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ナノ複合体イオン錯体を利用した電解質膜の製造方法
説明

ナノ複合体イオン錯体を利用した電解質膜の製造方法

【課題】機械的強度に優れ、かつイオン伝導性の向上した電解質膜、その製造方法、及び前記電解質膜を採用して燃料の効率、エネルギー密度の向上した燃料電池を提供する。
【解決手段】スルホン酸基を有する高分子と高分子中に分散されている非変性クレーとを含み、非変性クレーは、層状構造を有し、層の間に高分子がインタカレーションされているか、または層が剥離されているナノ複合体と、塩基性高分子の反応結果物であるナノ複合体イオン錯体と、を含む電解質膜である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ複合体イオン錯体を利用した電解質膜、その製造方法及びそれを採用した燃料電池に係り、さらに詳細には、スルホン化ポリスルホンにクレーをナノスケールに分散して得たナノ複合体に塩基性を帯びる高分子を導入して得たナノ複合体イオン錯体を利用して、水素イオン伝導性と低いメタノールクロスオーバー程度とを維持しつつ、機械的強度に優れた電解質膜、その製造方法及びそれを採用した燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、公知の燃料電池は、使われる電解質の種類によって高分子電解質膜(Polymer Electrolyte Membrane:PEM)方式、リン酸方式、溶融炭酸塩方式、固体酸化物方式に区分可能である。そして、使われる電解質によって燃料電池の作動温度及び構成部品の材質が変わる。
【0003】
クレーは、ナノスケールに高分子と分散する場合、寸法安定性、耐熱性、機械的強度とバリヤ特性のような既存の複合体で具現できない優秀な物性を表す。そのため、クレーと高分子を利用して複合体を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−290505号公報
【特許文献2】特開2003−277610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、クレーを導入して複合体を形成する場合、縮合重合の高いモノマー純度、モノマー反応性の制御、水分除去、温度制御が要求されて、分子量の高い高分子を得ることが非常に難しい、という問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、前記問題点を解決して機械的強度に優れ、かつイオン伝導性の向上した電解質膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、スルホン酸基を有する高分子と前記高分子中に分散されている非変性クレーとを含み、前記非変性クレーは、層状構造を有し、前記層の間に高分子がインタカレーションされているか、または前記層が剥離されている前記高分子と前記非変性クレーとの複合体であるナノ複合体と塩基性高分子との反応結果物であるナノ複合体イオン錯体を含む電解質膜が提供される。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の他の観点によれば、非変性クレー、スルホン化ポリスルホン形成用の第1重合性モノマー、スルホン化ポリスルホン形成用の第2重合性モノマー及びジオール化合物を混合し、これを熱処理して重合反応を実施してナノ複合体を得た工程と、前記ナノ複合体を溶媒に溶解した後、塩基性高分子を付加及び混合し、これを支持体にコーティングして電解質膜を形成する工程と、を含む電解質膜の製造方法が提供される。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、スルホン化ポリスルホン形成用の第1重合性モノマー、スルホン化ポリスルホン形成用の第2重合性モノマー及びジオール化合物を混合し、これを熱処理して縮重合反応を実施する工程と、前記縮重合反応結果物に非変性クレーを付加して混合してナノ複合体を得た工程と、前記ナノ複合体を溶媒に溶解した後、塩基性高分子を付加及び混合し、これを支持体にコーティングして電解質膜を形成する工程と、を含む電解質膜の製造方法が提供される。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、スルホン化ポリスルホンを溶媒に溶解してスルホン化ポリスルホン溶液を準備する工程と、クレーを分散媒に分散してクレー分散液を得る工程と、前記スルホン化ポリスルホン溶液とクレー分散液とを混合する工程と、前記スルホン化ポリスルホン溶液と前記クレー分散液とを混合した結果物に塩基性高分子を付加及び混合し、これを支持体にコーティングして電解質膜を形成する工程と、を含む電解質膜の製造方法が提供される。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のさらに他の観点によれば、カソード、アノード及びこれらの間に位置して前述した電解質膜を備える燃料電池が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電解質膜は、イオン伝導性に優れたスルホン化ポリスルホンのようなスルホン酸基を有する高分子に層状構造を有する非変性クレーがナノスケールに分散されたナノ複合体と塩基性高分子との酸−塩基反応で形成されたナノ複合体イオン錯体を含有しており、前記スルホン化ポリスルホンのスルホン化度が高いにもかかわらず、機械的強度に優れ、かつイオン伝導性及びメタノールクロスオーバー抑制特性に優れる。
【0013】
前述した電解質膜を採用した燃料電池、メタノール水溶液を燃料として使用する場合に、メタノールのクロスオーバーがさらに抑制され、それにより、前記燃料電池の作動効率及び寿命が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
本発明の電解質膜は、スルホン酸基を有する高分子、例えば、スルホン化ポリスルホンにクレーをナノスケールに分散したナノ複合体Aを製造した後、これを塩基性高分子Bと反応して、前記スルホン化ポリスルホンのスルホン酸基の酸性基と塩基性高分子の塩基性基とが反応して形成された酸−塩基錯体であるナノ複合体イオン錯体Cを含む(図1参照)。
【0016】
このような酸−塩基錯体を利用すれば、クレーをナノスケールに分散して作ったナノ複合体で電解質膜を製造する場合に発生する問題点(すなわち、イオン伝導度は、向上するが、導入されたスルホン化度の高いスルホン酸基含有高分子の水に対する膨潤程度が過ぎて水存在下で燃料電池の作動中にスルホン化ポリスルホンがゲルのように変化して、機械的強度がないか、または水に全部溶解されてしまうという問題によって、伝導度の側面で望ましくない)を未然に予防しうる。すなわち、スルホン化程度の高い高分子を利用するとしても、含湿状態の機械的強度を補完して高い水素イオン伝導性を有しつつ、低いメタノールクロスオーバーを維持し、かつ高い機械的強度を有する高分子複合電解質膜が得られる。
【0017】
前記ナノ複合体について説明すれば、ナノ複合体は、スルホン酸基を有する高分子と前記高分子中に分散されている非変性クレーとを含み、前記非変性クレーは、層状構造を有し、前記層の間に高分子がインタカレーションされているか、または前記層が剥離されている構造を有している。
【0018】
前記非変性クレーは、層間の間隔が水またはインタカラントによって増大する特性を有しているシリケートを包括する用語であって、有機ホスホニウム基に改質された変性クレーに比べて、工程が単純で製造効率が高く、コストが低く、またクレーは、親水性が非常に優秀な表面を有しているので、メタノールに比べて水に対する親和力に優れた特性を有している。したがって、前記クレーが膜内に剥離形態または挿入型に高ナノスケールで高分子に分散されている場合、少量のクレーを使用してもメタノールクロスオーバーを抑制し、クレーの吸収特性によって無機物質の追加による膜の伝導性低下を最小化する構造を有しているのでさらに有利である。
【0019】
本発明で使われる非変性クレーの具体的な例としては、スメクタイト系クレーを使用する。スメクタイト系クレーの具体的な例としては、モンモリロナイト、ベントナイト、サポナイト、ベイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ラポナイトがある。
【0020】
本発明のナノ複合体イオン錯体は、層状構造を有するクレーがスルホン化ポリスルホン中に均等に分散されているだけでなく、前記層状構造を有するクレーの層間に前記スルホン化ポリスルホンがインタカレーションされている。ある場合には、前記各層間の層間距離が増大して、前記各層が剥離された状態で存在することもある。
【0021】
層状構造を有するクレーの各層がイオン化伝導性に優れたスルホン化ポリスルホンによって挿入された状態で前記高分子中に分散されているか、または前記各層が剥離された状態で前記高分子中に分散されており、前記スルホン化ポリスルホンのスルホン酸基と塩基性高分子の塩基性基とが結合された本発明のナノ複合体イオン錯体は、機械的強度、耐熱性及びイオン伝導度特性に非常に優れる。また、一旦水に含湿された後には、メタノール、エタノールのような極性有機燃料がその内部へ侵入することが抑制される。したがって、このようなナノ複合体イオン錯体は、極性有機燃料のクロスオーバーを抑制しうるので、極性有機燃料を直接アノードに供給する方式の燃料電池の電解質膜の形成材料として非常に有用である。
【0022】
前記スルホン化ポリスルホンとして、下記化学式1で表示される化合物が挙げられる。
【0023】
【化1】

…(化学式1)
【0024】
前記式中、Rは、相互に同一かまたは異なり、C1−C10のアルキル基、C2−C10のアルケニル基、フェニル基、またはニトロ基であり、pは、0ないし4の整数であり、Xは、−C(CF−、−C(CH−または−PY’(=O)−(Y’は、H、Cである)であり、Mは、Na、K、またはHであり、mは、0.1ないし10の実数であり、nは、0.1ないし10の実数であり、kは、5ないし500の実数である。
【0025】
前記化学式1で、mとnとの比は、それぞれSOM基を有していないスルホン化スルホン反復単位とSOM基を有しているスルホン化スルホン反復単位との混合比を表し、この混合比によって、化学式1のスルホン化ポリスルホンのイオン伝導度のような特性が非常に変わる。望ましくは、mは、0.1ないし4であり、nは、0.1ないし4であることがイオン伝導性に優れる。
【0026】
前記化学式1で、pが0である場合は、水素である場合を意味する。
【0027】
前記化学式1で表示されるスルホン化ポリスルホンの数平均分子量が1万ないし30万であり、質量平均分子量が2万ないし50万であり、スルホン化度が40ないし80%であることが望ましい。ここで、スルホン化度は、例えば、核磁気共鳴スペクトル(NMR)の特性ピーク値を利用して測定することができる。この場合、約8.3ppmにスルホン酸基によるピークを確認でき、これに基づいて、スルホン化度を計算することができる(例えば、Macromolecules 2004,37,7960−7967等の文献を参照)。
【0028】
前記化学式1で表示される化合物の例として、下記化学式2で表示される化合物がある。
【0029】
【化2】

…(化学式2)
【0030】
前記式中、mは、0.1ないし4の実数であり、nは、0.1ないし4の実数であり、kは、5ないし500の実数である。
【0031】
前記化合物は、クレーと強い引力を形成するS=O、S−O基を有していて、クレー層と高分子との相互作用は十分であり、分子の末端に作用基が存在して付加的に高分子の末端にクレーとの相互作用を増大する。
【0032】
前記化学式1のスルホン化ポリスルホンの両末端がエンドキャッピングされてクレーと強い相互作用を行う構造を有しうる。
【0033】
前記クレー改質剤は、クレー層間に含まれる陽イオン(Na、K、ここでは、Na陽イオン)と交換反応(陽イオン交換反応)して、クレーと強い引力を形成するアミノ基とクレー層の表面とファンデルワールス力、極性及びイオンの相互作用を形成しうる作用基(例えば、ベンジル、メチル、硫酸塩、カルボニル基、アミド基)のうち選択された一つ以上の基を有する。
【0034】
前記クレー改質剤の具体的な例として、2−アセトアミドフェノール、3−アセトアミドフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、3−エチルフェノール、2−アミノ−4−クロロフェノール、6−アミノ−2,4−ジクロロ−3−メチルフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、2−アミノ−3−ニトロフェノール、2−アミノフェノール、2−sec−ブチルフェノール、3−アミノフェノール、3−ジエチルアミノフェノール、4,4’−スルホニルジフェノール、2−メチル−3−ニトロフェニル、3−tert−ブチルフェノール、2,3−ジメトキシフェノール、4−アミノ−2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチル−4−ニトロフェノール、4−sec−ブチルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−アミノ−4−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4−tert−ブチル−2−メチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、5−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−(メチルアミノ)硫酸フェノール、4−sec−ブチルフェノール、3−メトキシフェノール、3,5−ジメチルチオフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、3−(N,N’−ジエチルアミノ)−フェノール、2,6−ジメトキシフェノール、4−アセトアミノフェノール、2−アミノ−4−メチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、4−エチルフェノールまたはその混合物が挙げられる。
【0035】
本発明で使われる塩基性高分子は、窒素原子のような塩基性基を有している高分子であって、具体的な例として、ポリベンズイミダゾール、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリエチレンイミン、(アクリルアミド−塩化ジアリルジメチルアンモニウム)共重合体、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、ポリマーハンドブック3rd ed.VI 217に開示されたポリアクリルアミド系、ポリマーハンドブック3rd ed.VI 238に開示されたポリウレタン系、ポリマーハンドブック3rd ed.VI 243に開示されたポリアミド系、ポリマーハンドブック3rd ed。VI 248に開示されたポリイミン系、ポリマーハンドブック3rd ed.VI 249に開示されたポリウレア系、ポリマーハンドブック3rd ed.VI 250に開示されたポリベンゾオキサゾール系、ポリマーハンドブック3rd ed.VI 253に開示されたポリベンズイミダゾール系、ポリマーハンドブック3rd ed.VI 257に開示されたポリピロリドン系がある。このような塩基性高分子の役割について説明すれば、塩基性高分子は、スルホン酸基を有する高分子とはイオン相互作用を有し、クレーの場合には、クレー層間に存在する陽イオン(Na、K)とイオン交換反応してクレーと強い引力を有する。これにより、電解質膜は、高い強度を維持しつつ、伝導度とクロスオーバーの低い特性を有する。
【0036】
前記塩基性高分子の含量は、スルホン酸基を有する高分子、すなわち、スルホン化ポリスルホン100質量部を基準として0.1ないし40質量部、特に、0.1ないし10質量部であることが望ましい。もし、塩基性高分子の含量が0.1質量部未満であれば、イオン錯体の形成が少なく、20質量部を超えれば、電解質膜の伝導度が低下して望ましくない。
【0037】
本発明による電解質膜を構成するナノ複合体イオン錯体は、まず、クレーとスルホン酸基とを有する高分子を利用して、機械的強度及び寸法安定性に優れたナノ複合体を製造し、これを塩基性高分子と反応して得られる。
【0038】
前記ナノ複合体は、後述する3つの方法によって製造可能である。
【0039】
第一に、水分を除去した非変性クレーをスルホン化ポリスルホン形成用の第1重合性モノマー、スルホン化ポリスルホン形成用の第2重合性モノマー及びジオール化合物(第3モノマー)と混合してインシチュ重合反応を実施する方法がある。
【0040】
第二の方法は、まず、第1重合性モノマー、第2重合性モノマー、ジオール化合物を混合して重合反応を実施した後、重合末期に水分を除去した非変性クレーを付加する方法がある。
【0041】
第三の方法は、第1重合性モノマー、第2重合性モノマー、ジオール化合物を混合して重合反応を実施してスルホン化ポリスルホンを得た後、これを溶媒に溶解して得たスルホン化ポリスルホン溶液と非変性クレーを溶媒に分散したクレー分散液とを攪拌する方法がある。
【0042】
以下、図2ないし図4を参照して、前記3つの製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0043】
前述した第一の製造方法は、図2に示したように、非変性クレーの水分を除去した後、これを分散媒に分散してクレー分散液を得、このクレー分散液と、化学式3の第1重合性モノマーと、化学式4の第2重合性モノマーと、化学式5のジオール化合物と、溶媒と、塩基とを混合する。ここで、分散媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを使用し、分散媒の含量は、非変性クレー100質量部を基準として50ないし1000質量部を使用することが、クレーが均等に分散されるため望ましい。
【0044】
前記第1重合性モノマーとしては、図2に示されているが、化学式3の化合物以外に、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−m−ジクロロベンゼン、m−ジフルオロベンゼンのような化合物を使用することも可能である。このような化合物を使用しても、化学式4の重合性モノマーと混合して反応すれば、所望のポリスルホンを収得しうる。
【0045】
前記溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレンとN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを使用し、その含量は、第1重合性モノマー(アシルハライド)、第2重合性モノマー(硫酸アシルハライド)及び第3重合成モノマー(ジオール化合物)の層重量100質量部に対して50ないし500質量部を使用することが望ましい。
【0046】
前記塩基としては、炭酸カリウム(KCO)、NaCOを使用し、その含量は、第3重合成モノマー1モルを基準として0.5ないし3モルを使用する。
【0047】
クレーは、下記過程によって洗浄する。クレーに含まれた不純物を除去するために、蒸留水をクレーと共に容器に入れて100rpmでボールミリングを3日以上実施して、クレー水分散液を得る。その後にクレー分散液を遠心分離して3次蒸留水で洗浄した後に再分散し、遠心分離して洗浄する。次いで、前記結果物を再分散し、これを遠心分離して洗浄する。このように洗浄したクレーを加熱または凍結乾燥して乾燥した後、乾燥されたものを粉砕して粉末状に保管する。
【0048】
前記非変性クレーの水分除去時、第一の常圧5時間以上100℃で加熱する方法と、第二の減圧で60℃以上で4時間以上加熱する方法とを使用し、クレーの含量は、ナノ複合体100質量部を基準として0.1ないし50質量部である。もし、クレーの含量が0.1質量部未満であれば、クレー効果のバリヤ特性を期待できず、50質量部を超えれば、粘度が高く、ブリトルして望ましくない。
【0049】
【化3】

…(化学式3)
【0050】
前記式中、R及びpは、前記化学式1で定義された通りであり、Yは、Cl、F、Br、またはIである。
【0051】
【化4】

…(化学式4)
【0052】
前記式中、Mは、前記化学式1で定義された通りであり、Yは、Cl、F、Br、またはIである。
【0053】
【化5】

…(化学式5)
【0054】
前記式中、R、X及びpは、前記化学式1で定義された通りである。
【0055】
前記第1重合性モノマーの非制限的な例として、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)、4,4`−ジフルオロジフェニルスルホンがあり、前記第2重合性モノマーの具体的な例として、硫酸塩−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(S−DCDPS)がある。
【0056】
前記第1重合性モノマーは、前記化学式3の化合物を代替するか、またはそれと共に使用可能な物質であって、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、m−ジクロロベンゼン、m−ジフルオロベンゼンを具体的な例として挙げられる。
【0057】
前記ジオール化合物の具体的な例として、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール、(HFIPDP)、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−チオジフェノール、3,3’−(エチレンジオキシ)ジフェノール、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、3,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノール−A、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンがある。
【0058】
前記重合温度は、望ましくは、親核反応過程で発生する水をトルエンと還流しつつ除去しうる温度であって、100ないし180℃、望ましくは、120ないし160℃で第1工程と140ないし195℃、望ましくは、160ないし180℃で加熱する第2工程とを順次に実施する。または、140℃で還流した後(4時間)、160℃に昇温した後に4時間以上維持し、180℃に昇温した後に4時間維持して重合を実施する。
【0059】
前記第1工程は、生成された水を除去してポリスルホン形成用のプレカーソルが形成される工程に該当し、前記第2工程は、重合が本格的に進行する工程であって、重合が進められるにつれて粘度が上昇する。
【0060】
次いで、前記混合物を熱処理して重合反応を実施し、この結果物を冷却した後、エタノール、蒸留水に沈殿する過程のようなワークアップ過程を経てナノ複合体を得る。
【0061】
前記第2重合性モノマーである硫酸塩アシルジハライドの含量は、第1重合性モノマーであるアシルハライド1モルを基準として、0.1ないし3モルであることが望ましい。もし、第2重合性モノマーの含量が0.1モル未満であれば、電解質膜のイオン伝導性が低く、3モルを超えれば、高分子の水による膨潤が多過ぎて膜を形成し難いので望ましくない。
【0062】
前記ジオール化合物の含量は、前記第1重合性モノマーと第2重合性モノマーとの総モル数1モルを基準として、0.7ないし1.3モルであることが望ましい。もし、ジオール化合物の含量が前記範囲を逸脱する場合、重合反応の反応性面で望ましくない。
【0063】
前記製造過程時に第1重合性モノマー、第2重合性モノマー及びジオール化合物の混合物にクレー改質剤を付加することもある。
【0064】
前記クレー改質剤の含量は、化学式3の第1重合性モノマー、化学式4の第2重合性モノマー及び化学式5のジオール化合物の総モル数1モルを基準として、0.001ないし0.5モルであることが望ましい。もし、前記クレー改質剤の含量が0.001モル未満であれば、クレーと接触できる数が少なくて効果がなく、0.5モルを超えれば、ナノ複合体の分子量が所望の程度まで増加しないので望ましくない。
【0065】
図3を参照して、第二の製造方法を説明すれば、まず、前記化学式3の第1重合性モノマーと化学式4の第2重合性モノマーと化学式5のジオール化合物と溶媒を混合し、これを加熱して重合反応を実施する。ここで、加熱条件、溶媒、第1、2重合性モノマー及び第3重合成モノマー、ジオール化合物の含量及びその種類は、第一の製造方法で記載された通りである。
【0066】
前記重合反応の末期に、必要に応じてクレー改質剤を付加し、これを50ないし195℃で重合する。もし、熱処理温度が195℃を超えれば、逆重合反応がおきて、所望の分子量を有するナノ複合体が得難く、50℃未満であれば、重合反応の反応性が低下して望ましくない。
【0067】
前記結果物を20ないし150℃に冷却した後、ここに非変性クレーを分散媒に分散して得たクレー分散液を付加し、これを70℃で6ないし48時間、特に約24時間攪拌する。次いで、前記結果物を蒸留水に沈殿するワークアップ過程を経て本発明のナノ複合体が得られる。
【0068】
クレー改質剤、非変性クレー、分散媒の種類及び含量は、前記第一の方法で記載された通りである。
【0069】
図4を参照すれば、第三の製造方法は、次の通りである。
【0070】
まず、化学式3の第1重合性モノマー、化学式4の第2重合性モノマー、化学式5のジオール化合物と溶媒とを混合し、これを熱処理して重合反応を実施して化学式1のスルホン化ポリスルホンを製造する。ここで、重合温度は、室温(20℃)ないし50℃の範囲である。
【0071】
前記化学式1のスルホン化ポリスルホンを溶媒に溶解した後、ここに非変性クレーを分散媒に分散して得たクレー分散液を付加し、これを室温(20℃)で6ないし48時間、特に、約24時間激しく攪拌する。ここで、溶媒としては、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドを使用し、その含量は、化学式1のスルホン化ポリスルホン100質量部を基準として100ないし600質量部である。
【0072】
次いで、前記結果物を蒸留水に沈殿するワークアップ過程を経て本発明のナノ複合体が得られる。
【0073】
第三の製造方法によってナノ複合体を製造する場合、クレー改質剤を付加する場合、高分子重合が終了する時点に添加して製造する。このとき、クレー改質剤の種類及び含量は、前述した通りである。
【0074】
前記過程によって得た本発明のスルホン化ポリスルホンの質量平均分子量は、2万ないし50万であり、数平均分子量は、1万ないし30万であって、高分子量の高分子である。もし、質量平均分子量または数平均分子量が前記範囲未満である場合には、成膜性が低下して電解質膜が得難く、前記範囲を超える場合には、作業性が悪くなって望ましくない。
【0075】
本発明のナノ複合体は、X線回折分析の結果を通じて構造確認が可能である。
【0076】
非変性クレーの乾燥状態で回折パターンは、2θ値が7.8°(層間の間隔は、1.14Åである)で表れ、層間の間隔が広くなる場合、X線回折パターンが、2θ値が1.2(機械の下限値)の範囲まで移動し、窮極的には回折パターンがなくなる(剥離された構造)。X線試料は、粉末または薄膜状態でCuK−アルファ特性のX線波長(1.541)Åを室温(20℃)及び空気中で測定する。
【0077】
X線回折分析結果を参照すれば、クレーの001面のピークがなくなるか(剥離型)、または広くなる構造(挿入型)を確認することができる。
【0078】
本発明のナノ複合体を利用すれば、燃料電池の電解質膜を形成しうるが、その製造方法は、次の通りである。
【0079】
前記過程によって得たナノ複合体、塩基性高分子及び溶媒を混合して得た電解質膜形成用の組成物をキャスティングまたはコーティング法によって支持体に加え、これを乾燥してナノ複合体イオン錯体を含有する電解質膜を形成する。ここで、溶媒としては、ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)を使用し、その含量は、ナノ複合体100質量部を基準として100ないし600質量部である。もし、溶媒の含量が前記範囲を逸脱すれば、キャスティングまたはコーティング時に作業性が不良であるだけでなく、電解質膜の機械的物性のような特性が低下して望ましくない。
【0080】
場合によっては、スルホン化ポリスルホンの末端にOH基が残るように調節したナノ複合体と塩基性高分子とを溶媒に溶解した後、ここに多価アルコールのアクリル酸エステル及び硬化剤を付加し、これをキャスティングまたはコーティングする過程を経て電解質膜を形成しうる。前記多価アルコールのアクリル酸エステルと硬化剤とを付加する時に、溶媒に溶解した溶液を付加することも可能である。このとき、溶媒としては、トルエン、2−プロパノール、ベンゼンのように、多価アルコールのアクリル酸エステルに溶解度を有する溶媒ならば何れも使用可能であり、スルホン化ポリスルホンの溶解時に使用する溶媒であるN,N’−ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)を使用しうる。
【0081】
このように、多価アルコールのアクリル酸エステル及び硬化剤を利用して、多価アルコールのアクリル酸エステルと硬化剤との硬化反応によって形成されたアクリル系高分子が電解質膜にさらに含有すれば、成膜性に優れて作業が便利であるという長所があり、特に、スルホン化ポリスルホンの分子量が1万以下である場合に適用すれば、膜形成が非常に容易になり、膜の機械的強度が改善される。
【0082】
前記多価アルコールのアクリル酸エステルの含量は、スルホン酸基を有する高分子、すなわち、スルホン化ポリスルホン100質量部を基準として0.001ないし20質量部であることが望ましい。もし、多価アルコールのアクリル酸エステルの含量が0.001質量部未満であれば、硬化効果が低く、20質量部を超えれば、硬化程度が高くて電解質膜の伝導度が低くなって望ましくない。
【0083】
前記多価アルコールのアクリル酸エステルの例としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸及びアクリル酸からなる群から選択された一つ以上の(メタ)アクリル酸またはアルキル(メタ)アクリル酸がある。
【0084】
前記硬化剤としては、イソシアネートを有する化合物を使用し、具体的にp−フェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロメタンジイソシアネートがあり、その含量は、スルホン酸基を有する高分子、すなわち、スルホン化ポリスルホン100質量部を基準として0.01ないし20質量部であることが望ましい。もし、硬化剤の含量が0.01質量部未満であれば、多価アルコールのアクリル酸エステルの架橋度が低くなり、20質量部を超えれば、架橋反応に参加していない未反応硬化剤が残っていて望ましくない。
【0085】
例えば、多価アルコールのアクリル酸エステルとジイソシアネートとの硬化反応によってアクリル系高分子が形成される場合、ウレタン結合を有するアクリル系高分子が形成され、特に、イソシアネート基/OH基のモル比が2である場合ならば、下記のような反応によってウレタン結合を有するアクリル系高分子が形成される。
【0086】
2OCN−R−NCO + HO−R’−OH → OCNR−NHCOOR’COONH−RNCO ・・・(反応式1)
【0087】
したがって、前記多価アルコールのアクリル酸エステルと硬化剤との硬化反応において、イソシアネート基/OH基のモル比は、3ないし0.1でありうる。
【0088】
前述した電解質膜の製造過程を経た後、膜の酸処理過程を経うる。電解質膜を硫酸水溶液に浸かり、それを60ないし99℃に加熱してから脱イオン水を利用して洗浄し、これを室温で24時間放置する。次いで、前記結果物を脱イオン水を利用して洗浄する。前記硫酸水溶液の濃度は、0.1ないし3Mであり、特に、約0.5ないし2Mである。
【0089】
本発明の電解質膜の厚さに対して特に制限はないが、前記厚さが過度に薄ければ、電解質膜の強度が過度に低下し、前記厚さが過度に厚ければ、燃料電池の内部抵抗が過度に増加しうる。このような点を考慮して、前記ナノ複合電解質膜の厚さは、約20ないし200μmにしうる。
【0090】
以下では、本発明の電解質膜を採用した燃料電池の具現例について説明する。
【0091】
本発明の電解質膜は、ポリマー電解質を含む電解質膜を使用する全ての種類の燃料電池、例えば、水素を燃料として使用するPEMFC(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell)に適用され、PEMFCの特殊な形態として、メタノールと水との混合蒸気、またはメタノール水溶液を燃料として使用する直接メタノール燃料電池にも適用される。特に、メタノール水溶液を燃料として使用する直接メタノール燃料電池にさらに有用に適用される。
【0092】
本発明では、酸素の還元反応が起きるカソード、燃料の酸化反応が起きるアノード及び前記カソードと前記アノードとの間に位置する電解質膜を備える燃料電池において、前記電解質膜として前述した本発明による電解質膜を使用する燃料電池を提供する。
【0093】
前記カソードは、酸素の還元反応を促進させる触媒層を備える。前記触媒層は、触媒粒子と陽イオン交換基とを有するポリマーを含む。前記触媒としては、例えば、白金担持カーボン触媒(Pt/C触媒)が使われる。
【0094】
前記アノードは、水素、天然ガス、メタノール、エタノールのような燃料の酸化反応を促進させる触媒層を備える。前記触媒層は、触媒粒子と陽イオン交換基とを有するポリマーを含む。前記触媒の具体的な例としては、白金担持カーボン触媒、白金−ルテニウム担持カーボン触媒がある。特に、白金−ルテニウム担持カーボン触媒は、水素以外の有機燃料をアノードに直接供給する場合に有用である。
【0095】
前記カソード及びアノードに使われる触媒は、触媒金属粒子と触媒担体とを含む。前記触媒担体としては、例えば、炭素粉末のように伝導性を有し、触媒金属粒子を担持しうる微細気孔を有する固体粒子が使われる。炭素粉末の例としては、カーボンブラック、ケチェンブラック、アセチレンブラック、活性炭素粉末、炭素ナノファイバ粉末、またはこれらの混合物がある。陽イオン交換基を有するポリマーとしては、前述したポリマーが使われる。
【0096】
前記カソード及びアノードの触媒層は、前記電解質膜と接触している。
【0097】
前記カソード及びアノードは、触媒層以外にガス拡散層をさらに備えうる。ガス拡散層は、電気伝導性を有する多孔性材料を含む。ガス拡散層は、集電体の役割と反応物及び生成物の出入通路の役割とを行う。ガス拡散層としては、例えば、カーボンペーパ、さらに望ましくは、撥水処理されたカーボンペーパ、最も望ましくは、撥水処理されたカーボンブラック層が塗布された撥水処理されたカーボンペーパでありうる。撥水処理されたカーボンペーパは、PTFE(Polytetrafluoroethylene)のような疎水性高分子を含んでおり、前記疎水性高分子は、焼結されている。ガス拡散層の撥水処理は、極性液体反応物と気体反応物とに対する出入通路を同時に確保するためのことである。撥水処理されたカーボンブラック層を有する撥水処理されたカーボンペーパにおいて、撥水処理されたカーボンブラック層は、カーボンブラックと、疎水性バインダーであってPTFEのような疏水性高分子とを含んでおり、前述したような撥水処理されたカーボンペーパの一面に付着されている。撥水処理されたカーボンブラック層の前記疎水性高分子は、焼結されている。
【0098】
前記カソード及びアノードの製造は、色々な文献に公知された多様な方法でなされるので、ここでは、詳細な説明は省略する。
【0099】
本発明の燃料電池のアノードに供給される燃料は、水素、天然ガス、メタノール、エタノールを含みうる。
【0100】
望ましくは、極性有機燃料及び水を含む液状燃料を前記アノードに供給しうる。前記極性有機燃料としては、例えば、メタノール、エタノールが使われる。
【0101】
さらに望ましくは、前記液状燃料は、メタノール水溶液である。本発明の燃料電池は、前記電解質膜によって極性有機燃料のクロスオーバー現象が非常に抑制されるので、さらに高濃度のメタノール水溶液を使用しうる。このような点は、従来の直接メタノール燃料電池では、メタノールクロスオーバー現象のために、一般的に6〜16重量%の低濃度メタノール水溶液を使用することと明確に対比される。また、低濃度のメタノール水溶液を使用する場合にも、前記電解質膜によって極性有機燃料のクロスオーバー現象がさらに抑制されるので、本発明の燃料電池は、さらに向上した寿命及び効率を有する。
【実施例】
【0102】
以下では、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の技術的思想が下記の実施例に限定されるものではない。
【0103】
(実施例1:電解質膜の製造)
S−DCDPS(0.1モル)、DCDPS(0.35モル)、HFIPDP(0.459モル)及び炭酸カリウム(0.55モル)を利用して、NMP(120mL)及びトルエン(100mL)を溶媒として使用して150℃で12時間還流して形成された水を除去した後、それ以上水がディーンストック装置を通じて出ないことを確認し、トルエンを前記ディーンストック装置の弁を通じて除去した。次いで、2時間にわたって反応混合物の温度を180℃に上昇させた後、この温度で4時間縮合重合反応を実施した。
【0104】
重合が順次に進められるにつれて、溶液の粘度が上昇した。重合が終わった後、重合物を70℃に冷却した後、NMP 20gに分散された非変性クレーであるモンモリロニトリル(3wt%:S−DCDPS、DCDPS及びHFIPDPの総重量対比)2.0gを添加し、これを24時間攪拌した。これを室温に冷却し、蒸留水に沈殿して回収してスルホン化ポリスルホンナノ複合体(スルホン化度:約60%、数平均分子量:約6万)を得た。
【0105】
前記過程によって得たスルホン化ポリスルホンナノ複合体100質量部をジメチルアセトアミド200質量部に溶解した後、ここで、ポリベンズイミダゾール5質量部を添加及び攪拌した。この混合物をドクターブレードを利用してガラス基板にコーティングし、これを90℃で30分間乾燥し、100℃で10分間さらに乾燥して約50μmの厚さの電解質膜を製造した。
【0106】
前記電解質膜を硫酸水溶液で処理して酸形態に変換した。
【0107】
前記電解質膜、白金−ルテニウムブラック触媒を有するアノード、白金ブラック触媒を有するカソードを接合して燃料電池を構成した。
【0108】
前記燃料電池に対して電流密度による電池電圧の変化を測定した。このとき、作動温度は、約50℃であり、燃料は、2Mの濃度のメタノール水溶液であり、酸化剤としては、空気を使用した。
【0109】
(実施例2)
HFIPDPの代わりにビスフェノールAを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して電解質膜及び燃料電池を完成した。
【0110】
(実施例3)
二種のジオールであるHFIPDP(30重量%)ビスフェノールA(70重量%)を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施してスルホン化ポリスルホンナノ複合体を合成した。このとき、使用したクレーは、ラポナイトであり、膜を製造する時にポリベンズイミダゾール5質量部が付加された混合物に8:400:0.8混合重量比の多価アルコールのアクリル酸エステルであるポリ(メタクリル酸メチル−co−アクリル酸ブチル−co−メタクリル酸ヒドロキシエチル)、溶媒である1−プロパノール及び硬化剤である1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを付加及び混合したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して電解質膜及び燃料電池を完成した。
【0111】
(実施例4)
MMTの代わりにラポナイトを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して電解質膜及び燃料電池を完成した。
【0112】
(実施例5)
MMTの代わりにラポナイトを使用したことを除いては、実施例2と同じ方法によって実施して電解質膜及び燃料電池を完成した。
【0113】
(比較例1)
非変性クレーを添加していないことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して電解質膜及び燃料電池を完成した。
【0114】
(比較例2)
電解質膜としてナフィオン112膜を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して燃料電池を完成した。
【0115】
(比較例3)
電解質膜としてナフィオン115膜を使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して燃料電池を完成した。
【0116】
(比較例4)
ポリベンズイミダゾールの含量が10質量部であり、非変性クレーであるMMTを使用していないことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施して電解質膜及び燃料電池を完成した。
【0117】
前記実施例1によって製造された電解質膜の膜状態を光学顕微鏡を使用して調べ、その結果は、図5に示した通りである。
【0118】
これを参照すれば、実施例1の電解質膜は、相分離なしに良好な膜状態を有するということが分かる。
【0119】
前記実施例1によって得たナノ複合体イオン錯体からなる電解質膜において、X線回折分析を実施し、その分析結果は、図6Aに示した通りである。ここで、図6AでMMTは、モンモリロニトリル自体についてのものである。
【0120】
前記実施例4及び5によって得たナノ複合体イオン錯体からなる電解質膜において、X線回折分析を実施し、その分析結果は、図6Bに示した通りである。ここで、図6Bでは、Laponiteは、ラポナイト自体についてのものである。
【0121】
前記実施例3によって得た電解質膜の膜状態を透過型電子顕微鏡を利用して調べ、その結果は、図7に示した通りである。図7で、中間及び右側図面は、左側図面を次第に拡大したものである。
【0122】
これを参照すれば、クレーが不規則になってマトリックスであるスルホン化ポリスルホンに分散されているということが分かる。これを説明すれば、実施例3でラポナイトを利用して製造された複合体は、クレーが層間規則性を喪失し、剥離されたということが確認できる。TEM(Transmission Electronic Microscope)写真は、粉末状態の試料をプレスしてペレットを作り、その後にエポキシモルディングした後、試片をカットして準備したものであって、左側の相対的に明るい部分は、エポキシのある部分である。
【0123】
前記実施例1及び比較例1によって得たナノ複合体イオン錯体からなる電解質膜の引張強度及び硬度を評価して、下記表1に表した。下記表1で、N115は、デュポン社製のナフィオン115膜についてのデータを表したものである。
【0124】
【表1】

【0125】
前記表1から、高いスルホン化度(60%)を有するポリスルホンの強度が大きく上昇したということが確認できる。前記実施例1、比較例1、4によって製造された電解質膜のイオン伝導度を調べ、その評価結果は、下記表2の通りである。ここで、イオン伝導度は、4点プローブ法を利用して脱イオン水内に4プローブセルに締結されたメンブレーンを入れて温度(20℃、40℃、50℃及び60℃)によって20Mv、500000Hz−0.1Hzの周波数領域の交流を印加してNyquist plotを得る。
【0126】
【表2】

【0127】
前記表2から、本発明は、塩基性高分子を導入しても伝導度が低下する一般的な傾向を克服して優秀な伝導度を発現しているということが分かる。
【0128】
前記実施例1及び比較例2によって製造された燃料電池において、温度による伝導度の変化を調べ、その結果は、図8に示した通りである。
【0129】
前記実施例1及び比較例3によって製造された燃料電池において、動作時間による電流密度の変化を調べてアクティブセル性能を評価し、その結果は、図9に示した通りである。
【0130】
図9を参照して、実施例1の燃料電池は、ナフィオンを使用した場合より優秀な性能を表すということが確認できる。
【0131】
なお、本発明者らは、実施例2〜5についても、実施例1と同様の効果(表1、表2、図8、図9等を参照)が得られたことを確認している。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、燃料電池関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明による電解質膜中に含まれているナノ複合体イオン錯体の形成概念図である。
【図2】本発明の製造方法によるナノ複合体の製造過程を説明するための図面である。
【図3】本発明の製造方法によるナノ複合体の製造過程を説明するための図面である。
【図4】本発明の製造方法によるナノ複合体の製造過程を説明するための図面である。
【図5】本発明の実施例1によって製造された電解質膜を示す光学顕微鏡写真である。
【図6A】本発明の実施例1によって得たナノ複合体イオン錯体からなる電解質膜において、X線回折分析結果を示すグラフである。
【図6B】本発明の実施例4及び実施例5によって得たナノ複合体イオン錯体からなる電解質膜において、X線回折分析結果を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例3によって得た電解質膜の透過型電子顕微鏡写真である。
【図8】実施例1及び比較例2によって製造された燃料電池において、温度による伝導度の変化を示すグラフである。
【図9】実施例1及び比較例3によって製造された燃料電池において、動作時間による電流密度の変化を調べてアクティブセル性能の評価結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非変性クレー、スルホン化ポリスルホン形成用の第1重合性モノマー、スルホン化ポリスルホン形成用の第2重合性モノマー及びジオール化合物を混合し、これを熱処理して重合反応を実施してナノ複合体を得た工程と、
前記ナノ複合体を溶媒に溶解した後、塩基性高分子を付加及び混合し、これを支持体にコーティングして電解質膜を形成する工程と、
を含む電解質膜の製造方法。
【請求項2】
前記重合温度は、
100ないし160℃で還流して生成された水を除去する第1工程と、
140ないし195℃で加熱して重合反応を実施する第2工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項3】
前記塩基性高分子の付加時、多価アルコールのアクリル酸エステル及び硬化剤をさらに付加することを特徴とする請求項1に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項4】
スルホン化ポリスルホン形成用の第1重合性モノマー、スルホン化ポリスルホン形成用の第2重合性モノマー及びジオール化合物を混合し、これを熱処理して縮重合反応を実施する工程と、
前記縮重合反応結果物に非変性クレーを付加して混合してナノ複合体を得る工程と、
前記ナノ複合体を溶媒に溶解させた後、塩基性高分子を付加及び混合し、これを支持体にコーティングして電解質膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、電解質膜の製造方法。
【請求項5】
前記塩基性高分子の付加時、多価アルコールのアクリル酸エステル及び硬化剤をさらに付加することを特徴とする、請求項4に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項6】
前記縮重合反応は、
100ないし160℃で還流して生成された水を除去する第1工程と、
140ないし195℃で加熱して重合する第2工程と、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項7】
前記第1重合性モノマーは、下記化学式3で表示されるハロゲン化物、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、m−ジクロロベンゼン、m−ジフルオロベンゼンまたはその混合物であることを特徴とする、請求項1または4に記載の電解質膜の製造方法。
【化1】

…(化学式3)
前記式中、Rは、相互に同一かまたは異なり、C1−C10のアルキル基、C2−C10のアルケニル基、フェニル基、またはニトロ基であり、
pは、0ないし4の整数であり、
Yは、Cl、F、Br、またはIである。
【請求項8】
前記第2重合性モノマーは、下記化学式4で表示されるハロゲン化物であることを特徴とする、請求項1または4に記載の電解質膜の製造方法。
【化2】

…(化学式4)
前記式中、Mは、Na、K、またはHであり、
Yは、Cl、F、Br、またはIである。
【請求項9】
前記ジオール化合物は、下記化学式5で表示されることを特徴とする、請求項1または4に記載の電解質膜の製造方法。
【化3】

…(化学式5)
前記式中、Rは、相互に同一かまたは異なり、C1−C10のアルキル基、C2−C10アルケニル基、フェニル基、またはニトロ基であり、
pは、0ないし4の整数であり、
Xは、−C(CF−、−C(CH−または−PY’(=O)−(Y’は、HまたはCである)である。
【請求項10】
スルホン化ポリスルホンを溶媒に溶解させてスルホン化ポリスルホン溶液を準備する工程と、
クレーを分散媒に分散してクレー分散液を得る工程と、
前記スルホン化ポリスルホン溶液と前記クレー分散液とを混合する工程と、
前記スルホン化ポリスルホン溶液と前記クレー分散液とを混合した結果物に塩基性高分子を付加及び混合し、これを支持体にコーティングして電解質膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、電解質膜の製造方法。
【請求項11】
前記クレー分散液の製造時に10ないし90℃で加熱することを特徴とする、請求項10に記載の電解質膜の製造方法
【請求項12】
前記スルホン化ポリスルホンは、下記化学式1で表示される化合物であることを特徴とする、請求項10に記載の電解質膜の製造方法。
【化4】

…(化学式1)
前記式中、Rは、相互に同一かまたは異なり、C1−C10のアルキル基、C2−C10アルケニル基、フェニル基、ニトロ基であり、
pは、0ないし4の整数であり、
Xは、−C(CF−、−C(CH−または−PY’(=O)−(Y’は、H、またはCである)であり、
Mは、Na、K、またはHであり、
mは、0.1ないし10の実数であり、nは、0.1ないし10の実数であり、kは、5ないし500の実数である。
【請求項13】
前記スルホン化ポリスルホンは、
スルホン化ポリスルホン形成用の第1重合性モノマー、スルホン化ポリスルホン形成用の第2重合性モノマー及びジオール化合物の重合反応を通じて得られたことを特徴とする、請求項10に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項14】
前記塩基性高分子の付加時、多価アルコールのアクリル酸エステル及び硬化剤をさらに付加することを特徴とする、請求項10に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項15】
前記重合反応時、クレー改質剤を付加することを特徴とする、請求項13に記載の電解質膜の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6A】
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【図6B】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−52222(P2011−52222A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226780(P2010−226780)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【分割の表示】特願2007−241445(P2007−241445)の分割
【原出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】