説明

ナノ粒子コンジュゲート

ヘテロ二官能性ポリアルキレングリコールリンカーを介してナノ粒子に共有結合された特異的結合部分を含むコンジュゲート組成物が開示される。1つの態様では、ヘテロ二官能性PEGリンカーにカップリングされた特異的結合部分および蛍光ナノ粒子を含むコンジュゲートが提供される。開示による蛍光コンジュゲートは、組織切片および細胞学的サンプルの免疫組織化学およびin situハイブリダイゼーションアッセイに一際強く、しかも安定なシグナルを提供することができ、そしてそのようなアッセイのマルチプレキシングを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は2005年4月28日に出願された特許文献1の利益、および2005年6月24日に出願された特許文献2の利益を主張し、両出願は引用により本明細書に編入する。
【発明の背景】
【0002】
発明の背景
1.分野
本発明は、生物学的サンプル中の特定分子を検出するための試薬および方法に関する。より詳細には、本発明は特異的結合部分およびナノ粒子の共有コンジュゲート、ならびに組織切片のような生物学的サンプル中の特定分子を検出するためのそのようなコンジュゲートの使用法に関する。
2.背景
特異的結合部分およびシグナル生成部分のコンジュゲートは、生物学的サンプル中の特異的な標的分子を検出するためのアッセイに使用することができる。そのようなコンジュゲートの特異的結合部分は、サンプル中の標的に強固に結合し、そしてシグナル生成部分を利用して標的の存在/およびまたは場所を示す検出可能なシグナルを提供する。
【0003】
1つの種類の検出可能なコンジュゲートは、抗体および発蛍光団の共有コンジュゲートである。コンジュゲートに発蛍光団により吸収される波長の光子を向けることは、検出され、そして抗体を定性し、定量し、かつ/または場所を見つけるために使用することができる蛍光を刺激する。発蛍光団として使用される蛍光部分の多くは、結合されたpi−電子系を有する有機分子である。そのような有機発蛍光団は強力な蛍光シグナルを提供することができるが、それらの効力、特にマルチプレックスアッセイ(multiplex assay)、そして保管的(archival)試験結果が必要な場合における効力を限定する多くの特性を現す。
【0004】
有機発蛍光団は、励起源による長期の照射により光退色する恐れがあり、これはサンプルから最大かつ/または検出可能なシグナル引き出すことができる期間を限定する。長期化した照射および/または長期化した酸素への暴露は、永久的に有機発蛍光団を非蛍光分子に転換し得る。このように蛍光検出は、保管的サンプルが必要な場合に日常的に使用されてこなかった。
【0005】
有機発蛍光団を使用したマルチプレックスアッセイは、そのような発蛍光団が典型的には発蛍光団により吸収される光子よりもわずかに長いだけである波長(低エネルギー)の光子(すなわちそれらは小さいストークのシフトを有する)を発するので難しい。このように電磁気スペクトルの一部(可視部分のような)をわたる種々の波長の光の発する1組の発蛍光団の選択には、この部分をわって吸収する発蛍光団の選択を必要とする。このような状況で、1つの発蛍光団により発せられる光子は、その組の中のもう1つの発蛍光団により吸収される可能性があり、これによりアッセイの精密度および感受性が下がる。
【0006】
幾つかの有機金属性発蛍光団(例えばランタニド錯体)は有機発蛍光団よりも光安定性が高いようであるが、それらの組も吸収の重複およびあるスペクトル領域をわたる蛍光という欠点を持つ。さらに有機および有機金属性発蛍光団が共有する欠点は、それらの蛍光スペクトルが広くなる傾向にあり(すなわち蛍光光子がある波長範囲にわたる)、さらにマルチプレックスアッセイにおける2以上の発蛍光団が同じ波長の光子を発するようにす
るらしい。ここでもこれがアッセイの正確さを限定する。たとえ半定量的および定性的アッセイでも、これら有機および有機金属性発蛍光団の限界が結果を歪める恐れがある。
【0007】
蛍光ナノ粒子、例えば蛍光Cd/Seナノ粒子は、マルチプレックスアッセイに大変有望な新たなクラスの発蛍光団である。特定の性質を現すナノ粒子を工作するためのより広い努力の一環として、大変狭い波長範囲で強い蛍光を発するための蛍光ナノ粒子が開発された。また蛍光ナノ粒子は高度に光安定性であり、そして特定の波長で蛍光を調整することができる。そのようなナノ粒子の吸収および蛍光特性により、広い全波長範囲にわたる蛍光ナノ粒子の組は、単一の波長または特定の波長範囲内の光子で同時に励起されることができ(UV源でのブロードバンド励起の場合ように)、そしてより長い波長で蛍光を発する他のナノ粒子により吸収される、任意の粒子により発せられる蛍光光子は大変少ないか、または無い。その結果、蛍光ナノ粒子は、シグナル安定性およびマルチプレックスアッセイに対する潜在能力に関してる有機および有機金属性発蛍光団の限界を克服する。
【0008】
しかしながらナノ粒子は一般に、そして蛍光ナノ粒子は特異的に抗体のような特異的結合部分に結合される場合に幾つかの問題が生じる。表面の相互作用はナノ粒子の特性を改変する傾向がある。したがって、ナノ粒子の特異的結合部分への結合は、ナノ粒子の特性および安定性を、そして蛍光ナノ粒子の場合はそれらの蛍光特性を改変する可能性がある(蛍光波長および強度のような)。同様に、ナノ粒子と特異的結合部分との間の相互作用は、結合部分の特異性を減少させる恐れがある。このように蛍光ナノ粒子はそれらを従来の発蛍光団に代わる魅力的な選択とする多数の特性を提供するものの、コンジュゲート中の有用なシグナル生成部分としてそれらの能力は未だ完全に実現されなかった。
【0009】
組織および細胞学サンプルの免疫組織化学的(IHC)アッセイおよびin situハイブリダイゼーション(ISH)のようなin situアッセイに関する応用、特にそのようなサンプルのマルチプレックスアッセイでは、特異的結合部分の特異性および蛍光ナノ粒子の蛍光特性を大きな程度まで保持する蛍光ナノ粒子のコンジュゲートを開発することが高度に望まれている。コンジュゲートにおけるこれら特性の保持は、アッセイが少量のタンパク質および低コピー数の核酸配列を検出することに向けられている場合、より一層重要となる。
【0010】
1つの励起源により励起することができる、独特な狭い整調性(FWHM<40nm)の量子ドット蛍光は、造影に極めて魅力的である。このために、被検体としての量子ドットは多くの異なる構成物中で使用されてきた。静電的および共有結合の両方が個々の量子ドットのカプセル化に使用され、凝集を防止し、そして末端反応基を提供するために使用されてきた。例には静電的相互作用または共有結合のいずれかを介する架橋結合分子での生物結合のためのアミンおよびカルボキシル基の使用を含む。例えばChan and Nie「超高感度の非アイソトープ性検出のための量子ドット生物コンジュゲート(Quantum Dot Bioconjugates for Ultrasensitive Nonisotopic Detection)」(非特許文献1)、およびM.P.Bruchez,et al.「検出可能な標識として半導体ナノクリスタルを使用したサンプル中の被検体の検出法(Method of Detecting an Analyte in a Sample Using Semiconductor Nanocrystals as Detectable Label)」(特許文献3)を参照にされたい。しかしほとんどの現在のコンジュゲートの作成法は、量子収率が下げられ、そして安定性および保管性の両方が可能ではない量子ドットを生じる、したがって特異的結合部分の特異性およびナノ量子の望ましい光物理学特性(光安定性および量子収率のような)の両方をより良く保持するコンジュゲートの存在が必要である。
【参考文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/675,759号明細書
【特許文献2】米国特許仮出願第60/693,647号明細書
【特許文献3】米国特許第6,630,307号明細書
【非特許文献1】Chan and Nie,Science,Vol.281,p.2016〜2018,1998,
【発明の開示】
【0012】
発明の要約
特異的結合部分およびナノ粒子のコンジュゲートが開示され、このコンジュゲートの作成および使用法も開示される。開示するコンジュゲートは、生物学的サンプル中の目的分子の検出、特に組織切片および細胞学サンプル中のそのような分子の検出に優れた性能を現す。特に開示する特異的結合部分と蛍光ナノ粒子のコンジュゲートは特異的結合部分の特異性およびナノ粒子の望ましい蛍光特性を保持し、これにより抗原および核酸の感度のあるマルチプレックスアッセイを可能とする。
【0013】
1つの観点では、ヘテロ二官能性ポリエチレングリコール(PEG)リンカーのようなヘテロ二官能性ポリアルキレングリコールリンカーを介してナノ粒子に共有的に連結された特異的結合部分を含むコンジュゲートが開示される。1つの態様では、開示されるコンジュゲートは、抗体、およびヘテロ二官能性PEGリンカーにより共有的に連結されたナノ粒子を含む。別の態様では、開示するコンジュゲートは、ヘテロ二官能性PEGリンカーに共有的に連結されたアビシンおよびナノ粒子を含む。より詳細な態様では、開示するコンジュゲートは、ヘテロ二官能性PEGリンカーにより量子ドットに共有的に連結された抗体またはアビジンを含む。
【0014】
開示するコンジュゲートのPEGリンカーは、カルボニル反応性基、アミン反応性基、チオール反応性基および光反応性基から選択される2つの異なる反応性基の組み合わせを含む。より詳細な態様では、PEGリンカーは、チオール反応性基およびアミン反応性基の組み合わせ、またはカルボニル反応性基およびチオール反応性基の組み合わせを含む。より詳細な態様では、チオール反応性基はマレイミド基を含み、アミン反応性基は活性エステルを含み、そしてカルボニル反応性基はヒドラジン誘導体を含む。
【0015】
別の観点では、開示するコンジュゲートの作成法が提供される。1つの態様では、コンジュゲートの作成法はチオール化特異的結合部分を形成し;アミン基を有するナノ粒子をPEGマレイミド/活性エステル二官能性リンカーと反応させて、活性化ナノ粒子を形成し;そしてチオール化特異的結合部分を活性化シグナル生成部分と反応させて、抗体およびシグナル生成部分のコンジュゲートを形成することを含む。チオール化特異的結合部分は、特異的結合部分に固有のシステイン架橋の還元剤による還元により形成され得るか、またはチオール化特異的結合部分は、抗体を、チオールを特異的結合部分に導入する試薬と反応させることにより形成され得る。
【0016】
別の態様では、開示する抗体コンジュゲートの作成法には、特異的結合部分をオキシダントと反応させて、アルデヒドを持つ特異的結合部分を形成し;アルデヒドを持つ特異的結合部分をPEGマレイミド/ヒドラジド二官能性リンカーと反応させてチオール反応性特異的結合部分を形成し;そしてチオール反応性特異的結合部分をチオール化ナノ粒子と反応させてコンジュゲートを形成することを含む。特定の態様では、特異的結合部分をオキシダントと反応させてアルデヒドを持つ抗体を形成することは、特異的結合部分のグリコシル化領域を酸化して(過ヨウ素酸塩、I、Brおよびそれらの組み合わせを用いるような)、アルデヒドを持つ特異的結合部分を形成することを含む。この方法はさらに、例えばナノ粒子を、チオール基をナノ粒子に導入する試薬と反応させることにより、ナノ粒子からチオール化ナノ粒子を形成することを含むことができる。
【0017】
別の観点では、開示する方法に使用して、そして特に開示する蛍光ナノ粒子コンジュゲートを使用した目的分子のマルチプレックス検出において、生物学的サンプル中の目的分子を検出する方法が開示される。開示するこれらのおよびさらなる観点、態様および特徴は、以下の詳細な説明および実施例から明らかとなるだろう。
【0018】
幾つかの具体的態様の詳細な説明
本発明のさらなる観点は、以下の非限定的例により具体的に説明され、これは以下に定義する略号および用語について始める。
I.略号
2−ME 2−メルカプトエタノール
2−MEA 2−メルカプトエチルアミン
Ab 抗体
BSA ウシ血清アルブミン
DTE ジチオエリスリトール(シス−2,3−ジヒドロキシ−1,4−
ジチオールブタン)
DTT ジチオスレイトール(トランス−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジチ
オールブタン)
FWHM 半値全幅
IHC 免疫組織化学
ISH in situハイブリダイゼーション
MAL マレイミド
NHS N−ヒドロキシ−スクシンイミド
NP ナノ粒子
PEG ポリエチレングリコール
QD### 量子ドット(蛍光最大の波長)
SAMSA S−アセチルメルカプトコハク酸無水物
SATA N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート
SATP スクシンイミジル アセチル−チオプロピオネート
SBM 特異的結合部分
SMPT スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジル
ジチオ)トルエン
SPDP N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート
TCEP トリス(カルボキシエチル)ホスフィン
【0019】
II.用語
用語「a」、「an」および「the」は、内容が明確に他を示さない限り、単数および複数の両方の指示対称を含む。
【0020】
用語「抗体」は、集合的に免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子(IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、その組み合わせ、および任意の脊椎動物例えばヒト、ヤギ、ラット、ウサギおよびマウスのような哺乳動物における免疫応答中に生産される類似分子を含む)、および目的分子(または目的分子に高度に類似性の群)に、他の分子(例えば生物学的サンプル中の他の分子の結合定数よりも少なくとも10−1より大きい、10−1より大きく、または10−1より大きい目的分子への結合定数を有する抗体および抗体フラグメント)の結合を実質的に排除する程度まで、特異的に結合する抗体フラグメントを含む。抗体フラグメントにはタンパク質分解抗体フラグメント[当該技術分野で知られているF(ab’)フラグメント、Fab’フラグメント、Fab’−SHフラグメントおよびFabフラグメントのような]、組換え抗体フラグメント(当該技術分野で知られているsFvフラグメント、dsFvフラグメント、二重特異性sFvフラグメント、二重特異性dsFvフラグメント、ダイアボディ(diabodies)およびトリアボディ(triabodies)のような)、および特許請求されている抗体(例えば米国特許第6,015,695号;同第6,005,079号−同第5,874,541号;同第5,840,526号;同第5,800,988号;および同第5,759,808号明細書を参照にされたい)を含む。
【0021】
用語「アビジン」は、生物学的サンプル中に存在するかもしれない他の低分子を実質的に排除するまで、ビオチンに特異的に結合する任意のタンパク質を指す。アビジンの例には、卵白、脂肪種子(例えばダイズ粉)、および穀物(例えばコーン/メイズ)に自然に存在するアビジン、および細菌起源のタンパク質であるストレプトアビジンを含む。
【0022】
「目的分子」という句は、存在、場所および/または濃度が測定される分子を指す。目的分子の例には、ハプテンで標識されたタンパク質および核酸配列を含む。
【0023】
用語「ナノ粒子」は、ナノメートルで測定されるサイズを有するナノスケールの粒子を指し、例えば少なくとも約100nmの少なくとも1つの寸法を有するナノスコピック粒子である。ナノ粒子の例には、常磁性ナノ粒子、超常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、フラーレン−様物質、無機ナノチューブ、デンドリマー(共有結合した金属錯体を含むような)、ナノファイバー、ナノホーン、ナノ−オニオン、ナノロッド、ナノロープおよび量子ドットを含む。ナノ粒子は検出可能なシグナルを、例えば光子の吸収および/または発光(ラジオ周波および可視光子を含む)、およびプラスモン共鳴を介して生産することができる。
【0024】
用語「量子ドット」は、量子封じ込めによりサイズ依存性の電気的および光学的特性を現すナノスケールの粒子を指す。量子ドットは例えば半導体材料(例えばカドミウムセレニドおよび硫化鉛)から、および晶子(分子ビームエピタクシーを介して成長した)等から構成されてきた。種々の表面化学および蛍光特性を有する様々な量子ドットがインビトロジェンコーポレーション(Invitrogen Corporation)、ユージーン、オレゴン州から市販されている(例えば、米国特許第6,815,064号,同第6,682,596号および同第6,649,138号明細書を参照にされたい。その各々の特許は引用により本明細書に編入する)。また量子ドットはエビデントテクノロジーズ(Evident Technologies)(トロイ、ニューヨーク州)からも市販されている。他の量子ドットには、ZnSSe、ZnSeTe、ZnSTe、CdSSe、CdSeTe、ScSTe、HgSSe、HgSeTe、HgSTe、ZnCdS、ZnCdTe、ZnCdTe、ZnHgS、ZnHgSe、ZnHgTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、ZnCdSSe、ZnHgSSe、ZnCdSeTe、ZnHgSeTe、CdHgSSe、CdHgSeTe、InGaAs、GaAlAsおよびInGaN量子ドットのような合金量子ドットがある(合金量子ドットおよびその作成法は、例えば米国特許出願第2005/0012182号明細書および国際公開第2005/001889号パンフレットに開示されている)。
【0025】
用語「特異的結合分子」は、一般に特異的に結合する対のメンバーを指す。特異的に結合する対は、他の分子の結合を実質的に排除する程度まで、高いに結合することを特徴とする分子対である(例えば特異的に結合する対は、生物学的サンプル中の他の分子との結合対の2つのいずれか結合定数よりも少なくとも10−1より大きい、10−1より大きく、または10−1より大きい結合定数を有することができる)特異的結合部分の特定の例には、抗体、レクチン、アビジン(ストレプトアビジンのような)およびプロテインAのような特異的結合タンパク質を含む。また特異的結合部分は、そのような特異的結合タンパク質に特異的に結合する分子(またはその部分)も含むことができる。
【0026】
III.概説
1つの観点では、以下に表す一般構造
【0027】
【化1】

【0028】
式中、AおよびBは異なる反応性基を含み、xは2〜10の整数であり(2、3もしくは4のような)、そしてyは3〜20からの整数または4〜12からの整数のような1〜50の整数、例えば2〜30の整数である、
を有するヘテロ二官能ポリアルキレングリコールリンカーを介してナノ粒子に共有結合された特異的結合部分を含む特異的結合部分/ナノ粒子コンジュゲートが開示される。
式中の1または複数の水素原子は、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシおよびエトキシのような)、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、スルファト基およびアミノ基(ジアルキルアミノ基のようなモノ−およびジ−置換アミノ基を含む)のような官能基に置換され得る。
【0029】
AおよびBは、独立してカルボニル反応性基、アミン反応性基、チオール反応性基、または光反応性基を含むことができるが、同じ反応性基を含まない。カルボニル反応性基の例にはヒドラジンおよびヒドラジド誘導体およびアミンのようなアルデヒドおよびケトン反応性基を含む。アミン反応性基の例には、NHSまたはスルホ−NHS、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、スルホニルクロライド、アルデヒド、グリオキサール、エポキシド、オキシラン、カーボネート、アリールハライド、イミドエステル、無水物等のような活性エステルを含む。チオール反応性基の例には、非重合性ミハエル受容体、ハロアセチル基(ヨードアセチルのような)、アルキルハライド、マレイミド、アジリジン、アクリロイル基、ビニルスルホン、ベンゾキノン、およびピリジルジスルフィド基のようなジスルフィド基およびエルマン試薬で活性化されるチオールがある。光活性基の例には、アリールアジドおよびハロゲン化アリールアジドを含む。このような各種類の基のさらなる例は、当業者には明らかである。反応条件および1つの種類の反応性基の別の反応性基への交換法に関するさらなる例および情報は、Hermanson、「生物コンジュゲート技術(Bioconjugate Techniques)」、アカデミックプレス(Academic Press)、サンディエゴ、1996に提供されており、これは引用により本明細書に編入する。特定の態様では、チオール反応性基はビニルスルホン以外である。
【0030】
幾つかの態様では、ヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基は、特異的結合部分に共有結合され、そしてヘテロ二官能性リンカーのアミン反応性基がナノ粒子に共有的に連結されているか、またはその逆である。例えばヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基は、特異的結合部分のシステイン残基(システイン架橋の還元に従うような)に共有結合されることができ、あるいはヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基は、特異的結合部分に導入されたチオール基に共有結合されることができ、そしてアミン反応性基はナノ粒子に結合される。
【0031】
あるいはヘテロ二官能性リンカーのアルデヒド反応性基は、ナノ粒子に共有結合されることができ、そしてヘテロ二官能性リンカーのアミン反応性基は、ナノ粒子に共有結合されることができ、あるいはその逆であることもできる。特定の態様では、ヘテロ二官能性リンカーのアルデヒド反応性基は、特異的結合部分のグリコシル化部分上に形成されたアルデヒドに共有結合されることができ、そしてアミン反応性基はナノ粒子に共有結合される。
【0032】
さらに別の態様では、ヘテロ二官能性リンカーのアルデヒド反応性基は特異的結合部分に共有結合され、そしてヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基はナノ粒子に共有結合されるか、あるいはその逆である。
【0033】
幾つかの態様では、ヘテロ二官能性リンカーは式:
【0034】
【化2】

【0035】
を有し、
式中、AおよびBは前のような異なる反応性基であり;xおよびyは前の通りであり、そしてXおよびYはスペーサー基、例えば1と6との間の炭素、または1と4との間の炭素のような1と10との間の炭素を有するスペーサー基であり、そして場合により1もしくは複数のアミド連結、エーテル連結、エステル連結等を含んでよい。スペーサーXおよびYは同じか、または異なることができ、そして直鎖、分岐または環式(例えば脂肪族もしくは芳香族環式構造)であることができ、そして非置換または置換されることができる。スペーサー上の置換基であることができる官能基には、カルボニル基、ヒドロキシル基、ハロゲン(F、Cl、BrおよびI)原子、アルコキシ基(メトキシおよびエトキシのような)、ニトロ基およびスルファト基がある。
【0036】
別の特定の態様では、ヘテロ二官能性リンカーは式:
【0037】
【化3】

【0038】
式中、n=1〜50、例えばn=3〜20またはn=4〜12のようなn=2〜30である、
を有するヘテロ二官能性ポリエチレングリコールリンカーを含んでなる。さらに幾つかの特定の態様では、このリンカーのスクシンイミド基のカルボニルはナノ粒子上のアミン基に共有結合され、そしてリンカーのマレイミド基は特異的結合部分のチオール基に共有結合されるか、あるいはその逆である。さらに他の特定の態様では、平均約1から約10の間の特異的結合部分がナノ粒子に共有結合している。ナノ粒子の例には半導体ナノクリスタル(例えばインビトロジェン社、ユージーン、オレゴン種から得られる量子ドットのような;例えば米国特許第6,815,064号、同第6,682,596号および同第6,649,138号明細書を参照にされたい。各特許は引用により本明細書に編入する)、常磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子および超常磁性ナノ粒子がある。
【0039】
別の特定の態様では、ヘテロ二官能性リンカーは式:
【0040】
【化4】

【0041】
式中、m=1〜50、例えばm=3〜20または4〜12のようなm=2〜30である、
を有するヘテロ二官能性ポリエチレングリコールリンカーを含んでなる。さらに詳細な態様では、このリンカーのヒドラジド基は特異的結合部分のアルデヒド基に共有的に連結され、そしてリンカーのマレイミド基はナノ粒子のチオール基に共有的に連結されるか、あるいはその逆である。さらに一層詳細な態様では、特異的結合部分のアルデヒド基は、抗体のFc部分のグリコシル化領域の酸化により抗体のFc部分に形成されたアルデヒド基である。他のさらに一層詳細な態様では、平均約1から約10の間の特異的結合部分がナノ粒子に共有的に連結される。簡単に説明すると、上記式のマレイミド/ヒドラジドPEG−リンカーは、保護されたヒドラジン誘導体(Boc−保護ヒドラジン)で処理し、続いて酸で処理することにより、対応するマレイミド/活性エステルPEGリンカー(これは例えばクォンタ バイオデザイン、ポーウェル、オハイオ州から入手可能である)から合成することができる。
【0042】
他の特定の態様では、ヘテロ二官能性PEG−連結特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートは、式:
【0043】
【化5】

【0044】
式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、n=1〜50(n=2〜30、n=3〜20またはn=4〜12のような)、そしてo=1〜10(o=2〜6またはo=3〜4のような)である、
あるいは
【0045】
【化6】

【0046】
式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、n=1〜50(n=2〜30、n=3〜20またはn=4〜12のような)、そしてp=1〜10(p=2〜6
またはp=3〜4のような)である、
を有するコンジュゲートを含んでなる。
【0047】
さらに別の特定の態様では、ヘテロ二官能性PEG−連結特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートは、式:
【0048】
【化7】

【0049】
式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、n=1〜50(n=2〜30、n=3〜20またはn=4〜12のような)、そしてq=1〜10(q=2〜6またはq=3〜4のような)である、
あるいは
【0050】
【化8】

【0051】
式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、そしてn=1〜50(n=2〜30、n=2〜20またはn=4〜12のような)、そしてr=1〜10(r=2〜6またはr=3〜4のような)である、
を有するコンジュゲートを含んでなる。
【0052】
さらに別の特定の態様では、ヘテロ二官能性PEG−連結特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートは、式:
【0053】
【化9】

【0054】
式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、m=1〜50(m=2〜30、m=3〜20またはm=4〜12のような)、そしてs=1〜10(s=2〜6またはs=3〜4のような)である、
あるいは
【0055】
【化10】

【0056】
式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、そしてm=1〜50(m=2〜30、3〜20または4〜12のような)、そしてt=1〜10(t=2〜6またはt=3〜4のような)である、
を有するコンジュゲートを含んでなる。
【0057】
さらに別の特定の態様では、ヘテロ二官能性PEG−連結特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートは、式:
【0058】
【化11】

【0059】
式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、m=1〜50(m=2〜30、m=3〜20またはm=4〜12のような)、そしてu=1〜10(u=2〜6またはu=3〜4のような)である、
あるいは
【0060】
【化12】

【0061】
式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、m=1〜50(m=2〜30、m=2〜20またはm=4〜12のような)、そしてv=1〜10(v=2〜6またはv=3〜4のような)である、
を有するコンジュゲートを含んでなる。
【0062】
これらコンジュゲート中のSMBには、例えば抗体、核酸、レクチンまたはストレプトアビジンのようなアビジンを含むことができる。SMBが抗体を含む場合、抗体は任意の特定の分子または高度に類似の分子の特定の基に特異的に結合することができ、そして特定の態様では、抗体は抗−ハプテン抗体(これは例えば目的の核酸配列に向けられたハプテン−標識化プローブ配列を検出するために使用され得る)、またはサンプル中に存在し得る特定のタンパク質に特異的に結合する抗体を含んでなる。ハプテンは、抗体により特異的に結合される低有機分子であるが、それら自体では動物に免疫応答を誘導せず、そして免疫応答を刺激するためにはタンパク質のような大きいキャリアー分子に最初に結合されなければならない。ハプテンの例には、ジ−ニトロフェノール、ビオチンおよびジゴキシゲニンがある。さらに別の特定の態様では、抗体はイムノアッセイで2次抗体として使用することができる抗−抗体抗体を含んでなる。例えば抗体は、抗−マウスIgG抗体、
抗−ウサギIgG抗体または抗−ヤギIgG抗体のような抗−IgG抗体を含んでなることができる。
【0063】
開示するコンジュゲートは、免疫組織化学的結合アッセイを含め任意の種類の結合イムノアッセイで、および核酸プローブの免疫化学的検出を使用するin situハイブリダイゼーション法で目的分子を検出するために利用することができる。1つの態様では、開示するコンジュゲートはイムノアッセイにおける標識化1次抗体、例えば特定分子またはハプテン標識化分子に向けられた1次抗体として使用される。あるいは目的分子がマルチエピトープ性である場合、複数のエピトープに向けられたコンジュゲートの混合物を使用することができる。別の態様では、開示するコンジュゲートはイムノアッセイにおける2次抗体として使用される(例えば目的の分子に結合する1次抗体に向けられる;目的分子はマルチエピトープ性である場合、サンドイッチ型のアッセイにおいて2つの1次抗体により結合され得る)。さらに別の態様では、1次抗体により結合された目的分子によるシグナルのさらなる増幅を提供するために、開示するコンジュゲートの混合物が使用される(目的分子はサンドイッチ型のアッセイで2つの1次抗体により結合され得る)。例えば混合物中の第1コンジュゲートは、目的分子に結合する1次抗体に向けられ、そして第2コンジュゲートは第1コンジュゲートの抗体部分に向けられ、これにより目的分子の部位に、より多くのシグナル生成部分が局在する。開示するコンジュゲートを使用することができる他の型のアッセイは、当業者には直ちに明白である。
【0064】
さらに別の観点では、特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートを調製する方法が開示され、この方法は特異的結合部分からチオール化特異的結合部分を形成し;アミン基を有するナノ粒子をPEGマレイミド/活性エステル二官能性リンカーと反応させて、活性化ナノ粒子を形成し;そしてチオール化特異的結合部分を活性化ナノ粒子と反応させて、特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートを形成することを含む。
【0065】
チオール化特異的結合部分は、特異的結合部分を還元剤と反応させてチオール化特異的結合部分を形成することにより形成することができ、例えば特異的結合部分を還元剤と反応させて、特異的結合部分あたり約1から約10の間の平均チオール数を有するチオール化特異的結合部分を形成する。特異的結合部分あたりのチオールの平均数は滴定により決定することができる。還元剤の例には2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、DTT、DTEおよびTCEPおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される還元剤を含む。特定の態様では、還元剤はDTTおよびDTEおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして約1mMから約40mMの間の濃度で使用される。
【0066】
あるいはチオール化特異的結合部分を形成することは、チオール基を特異的結合部分に導入することを含む。例えばチオール基は、2−イミノチオラン、SATA、SATP、SPDP、N−アセチルホモシステインチオラクトン、SAMSAおよびシスタミンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される試薬を用いた反応により特異的結合部分に導入することができる(例えば、Hermanson、「生物コンジュゲート技術(Bioconjugate Techniques)」、アカデミックプレス、サンディエゴ、1996を参照にされたい。これは引用により本明細書に編入する)。さらに詳細な態様では、チオール基を特異的結合部分に導入することは、特異的結合部分をオキシダント(過ヨウ素酸塩)と反応させて特異的結合部分の糖部分(抗体のグリコシル化部分のような)をアルデヒド基に変換し、そして次にアルデヒド基をシスタミンと反応させることを含む。別のより詳細な態様では、特異的結合部分はストレプトアビジンを含み、そしてチオール基を導入することはストレプトアビジンを2−イミノチオラン(Traut試薬)と反応させることを含んでなる。
【0067】
別の詳細な態様では、ナノ粒子をPEGマレイミド/活性エステル二官能性リンカーと
反応させて、活性化ナノ粒子を形成することは、ナノ粒子を式:
【0068】
【化13】

【0069】
式中、n=1〜50、例えばn=3〜20またはn=4〜12のようなn=2〜30である、
を有するPEGマレイミド/活性エステルと反応させることを含む。
【0070】
さらなる観点では、特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲート組成物を調製する方法が開示され、この方法は特異的結合部分をオキシダントと反応させてアルデヒドを持つ特異的結合部分を形成し;アルデヒドを持つ特異的結合部分をPEGマレイミド/ヒドラジド二官能性リンカーとを反応させて、チオール反応性の特異的結合部分を形成し;そしてチオール反応性の特異的結合部分を、チオール化ナノ粒子と反応させて、特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートを形成することを含む。特定の態様では、特異的結合部分は抗体であり、そして特異的結合部分をオキシダントと反応させてアルデヒドを持つ特異的結合部分を形成することは、抗体のグリコシル化領域を酸化して(例えば過ヨウ素酸塩、I、Brまたはそれらの組み合わせ、あるいはノイラミニダーゼ/ガラクトースオキシダーゼを用いるような)アルデヒドを持つ抗体を形成することを含む。さらに詳細な態様では、抗体をオキシダントと反応させてアルデヒドを持つ抗体を形成することは、抗体あたり平均約1から約10の間のアルデヒド基を導入することを含む。
【0071】
またチオール化ナノ粒子は、チオール基をナノ粒子に導入すること(例えばナノ粒子を、2−イミノチオラン、SATA、SATP、SPDP、N−アセチルホモシステインチオラクトン、SAMSAおよびシスタミンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される試薬と反応させることによる)により形成することができる。
【0072】
特定の態様では、PEGマレイミド/ヒドラジド二官能性リンカーは、式:
【0073】
【化14】

【0074】
式中、m=1〜50、例えばm=3〜20またはm=4〜12のようなm=2〜30である、
を有する。
【0075】
さらに別の観点では、生物学的サンプル中の目的分子を検出する方法が開示され、この方法は生物学的サンプルを、ヘテロ二官能性PEG−連結特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートと接触させ、そして特異的−部分コンジュゲート−ナノ粒子コンジュゲートにより生成されるシグナルを検出することを含む。生物学的サンプルは生体分子(タンパク質、核酸、脂質、ホルモン等)を含有する任意のサンプルであることができるが、特定の態様では、生物学的サンプルは組織切片(生検から得られるような)、または細胞学サン
プル(Papスミアまたは血液スミアのような)を含む。特定の態様では、ヘテロ二官能性PEG連結特異的−部分−ナノ粒子コンジュゲートは、量子ドットに共有的に連結された特異的結合部分を含む。
【実施例】
【0076】
IV.実施例
以下の非限定的な実施例は、本発明の特定の観点をさらに具体的に説明するために提供される。
【0077】
A.マレイミドPEG活性エステルを使用した特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートの調製
1つの態様では、開示する特異的結合部分ナノ粒子コンジュゲートは以下のスキーム1〜3に記載する方法に従い調製され、ここでヘテロ二官能性ポリアルキレングリコールリンカーは、アミン−反応性基(活性エステル)およびチオール反応性基(マレイミド)を有するポリエチレングリコールリンカーである。スキーム1に示すように、1もしくは複数の利用可能なアミン基を有するナノ粒子(量子ドットのような)を、過剰なリンカーと反応させて活性化ナノ粒子を形成する。
【0078】
【化15】

【0079】
チオール基は、スキーム2に示すように抗体をDTTのような還元剤で処理することにより抗体に導入される。DTEまたはDTTのような穏やかな還元剤については、限定された数のチオール(約2から約6の間のような)を抗体に導入すると同時に、抗体を完全なまま維持するために(これはサイズ排除クロマトグラフィーにより測定することができる)、約1mMから約40mMの間の濃度、例えば約15mMから約25mMの間のような約5mMから約30mMの間の濃度が使用される。特定濃度の溶液との反応のために、適切な時間は、所定の時間で生産されるチオールの数を滴定することにより容易に決定できるが、反応は典型的には10分から約1日、例えば約15分から約2時間の間、例えば約20分から約60分の間進められる。
【0080】
【化16】

【0081】
スキーム1および2に従い生成された成分は、次いで合わせてスキーム3に示すコンジュゲートを与える。
【0082】
【化17】

【0083】
スキーム1〜3はマレイミドPEG活性エステルに関する最適な方法を具体的に説明するが(ここでナノ粒子は、アミン基(1もしくは複数)をリンカーの活性エステルと反応させて、活性化ナノ粒子を形成することにより最初に活性化される)、抗体上のアミン(1もしくは複数)もしくはチオール(1もしくは複数)のいずれかをリンカーと反応させることにより最初に抗体を活性化し、次いで活性化抗体をナノ粒子と反応させすることも可能である[チオール(1もしくは複数)もしくはアミン(1もしくは複数)を適切なリンカー上の残る反応性基と反応させる]。
【0084】
このように別の態様では、抗体が結合のために活性化され、次いで以下のスキーム4および5に示すようにナノ粒子に結合される。スキーム4では、抗体がスキーム1に示すようなナノ粒子の代わりに活性化される。スキーム4の特定の態様では、糖部分(抗体のFc部分のグリコシル化領域に位置するような)が最初に酸化されてアルデヒド基を提供し、次いでこれをリンカーのアルデヒド反応性基(具体的に説明するマレイミド/ヒドラジドPEGリンカーのヒドラジド基のような)と反応させる。
【0085】
【化18】

【0086】
次いでスキーム5に示すように、活性化された抗体のリンカー部分のチオール反応性基(具体的に説明するようなマレイミド基のような)を、ナノ粒子のチオール基と反応させる。ここでも方法を逆転することができ、ここでリンカーは最初にナノ粒子上のアルデヒド基(例えば糖部分の酸化により形成された)と反応させて、活性化ナノ粒子を形成し、次いで活性化ナノ粒子を抗体上のチオール基と反応させることができる。
【0087】
【化19】

【0088】
上記スキーム1〜5および以下の6は、具体的に説明するための特定のコンジュゲートの例を示すが、開示するコンジュゲート中のナノ粒子に対する特異的結合部分(この場合、抗体)の比率は、ナノ粒子あたり複数の(5、10、20以上のような)特異的に結合する部分から、特異的結合部分あたり複数の(5、10、20以上のような)ナノ粒子へと変動することができると考えられる。
【0089】
実施例B:チオールの抗体への導入
結合用の抗体、例えば抗−マウスIgGまたは抗−ウサギIgG抗体を活性化するために、抗体を25ミリモルのDTTと周囲温度(23〜25℃)で25分間インキュベーションすることができる。PD−10SEカラムを通す精製後、DTTを含まない抗体、典型的には2〜6個の遊離チオールを持つ抗体を得る(スキーム2)。ヤギ抗−マウスIgGチオールを調製するために概略した例示の手順は、一般に他の抗体にも応用可能である。抗体あたりのチオール数は、例えば2005年4月28日に出願された米国特許仮出願第60/675759号明細書(引用により本明細書に編入する)に記載するチオールアッセイを使用することにより測定することができる。
【0090】
実施例C:組織サンプルで超高感度(およびマルチプレックス)な免疫組織化学的およびin situハイブリダイゼーション検出のための、免疫グロブリンおよびストレプトアビジンとCdSe/ZnS量子ドットとのコンジュゲート
しばしば量子ドットと呼ばれる半導体ナノクリスタルは、それらのサイズ依存的光学特性のために生物学的検出アッセイに使用することができる。量子ドットは、典型的には有機フルオロフォアに比べて高い吸収性および高い量子収率の結果、明るい蛍光を現す能力を提供する。さらに発光は調整でき、そして光退色に対して安定であり、保管性を可能にする。検出およびアッセイ目的のために、これらの強固なフルオロフォアは、マルチプレックスアッセイで利点を提供する。例えばこれら可視/NIRの励起は1つの供給源で可能である。しかし生物学的画像における限定要因は、生物コンジュゲートの感受性および安定性である。多色アッセイで量子ドットを効果的に利用するために、各ドットは望ましくは特異的かつ感受性である。
【0091】
免疫グロブリンを量子ドットの殻に導入する方法は、この実施例に記載される。この方法は1)アミン−末端化量子ドットキャッピング基の、安定なNHSエステル−(PEG)x−マレイミドでの官能化、(x=4,8,12)ヘテロ二官能性2)ジチオスレイトールを用いて、時間依存的処置を介する免疫グロブリン全体の自然なジスルフィド結合の還元3)マレイミド−末端化量子ドットをこれらのチオール化免疫グロブリンで誘導化4)コンジュゲートのサイズ排除クロマトグラフィーによる精製に依る。この工程をスキーム6に表す。
【0092】
【化20】

【0093】
ストレプトアビジンコンジュゲートは、この工程においてチオール化ストレプトアビジンにチオール化免疫グロブリンを代えることにより作成することができる。例えば2−イミノチオランで処理したストレプトアビジン分子。
【0094】
この実施例で使用する量子ドットは、静電的に結合したトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)の殻および水溶性を誘導するために挿入する両親媒性ポリマーにより保護された。このポリマーは約30個の末端アミン基をさらなる官能化のために有する。E.W.Williams,et al.「水性媒質中で強化された分散性を有する表面修飾半導体および金属ナノ粒子(Surface−Modified Semiconductive and Metallic Nanoparticles Having Enhanced Dispersibility in Aqueous Media)」、米国特許第6,649,138号明細書(引用により本明細書に編入する)を参照にされたい。高度に感受性の量子ドットコンジュゲートを形成するために、抗体を量子ドットに比率を変えて結合させた。化学は2005年4月28日に出願された米国特許仮出願第60/675759号明細書(引用により本明細書に編入する)に記載されているものに類似する。
【0095】
この方法論は、自然なジスルフィドを使用するので試薬の必要性がほとんど無い点で有利である。さらに抗体は個別なままで、しかも断片を形成しない。これにより各々の繋がれた抗体から2つの結合部位が可能となる。さらに高度に安定でしかも明るいコンジュゲートが生成される。同じ組織に関して、明るさは市販のストレプトアビジン−QDコンジュゲート(インビトロジェン コーポレーション、ユージーン、オレゴン州)をしのぐ。異なる発光波長の量子ドットへのヤギ抗−ビオチンおよびウサギ抗−DNP抗体コンジュゲートを生成し、これによりマルチプレックスアッセイを可能とした。FISHを介するHPV検出が、開示する量子ドットコンジュゲートを用いて証明された。
【0096】
材料
DTTはアルドリッチ(Aldrich)から購入し、そして量子ドットはクォンタム
ドット(Quantum Dot)社から購入し、そして受け取った時に使用した。NHS−dPEG12−MALおよびNHS−dPEG−MALはクォンタナ バイオデザインから購入した。ヤギ抗−ビオチンは凍結乾燥でシグマから得、そしてウサギ抗−DNPはバーファー、pH=7.2中、2mg/mLでモレキュラープローブス(Molecular Probes)から得た。抗体濃度はε280=1.4mlmg−1cm−1を使用して算出した。イムノピュア(Immunopure)なストレプトアビジンはピアスから得た。ストレプトアビジン濃度はε280=3.4mlmg−1cm−1を使用して決定した。量子ドット濃度は、605nmで発光する量子ドット(QD605)についてはε601(±3)=650000M−1cm−1を、そしてQD655についてはε645(±3)=700000M−1cm−1を使用して決定した。脱イオン水はMilli−QBiocel Systemを通して18.2MΩの抵抗に達した。バーファー交換はPD−10カラム(GEバイオサイエンス)で行った。サイズ−排除クロマトグラフィー(SEC)は、Akta ピュアリファイヤー(purifier)(GEバイオサイエンス)で行い、これを既知の分子量のタンパク質標準に対してキャリブレーションした。Superdex 200GL10/300(GEバイオサイエンス)での流速は0.9ml/分であった。
【0097】
抗体の鎖間ジスルフィドの還元
凍結乾燥で得、そして3.0mg/mlに0.1M リン酸Na、0.1M EDTA、pH=6.5バッファーで再構成したポリクローナル抗ビオチンの溶液に、DTTを25mMの最終濃度で加えた。これは0.67ml〜2.7mlの規模で行った。この混合物を正確に25分間回転した後、PD−10で0.1M リン酸Na、0.1M NaCl、pH=7.0バッファーで溶出した。同じ手順を抗−DNPについても繰り返したが、これはバーファー中、2mg/mLとして得た。取り込まれた抗体の数は、およそ等しかった。
【0098】
ストレプトアビジンのチオール化
0.15M NaCl、1mM EDTA 50mM トリエタノールアミンHCl、pH=8.0バーファー中、0.275mg/mLの2−イミノチオランからなるTrautの溶液を調製した。0.1M リン酸Na、0.1M NaCl、pH=7.0バーファー中、0.5mLのストレプトアビジン溶液(4.1mg/mL)に、0.25mLのTraut溶液を加え、そして45分間回転した。
【0099】
QD−dPEG−MALの合成
ホウ酸塩バーファー、pH=8.0中の量子ドットの溶液(8〜9μM)に、60倍過剰のNHS−dPEG−MAL(x=4,12)を加え、そして2時間回転した。量子ドットはPD−10クロマトグラフィーを介して0.1M リン酸Na、0.1M NaCl、pH=7.0バッファーで精製した。
【0100】
QD−MAL−抗体コンジュゲートの合成
精製したQD−マレイミドは、精製したチオール化抗体と、2:1、5:1および10:1の抗体/QDのモル比で合わせ、そして16時間回転した。SECは1XPBSバッファー、pH7.5中で行った。
【0101】
QD−MAL−ストレプトアビジンコンジュゲートの合成
精製したQD−マレイミドをチオール化ストレプトアビジンと、5:1のタンパク質/QDのモル比で合わせ、そして16時間回転した。SECは1XPBSバッファー、pH=7.5で行った。
【0102】
ビオチン化マイクロタイタープレートを使用したQD−MALコンジュゲートの評価
ビオチン化プレートは、ピアスバイオテクノロジーから購入した。染色は40nMで3連にて、または順次滴定を用いて行った。これらはPBSpH=7.5のバッファー中で行った。
【0103】
組織染色の詳細
IHC−染色は、カゼイン中の量子ドットコンジュゲートの40nMおよび20nM溶液で行った。これはベンタナ ベックマーク インスツルメント(Ventana Bechmark Instrument)(VMSI、タスコン、アリゾナ州)で行った。組織サンプルを脱パラフィン化し、そしてエピトープ−特異的抗体を適用した。32分間インキュベーションした後、汎用的な2次抗体(ビオチン化)を加えた。再度インキュベーションを32分間行った。次いで抗−ビオチン量子ドットコンジュゲート(100μL)を手で適用し、そしてまた32分間、インキュベーションした。使用する時、DAPIカウンター染色を適用し、続いて8分間インキュベーションした。スライドは界面活性剤での洗浄、エタノールおよびキシレンでの脱水で処理し、そして蛍光顕微鏡で見る前にカバースリップを乗せた。
【0104】
ISH−染色は、カゼイン中40nMの量子ドット溶液で行った。ここでもこれはベンタナ ベックマーク インスツルメントで行った。パラフィンで覆った組織を75℃に暖め、4分間インキュベーションし、そしてEZPrep(商標)容量調整(VMSI)で2回処理した。2回目の処理に続いて液体のカバースリップをかけ、76℃で4分間インキュベーションし、そして組織を脱パラフィンするためにすすぐ工程を行った。細胞コンディショナー#2(VMSI)を加え、そしてスライドを90℃に8分間暖めた。細胞コンディショナー#2を再度加え、そしてさらに90℃で12分間暖めた。スライドを反応バッファー(VMSI)ですすぎ、37℃に冷却し、そしてISH−Protease3(100μL、VMSI)を加えた。4分後、iView(商標)+HybReady(商標)(100μL、VMSI)を適用し、そして4分間インキュベーションした。HPV HRプローブ(200μL、VMSI)を加え、そして37℃で4分間インキュベーションし、続いて95℃で12分間、そして52℃で124分間インキュベーションした。このスライドをすすぎ、そして再度72℃に8分間、2回の別個の時間で暖めた。
【0105】
抗−ビオチン量子ドットコンジュゲート
37℃で、1次抗体、iView+ウサギ抗−DNP(100μL、VMSI)を適用し、そして20分間インキュベーションした。増幅のために、iView+Amp(100μL、VMSI)を適用し、そして8分間インキュベーションした。ヤギ抗−マウスビオチンである2次抗体、iView+Biotin−Ig(100μL、VMSI)を適用し、そして12分間インキュベーションした。最後に100μLの量子ドット/抗体コンジュゲートを適用し、28分間インキュベーションし、そしてすすいだ。スライドを反応バッファーですすぎ、エタノールおよびキシレンで脱水し、続いてカバースリップを乗せた。
【0106】
抗−DNP量子ドット
37℃で、QD/抗−DNPコンジュゲートを適用し(100μL)、28分間インキュベーションし、そしてすすいだ。再度スライドをすすぎ、そしてカバースリップを乗せた。
【0107】
蛍光顕微鏡
画像は、ニコン(Nikon)蛍光スコープで行った。非混合蛍光スペクトルは、CRiカメラを使用して達成した。DAPIは、マルチプレッキシングのカウンター染色に使用した。
【0108】
QD−SAコンジュゲートに対する比較
図1は、CD20での染色における抗−ビオチン/QD605コンジュゲート 対 対照として市販されているストレプトアビジン/QD605コンジュゲートを比較する。図1A〜1Dはそれぞれ、市販されているストレプトアビジン/QD605、2:1AB/QD605、5:1AB/QD605、10:1 AB/QD605の40mM溶液を用いた染色を表す。同様に、図1E〜1Hは、市販されているストレプトアビジン/QD605、2:1AB/QD605、5:1AB/QD605、10:1 AB/QD605の20nM溶液を用いた染色を表す。
【0109】
図2は、開示するコンジュゲートのマルチプレックス使用を示す。具体的にはQD605コンジュゲート、QD655コンジュゲートおよびDAPIカウンター染色(青)でのマルチプレキシング。図2Aは、ニューロフィラメントのQD605(緑)コンジュゲートでの染色、およびGFAPのQD655(赤)コンジュゲートでの染色を表す。図2BはカドヘリンのQD655(赤)コンジュゲートでの染色、およびCD20のQD605(緑)コンジュゲートでの染色を表す。
【0110】
図3は、開示されたコンジュゲートの安定性を示し、これにより開示されたコンジュゲートで染色されたサンプルの保管性も示す。QD605コンジュゲートおよびQD655コンジュゲートの45℃での安定性は、扁桃組織切片でCD20を染色することにより調査した。
【0111】
図4は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)に関して、HPVプローブおよび1:5QD/Abコンジュゲートを使用したISHアッセイについて、開示するコンジュゲートの使用を示す。図4A〜4Cはそれぞれ、QD655/抗ビオチン−Abコンジュゲート、QD605/抗ビオチン−Abコンジュゲート、およびQD605/抗DNPコンジュゲートでの染色を表す。
【0112】
図5は、開示に従いストレプトアビジン−QDコンジュゲートのIHCアッセイでの使用を示す。特に図5A〜5Dは、胎盤組織中のCD34を、それぞれ5、10、20および40nM濃度のストレプトアビジン/QD605コンジュゲートを使用した染色を示す。
【0113】
本発明の原理を幾つかの態様を参考にして記載するが、当業者には態様の詳細がそのような原理から逸脱することなく修飾できることが明らかなはずである。特許請求の範囲および精神に入るので、本発明はすべてのその修飾、変更および等価物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】CD20での染色について、対照として市販されているストレプトアビジン/QD605コンジュゲートに対して、開示する抗−ビオチン/QD605コンジュゲートを使用した蛍光染色を比較する一連の画像である。
【図2】IHCアッセイにおいて、開示するコンジュゲートを使用したマルチプレックス検出を示す一対の画像である。
【図3】開示するコンジュゲートの高温での高い経時的安定性を表す一連の画像である。
【図4】開示するコンジュゲートを用いたISHアッセイの結果を表す一連の画像である。
【図5】開示するコンジュゲートを用いたIHCアッセイの結果を表す一連の画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ二官能性PEGリンカーを介して共有結合された特異的結合部分およびナノ粒子を含んでなるコンジュゲート。
【請求項2】
リンカーのチオール反応性基が特異的結合部分に共有結合され、そしてリンカーのアミン反応性基がナノ粒子に共有結合されている、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
リンカーのチオール反応性基が特異的結合部分のシステイン残基に共有結合されている、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
リンカーのチオール反応性基が、特異的結合部分に導入されたチオール基に共有結合されている、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
リンカーのアルデヒド反応性基が特異的結合部分に共有結合され、そしてリンカーのアミン反応性基がナノ粒子に共有結合されている、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
リンカーのアルデヒド反応性基が、特異的結合部分のグリコシル化部分上に形成されたアルデヒドに共有結合されている、請求項5に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
リンカーのアルデヒド反応性基が特異的結合部分に共有結合され、そしてヘテロ二官能性リンカーのチオール反応性基がナノ粒子に結合されている、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
ヘテロ二官能性リンカーが、式:
【化1】

式中、n=1〜50である;あるいは
【化2】

式中、mは1〜50である、
を有するヘテロ二官能性ポリエチレングリコールリンカーを含んでなる請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
コンジュゲートが式:
【化3】

式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、n=1〜50、そしてo=1〜10である、
を有する請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
コンジュゲートが式:
【化4】

式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、n=1〜50、そしてp=1〜10である、
を有する請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
コンジュゲートが式:
【化5】

式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、n=1〜50、そしてq=1〜10である、
を有する請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
コンジュゲートが式:
【化6】

式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、そしてn=1〜50、そしてr=1〜10である、
を有する請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
コンジュゲートが式:
【化7】

式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、m=1〜50、そしてs=1〜10である、
を有する請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
コンジュゲートが式:
【化8】

式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、m=1〜50、そしてt=1〜10である、
を有する請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
コンジュゲートが式:
【化9】

式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、m=1〜50、そしてu=1〜10である、
を有する請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
コンジュゲートが式:
【化10】

式中、SBMは特異的結合部分であり、NPはナノ粒子であり、m=1〜50、そしてv=1〜10である、
を有する請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
ナノ粒子が量子ドットを含んでなる請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
特異的結合部分が抗体を含んでなる請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
特異的結合部分がアビジンを含んでなる請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲート組成物を調製する方法であって:
特異的結合部分からチオール化特異的結合部分を形成し;
ナノ粒子のアミン基をマレイミド/活性エステル二官能性PEGリンカーと反応させて、活性化ナノ粒子を形成し;そして
チオール化特異的結合部分を活性化ナノ粒子と反応させて、特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲートを形成する、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項21】
チオール化特異的結合部分を形成することが、特異的結合部分と還元剤を反応させてチオール化特異的結合部分を形成することを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
特異的結合部分が抗体を含んでなり、そしてチオール化特異的結合部分を形成することが抗体を還元剤と反応させてチオール化抗体を形成することを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
抗体と還元剤を反応させてチオール化抗体を形成することが、抗体あたり約1から約10の間の平均チオール数をもつ抗体を形成することを含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
抗体を還元剤と反応させることが、抗体を2−メルカプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、DTT、DTEおよびTCEPおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される還元剤と反応させることを含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
抗体を還元剤と反応させることが、抗体をDTTおよびDTEおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される還元剤と反応させることを含んでなる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗体を還元剤と反応させることが、抗体を約1mMから約40mMの間の濃度の還元剤と反応させることを含んでなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
チオール化特異的結合部分を形成することが、チオール基を特異的結合部分に導入することを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
チオール基を特異的結合部分に導入することが、特異的結合部分を2−イミノチオラン、SATA、SATP、SPDP、N−アセチルホモシステインチオラクトン、SAMSAおよびシスタミンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される試薬と反応させることを含んでなる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
チオール基を特異的結合部分に導入することが、特異的結合部分をオキシダントと反応させて特異的結合部分の糖部分をアルデヒド基に変換し、そしてアルデヒド基をシスタミンと反応させることを含んでなる、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
オキシダントが過ヨウ素酸塩イオン、I、Brおよびそれらの組み合わせ、またはノイラミニダーゼ/ガラクトース オキシダーゼを含んでなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ナノ粒子のアミン基をマレイミド/活性エステル二官能性PEGリンカーと反応させて活性化ナノ粒子を形成することが、ナノ粒子を式:
【化11】

式中、n=1〜50である、
を有するPEGマレイミド/活性エステルとを反応させることを含んでなる、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
n=4〜12である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ナノ粒子が量子ドットを含んでなる請求項20に記載の方法。
【請求項34】
抗体−ナノ粒子コンジュゲート組成物を調製する方法であって:
抗体をオキシダントと反応させてアルデヒドを持つ抗体を形成し;
アルデヒドを持つ抗体をPEGマレイミド/ヒドラジド二官能性リンカーと反応させて、チオール−反応性抗体を形成し;そして
チオール−反応性抗体を、チオール化ナノ粒子を反応させて、抗体−ナノ粒子コンジュゲートを形成する、
ことを含んでなる上記方法。
【請求項35】
抗体をオキシダントと反応させてアルデヒドを持つ抗体を形成することが、抗体のグリコシル化領域を酸化してアルデヒドを持つ抗体を形成することを含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
抗体のグリコシル化領域を酸化することが、抗体を過ヨウ素酸塩、I、Brまたはそれらの組み合わせ、あるいはノイラミニダーゼ/ガラクトース オキシダーゼで処理することを含んでなる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
さらにチオール化ナノ粒子をナノ粒子から形成することを含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
チオール化ナノ粒子を形成することが、チオール基をナノ粒子に導入することを含んでなる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
チオール基をナノ粒子に導入することが、ナノ粒子を2−イミノチオラン、SATA、SATP、SPDP、N−アセチルホモシステインチオラクトン、SAMSAおよびシスタミンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される試薬と反応させることを含んでなる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
アルデヒドを持つ抗体をPEGマレイミド/ヒドラジド二官能性リンカーと反応させて、チオール−反応性抗体を形成することが、アルデヒドを持つ抗体を式:
【化12】

式中、n=1〜50である、
を有するリンカーと反応させることを含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
チオール化ナノ粒子が量子ドットを含んでなる請求項35に記載の方法。
【請求項42】
抗体をオキシダントと反応させて、アルデヒドを持つ抗体を形成することが、抗体あたり平均約1から約10の間のアルデヒド基を導入することを含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
生物学的サンプル中の目的分子の検出方法であって:
生物学的サンプルを、ヘテロ二官能性PEGリンカーを介してナノ粒子に共有結合された特異的結合部分を含んでなる特異的結合部分−ナノ粒子コンジュゲート組成物と接触させ;そして
目的分子に結合したコンジュゲートにより生成されるシグナルを検出する、
ことを含んでなる上記検出方法。
【請求項44】
生物学的サンプルが組織切片または細胞学サンプルを含んでなる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
特異的コンジュゲート部分が抗体またはアビジンを含んでなり、そしてナノ粒子が量子ドットを含んでなる請求項43に記載の方法。
【請求項46】
特異的結合部分が抗体を含んでなる請求項43に記載の方法。
【請求項47】
コンジュゲートが抗−ハプテン抗体であり、そして目的分子がハプテン−標識化プローブ配列で検出可能な核酸配列である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
抗体が−抗体抗体を含んでなる請求項46に記載の方法。
【請求項49】
ナノ粒子が量子ドットを含んでなり、そして検出が生物学的サンプルを量子ドットにより発する蛍光を刺激する波長の光で照射することを含んでなる、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
異なる特異的結合部分および別個に検出可能なナノ粒子を有する少なくとも2つのコンジュゲートがサンプルと接触させる、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
別個に検出可能なナノ粒子が異なる発光波長を有する量子ドットを含んでなる、請求項50に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−541015(P2008−541015A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509210(P2008−509210)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/016444
【国際公開番号】WO2006/116742
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】