説明

ナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法

【課題】アルカリ液体金属中にナノ粒子を分散させるに際して、ナノ粒子の凝集、沈降がなく、かつ、時間が経過しても安定的にナノ粒子の分散を維持するナノ粒子を分散したアルカリ液体金属を得る。
【解決手段】アルカリ液体金属にナノ粒子を分散させるナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法であって、前記アルカリ液体金属にナノ粒子を物理的な作用によって攪拌する粗分散工程と、前記粗分散工程の後、前記アルカリ液体金属に超音波を照射してナノ粒子を分散させる分散工程と、を行なうことにより、アルカリ液体金属にナノ粒子を分散させたアルカリ液体金属を製造するものであり、アルカリ液体金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム等であり、ナノ粒子は、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ならびに銅のいずれかよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の冷却用液体ナトリウムなどのアルカリ液体金属にナノ粒子を均一に分散混合した液体金属を製造するために用いられるナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナトリウム等のアルカリ液体金属は高い熱伝導性を有することなどから、FBR(高速増殖炉)において用いる冷却材の有力候補として挙げられている。
【0003】
しかし、一方で、ナトリウム等のアルカリ液体金属は高い化学的活性度を有し、空気や水に接触すると爆発にまで至るような激しい反応を起こし得る、という特性がある。
【0004】
したがって、FBRにおいては、SG(蒸気発生器)でナトリウム等のアルカリ液体金属と水が接触することにより、上記のようなナトリウム等のアルカリ液体金属−水反応が起こり、不適合事象(高温ラプチャー、ウェステージ現象)が発現することが予想されている。このため、配管を二重構造にするなどの構造面からの対策が考えられてはいるが、高度な技術が必要であることや、建設費が高騰するといった問題がある。
【0005】
そこで、ナトリウム等のアルカリ液体金属に超微粒子(ナノ粒子;粒径がナノメートルオーダーのサイズの粒子)を分散させ、ナトリウム等のアルカリ液体金属の高い化学的活性度を抑制することが提案されている。
【0006】
上記のようなナノ粒子を分散したナトリウム等のアルカリ液体金属を調整する方法については、例えば、特許文献1(特許3930495号公報)に開示がある。
この特許文献1においては、液体ナトリウム中にナノ粒子を投入し、攪拌器で攪拌させながら分散させる方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許3930495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、アルカリ液体金属である液体ナトリウム中にナノ粒子を投入し、攪拌器で攪拌させながら分散させる特許文献1記載の方法では、粒子によっては凝集、沈降してしまう可能性があった。
【0009】
すなわち、投入するナノ粒子にも種々の種類があり、例えば一次粒子径が数十nm以下の粒子の場合、粒子径が小さいため、ナノ粒子を構成する原子数に対し表面の原子数の割合が増大し、表面エネルギーが増大することから二次凝集を引き起こし、液体ナトリウムへの分散性が悪化する。
【0010】
また、一次粒子同士が、数珠状に繋がるネッキング現象を引き起こしているナノ粒子の場合も、絡まり等により二次凝集し、液体ナトリウムへの分散性が悪くなる傾向がある。
【0011】
このようなナノ粒子を取り扱う場合、単にナノ粒子を液体ナトリウム中に投入し撹拌するだけでは、一部の粒子は分散するものの、多くの粒子は沈降してしまい、液体ナトリウ
ムへの分散性が悪い、という問題があった。
【0012】
本発明は、ナトリウム等のアルカリ液体金属中にナノ粒子を分散させるに際して、ナノ粒子の凝集、沈降がなく、かつ、時間が経過しても安定的にナノ粒子の分散を維持するナノ粒子を分散したアルカリ液体金属を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、アルカリ液体金属にナノ粒子を分散させるナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法であって、前記アルカリ液体金属にナノ粒子を物理的な作用によって攪拌する粗分散工程と、前記粗分散工程の後、前記アルカリ液体金属に超音波を照射してナノ粒子を分散させる分散工程と、を行なうことを特徴とする。
【0014】
また、請求項2に係る発明は、請求項1の発明に付加して、前記アルカリ液体金属が、リチウム、ナトリウム、カリウムならびにそれらのいずれかを主成分とした合金であることを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明は、請求項1乃至2のいずれかの発明に付加して、前記ナノ粒子が、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ならびに銅のいずれかよりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法によれば、凝集したナノ粒子、ネッキングを有したナノ粒子によっても、ナノ粒子の分散性がよく、しかも時間が経過しても分散状態を維持することができる、ナノ粒子分散アルカリ液体金属を製造することが可能となる。
【0017】
その結果、アルカリ液体金属にナノ粒子を均一に分散させることで、アルカリ液体金属の熱伝導性、化学的活性度(水に対する反応性等)の抑制を向上させることができる。さらに、アルカリ液体金属が本来持っている流動性等を安定的に維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法の処理手順の一実施例を示す。
【図2】超音波照射装置によってアルカリ液体金属へナノ粒子を分散する一実施例を示す。
【図3】ナノ粒子を分散したアルカリ液体金属の静置時間特性の一実施例を示す。
【図4】超音波照射装置による超音波照射時間と分散特性との関係の一実施例を示す。
【図5】ナノ粒子についての元素の結合エネルギーと電荷の偏りの関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法は、アルカリ液体金属にナノ粒子を物理的な作用によって攪拌する粗分散工程と、その粗分散工程の後、アルカリ液体金属に超音波を照射してナノ粒子を分散させる分散工程とを行なう方法であり、かつ、対象となるアルカリ液体金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ならびに、それらのいずれかを主成分とした合金であり、ナノ粒子は、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ならびに銅のいずれかよりなる特徴を有するものである。
【0020】
アルカリ液体金属は、水等と異なり表面張力が非常に大きいため、一般的な攪拌等によりナノ粒子を分散させようとすると、アルカリ液体金属の表面層にのみナノ粒子が固まり
、アルカリ液体金属中へのナノ粒子分散が困難であるため、物理的な攪拌による粗分散工程と超音波照射による分散工程の2段階でナノ粒子のアルカリ液体金属への分散を確実なものにするものである。
【0021】
図1を基に、ナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法について詳細を説明する。
【0022】
まず、ステップS1として、アルカリ液体金属へ分散させるナノ粒子を、均一に分散させる、さらには、ナノ粒子分散後のアルカリ液体金属の熱伝導度、化学的活性度を安定させるために、ナノ粒子を所定の粒子径に分級し、所望の粒子径のナノ粒子を利用する。対象ナノ粒子の粒子径は、数十nm〜数百nmを取扱うものである。
分級方法は、特許3506947号「超微粒子分級装置」、特開2007−64893号「電気移動度分級装置及び微粒子成分の計測システム」等の既知の技術によって適宜実施されるものとする。
【0023】
ステップS2として、ステップS1で分級したナノ粒子をアルカリ液体金属に、攪拌翼等によって粗分散させる処理を行う。
アルカリ液体金属は、水等と比較して表面張力が非常に大きいため、ナノ粒子を投入したのみでは表面に浮遊するのみでアルカリ液体金属中への拡散が困難であるために、攪拌翼の回転によって物理的な力によってナノ粒子をアルカリ液体金属中に強制的に拡散させる。この段階では、アルカリ液体金属中では、ナノ粒子が団子状となって広がっている状況であり、分散の領域までには達していない。
【0024】
ステップS3として、ステップS2でのナノ粒子を内包したアルカリ液体金属を、所定の容器中で循環させながら超音波を照射することにより、アルカリ液体金属中のナノ粒子を、アルカリ液体金属全体に均一に分散させるものである。超音波照射強度、超音波照射時間等については、アルカリ液体金属の種類ならびにナノ粒子の材質によって適宜定めるものとする。
以上の処理を行うことにより、アルカリ液体金属全体に、均一にナノ粒子を分散させることができる。
【実施例】
【0025】
ナノ粒子分散アルカリ液体金属を製造する本発明の製造方法について、アルカリ液体金属が液体ナトリウムで、ナノ粒子がチタンの場合の製造方法を、実施例として、より詳しく説明する。
図2は本発明の実施形態に係るナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法の概略を示す図である。
【0026】
図2において、ヒーター4内に設置された容器3の内部には液体ナトリウム、分散するチタンナノ粒子が入れられる。液体ナトリウムにチタンナノ粒子を分散させる工程は、グローブボックス5の不活性ガス雰囲気中で実施される。また、容器3の液体ナトリウムをヒーター4によって加熱し、350℃〜500℃に保持して超音波照射装置1による超音波照射を行った。
【0027】
超音波照射装置1のホモジナイザチップ2は容器3内の液体ナトリウムに挿入され、容器3内の液体ナトリウムに超音波照射可能にセットする。超音波照射装置1としては、例えばヒールッシャー製UP−400S(発振周波数24kHz、定格出力400W)、日本精機製US−300(発振周波数20kHz、定格出力300W)などがあるが、ここでは前者のものを用いた。
【0028】
チタンナノ粒子としては、単一粒子の粒子径(以下、一次粒子径と称す。)が5〜10
nmと小さいが、ネッキングを有しているチタンナノ粒子を使用し、液体ナトリウム中での超音波照射試験を実施した。
【0029】
本発明の製造方法において採用した超音波照射法によるナノ粒子の安定分散は以下(a)乃至(e)のメカニズムを想定している。
(a)液体中に強力な超音波を照射すると、超音波は疎密波(媒質が波の進む方向と同じ方向に振動する縦波のこと)であるから、液体中に加圧と減圧が生ずる。
(b)この減圧によって液体が引き裂かれ、空孔が発生する。この現象をキャビテーション(cavitation、空洞現象)という。
(c)このときに液体の蒸気や液体中に溶解していた気体から成る気泡が発生する。この気泡は超音波により加圧、減圧が繰り返されながら振動する。
(d)しかし、気泡は振動中につぶされることがあり、その際に衝撃波あるいは壁近傍ではマイクロジェットが発生し、液体中に局部的に大きな力を与えることになる。
(e)この衝撃波が液体中のナノ粒子に作用すると、強固に結合していない凝集は容易に解れ、強固に結合している凝集も徐々に分散していく。
【0030】
ナノ粒子を分散させるのに有効な衝撃波が作用する空間を超音波照射領域と称する。また、ナノ粒子がこの超音波照射領域に存在する時間を滞留時間と称する。
(実施例1)
実施例1として、アルカリ液体金属が液体ナトリウムで、ナノ粒子がチタンの場合について説明する。
【0031】
ここでは、超音波による推進力のみでスラリーが流動し、超音波照射領域(ホモジナイザチップ2の先端部;ここでは直径3mmのチップ2を採用)にスラリーが効率的に流れ込む方法を採用したところ、チタンナノ粒子が小さくなる傾向を確認した。
具体的には、堀場製作所製粒径分布測定装置LB−550にて粒子径を測定したところ、メジアン径(D50;個数基準)としては、超音波照射処理前の撹拌だけでは数μmであったものが60分経過後に109nmまで小さくなることを確認した。
【0032】
ナノ粒子を液体ナトリウム中で安定分散させるためには、二次凝集をできる限り解き、平均粒子径100nm程度、好ましくはできる限り一次粒子径程度の大きさ(数nm〜数十nm)まで粒子径を小さくする必要がある。
【0033】
このため、本発明の製造方法においては、ナノ粒子の入った溶媒中に超音波を照射することにより、超音波によって発生する衝撃波でナノ粒子を分散させ、アルカリ液体金属中でより長時間、安定分散することが可能な状態を作り出すようにしている。
【0034】
ナノ粒子を液体ナトリウム中に分散させる従来の特許文献1に示される方法では、一次粒子径が数十nm以下であるナノ粒子は、van der Waals力により、二次凝集し易いため、液体ナトリウム中に入れる段階で既に二次凝集を引き起こしていることが推定され、液体ナトリウム中に投入された後に撹拌による力だけでは二次凝集を十分に解くことは困難であった。また、ネッキングを有する粒子の場合は、ネッキング部が太いと、撹拌だけではそれらを切断することが困難なため、粒子は液体ナトリウム中で沈降し易い状態となっていた。
【0035】
すなわち、攪拌操作は、粒子の凝集がなく、また、ネッキングもない粒子を分散させる際には有効な手段であり、また、ナノ粒子と液体ナトリウムの濡れ性を向上させ、ナノ粒子を液体ナトリウム中に沈ませることには有効であるが、凝集した粒子、ネッキングを有した粒子を安定分散させるための有効な手段にはなっていなかった。
【0036】
これに対して、本発明の製造方法においては、このような凝集したナノ粒子、ネッキングを有したナノ粒子によっても、ナノ粒子の分散性がよく、しかも時間が経過しても分散状態を維持することができる、ナノ粒子分散アルカリ液体金属を製造することが可能となる。
(実施例2)
次に本発明の製造方法によって作成された、実施例1のアルカリ液体金属が液体ナトリウムで、かつ、ナノ粒子がチタンであるサンプルの液体ナトリウム中分散試験を実施した。
【0037】
チタンナノ粒子の分散性は、超音波照射処理を施したサンプルを静置させる方法にて評価を行った。具体的には、超音波照射したサンプルを、液体ナトリウムを液温350℃保持のまま静置させ、超音波照射処理直後、24時間経過後、96時間経過後にサンプルの上澄み液中に残存するチタン濃度をICP(島津製作所製高周波プラズマ発光分光分析装置ICPS−8100)にて測定した。図3は本発明の実施形態に係る製造方法によって製造されたナノ粒子分散液体ナトリウムの静置試験結果を示すグラフである。時間が経過しても、上澄み液中のチタン濃度が高ければ、分散性は良好である。
【0038】
液体ナトリウム中において、超音波照射による分散処理を行い、FBRプラント上、最も過酷な条件である静置による分散性確認を行ったところ、100時間程度静置させても、上澄み液中に80%以上のチタンナノ粒子が残存していることを確認した。すなわち、一次粒子径が5〜10nmと小さいが、ネッキングを有している粒子でも、本発明に係る製造方法が適用できることを確認した。
(実施例3)
次に、液体ナトリウム中にて超音波の滞留時間を変化させた場合の超音波照射試験を行った。図4は本発明の実施形態に係る製造方法によって製造されたナノ粒子分散液体ナトリウムの超音波の滞留時間の変化に伴う分散性試験の結果を示すグラフである。
【0039】
液体ナトリウム中にて超音波の滞留時間を変化させた場合、滞留時間が長すぎると、粒子が凝集し、分散性が悪くなることが確認された。分散性を良好にするには、超音波出力密度460W/cm2の場合、滞留時間としては5〜20秒であることが好ましい。一方、出力密度は数〜数十W/cm2程度の小さい値でも良い。この場合は超音波発振子の面積が大きいため、滞留時間としては数十秒あれば分散性は良好である。出力密度が小さいため、滞留時間を延ばしても粒子凝集の進行は極めて遅い。
【0040】
すなわち、一次粒子径が5〜10nmと小さい粒子を採用する場合、超音波による再凝集現象が発現する場合があるため、大きい出力密度条件で分散処理を行う場合は、短時間照射とする必要がある。また、一次粒子径が5〜10nmであるが、ネッキングを有する粒子の場合はネッキングをできるだけ切断する必要があるが、ネッキングを有しない粒子の場合は、ネッキングを切断する必要がないため、出力密度は更に小さく(小数点以下二桁〜数W/cm2)てもよい。
【0041】
超音波出力密度460W/cm2の場合、滞留時間を延ばすと、超音波によって発生する強い衝撃波で一度分散した粒子同士が再凝集を引き起こし、分散性が低下する。
【0042】
なお、以上に説明した実施形態としては、チタンナノ粒子を液体ナトリウム中に安定分散させる方法について説明したが、チタン以外の金属ナノ粒子についても安定分散させることが可能である。ナトリウム−水反応の抑制も考慮すると、ナトリウムと対象原子が近づいたときに両者に電荷移動が生じることが重要であり、ナトリウム−対象原子間の結合エネルギーが大きく、且つ、電荷の偏りが大きいものが好適であり、このような金属ナノ粒子について以下説明する。
【0043】
オーストリア、ウィーン大学開発の理論計算ソフトVASP(Vienna Ab-initio Simulation Package)によりナトリウムと金属が近づいた場合の結合エネルギーと電荷の偏り
を計算したところ、例えば、先の実施形態で用いたチタンはナトリウム−ナトリウム結合よりも結合エネルギーが大きく、且つ、電荷の偏りも確認されており、反応抑制の観点からも好適であることがわかった。その他の原子としては、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅などが好適であることがわかった。なお、その他の原子は、ナトリウムと反応しない粒子であれば、例え反応抑制効果がなくても、液体ナトリウム中に分散させることにより、液体ナトリウムが粒子で希釈され、水と反応するナトリウムの絶対量が減るため、ナトリウム−水反応を抑制することができる。原子種としては、例えば、アルミニウム、ジルコニアなどが挙げられる。
【0044】
チタンの場合は、酸化物の標準自由エネルギーがナトリウムより低いため、酸素が存在する場合は、酸素はチタン側に捕捉される。もし、ナトリウム側に酸素が捕捉される元素を使用すると、ナトリウムが酸素と反応し、ナトリウムの酸化物が生成し、流体としての性質を失うため、使用する元素の純度管理は徹底する必要がある。この点、チタンは酸素がナトリウム側に捕捉されず、酸化物であっても分散性が良好であり、且つ、反応抑制効果も有することから好都合である。
【0045】
酸化物の標準自由エネルギーがナトリウムより低い元素としては、チタンの他にバナジウム、アルミニウムなどがある。図5はナトリウムと金属間結合力および電荷の偏りの計算例を示す図である。ナノ粒子を液体ナトリウムに安定分散させることが可能な金属としては、ナトリウム−金属結合エネルギーが、ナトリウム−ナトリウム結合エネルギーよりも大きく、且つ、電荷の偏りが大きいものが好適であり、図5によれば、バナジウム、ニッケル、銅などを挙げることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 超音波照射装置
2 ホモジナイザチップ
3 容器
4 ヒーター
5 グローブボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ液体金属にナノ粒子を分散させるナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法であって、
前記アルカリ液体金属にナノ粒子を物理的な作用によって攪拌する粗分散工程と、
前記粗分散工程の後、前記アルカリ液体金属に超音波を照射してナノ粒子を分散させる分散工程と、
を行なうことを特徴とするナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法。
【請求項2】
前記アルカリ液体金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ならびに、それらのいずれかを主成分として合金であることを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法。
【請求項3】
前記ナノ粒子が、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ならびに、銅のいずれかよりなることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のナノ粒子分散アルカリ液体金属の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−179024(P2011−179024A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41415(P2010−41415)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、エネルギー対策特別会計委託事業、ナノテクノロジによるナトリウムの化学的活性度抑制技術の開発(委託業務)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505374783)独立行政法人日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】