み込まれるナノ粒子と反応してはならない。好ましくは、マトリックス材料は、連続PVD法で使用でき、特に工業用の状況でほとんど熱分解せずに1kg/hより多い量で気化できるべきである。形成される凝縮できない分解ガスの量は、実質的にこのような方法に通常用いる高真空ポンプの能力より少なくあるべきである。前記実施態様では、マトリックス材料は、真空中で気化可能で、高分子量有機材料、特に塗装、ペイント、または印刷インクの通常の成分である固体のモノマー、マクロモノマー、オリゴマーまたはポリマーが好ましい。モノマー、たとえば、アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマーは、場合により熱的にあるいは電子および/または光照射により重合することができる(たとえば、US-B-5,440,446およびWO98/38255を参照)。
【0210】
蒸発させることのできるポリマーの例は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、ベンジルアクリレートとアクリル酸のコポリマー、ベンジルアクリレートとメタクリル酸のコポリマー、ベンジルメタクリレートとアクリル酸のコポリマー、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸のコポリマー、スチレンとアクリル酸のコポリマー、スチレンとメタクリル酸のコポリマー、フェネチルアクリレートとアクリル酸のコポリマー、フェネチルアクリレートとメタクリレートのコポリマー、フェネチルメタクレレートとアクリル酸のコポリマー、およびフェネチルメタクレレートとメタクリル酸のコポリマー、またはこれらの混合物である。アクリル酸またはメタクリル酸から誘導される繰り返し単位を含有するホモポリマーまたはコポリマー、たとえばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、ベンジルアクリレートとアクリル酸のコポリマー、ベンジルメタクリレートとアクリル酸のコポリマー、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸のコポリマー、スチレンとアクリル酸のコポリマー、スチレンとメタクリル酸のコポリマー、フェネチルアクリレートとアクリル酸のコポリマー、フェネチルアクリレートとメタクリル酸のコポリマー、フェネチルメタクレレートとアクリル酸のコポリマー、およびフェネチルメタクレレートとメタクリレートのコポリマー(たとえば、DE-A-2706392を参照)が好ましい。
【0211】
上述した2つの実施態様では、ナノ粒子を形成する材料は、プラスチック、ペイント、塗装、印刷インクまたは化粧品用の有機顔料もしくは添加剤、たとえばUV吸収剤または金属、特にアルミニウム、ケイ素または貴金属、たとえば銀、金、パラジウムもしくは白金が好ましい。
【0212】
オリゴマーまたはポリマーに組み込まれた顔料ナノ粒子は、コストのかかる分散工程、たとえば、ボールミルでの分散工程なしに、透明な顔料として、高分子量有機材料、特にペイントに加えることができる(いわゆる攪拌型または「易分散性」顔料)。
【0213】
この透明な顔料は、特に、エフェクトワニス、木材ワニスの配合物におよび透明なプラスチックの顔料着色に用いることができる。
【0214】
本発明の別の好適な実施態様では、マトリックス材料としてSiOyおよびナノ粒子を形成する材料としてTiOを、誘導加熱エバポレータおよび電子ビームで加熱するエバポレータにより、それぞれ気化させる。通常の精密検査の後、SiOyマトリックスに組み込まれたTiOナノ粒子が得られ、これを酸素を含有する雰囲気中、200℃より高い温度で酸化することができ、これによりSiOzマトリックスに組み込まれた酸化チタンナノ粒子を得ることができる。上述したように、このような粒子を非常に有効な、透明な、光活性が低いかほとんどないUV吸収剤として用いることができる。
【0215】
ルミネセント材料、たとえば、WO02/31060に記載されているルミネセント材料も、ナノ粒子を形成する材料として使用することができる。特にEP-A-801652に記載されている式
【0216】
【化13】

【0217】
(式中、Mは、Eu、Tb、DyまたはSmであり、R2は、水素またはC1〜C6アルキル基であり、R1およびR3は、互いに独立にフェニル基、水素、またはC1〜C6アルキル基であり、Lは、p−N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールまたはp−メトキシピリジン−N−オキシドである)の気化可能な錯体を用いることができる。
【0218】
別の実施態様では、本発明は、(1−y/y+a)ケイ素(ナノ粒子)を含有するプレート状SiOy+a粒子(マトリックス材料)(式中、0.70≦y≦1.8、特に1.0≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、yとaの合計が2以下である)に関する。
【0219】
この場合、マトリックス材料およびナノ粒子を形成する材料はSiOy(式中、0.70≦y≦1.8)である。SiOy+aフレーク、特に(1−y/y+a)Siナノ粒子を含有するSiO2フレークは、無酸素雰囲気、すなわちアルゴンもしくはヘリウム雰囲気中で、または13Pa(10-1Torr)未満の真空中で、SiOy粒子を400℃より高温、特に400〜1100℃で加熱することにより得ることができる。
【0220】
無酸素雰囲気中でSiOy粒子を加熱することにより、SiOyはSiO2およびSiに不均化すると考えられる。
【0221】
【化14】

【0222】
この不均化で、(1−(y/y+a))Siを含有するSiOy+aフレーク(式中、0.70≦y≦1.8、特に0.70≦y≦0.99または1≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、yとaの合計が2以下である)が形成する。SiOy+aは富酸素亜酸化ケイ素である。SiOyのSiおよびSiO2への完全な転化が好ましい。
【0223】
【化15】

【0224】
温度範囲400〜900℃で形成したケイ素はアモルファスである。温度範囲900〜1100℃でケイ素微結晶を形成する。平均微結晶サイズは1〜20nm、特に2〜10nmの範囲である。一方では、サイズは温度に依存する。すなわち、900℃よりも1100℃でより大きな微結晶が形成する。他方では、SiOyの酸素レベルが高いほど、小さな微結晶が形成する明らかな傾向が見られる。Siを含有する面平行SiOy+a粒子、特にSiO2粒子の生成によって、ホトルミネセンスを示すことができる。
【0225】
SiOyフレークを含有するケイ素ナノ粒子は、上述した方法であって、工程b)で1種の材料、すなわちSiOyだけを蒸発させる方法により得られる。
【0226】
SiOy+aフレークを含有するケイ素ナノ粒子は、たとえば、エフェクト顔料用基材として使用することができる。したがって、本発明のさらなる対象は、ケイ素ナノ粒子を含有するSiOy+a層を含み、SiOy+a層は好ましくは顔料のコアを形成する、プレート状顔料により形成される。
【0227】
干渉に必要なさらなる層を、多孔質SiOzフレークによって前に詳述した、マイカおよび/またはSiO2コアを用いるエフェクト顔料について公知の通常の方法にしたがって付着することができる。
【0228】
金属または非金属の無機プレートレット形状粒子または顔料は、エフェクト顔料(特に金属エフェクト顔料または干渉顔料)であり、すなわち、塗装媒体に色を付与するほかに、追加の特性、たとえば色(フロップ)、ラスター(表面光沢ではない)またはテクスチャーの角度依存性を付与する顔料である。金属エフェクト顔料では、方向が配向した顔料粒子で実質的に配向した反射が起こる。干渉顔料の場合、色付与効果(colour-imparting effect)は、高屈折性薄層中での光の干渉現象によるものである。
【0229】
本発明による(エフェクト)顔料は全ての通常の目的に使用することができ、たとえばポリマーの練り込み着色、塗装(自動車部門用を含むエフェクト仕上げ塗装を含む)および印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、金付けおよびフレキソ印刷を含む、たとえばPCT/EP03/50690を参照)、さらに、たとえば化粧品(たとえばPCT/EP03/09269を参照)、インクジェット印刷(たとえばPCT/EP03/50690を参照)、生地の染色用(たとえばPCT/EP03/11188を参照)の用途、セラミックおよびガラスの艶だし、ならびに紙およびプラスチックのレーザマーキングに使用することができる。このような用途は参考資料、たとえば"Industrielle Organische Pigmente"(W. Herbst and K. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York, 2nd, completely revised edition, 1995)から公知である。
【0230】
干渉顔料(エフェクト顔料)がゴニオクロマチック(goniochromatic)であり、鮮明で、高い彩度の色(ラスター)をもたらす場合、それは従来の透明な顔料、たとえば有機顔料、たとえばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノンなどと組合せるのに適切であり、透明な顔料がエフェクト顔料と同様の色を有することが可能である。しかし、たとえばEP-A-388 932またはEP-A-402 943と同様に、透明な顔料の色とエフェクト顔料の色が相補的である場合に、特に興味深い組合せの効果が得られる。
【0231】
本発明による顔料は、高分子量有機材料の顔料着色に対して優れた結果で用いることができる。
【0232】
顔料着色に本発明による顔料または顔料組成物を使用できる高分子量有機材料は、天然由来でも合成品でもよい。高分子量有機材料は、分子量が通常約103〜108g/molまたはそれより大きい。これは、たとえば天然樹脂、乾性油、ゴムもしくはカゼインまたはこれらから誘導した天然物質、たとえば塩素化ゴム、油変性アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、たとえばエチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、セルロースアセトブチレートまたはニトロセルロース、とすることができるが、特に、重合、重縮合または重付加により得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチックおよび熱可塑性プラスチック)が挙げられる。重合樹脂のクラスから、特に、ポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリイソブチレン、さらに置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルまたはブタジエンの重合生成物、ならびに前記モノマーの共重合物、特にABSまたはEVAを挙げることができる。
【0233】
重付加樹脂および重縮合樹脂のシリーズから、たとえばホルムアルデヒドとフェノール類の縮合物、いわゆるフェノプラスト、ホルムアルデヒドと尿素、チオウレアまたはメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト、表面塗装樹脂として用いるポリエステル、アルキド樹脂などの飽和樹脂またはマレエート樹脂などの不飽和樹脂、さらに直鎖状ポリエステルおよびポリアミド、ポリウレタンまたはシリコーンを挙げることができる。
【0234】
前記高分子量化合物は単独または混合物で、プラスチック塊または溶融物の形で存在することができる。これらはそのモノマーの形態でまたは重合した状態で、塗装もしくは印刷インク用の被膜形成剤またはバインダー、たとえば煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂および尿素ホルムアルデヒド樹脂またはアクリル樹脂として、溶解した形態で存在してもよい。
【0235】
使用目的によって、本発明によるエフェクト顔料をトナーとして用いるのが有利か、配合物の形態で用いるのが有利かを確かめた。高分子量有機材料、特にポリエチレンの着色用エフェクト顔料の使用に悪影響がないという条件で、コンディショニング方法または対象とする用途によって、コンディショニングプロセスの前または後に、所定量のテクスチャー改良剤をエフェクト顔料に加えるのが有利である。適切な薬剤は、特に、炭素原子数18以上の脂肪酸、たとえばステアリン酸またはベヘン酸、またはアミドまたはこれらの金属塩、特にマグネシウム塩、ならびに可塑剤、ワックス、樹脂酸、たとえばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノールまたは脂肪族アルコール、たとえばステアリルアルコール、または炭素原子数8〜22の脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、たとえば1,2−ドデカンジオール、さらに変性コロホニウムマレエート樹脂またはフマル酸コロホニウム樹脂である。テクスチャー改良剤は、最終生成物に基づいて好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜15重量%の量で加える。
【0236】
本発明による(エフェクト)顔料は、顔料着色する高分子量有機材料に、任意の着色有効量で加えることができる。顔料着色物質組成物は、高分子量有機材料、および高分子量有機材料に基づいて、本発明による顔料0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%を含むのが有利である。実際には濃度1〜20重量%、特に約10重量%用いることが多い。
【0237】
高濃度、たとえば30重量%より高い濃度は、通常濃縮物(マスターバッチ)の形態であり、着色剤として比較的顔料含量の低い顔料着色材料の製造に使用でき、本発明による顔料は通常の組成物中で極めて低粘度であるのでそれでも良好に加工できる。
【0238】
有機材料の顔料着色を目的として、本発明によるエフェクト顔料は単独で使用できる。しかし、種々の色合いまたは色効果を得るために、本発明によるエフェクト顔料に加えて、任意の望ましい量の他の色付与成分、たとえば白色、有色、黒色またはエフェクト顔料を高子量有機物質に加えることも可能である。有色顔料を本発明によるエフェクト顔料との混合状態で用いる場合、合計量は高分子量有機材料に基づいて0.1〜10重量%であるのが好ましい。特に高い目視角度依存色度は、本発明によるエフェクト顔料と、別の色、特に、エフェクト顔料を用いて作られる色合いと有色顔料を用いて作られる色合いの、測定角度10°での色相の差(△H*)が20〜340、特に150〜210である相補的な色の有色顔料との好適な組合せにより提供される。
【0239】
本発明によるエフェクト顔料は透明な有色顔料と組み合わせるのが好ましく、透明な有色顔料は本発明によるエフェクト顔料と同じ媒体中に存在しても隣接する媒体中に存在してもよい。エフェクト顔料および有色顔料が隣接する媒体中に有利に存在する配列の例が多層エフェクト塗装である。
【0240】
本発明による顔料を用いる高分子量有機物質の顔料着色は、たとえばこのような顔料(適切な場合にはマスターバッチの形態で)と基材とを、ロールミルまたは混合または粉砕装置を用いて混合することにより行う。次に、顔料着色材料を、それ自体公知の方法、たとえばカレンダリング、圧縮成形、押出、塗装、流し込みまたは射出成形を用いて望ましい最終形態に至らせる。プラスチック工業で一般的な任意の添加剤、たとえば可塑剤、充填剤または安定剤を、通常の量で顔料の組み込み前または後にポリマーに加えることができる。特に、軟質成形品を製造するためまたはその脆さを減らすために、可塑剤、たとえばリン酸、フタル酸またはセバシン酸のエステルを、成形に先立って高分子量化合物に加えるのが望ましい。
【0241】
塗装および印刷インクの顔料着色において、高分子量有機材料および本発明によるエフェクト顔料を、適切な場合には通常の添加剤、たとえば充填剤、他の顔料、乾燥剤または可塑剤とともに、同じ有機溶剤または溶剤混合物に微細に分散または溶解し、個々の成分を別々に溶解または分散させるか、多数の成分を一緒に溶解または分散させ、その後初めて全成分を合わせることができる。
【0242】
顔料着色する高分子量有機材料中での本発明によるエフェクト顔料の分散、および本発明による顔料組成物の加工は、エフェクト顔料がより小さな部分に壊れないように、比較的弱い剪断力しか発生しない条件下で行うのが好ましい。
【0243】
本発明の顔料を0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量で含むプラスチック。塗装領域では、本発明の顔料を0.1〜10重量%の量で使用する。バインダー系、たとえば凹版、オフセットまたはスクリーン印刷用のペイントおよび印刷インクの顔料着色では、顔料を印刷インクに0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜15重量%の量で組み込む。
【0244】
たとえばプラスチック、塗装または印刷インク中、特に塗装または印刷インク中、さらに特に塗装中で得られる色合いは、優れた特性、特に極めて高い彩度、優れた堅牢性、高い色純度、および高い目視角度依存色度に特徴がある。
【0245】
顔料着色する高分子量材料が塗装である場合、それは特に専用の塗装、特に自動車の仕上げ塗装である。
【0246】
本発明によるエフェクト顔料は、唇または皮膚の化粧および髪または爪の着色にも適切である。
【0247】
したがって、本発明は、本発明による顔料、特にエフェクト顔料を、化粧品配合物または組成物の合計重量に基づいて0.0001〜90重量%、化粧品用に適切なキャリヤ材料を10〜99.9999%含む化粧品配合物または組成物にも関する。
【0248】
このような化粧品配合物または組成物は、たとえば口紅、ほお紅、ファンデーション、マニキュア液およびヘアシャンプーである。
【0249】
顔料は単独または混合物の形態で用いることができる。さらに、本発明による顔料を他の顔料および/または着色剤とともに、たとえば前述したようなまたは化粧品配合物で公知の組合せで使用することが可能である。
【0250】
本発明による化粧品配合物および組成物は、本発明による顔料を配合物の合計重量に基づいて0.005〜50重量%の量で含有するのが好ましい。
【0251】
本発明による化粧品配合物および組成物に適切なキャリヤ材料は、このような組成物に用いる通常の材料を含む。
【0252】
本発明による化粧品配合物および組成物は、たとえばスティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末または溶液の形態とすることができる。これらは、たとえば口紅、マスカラ配合物、ほお紅、アイシャドウ、ファンデーション、アイライナー、粉おしろいまたはマニキュア液である。
【0253】
配合物がスティック、たとえば口紅、アイシャドウ、ほお紅またはファンデーションの形態ならば、配合物はかなりの部分が脂肪成分からなり、脂肪成分は1種以上のワックス、たとえばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水素化ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンワックス、ミツロウ、カンデリラろう、微晶ろう、カルナウバろう、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココア脂、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、石油ゼリー、モノ、ジもしくはトリグリセリドまたは25℃で固体であるこれらの脂肪酸エステル、シリコーンワックス、たとえばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサンおよびポリ(ジメチルシロキシ)−ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、松脂およびこれらの誘導体、たとえばグリコールアビエテートおよびグリセロールアビエテート、25℃で固体の水素化油、糖グリセリドおよびカルシウム、マグネシウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのオレエート、ミリステート、ラノレート、ステアレートおよびジヒドロキシステアレートからなることができる。
【0254】
脂肪成分は1種以上のワックスと1種以上のオイルとの混合物からなっていてもよく、その場合たとえば次のオイルが適切である:パラフィン油、パーセリンオイル(purcelline oil)、ペルヒドロスクアレン(perhydrosqualene)、スイートアーモンドオイル、アボカドオイル、カロフィラムオイル(calophyllum oil)、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、沸点約310〜410℃の鉱油、シリコーン油、たとえばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀物粒オイル、たとえば小麦麦芽オイル、イソプロピルラノレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコールおよびポリアルコール、たとえばグリコールおよびグリセロールのオクタノエートおよびデカノエート、アルコールおよびポリアルコールのリシノレエート、たとえばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシルラウレートおよびオクチルドデカノール。
【0255】
スティックの形態のこのような配合物中の脂肪成分は、通常、配合物合計重量の99.91重量%まで占めることができる。
【0256】
加えて、本発明による化粧品配合物および組成物は、さらなる成分、たとえばグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、非有色ポリマー、無機または有機の充填剤、防腐剤、UVフィルターまたは他の添加物ならびに通常の化粧品中の添加剤、たとえば天然もしくは合成または部分的に合成のジまたはトリグリセリド、鉱油、シリコーン油、ワックス、脂肪アルコール、Guerbetアルコールまたはそのエステル、日光保護フィルターを含む親油性の機能化粧品有効成分、またはこのような物質の混合物を含むことができる。
【0257】
皮膚化粧品に適切な親油性の機能化粧品有効成分、有効成分組成物または有効成分抽出物は、皮膚上のまたは局所の用途に承認された成分または成分の混合物である。例として次のものが挙げられる:
−皮膚表面および髪のクレンジング作用を有する有効成分:これは皮膚を洗浄する作用をなす全ての物質、たとえばオイル、石鹸、合成洗剤および固体の物質を含む;
−防臭および制汗作用を有する有効成分:これはアルミニウム塩または亜鉛塩を主成分とする制汗剤、殺菌性または静菌性防臭物質、たとえばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコールおよびカチオン物質、たとえば第四級アンモニウム塩を含む防臭剤、およびにおい吸収剤、たとえばGrillocin(登録商標)(亜鉛リシノレエートおよび種々の添加剤)またはクエン酸トリエチル(場合により酸化防止剤、たとえばブチルヒドロキシトルエンとの組合せ)またはイオン交換樹脂を含む;
−日光に対する保護を与える有効成分(UVフィルター):適切な有効成分は、日光から紫外線を吸収し熱に変換することができるフィルター物質(日焼け止め剤)である;望ましい作用によって次の光保護剤が好ましい:日焼けの原因となる約280〜315nmの範囲の高エネルギー紫外線を選択的に吸収する、たとえば315〜400nm(UV−A範囲)の長波長範囲を透過する光保護剤(UV−B吸収剤)、ならびに315〜400nmのUV−A範囲の長波長放射線だけを吸収する光保護剤(UV−A吸収剤);適切な光保護剤は、たとえば、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、有機ケイ素基1個以上を含むポリマーUV吸収剤、桂皮酸誘導体、カンファー誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸およびこれらの塩、アントラニル酸メチル、ベンゾトリアゾール誘導体のクラスの中からの有機UV吸収剤、および/または酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素でコーティングされたTiO2、酸化亜鉛またはマイカから選択される無機ミクロ顔料(micropigment)である;
−虫に対する有効成分(駆除剤)は虫が皮膚に触れそこで活動するのを妨げるのを意図する薬剤である;これらは虫を追い払いゆっくり蒸発する;最も頻繁に用いられる駆除剤はジエチルトルアミド(DEET)である;他の一般的な駆除剤はたとえば"Pflegekosmetik"(W. Raab and U. Kindl, Gustav-Fischer-Verlag Stuttgart/New York, 1991) on page 161に見られる;
−化学的および機械的影響に対する保護用の有効成分:これらは皮膚と外部の有害な物質の間に防壁を形成する全ての物質、たとえば水溶液に対する保護用のパラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL生成物およびラノリン、有機溶剤の影響に対する保護用のフィルム形成剤、たとえばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコールもしくはセルロースエーテル、または皮膚上の激しい機械的応力に対する保護用「滑剤」として鉱油、植物油またはシリコーン油を主成分とする物質を含む;
−保湿物質:たとえば次の物質が湿分制御剤(保湿剤)として用いられる:乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチンおよびヒアルロン酸;
−ケラトプラスチック効果(keratoplastic effect)を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄およびレゾルシノール;
−抗微生物剤、たとえばトリクロサンまたは第四級アンモニウム化合物;
−皮膚上に塗布することのできる油性または油溶性のビタミンまたはビタミン誘導体:たとえばビタミンA(遊離酸またはその誘導体の形態のレチノール)、パンテノール、パントテン酸、葉酸、およびこれらの組合せ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF;必須脂肪酸;またはナイアシンアミド(ニコチン酸アミド);
−ビタミンベース胎盤抽出物:特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸およびビオチン、アミノ酸および酵素ならびに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄または銅の化合物を含む有効成分組成物;
−皮膚修復コンプレックス(skin repair complexe):ビフィズスグループバクテリアの培養物を不活性化し破壊して得られる;
−植物および植物抽出物:たとえばアルニカ、アロエ、バードライカン、アイビー、ネットル、朝鮮人参、ヘンナ、カモミール、マリゴールド、ローズマリー、セージ、つくしまたはタイム;
−動物抽出物:たとえばロイヤルゼリー、プロポリス、タンパク質または胸腺抽出物;
−皮膚上に塗布することのできる化粧品オイル:Miglyol 812タイプの中性オイル、杏仁油、アボカドオイル、ババス油、綿実油、ルリヂサオイル、アザミオイル、ラッカセイ油、γ−オリザノール(gamma-oryzanol)、ローズヒップ種子オイル、大麻油、ヘーゼルナッツ油、クロフサスグリの種子オイル、ホホバ油、サクランボの種オイル、サーモンオイル、アマニ油、コーン種子オイル、マカダミアナッツ油、アーモンドオイル、イブニングプリムローズオイル、ミンクオイル、オリーブ油、ピーカンナッツオイル、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、稲種子オイル、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ひまわり油、ティー・ツリー油、葡萄種子オイルまたは小麦麦芽オイル。
【0258】
スティック形状の配合物は無水であるのが好ましいが、特定の場合には所定量の水を含んでもよい。ただし、一般に化粧品配合物の合計重量に基づいて40重量%を超えない。
【0259】
本発明による化粧品配合物および組成物が半固体生成物の形態、すなわち軟膏またはクリームの形態であるなら、それらは同様に無水でも水性でもよい。このような配合物および組成物は、たとえばマスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドウ、または目の下のくまを処理する組成物である。
【0260】
一方、このような軟膏またはクリームが水性であるなら、それらは特に、顔料のほかに、脂肪相1〜98.8重量%、水性相1〜98.8重量%および乳化剤0.2〜30重量%を含む、油中水形または水中油形のエマルションである。
【0261】
このような軟膏およびクリームは、さらに従来の添加剤、たとえば香料、酸化防止剤、防腐剤、ゲル形成剤、UVフィルター、着色剤、顔料、真珠箔剤、非有色ポリマーならびに無機または有機充填剤も含むことができる。
【0262】
配合物が粉末の形態であるなら、それらは実質的に鉱物または無機または有機充填剤、たとえばタルク、カオリン、スターチ、ポリエチレン粉末またはポリアミド粉末、ならびに添加物、たとえばバインダー、着色剤からなる。
【0263】
このような配合物は、通常化粧品に使用される種々の添加物、たとえば芳香剤、酸化防止剤、防腐剤などを同様に含んでもよい。
【0264】
本発明による化粧品配合物および組成物がマニキュア液なら、それらは本質的に、溶剤系中の溶液の形態でニトロセルロースおよび天然または合成ポリマーからなり、この溶液が他の添加物、たとえば真珠箔剤を含むことが可能である。
【0265】
その実施態様では、有色ポリマーを約0.1〜5重量%の量で含む。
【0266】
本発明による化粧品配合物および組成物は、髪の着色にも使用することができ、その場合それらは化粧品産業で慣例的に用いるベース物質および本発明による顔料で構成されるシャンプー、クリームまたはゲルの形で用いられる。
【0267】
本発明による化粧品配合物および組成物は、たとえば成分を一緒に混合または攪拌することによる、場合により混合物を溶融するように加熱を伴う、従来の方法で調製する。
【0268】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。特記しない限り、%および部はそれぞれ重量%および重量部である。
【0269】
実施例
実施例1
真空チャンバー(<10-1Pa)内に配置された2個の別個のエバポレータにそれぞれ、SiOおよびNaCl粉末を供給した。アルミニウム箔を機械的に付けた回転キャリヤを、エバポレータの上に配置した。最初に、アルミニウム箔上にNaCl層(90nm)を昇華した。次に、SiOエバポレータを加熱し、塩をまだ昇華させながらSiOを昇華し始めた。この方法で、NaCl層上に塩およびSiOが同時に昇華した。塩およびSiOの同時蒸発を厚さが300nmに達するまで続けた。昇華をやめ、キャリヤのアルミニウム箔を取り外し、蒸留水に浸漬した。NaCl層ならびにSiOマトリックス中に含有される塩を水に溶解し、これにより酸化ケイ素フレークを得た。通常の精密検査によりSiOyが完全にSiO2に転化しなかった場合は、多孔質SiO2フレークは、酸化ケイ素フレークを空気中で500℃より高い温度で、数時間加熱することにより得ることができる。
【0270】
図3は、実施例1の多孔質SiO2フレーク(BET=712m2/g)の原子間力顕微鏡(AFM)画像を示す。気孔サイズは30nmまでである。
【0271】
実施例2
真空チャンバーに、それぞれ自身のエネルギー供給を有するるつぼ2個を装着した。第1のるつぼにSiOを詰め、第2のるつぼにNaClを詰めた。材料の蒸発速度は、水晶共振器(水晶発振器)によって測定することができる。エバポレータは、フラップ弁によりステンレス鋼基材から隔てられる。
【0272】
NaClを含有するるつぼを、水晶共振器が蒸発速度0.3±0.04nm/sを示すまで加熱した。ステンレス鋼基材上に、厚さ100nmのNaCl層が昇華するまでフラップ弁を開いた。次にキャップを閉じた。
【0273】
NaClるつぼを同じ温度に維持しながら、水晶発振器が蒸発速度2.8±1.2nmを示すまでSiOを含有するるつぼを加熱した。次にフラップ弁を開いた。NaClとSiOの共昇華を、合計厚さ420nmに達するまで続けた。次に、SiOエバポレータとの接続を切り、NaClエバポレータを約100秒作動し、次いでフラップ弁を閉じた。
【0274】
真空チャンバーから基材を取り出した。塩を水に溶解し、得られた酸化ケイ素フレークを水で洗浄し乾燥した。高分解能電子顕微鏡によって分析した結果、酸化ケイ素フレークは直径約10.5nmの気孔を有することが分かった。
【0275】
通常の精密検査によりSiOyが完全にSiO2に転化しなかった場合は、多孔質SiO2フレークは、酸化ケイ素フレークを空気中で500℃より高い温度で、数時間加熱することにより得ることができる。
【0276】
実施例3
100ml丸底フラスコ中、N2下、実施例1で得た多孔質SiO2(BET=712m2/g)0.27g(4.49mmol)と、TiCl410.0 g(52.7mmol)とを混ぜ、マグネチックスターラを用いて室温で一晩(17h)攪拌し、これによりTiCl4は吸着水と反応してナノTiO2を形成した。TiCl4の過剰分を真空中で除去し、固体のかたまりをロータリーエバポレータ中、80℃、p=0.01mbarで乾燥した。干渉色を示す灰色粉末約0.3gを得た。
【0277】
元素分析:C0.47%、H2.23%、Cl<0.3%、Ti12.40%、TiO2含量約20重量%に相当する
【0278】
実施例4
この実施例で用いた塗装配合物を、次の表に記載する。
【0279】
【表2】

【0280】
コーティングされていないフリーシート(Xerographic paper、distributed by Corporate Express, basis weight 75 g/m2, 21.59cm x 27.94cm, TAPPI brightness 84)上に、ハンドドローダウンコータ(K303 Multicoater、RK Print-Coat Instruments)を用いて、ターゲットに、低い(3g/m2)および高い(4.5g/m2)塗布量で、全てのコーティングを付与した。
【0281】
ハンドドローダウンコータでコーティングできるようにするために、サンプル1はその高い粘度によって、固形分をサンプル2(19%)に対してより低く(12%)下げなければならなかった。
【0282】
サンプル1を含有するコーティングされた紙は、金属真珠箔テクスチャーを示した。
【0283】
さらに、サンプル1を含有するコーティングはサンプル2を含有するコーティングよりも高い洗濯堅牢度を示した[洗濯堅牢度:
【0284】
【数1】

【0285】
を測定するためのHPの規格によるドリップテスト(水2ml、角度45°)]。
【0286】
実施例5
a)金属パラジウムナノ粒子を含有する多孔質シリカの製造
キシレン5ml中で、実施例1で述べた方法と同様に得た多孔質SiO2(BET750m2/g)500mgと、加熱するとゆっくり分解する明確に定められたパラジウム錯体[(C64CH2NMe2−2)Pd(OAc)(PPh3)](WO03/13723に記載)53mgとを混合した。この混合物を激しく攪拌し、窒素雰囲気下加熱還流し、この温度で2時間保持した。この期間の間、反応混合物の色は黒色になった。室温に冷ました後、多孔質シリカをろ過により単離し、キシレンで1回、ジエチルエーテルで3回洗浄した。灰色シリカを真空で乾燥した。灰色有色多孔質シリカ506mgを得た。元素分析の結果、この材料はパラジウム1.75重量%を含有することが分かった(図2を参照、これはパラジウムが詰め込まれた多孔質SiO2フレークの極めて薄い部分である)。
【0287】
b)実施5a)からの多孔質シリカ上に固定されたパラジウム触媒を用いるSuzukiカップリング
3−ブロモアニソール190mg、フェニルボロン酸183mgおよび炭酸カリウム275mgをキシレン2ml中で混合した。ここに実施例5aからの触媒27mg(パラジウム0.5mol%に相当する)を加えた。反応混合物を攪拌し、窒素雰囲気下、130℃の温度に2時間の間加熱した。GC分析の結果、出発材料は全て消費され、3−メトキシビフェニルを選択的に形成した(転化率100%)ことが分かった。
【0288】
反応混合物を室温に冷ました後、触媒をろ過により単離し、続いてキシレン、エタノール、水、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、真空中で乾燥した。この触媒を用いて、同じ条件のもとで2回目の実験を行った。反応混合物のGC分析の結果、この場合も3−メトキシビフェニルへの転化率が高い(転化率>80%)ことが分かった。
【0289】
実施例6
四つ口フラスコ中、実施例1で述べた方法と同様に得た最大粒子サイズが40μmである多孔質SiO2(BET:660m2/g)0.600gを、水35mlに懸濁させ、攪拌しながら、オイルバスで65℃に加熱した。懸濁液のpHを1NのHClで1.4に制御した。次に、濃HClにより安定化したTiOCl2水溶液(Ti0.5%)24mlを、窒素雰囲気下、65℃で、8時間内に加えた。2NのNaOH水溶液をゆっくり加えることにより、pHを1.4で一定に保った。TiOCl2の添加が完了した後、懸濁液をさらに30分攪拌した。次に淡青色懸濁液を25℃に冷まし、20μmのふるいでろ過し、水およびメタノールで洗浄し、真空中、50℃で乾燥し、これにより淡青色生成物(BET:650m2/g)を得た。生成物のTiO2含量は約8.2重量%である。
【0290】
実施例7
硫酸(96%)60gに、C.I.ピグメントレッド179 500mgを室温で溶解し、1時間攪拌した。この暗紫色溶液部分に、実施例1で述べた方法と同様に得た多孔質SiO2フレーク(BET:700m2/g)500mgを攪拌しながら分けて加えた。次に懸濁液を2時間攪拌した。その後、攪拌しながら懸濁液に氷水60gをゆっくり加え、顔料は多孔質SiO2の気孔に沈殿し、強い赤色有色顔料を得た。脱イオン水1000mlを赤色懸濁液に加え、得られた懸濁液を30分間攪拌し、ろ過、水洗し、真空中で乾燥した。赤色複合顔料を得た。
【0291】
実施例8
1−メチル−2−ピロリドン(NMP)10gおよびエタノール(99%)25gからなる混合物に、
【0292】
【化16】

【0293】
200mgを溶解した。この溶液に、実施例1で述べた方法と同様に得た多孔質SiO2フレーク(BET:700m2/g)2gを加え、60℃に加熱した。エタノール(99%)25gを加え、懸濁液を60℃でさらに2時間攪拌した。均質な懸濁液に、60℃で、攪拌しながら、水1000mlを数秒内に加え、そこで潜在性顔料は沈殿した。黄橙色懸濁液を攪拌しながら室温に冷まし、ろ過し、脱イオン水1000gで洗浄し、室温で16時間、続いて真空オーブン中、100℃(100hPa)で12時間乾燥した。わずかにピンク色の粉末を180℃で20分加熱し、そこでBOC基の完全な脱離を実現した。赤色複合顔料を得た。
【0294】
実施例9
脱イオン水150ml中のFeCl3×6H2O 4gの希釈溶液に、実施例1で述べた方法と同様に得た多孔質SiO2フレーク(BET:700m2/g)500gを懸濁させ、50℃で6時間攪拌した。その後、水酸化ナトリウムの4%溶液を、暗褐色沈殿が生じるまで(pH3.5)、攪拌しながらゆっくり滴下した。懸濁液を12時間攪拌し、ろ過し、ろ過ケークを4%塩酸および脱イオン水1000gですすいだ。鮮黄色沈殿を最初室温で16時間、次に真空オーブン中、100℃(100hPa)で12時間乾燥した。鮮黄色複合顔料を得、これは場合により700〜850℃仮焼することができる。
【図面の簡単な説明】
【0295】
【図1】実施例1で得られた多孔質SiO2フレークの顕微鏡写真である。
【図2】パラジウムが詰め込まれた多孔質SiO2フレークの極めて薄い部分を示す写真である。
【図3】実施例1の多孔質SiO2フレークの原子間力顕微鏡画像を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程
a)キャリヤ上に分離剤を蒸着して分離剤層を生成し、
b)分離剤層(a)上に材料と分離剤とを同時に蒸着し、
c)分離剤から材料を分離すること
を含む多孔質材料の製造方法。
【請求項2】
材料が、金属、金属酸化物または非金属酸化物、特にSiOz(式中、0.70≦z≦2.0)である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程b)で、SiOy/分離剤層を、第1の蒸発器がSiとSiO2の混合物、SiOy(式中、0.70≦y≦1.8)またはこれらの混合物を含む装填材料を含有し、第2の蒸発器が分離剤を含む装填材料を含有する、2個の異なる蒸発器から蒸着する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
方法がさらなる工程、d)SiOyを酸素含有雰囲気中で加熱することによりSiOz(式中、1.40≦z≦2.0)に転化させるか、SiOyを無酸素雰囲気中で加熱することにより(1−y/y+a)ケイ素を含有するSiOy+a(式中、0.70≦y≦1.8、特に1.0≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、yとaの合計が2以下である)に転化させることを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
分離剤が、水に可溶性かつ真空中で気化可能な無機塩、または有機溶剤もしくは水に可溶性かつ真空中で気化可能な有機物質である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の方法により得られる、多孔質プレート状材料、特にSiOz(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、または(1−y/y+a)ケイ素を含有するSiOy+a(式中、0.70≦y≦1.8、特に1.0≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、yとaの合計が2以下である)。
【請求項7】
多孔質SiOzフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に0.95≦z≦2.0)であって、特に、多孔質SiOzの気孔が、ルチルまたはアナターセタイプのTiO2のナノ粒子が充填されたか、スズをドープした酸化インジウム、SnO2、Sb23/SnO2、In23またはIn23/SnO2が詰め込まれた多孔質SiOzフレーク。
【請求項8】
多孔質SiOz層(式中、0.70≦z≦2.0)、または
(1−y/y+a)ケイ素を含有する多孔質SiOy+a層(式中、0.70≦y≦1.8、特に1.0≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30)
を含むプレート状顔料。
【請求項9】
(a)金属、特にアルミニウムのコア、
(b)場合によりアルミニウムコア上のSiOz層、および
(c)アルミニウムコアまたはSiOz層上の多孔質SiOz
(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)を含む、請求項8記載の顔料。
【請求項10】
多孔質SiOz層(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)が、無機または有機着色剤、特に無機または有機顔料が装填された、請求項9記載の顔料。
【請求項11】
(a)多孔質SiOz、多孔質SiOz/SiOz、多孔質SiOz/SiOz/多孔質SiOz、またはSiOz/多孔質SiOz/SiOzのコア(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)、および
(b)高屈折率の金属酸化物、特にTiO2、ZrO2、Fe23、Fe34、Cr23もしくはZnO、または
SiCを含む層、または
炭素、特にダイヤモンド状炭素の層、または
半透明な金属層、または
不透明な金属層
を含む、請求項8記載の顔料。
【請求項12】
a)キャリヤ上に分離剤を蒸着して分離剤層を生成し、
b)次に、分離剤層(a)上に、マトリックス材料とナノ粒子を形成する材料とを同時に蒸着し、
c)分離剤から材料を分離、特に溶剤中で分離剤を溶解することにより分離し、
d)場合により、ナノ粒子が装填されたマトリックス材料を溶剤から分離すること
を含むナノ粒子が装填されたマトリックス材料の製造方法。
【請求項13】
マトリックス材料が、透明な金属酸化物または非金属酸化物、特にSiOz(式中、0.70≦z≦2.0)である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
マトリックス材料が、真空中で気化可能な固体のモノマー、オリゴマーまたはポリマーである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
ナノ粒子を形成する材料が、有機顔料、UV吸収剤または金属、特にアルミニウム、ケイ素または貴金属、たとえば銀、金、パラジウムまたは白金である、請求項13または14記載の方法。
【請求項16】
マトリックス材料およびナノ粒子を形成する材料が、SiOy(式中、0.70≦y≦1.8)、およびSiOyを無酸素雰囲気中で温度400〜1100℃、特に900〜1100℃に加熱することにより得られる(1−y/y+a)ケイ素ナノ粒子を含有するSiO2マトリックス材料(式中、0.70≦y≦1.8、特に1≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、yとaの合計が2以下である)である、請求項12記載の方法。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項記載の方法により得られる、ナノ粒子を含有するマトリックス材料。
【請求項18】
(1−y/y+a)ケイ素(ナノ粒子)を含有する、プレート状SiOy+a粒子(マトリックス材料)(式中、0.70≦y≦1.8、特に1≦y≦1.8、0.05≦a≦1.30、yとaの合計が2以下である)。
【請求項19】
支持体と、請求項7記載のまたは請求項1〜5にしたがって得られる多孔質SiOzフレーク(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0、さらに特にz=2.0)および親水性バインダーを含有するインク受容層とを含むイメージアブル媒体。
【請求項20】
請求項8〜11のいずれか1項記載の顔料の、インクジェット印刷における、生地の染色のための、表面塗装、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックおよびガラスの艶出しの顔料着色のための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−521463(P2006−521463A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500545(P2006−500545)
【出願日】平成16年1月12日(2004.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000137
【国際公開番号】WO2004/065295
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFRON
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】