説明

ナノ繊維濾材

【課題】液体などの流体から不純物を除去するためのナノ繊維濾材を提供する。
【解決手段】ナノ繊維を含み、約0.25ミリメートル未満の厚さ、約0.075より大きい性能指数を有し、さらに約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料を通過させて捕捉した場合、約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合の濾過効率が約99.9%より大きく、かつ約40ミリメートル未満の水柱の圧力降下の濾材であるエアフィルター。ナノ繊維を被覆して既存濾材のFOMを増加させることにより既存濾材の性能を向上させることもできる。好ましくは、ナノ繊維はフィブリル化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノ繊維濾材に関する。
【背景技術】
【0002】
液体などの流体から不純物を除去するために濾材が使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は新規なナノ繊維濾材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は約45未満のカナダ標準フリーネスを有するフィブリル化繊維を含む濾材であって、約0.25ミリメートル以下の厚さ、約0.075より大きい性能指数、さらに約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料に通過させたとき約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合の濾過効率が約99.9%より大きく、かつ約40ミリメートルより少ない水柱の圧力降下の性能基準を有するものとし、
前記0.25ミリメートルよりも薄い濾材の濾過効率および圧力降下は、0.25ミリメートルの厚さとの違いを0.25ミリメートルに合わせて濾過効率および圧力降下を調整したときに前記性能基準を満たす、またはその性能基準を超える濾材をもたらしうる前記濾材に関する。
【0005】
他の見地において、本発明はミクロガラス繊維および約45未満のカナダ標準フリーネスを有するフィブリル化リヨセル繊維を含む濾材であって、約0.25ミリメートル以下の厚さ、約0.075より大きい性能指数、さらに約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料に通過させたとき約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合の濾過効率が約99.9%より大きく、かつ約40ミリメートルより少ない水柱の圧力降下の性能基準を有するものとし、
前記0.25ミリメートルよりも薄い濾材の濾過効率および圧力降下は、0.25ミリメートルの厚さとの違いを0.25ミリメートルに合わせて濾過効率および圧力降下を調整したときに前記性能基準を満たす、またはその性能基準を超える濾材をもたらしうる前記濾材に関する。
【0006】
さらに他の見地において、本発明は約10未満のカナダ標準フリーネスを有するフィブリル化リヨセル繊維含む濾材であって、約0.25ミリメートル以下の厚さ、約0.075より大きい性能指数、さらに約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料に通過させたとき約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合の濾過効率が約99.9%より大きく、かつ約40ミリメートルより少ない水柱の圧力降下の性能基準を有するものとし、
前記0.25ミリメートルよりも薄い濾材の濾過効率および圧力降下は、0.25ミリメートルの厚さとの違いを0.25ミリメートルに合わせて濾過効率および圧力降下を調整したときに前記性能基準を満たす、またはその性能基準を超える濾材をもたらしうる前記濾材に関する。
【0007】
本発明は一般に上記の濾材を組み込む濾過システムを包含する。
【0008】
さらに他の見地において、本発明はフィブリル化繊維を分散させ;そして濾材が約0.075より大きい性能指数、さらに約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合
の濾過効率が約99.9%に等しいかそれより大きく、かつ約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料に通過させたとき約40ミリメートルより少ない水柱の圧力降下を有するという性能基準を有するものとし、
前記0.25ミリメートルよりも薄い濾材の濾過効率および圧力降下は、0.25ミリメートルの厚さとの違いを0.25ミリメートルに合わせて濾過効率および圧力降下を調整したときに前記性能基準を満たす、またはその性能基準を超える濾材をもたらすように約0.25ミリメートル未満の厚さを有するフィブリル化繊維の層を形成する工程を含むエアフィルターの製造法に関する。
【0009】
さらに他の見地において、本発明は多数のナノ繊維を用意し;そのナノ繊維を既存濾材上にウエットレイし、ここでナノ繊維は既存濾材上に約0.5g/m2〜約11.0g/m2の割合で負荷され;そして既存濾材の性能指数を少なくとも約100%増加させる工程を含む既存濾材の性能を向上させる方法に関する。好ましくは、多数のフィブリル化ナノ繊維を用意する工程において、ナノ繊維はミクロガラス繊維、リヨセルナノ繊維、アクリルナノ繊維、またはこれらの組合せを含有する。本法はさらに、フィブリル化ナノ繊維および固体結合剤が既存濾材上にウエットレイされることで、固体結合剤を付与する工程、およびその固体結合剤を活性化する工程を含有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】濾材を通過する気流速度を変えた粒子遮断を示すグラフである。
【0011】
新規であると考えられる本発明の特徴および本発明の要素の特性を特に添付した特許請求の範囲に関連して記載する。図面は単に例示するためのものであり、縮尺で描いたものではない。しかしながら、本発明そのものは構成および実施の方法に関して、次の好ましい態様の説明を添付図面と共に参照することにより最も良く理解することができる。
【0012】
好ましい態様の詳細な説明
定義
「結合剤」は主に他の物質を互いに結合させるために使用される物質を意味する。
【0013】
「カナダ標準フリーネス」または「CSF」はパルプの懸濁液が排水する量により測定さ
れるパルプのフリーネスまたは濾水度の値を意味する。この方法は製紙分野の当業者によく知られている。
【0014】
「DOP」はフタル酸ジオクチルを意味する。0.18ミクロンの粒径を有するDOP液滴の単分散液を使用して本発明の濾材を試験した。
【0015】
「繊維」は例えば数百対1の直径に対する長さの高いアスペクト比を特徴とする固体を意味する。繊維に関する考察はホイスカーもまた包含する。
【0016】
「濾材」は流体の濾過を行なう材料を意味する。
【0017】
「FOM」または「性能指数」は[−log(1−FE)]/ΔPを意味し、ここでFEは特定の粒径に対する特定の流速での濾材の部分遮断効率である。ΔPは特定の流速で濾材を通した圧力降下または圧力抵抗とも呼ばれる差圧である。本明細書において、標準エアロゾルは100cm2のフィルター領域を32リットル/分の流量で通過させる0.18ミクロンのDOPである。異方性濾材のFOM値は圧力降下が濾材の厚さに正比例して変動し、log(1−FE)もまた濾材の厚さに正比例して変動するような定数であり、結果としてFOMは最終濾材の厚さに関係なく所定の濾材に対する定数であることは理解されよう。
【0018】
「流体」は液体、気体、またはこれらの組合せを意味する。
【0019】
「成形する」は遊離した非構造化物質を密着した均一構造に変換することを意味する。
例えば、遊離した繊維を紙に変換することである。
【0020】
「HEPA」フィルターまたは濾材は粒径0.3ミクロン以上の空気中に浮遊するすべての粒子状物質を少なくとも99.97%除去することができる高性能微粒子フィルターまたは濾材を意味する。
【0021】
「遮断する」または「遮断」は干渉する、すなわち通過を停止して作用する、除去する、不活性にする、または影響を与えることを意味する。
【0022】
「ナノ繊維」は約3.0ミリメートル未満の直径を有する繊維を意味する。
【0023】
「不織布」は個々の繊維が編物または織物のように極めて組織的にではなく層間に入る構造を有するウェブまたは織物または他の媒体を意味する。不織ウェブは一般に当該技術分野でよく知られている方法により製造することができる。このような方法の例はメルトブロー法、スパンボンド法、カーディング法およびエアーレイド法であるが、これらは単なる例示であり、これらに限定されない。
【0024】
「紙」または「紙様」は一般に平らな繊維層または湿式法により製造された材料のマットを意味する。
【0025】
「粒子」は特に形状については限定していないが、一般に長さ対幅の比が制限されたコロイドからマクロまでの大きさを有する固体を意味する。
【0026】
「シート」はその厚さより有意に大きい長さおよび幅を有するほぼ二次元の構造を意味する。
【0027】
「ホイスカー」は粒子と繊維のアスペクト比の中間である制限されたアスペクト比を有するフィラメントを意味する。繊維に関する考察はホイスカーもまた包含する。
【0028】
濾材の特性
本発明の高性能微粒子空気(HEPA)濾材は多数のナノ繊維および結合剤を含み、約0.25ミリメートル未満の厚さを有し、空気を約20℃および大気圧において約32リットル/分の流量で直径100cm2の円板型濾材を通過させた場合の直径約0.18ミクロンのエアロゾル粒子に対する濾過効率が約99.9%より大きい層に形成され、および約45ミリメートル未満の水柱の圧力降下であることを含む。本発明の濾材は薄く、プリーツを付けることができるために最終フィルター設計に組み込まれる濾材の量を増加することができ、それによりフィルターの性能を向上させる。各層が0.38〜0.457ミリメートルの厚さを有する従来のHEPA材料より非常に薄いため、実質的により多くの本発明の濾材を使用して既存の濾過システムを適度な圧力降下で同様の、または改善されたエアロゾル遮断をもたらすように改良することができる。
【0029】
本発明の濾材を含有するエアフィルターは例えば建物、車両、特に密閉車両の空気循環システム、掃除機、人工呼吸器フィルターのような用途、または除菌空気を必要とする他の用途において有用である。
【0030】
既存濾材にナノ繊維を被覆して既存濾材の性能を向上させることもでき、さらに既存濾材の性能指数(FOM)を約100%以上増加させることができる。
【0031】
濾材を静電的に帯電させて濾過性能を向上させることもできる。さらに濾材を処理して核、生物および化学物質(NBC)を防ぐための人工呼吸器において有用な微生物学的遮断に
殺生物性を付与することができる。
【0032】
改良されたエアフィルターを製造するための基本法が2つある。最初の方法は濾材を通した差圧で割った粒子遮断の対数にほぼ等しい向上した「性能指数」(FOM)を有する材料を製造することである。FOMの概念に変動はあるが、基本式はFOM=[−log(1−FE)]/ΔPであり、ここでFEは特定の粒径に対する特定の流速での濾材の部分遮断効率であり、そしてΔPは特定の流速で測定された圧力降下である。
【0033】
濾材が深さと等方性であり、層流の状態で動作する場合、FOMは基本的に様々な試料の濾材の基本重量の変動に関係なくこのような濾材に対する定数である。これは種々の濾材を比較する場合に非常に有用なツールである。例えば、FOMは通常、エアフィルター、または「スリップ」状態で動作する極めて小さい繊維を使用する材料に対する帯電を通して大きく改善される。
【0034】
しかしながら、2個の濾材が同じFOMを有し、一方が他方より何倍も厚い場合、フィルター製品の設計ではスペースが大抵いつも重要視されるため明らかに薄い濾材が使用される。濾材にプリーツを付ける場合、濾材の厚さはフィルターの表面積を最大にするのに極めて重要な役割を果たす。2倍の濾紙をフィルターに詰め込むことができる場合、濾紙を通過する空気の速度は基本例と比較して半分に減少する。さらに、エアフィルターによる粒子遮断の効率は濾紙を通過する空気の速度が減少するにつれて改善される。これはフィルター表面に拡散する小粒子の場合に特に重要である。図1は濾材を通過する気流速度を変えた粒子遮断を示す。最適化ナノHEPAは厚さを調整した本発明のHEPA材料である。より多くの濾材をフィルター設計に加えること(より多くのプリーツ)による気流の減少は薄い材料の使用を通して可能であり、有意な利点をもたらす。プリーツを付けるとより低い気流速度で動作するため、追加のプリーツはより低い圧力降下および改善された粒子遮断効率を有する濾過システムを可能にする。したがって、濾材の厚さはプリーツの最適パッキングを変えるため、間接的にプリーツ付きフィルターの濾過効率および圧力降下に影響を与える。
【0035】
本発明は良好なFOM値を有し、さらに極めて薄い有効な平板濾材を提供する。ガラス濾材の厚さの一部の厚さで現世代のエポキシガラス濾紙と同じFOMを有し、また同様の全体的な剛性および引張り特性を有する濾材を製造することができる。本発明はプリーツ付きエアフィルターを構成する好ましいアプローチを提供する。
【0036】
ナノ繊維
本発明の濾材は限定されないがポリマー、工業樹脂、セラミックス、セルロース、レーヨン、ガラス、金属、活性アルミナ、カーボンまたは活性炭、シリカ、ゼオライト、またはこれらの組合せを含む有機または無機材料であるナノ繊維からなる。有機および無機繊維および/またはホイスカーの組合せが本発明の範囲内で考えられ、例えばガラス、セラミックまたは金属繊維およびポリマー繊維を一緒に使用することができる。
【0037】
濾材がセルロースまたはポリマー繊維のナノ繊維から湿式法により製造される場合、このような繊維は約45以下のカナダ標準フリーネスを有する必要があり、約2以下であってよい。好ましくは、繊維のかなりの部分は約1000ナノメートル以下、より好ましくは約400ナノメートル以下の直径を有し、直径が約200ナノメートル以下の繊維が最も好ましい。繊維を約1ミリメートル〜約8ミリメートル、好ましくは約2ミリメートル〜約6ミリメートル、より好ましくは約3ミリメートル〜約4ミリメートルの長さに細断することが好ましい。フィブリル化繊維は非常に微細な寸法を有し、潜在的に低コストであるため最も好ましい。
【0038】
好ましくは、フィブリル化合成セルロースまたはアクリル繊維を本発明に従って処理すると、本発明の超微細な濾材を形成することができる。このようなフィブリル化セルロース繊維は酸化アミンのような有機溶剤に木材パルプを直接溶解し、紡糸することにより製造することができ、リヨセル繊維として知られている。リヨセル繊維は一貫して均一に製造され、例えば天然セルロース繊維の場合とは違って再現性のある結果が得られるという利点を有する。また、リヨセルの繊維はカールを生ずることが多い。カールはかなりの量の繊維のもつれ合いをもたらし、最終濾材は高い乾燥強度および有意な残留湿潤強度を有する。さらに、フィブリル化リヨセル繊維は大きくない資本コストの装置を使用して多量に製造することができる。セルロース以外の繊維をフィブリル化して非常に微細なフィブリル、例えば人工繊維、特にアクリルまたはナイロン繊維、または他の天然セルロース系材料を製造することができることは理解されよう。
【0039】
フィブリル化および非フィブリル化繊維の組合せを本発明で使用することができる。例えば、ミクロガラス繊維をフィブリル化ポリマー繊維と混合して所望の性能を維持しながら総繊維混合物のコストを減らし、分散を助けることができる。好ましくは、ミクロガラス繊維は約0.25ミクロン〜約1ミクロン、好ましくは約0.5ミクロン〜約0.75ミクロン、より好ましくは約0.65ミクロンの直径を有する。ミクロガラス繊維の量は濾材の約90重量%までである。
【0040】
最も好ましい態様は約200ナノメートル未満の平均直径および約3〜約5ミリメートルの細断繊維長を有するフィブリル化リヨセルのナノ繊維を含む。フィブリル化リヨセル繊維を安価なミクロガラス繊維の一部と混合してコストを下げ、さらに許容される圧力降下で所望レベルの効率を維持することができる。
【0041】
濾材の機械的強度の向上
濾材の機械的強度は濾材を通過する気流を有意に妨げない支持層上に濾材を形成することにより向上させることができる。支持層は支持層の細孔径がそんなに大きくないためナノ繊維が減圧下で空気透過性支持体を通して引っ張られるような空気透過性支持体である。支持層は織布、不織布、スパンボンド、メルトブローン、セルロースおよび他の繊維性材料から製造することができる。このような支持体の例はテネシー州オールドヒッコリーのBBAノンウーブンスリーメイ社から入手できるREEMAY(登録商標)2004またはREEMAY(登録商標)2275のようなスパンボンドポリエステルである。また、支持層は金型、かび、真菌または細菌に耐性がある物質で処理または製造することもできる。
【0042】
濾材に機械的強度を付与する他の手段は結合剤の一部をナノ繊維と混合することである。エポキシ、アクリルまたは他の樹脂を製紙工程に加えて湿潤強度を向上させることができるが、これらの水に分散した樹脂は特に繊維径が減少するにつれて最終製品の透過性の低下をひき起こすことが多いことは当該技術分野でよく知られている。これらの樹脂および樹脂系を本発明で使用することができるが、当該技術分野で知られている粉末、粒子または繊維形態の熱可塑性または熱硬化性材料を使用することが好ましい。結合剤物質の融点がナノ繊維の融点より十分に低いために濾材を加熱して結合剤を活性化することができ、その間に濾材が溶融して多孔性を失わないような結合剤が選択される。結合剤は好ましくは濾材全体に十分に均一に分布し、その後活性化により結合剤は実質的にすべてのナノ繊維を取り込む、またはそれらと結合する。
【0043】
有用な結合剤物質にはポリオレフィン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルスルフェート、ポリビニルホスフェート、ポリビニルアミン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオキシジアゾール、ポリトリアゾール、ポリカルボジイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリアリーレンオキシド、ポリエステル、ポリアリーレート、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ホルムアルデヒド−尿素、エチル−ビニルアセテートコポリマー、これらのコポリマーおよびブロック共重合体、並びにこれらの組合せがあるが、これらに限定されない。上記物質の変種および他の有用なポリマーにはヒドロキシル、ハロゲン、低級アルキル基、低級アルコキシ基、単環式アリール基などのような基の置換体がある。他の潜在的に適用可能な物質にはポリマー、例えばポリスチレンおよびアクリロニトリル−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、並びに他の非結晶性または非晶質ポリマーおよび構造体がある。
【0044】
本発明で有用な結合剤物質のより詳細なリストにはポリアルキレン、ポリエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エンドキャップしたポリアセタール、例えばポリ(オキシメチレン)またはポリホルムアルデヒド、ポリ(トリクロロアセトアルデヒド)、ポリ(n−バレルアルデヒド)、ポリ(アセトアルデヒド)、ポリ(プロピオンアルデヒド)など;アクリル酸ポリマー、例えばポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸メチル)など;フルオロカーボンポリマー、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)、ペルフルオロ化エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニル)など;ポリアミド、例えばポリ(6−アミノカプロン酸)またはポリ(ε−カプロラクタム)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)、ポリ(11−アミノウンデカン酸)など;ポリアラミド、例えばポリ(イミノ−1,3−フェニレンイミノイソフタロイル)またはポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)など;パリーレン、例えばポリ−p−キシリレン、ポリ(クロロ−p−キシリレン)など;ポリアリールエーテル、例えばポリ(オキシ−2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)またはポリ(p−フェニレンオキシド)など;ポリアリールスルホン、例えばポリ(オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−1,4−フェニレンオキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン)、ポリ(スルホニル−1,4−フェニレン−オキシ−1,4−フェニレンスルホニル−4,4'−ビフェニレン)など;ポリカーボネート、例えばポリ(ビスフェノールA)またはポリ(カルボニルジオキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン−1,4−フェニレン)など;ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、ポリ(シクロヘキシレン−1,4−ジメチレンテレフタレート)またはポリ(オキシメチレン−1,4−シクロヘキシレンメチレンオキシテレフタロイル)など;ポリアリールスルフィド、例えばポリ(p−フェニレンスルフィド)またはポリ(チオ−1,4−フェニレン)など;ポリイミド、例えばポリ(ピロメリチミド−1,4−フェニレン)など;ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(2−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(2−ペンテン)、ポリ(3−メチル−1−ペンテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)など;ビニルポリマー、例えばポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)など;ジエンポリマー、例えば1,2−ポリ−1,3−ブタジエン、1,4−ポリ−1,3−ブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレンなど;ポリスチレン;これらのコポリマー、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)コポリマーなど、およびこれらの混合物が含まれる。
【0045】
種々のバインダー繊維、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリルの繊維、あるいはポリエステル−ポリプロピレンまたはポリプロピレン−ポリエチレンの二成分繊維、あるいは他のものを使用することができる。好ましい繊維状結合剤物質にはFYBREL(登録商標)合成繊維および/またはSHORT STUFF(登録商標)EST−8があり、これらは共にポリオレフィンを基材としている。FYBREL(登録商標)は高度のフィブリル化繊維であるポリオレフィン系合成パルプであり、日本の三井化学会社から商業的に入手できる。FYBREL(登録商標)は優れた熱成形性を有し、滑らかな表面を濾材に付与する。SHORT STUFF(登録商標)EST−8はペンシルバニア州ピッツバーグのミニファイバー社から商業的に入手できる、高度にフィブリル化した高密度ポリエチレンである。イリノイ州タスコラのエクイスターケミカルズ社により製造されたMICROTHENE(登録商標)グレードFN510のような低密度ポリエチレン(LDPE)結合剤粒子もまた好ましい。ポリ酢酸ビニル(PVA)もまた結合剤として使用することができる。好ましいPVAは日本の大阪にあるクラレ社から商業的に入手できるKURALON(登録商標)VPB071である。
【0046】
好ましくは、結合剤は約1重量%〜約35重量%、より好ましくは約3重量%〜約10重量%、最も好ましくは約5重量%〜約7重量%の量で存在する。
【0047】
添加剤
粒子、繊維、ホイスカーまたは粉末形態の1種以上の添加剤をナノ繊維と混合して他の汚染物の遮断を手助けし、あるいは水分および/または臭気を除去することもできる。有用な添加剤には金属粒子、活性アルミナ、活性炭、シリカ、ポリマー粉末および繊維、ガラスビーズまたは繊維、セルロース繊維、イオン交換樹脂、工業用樹脂、セラミックス、ゼオライト、珪藻土、活性ボーキサイト、フラー土、硫酸カルシウム、超吸着性ポリマー(SAP)、またはこれらの組合せがあるが、これらに限定されない。添加剤はまた、特定の用途に応じて微生物学的耐性または生物致死性を付与するために化学的に処理することができる。このような添加剤は好ましくは使用時に得られる濾材の気流が実質的に阻害されないように十分な量で存在する。添加剤の量は濾過システムの特定の機能に依存する。
【0048】
本発明のHEPA濾材を製造する方法
本発明のHEPA濾材は当業者に知られている方法に従って製造することができる。乾式法にはスパンボンド法、エレクトロスピニング法、アイランズ・イン・シー(islands-in-sea)法、フィブリル化フィルム法、メルトブロー法、および当業者に知られている他の乾式法がある。典型的な乾式法はカーディングして単繊維にすることにより分離することができる短繊維で開始し、次に空気力学的方法により所望の厚さに置いて非結合繊維シートを形成する。次に、非結合繊維を水力ジェットに付して繊維をフィブリル化し、水中で絡み合わせることができる。高圧ジェット水にさらされるとフィブリル化繊維のウェブに変換される特定のプラスチックフィルムにおいて同様の方法を行なうことができる。
【0049】
好ましい湿式法において、繊維のトウは特定の長さ、通常は約1ミリメートル〜約8ミリメートルの範囲、特に約3ミリメートル〜約4ミリメートルの範囲に細断される。細断された繊維はブレンダーと同様の特性を有する装置、あるいは大規模な場合は一般に「ハイ−ロー(hi-low)」、「ビーター」または「精製装置」と呼ばれる機械でフィブリル化される。繊維は繰り返しのストレスに付されるが、さらなる細断および繊維の長さの減少は最小限に抑えられる。繊維がこれらのストレスを受けるため、非晶質領域および結晶性領域間の弱さの結果として繊維は分裂し、当該技術分野でよく知られている方法により測定されるカナダ標準フリーネス(CSF)が減少し始める。得られるパルプの試料を時々採取し、CSFをフィブリル化度の間接的な指標として使用することができる。CSF値は繊維の長さに僅かに反応しているが、繊維のフィブリル化度には強く反応している。したがって、いかにして簡単に水をパルプから除去することができるかの尺度であるCSFは繊維のフィブリル化度を監視する適当な手段である。表面領域が非常に高い場合、所定の時間でパルプから排水される水は殆んどなく、CSF値は繊維がより広範囲にフィブリル化するにつれて徐々に低下する。所定のCSF値を有するフィブリル化繊維を直接使用して紙を製造することができ、あるいは脱水プレスまたはベルトを含む多種多様の装置で脱水して脱水パルプを製造することができる。その後、脱水パルプを使用してウェットレイド(wet-laid)紙を製造することができる。一般に、本発明の用途では45以下のCSF を有するパルプが使用され、好ましくはCSFは約2以下である。繊維をパルプ製造装置に直接送って紙を製造
するのに適した組成物を生成することができる。濾材の最終重量は好ましくは濾材の全重量に基づいて約21〜約65g/m2、より好ましくは約32〜約48g/m2である。このようにフィブリル化する繊維にはリヨセルがあり、アクリル、ナイロンまたは結晶化が不完全な他
の合成繊維のグレードを選択する。
【0050】
濾材は例えばウエットまたはドライレイド紙の成形前後におけるナノ繊維のコロナ放電処理または化学的処理のような当該技術分野で知られている方法に従って帯電することができる。繊維のナノ繊維混合物、例えばアクリルおよびナイロン繊維の混合物中で摩擦電気効果により静電荷を生じさせることもできる。静電荷は動電学的遮断を通して微粒子の遮断を向上させることができる。
【0051】
湿式法の例はCSFが約2のフィブリル化リヨセル繊維のパルプをブレンダーで混合しながら水中で分散させて約1%〜約2%の粘稠度を有する組成物を生成することを包含する。他の繊維および結合剤または成分をこの分散液に加えることができる。その後、各成分の完全混合物は濾材の湿式製造において直接使用することができる。
【0052】
ナノ繊維被覆を使用する既存濾材のFOMの改善
本発明の他の態様において、既存濾材のような支持体上へのナノ繊維の部分被覆は既存濾材のFOMを少なくとも約100%向上させることがわかった。ナノ繊維は湿式法を使用して既存濾材上に約0.5g/m2〜約11.0g/m2、好ましくは約1.08g/m2の割合で負荷される。ナノ繊維は支持体に強く付着し、さらに一次結合剤として作用することにより同様に他の繊維または成分を支持体上に付着させるために使用することができる。固体形態の従来の結合剤物質はすべての用途で必ずしも必要とは限らないが支持体への付着を高めるために使用することができる。
【0053】
好ましくは、アクリル系ナノ繊維またはフィブリル化リヨセル繊維は単独で、またミクロガラス繊維と組合せて既存濾材のFOMを実質的に改善する。ナノ繊維は濾材の本来の製造中に適用することができ、または製造後に必要なナノ繊維が少量であることを前提として僅かなコストで濾材を被覆することができる。約45未満、好ましくは約10未満、より好ましくは約2のカナダ標準フリーネスおよび約3ミリメートル〜約8ミリメートルの細断繊維長を有するアクリル系ナノ繊維を使用することができる。このようなアクリル系繊維は当該技術分野で知られている方法に従ってフィブリル化される。好ましいアクリル系短繊維はフロリダ州ペースのスターリングファイバー社からRES−25の商品名で;日本の東京にある旭化成社からCASHMILON(登録商標)の商品名で;そして/またはニューヨーク州ニューヨークの米国三菱レーヨン社から長さが3ミリメートルのフィブリル化可能な短繊維として得られる。
【0054】
既存エアフィルターのナノ繊維被覆による典型的な処理において、繊維のトウは上記のように約3〜約4ミリメートルの長さに細断され、フィブリル化される。次に、使用した場合はミクロガラス繊維を含有するフィブリル化ナノ繊維は既存濾材または他の支持体のシート上にウエットレイされる。
【0055】
〔実施例〕
次の実施例により本発明を詳しく説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
【0056】
エアロゾル遮断および気流抵抗性の測定はメリーランド州オウイングズミルのエアテクニック社から入手できるモデルTDA−100Pを使用して行なった。0.18ミクロンの油エアロゾル粒子の単分散液を本試験で使用した。流量は32slpmである。引張強度はペンシルバニア州ホーシャムのテイニアスオルセン試験機会社から入手できる機械的試験ステーションを使用して測定した。下記に示したHEPA濾材または支持層上のナノ繊維被覆の厚さは支持体の厚さを考慮していない。
【0057】
本発明のHEPA濾材のハンドシートを次の一般手順に従って製造した。材料を秤量し、ステンレス鋼ワーリングブレンダーで2.0Lの脱イオン水と少なくとも3分間ブレンドした。ミクロガラス繊維を使用した場合、これらはナノ繊維および存在するならば結合剤と混合する前に約3分間別々にブレンドした。繊維混合物を支持層として100メッシュのベーススクリーン上に置かれたREEMAY(登録商標)2004不織布シートを有する30.5×30.5cm2のステンレス鋼FORMAX(登録商標)紙型枠に注ぎ込んだ。型枠を種々の繊維を含有する全部で約12Lの水で満たした。直径2cmの60個の穴を有する30.5×30.5cm2のステンレス鋼攪拌プレートを使用して繊維混合物を徹底的に約8〜10回上下させた。繊維をREEMAY(登録商標)不織布上に形成させる型枠の下方を僅かに真空にして繊維混合物から水を除去した。
大部分の水を除去してから、さらに真空ポンプで脱水して過剰の水分を除去して比較的滑らかでフラットな極めて薄い紙様シートを形成した。得られたシートをスクリーンから分離し、ブロッターシートと上部および下部を合せて一体化した。そのシートを2.27kgの大理石ローリングピンでそっと巻き取って過剰の水を除去し、シートの上面を伸ばした。次に、シートを2つの新しい乾燥ブロッターシートの間に置き、約120℃のFORMAX(登録商標)シート乾燥器に約10〜約15分間入れた。乾燥した濾材をブロッターシートから分離し、すぐにその両側をFORMAX(登録商標)シート乾燥器で約5分間加熱して存在する結合剤を活性化した。
【0058】
ナノ繊維が濾材または他の粗い支持体上に被覆される例では、型枠の内側をREEMAY(登録商標)不織布ではなく選択された濾材または支持体で被覆し、ナノ繊維を前記のようにウエットレイした。
【0059】
〔実施例1および2〕
フィブリル化リヨセルおよびミクロガラスナノ繊維を有するHEPA濾材
これらの実施例はコロラド州デンバーのジョンズマンビル社から商品名FIBREGLASS(登録商標)#106で入手できる繊維径0.65ミクロンのミクロガラス繊維と混合された水性分散液中におけるカナダ標準フリーネス約8のフィブリル化リヨセルナノ繊維で製造されたHEPA濾材の性能を明らかにした。
【0060】
濾材の組成および特性を表IおよびIIに示す。
【0061】
【表1】

【0062】
〔実施例3〜7〕
フィブリル化リヨセルおよびミクロガラスナノ繊維を有するHEPA濾材
実施例3〜7の濾材はFIBREGLASS(登録商標)#106ミクロガラス繊維と混合された水性分散液中におけるカナダ標準フリーネス約2のフィブリル化リヨセルナノ繊維で製造した。
日本の大阪にあるクラレ社から商業的に入手できるKURALON(登録商標)ポリ酢酸ビニル(PVA)をこれらの実施例および下記の実施例で結合剤として使用した。実施例3の濾材はさらにMICROTHENE(登録商標)グレードFN510を結合剤として含有した。MICROTHENE(登録商標
)は0.5重量%の非晶質沈降シリカを含有する。組成を表IIに示す。濾材の特性を表IIIに示す。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
実施例1〜7のHEPA濾材は従来のHEPA材料より有意に薄い厚さで0.18ミクロンのエアロゾル粒子を捕捉するのに優れた濾過効率を示した。
【0066】
〔実施例8〜23〕
CSF2フィブリル化リヨセルおよびミクロガラスナノ繊維を有するHEPA濾材
これらの実施例は結合剤を含まず、下記に示されるような様々な量の異なる結合剤を使用してフィブリル化リヨセルナノ繊維およびFIBREGLASS#106ミクロガラス繊維で製造された本発明のHEPA濾材の性能を明らかにした。使用した結合剤はPVAと MICROTHENE(登録商標)およびシリカの全重量に基づいて0.5重量%の非晶質沈降シリカを有するMICROTHENE(登録商標)グレードFN−510である。
【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
すべての実施例の濾材は0.18ミクロンのエアロゾル粒子を捕捉するのに優れた濾過効率を示し、したがって従来のHEPA材料の性能を超える。
【0070】
〔実施例21〜35〕
様々な量のPVA結合剤を使用するCSF2フィブリル化リヨセルおよびミクロガラスナノ繊維を有するHEPA濾材
これらの実施例は様々な量のPVA結合剤を使用して製造したHEPA濾材の異なる性能を明らかにした。濾材の組成を表VIに示し、性能試験の結果を表VIIに示す。
【0071】
【表6】

【0072】
【表7】

【0073】
表VIIの実施例は適度な圧力降下で0.18ミクロンのエアロゾル粒子の優れた遮断効率を示した。
【0074】
〔実施例36〜38〕
様々な量のPVA結合剤を使用するCSF2フィブリル化リヨセルおよびミクロガラスナノ繊維を有するプリーツおよび非プリーツHEPA濾材の比較
これらの実施例はプリーツを付けた本発明のHEPA濾材(表IXでPの文字で示される)が元の非プリーツ形態の性能を維持することを明らかにした。2のカナダ標準フリーネスを有するリヨセルナノ繊維を濾材の製造に使用した。使用した結合剤はPVAである。
【0075】
【表8】

【0076】
【表9】

【0077】
〔実施例39〜66〕
様々な量のEST−8結合剤を使用するCSF2フィブリル化リヨセルおよびミクロガラスナノ繊維を有するHEPA濾材
これらの実施例は様々な量のEST−8ポリエチレン繊維を結合剤として使用したHEPA濾材の異なる性能を明らかにした。
【0078】
【表10】

【0079】
【表11】

【0080】
〔実施例67〜71〕
様々な量のEST−8結合剤を使用するCSF2フィブリル化リヨセルおよびミクロガラスナノ繊維を有するプリーツおよび非プリーツHEPA濾材の比較
次の実施例は30重量%のリヨセルナノ繊維、60重量%のガラスミクロ繊維(FIBREGLASS#106)および10重量%のEST−8結合剤で製造されたプリーツおよび非プリーツHEPA濾材の性能を比較した。
【0081】
【表12】

【0082】
また、プリーツフィルターは本質的に非プリーツフィルターと同じ性能特性を示した。効率は0.18ミクロンのエアロゾル粒子について試験したものなので、すべての実施例がサブミクロン粒子について優れた遮断機能を示す。引張強度もまたプリーツを付けるのに最適である。遮断効率で得られる利点は僅かに高い抵抗性を相殺する。
【0083】
〔実施例72〜74〕
ナノ繊維被覆を有する既存濾材のFOMの改善
次の実施例は0.15g/フィート2(乾燥重量)のナノ繊維を負荷した既存濾材についてFOMの増加、それによりフィルターの性能を明らかにした。すべての測定は100cm2のジグにおいて32slpmの流量で0.18ミクロンのエアロゾル粒子を使用して行なった。元の濾材はFMで示され、その部分的なエアロゾル通過、気流抵抗性およびFOMにより定義される。FM1およびFM2は不織布である。実施例72において、上記のような湿式法を使用して元の濾材FM1を約2のカナダ標準フリーネスを有する25%アクリルナノ繊維および75%FIBRE GLASS#106ミクロガラス繊維で被覆した。実施例72のアクリル繊維は米国三菱レーヨン社から入手した。実施例73において、元の濾材を約2のカナダ標準フリーネスを有する25%リヨセル繊維および75%FIBREGLASS#106で被覆した。実施例74において、元の濾材FM1を約2のカナダ標準フリーネスを有する25%フィブリル化リヨセルナノ繊維で被覆した。実施例75において、元の濾材FM2を米国三菱レーヨン社から入手できる100%アクリルナノ繊維で被覆した。表VIIIを見てわかるように、少量のナノ繊維を既存濾材に加えるとFOMを有意に増加し、それにより濾材の性能を高める。
【0084】
【表13】

【0085】
〔実施例76〜79〕
ナノ繊維被覆を有するエンジン濾紙のFOMの改善
次の実施例は1.6g/m2(乾燥重量)のナノ繊維を負荷した既存濾材についてFOMの増加、それによりフィルターの性能を明らかにした。FM3で示された元の濾材は標準的な自動車エンジン吸気フィルターで使用される標準的な樹脂結合セルロース濾材である。通過は100cm2のジグにおいて32slpmの流量で0.18ミクロンのエアロゾル粒子を使用して試験した。実施例76の濾材を約2のカナダ標準フリーネスを有するフィブリル化リヨセルナノ繊維で被覆した。実施例77および78の濾材を約25%フィブリル化リヨセルナノ繊維および約75%FIBREGLASS#106ミクロガラス繊維で被覆した。実施例79の濾材を約2のカナダ標準フリーネスを有する約25%アクリルナノ繊維および約75%FIBREGLASS#106ミクロガラス繊維で被覆した。実施例79で使用したアクリルナノ繊維は米国三菱レーヨン社から入手したもので3ミリメートルの長さにフィブリル化した。表IXを見てわかるように、少量のナノ繊維を加えて被覆することによりFOMの有意な改善が達成された。このような少量のナノ繊維は低コストのフィルターについてフィルターの性能を改善する経済的な方法である。
【0086】
【表14】

【0087】
本発明を特定の好ましい態様に関連して詳しく説明したが、前記説明に照らして多くの代替、変更および変形が当業者にとって自明であることは明らかである。したがって、添付した特許請求の範囲は本発明の範囲および精神の範囲に入るような代替、変更および変形を包含すると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約45未満のカナダ標準フリーネスを有するフィブリル化繊維を含む濾材であって、約0.25ミリメートルに等しいかそれより小さい厚さ、約0.075より大きい性能指数、さらに約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料に通過させたとき約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合の濾過効率が約99.9%より大きく、かつ約40ミリメートルより少ない水柱の圧力降下の性能基準を有するものとし、
前記0.25ミリメートルよりも薄い濾材の濾過効率および圧力降下は、0.25ミリメートルの厚さとの違いを0.25ミリメートルに合わせて濾過効率および圧力降下を調整したときに前記性能基準を満たす、またはその性能基準を超える濾材をもたらしうる前記濾材。
【請求項2】
さらにミクロガラス繊維を含有する請求項1記載の濾材。
【請求項3】
フィブリル化繊維は約10未満のカナダ標準フリーネスを有する請求項1記載の濾材。
【請求項4】
さらに織布、不織布、スパンボンド、メルトブローン、セルロースおよび他の繊維性材料からなる群より選択される材料を含む支持層を含有する請求項1記載の濾材。
【請求項5】
フィブリル化繊維はウエットレイ法で濾材に成形される請求項1記載の濾材。
【請求項6】
フィブリル化繊維は静電気的に帯電しているか、または摩擦電気の電荷をもたらす請求項1記載の濾材。
【請求項7】
さらに活性炭、活性アルミナ、ゼオライト、珪藻土、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、チタン酸塩、骨炭、カルシウムヒドロキシアパタイト、酸化マンガン、酸化鉄、マグネシア、パーライト、タルク、ポリマー粒子、クレー、沃素化樹脂、イオン交換樹脂、セラミックスまたはこれらの組合せからなる群より選択される添加剤を含有する請求項1記載の濾材。
【請求項8】
請求項1記載の濾材を含むエアフィルター。
【請求項9】
ミクロガラス繊維と混合されたリヨセル、アクリル、ナイロンまたはこれらの組合せであり、約45未満のカナダ標準フリーネスを有するフィブリル化繊維を含む濾材であって、約0.25ミリメートルに等しいかそれより小さい厚さ、約0.075より大きい性能指数、さらに約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料に通過させたとき約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合の濾過効率が約99.9%より大きく、かつ約40ミリメートルより少ない水柱の圧力降下の性能基準を有するものとし、
前記0.25ミリメートルよりも薄い濾材の濾過効率および圧力降下は、0.25ミリメートルの厚さとの違いを0.25ミリメートルに合わせて濾過効率および圧力降下を調整したときに前記性能基準を満たす、またはその性能基準を超える濾材をもたらしうる前記濾材。
【請求項10】
ミクロガラス繊維は約1ミクロン未満の繊維径を有する請求項9記載の濾材。
【請求項11】
リヨセル、アクリル、ナイロンまたはこれらの組合せを含むフィブリル化繊維は約250ナノメートルの繊維径および約1〜約8ミリメートルの細断繊維長を有する請求項9記載の濾材。
【請求項12】
リヨセル、アクリル、ナイロンまたはこれらの組合せを含むフィブリル化繊維は濾材の約5重量%〜約40重量%の量で存在する請求項9記載の濾材。
【請求項13】
請求項9記載の濾材を含むるエアフィルター。
【請求項14】
約10未満のカナダ標準フリーネスを有するフィブリル化繊維を含む濾材であって、約0.25ミリメートルに等しいかそれより小さい厚さ、約0.075より大きい性能指数、さらに約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料に通過させたとき約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合の濾過効率が約99.9%より大きく、かつ約40ミリメートルより少ない水柱の圧力降下の性能基準を有するものとし、
前記0.25ミリメートルよりも薄い濾材の濾過効率および圧力降下は、0.25ミリメートルの厚さとの違いを0.25ミリメートルに合わせて濾過効率および圧力降下を調整したときに前記性能基準を満たす、またはその性能基準を超えるという特徴を有する濾材をもたらしうる前記濾材。
【請求項15】
フィブリル化繊維はリヨセル、アクリル、ナイロンまたはこれらの組合せを含む請求項14記載の濾材。
【請求項16】
フィブリル化繊維を分散させ;そして
濾材が約0.075より大きい性能指数、さらに約32リットル/分の流量で100cm2の大きさの試料に通過させたとき約0.18ミクロンのサイズのエアロゾル粒子を捕捉した場合の濾過効率が約99.9%より大きく、かつ約40ミリメートルより少ない水柱の圧力降下の性能基準を有するものとし、
前記0.25ミリメートルよりも薄い濾材の濾過効率および圧力降下は、0.25ミリメートルの厚さとの違いを0.25ミリメートルに合わせて濾過効率および圧力降下を調整したときに前記性能基準を満たす、またはその性能基準を超える濾材をもたらすように約0.25ミリメートル未満の厚さを有するフィブリル化繊維の層を形成する
工程を含むエアフィルターの製造法。
【請求項17】
多数のフィブリル化ナノ繊維を用意し;
フィブリル化ナノ繊維を流動懸濁液から既存濾材上にウエットレイまたは被覆し、ここでフィブリル化ナノ繊維は既存濾材上に約0.5g/m2〜約11.0g/m2の割合で負荷され;そして
既存濾材の性能指数を少なくとも約100%増加させる
工程を含む既存濾材の性能を向上させる方法。
【請求項18】
多数のフィブリル化ナノ繊維を用意する工程において、ナノ繊維はリヨセルナノ繊維、アクリルナノ繊維、ナイロンナノ繊維またはこれらの組合せを含み、さらにミクロガラス繊維を含有する請求項17記載の方法。
【請求項19】
さらに結合剤を付与する工程を含有し、フィブリル化ナノ繊維および結合剤は流動懸濁液から既存濾材上にウエットレイまたは被覆される請求項17記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−284649(P2010−284649A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−161336(P2010−161336)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【分割の表示】特願2003−563687(P2003−563687)の分割
【原出願日】平成15年1月18日(2003.1.18)
【出願人】(507280608)ケーエックス・テクノロジーズ・エル・エル・シー (3)
【Fターム(参考)】