説明

ナノ粒子・多孔体複合ビーズ及びその製造方法

【課題】蛍光波長が保持され、耐久性及び蛍光強度が増大したナノ粒子・多孔体複合ビーズ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ナノ粒子・多孔体複合ビーズは、多孔体ビーズと、前記多孔体ビーズの表面に近い内部の同心球上に放射状に静電気的引力により結合されているナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子は、発光ナノ粒子、又は、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子との混合物であり、前記異種ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択されるいずれか1つ又は2つ以上の混合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光波長が保持され、耐久性及び蛍光強度が増大したナノ粒子・多孔体複合ビーズ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数十ナノメートルないし数ミクロンの多孔体ビーズ上に発光体を形成すると、発光体から放出される蛍光と多孔体のキャビティ(cavity)間の共振結合(resonance coupling)現象により、発光体単独の場合より発光強度がはるかに増加するという理論的予測がパーセル(Purcell)により1946年に発表された。この理論によると、屈折率の高い物質からなる多孔体が発光強度をさらに増幅させ、同一多孔体であれば、発光体の形成が多孔体ビーズの中心から等距離で放射状となるとき、発光を効果的に増加させると予測している。すなわち、発光体層が球の薄い皮のような形態で単一層の厚さを有すると、自己消光現象が最小限に抑えられ、キャビティとの共鳴現象により増幅された蛍光を放出すると予測した。
【0003】
最近、蛍光特性に優れた量子ドット合成技術が発展するにつれて、量子ドットをシリカにドープしようとする研究が行われている。
量子ドットが干しブドウパン(raisin bun)形態にドープされたシリカビーズ又は単一量子ドットが中心にドープされたシリカビーズを製造した研究報告である非特許文献1及び非特許文献2によると、前者の場合、ビーズ中心から異なる距離にある量子ドット同士の自己消光により最終蛍光強度が減少する結果を招き、後者の場合、量子ドットがシリカビーズの内部の奥深くにドープされていて表面に放出される蛍光が弱すぎる結果を招いた。
【0004】
一方、シリカビーズやナノ粒子に別途の表面改質を行わなくても、物質自体の性質によりシリカ表面は自然に部分負電荷を有し、ナノ粒子表面は部分正電荷を有するので、このような自然な静電気的引力を利用してシリカビーズの内部にナノ粒子層をドープしようとする試みがあった(非特許文献3)。しかし、この場合は、シリカビーズとナノ粒子表面の電荷量が十分でなくて静電気的引力が弱すぎるため、シリカビーズ表面にドープされるナノ粒子層が均一でないだけではなく、ナノ粒子上にシリカ層を成長させる反応中にドープされていたナノ粒子の大部分が分離される結果を招いた。
【0005】
他の報告である非特許文献4においては、シリカビーズをメルカプト基(mercapto group)を有するトリアルコキシシランに処理してシリカ表面にメルカプト基を作り、これを量子ドットと直接反応させてメルカプト基が量子ドット表面のリガンドを置換する方式で量子ドット層を製造した。しかし、この場合は、メルカプト基と量子ドット間の結合が共有結合に近く、複数の結合が同時に生成する多重結合であるので、一旦結合した量子ドットがシリカ上で再配置できなくなって配列が不規則になり、空間が多くなる。すなわち、量子ドット層の量子ドット分布が不均一で、粗く形成されて蛍光強度が十分でないので、活用に問題がある。
【0006】
さらに進展した報告である非特許文献5においては、シリカビーズ上に異なる電荷を有するポリマーからなるポリ電解質層を代わる代わる3回ドープして表面に多数の正電荷を持たせた後、量子ドット層をドープし、再び多数の正電荷を有するポリマーをドープする、いわゆるLBL(layer by layer)方式で、ポリマー層3回、量子ドット層、再びポリマー層3回を順にドープし、その上にシリカ層をさらに成長させた。この場合は、蛍光が増加する様相は報告されたことがなく、ドープ層が増加するにつれて蛍光が高エネルギー側にシフトするブルーシフト(blue shift)現象が報告された。これは、ポリ陽イオン性ポリマードープにより量子ドット表面で酸化反応が行われて量子ドットの有効サイズが減少する現象と解釈され、反応毎にブルーシフトのサイズを一定に維持したり予測することは困難であるという欠点がある。また、ドープされたポリマー層の厚さが均一でないため、これにより量子ドット層の量子ドット分布も均一でなくなり、蛍光強度が弱くなると予測される。
【0007】
一方、シリカビーズの代わりにポリスチレンビーズ上にポリマーからなる反対電荷のポリ電解質層をLBL方式で3回ドープして多数の正電荷を持たせた後、量子ドット層をドープし、再びポリ電解質層を積層してバイオイメージングに利用した報告である非特許文献6があるが、この物質も前述したシリカビーズにポリ電解質層をドープし、その上に量子ドットをドープした場合の欠点を依然として持つ。さらに、この場合は、ポリスチレンビーズが有機物質であるため、レーザやLED材料のように長期的に使用する道具を作るには耐久性に問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Chem. Mater. 2000, 12(9), 2676-2685
【非特許文献2】Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 5393-5396
【非特許文献3】Langmuir 2005, 21(21), 9412-9419
【非特許文献4】Nano Lett. 2001, 1(6), 309-314
【非特許文献5】Small, 2005, 1(2), 238-241
【非特許文献6】Nano Lett. 2002, 2(8), 857-861
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、多孔体ビーズの表面から近い内部に有機物ポリマーを使用しないで無機発光ナノ粒子の単一層を均一に形成し、光安定性、耐久性、及び蛍光強度が増大して蛍光波長は保持される発光体及びその製造方法を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子又は金属酸化物ナノ粒子などの異種ナノ粒子を前記発光ナノ粒子と共に入れて発光特性や磁性などの異種粒子の特性を同時に持つ複合ビーズ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的は、次の本発明の構成によって達成することができる。本発明によるナノ粒子・多孔体複合ビーズは、多孔体ビーズと、前記多孔体ビーズの表面に近い内部の同心球上に放射状に静電気的引力により結合されているナノ粒子とを含み、前記ナノ粒子は、発光ナノ粒子、又は、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子との混合物であり、前記異種ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択されるいずれか1つ又は2つ以上の混合物である。
【0011】
さらに、本発明によるナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法は、(a)表面に第1電荷に荷電できる分子が結合されているナノ粒子を含有するナノ粒子溶液と、表面に前記第1電荷と反対極性の第2電荷に荷電できる分子が結合されている多孔体ビーズを含有する多孔体ビーズ溶液とのpHをそれぞれ調節して反対の電荷を有する単分散ナノ粒子溶液と単分散多孔体ビーズ溶液を準備する段階と、(b)前記単分散ナノ粒子溶液と前記単分散多孔体ビーズ溶液とを配合して前記多孔体ビーズのそれぞれの表面に前記ナノ粒子を静電気的引力により結合する段階と、(c)前記多孔体ビーズのそれぞれの表面に結合された前記ナノ粒子を覆うように多孔体層を形成する段階とを含み、前記(a)段階のナノ粒子は、発光ナノ粒子、又は、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子との混合物であり、前記異種ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択されるいずれか1つ又は2つ以上の混合物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、発光ナノ粒子又は発光ナノ粒子と異種ナノ粒子が多孔体ビーズの内部に均一にドープされて蛍光強度が増幅され、耐久性が増加し、蛍光波長は保持されるナノ粒子・多孔体複合ビーズを数十ないし数ミクロンの領域で定量的収率で製造することができる。
本発明により製造されたナノ粒子・多孔体複合ビーズは、LED照明材料、レーザ材料、ディスプレイ材料などとして有用に使用できるだけでなく、疾病診断及び治療などを高感度で実行できるバイオイメージング材料と環境関連センサとしても活用することができる。
【0013】
特に、高効率で環境に優しい照明として脚光を浴びているLED照明は、現在赤色光の原料物質が別に存在するのではなく、青色と黄色を混ぜて赤色に近い光を作って使用している。従って、赤色発光体を提供できれば、LED照明産業に革命的な変化が可能である。また、そうなれば、蛍光体の半値幅が狭くてフィルタが必要ないので、少ないエネルギーで十分な光源を提供でき、節電機能にも優れる。また、磁性と蛍光特性を共に有する複合ビーズは、バイオイメージングや環境関連センサなど、その活用範囲が大幅に広くなると期待される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明によるナノ粒子層がドープされた多孔体ビーズの断面図である。
【図2】図2は、本発明の量子ドット溶液又は量子ドット層がドープされたシリカビーズの蛍光スペクトルを示し、(a)は、実施例1の段階(1)で製造した荷電できる分子を結合させた量子ドット溶液の蛍光スペクトルであり、(b)は、実施例1の段階(3)で製造した量子ドット層が表面にドープされたシリカビーズ溶液の蛍光スペクトルであり、(c)は、実施例1の段階(4)で製造した量子ドット層が表面に近い内部にドープされたシリカビーズ溶液の蛍光スペクトルである。
【図3】図3は、本発明の量子ドット層がドープされたシリカビーズの走査電子顕微鏡(SEM)画像を示し、(a)は、実施例1の段階(2)で製造した荷電できる分子を結合させたシリカビーズのSEM画像であり、(b)は、実施例1の段階(3)で製造した量子ドット層が表面にドープされたシリカビーズのSEM画像であり、(c)は、実施例1の段階(4)で製造した量子ドット層が表面に近い内部にドープされたシリカビーズのSEM画像である。
【0015】
【図4】図4は、本発明の量子ドット層がドープされたシリカビーズの透過電子顕微鏡(TEM)画像を示し、(a)は、実施例1の段階(2)で製造した荷電できる分子を結合させたシリカビーズのTEM画像であり、(b)は、実施例1の段階(3)で製造した量子ドット層が表面にドープされたシリカビーズのTEM画像であり、(c)は、実施例1の段階(4)で製造した量子ドット層が表面に近い内部にドープされたシリカビーズのTEM画像である。
【図5】図5は、本発明の発光ナノ粒子と異種ナノ粒子の混合粒子層がドープされたシリカビーズの透過電子顕微鏡(TEM)画像を示し、(a)は、実施例2の段階(2)で製造した発光ナノ粒子と酸化鉄ナノ粒子の混合粒子層が表面にドープされたシリカビーズのTEM画像であり、(b)は、実施例2の段階(3)で製造した発光ナノ粒子と酸化鉄ナノ粒子の混合粒子層が表面に近い内部にドープされたシリカビーズのTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施状態を詳細に説明する。
図1によると、本発明の一態様によるナノ粒子・多孔体複合ビーズは、多孔体ビーズ10と、多孔体ビーズ10の表面に近い内部の同心球上に放射状に静電気的引力により結合されているナノ粒子20とを含み、前記ナノ粒子は、発光ナノ粒子、又は、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子との混合物でもよい。
この場合、多孔体ビーズ10は、ナノ粒子20と結合する同心球の表面Sを外面とする中心多孔体ビーズ11と、中心多孔体ビーズ11の表面に静電気的引力により結合されているナノ粒子20を覆うように形成された多孔体層12とを含む。ここで、中心多孔体ビーズ11の直径は、ナノ粒子20の直径以上10μm以下であり、それぞれの前記ナノ粒子のサイズ(球形である場合は直径)は、1nm以上20nm以下であり、多孔体層12の厚さは、1nm以上100nm以下であることが好ましい。中心多孔体ビーズ11の直径がナノ粒子20の直径より小さい場合、静電気的引力により中心多孔体表面に均一にドープすることができず、10μm以上の多孔体は、合成できるか否かが不明である。ナノ粒子である量子ドットのサイズは、一般に1nm以上20nm以下であるとき、量子閉じ込め効果による発光特性を示す。発光ナノ粒子と異種ナノ粒子が混合して共に使用される場合も粒子のサイズが同一範囲である1nm以上20nm以下であるとき、ナノ粒子としての特性が顕著に現れ、均一な単一層の形成に好ましい。多孔体層12の厚さは、130nmまでは発光特性が増大又は維持され、150nmのときに減少することが観察されたが、これは、厚すぎると、光の通過に障害となるためである。
【0017】
本発明において、ナノ粒子20は、多孔体ビーズ10の中心から等距離で放射状に位置し、単一層で形成された球殻(sphere shell)状をなして多孔体ビーズ10の内部にドープされている。発光ナノ粒子20が前記同心球の表面上に単一層として存在するので、自己消光現象が最小化され、中心多孔体ビーズ11のキャビティとの共鳴現象により増幅された蛍光を放出することができる。また、発光ナノ粒子20が多孔体層12により覆われて多孔体ビーズ10の内部に閉じ込められることにより、多孔体層12を備えずに発光ナノ粒子20が単独で存在するときより、光安定性及び耐久性が向上すると共に、発光ナノ粒子20と多孔体層12のキャビティ間の共振結合現象により発光強度がさらに増幅される。
【0018】
本発明において、前記同心球は、多孔体ビーズ10の中心から表面に至る距離(半径:R)の0.5倍以上1倍未満の半径(r)を有することが好ましい。前記同心球が前記半径(R)の0.5倍未満の半径(r)を有すると、発光ナノ粒子20が多孔体ビーズ10の内部の奥深くにドープされるので、多孔体ビーズ10の外部に放出される蛍光が弱くなりすぎるためである。前記半径(R)の1倍未満という上限は、発光ナノ粒子20が多孔体ビーズ10の外部に露出しないようにすることを意味する。
【0019】
本発明の核心の1つは、多孔体ビーズ10の表面から近い内部に有機物ポリマーを使用せずにナノ粒子単一層を均一にドープすることである。従来技術で述べたように、多孔体ビーズ上にナノ粒子層(すなわち、量子ドット層)をドープしようとする試みはしばしばあったが、均一な密度の単一層をドープして蛍光強度と耐久性が増加し、蛍光波長は保持される量子ドット−多孔体複合ビーズの製造には成功しなかった。本発明者らは、有機物ポリマー使用を排除した状態で、共有結合性置換反応でない静電気的引力による量子ドットのドープにより量子ドットの酸化反応がない均一な密度のドープ層を提供する。これに関する具体的な方法は以下に説明する。
本発明において、層とは、完全な膜を形成する場合だけではなく、同心球上に位置するが完全に膜を形成できずに存在する場合も含む。
【0020】
多孔体ビーズ10は、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びゼオライトからなる群から選択されたいずれか1つ又は2つ以上の混合物を含むことができる。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、屈折率の高い無機物質からなる多孔体ビーズであれば特に制限されない。
また、発光ナノ粒子20は、II−VI族化合物半導体ナノ結晶、III−V族化合物半導体ナノ結晶及び無機蛍光体からなる群から選択された少なくとも1つである。ここで、前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶の例としては、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、又はHgTeなどがあり、前記III−V族化合物半導体ナノ結晶の例としては、GaN、GaP、GaAs、InP、又はInAsなどがあり、前記無機蛍光体の例としては、La22S:Eu、Li2Mg(MoO4):Eu,Sm、(Ba, Sr)2SiO4:Eu、ZnS:Cu,Al、SrGa24:Eu、Sr5(PO43Cl:Eu、(SrMg)5PO4Cl:Eu、又はBaMg2Al1627:Euなどがある。また、発光ナノ粒子20は、コアと該コアの外面をコーティングするシェルとを含むコア/シェル構造を有してもよい。例えば、発光ナノ粒子20は、前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)構造(例えば、CdSe/ZnS)を有するか、前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(シェル)構造(例えば、InP/GaN)を有するか、又は、前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記II-VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)構造(例えば、InP/ZnS)を有する。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
異種ナノ粒子20は、磁性を有するナノ粒子、金属のナノ粒子、又は、金属酸化物のナノ粒子でもよく、前記金属は、Au、Ag、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つであり、前記金属酸化物は、FeO、Fe23、Fe34、MnFe24、CoFe24、及びNiFe24からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0021】
本発明の他の態様によるナノ粒子・多孔体複合ビーズは、中心多孔体ビーズ11と、中心多孔体ビーズ11の表面に放射状に静電気的引力により結合されているナノ粒子20と、ナノ粒子20を覆うように形成された多孔体層12とを含む。
この場合、それぞれのナノ粒子20は、中心多孔体ビーズ11の中心から等距離上にドープされて単一層を形成することが好ましい。前述したように、発光ナノ粒子の場合、自己消光現象を最小化するためである。
また、中心多孔体ビーズ11及び多孔体層12は、同種物質でもよい。又は、他の実施例として、中心多孔体ビーズ11及び多孔体層12は、異種物質でもよい。
以下、本発明によるナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法を多孔体ビーズとしてシリカを使用する場合を例にして説明する。
【0022】
既存の発光ナノ粒子がドープされたシリカビーズの製造方法によると、まずシリカにメルカプト基を有するトリアルコキシシランを結合してメルカプト基が表面に露出したシリカを含有する水溶性シリカ溶液を製造した後、これをクロロホルムのような非極性有機溶媒に量子ドットが分散している疎水性量子ドット溶液と直接接触させて、シリカ表面のメルカプト基が量子ドット表面の界面活性剤を置換する方式でシリカ上に量子ドットをドープする。このような既存の方式は、1つの量子ドットとメルカプト基間に共有結合性結合が同時に複数形成される形態であるため、一旦シリカ上にドープされた量子ドットは再配置が不可能であって量子ドットドープ層が不均一になり、ドープ密度も非常に低く、蛍光強度が弱いため、活用に問題があった。なお、量子ドット表面にメルカプト基が結合するとき、立体障害を受けると、量子ドット表面に欠陥構造が形成されて伝導バンド(conduction band)に励起された電子がトラップ状態を経て価電子帯(valence band)に戻るので、蛍光が減少することが知られている。
【0023】
この改善策として、シリカ上にまずポリ電解質ポリマーをドープし、このポリマー上に量子ドットをドープする方法が開発された。しかし、この方法によると、ポリマーに付いている陽イオン性官能基の位置が多様であるため、量子ドットがドープされる位置が多様であり、ポリ陽イオンにより量子ドットが酸化するので、蛍光強度が弱くなって蛍光エネルギーが短波長にシフトする現象を避けることができなかった。
これについて、本発明者らは、発光ナノ粒子ドープにより蛍光強度が増幅され、蛍光波長が保持される多孔体ビーズを開発するには、発光ナノ粒子の周辺にポリ陽イオン性ポリマーの使用を排除した状態で発光ナノ粒子層が多孔体同心球上に均一にドープされた多孔体ビーズを製造する必要があると判断した。その努力の結果、シリカビーズと量子ドットにそれぞれ異なる電荷に荷電できる分子を均一に結合させてそれぞれの水溶液を製造し、pHを調節して水力学的単分散溶液(hydrodynamically monodispersed solution)を製造した後、2つの溶液を配合して量子ドット層をシリカビーズ上に静電気的引力により均一にドープすることにより、蛍光は増幅され、蛍光波長は保持されるシリカビーズを製造した。また、前記量子ドット層上にシリカ層を直接成長させて量子ドット層(すなわち、発光ナノ粒子層)をシリカビーズの表面から近い内部に閉じ込めることにより、蛍光がさらに増幅され、蛍光波長は保持され、光安定性と耐久性に優れたシリカビーズを製造する方法を開発した。
【0024】
前記ナノ粒子が発光ナノ粒子と異種ナノ粒子、特に磁性ナノ粒子を含む場合、pHを調節した前記単分散量子ドット溶液に同じpHと電荷を有する単分散異種ナノ粒子溶液を追加してナノ粒子混合溶液を製造した後、異なるpHと電荷を有する単分散シリカビーズと配合して発光ナノ粒子と異種ナノ粒子をシリカビーズ上に静電気的引力で均一にドープさせることにより、蛍光は増幅され、蛍光波長は保持されると共に、磁性のような異種粒子の特性を有するシリカビーズを製造することができる。また、前記混合ナノ粒子層上にシリカ層を直接成長させて混合ナノ粒子層をシリカビーズの表面から近い内部に閉じ込めることにより、蛍光が増幅され、蛍光波長は保持され、光安定性と耐久性に優れ、磁性を有するシリカビーズを製造する方法を開発した。従って、pHを調節した水溶液上でナノ粒子の凝集がない限り、発光ナノ粒子などと磁性ナノ粒子が混合した混合ナノ粒子溶液を使用しても同一結果を得ることができる。
【0025】
前記発光ナノ粒子と前記異種ナノ粒子の含有比率は、発光ナノ粒子数に対して異種ナノ粒子数が1モル%〜5モル%であることが好ましい。異種ナノ粒子は、層を形成すると、発光ナノ粒子が多量である場合に比べて、前記多孔体層の成長に不利に作用するので、発光ナノ粒子の含有量が異種ナノ粒子に比べて多量であることが好ましい。
以上の実施状態においては、多孔体ビーズ(多孔体層を含む)としてシリカを使用した例を説明したが、多孔体ビーズとしてチタニア、ジルコニア、又はゼオライトを使用する場合に同様に適用できる。さらに、本発明は、屈折率の高い無機物質からなる多孔体ビーズであれば特に制限されない。
【0026】
このように、本発明によるナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法は、表面に第1電荷に荷電できる分子が結合されているナノ粒子を含有するナノ粒子溶液と、表面に前記第1電荷と反対極性の第2電荷に荷電できる分子が結合されている多孔体ビーズを含有する多孔体ビーズ溶液のpHをそれぞれ調節して反対の電荷を有する単分散ナノ粒子溶液と単分散多孔体ビーズ溶液を準備する段階と、前記単分散ナノ粒子溶液と前記単分散多孔体ビーズ溶液とを配合して前記多孔体ビーズのそれぞれの表面に前記ナノ粒子を静電気的引力により結合する段階と、前記多孔体ビーズの表面に結合された前記ナノ粒子を覆うように多孔体層を形成する段階とを含む。ここで、前記ナノ粒子溶液がポリ陽イオン性溶液である場合、前記多孔体ビーズ溶液がポリ陰イオン性溶液であり、ナノ粒子溶液がポリ陰イオン性である場合、多孔体ビーズ溶液がポリ陽イオン性である。前記ナノ粒子溶液は、発光ナノ粒子のみを含むか、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子を共に含むことができる。
この場合、前記多孔体ビーズは球状であることが好ましい。
前記製造方法において、荷電可能な分子が結合された発光ナノ粒子や磁性ナノ粒子、また、多孔体ビーズ及びその製造方法は、公知である。一般に、粒子に結合した後、アミノ基(NH2)やカルボキシル基(COOH)又はヒドロキシ基(OH)又はリン酸基(PO3-)が表面に露出する分子は、親水性であり、水で荷電できるので、水に対する粒子の分散性を増加させる。
【0027】
本発明者らは、前記荷電できる分子が結合されている発光ナノ粒子含有溶液又は異種ナノ粒子含有溶液、シリカビーズ含有溶液が、pHを調節しない中性に近い溶液である場合は、部分的に凝集現象を示し、この現象が持続すると、粒子が凝集して沈殿する現象を観察した。また、粒子が凝集現象を示すときは、シリカのような大きなビーズ上に量子ドットのような20nm以下のナノ粒子層を均一にドープできないことを確認した。これは、凝集した量子ドットの塊がシリカビーズ上に弱くドープされてから容易に分離されるので、均一なドープ層が形成されないためである。又は、凝集したシリカビーズ上に単分散量子ドットがドープされても、シリカビーズ同士が直接接触した凝集面には量子ドットが接近できないため、シリカビーズ上の同心球上に量子ドット層を均一にドープできなくなる。量子ドットとシリカビーズがどちらも凝集する場合、ドープの不均一が深刻になるため、物性が非常に悪くなる。
【0028】
従って、本発明者らは、荷電できる分子が結合されたナノ粒子含有溶液と多孔体ビーズ含有溶液のpHを調節して各粒子が最大荷電量を有するようにすることにより、同一の電荷を有する粒子間の反発力が大きくなって凝集現象が全くない水力学的単分散溶液をそれぞれ製造した。次に、pH調節により反対の電荷を有する2つの単分散溶液を配合して大きなシリカビーズ上に小さいナノ粒子層を静電気的引力により均一にドープする。さらに、前記ナノ粒子層上にシリカ層を直接成長させて、内部にナノ粒子層が均一にドープされたナノ粒子・多孔体複合ビーズを確保し、このような複合ビーズを定量的収率で提供し得る。ここで、単分散ナノ粒子や単分散多孔体ビーズ溶液を製造するためのpH調節範囲は、ナノ粒子と多孔体ビーズ表面に露出しているアミノ基やカルボキシル基が正電荷又は負電荷を有するように調節する範囲になるので、アミノ基の場合はpH3〜5、カルボキシル基の場合はpH9〜11の範囲が好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は、本発明をさらに明確に理解するために提示されるものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明は、後述する特許請求の範囲の技術的思想の範囲内で決定される。
【0030】
下記の実施例1において、ポリ陰イオン性単分散量子ドットの出発物質として使用した疎水性量子ドットCdSe/CdS−ODAは、全体表面にオクタデシルアミン(octadecylamine:ODA)が配位されているものであり、文献(BioMEMS and Nanotechnology II, Proc. of SPIE Vol. 6036, 60361N−1〜8, 2006)に記載された方法で製造した疎水性コア/シェル構造の量子ドットであり、この疎水性量子ドットにメルカプトプロピオン酸のような荷電できる分子を結合させた後、pHを調節して使用した。また、下記の実施例2において、ポリ陰イオン性単分散磁性ナノ粒子の出発物質として使用した疎水性超常磁性酸化鉄ナノ粒子SPION−OAは、全体表面にオレイン酸(oleic acid:OA)が配位されているものであり、文献(Chemistry of Materials Vol. 16, 2814〜8, 2004)に記載された方法で製造し、この疎水性超常磁性酸化鉄ナノ粒子にカルボキシエチルホスホネート(carboxyethyl phosphonate)のように荷電できる分子を結合させた後、pHを調節して使用した。また、下記の実施例1において、ポリ陽イオン性単分散シリカビーズの出発物質として使用したシリカビーズは、その表面がシラノール基(Si−OH)からなり、商業的に購入したもの又はStober工程で製造したものにアミノプロピル基のような荷電できる分子を結合させた後、使用した。しかし、どのような方法で製造しても表面に荷電できる分子が結合された発光ナノ粒子及び/又は異種ナノ粒子とシリカビーズであれば、下記の実施例1又は2に同様に適用される。
【0031】
実施例1:内部に量子ドット(発光ナノ粒子)層がドープされたシリカビーズの製造
(1)ポリ陰イオン性単分散量子ドットCdSe/CdS(−SCH2CH2CO2-ex水溶液の製造
表面がオクタデシルアミン(ODA)で保護されているコア/シェル構造のCdSe/CdS−ODA量子ドット溶液(2×10-5M)5mlを真空に連結してヘキサン溶媒を除去した後、クロロホルム10mlに分散させ、0.05Mのメルカプトプロピオン酸(MPA)と0.06Mの水酸化ナトリウムを共に溶解したメタノール溶液を過量に加えて30分間強く攪拌した。この溶液に2〜3mLの蒸留水を追加すると、量子ドットが水層に上がるので、この水層を分離してメタノールとエチルアセテートを加えて遠心分離して量子ドットを回収した。この量子ドットを水に分散し、薄い水酸化ナトリウム溶液を使用して溶液のpHを10程度に調節して量子ドット表面のカルボキシル基が−CO2-状態のポリ陰イオン性単分散量子ドットCdSe/CdS(−SCH2CH2CO2-ex水溶液100mL(1×10-6M)を製造した。ここで、熱分析の結果、量子ドット表面に結合したMPA分子の数は、1粒子当たり300個以上であると判断されるのでこれをexで表記し、この溶液の蛍光スペクトルを図2の(a)に示す。
【0032】
(2)ポリ陽イオン性単分散シリカビーズ水溶液の製造
ポリサイエンス社から購入したシリカビーズ溶液(DLS size 1.0±0.05μm、10wt%)5mLを遠心分離した後、メタノール20mLに分散した。ここに、0.025mLのアミノプロピルトリメトキシシランを加えて10時間還流した。この溶液を冷却した後、遠心分離を利用してメタノールで3〜4回洗浄した。最終的にエタノール10mLに分散し、数滴の薄い塩酸を加えて溶液のpHを4程度に調節してシリカビーズ表面のアミンが−NH3+状態であるポリ陽イオン性単分散シリカビーズ溶液を製造した。このシリカビーズの走査電子顕微鏡(SEM)と透過電子顕微鏡(TEM)画像をそれぞれ図3の(a)と図4の(a)に示す。シリカビーズのコアサイズが約800nmであるので、もう少し細かい部分を示すTEM画像ではビーズの一部分のみを拡大して表面画像の変化を示す。
【0033】
(3)表面に量子ドット(発光ナノ粒子)層がドープされたシリカビーズの製造
前述した段階(2)で製造したポリ陽イオン性シリカビーズ溶液を前述した段階(1)で製造したポリ陰イオン性量子ドット溶液に徐々に加えながら均一に混合するように振とうした。沈殿が形成された時点で止めて、この溶液を1分間ボルテックス(vortex)処理した後、遠心分離した。ろ液からは蛍光が検出されなかったため廃棄し、沈殿物は400mLのエタノールに分散して表面に量子ドット層がドープされたシリカビーズ溶液を製造した。このシリカビーズの蛍光スペクトルを図2の(b)に示し、SEMとTEM画像をそれぞれ図3の(b)と図4の(b)に示す。
【0034】
(4)内部に量子ドット(発光ナノ粒子)層がドープされたシリカビーズの製造
前述した段階(3)で製造した、表面に量子ドット(発光ナノ粒子)層がドープされたシリカビーズ溶液に12mLの蒸留水と4mLの濃いアンモニア溶液を入れて攪拌した。次に、2mLのテトラエトキシシラン(TEOS)を入れて3時間攪拌して、表面に近い内部に量子ドット層がドープされたシリカビーズを製造した。この溶液を遠心分離して沈殿物をエタノールで洗浄した後、再び遠心分離して20mLのエタノールに分散した。このシリカビーズの蛍光スペクトルを図2の(c)に示し、SEMとTEM画像をそれぞれ図3の(c)と図4の(c)に示す。
【0035】
実施例2:内部に発光ナノ粒子及び異種ナノ粒子の混合層がドープされたシリカビーズの製造
(1)ポリ陰イオン性単分散酸化鉄ナノ粒子SPION(−O2CCH2CH2PO3-ex水溶液の製造
表面がオレイン酸(OA)で保護されている酸化鉄ナノ粒子SPION−OA溶液(3.8×10-7M in CHCl3)10mLにトリオクチルアンモニウムブロマイド(trioctylammonium bromide)0.008gを加えて一日間振とうした。ここに、0.1Mカルボキシエチルホスホネート溶液10mLを追加してもう一日振とうした。ここに、水とメタノールを順に追加して遠心分離すると、沈殿が形成されるが、これをエタノールで洗浄して再び遠心分離した。この沈殿物を水に分散し、薄い水酸化ナトリウム溶液を使用して溶液のpHを10程度に調節してナノ粒子表面のリン酸基が−PO3-状態のポリ陰イオン性単分散ナノ粒子SPION(−O2CCH2CH2PO3-ex水溶液190mL(2×10-8M)を製造した。
【0036】
(2)表面に発光ナノ粒子及び異種ナノ粒子の混合層がドープされたシリカビーズの製造
前述した実施例1の(1)で製造したポリ陰イオン性量子ドット溶液5mLと前述した実施例2の(1)で製造したポリ陰イオン性異種ナノ粒子溶液5mLを合わせて量子ドットと異種ナノ粒子を含む混合ナノ粒子溶液10mLを製造した。前述した実施例1の(2)で製造したポリ陽イオン性シリカビーズ溶液を前記混合ナノ粒子溶液に徐々に加えながら均一に混合するように振とうした。沈殿が形成された時点で止めて、この溶液を1分間ボルテックス処理した後、遠心分離した。ろ液からは蛍光が検出されなかったため廃棄し、沈殿物は40mLのエタノールに分散して表面に発光ナノ粒子及び異種ナノ粒子の混合層がドープされたシリカビーズ溶液を製造した。このシリカビーズのTEM画像を図5の(a)に示す。
【0037】
(3)内部に発光ナノ粒子及び異種ナノ粒子の混合層がドープされたシリカビーズの製造
段階(2)で製造した、表面に発光ナノ粒子及び異種ナノ粒子の混合層がドープされたシリカビーズ溶液に1.2mLの蒸留水と0.8mLの濃いアンモニア溶液を入れて攪拌した。次に、テトラエトキシシラン(TEOS)0.2mLを入れて3時間攪拌して、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子の混合層がドープされたシリカビーズ上にシリカ層として成長させることにより、表面に近い内部に量子ドット層がドープされたシリカビーズを製造した。この溶液を遠心分離して沈殿物をエタノールで洗浄した後、再び遠心分離してエタノール10mLに分散した。このシリカビーズの蛍光スペクトルを前述した実施例2の(1)で製造した溶液の蛍光スペクトルと比較した結果、同一の量子ドット濃度で蛍光が増加したことを確認した。このシリカビーズのTEM画像を図5の(b)に示す。図4の画像と比較して所々に観察されるさらに黒くて若干大きい点のように見えるものが酸化鉄ナノ粒子である。このシリカビーズ溶液の入ったバイアルに磁石を近づけるとビーズが磁石に引かれ、磁石を除去して振とうすると、均一な元の溶液に戻った。
【0038】
以上の実施例1又は2で反応後の溶液に不溶性溶媒を加えるか、又は、反応後の溶液をそのまま遠心分離した後、廃棄する液体から蛍光が全く検出されないことから、量子ドット層がドープされたシリカビーズの製造がほぼ定量的収率で形成されたことを確認した。
以上、本発明は複数の例示的な実施形態に基づいて説明されたが、単なる例示にすぎない。本発明は、当該技術分野における通常の知識を有する者に明らかな多様な変更及び均等な他の実施形態が可能であることを理解できるであろう。
【符号の説明】
【0039】
11 多孔体ビーズ
12 多孔体層
20 ナノ粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔体ビーズと、
前記多孔体ビーズの表面に近い内部の同心球上に放射状に静電気的引力により結合されているナノ粒子とを含み、
前記ナノ粒子は、発光ナノ粒子、又は、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子との混合物であり、
前記異種ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択されるいずれか1つ又は2つ以上の混合物であることを特徴とするナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項2】
前記多孔体ビーズは、前記ナノ粒子と結合する前記同心球の表面を外面とする中心多孔体ビーズと、前記中心多孔体ビーズの表面に静電気的引力により結合されている前記ナノ粒子を覆うように形成された多孔体層とを含むことを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項3】
前記同心球は、前記多孔体ビーズの中心から表面に至る距離の0.5倍以上1倍未満の半径を有することを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項4】
前記中心多孔体ビーズの直径は、前記ナノ粒子の直径以上10μm以下であり、それぞれの前記ナノ粒子のサイズは1nm以上20nm以下であり、前記多孔体層の厚さは1nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項2に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項5】
中心多孔体ビーズと、
前記中心多孔体ビーズの表面に放射状に静電気的引力により結合されているナノ粒子と、
前記ナノ粒子を覆うように形成された多孔体層とを含み、
前記ナノ粒子は、発光ナノ粒子、又は、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子との混合物であり、
前記異種ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択されるいずれか1つ又は2つ以上の混合物であることを特徴とするナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項6】
それぞれの前記ナノ粒子は、前記中心多孔体ビーズの中心から等距離上に位置して単一層を形成することを特徴とする請求項5に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項7】
前記中心多孔体ビーズ及び前記多孔体層は、同種物質であることを特徴とする請求項5に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項8】
前記多孔体ビーズは、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びゼオライトからなる群から選択されるいずれか1つ又は2つ以上の混合物を含むことを特徴とする請求項1又は5に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項9】
前記発光ナノ粒子は、II−VI族化合物半導体ナノ結晶、III−V族化合物半導体ナノ結晶、及び無機蛍光体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は5に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項10】
前記発光ナノ粒子は、次の(1)〜(3)のいずれか1つのコア/シェル構造を有することを特徴とする請求項9に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
(1)前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
(2)前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
(3)前記III−V族化合物半導体ナノ結晶(コア)/前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶(シェル)
【請求項11】
前記II−VI族化合物半導体ナノ結晶は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、及びHgTeであり、前記III−V族化合物半導体ナノ結晶は、GaN、GaP、GaAs、InP、及びInAsであり、前記無機蛍光体は、La22S:Eu、Li2Mg(MoO4):Eu,Sm、(Ba,Sr)2SiO4:Eu、ZnS:Cu,Al、SrGa24:Eu、Sr5(PO43Cl:Eu、(SrMg)5PO4Cl:Eu、及びBaMg2Al1627:Euであることを特徴とする請求項9に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項12】
前記金属は、Au、Ag、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は5に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項13】
前記金属酸化物は、FeO、Fe23、Fe34、MnFe24、CoFe24、及びNiFe24からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は5に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズ。
【請求項14】
(a)表面に第1電荷に荷電できる分子が結合されているナノ粒子を含有するナノ粒子溶液と、表面に前記第1電荷と反対極性の第2電荷に荷電できる分子が結合されている多孔体ビーズを含有する多孔体ビーズ溶液とのpHをそれぞれ調節して反対の電荷を有する単分散ナノ粒子溶液と単分散多孔体ビーズ溶液を準備する段階と、
(b)前記単分散ナノ粒子溶液と前記単分散多孔体ビーズ溶液とを配合して前記多孔体ビーズのそれぞれの表面に前記ナノ粒子を静電気的引力により結合する段階と、
(c)前記多孔体ビーズのそれぞれの表面に結合された前記ナノ粒子を覆うように多孔体層を形成する段階とを含み、
前記(a)段階のナノ粒子は、発光ナノ粒子、又は、発光ナノ粒子と異種ナノ粒子との混合物であり、
前記異種ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、金属ナノ粒子、及び金属酸化物ナノ粒子からなる群から選択されるいずれか1つ又は2つ以上の混合物であることを特徴とするナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法。
【請求項15】
前記多孔体ビーズは、球状であることを特徴とする請求項14に記載のナノ粒子・多孔体複合ビーズの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−209314(P2010−209314A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270296(P2009−270296)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(399101854)コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (68)
【Fターム(参考)】