説明

ナノ複合材料および該ナノ複合材料を製造する方法

無機ナノ複合材料の一実施形態は、ナノ粒子相と、マトリックス相とを含む。ナノ粒子相は、反復構造に配列されたナノ粒子を含む。一実施形態において、ナノ粒子は、球形または擬球形を有しており、ヒドラジンと非混和性である。別の実施形態において、ナノ粒子は球形も擬球形も有さない。マトリックス相はナノ粒子相のナノ粒子間に存在する。本発明の無機ナノ複合材料を製造する方法の一実施形態は、基材上にナノ粒子超格子を形成することを含む。ナノ粒子超格子はナノ粒子を含有する。各ナノ粒子はそのナノ粒子の表面に付着した有機配位子を有する。有機配位子はナノ粒子超格子内において隣接するナノ粒子同士を分離する。方法はまた無機前駆体を含有する溶液を形成することも含む。ナノ粒子超格子は、無機前駆体が有機配位子と置き換わるのに十分な時間にわたって溶液中に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノテクノロジーの分野に関し、より具体的にはナノ複合材料の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
無機ナノ複合材料は、近年、均質な単相材料では一般的に見られない特性の組み合わせを生じさせるために、モルホロジー並びに組成によって材料の機能性を制御する手段として現れた。例えば、電池電極は、高電力を得るためには電子およびイオンの双方を効率的に伝導しなければならないが、一方、熱電気エネルギー変換は、電気伝導性は高いが熱伝導率は低い場合に、最も効率的である。しかしながら、そのような用途のためのナノ複合材料の開発は、広範囲の組成に対してモルホロジーを制御することができる一般的な製造方法がないために遅れている。最近、高度に規則的な超格子(非特許文献1)、二成分ナノ結晶集合体(非特許文献2および3)、および配向されたナノロッド集合体(非特許文献4〜7)を含む、コロイド状ナノ結晶集合体に対する精巧な制御が開発されてきている。
【0003】
有機配位子末端ナノ結晶を集合させるこれらの方法は、この10年くらいの間に改良されてきた。例えば、半導体ナノロッドの直立配向アレイは、ナノロッド同士およびナノロッドと環境との相互作用を媒介する有機配位子コーティングに左右される制御された蒸発、電界配向、または気水界面における蒸発によって調製されている。同様に、二成分ナノ結晶集合体に対する制御は、配位子の存在に非常に左右されることが分かった(シェフチェンコら)。最近、かさ高い有機配位子の、ヒドラジン(非特許文献8)またはエチレンジアミン(非特許文献9)のような遥かに小さな分子との集合後置換(post−assembly)によって、ナノ結晶集合体の伝導性が非常に高めら得ることが示されたので、ナノ結晶集合体の電子技術応用に弾みがついた。このプロセスはナノ結晶集合技術の利点を最大限に利用するので、例えば、AgTeおよびPbTeナノ結晶(非特許文献10)の二成分集合体において異種混合ドーピングが観察され得る。しかしながら、そのような材料の電子特性は、用いられる小分子の反応性および揮発性のために、非常に履歴依存性である(タラピン(Talapin)ら)。
【0004】
無機ナノ複合材料において達成可能な特有の特性によってやむを得ず、それらの製造に対するいくつかの手法が特定用途のために示されてきた。例えば、ナノ構造熱電複合材料(nanostructured thermoelectric composite)を生成するために、PbTeマトリックス中におけるPbSの二次相のスピノーダル分解および析出が用いられた(非特許文献11)。熱電効率における注目すべき改善が生じたが、ナノ包含物の寸法のような形態学的特性を調整する能力は限られており、達成可能な組成物は著しく制限されている。電池電極に適用されたより一般的な手法は、構成材料を、それらがナノスケールで混じり合うまで機械的に粉砕することである(非特許文献12)。しかしながら、一般性の代償は、構成要素間の密接な接触を確実に形成することが出来なかったことであり、モルホロジーはまたもや制御に乏しい。
【0005】
別の洗練された例は、熱的安定性を提供する、溶液処理された建築用ブロックのシリカマトリックス中における金ナノ粒子の規則配列への共集合(co−assembly)である(非特許文献13)。しかしながら、この方法は、動的な溶媒蒸発条件下において、構造指向界面活性剤(structure−directing surfactant)と共に、2つの構成要素の慎重に平衡を保たれた相互作用に頼るので、この方法は任意の組成物に適用することができない。
【0006】
最後に、最近の報告では、分散したナノ結晶の表面へCMCを吸着させるために、強還元環境(strongly reducing environment)における溶液相配位子交換が用いられた(非特許文献14)。これらは次いで堆積されて複合フィルムを形成することができるが、過酷な化学薬品環境によって組成に関する適用性が制限され、帯電したナノ結晶を集合させる一般的な手法に欠けている。これらの制限を強調して、一つの事例、すなわちSn−S配位子を備えた金ナノ粒子、においてのみ、規則的な集合体の調製が示されており、大きな規模における規則化を示す証拠は報告されていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ピレニ、ジェイ.(Pileni,J.)、Phys.Chem.B 105、第3358−3371頁、(2001年)
【非特許文献2】シェフチェンコ(Shevchenko)ら、Nature 439、第55−59頁(2006年)
【非特許文献3】スミス(Smith)ら、J.Am.Chem.Soc.131、第3281−3290頁(2009年)
【非特許文献4】コゾリ(Cozzoli)ら、Chem.Soc.Rev.35、第1195−1208頁(2006年)
【非特許文献5】ライアン(Ryan)ら、Nano Lett.6、第1479−1482頁(2006年)
【非特許文献6】グプタ(Gupta)ら、Nano Lett.6、第2066−2069頁(2006年)
【非特許文献7】ヘー、ジェイ.(He,J.)ら、Small 3、第1214−1217頁(2007年)
【非特許文献8】タラピン(Talapin)ら、Science 310、第86−89頁(2005年)
【非特許文献9】マーフィー(Murphy)ら、J.Phys.Chem.B 110、第25455−25461頁(2006年)
【非特許文献10】カン(Kang)ら、Nature 458、第190−193頁(2009年)
【非特許文献11】アンドロラキス(Androulakis)ら、J.Am.Chem.Soc.129、第9780−9788頁(2007年)
【非特許文献12】バドウェイ(Badway)ら、J.Electrochem.Soc.150、第A1209−A1218頁(2003年)
【非特許文献13】ファン(Fan)ら、Science 304、第567−571頁(2004年)
【非特許文献14】コバレンコ(Kovalenko)ら、Science 324、第1417−1420頁(2009年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、無機ナノ複合材料および無機ナノ複合材料を製造する方法を包含する。実施形態によれば、本発明の無機ナノ複合材料は、ナノ粒子相と、マトリックス相とからなる。前記ナノ粒子相は、反復構造に配列されたナノ粒子を含む。一実施形態において、前記ナノ粒子は、球形または擬球形(pseudo−spherical)を有しており、ヒドラジンと非混和性(incompatible)である。別の実施形態において、前記ナノ粒子は球形も擬球形も有さない。前記マトリックス相は、前記ナノ粒子相のナノ粒子間に存在する。例示的な実施形態において、前記ナノ粒子は金属酸化物を含む。
【0010】
一実施形態によれば、本発明の無機ナノ複合材料を製造する方法は、基材上にナノ粒子超格子を形成する工程を含む。前記ナノ粒子超格子はナノ粒子を含む。各ナノ粒子は、そのナノ粒子の表面に付着した有機配位子を有する。前記有機配位子は、前記ナノ粒子超格子内において隣接するナノ粒子同士を分離する。前記方法はまた、無機前駆体を含有する溶液を形成する工程も含む。前記ナノ粒子超格子は、無機前駆体が有機配位子と置き換わるのに十分な時間にわたって前記溶液中に配置される。例示的な実施形態において、前記無機前駆体はポリオキソメタラート(polyoxomtallate)クラスターを含有する。例示的な実施形態において、前記ナノ粒子は金属酸化物を含む。
【0011】
本発明はその特定の例示的な実施形態に関して記載され、従って図面について言及される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1a】本発明によるPbSe超格子のSEM像である。
【図1b】本発明による、Sb−Se CMCとの配位子交換後のPbSe超格子のSEM像である。
【図1c】本発明によるPbSeナノ結晶超格子のTEM像である。
【図1d】本発明によるPbSe−SbSeナノ複合材料膜のTEM像である。
【図2a】本発明によるPbSe−GeSナノ複合材料のTEM像である。
【図2b】本発明によるPbSe−GeSナノ複合材料のSEM像である。
【図3】本発明による、すべての元素の均一な分布を示すPbSe−GeSナノ複合材料の元素マッピングを示す。
【図4】(a)は、本発明によって生成されたPbSeナノ結晶超格子から得られた二次元GISAXSパターンであり、(b)は、本発明に従ってGe−S CMC溶液中に浸漬されたPbSe膜から得られた二次元GISAXSパターンであり、(c)は、本発明に従ってアニール化された後のPbSe−GeS複合材料膜から得られた二次元GISAXSパターンであり、(d)は、本発明による、PbSe、PbSe−GeS、およびPbSE−GeSに対するI(q)対qプロットを示す図である。
【図5】(a)は、本発明によって生成されたPbSeナノ結晶超格子からの二次元GISAXSパターンであり、(b)は、本発明による、Sb−Se CMC溶液中に浸漬されたPbSe超格子からの二次元GISAXSパターンであり、(c)は本発明による、アニール化された後のPbSe−SbSeナノ複合材料からの二次元GISAXSパターンであり、(d)は、本発明による、PbSe、PbSe−SbSe、およびPbSe−SbSeに対するI(q)対qプロットを示す図である。
【図6】(a)は、本発明による直立に整列したCdSナノロッドアレイから得られたGISAXSパターンであり、(b)は、本発明によってナノロッドアレイから調製された、CdS−CuS複合材料から得られたGISAXSパターンであり、(c)は、本発明によるCdSおよびCdS−CuSに対するI(q)対qプロットを示す図であり、(d)は本発明による元のナノロッドアレイのTEM像であり、(e)は、本発明によってナノロッドアレイから製造されたCdS−CuS複合材料のTEM像である。
【図7】(a)は、PbSeナノ結晶に関して本発明を用いた結果を示し、(b)は、AgSナノ結晶に関して本発明を用いた結果を示す。
【図8a】本発明によってエタノールで処理されたPbSeナノ結晶アレイから製造されたFETについてのI−V曲線を示す。
【図8b】本発明によって製造されたPbSe−GeSナノ複合材料から製造されたFETについてのI−V曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、無機複合材料および無機複合材料を製造する方法を包含する。
本発明の無機複合材料を製造する方法の一実施形態は、基材上にナノ粒子超格子を形成する工程を含む。前記ナノ粒子超格子はナノ粒子を含有し、各ナノ粒子はそのナノ粒子の表面に付着した有機配位子を有する。前記有機配位子は、前記ナノ粒子超格子内において隣接するナノ粒子同士を分離する。前記ナノ粒子は金属カルコゲニド、金属、金属酸化物または他の適した材料を含み得る。例えば、金属カルコゲニドの金属は、Pb、Ag、Sn、Cdおよび他の適した金属から選択され得る。実施形態によれば、前記金属カルコゲンのカルコゲンはS、SeおよびTeから選択される。一実施形態において、ナノ粒子超格子は、基材にナノ粒子を含有する溶液を適用し、それを乾燥させることによって形成される。本願において「ナノ粒子」という用語は、少なくとも1つの寸法がナノメートルスケール(すなわち1nmから1μmまで)である構造を有する個々の単位の総称である。「ナノ粒子」という用語は、量子ドット、球形および擬球形粒子、ファセット粒子(faceted particles)、ナノロッド、ナノワイヤ、テトラポッド(tetrapods)、異方性粒子および他の適した粒子を含む。さらに「ナノ粒子」という用語は、単結晶ナノ粒子(すなわちナノ結晶)、多結晶性ナノ粒子(polycrystalline nanoparticles)および非晶質ナノ粒子を含む。
【0014】
一実施形態において、ナノ粒子は最密構造に配列されている。例えば、ナノ粒子は、六方最密構造または面心立方構造に配列された球形または擬球形粒子であってもよい。別の例は、基材上に直立に整列したナノロッドであり、該ナノロッドはナノロッドの軸に直交する平面において稠密に充填されている。
【0015】
前記方法はさらに、無機前駆体を含む前駆体溶液を形成する工程を含む。前記無機前駆体は、カルコゲニドメタラートクラスター(chalcogenidometallate clusters)、ゾルーゲル前駆体、または別の適した無機前駆体から選択され得る。前記前駆体溶液のための溶媒は、エタノールアミン、DMSO、ヒドラジンまたは他の適した溶媒から選択され得る。前記ナノ粒子超格子は、無機前駆体が有機配位子と置き換わるのに十分な時間にわたって前記前駆体溶液中に配置される。一実施形態において、前記溶媒は、ナノ粒子超格子が処理中に元の状態を保つことができるようにナノ粒子超格子のナノ粒子に対して分散性に乏しい溶媒(poor dispersing solvent)となるように選択される。
【0016】
一実施形態によれば、前記無機前駆体はカルコゲニドメタラートクラスターである。前記カルコゲニドメタラートクラスターは、無機塩を過剰なカルコゲン(例えばS、SeまたはTe)の存在下でヒドラジン中に溶解し、次いで、それを乾燥させてヒドラジンを除去することによって製造される。
【0017】
有機配位子の無機前駆体との置換のための十分な時間はプロセスの改善において日常的に決定されるものであることが、当業者には容易に分かるであろう。前記時間は、前記方法において用いられる材料に応じて変化するが、特定の材料に対して一定の時間を有する。
【0018】
一実施形態によれば、前記方法は、前記溶液から超格子を取り出し、その超格子を濯いで、溶媒、有機物質および過剰な無機前駆体を除去することをさらに含む。一実施形態によれば、前記方法は、前記ナノ粒子超格子を加熱して、前記無機前駆体を無機ナノ複合材料のマトリックス相に変換することを含む。この実施形態において、前記ナノ粒子超格子は、無機ナノ複合材料のナノ粒子相を形成する。
【0019】
一実施形態において、前記方法は、前記無機ナノ複合材料から基材を除去することをさらに含む。例えば、前記基材は、基材の残部を無機ナノ複合材料に結合する犠牲層を選択的にエッチングすることによって、前記無機ナノ複合材料から分離されてもよい。
【0020】
本発明の方法において、ナノ粒子超格子と無機前駆体とは独立して処理される。これにより、結果として生じる無機ナノ複合材料のナノ粒子相およびマトリックス相のために広範囲の材料を用いることが可能となる。具体的には、ナノ粒子超格子および無機前駆体の独立した処理のために、本発明の方法から生成される無機ナノ複合材料は、2つの方法において既知の他の研究から区別され得る。第1に、ナノ粒子相はヒドラジンと非混和性であるナノ粒子から形成され得る。第2に、ナノ粒子相は球形ナノ粒子でも擬球形ナノ粒子でもないナノ粒子から生成され得る。さらにナノ粒子超格子のナノ粒子同士は、初めに無機配位子によって互いから分離されるので、結果として生じる無機ナノ複合材料中におけるナノ粒子の間隔は、既知の他の研究のものよりも精密に制御され得る。これは、本発明の方法がより制御可能な無機ナノ複合材料構造を生成することを意味する。これは、本発明の方法によって生成された無機ナノ複合材料を組み込む将来の装置の設計の微調整に有用に違いない。
【0021】
本発明の無機ナノ複合材料の一実施形態は、ナノ粒子相と、マトリックス相とを含む。前記ナノ粒子相は反復構造(例えば最密構造)に配列されている。一実施形態において、前記ナノ粒子は、球形または擬球形を有し、かつヒドラジンと非混和性(incompatible)であるナノ粒子を含む。別の実施形態において、前記ナノ粒子は球形も擬球形も有さない。
【0022】
本発明はまた、金属酸化物ナノ粒子と金属酸化物マトリックスとを含有するナノ複合材料の製造も提供する。金属酸化物ナノ粒子、特に透明な導電性酸化物の金属酸化物ナノ粒子の使用は、本発明の適用の範囲を光学材料およびエレクトロクロミック材料を含むように拡張する。金属酸化物マトリックスは、いくつかの場合において、非反応性であり、熱的に安定しており、かつ透明であると考えられ得る。これらは、高温下であっても複合材料のナノ構造体を維持するために用いられ得る。前記酸化物はまた、例えば、複合材料中のナノ粒子間の電子伝達を可能にするように十分に薄いであろう。これは、相変化メモリ材料のようなナノ構造特性を巧みに利用する電子デバイスにとって興味深いものであり得る。これに代わって、付加的な機能(例えば薄膜バッテリーまたはエレクトロクロミックス用)を生み出すために、電気化学的に活性な金属酸化物マトリックスが用いられ得る。重要なことに、本発明によって製造されたナノ複合材料では、規則的な粒子間隔が見られた。これは、そのような用途のために該材料を介した電子輸送およびイオン輸送を制御することにおいて重要であろう。
【0023】
使用
本発明の方法を用いて可能な材料の組み合わせの広い一般性のために、用途は多様である。一例は、銀カルコゲニドおよびゲルマニウムカルコゲニドのナノ複合材料である「抵抗スイッチング」メモリ材料である。これらの材料は、次世代データ記憶装置、不揮発性メモリおよびセレクタスイッチに有望である。本願で用いられるような溶液処理は、該処理がメモリ材料による高アスペクト比の小さな孔の充填を容易にするため、そのような技術にとって特に魅力的であることが示されている。(米国特許出願公開第20080124833号明細書)。このメモリ技術を開発している企業としては、IBMコーポレイション、サムソン他が挙げられる。
【0024】
別の例は、表示装置または検知器(detectors)用のアクティブマトリクスドライバのような大面積電子装置(large area electronics)用トランジスタである(例えばソニー株式会社、パナソニック株式会社など)。溶液処理は、そのような大面積に対して規模の変化に適応し(scales well)、無機ナノ複合材料は、有機被覆ナノ粒子単独から製造されたもののような溶液処理された有機物または無機有機ハイブリッドよりも良好に、かつより確実に機能することができる。熱電材料はナノ構造である場合に最良に機能することが知られており、このアプローチは電力変換性能を高めるように材料選択を組み合わせる際に、これまでにない融通性を提供するであろう。ナノ材料から製造される光電池において、間に規則的なナノスケールの間隔を有する材料を集積することは、多くの場合において有用である。本発明の方法は、n−およびp−(または受容体および供与体)型材料を、ナノスケールの規則性を有して散在させることを可能にする。これは、多くの場合にナノ材料太陽電池用の理想的な幾何学的配置と考えられる、第2の半導体(例えばCuS)のマトリックスで充填された直立に配向されたナノロッド(例えばCdS)を含む。最後の例として、このプロセスを用いて、ナノ構造相変化メモリ材料を形成することができる。相変化材料の薄膜における界面は、それらの特性に影響を及ぼすことが知られており、ナノ複合材料は、相変化特性を形態学的に調整するために高密度の界面を提供する。熱電素子(thermoelectrics)と同様に、熱伝導率はナノ構造化によって低減されるはずである。相変化材料において、これは、熱の印加がより局限化されるので、材料を局所的に溶融するのに必要とされる臨界「リセット」電力(critical “RESET” power)を低減する可能性を有する。
【0025】
金属酸化物ナノ粒子並びにマトリックスからなるナノ複合材料の使用
金属酸化物ナノ粒子並びにマトリックスからなるナノ複合材料は、エレクトロクロミック ウィンドウ コーティングのような用途に有望である。ドープしたSnOのような透明導電性酸化物(TCO)のナノ粒子と、NbおよびWOのようなポリオキソメタラート(polyoxsometallates)とが、エレクトロクロミックデバイスを形成するために別々に用いられてきた。本発明を通じてこれらの2つの構成要素を組み合わせることによって、本発明は、より速いスイッチング時間、より良好な耐久性、およびより高い効率を有する、可視および近赤外(NIR)領域において調整可能なスペクトル感度を有するデバイスを調製することができる。本発明はまた、エレクトロクロミックデバイスにおける用途のために、酸化ニオブマトリックス中に分散されたドープした酸化スズまたは酸化亜鉛ナノ粒子を含有するナノ複合材料を製造するために用いられ得る。
【0026】
本発明の別の用途はコンピューターメモリ用であり得る。具体的には、本発明は相変化メモリデバイス(phase change memory devices)または光学媒体のための構成要素を製造することができる。そのようなメモリは、本発明によって組み合わせられる、ナノ粒子としての金属カルコゲニド相変化材料と、熱的に安定した不動酸化物マトリックスとを用いることができる。そのような組み合わせの利点は、ナノ構造化によるより低い熱伝導率によって、デバイスをリセットするために必要とされる電力(power)が低減され得ることである。これらのデバイスは、動作中、局所的に摂氏数百度に達することがある。したがって、ナノ構造体を安定したマトリックス材料(酸化物)によって安定させることは極めて重要であろう。
【実施例】
【0027】
本発明は、有機配位子の無機カルコゲニドメタラートクラスター(CMC)との集合後置換によって、ナノ結晶集合体の無機ナノ複合材料への変換を提供する。本発明はナノ結晶とCMCとが独立して合成および処理されることを可能にするので、本発明は完全な組成に関するモジュール性(compositional modularity)を与える。重要なことに、配向したナノロッド集合体を含む元のナノ結晶集合体のモルホロジーは、結果として生じたナノ複合材料において維持される。ナノ結晶集合体の変換による無機ナノ複合材料の製造は、目的とする電子技術応用に対する組成のモジュール式の選択を可能にする。
【0028】
実施例1
例えば、トランジスタおよび熱電用途にとって理想的であるPbSeナノ結晶は、本発明によって、最密六方集合体を形成する。前記集合体において、粒子間隔は、図1aおよび図1cに示されるように、最初にオレイン酸配位子コーティングによって規定される。図1a、図1b、図1cおよび図1dは、PbSeナノ結晶超格子からのPbSe−SbSeナノ複合材料の形成を示している。すなわち、図1a、図1b、図1c、および図1dは、PbSeナノ結晶膜のSEM像である。PbSe超格子を無機ナノ複合材料に変換するために、本発明は、PbSe超格子をCMC溶液中に浸漬し、クラスターが有機配位子に置換可能であることを提供する。熱電部品に興味深い組成物を標的として、本発明はPbSe超格子をSb−Se CMC溶液に浸漬し、次いで、超格子を濯いで任意の表在するSb−Seを除去することを提供する。本発明の適用後、図1bおよび図1dにおいて示されるように、ナノ結晶超格子は元の状態を保っており、依然として高解像度走査型電子顕微鏡法(HRSEM)によって容易に観察可能であったが、結果として生じた集合体の組成は、エネルギー分散方式X線分光法(EDS)によって測定して、8〜14%のSbと、<5%のCを含有した。スケールバー112,122,132,142は各々20nmである。
【0029】
類似した複合材料をGe−S CMCを用いて本発明によって調製した。図2aおよび図2bに示されるように、結果として生じた複合材料は、8〜10%のGeと、16〜20%のS(残りは約1:1のPb:Se)の組成を有した。双方の場合において、CMCは、ヒドラジニウムカチオンおよび過剰カルコゲンを排除して、純金属カルコゲニド二次相を与える熱アニール(典型的には180°C)によって架橋される。スケールバー212,222は各々50nmである。挿入図214は、本発明によって生成されたナノ複合材料のHRTEM画像を示しており、スケールバー216は5nmである。
【0030】
本発明によって製造されたPbSe−GeSナノ複合材料膜の元素マッピングは、図3に示されるように、相間離隔の証拠を有さない、均一な組成物を示した。ナノ複合材料の亀裂を介してSiO基材の一部が目に見える。
【0031】
本発明によるナノ複合材料への変換の後、PbSeナノ結晶と粒子間物質との間のTEMコントラストは、図1c、図1d、図2aおよび図2bに示されるように、実質的に低減されており、有機配位子の無機相との置換に一致していた。さらに、ナノ結晶の六方晶秩序(hexagonal ordering)はほとんど維持されたが、中心間距離は〜10.5nmから〜8nmに減少した。
【0032】
タラピン(Talapin)及び他の研究者(コバレンコ(Kovalenko)ら)による最近の報告は、CMCがナノ結晶表面と会合する(associate with)ことを示した。本発明は、このクラスター表面相互作用が集合後変換プロセスを容易にし、かさ高い配位子が小さな有機分子によって置き換えられる場合に観察される(タラピン(Talapin)ら、およびマーフィーら)場合に類似した減少した粒子間隔を生じることを示唆する。その場合におけるように、変換中の収縮は亀裂を誘発し、該亀裂は連続的したナノ複合材料膜を形成するための後の堆積工程において充填され得る。この亀裂は、集合前に、前記配位子を、より短鎖の、例えばブチル鎖の配位子と置換することによって最小限にされ得る。
【0033】
電子顕微鏡法は、本発明によるナノ結晶超格子から無機ナノ複合材料への変換において、局所的な秩序が維持されることを確証したが、本発明によって誘発された全体的なモルホロジー変化を評価するためにアンサンブルアプローチが必要であった。その目的のために、微小角入射X線小角散乱(grazing incidence small angle x−ray scattering(GISAXS))パターンを、試料の〜0.5×25mmの領域からの情報を平均して記録した。
【0034】
図4a、図4bおよび図4cは、PbSe−GeSナノ複合材料からのGISAXSパターンを示している。初期のPbSe超格子は、図4aに示されるように、優れた面内(in−plane)および鉛直方向(vertical)の充填並びに六方晶秩序(hexagonal ordering)を示す、高度にテクスチャを有する(highly textured)散乱パターンを有した。観察されたテクスチャは、先に報告されたテクスチャ(Talapinら)に類似しており、ランダムに配向された超格子ドメインと一致している。Ge−S CMCによる配位子置換の後、三次元秩序は、図4bに示されるように、等方散乱によって証拠づけられるように、最初は乱れていた。しかしながら、アニーリング後には、図4cに示されるように、前記秩序は殆ど回復していた。図4dは、q(水平)軸線に沿ってGISAXSデータのラインカットを得ることによって得られたI(q)対qプロット440(PbSeについて),444(PbSe−GeSについて),448(PbSE−GeSについて)を示している。ピーク442,449は、試料における中心間距離、すなわち、ナノ結晶超格子PbSeでは10.1nmと、ナノ複合材料PbSE−GeSでは7.6nmと、にそれぞれ対応する。二次元平面における反射の存在は、元の集合体に類似した三次元秩序を示唆している。減少した散乱強度は、全無機組成による、より低いコントラストと一致している。
【0035】
PbSe−SbSeナノ複合材料について同様の結果が観察されたが、これらのGISAXSパターンは、図5a、図5b、および図5cに示されるように、規則的な粒子間間隔であるが、減少した三次元秩序を示唆している。図5a、図5bおよび図5cは、付加的な二次元GISAXSパターンを示している。図5dは、q軸線上においてラインカットを得ることによって形成されたI(q)対qプロット540(PbSeについて),544(PbSe−SbSeについて),548(PbSe−SbSeについて)を示している。ピーク542,546,549は、以下の中心間距離、すなわち、PbSe超格子における10.1nm、前駆体複合材料PbSe−SbSeにおける8.3nm、および最終的なナノ複合材料PbSe−SbSeにおける7.7nmにそれぞれ対応する。
【0036】
GISAXSパターンのq(水平)軸線に沿ったラインカットは、図4dおよび図5dに示されるように、面内秩序(in−plane ordering)を示している。平均中心間距離は、最も強い非鏡面反射(off−specular reflection)のq値に基づく、結果として生じたI(q)対qプロットから計算された。平均中心間距離は、変換により、10.1nmから、PbSe−SbSe複合材料では7.6nmに、PbSe−GeS複合材料では7.7nmに減少する。これはTEM観察と一致している。
【0037】
実施例2
最密球体(close−packed spheres)に基づく複合材料は熱電部品にとって魅力的であり、一方、直立に配向されたナノロッド複合材料は効率的な光誘起電荷分離に理想的であり得る。CdSのCuSとのヘテロ接合は光電池にとって新たな関心事である。次に、制御された蒸発によって調製されたCdSナノロッドの直立に配向された集合体の、本発明による、Cu−S CMC(Cu−1)を用いたナノ複合材料への変換(ミリロン(Milliron)およびミツィー(Mitzi)ら、Chem.Mater.18、第587−590頁(2006年);およびミツィー(Mitzi)、Inorg.Chem.46、第926−931頁(2007年))について調査した。
【0038】
図6a、図6b、図6dおよび図6dは、本発明によるCdSナノロッドアレイからのCdS−CuSナノ複合材料の製造を示している。GISAXSは、図6aに示されるように、切頭ブラッグロッド(truncated Bragg rods)によって明示されるような、初期集合体においてナノロッドの直立した配向を確認した。それらの若干の湾曲は、ナノロッドが一定範囲のほぼ直立した配向に整列していることを示した。これはTEMによって確認された。前記TEMでは、図6dに見られるように、領域640のような直立に整列した領域が、六方晶秩序を有して、領域642に見られるような傾斜したナノロッドによって包囲されて見える。
【0039】
整列したナノロッドアレイは、Cu−S CMC溶液中に浸漬し、その後180°Cでアニールすることによって、本発明によるナノ複合材料に変換された。結果として生じたCdS−CuSナノ複合材料のGISAXSパターンは、図6bに示されるように、ナノロッドの中心間距離に対応するq軸線上における反射を含んでいた。これらの切頭ブラッグロッド、および等方的なナノロッドの配向から生じるリングの不在は、直立配向がほとんど保持されたことを示唆した。ブラッグロッドの収縮は、面内秩序(in−plane ordering)の低下、並びにX線散乱コントラストの低下によって引き起こされた可能性がある。
【0040】
図6cは、q(水平)軸線に沿ったGISAXSデータのラインカットを得ることにより得られた、I(q)対qプロット630(CdSについて),634(CdS−CuSについて)を示している。q軸線に沿ったI(q)対qのプロットは、本発明によって生成された複合材料(プロット634によって表わされるような)は、図6cに示されるように、コントラストが非常に低減され、ナノロッド間の平均中心間距離は6.8nmから7.1nmにわずかに増大したことを示している。実施例2は、2つの隣接するナノロッド間の全長に沿った配位子が同時に置換される可能性は低いので、このわずかな増大がナノロッドとナノスフェアとの間の配位子交換プロセスにおける差異を反映することを示唆している。
【0041】
スケールバー644,654は各々20nmである。TEMは、複合材料中のナノロッドは、元の集合体中に見られる直立配向の大部分を保持し、すべて図6eに示されているように、領域652に示されるような表面に対して傾斜したまたは平行なナノロッドによって包囲された、領域650に示されるような直立に整列したナノロッドの小領域を同様に含むことを確認した。本発明によって製造されたナノ複合材料は8〜10%のCuを含有し、ナノロッドと粒子間相との間のTEMコントラストは、ナノスフェア複合材料に類似して、劇的に低下した。
【0042】
実施例3
電子材料(例えばトランジスタ、光電池および熱電装置における)としての無機ナノ複合材料の潜在的な用途に加えて、無機ナノ複合材料はまた、ナノ材料の温度依存特性の調査を容易にすることもできる。本発明によって製造されたPbSeに基づくナノ複合材料の熱的安定性をX線回折(XRD)によって確認した。図7aおよび図7bは、本発明によって生成されたナノ複合材料についてのX線回折観察を示している。
【0043】
図7aに見られるように、ナノ結晶の岩塩結晶構造は、本発明によるPbSe−SbSeおよびPbSe−GeS複合材料への変換後において維持された。(200)反射の幅から結晶子サイズを計算するためにシェレル式を用いて、7nmの元のナノ結晶サイズは、アニールした複合材料において概ね維持された(6.6nm)ことが分かった。対照的に、200の°Cでアニールされた有機配位子キャップドPbSeナノ結晶(ligand−capped PbSe nanocrystals)の膜は有意に焼結し、14nmの結晶子を生じた。PbSeナノ結晶の岩塩形構造および結晶子サイズ(プロット710によって表示)は、本発明によって、SbSe(プロット712によって表示)およびGeS(プロット714によって表示)マトリックスを備えた複合材料の形成の際に維持された。無機マトリックスが存在しない状態では、ナノ結晶は加熱によって焼結し、より大きな結晶子(プロット716によって表示)をもたらした。PbSe−SbSe複合材料(星印)中の斜方晶SbSeから、最も強く広いピークのみが認識できる。ピークは、JCPDSファイルに従って、PbSeについては01−078−1903、SbSeについては00−015−0861に割り当てられた。したがって、ナノ結晶のまわりにおける無機マトリックスの存在(本発明の適用の結果)は、複合材料(本発明によって製造された)中のナノ結晶を焼結から保護した。
【0044】
この特性は、熱サイクル中に粒子サイズが維持され得るので、サイズ依存特性の検討を容易にすることができる。例えば、GeSマトリックス内に含有されるAgSナノ結晶は、図7bに示されるように、本発明によって、焼結することなく、超立方晶相へ相転移し、再び元に戻ることによって、250°Cにサイクルをかけられ得る。図7bは、AgS−GeSナノ複合材料中のAgSナノ結晶が、どのように、本発明によって、焼結することなく室温における単斜晶(プロット720によって表示)から250°Cにおける立方晶(プロット722によって表示)への超イオン相転移を受け、冷却によって元に戻る(プロット724によって表示)か、を示している。ピークは、JCPDSファイルに従って、00−014−0072(単斜晶)および01−076−0134(立方体)AgSに割り当てられた。AgIの〜10nm粒子について、最近、類似した相転移のヒステリシスが室温において超イオン相を安定させることが示された(マキウラ、アール.(Makiura, R.)ら、Nature Mater.8、第476〜480頁(2009年))。本発明によって電気化学的に活性な粒子を複合材料に組み込むことは、次世代電池電極におけるそのような寸法効果を利用するための道筋を提示し得る。
【0045】
実施例4
本発明によって形成されたPSe−GeS複合材料を用いて電界効果トランジスター(FET)を形成した。図8aおよび図8bには、双方とも本発明によって生成された純PbSeナノ粒子膜およびPbSe−GeS複合材料について、ゲート電圧(Vg)の調節によって得られた典型的な電流−電圧(I−V)曲線がそれぞれ示されている。
【0046】
図8aは、本発明によってエタノールで処理されたPbSeナノ結晶アレイから製造されたFETについてのI−V曲線を示している。曲線810,812,814,816,818は、それぞれ、以下のVgの値、すなわち、−40V、−20V、0V、20V、および40Vである。
【0047】
図8bは、本発明によって製造されたPbSe−GeSナノ複合材料から製造されたFETについてのI−V曲線を示している。曲線820,822,824,826,828は、それぞれ、以下のVgの値、すなわち、−40V、−20V、0V、20V、および40Vである。
【0048】
図8aに示されるように、エタノール処理PbSeナノ結晶アレイは、バックゲートに異なるゲート電圧を印加することによって電流が概ね一桁分調節されると、p型半導体挙動を示した。対照的に、図8bに示されるように、PbSe−GeSナノ複合材料は、増大した導電性およびn型挙動を示し、それにより、本発明によって高導電性電子材料を生成することができ、それらの電子特性の基本的性質は、本発明によって形成されたナノ複合材料構造および組成物によって大きく調節されたことが示された。
【0049】
付加的な実施例
本発明を用いて以下の材料の組み合わせ(ナノ粒子−マトリックス):AgTe−GeS、AgTe−GeSe、AgTe−InSe、AgS−GeSe、SnTe−GeS、CdS−GeS、CdS−SbSe、CdSe−CuS、PbSe−SnS、PbSe−CuS、PbSe−InSeも製造した。各場合において、まず、本発明によってナノ粒子を溶液から基材上に堆積させて超格子(またはCdSもしくはCdSeナノロッドの場合には直立配向アレイ)を形成した。次に、その超格子膜を、本発明に従って、エタノールアミン、DMSO、ヒドラジンまたはそれらの混合物のような適切な溶媒中のカルコゲニドメタラートクラスター(CMC)の溶液中に浸漬した。CMCは、ナノ粒子表面上の有機配位子と置き換わって、マトリックス相に対する前駆体として作用した。30〜40分間の浸漬後、本発明に従って、前記試料をペーパータオル上に置いて過剰な前駆体溶液を除去し、次いでエタノールアミンおよびエタノールで連続的に濯いだ。挿入されたCMCを架橋したマトリックスに変換するために、本発明に従って、前記試料を100°Cのホットプレート上に3分間にわたって配置し、適切な温度で、典型的には180°C前後で、20分間にわたってさらに加熱した。次に、ナノ複合材料試料をSEM、TEMおよびX線回折によって特性付けた。
【0050】
方法
本発明の詳細を下記にさらに述べる。すなわち、ナノ結晶の合成、CMCの合成、ナノ複合材料の調製、ナノ複合材料の特性付けおよび結晶子サイズの計算について詳述する。
【0051】
ナノ結晶合成
7nm±0.4nmの平均サイズおよび2165nmにおける第1吸収特性を備えたPbSeナノ結晶を、ステッケル(Steckel)ら、J.Am.Chem.Soc.128、第13032〜13033頁(2006年)、およびユー(Yu)ら、Chem.Mater.16、第3318〜3322頁(2004年)によって教示されたものからの変法を用いて、PbOおよびTOP−Seから合成した。直径が約4±0.4nmで、かつ長さが約35±4nmのCdSナノロッドを、ペン(Peng)ら、J.Am.Chem.Soc.123、第183〜184頁(2001年)によって教示された手順に従って、CdOおよびTOP−Sから合成した。直径約8nmのAgSナノ結晶を、ワン(Wang)ら、J.Am.Chem.Soc.130、第4016〜4022頁(2008年)によって教示された変法を用いて、Agナノ結晶のスルフィド化によって合成した。
【0052】
7±0.4nmの平均サイズおよび2165nmにおける第1吸収特性を備えたセレン化鉛ナノ結晶を、標準的な無空気手順(air−free procedures)(ステッケル(Steckel)ら、およびユー(Yu)ら)によって合成した。簡潔に述べると、0.892gのPbO(99.999%)と、2.825gのオレイン酸(90%)と、20mLの1−オクタデセン(90%)とを、窒素流下の三つ口フラスコ内において、170°Cに30分間にわたって加熱した。次に、8mLの1M TOPSe(グローブボックス内でSeをTOP中に溶解することにより調製)を180°Cで速やかに注入した。その反応を158°Cで3分間にわたって維持し、次いで、反応フラスコを水浴中に浸漬することによってクエンチした。無水ヘキサンおよび無水アセトンを用いて、ナノ結晶を2回沈澱させ、0.2μmフィルタを通過させて、ヘキサン中に分散させ、さらに使用するまで不活性雰囲気内で保管した。
【0053】
硫化カドミウムナノロッドを下記手順(ペン(Peng)ら)に従って合成した。アルゴン雰囲気下の三つ口フラスコ中において、酸化カドミウム(207mg、1.6mmol)、n−オクタデシルホスホン酸(1.08g、3.2mmol)、およびトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(2.75g、7mmol)を脱気し、次に、300°Cに加熱して無色の溶液を得た。そのフラスコを120°Cの真空下に1時間にわたって置き、次いで325°Cに再加熱した。トリオクチルホスフィン(2g)を注入し、その後トリオクチルホスフィン中に溶解させた硫黄(1.3g、モル比1:1)を急速注入した。温度を310°Cに低下させて、45分間にわたって成長を維持した。この時点で、加熱マントルを除去して、試料を自然に冷ました。80°Cで無水トルエンを注入し、溶液全体をガラス瓶に移した(無空気)。前記溶液を4,000rpmで30分間にわたって遠心分離し、その沈澱物を、少量のオクチルアミンおよび/またはノナン酸を含有するトルエンまたはヘキサン中に再分散させた。そのナノロッドを、イソプロピルアルコールまたはアセトン中で沈殿させ、4000rpmで遠心分離し、続いてその沈澱物をトルエン/オクチルアミン混合物中に再分散させることによってさらに精製した。前記ナノロッドは、典型的には直径4nmおよび長さ35nmであり、双方の寸法において10〜12%の多分散性(polydispersity)を有した。
【0054】
硫化銀ナノ結晶を、ワン(Wang)らによって教示された別法を用いて、Agナノ結晶のスルフィド化によって合成した。340mgのAgNO(99.999%、2mmol)を6gの1−オクタデシルアミン(98%)に添加し、窒素雰囲気下で160°Cに加熱した。その反応物を160°Cで2分間にわたって撹拌し、褐色の溶液を得て、さらに32mgのS(1mmol)を添加した。反応物は直ちに黒色になった。160°Cで5分間にわたってさらに撹拌した後、その反応物を〜100°Cに冷却して、7mLのトルエンを添加した。35mLの無水エタノール中で沈殿させ、トルエン中に再分散させることによって、ナノ結晶を精製した。
【0055】
CMC合成
簡潔に述べると、CMCは、窒素雰囲気グローブボックス内において、室温で、過剰カルコゲンの存在下において、無水ヒドラジン中に金属カルコゲニドを溶解させることによって調製した。ヒドラジンは使用前に窒素下で蒸留した。ヒドラジンは非常に有毒であるので、吸入または皮膚を介した吸収による曝露を防止するために細心の注意を払って扱った。
【0056】
Ge−S CMCは、1mmol(106.45mg)のGeSを1mLのヒドラジン中で2mmol(64mg)のSと混合することにより合成した。結果として生じた無色溶液をろ過してあらゆる不溶固形物を除去し、窒素流下で乾燥させると、白い結晶性粉末を生じた。同様の方法(ミツィー(Mitzi)、Inorg.Chem.44、第3755−3761頁(2005年))で調製された、先に報告されたGe−Se CMCとの類推によって、この化合物は化学式(N(NGeを有するものと考えられた。この化合物を、配位子交換のための使用前に、最高67mg/mLの濃度でエタノールアミン中に溶解させた。
【0057】
Sb−SeおよびCu−S CMCは、先に報告された手順(ミリロン(Milliron)およびミツィー(Mitzi)ら;並びにミリロンおよびロー(Raoux)ら、Nature Mater.6、第352−356頁(2007年))によって調製した。配位子交換について、Sb−Se CMCの溶液を、エタノールアミン(20mg/mL)またはエタノールアミン−DMSO混合物(15mg/mL)中で調製した。Cu−S CMCを、ヒドラジン(20mg/mL)またはエタノールアミン(〜10mg/mL)中で1当量の硫黄とともに1〜2時間にわたって撹拌することによって、配位子交換のために再溶解させた。
【0058】
分子CMCは、窒素雰囲気グローブボックス内において、室温で、金属カルコゲニドを、過剰カルコゲンの存在下で、無水ヒドラジン中に溶解させることによって調製した(ミリロン(Milliron)およびミツィー(Mitzi)ら;ミツィー(Mitzi)、Inorgan.Chem.46;ミツィー(Mitzi)、Inorg.Chem.44;並びにミリロン(Milliron)およびロー(Raoux)ら)。Ge−S CMCは、1mmol(106.45mg)のGeSを、新たに蒸留した1mLのヒドラジン中で、2mmol(64mg)のSと混合し、1週間にわたって撹拌することによって合成した。結果として生じた無色溶液を0.2μmフィルタを通してろ過して、あらゆる不溶固形物を除去し、窒素流下で乾燥させると、予想化学式(N(NGeを有する白い結晶性粉末を生じた。この化合物を、配位子交換での使用前に、最大67mg/mLの濃度でエタノールアミン中に溶解させた。
【0059】
Sb−Se CMCは、4mLの新たに蒸留したヒドラジン中で、1mmol(480mg)のSbSeと、2mmol(158mg)のSeとを混合し、3日間撹拌することによって調製した。その赤みがかった溶液をろ過し、窒素流下で乾燥させると、暗赤色の粉末を生じた。エタノールアミン(20mg/mL)またはエタノールアミン−DMSO混合物(〜15mg/mL)中におけるこの前駆体の溶液を配位子交換に用いた。
【0060】
Cu−S CMCは、1mLの新たに蒸留したヒドラジン中で、1mmol(159mg)のCuSを2mmolのS(64mg)と撹拌することによって合成した。形成された黄色溶液をろ過して窒素下で乾燥させると、化学組成NCuを有する暗い結晶性粉末を生じた。この前駆体を、ヒドラジン(20mg/mL)またはエタノールアミン(〜10mg/mL)中で1当量の硫黄とともに1〜2時間にわたって撹拌することによって再溶解させた。
【0061】
ナノ複合材料の調製
試料の調製はすべて窒素雰囲気グローブボックス内において行なった。まず、PbSeまたはAgSのナノ結晶膜を、ヘキサン−オクタン(4:1〜10:1)混合物からの滴下キャスティングまたはスピンコーティングによって、自然酸化物層(native oxide layer)を含むSiウェーハ上に堆積した。TEMについては、希薄ナノ結晶分散液からSiウェーハによって支持されたSiウィンドウ上に滴下キャスティングすることによって試料を調製した。次に、前記膜をGe−SまたはSb−Se CMC溶液中に20〜40分間にわたって配置して、配位子交換を行った。
【0062】
次に、まず前記試料をエタノールアミンで濯いで、ナノ結晶表面に結合していない過剰なCMCを除去し、その後、エタノールで濯いで吸着したエタノールアミンおよび任意の残存する有機配位子を除去した。次に、前記試料を、真空下または100°Cでの穏やかな加熱によって3分間にわたって乾燥させた。前駆体の分解は、180〜200°Cで20分間にわたってアニールすることによって行なった。GISAXS試料については、前記プロセスを2回繰り返して、配位子交換およびアニーリングの間に前記膜に形成された亀裂を充填し、また変換中に基材から外れたナノ結晶を補充した。
【0063】
直立に配向されたCdSナノロッドアレイは、他者によって開発された手順に従って、Si基材上における、加熱されたオクタンまたは四塩化エチレン中ナノロッド溶液の乾燥速度を制御することによって形成した。典型的な条件は、四塩化エチレン中に溶解された35nmのCdSナノロッドによる55°Cの溶液温度が含まれた。TEM試料については、Siウェーハによって支持されたSiウィンドウを基材として用いた。次に、ナノロッドアレイを20mg/mLのCu−S CMCのヒドラジン溶液中に20分間にわたって浸漬した。これに代わって、前記ナノロッド膜を10mg/mLのエタノールアミン中のCMCの溶液中に40分間にわたって浸漬してもよい。次に、前記試料を、ヒドラジンおよびエタノールで連続的に濯いで、100°Cの穏やかな加熱によって3分間にわたって乾燥させた。前駆体をCuSに変換するために、前記試料を180°Cで15分間にわたってアニールした。
【0064】
ナノ複合材料の特性付け
TEMは、ガタン インコーポレイテッド(Gatan,Inc.)のカメラを装備したLaBフィラメントを有する日本電子株式会社(JEOL Ltd.)JEOL−2100 200kV顕微鏡において行なわれた。EDSにはガタン インコーポレイテッドのトリディエム(Tridiem)分光計を用いた。SEM画像化は、カール ツァイスのSMTジェミニ ウルトラ−55分析走査電子顕微鏡(Carl Zeiss SMT Gemini Ultra−55 Analytical Scanning Electron Microscope)上で、2〜10kVのビームエネルギーおよびイン−レンズ検出器(In−Lens detector)を用いて行なった。内蔵型アメテック インコーポレイテッド EDAX検出器(inbuilt AMETEK Inc.EDAX detector)を試料の元素分析およびマッピングに用いた。XRDは、40kVおよび20mAで作動するCu−Κα源を備えたブルカー AXSガッドス−8 X線回折計(Bruker AXS Gadds−8 x−ray diffractometer)上で行なった。GISAXS測定は、〜0.5mm幅及び10keVのX線ビームを用いて、ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)のアドバンスト ライト ソース(Advanced Light Source)において、ビームライン7.3.3で行なった。エリア ディテクタ システム コーポレイション クァンタム4R検出器(Area Detector System Corporation (ADSC) Quantum 4R detector)を用い、また、画像処理は、ウェーブメトリクス イーゴリープロ(WaveMetrics Igor−Pro)において、SASインスティチュート インコーポレテッド 2D プログラム(SAS Institute Inc.2D program)を用いて行った。
【0065】
結晶子サイズの計算
複合材料および焼結試料におけるPbSe結晶のサイズは、デバイ−シェラー式:τ=kλ/βcosθを用いることにより計算した。前記式中、kは形状因子であり、λは使用したX線波長であり、βは結晶サイズに起因するラインブロードニング(線広がり)であり、θは計算に用いられたピークに対応するブラッグ角である。2θ=29.16°における参照符号200の反射をこの計算に用いた。前記ラインブロードニングはβ=(wexp−winst)1/2の関係を用いて計算した。前記式中、wexpはその試料について実験的に測定された半値全幅(FWHM)であり、winstは機器因子(instrumental factors)によるブロードニングを考慮するために、較正試料から測定されたFWHM値である。winstの測定のためにコランダム標準試料(NIST 1964)を用いた。
【0066】
βの値は、初期PbSeナノ結晶では0.0185rad、PbSe−GeS複合材料については0.019rad、PbSe−SbSe複合材料については0.023rad、および焼結膜については0.0092radであることが判明した。初期ナノ結晶は、単結晶であると思われ、7nmの結晶子サイズを与えるHRTEM観察と一致する。結晶子サイズはPbSe−GeS複合材料については6.6nm、PbSe−SbSe複合材料については5.7nmと算出された。加熱PbSe膜については、結晶子サイズは14.1nmであった。
【0067】
酸化物系無機ナノ複合材料
最初に、構成物質、ナノ粒子、およびマトリックスの前駆体を別々に合成した。金属酸化物マトリックスについては、ポリオキソメタラートクラスター(polyoxsometallate clusters (POMs))(Yamase、T.;Chem.Rev.1998、第98巻、第307頁に記載されているような)を前駆体材料として用いた。金属酸化物ケージ(metal oxide cage)および関連する対イオン(典型的にはテトラアルキルアンモニウム)を含有するこれらのクラスターは、一般に非常に水溶性である。ポリオキソニオベートクラスター(polyoxoniobate clusters)のような多く場合において、様々なサイズの金属酸化物ケージが合成され得る。更に、用いられる対イオン(アンモニウム、ヒドラジニウム、テトラメチルアンモニウム)によって、POMクラスターの外形寸法は大幅に変えられ得る。
【0068】
ナノ複合材料の調製については、まず溶液からコロイド状ナノ粒子を膜または固体の形で堆積させる。ここで、1種類以上のナノ粒子を含有する集合体(超格子)の形成の後、前記コロイド状ナノ粒子の間隔はそれらの表面を被覆する有機配位子の単層によって制御される。これらの集合体は、部分的にナノ粒子表面上の有機配位子の存在によって媒介された。
【0069】
次の工程において、前記有機配位子は、POMクラスターの溶液中にナノ粒子膜を浸漬することによって、POMクラスターと置換された。POMに対して選択した溶媒は、ナノ粒子集合体を破壊しないが、置き換えられた有機配位子の若干の溶解性を可能にする比率の水とエタノールとの混合物であった。水およびエタノールで濯いだ後、次に、前記膜を任意で熱アニールして、前記POMを分解して、連続した金属酸化物マトリックス相を形成した。
【0070】
ナノ粒子相とマトリックス相との別個の合成および処理は、ナノ複合材料の組成を選択する際に融通性を可能にした。マトリックス相を形成するためにPOMを用いることの付加的な利点は、上記で述べたように、異なるサイズのクラスターを利用可能であることに起因する。例えば、ポリオキソニオベートはヘキサニオベート[(Nb198−]またはデカニオベート[(Nb10286−]クラスターとして合成され得る。さらに、アンモニウム、ヒドラジニウム、テトラメチルアンモニウム(またはより大きいもの)のような異なるサイズの対イオンを用いることができる。したがって、ナノ複合材料における最終的な粒子間間隔は、用いられるPOMクラスターサイズに応じて制御され得る。粒子間間隔を制御するこの能力は、ナノ粒子における輸送特性の微調整、並びにこれらのナノ複合材料を用いて製造されるデバイスのスペクトル応答の調整を可能にし得る。
【0071】
POMクラスター中の対イオンの大きな体積分率により、前記ナノ複合材料は、熱分解の際に実質的な体積変化を受けた。この収縮によって膜に形成された微小亀裂は、米国特許第6,712,999号明細書に見られるものに類似して、エレクトロクロミックデバイスの作動に有用であり得る。ナノ複合材料膜の亀裂内への液体電解質の拡散は、良好な電子輸送およびイオン輸送を可能にし、それによってデバイスの効率的な作動を可能にし得る。亀裂が望ましくない場合においては(例えばメモリ素子については)、ナノ粒子の堆積およびナノ複合材料への再変換(conversion again)の繰り返しを用いて、そのような亀裂を優先的に充填することができる(毛管力によって駆動)。
【0072】
結論
要約すると、本発明は、直立して整列されたナノロッドアレイを含むナノ結晶集合体の変換によって、モジュール型無機ナノ複合材料(modular inorganic nanocomposites)を製造するために、材料に対して汎用的な経路(materials−general route)を提供する。集合体の形成工程と複合材料の形成工程とを分離することによって、本発明は、形態制御、並びに組成制御を可能にする。本発明は、ナノ複合材料特性の調査および最適化の融通性を非常に高め、かつ良好に制御された、化学的および形態学的に調整可能な全無機ナノ複合材料(all−inorganic nanocomposites)から利益を得ることができる用途のための材料の開発を可能にすることができる。
【0073】
本願および添付された特許請求の範囲においては、単数形「a」「and」および「the」は、文脈が明らかに他に規定していない限り、複数の指示対象を含む。
本発明の前述の詳細な説明は例証のために提供されるものであり、網羅的なものである、または本発明を開示された実施形態および実施例に限定するようには意図されない。従って、本発明の範囲は添付する特許請求の範囲によって定められる。
【0074】
参考文献
【0075】
【表1】



【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機ナノ複合材料であって、
反復構造に配列されたナノ粒子を含むナノ粒子相であって、前記ナノ粒子は、
球形または擬球形を有し、かつヒドラジンと非混和性であるナノ粒子と、
球形も擬球形も有さないナノ粒子と、
のうちから選択される、ナノ粒子相と、
前記ナノ粒子相のナノ粒子間に位置するマトリックス相と
からなる、無機ナノ複合材料。
【請求項2】
前記反復構造は最密構造である、請求項1に記載の無機ナノ複合材料。
【請求項3】
前記最密構造のナノ粒子は、球形または擬球形を有する特定のナノ粒子を含む、請求項2に記載の無機ナノ複合材料。
【請求項4】
前記最密構造のナノ粒子は、ナノロッド、ナノワイヤおよびテトラポッドからなる群より選択された、整列したナノ粒子である、請求項2に記載の無機ナノ複合材料。
【請求項5】
前記ナノ粒子は、少なくとも1種の金属カルコゲンを含む、請求項1に記載の無機ナノ複合材料。
【請求項6】
前記金属カルコゲンの金属はPb、Ag、SnおよびCdからなる群より選択される、請求項5に記載の無機ナノ複合材料。
【請求項7】
前記無機ナノ複合材料に付着した基材をさらに含む、請求項1に記載の無機ナノ複合材料。
【請求項8】
無機ナノ複合材料を製造する方法であって、該方法は、
基材上にナノ粒子超格子を形成する工程であって、前記ナノ粒子超格子はナノ粒子を含むとともに前記ナノ粒子の各々はそのナノ粒子の表面に付着した有機配位子を有する前記工程と、
無機前駆体を含有する溶液を形成する工程と、
前記ナノ粒子超格子を、前記無機前駆体が前記有機配位子と置き換わるのに十分な時間にわたって前記溶液中に配置する工程と、
を含み、
前記有機配位子は前記ナノ粒子超格子内において隣接するナノ粒子同士を分離する、方法。
【請求項9】
前記ナノ粒子超格子は最密構造を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記最密構造のナノ粒子は、球形または擬球形を有する特定のナノ粒子を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記最密構造のナノ粒子は、ナノロッド、ナノワイヤおよびテトラポッドからなる群より選択された整列したナノ粒子である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記溶液からナノ粒子超格子を取り出す工程と、
前記超格子を濯いで、溶媒、有機物質および過剰な無機前駆体を除去する工程と、をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ粒子超格子を加熱して、無機前駆体を無機ナノ複合材料のマトリックス相に変換する工程をさらに含み、前記ナノ粒子超格子は、無機ナノ複合材料のナノ粒子相を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記無機前駆体はカルコゲニドメタラートクラスターを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記無機前駆体は少なくとも1種のゾルーゲル前駆体を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノ粒子は少なくとも1種の金属カルコゲンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記金属カルコゲンの金属は、Pb、Ag、SnおよびCdからなる群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子は少なくとも1種の金属酸化物を含む、請求項1に記載の無機ナノ複合材料。
【請求項19】
前記無機前駆体はポリオキソメタラート(polyoxomtallate)クラスターを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ粒子は少なくとも1種の金属酸化物を含む、請求項8に記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2013−512834(P2013−512834A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534376(P2012−534376)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/052739
【国際公開番号】WO2011/047198
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(500210903)ザ、リージェンツ、オブ、ザ、ユニバーシティ、オブ、カリフォルニア (31)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CALIFORNIA