説明

ナノ結晶および生成された組成物をカプセル化するための方法

本発明は、発光ナノ結晶を気密封止するための方法、ならびに気密封止された発光ナノ結晶を含む組成物および容器を提供する。発光ナノ結晶を気密封止することにより、改善された寿命および発光を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ナノ結晶を気密封止する方法および気密封止されたナノ結晶組成物に関する。本発明は、さらに、発光ナノ結晶を含むミクロスフェアおよびミクロスフェアを作成するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
空気および水分にさらされた発光ナノ結晶は酸化的損傷を受け、その結果、多くの場合ルミネセンスを失う。ダウンコンバージョン層、フィルタリング層等の用途における発光ナノ結晶の使用は、多くの場合、発光ナノ結晶を、高温、高強度光、環境ガスおよび水分にさらす。これらの因子は、これらの用途における長い発光寿命に対する要求とあいまって、多くの場合、発光ナノ結晶の使用を限定し、または頻繁な交換を要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、発光ナノ結晶を気密封止し、それによって使用寿命を延ばし、発光強度を増大させることを可能にすることができる方法および組成物が求められている。本発明は、これらのニーズを満たすものである。
【0004】
本発明は、発光ナノ結晶を気密封止する方法および組成物を提供する。本発明に従って調製された組成物は種々の用途に応用することができ、本発明の方法は、種々の形状および構成の気密封止されたナノ結晶組成物の調製を可能にする。
【0005】
一実施形態において、本発明は、複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物を気密封止する方法を提供する。例示的な実施形態において、第1の基板が提供され、複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物が、(例えば、スクリーン印刷により)第1の基板に配置される。第2の基板は、発光ナノ結晶の組成物を覆うように、第1の基板上に配置される。次いで、第1および第2の基板が封止される。
【0006】
例示的な実施形態において、第1および第2の基板はガラス基板であり、好適には、基板は、中に形成される1つ以上の凹部を有する。さらなる実施形態において、第1の基板は、さらに、中に形成される1つ以上の凹部を有する第3の基板を含む。
【0007】
好適には、本発明の実施において使用するための発光ナノ結晶は、CdSe/ZnS、CdSe/CdSまたはInP/ZnSナノ結晶等のコアシェル発光ナノ結晶であり、好適には、大きさが約1〜10nmである。
【0008】
好適には、第1および第2の基板は、エポキシ封止剤等のポリマー封止剤で封止される。例示的な実施形態において、発光ナノ結晶組成物は、封止の前に硬化される。適した実施形態において、組成物は、第1および第2の基板の封止の後で、互いに分離される。
【0009】
本発明の方法は、さらに、例えば、SiO2、TiO2またはAlO2の層の、無機材料層等の第1および第2の基板上にバリア層を配置することを含むことができる。バリア層は、好適には原子層堆積またはスパッタリングによって配置される。
【0010】
さらなる実施形態において、本発明の方法は、第1の基板の中および/または上における1つ以上の凹部の形成を含む。次いで、複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物が、凹部に配置され、封止の前に、第2の基板が、発光ナノ結晶の組成物を覆うように、第1の基板上に配置される。
【0011】
例示的な実施形態において、1つ以上の凹部を形成するように第1の基板がエッチングされる。さらなる実施形態において、中に形成される1つ以上の凹部を有する第3の基板が、第1の基板上へ配置される。さらなる実施形態において、第3の基板が第1の基板上へ配置され、1つ以上の凹部が、第3の基板にエッチングされる。別のさらなる実施形態において、第3の基板は、第1の基板の表面上に1つ以上の凹部を形成するように、第1の基板上へ配置される。
【0012】
本発明は、さらに、全範囲に記載された種々の方法によって調製された気密封止された組成物を提供する。
【0013】
さらなる実施形態において、本発明は、ミクロスフェアを提供する。好適には、ミクロスフェアは、中心領域、中心領域の外側表面上の第1の層、1つ以上の発光ナノ結晶を含む第1の層、および第1の層の外側表面上のバリア層を含む。
【0014】
好適には、ミクロスフェアの中心領域は、シリカを含み、第1の層は、シリカまたはチタン等の無機材料を含む。コアシェルナノ結晶を含む例示的な発光ナノ結晶が、全範囲に記載される。好適には、バリア層は、SiO2、TiO2またはAlO2等の無機材料層を含む。
【0015】
例示的な実施形態において、ミクロスフェアは、約500ミクロン未満、好適には約10ミクロン未満、より好適には約1ミクロン未満の直径を有する。
【0016】
本発明は、さらに、ミクロスフェアを形成する方法を提供する。好適には、第1の無機材料を含む粒子が提供され、粒子は、第2の無機材料の前駆体および1つ以上の発光ナノ結晶を含む組成物と接触する。粒子の外側表面上に周辺領域が形成され、周辺領域は、第2の無機材料および発光ナノ結晶を含む。次いで、周辺領域の外側表面にバリア層が配置される。
【0017】
本発明の追加の特徴および利点は以下の説明に記載されており、それらの一部は説明から明白であり、または本発明の実施によって学ぶことができる。本発明の利点は、この構造によって実現され、達成され、本明細書の説明文および特許請求の範囲、ならびに添付図面に特に具体的に示される。
【0018】
以上のおおまかな説明および以下の詳細な説明は共に例示的かつ説明的であり、特許請求の範囲に記載された発明のさらなる説明を提供することが意図されていることを理解するべきである。
【0019】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は本発明を図解するものであり、また、本明細書の説明とともに、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を実施および使用することを可能にするのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図1B】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図1C】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図1D】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図1E】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法のフローチャートを示す。
【図2A】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図2B】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図2C】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図2D】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図2E】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図2F】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図2G】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法を示す。
【図3A】本発明の一実施形態に従う気密封止された発光ナノ結晶を分離させることを示す。
【図3B】本発明の一実施形態に従う気密封止された発光ナノ結晶を分離させることを示す。
【図3C】本発明の一実施形態に従う気密封止された発光ナノ結晶を分離させることを示す。
【図4】本発明の一実施形態に従う発光ナノ結晶を気密封止する方法のフローチャートを示す。
【図5】本発明の一実施形態に従うミクロスフェアを示す。
【図6】本発明の一実施形態に従うミクロスフェアを調製する方法のフローチャートを示す。
【0021】
次に、添付図面を参照して本発明を説明する。添付図面では、同様の参照符号が、同一の要素または機能的に類似した要素を指示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書に示され、記載された特定の実施態様は本発明の例であり、それらの実施態様は、いかなる形であれ本発明の範囲を限定することは意図されていないことが理解されるべきである。事実、簡潔にするため、従来のエレクトロニクス、製造、半導体デバイス、ならびにナノ結晶、ナノワイヤ(NW)、ナノロッド、ナノチューブおよびナノリボン技術、ならびにシステムの他の機能態様(およびシステムの個々のオペレーティング構成要素の構成要素)は、本明細書では詳細に説明されていない場合がある。
【0023】
本発明は、発光ナノ結晶を含むナノ結晶を含む種々の組成物を提供する。吸収特性、放出特性および屈折率特性を含む発光ナノ結晶の種々の特性を、種々の用途に対して調整および調節することができる。本明細書で使用されているとおり、用語「ナノ結晶」は、実質的に単結晶であるナノ構造物を指す。ナノ結晶は、約500nm未満から約1nm未満程度までの寸法を有する少なくとも1つの領域または特性寸法を有する。本明細書で使用されているとおり、数値に言及するときに「約」は、明示された値の±10%の値を意味する(例えば「約100nm」は90nm以上110nm以下の大きさの範囲を包含する)。用語「ナノ結晶」、「ナノドット」、「ドット」および「量子ドット」が同様の構造物を表すことは当業者によって直ちに理解され、本明細書ではこれらの用語が相互に交換可能に使用される。本発明はさらに、多結晶または非晶質ナノ結晶の使用を包含する。本明細書で使用されているとおり、用語「ナノ結晶」はさらに「発光ナノ結晶」を包含する。本明細書で使用されているとおり、用語「発光ナノ結晶」は、外部エネルギー源(好適には光)によって励起されたときに光を放出するナノ結晶を意味する。ナノ結晶の気密封止を説明するときに本明細書で使用されているとおり、好適な実施形態においては、ナノ結晶が発光ナノ結晶であることが理解されるべきである。
【0024】
典型的に、特性寸法の領域は構造物の最も小さな軸に沿う。ナノ結晶の材料特性は実質的に均一であることができ、または、ある種の実施形態では不均一であることができる。ナノ結晶の光学特性は、その粒径、化学または表面組成によって決定されうる。発光ナノ結晶の大きさを、約1nmから約15nmの範囲に調整することができることは、全光スペクトル内の光放出範囲が、演色における大きな融通性(versatility)を提供することを可能にする。粒子カプセル化は、化学およびUV劣化作用因子に対するロバスト性を提供する。
【0025】
発光ナノ結晶を含む、本発明で使用されるナノ結晶は、当業者に知られている任意の方法を使用して製造することができる。好適な方法および例示的なナノ結晶が、米国特許出願第2008/0237540号、米国特許第7,374,807号、2004年3月10日に出願された米国特許出願第10/796,832号、米国特許第6,949,206号、および2004年6月8日に出願された米国特許仮出願第60/578,236号に記載されている。これらの文献の開示はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本発明で使用されるナノ結晶は、無機材料、より好適には無機導体または半導体材料を含む、好適な任意の材料から製造することができる。好適な半導体材料は、米国特許出願第10/796,832号に開示された材料を含み、II−VI族、III−V族、IV−VI族、およびIV族半導体を含む任意のタイプの半導体を含む。好適な半導体材料は、限定はされないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si34、Ge34、Al23、(Al、Ga、In)2(S、Se、Te)3、Al2CO、および2種以上の該半導体の好適な組合せを含む。
【0026】
ある種の態様では、半導体ナノ結晶が、p型ドーパントまたはn型ドーパントから成る群からのドーパントを含むことができる。本発明において有用なナノ結晶はさらにII−VIまたはIII−V半導体を含むことができる。II−VIまたはIII−V半導体ナノ結晶の例は、Zn、Cd、Hg等の周期表のII族の元素と、S、Se、Te、Po等のVI族の任意の元素との任意の組合せ、ならびにB、Al、Ga、In、Tl等の周期表のIII族の元素と、N、P、As、Sb、Bi等のV族の任意の元素との任意の組合せを含む。
【0027】
発光ナノ結晶を含む、本発明において有用なナノ結晶はさらに、全体を通じて説明したようにナノ結晶の表面に共役し、共同し、会合し、または付着したリガンドを含むことができる。好適なリガンドは、米国特許第7,374,807号、米国特許第6,949,206号および米国特許仮出願第60/578,236号に開示されたものを含む、当業者に公知の任意のリガンド群を含む。これらの文献の開示はそれぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる。このようなリガンドの使用によって、ポリマーを含む種々の溶媒およびマトリックス中に組み込まれるナノ結晶の能力を強化することができる。種々の溶媒およびマトリックス中におけるナノ結晶の混和性(すなわち分離せずに混合される能力)を増大させることは、ナノ結晶が互いに凝集せず、従って光を散乱させないように、ナノ結晶をポリマー組成物全体に分布させることを可能にする。このようなリガンドは、本明細書では「混和性強化」リガンドと記述される。
【0028】
本明細書で使用されているとおり、用語ナノコンポジットは、中に分配または埋め込まれたナノ結晶を含むマトリックス材料を指す。好適なマトリックス材料は、ポリマー材料、有機および無機酸化物を含む、当業者に公知の任意の材料でありうる。本発明のナノコンポジットは、本明細書に記載された層、カプセル材料、コーティングまたはフィルムとすることができる。層、ポリマー層、マトリックスまたはナノコンポジットに言及した本発明の実施形態では、これらの用語が相互に交換可能に使用されること、およびこれらの用語に言及して記述された実施形態は、1つのタイプのナノコンポジットには限定されず、本明細書に記載されたまたは当技術分野で公知の任意のマトリックス材料または層を包含することが理解されるべきである。
(例えば米国特許出願第7,374,807号に開示されているような)ダウンコンバーティングナノコンポジットは、特定の波長の光を吸収し、次いで第2の波長で発光するように調整された発光ナノ結晶の放出特性を利用し、それによって活性源(例えばLED)の性能および効率を強化する。上で論じたとおり、このようなダウンコンバージョン用途および他のフィルタリングまたはコーティング用途における発光ナノ結晶の使用は、多くの場合、ナノ結晶を、高温、高強度光(例えばLED源)、外部ガスおよび水分にさらす。これらの条件にさらされることが、ナノ結晶の効率を低下させ、それによって有効製品寿命を短縮することがある。この問題を解決するため、本発明は、発光ナノ結晶を気密封止する方法を提供する。
【0029】
発光ナノ結晶蛍りん光体
ナノ結晶蛍りん光体を製造するためには、当業者に公知の任意の方法を使用することができるが、好適には、無機ナノ材料蛍りん光体の制御された成長のための溶液相コロイド法が使用される。Alivisatos,A.P.、「Semiconductor clusters, nanocrystals, and quantum dots」、Science、271:933(1996)、X.Peng,M.Schlamp、A.Kadavanich、A.P.Alivisatos、「Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS Core/Shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility」、J.Am.Chem.Soc.30:7019〜7029(1997)、およびC.B.Murray、D.J.Norris、M.G.Bawendi、「Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE(E=sulfur,selenium,tellurium)semiconductor nanocrystallites」、J.Am.Chem.Soc.115:8706(1993)を参照されたい。これらの文献の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。この製造工程技術は、クリーンルームおよび高価な製造機器が必要ない低コストプロセッサビリティ(processability)を後押しする。これらの方法では、高温で熱分解を受ける金属前駆体が、有機界面活性剤分子の熱溶液中に急速に注入される。これらの前駆体は高温で分解し、反応して、ナノ結晶の核を生成する。この最初の核生成段階の後、成長中の結晶に単量体を追加することによって成長段階が始まる。その結果は、有機界面活性剤分子が表面を覆った溶液中の独立した結晶性ナノ粒子である。
【0030】
この方法を利用すると、数秒間にわたって起こる最初の核生成事象、およびそれに続く数分間の高温での結晶成長として、合成が起こる。反応の性質および進行を変化させるため、温度、存在する界面活性剤のタイプ、前駆体材料、界面活性剤と単量体の比等のパラメータを変更することができる。温度は、核生成事象の構造段階、前駆体の分解速度および成長速度を制御する。有機界面活性剤分子は、溶解度とナノ結晶の形状制御の両方に関与する。界面活性剤と単量体の比、界面活性剤相互間の比、単量体相互間の比および個々の単量体の濃度は、成長の速度に強く影響する。
【0031】
好適な実施形態では、CdSeが、ナノ結晶材料として、一例では可視光ダウンコンバージョン用のナノ結晶材料として使用される。これは、この材料の合成が比較的に成熟しているためである。総称界面化学の使用によって、カドミウムを含まないナノ結晶を代わりに使用することも可能である。
【0032】
コア/シェル発光ナノ結晶
半導体ナノ結晶では、光誘導放出が、ナノ結晶のバンドエッジ状態から起こる。発光ナノ結晶からのバンドエッジ放出は、表面電子状態から生じる放射性および非放射性の崩壊チャネルと競合する。X.Peng、et al.、J.Am.Chem.Soc.30:7019〜7029(1997)。その結果、ダングリングボンド等の表面欠陥の存在が無放射性再結合中心を提供し、放出効率の低下に寄与する。この表面トラップ状態を不活性化し、除去する効率的で永続的な1つの方法が、ナノ結晶の表面に無機シェル(shell)材料をエピタキシャル成長させる方法である。X.Peng、et al.、J.Am.Chem.Soc.30:7019〜7029(1997)。シェル材料は、電子準位がコア(core)材料に対してI型であるように(例えば電子および正孔をコアに局在化させる潜在的なステップを提供するためより大きなバンドギャップを有するように)選択することができる。その結果、無放射性再結合の確率を低下させることができる。
【0033】
コアシェル構造物は、シェル材料を含む有機金属前駆体を、コアナノ結晶を含む反応混合物に加えることによって得られる。この場合には、核生成事象に続いて成長が起こるのではなく、コアが核の働きをし、コアの表面からシェルが成長する。コア表面へのシェル材料単量体の付加を促進し、シェル材料のナノ結晶の独立した核生成を防ぐため、反応温度は低く維持される。シェル材料の制御された成長を誘導し、溶解性を保証するため、反応混合物中に界面活性剤が存在する。均一なエピタキシャル成長シェルは、これらの2つの材料間に低い格子不整合が存在するときに得られる。さらに、球の形状は、大きな曲率半径による界面ひずみエネルギーを最小化する働きをし、それによって、ナノ結晶系の光学特性を悪化させうる転位の形成を防ぐ。
【0034】
コアシェル発光ナノ結晶を調製するための例示的な材料は、限定はされないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si34、Ge34、Al23、(Al,Ga,In)2(S,Se,Te)3、Al2CO、および2種以上の該材料の好適な組合せを含む。本発明の実施に際して使用される例示的なコアシェル発光ナノ結晶は、限定はされないが、(コア/シェルとして)CdSe/ZnS、InP/ZnS、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnSおよびその他を含む。
【0035】
気密封止された発光ナノ結晶組成物
一実施形態では、本発明は、複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物を気密封止する方法を提供する。図1Eのフローチャート120に示されるように、図1A〜1Dの概略図を参照すると、好適には、方法は、ステップ122において第1の基板102を提供することを含む。ステップ124において、複数の発光ナノ結晶106を含む1つ以上の組成物104は、第1の基板102上に配置される。ステップ126において、第2の基板108は、図1Bと同様に、発光ナノ結晶106の組成物104を覆うように、第1の基板上に配置される。ステップ128において、次いで、第1および第2の基板が封止される。
【0036】
全体を通じて論じたとおり、用語「気密」、「気密封止」および「気密封止された」は、容器を通過しまたは組成物内に浸透し、かつ/あるいは発光ナノ結晶と接触するガス(例えば空気)または水分の量が、ナノ結晶の性能(例えばルミネセンス)を実質的に達成しないレベルまで低減されるような態様で、発光ナノ結晶の組成物が調製されたことを示すために使用される。従って、「気密封止された組成物」、例えば発光ナノ結晶を含む気密封止された組成物は、ある量の空気(あるいは他のガス、液体または水分)が組成物内に浸透し、発光ナノ結晶と接触して、その結果、ナノ結晶の性能(例えばルミネセンス)が実質的に達成されまたは影響を受ける(例えば低下する)ことを許さない組成物である。
【0037】
全体を通じて使用されているとおり、複数の発光ナノ結晶は2つ以上のナノ結晶(すなわち2、3、4、5、10、100、1,000、1,000,000等のナノ結晶)を意味する。好適には、組成物が、同じ組成を有する発光ナノ結晶を含むが、他の実施形態では、複数の発光ナノ結晶が異なる種々の組成であることができる。例えば、発光ナノ結晶が全て同じ波長で発光することができ、または、さらなる実施形態では、組成物が、異なる波長で発光する発光ナノ結晶を含むことができる。
【0038】
本発明の組成物において使用される好適なマトリックスは、ポリマーならびに有機または無機酸化物を含む。本発明のマトリックスに使用される好適なポリマーは、このような目的に使用することができる当業者に公知の任意のポリマーを含む。好適な実施形態では、ポリマーが実質的に半透明、透明、または実質的に透明である。このようなポリマーは、限定はされないが、ポリ(ビニルブチラール):ポリ(酢酸ビニル);エポキシ樹脂;ウレタン;シリコンならびに限定はされないがポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、フッ化シリコン、ビニルおよび水素化物置換シリコンを含むシリコン誘導体;限定はされないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチルおよびメタクリル酸ラウリルを含む単量体から形成されたアクリルポリマーおよびコポリマー;スチレンベースのポリマー;ならびにジビニルベンゼン等の2官能性単量体で架橋されたポリマーを含む。
【0039】
好適な任意の方法、例えば、ポリマーにナノ結晶を混入し、フィルムを注型する方法、ナノ結晶を単量体と混合し、それらを一緒に重合させる方法、ゾル−ゲルにナノ結晶を混入して酸化物を形成する方法、または当業者に公知の他の任意の好適な方法を使用して、本発明において使用される発光ナノ結晶を、ポリマー(または他の好適な材料、例えばワックス、油)マトリックス中に埋め込むことができる。本明細書で使用されているとおり、用語「埋め込む」は、マトリックスの主成分を構成するポリマーに発光ナノ結晶が取り囲まれている、または包み込まれていることを示すために使用される。好適には、発光ナノ結晶がマトリックス全体に均一に分布するが、他の実施形態では、用途を特定した均一性分布関数(uniformity distribution function)に従って、発光ナノ結晶を分布させることができることに留意すべきである。
【0040】
例示的な実施形態において、第1の基板102および第2の基板108は、ポリマーまたはガラス(例:シリカ含有ガラス)等の、透明、実質的に透明、または半透明の基板である。例示的な実施形態において、第1および第2の基板は、共に、ガラスを含むが、他の実施形態においては、基板のうちの1つをガラスに、もう一方をポリマー材料に、または、両方をポリマー材料にすることができる。図1Aに示すように、好適には第1の基板102は、発光ナノ結晶106の組成物104を2つ以上その上に配置することができるような大きさである。しかしながら、さらなる実施形態において、複数の発光ナノ結晶106を含む単一の組成物104を、第1の基板上に配置することができ、次いで、所望する場合には、複数の第1の基板を、複数の気密封止された組成物を調製するために使用することができる。第1の基板102の厚さは、好適には約1μm〜約1cmであり、好適には約100μm〜約100mmである。第1および第2の基板は、好適には同じ大きさであるが、組成物が基板によって封止される限り、他の実施形態においては、これらを異なる大きさにすることができる。好適には、第1および第2の基板は、少なくとも1つの横寸法において(つまり基板の平面において)、およそ数ミリメートルから数メートルである。透明、または半透明である第1の基板102を提供することにより、光が基板を通過し、その上に配置されている発光ナノ結晶に接触することを可能にする。
【0041】
スピンコーティング、スクリーン印刷、浸漬被覆、塗装、噴霧等の当技術分野で公知の任意の方法によって、第1の基板102上に配置されている本発明の組成物104の厚さおよび大きさ(例:覆っているエリア)を制御することができる。本発明の発光ナノ結晶組成物は、望ましい任意の大きさ、形状、構成および厚さであることができる。例えば、組成物は、層ならびに他の形状、例えば円板、滴、球、立方体ないしブロック、管形等の形態をとることができる第1の基板上に配置できる。本発明の種々の組成物は必要なまたは所望の任意の厚さであることができるが、好適には、組成物の厚さ(すなわち1次元)が約1μmから約500μmまでである。好適には、組成物は、数ミクロンから数センチメートルの範囲である横方向の少なくとも1つの寸法(すなわち基板の平面)を有する。発光ナノ結晶は、種々の組成物/マトリックスに、所望の機能のために好適な任意のローディング比で埋め込むまたは分布させることができる。好適には、発光ナノ結晶が、用途、マトリックスおよび使用されるナノ結晶のタイプに応じて約0.001体積%から約75体積%までの比でロードされる。好適なローディング比は当業者が容易に決定することができ、本明細書では特定の用途に関してさらに説明される。例示的な実施形態では、発光ナノ結晶組成物にロードされるナノ結晶の量が、約10体積%から百万分率(ppm)レベルまでである。
【0042】
好適には、本発明で使用される発光ナノ結晶の大きさが約100nm未満から約2nm未満までである。好適な実施形態では、本発明の発光ナノ結晶が可視光を吸収する。本明細書で使用されているとおり、可視光は、人間の眼に見える約380ナノメートルから約780ナノメートルまでの波長を有する電磁放射である。可視光は、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫等、スペクトルの種々の色に分離されうる。これらの色のうちの任意の1つまたは複数の色を構成する光を吸収するように、本発明の光子フィルタリングナノコンポジットを構築することができる。例えば、青色光、赤色光または緑色光、このような色の組合せ、あるいはこれらの色の任意の中間色を吸収するように、本発明のナノコンポジットを構築することができる。本明細書で使用されているとおり、青色光は、波長約435nmから約500nmまでの光を含み、緑色光は、約520nmから565nmまでの光を含み、赤色光は、約625nmから約740nmまでの光を含む。当業者は、これらの波長またはこれらの色間の波長の任意の組合せをフィルタリングすることができるナノコンポジットを構築することができ、このようなナノコンポジットは本発明によって具体化される。
【0043】
他の実施形態では、紫外、近赤外および/または赤外スペクトル中にある光子を発光ナノ結晶が吸収するような大きさおよび組成を、発光ナノ結晶が有する。本明細書で使用されているとおり、紫外スペクトルは約100nmから約400nmまでの光を含み、近赤外スペクトルは波長約750nmから約100μmまでの光を含み、赤外スペクトルは波長約750nmから約300μmまでの光を含む。
【0044】
本発明の実施に際しては、好適な任意の材料の発光ナノ結晶を使用することができるが、ある種の実施形態では、ナノ結晶を、ZnS、InAsまたはCdSeナノ結晶とすることができ、あるいは、本発明の実施に際して使用されるナノ結晶の集団を形成するため、ナノ結晶が種々の組合せを含むことができる。上で論じたとおり、さらなる実施形態では、発光ナノ結晶が、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、InP/ZnS等のコア/シェルナノ結晶である。
【0045】
全体を通じて述べているように、発光ナノ結晶106の組成物104は、好適には、ポリマー基板またはマトリックスを含む。このため、本発明は、発光ナノ結晶を含む組成物を気密封止する方法、好適には、第1および第2の基板の間に組成物を封止することで、発光ナノ結晶を含むポリマー基板を含む。
【0046】
組成物104内にポリマー基板を使用できることにより、組成物を、単に、所望の形状/配向に、成形、拡張、滴下、分散、噴霧、層化、またはその他の処理をすることにより、種々の形状の形成および組成物の構成が可能になる。例えば、発光ナノ結晶の溶液/懸濁液を調製することができる(例:ポリマーマトリックス内の発光ナノ結晶)。次いで、この溶液を、必要な形状を形成するように、任意の所望の型に配置することができる、または、単に形状に配置し、次いで、固体または半固体構造を形成するように、硬化することができる(例:ポリマーの種類により、冷却または加熱)。例えば、図1Aに示すように、組成物は、ディスクまたは滴の形状に配置することができる。
【0047】
例示的な実施形態において、発光ナノ結晶106(注:図は正確なスケールではない)を含む組成物104は、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、または多数の個々のサンプルを基板に体積させる他の応用技術を使用することにより、高生産性の形態で基板102上に配置される。
【0048】
適した実施形態において、フローチャート120のステップ128における封止は、ポリマー封止剤による封止を含む。本発明の実施に使用可能な好適なポリマー封止剤が公知であり、これらは、乾燥または硬化される場合に、透明、または少なくとも半透明であるポリマー封止剤である。利用可能な例示的なポリマー封止剤には、シリコン、エポキシ、種々のゴム、種々のアクリル等を含むが、これらに制限されない。好適には、透明または少なくとも半透明であるだけでなく、封止剤は、さらに、第1および第2の基板を気密封止するように、空気および水分に対して、不浸透性である、または少なくとも実質的に不浸透性であるべきである。
【0049】
好適には、第1の基板102および第2の基板108は、封止剤が第1および第2の基板の間の封止112を形成するような封止剤110を、例えば、注入、浸し塗り、ウィッキング、塗装、インジェクション等することにより、封止剤110を第1および第2の基板に導入することによって、封止される。好適には、発光ナノ結晶組成物が、封止剤による封止の前に、(例:加熱または冷却によって)硬化される。
【0050】
さらなる実施形態において、図2A〜2Bに示すように、第1の基板102は、好適には、基板の中および上の少なくとも1つに形成された1つ以上の凹部202を含む。本明細書中で使用されているように、「凹部」は、基板102の中および/または上における穴、圧痕、ウェル、割れ目、欠陥、または他のくぼみを指す。内部および上の少なくとも1つにおける凹部の形成は、基板102の中および/または上に凹部が形成されることを意味する。第1の基板102の「上の」凹部は、第1の基板102の表面上にある凹部、例えば、本明細書に記載されているように、第3の基板に形成された凹部を指す。第1の基板102の「中」にある凹部は、第1の基板102の表面に、任意の深さで貫通する凹部を指す。なお、凹部は、同じ組成物内の基板の中および上の両方に形成することができる、または、基板102の中のみ、または上のみに形成することができる。
【0051】
好適には、基板102内の凹部は、基板全体は通過しないが、代わりに、基板の厚さ全体未満である基板への深さを有するため、組成物104を受け入れるための貯蔵所を提供する。好適には、凹部202は、少なくとも1つの横寸法(第1の基板102の平面内の寸法、例:円形形状の凹部が利用される場合の直径)において約0.5mm〜約10mmであり、少なくとも1つの横寸法において、より好適には、約1mm〜約10mm、約1mm〜約9mm、約1mm〜約8mm、約1mm〜約7mm、約1mm〜約6mm、約1mm〜約5mm、約1mm〜約4mm、約1mm〜約3mm、約1mm〜約2mm、または約10mm、約9mm、約8mm、約7mm、約6mm、約5mm、約4mm、約3mm、約2mm、または約1mmである。
【0052】
凹部は、好適には、これらが約0.1mm〜約10mm(エッジからエッジの分離)の間隔で離れるように、基板102(または本明細書に記載されているように他の材料)のセクションによって分離される。好適には、凹部202は、約1mm〜約10mm、約1mm〜約9mm、約1mm〜約8mm、約1mm〜約7mm、約1mm〜約6mm、約1mm〜約5mm、約1mm〜約4mm、約1mm〜約3mm、約1mm〜約2mm、または約10mm、約9mm、約8mm、約7mm、約6mm、約5mm、約4mm、約3mm、約2mm、または約1mmの距離で、分離される。
【0053】
基板102の表面への凹部202の深さ(つまり、基板の表面に対して直角である基板への距離)は、部分的には、基板102の厚さによって決定されるが、深さは、好適には、基板102の表面への方向の一部のみ、延伸する。例示的な実施形態において、凹部202の深さは、約100μm〜約100mm、好適には約500μm〜約10mmである。例示的な実施形態において、凹部202の深さは凹部において均一にすることができるが、他の実施形態において、凹部は、傾斜または非均一の深さを有することができる。
【0054】
例示的な実施形態において、凹部202は環状の断面を有するが、他の実施形態において、例えば長方形、正方形、三角形、不定形等の任意の形状を使用することができる。
【0055】
図2F内のさらなる実施形態に示すように、第1の基板102は、さらに、第3の基板204に形成された1つ以上の凹部202を有する第3の基板204を含むことができる。好適には、第3の基板内の凹部は、第1の基板102の表面厚さ全体を通過するが(適した実施形態において、表面102は、さらに、中に凹部を有してもよい)、他の実施形態において、第3の基板204内の凹部202は、第3の表面厚さ全体を通過するわけではない。このため、図2Fに示すように、凹部204は、円筒形にすることができる(または他の適した形状、例:長方形、正方形、不定形等)。第3の基板の厚さは、好適には、約100μm〜約100mm、好適には約500μm〜約10mm、または約500μm〜約5mmである。
【0056】
例示的な実施形態において、第3の基板204は、フォトレジスト材料を含むポリマー材料を含む。フォトレジスト材料の利用により、(本明細書に記載されているように)第3の基板204内の凹部202を作成するために、マスキングまたはエッチングを可能にする。フォトレジスト材料の利用の方法の例は、フォトレジスト現像剤と同様に、例えば、その文献の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Sze、S.M.、「Semiconductor Devices、Physics and Technology」、John Wiley & Sons、New York、pp.436〜442(1985)に記載されている。概して、本発明の実施において使用するための(ネガティブフォトレジスト等の)フォトレジストは、感光性の化合物と組み合わせられたポリマーを含む。放射(例:UV光)にさらされると、感光性化合物はポリマーと架橋し、それによって、展開溶媒への耐性がもたらされる。しかしながら、さらされていないエリアは、展開溶媒によって除去可能である。いくつかの例示的なネガティブフォトレジスト材料および現像剤は、Kodak(登録商標)747、コポリマー−アクリル酸エチルおよびメタクリル酸グリシジル(COP)、GeSeおよびポリ(メタクリル酸グリシジル−共−アクリル酸エチル)DCOPAを含む。ネガティブフォトレジスト材料の配置は、任意の適した方法、例えば、スピンコーティング、吹付け塗り、またはその他の材料の層形成を使用して実行可能である。対照的に、「ポジティブフォトレジスト」材料は、放射にさらされる場合には化学的なロバストさが低下するため、ネガティブフォトレジスト材料とは反対の働きをする。ここで、放射にさらされる材料は、マスク生成のためには変わらないが、放射を受けないエリアが取り除かれる。
【0057】
図2Bおよび2Cに示すように、発光ナノ結晶を含む組成物104は、凹部202内に配置される。好適には、組成物104上部および基板102表面の間に、全く、またはほとんどギャップが存在しないように、凹部が埋められる。これは、図2C〜2Eに示すように、封止剤110で気密封止された場合に、第2の基板108および第1の基板104の間の緊密な封止を提供することにより、気密封止された発光ナノ結晶を提供する。凹部202を含む第3の基板204が利用される場合、好適には、組成物104は、組成物上部および第3の基板102表面の間に全くまたはほとんどギャップがないように、凹部に配置される。
【0058】
さらなる実施形態において、図1Eに示されるように、本発明の方法は、バリア層(図示せず)が第1の基板102および第2の基板108の表面上に配置される、ステップ130をさらに含むことができる。本明細書で使用されているように、用語「バリア層」は、層、コーティング、封止材、または第1の基板および第2の基板上に配置される他の材料を示すために使用される。このようなバリア層は、第1および第2の基板の封止によって提供される気密封止の上および下の気密封止のさらなる手段(measure)を提供する。
【0059】
バリア層の例は、基板/組成物上に気密シールを生み出すことができる任意の材料層、コーティングまたは物質を含む。好適なバリア層は、無機層、好適には、Al、Ba、Ca、Mg、Ni、Si、Ti、Zrの酸化物等の無機酸化物を含む。例示的な無機酸化物層は、SiO2、TiO2、AlO2等を含む。全体を通じて使用されているとおり、用語「配置する」および「配置」は、バリア層を堆積させる好適な任意の方法を含む。例えば、配置は、積層(layering)、コーティング、吹付け、スパッタリング、プラズマ援用化学蒸着、原子層堆積(atomic layer deposition)、または基板/組成物にバリア層を堆積させる他の好適な方法を含む。好適な実施形態では、基板/組成物上にバリア層を配置するためにスパッタリングが使用される。スパッタリングは、材料元素源を衝撃するために高エネルギーイオンが使用され、材料元素源が原子蒸気を放出し、次いで原子蒸気が基材(substrate)上に薄層として堆積する、物理蒸着工程を含む。例えば米国特許第6,541,790号、第6,107,105号および第5,667,650号を参照されたい。これらの文献の開示はそれぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0060】
さらなる実施形態では、バリア層の配置を、原子層堆積を使用して実施することができる。ナノ結晶組成物を適切に気密封止するためには、事実上欠陥のない(すなわちピンホールのない)バリア層が、多くの場合必要である。さらに、バリア層の配置が、ポリマー、基板および/またはナノ結晶を劣化させてはならない。従って、好適な実施形態では、バリア層を配置するのに原子層堆積が使用される。
【0061】
原子層堆積(ALD)は、基板/組成物上に酸化物層(例えばTiO2、SiO2、AlO2等)を配置することを含むことができ、または、さらなる実施形態では、窒化物(例えば窒化シリコン)等の非導電層の堆積を使用することができる。ALDは、反応ガスとパージガスを交互に供給することによって、原子層(すなわち分子わずか数個分の厚さ)を堆積させる。高いアスペクト比、凹所内における均一性、ならびに良好な電気および物理特性を有する薄いコーティングを形成することができる。好適には、ALD法によって堆積させたバリア層が、低い不純物濃度、および1000nm未満、好適には約500nm未満、約200nm未満、約50nm未満、約20nm未満または約5nm未満の厚さを有する。
【0062】
例えば、好適な実施形態では、2種類の反応ガス、AおよびBが使用される。反応ガスAだけが反応室内へ流入すると、基板/組成物上に反応ガスAの原子が化学的に吸着する。次いで、残った反応ガスAがAr、窒素等の不活性ガスでパージされる。次いで、反応ガスBが流入し、基板/組成物の反応ガスAが吸着した表面でだけ、反応ガスAとBとの間の化学反応が起こり、その結果、基板/組成物上に原子バリア層が形成される。
【0063】
窒化物層等の非導電層が配置される実施形態では、窒化シリコン層を配置するため、好適には、SiH2Cl2および遠隔プラズマ援用NH3が使用される。この実施形態は低温で実行することができ、活性酸素種の使用を必要としない。
【0064】
基板/組成物上にバリア層を配置するためのALDの使用は、基材の形態にかかわらず、事実上ピンホールのないバリア層を生成する。これらの堆積ステップを繰り返すことによって、バリア層の厚さを増大させることができ、それによって原子層ユニットの層厚を、繰返し回数に応じて増大させることができる。加えて、バリア層を保護し、またはバリア層をさらに強化するため、バリア層を(例えばスパッタリング、CVDまたはALDによる)追加の層でさらにコーティングすることもできる。
【0065】
好適には、本発明の実施に際して利用されるALD法は、約500℃未満、好適には約400℃未満、約300℃未満または約200℃未満の温度で実行される。
【0066】
例示的なバリア材料は、酸素および水分の透過を明確に低減させるように設計された有機材料を含む。例は、(アルミナ充填材入りエポキシ樹脂等の)充填材入りエポキシ樹脂および液晶ポリマーを含む。
【0067】
図1Eのフローチャート120に示されるように、本発明の方法は、好適には、さらに、図3A〜3Cに示すように、基板層の封止の後で、互いに1つ以上の気密封止された組成物を分離させることを含む。この分離は、バリア層の配置の前または後にすることができるが、好適には、バリア層は、利用される場合には、分離の後で配置される。
【0068】
図3A〜3Cに示すように、複数の個々に封止された組成物を含む気密封止された構造302は、サブ構造304に分離することができる、または、好適には、さらに、それぞれ、それ自体において、複数の発光ナノ結晶を含む単一の気密封止された組成物を含む、個別の構造306に分離することができる。このため、複数の気密封止された組成物の調製は、個別の、分離された組成物を生じさせる可能性がある。
【0069】
気密封止された組成物を互いに分離するための方法は、(例:ナイフ、ウェッジ、のこぎり、ブレード、または他の切断器具による)機械的な立方体切断、レーザー、ウォータージェットによる等の当該技術において公知の種々の方法を含む。
【0070】
さらなる実施形態において、本発明は、1つ以上の発光ナノ結晶の組成物を気密封止するさらなる方法を提供する。図4のフローチャート400に示されるように、図2A〜2Gを参照し、例示的な実施形態において、方法は、第1の基板102が提供されるステップ402を含む。フローチャート400のステップ404において、1つ以上の凹部202が、第1の基板の中および/または上に生成される。
【0071】
フローチャート400のステップ406において、複数の発光ナノ結晶106を含む1つ以上の組成物104が、凹部204に配置される。ステップ408において、次いで、第2の基板108が、発光ナノ結晶106の組成物104を覆うように、第1の基板102上に配置される。フローチャート400のステップ410において、次いで、第1および第2の基板112が封止される。
【0072】
全範囲に記載されるように、好適には、基板102および108は、ポリマーまたはガラス基板等の、透明または半透明の基板である。基板102および108の大きさおよび厚さが、全範囲に記載されている。
【0073】
フローチャート400のステップ404は、第1の基板102の中および/または上に1つ以上の凹部202を生成することを含む。例示的な実施形態において、凹部202は、第1の基板102の表面に直接生成される。つまり、材料は、凹部202を生成するように、第1の基板102の表面から除かれる。第1の基板102から材料を除くための方法は、エッチング(例:本明細書において開示されるものを含む、種々の酸または他のエッチャントを使用する化学的エッチング)、ガウジング、切断、切削、掘削等を含む。
【0074】
さらなる実施形態において、凹部202を、第1の基板102上に生成することができる。このような実施形態において、第3の基板204は、好適には、第1の基板102上に配置される。次いで、例えば、基板へのエッチング(例:種々の酸を使用する化学的エッチング)、ガウジング、切断、切削、掘削等によって、第3の基板の中に凹部202が生成される。好適には、マスキング/エッチング法は、第3の基板に凹部を生成するために使用される。さらなる実施形態において、凹部が既に生成されている以前に調製された第3の基板を配置することによって、凹部202を生成できる。別のさらなる実施形態において、第3の基板部分206を第1の基板102上に配置および配列することにより、第1の基板102の表面に凹部を形成可能であり、ここで、凹部202は、図2Gに示すように、セクションの間の隙間/スペース内において生成および形成される。
【0075】
発光ナノ結晶(例:ポリマー組成物/マトリックス)および適したナノ結晶を含む例示的な組成物が、全範囲において記載される。好適には、発光ナノ結晶は、CdSe/ZnS、CdSe/CdSおよびInP/ZnS等のコアシェル発光ナノ結晶である。ナノ結晶の例示的な大きさが本明細書中に記載されており、好適には、発光ナノ結晶は、大きさが約1〜10nmである。発光ナノ結晶の組成物を凹部内に配置するための方法が全範囲に記載されており、高生産性の堆積を生成するためにスクリーン印刷および他の方法を含む。
【0076】
全範囲に記載されているように、好適には、第2の基板は、ポリマー材料またはガラス等の透明または半透明の基板である。2枚のガラス基板の間で発光ナノ結晶の組成物を気密封止することにより、ナノ結晶を、本明細書に記載されているように、LED内のダウンコンバージョン等の種々の応用に利用することができる。
【0077】
全範囲に記載されるように、好適には、第1および第2の基板を、シリコンベース、エポキシ樹脂ベースまたはアクリルベースの封止剤等のポリマー封止剤で気密封止する。封止剤は、封止剤を基板に注ぐ(および次いで、基板へ加圧することにより、残留物を搾り出す)、基板の間のスペースに基板をウィッキング(wicking)する、基板に封止剤を注入する、基板に封止剤を滴下する等の任意の適した方法、および他の適した方法を用いて、第1および第2の基板に導入する110ことができる。他の実施形態において、封止剤を、例えば、塗装、噴霧、拡散または第1および第2の基板の間に封止剤を浸透させる必要なく、封止剤を塗布することにより、第1および第2の基板の外側エッジに配置することができる。
【0078】
図4に示すように、好適には、発光ナノ結晶は、ステップ414において第1および第2の基板を封止する前に、ステップ412において硬化されるが、さらなる実施形態では、基板を封止することができ、次いで、発光ナノ結晶の組成物を硬化させることができる。
【0079】
本発明の方法は、さらに、基板をさらに気密封止するために、第1および第2の基板上にバリア層を配置する、フローチャート400のステップ414を含むことができる。バリア層(例:原子層堆積、スパッタリング等)を配置する方法は、SiO2、TiO2またはAlO2を含む層等の無機材料層を含む例示的なバリア層と同様に、全範囲に記載される。
【0080】
フローチャート400に示されるように、方法は、好適には、例えば、図3A〜3Cに示すように、さらに、気密封止された組成物が互いに分離されるステップ416を含む。バリア層が配置される前または後に、分離が生じる可能性がある。本明細書に記載されているように、提供された方法により、LED、ディスプレイ内等の種々の応用に使用可能な高生産性の発光ナノ結晶の個々の別の例が可能になる。
【0081】
本発明は、さらに、本明細書中に記載される種々の方法によって調製される気密封止された組成物を提供する。発光ナノ結晶の例示的な組成物、大きさおよび特徴、ならびに封止された組成物の基板、封止剤および他の構成要素(例:バリア層)が、全範囲に記載される。
【0082】
本発明の適した実施形態において、真空内および/またはN2または他の不活性ガスのみが存在する、不活性雰囲気内において、気密封止された発光ナノ結晶の組成物を生成するための種々のステップが実行される。
【0083】
本明細書で論じたとおり、好適な実施形態では、本発明の気密封止された発光ナノ結晶組成物が、LEDまたは他の光源と組み合わせて使用される。これらの封止されたナノ結晶/LEDの用途は当業者に公知であり、以下のものを含む。例えば、このような封止されたナノ結晶/LEDは、マイクロプロジェクタ(例えば米国特許第7,180,566号および第6,755,563号参照。これらの文献の開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)の中で使用することができ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、パーソナルメディアプレーヤ、ゲーム装置、ラップトップコンピュータ、デジタル多用途ディスク(DVD)プレーヤおよび他のビデオ出力装置、パーソナルカラーアイウェア、自動車および航空機用のヘッドアップまたはヘッドダウン(およびその他の)ディスプレイ等の用途で使用することができる。さらなる実施形態では、デジタル光プロセッサ(DLP)プロジェクタ等の用途で、気密封止されたナノ結晶を使用することができる。
【0084】
さらなる実施形態では、全体を通じて開示された気密封止された組成物を使用して、エタンデュ(etendue)(すなわち光が広がる領域および角度がどの程度か)として公知の光学系の特性を最小化することができる。特許請求の範囲に記載の発明の組成物または容器を配置し、層状に重ね、あるいは他の方法でLEDまたは他の光源をこれらで覆い(部分的にでも覆い)、発光ナノ結晶組成物または容器の全体領域(例えば厚さ)とLEDの領域(例えば厚さ)の比を制御することによって、エタンデュの量または範囲を最小化し、それによって捕捉され、放出される光量を増大させることができる。好適には、発光ナノ結晶組成物または容器の厚さが、LED層の厚さの約1/5未満である。例えば、発光ナノ結晶組成物または容器は、LED層の厚さの約1/6未満、約1/7未満、約1/8未満、約1/9未満、約1/10未満、約1/15未満または約1/20未満である。
【0085】
別のさらなる実施形態において、本発明は、図5に示すように、ミクロスフェア500を提供する。好適には、本発明のミクロスフェアは、中心領域502、および中心領域502の外側表面506上に第1の層504を含み、第1の層504は、1つ以上の発光ナノ結晶508を含む。ミクロスフェア500は、さらに、第1の層504の外側表面510上にバリア層512を含む。
【0086】
中心領域、第1の層、およびナノ粒子を含む例示的なミクロスフェア、ならびに、このようなミクロスフェアを作成する方法が、米国特許第7,229,690号に開示されており、その文献の開示は、その全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0087】
米国特許第7,229,690号に開示されるように、好適には、中心領域502は、シリカを含み、第1の層504は、シリカまたはチタン等の無機材料を含む。ミクロスフェア内に含まれる発光ナノ結晶508が本明細書内に開示されており、好適には、CdSe/ZnS、CdSe/CdSまたはInP/ZnSナノ結晶等のコアシェル発光ナノ結晶を含む。例示的な実施形態において、発光ナノ結晶は、大きさが約1〜10nmである。
【0088】
本明細書において詳細に記載されているように、発光ナノ結晶を含む組成物の表面へのバリア層の追加は、組成物上の気密封止を提供し、これにより、水分および/または空気のナノ結晶の通過を低減または排除する。好適には、ミクロスフェア500上のバリア層512は、無機材料層SiO2、TiO2またはAlO2を含むが、本明細書に記載されており、当該技術では公知の他の層も利用可能である。
【0089】
例示的な実施形態において、本発明のミクロスフェア500は、約500ミクロン未満、例えば、約400ミクロン未満、約250ミクロン未満、約100ミクロン未満、約50ミクロン未満、約10ミクロン未満、または約1ミクロン未満(これらの範囲の間の値を含む)の直径を有する。
【0090】
本発明は、さらに、図5を参照し、図6のフローチャート600に示されるように、ミクロスフェアを形成する方法を提供する。フローチャート600のステップ602において、第1の無機材料を含む粒子502が提供される。次いで、粒子は、ステップ604において、第2の無機材料の前駆体および1つ以上の発光ナノ結晶508を含む組成物と接触する。ステップ606において、周辺領域504は、粒子502の外側表面506に形成され、周辺領域は、第2の無機材料および発光ナノ結晶508を含む。次いで、ステップ608において、周辺領域504の外側表面510にバリア層512が配置される。
【0091】
本明細書に記載されているように、好適にはシリカ粒子が提供され、粒子は、発光ナノ結晶を含むシリカまたはチタンを含む有機材料と接触する。本明細書に記載されているように、発光ナノ結晶は、好適には、大きさが約1〜10nmのCdSe/ZnS、CdSe/CdSまたはInP/ZnSナノ結晶等のコアシェル発光ナノ結晶である。シリカ粒子および周辺領域504を調製するための方法は、米国特許第7,229,690号の全範囲に記載されている。
【0092】
好適には、SiO2、TiO2またはAlO2等の無機材料層を含むバリア層は、ミクロスフェア上に配置される。本明細書に記載されているように、バリア層は、原子層堆積およびスパッタリングを含む、種々の方法で配置することができる。
【0093】
本発明の例示的な実施形態が提示された。本発明はこれらの例に限定されない。これらの例は、例示のために本明細書に提示されたのであって、限定のために本明細書に提示されたのではない。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づく(本明細書に記載された実施形態の等価、拡張、変形、偏向形態等を含む)代替実施形態が明白であろう。このような代替実施形態は本発明の範囲および趣旨に含まれる。
【0094】
本明細書に記載された全ての発表論文、特許および特許出願は、それぞれの個々の発表論文、特許または特許出願は参照によって組み込まれていると特にまた個別に明示されたのと同じ程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物を気密封止する方法であって、前記方法は、
(a)第1の基板を提供することと、
(b)複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物を、前記第1の基板上に配置することと、
(c)発光ナノ結晶の前記組成物を覆うように、前記第1の基板上に第2の基板を配置することと、
(d)前記第1および第2の基板を封止することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記提供することは、ガラス基板を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記提供することは、中に形成された1つ以上の凹部を有する第1の基板を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記提供することは、中に形成された1つ以上の凹部を有する第3の基板をさらに含む第1の基板を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記(b)における配置することは、複数のコアシェル発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記(b)における配置することは、CdSe/ZnS、CdSe/CdSおよびInP/ZnSから成る群から選択される複数のコアシェル発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記(b)における配置することは、大きさが約1〜10nmである複数の発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記(c)における配置することは、ガラス基板を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記(c)における封止することは、ポリマー封止剤によって封止することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記(d)における封止することは、エポキシ封止剤によって封止することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記(d)における封止することの前に、前記発光ナノ結晶組成物を硬化させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1および第2の基板上にバリア層を配置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記バリア層を配置することは、無機材料層を配置することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記無機材料層を配置することは、SiO2、TiO2、またはAlO2の層を配置することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バリア層を配置することは、原子層堆積を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記配置することは、前記組成物上に前記バリア層をスパッタリングすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記(b)における配置することは、前記複数の発光ナノ結晶を前記第1の基板上にスクリーン印刷することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記(d)における封止することの後で、前記1つ以上の気密封止された組成物を互いに分離させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物を気密封止する方法であって、前記方法は、
(a)第1の基板を提供することと、
(b)前記第1の基板の中および上の少なくとも1つにおいて1つ以上の凹部を生成することと、
(c)複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物を、前記凹部に配置することと、
(d)発光ナノ結晶の前記組成物を覆うように、前記第1の基板上に第2の基板を配置することと、
(e)前記第1および第2の基板を封止することと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記提供することは、ガラス基板を提供することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記生成することは、前記第1の基板をエッチングして、中に1つ以上の凹部を形成することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記生成することは、中に形成される1つ以上の凹部を有する第3の基板を前記第1の基板上に配置することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記生成することは、第3の基板を前記第1の基板上に配置することと、1つ以上の凹部を前記第3の基板にエッチングすることと、を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記生成することは、前記第1の基板の前記表面上に1つ以上の凹部を形成するように、第3の基板を前記第1の基板上に配置することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記(c)における配置することは、複数のコアシェル発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記(c)における配置することは、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、およびInP/ZnSから成る群から選択される複数のコアシェル発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記(b)における配置することは、大きさが約1〜10nmである複数の発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記(d)における配置することは、ガラス基板を配置することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記(e)における封止することは、ポリマー封止剤によって封止することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記(e)における封止することは、エポキシ封止剤によって封止することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(e)における封止することの前に、前記発光ナノ結晶組成物を硬化させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記第1および第2の基板上にバリア層を配置することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記バリア層を配置することは、無機材料層を配置することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記無機材料層を配置することは、SiO2、TiO2、またはAlO2の層を配置することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記バリア層を配置することは、原子層堆積を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記バリア層を配置することは、前記組成物上に前記バリア層をスパッタリングすることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記(b)における配置することは、前記複数の発光ナノ結晶を前記凹部にスクリーン印刷することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項38】
前記(e)における封止することの後で、前記1つ以上の気密封止された組成物を互いに分離させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項39】
複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された組成物であって、
(a)第1の基板を提供することと、
(b)複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物を、前記第1の基板上に配置することと、
(c)発光ナノ結晶の前記組成物を覆うように、前記第1の基板上に第2の基板を配置することと、
(d)前記第1および第2の基板を封止することと、
を含む方法によって調製される、気密封止された組成物。
【請求項40】
前記提供することは、ガラス基板を提供することを含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項41】
前記提供することは、中に形成された1つ以上の凹部を有する第1の基板を提供することを含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項42】
前記提供することは、中に形成された1つ以上の凹部を有する第3の基板をさらに含む第1の基板を提供することを含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項43】
前記(b)における配置することは、複数のコアシェル発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項44】
前記(b)における配置することは、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、およびInP/ZnSから成る群から選択される複数のコアシェル発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項43に記載の気密封止された組成物。
【請求項45】
前記(b)における配置することは、大きさが約1〜10nmである複数の発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項46】
前記(c)における配置することは、ガラス基板を配置することを含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項47】
前記(d)における封止することは、ポリマー封止剤によって封止することを含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項48】
前記(d)における封止することは、エポキシ封止剤によって封止することを含む、請求項47に記載の気密封止された組成物。
【請求項49】
前記(d)における封止することの前に、前記発光ナノ結晶組成物を硬化させることをさらに含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項50】
前記第1および第2の基板上にバリア層を配置することをさらに含む、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項51】
前記バリア層を配置することは、無機材料層を配置することを含む、請求項50に記載の気密封止された組成物。
【請求項52】
前記無機材料層を配置することは、SiO2、TiO2またはAlO2の層を配置することを含む、請求項51に記載の気密封止された組成物。
【請求項53】
前記バリア層を配置することは、原子層堆積を含む、請求項50に記載の気密封止された組成物。
【請求項54】
前記バリア層を配置することは、前記組成物上に前記バリア層をスパッタリングすることを含む、請求項50に記載の気密封止された組成物。
【請求項55】
前記(b)における配置することは、前記複数の発光ナノ結晶を、前記第1の基板上にスクリーン印刷することを含む、前記請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項56】
前記1つ以上の気密封止された組成物は、前記(d)における封止することの後で、互いに分離されている、請求項39に記載の気密封止された組成物。
【請求項57】
複数の発光ナノ結晶を含む気密封止された組成物であって、
(a)第1の基板を提供することと、
(b)1つ以上の凹部を、前記第1の基板の中および上の少なくとも1つにおいて生成することと、
(c)複数の発光ナノ結晶を含む1つ以上の組成物を、前記凹部に配置することと、
(d)発光ナノ結晶の前記組成物を覆うように、前記第1の基板に第2の基板を配置することと、
(e)前記第1および第2の基板を封止するための封止剤を配置することと、
を含む方法によって調製される、気密封止された組成物。
【請求項58】
前記提供することは、ガラス基板を提供することを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項59】
前記生成することは、中に1つ以上の凹部を形成するように、前記第1の基板をエッチングすることを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項60】
前記生成することは、中に形成された1つ以上の凹部を有する第3の基板を、前記第1の基板上に配置することを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項61】
前記生成することは、第3の基板を前記第1の基板上に配置することと、1つ以上の凹部を前記第3の基板にエッチングすることを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項62】
前記生成することは、前記第1の基板の前記表面に1つ以上の凹部を形成するように、第3の基板を前記第1の基板上に配置することを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項63】
前記(c)における配置することは、複数のコアシェル発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項64】
前記(c)における配置することは、CdSe/ZnS、CdSe/CdSおよびInP/ZnSから成る群から選択される複数のコアシェル発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項63に記載の気密封止された組成物。
【請求項65】
前記(b)における配置することは、大きさが約1〜10nmである複数の発光ナノ結晶を含む組成物を配置することを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項66】
前記(d)における配置することは、ガラス基板を配置することを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項67】
前記(e)における配置することは、ポリマー封止剤を配置することを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項68】
前記(e)における配置することは、エポキシ封止剤を配置することを含む、請求項67に記載の気密封止された組成物。
【請求項69】
前記(e)における封止剤を配置することの前に、前記発光ナノ結晶組成物を硬化させることをさらに含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項70】
前記第1および第2の基板上にバリア層を配置することをさらに含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項71】
前記バリア層を配置することは、無機材料層を配置することを含む、請求項70に記載の気密封止された組成物。
【請求項72】
前記無機材料層を配置することは、SiO2、TiO2またはAlO2の層を配置することを含む、請求項71に記載の気密封止された組成物。
【請求項73】
前記バリア層を配置することは、原子層堆積を含む、請求項70に記載の気密封止された組成物。
【請求項74】
前記バリア層を配置することは、前記バリア層を前記組成物上にスパッタリングすることを含む、請求項70に記載の気密封止された組成物。
【請求項75】
前記(b)における配置することは、前記複数の発光ナノ結晶を前記凹部にスクリーン印刷することを含む、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項76】
前記1つ以上の気密封止された組成物は、前記(e)における封止することの後で、互いに分離されている、請求項57に記載の気密封止された組成物。
【請求項77】
ミクロスフェアであって、
(a)中心領域と、
(b)前記中心領域の外側表面上の第1の層であって、1つ以上の発光ナノ結晶を含む、第1の層と、
(c)前記第1の層の外側表面上におけるバリア層と、
を含む、ミクロスフェア。
【請求項78】
前記中心領域はシリカを含む、請求項77に記載のミクロスフェア。
【請求項79】
前記第1の層は、無機材料を含む、請求項77に記載のミクロスフェア。
【請求項80】
前記無機材料は、シリカまたはチタンを含む、請求項79に記載のミクロスフェア。
【請求項81】
前記発光ナノ結晶はコアシェル発光ナノ結晶である、請求項77に記載のミクロスフェア。
【請求項82】
前記コアシェル発光ナノ結晶は、CdSe/ZnS、CdSe/CdSおよびInP/ZnSから成る群から選択される、請求項81に記載のミクロスフェア。
【請求項83】
前記発光ナノ結晶は、大きさが約1〜10nmである、請求項77に記載のミクロスフェア。
【請求項84】
前記バリア層は、無機材料層を含む、請求項77に記載のミクロスフェア。
【請求項85】
前記バリア層は、SiO2、TiO2またはAlO2を含む、請求項84に記載のミクロスフェア。
【請求項86】
前記ミクロスフェアは、約500ミクロン未満の直径を有する、請求項77に記載のミクロスフェア。
【請求項87】
前記ミクロスフェアは、約10ミクロン未満の直径を有する、請求項86に記載のミクロスフェア。
【請求項88】
前記ミクロスフェアは、約1ミクロン未満の直径を有する、請求項86に記載のミクロスフェア。
【請求項89】
ミクロスフェアを形成する方法であって、
(a)第1の無機材料を含む粒子を提供することと、
(b)前記粒子を、第2の無機材料の前駆体および1つ以上の発光ナノ結晶を含む組成物に接触させることと、
(c)前記粒子の外側表面上に周辺領域を形成することであって、前記第2の無機材料および前記発光ナノ結晶を含む前記周辺領域を形成することと、
(d)前記周辺領域の外側表面上にバリア層を配置することと、
を含む、方法。
【請求項90】
前記提供することは、シリカ粒子を提供することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記接触することは、シリカまたはチタンを含む組成物と接触させることを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記接触することは、コアシェル発光ナノ結晶を含む組成物と接触させることを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記接触することは、CdSe/ZnS、CdSe/CdSおよびInP/ZnSから成る群から選択される発光ナノ結晶を含む組成物と接触させることを含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記接触させることは、大きさが約1〜10nmである発光ナノ結晶を含む組成物と接触させることを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項95】
前記バリア層を配置することは、無機材料層を配置することを含む、請求項89に記載の方法。
【請求項96】
前記バリア層を配置することは、SiO2、TiO2またはAlO2を配置することを含む、請求項95に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−514071(P2012−514071A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543486(P2011−543486)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/014112
【国際公開番号】WO2010/077226
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505082822)ナノシス・インク. (32)
【Fターム(参考)】