説明

ナノ粒子インスリン製剤

【課題】インスリン粒子の表面に少なくとも表面安定剤を吸着させたインスリンナノ粒子組成物の提供。
【解決手段】約5ミクロン以下の有効平均粒度を有するナノ粒子インスリン組成物について記載する。該組成物は、従来の巨大粒度のインスリン組成物と比較して、インスリン生体活性の保持、高いバイオアベイラビリティー、並びにバイオアベイラビリティーの高度な一致性を示す。ナノ粒子インスリン組成物の製造方法、該組成物を含む投与形態、並びにインスリン治療におけるこのような製剤の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン粒子の表面に少なくとも1種の表面安定剤を吸着させた、インスリンを含むナノ粒子組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
A.ナノ粒子組成物に関する背景技術
米国特許第5,145,684号(「‘684特許」)に最初に記載されたナノ粒子組成物は、難溶性の活性薬剤からなる粒子であり、その表面には非架橋表面安定剤を吸着させる。‘684特許にはまた、このようなナノ粒子組成物を調製する方法も記載されている。ナノ粒子組成物は、粒度が小さければ小さいほど、結果として表面積が増加し、該組成物の投与後急速に溶解し、吸収されることから、望ましい。‘684特許は、ペプチド又はインスリンを含むナノ粒子組成物については教示も示唆もしていない。
【0003】
ナノ粒子組成物を調製する方法は、例えば、米国特許第5,518,187号及び5,862,999号(共に「医薬物質の粉砕方法」について)、米国特許第5,718,388号(「医薬物質の連続的粉砕方法」について)、並びに米国特許第5,510,118号(「ナノ粒子を含む治療薬組成物の製造方法」について)に記載されている。
【0004】
また、ナノ粒子組成物は、例えば、以下に挙げる文献にも記載されている:米国特許第5,298,262号(「滅菌中の粒子凝集を防止するためのイオン性曇り点改変剤(ionic cloud modifiers)の使用」)、第5,302,401号(「凍結乾燥中の粒度増大を低減する方法」)、第5,318,767号(「医療イメージングに有用なX線造影組成物」)、第5,326,552号(「高分子量ノニオン性界面活性剤を用いたナノ粒子X線血液貯留造影剤のための新規製剤」について)、第5,328,404号(「ヨウ化芳香族プロパンジオエートを用いたX線イメージング方法」)、第5,336,507号(ナノ粒子凝集を低減するための荷電リン脂質の使用))、第5,340,564号(粒子凝集を防止し、安定性を高めるためのOlin 10-Gを含む製剤))、第5,346,702号(「滅菌中のナノ粒子凝集を最小限にするためのノニオン性曇り点改変剤の使用」)、第5,349,957号(「極めて微小な磁気デキストラン粒子の調製とその磁気特性」)、第5,352,459号(「滅菌中の粒子凝集を防止するための精製表面改変剤(purified surface modifiers)の使用」)、第5,399,363号及び第5,494,683号(共に「表面改変抗癌ナノ粒子」)、第5,401,492号(「磁気共鳴増強剤としての水不溶性非磁気マンガン粒子」)、第5,429,824号(「ナノ粒子安定剤としてのチロキサポールの使用」)、第5,447,710号(「高分子量ノニオン性界面活性剤を用いたナノ粒子X線血液貯留造影剤の製造方法」)、第5,451,393号(「医療イメージングに有用なX線造影組成物」)、第5,466,440号(「薬学上許容されるクレイと組み合わせた経口胃腸診断X線造影剤の製剤」)、第5,470,583号(「凝集を低減するための荷電リン脂質を含むナノ粒子組成物の調製」)、第5,472,683号(「血液貯留及びリンパ系イメージングのためのX線造影剤としてのナノ粒子診断混合無水カルバミン酸」)、第5,500,204号(「血液貯留及びリンパ系イメージングのためのX線造影剤としてのナノ粒子診断二量体」)、第5,518,738号(「ナノ粒子NSAID製剤」)、第5,521,218号(「X線造影剤として使用するためのナノ粒子ヨードジパミド誘導体」)、第5,525,328号(「血液貯留及びリンパ系イメージングのためのナノ粒子診断ジアトリゾキシエステルX線造影剤」)、第5,543,133号(「ナノ粒子を含むX線造影剤組成物の製造方法」)、第5,552,160号(「表面改変NSAIDナノ粒子」)、第5,560,931号(「消化性油又は脂肪酸中のナノ粒子分散液としての化合物の製剤」)、第5,565,188号(「ナノ粒子用の表面改変剤としてのポリアルキレンブロックコポリマー」)、第5,569,448号(「ナノ粒子組成物用の安定剤コーティングとしての硫酸化ノニオン性ブロックコポリマー表面活性剤」)、第5,571,536号(「消化性油又は脂肪酸中のナノ粒子分散液としての化合物の製剤」)、第5,573,749号(「血液貯留及びリンパ系イメージングのためのX線造影剤としてのナノ粒子診断混合無水カルボン酸」)、第5,573,750号(「診断イメージングX線造影剤」)、第5,573,783号(「保護被膜を含む再分散性ナノ粒子フィルムマトリックス」)、高分子量線状ポリ(エチレンオキシド)ポリマーにより安定させたナノ粒子を用いる胃腸管内の部位特異的付着」)、第5,585,108号(「薬学上許容されるクレイと組み合わせた経口胃腸治療薬の製剤」)、第5,587,143号(「ナノ粒子組成物のための安定化コーティングとしてのブチレンオキシド−エチレンオキシドブロックコポリマー界面活性剤」)、第5,591,456号(「分散液安定剤としてのヒドロキシセルロースを含む粉砕ナプロキセン」)、第5,593,657号(「ノニオン及びアニオン安定剤により安定させた新規のバリウム塩製剤」、第5,622,938号(「ナノ結晶のための糖を基剤とする界面活性剤」)、第5,628,981号(「経口胃腸診断X線造影剤及び経口胃腸治療薬の改善された製剤」)、第5,643,552号(「血液貯留及びリンパ系イメージングのためのX線造影剤としてのナノ粒子診断混合無水炭酸」)、第5,718,388号(「医薬物質の連続的粉砕方法」)、第5,718,919号(「イブプロフェンのR(−)鏡像異性体を含むナノ粒子」)、第5,747,001号(「ベクロメタゾンナノ粒子分散液を含むエアロゾル」)、第5,834,025号(「静脈内投与されたナノ粒子製剤により誘発される有害な生理学的反応の抑制」)、第6,045,829号(「セルロース表面安定剤を用いたヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼ阻害剤のナノ結晶性製剤」)、第6,068,858号(「セルロース表面安定剤を用いたヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼ阻害剤のナノ結晶性製剤の製造方法」)、第6,153,225号(「ナノ粒子ナプロキセンの注射可能な製剤」)、第6,165,506号(「ナノ粒子ナプロキセンの新規な固体投与形態」)、第6,221,400号(「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼ阻害剤のナノ結晶性製剤を用いた哺乳動物の治療方法」)、第6,264,922号(「ナノ粒子分散液を含む噴霧化エアロゾル」)、第6,267,989号(「ナノ粒子組成物中の結晶成長及び粒子凝集を防止する方法」)、第6,270,806号(「ナノ粒子組成物の表面安定剤としてのPEG誘導化脂質の使用」)、第6,316,029号(「急速に崩壊する固体経口投与形態」)、第6,375,986号(「ポリマー表面安定剤とスルホコハク酸ジオクチルナトリウムの相乗効果的組み合わせを含む固体投与ナノ粒子組成物」)、第6,428,814号(「カチオン表面安定剤を有する生体付着性ナノ粒子組成物」)、並びに第6,432,381号(「上部及び/又は下部胃腸管に薬物送達をターゲッティングするための方法」)。尚、以上挙げた文献はすべて参照として本明細書に明確に組み込むものとする。加えて、2002年1月31日に公開された米国特許出願第20020012675A1号(「放出が制御されたナノ粒子組成物」)は、ナノ粒子組成物について記載しており、この文献も参照として明確に本明細書に組み込む。
【0005】
ナノ粒子ペプチド及びタンパク質については、下記の文献を参照することができる:米国特許第6,375,986号(「ポリマー表面安定剤とスルホコハク酸ジオクチルナトリウムの相乗効果的組み合わせを含む固体投与ナノ粒子組成物」)、米国特許第6,428,814号(「カチオン性表面安定剤を有する生体付着性ナノ粒子組成物」)、米国特許出願第20020012675A1号(「放出が制御されたナノ粒子組成物」)、2000年9月8日に公開されたWO00/51572(「ナノ粒子組成物の表面安定剤としてのPEG誘導化脂質の使用」)、並びに2000年9月14日に公開されたWO00/53164(「ナノ粒子組成物における結晶成長及び粒子凝集を防止する方法」)。しかし、上記参照文献のいずれも、ペプチド又はタンパク質がインスリンであってもよいことを教示若しくは示唆していない。
【0006】
非晶質の微小粒子組成物については、例えば、以下の文献に記載されている:米国特許第4,783,484号(「粒子組成物と、抗菌剤としてのその使用」)、第4,826,689号(「水不溶性有機化合物から均一サイズの粒子を作製する方法」)、第4,997,454号(「不溶性化合物から均一粒度の粒子を作製する方法」)、第5,741,522号(「内部に気泡を閉じ込めるための均一粒度の超微小な非凝集多孔性粒子、及びその方法」)、第5,776,496号(「超音波後方散乱を増強するための超微小多孔性粒子」)。しかし、これらの参照文献で、ナノ粒子インスリン組成物に関するものは一つもない。
【0007】
B.ペプチド及びタンパク質の送達に関する背景技術
ペプチド及びタンパク質の送達には、投与若しくは適用のために製剤化する際の高い毒性、乏しいバイオアベイラビリティ、並びにペプチド又はタンパク質の分解のために、長年にわたり課題が残されていた。ペプチド及びタンパク質組成物を製剤化する多数の手法が開発されている。例えば、米国特許第5,889,110号には、1以上の塩基性基を含むペプチドから誘導したカチオンと、カルボキシ末端ポリエステルから誘導したアニオンとから形成される塩を含む微粒子が開示されている。上記組成物は、塩基性ペプチド基に対するポリエステルカルボン酸末端基の化学量論当量から調製されるが、これは、複雑でコストのかかる方法によって取得可能である。
【0008】
このような方法は以下のステップを含む:(i)塩基性ペプチドとカルボキシ末端化ポリエステルを第1溶剤中に溶解させるが、第1溶剤において、上記ペプチド及びポリエステルは可溶性で、第1溶液を形成する;(ii)高速で第1溶液を凍結することにより、凍結した混合物を形成する;(iii)上記凍結混合物を凍結乾燥することにより、第1溶剤を除去して、凍結乾燥した生成物を形成する;(iv)該ポリエステルの溶剤であって、該ペプチドの非溶剤である第2溶剤に上記凍結乾燥生成物を分散させることにより、ペプチド/ポリエステル塩を含む第2溶液を形成し;(v)噴霧乾燥、噴霧凝固、蒸発、又は相分離コアセルベーションによって第2溶液から第2溶剤を除去することにより、微粒子固体生成物を形成する。
【0009】
米国特許第5,354,562号には、凍結乾燥の後ジェット粉砕(milling)を実施することにより、エアロゾル投与又は注射可能な懸濁液での使用に適した粉末形態の微粉化ポリペプチド薬剤を調製する方法が開示されている。米国特許第6,051,694号には、固体タンパク質を臨界流体(そこでは該タンパク質はほぼ不溶性である)と接触させた後、タンパク質と臨界流体混合物を減圧することを含む、タンパク質の粉砕方法が開示されている。
【0010】
これら従来の方法のうち、ナノ粒子インスリン組成物を提供するものは一つもない。実際に、インスリンのようなペプチドを粉砕する試みによって、ペプチドの立体配座の変化を招いた。例えば、Leungら(J. Pharm. Sci,. 87:501-7(1998))は、ペプチドのボールミルの際に、アスパルテーム半水和物(hemihydrate)の結晶構造が別の多形に変形したことが開示されている。これは、ペプチド及びタンパク質は粉砕条件、例えば、せん断、圧力及び温度に対し不安定であると考えられるため、驚くことではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
当技術分野では、現在入手可能などの従来の製剤と比較しても、一貫し、かつ有効な活性、及びその他の利点を有する、高用量のインスリン送達を容易にするナノ粒子インスリン製剤が依然として求められている。本発明により、このようなインスリンの製剤が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明は、安定したインスリンナノ粒子組成物を調製することができるという驚くべき、かつ意外な発見に関する。インスリンと、その表面に吸着させた少なくとも1種の表面安定剤とを含むナノ粒子組成物は、活性の急速な開始と、活性の長時間の持続を共に備えている点で、従来のインスリン製剤と比較して有利である。
【0013】
本発明はさらに、ナノ粒子インスリン組成物の製造方法と、該組成物を含む医薬投与形態に関する。上記インスリン組成物の製造方法は、安定したナノ粒子組成物をもたらすのに十分な時間及び条件下で、インスリン、例えば、不溶性ウシインスリン又は組換えインスリンを少なくとも1種の表面安定剤と接触させることを含む。インスリンの粒度は、粉砕又はホモジナイゼーションにより小さくする。1種以上の表面安定剤とインスリンの接触は、インスリンの粉砕前、粉砕中若しくは後のいずれに実施してもよい。
【0014】
さらに本発明は、インスリン治療を必要とする状態の治療に関する。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、ナノ粒子インスリン組成物、それらの製造方法、並びにインスリン治療におけるそれらの使用に関する。本発明以前に、‘684特許に教示された方法により結晶性薬物をナノ粒子組成物に製剤化できることが知られていた。しかし、前述したように、ナノ粒子インスリンの製剤は考慮されなかった。これは一部には、粒度をナノメートルの領域まで微粉化する際、インスリンの立体配座構造を維持するのが困難であるためである。これは、インスリンの立体配座の変化は活性の損失と関連するので重要である。
【0016】
本発明に従って調製されたナノ粒子インスリンは、インスリン粒子に吸着した少なくとも1種の表面安定剤を含む。表面安定剤は、他のインスリン粒子に対する立体障害として作用し、これによって凝集及び粒度成長を防止する。その結果、安定したナノ粒子組成物が得られ、その際、該組成物の粒度が、時間の経過に従って可溶化及び再結晶化又は凝集により有意に増大することはない。個々に吸着させた表面安定剤の分子には、実質的に分子間架橋がない。
【0017】
インスリンは食物代謝の調節に重要な5.8kDタンパク質ホルモンである。膵臓のβ細胞によるインスリンの分泌は、グルコース及び副交感神経系によって刺激される。インスリンは鍵変換酵素(key interconvertible enzyme)の脱リン酸を促進する。その際重要なのは、筋肉及び肝臓の両方でグリコーゲン合成を刺激すること、並びに肝臓による糖形成を抑制することである。インスリンはまた、肝臓における解糖を加速し、これによって脂肪酸の合成が増加する。筋肉及び脂肪細胞へのグルコースの進入はインスリンによって促進される。脂肪組織中に脂肪酸及びグルコースが豊富に存在すると、トリアシルグリセロールの合成及び貯蔵が起こる。また、インスリンの作用はアミノ酸及びタンパク質代謝まで拡大する。インスリンは、筋肉による側鎖アミノ酸の取込みを促進するが、これは筋肉タンパク質の構成に有利である。要するに、インスリンはタンパク質合成に対して一般的刺激作用を有する。
【0018】
3種類のインスリン組成物、即ち、可溶性、不溶性及びそれらの混合物が入手可能である。これら3つの組成物の違いは、生理学的条件で観察されるバイオアベイラビリティーに認められる。不溶性インスリン、並びに可溶性及び不溶性インスリンの混合物は、活性の開始が遅い(約2時間)が、活性の持続時間は、それぞれ約24時間及び13〜14時間までと長い。可溶性インスリンは活性の開始がこれより速い(約30分)が、活性は約6時間しか持続しない。本発明のナノ粒子インスリンは、可溶性インスリンで認められるような速い活性開始を示すと共に、不溶性インスリン、並びに可溶性及び不溶性インスリンの混合物で認められるような長い活性の持続時間を示すという点で従来のインスリン組成物よりも優れている。
【0019】
上記インスリン組成物は、例えば、経口、肺、鼻、非経口、直腸、局所(local)、口腔、又は局所投与による投与のために製剤化することができる。
【0020】
インスリン粒子は、結晶性粒子、半結晶性(semi-crystalline)粒子、半非晶質(semi-amorphous)粒子、非晶質粒子、又はそれらの混合物の形態でよい。
【0021】
本発明の組成物におけるインスリンの濃度は、インスリン及び少なくとも1種の表面安定剤(その他の賦形剤は含まない)の合計乾燥重量に基づいて、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、又は約90重量%〜約0.5重量%まで変動しうる。
【0022】
A.有用な表面安定剤
本発明のナノ粒子インスリンを調製するのに用いられる好適な表面安定剤は、公知の有機及び無機医薬賦形剤から選択するのが好ましい。2種以上の表面安定剤を組み合わせて用いてもよい。表面安定剤は、既述した凝集及び粒度成長を防止する以外に、分解及び潜在的プロテアーゼ切断からインスリンを保護する。
【0023】
このような有機及び無機医薬賦形剤には、各種ポリマー、低分子量オリゴマー、天然物、並びに界面活性剤が含まれる。好ましい表面安定剤としては、ノニオン及びイオン界面活性剤(例:カチオン及びアニオン性界面活性剤)が挙げられる。表面安定剤の代表例を以下に挙げる:塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、グリセロール、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、その塩及びそのエステル、セトマクロゴール乳化蝋(cetomacrogol emulsifying wax)、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、トウィーン80(Tween 80)(登録商標)など市販のトウィーン(Tween)(登録商標)(ICI Specialty Chemicals);ポリエチレングリコール、例えば、カルボワックス3350(Carbowax 3350)(登録商標)及び1450(登録商標)、及びカルボポール934(Carbopol 934)(登録商標)(Union Carbide)、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース(例:HPC、HPC−SL、及びHPC−L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−フタル酸セルロース、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを含む4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールのポリマー(チロキサポールとしても知られる)、ポロキサマー、例えば、プルロニックF68(Pluronic F68)(登録商標)及びF108(登録商標)(いずれも、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);ポロキサミン、例えば、テトロニック908(Tetronic 908)(登録商標)(ポロキサミン908(Poloxamine 908)(登録商標)としても知られ、エチレンジアミンにプロピレンオキシドとエチレンオキシドを順次添加して得られる四官能ブロックコポリマーである)(BASF Corporation、パーシパニー、N.J.);荷電リン脂質(charged phospholipid)、例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、スルホコハク酸ジオクチル(DOSS);テトロニック1508(Tetronic 1508)(登録商標)(T-1508)(BASF Corporation)、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル(例:ナトリウムスルホコハク酸のジオクチルエステルであるエアロゾルOT(Aerosol OT)(登録商標)(American Cyanamid));ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、例えば、デュポノールP(Duponol P)(登録商標)(DuPont);アルキルアリールポリエーテルスルホネートであるトリトンX−200(Triton X-200)(登録商標)(Rohm and Haas);ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースの混合物であるクロデスタスF−110(Crodestas F-110)(登録商標)(Croda Inc.);p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)(オリン−lOG(Olin-lOG)(登録商標)又はサーファクタント10−G(Surfactant 10-G)(登録商標)としても知られる)(Olin Chemicals、スタンフォード、CT);クロデスタスSL−40(登録商標)(Croda Inc.);ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)(S1001);ポリ(N−ビニルピロリドン/2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)ジメチルスルフェート第四級(quarternary)(S1002);ポリ(2−メチルアクリルオキシアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(S1004);ナトリウムデオキシコール酸;ポリエチレングリコール(PEG)で誘導体化したビタミンE、PEGで誘導体化したリン脂質、PEGで誘導体化したコレステロール、PEGで誘導体化したコレステロール誘導体、PEGで誘導体化したビタミンA、塩化ベンザルコニウム(BKC)、セントリミド(第四級アンモニウム化合物)、スパン(Span)(登録商標)20(モノラウリン酸ソルビタン)、プラスドン(Plasdone)(登録商標)S630(60:40比のポリビニルピロリドン(PVP)と酢酸ビニルのランダムコポリマー)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、構造:−(−PEO)――(−PBO−)――(−PEO−)−のトリブロックコポリマー(B20-5000として知られる)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)(S1001)、ポリ(N−ビニルピロリドン/2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)ジメチルスルフェート第四級(quarternary)(S1002)、ポリ(2−メチルアクリルオキシアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(S1004)、PVPと酢酸ビニルのランダムコポリマー、リゾチームなど。
【0024】
有用なカチオン性表面安定剤の例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない:ポリマー、生体高分子、多糖、セルロース系誘導体(cellulosic)、アルギン酸塩、リン脂質、並びに非重合体化合物(nonpolymeric compound)、例えば、両性イオン性安定剤、ポリ−n−メチルピリジニウム、塩化アントリルピリジニウム、カチオン性リン脂質、キトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン(polybrene)、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド(PMMTTMABr)、臭化ヘキシルデシルトリメチルアンモニウム(HDMAB)、並びにポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート。
【0025】
その他の有用なカチオン性安定剤を以下に挙げるが、これらに限定されわけではない:カチオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、及び第四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化又は臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12−15ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド又はブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、塩化又は臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化又は臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキル及び(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキル−トリメチルアンモニウム塩及びジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩及び/又はエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化水和物(chloride monohydrate)、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド及び塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(アリコート336(ALIQUAT 336)(商標))、ポリコート10(POLYQUAT 10)(商標)、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル(例:脂肪酸のコリンエステル)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物(例:塩化ステアリルトリモニウム及び塩化ジ−ステアリルジモニウム)、臭化又は塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物の塩、ミラポール(MIRAPOL)(商標)及びアルカコート(ALKAQUAT)(商標)(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アミン、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート、及びビニルピリジン、アミン塩、例えば、酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、及びアルキルイミダゾリウム塩、並びにアミンオキシド;イミドアゾリニウム塩;プロトン化第四級アクリルアミド;メチル化第四級ポリマー、例えば、ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]及びポリ−[N−メチルビニルピリジニウムクロリド];並びにカチオン性グアー。
【0026】
このようなカチオン性表面安定剤の例、並びにその他の有用なカチオン表面安定剤については以下の文献に記載されている:J. Cross及びE Singer、Cationic Surfactants: Analytical and Biogical Evaluation(Marcel Dekker, 1994);P.及びD. Rubingh(編者)、Cationic Surfactants: Physical Chemistry(Marcel Dekker, 1991);並びにJ. Richmond、Cationic Surfactants: Organic Chemistry(Marcel Dekker, 1990)。
【0027】
特に好ましい非重合の主な安定剤は、式NR(+)のあらゆる非重合化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム)、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン性有機金属化合物、第四級亜リン酸化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシアンモニウム化合物、第一アンモニウム化合物、第二アンモニウム化合物、第三アンモニウム化合物、並びに第四級アンモニウム化合物。式NR(+)の化合物について、
(i)R〜RのいずれもCHではない;
(ii)R〜Rのうち一つがCHである;
(iii)R〜Rのうち三つがCHである;
(iv)R〜RのすべてがCHである;
(v)R〜Rのうち二つがCHであり、R〜Rのうち一つがCCHであり、R〜Rのうち一つが7個以下の炭素原子のアルキル鎖である;
(vi)R〜Rのうち二つがCHであり、R〜Rのうち一つがCCHであり、R〜Rのうち一つが19個以上の炭素原子のアルキル鎖である;
(vii)R〜Rのうち二つがCHであり、R〜Rのうち一つが基C(CHであり、ここでn>1である;
(viii)R〜Rのうち二つがCHであり、R〜Rのうち一つがCCHであり、R〜Rのうち一つが少なくとも1個のヘテロ原子を含む;
(ix)R〜Rのうち二つがCHであり、R〜Rのうち一つがCCHであり、R〜Rのうち一つが少なくとも1個のハロゲンを含む;
(x)R〜Rのうち二つがCHであり、R〜Rのうち一つがCCHであり、R〜Rのうち一つが少なくとも1個の環状断片を含む;
(xi)R〜Rのうち二つがCHであり、R〜Rのうち一つがフェニル環である;あるいは、
(xii)R〜Rのうち二つがCHであり、R〜Rのうち二つが純粋に脂肪族の断片である。
【0028】
このような化合物を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない:塩化ベヘンアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、フッ化水素酸セチルアミン、塩化クロルアリルメタンアミン(クアテルニウム−15(quarternium-15))、塩化ジステアリルジモニウム(クアテルニウム−5)、塩化ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウム(クアテルニウム−14)、クアテルニウム−22、クアテルニウム−26、クアテルニウム−18ヘクトリト、ジメチルアミノエチルクロリドヒドロクロリド、塩酸システイン、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、獣脂塩化アルコニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、塩化ステアラルコニウム、臭化ドミフェン、安息香酸デナトニウム、塩化ミリスタルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、エチレンジアミンジヒドロクロリド、塩酸グアニジン、塩酸ピリドキシン、塩酸イオフェタミン、塩酸メグルミン、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミトリモニウム(myrtrimonium)、塩化オレイルトリモニウム、ポリクアテルニウム−1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトニト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオリド、獣脂塩化トリモニウム、並びに臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム。
【0029】
上記表面安定剤のほとんどは公知の医薬賦形剤であり、米国医薬協会(American Pharmaceutical Association)および英国医薬協会(The Pharmaceutical Society of Great Britain)により共同で出版されたHandbook of Pharmaceutical Excipients(The Pharmaceutical Press, 2000)に詳しく記載されている。尚、この文献は、参照として明確に本明細書に組み込むものとする。これらの表面安定剤は、市販のものを使用してもよいし、あるいは、公知の材料から、当分野で公知の方法によって調製することもできる。
【0030】
少なくとも1種の表面安定剤の濃度は、インスリンと少なくとも1種の表面安定剤との合計乾燥重量(その他の賦形剤は含まない)に対して、約0.001重量%〜約99.5重量%、約0.1重量%〜約95重量%及び約0.5重量%〜約90重量%の範囲を変動しうる。
【0031】
B.インスリン粒子の粒度
好ましくは、本発明のインスリンナノ粒子は、約5ミクロン以下、約4ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1500nm以下、約1ミクロン以下、約800nm以下、約700nm以下、約600nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約75nm以下、若しくは50nm以下の有効平均粒度を有し、この粒度は、光散乱方法又は当分野で認められているその他の方法により測定する。「約5ミクロン以下の有効平均粒度」とは、光散乱方法又はその他の通常の方法により測定したとき、インスリン粒子の少なくとも約50%が約5ミクロン以下の重量平均粒度を有することを意味する。加えて、本発明の他の実施形態では、インスリン粒子の少なくとも約70%、約90%、又は約95%が、約5ミクロン以下、約4ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1500nm以下、約1ミクロン以下、約800nm以下、約700nm以下、約600nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約75nm以下、若しくは50nm以下の有効平均粒度を有する。
【0032】
C.ナノ粒子インスリン組成物の製造方法
ナノ粒子活性薬剤組成物は、例えば、粉砕又はホモジナイゼーション法により調製することができる。ナノ粒子組成物の製造方法の例は米国特許第5,145,684号に記載されている。また、ナノ粒子組成物の製造方法は、以下の文献にも記載されている:米国特許第5,518,187号(「医薬物質の粉砕方法」)、米国特許第5,718,388号(「医薬物質の連続的粉砕方法」)、米国特許第5,862,999号(「医薬物質の粉砕方法」)、米国特許第5,543,133号(「ナノ粒子を含むX線造影組成物の製造方法」)、米国特許第5,534,270号(「安定した薬物ナノ粒子の製造方法」)、米国特許第5,510,118号(「ナノ粒子を含む治療組成物の製造方法」)、並びに米国特許第5,470,583号(「凝集を低減するための荷電リン脂質を含むナノ粒子組成物の製造方法」)。これらの文献はすべて、参照として本明細書に明確に組み込むものとする。
【0033】
微粒子化工程を制御する、例えば、粉砕時間及び添加する表面安定剤の量を制御することにより、本発明の最適な有効平均粒度を取得することができる。低温で上記組成物を粉砕及び/又は貯蔵することにより、粒度増大及び粒子凝集を最小限にすることもできる。
【0034】
例えば、粉砕又はホモジナイゼーションにより調製したナノ粒子インスリン分散液は、固体、半固体、又は液体投与製剤、例えば、放出が制御された製剤、固体投与高速溶解製剤、エアロゾル製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、固体ロゼンジ、カプセル、粉末、注射液などの形態で使用することができる。
【0035】
1.ナノ粒子インスリン組成物を取得するための粉砕
ナノ粒子組成物を得るためのインスリン粉砕は、インスリンが難溶の液体分散媒中にインスリン粒子を分散させた後、粉砕媒体の存在下で機械的手段を用いることにより、インスリンを所望の有効平均粒度まで微粉化する。分散媒は、例えば、水、ベニバナ油、エタノール、t−ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン、又はグリコールでよい。
【0036】
インスリン粒子は、少なくとも1種の表面安定剤の存在下で微粉化することができる。あるいは、磨砕後、1種以上の表面安定剤とインスリン粒子を接触させてもよい。しかし、インスリン粒子を湿潤させる際の補助剤として少なくとも1種の表面安定剤の存在下で液体分散媒中にインスリンを分散させるのが好ましい。微粉化工程中に、希釈剤などその他の化合物をインスリン/表面安定剤組成物に添加してもよい。分散液は、連続的に、又はバッチ方式で製造することができる。
【0037】
2.インスリンナノ粒子組成物を取得するためのホモジナイゼーション
活性薬剤ナノ粒子組成物を調製するホモジナイゼーション方法の例が、米国特許第5,510,118号(「ナノ粒子を含む治療組成物の製造方法」)に記載されている。
【0038】
このような方法は、液体分散媒中にインスリン粒子を分散させた後、この分散液をホモジナイゼーションにかけることにより、インスリンを所望の有効平均粒度まで微粉化することを含む。少なくとも1種の表面安定剤の存在下でインスリン粒子を微粉化してもよい。あるいは、微粉化前又は後のいずれかに、1種以上の表面安定剤とインスリン粒子を接触させてもよい。しかし、インスリン粒子を湿潤させる補助剤として少なくとも1種の表面安定剤の存在下で液体分散媒中にインスリンを分散させるのが好ましい。微粉化工程前、該工程中又は後のいずれかの時点で、希釈剤などその他の化合物をインスリン/表面安定剤組成物に添加してもよい。分散液は、連続的に、又はバッチ方式で製造することができる。
【0039】
D.賦形剤
本発明の医薬組成物は、1種以上の非毒性、生理学的に許容される担体、補助薬、又はビヒクル(まとめて担体と呼ばれる)と一緒に製剤化されるナノ粒子インスリン組成物を含む。このような担体は、生理学的に許容される滅菌の水性又は非水性溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液、並びにこのような製剤に再形成するための滅菌粉末からなるものでよい。好適な水性及び非水性担体、希釈剤、溶剤又はビヒクルの例として、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、それらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、並びにオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが挙げられる。例えば、レシチンのようなコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒度の維持、並びに界面活性剤の使用により、適正な流動度を維持することができる。
【0040】
また、ナノ粒子組成物は、保存、湿潤、乳化及び分散剤などの補助薬を含んでいてもよい。微生物の増殖は、以下に挙げる各種抗菌及び抗真菌剤により確実に防止することができる:例えば、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸及びその塩、パラヒドキシ安息香酸のその他のエステル(例:ブチルパラベン)、アルコール(例:エチル又はベンジルアルコール)、フェノール化合物(例:フェノール)、又は第四級化合物(例:塩化ベンザルコニウム)、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸など。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含有させるのが望ましい。注射可能な医薬形態の吸収を長時間持続させるのは、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用により達成することができる。
【0041】
本発明の一実施形態では、本発明のナノ粒子組成物は、非経口投与の周知の経路、すなわち、静脈内、筋内、皮下又は腹腔内経路によりヒト及び動物に非経口投与することを意図する。その他の投与形態、例えば、エアロゾル、錠剤などを用いることも可能である。
【0042】
本発明のナノ粒子インスリン組成物の実際の投与レベルは、通常のインスリン製剤の場合と同様にインスリンの標準化単位として与えられ、投与用量は、投与時間、患者の体重、健康状態、年齢、性別及び食事状態に応じて変動する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の方法に従う粉砕前及び後のインスリン粒子の5,000倍率での走査電子顕微鏡画像である。
【図2】粉砕がインスリンの損失をもたらしたか否かを決定するための2つの濃度におけるナノ粒子インスリンサンプルの上清及びペレットの還元SDS PAGEゲルの結果を示す。
【図3】粉砕がインスリンの損失を引き起こしたか否かを決定するための2つの濃度におけるナノ粒子インスリンサンプルのペレットの還元SDS PAGEゲルの結果を示す。
【図4】対照インスリン溶液と比較して、筋内、皮下及び腹腔内経路によるナノ粒子インスリンサンプルの注射の結果得られたインスリンの薬物動態学的パラメーターを示す。
【図5】対照インスリン溶液と比較して、皮下、筋内及び腹腔内経路によるナノ粒子インスリンサンプルの注射により得られたインスリンのAUC(μU/ml.h)を示す棒グラフである。
【図6】参照インスリン溶液と比較して、皮下、筋内及び腹腔内経路によるナノ粒子インスリンサンプルの注射から時間経過後の血中インスリン濃度を示すグラフである。
【図7】参照インスリン溶液と比較して、皮下、筋内及び腹腔内経路によるナノ粒子インスリンサンプルの注射から時間経過後の血中グルコース濃度を示すグラフである。
【図8】参照インスリン溶液と比較して、皮下、筋内及び腹腔内経路によるナノ粒子インスリンサンプルの注射から時間経過後の血中グルコース濃度の変化を示すグラフである。
【実施例】
【0044】
本発明を説明するために以下に実施例を記載する。しかし、本発明は、これらの実施例に記載される特定の条件又は詳細に制限されないことは理解すべきである。本明細書全体を通じて、参照した一般に入手可能な文献(米国特許を含む)はすべて、参照として本明細書に明確に組み込むものとする。
【0045】
実施例1
この実施例の目的は、低エネルギー粉砕技術(low energy milling techniques)を用いて、ナノ粒子インスリン製剤を調製することであった。
【0046】
表1に示した量のインスリン及び1種以上の表面安定剤を水と混合することにより、粉砕前のスラリーを形成した。このスラリーを密封可能な容器に導入した後、直径0.8mmの高摩砕ジルコニア粉砕媒体(high wear zirconia grinding media: Tosoh Corporation、東京、日本国)を用いて、前設定回転速度(典型的には100〜200rpm)で1〜4日間回転させた。この低エネルギー粉砕方法は、微粉化するのに重力粉砕機構を利用することから、重いセラミック媒体を用いる。
【0047】
こうして得られたインスリン組成物の粒度分布をホリバ(Horiba) LA−910光散乱粒度分析装置(Horiba Instruments、アーバイン、CA)により試験した。表1に示す結果は、粉砕から24時間後に試験したものである。この実施例におけるインスリンの濃度は5%であったが、例えば、1%、2%、3%、又は10%以上でも可能であったことに留意すべきである。
【0048】
用いた表面安定剤には以下のものが含まれる:(1)ポリ(2−メタクリルオキシエチル−トリメチルアンモニウムブロミド)(S1001);(2)ポリ(N−ビニルピロリドン/2−ジメチル−アミノエチルメタクリレート)ジメチルスルフェート第四級(S1002);(3)ポリ(2−メチルアクリルオキシアミド−プロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(S1004);(4)プルロニック(Pluronic)(登録商標)F68;(5)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);(6)ナトリウムデオキシコール酸;(7)ポリエチレングリコール(PEG)で誘導体化したビタミンE;及び(8)トウィーン(Tween)(登録商標)80。
【表1】

【0049】
表2に示した測定値は、表1に示した代表的群のナノ粒子組成物の安定性を決定するために、粉砕から1週間後に測定したものである。複数の例で、組成物の粒度は、粉砕から24時間後より1週間後の方が小さかった。特定の理論に拘束されるわけではないが、安定剤と薬物粒子は、熱力学的緩和期間を経るものと考えられる。別の理論では、緩和と関連して、あるいは、緩和とは別に、インスリン粒子と安定剤との間に相互作用がある。さらに、溶液中のDNAを複合体化及び縮合するためにカチオン性安定剤を用いる場合と同様の現象がインスリン粒子の表面に起こる可能性もある。すなわち、安定剤相互作用がインスリン粒子の表面に若干の縮合を引き起こし、これによって微粉化が観察されると考えられる。
【表2】

【0050】
実施例2
この実施例の目的は、高エネルギー粉砕条件を用いて、ナノ粒子インスリン製剤を調製することであった。
【0051】
高エネルギー磨砕媒体粉砕機、ナノミル(NanoMill)(登録商標)(Elan Drug Delivery、キングオブプルシア、PA)を用いて、インスリンのサンプルを調製した。高エネルギー粉砕機は、低エネルギー粉砕方法で用いられるよりもはるかに高い回転速度(100〜6000rpm、典型的には5000rpm)を粒子分散液にかけられるよう設計さている。高い回転速度により、粉砕チャンバ内に非常に高いせん断条件が賦与される。微粉化をもたらすのはこのせん断力なのである。
【0052】
この粉砕方法に用いられる媒体は、はるかに軽く、高度に架橋したポリスチレン媒体である。表3に記載したナノ粒子インスリン組成物の調製には、500μm媒体を用いた。これ以外に用いることができる媒体サイズは50μm〜500μmの範囲である。上記サンプルを約30分から約3時間まで粉砕した。ホリバLA−910光散乱粒度分析装置(Horiba Instruments、アーバイン、CA)により粒度分布を試験した。粒度は3つの組成物すべてについて試験し、サンプル2では、粉砕から24時間後、サンプル1及び2は、粉砕から1週間後に試験した。結果を表3に示す。
【表3】

【0053】
これらの結果から、高エネルギー粉砕方法を用いて、安定性を維持すると同時に、恐らく貯蔵性が改善されたナノ粒子インスリン組成物を生産できることが示された。最も重要なのは、前記の結果から、貯蔵時に凝集がほとんど若しくは全く観測されないことがわかったことである。従って、これらのデータは、貯蔵時にその完全性を維持するナノ粒子インスリン製剤を一貫して製造できることが示された。
【0054】
実施例3
この実施例の目的は、本発明に従い調製したナノ粒子インスリンを試験し、長い貯蔵期間にわたる組成物の安定性を試験することである。
【0055】
ナノ粒子インスリンを実施例2の手順に従って調製した。インスリン粒子の平均粒度が100nmで、粒子の90%が145nmより小さいことが確認されるまで粉砕を実施した。
【0056】
図1は、粉砕前後のインスリン粒子のSEM画像を示すが、これによって、粉砕の効果、さらに重要なことには、インスリン粒子の凝集を防止する表面安定剤の能力がはっきりとわかる。5℃で6ヶ月間貯蔵した上記物質のサンプルの分析から、インスリン粒子の90%が145nmより小さいことが明らかにされた。
【0057】
実施例4
この実施例の目的は、粉砕後のナノ粒子組成物のインスリン含量を測定し、粉砕によってインスリンの損失が起こるか否かを決定することであった。
【0058】
実施例1の手順に従って、表面安定剤として1%プルロニック(登録商標)F68と0.1%ナトリウムデオキシコール酸を有する2%インスリンのスラリーから、ナノ粒子インスリンを調製した。
【0059】
ナノ粒子インスリンのアリコートを13,000gで15分遠心分離にかけた。上清を単離し、ペレットをリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、再度スピンさせた。遠心分離後に得られたペレットと上清画分をSDS−PAGEゲル上での分析に付した。安定性のためにさらに0.1MHClを含むPBS中の粗(raw)インスリン(Sigma I-5000)を対照として用いた。
【0060】
分析に用いる還元ゲルを16%アクリルアミドゲルとして調製したが、これは、5.33mlのアクリルアミド溶液、2.02mlの蒸留水、2.50mlの1.5MTRISバッファー(pH8.8)、100μmの10%SDS、50μmの10%過硫酸アンモニウム、及び5μmのTEMED(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)から構成される。還元ゲルは、二量体、四量体などとして現れるインスリンのバンドを視覚化し、分解されたインスリン断片を確認する上で有用である。
【0061】
ランニングバッファー及びローディング(loading)バッファーの組成を以下に示す:
【表4】

【0062】
サンプルバッファーでサンプルと上清をそれぞれ1:10及び1:50に希釈してから、95℃に5分加熱した後、ゲルにローディングした。ローディングした上清の量は、インスリンが懸濁液中に残っている場合に、要求されるサンプルの量を載せるのに必要な量であった。
【0063】
2種の還元ゲルを調製し、サンプルをゲルにローディングし、各サンプルからのペレットと上清画分を並べて観察できるようにした。結果を図2及び図3に示す。
【0064】
図2に示した還元ゲルには以下のものをローディングした:
レーン1:粗インスリンサンプル
レーン2:サンプル上清:1:50希釈;
レーン3:サンプル上清:1:10希釈;
レーン4:ペレットサンプル:1:50希釈;
レーン5:ペレットサンプル:1:10希釈;及び
レーン6:高分子量マーカー。
【0065】
図3に示した還元ゲルには以下のものをローディングした:
レーン1:高分子量マーカー;
レーン2:ペレットサンプル:1:10希釈;
レーン3:ペレットサンプル:1:50希釈;
レーン4:粗インスリンサンプル;及び
レーン5:粗インスリンサンプル。
【0066】
図2及び3に示したゲルから、粉砕したインスリン製剤のペレット画分がインスリンの全部を含むことがわかる。上清をローディングしたレーンはインスリンを含まないことが明らかである。これは、ナノ粒子インスリン組成物中のインスリン全部がナノ粒子組成物内に取り込まれたか、あるいは、ナノ粒子組成物と結合し、溶液中に遊離したインスリンはほとんど又は全くないことを示している。従って、ナノ粒子組成物内にインスリンが実質的に100%取り込まれたか、又は結合されている。
【0067】
実施例5
この実施例の目的は、非経口投与されたナノ粒子インスリン組成物の効果を試験し、通常の粗インスリン組成物を含む製剤の効果と比較することであった。
【0068】
動物(ウィスターラット)はすべて体重を計量し、実験開始までの4時間絶食させた。試験溶液投与の1時間前に、ケタミン(1匹当たり22.5mg)及びアセプロマジン(0.75mg/kg)の溶液を筋内(IM)投与することにより、ラット(250〜300g)を麻酔した。実施例1の手順に従って、表面安定剤として1%プルロニック(登録商標)F68と0.1%ナトリウムデオキシコール酸を有する2%インスリンのスラリーから、ナノ粒子インスリンのサンプルをPBS(リン酸バッファー溶液;pH7.4)中の溶液の形態で製剤化した。ランダム化非交差実験において、6匹からなるグループに、1IUのインスリンを提供するのに十分な量の溶液を皮下、筋内、又は腹腔内注射により投与した。尾静脈から全身血液サンプルを採取した後、アキュトレン(Accutren)(登録商標)アルファグルコメーター(Boehringer Mannhein)を用いて、ラットの血中グルコース値を測定した。ベースライン血液サンプルを採取し、注射から4時間後まで間隔をおいてサンプルを採取した。実験中麻酔を維持した。非製剤化インスリン溶液を対照として用いた。
【0069】
用いたラットモデルは高血糖症モデルである。試験の薬物動態学的パラメーターを図4に示す。図4の結果から、本発明のインスリン組成物が生物学的に活性で、対照インスリン溶液と少なくともほぼ同等であることがわかる。図5は、対照インスリン溶液と比較した非経口投与の3経路によるサンプルのAUC(μU/ml.h)を示す。図5に示した分析からも、対照インスリン溶液に対する試験製剤の等価性を確認することができる。
【0070】
図6及び7は一組の濃度−時間プロフィールであり、図6が平均グルコース濃度を示すのに対し、図7は平均インスリン濃度を示す。前述したように、両図は、対照インスリン製剤と比較した皮下、筋内及び腹腔内注射により投与された試験サンプルを表示する。インスリン製剤が生物学的に活性であれば、血中グルコースレベルの下降は、血中インスリンレベルの上昇と一致すると予想される。図6及び7のプロフィールは、本発明のナノ粒子インスリン製剤が生物学的に活性であることを明らかに示している。
【0071】
全体的として、図に示した結果から、本発明のナノ粒子インスリン組成物は、非経口投与後に優れたバイオアベイラビリティを有し、これは、試験した対照インスリン溶液に対し少なくとも等価であることがわかる。図8に表示する血中グルコースレベルの変化のグラフでは、本発明のナノ粒子製剤は、試験期間を通じて血中グルコースレベルの低下を維持する点で、対照インスリン溶液より有利であることが認められる。特に、腹腔内投与の際の比較から、利点が認められる。
【0072】
当業者には、本発明の精神又は範囲を超えることなく、本発明の方法及び組成物において様々な改変及び変更が実施できることは明らかであろう。従って、本発明の改変及び変更が添付の請求の範囲及びその同等物内にある限り、本発明はそれらを包含するものとする。既述の実施例は本発明を説明するものであって、決して本発明の明細書及び請求の範囲を制限すると解釈すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン粒子と、その表面に吸着させた少なくとも1種の非架橋表面安定剤を含むナノ粒子組成物であって、該インスリン粒子が、約5ミクロン以下の有効平均粒度を有する、前記ナノ粒子組成物。
【請求項2】
インスリン粒子の有効平均粒度が、約4ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1500nm以下、約1ミクロン以下、約800nm以下、約700nm以下、約600nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約75nm以下、及び約50nm以下からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
インスリンの濃度が、該インスリン粒子と少なくとも1種の表面安定剤との合計乾燥重量(その他の賦形剤は含まない)に対して、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%及び約90重量%〜約0.5重量%からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種の表面安定剤の濃度が、インスリン粒子と少なくとも1種の表面安定剤との合計乾燥重量(その他の賦形剤は含まない)に対して、約0.001重量%〜約99.5重量%、約0.1重量%〜約95重量%及び約0.5重量%〜約90重量%からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物がさらに、1種以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、又はそれらの組合せを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が、経口、肺、鼻内、非経口、直腸、局所、口腔、及び局所投与からなる群より選択される投与のために製剤化される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のナノ粒子組成物を含む製剤であって、該製剤が固体、半固体、又は液体剤形である前記製剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のナノ粒子インスリン組成物を含む製剤であって、該製剤が、放出が制御された製剤、固体投与高速溶解製剤、エアロゾル製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、固体ロゼンジ、カプセル、粉末、及び注射液からなる群より選択される前記製剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のナノ粒子インスリン組成物と、好適な薬学的に許容される賦形剤を含む、非経口投与のための医薬組成物。
【請求項10】
インスリンが、結晶性粒子、半結晶性粒子、半非晶質粒子、非晶質粒子、並びにそれらの混合物からなる群より選択される形態である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
さらに少なくとも2種の表面安定剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種の表面安定剤が、ノニオン性表面安定剤、アニオン性表面安定剤、カチオン性表面安定剤、並びにイオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の表面安定剤が、以下に挙げるものからなる群より選択される、請求項12に記載の組成物:塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アカシアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ステアリン酸エステル及び塩、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化蝋、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−フタル酸セルロース、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを含む4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー、ポロキサミン、荷電リン脂質、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、スルホコハク酸ジオクチル、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースの混合物、構造:−(−PEO)――(−PBO−)――(−PEO−)−のトリブロックコポリマー、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド、n−デシルβ−D−マルトピラノシド、n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド、n−ドデシルβ−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド、n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイルβ−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチル−β−D−グルコピラノシド、オクチルβ−D−チオグルコピラノシド、リゾチーム、PEGで誘導体化したリン脂質、PEGで誘導体化したコレステロール、PEGで誘導体化したコレステロール誘導体、PEGで誘導体化したビタミンA、PEGで誘導体化したビタミンE、酢酸ビニルとビニルピロリドンのランダムコポリマー。
【請求項14】
少なくとも1種のカチオン性表面安定剤が、ポリマー、生体高分子、多糖、セルロース誘導体、アルギン酸塩、非重合体化合物、並びにリン脂質からなる群より選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の表面安定剤が、以下に挙げるものからなる群より選択される、請求項12に記載の組成物:カチオン性脂質、塩化ベンザルコニウム、スルホニウム化合物、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12−15ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−15ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキル及び(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、一水化塩化物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、ポリコート10(POLYQUAT 10)(商標)、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物の塩、ミラポール(MIRAPOL)(商標)及びアルカコート(ALKAQUAT)(商標)、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマー、カチオン性グアー、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)(S1001)、ポリ(N−ビニルピロリドン/2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)ジメチルスルフェート第四級(S1002)、並びにポリ(2−メチルアクリルオキシアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(S1004)。
【請求項16】
ナノ粒子インスリン組成物の製造方法であって、約5ミクロン以下の有効平均粒度を有するナノ粒子インスリン組成物を提供するのに十分な時間及び条件下で、インスリン粒子を少なくとも1種の表面安定剤と接触させることを含む、上記方法。
【請求項17】
上記接触が粉砕を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記粉砕が高エネルギー粉砕である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記粉砕が湿式粉砕を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
上記接触がホモジナイゼーションを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
インスリン粒子の有効平均粒度が、約4ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1500nm以下、約1ミクロン以下、約800nm以下、約700nm以下、約600nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約75nm以下、及び約50nm以下からなる群より選択される、請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
インスリンの濃度が、インスリン粒子と少なくとも1種の表面安定剤との合計乾燥重量(その他の賦形剤は含まない)に対して、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%及び約90重量%〜約0.5重量%からなる群より選択される、請求項16〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1種の表面安定剤の濃度が、インスリン粒子と少なくとも1種の表面安定剤との合計乾燥重量(その他の賦形剤は含まない)に対して、約0.001重量%〜約99.5重量%、約0.1重量%〜約95重量%及び約0.5重量%〜約90重量%からなる群より選択される、請求項16〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
インスリンが、結晶性粒子、半結晶性粒子、半非晶質粒子、非晶質粒子、並びにそれらの混合物からなる群より選択される形態である、請求項16〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
さらに少なくとも2種の表面安定剤を含む、請求項16〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1種の表面安定剤が、ノニオン性表面安定剤、アニオン性表面安定剤、カチオン性表面安定剤、並びにイオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項16〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1種の表面安定剤が、以下に挙げるものからなる群より選択される、請求項26に記載の方法:塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アカシアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ステアリン酸エステル及び塩、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化蝋、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−フタル酸セルロース、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを含む4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー、ポロキサミン、荷電リン脂質、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、スルホコハク酸ジオクチル、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースの混合物、構造:−(−PEO)――(−PBO−)――(−PEO−)−のトリブロックコポリマー、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド、n−デシルβ−D−マルトピラノシド、n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド、n−ドデシルβ−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド、n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイルβ−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチルβ−D−グルコピラノシド、オクチルβ−D−チオグルコピラノシド、リゾチーム、PEGで誘導体化したリン脂質、PEGで誘導体化したコレステロール、PEGで誘導体化したコレステロール誘導体、PEGで誘導体化したビタミンA、PEGで誘導体化したビタミンE、酢酸ビニルとビニルピロリドンのランダムコポリマー。
【請求項28】
少なくとも1種のカチオン性表面安定剤が、ポリマー、生体高分子、多糖、セルロース誘導体、アルギン酸塩、非重合体化合物、並びにリン脂質からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1種の表面安定剤が、以下に挙げるものからなる群より選択される、請求項26に記載の方法:カチオン性脂質、塩化ベンザルコニウム、スルホニウム化合物、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12−15ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−15ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキル及び(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、一水化塩化物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、ポリコート10(POLYQUAT 10)(商標)、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ミラポール(MIRAPOL)(商標)及びアルカコート(ALKAQUAT)(商標)、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマー、カチオン性グアー、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)(S1001)、ポリ(N−ビニルピロリドン/2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)ジメチルスルフェート第四級(S1002)、並びにポリ(2−メチルアクリルオキシアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(S1004)。
【請求項30】
必要としている動物(哺乳動物を含む)に投与するのに適した医薬の製造のためのナノ粒子インスリン組成物の使用であって、該組成物が:
(a)投与剤形に含有させる前に約5ミクロン以下の有効平均粒度を有しているインスリン粒子、及び、
(b)インスリン粒子の表面に吸着させた少なくとも1種の表面安定剤、
を含む前記使用。
【請求項31】
インスリン粒子の有効平均粒度が、約4ミクロン以下、約3ミクロン以下、約2ミクロン以下、約1500nm以下、約1ミクロン以下、約800nm以下、約700nm以下、約600nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約75nm以下、及び約50nm以下からなる群より選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
インスリンの濃度が、上記インスリン粒子と少なくとも1種の表面安定剤との合計乾燥重量(その他の賦形剤は含まない)に対して、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%及び約90重量%〜約0.5重量%からなる群より選択される、請求項30又は31に記載の使用。
【請求項33】
少なくとも1種の表面安定剤の濃度が、インスリン粒子と少なくとも1種の表面安定剤との合計乾燥重量(その他の賦形剤は含まない)に対して、約0.001重量%〜約99.5重量%、約0.1重量%〜約95重量%及び約0.5重量%〜約90重量%からなる群より選択される、請求項30〜32のいずれか1項に記載の使用。
【請求項34】
インスリンが、結晶性粒子、半結晶性粒子、半非晶質粒子、非晶質粒子、並びにそれらの混合物からなる群より選択される形態である、請求項30〜33のいずれか1項に記載の使用。
【請求項35】
さらに少なくとも2種の表面安定剤を含む、請求項30〜34のいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
少なくとも1種の表面安定剤が、ノニオン性表面安定剤、アニオン性表面安定剤、カチオン性表面安定剤、並びにイオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項30〜35のいずれか1項に記載の使用。
【請求項37】
少なくとも1種の表面安定剤が、以下に挙げるものからなる群より選択される、請求項36に記載の使用:塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アカシアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ステアリン酸エステル及び塩、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化蝋、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−フタル酸セルロース、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシド及びホルムアルデヒドを含む4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー、ポロキサミン、荷電リン脂質、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、スルホコハク酸ジオクチル、ナトリウムスルホコハク酸のジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースの混合物、構造:−(−PEO)――(−PBO−)――(−PEO−)−のトリブロックコポリマー、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド、n−デシルβ−D−マルトピラノシド、n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド、n−ドデシルβ−D−マルトシド、ヘプタノイル−N−メチルグルカミド、n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド、n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド、n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド、ノナノイル−N−メチルグルカミド、n−ノイルβ−D−グルコピラノシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、n−オクチルβ−D−グルコピラノシド、オクチルβ−D−チオグルコピラノシド、リゾチーム、PEGで誘導体化したリン脂質、PEGで誘導体化したコレステロール、PEGで誘導体化したコレステロール誘導体、PEGで誘導体化したビタミンA、PEGで誘導体化したビタミンE、酢酸ビニルとビニルピロリドンのランダムコポリマー。
【請求項38】
少なくとも1種のカチオン性表面安定剤が、ポリマー、生体高分子、多糖、セルロース誘導体、アルギン酸塩、非重合体化合物、並びにリン脂質からなる群より選択される、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
少なくとも1種の表面安定剤が、以下に挙げるものからなる群より選択される、請求項36に記載の使用:カチオン性脂質、塩化ベンザルコニウム、スルホニウム化合物、ホスホニウム化合物、第四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12−15ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−15ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリドの一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキル及び(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、一水化塩化物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−塩化ジアリルジメチルアンモニウム(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、ポリコート10(POLYQUAT 10)(商標)、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物の塩、ミラポール(MIRAPOL)(商標)及びアルカコート(ALKAQUAT)(商標)、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第四級アクリルアミド、メチル化第四級ポリマー、カチオン性グアー、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルスルフェート、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)(S1001)、ポリ(N−ビニルピロリドン/2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)ジメチルスルフェート第四級(S1002)、並びにポリ(2−メチルアクリルオキシアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(S1004)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−6826(P2010−6826A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193163(P2009−193163)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【分割の表示】特願2003−528522(P2003−528522)の分割
【原出願日】平成14年9月19日(2002.9.19)
【出願人】(500370883)エラン ファーマ インターナショナル,リミティド (45)
【Fターム(参考)】