説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラム

【課題】過去の評価結果と今回の評価結果とを公平に比較できるナビゲーションシステムの提供。
【解決手段】ナビゲーションシステム1は、運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得部11と、評価情報と所定の評価基準とに基づき、各評価区間における運転操作を評価する評価部12と、目的地が同一であって、今回の出発地が過去の出発地を含む所定範囲内に存在する場合に、今回と過去の走行経路が同一と判定する走行経路判定部13と、今回と過去の走行経路が同一と判定された場合、今回の初回評価地点を過去の初回評価地点と同じ位置に設定し、過去の出発地から初回評価地点までの経路と、今回の出発地から初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、評価結果に影響を与える特性を示す特性値を特定し、特定した各特性値に基づき、今回の出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定する評価基準設定部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行経路を案内するナビゲーションシステムが用いられている。近年では、燃料費節約や環境保全の観点から省燃費走行への要求が高まっており、車両の走行における燃費低減を目的とした案内を行うナビゲーションシステムも提案されている。
【0003】
例えば、燃費改善のために注意して運転すべき区間をユーザが具体的に把握できるようにするため、自車の走行軌跡において基準燃料消費量を上回る燃料を自車が消費したリンクを識別できるように、当該リンクを地図上で強調表示するナビゲーション装置が提案されている。このナビゲーション装置では、過去の走行における燃料消費量に基づき基準燃料消費量を算出し、今回の走行において当該基準燃料消費量を上回る燃料を自車が消費したリンクを地図上で強調表示する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−33447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の如き従来の装置では、過去の走行における燃料消費量と今回の走行における燃料消費量との比較結果を地図上に表示するが、運転者による運転操作が燃費低減にどの程度適しているのかを評価した結果を、過去の走行と今回の走行とのそれぞれについて画面に表示することで、ユーザ自身が各評価結果を対比できるようにすることも考えられる。このように、過去の走行における運転操作の評価結果と今回の走行における運転操作の評価結果とを対比可能なように画面に表示する場合、今回の走行経路と同一の走行経路を過去に自車が走行したか否かを判定する必要がある。例えば、車両の今回の走行経路における目的地と過去の走行経路における目的地とが同一であって、今回の走行経路における出発地が過去の走行経路における出発地を含む所定範囲内に存在する場合に、今回の走行経路と過去の走行経路とが同一とすることが考えられる。この場合、今回の走行経路と過去の走行経路とでは、所定範囲内において出発地が異なっている場合がある。そのため、運転者による運転操作を所定距離の評価区間毎に評価する場合、今回の走行と過去の走行とでは出発地のずれに応じて評価区間における走行距離や経路コストにずれが生じることにより、各評価区間における評価結果に影響が生じる可能性があった。その結果、過去の評価結果と今回の評価結果とを公平に比較できない可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、過去の評価結果と今回の評価結果とを公平に比較できる、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のナビゲーションシステムは、車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得手段と、前記評価情報取得手段により取得された評価情報と所定の評価基準とに基づき、前記車両の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間、及び当該初回評価地点から所定距離毎の各評価区間における、前記運転者による運転操作を評価する評価手段と、前記車両の今回の走行経路における目的地と過去の走行経路における目的地とが同一であって、当該今回の走行経路における出発地が当該過去の走行経路における出発地を含む所定範囲内に存在する場合に、当該車両の今回の走行経路と当該過去の走行経路とが同一と判定する走行経路判定手段と、前記走行経路判定手段により前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、当該今回の走行経路における前記初回評価地点を、当該過去の走行経路における前記初回評価地点と同じ位置に設定し、当該過去の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路と、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、前記評価手段による評価結果に影響を与える特性を示す特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する評価基準設定手段と、を備える。
【0008】
また、請求項2に記載のナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記評価基準設定手段は、前記車両の過去の走行経路における出発地を含む前記所定範囲の外周と当該車両の走行経路とが交わる地点を、前記初回評価地点として設定する。
【0009】
また、請求項3に記載のナビゲーションシステムは、請求項1又は2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記評価基準設定手段は、前記走行経路判定手段により前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、当該過去の走行経路における出発地を含む前記所定範囲内において当該走行経路の出発地となり得る各出発地候補から前記初回評価地点までの各経路と、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、前記特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する。
【0010】
また、請求項4に記載のナビゲーションシステムは、請求項3に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記評価基準設定手段は、前記走行経路判定手段により前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、前記各出発地候補から前記初回評価地点までの各経路について特定した各特性値の平均値と、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する。
【0011】
また、請求項5に記載のナビゲーションシステムは、請求項1又は2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記評価基準設定手段は、前記走行経路判定手段により前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、前記過去の走行経路における出発地から前記初回評価地点までの経路について特定した特性値と、前記今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する。
【0012】
また、請求項6に記載のナビゲーション方法は、車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得ステップと、前記評価情報取得ステップで取得された評価情報と所定の評価基準とに基づき、前記車両の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間、及び当該初回評価地点から所定距離毎の各評価区間における、前記運転者による運転操作を評価する評価ステップと、前記車両の今回の走行経路における目的地と過去の走行経路における目的地とが同一であって、当該今回の走行経路にける出発地が当該過去の走行経路における出発地を含む所定範囲内に存在する場合に、当該車両の今回の走行経路と当該過去の走行経路とが同一と判定する走行経路判定ステップと、前記走行経路判定ステップで前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、当該今回の走行経路における前記初回評価地点を、当該過去の走行経路における前記初回評価地点と同じ位置に設定し、当該過去の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路と、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、前記評価ステップにおける評価結果に影響を与える特性を示す特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する評価基準設定ステップと、を含む。
【0013】
また、請求項7に記載のナビゲーションプログラムは、請求項6に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のナビゲーションシステム、請求項6に記載のナビゲーション方法、及び請求項7に記載のナビゲーションプログラムによれば、評価基準設定手段は、走行経路判定手段により車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、今回の走行経路における初回評価地点を、過去の走行経路における初回評価地点と同じ位置に設定し、過去の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、評価手段による評価結果に影響を与える特性を示す特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定するので、評価結果に影響を与える特性を示す特性値を考慮した上で、今回の走行経路と過去の走行経路とのそれぞれについて出発地から共通の初回評価地点までの区間における運転操作を評価することができ、過去の評価結果と今回の評価結果とを公平に比較することができる。
【0015】
また、請求項2に記載のナビゲーションシステムによれば、評価基準設定手段は、車両の過去の走行経路における出発地を含む所定範囲の外周と当該車両の走行経路とが交わる地点を、初回評価地点として設定するので、今回の走行経路と過去の走行経路との共通の初回評価地点として適切な地点を設定することができる。
【0016】
また、請求項3に記載のナビゲーションシステムによれば、評価基準設定手段は、走行経路判定手段により車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、過去の走行経路における出発地を含む所定範囲内において当該走行経路の出発地となり得る各出発地候補から初回評価地点までの各経路と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定するので、各出発地候補及び今回の出発地から共通の初回評価地点までの各経路における特性値を考慮した上で、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間における運転操作を評価することができ、過去の評価結果と今回の評価結果とを一層公平に比較することができる。
【0017】
また、請求項4に記載のナビゲーションシステムによれば、評価基準設定手段は、走行経路判定手段により車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、各出発地候補から初回評価地点までの各経路について特定した各特性値の平均値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定するので、各出発地候補及び今回の出発地から共通の初回評価地点までの各経路における特性値の平均値を基準として、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間における運転操作を評価することができ、過去の評価結果と今回の評価結果とを一層公平に比較することができる。
【0018】
また、請求項5に記載のナビゲーションシステムによれば、評価基準設定手段は、走行経路判定手段により車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、過去の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定するので、過去の出発地及び今回の出発地から共通の初回評価地点までの各経路における特性値を考慮した上で、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間における運転操作を評価することができ、過去の評価結果と今回の評価結果とを一層公平に比較することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係るナビゲーションシステムを例示するブロック図である。
【図2】ナビゲーション処理のフローチャートである。
【図3】評価基準テーブル作成処理のフローチャートである。
【図4】走行経路における出発地及び各出発地候補から初回評価地点までの各経路における特性値を概念的に示した平面図であり、図4(a)は特性値として経路の走行距離を用いる場合を示す図、図4(b)は特性値として経路の経路コストを用いる場合を示す図である。
【図5】評価基準テーブルに格納されている情報を例示した表であり、図5(a)は特性値として走行距離を用いた場合を示す表、図5(b)は特性値として経路コストを用いた場合を示す表である。
【図6】評価基準設定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(構成)
最初に、ナビゲーションシステムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るナビゲーションシステムを例示するブロック図である。ナビゲーションシステム1は例えば車両に搭載されており、図1に示すように、ECU2(Electronic Control Unit)、現在位置検出処理部3、操作部4、ディスプレイ5、及びスピーカ6に接続されている。
【0022】
(構成−ECU)
ECU2は、車両の各部の状態を各種センサを介して監視し、車両のエンジンやモータジェネレータ等の動力系、トランスミッション、駆動系、制動系等(いずれも図示省略)の車両の各部を制御する。例えば、車軸の回転数に比例する車速パルス信号を車速センサから取得してトランスミッションを制御したり、O2センサから取得した排気ガス中の酸素濃度等に基づいて燃料噴射装置(図示省略)を制御する。このECU2から、車速パルス信号や燃料噴射量等の各種情報がナビゲーションシステム1に入力される。
【0023】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部3は、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部3は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0024】
(構成−操作部)
操作部4は、ユーザによる操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部4の具体的な構成は任意であり、例えば、ディスプレイ5の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいは、音声入力を受け付けるマイクの如き音声認識手段を用いて操作部4を構成することができる。
【0025】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ5は、ナビゲーションシステム1の制御に基づいて各種情報の表示出力を行う出力手段である。なお、このディスプレイ5の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0026】
(構成−スピーカ)
スピーカ6は、ナビゲーションシステム1の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ6より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0027】
(構成−ナビゲーションシステム)
ナビゲーションシステム1は、制御部10、及びデータ記録部20を備えている。
【0028】
(構成−ナビゲーションシステム−制御部)
制御部10は、ナビゲーションシステム1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係るナビゲーションプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介してナビゲーションシステム1にインストールされることで、制御部10の各部を実質的に構成する。
【0029】
この制御部10は、機能概念的に、評価情報取得部11、評価部12、走行経路判定部13、及び評価基準設定部14を備えている。評価情報取得部11は、車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得手段である。例えば、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを示すエコランプが車両のメーターパネル(図示省略)内に表示される場合において、評価情報取得部11は、ECU2等からエコランプの点消灯状態を特定するための情報を評価情報として取得し、RAM等の記憶手段(図示省略)に記録する。評価部12は、運転者による運転操作を評価する評価手段である。例えば評価部12は、運転者による運転操作を評価するための各評価区間について評価情報取得部11により取得された評価情報に基づき、各評価区間においてエコランプが点灯した状態で車両が走行した合計距離を算出する。そして、当該算出した距離を、各評価区間の距離で除した値(すなわち、評価区間において運転者による運転操作が燃費向上に適していた際の車両の走行距離が占める割合)が所定の評価基準以上の場合に、当該評価区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していると評価し、所定の評価基準未満の場合に、当該評価区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していないと評価する。走行経路判定部13は、車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一か否かを判定する走行経路判定手段である。評価基準設定部14は、評価部12が車両の運転者による運転操作を評価する際の基準となる評価基準を設定する評価基準設定手段である。これらの制御部10の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0030】
(構成−ナビゲーションシステム−データ記録部)
データ記録部20は、ナビゲーションシステム1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0031】
このデータ記録部20は、地図情報データベース21(以下、データベースをDBと略記する)、及び評価基準テーブル22を備えている。
【0032】
地図情報DB21は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ5に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0033】
評価基準テーブル22は、各出発地候補を一意に識別する出発地候補情報と、各出発地候補から初回評価地点までの各区間に対応する評価基準を特定する評価基準情報とを、相互に関連付けて格納する評価基準情報格納手段である。なお、この評価基準テーブル22に格納される各情報の具体的な内容や、評価基準テーブル22に各情報が格納されるタイミング等については後述する。
【0034】
(処理−ナビゲーション処理)
次に、このように構成されたナビゲーションシステム1によって実行されるナビゲーション処理について説明する。図2はナビゲーション処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。このナビゲーション処理は、例えば、ナビゲーションシステム1に電源が投入された場合に開始される。
【0035】
ナビゲーション処理が開始されると、走行経路判定部13は、操作部4を介した操作入力により車両の走行の目的地が設定されるまで待機する(SA1、No)。ここで、「目的地の設定」とは、操作部4を介した操作入力により最終目的地が設定される場合の他、既に設定されている複数の目的地が操作部4を介した操作入力により並べ替えられ、異なる目的地が最終目的地として設定される場合、あるいは、既に設定されている最終目的地が消去され、他の目的地が最終目的地として設定される場合等も含む。
【0036】
目的地が設定されると(SA1、Yes)、走行経路判定部13は、今回の出発地(例えば現在位置検出処理部3により検出された現在位置)からSA1で設定された目的地までの走行経路と同一の走行経路を車両が過去に走行したか否かを判定する(SA2)。具体的には、走行経路判定部13は、車両の今回の走行経路における目的地と過去の走行経路における目的地とが同一であって、今回の走行経路における出発地が過去の走行経路における出発地を含む所定範囲内(例えば、過去の走行経路における出発地を中心とする半径300mの円内)に存在する場合に、当該車両の今回の走行経路と当該過去の走行経路とが同一と判定する。
【0037】
その結果、今回の出発地からSA1で設定された目的地までの走行経路と同一の走行経路を車両が過去に走行していない場合(SA2、No)、すなわち、今回の出発地からSA1で設定された目的地までの走行経路を車両が初めて走行する場合、評価基準設定部14は、評価基準テーブル作成処理を実行する(SA3)。
【0038】
(処理−評価基準テーブル作成処理)
ここで、評価基準テーブル作成処理について説明する。図3は、評価基準テーブル作成処理のフローチャートである。この図3に示すように、評価基準テーブル作成処理が開始されると、評価基準設定部14は初回評価地点を設定する(SB1)。ここで「初回評価地点」とは、走行経路における出発地を車両が出発した後、最初に当該車両の運転者による運転操作を評価する対象となる区間の終点である。例えば評価基準設定部14は、今回の走行経路における出発地を含む所定範囲(例えば、今回の走行経路における出発地を中心とする半径300mの円)の外周と当該車両の走行経路とが交わる地点を、初回評価地点として設定する。あるいは、走行経路に沿って出発地から所定距離(例えば300m)走行した地点を、初回評価地点として設定するようにしてもよい。
【0039】
次に、評価基準設定部14は、今回の走行経路における出発地を含む所定範囲内(例えば、今回の走行経路における出発地を中心とする半径300mの円内)において、走行経路の他の出発地となり得る出発地候補を特定する(SB2)。例えば評価基準設定部14は、今回の走行経路における出発地を含む所定範囲内に存在する所定施設(例えば駐車場や商業施設等)を、出発地候補として特定する。この場合、今回の走行経路における出発地と属性が関連する施設(例えば今回の走行経路における出発地が会社Pの駐車場である場合、当該会社Pに関連する施設)のみを出発地候補として特定するようにしてもよい。また、今回の走行経路における出発地を含む所定範囲内に存在する各ノードを、出発地候補として特定してもよい。
【0040】
続いて評価基準設定部14は、SB2で特定した各出発地候補からSB1で設定した初回評価地点までの各経路と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、評価部12による評価結果に影響を与える特性を示す特性値を特定する(SB3)。ここで「評価部12による評価結果に影響を与える特性を示す特性値」とは、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを評価部12が評価する際に、当該評価結果に影響を与える経路の特性を示す値である。例えば経路の走行距離が長くなるほど、その経路において車両が一定の速度で走行できる区間の占める割合が大きくなる(すなわち、車両を加速させるためにアクセル開度を大きくする区間の占める割合が小さくなる)ことから、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであると評価されやすくなる。従って、各経路の走行距離を、評価部12による評価結果に影響を与える特性を示す特性値として用いることができる。また、経路における経路コスト(例えば、経路における信号交差点数や経路における登り勾配等に応じて算出される値)が低くなるほど(例えば信号交差点数が少なくなるほど、あるいは登り勾配の道路が少なくなるほど)、その経路において車両が一定の速度で走行できる区間の占める割合が大きくなる(すなわち、車両を加速させるためにアクセル開度を大きくする区間の占める割合が小さくなる)ことから、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであると評価されやすくなる。従って、各経路の経路コストを、評価部12による評価結果に影響を与える特性を示す特性値として用いてもよい。
【0041】
図4は走行経路における出発地及び各出発地候補から初回評価地点までの各経路における特性値を概念的に示した平面図であり、図4(a)は特性値として経路の走行距離を用いる場合を示す図、図4(b)は特性値として経路の経路コストを用いる場合を示す図である。図4の例では、今回の走行経路における出発地Aを含む半径300mの円内に、出発地候補B、C、D、及びEが存在している。また、出発地Aを中心とする半径300mの円の外周と車両の走行経路とが交わる地点Fが、初回評価地点として設定されている。図4(a)では、出発地Aから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離が300m、出発地候補Bから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離が400m、出発地候補Cから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離が500m、出発地候補Dから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離が200m、出発地候補Eから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離が100mと特定される。また図4(b)では、出発地Aから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストが2、出発地候補Bから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストが3、出発地候補Cから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストが5、出発地候補Dから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストが4、出発地候補Eから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストが1と特定される。
【0042】
図3に戻り、SB3の処理の後、評価基準設定部14は、SB3で特定した各出発地候補から初回評価地点までの各経路の特性値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路の特性値との平均値を算出する(SB4)。図4(a)の例では、各経路の特性値(走行距離)の平均値={(AからFまでの走行距離300m)+(BからFまでの走行距離400m)+(CからFまでの走行距離500m)+(DからFまでの走行距離200m)+(EからFまでの走行距離100m)}/5=300mと算出される。また、図4(b)の例では、各経路の特性値(経路コスト)の平均値={(AからFまでの経路コスト2)+(BからFまでの経路コスト3)+(CからFまでの経路コスト5)+(DからFまでの経路コスト4)+(EからFまでの経路コスト1)}/5=3と算出される。
【0043】
図3に戻り、SB4の処理の後、評価基準設定部14は、各出発地候補から初回評価地点までの各区間に対応する評価基準と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準とを設定し(SB5)、各区間を一意に識別する識別情報と、各区間に対応して設定した評価基準を特定する評価基準情報とを相互に関連付けて、評価基準テーブル22に格納する(SB6)。なお、この評価基準テーブル22には、走行経路を特定する情報として、例えば今回の走行経路における出発地と目的地との組み合わせを特定する情報が付加される。さらに、今回の走行における初回評価地点、及び、各出発地候補から初回評価地点までの各経路の特性値と今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路の特性値との平均値を特定する情報も、評価基準テーブル22に付加されるものとする。
【0044】
SB5において、評価基準設定部14は、SB4で算出した各出発地候補及び今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの各経路の特性値の平均値と、各出発地候補及び今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの各経路の特性値との差分に基づき、当該各出発地候補及び今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの各区間に対応する評価基準を設定する。ここで「評価基準」とは、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを、評価区間毎に評価部12が評価する際の基準である。例えば評価部12は、評価区間において運転者による運転操作が燃費向上に適していた際(すなわちエコランプが点灯した状態)の車両の走行距離が占める割合が所定の評価基準以上か否かに基づき、当該評価区間における運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを評価する。
【0045】
図5は評価基準テーブル22に格納されている情報を例示した表であり、図5(a)は特性値として走行距離を用いた場合を示す表、図5(b)は特性値として経路コストを用いた場合を示す表である。この図5に示すように、評価基準テーブル22には、項目「出発地」「特性値」「差分」及び「評価基準」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「出発地」に対応して格納される情報は、各出発地候補から初回評価地点までの各区間、及び今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間を一意に識別する識別情報であり、例えば各出発地候補又は今回の走行経路における出発地の名称が格納される(図5では「A」等)。項目「特性値」に対応して格納される情報は、特性値を特定するための情報である(図5では「200」等)。項目「差分」に対応して格納される情報は、各経路の特性値から各経路の特性値の平均値を減算した差分(以下、必要に応じて「特性値の差分」)を特定するための情報である(図5では「−100」等)。項目「評価基準」に対応して格納される情報は、各区間に対応して設定した評価基準を特定する評価基準情報である(図5では「85%」等)。
【0046】
例えば走行距離を特性値として用いる場合、評価基準設定部14は、特性値の差分が大きくなるほど(すなわち出発地又は出発地候補から初回評価地点までの走行距離が長くなるほど)、評価基準が大きくなるように(すなわち、運転者による運転操作が燃費向上に適していると評価されにくくなるように)設定する。例えば評価基準設定部14は、特性値の差分が−50m以上50m未満の場合には所定の標準評価基準(例えば90%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が50m以上150m未満の場合には所定の標準評価基準を5%増加させた値(例えば95%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が150m以上の場合には所定の標準評価基準を10%増加させた値(例えば100%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が−150m以上−50m未満の場合には所定の標準評価基準を5%減少させた値(例えば85%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が−150m未満の場合には所定の標準評価基準を10%減少させた値(例えば80%)を評価基準として設定する。
【0047】
図4(a)の例では、SB4において、各経路の特性値(走行距離)の平均値が300mと算出されている。これに対し、出発地Aから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離が300mであることから、特性値の差分は0mと算出される。従って、図5(a)に示すように、今回の走行経路における出発地Aから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は所定の標準評価基準である90%と設定される。また、出発地候補Bから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離は400mであることから、特性値の差分は+100mと算出される。従って、図5(a)に示すように、出発地候補Bから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は95%と設定される。また、出発地候補Cから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離は500mであることから、特性値の差分は+200mと算出される。従って、図5(a)に示すように、出発地候補Cから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は100%と設定される。また、出発地候補Dから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離は200mであることから、特性値の差分は−100mと算出される。従って、図5(a)に示すように、出発地候補Dから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は85%と設定される。また、出発地候補Eから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての走行距離は100mであることから、特性値の差分は−200mと算出される。従って、図5(a)に示すように、出発地候補Eから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は80%と設定される。
【0048】
また、経路コストを特性値として用いる場合、評価基準設定部14は、特性値の差分が小さくなるほど(すなわち出発地又は出発地候補から初回評価地点までの経路コストが小さくなるほど)、評価基準が大きくなるように(すなわち、運転者による運転操作が燃費向上に適していると評価されにくくなるように)設定する。例えば評価基準設定部14は、特性値の差分が−0.5以上0.5未満の場合には所定の標準評価基準(例えば90%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が0.5以上1.5未満の場合には所定の標準評価基準を5%減少させた値(例えば85%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が1.5以上の場合には所定の標準評価基準を10%減少させた値(例えば80%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が−1.5以上−0.5未満の場合には所定の標準評価基準を5%増加させた値(例えば95%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が−1.5未満の場合には所定の標準評価基準を10%増加させた値(例えば100%)を評価基準として設定する。
【0049】
図4(b)の例では、SB4において、各経路の特性値(走行距離)の平均値が3と算出されている。これに対し、出発地Aから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストが2であることから、特性値の差分は−1と算出される。従って、図5(b)に示すように、今回の走行経路における出発地Aから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は95%と設定される。また、出発地候補Bから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストは3であることから、特性値の差分は0と算出される。従って、図5(b)に示すように、出発地候補Bから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は所定の標準評価基準である90%と設定される。また、出発地候補Cから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストは5であることから、特性値の差分は+2と算出される。従って、図5(b)に示すように、出発地候補Cから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は80%と設定される。また、出発地候補Dから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストは4であることから、特性値の差分は+1と算出される。従って、図5(b)に示すように、出発地候補Dから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は85%と設定される。また、出発地候補Eから初回評価地点Fまでの経路における特性値としての経路コストは1であることから、特性値の差分は−2と算出される。従って、図5(b)に示すように、出発地候補Eから初回評価地点Fまでの区間に対応する評価基準は100%と設定される。
【0050】
図3に戻り、SB6の処理の後、制御部10は評価基準テーブル作成処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0051】
図2に戻り、SA2の処理において、今回の出発地からSA1で設定された目的地までの走行経路と同一の走行経路を車両が過去に走行した場合(SA2、Yes)、評価基準設定部14は、評価基準設定処理を実行する(SA4)。
【0052】
(処理−評価基準設定処理)
ここで、評価基準設定処理について説明する。図6は、評価基準設定処理のフローチャートである。この図6に示すように、評価基準設定処理が開始されると、評価基準設定部14は、今回の走行経路における初回評価地点を、図2のSA2で今回の走行経路と同一と判定された走行経路における初回評価地点と同じ位置に設定し、今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路についての特性値を特定する(SC1)。例えば評価基準設定部14は、今回の出発地から図2のSA1で設定された目的地までの走行経路と同一と判定された過去の走行経路に対応する評価基準テーブル22に付加されている情報に基づき、当該過去の走行経路における初回評価地点を特定し、当該初回評価地点を今回の走行経路における初回評価地点として設定し、今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路についての特性値を特定する。
【0053】
次に、評価基準設定部14は、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定する(SC2)。具体的には、評価基準設定部14は、図2のSA2で今回の走行経路と同一と判定された走行経路における各出発地候補から初回評価地点までの各経路について特定した各特性値の平均値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路の特性値との差分に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定する。
【0054】
例えば評価基準設定部14は、今回の出発地から図2のSA1で設定された目的地までの走行経路と同一と判定された走行経路に対応する評価基準テーブル22を参照し、SC1で特定した今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路についての特性値に対応する評価基準を特定し、当該評価基準を今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準として設定する。
【0055】
例えば、今回の出発地から図2のSA1で設定された目的地までの走行経路と同一と判定された走行経路に対応する評価基準テーブル22として図5(a)に例示した評価基準テーブル22を参照した場合において、今回の出発地から初回の評価地点までの経路における特性値としての走行距離が400mである場合(すなわち特性値の平均値300mとの差分が+100mである場合)、図5(a)によれば評価基準は95%と設定される。
【0056】
また、今回の出発地から図2のSA1で設定された目的地までの走行経路と同一と判定された走行経路に対応する評価基準テーブル22として図5(b)に例示した評価基準テーブル22を参照した場合において、今回の出発地から初回の評価地点までの経路における特性値としての経路コストが5である場合(すなわち特性値の平均値3との差分が+2である場合)、図5(b)によれば評価基準は80%と設定される。
【0057】
また、評価基準設定部14が、今回の出発地から図2のSA1で設定された目的地までの走行経路と同一と判定された走行経路に対応する評価基準テーブル22を参照し、SC1で特定した今回の走行経路における出発地に対応する評価基準を特定するようにしてもよい。
【0058】
例えば、今回の出発地から図2のSA1で設定された目的地までの走行経路と同一と判定された走行経路に対応する評価基準テーブル22として図5(a)に例示した評価基準テーブル22を参照した場合において、今回の出発地がBである場合、図5(a)によれば評価基準は95%と設定される。
【0059】
また、今回の出発地から図2のSA1で設定された目的地までの走行経路と同一と判定された走行経路に対応する評価基準テーブル22として図5(b)に例示した評価基準テーブル22を参照した場合において、今回の出発地がCである場合、図5(b)によれば評価基準は80%と設定される。
【0060】
なお、SC1で特定した今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路についての特性値と同一の特性値に対応する評価基準が評価基準テーブル22に格納されていない場合や、SC1で特定した今回の走行経路における出発地と同一の出発地に対応する評価基準が評価基準テーブル22に格納されていない場合には、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路についての特性値に最も近い特性値に対応する評価基準を評価基準テーブル22から取得するようにしてもよい。
【0061】
図6に戻り、SC2の処理の後、制御部10は評価基準設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0062】
図2に戻り、SA3又はSA4の処理の後、制御部10は今回の出発地からSA1で設定された目的地までの経路案内を開始する(SA5)。なお、出発地から目的地までの経路探索や、当該探索結果に基づく経路案内の具体的な内容については、公知の経路探索方法や経路案内方法を用いることができるため、詳細な説明を省略する。このSA5で経路案内が開始された後、評価情報取得部11は、ECU2等からエコランプの点消灯状態を特定するための情報を評価情報として逐次取得し、RAM等の記憶手段に記録する。
【0063】
続いて評価部12は、現在位置検出処理部3により検出された現在位置に基づき、今回の走行経路における初回評価地点に車両が到達するまで待機する(SA6、No)。
【0064】
車両が今回の走行経路における初回評価地点に到達した場合(SA6、Yes)、評価部12は、評価情報取得部11により出発地から初回評価地点までの区間で取得された評価情報と、図3のSB5又は図6のSC2で設定した今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準とに基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間の運転者による運転操作を評価する(SA7)。具体的には、評価部12は、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間について評価情報取得部11により取得された評価情報に基づき、当該区間においてエコランプが点灯した状態で車両が走行した合計距離を算出する。そして、当該算出した距離を、当該区間の距離で除した値(すなわち、当該区間において運転者による運転操作が燃費向上に適していた際の車両の走行距離が占める割合)が、図3のSB5又は図6のSC2で設定した今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準以上の場合に、当該区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していると評価し、当該評価基準未満の場合に、当該区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していないと評価する。例えば、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間において運転者による運転操作が燃費向上に適していた際の車両の走行距離が占める割合が92%であり、図3のSB5又は図6のSC2で設定した今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準が95%である場合、評価部12は、当該区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していないと評価する。また、評価部12は、当該評価部12による評価結果を、ディスプレイ5に表示されている地図上における、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する位置(例えば初回評価地点の位置)に重畳表示させる。
【0065】
続いて評価部12は、現在位置検出処理部3により検出された現在位置に基づき、運転者による運転操作を最後に評価してから車両が所定距離(例えば100m)を走行するまで待機する(SA8、No)。
【0066】
運転者による運転操作を最後に評価してから車両が所定距離を走行した場合(SA8、Yes)、評価部12は、運転者による運転操作を最後に評価した地点から所定距離の評価区間において評価情報取得部11により取得された評価情報と、標準評価基準(例えば90%)とに基づき、当該評価区間における運転者による運転操作を評価する(SA9)。具体的には、評価部12は、運転者による運転操作を最後に評価した地点から所定距離の評価区間について評価情報取得部11により取得された評価情報に基づき、当該評価区間においてエコランプが点灯した状態で車両が走行した合計距離を算出する。そして、当該算出した距離を、当該評価区間の距離で除した値(すなわち、当該評価区間において運転者による運転操作が燃費向上に適していた際の車両の走行距離が占める割合)が、標準評価基準以上の場合に、当該評価区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していると評価し、標準評価基準未満の場合に、当該評価区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していないと評価する。例えば、当該評価区間において運転者による運転操作が燃費向上に適していた際の車両の走行距離が占める割合が92%であり、標準評価基準が90%である場合、評価部12は、当該区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していると評価する。また、評価部12は、当該評価部12による評価結果を、ディスプレイ5に表示されている地図上における、当該評価区間に対応する位置(例えば評価区間の終点の位置)に重畳表示させる。
【0067】
次に評価部12は、現在位置検出処理部3により検出された現在位置に基づき、SA1で設定された目的地に車両が到着したか否かを判定する(SA10)。
【0068】
その結果、目的地に車両が到着していない場合(SA10、No)、SA8に戻る。以降、目的地に車両が到着するまで、SA8からSA10の処理を繰り返す。
【0069】
一方、SA1で設定された目的地に車両が到着した場合(SA10、Yes)、制御部10はナビゲーション処理を終了する。
【0070】
(効果)
このように本実施の形態によれば、評価基準設定部14は、走行経路判定部13により車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、今回の走行経路における初回評価地点を、過去の走行経路における初回評価地点と同じ位置に設定し、過去の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、評価部12による評価結果に影響を与える特性を示す特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定するので、評価結果に影響を与える特性を示す特性値を考慮した上で、今回の走行経路と過去の走行経路とのそれぞれについて出発地から共通の初回評価地点までの区間における運転操作を評価することができ、過去の評価結果と今回の評価結果とを公平に比較することができる。
【0071】
また、評価基準設定部14は、車両の過去の走行経路における出発地を含む所定範囲の外周と当該車両の走行経路とが交わる地点を、初回評価地点として設定するので、今回の走行経路と過去の走行経路との共通の初回評価地点として適切な地点を設定することができる。
【0072】
また、評価基準設定部14は、走行経路判定部13により車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、過去の走行経路における出発地を含む所定範囲内において当該走行経路の出発地となり得る各出発地候補から初回評価地点までの各経路と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定するので、各出発地候補及び今回の出発地から共通の初回評価地点までの各経路における特性値を考慮した上で、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間における運転操作を評価することができ、過去の評価結果と今回の評価結果とを一層公平に比較することができる。
【0073】
また、評価基準設定部14は、走行経路判定部13により車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、各出発地候補から初回評価地点までの各経路について特定した各特性値の平均値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定するので、各出発地候補及び今回の出発地から共通の初回評価地点までの各経路における特性値の平均値を基準として、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間における運転操作を評価することができ、過去の評価結果と今回の評価結果とを一層公平に比較することができる。
【0074】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0075】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0076】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、ナビゲーションシステム1を一体の装置として車両に搭載してもよく、あるいは、ナビゲーションシステム1の一部又は全部(例えば、制御部10における評価部12や、データ記録部20における評価基準テーブル22等)を、ネットワークを介して車両と通信可能に接続されたセンター装置に設けることとしてもよい。
【0077】
(評価情報取得部について)
上述の実施の形態では、評価情報取得部11は、ECU2等からエコランプの点消灯状態を特定するための情報を取得する場合を例として説明したが、アクセル開度、ブレーキ踏力、動力源の使用状況等を特定するための情報をECU2から直接取得し、当該取得した情報に基づき、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを当該評価情報取得部11が逐次判定するようにしてもよい。
【0078】
(ナビゲーション処理について)
上述の実施の形態では、図2で示したナビゲーション処理において、評価基準設定部14は、各出発地候補から初回評価地点までの各経路について特定した各特性値の平均値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定すると説明したが、これとは異なる方法により今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定してもよい。
【0079】
例えば、図2で示したナビゲーション処理におけるSA3の処理を省略し、今回の出発地からSA1で設定された目的地までの走行経路と同一の走行経路を車両が過去に走行していない場合(SA2、No)、すなわち、今回の出発地からSA1で設定された目的地までの走行経路を車両が初めて走行する場合には、標準評価基準を今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準として設定する。
【0080】
一方、今回の出発地からSA1で設定された目的地までの走行経路と同一の走行経路を車両が過去に走行した場合には(SA2、Yes)、図6で示した評価基準設定処理のSC2において、評価基準設定部14は、過去の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定する。例えば走行距離を特性値として用いる場合、評価基準設定部14は、過去の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分が、−50m以上50m未満の場合には、所定の標準評価基準(例えば90%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が50m以上150m未満の場合には所定の標準評価基準を5%増加させた値(例えば95%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が150m以上の場合には所定の標準評価基準を10%増加させた値(例えば100%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が−150m以上−50m未満の場合には所定の標準評価基準を5%減少させた値(例えば85%)を評価基準として設定する。また、特性値の差分が−150m未満の場合には所定の標準評価基準を10%減少させた値(例えば80%)を評価基準として設定する。
【0081】
このように、評価基準設定部14は、走行経路判定部13により車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、過去の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値と、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間に対応する評価基準を設定するので、過去の出発地及び今回の出発地から共通の初回評価地点までの各経路における特性値を考慮した上で、今回の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間における運転操作を評価することができ、過去の評価結果と今回の評価結果とを一層公平に比較することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 ナビゲーションシステム
2 ECU
3 現在位置検出処理部
4 操作部
5 ディスプレイ
6 スピーカ
10 制御部
11 評価情報取得部
12 評価部
13 走行経路判定部
14 評価基準設定部
20 データ記録部
21 地図情報DB
22 評価基準テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得手段と、
前記評価情報取得手段により取得された評価情報と所定の評価基準とに基づき、前記車両の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間、及び当該初回評価地点から所定距離毎の各評価区間における、前記運転者による運転操作を評価する評価手段と、
前記車両の今回の走行経路における目的地と過去の走行経路における目的地とが同一であって、当該今回の走行経路における出発地が当該過去の走行経路における出発地を含む所定範囲内に存在する場合に、当該車両の今回の走行経路と当該過去の走行経路とが同一と判定する走行経路判定手段と、
前記走行経路判定手段により前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、当該今回の走行経路における前記初回評価地点を、当該過去の走行経路における前記初回評価地点と同じ位置に設定し、当該過去の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路と、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、前記評価手段による評価結果に影響を与える特性を示す特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する評価基準設定手段と、
を備えるナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記評価基準設定手段は、前記車両の過去の走行経路における出発地を含む前記所定範囲の外周と当該車両の走行経路とが交わる地点を、前記初回評価地点として設定する、
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記評価基準設定手段は、前記走行経路判定手段により前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、当該過去の走行経路における出発地を含む前記所定範囲内において当該走行経路の出発地となり得る各出発地候補から前記初回評価地点までの各経路と、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、前記特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する、
請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記評価基準設定手段は、前記走行経路判定手段により前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、前記各出発地候補から前記初回評価地点までの各経路について特定した各特性値の平均値と、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する、
請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記評価基準設定手段は、前記走行経路判定手段により前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、前記過去の走行経路における出発地から前記初回評価地点までの経路について特定した特性値と、前記今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路について特定した特性値との差分に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する、
請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得ステップと、
前記評価情報取得ステップで取得された評価情報と所定の評価基準とに基づき、前記車両の走行経路における出発地から初回評価地点までの区間、及び当該初回評価地点から所定距離毎の各評価区間における、前記運転者による運転操作を評価する評価ステップと、
前記車両の今回の走行経路における目的地と過去の走行経路における目的地とが同一であって、当該今回の走行経路にける出発地が当該過去の走行経路における出発地を含む所定範囲内に存在する場合に、当該車両の今回の走行経路と当該過去の走行経路とが同一と判定する走行経路判定ステップと、
前記走行経路判定ステップで前記車両の今回の走行経路と過去の走行経路とが同一と判定された場合、当該今回の走行経路における前記初回評価地点を、当該過去の走行経路における前記初回評価地点と同じ位置に設定し、当該過去の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路と、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの経路とのそれぞれについて、前記評価ステップにおける評価結果に影響を与える特性を示す特性値を特定し、当該特定した各特性値に基づき、当該今回の走行経路における出発地から当該初回評価地点までの区間に対応する前記評価基準を設定する評価基準設定ステップと、
を含むナビゲーション方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36800(P2013−36800A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171681(P2011−171681)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】