説明

ナノ粒子状IR吸収剤を含有するポリマー組成物

本発明は、ナノ粒子状IR吸収剤調製物によりポリマー組成物を製造する方法、並びに本方法により製造されたポリマー組成物に関する。このポリマー組成物を例えば熱管理又は農業で使用することも、同様に本発明の対象である。本発明のさらなる対象は、成形部材、とりわけ前記ポリマー組成物を含有するシートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子状IR吸収剤調製物を用いてポリマー組成物を製造する方法、並びにこのようにして製造されたポリマー組成物に関する。このようなポリマー組成物の使用、例えば熱管理、又は農業での、とりわけ温室シートとしての使用も、同様に本発明の対象である。本発明のさらなる対象は、このようなポリマー組成物を含有する成形体、とりわけシートである。
【0002】
更に、本発明の実施態様は、特許請求の範囲、明細書および実施例から確認することができる。本発明による対象の前述の特徴、及び以下でなお説明されるべき特徴は、そのつど具体的に記載された組み合わせにおいて使用可能であるだけでなく、本発明の範囲から離れることなく、別の組み合わせにおいても使用可能である。好ましい、若しくは極めて好ましいのは、全ての特徴が好ましい、若しくは極めて好ましい意味を有する、本発明の実施態様である。
【0003】
EP 1 554 924 A1は、農業又は造園業の分野で、熱照射遮蔽材料を記載している。このような材料は、樹脂基材と、樹脂に分散されている微粒子製充填材とから成る層を有する。前記微粒子は例えば、六ホウ化ランタン、又はアンチモンドープされた酸化スズである。
【0004】
EP 1 865 027 A1には、金属ホウ化物微粒子を含有するポリカーボネート組成物が記載されている。EP 1 865 027 A1に記載されている、このようなポリカーボネート組成物から成る成形体は、窓及び屋根用の材料として、又は農業におけるシートとして使用できる。
【0005】
GB 2 014 513 Aは、温室用材料として使用可能な、透明な熱可塑性積層体を記載している。この積層体は少なくとも2つの層を有し、ここで最も下の層は高いUV耐性を有し、その他の層はIR照射に対して不透過性である。
【0006】
AllinghamはUS 4,895,904で、ポリマー製のプレート又はホイル、及びこれらの温室における使用を記載している。このようなプレート又はシートは、NIR領域で吸収性又は反射性の微粒子成分を含む。これらのプレート又はシートは、光合成に関わる光線の少なくとも75%の割合に対して透明である。微粒子状成分としては、酸化物又は金属が使用される。さらには、プレート又はシート中にUV安定化剤が含まれている。
【0007】
熱照射、とりわけ日光の熱照射を、例えば建物、自動車、倉庫、又は温室の表面を通じて過度に受けると、とりわけ太陽光線照射量が多い地域では、しばしば内部温度が顕著に上昇する。この熱作用の上昇は温室の場合、温室で保護されている植物の収穫に対して否定的に作用する。
【0008】
しかしながら熱照射の遮断によって、太陽光スペクトルの他の領域が同様に減衰しないことがしばしば望ましい。とりわけ、温室シートによる熱照射遮断の際には、熱照射の効果的な遮断の他に、可視スペクトル範囲での高い透明性が求められ、とりわけ可視スペクトルの範囲では、このことは植物の光合成過程にとって重要である。よってまさにこの適用の場合には、熱保護による材料の濁りは非常に僅かしか許容されない。と言うのも、ほんのわずかな透明性の上昇であっても、通常は明らかな収穫の上昇につながるからである。
【0009】
よって本発明の課題は、光の作用時に熱照射に対する、とりわけ例えば温室の表面への太陽照射に対する遮蔽を提供することであり、また可視光に対して高い透明性と同時に効果的な熱照射遮蔽を保証することである。
【0010】
これらの課題及び他の課題は後述するように、以下の方法工程
a.ポリマー溶融物を作製する工程、
b.液状担体媒体と、その中に分散されたナノ粒子状IR吸収剤とを含有する調製物を作製する工程、
c.ポリマー溶融物(a)と、調製物(b)とを混合する工程、
d.混合物(c)を加工する工程、
を有する、ポリマー組成物の製造方法により解決される。
【0011】
本願の意味合いにおいてナノ粒子状IR吸収剤とは、一般的に最大200nm、好適には最大100nmの質量平均粒子直径を有する粒子である。好ましい粒径範囲は、4〜100nm、とりわけ5〜90nmである。このような粒子は通常、その大きさ、サイズ分布、及び形態に関して高い均一性を有することによって特徴付けられる。ここで粒径は例えば、UPA法(Ultrafine Particle Analyzer)によって、例えばレーザー散乱法(laserlight back scattering)によって測定できる。
【0012】
IR範囲(約700〜12000nm)、好適には700〜1500nmのNIR範囲、特に好ましくは900〜1200nmの範囲では、ナノ粒子IR吸収剤は、著しい吸収性を有する。約400nm〜760nmの可視スペクトル範囲では、ナノ粒子状IR吸収剤は、僅かな吸収性しか有さない。
【0013】
一般的に、材料の後にあるものが比較的はっきりと見えれば、その材料は透明である(例えば窓ガラス)。本発明の範囲において透明性とは、可視スペクトル範囲で透明な材料を通して光がほとんど散乱しない光学的透明性を意味する。
【0014】
濁り(ヘイズ(Haze))の測定は、ヘイズ測定装置、例えばBykgardner社のものを使用できる。この装置は、積分球の前に位置する管からなる。濁りの測定は、ASTM D1003-7に従って行うことができ、例えばEP 1 529 632 A1で言及されている。
【0015】
本発明による製造方法を行う温度条件と圧力条件は通常、使用されるポリマー及び担体媒体に依存し、よって幅広い範囲で変わりうる。ポリマー溶融物(a)の作製は通常、100〜300℃、好ましくは100〜250℃の温度で行う。調製物(b)の作製は通常、0〜150℃、好ましくは10〜120℃の温度で行う。
【0016】
工程cにおける調製物とポリマー溶融物との混合は通常、100〜300℃の温度、好ましくは100〜250℃の温度で行う。この混合は工程dで通常、100〜300℃の温度、好ましくは100〜250℃の温度で行われる。本発明による方法のすべての工程は、常圧(1atm)で、また最大100barで、又はやや減圧下で行うこともできる。
【0017】
ポリマー溶融物(a)を作製するためにはもちろん、1つ又は複数のポリマーを、例えばポリマー混合物又はブレンドの形で使用できる。
【0018】
本発明による方法の好ましい態様では、ポリマー溶融物(a)を作製するためのポリマーとして、熱可塑性ポリマーを選択する。
【0019】
熱可塑性ポリマーとして考慮されるのは、オリゴマー、ポリマー、イオノマー、デンドリマー、コポリマー、例えばブロックコポリマー、グラフトコポリマー、星型ブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマー、又はこれらの混合物である。一般的に熱可塑性ポリマーは、質量平均分子量Mwが、3,000〜1,000,000g/molである。Mwは好ましくは、10,000〜100,000g/mol、極めて好ましくは20,000〜50,000g/mol、とりわけ25,000〜35,000g/molである。
【0020】
熱可塑性ポリマーとして挙げられるのは、まずポリオレフィン、とりわけポリプロピレンとポリエチレン、ポリオレフィンコポリマー、とりわけエチルビニルアセテートコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルアルカナール、ポリビニルケタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカーボネートブレンド、ポリエステル、ポリエステルブレンド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート−スチレンコポリマーブレンド、ポリ(メタ)アクリレート−ポリビニリデンフルオリドブレンド、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、及びこれらのポリマーの混合物である。好ましくは、ポリエチレン、PVC、又はPVDFを使用する。
【0021】
ポリマー溶融物は、当業者に公知の任意の方法によって、例えばポリマーの溶融によって作製できる。ここでポリマーは溶融前に、粉末やペレットの形で存在していてよい。ポリマーは好ましくは、ペレットの形で存在する。溶融は好ましくは、押出機又はカレンダー成形機で行う。
【0022】
ポリマー組成物を製造するために本発明による方法は工程(b)に、液状の担体媒体(この中にナノ粒子状のIR吸収剤が分散されている)を作製する工程を有する。これはつまり担体媒体が、工程(b)及び(c)でその都度使用される圧力条件及び温度条件で液体であるということである。本発明の範疇において液状担体媒体とは、さらさらの液状〜ペースト状/クリーム状〜ゲル状にまで達するレオロジー特性を有する担体媒体と理解される。「流動性化合物」は通常、液体よりもより高い粘性を有するが、自立性ではない、すなわち形態を安定させる覆い無しでは与えられた形を維持できない。本発明の範疇において液状担体媒体という用語は、流動性成分も包含する。このような調製物の粘度は例えば、約1〜60,000mPasの範囲である。
【0023】
ナノ粒子状IR吸収剤が分散された液状担体媒体を用いる利点は、固体状態(例えば粉末として)のナノ粒子状IR吸収剤を用いる場合と比較して、通常、比較的大きなアグロメレートが生じることなく、ポリマー組成物中でナノ粒子状IR吸収剤の明らかにより均質な分布が達成できることである。つまり比較的大きなアグロメレートは通常、可視光散乱が不所望に強化されることにつながり、またナノ微粒子状IR吸収剤の細かい均質な分布は、改善されたIR照射吸収性につながる。
【0024】
担体媒体として適しているのは例えば、室温で液状であり、好ましくは酸素と反応しない多くの有機溶剤である。これらの溶剤は好ましくは、ほぼ中性のpH値を有する。
【0025】
ここであり得る担体媒体としては例えば以下のものが挙げられる:
アルキルカルボン酸及びアリールカルボン酸のエステル、
アリールカルボン酸と、アルカノールとの水素化エステル、
一価若しくは多価のアルコール、
エーテルアルコール、
ポリエーテルポリオール、
エーテル、
非環状及び環状の飽和炭化水素、
鉱油、
鉱油誘導体、
シリコーン油、
非プロトン性極性溶剤、
又はこれらの担体媒体の混合物である。ここで担体媒体として好ましくは、エチレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、非環状若しくは環状のエーテル、ポリエーテルポリオール、低沸点性(沸点が200℃未満)のアルコール、とりわけ1−ブタノール、2−ブタノール、又は沸点が200℃未満の炭化水素、又は上記の好ましい担体媒体の混合物を使用する。
【0026】
さらに、あり得る担体媒体としては、ワックスが考えられる。好ましくは担体媒体として、ポリオレフィンワックス、及びポリオレフィンコモノマーワックスが使用でき、とりわけエチレン−ホモポリマーワックス、モンタンワックス、酸化され、微粉砕されたPEワックス、メタロセンPEワックス、エチレンコポリマーワックス、例えばLuwax(登録商標)の製品、BASF SE社の製品一覧参照。
【0027】
担体媒体は一般的に、市販で手に入る。
【0028】
本発明による方法の好ましい実施態様では、担体媒体は常圧で50〜120℃の温度範囲、好ましくは90〜110℃の温度範囲で液状である。ここで担体媒体はとりわけ、PEワックスである。
【0029】
本発明によれば工程(b)からの調製物に、ナノ粒子状IR吸収剤を分散させる。これはつまり、ナノ粒子状IR吸収剤が担体媒体中に均一に、細かく分布されて存在しているということである。このような分散化は、ナノスケールのIR吸収剤が、500nm超のアグリゲート又は粒子をほとんど形成しないことによって得られる。好ましくは300nm超のアグリゲート又は粒子が存在せず、極めて好ましくは200nm超のアグリゲート又は粒子が存在しない。相互に分離した粒子はとりわけ、少なくとも200nmという平均距離で存在する。本発明による方法の工程(b)からの組成物の一実施態様では、粒子の90%超が、200nm未満の平均粒径を有する。さらなる好ましい実施態様では、粒子の95%超が200nm未満の平均粒径を有する。さらなる実施態様では、粒子の99%超が200nm未満の平均粒径を有する。さらなる好ましい実施態様では、粒子の10%未満、特に好ましくは粒子の5%未満は、最も近くにある粒子との最小距離が、少なくとも50nm、好ましくは少なくとも100nm、さらに好ましくは少なくとも250nm、及びとりわけ好ましくは少なくとも500nmである。
【0030】
ここでこの粒子は、任意の形状を有していてよい。例えば、球状、棒状、フレーク状の粒子、又は不規則な形状の粒子があり得る。また、バイモーダル又はマルチモーダルな粒径分布を有するナノスケールのIR吸収剤も使用できる。粒子分布は例えば、共焦レーザー走査顕微鏡によって調べられる。この手法は例えば、"Confocal and Two-Photon Microscopy" Alberto Diaspro編; ISBN 0-471-40920-0, Wiley-Liss, a John Wiley & Sons, Inc. Publication、第2章、19〜38頁、及びそこで引用されている文献に記載されている。粒径(分布)の測定はさらにまた、電子顕微鏡法(TEM)を用いても可能である。
【0031】
工程(b)で調製物に分散されて担体媒体中に存在するナノ粒子状IR吸収剤として、本発明による方法の範囲では、例えばカーボンブラック、金属ホウ化物、又はドープされた酸化スズを挙げることができる。
【0032】
IR吸収剤として好ましくは、アンチモン若しくはインジウムでドープされたナノ粒子状のスズ酸化物(ATO又はITO)、又はナノ粒子状の金属ホウ化物(MBx、x=1〜6)、とりわけアルカリ土類金属ホウ化物、又は希土類金属ホウ化物を使用する。特に好ましいのは、ナノ粒子状の希土類金属ホウ化物である。極めて特に好ましいのは、記号式MB6の金属六ホウ化物、とりわけMがLa、Pr、Nd、Ce、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caのものである。同様に好ましい金属ホウ化物MB2は、とりわけMがTi、Zr、Hf、V、Ta、Cr、Moのものである。さらなる適切な金属ホウ化物は、Mo25、MoB、W25である。極めて秀逸なIR吸収剤は、ナノ粒子状の六ホウ化ランタンである(LaB6)。もちろん上記ナノ粒子状物質の混合物も、IR吸収剤として適している。ナノ粒子状LaB6は市販で手に入るか、又はWO 2006/134141若しくはWO2007/107407の方法に従って製造できる。ナノ粒子状ITO又はATOは、市販で手に入る。
【0033】
ナノ粒子状IR吸収剤の使用量は、幅広い範囲で変えることができ、その量は例えば、ポリマー組成物の最終的な使用目的による。通常、IR吸収剤の効果的な作用にとって決定的となるのは、ポリマー組成物を通して熱照射が通過してきた場合に、IR吸収剤が熱照射を吸収するため、熱照射通過箇所に充分に存在していることである。
【0034】
ポリマー組成物中のナノ粒子状IR吸収剤の量は、工程aからの熱可塑性ポリマー溶融物に対して最大2質量%である。IR吸収剤の量は好ましくは、0.001〜1質量%、極めて好ましくは0.01〜0.5質量%、及びとりわけ0.01〜0.2質量%である。
【0035】
ポリマー組成物により吸収されるIR照射の割合は、その都度所望の適用次第である。ポリマー組成物は例えば、入射するIR照射の5%超を吸収する。好ましくは入射するIR照射の20%超、極めて好ましくは50%超が吸収される。
【0036】
本発明による方法の工程(b)で調製物を作製するためには通常、液状担体材料と、ナノ粒子状のIR吸収剤とを相互に混合する。ここでこの混合は基本的に、当業者に公知の任意の混合装置、例えば撹拌機、押出機、及び混練機によって行うことができる。
【0037】
ポリマー組成物製造のための本発明による方法の好ましい実施態様では、工程(b)における、その場でのプラズマ合成による金属ホウ化物含有組成物の作製は、未公開のEP 08167612.4に記載されているように行う。ここで金属ホウ化物のための出発材料を作製し、この出発材料をプラズマ条件下で熱処理にかけ、得られた生成物を素早く冷却し、こうして得られる冷却された生成物を液体に入れ(ここで懸濁液が得られる)、この懸濁液は本発明による方法の工程(b)における調製物として直接使用できる。金属ホウ化物のための出発材料は例えば、適切な出発原料からの合成によって作製する。この手法の利点は、用いられる調製物の純度が高いことにある。ここでとりわけ例えば、粉砕法の際に生じる粉砕体摩耗が避けられる。この摩耗は、系外物質による調製物の不純化、及び後のポリマー組成物の濁りにつながりかねない。
【0038】
他の実施態様では、好適には少なくとも1つの金属ホウ化物、好ましくはMB6、とりわけLaB6を担体媒体に混入し、同時に微粉砕しながら、好ましくはミル粉砕することによって、工程(b)からの調製物の作製を行う。この変法ではもちろん、既にナノ粒子状粒子の形態で存在する金属ホウ化物を使用することができる。微粉砕すべき金属ホウ化物は好ましくは、非ナノ粒子状形態で使用する。とりわけ微粉砕すべき金属ホウ化物は、大きさが最初は500nm〜50μm、好ましくは1〜20μmである。
【0039】
微粉砕化は、このために適切な装置、好適にはミル、例えばビーズミル、撹拌ビーズミル、循環ミル(ピンミルシステムを有する撹拌ビーズミル)、ディスクミル、リングチャンバミル、ダブルコーンミル、3ローラ装置、及びバッチミル(Arno Kwade, "Grinding and Dispersing with Stirred Media Mills: Research and Application", Technische Universitaet Braunschweig FB Maschinenbau; Auflage: 1 , 2007参照)で行う。所望の場合には、粉砕工程で投入される熱エネルギーを排出するための冷却装置を備える粉砕チャンバが構成されていてよい。本発明による調製物を製造するための湿式粉砕に適しているのは例えば、Drais Superflow DCP SF 12のビーズミル、Netzsch-Feinmahltechnik GmbH社(ドイツ国、Selb在)の循環ミルシステムZETA、又はNetzsch Feinmahltechnik GmbH社のディスクミルである。
【0040】
ミル粉砕のためにはしばしば、酸化アルミニウム、酸化ジルコン、又はイットリウムでドープされた酸化ジルコン製の粉砕体が使用される。本発明による方法の範囲では好ましくは、工程(b)から調製物を作製する際、IR吸収剤を有する担体媒体のミル粉砕を、酸化アルミニウム製の粉砕体を用いて行う。このようなミル粉砕の利点は、通常使用される酸化ジルコン製粉砕体の場合に現れる摩耗(この摩耗は通常、ポリマー組成物の濁りにつながる)が、現れないことである。
【0041】
よって本発明による方法により製造されるポリマー組成物は好ましくは、酸化ジルコン含分が非常に僅かである。好ましくは、ポリマー組成物に対して0.2質量%未満、特に好ましくは0.15質量%未満、酸化ジルコンが含まれている。
【0042】
よってさらなる好ましい実施態様において、本発明による方法により製造されるポリマー組成物は、ナノ粒子状金属ホウ化物、好ましくはMB6、とりわけLaB6を、0.001〜1質量%、極めて好ましくは0.01〜0.8質量%、及びとりわけ0.01〜0.5質量%含み、酸化ジルコンを非常に僅かな含分で含む。酸化ジルコンは、好ましくは酸化ジルコンとナノ粒子状金属ホウ化物の全量に対して50質量%未満、特に好ましくは40質量%未満である。ここで極めて好ましくは、ナノ粒子状金属ホウ化物は、質量平均粒子直径が最大200nm、好ましくは最大150nm、とりわけ70〜130nmである。
【0043】
微粉砕は好ましくは、主な量、とりわけ担体媒体の少なくとも80〜100%を添加しながら行う。
【0044】
微粉砕のために必要となる時間の長さにより、公知の方法で作用物質粒子の所望の微細度若しくは粒径が調整され、これらは当業者に慣用の実験で測定できる。例えば、30分〜72時間の範囲の粉砕時間が有利と実証されているが、より長い所要時間も考えられる。
【0045】
微粉砕における圧力条件と温度条件は一般的に重要ではない。よって例えば常圧が適していると実証されている。温度としては例えば、10〜100℃の範囲の温度が適していると実証されており、ここで温度上昇は通常、粉砕時間の減少につながる。
【0046】
ナノ粒子状IR吸収剤のアグロメレート化や合体を基本的に防止するため、及び/又は担体媒体での粒子相の良好な分散性を保証するため、使用するIR吸収剤を表面変性若しくは表面被覆することができる。粒子は例えば、その表面の少なくとも一部に一層又は多層の被覆を有し、この層はイオノゲン性、イオン性、及び/又は非イオン性界面活性基を有する化合物を少なくとも1つ含有するものである。界面活性基を有する化合物は好適には、無機強酸の塩、例えば硝酸塩及び過塩素酸塩、飽和及び不飽和の脂肪酸、例えばパルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、リグノセリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びエレオステアリン酸、第四級アンモニウム化合物、例えばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、シラン、例えばアルキルトリアルコキシシラン、及びこれらの混合物から選択されている。好ましい態様において、本発明により使用されるナノ粒子状IR吸収剤は、界面変性剤を含まない。
【0047】
工程(b)からの調製物の製造は好適には、その場での微粉砕、特にその場でのミル粉砕によって、引き続き使用する液状担体媒体で行う。この際にとりわけ、分散状態に達した後に担体媒体を調製物から除去せず、分散状態が保たれる範囲でその割合をできるだけ減少させる。場合により部分的又は完全な担体媒体の交換を液−液変換によって行うが、この際に分散状態が保たれたままである。担体媒体の交換は好適には、調製物の製造後にはもはや行わない。しかしながら、分散状態が保たれる限り、担体媒体と相容性のさらなる成分を少なくとも1つ添加することができる。1つ又は複数のさらなる成分の添加は、分散された調整物の製造前、製造中、又は製造後に行うことができる。好適にはその場での微粉砕により得られる調製物を直接、その製造に引き続きさらなる加工に供する。
【0048】
工程(b)からの調製物の固体含分は、工程(b)からの調製物の全質量に対して好適には少なくとも1質量%、特に好適には少なくとも10質量%、極めて特に好適には少なくとも20質量%、及びとりわけ20〜40質量%である。
【0049】
工程(b)からの調製物中のナノ粒子状IR吸収剤の含分は、工程(b)からの調製物の全質量に対して好適には少なくとも1質量%、特に好適には少なくとも10質量%、極めて特に好適には少なくとも20質量%、及びとりわけ20〜40質量%である。
【0050】
工程(b)からの調製物の金属ホウ化物、とりわけMB6の含分は、調製物の全固体含分に対して好適には少なくとも50質量%、特に好ましくは少なくとも65質量%である。
【0051】
前述の通り工程(b)で、ワックスとその中に分散されたナノ粒子状IR吸収剤とを含有する調製物も使用できる。ナノ粒子状IR吸収剤のワックスへの混入は、通常の、当業者に公知の方法で混合装置で行う。ここでこの混入は、いわゆるフラッシュプロセス、例えば未公開の欧州特許出願08159697.5の方法を用いて行うことができる。ここでナノ粒子状IR吸収剤はしばしば、極性溶液又は水溶液中に分散液の形で存在する。混合装置としては、バッチ式混練機、分散混練機、また混合装置付き押出機が使用できる。特に好ましくは、ナノ粒子状IR吸収剤分散液の混入は、バッチ式混練機で行う。ここで混練物質の温度、ナノ粒子状IR吸収剤対ワックスの量比、投入する剪断力、及び剪断時間の長さは重要である。ナノ粒子状IR吸収剤の分散液をワックスに混入する際には、やや高められた温度で始まり、物質の粘度を高めるため引き続き温度を下げるという、温度プログラムを行う。これにより分散結果が改善される。好ましくは、ワックスを溶融させるために混練機に入れ、それからナノ粒子状IR吸収剤の分散液を少しずつ、又は一度に加える。ワックスはまた、溶融物として混合機構に投入できる。好ましくは、50〜150℃の温度を選択する。混合機構中の温度は特に好ましくは、70〜120℃である。ナノ粒子状IR吸収剤がワックス相の非極性環境に移行したかどうかは、極性溶剤若しくは水性溶剤、又は水が分離したかどうかによってわかり、これらは温度次第で液滴の形で、又は混練物質の水蒸気として出て行く。
【0052】
ナノ粒子状IR吸収剤が極性分散液からワックスへと相転移することにより、本発明による方法の工程(b)に適した組成物が生じる。この溶剤は様々な方法で、組成物から分離することができる。溶剤は混合機構から排出若しくは蒸発させることができ、又は調製物を混合機構から取り出し、引き続き任意で粉砕することができる。
【0053】
調製物は一般的に、取り扱い性を容易にするため、また更に加工するために微粉砕される。ここで調製物は顆粒化、ペレット化、又は粉末化することができる。本発明による方法の工程(b)で液状組成物として使用するため、この組成物はもちろん溶融状態で存在する。
【0054】
工程(b)からの液状調製物と、工程(a)からのポリマー溶融物との混合は、当業者に公知の混合装置、例えば単軸押出機又は共押出機や、カレンダー成形機で行う。ここで工程(a)でのポリマー溶融物の作製は、工程(c)での混合過程の前、又はそれと同時に行うことができる。ポリマー溶融物は好ましくは、混合直前、又は混合の間に作製する。工程(b)における液状組成物の作製は通常、工程(c)における混合の前に行う。作製された液状組成物は好ましくは、工程(c)での混合の間に、1つ又は複数の工程でポリマー溶融物に添加する。
【0055】
本発明による方法の好ましい実施態様では、ポリマー溶融物(a)の作製、及びポリマー溶融物と調整物(b)との混合(c)は、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、又は混練法の範疇で行う。
【0056】
工程(c)において好ましいのは、いわゆるバッチ添加法(Masseadditivierungs-verfahren)によるポリマー組成物の製造である。適切なバッチ添加法として具体的には、押出成形、また共押出、射出成形、ブロー成形、又は混練が挙げられる。ここで工程(b)からの液状組成物は好適には、ポリマー組成物の製造に使用される加工温度を上回る沸点及び/又は発火点を有する。他の好ましい実施態様では、工程(b)からの液状組成物は好適には、ポリマー組成物の製造に使用される加工温度を下回る沸点と、前記加工温度を上回る発火点を有する。
【0057】
工程(b)からの液状組成物の担体媒体の除去、とりわけほぼ完全な除去は、ポリマーへの混入後には通常必要ではなく、このことは本発明による方法の利点である。
【0058】
本発明による方法の範疇では、工程(c)での混合後、ポリマー組成物を工程(d)で加工する。ここでこの加工は、プラスチック加工のために慣用の、当業者に公知の工程に従って行う。ポリマー組成物はとりわけ、押出成形、コンパウンド化、顆粒又はペレットへの加工、押出成形、また共押出、射出成形、ブロー成形、又は混練による成形体への加工によって、工程(d)でさらに加工できる。ポリマー組成物は好ましくは、押出成形又は共押出によってシートに加工される(Saechtling Kunststoff Taschenbuch, 28. Auflage, Karl Oberbach, 2001参照)。
【0059】
本発明のさらなる対象は、上記本発明による製造方法により製造されるポリマー組成物である。
【0060】
特別な実施態様では、本発明によるポリマー組成物若しくは前記組成物から製造される成形体は、熱可塑性ポリマー成分を含むか、又は熱可塑性ポリマー成分から成る。熱可塑性樹脂はその良好な加工性により特徴付けられ、軟化状態では例えばプレス成形、押出成形、射出成形、又は他の成型法により成形部材に加工できる。
【0061】
本発明によるポリマー組成物はさらに、少なくとも1つの添加剤を含むことができ、この添加剤は好適には、着色剤、抗酸化剤、光安定剤、UV吸収剤、立体障害性アミン光安定剤(HALS)、ニッケル失活剤、金属失活剤、強化材、充填材、曇り防止剤(防曇剤)、殺生剤、酸捕捉剤、帯電防止剤、長波のIR照射のためのさらなるIR吸収剤、例えばカオリン、凝集防止剤、例えばSiO2、光散乱剤、例えばMgO又はTiO2、無機又は有機の反射材(例えばアルミニウムフレーク)から選択されている。
【0062】
ポリマー組成物中の任意のさらなる添加剤の全量は、工程(a)からのポリマー溶融物に対して最大15質量%である。これらの添加剤の量は好ましくは、0.5〜15質量%、極めて好適には0.5〜10質量%、とりわけ0.5〜7.5質量%である。
【0063】
これらの任意の添加剤は、本発明によるポリマー組成物製造の際に工程(a)、(b)、(c)、及び/又は(d)の1つの工程で、又は本方法の任意の更なる工程の範囲で添加する。添加剤の添加は、例えば工程(a)でポリマー溶融物作製の際に行うことができ、又はポリマー溶融物に使用されるポリマーが既に添加剤を含んでいてよい。添加剤の添加はまた、工程(b)における液状組成物の作製とともに行うこともでき、この場合、前記組成物は添加剤を既に含有している。工程(c)における混合の際にも、ポリマー溶融物の混合物に、及び液状調製物に、さらなる添加剤を添加することができる。さらなる添加剤は、加工(d)の間にもなお、ポリマー組成物に添加することができる。
【0064】
本発明による方法で製造されたポリマー組成物によって、成形体が製造できる。この成形体は、本発明により製造されたポリマー組成物から、当業者に公知の方法、例えば押出成形、共押出、射出成形、及びブロー成形によって製造できる。
【0065】
本発明のさらなる対象は、ポリマー組成物の使用、及び熱管理における成形体の使用である。熱管理とは、入射する熱照射により発生する熱が不所望の、自動車、建築、住居、オフィス、倉庫、スタジアム、空港、又は他の領域における適用を含む。
【0066】
ポリマー組成物又は成形体は好ましくは、農業で、とりわけ温室用シートとして使用する。農業でのさらなる好ましい適用は、さらなる農業シート、例えばサイレージシート(Silagefolien)、巻伸ばし式サイレージシート(Wickelstretchsilagefolien)、包装シート、例えばストレッチカバーや伸縮カバー、又は重荷用袋である。
【0067】
本発明のさらなる対象は、本発明により製造されるポリマー組成物を含有するシートであり、ここでこのシートは1〜7つの層、好ましくは1〜4つの層、とりわけ1〜3つの層を有する。このシートは好ましくは、厚さが最大500μm、好ましくは100〜300μm、極めて好ましくは150〜250μm、とりわけ150〜200μmである。このシートは通常、厚さが少なくとも30μmである。このシートは例えば、押出成形又は共押出により、例えばSaechtling Kunststoff Taschenbuch, 28. Auflage, Karl Oberbach, 2001に記載されているように製造できる。
【0068】
本発明による成形体は好ましくは、ガラス張り材料又は屋根材料として、農業、とりわけ温室シートとして、又は窓部材として使用される。
【0069】
もちろん、本発明による成形体を用いて、1つ又は複数の成形体を有する物品、とりわけ部材が製造できる。このような部材はとりわけ、建物の熱管理に使用できる。
【0070】
ナノ粒子状IR吸収剤を含む本発明によるポリマー組成物又は成形体の使用により、例えば建物、自動車、又は温室の表面で熱照射作用に対する効果的な遮断が可能になる。当該材料により、内部空間の熱管理が可能になる。一般的に、当該材料によって可視光に対する高い透明性と同時に、効果的な熱照射遮断が保証され、これにより内部空間は太陽光のもとで明るいまま、それほど激しく温まらない。高められた透明性は、温室シートでポリマー組成物を使用する際に、温室で保護された植物の収穫向上に対して直接肯定的に作用する。
【0071】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の対象を制限するものではない。
【0072】
実施例:
実施例1:
熱管理機能を有する農業シートの製造
量の記載は、マスターバッチ又はシートの全量に対する質量%で記載されている。
【0073】
僅かな体積の添加剤をシートに添加若しくは均質に混入することはしばしば困難なため、添加剤をまずマスターバッチの形に加工する。これにより、シートに加工されるポリマーの均質な添加がシート面全体に渡って保証され、工程が容易になる。
【0074】
以下の添加剤を、押出機で加工してマスターバッチにした:
ナノ粒子状LaB6、1.25%、その場でのプラズマ合成により製造したもの、
Uvinul(登録商標)5050H(HALS)15.0%
Uvinul(登録商標)3008(UV吸収剤)7.5%、
Irganox(登録商標)B 225(Ciba社のIrgafos(登録商標)168と、Irganox(登録商標)1010との混合物、抗酸化剤)2.5%
LDPE(低密度ポリエチレン)73.75%。
【0075】
ナノ粒子状LaB6をポリマー溶融物(LDPE)に液体供給部を介して添加し、他の成分は粉末若しくは顆粒として添加した。
【0076】
マスターバッチ8%をLDPE顆粒92%と一緒にサイロを介して押出機の充填漏斗に入れ、それからこれらの成分を加工して均質なプラスチック組成物にした。溶融したポリマーをノズルを介して放出し、適切な空気流によりシートブローに成形し、これを冷却後シートに畳んで巻取った。
【0077】
これらのシートを温室で使用し、これを温度推移について、標準的なシートを用いた他の温室コンパートメントと比較した。
【0078】
冬に本発明によるシートを使用した場合、日中で最高温度は、平均で最大5℃下げることができた。これに対して夜間は、1〜2℃だけより低い温度が測定された。
【0079】
これに対して夏の昼間には、最大10℃の温度減少が検出された。
【0080】
以下の組成を有するさらなるシートは、上記方法により製造されたものである。
【0081】
実施例2:
シートの組成:
Uvinul(登録商標)5050H(HALS)1.0%、Uvinul(登録商標)3008(UV吸収剤)0.5%、Irganox(登録商標)1010 0.3%、Irgafos(登録商標)168 0.2%、ナノ粒子状LaB6 0.03%、Lupolen(登録商標)1840 D(PE)97.97%。
【0082】
このシートはIR照射透過性を、750〜1500nmの波長範囲において、ナノ微粒子状LaB6の無いシートに比べて最大50%減少させる。
【0083】
このシートは同様にIR照射透過性を、750〜1500nmの波長範囲において、凝集された非ナノ粒子状LaB6粒子(粒径は例えば1μm〜50μm)を有するシートと比べて、最大50%減少させる。
【0084】
実施例3〜6のさらなるシート組成もまた、実施例2に匹敵する透過性の減少を示す。
【0085】
実施例3:
シートの組成:
Uvinul(登録商標)5050H 1.0%、Uvinul(登録商標)3008 0.5%、Irganox(登録商標)1010 0.3%、Irgafos(登録商標)168 0.2%、ナノ粒子状LaB6 0.03%、Lupolen(登録商標)1840 D 97.97%。
【0086】
実施例4:
シートの組成:
Uvinul(登録商標)5050H 1.0%、Uvinul(登録商標)3008 0.5%、Irganox(登録商標)1010 0.3%、Irgafos(登録商標)168 0.2%、ナノ粒子状LaB6 0.0225%、Mark it(登録商標)(レーザーマーキング用のアンチモン化合物)0.0075%、Lupolen(登録商標)1840 D 97.97%。
【0087】
実施例5
シートの組成:
Uvinul(登録商標)5050H 1.0%、Uvinul(登録商標)3008 0.5%、Irganox(登録商標)1010 0.3%、Irgafos(登録商標)168 0.2%、ナノ粒子状LaB6 0.03%、酸化マグネシウム0.5%、Lupolen(登録商標)1840 D 97.47%。
【0088】
実施例6
シートの組成:
Uvinul(登録商標)5050H 1.0%、Uvinul(登録商標)3008 0.5%、Irganox(登録商標)1010 0.3%、Irgafos(登録商標)168 0.2%、ナノ粒子状LaB6 0.03%、K1010(Niチタン酸塩)0.1%、Lupolen(登録商標)1840 D 97.87%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の方法工程
a.ポリマー溶融物を作製する工程、
b.液状担体媒体と、その中に分散されたナノ粒子状IR吸収剤とを含有する調製物を作製する工程、
c.ポリマー溶融物(a)と、調製物(b)とを混合する工程、
d.混合物(c)を加工する工程、
を有する、ポリマー組成物の製造方法。
【請求項2】
前記ポリマー溶融物が、1つ又は複数の熱可塑性ポリマーを含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリマーを、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルアルカナール、ポリビニルケタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリカーボネートブレンド、ポリエステル、ポリエステルブレンド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレート−スチレンコポリマーブレンド、ポリ(メタ)アクリレート−ポリビニリデンフルオリドブレンド、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリビニルクロリドから選択する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
調製物(b)の作製を、ナノ粒子状IR吸収剤のプラズマ合成によって行う、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
調製物(b)の作製を、担体媒体中のIR吸収剤を微粉砕することによって行う、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
担体媒体中のIR吸収剤の微粉砕をミル粉砕により行う、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
微粉砕のため、IR吸収剤を最初は非ナノ粒子状の形態で使用する、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノ粒子状IR吸収剤が、最大200nmの質量平均粒子直径を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
調製物(b)の固体含分が、調製物(b)の全質量に対して少なくとも1質量%である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ナノ粒子状IR吸収剤の含分が、調製物(b)の全固体含分に対して少なくとも1質量%である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ナノ粒子状IR吸収剤が、金属ホウ化物、ATO、ITO、ナノスケールのカーボンブラック、又はこれらの物質の混合物であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属ホウ化物が、一般式MB6
[式中、Mは金属成分を表す]
の六ホウ化物であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記液状担体媒体が、アルキルカルボン酸及びアリールカルボン酸のエステル、アリールカルボン酸と、アルカノールとの水素化エステル、一価若しくは多価のアルコール、エーテルアルコール、ポリエーテルポリオール、エーテル、非環状及び環状の飽和炭化水素、鉱油、鉱油誘導体、シリコーン油、非プロトン性極性溶剤、又はこれらの混合物から選択されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記液状担体媒体が、ポリオレフィンワックス、及びポリオレフィンコモノマーワックスから選択されている、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記担体媒体が、エチレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、非環状若しくは環状のエーテル、ポリエーテルポリオール、低沸点性アルコール、若しくは沸点が200℃未満の炭化水素、又は上記担体媒体の混合物から選択されている、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
調製物(b)の沸点及び/又は発火点が、混合(c)に用いられる加工温度を上回る、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
調製物(b)の沸点が、混合(c)に用いられる加工温度を下回る、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
混合(c)が、担体媒体を分離しながら行われることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ポリマー溶融物にさらなる成分として、着色剤、抗酸化剤、光安定剤、UV吸収剤、立体障害性アミン光安定剤、ニッケル失活剤、金属失活剤、強化材、充填材、曇り防止剤、殺生剤、酸捕捉剤、帯電防止剤、長波IR照射のためのさらなるIR吸収剤、例えばカオリン、凝集防止剤、例えばSiO2、光散乱剤、例えばMgO又はTiO2、無機又は有機の反射材から選択される添加剤を添加する、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ポリマー溶融物(a)の作製、及び前記ポリマー溶融物と調製物(b)との混合(c)を、押出成形法又は混練法の範疇で行う、請求項1から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法により製造された、ポリマー組成物。
【請求項22】
熱管理における、請求項20に記載の方法によるポリマー組成物の使用。
【請求項23】
農業における、請求項20に記載の方法によるポリマー組成物の使用。
【請求項24】
温室用シートのための、請求項20に記載の方法によるポリマー組成物の使用。
【請求項25】
サイレージシート、巻伸ばし式サイレージシート、包装シート、又は重荷用袋としての、請求項20に記載の方法によるポリマー組成物の使用。
【請求項26】
1〜7つの層を有する、請求項20に記載の方法によるポリマー組成物を含有するシート。
【請求項27】
厚さが最大500μmである、請求項26に記載の、又は請求項20に記載の方法によるポリマー組成物を含有するシート。

【公表番号】特表2012−517517(P2012−517517A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549527(P2011−549527)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051457
【国際公開番号】WO2010/092013
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】