説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーションサーバ、ナビゲーションプログラム、及びナビゲーション端末

【課題】渋滞の解消を促すことができるようにする。
【解決手段】移動体(例えば、車両)の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムと、報知システムに対して推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供する推奨移動速度情報提供サーバ(例えば、管理サーバ10)とを備えたナビゲーションシステム100において、推奨移動速度情報提供サーバが、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報DB11を備え、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得し、取得した渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出し、導出した渋滞解消速度情報を、推奨移動速度情報として報知システムに送信し、報知システムが、受信した渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を推奨移動速度として運転手に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムと、報知システムに対して推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供する推奨移動速度情報提供サーバとを備えたナビゲーションシステム、移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムに推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供するナビゲーションサーバ、およびナビゲーション端末に動作制御させるためのナビゲーションプログラム、およびナビゲーション端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両や人間などの移動体の目的地への到達を支援するためのシステムとして、ナビゲーションシステムが知られている。このナビゲーションシステムは、例えば、ナビゲーションサーバが、GPS(Global Positioning System)によって移動体の現在位置を導出し、この移動体の現在位置情報と道路地図情報とを基に経路探索処理によって推奨移動経路を求め、移動体に取り付けられたナビゲーション端末に対して各種情報を提供することにより、推奨移動経路に基づく移動経路の自動案内(以下、「経路誘導」という。)を行う。
【0003】
このようなナビゲーションシステムには、渋滞している場所(以下、「渋滞位置」という。)を回避するように経路誘導を行おうとするものなど、渋滞に対する対策を考慮したものもがある。
【0004】
このようなナビゲーションシステムには、例えば、ネットワークナビセンタが自動車に搭載された移動体通信機器から目的地に関する道路情報を受信し、道路情報に基づいて目的地に関する渋滞予測情報を含む交通情報を検索して移動体通信機器に送信し、移動体通信機器のディスプレイ上に、渋滞予測情報に基づいて設定された目的地までの経路を表示する構成とすることで、現在位置より離れた地点における到着時の将来の交通情報を利用して目的地までの所要時間を算出しようとするものもある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−232727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のナビゲーションシステムは、渋滞を解消するために直接的には機能していないという問題があった。すなわち、渋滞情報を利用した経路誘導により、移動対の運転手が渋滞位置を避けて移動することで結果的に渋滞が解消されることはあっても、ナビゲーションシステムによる経路誘導によって運転手が意識的に渋滞の解消に貢献するように移動体の運転を行うこととなることはないという問題があった。
【0007】
より具体的には、ナビゲーションシステムにより進行方向に渋滞が発生していることを認識した運転手は、移動速度を落とすことにより渋滞が解消したころに渋滞地点へ到達するようにすることで渋滞の拡大を防ぐことを期待できるのに、心理的にどうしても急いでしまうため、渋滞が解消しないうちに渋滞位置に到着してしまい、渋滞の拡大を促してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題を解決すべく、渋滞の解消を促すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のナビゲーションシステムは、移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムと、該報知システムに対して前記推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供する推奨移動速度情報提供サーバとを備えたナビゲーションシステムであって、前記推奨移動速度情報提供サーバは、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報記憶手段と、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、前記渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出手段と、該渋滞解消速度情報導出手段により導出された渋滞解消速度情報を、前記推奨移動速度情報として前記報知システムに送信する渋滞解消速度情報送信手段とを含み、前記報知システムは、前記渋滞解消速度情報送信手段により送信された渋滞解消速度情報を受信する渋滞解消速度情報受信手段と、該渋滞解消速度情報受信手段により受信された渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を前記推奨移動速度として前記運転手に報知する報知手段とを含むことを特徴とする。
【0010】
上記の構成としたことで、渋滞の解消を促すことができるようになる。
【0011】
前記報知システムは、前記移動体に備えられたナビゲーション端末を含み、該ナビゲーション端末は、前記移動体の現在位置を特定する現在位置特定手段と、前記渋滞解消速度情報受信手段により受信された渋滞解消速度情報に基づいて、前記現在位置特定手段により特定された現在位置に応じた渋滞解消速度を特定する渋滞解消速度特定手段とを有し、前記報知手段は、前記渋滞解消速度特定手段により特定された渋滞解消速度を前記推奨移動速度として当該ナビゲーション端末が備える出力装置により出力する構成とされていてもよい。
【0012】
前記渋滞解消速度情報は、渋滞の長さと、渋滞位置後方の混雑度と、渋滞位置までの距離に応じた推奨移動速度とを含み、前記渋滞情報は、渋滞の進行方向と、所定の距離毎の渋滞位置後方の混雑度とを含み、前記渋滞解消速度情報導出手段は、前記渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報の中から、前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に対応する渋滞解消速度情報を検索することにより、当該渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する構成とされていてもよい。
【0013】
また、本発明のナビゲーションサーバは、移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムに前記推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供するナビゲーションサーバであって、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報記憶手段と、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、前記渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出手段と、該渋滞解消速度情報導出手段により導出された渋滞解消速度情報を、前記推奨移動速度情報として前記報知システムに送信する渋滞解消速度情報送信手段とを含むことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明のナビゲーションプログラムは、移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムと、該報知システムに対して前記推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供する推奨移動速度情報提供サーバとを備えたナビゲーションシステムに動作制御させるためのナビゲーションプログラムであって、前記推奨移動速度情報提供サーバに、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得処理と、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、前記渋滞情報取得処理にて取得された渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出処理と、該渋滞解消速度情報導出処理にて導出された渋滞解消速度情報を、前記推奨移動速度情報として前記報知システムに送信する渋滞解消速度情報送信処理とを実行させ、前記報知システムに、前記渋滞解消速度情報送信処理にて送信された渋滞解消速度情報を受信する渋滞解消速度情報受信処理と、該渋滞解消速度情報受信処理にて受信された渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を前記推奨移動速度として前記運転手に報知する報知処理とを実行させるためのものである。
【0015】
さらに、本発明のナビゲーション端末は、移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知するナビゲーション端末であって、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報記憶手段と、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、前記渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出手段と、該渋滞解消速度情報導出手段により導出された渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を前記推奨移動速度として前記運転手に報知する報知手段とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、渋滞の解消を促すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ナビゲーションシステムの構成の例を示すブロック図である。
【図2】渋滞解消速度情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図3】ナビゲーション処理の例を示すフローチャートである。
【図4】道路リンク‐VICSリンク対応テーブル
【図5】推奨移動速度報知画面の例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステム100の構成の例を示すブロック図である。図1に示すように、ナビゲーションシステム100は、管理サーバ10と、複数のナビゲーション端末31〜3N(Nは任意の正の整数。)とを含む。管理サーバ10、および複数のナビゲーション端末31〜3Nは、それぞれ、例えばインターネットなどの通信ネットワーク50により接続されている。なお、図1では、管理サーバ10が1つの場合を示しているが、ナビゲーションシステム100は、例えば複数の管理サーバ10を含んでいてもよい。
【0020】
複数のナビゲーション端末31〜3Nは、例えばナビゲーションシステム100を利用するユーザによって管理される端末装置であり、例えば携帯電話端末、PDA、モバイルタイプのパーソナルコンピュータ、PND(Portable Navigation Device)や専用デバイスなどの情報処理装置によって構成される。複数のナビゲーション端末31〜3Nそれぞれは、車両の現在位置を特定する機能や、通信ネットワーク50に接続し、管理サーバ10と情報の送受信を行う機能や、管理サーバ10から取得した各種情報を表示画面に表示したり音声通知したりすることによりユーザに報知するための機能や、種々の情報に基づいて推奨移動経路を案内する機能など、一般的な各種の機能を有する。以下、移動体(例えば、車両)に取り付けられたナビゲーション端末31を例にして説明を行う。
【0021】
管理サーバ10は、例えばナビゲーションシステム100のシステム管理者によって管理されるサーバであり、例えばWWWサーバなどの情報処理装置によって構成される。
【0022】
また、本例における管理サーバ10は、渋滞解消速度情報DB(データベース)11含む各種のDBを備える。そして、管理サーバ10は、各DBに記憶された各種の情報を管理し、複数のナビゲーション端末31〜3Nそれぞれからの情報提供要求に応じて各DBに記憶された情報を検索し、適当な情報を複数のナビゲーション端末31〜3Nそれぞれに提供するための各種の機能を有する。なお、複数のナビゲーション端末31〜3Nそれぞれに対して情報を提供する方法としては、通信ネットワーク50および基地局(図示せず。)を介した通信や、複数のナビゲーション端末31〜3Nそれぞれに装着可能なメモリカードやUSBメモリなどの携帯型メモリに情報を記憶させる方法などが考えられる。
【0023】
また、本例においては、管理サーバ10は、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得処理と、後述する渋滞解消速度情報DB11に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて渋滞情報取得処理により取得し渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出処理と、渋滞解消速度情報導出処理にて導出した渋滞解消速度情報を推奨移動速度情報として所定の報知システム(本例においては、ナビゲーション端末31)に送信する渋滞解消速度情報送信処理とを実行するための機能を有する。
【0024】
渋滞解消速度情報DB11は、渋滞解消速度情報を記憶するための記憶媒体である。ここで、本例において「渋滞解消速度情報」とは、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す情報である。
【0025】
図2は、渋滞解消速度情報DB11における渋滞解消速度情報の格納状態の例を示す説明図である。図2に示すように、本例における渋滞解消速度情報は、渋滞の長さと、渋滞位置後方の混雑度と、渋滞位置までの距離に応じた推奨移動速度(渋滞解消速度)とを含む。
【0026】
ここで、「渋滞位置後方の混雑度」とは、渋滞の進行方向(すなわち、渋滞を構成する各車両が進む方向)に対して後方に位置する道路の混雑度を示すものである。本例においては、車両の混雑度を、渋滞位置(渋滞の最後尾)からの距離範囲毎の車両の台数により示す場合について説明する。
【0027】
また、「渋滞位置までの距離に応じた推奨速度」とは、渋滞位置(例えば、渋滞位置の最後尾)までの距離毎に、渋滞を解消させるために推奨される移動速度(以下、適宜「渋滞解消速度」という。)である。
【0028】
渋滞解消速度は、渋滞の長さ毎に、統計情報や、シミュレーション結果に基づいて設定されるものとする。なお、渋滞解消速度情報は、例えば、渋滞の位置や時期、時間帯毎に設定される構成としてもよい。さらに、渋滞解消速度は、渋滞解消実績などを蓄積して、適宜更新される構成とすることが好ましい。
【0029】
次に、本発明のナビゲーションシステム100の動作について図を参照して説明する。なお、本発明に特に係わらない処理については、その詳細な説明を省略している場合がある。
【0030】
図3は、ナビゲーションシステム100の管理サーバ10とナビゲーション端末31とが実行するナビゲーション処理の例を示すフローチャートである。ナビゲーション処理では、推奨移動速度(本例においては、ナビゲーション端末31の位置に応じた渋滞解消速度)の報知を開始することをナビゲーション端末31のユーザ(すなわち、ナビゲーション端末31が取り付けられた車両の運転手)に報知するための処理が実行される。
【0031】
本例におけるナビゲーション処理は、例えば、管理サーバ10が、所定の道路交通情報提供システム(例えば、VICS)による渋滞情報の送信を検出したこと応じて開始される。
【0032】
ナビゲーション処理において、先ず、管理サーバ10は、渋滞情報を取得する(ステップS101)。本例においては、管理サーバ10は、道路交通情報提供システムから、路線(VICSリンクまたはVICSリンク列)ごとの道路上の渋滞位置と、渋滞の長さと、渋滞の進行方向と、所定の距離毎の渋滞位置後方の混雑度とを含む渋滞情報を取得する。なお、渋滞情報の構成はこれに限定されず、例えば、VICSシステムでは、渋滞情報が、VICSリンク(路線を表すデータ)と、渋滞度(渋滞位置の始点と長さ、旅行時間など)を含む構成としてもよい。
【0033】
渋滞情報を取得すると、管理サーバ10は、取得した渋滞情報に対応する渋滞解消速度情報を検索する(ステップS102)。以下、管理サーバ10が、渋滞長さが「1km以上2km未満」のであり、渋滞位置後方の混雑度が「31台/km」である場合に対応する渋滞解消速度情報を渋滞解消速度情報DB11から検索した場合を例にして説明を行う(図2参照)。
【0034】
渋滞解消速度情報を検索すると、管理サーバ10は、検索した渋滞解消速度情報に基づいて、複数のナビゲーション端末31〜3Nの中から、渋滞解消速度情報を提供可能なナビゲーション端末を検索する(ステップS103)。本例においては、管理サーバ10は、渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度の適用距離以内(例えば、渋滞位置までの距離が「1km以上2km未満」や「2km以上3km未満」の道路。図2参照。)に位置する車両に取り付けられたナビゲーション端末を、渋滞解消速度情報を提供可能なナビゲーション端末として検索する。
【0035】
渋滞解消速度情報を提供可能なナビゲーション端末としてナビゲーション端末31を検索すると、管理サーバ10は、検索したナビゲーション端末31に、取得した渋滞情報と検索した渋滞解消速度情報とを送信して(ステップS104)、ここでの処理を終了する。
【0036】
ナビゲーション端末31は、渋滞情報と渋滞解消速度情報とを受信すると、受信した渋滞情報と渋滞解消速度情報とを解析する(ステップS105)。本例においては、ナビゲーション端末31は、受信した渋滞解消速度情報の中から、走行中の道路リンクと位置に基づいて、ナビゲーション端末31に予め設定された道路リンクとVICSリンクの対応テーブル(以下、「道路リンク‐VICSリンク対応テーブル」という。)を用いて、対象となる路線(例えば、ナビゲーション端末31が取り付けられた車両が走行中の路線)の渋滞解消速度を特定する。
【0037】
図4は、道路リンク‐VICSリンク対応テーブルの例について説明するための説明図である。図4に示すように、本例における道路リンク‐VICSリンク対応テーブルには、VICSリンク(VICSにおいて道路を示す番号)とナビのリンク(ナビゲーション端末31が用いる地図において道路を示す番号)とが対応付けされて記憶されている。ナビゲーション端末31は、渋滞情報が示すVICSリンクをナビのリンクに変換して、渋滞場所を特定する。なお、ナビシステム(例えば、ナビゲーション端末31と、ナビゲーション端末31に道路地図情報を提供するナビゲーションサーバとを備えるシステム)のリンク番号の付与は、メーカー毎に異なるため、管理サーバ10が、渋滞情報が含VICSリンクを複数のナビシステムのリンク番号に変換して、各ナビシステムに送信する構成としてもよい。ただし、ナビシステム側のリンク情報を更新すると、ナビシステムが使えなくなるので、ナビ側でVICSリンクを使用可能な状態に変換する構成とすることが好ましい。
【0038】
受信した渋滞情報と渋滞解消速度情報とを解析すると、ナビゲーション端末31は、自己が備える表示装置の表示画面に、解析結果に応じた推奨移動速度報知画面を表示して(ステップS106)、ここでの処理を終了する。なお、ナビゲーション端末31が、受信した渋滞解消速度情報に基づいて、ナビゲーション対象である車両の移動に応じた渋滞解消速度情報を表示画面に表示する構成としてもよい。この場合、例えば、ナビゲーション端末31が、管理サーバ10から新たな渋滞情報を受信し、受信した渋滞情報により車両が渋滞位置に到達したと(または渋滞情報が示す渋滞が解消したと)判定したことに応じて、ナビゲーション処理を終了する構成としてもよい。
【0039】
図5は、推奨移動速度報知画面の例について説明するための説明図である。図5に示すように、本例における推奨移動速度報知画面は、地図などが表示される表示画面D上に、推奨移動速度を示す推奨移動速度表示領域Aを備える。なお、本例においては、ナビゲーション端末31が、渋滞位置と車両の現在位置とに基づいて車両が「渋滞位置まで2km以上3km以下の地点」に位置するものと判定し、渋滞解消速度情報を参照して(図2参照)、推奨移動速度報知領域Aに表示する推奨移動速度(渋滞解消速度)を「55km/h以下(時速55キロメートル以下)」と導出する。
【0040】
以上に説明したように、上述した実施の形態では、移動体(例えば、車両)の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システム(例えば、ナビゲーション端末31)と、報知システムに対して推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供する推奨移動速度情報提供サーバ(例えば、管理サーバ10)とを備えたナビゲーションシステム100において、推奨移動速度情報提供サーバが、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報DB11を備え、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得し、渋滞解消速度情報DB11に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、取得した渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出し(例えば、渋滞情報が示す渋滞長さに応じた渋滞解消速度情報を検索し)、導出した渋滞解消速度情報を、推奨移動速度情報として報知システムに送信し、報知システムが、送信された渋滞解消速度情報を受信し、受信した渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を推奨移動速度として運転手に報知する(例えば、ナビゲーション端末31が備える表示装置の表示画面に推奨移動速度報知画面を表示する)構成としているので、渋滞の解消を促すことができるようになる。
【0041】
すなわち、渋滞位置に到着していない移動体の運転手(同乗者を介する場合を含む)に対し、渋滞を解消するために推奨される移動速度での運転を促すことにより、渋滞が拡大することを防止することができるようになるため、ナビゲーションシステムにより、効率的に渋滞の解消を促すことができるようになる。
【0042】
また、即座に渋滞の解消が実現されない場合も、例えば「50km渋滞」などの非常に大きい渋滞の発生を防止することができるようになる。
【0043】
また、報知された推奨移動速度で走行すれば渋滞位置であった地点に到着するころには渋滞が解消していることが期待できるようになるため、移動体の運転手がスムーズな運転を期待して推奨移動速度を守った運転を行う可能性を高めることができるようになる。
【0044】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーションシステム100が備える報知システムは、移動体(例えば、車両)に備えられたナビゲーション端末31を含み、ナビゲーション端末31は、移動体の現在位置を特定し、受信した渋滞解消速度情報に基づいて、特定した現在位置に応じた渋滞解消速度を特定し、特定した渋滞解消速度を推奨移動速度としてナビゲーション端末31が備える出力装置により出力する(例えば、表示装置の表示画面に推奨移動速度報知画面を表示する)構成としているので、渋滞を解消するのに有効な速度での運転を運転手に対してより直接的に報知することができるようになる。
【0045】
また、上述した実施の形態では、渋滞解消速度情報が、渋滞の長さと、渋滞位置後方の混雑度と、渋滞位置までの距離に応じた推奨移動速度とを含み、渋滞情報が、渋滞の進行方向と、所定の距離毎の渋滞位置後方の混雑度とを含み、渋滞解消速度情報DB11に記憶された渋滞解消速度情報の中から、取得した渋滞情報に対応する渋滞解消速度情報を検索することにより、渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する構成としているので、渋滞状況に適した渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を提供することができるようになる。
【0046】
なお、上述した実施の形態では、推奨移動速度情報提供サーバ(例えば、管理サーバ10)が、予め渋滞解消速度情報DB11に記憶されている渋滞解消速度情報を用いて、取得した渋滞情報に対応する渋滞解消速度を導出する場合について説明したが、推奨移動速度情報提供サーバが、特定の車両から渋滞地点までの距離と渋滞(渋滞区間)の長さとに基づいて、特定の車両が現時点から時速何キロで走行すると、特定の車両が渋滞の解消に寄与することができるかを算出する構成としてもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーションシステム100が、渋滞しやすい地点の手前に設置された速度制限違反取締装置と、速度制限違反取締装置を制御する速度制限違反取締装置制御サーバを備え、推奨移動速度情報提供サーバ(例えば、管理サーバ10)が、渋滞解消速度情報を速度制限違反取締制御サーバに送信し、速度制限違反取締制御サーバが、渋滞解消速度情報を受信し、受信した渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を制限速度として動作するように速度制限違反取締装置を制御し、速度制限違反取締装置から制限速度を守った車両を特定可能な車両特定情報を受信したことに応じて、受信した車両特定情報が示す車両に対して、特定の地点(例えば、電子料金収受システムが設置された地点)にて所定の商品の割引情報やポイントなどを付与する(例えば、車両に備えられた所定の情報記憶媒体に送信する)構成としてもよい。
【0048】
このような構成とすることにより、渋滞解消速度を超えない運転を促すことができるようになる。
【0049】
また、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーションシステム100が、車両に備えられたクルーズコントロールを含み、推奨移動速度提供サーバ(例えば、管理サーバ10)が、渋滞解消速度情報をクルーズコントロールに送信し、クルーズコントロールが、渋滞解消速度情報を受信し、受信した渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度に基いて自己が備えられた車両の速度制限や車間距離制御を実行する構成としてもよい。
【0050】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、渋滞解消速度情報が、推奨される車間距離を含み、ナビゲーション端末が、渋滞解消速度に基づいて表示装置の表示画面に車間距離を表示する構成としてもよい。
【0051】
なお、上述した実施の形態では、移動体(例えば、車両)の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システム(例えば、ナビゲーション端末31)に推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供するナビゲーションサーバ(例えば、管理サーバ10)が、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報DB11を備え、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得し、渋滞解消速度情報DB11に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、取得した渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出し、導出した渋滞解消速度情報を、推奨移動速度情報として報知システムに送信する構成としているので、渋滞の解消を促すことができるようになる。
【0052】
なお、上述した実施の形態では、管理サーバ10とナビゲーション端末31とにより渋滞解消速度を車両の運転手(同乗者を介する場合を含む)に報知する場合について説明したが、ナビゲーション端末31が、渋滞情報受信装置(VICSレシーバ)など、管理サーバ10が有する機能を実現するための構成を備えることにより、ナビゲーション端末31単独で、運転手に対して渋滞解消速度を報知可能な構成としてもよい。
【0053】
すなわち、ナビゲーション端末31が、渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報DB11を備え、道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得し(例えば、VICSレシーバにより渋滞情報を受信し)、渋滞解消速度情報DB11に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、取得した渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出し、導出した渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度(例えば、渋滞位置に対する車両の位置に応じた渋滞解消速度)を推奨移動速度として運転手に報知する(例えば、ナビゲーション端末31が備える表示装置の表示画面に渋滞解消速度を表示する、またはナビゲーション端末31が備える音声出力装置により渋滞解消速度を音声出力する)構成としてもよい。
【0054】
また、例えば各車両が渋滞解消速度を守るように車両(ペースカー)に先導させるようなシステムを実現させる場合に比べて、システムの実現に必要なコストを抑えることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、ユーザの進路案内を実現するデバイスを扱う業種において産業上有用であり、特に、デバイスが、渋滞の解消を促すことができるようにするのに有用である。
【符号の説明】
【0056】
10 管理サーバ
11 渋滞解消速度情報DB
31〜3N ナビゲーション端末
100 ナビゲーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムと、該報知システムに対して前記推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供する推奨移動速度情報提供サーバとを備えたナビゲーションシステムであって、
前記推奨移動速度情報提供サーバは、
渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報記憶手段と、
道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
前記渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出手段と、
該渋滞解消速度情報導出手段により導出された渋滞解消速度情報を、前記推奨移動速度情報として前記報知システムに送信する渋滞解消速度情報送信手段とを含み、
前記報知システムは、
前記渋滞解消速度情報送信手段により送信された渋滞解消速度情報を受信する渋滞解消速度情報受信手段と、
該渋滞解消速度情報受信手段により受信された渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を前記推奨移動速度として前記運転手に報知する報知手段とを含む
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記報知システムは、前記移動体に備えられたナビゲーション端末を含み、
該ナビゲーション端末は、
前記移動体の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記渋滞解消速度情報受信手段により受信された渋滞解消速度情報に基づいて、前記現在位置特定手段により特定された現在位置に応じた渋滞解消速度を特定する渋滞解消速度特定手段とを有し、
前記報知手段は、前記渋滞解消速度特定手段により特定された渋滞解消速度を前記推奨移動速度として当該ナビゲーション端末が備える出力装置により出力する
請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記渋滞解消速度情報は、渋滞の長さと、渋滞位置後方の混雑度と、渋滞位置までの距離に応じた推奨移動速度とを含み、
前記渋滞情報は、渋滞の進行方向と、所定の距離毎の渋滞位置後方の混雑度とを含み、
前記渋滞解消速度情報導出手段は、前記渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報の中から、前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に対応する渋滞解消速度情報を検索することにより、当該渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する
請求項1または請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムに前記推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供するナビゲーションサーバであって、
渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報記憶手段と、
道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
前記渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出手段と、
該渋滞解消速度情報導出手段により導出された渋滞解消速度情報を、前記推奨移動速度情報として前記報知システムに送信する渋滞解消速度情報送信手段とを含む
ことを特徴とするナビゲーションサーバ。
【請求項5】
移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知する報知システムと、該報知システムに対して前記推奨移動速度を示す推奨移動速度情報を提供する推奨移動速度情報提供サーバとを備えたナビゲーションシステムに動作制御させるためのナビゲーションプログラムであって、
前記推奨移動速度情報提供サーバに、
道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得処理と、
渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、前記渋滞情報取得処理にて取得された渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出処理と、
該渋滞解消速度情報導出処理にて導出された渋滞解消速度情報を、前記推奨移動速度情報として前記報知システムに送信する渋滞解消速度情報送信処理とを実行させ、
前記報知システムに、
前記渋滞解消速度情報送信処理にて送信された渋滞解消速度情報を受信する渋滞解消速度情報受信処理と、
該渋滞解消速度情報受信処理にて受信された渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を前記推奨移動速度として前記運転手に報知する報知処理とを
実行させるための
ことを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項6】
移動体の運転手に対して推奨移動速度を報知するナビゲーション端末であって、
渋滞の長さに応じて、渋滞位置までの距離毎に渋滞を解消させるために推奨される移動速度である渋滞解消速度を示す渋滞解消速度情報を記憶する渋滞解消速度情報記憶手段と、
道路上の渋滞位置と渋滞の長さとを示す渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
前記渋滞解消速度情報記憶手段に記憶された渋滞解消速度情報に基づいて、前記渋滞情報取得手段により取得された渋滞情報に応じた渋滞解消速度情報を導出する渋滞解消速度情報導出手段と、
該渋滞解消速度情報導出手段により導出された渋滞解消速度情報が示す渋滞解消速度を前記推奨移動速度として前記運転手に報知する報知手段とを含む
ことを特徴とするナビゲーション端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−212270(P2012−212270A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76911(P2011−76911)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】