説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション装置

【課題】情報配信センターからナビゲーション装置へ配信される情報量を抑える。
【解決手段】ナビゲーション装置により、HDDに記録されたPOI情報において更新対象情報を決定する(ステップS101、S102)。この更新対象情報に対してPOI更新情報を配信するか否かを情報配信センターにおいて判定し(ステップS202)、配信すると判定された場合にはPOI更新情報をナビゲーション装置へ配信する(ステップS203)。ナビゲーション装置は、こうして情報配信センターから配信された更新情報に基づいて更新対象情報を更新し(ステップS106)、その後、情報配信センターから更新情報が配信されたか否かに関わらず、更新対象情報に対して設定された更新期限を延長する(ステップS107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置と、ナビゲーション装置において利用するための情報をナビゲーション装置へ配信する情報配信センターとを有するナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報配信センターとナビゲーション装置を無線通信により接続し、情報配信センターから配信される情報をナビゲーション装置において利用できるようにしたナビゲーションシステムが知られている。たとえば、特許文献1には、地図情報配信センターから配信される最新のPOI情報を画面上に表示するナビゲーション装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−247837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような従来のナビゲーションシステムでは、情報配信センターにおいて情報の内容が更新されているか否かに関わらず、ナビゲーション装置からの要求があると、要求された情報を情報配信センターからナビゲーション装置へ配信している。したがって、配信される情報量が大きくなり、通信料金や通信時間の増加という問題を生じている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるナビゲーションシステムは、車両に搭載されるナビゲーション装置と、ナビゲーション装置において利用するための情報をナビゲーション装置へ配信する情報配信センターとを有するナビゲーションシステムであって、ナビゲーション装置は、情報を記録するための記録手段と、記録手段に記録された情報において更新対象情報を決定する決定手段と、情報配信センターから配信される更新情報に基づいて更新対象情報を更新する更新手段と、情報配信センターから更新情報が配信されたか否かに関わらず、更新対象情報に対して設定された更新期限を延長する期限延長手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、情報配信センターから更新情報が配信されない場合、ナビゲーション装置は、更新手段による更新対象情報の更新を行わずに、期限延長手段による更新期限の延長を行う。また、情報配信センターから更新情報が配信された場合、ナビゲーション装置は、更新手段による更新対象情報の更新を行うと共に、期限延長手段による更新期限の延長を行うものである。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーションシステムにおいて、情報配信センターは、更新情報を配信するか否かを判定する判定手段と、判定手段により更新情報を配信すると判定された場合にのみ、更新情報をナビゲーション装置へ配信する配信手段とを備えるものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載のナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーション装置は、更新対象情報について更新日時情報を情報配信センターへ送信する送信手段をさらに備える。このナビゲーションシステムにおいて、判定手段は、更新日時情報に基づいて更新情報を配信するか否かを判定するものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4いずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、記録手段には、地図上の各POIについてのPOI情報が記録されている。このナビゲーションシステムにおいて、決定手段は、記録手段に記録されたPOI情報においていずれかのPOIを更新対象として特定することにより、更新対象情報を決定するものである。
請求項6の発明は、請求項1〜5いずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて用いられるナビゲーション装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、情報配信センターからナビゲーション装置へ配信される情報量を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーションシステムの構成を図1に示す。このシステムは、車両100に搭載されているナビゲーション装置1および通信端末2と、移動体通信網3と、移動体通信網3を介してナビゲーション装置1へ各種の情報を配信する情報配信センター4とによって構成される。ナビゲーション装置1と通信端末2は、ケーブルを用いた有線接続あるいは無線接続によって接続されている。通信端末2には、たとえば携帯電話などが用いられる。
【0008】
ナビゲーション装置1は、地図データに基づいて地図を表示すると共に、設定された目的地までの推奨経路を探索し、車両100をその目的地まで案内する。またナビゲーション装置1は、情報配信センター4から配信される情報を受信して、その配信情報を様々な用途に利用することができる。たとえば、地図上に存在する各種の設備や施設(POI:Point Of Interest)について、情報配信センター4から配信されるPOI更新情報を受信すると、そのPOI更新情報に基づいて、地図データ中のPOI情報を更新することができる。なお、このPOI情報の具体的な更新方法については、後で詳しく説明する。
【0009】
通信端末2は、ナビゲーション装置1の制御により、必要に応じて移動体通信網3と無線接続を行う。移動体通信網3には、情報配信センター4が接続されている。すなわちナビゲーション装置1は、通信端末2および移動体通信網3を介して情報配信センター4に接続する。なお、通信端末2と移動体通信網3の無線接続には、不図示の無線基地局が用いられる。この無線基地局は、その周囲の所定の通信エリア内にある通信端末2と無線通信することが可能であり、全国各地に散在している。
【0010】
情報配信センター4には、地図上の道路や施設などに関する様々なデータが記録されている。情報配信センター4は、この記録データに基づいて、前述のPOI更新情報を始めとしたナビゲーション装置1において利用するための各種の情報を必要に応じて作成し、ナビゲーション装置1からの配信要求に応じて配信する。こうして情報配信センター4から配信される情報は、POI更新情報に限られない。たとえば、POI情報以外の地図データを更新するための情報や、道路の渋滞情報、天気予報情報、電子メール情報などを、情報配信センター4からナビゲーション装置1へ配信することができる。
【0011】
ナビゲーション装置1の構成を図2に示す。ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、GPS受信部14、表示モニタ15および入力装置16を備えている。
【0012】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10により、車両100を目的地まで案内するための様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、車両100の現在位置の検出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の音声出力処理などが実行される。制御部10には通信端末2が接続されており、制御部10によって通信端末2を制御することで、ナビゲーション装置1から図1の情報配信センター4に対して、様々な情報の配信要求が行われる。この配信要求に応じて情報配信センター4から配信された情報は、通信端末2を経由して制御部10へ出力される。
【0013】
振動ジャイロ11は、車両100の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、車両100の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサを用いて車両100の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、車両位置の移動量が求められ、それによって車両100の現在位置が検出される。
【0014】
HDD13は、記録されたデータを書き換え可能な不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD13に記録されている地図データは、必要に応じて制御部10の制御により読み出され、制御部10が実行する様々な処理や制御に利用される。この地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って車両100を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状を表す。背景データは、河川や鉄道など道路以外の地図形状を表す。
【0015】
なお、上記の背景データの中には、前述のPOI情報も含まれている。このPOI情報は、地図上の各POIについての様々な情報、たとえば位置、名称、施設種類などを表している。さらに、営業時間や飲食店のメニュー表などの詳細な情報がPOI情報に含まれることもある。HDD13には、このような地図上の各POIについてのPOI情報が記録されている。
【0016】
HDD13に記録されている地図データは、その一部または全部を必要に応じて書き換えることにより、更新が可能である。この地図データの更新は、情報配信センター4からの配信情報に含まれるデータや、不図示のDVDドライブに装填されたDVD等の記録メディアから読み出されたデータ、外部装置からの入力データなどに基づいて行われる。あるいは、ナビゲーション装置1からHDD13を取り外してパーソナルコンピュータ等と接続することにより、地図データを更新できるようにしてもよい。
【0017】
HDD13に記録されている地図データには、その更新単位ごとに更新日時と更新期限が設定されている。上記のようにしてHDD13に記録された地図データが更新されると、そのときの日時が新たに更新日時として設定されると共に、更新期限の延長が行われる。この更新期限の延長は、更新日時から一定期間後、たとえば3ヶ月後の日時が新たに更新期限として設定されることにより行われる。なお、地図データの全部ではなく一部が更新された場合には、更新した部分に対してのみ新たな更新日時の設定と更新期限の延長が行われる。すなわち、更新していない部分については、更新前に設定されていた更新日時と更新期限がそのまま適用される。
【0018】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、車両100の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて車両100の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0019】
表示モニタ15は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ15により、地図画面の表示などが行われる。表示モニタ15に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ15は、たとえば車両100のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0020】
入力装置16は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは入力装置16を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置16は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、表示モニタ15と一体化されたタッチパネルにより入力装置16を実現してもよい。
【0021】
ユーザが入力装置16を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、目的地までの推奨経路を探索する。そして、車両100の現在位置を検出し、その周辺の道路地図を表示しながら、探索された推奨経路に従って車両100を目的地まで誘導する。
【0022】
次に、情報配信センター4から配信されたPOI更新情報に基づいて、HDD13に記録された地図データ中のPOI情報を更新する方法について説明する。このときのフローチャートを図3に示す。図3において、(a)のフローチャートはナビゲーション装置1の制御部10において実行され、(b)のフローチャートは情報配信センター4において実行される。これらのフローチャートは、いずれも所定の時間間隔ごとに繰り返し実行される。
【0023】
図3(a)のステップS101では、HDD13に記録されたPOI情報において、更新期限の判断を行うPOIを選択する。ここでは、様々な方法によってPOIを選択することができる。たとえば、車両100の現在位置から所定範囲内に存在するPOIや、設定された推奨経路に沿って所定の距離範囲内に存在するPOIなどを、更新期限の判断を行うPOIとして選択することができる。さらにこのとき、施設種類などの条件を設定して選択対象とするPOIを絞り込むようにしてもよい。
【0024】
ステップS102では、ステップS101において選択されたPOIの中から更新期限切れのPOIを抽出する。なお、HDD13に記録されているPOI情報には、各POIごとに更新日時と更新期限が前述したようにそれぞれ設定されている。そのため、ステップS101で選択したPOIに対して設定された更新期限を現在の日時と比較して、既に更新期限を過ぎているものがあれば、そのPOIを更新期限切れのPOIとして抽出することができる。こうして更新期限切れのPOIを抽出したら、次のステップS103へ進む。
【0025】
以上説明したステップS101およびS102の処理を実行することで、POI情報を更新するPOIが特定される。すなわち、ステップS101においてPOIを選択し、ステップS102においてその選択されたPOIのうちいずれかを更新期限切れのPOIとして抽出することで、HDD13に記録されたPOI情報においていずれかのPOIが更新対象として特定される。こうして特定されたPOIを対象として、続くステップS103の処理が実行される。このようにして、HDD13に記録された情報において更新対象情報が決定される。
【0026】
ステップS103では、ステップS101およびS102の処理を実行することによって特定された更新対象のPOIについて、POI情報の更新要求および更新日時情報を情報配信センター4に対して送信する。ここで送信した更新要求および更新日時情報は、情報配信センター4において、図3(b)のステップS201で受信される。なお、この更新要求および更新日時情報の送信は、前述のように通信端末2および移動体通信網3を介して行われる。
【0027】
ステップS104では、ステップS103で送信したPOI情報の更新要求に応じて情報配信センター4からPOI更新情報が配信されたか否かを判定する。情報配信センター4からPOI更新情報が配信され、その後に更新期限の延長指示があった場合は、ステップS105へ進む。一方、情報配信センター4からPOI更新情報が配信されることなく更新期限の延長指示があった場合は、ステップS107へ進む。この更新期限の延長指示は、情報配信センター4において、図3(b)のステップS204で行われる。なお、POI更新情報は、情報配信センター4において図3(b)のステップS202で実行される判定結果によっては、配信されない場合もある。
【0028】
ステップS105では、情報配信センター4から配信されたPOI更新情報を受信する。このPOI更新情報は、ナビゲーション装置1において当該POI情報を最新の内容へと更新するための情報であり、後で説明する図3(b)のステップS203において情報配信センター4から配信される。
【0029】
ステップS106では、ステップS105で受信したPOI更新情報に基づいてPOI情報の更新を行う。これにより、ステップS101およびS102において更新対象に特定されたPOIについて、HDD13に記録されたPOI情報が更新される。さらにこのとき、更新を行った日時すなわち現在の日時を、そのPOI情報に対する新たな更新日時として設定する。ステップS106を実行したら、ステップS107へ進む。
【0030】
なお、ステップS103において複数のPOIについてPOI情報の更新要求を情報配信センター4へ送信した場合は、後で説明するように、情報配信センター4からそのうち一部のPOIについてのみPOI更新情報が配信される場合がある。このような場合、ステップS106において、POI更新情報が配信されたPOIについてのみPOI情報を更新し、POI更新情報が配信されなかったPOIについてはPOI情報を更新しないようにする。
【0031】
ステップS107では、ステップS103で更新要求を送信したPOI情報に対して設定された更新期限を延長する。このとき、たとえば現在から3ヶ月後の日時を新たな更新期限として設定することにより、更新期限を延長する。ステップS107を実行したら、図3(a)のフローチャートを終了する。
【0032】
なお、ステップS107では、情報配信センター4からPOI更新情報が配信され、それに応じてステップS106において実際にPOI情報を更新したか否かに関わらず、更新要求を送信した全てのPOI情報について更新期限を延長する。すなわち、POI情報の更新要求を送信したが、情報配信センター4からPOI更新情報が配信されなかったPOIについては、ステップS106においてそのPOI情報の更新を行わずに、ステップS107において更新期限だけを延長する。一方、POI情報の更新要求を送信し、それに応じて情報配信センター4からPOI更新情報が配信されたPOIについては、ステップS106においてそのPOI情報の更新を行うと共に、ステップS107において更新期限の延長を行う。
【0033】
ナビゲーション装置1では、以上説明したような処理が実行されることにより、HDD13に記録された地図データにおいてPOI情報が更新される。
【0034】
次に、情報配信センター4において実行される図3(b)のフローチャートについて説明する。ステップS201では、更新対象に特定されたPOIについてナビゲーション装置1から送信されたPOI情報の更新要求および更新日時情報を受信する。なお、ここで受信されるPOI情報の更新要求および更新日時情報は、先に説明した図3(a)のステップS103においてナビゲーション装置1から送信されたものである。
【0035】
ステップS202では、ステップS201で受信した更新日時情報に基づいて、更新要求されたPOI情報について、ナビゲーション装置1側の更新日時と情報配信センター4側の更新日時のどちらが古いかを判定する。ナビゲーション装置1側の更新日時の方が古い場合、すなわち情報配信センター4において記録されているPOI情報の方が新しい場合は、POI更新情報の配信を行うと判断してステップS203へ進む。一方、情報配信センター4側の更新日時の方が古い場合、すなわちナビゲーション装置1のHDD13において記録されているPOI情報の方が新しい場合は、POI更新情報の配信を行わないと判断してステップS204へ進む。このようにして、POI更新情報を配信するか否かを判定する。
【0036】
ステップS203では、POI更新情報の配信を行う。ここでは、情報配信センター4に記録されているPOI情報のうち、ナビゲーション装置1から更新要求が送信され、かつステップS202においてナビゲーション装置1側の更新日時の方が古いと判定されたPOI情報の内容を、POI更新情報として配信する。これにより、ステップS202においてPOI更新情報を配信すると判定された場合にのみ、POI更新情報をナビゲーション装置1へ配信する。ステップS203を実行したら、次のステップS204へ進む。このPOI更新情報の配信は、図3(a)のステップS103における更新要求および更新日時情報の送信と同様に、通信端末2および移動体通信網3を介して行われる。
【0037】
なお、ステップS201において複数のPOIについてPOI情報の更新要求をナビゲーション装置1から受信していた場合は、各POIごとに上記のステップS202およびS203の処理を実行する。すなわち、ナビゲーション装置1側の更新日時の方が古いPOIについては、ステップS203においてPOI更新情報を配信する。その一方で、情報配信センター4側の更新日時の方が古いPOIについては、ステップS203を実行せずにPOI更新情報の配信を行わない。その結果、ナビゲーション装置1においてPOI情報の更新を要求したPOIのうち、一部のPOIについてのみ情報配信センター4からナビゲーション装置1へPOI更新情報が配信される場合がある。
【0038】
さらに、ステップS203においてPOI更新情報を配信する際には、差分情報のみを配信するようにしてもよい。すなわち、ナビゲーション装置1からPOI情報の更新要求と共に送信された更新日時情報に基づいて、ナビゲーション装置1のHDD13に記録されている当該POI情報の内容と、情報配信センター4に記録されている当該POI情報の内容との差分を求める。この差分の情報のみをPOI更新情報として送信すれば、当該POI情報をそのまま配信する場合と比べて、情報配信センター4からナビゲーション装置1へ配信される情報量を低減することができる。
【0039】
ステップS204では、ナビゲーション装置1に対して更新期限の延長指示を行う。この更新期限の延長指示がステップS203によるPOI更新情報の配信後に行われたか否かにより、図3(a)のステップS104の判定がナビゲーション装置1において行われる。この更新期限の延長指示も、ステップS203におけるPOI更新情報の配信と同様に、通信端末2および移動体通信網3を介して行われる。なお、ステップS203においてPOI更新情報の配信を行う際に、一緒にステップS204の更新期限の延長指示を行うようにしてもよい。
【0040】
ステップS204を実行したら、図3(b)のフローチャートを終了する。情報配信センター4では、以上説明したような処理が実行されることにより、ナビゲーション装置1に対してPOI更新情報が配信される。
【0041】
上記のようにしてHDD13に記録されたPOI情報を更新する様子を、図4に示す画面例により説明する。図4(a)は、施設種類に飲食店を指定したときの周辺施設検索結果の表示画面例であり、これには検索された飲食店の名称と場所が表示されている。図4(b)は、図4(a)の画面においてユーザに選択された施設について詳細情報を表示した画面例であり、これには営業時間やメニュー表などが表示されている。
【0042】
ナビゲーション装置1において、ユーザの操作により図4のような画面を表示するように指示されると、それに先立って、表示対象とするPOIについてPOI情報の更新要求を情報配信センター4に対して行い、更新期限が過ぎたPOI情報を更新する。その後、更新されたPOI情報に基づいて、図4に示すような画面が表示される。なお、以上説明した内容はあくまでPOI情報を更新するときの一例であるため、これ以外の場合であっても、状況に応じて様々なタイミングによりPOI情報の更新が行われる。
【0043】
上記の実施の形態では、POI情報を更新する場合の処理内容を図3および図4により説明したが、他の情報、たとえばPOI情報以外の地図情報や、地図情報以外の様々な情報を更新する場合にも、同様の処理を適用することができる。すなわち、ナビゲーション装置1において、HDD13に記録されている情報の一部をその更新単位に応じて更新対象情報に決定すれば、POI情報の場合と同様に、情報配信センター4から配信される更新情報に基づいて、その更新対象情報を更新することができる。また、情報配信センター4から更新情報が配信されたか否かに関わらず、更新対象情報に対して設定された更新期限を延長することができる。
【0044】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ナビゲーション装置1により、HDD13に記録された情報において更新対象情報を決定し(ステップS101、S102)、情報配信センター4から配信される更新情報に基づいて、その更新対象情報を更新する(ステップS106)。さらに、情報配信センター4から更新情報が配信されたか否かに関わらず、更新対象情報に対して設定された更新期限を延長する(ステップS107)こととした。このようにしたので、情報配信センター4から更新情報を配信しなくてもナビゲーション装置1において更新期限を延長できるため、情報配信センターからナビゲーション装置へ配信される情報量を抑えることができる。
【0045】
(2)情報配信センター4から更新情報が配信されたか否かを判定する(ステップS104)。この判定結果により、情報配信センター4から更新情報が配信されない場合、ナビゲーション装置1は、ステップS106による更新対象情報の更新を行わずに、ステップS107による更新期限の延長を行う。また、情報配信センター4から更新情報が配信された場合、ナビゲーション装置1は、ステップS106による更新対象情報の更新を行うと共に、ステップS107による更新期限の延長を行うこととした。このようにしたので、情報が更新されたか否かに関わらず、ナビゲーション装置1において更新を要求した全ての情報について、更新期限を延長することができる。
【0046】
(3)情報配信センター4において、更新情報を配信するか否かを判定し(ステップS202)、更新情報を配信すると判定された場合にのみ、更新情報をナビゲーション装置1へ配信する(ステップS203)こととした。このようにしたので、情報配信センター4からナビゲーション装置1へ無駄な更新情報が配信されるのを防いで、その情報量を抑えることができる。
【0047】
(4)ナビゲーション装置1において、更新対象情報について更新日時情報を情報配信センター4へ送信する(ステップS103)。情報配信センター4では、ステップS202において、この更新日時情報に基づいて更新情報を配信するか否かを判定する。すなわち、更新日時情報が表すナビゲーション装置1側の更新日時と、情報配信センター4側の更新日時とをステップS202で比較する。この比較結果により、ナビゲーション装置1側の更新日時が古ければ更新情報を配信すると判定してステップS203へ進み、情報配信センター4側の更新日時が古ければ更新情報を配信しないと判定してステップS204へ進むこととした。このようにしたので、更新情報を配信するか否かを的確に判断することができる。
【0048】
(5)HDD13には、地図上の各POIについてのPOI情報が記録されている。ステップS101とS102では、このPOI情報においていずれかのPOIを更新対象として特定することにより、更新対象情報を決定することとした。このようにしたので、更新が必要なPOI情報のみを更新対象情報に決定し、その内容を更新することができる。
【0049】
なお、以上説明した実施の形態や各種の変形例は、あくまで一例である。したがって、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【0050】
以上説明した実施の形態では、記録手段をHDD13により実現し、特許請求の範囲に記載されたそれ以外の各手段を、ナビゲーション装置1の制御部10または情報配信センター4において実行される処理によってそれぞれ実現することとした。すなわち、ナビゲーション装置1の制御部10は、決定手段、更新手段、期限延長手段および送信手段として機能することができる。また、情報配信センター4は、判定手段および配信手段として機能することができる。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの構成図である。
【図2】ナビゲーション装置の構成図である。
【図3】POI情報を更新する際のフローチャートであり、(a)はナビゲーション装置において実行されるフローチャートを、(b)は情報配信センターにおいて実行されるフローチャートをそれぞれ示している。
【図4】POI情報を更新する様子を説明するための画面例であり、(a)は施設種類に飲食店を指定したときの周辺施設検索結果の表示画面例を、(b)はユーザに選択された施設について詳細情報を表示した画面例をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0052】
1:ナビゲーション装置 2:通信端末
3:移動体通信網 5:情報配信センター
10:制御部 11:振動ジャイロ
12:車速センサ 13:HDD
14:GPS受信部 15:表示モニタ
16:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるナビゲーション装置と、前記ナビゲーション装置において利用するための情報を前記ナビゲーション装置へ配信する情報配信センターとを有するナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、
情報を記録するための記録手段と、
前記記録手段に記録された情報において更新対象情報を決定する決定手段と、
前記情報配信センターから配信される更新情報に基づいて、前記更新対象情報を更新する更新手段と、
前記情報配信センターから前記更新情報が配信されたか否かに関わらず、前記更新対象情報に対して設定された更新期限を延長する期限延長手段とを備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記情報配信センターから前記更新情報が配信されない場合、前記ナビゲーション装置は、前記更新手段による前記更新対象情報の更新を行わずに、前記期限延長手段による前記更新期限の延長を行い、
前記情報配信センターから前記更新情報が配信された場合、前記ナビゲーション装置は、前記更新手段による前記更新対象情報の更新を行うと共に、前記期限延長手段による前記更新期限の延長を行うことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記情報配信センターは、
前記更新情報を配信するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記更新情報を配信すると判定された場合にのみ、前記更新情報を前記ナビゲーション装置へ配信する配信手段とを備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、前記更新対象情報について更新日時情報を前記情報配信センターへ送信する送信手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記更新日時情報に基づいて前記更新情報を配信するか否かを判定することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記記録手段には、地図上の各POIについてのPOI情報が記録されており、
前記決定手段は、前記記録手段に記録されたPOI情報においていずれかのPOIを更新対象として特定することにより、前記更新対象情報を決定することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて用いられるナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−139204(P2009−139204A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315400(P2007−315400)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】