説明

ナノ粒子状のキナーゼインヒビター製剤

本発明は、薬物利用能(drug availability)をより迅速に開始させる、改善された溶解速度を有する、LS104またはその塩もしくは誘導体などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物に関する。LS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビター粒子は約2000 nm未満の有効平均粒子径を有し、かつ白血病などの癌、骨髄増殖性障害、および関連疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2006年6月13日に出願された米国仮特許出願第60/812,960号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、骨髄増殖性疾患、白血病、および関連する疾患もしくは状態などの、疾患または障害の治療または予防に有用なキナーゼインヒビターの化合物および組成物に関する。具体的には本発明は、約2000 nm未満の有効平均粒子径を有するナノ粒子状LS104組成物などのナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物に関する。本発明は、このようなナノ粒子状組成物を作製および使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
A. LS104に関する背景
異常なキナーゼ活性は数多くの疾患と関連づけられている。白血病は骨髄および血液の癌である。白血病は、異常な血液細胞の制御不能の蓄積を特徴とする。例には、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、および急性骨髄性白血病(AML)が含まれる。最も一般的なタイプの白血病は、急性骨髄性白血病(AML)であり、米国において年間に推定12,000例の新規症例が見られる。AMLは40歳以降の成人に最も多く見られ、平均発症年齢は65歳である。AMLなどの癌は、未だ満たされていない医学上の高いニーズの領域の代表であり;AMLに対する現在の治療は、診断後に生存している成人患者が20%未満という低い長期奏功率によって特徴づけられる。複数の種類の変異がAMLで見つかっており;その単一の変異が要因ということはなく、少なくとも2つの因子が疾患を引き起こすのに必要であると考えられている。しかしながら、受容体チロシンキナーゼFLT3中の変異はAML患者の約3分の1に見られ、特定の不良な予後を有する。FLT3は、増殖シグナルを運び、かつ通常は骨髄幹細胞の発生初期に発現されているが、その変異型は依然として活性であり、白血病細胞の増殖を促す。複数のグループが、FLT3を阻害できる化合物の同定を目指して研究を進めている。
【0004】
CMLおよび一部のALLの特徴は、第22染色体と第9染色体の間で生じる染色体の転座であり、これにより「フィラデルフィア染色体」と呼ばれる変化した第22染色体が生じる。フィラデルフィア染色体は、Abelson癌原遺伝子(Abl)の一部分を含む第9染色体の一部分が第22染色体に転座した結果である。第9染色体上の切断点は多様であるが、第22染色体上の切断点は、比較的クラスター形成している。第22染色体上のこの領域は「切断点クラスター領域」(「Bcr」)と呼ばれ、転座によって生じる融合遺伝子は「Bcr-Abl」と呼ばれる。全ての形態の融合タンパク質は、チロシンキナーゼ活性を有するAbelsonタンパク質の一部分を含む。チロシンキナーゼ活性は、Bcr-Abl融合タンパク質中で構成的であり;この活性の負の調節因子はもはや、融合タンパク質中では機能しない。この構成的なキナーゼ活性は、(例えば細胞の増殖を阻害することおよびアポトーシスを阻害することで)制御されない細胞の成長および分裂に至る、さまざまなシグナル伝達経路を活性化することが明らかにされている。例えばBcr-Ablは、未分化な血液細胞を大量に増殖させ、成熟不可能にさせる場合がある。
【0005】
真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、および慢性特発性骨髄線維症(IMF)、および現時点で未分類の骨髄増殖性疾患(MPD-NC)などのCML以外の骨髄増殖性疾患(MPD)は、血液細胞の異常な増殖を特徴とする。これについては例えば、Vainchenker and Constantinescu, Hematology (American Society of Hematology) 195-200 (2005)を参照されたい。この増加は一般に、骨髄中に位置する多能性造血幹細胞における自然発生的な変異によって開始される(同文献)。変異によって幹細胞は、正常とは異なる特定の系列の、さらに多くの血液細胞を産生し、赤血球系細胞、巨核球、顆粒球、および単球などの細胞の過剰産生に至る。MPDの患者に共通するいくつかの症状は、脾臓肥大、肝肥大、白血球、赤血球、および/または血小板細胞の増加、凝血(血栓症)、虚弱、めまい、および頭痛を含む。PV、ET、およびIMFなどの疾患は白血病の前兆となる場合があるが、(例えば急性転化による)形質転換率は、個々の疾患で異なる(同文献)。
【0006】
多くのMPDの原因となる特定の遺伝子および随伴する1つまたは複数の変異は不明である。しかしながら、細胞質の非受容体チロシンキナーゼであるJanusキナーゼ2(JAK2)遺伝子における機能獲得性突然変異は、いくつかのMPDで同定されている。例えば、この変異は、PV患者の最大97%、およびETまたはIMFのいずれかの患者の40%よりも多くで報告されている。これについては例えば、Baxter, et al., Lancet 365:1054-1060 (2005);James, et al., Nature 438: 1144-1148 (2005);Zhao, et al., J. Biol. Chem. 280(24):22788-22792 (2005);Levine et al., Cancer Cell 7:387-397 (2005);Kralovics, et al., New Eng. J. Med. 352(17): 1779-1790 (2005);Jones, et al., Blood 106:2162-2168 (2005);Steensma, et al., Blood 106:1207-2109 (2005)を参照されたい。
【0007】
Janusキナーゼは、サイトカインシグナル伝達に役割を果たすチロシンキナーゼのファミリーに属する。例えばJAK2キナーゼは、エリスロポエチン受容体(EpoR)などの膜結合型のサイトカイン受容体と、STAT5(Signal Transducers and Activators of Transcription protein 5)などのシグナル伝達経路下流のメンバーとの媒介役として作用する。これについては例えば、Schindler, C.W., J. Clin Invest. 109:1133-1137 (2002);Tefferi and Gilliland, Mayo Clin. Proc. 80:947-958 (2005);Giordanetto and Kroemer, Protein Engineering 15(9):727-737 (2002)を参照されたい。JAK2は、サイトカイン受容体/リガンド複合体が結合型JAK2キナーゼをリン酸化すると活性化される(同文献)。JAK2は後に、その基質分子、例えばSTAT5をリン酸化および活性化することが可能であり、これは核内に入り、他の調節タンパク質と相互作用して転写に影響を与える(同文献)。
【0008】
白血病および骨髄増殖性障害の治療には、薬物療法(例えば化学療法)、骨髄移植、放射線療法、またはこれらの組み合わせが含まれる場合がある。このような疾患の治療に使用可能な1つのクラスの薬物にはキナーゼインヒビターが含まれる。例えば、「メシル酸イマチニブ」(すなわちSTI571または2-フェニルアミノピリミジン)と呼ばれるキナーゼインヒビターは、CMLおよびALLの治療に有効なことが証明されている。イマチニブは、商品名「Gleevec」または「Glivec」の薬物として販売されている。
【0009】
別のクラスのキナーゼインヒビターは、化学的には(E,E)-2-(ベンジルアミノカルボニル)-3-(3,4-ジヒドロキシスチリル)アクリロニトリルとして知られるスチリルアクリロニトリル化合物である、LS104を含む。LS104はC19H16O3N2の経験式を有し、分子量は320.34である。
【0010】
LS104の化学構造を以下に示す。

【0011】
LS104などのスチリルアクリロニトリル化合物は、癌などのさまざまな細胞増殖性障害の治療に有用である。スチリルアクリロニトリル化合物は例えば、いずれも全体が参照により本明細書に組み入れられる、「Compounds for Modulating Cell Proliferation」と題する米国特許第6,800,659号;「Compounds for Modulating Cell Proliferation」と題する第7,012,095号;「Novel Compounds Useful For Modulating Abnormal Cell Proliferation」と題する米国公開出願第2006/0058554号;「Novel Compounds Useful For Modulating Abnormal Cell Proliferation」と題する公開出願第2006/0058297号;「Compounds For Modulating Cell Proliferation」と題する公開出願第2005/0085538号;「Styryl Acrylonitrile Compounds And Their Use To Promote Myelopoiesis」と題する公開出願第2005/0014690号;「Ephrin And EPH Receptor Mediated Immune Modulation」と題する公開出願第2004/0247592号;「Novel Compounds For Modulating Cell Proliferation」と題する公開出願第2004/0209845号;「Human Lymphoid Protein Tyrosine Phosphatases」と題する公開出願第2004/0006777号;「Methods Of Modulation Of The Immune System」と題する公開出願第2003/0113328号に開示されている。
【0012】
LS104などのスチリルアクリロニトリル化合物は一般に、癌細胞の成長に特異的でありうる異常な細胞シグナル伝達を阻害することで作用する。LS104は、小分子キナーゼインヒビターとして、特にチロシンキナーゼインヒビターとして機能する。特定のキナーゼの作用を遮断することによって、LS104は、重篤な副作用を生じる癌性および非癌性の細胞を攻撃する多くの化学療法剤とは対照的に、癌細胞経路を標的とする。
【0013】
LS104は、新たなクラスの合成小分子の非ATP競合キナーゼインヒビターのメンバーである。治療薬として使用される予定の現在開発中の大半のキナーゼインヒビターは、細胞のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)と競合する。したがってLS104は、癌の治療に現在使用されている化学療法より有意に低い毒性を有し、癌発症の制限に有効な可能性がある。
【0014】
このような化合物は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)などの急性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)の潜在的な治療薬として有望視されており、かつ真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症(MMM)を伴う骨髄様化生、および特発性骨髄線維症(IM)などの他の骨髄増殖性の疾患または障害にも有効であることが証明されつつある。例えばLS104は、数多くの骨髄増殖性障害で同定されている機能性獲得性突然変異であるJanus Kinase 2(「JAK2」)活性と、さまざまな白血病患者に存在する「フィラデルフィア染色体」として知られる転座の産物であるBcr-Ablチロシンキナーゼ活性の両方を阻害することが示されている。さらにLS104は、正常細胞に対して毒性が極めて低いか、または毒性がないことが証明されている。
【0015】
しかしながらLS104は、投与の際に容易に生物学的に利用可能とならない可能性がある。したがって、より生物学的に利用可能な形状の、LS104などのキナーゼインヒビターを製剤化することが望ましいであろう。そのような剤形であれば、迅速に作用することで、チロシンキナーゼ活性などの非調節型の過剰なキナーゼ活性を含む疾患または障害に罹患した対象の救済が可能になると考えられる。白血病、骨髄増殖性障害、もしくは他の血液関連の癌、または疾患は、このような障害の例である。このような製剤は、従来の製剤に関連した他の問題を克服できる可能性もある。本発明は、これらのニーズを満たす。
【0016】
本発明はこのため、血液の癌および関連する疾患、障害、状態、および症状を治療するためのナノ粒子状のLS104またはその塩もしくは誘導体の組成物などの、ナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物に関する。
【0017】
B. ナノ粒子状の活性作用物質組成物に関する背景
米国特許第5,145,684号(「684号特許」)に最初に記載されたナノ粒子状の活性作用物質組成物は、非架橋型の表面安定剤の表面から吸収される、溶解性の低い治療薬または診断薬からなる粒子である。684号特許には、LS104などのキナーゼインヒビターのナノ粒子状組成物については記載されていない。
【0018】
ナノ粒子状の活性作用物質組成物の作製法は例えば、いずれも「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」と題する米国特許第5,518,187号および第5,862,999号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」と題する米国特許第5,718,388号;ならびに「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」と題する米国特許第5,510,118号に記載されている。
【0019】
ナノ粒子状の活性作用物質組成物は例えば、いずれも特異的に参照により組み入れられる、「Use of Ionic Cloud Point Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization」と題する米国特許第5,298,262号;「Method to Reduce Particle Size Growth During Lyophilization」と題する第5,302,401号;「X-Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging」と題する第5,318,767号;「Novel Formulation For Nanoparticulate X-Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non-ionic Surfactants」と題する第5,326,552号;「Method of X-Ray Imaging Using Iodinated Aromatic Propanedioates」と題する第5,328,404号;「Use of Charged Phospholipids to Reduce Nanoparticle Aggregation」と題する第5,336,507号;「Formulations Comprising Olin 10-G to Prevent Particle Aggregation and Increase Stability」と題する第5,340,564号;「Use of Non-Ionic Cloud Point Modifiers to Minimize Nanoparticulate Aggregation During Sterilization」と題する第5,346,702号;「Preparation and Magnetic Properties of Very Small Magnetic-Dextran Particles」と題する第5,349,957号;「Use of Purified Surface Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization」と題する第5,352,459号;いずれも「Surface Modified Anticancer Nanoparticles」と題する第5,399,363号および第5,494,683号;「Water Insoluble Non-Magnetic Manganese Particles as Magnetic Resonance Enhancement Agents」と題する第5,401,492号;「Use of Tyloxapol as a Nanoparticulate Stabilizer」と題する第5,429,824号;「Method for Making Nanoparticulate X-Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non-ionic Surfactants」と題する第5,447,710号;「X-Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging」と題する第5,451,393号:「Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnostic X-Ray Contrast Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays」と題する第5,466,440号;「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」と題する第5,470,583号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbamic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」と題する第5,472,683号;「Nanoparticulate Diagnostic Dimers as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」と題する第5,500,204号;「Nanoparticulate NSAID Formulations」と題する第5,518,738号;「Nanoparticulate Iododipamide Derivatives for Use as X-Ray Contrast Agents」と題する第5,521,218号;「Nanoparticulate Diagnostic Diatrizoxy Ester X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」と題する第5,525,328号;「Process of Preparing X-Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」と題する第5,543,133号;「Surface Modified NSAID Nanoparticles」と題する第5,552,160号;「Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids」と題する第5,560,931号;「Polyalkylene Block Copolymers as Surface Modifiers for Nanoparticles」と題する第5,565,188号;「Sulfated Non-ionic Block Copolymer Surfactant as Stabilizer Coatings for Nanoparticle Compositions」と題する第5,569,448号;「Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids」と題する第5,571,536号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carboxylic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」と題する第5,573,749号;「Diagnostic Imaging X-Ray Contrast Agents」と題する第5,573,750号;「Redispersible Nanoparticulate Film Matrices With Protective Overcoats」と題する第5,573,783号;「Site-specific Adhesion Within the GI Tract Using Nanoparticles Stabilized by High Molecular Weight、Linear Poly(ethylene Oxide) Polymers」と題する第5,580,579号;「Formulations of Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays」と題する第5,585,108号;「Butylene Oxide-Ethylene Oxide Block Copolymers Surfactants as Stabilizer Coatings for Nanoparticulate Compositions」と題する第5,587,143号;「Milled Naproxen with Hydroxypropyl Cellulose as Dispersion Stabilizer」と題する第5,591,456号;「Novel Barium Salt Formulations Stabilized by Non-ionic and Anionic Stabilizers」と題する第5,593,657号;「Sugar Based Surfactant for Nanocrystals」と題する第5,622,938号;「Improved Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnostic X-Ray Contrast Agents and Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents」と題する第5,628,981号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbonic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」と題する第5,643,552号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」と題する第5,718,388号;「Nanoparticles Containing the R(-)Enantiomer of Ibuprofen」と題する第5,718,919号;「Aerosols Containing Beclomethasone Nanoparticle Dispersions」と題する第5,747,001号;「Reduction of Intravenously Administered Nanoparticulate Formulation Induced Adverse Physiological Reactions」と題する第5,834,025号;「Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus (HIV) Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers」と題する第6,045,829号;「Methods of Making Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus (HIV) Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers」と題する第6,068,858号;「Injectable Formulations of Nanoparticulate Naproxen」と題する第6,153,225号;「New Solid Dose Form of Nanoparticulate Naproxen」と題する第6,165,506号;「Methods of Treating Mammals Using Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors」と題する第6,221,400号;「Nebulized Aerosols Containing Nanoparticle Dispersions」と題する第6,264,922号;「Methods for Preventing Crystal Growth and Particle Aggregation in Nanoparticle Compositions」と題する第6,267,989号;「Use of PEG-Derivatized Lipids as Surface Stabilizers for Nanoparticulate Compositions」と題する第6,270,806号;「Rapidly Disintegrating Solid Oral Dosage Form」と題する第6,316,029号;「Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」と題する第6,375,986号;「Bioadhesive Nanoparticulate Compositions Having Cationic Surface Stabilizers」と題する第6,428,814号;「Small Scale Mill」と題する第6,431,478号;および「Methods for Targeting Drug Delivery to the Upper and/or Lower Gastrointestinal Tract」と題する第6,432,381号;「Nanoparticulate Dispersions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」と題する米国特許第6,592,903号;「Apparatus for Sanitary Wet Milling」と題する米国特許第6,582,285号;「Nanoparticulate Compositions Comprising Amorphous Cyclosporine」と題する第6,656,504号;「System and Method for Milling Materials」と題する第6,742,734号;「Small Scale Mill and Method Thereof」と題する第6,745,962号;「Liquid Droplet Aerosols of Nanoparticulate Drugs」と題する第6,811,767号;「Compositions Having a Combination of Immediate Release and Controlled Release Characteristics」と題する第6,908,626号;「Nanoparticulate Compositions Comprising Copolymers of Vinyl Pyrrolidone and Vinyl Acetate as Surface Stabilizers」と題する第6,969,529号;「System and Method for Milling Materials」と題する第6,976,647号;「Method of Using a Small Scale Mill」と題する第6,991,191号;「Nanoparticulate Megestrol Formulation」と題する第7,101,576号;ならびに「In vitro methods for evaluating the in vivo effectiveness of dosage forms of microparticulate of nanoparticulate active agent compositions」と題する第7,198,795号にも記載されている。
【0020】
さらに、「Nanoparticulate insulin」と題する米国特許出願第20070122486号;「In vitro methods for evaluating the in vivo effectivness of dosage forms of microparticulate or nanoparticulate active agent compositions」と題する米国特許出願第20070110776号;「Nanoparticulate tadalafil formulations」と題する米国特許出願第20070104792号;「Methods of making and using novel griseofulvin compositions」と題する米国特許出願第20070098805号;「Nanoparticulate leukotriene receptor antagonist/corticosteroid formulations」と題する米国特許出願第20070065374号;「Nanoparticulate ebastine formulations」と題する米国特許出願第20070059371号;「Nanoparticulate anticonvulsant and immunosuppressive compositions」と題する米国特許出願第20070048378号;「Nanoparticulate benidipine compositions」と題する米国特許出願第20070042049号;「Nanoparticulate clarithromycin formulations」と題する米国特許出願第20070015719号、「Nanoparticulate clopidogrel formulations」と題する米国特許出願第20070003628号、「Nanoparticulate clopidogrel and aspirin combination formulations」と題する米国特許出願第20070003615号、「Nanoparticulate acetaminophen formulations」と題する米国特許出願第20060292214号、「Nanoparticulate imatinib mesylate formulations」と題する米国特許出願第20060275372号;「Nanoparticulate quinazoline derivative formulations」と題する米国特許出願第20060246142号、「Nanoparticulate lipase inhibitor formulations」と題する米国特許出願第20060246141号、「Nanoparticulate corticosteroid and antihistamine formulations」と題する米国特許出願第20060216353号、「Nanoparticulate bisphosphonate compositions」と題する米国特許出願第20060210639号、「Injectable compositions of nanoparticulate immunosuppressive compounds」と題する米国特許出願第20060210638号、「Formulations of a nanoparticulate finasteride, dutasteride or tamsulosin hydrochloride, and mixtures thereof」と題する米国特許出願第20060204588号、「Aerosol and injectable formulations of nanoparticulate benzodiazepine」と題する米国特許出願第20060198896号、「Nanoparticulate Compositions of Mitogen-Activated (MAP) Kinase Inhibitors」と題する米国特許出願第20060193920号、「Nanoparticulate formulations of docetaxel and analogues thereof」と題する米国特許出願第20060188566号、「Nanoparticulate candesartan formulations」と題する米国特許出願第20060165806号、「Nanoparticulate bicalutamide formulations」と題する米国特許出願第20060159767号、「Nanoparticulate tacrolimus formulations」と題する米国特許出願第20060159766号、「Nanoparticulate benzothiophene formulations」と題する米国特許出願第20060159628号、「Injectable nanoparticulate olanzapine formulations」と題する米国特許出願第20060154918号、「Topiramate pharmaceutical composition」と題する米国特許出願第20060121112号、「Controlled Release Nanoparticulate Compositions」と題する米国特許出願第20020012675 A1号、「Compositions and method for milling materials」と題する米国特許出願第20040195413号、「Milling microgram quantities of nanoparticulate candidate compounds」と題する米国特許出願第20040173696 A1号、2002年1月31日に公開された「Controlled Release Nanoparticulate Compositions」と題する米国特許出願第20020012675 A1号;「Nanoparticulate Fibrate Formulations」と題する米国特許出願第20050276974号;「Nanoparticulate compositions having a peptide as a surface stabilizer」と題する米国特許出願第20050238725号;「Nanoparticulate megestrol formulations」と題する米国特許出願第20050233001号;「Compositions comprising antibodies and methods of using the same for targeting nanoparticulate active agent delivery」と題する米国特許出願第20050147664号;「Novel metaxalone compositions」と題する米国特許出願第20050063913号;「Novel compositions of sildenafil free base」と題する米国特許出願第20050042177号;「Gel stabilized nanoparticulate active agent compositions」と題する米国特許出願第20050031691号;「Novel glipizide compositions」と題する米国特許出願第20050019412号;「Novel griseofulvin compositions」と題する米国特許出願第20050004049号;「Nanoparticulate topiramate formulations」と題する米国特許出願第20040258758号;「Liquid dosage compositions of stable nanoparticulate active agents」と題する米国特許出願第20040258757号;「Nanoparticulate meloxicam formulations」と題する米国特許出願第20040229038号;「Novel fluticasone formulations」と題する米国特許出願第20040208833号;「Compositions and method for milling materials」と題する米国特許出願第20040195413号、「Solid dosage forms comprising pullulan」と題する米国特許出願第20040156895号;「Novel nimesulide compositions」と題する米国特許出願第20040156872号;「Novel triamcinolone compositions」と題する米国特許出願第20040141925号;「Novel nifedipine compositions」と題する米国特許出願第20040115134号;「Low viscosity liquid dosage forms」と題する米国特許出願第20040105889号;「Gamma irradiation of solid nanoparticulate active agents」と題する米国特許出願第20040105778号;「Novel benzoyl peroxide compositions」と題する米国特許出願第20040101566号;「Nanoparticulate beclomethasone dipropionate compositions」と題する米国特許出願第20040057905号;「Nanoparticulate compositions of angiogenesis inhibitors」と題する米国特許出願第20040033267号;「Nanoparticulate sterol formulations and novel sterol combinations」と題する米国特許出願第20040033202号;「Nanoparticulate nystatin formulations」と題する米国特許出願第20040018242号;「Drug delivery systems and methods」と題する米国特許出願第20040015134号;「Nanoparticulate polycosanol formulations & novel polycosanol combinations」と題する米国特許出願第20030232796号;「Fast dissolving dosage forms having reduced friability」と題する米国特許出願第20030215502号;「Nanoparticulate compositions having lysozyme as a surface stabilizer」と題する米国特許出願第20030185869号;「Nanoparticulate compositions of mitogen-activated protein(MAP) kinase inhibitors」と題する米国特許出願第20030181411号;「Compositions having a combination of immediate release and controlled release characteristics」と題する米国特許出願第20030137067号;「Nanoparticulate compositions comprising copolymers of vinyl pyrrolidone and vinyl acetate as surface stabilizers」と題する米国特許出願第20030108616号;「Nanoparticulate insulin」と題する米国特許出願第20030095928号;「Method for high throughput screening using a small scale mill or microfluidics」と題する米国特許出願第20030087308号;「Drug delivery systems & methods」と題する米国特許出願第20030023203号;「System and method for milling materials」と題する米国特許出願第20020179758号;および「Apparatus for sanitary wet milling」と題する米国特許出願第20010053664号は、ナノ粒子状の活性作用物質組成物について記載しており、かつ特異的に参照により組み入れられる。
【0021】
非結晶の小型粒子組成物は例えば、「Particulate Composition and Use Thereof as Antimicrobial Agent」と題する米国特許第4,783,484号;「Method for Making Uniformly Sized Particles from Water-Insoluble Organic Compounds」と題する米国特許第4,826,689号;「Method for Making Uniformly-Sized Particles From Insoluble Compounds」と題する米国特許第4,997,454号;「Ultrasmall, Non-aggregated Porous Particles of Uniform Size for Entrapping Gas Bubbles Within and Methods」と題する米国特許第5,741,522号;および「Ultrasmall Porous Particles for Enhancing Ultrasound Back Scatter」と題する米国特許第5,776,496号に記載されている。これらも具体的に参照により本明細書に組み入れられる。
【0022】
LS104などのキナーゼインヒビターの高い治療的効果は当技術分野で認識されているが、水溶性の低いインヒビターは、経口投与時または注射時に生物学的利用能が制限され、かつ他のタイプの投与用に安全かつ有効な製品として製剤化することが困難または不可能な可能性がある。したがって当技術分野では、改善された生物学的利用能、およびしたがって改善された有効性を有するか、かつ/または非経口投与に適したキナーゼインヒビターを含む製剤が求められている。本発明は、このニーズを満たす。
【0023】
本発明はこのため、CML、AML、ALL、骨髄増殖性疾患、ならびに他の血液関連の癌および疾患などの疾患および障害の治療および予防に有用な可能性のある、LS104などのキナーゼインヒビターを含むナノ粒子状組成物に関する。
【発明の概要】
【0024】
本発明は、LS104またはその塩もしくは誘導体などのキナーゼインヒビターおよび少なくとも1種類の表面安定剤を含む、安定なナノ粒子状組成物に関する。いくつかの態様では、表面安定剤は、粒子の表面に結合してもよく、例えば表面安定剤はLS104粒子の表面に吸収されてもよい。一般に薬物ナノ粒子は、約2000 nm未満の有効平均粒子径を有する。
【0025】
本組成物は、結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、およびこれらの混合物のLS104粒子を含みうる。
【0026】
本組成物は、1種類もしくは複数種類の表面安定剤を含みうる。例えば、いくつかの組成物には、少なくとも1種類の第一の表面安定剤および少なくとも1種類の第二の表面安定剤を含めることができる。例示的な表面安定剤は、非イオン性表面安定剤、イオン性表面安定剤、陰イオン性表面安定剤、陽イオン性表面安定剤、両性イオン性表面安定剤、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0027】
本発明は、LS104またはその塩もしくは誘導体などのナノ粒子状のキナーゼインヒビター、少なくとも1種類の表面安定剤、および任意で1種類もしくは複数種類の薬学的に許容される賦形剤、担体、ならびに任意で白血病、骨髄増殖性疾患、および関連障害などの癌の治療に有用な1種類もしくは複数種類の活性作用物質、またはこれらの組み合わせを含む組成物にも関する。
【0028】
LS104またはその塩もしくは誘導体などのナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む本発明の組成物は、従来のキナーゼインヒビター(例えばLS104)組成物と比較して改善された薬物動態プロファイルを示すことが提唱されている。例えば、ナノ粒子状組成物のCmaxおよび/またはAUCは、同じ投与量で投与された従来の組成物のCmaxおよび/またはAUCより大きい可能性がある一方で、Tmaxは低い可能性があり;改善されたCmax、AUC、およびTmaxのプロファイルの任意の組み合わせは、従来のLS104組成物と比較してナノ粒子状LS104組成物では示されうる。さらなる態様では、LS104組成物は、絶食条件と比較して、摂食条件での投与の際に、吸収レベルに有意差を生じない可能性がある。
【0029】
いくつかの態様では、ナノ粒子状LS104組成物は、従来のLS104組成物と比較して改善された生物学的利用能を示す。例えば、哺乳動物への投与の際に、ナノ粒子状LS104組成物は、粒子が約2ミクロン未満の有効平均粒子径を有するように再分散しうる。
【0030】
本発明は、LS104またはその塩もしくは誘導体などのキナーゼインヒビターを含むナノ粒子状組成物を作製する方法にも関する。いくつかの態様では、本方法は、約2000 nm未満の有効平均粒子径を有するナノ粒子状LS104組成物を十分に提供する時間および条件で、LS104粒子に少なくとも1種類の表面安定剤を接触させる段階を含みうる。
【0031】
本発明は、ナノ粒子状LS104組成物を使用する治療法にも関する。いくつかの方法では、約2000 nm未満の有効平均粒子径を有するナノ粒子状のLS104またはその塩もしくは誘導体、および少なくとも1種類の表面安定剤を含む組成物が対象に投与されうる。いくつかの方法では、本組成物は、注射(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下)用に、治療的有効量で製剤化することができる。いくつかの態様では、注射可能な製剤は、注射される小さな容量中に高濃度のLS140を提供しうる。他の態様では、投与は、ゆっくりした薬物注入ではなく、1回の連続的で迅速な注射による、LS140などのキナーゼインヒビターのボーラス注射を含む。限定ではなく一例として、本組成物は、骨髄増殖性障害と関連する骨髄増殖性の障害、疾患、症状、または状態、ならびにCML、AML、およびALLなどの白血病を治療するために投与可能である。いくつかの方法では、対象は、このような疾患、障害、症状、または条件を患っていてもよい。本発明のナノ粒子状組成物を使用する他の治療法は、当業者に既知である。
【0032】
本発明の前述の概要と、本発明の以下の詳細な説明はいずれも例示的かつ説明的であり、かつ請求される本発明のさらなる詳細を提供することが意図される。他の目的、利点、および新しい特徴は、発明の以下の詳細な記述から、当業者に容易に明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、LS104またはその塩もしくは誘導体などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターおよび少なくとも1種類の表面安定剤を含む、組成物に関する。表面安定剤は、薬物の表面に吸収されるかまたは結合してもよい。一般に、LS104粒子またはその塩もしくは誘導体は、約2000 nm未満の有効平均粒子径を有する。
【0034】
同じキナーゼインヒビター(例えばLS104)の従来の非ナノ粒子状(微結晶性または溶解状態)の製剤と比較した、LS104などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物の利点には以下が含まれるが、これらに限定されない:(1)錠剤および他の固体投与剤形のサイズが小さい;(2)同じ薬理効果を得るのに必要な薬物の用量が少ない;(3)改善された生物学的利用能;(4)改善された薬物動態プロファイル;(5)摂食時と絶食時への投与の際の薬物動態プロファイルが実質的に同等;(6)摂食時と絶食時への投与の際の生物学的同等性;(7)速いナノ粒子状組成物の吸収速度;(8)速い溶解速度;ならびに(9)キナーゼインヒビター組成物を、骨髄増殖症障害、白血病などの癌、および関連する障害、疾患、症状、または条件の治療に有用な他の活性作用物質とともに使用可能である。
【0035】
本発明は、LS104またはその塩もしくは誘導体などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターとともに1種類もしくは複数種類の非毒性の生理学的に許容される担体、補助剤、または溶剤(担体と総称される)を含む、組成物も含む。本組成物は、注射(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下)、固体状、液体状、またはエアゾル状の経口投与、生体接着剤投与、膣内投与、鼻内投与、直腸投与、眼投与、局所投与(粉末、軟膏、またはドロップ)、舌下投与、大槽内投与、腹腔内投与、または局所投与などのために製剤化することができる。
【0036】
任意の薬学的に許容される投与剤形を利用することができるが、いくつかの態様において、本発明の好ましい投与剤形は、注射可能な投与剤形である。いくつかの態様では、注射可能な製剤は、注射される小さな容量中に高濃度のLS140を提供することができる。他の態様では、投与は、薬物のゆっくりした注入ではなく1回の連続的で迅速な注射による、LS140などのキナーゼインヒビターのボーラス注射を含む。
【0037】
例示的な固体投与剤形は、錠剤、カプセル剤、サシェ剤、トローチ剤、粉末剤、丸剤、または顆粒剤を含むが、これらに限定されず、および固体投与剤形は例えば、迅速溶解型の投与剤形、放出制御型の投与剤形、凍結乾燥型の投与剤形、遅延放出型の投与剤形、持続放出型の投与剤形、パルス放出型の投与剤形、即時放出と放出制御の混合型の投与剤形、またはそれらの組み合わせでありうる。固体の錠剤製剤が好ましい。
【0038】
本明細書において本発明は、以下に記載されたおよび本出願の全体に記載された複数の定義を用いて説明される。
【0039】
本明細書で用いる「有効平均粒子径」という表現は、LS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビター粒子の少なくとも50%が、例えば流動場沈降分画法、光子相関分光法、光散乱法、ディスク遠心法、および当業者に既知の他の手法によって測定時に、(重量によって、または体積、数などの他の適切な測定によって)約2000 nm未満の粒子径を有することを意味する。
【0040】
本明細書で用いる「約」は、当業者によって理解され、および使用される文脈において、ある程度、変動する。仮に、使用される文脈において当業者に明らかでなく同表現が使用される場合、「約」は、特定の数値のプラスマイナス10%を意味する。
【0041】
LS104などのナノ粒子状キナーゼインヒビターの安定な粒子に関して本明細書で用いる「安定な」という表現は、以下の1つもしくは複数のパラメータを意味するが、これらに限定されない:(1)粒子が、粒子間の引力のために、評価可能なほどに凝集もしくは凝塊形成しないか、または粒子径が経時的に有意に大きくなること;(2)粒子の物理的構造が非晶相から結晶相への変換などによって経時的に変化しないこと;(3)粒子が化学的に安定なこと;および/または(4)キナーゼインヒビターが、本発明のナノ粒子の作製時において、キナーゼインヒビター粒子の融点以上の温度による加熱過程に供されていないこと。
【0042】
「従来の」または「非ナノ粒子状の」活性作用物質という表現は、可溶化されるか、または約2000 nmを上回る有効平均粒子径を有する活性作用物質を意味する。本明細書で定義されるナノ粒子状の活性作用物質は、約2000 nm未満の有効平均粒子径を有する。
【0043】
本明細書で用いる、「水に対する溶解度が低い薬物」という表現は、水に対する溶解度が約30 mg/ml未満、約20 mg/ml未満、約10 mg/ml未満、または約1 mg/ml未満である薬物を意味する。
【0044】
本明細書で用いる、「治療的有効量」という表現は、治療を必要とする有意な数の対象に投与される薬物が特定の薬理反応を提供する薬物投与量を意味する。特定の状況で特定の対象に投与される治療的有効量の薬物は、そのような投与量が当業者によって治療的有効量であると考えられても、本明細書に記載された条件/疾患の処置に必ずしも常に有効であるとは限らないことは特に重要である。
【0045】
「骨髄増殖性疾患」または「骨髄増殖性障害」という表現は、造血幹細胞またはその子孫細胞から生じる非リンパ性の異形成または腫瘍性の病態を含むことを意味する。「MPD患者」は、MPDであると診断されたことのある患者を含む。「骨髄増殖性疾患」は、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、および特発性骨髄線維症(IMF)を含む、特異的で、分類されたタイプの骨髄増殖性疾患を含むことを意味する。好酸球増多症候群(HES)、慢性好中球性白血病(CNL)、骨髄様化生(MMM)を伴う骨髄線維症、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病、慢性好塩基球性白血病、慢性好酸球性白血病、および全身性肥満細胞症(SM)もこの定義に含まれる。「骨髄増殖性疾患」は、任意の未分類の骨髄増殖性疾患(UMPDまたはMPD-NC)を含むことも意味する。
【0046】
A. 本発明のナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物の特徴
1. 高い生物学的利用能
LS104などの本発明の少なくとも1種類のキナーゼインヒビターを含む本発明の組成物は、同じ非ナノ粒子状のキナーゼインヒビターと比較して、高い生物学的利用能を示すことが想定されている。さらに、本発明の組成物は、同じ薬理効果を達成するために、同じキナーゼインヒビターの従来の非ナノ粒子状製剤と比較して、必要な用量が少なく、かつより小さな錠剤、または他の固体投与剤形のサイズを必要とすることが推定されている。
【0047】
高い生物学的利用能は重要である。なぜならこれは、ナノ粒子状のキナーゼインヒビターの投与剤形が有意に大きな薬物吸収を示す可能性があることを意味するからである。
【0048】
2. 改善された薬物動態プロファイル
本発明は、哺乳動物対象への投与時に望ましい薬物動態プロファイルを有する、LS104などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物も想定している。LS104などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物の望ましい薬物動態プロファイルには以下が含まれるが、これらに限定されない:(1)投与後の哺乳動物対象の血漿における検討の際に、LS104などのキナーゼインヒビターのCmaxが、同じ投与量で投与された同じキナーゼインヒビターの非ナノ粒子状製剤のCmaxより好ましくは大きい;かつ/または(2)投与後の哺乳動物対象の血漿における検討の際に、LS104などのキナーゼインヒビターのAUCが、同じ投与量で投与された同じキナーゼインヒビターの非ナノ粒子状の製剤のAUCより好ましくは大きい;かつ/または(3)投与後の哺乳動物対象の血漿における検討の際に、LS104などのキナーゼインヒビターのTmaxが、同じ投与量で投与された同じキナーゼインヒビターの非ナノ粒子状の製剤のTmaxより好ましくは小さい。本明細書で使用されるような望ましい薬物動態プロファイルは、LS104などのキナーゼインヒビターの初回投与後に測定される薬物動態プロファイルである。
【0049】
1つの態様では、LS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物は、同じ投与量で投与された同じキナーゼインヒビターの非ナノ粒子状製剤との比較薬物動態学的な試験において、非ナノ粒子状のキナーゼインヒビター製剤が示すTmaxの約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下のTmaxを示す。
【0050】
別の態様では、LS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物は、同じ投与量で投与された同じキナーゼインヒビターの非ナノ粒子状製剤との比較薬物動態学的な検討で、非ナノ粒子状のキナーゼインヒビター製剤が示すCmaxより少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%、少なくとも約1100%、少なくとも約1200%、少なくとも約1300%、少なくとも約1400%、少なくとも約1500%、少なくとも約1600%、少なくとも約1700%、少なくとも約1800%、または少なくとも約1900%大きいCmaxを示す。
【0051】
さらに別の態様では、LS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物は、同じ投与量で投与された同じキナーゼインヒビターの非ナノ粒子状製剤との比較薬物動態学的な検討で、非ナノ粒子状のキナーゼインヒビター製剤が示すAUCより少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約650%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、または少なくとも約1200%大きいAUCを示す。
【0052】
本発明の1つの態様では、キナーゼインヒビターのTmaxは、哺乳動物対象の血漿を試験時に約6〜約8時間未満である。本発明の他の態様では、LS104のTmaxは、投与後の約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、または約30分未満である。
【0053】
本明細書で使用される、望ましい薬物動態プロファイルは、LS104などのキナーゼインヒビターの初回投与後に測定される薬物動態プロファイルである。組成物は、本明細書に記載され、および当業者に既知の任意の方法で製剤化することが可能である。
【0054】
3. 本発明のキナーゼインヒビター組成物の薬物動態プロファイルは、組成物を摂取した対象の摂食・絶食状態の影響を受けない
本発明は、キナーゼインヒビターの薬物動態プロファイルが組成物を摂取した対象の摂食状態または絶食状態に実質的に影響されない、LS104などの少なくとも1種類のナノ粒子状キナーゼインヒビターを含む組成物を包含する。これは、摂食状態もしくは絶食状態におけるナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物の投与時に、薬物吸収量(AUC)、薬物吸収速度(Cmax)、またはCmaxに対する時間の長さ(Tmax)に差が実質的にないことを意味する。
【0055】
絶食状態に対して摂食状態での投与の際の本発明のナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物(LS104組成物など)の吸収(AUC)またはCmaxの差は好ましくは、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満である。
【0056】
4. 摂食・絶食時への投与時の本発明のキナーゼインヒビター組成物の生物学的同等性
本発明は、絶食状態の対象への組成物の投与が、摂食状態の対象への組成物の投与と生物学的に同等である、LS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物も包含する。
【0057】
本発明の1つの態様では、本発明は、ナノ粒子状のLS104などのキナーゼインヒビターを含む組成物を包含し、同組成物の、絶食状態の対象への投与は、特に米国食品医薬品局および対応する欧州の規制機関(EMEA)によるCmaxおよびAUCに関するガイドラインによって定義される、摂食状態の対象への組成物の投与と生物学的に同等である。米国FDAのガイドラインでは、2つの製品または方法は、AUCおよびCmaxの90%信頼区間(CI)が0.80〜1.25の場合に生物学的に同等とされる(Tmaxの測定値は、規制目的の生物学的同等性に関しては重要ではない)。欧州のEMEAガイドラインに従って2つの化合物または投与条件間の生物学的同等性を示すためには、AUCの90% CIは0.80〜1.25でなければならず、およびCmaxの90% CIは0.70〜1.43でなければならない。
【0058】
5. 本発明のキナーゼインヒビター組成物の溶解プロファイル
LS104などの、少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターまたはその塩を含む組成物は、予想外に劇的な溶解プロファイルを有することが提唱されている。投与された活性作用物質は速やかに溶解することが好ましい。というのは一般に、溶解が迅速であるほどより大きな生物学的利用能およびより迅速な作用発現につながるからである。キナーゼインヒビターの溶解プロファイルおよび生物学的同等性を改善するためには、薬物の溶解を100%に近いレベルに達成可能なように高めることが有用であると考えられる。
【0059】
LS104などの本発明のキナーゼインヒビター組成物は好ましくは、約5分以内に組成物の少なくとも約20%が溶解する溶解プロファイルを有する。本発明の他の態様では、キナーゼインヒビター組成物の少なくとも約30%または少なくとも約40%が約5分以内に溶解する。本発明のさらに他の態様では、キナーゼインヒビター組成物の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が約10分以内に溶解する。最後に本発明の別の態様では、キナーゼインヒビター組成物の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%が20分以内に溶解する。
【0060】
溶解は好ましくは、識別能のある媒体中で測定される。識別能のある溶解用媒体(dissolution medium)は、胃液中で極めて異なる溶解プロファイルを有する2種類の生成物に関して2つの極めて異なる溶解曲線を生じると考えられる媒体であり;すなわち溶解用媒体は、組成物のインビボにおける溶解を予測可能である。例示的な溶解用媒体は、界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムを0.025 Mの濃度で含む水性媒体である。溶解量は分光光度法で決定することができる。溶解は、回転ブレード法(欧州薬局方)で測定することができる。
【0061】
6. 本発明のキナーゼインヒビター組成物の再分散性
LS104またはその塩もしくは誘導体などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物の他の特徴は、組成物が、再分散したキナーゼインヒビター粒子の有効平均粒子径が約2ミクロン未満となるように再分散することである。投与時に本発明の組成物のキナーゼインヒビターが、実質的にナノ粒子の粒子径まで凝集した、すなわち再分散しなかった場合に、投与剤形が、キナーゼインヒビターをナノ粒子のサイズに製剤化することでもたらされる恩典を失う可能性があるので、このことは重要である。
【0062】
これは、ナノ粒子状の活性作用物質組成物には活性作用物質の粒子径が小さいことによる利益があるためである。仮に活性作用物質が、投与時に小さな粒子径に再分散しないと、ナノ粒子系の極めて高い表面自由エネルギー、および自由エネルギーを全体的に低下させる熱力学的駆動力によって、「クランプ」すなわち凝集した活性作用物質粒子が形成される。このような凝集した粒子の形成によって、投与剤形の生物学的利用能は、ナノ粒子状の活性作用物質の液体分散剤形態を用いて観察される利用能よりも十分に低くまで低下する可能性がある。
【0063】
さらに、LS104などの本発明のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを少なくとも1種類含む組成物は、再分散したキナーゼインヒビター粒子の有効平均粒子径が約2ミクロン未満となるように、生体関連水性媒体中における再構成/再分散によって示されるように、ヒトや動物などの哺乳動物への投与時に、ナノ粒子状のキナーゼインヒビター粒子の十分な再分散を示す。このような生体関連水性媒体は、媒体の生体関連性(biorelevance)の基礎を形成する、望ましいイオン強度およびpHを示す任意の水性媒体でありうる。望ましいpHおよびイオン強度は、人体内に見られる代表的な生理学的条件である。このような生体関連水性媒体は例えば、望ましいpHおよびイオン強度を示す電解質水溶液、または任意の塩、酸、もしくは塩基の水溶液、またはそれらの組み合わせでありうる。
【0064】
生体関連pHは当技術分野で周知である。例えば胃内では、pHの範囲は2よりやや低い(ただし典型的には1より大きい)値から最高4または5である。小腸内では、pHは4〜6の範囲であり、および結腸内では6〜8の範囲である。生体関連イオン強度も当技術分野で周知である。絶食状態の胃液のイオン強度は約0.1 Mであり、絶食状態の腸液のイオン強度は約0.14 Mである。これについては例えば、Lindahl et al.、「Characterization of Fluids from the Stomach and Proximal Jejunum in Men and Women」、Pharm. Res., 14(4):497-502 (1997)を参照されたい。
【0065】
試験溶液のpHおよびイオン強度は、含まれる特定の化学物質の種類より重要であると考えられている。したがって、適切なpHおよびイオン強度の値は、強酸、強塩基、塩、1つまたは複数の共役酸-塩基の対(すなわち弱酸と対応する弱酸の塩)、一塩基および多塩基の電解質などの数多くの組み合わせによって得られる。
【0066】
代表的な電解質溶液は、濃度が約0.001〜約0.1 MのHCl溶液、および濃度が約0.001〜約0.1 MのNaCl溶液、およびそれらの混合物でありうるが、これらに限定されない。例えば電解質溶液は、約0.1 Mまたはこれ未満のHCl、約0.01 Mまたはこれ未満のHCl、約0.001 Mまたはこれ未満のHCl、約0.1 Mまたはこれ未満のNaCl、約0.01 Mまたはこれ未満のNaCl、約0.001 Mまたはこれ未満のNaCl、およびそれらの混合物でありうるが、これらに限定されない。このような電解質溶液のなかで、0.01 MのHClおよび/または0.1 MのNaClが、近位消化管のpHおよびイオン強度の条件のために、最も代表的な絶食時のヒトの生理学的条件である。
【0067】
0.001 MのHCl、0.01 MのHCl、および0.1 MのHClの電解質濃度はそれぞれ、pH 3、pH 2、およびpH 1に対応する。したがって、0.01 MのHCl溶液は胃内の典型的な酸性条件を再現する。0.1 MのNaCl溶液は、消化器液を含む体の全体で見出されるイオン強度条件の妥当な近似を提供するが、0.1 Mより高い濃度を使用して、ヒトのGI管内の摂食条件を再現することができる。
【0068】
望ましいpHおよびイオン強度を示す、塩、酸、塩基、またはそれらの組み合わせの例示的な溶液は、リン酸/リン酸塩+ナトリウム、カリウム、およびカルシウムの塩化物塩、酢酸/酢酸塩+ナトリウム、カリウム、およびカルシウムの塩化物塩、炭酸/重炭酸塩+ナトリウム、カリウム、およびカルシウムの塩化物塩、ならびにクエン酸/クエン酸塩+ナトリウム、カリウム、およびカルシウムの塩化物塩を含むが、これらに限定されない。
【0069】
本発明の他の態様では、LS104またはその塩もしくは誘導体などのキナーゼインヒビターの再分散粒子(水中、生体関連媒体中、または任意の適切な再分散媒体中に再分散)は、光散乱法、顕微鏡法、または他の適切な方法による測定時に、約1900 nm未満、約1800 nm未満、約1700 nm未満、約1600 nm未満、約1500 nm未満、約1400 nm未満、約1300 nm未満、約1200 nm未満、約1100 nm未満、約1000 nm未満、約990 nm未満、約980 nm未満、約970 nm未満、約960 nm未満、約950 nm未満、約940 nm未満、約930 nm未満、約920 nm未満、約910 nm未満、約900 nm未満、約890 nm未満、約880 nm未満、約870 nm未満、約860 nm未満、約850 nm未満、約840 nm未満、約830 nm未満、約820 nm未満、約810 nm未満、約800 nm未満、約790 nm未満、約780 nm未満、約770 nm未満、約760 nm未満、約750 nm未満、約740 nm未満、約730 nm未満、約720 nm未満、約710 nm未満、約700 nm未満、約690 nm未満、約680 nm未満、約670 nm未満、約660 nm未満、約650 nm未満、約640 nm未満、約630 nm未満、約620 nm未満、約610 nm未満、約600 nm未満、約590 nm未満、約580 nm未満、約570 nm未満、約560 nm未満、約550 nm未満、約540 nm未満、約530 nm未満、約520 nm未満、約510 nm未満、約500 nm未満、約490 nm未満、約480 nm未満、約470 nm未満、約460 nm未満、約450 nm未満、約440 nm未満、約430 nm未満、約420 nm未満、約410 nm未満、約400 nm未満、約390 nm未満、約380 nm未満、約370 nm未満、約360 nm未満、約350 nm未満、約340 nm未満、約330 nm未満、約320 nm未満、約310 nm未満、約300 nm未満、約290 nm未満、約280 nm未満、約270 nm未満、約260 nm未満、約250 nm未満、約240 nm未満、約230 nm未満、約220 nm未満、約210 nm未満、約200 nm未満、約190 nm未満、約180 nm未満、約170 nm未満、約160 nm未満、約150 nm未満、約140 nm未満、約130 nm未満、約120 nm未満、約110 nm未満、約100未満、約75 nm未満、または約50 nm未満の有効平均粒子径を有する。有効平均粒子径の測定に適したこのような方法は、当業者に既知である。
【0070】
再分散性は、当技術分野で既知の任意の適切な手段で検討可能である。これについては例えば、「Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」と題する米国特許第6,375,986号の実施例セクションを参照されたい。
【0071】
7. 他の活性作用物質とともに使用されるナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物
LS104またはその塩もしくは誘導体などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物には、白血病などの癌または他の関連する疾患、障害、条件、もしくは症状の治療に有用な1種類もしくは複数種類の化合物を追加的に含めることができ、あるいはキナーゼインヒビター組成物を、このような化合物とともに投与することができる。LS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物は、Gleevec(登録商標)などの他のキナーゼインヒビターと、現行の標準的な化学療法、骨髄移植などを組み合わせて使用する広い機会を提供する可能性がある。
【0072】
B. ナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物
本発明は、LS104などの少なくとも1種類のキナーゼインヒビター、またはその塩もしくは誘導体の粒子、および少なくとも1つの表面安定剤を含む組成物を提供する。表面安定剤は好ましくは、LS104粒子の表面に吸収されるか、または同表面に結合する。特に表面安定剤は、ナノ粒子状のキナーゼインヒビターの表面に物理的に吸収されうるか、または同表面に結合しうるが、理想的にはキナーゼインヒビター(LS104など)の粒子またはそれ自体とは化学的に反応しない。表面安定剤の個々の吸収される分子は、分子間架橋を本質的に含まない。
【0073】
本発明はまた、LS104などのキナーゼインヒビター(またはその塩もしくは誘導体)の組成物とともに、1つもしくは複数の非毒性の生理学的に許容される担体、補助剤、または溶剤(担体と総称される)も含む。組成物は、注射(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下)用に、固体状、液体状、またはエアロゾル状の経口投与用、膣内投与用、鼻内投与用、直腸内投与用、眼内投与用、局所投与用(粉末、軟膏、またはドロップ)、舌下投与用、大槽内投与用、腹腔内投与用、または局所投与用などに製剤化することができる。
【0074】
1. キナーゼインヒビター粒子
本発明の組成物は、LS104などの少なくとも1種類のキナーゼインヒビターまたはその塩もしくは誘導体の粒子を含む。粒子は、結晶相、半結晶相、非晶相、半非晶相、またはそれらの混合物中に存在し得る。
【0075】
2. 表面安定剤
LS104などのキナーゼインヒビターに対する表面安定剤の選択は重要である。したがって本発明は、ナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物が作製可能であるという驚くべき発見に関する。
【0076】
本発明では、複数の表面安定剤の組み合わせを使用可能である。本発明に使用可能な有用な表面安定剤は、既知の有機および無機の薬学的賦形剤を含むが、これらに限定されない。このような賦形剤は、さまざまなポリマー、低分子量オリゴマー、天然物、および界面活性剤を含む。例示的な表面安定剤は、非イオン性およびイオン性(例えば陰イオン性、陽イオン性、および両性イオン性)の界面活性剤または化合物を含む。
【0077】
表面安定剤の代表例は、ヒト血清アルブミンおよびウシアルブミンを非限定的に含むアルブミン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(現在はヒプロメロースとして知られる)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween 20(登録商標)やTween 80(登録商標)などの市販のTween(登録商標)製品(ICI Speciality Chemicals));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowaxs 3550(登録商標)および934(登録商標)(Union Carbide))、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド状二酸化シリコン、リン酸塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを含む4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオン(superione)、およびトライトン(triton)としても知られる)、ポロキサマー(例えば、酸化エチレンと酸化プロピレンのブロックコポリマーであるPluronics F68(登録商標)およびF108(登録商標));ポロキサミン(例えば、エチレンジアミンへの酸化プロピレンおよび酸化エチレンの逐次付加に由来する四官能性のブロックコポリマーである、Poloxamine 908(登録商標)としても知られるTetronic 908(登録商標)(BASF Wyandotte Corporation, Parsippany, N.J.);Tetronic 1508(登録商標)(T-1508)(BASF Wyandotte Corporation)、スルホン酸アルキルアリールポリエーテルであるTritons X-200(登録商標)(Rohm and Haas);ステアリン酸ショ糖とジステアリン酸ショ糖の混合物であるCrodestas F-110(登録商標)(Croda Inc.);Olin-10G(登録商標)またはSurfactant 10-G(登録商標)(Olin Chemicals, Stamford, CT)としても知られるp-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール);Crodestas SL-40(登録商標)(Croda, Inc.);ならびにC18H37CH2(CON(CH3)-CH2(CHOH)4(CH2OH)2であるSA9OHCO(Eastman Kodak Co.);デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシルβ-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;PEG-リン脂質、PEG-コレステロール、PEG-コレステロール誘導体、PEG-ビタミンA、PEG-ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのランダムコポリマーなどを含む。
【0078】
望ましいならば、本発明のLS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物を、リン脂質を含まないように製剤化することができる。
【0079】
有用な陽イオン性表面安定剤の例は、ポリマー、生体高分子、多糖類、セルロース誘導体、アルギン酸塩、リン脂質、および両性イオン性安定剤などの非ポリマー化合物、ポリ-n-メチルピリジニウム、アンスリルピリジニウムクロライド、陽イオン性リン脂質、キトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、ならびにポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートのジメチル硫酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0080】
他の有用な陽イオン性安定剤は、陽イオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、ならびにステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロライドブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライドブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロライド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドブロミド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロライドブロミド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロライド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロライド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル-トリメチルアンモニウム塩、およびジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロライド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド一水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロライドおよびドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12, C15, C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロライド、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(ALIQUAT 336(商標))、POLYQUAT 10(商標)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミドなどの四級アンモニウム化合物、コリンエステル(脂肪酸のコリンエステルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物(塩化ステアリルトリモニウムや塩化ジ-ステアリルジモニウムなど)、セチルピリジニウムブロミドまたはクロライド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、MIRAPOL(商標)およびALKAQUAT(商標)(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、およびビニルピリジンなどのアミン、酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、およびアルキルイミダゾリウム塩などのアミン塩、ならびにアミンオキシド;イミドアゾリニウム塩;プロトン化四級アクリルアミド;ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロライド]およびポリ-[N-メチルビニルピリジニウムクロライド]などのメチル化四級ポリマー;ならびにカチオン化グアーを含むが、これらに限定されない。
【0081】
このような例示的な陽イオン性表面安定剤、および他の有用な陽イオン性表面安定剤は、J. Cross and E. Singer, Cationic Surfactants: Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker, 1994);P. and D. Rubingh (Editor), Cationic Surfactants: Physical Chemistry (Marcel Dekker, 1991);およびJ. Richmond, Cationic Surfactants: Organic Chemistry, (Marcel Dekker, 1990)に記載されている。
【0082】
非ポリマー性の表面安定剤は、塩化ベンザルコニウム、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物などの任意の非ポリマー化合物、陽イオン性有機金属化合物、四級亜リン酸化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、一級アンモニウム化合物、二級アンモニウム化合物、三級アンモニウム化合物、および化学式NR1R2R3R4(+)で表される四級アンモニウム化合物である。式NR1R2R3R4(+)で表される化合物は以下のような化合物である:
(i)R1〜R4がCH3ではないか;
(ii)R1〜R4の1つがCH3であるか;
(iii)R1〜R4の3つがCH3であるか;
(iv)R1〜R4の全てがCH3であるか;
(v)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、およびR1〜R4の1つが7個もしくは7個未満の炭素原子のアルキル鎖であるか;
(vi)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、およびR1〜R4の1つが19個もしくは19個以上の炭素原子のアルキル鎖であるか;
(vii)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つが官能基C6H5(CH2)n(n>1)であるか;
(viii)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、およびR1〜R4の1つが少なくとも1個のヘテロ原子を含むか;
(ix)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、およびR1〜R4の1つが少なくとも1個のハロゲンを含むか;
(x)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、およびR1〜R4の1つが少なくとも1個の環状断片を含むか;
(xi)R1〜R4の2つがCH3であり、およびR1〜R4の1つがフェニル環であるか;または
(xii)R1〜R4の2つがCH3であり、およびR1〜R4の2つが純粋な脂肪族断片である。
【0083】
このような化合物は、塩化ベヘナルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、フッ化水素酸セチルアミン、クロルアリルメテナミンクロライド(Quaternium-15)、ジステアリルジモニウムクロライド(Quaternium-5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロライド(Quaternium-14)、Quaternium-22、Quaternium-26、Quaternium-18ヘクトライト、塩酸ジメチルアミノエチルクロライド、塩酸システイン、リン酸ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテル、リン酸ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテル、タロウアルコニウムクロライド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、塩化ステアラルコニウム、臭化ドミフェン、安息香酸デナトニウム、塩化ミリスタルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、エチレンジアミンジヒドロクロライド、塩酸グアニジン、塩酸ピリドキシン、塩酸イオフェタミン、塩酸メグルミン、メチルベンゼトニウムクロライド、ミトリモニウムブロミド、オレイルトリモニウムクロライド、ポリクオタニウム-1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオライド、タロウトリモニウムクロライド、およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを含むが、これらに限定されない。
【0084】
いくつかの態様では表面安定剤を、コポピドン(copopidone)(例えば、酢酸ビニルとビニルピロリドンのランダムコポリマーであるPlasdone S630)、および/またはドキュセートナトリウムとすることができる。
【0085】
表面安定剤は市販されているか、および/または当技術分野で既知の手法で作製することができる。表面安定剤の多くは既知の薬学的賦形剤であり、かつAmerican Pharmaceutical AssociationとThe Pharmaceutical Society of Great Britainによって共同出版され、特異的に参照により本明細書に組み入れられる、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(The Pharmaceutical Press, 2000)に詳細に記載されている。
【0086】
3. 他の薬学的賦形剤
本発明の薬学的組成物は、1つもしくは複数の結合剤、充填剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の賦形剤を含んでもよい。このような賦形剤は当技術分野で既知である。
【0087】
充填剤の例には、乳糖一水和物、無水乳糖、およびさまざまなデンプンが含まれ;結合剤の例には、さまざまなセルロース、および架橋ポリビニルピロリドン、Avicel(登録商標) PH101やAvicel(登録商標) PH102などの微結晶セルロース、ならびにケイ化微結晶セルロース(ProSolv SMCC(商標))が含まれる。
【0088】
圧縮される粉末の流動性に作用する作用物質を含む適切な潤滑剤には、Aerosil(登録商標) 200などのコロイド状二酸化シリコン、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびシリカゲルが含まれうる。
【0089】
甘味剤の例には、ショ糖、キシリトール、サッカリンナトリウム、チクロ、アスパルテーム、およびアセスルファムなどの任意の天然または人工の甘味剤である。香味剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、風船ガム香料、および果実フレーバーなどが含まれうる。
【0090】
保存剤の例には、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびこの塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコールやベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、または塩化ベンザルコニウムなどの四級化合物が含まれる。
【0091】
適切な希釈剤は、微結晶セルロース、乳糖、リン酸水素二カルシウム、糖類、および/または前述の任意の混合物などの、薬学的に許容される不活性な充填剤を含む。希釈剤の例は、Avicel(登録商標) PH101やAvicel(登録商標) PH102などの微結晶セルロース;乳糖一水和物、無水乳糖、およびPharmatose(登録商標) DCL21などの乳糖;Emcompress(登録商標)などのリン酸水素二カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;ショ糖;ならびにグルコースを含む。
【0092】
適切な崩壊剤は、軽度に架橋されたポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および化工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリコール酸デンプンナトリウム、およびそれらの混合物を含む。
【0093】
発泡剤の例には、有機酸および炭酸塩または重炭酸塩などの発泡性結合化合物(effervescent couple)である。適切な有機酸は例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、およびアルギン酸、ならびに無水物および酸性塩が含まれる。適切な炭酸塩および重炭酸塩は例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸グリシンナトリウム、炭酸L-リシン、および炭酸アルギニンを含む。あるいは、発泡結合化合物の重炭酸ナトリウム成分のみが存在してもよい。
【0094】
4. ナノ粒子状のキナーゼインヒビターの粒子径
本発明の組成物は、光散乱法、顕微鏡法、または他の適切な方法による測定時に、約2000 nm(すなわち2ミクロン)、約1900 nm未満、約1800 nm未満、約1700 nm未満、約1600 nm未満、約1500 nm未満、約1400 nm未満、約1300 nm未満、約1200 nm未満、約1100 nm未満、約1000 nm未満、約990 nm未満、約980 nm未満、約970 nm未満、約960 nm未満、約950 nm未満、約940 nm未満、約930 nm未満、約920 nm未満、約910 nm未満、約900 nm未満、約890 nm未満、約880 nm未満、約870 nm未満、約860 nm未満、約850 nm未満、約840 nm未満、約830 nm未満、約820 nm未満、約810 nm未満、約800 nm未満、約790 nm未満、約780 nm未満、約770 nm未満、約760 nm未満、約750 nm未満、約740 nm未満、約730 nm未満、約720 nm未満、約710 nm未満、約700 nm未満、約690 nm未満、約680 nm未満、約670 nm未満、約660 nm未満、約650 nm未満、約640 nm未満、約630 nm未満、約620 nm未満、約610 nm未満、約600 nm未満、約590 nm未満、約580 nm未満、約570 nm未満、約560 nm未満、約550 nm未満、約540 nm未満、約530 nm未満、約520 nm未満、約510 nm未満、約500 nm未満、約490 nm未満、約480 nm未満、約470 nm未満、約460 nm未満、約450 nm未満、約440 nm未満、約430 nm未満、約420 nm未満、約410 nm未満、約400 nm未満、約390 nm未満、約380 nm未満、約370 nm未満、約360 nm未満、約350 nm未満、約340 nm未満、約330 nm未満、約320 nm未満、約310 nm未満、約300 nm未満、約290 nm未満、約280 nm未満、約270 nm未満、約260 nm未満、約250 nm未満、約240 nm未満、約230 nm未満、約220 nm未満、約210 nm未満、約200 nm未満、約190 nm未満、約180 nm未満、約170 nm未満、約160 nm未満、約150 nm未満、約140 nm未満、約130 nm未満、約120 nm未満、約110 nm未満、約100未満、約75 nm未満、または約50 nm未満の有効平均粒子径を有するLS104(またはその塩もしくは誘導体)などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターの粒子を含む。
【0095】
「約2000 nm未満の有効平均粒子径」という表現は、LS104などのキナーゼインヒビター粒子の少なくとも50%が、重量比で(または他の適切な測定法で、体積、数などで)有効平均未満の粒子径、すなわち上記の手法で測定時に約2000 nm未満、1900 nm未満、1800 nm未満などを有することを意味する。本発明の他の態様では、LS104などのキナーゼインヒビターの粒子の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%は、有効平均未満の粒子径、すなわち約2000 nm未満、1900 nm未満、1800 nm未満、1700 nm未満などを有する。
【0096】
本発明では、LS104組成物などのナノ粒子状のキナーゼインヒビターのD50の値は、重量比でキナーゼインヒビターの粒子の50%未満が含まれる粒子径である。同様にD90は、重量比でキナーゼインヒビター粒子の90%未満が含まれる粒子径である。
【0097】
5. キナーゼインヒビター受容体アンタゴニストおよび表面安定剤の濃度
LS104またはその塩もしくは誘導体などのキナーゼインヒビターおよび1種類もしくは複数種類の表面安定剤の相対量は変動する。個々の成分の最適量は例えば、選択されるキナーゼインヒビターの種類、親水親油バランス(HLB)、融点、および安定剤の水溶液の表面張力などに依存しうる。
【0098】
キナーゼインヒビター(LS104など)の濃度は、他の賦形剤を含まないキナーゼインヒビターおよび少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量に基づいて、重量比で約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、または約90%〜約0.5%で存在しうる。
【0099】
少なくとも1種類の表面安定剤の濃度は、他の賦形剤を含まないキナーゼインヒビターおよび少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量に基づいて、重量比で約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、または約10%〜約99.5%で存在しうる。
【0100】
6. 例示的なナノ粒子状のLS104の錠剤製剤
複数の例示的なLS104の錠剤製剤を以下に示す。これらの例は、添付の特許請求の範囲をいかなる点においても制限する意図はなく、むしろ、本発明の方法で利用可能なLS104の例示的な錠剤製剤を提供するものである。このような例示的な錠剤には、コーティング剤を含めることもできる。


【0101】
7. 例示的な注射可能なナノ粒子状LS104製剤
本発明は、低注射容量に高濃度の薬物を含めることが可能な、投与時に薬物が迅速に溶解する、LS104などの少なくとも1種類のナノ粒子状小分子キナーゼインヒビターを含む注射可能な組成物を提供する。加えて、本発明のLS104などの注射可能なナノ粒子状のキナーゼインヒビターの製剤は、ポリオキシル60水素化ヒマシ油(HCO-60)などの可溶化剤を使用する必要がない。例示的な注射可能な組成物は、以下を%w/wで含む。
LS104などの小分子の合成キナーゼインヒビター:5〜50%
ポピドンポリマー:0.1〜50%
保存剤:0.05〜0.25%
pH調整剤:約6〜約7のpH
注射用水:適量
【0102】
例示的な保存剤は、メチルパラベン(%w/wで約0.18%)、プロピルパラベン(%w/wで約0.02%)、フェノール(%w/wで約0.5%)、およびベンジルアルコール(最高2% v/v)を含む。例示的なpH調整剤は水酸化ナトリウムであり、例示的な液体担体は注射用滅菌水である。他の有用な保存剤、pH調整剤、および液体担体は、当技術分野で周知である。
【0103】
C. ナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物の作製法
LS104(またはその塩もしくは誘導体)などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物は、例えば粉砕(milling)または磨砕(attrition)(湿式粉砕を含むがこれに限定されない)、均一化、沈殿、凍結、テンプレートエマルジョン法、超臨界流体法、ナノエレクトロスプレー法、またはこれらの任意の組み合わせによって作製することができる。ナノ粒子状の組成物の例示的な作製法は、684号特許に記載されている。ナノ粒子状の組成物の作製法は、いずれも特異的に参照により組み入れられる、「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」と題する米国特許第5,518,187号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」と題する米国特許第5,718,388号;「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」と題する米国特許第5,862,999号;「Co-Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」と題する米国特許第5,665,331号;「Co-Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」と題する米国特許第5,662,883号;「Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents」と題する米国特許第5,560,932号;「Process of Preparing X-Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」と題する米国特許第5,543,133号;「Method of Preparing Stable Drug Nanoparticles」と題する米国特許第5,534,270号;「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」と題する米国特許第5,510,118号;「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」と題する米国特許第5,470,583号にも記載されている。
【0104】
結果として得られるナノ粒子状のキナーゼインヒビターの組成物または分散剤は、注射可能な形態、液体分散剤、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、放出制御型の製剤、即時溶解型の製剤、凍結乾燥型の製剤、錠剤、カプセル剤、遅延放出型の製剤、持続放出型の製剤、パルス放出型の製剤、即時放出と放出制御の混合型製剤などの、固体または液体の剤形に使用することができる。
【0105】
1. ナノ粒子状キナーゼインヒビターの分散剤を得るための粉砕
LS104などのキナーゼインヒビターまたはその塩もしくは誘導体を粉砕してナノ粒子状のキナーゼインヒビター分散剤を得る方法には、キナーゼインヒビター粒子を、キナーゼインヒビターがほとんど溶解しない液体分散媒中に分散させた後に、粉砕媒体(grinding media)の存在下で機械的手段を加えて、キナーゼインヒビターの粒子径を望ましい有効平均粒子径に減少させる段階が含まれる。分散媒は例えば、水、ベニバナ油、エタノール、t-ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン、またはグリコールでありうる。一部の態様において、好ましい分散媒は水である。
【0106】
キナーゼインヒビター粒子は、その径を、少なくとも1つの表面安定剤の存在下で減少させることが可能である。あるいは、キナーゼインヒビター粒子に、磨砕後に1つもしくは複数の表面安定剤を接触させることができる。希釈剤などの他の化合物を、粒子径減少過程中にキナーゼインヒビター/表面安定剤組成物に添加することができる。分散液は連続的に、またはバッチモードで作製することができる。
【0107】
粉砕媒体は、ポリマー樹脂またはコポリマー樹脂から本質的になる、好ましくは実質的に球形状の粒子、例えばビーズを含むことができる。または粉砕媒体は、同媒体に吸着するポリマー樹脂またはコポリマー樹脂のコーティングが施されたコアを含むことができる。
【0108】
一般に、適切なポリマー樹脂またはコポリマー樹脂は、化学的および物理的に不活性であり、実質的に金属、溶媒、および単量体を含まず、ならびに粉砕中の薄片化または破砕の回避を可能とする十分な硬度および摩損度を有する。適切なポリマー樹脂またはコポリマー樹脂は、ジビニルベンゼンによって架橋されたポリスチレンなどの架橋ポリスチレン;スチレンコポリマー;ポリカーボネート;Delrin(商標)(E.I. du Pont de Nemours and Co.)などのポリアセタール;塩化ビニルのポリマーおよびコポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;ポリ(テトラフルオロエチレン)、例えばTeflon(登録商標)(E.L du Pont de Nemours and Co.)、および他のフッ素ポリマー;高密度ポリエチレン;ポリプロピレン;セルロースエーテル、および酢酸セルロースなどのエステル;ポリヒドロキシメタクリレート;ポリヒドロキシエチルアクリレート;ならびにポリシロキサンなどのシリコーン含有ポリマーなどを含む。ポリマーは生分解性であってもよい。例示的な生分解性ポリマーまたはコポリマーは、ポリ(ラクチド)、ラクチドとグリコリドのポリ(グリコリド)コポリマー、ポリ無水物、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(N-アシルヒドロキシプロリン)エステル、ポリ(N-パルミトイルヒドロキシプロリン)エステル、エチレン-ビニルアセテートのコポリマー、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、およびポリ(ホスファゼン)を含む。生分解性ポリマーまたはコポリマーの場合、媒体そのものからの混入物は、有利にはインビボで、体内から除去され得る生物学的に許容される生成物に代謝され得る。
【0109】
粉砕媒体は好ましくは約0.01〜約3 mmの径を有する。微細な粉砕の場合は、粉砕媒体は好ましくは約0.02〜約2 mmの径であり、より好ましくは約0.03〜約1 mmの径である。
【0110】
ポリマーまたはコポリマーの樹脂は、密度約0.8〜約3.0 g/cm3とすることができる。
【0111】
好ましい粉砕過程では、粒子は連続的に作製される。このような方法は、本発明の組成物を粉砕容器内に連続的に導入する段階、容器内で本発明の組成物の粒子径を減少させながら本発明の組成物に粉砕媒体を接触させる段階、および本発明のナノ粒子状組成物を粉砕容器から連続的に除去する段階を含む。
【0112】
粉砕媒体は、単純な濾過、メッシュフィルターやスクリーンによるふるいなどによる第2の過程において、粉砕されたナノ粒子状組成物から、従来の分離法で分離される。遠心分離などの他の分離法を使用することもできる。
【0113】
2. ナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物を得るための沈殿法
LS104などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターまたはその塩もしくは誘導体を含む望ましい組成物を作製する別の方法は、ミクロ沈殿法(microprecipitation)である。これは、溶解度の低い活性作用物質の安定な分散液を、任意の微量の毒性溶媒または可溶化した重金属不純物を含まない1つもしくは複数の表面安定剤、および1つもしくは複数のコロイドの安定性を高める表面活性作用物質の存在下で作製する方法である。このような方法は例えば、以下の段階を含む:(1)キナーゼインヒビターを適切な溶媒に溶解する段階;(2)段階(1)で得られた製剤を、少なくとも1つの表面安定剤を含む溶液に添加する段階;および(3)段階(2)に由来する製剤を、適切な非溶媒を使用して沈殿させる段階。この方法には、形成された任意の塩(存在する場合)の透析またはダイアフィルトレーションによる除去、および従来の手段による分散液の濃縮を続けることができる。
【0114】
3. ナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物を得るための均一化
活性作用物質であるナノ粒子状組成物を作製する例示的な均一化の方法は、「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles.」と題する米国特許第5,510,118号に記載されている。このような方法は、LS104(またはその塩もしくは誘導体)の粒子を液体分散媒中に分散させた後に、分散させて均一化して、キナーゼインヒビターの粒子径を望ましい有効平均粒子径に減ずる段階を含む。粒子は、その径を、少なくとも1つの表面安定剤の存在下で減ずることができる。またはキナーゼインヒビター粒子に1つもしくは複数の表面安定剤を、磨砕の前または後のいずれかにおいて接触させることができる。希釈剤などの他の化合物を、キナーゼインヒビター/表面安定剤組成物に、径減少過程前、径減少過程中、径減少過程後のいずれかにおいて添加することができる。分散剤は連続的に、またはバッチモードで作製することができる。
【0115】
4. ナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物を得るための低温法
LS104などの望ましいナノ粒子状のキナーゼインヒビター(またはその塩もしくは誘導体)の組成物を形成する別の方法は、液体中への噴霧凍結(spray freezing into liquid; SFL)である。この手法では、有機溶液または有機性水溶液のキナーゼインヒビターを安定剤とともに、液体窒素などの低温液体中に注入する。LS104溶液の液滴は、結晶化および粒子成長を最小化するために、ひいてはナノ構造を有するLS104粒子を製剤化するのに十分な速度で凍結する。溶媒系および処理条件の選択に依存して、ナノ粒子状のキナーゼインヒビター粒子は、さまざまな粒子形態を取り得る。分離段階では、窒素および溶媒が、キナーゼインヒビター粒子の凝集または成長を避ける条件で除去される。
【0116】
SFLを補う手法として、超高速凍結法(URF)で、表面積の極めて大きい同等のナノ構造を有するキナーゼインヒビター粒子を作製することもできる。URFは、キナーゼインヒビターの有機溶液または有機水溶液を、低温基質上の安定剤とともに含む。
【0117】
5. ナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物を得るためのエマルジョン法
LS104などの望ましいナノ粒子状のキナーゼインヒビターの組成物を形成する別の方法は、テンプレートエマルジョン法である。テンプレートエマルジョン法では、粒子径の分布および速やかな溶解挙動が制御された、ナノ構造を有するキナーゼインヒビターまたは誘導体の粒子が作製される。この方法は、作製後にキナーゼインヒビターおよび安定剤を含む非水溶液によって膨潤する水中油型のエマルジョンを含む。キナーゼインヒビターの粒子径の分布は、この過程で制御可能かつ最適化可能な特性をキナーゼインヒビターに付与する前のエマルジョン液滴のサイズの直接的な結果である。さらに、溶媒および安定剤を選択的に使用することで、エマルジョンの安定性がオストワルド成長なしに、またはオストワルド成長を抑えながら達成される。続いて溶媒および水が除去され、ならびに安定化されたナノ構造を有するキナーゼインヒビター粒子が回収される。さまざまなキナーゼインヒビター粒子の形状は、処理条件を適切に制御することで達成可能である。
【0118】
6. ナノ粒子を作製する超臨界流体法
ナノ粒子状組成物は、超臨界流体を使用する方法で作製することもできる。このような方法では、LS104などのキナーゼインヒビターを、少なくとも1種類の表面安定剤も含み得る溶液または溶剤に溶解させる。溶液および超臨界流体を次に、粒子形成容器内に同時に導入する。仮に表面安定剤が事前に容器に添加されていない場合は、粒子形性容器内に添加することができる。温度および圧力は、溶剤の分散および抽出が超臨界流体の作用によって実質的に同時に行われるように制御される。超臨界流体として有用であると文献に記載されている試薬は、二酸化炭素、酸化窒素、六フッ化硫黄、キセノン、エチレン、クロロトリフルオロメタン、エタン、およびトリフルオロメタンを含む。
【0119】
ナノ粒子を作製する既知の超臨界法の例には、1997年4月24日に公開されたPaceらによる国際特許出願WO 97/144407が含まれ、これは、化合物を溶液中に溶解させ、次に溶液を適切な表面安定剤の存在下で圧縮ガス、液体、または超臨界流体中に噴霧することで調製された、100 nm〜300 nmの平均径を有する水不溶性の生物学的活性化合物の粒子について言及している。
【0120】
同様に、Cooperらによる米国特許第6,406,718号には、超臨界流体と、溶液中または懸濁物中の少なくともプロピオン酸フルチカゾンを含む溶剤を、溶剤の分散および抽出が超臨界流体の作用によって実質的に同時に生じるように、温度および圧力が制御された粒子形成容器内に同時に導入する段階を含む、粒子状のプロピオン酸フルチカゾン生成物を形成させる方法が記載されている。超臨界流体として有用であると文献に記載された試薬は、二酸化炭素、酸化窒素、六フッ化硫黄、キセノン、エチレン、クロロトリフルオロメタン、エタン、およびトリフルオロメタンを含む。超臨界流体には任意で、メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、またはこれらの任意の混合物などの1種類もしくは複数種類の修飾剤を含めることができる。超臨界流体修飾剤(または共溶媒)は、超臨界流体への添加時に、臨界点または臨界点付近における超臨界流体の内因性の特性を変化させる試薬である。Cooperらによれば、超臨界流体を使用して作製されたプロピオン酸フルチカゾンの粒子は、1〜10ミクロン、好ましくは1〜5ミクロンの範囲の粒子径を有する。
【0121】
7. ナノ粒子状の組成物を得るためのナノエレクトロスプレー法
エレクトロスプレーイオン化法では、液体が、極めて小さな荷電性の通常は金属製のキャピラリを通して押し出される。この液体は、通常は解析対象物より揮発性がはるかに高い多量の溶媒中に溶解した望ましい物質、例えばキナーゼインヒビター(「解析対象物」)を含む。揮発性の酸、塩基、または緩衝液が、この溶液に添加されることもある。解析対象物は、プロトン化した状態か、または陰イオンのいずれかの状態で、溶液中にイオンとして存在する。同じ電荷は反発するので、液体は、それ自体をキャピラリから押し出し、幅が約10 μmの小さな液滴のミストまたはエアロゾルを生成する。このエアロゾル液滴のジェットは少なくとも部分的には、テイラーコーンおよび同コーンの先端に由来するジェットの形成を含む過程によって生じる。場合によっては、窒素ガスなどの中性担体ガスが、液体を容易に霧状にするために、および小さな液滴中の中性溶媒を容易に蒸発させるために使用される。小さな液滴が蒸発して空気中に浮遊すると、荷電性の解析対象物の分子は強制的に接近させられる。液滴は、類似の荷電性分子が接近すると不安定となり、液滴は再び解離する。これはクーロン分裂と呼ばれる。なぜなら、これは荷電性の解析対象物分子間に作用する反発性のクーロン力だからである。この過程そのものは、解析対象物が溶媒を含まなくなって孤立したイオンとなるまで繰り返される。
【0122】
ナノ技術では、エレクトロスプレー法で1個の粒子を、例えばキナーゼインヒビターの粒子の表面に沈着させることができる。これは、コロイドを噴霧して、1個の液滴あたり平均して最高1個の粒子が確実に吹き付けられることで達成される。これに続く、周囲の溶媒の乾燥によって望ましいタイプの1種類の粒子のエアロゾル流が生じる。この場合、過程のイオン化特性は本出願に重要ではないが、粒子の電気集塵に利用することができる。
【0123】
D. 本発明のナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物の使用法
本発明は、対象におけるLS104(またはその塩もしくは誘導体)などのキナーゼインヒビターの生物学的利用能を高める(例えば血漿レベルを高める)方法を提供する。このような方法は、ナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む有効量の組成物を対象に経口投与する段階を含む。
【0124】
本発明の1つの態様では、LS104などのナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物は、標準的な薬物動態の慣行に準じて、従来の投与剤形より約50%大きい、約40%大きい、約30%大きい、約20%大きい、または約10%大きい生物学的利用能を示すことが推定されている。
【0125】
本発明の別の態様では、標準的な薬物動態の慣行に準じて絶食状態の対象において検討される際、組成物は、組成物の初回投与後の約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、または約30分未満に最大血漿濃度のプロファイルを生じることが提唱されている。
【0126】
本発明の組成物は、癌などの細胞増殖性疾患、例えばCMLやALLなどの白血病、ならびにPV、ET、およびIMFなどの骨髄増殖性疾患の治療に有用な可能性がある。
【0127】
LS104(またはその塩もしくは誘導体)などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む、本発明の組成物は、経口、直腸内、眼内、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、もしくは皮下)、大槽内、肺内、膣内、腹腔内、局所(例えば、粉末、軟膏、もしくはドロップ)を含むが、これらに限定されない、任意の従来の手段で、または舌下もしくは鼻内スプレーとして対象に投与可能である。一部の態様において、非経口投与が好ましい。本明細書で用いる、「対象」という表現は、動物、好ましくはヒトまたは非ヒトを含む哺乳動物を意味するように使用される。患者および対象という表現は互換的に使用されうる。
【0128】
非経口的な注射に適した組成物は、生理学的に許容される無菌性の水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液、および無菌性の注射液もしくは分散液に再生するための無菌性粉末を含みうる。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒の例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、これらの適切な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルを含む。適切な流動性は例えば、レシチンなどのコーティング剤を使用することで、分散剤の場合は必要な粒子径を維持することで、および界面活性剤を使用することで維持することができる。
【0129】
LS104(またはその塩もしくは誘導体)などの少なくとも1種類のナノ粒子状のキナーゼインヒビターを含む組成物には、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの補助剤を含めることもできる。微生物の成長は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの、さまざまな抗菌剤および抗真菌剤によって確実に防ぐことができる。糖や塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが望ましい場合もある。注射可能な薬学的剤形の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムやゼラチンなどの遅延吸収剤を使用することで実現可能である。
【0130】
経口投与用の固体投与剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、および顆粒剤を含むが、これらに限定されない。このような固体投与剤形では、活性作用物質が、以下の少なくとも1つと混合される:(a)クエン酸ナトリウムや第二リン酸カルシウムなどの1つもしくは複数の不活性賦形剤(または担体);(b)デンプン、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤;(c)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、およびアカシアなどの結合剤;(d)グリセロールなどの保湿剤;(e)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、一部の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(f)パラフィンなどの溶解遅延剤;(g)四級アンモニウム化合物などの吸収加速剤;(h)セチルアルコールやモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(i)カオリンやベントナイトなどの吸着剤;ならびに(j)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、またはそれらの混合物。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合は、投与剤形に緩衝剤を含めることできる。
【0131】
経口投与用の液体投与剤形は、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを含む。LS104などのキナーゼインヒビターに加えて、液体投与剤形には、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤などの、当技術分野で一般に使用されている不活性希釈剤を含めることができる。例示的な乳化剤には、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブオイル、ヒマシ油、およびゴマ油などの油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などがある。
【0132】
このような不活性な希釈剤のほかに、組成物には、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、ならびに芳香剤などの補助剤を含めることもできる。
【0133】
例えばLS104などのキナーゼインヒビターの投与量に関して本明細書で用いる「治療的有効量」という表現は、LS104がそのような治療を必要とする有意な数の対象に投与される際に、特異的な薬理反応を提供する投与量を意味する。特定の状況で特定の対象に投与される「治療的有効量」は、このような投与が当業者によって「治療的有効量」であると考えられたとしても、本明細書に記載された疾患の治療に常に有効であるとは限らないことは強調されるべきである。LS104の投与量が、特定の状況では、経口投与量として、または血液中に測定される薬物レベルに関して測定されることも理解されたい。
【0134】
当業者であれば、LS104などのキナーゼインヒビターの有効量が実験的に決定可能であり、および純粋な状態で使用可能なこと、またはそのような形状が、薬学的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグの形状で存在することを理解するであろう。本発明のナノ粒子状組成物中のLS104などのキナーゼインヒビターの実際の投与レベルは、特定の組成物および投与法に望ましい治療反応を得るのに有効なLS104などのキナーゼインヒビターの量を得るために変動し得る。したがって、選択される投与量レベルは、望ましい治療効果、投与経路、投与されるLS104などのキナーゼインヒビターの力価、望ましい治療期間、および他の因子に依存する。
【0135】
単位用量の組成物は、1日用量の使用時に使用可能な約数の量を含みうる。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルが、達成される細胞反応または生理学的反応のタイプおよび規模;使用される特定の作用物質または組成物の活性;使用される特定の作用物質または組成物;患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別、および食習慣;作用物質の投与時間、投与経路、および排出速度;治療期間;特定の作用物質と組み合わせて、もしくは同時に使用される作用物質;ならびに医学分野で周知の同様の因子といった、さまざまな因子に依存することが理解されるであろう。
【0136】
E. 実施例
以下の実施例は、本発明を説明する目的で提供される。しかしながら、本発明はこれらの実施例に記載された特定の条件または詳細に制限されないことを理解されたい。本明細書を通じて、米国特許を含む公開済み文書に対する任意のおよび全ての言及は特異的に参照により組み入れられる。
【0137】
実施例1
この実施例の目的は、静脈内投与に適していると考えられるLS104のナノ粒子状製剤を作製することであった。後述するように、例示的な良好なナノ粒子状分散製剤(nanoparticulte dispersion formulation;「NCD」)には、10% LS104、2.5%ポピドンK-12 PF、および0.1%デオキシコール酸ナトリウムを含めた。
【0138】
初回の製剤スクリーニングは、低エネルギーローラーミル(Stoneware)による方法で行った。粉砕媒体には、0.8 mmのイットリウム処理済みジルコニア(Tosoh)を使用した。全ての製剤を170 rpmで粉砕した。粉砕時間を以下の表1にまとめた。光学顕微鏡による観察を、100倍の対物レンズを装着したLeica社製の光学顕微鏡を使用して行った。全ての粒子径は、脱イオン(DI)水を希釈液として使用しかつ30秒間の超音波処理を行って、Horiba LA 910を使用して測定した。
【0139】
表1に示した4種類の異なる製剤をスクリーニングした。第1の製剤には、Poloxamer 338(Pluronic F108)を安定剤として含めた。処理の終了時に大きな結晶が観察された。これは、結晶成長(オストワルド成長)の結果である可能性があり、この安定剤が、特定の粉砕パラメーター(すなわち使用された特定の薬物濃度および表面安定剤濃度)では最適ではない可能性があることが示唆される。第2の製剤には、Polysorbate 80(Tween 80)を含めた。小さく十分に分散した粒子を含む分散液が、処理の終了時に観察された。第3の製剤には、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL)を含めた。この製剤も、小さく十分に分散した粒子を含んでいた。第4の製剤には、ポピドンK-12(低分子量のグレードのポリビニルピロリドンであるPlasdone K-12)とデオキシコール酸ナトリウムの混合物を含めた。この製剤も、小さく十分に分散した粒子を、処理の終了時に含んでいた。結果を以下の表1に要約する。
【0140】
(表1)

【0141】
最終滅菌は、ガンマ線の照射によって行った。最終産物をバイアルに充填し、これにも最終的にガンマ線を照射した。安定性試験(例えば、さまざまな温度および湿度の条件における3か月間、6か月間、および12か月間)は、複数のバッチを対象に実施することができる。
【0142】
実施例2
第2および第4の製剤の評価をさらに行った。共にわずかに小さな粒子径を示したPVP K-12およびNaDOCに関する過去の経験から、第4の製剤が若干好ましいと判断される。したがって、PVP K12/デオキシコール酸ナトリウムの組み合わせを、LS104に対する望ましい安定剤の組み合わせとして選択した。
【0143】
初回のローラー粉砕(rollermilling)によるスクリーニングに続く全ての処理は、高度に架橋されたポリスチレンビーズを粉砕媒体として使用する高エネルギー媒体ミル(media mill)を使用して実施した。高い剪断環境は凝集を引き起こすことがあるので、この処理を使用してリード製剤を製造できることが明らかとなった。同じ安定剤成分を含む製剤を、高エネルギー過程に適合させることができる。製剤には5% LS104/1.25% PVP K-12/0.05% NaDOCを含め、これは高エネルギーミルでの評価が成功した。
【0144】
生成物の粒子径を、透過率80%の試料濃度を標的とした標準的なR&D手順を使用したHoriba LA910粒子径解析装置で、m=1.2-0.1iの複素屈折率相対値を使用して測定した。結果を以下の表2に示す。
【0145】
(表2)リード製剤の高エネルギー粉砕

【0146】
これは、5% LS104/1.25% PVP K-12/0.05%デオキシコール酸ナトリウムを含む製剤が、高エネルギー処理に適していることを示唆する。薬学的有効成分(API)の濃度は、処理効率に関する後の実験で高めることができる。(この場合、API/安定剤の比は同じまま)。
【0147】
以下の表3に、他の例示的なナノ粒子状のLS104製剤の詳細を示す。これらの製剤はいずれも、NanoMill-01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA;例えば米国特許第6,431,478号を参照)を、500ミクロンのPolyMill(登録商標)磨砕用媒体(Dow Chemical)とともに使用して調製した。この場合も、光学顕微鏡による観察を、100倍の対物レンズを装着したLeica社の光学顕微鏡を使用して行った。全ての粒子径は、滅菌済みの脱イオン水を希釈液として使用し、30秒間の超音波処理を行って、Horiba LA 910を使用して決定した。表3の第1列は製剤を示し;第2列は平均粒子径とD90粒子径(PS)の両方を示し;第3列は顕微鏡による観察の結果を示し;第4列は粉砕時間を示し;第5列はミルのサイズを示し;第6列はミル量(mill load)を示し;第7列はミルの速度を示し;かつ第8列は、製剤に関するコメントを含む。
【0148】
(表3)

【0149】
本発明の方法および組成物に関して、さまざまな変形および変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく成され得ることは、当業者には明らかであろう。したがって本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物に含まれる場合に、本発明の変形および変更を許容することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、安定なナノ粒子状のキナーゼインヒビター組成物:
(a)約2000 nm未満の有効平均粒子径を有するLS104またはその塩もしくは誘導体の粒子;および
(b)少なくとも1種類の表面安定剤。
【請求項2】
LS104が、結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、またはこれらの混合物で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
LS104またはその塩もしくは誘導体の粒子の有効平均粒子径が、約1900 nm未満、約1800 nm未満、約1700 nm未満、約1600 nm未満、約1500 nm未満、約1400 nm未満、約1300 nm未満、約1200 nm未満、約1100 nm未満、約1000 nm未満、約990 nm未満、約980 nm未満、約970 nm未満、約960 nm未満、約950 nm未満、約940 nm未満、約930 nm未満、約920 nm未満、約910 nm未満、約900 nm未満、約890 nm未満、約880 nm未満、約870 nm未満、約860 nm未満、約850 nm未満、約840 nm未満、約830 nm未満、約820 nm未満、約810 nm未満、約800 nm未満、約790 nm未満、約780 nm未満、約770 nm未満、約760 nm未満、約750 nm未満、約740 nm未満、約730 nm未満、約720 nm未満、約710 nm未満、約700 nm未満、約690 nm未満、約680 nm未満、約670 nm未満、約660 nm未満、約650 nm未満、約640 nm未満、約630 nm未満、約620 nm未満、約610 nm未満、約600 nm未満、約590 nm未満、約580 nm未満、約570 nm未満、約560 nm未満、約550 nm未満、約540 nm未満、約530 nm未満、約520 nm未満、約510 nm未満、約500 nm未満、約490 nm未満、約480 nm未満、約470 nm未満、約460 nm未満、約450 nm未満、約440 nm未満、約430 nm未満、約420 nm未満、約410 nm未満、約400 nm未満、約390 nm未満、約380 nm未満、約370 nm未満、約360 nm未満、約350 nm未満、約340 nm未満、約330 nm未満、約320 nm未満、約310 nm未満、約300 nm未満、約290 nm未満、約280 nm未満、約270 nm未満、約260 nm未満、約250 nm未満、約240 nm未満、約230 nm未満、約220 nm未満、約210 nm未満、約200 nm未満、約190 nm未満、約180 nm未満、約170 nm未満、約160 nm未満、約150 nm未満、約140 nm未満、約130 nm未満、約120 nm未満、約110 nm未満、約100未満、約75 nm未満、および約50 nm未満からなる群より選択される、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
ナノ粒子状LS104組成物が、従来のLS104組成物と比較して向上した生物学的利用能を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
(a)経口投与、肺内投与、静脈内投与、直腸投与、眼投与、結腸投与、非経口投与、大槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、局所投与、舌下投与、鼻内投与、および局所投与からなる群より選択される投与のために;
(b)液体分散剤、ゲル、エアゾル、軟膏、クリーム剤、錠剤、サシェ剤、およびカプセル剤からなる群より選択される投与剤形へと;
(c)凍結乾燥型の製剤、即時溶解型の製剤、放出制御型の製剤、遅延放出型の製剤、持続放出型の製剤、パルス放出型の製剤、および即時放出と放出制御の混合型の製剤からなる群より選択される投与剤形へと;または
(d)(a)、(b)、および(c)の任意の組み合わせ
で製剤化される、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。

【請求項6】
1種類もしくは複数種類の薬学的に許容される賦形剤、担体、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
以下である、請求項1〜6のいずれか一項記載の組成物:
(a)LS104の量が、他の賦形剤を含まないLS104および少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量に基づいて、重量比で約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、および約90%〜約0.5%からなる群より選択されるか;
(b)少なくとも1種類の表面安定剤が、他の賦形剤を含まないLS104および少なくとも1種類の表面安定剤の合計乾燥重量に基づいて、重量比で0.01%〜約99.5%、重量比で約0.1%〜約95%、重量比で約0.5%〜約90%、重量比で約5.0%〜約99.9%、および重量比で約10%〜約99.5%からなる群より選択される量で存在するか;または
(c)(a)および(b)の組み合わせ。
【請求項8】
少なくとも1種類の第1の表面安定剤および少なくとも1種類の第2の表面安定剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1種類の表面安定剤が、非イオン性表面安定剤、イオン性表面安定剤、陰イオン性表面安定剤、陽イオン性表面安定剤、および両性イオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種類の表面安定剤が、塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカントゴム、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化シリコン、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非結晶セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを含む4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、荷電性リン脂質、ジオクチルスルホコハク酸塩、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホン酸アルキルアリールポリエーテル、ステアリン酸ショ糖とジステアリン酸ショ糖の混合物、C18H37CH2C(O)N(CH3)-CH2(CHOH)4(CH2OH)2、p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)、デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチルβ-D-チオグルコシド;n-ヘキシルβ-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチルβ-D-チオグルコピラノシド;リゾチーム、PEG-リン脂質、PEG-コレステロール、PEG-コレステロール誘導体、リゾチーム、PEG-ビタミンA、PEG-ビタミンE、酢酸ビニルとビニルピロリドンのランダムコポリマー、陽イオン性ポリマー、陽イオン性生体ポリマー、陽イオン性多糖、陽イオン性セルロース誘導体、陽イオン性アルギン酸塩、陽イオン性非ポリマー化合物、陽イオン性リン脂質、陽イオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートのジメチル硫酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、四級アンモニウム化合物、ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツトリメチルアンモニウムクロライド、ココナツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ココナツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロライド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドブロミド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライドブロミド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ココナツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロライド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロライド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロライド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキル-トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロライド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド一水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロライド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロライド、ハロゲン化アルキルジメチルアンモニウム、トリセチルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、POLYQUAT 10(商標)、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOL(商標)、ALKAQUAT(商標)、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、ならびにカチオン化グアーからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
細胞増殖性の疾患または障害の治療に有用な1種類または複数種類の活性作用物質をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物。
【請求項12】
以下である、請求項1〜11のいずれか一項記載の組成物:
(a)哺乳動物への投与時に、LS104またはその塩もしくは誘導体の粒子が、約2ミクロン未満、約1900 nm未満、約1800 nm未満、約1700 nm未満、約1600 nm未満、約1500 nm未満、約1400 nm未満、約1300 nm未満、約1200 nm未満、約1100 nm未満、約1000 nm未満、約990 nm未満、約980 nm未満、約970 nm未満、約960 nm未満、約950 nm未満、約940 nm未満、約930 nm未満、約920 nm未満、約910 nm未満、約900 nm未満、約890 nm未満、約880 nm未満、約870 nm未満、約860 nm未満、約850 nm未満、約840 nm未満、約830 nm未満、約820 nm未満、約810 nm未満、約800 nm未満、約790 nm未満、約780 nm未満、約770 nm未満、約760 nm未満、約750 nm未満、約740 nm未満、約730 nm未満、約720 nm未満、約710 nm未満、約700 nm未満、約690 nm未満、約680 nm未満、約670 nm未満、約660 nm未満、約650 nm未満、約640 nm未満、約630 nm未満、約620 nm未満、約610 nm未満、約600 nm未満、約590 nm未満、約580 nm未満、約570 nm未満、約560 nm未満、約550 nm未満、約540 nm未満、約530 nm未満、約520 nm未満、約510 nm未満、約500 nm未満、約490 nm未満、約480 nm未満、約470 nm未満、約460 nm未満、約450 nm未満、約440 nm未満、約430 nm未満、約420 nm未満、約410 nm未満、約400 nm未満、約390 nm未満、約380 nm未満、約370 nm未満、約360 nm未満、約350 nm未満、約340 nm未満、約330 nm未満、約320 nm未満、約310 nm未満、約300 nm未満、約290 nm未満、約280 nm未満、約270 nm未満、約260 nm未満、約250 nm未満、約240 nm未満、約230 nm未満、約220 nm未満、約210 nm未満、約200 nm未満、約190 nm未満、約180 nm未満、約170 nm未満、約160 nm未満、約150 nm未満、約140 nm未満、約130 nm未満、約120 nm未満、約110 nm未満、約100 nm未満、約75 nm未満、および約50 nm未満からなる群より選択される有効平均粒子径を有するように分散するか;
(b)組成物が、LS104粒子が約2ミクロン未満、約1900 nm未満、約1800 nm未満、約1700 nm未満、約1600 nm未満、約1500 nm未満、約1400 nm未満、約1300 nm未満、約1200 nm未満、約1100 nm未満、約1000 nm未満、約990 nm未満、約980 nm未満、約970 nm未満、約960 nm未満、約950 nm未満、約940 nm未満、約930 nm未満、約920 nm未満、約910 nm未満、約900 nm未満、約890 nm未満、約880 nm未満、約870 nm未満、約860 nm未満、約850 nm未満、約840 nm未満、約830 nm未満、約820 nm未満、約810 nm未満、約800 nm未満、約790 nm未満、約780 nm未満、約770 nm未満、約760 nm未満、約750 nm未満、約740 nm未満、約730 nm未満、約720 nm未満、約710 nm未満、約700 nm未満、約690 nm未満、約680 nm未満、約670 nm未満、約660 nm未満、約650 nm未満、約640 nm未満、約630 nm未満、約620 nm未満、約610 nm未満、約600 nm未満、約590 nm未満、約580 nm未満、約570 nm未満、約560 nm未満、約550 nm未満、約540 nm未満、約530 nm未満、約520 nm未満、約510 nm未満、約500 nm未満、約490 nm未満、約480 nm未満、約470 nm未満、約460 nm未満、約450 nm未満、約440 nm未満、約430 nm未満、約420 nm未満、約410 nm未満、約400 nm未満、約390 nm未満、約380 nm未満、約370 nm未満、約360 nm未満、約350 nm未満、約340 nm未満、約330 nm未満、約320 nm未満、約310 nm未満、約300 nm未満、約290 nm未満、約280 nm未満、約270 nm未満、約260 nm未満、約250 nm未満、約240 nm未満、約230 nm未満、約220 nm未満、約210 nm未満、約200 nm未満、約190 nm未満、約180 nm未満、約170 nm未満、約160 nm未満、約150 nm未満、約140 nm未満、約130 nm未満、約120 nm未満、約110 nm未満、約100 nm未満、約75 nm未満、および約50 nm未満からなる群より選択される有効平均粒子径を有するように、生体関連(biorelevant)媒体中に再分散するか;または
(c)(a)および(b)の組み合わせ。
【請求項13】
生体関連媒体が、水、電解質水溶液、塩の水溶液、酸の水溶液、塩基の水溶液、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
以下である、請求項1〜13のいずれか一項記載の組成物:
(a)ナノ粒子状LS104組成物のTmaxが、投与後の哺乳動物対象の血漿における検討の際に、同じ投与量で投与された同じLS104の非ナノ粒子状組成物のTmaxより小さいか;
(b)ナノ粒子状LS104組成物のCmaxが、投与後の哺乳動物対象の血漿における検討の際に、同じ投与量で投与された同じLS104の非ナノ粒子状組成物のCmaxより大きいか;
(c)ナノ粒子状LS104組成物のAUCが、投与後の哺乳動物対象の血漿における検討の際に、同じ投与量で投与された同じLS104の非ナノ粒子状組成物のAUCより大きいか;または
(d)(a)、(b)、および(c)の任意の組み合わせ。
【請求項15】
以下である、請求項14記載の組成物:
(a)Tmaxが、同じ投与量で投与された同じLS104の非ナノ粒子状組成物が示すTmaxの約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、および約5%以下からなる群より選択されるか;
(b)Cmaxが、同じ投与量で投与された同じLS104の非ナノ粒子状組成物が示すCmaxより少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%、少なくとも約1100%、少なくとも約1200%、少なくとも約1300%、少なくとも約1400%、少なくとも約1500%、少なくとも約1600%、少なくとも約1700%、少なくとも約1800%、または少なくとも約1900%大きなCmaxからなる群より選択されるか;
(c)AUCが、同じ投与量で投与された同じLS104の非ナノ粒子状製剤が示すAUCより少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約750%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、または少なくとも約1200%大きなAUCからなる群より選択されるか;または
(d)(a)、(b)、および(c)の任意の組み合わせ。
【請求項16】
摂食下での投与の際に、絶食条件と比較して有意に異なる吸収レベルを生じない、請求項1〜15のいずれか一項記載の組成物。
【請求項17】
絶食状態に対して摂食状態での投与の際の本発明の活性作用物質組成物の吸収の差が、約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、および約3%未満からなる群より選択される、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
絶食状態のヒトへの組成物の投与が、摂食状態の対象への組成物の投与と生物学的に同等である、請求項1〜17のいずれか一項記載の組成物。
【請求項19】
「生物学的同等性」が、以下によって確立される、請求項18記載の組成物:
(a)CmaxとAUCの両方に関する90%信頼区間が0.80〜1.25であるか;または
(b)AUCに関する90%信頼区間が0.80〜1.25であり、およびCmaxに関する90%信頼区間が0.70〜1.43である。
【請求項20】
医薬の製造のための、請求項1〜19のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項21】
医薬が、白血病、骨髄増殖性疾患、および関連する疾患または障害の治療に有用である、請求項20記載の使用。
【請求項22】
約2000 nm未満の有効平均粒子径を有するナノ粒子状LS104組成物を提供するのに十分な時間および条件下で、LS104粒子に少なくとも1種類の表面安定剤を接触させる段階を含む、ナノ粒子状のLS104またはその塩もしくは誘導体の組成物の作製法。
【請求項23】
接触段階が、粉砕(milling)、湿式粉砕、均一化、沈殿、凍結、超臨界流体粒子生成法、エマルジョン法、ナノエレクトロスプレー法、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項22記載の方法。

【公表番号】特表2009−540010(P2009−540010A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515607(P2009−515607)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/071011
【国際公開番号】WO2007/146943
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(500370883)エラン ファーマ インターナショナル,リミティド (45)
【Fターム(参考)】