説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション装置及び情報提供サーバ

【課題】適切な経由地を簡易に抽出して提示できるナビゲーションシステム、このナビゲーションシステムに使用されるナビゲーション装置及び情報提供サーバを提供する。
【解決手段】経由地情報となる施設情報のカテゴリに滞在時間を対応づけておき、所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻TYを算出し(ステップS14)、乗員が入力した到着希望時刻TKとの時間差である余裕時間TXを求め(ステップS15)、この余裕時間TX内に収まる滞在時間のカテゴリに属する施設情報を抽出し(ステップS18)、抽出した施設情報を提示するようにした(ステップS19)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻を算出する機能を利用するナビゲーションシステム、ナビゲーション装置及び情報提供サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の移動車両に搭載されるナビゲーションシステムには、目的地が設定されると、現在地から目的地へ至る経路を検索するとともに目的地に到着する到着予想時刻を算出するものがある。この種のナビゲーションシステムには、立ち寄る施設の指定を受け付け、指定された施設を経由して目的地へ至る経路を検索し、施設に滞在する時間を含めて到着予想時刻を算出するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、この種のナビゲーションシステムには、立ち寄りたい施設と、余裕時間又は目的地に到達したい時刻とを入力すると、施設までの到達時間を調べ、到達時間に基づいて行くことが可能な施設かどうかを判定するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−58946号公報
【特許文献2】特開2000−163689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成は、経由地となる施設をユーザーが指示する必要があるため、その施設を事前に調べておく作業等が必要となり、時間や手間がかかってしまい、また、ユーザーが調べる範囲に限られるため経由地の候補が限られてしまう。
また、特許文献2では、経由地となる施設の滞在時間を考慮しないため、滞在時間が長いほど到着予想時刻を過ぎる可能性が高くなってしまう。この特許文献2では、各施設までの到達時間をデータベースにアクセスして調べるため、仮に滞在時間を特定しようとすると、データベースが膨大になるおそれや、滞在時間の特定に時間がかかるおそれが生じる。また、この特許文献2でも、立ち寄れる施設が限られてしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、適切な経由地を簡易に抽出して提示できるナビゲーションシステム、このナビゲーションシステムに使用されるナビゲーション装置及び情報提供サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ナビゲーションシステムにおいて、目的地を設定している場合に、所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻を算出するナビゲーション部と、到着希望時間を入力し、この到着希望時間と前記到着予想時刻との時間差である余裕時間を求める演算部と、カテゴリで分類可能な経由地情報を蓄積する蓄積部と、前記カテゴリに滞在時間を予め対応づけ、前記経由地情報の中から、滞在時間が前記余裕時間内に収まるカテゴリに属する経由地情報を抽出して提示する情報提示部とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成において、前記情報提示部は、滞在時間が前記余裕時間内に収まるカテゴリに属するとともに、前記経路から立ち寄り可能な位置条件を満足する経由地情報を抽出して提示するようにしても良い。
また、上記構成において、記情報提示部が提示する経由地情報のいずれかが選択された場合、前記ナビゲーション部は、前記選択された経由地を経由する新たな経路を検索し、前記経由地情報の前記滞在時間を含めて、前記新たな経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻を算出するようにしても良い。
【0008】
上記構成において、前記ナビゲーション部は、算出した前記到着予想時刻が前記到着希望時間を超えた場合に、所定の警告を報知するようにしても良い。
また、上記構成において、前記ナビゲーション部は、算出した前記到着予想時刻が前記到着希望時間を超えた場合に、ユーザーの選択に応じて、選択された施設情報を経由しない経路及び選択された施設情報を経由する経路のいずれかに設定するようにしても良い。
【0009】
また、本発明は、ナビゲーション装置において、目的地を設定している場合に、所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻を算出するナビゲーション部と、到着希望時間を入力し、この到着希望時間と前記到着予想時刻との時間差である余裕時間を求める演算部と、前記余裕時間を、カテゴリで分類可能な経由地情報を蓄積するサーバに送信し、前記サーバにて抽出された、前記余裕時間内に収まる滞在時間に対応づけられたカテゴリに属する経由地情報を受信する端末側通信部と、受信した前記経由地情報を提示する情報提示部とを有することを特徴とする。
また、本発明は、情報提供サーバにおいて、カテゴリで分類可能な経由地情報を蓄積し、各カテゴリに滞在時間を対応づけるとともに、所定のナビゲーション装置と通信可能に構成され、前記ナビゲーション装置から、到着希望時間と所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻との時間差である余裕時間を受信すると、前記経由地情報の中から、前記余裕時間内に収まる滞在時間に対応づけられたカテゴリに属する経由地情報を抽出し、前記ナビゲーション装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、到着希望時間を入力し、この到着希望時間と到着予想時刻との時間差である余裕時間を求め、蓄積された経由地情報の中から、経由地情報のカテゴリに対応づけられた滞在時間が余裕時間内に収まるカテゴリに属する経由地情報を抽出して提示するので、適切な経由地を簡易に抽出して提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムを示す図である。
【図2】サーバ記憶部に記憶される施設情報を示す図である。
【図3】カテゴリと滞在時間とを対応づけたデータを示す図である。
【図4】ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】表示部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムを示す図である。
このナビゲーションシステム1は、World Wide Webシステム(WWWシステムとも称する)を利用して情報配信を行うWebサーバ(以下、サーバと言う)10と、サーバ10を利用する端末装置である車載型のナビゲーション装置20とを備えている。
このナビゲーション装置20は、移動体である車両に搭載され、車両の乗員(ユーザー)に対し、地図情報の提供や目的地までの経路案内を行うナビゲーション機能を有する車載装置(いわゆる、カーナビゲーション装置)である。また、サーバ10とナビゲーション装置20とは、インターネット等のネットワーク2を介して相互に通信可能である。
【0013】
サーバ10は、ナビゲーション装置20に対して経由地情報として施設情報の提供サービスを行う情報提供サーバであり、サーバ通信部11と、サーバ制御部12と、サーバ記憶部13とを備えている。サーバ通信部11は、サーバ制御部12の制御の下、ネットワーク2を介してナビゲーション装置20と通信し、ナビゲーション装置20から送信された情報(後述する余裕時間TX)を受信し、サーバ制御部12によって抽出された施設情報を、経由地の候補としてナビゲーション装置20に送信する。
サーバ制御部12は、サーバ10の各部を制御するサーバ側制御部として機能し、受信した情報に基づいて施設情報を検索する検索処理等を行い、検索した施設情報を、サーバ通信部11を介して情報の受信先であるナビゲーション装置20に送信する処理等を行う。
サーバ記憶部13は、多数の施設情報を記憶しており、本実施形態では、サーバ運営会社によって登録された施設情報に加えて、上記ナビゲーション装置20のユーザー等がインターネットを介して投稿した最新の施設情報も記憶している。つまり、サーバ10は、施設情報を蓄積する蓄積部、施設情報を検索する検索部等として機能する。
【0014】
図2は、サーバ記憶部13に記憶される施設情報を示している。
施設情報は、所定のカテゴリで分類可能な施設の情報であり、施設名(例えば、店舗名)、位置情報(例えば、緯度と経度)、施設関連情報(例えば、施設の説明文、住所、電話番号等)等を含んでおり、各施設情報には、その施設のカテゴリを対応づけている。なお、施設情報が、カテゴリを含んだ情報であっても良い。
カテゴリは、業種を用いており、このため、施設情報のカテゴリは、同図2に示すように、ファーストフード店、コンビニエンスストア、本屋、・・・、ラーメン店、ファミリーレストラン、道の駅、・・・、映画館、美術館、博物館、・・・等となっている。本実施形態では、このカテゴリから滞在時間を想定し、カテゴリ毎に滞在時間を予め設定しておくことによって、施設情報毎に滞在時間を設定する方法よりも簡易に滞在時間を特定でき、且つ、情報量を低減できる。
【0015】
ここで、図3には、カテゴリと滞在時間とを対応づけたデータを示している。このデータは、サーバ記憶部13に記憶されており、サーバ制御部12がこのデータを参照することによって任意の施設情報の滞在に要する滞在時間を特定することができる。なお、この種のデータを、サーバ制御部12が実行する制御プログラムに記述しておき、この制御プログラムに基づいて滞在時間を特定するようにしても良い。また、業種以外にも、滞在時間を特定可能なカテゴリが存在すれば、そのカテゴリを用いることも可能である。
【0016】
前掲図1に示すように、各ナビゲーション装置20は、同様の構成であり、絶対位置・方位検出部21と、相対方位検出部22と、車速検出部23と、制御部24と、ROM25と、DRAM26と、SRAM27と、VRAM28と、表示部(情報提示部)29と、入力部30と、記憶部31と、通信部32とを備えている。
絶対位置・方位検出部21は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されているGPS電波を受信するアンテナ(レシーバでも良い)を備え、ナビゲーション装置20が搭載される自動車の現在地、すなわち自車位置の地表における絶対的な位置座標(緯度や経度)及び方位をGPS電波に基づいて計算し制御部24に出力する。相対方位検出部22は、ジャイロセンサを有し、自車位置の相対的な方位を検出して制御部24に出力する。車速検出部23は、自動車より得られる車速パルスを処理して、自車両の速度を制御部24に出力する。
【0017】
制御部24は、ナビゲーション装置20の各部を制御する端末側制御部として機能するものであり、ナビゲーション機能のための各種処理を実行する処理主体、及び、それ以外の各種処理を実行する処理主体となる。この制御部24は、演算部であるCPUや、その他の周辺回路を備えて構成される。ROM25は、制御プログラムやBIOS(Basic Input Output System)、装置起動のためのブートプログラム、ナビゲーション機能を実現するためのプログラムといった各種プログラムを予め格納するものであり、制御部24がアクセス可能である。
また、DRAM26は、揮発性メモリであり、制御部24のワークエリアとして用いられる。また、SRAM27は不揮発性メモリであり、車両のアクセサリ電源等のメイン電源(図示せず)から電力が供給されるとともに、メイン電源がオフの間は、電池などの予備電源(図示せず)から電力が供給されて記憶内容を常時保持可能に構成され、バックアップメモリとして機能する。また、VRAM28は、表示部29に表示される画面データが書き込まれるバッファメモリである。
【0018】
表示部29は、制御部24の下、ナビゲーションのための地図や自車位置を示すナビゲーション画面、操作画面等の各種の情報を表示する情報出力部として機能するものであり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescent)ディスプレイ等のディスプレイ装置を備えている。
入力部30は、乗員(ユーザー)の指示操作を受け付ける指示入力部として機能するものであり、ナビゲーション装置20に配設される複数の操作子、表示部29が備えるディスプレイ装置に設けられたタッチパネル(不図示)を備えている。なお、入力部30が、操作指示をリモートコントローラからの無線信号を介して入力する操作信号受信部や、操作指示を音声を介して入力する音声入力部を備えていても良い。
【0019】
記憶部31は、例えばCD−ROMドライブやDVD−ROMドライブ、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)といった端末側記憶部であり、制御部24の制御の下、ナビゲーションに使用される地図データや、誘導経路の距離等から目的地までの走行に要する時間(以下、走行時間と言う)を算出するためのデータ等の各種データを記憶する。通信部32は、制御部24の制御の下、ネットワーク2を介してサーバ10と通信する端末側通信部である。
【0020】
以上の構成の下、乗員(ユーザー)により入力部30から目的地が入力されると、制御部24は、絶対位置・方位検出部21により検出された自車位置(現在位置)から目的地までの誘導経路を探索して、記憶部31に記憶される地図データから現在位置を含む所定縮尺の地図を読み出し、自車位置と誘導経路とを表示部29にナビゲーション画面として表示する。ここで、所定縮尺は、誘導経路を示すに最適な縮尺、あるいは、乗員によって設定された縮尺である。
また、自動車の走行中においては、制御部24は、相対方位検出部22及び車速検出部23の検出結果に基づいて自律航法により算出した自車位置を、絶対位置・方位検出部21により検出された自車位置により補正するハイブリッド航法により、高精度に求めた自車位置を地図上に表示するとともに、グラフィック表示や音声により誘導経路を案内する。
さらに、制御部24は、自車位置(現在位置)から目的地までの誘導経路で走行した場合の走行時間を所定のアルゴリズムで算出し、ナビゲーション装置20が具備する内蔵時計の時刻情報に加算して目的地への到着予想時刻TYを算出する。この到着予想時刻TYは、車両の走行中に時間間隔を空けて繰り返し算出される。このナビゲーション機能は、従来のナビゲーション装置でも行われているものである。なお、このナビゲーション装置20のナビゲーション機能部分が、ナビゲーションシステム1におけるナビゲーション部として機能している。
【0021】
本実施形態では、このナビゲーション装置20のナビゲーション機能を利用して目的地へ向かう場合に、乗員に対し、目的地への到着希望時刻TKの入力を促し、入力された到着希望時刻TKと目的地への到着予想時刻TYとの時間差である余裕時間TAに基づいて、立ち寄れる施設情報を乗員に提示する経由地提示処理を行うようにしている。更に、この経由地提示処理で提示した施設への立ち寄りを乗員が希望した場合には、その施設を経由する誘導経路に変更する経路変更処理を行うようにしている。
【0022】
次にこの場合の動作を詳述する。図4は、この動作を示すフローチャートである。
まず、ナビゲーション装置20において、制御部24は、入力部30を介して乗員から目的地の設定指示を入力すると、目的地の設定を開始する(ステップS11)。この場合、制御部24は、乗員に対して、目的地への到着希望時刻TKの入力と、目的地の入力とを促し(ステップS12,S13)、到着希望時刻TKと目的地とが入力されると、自車位置(現在位置)から目的地までの誘導経路を探索し、この検索した誘導経路の走行に要する走行時間を算出し、この走行時間から到着予想時刻TYを算出する(ステップS14)。
【0023】
次いで、制御部24は、入力された到着希望時刻TKと、算出した到着予想時刻TYとを比較することにより、到着希望時刻TKと到着予想時刻TYとの時間差である余裕時間TXを求め(ステップS15)、この余裕時間TXが予め定めた下限時間TL(本実施形態では15分)以上か否かを判定する(ステップS16)。
ここで、この下限時間TLは、経由地に立ち寄り可能な最短時間に設定され、余裕時間TXが下限時間TL以上であれば(ステップS16:YES)、制御部24は、自車位置、目的地位置、余裕時間TX、当該ナビゲーション装置10の識別情報等を、通信部32を介してサーバ10に送信する(ステップS17)。一方、余裕時間TXが下限時間TL未満であれば(ステップS16:NO)、時間的制約から経由地に立ち寄り不可であることが明らかであるため、制御部24は、サーバ10との通信を行うことなくステップS31のガイド開始処理へ移行する。このステップS31では、表示部29に、自車位置及び自車位置から目的地までの誘導経路を含む地図のナビゲーション画面を表示し、経路案内を開始する。つまり、余裕時間TXが下限時間TL未満であれば、サーバ10との通信を行わず、且つ、経由地入力をユーザーに促さず、直ちに経路案内を開始する。
【0024】
上述したように、余裕時間TXが下限時間TL以上で(ステップS16:YES)、ナビゲーション装置20からサーバ10へ向けて、自車位置、目的地位置、余裕時間TX等が送信された場合には(ステップS17)、サーバ10のサーバ制御部12が、受信した余裕時間TX等に基づいて、サーバ記憶部13に記憶された施設情報の中から、立ち寄り可能な施設情報を抽出し、その結果をサーバ通信部11を介してナビゲーション装置20へ送信する(ステップS18)。
この施設情報の抽出処理を詳述すると、まず、サーバ制御部12は、滞在時間が余裕時間TX内に収まるカテゴリを特定し、次にこのカテゴリに属する施設情報の中から、立ち寄り可能な位置条件を満足する施設情報を抽出する。
ここで、この位置条件は、施設情報の位置情報に基づいて立ち寄れる場所にあるか否かを判定するための条件であり、本実施形態では、「受信した自車位置と目的地位置から予め定めた距離範囲内にあること」という条件に加えて、「目的地(最終目的地)を通り過ぎるような場所は対象外とする」、「現在の自車位置からUターンさせる場所は対象外とする」という2つの追加条件が設定されている。
この2つの追加条件を考慮することで、目的地と自車位置(現在位置)との間に位置する施設情報、つまり、経由し易い施設情報に絞ることができる。
【0025】
なお、「受信した自車位置と目的地位置から予め定めた距離範囲内にあること」という条件を満たすか否かは、サーバ制御部12が、ナビゲーション装置10と同一又は類似のアルゴリズムで、自車位置から目的地位置までの誘導経路を算出し、この誘導経路から予め定めた距離範囲内にあることを満たすか否かによって判定するようにしても良い。
【0026】
サーバ10で抽出された施設情報がナビゲーション装置10に受信されると、ナビゲーション装置10の制御部24は、受信した施設情報の提示、つまり、余裕時間TXに応じた経由地の情報を表示部29に表示し、乗員に対して立ち寄りたい経由地の選択を促す(ステップS19)。つまり、施設情報の抽出及び提示は、サーバ10(サーバ制御部12)、ナビゲーション装置10の制御部24及び表示部29によって行われ、これらがナビゲーションシステム1の情報提示部として機能している。
図5は、この場合の表示例を示す図である。なお、図中、符号29Aは、表示部29の表示画面を示している。この図に示すように、余裕時間TXが15分以上、30分未満の場合、滞在時間が15分以下のカテゴリ(ファーストフード店、コンビニエンスストア、本屋等)に属する施設情報が表示される。また、余裕時間TXが30分以上、1時間未満の場合、滞在時間が30分以下のカテゴリ(ファーストフード店、コンビニエンスストア、本屋、ラーメン店、ファミリーレストラン、道の駅等)に属する施設情報が表示される。また、余裕時間TXが4時間以上の場合、滞在時間が4時間以下のカテゴリに属する施設情報が表示される。
【0027】
このように、滞在時間が余裕時間TX内に収まるカテゴリに属する施設情報が表示されるので、余裕時間TXが長いほど、表示数が多くなり、乗員が選ぶことができる経由地候補が多くなる。なお、この表示例では、施設名を一覧表示し、立ち寄りたい施設名の選択を促しているが、施設名以外の情報(例えば、図2に示す施設関連情報内の情報)を、更に表示するようにしても良く、表示内容は適宜に変更可能である。
【0028】
乗員がいずれかの経由地を選択(設定)すると(ステップS20)、制御部24は、選択された経由地を経由する新たな誘導経路を検索し、この誘導経路で走行した場合における目的地への到着予想時刻TYを算出する(ステップS21)。以下、この時刻TYを、経由地を経由しないときの到着予想時刻TYと区別し易くするため、到着予想時刻TY2と表記する。
ここで、この到着予想時刻TY2は、新たな誘導経路の走行に要する走行時間と、経由地の滞在時間(図3に示す予め設定した滞在時間)とを加算した時間とされる。このため、経由地の滞在時間を含めて、目的地に到着する際の到着予想時刻を正しく算出することが可能である。
【0029】
続いて、制御部24は、入力された到着希望時刻TKと、算出した到着予想時刻TY2とを比較し(ステップS22)、到着予想時刻TY2が到着希望時刻TKをオーバーしているか否かを判定する(ステップS23)。
ここで、到着予想時刻TY2が到着希望時刻TKをオーバーする場合は、経由地の経由に要する走行時間が長くなった場合であり、より具体的には、以下の式(1)を満たす場合である。
(経由地の経由に要する走行時間)>(余裕時間TX)−(滞在時間)・・・式(1)
このように経由地を経由した新たな経路を設定して到着予想時刻TY2を算出し、この到着予想時刻TY2に基づいて到着希望時刻TKを超えるか否かを判定するので、到着希望時刻TKを超えるか否かを精度良く判定することができ、且つ、どの程度超えるか否かも算出することができる。
【0030】
ここで、到着予想時刻TY2が到着希望時刻TKをオーバーしない場合には(ステップS23:NO)、制御部24は、乗員が選んだ経由地を設定し(ステップS30)、ステップS31へ移行して該経由地を経由した経路で経路案内を開始する。
一方、到着予想時刻TY2が到着希望時刻TKをオーバーした場合(ステップS23:YES)、制御部24は、到着予想時刻TY2が到着希望時刻TKをオーバーしている旨の警告(例えば、「到着希望時刻を過ぎる可能性がある)旨の警告)を表示部29に表示して乗員に報知するとともに、到着希望時刻TKをオーバー可か否かの選択を乗員に促す(ステップS24)。なお、表示だけでなく、音声で報知しても良い。
警告を報知した場合、制御部24は、乗員が「到着希望時刻TKをオーバー可」を選択すると(ステップS25:NO)、乗員が選んだ経由地の設定をキャンセルしてステップS31へ移行し、経由地を経由しない経路、つまり、ステップS14で検索した、自車位置(現在位置)から目的地へ直交する経路で、経路案内を開始するのに対し、乗員が「到着希望時刻TKをオーバー可能」を選択すると(ステップS25:YES)、ステップS30及び31へ移行して、乗員が選んだ経由地を経由した経路で経路案内を開始する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーションシステム1では、経由地情報となる施設情報のカテゴリに滞在時間を対応づけておき、所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻TYを算出し、乗員が入力した到着希望時刻TKとの時間差である余裕時間TXを求め、この余裕時間TX内に収まる滞在時間のカテゴリに属する施設情報を抽出して提示するようにしたので、カテゴリ分類によって、到着希望時刻TKを考慮した施設情報の抽出ができる。このため、施設情報毎に滞在時間を設定しておく方法よりも簡易かつ少ない情報量で施設情報の抽出ができ、短時間で適切な施設情報の抽出ができる。
また、本システム1では、Webサーバであるサーバ10に最新の施設情報を蓄積させ、この施設情報をナビゲーション装置10に送信する構成にしたので、Webとの連動により、鮮度の新しい施設情報を多数のナビゲーション装置10のユーザーである乗員に提供することが可能となる。
【0032】
しかも、本実施形態では、滞在時間が余裕時間TX内に収まるカテゴリに属するとともに、目的地までの経路から立ち寄り可能な位置条件を満足する施設情報を抽出して提示するので、経由し易い施設情報を適切に抽出することができる。
また、本実施形態では、位置条件として、「目的地(最終目的地)を通り過ぎるような場所は対象外とする」、「現在の自車位置からUターンさせる場所は対象外とする」を含むようにしているので、目的地と自車位置(現在位置)との間に位置して、経由するのに好適な施設情報を効率よく抽出することができる。なお、位置条件は、これに限らず、他の条件を適用しても良い。
【0033】
また、本実施形態では、提示する施設情報のいずれかが選択された場合、ナビゲーション装置10の制御部24が、選択された経由地を経由する新たな経路を検索し、上記施設情報の滞在時間を含めて、上記新たな経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻TY2を算出するので、到着予想時刻TY2を正しく算出することができる。
また、制御部24は、算出した到着予想時刻TY2が到着希望時刻TKを超えた場合に、所定の警告を報知するので、到着希望時刻TKを過ぎる可能性があることを乗員に伝えることができる。
しかも、本実施形態では、算出した到着予想時刻TY2が到着希望時刻TKを超えた場合、制御部24は、乗員の選択に応じて、選択された施設情報を経由しない経路及び選択された施設情報を経由する経路のいずれかに設定するので、乗員が所望の経路を容易に選んで設定することができる。
【0034】
上述した実施形態は、あくまで本発明の一態様に過ぎず、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、施設情報を、Webサーバであるサーバ10からナビゲーション装置10に送信する構成を示したが、これに限らない。例えば、ナビゲーション装置10の記憶部31に施設情報を蓄積し、ナビゲーション装置10の制御部24が、余裕時間TX内に収まる滞在時間のカテゴリに属する施設情報の抽出処理も行うようにしても良い。つまり、サーバ10を使用することなくナビゲーション装置10単体で経由地に好適な施設情報の抽出するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 ナビゲーションシステム
2 ネットワーク
10 サーバ(情報提供サーバ)
11 サーバ通信部
12 サーバ制御部(情報提示部、検索部)
13 サーバ記憶部(蓄積部)
20 ナビゲーション装置
24 制御部(ナビゲーション部、演算部、情報提示部)
29 表示部(情報提示部)
30 入力部(指示入力部)
31 記憶部
32 通信部
TK 到着希望時刻
TY 到着予想時刻
TX 余裕時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地を設定している場合に、所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻を算出するナビゲーション部と、
到着希望時間を入力し、この到着希望時間と前記到着予想時刻との時間差である余裕時間を求める演算部と、
カテゴリで分類可能な経由地情報を蓄積する蓄積部と、
前記カテゴリに滞在時間を予め対応づけ、前記経由地情報の中から、滞在時間が前記余裕時間内に収まるカテゴリに属する経由地情報を抽出して提示する情報提示部とを備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記情報提示部は、滞在時間が前記余裕時間内に収まるカテゴリに属するとともに、前記経路から立ち寄り可能な位置条件を満足する経由地情報を抽出して提示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記情報提示部が提示する経由地情報のいずれかが選択された場合、前記ナビゲーション部は、前記選択された経由地を経由する新たな経路を検索し、前記経由地情報の前記滞在時間を含めて、前記新たな経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーション部は、算出した前記到着予想時刻が前記到着希望時間を超えた場合に、所定の警告を報知することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記ナビゲーション部は、算出した前記到着予想時刻が前記到着希望時間を超えた場合に、ユーザーの選択に応じて、選択された施設情報を経由しない経路及び選択された施設情報を経由する経路のいずれかに設定することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
目的地を設定している場合に、所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻を算出するナビゲーション部と、
到着希望時間を入力し、この到着希望時間と前記到着予想時刻との時間差である余裕時間を求める演算部と、
前記余裕時間を、カテゴリで分類可能な経由地情報を蓄積するサーバに送信し、前記サーバにて抽出された、前記余裕時間内に収まる滞在時間に対応づけられたカテゴリに属する経由地情報を受信する端末側通信部と、
受信した前記経由地情報を提示する情報提示部とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
カテゴリで分類可能な経由地情報を蓄積し、各カテゴリに滞在時間を対応づけるとともに、所定のナビゲーション装置と通信可能に構成され、前記ナビゲーション装置から、到着希望時間と所定の経路を通って目的地に到着する際の到着予想時刻との時間差である余裕時間を受信すると、前記経由地情報の中から、前記余裕時間内に収まる滞在時間に対応づけられたカテゴリに属する経由地情報を抽出し、前記ナビゲーション装置に送信することを特徴とする情報提供サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−15360(P2013−15360A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147139(P2011−147139)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】