説明

ナビゲーションシステム、地図情報更新方法およびプログラム

【課題】地図情報の更新の必要性に応じた頻度で地図情報の更新要求を行う技術の提供。
【解決手段】記録媒体に記録された地図情報の更新要求を前記地図情報の管理装置に対して出力し、前記管理装置が出力する更新情報によって前記地図情報を更新するにあたり、車両が走行した地点に関する地点関連情報を取得し、前記地点関連情報に前記地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、前記地図情報の更新を示唆する変化が生じる前よりも前記更新要求が出力される頻度を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報を更新可能なナビゲーションシステム、地図情報更新方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等で利用されるナビゲーションシステムが参照する地図情報を更新するための各種技術が開発されている。例えば、特許文献1においては、車両の電源がオフとなった状態が所定時間(2時間等)継続した場合に車両から停車位置データをセンタに送信し、センタにおいて停車位置データの周辺の地図情報の更新量が所定以上となったと判定された場合に地図情報を更新する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−101943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、無駄な通信を抑制することができなかった。すなわち、従来技術においては、ナビゲーションシステムにおいてセンタに蓄積された地図情報が更新された確率が低い状態であってもナビゲーションシステムとセンタとの通信が行われ、かつ、その頻度が多いため、無駄な通信が頻繁に行われてしまう。上述の特許文献1のように、停車位置データの周辺の地図情報の更新量が所定以上となった場合にセンタから地図情報が送信される構成であるとしても、ナビゲーションシステムからセンタに停車位置データを送信するための通信はやはり頻繁に行われる。すなわち、特許文献1においては、車両の電源がオフとなった状態が所定時間継続した場合に停車位置データをセンタに送信するが、当該所定時間は例えば2時間とされており、昼間に車両を利用して夜間は駐車場に駐車し、再度昼間に車両を利用するような態様においては、実質的に車両を利用するたびにナビゲーションシステムからセンタに停車位置データが送信されることになる。そして、一般的には、地図情報の更新が頻繁に行われることはなく、例えば、1日毎に地図情報が更新されることはないため、車両を利用するたびに地図情報の更新要求を行ったとしても、大半は無駄な通信になってしまう。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、地図情報の更新の必要性に応じた頻度で地図情報の更新要求を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明においては、記録媒体に記録された地図情報の更新要求を地図情報の管理装置に対して出力し、管理装置が出力する更新情報によって地図情報を更新する構成において、車両が走行した地点に関する地点関連情報に基づいて更新要求が出力される頻度を変動させる。具体的には、地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、地図情報の更新を示唆する変化が生じる前よりも更新要求の頻度を増加させる構成としている。
【0006】
地図情報が更新された場合、更新対象の道路や地物が以前と比較して実際に変化しているため、当該更新対象の道路や地物が変化することによって当該道路や地物の地点あるいはその周辺の地点に何らかの変化が生じるはずである。すなわち、地図情報が更新されると、当該地図情報の更新を示唆する変化が、更新地点あるいはその周辺に実際に現れる。そこで、地図情報の更新を示唆し得る情報を地点に関連づけて地点関連情報として取得するように構成すれば、当該地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、地図情報の更新要求の頻度を増加させることで、地図情報が更新された確率が相対的に高まった状態で地図情報の更新要求の頻度を増加させることができる。この結果、地図情報の更新の必要性に応じた頻度で地図情報の更新要求を行うことが可能である。
【0007】
ここで、ナビゲーションシステムは、記録媒体に記録された地図情報を利用してルート案内等のナビゲーション処理を実行可能であれば良く、地図情報の管理装置にて当該地図情報が更新された場合には少なくとも更新された情報を管理装置から取得してナビゲーション処理に利用可能である。そして、当該地図情報の更新は更新要求に応じて実行され、当該更新要求は地点関連情報に応じて変動される更新要求の出力頻度に従って実行される。
【0008】
地点関連情報取得手段は、車両が走行した地点に関する地点関連情報を取得することができれば良い。すなわち、車両が走行した地点に関連する情報であるとともに、地図情報が更新されることによって当該情報の内容が変動し得るような情報を取得することができればよい。そして、当該地点関連情報の変化が地図情報の更新を示唆しているとみなすことができるように構成されていればよい。
【0009】
また、地点関連情報は、車両が走行した地点に関する情報であり、車両が実際に走行した地点あるいは当該地点周辺(当該地点から所定範囲内の領域)に関する情報を地点関連情報とすることで、当該地点や当該地点周辺に関する地図情報の更新が生じた場合に変化し得る地物や地物の状態、車両の状態のいずれかまたは組み合わせ等を示す情報によって構成可能である。従って、車両が実際に当該地点を含む区間を走行している過程にて当該地点関連情報が取得される構成とすることが好ましい。
【0010】
更新要求頻度変更手段は、地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、地図情報の更新を示唆する変化が生じる前よりも更新要求が出力される頻度を増加させることができればよい。すなわち、地点関連情報との比較対象として予め決められた情報と、当該地点関連情報とを比較することによって地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じた否かが特定される構成とする。地点関連情報と比較対象とを比較する際には、最新の地点関連情報と過去の地点関連情報とを比較しても良いし、最新の地点関連情報と予め定義された基準情報(例えば、地図情報に含まれた情報)とを比較しても良い。また、地点関連情報は1種類の情報であっても良いし、複数種類の情報であっても良い。地点関連情報が複数の種類の対象について取得される場合、地点関連情報の種類毎に地図情報の更新を示唆する変化が生じているか否か判定されても良いし、複数の種類の地点関連情報の総合的な変化が地図情報の更新を示唆するか否か判定されても良い。
【0011】
さらに、更新要求の出力頻度を変化させる際には、地図情報の更新を示唆する変化が生じる前よりも更新要求が出力される頻度が増加するように更新要求の出力頻度を変化させることができればよいが、むろん、地点関連情報に地図情報の更新が示唆されない変化が生じた場合に更新要求が出力される頻度が減少するように更新要求の出力頻度を変化させてもよいし、地図情報が更新された後に更新要求の出力頻度をデフォルト値に戻しても(更新要求の出力頻度を減少させても)よい。
【0012】
さらに、更新要求の出力頻度は一定量増加されても良いし、地点関連情報の変化に依存して増加量が調整されても良い。後者の例として、複数の観測対象について地点関連情報を取得し、複数の観測対象の中で地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じた観測対象を着目対象として特定し、着目対象に対応付けられた地図情報の更新確率の高さを示す示唆度を取得し、着目対象についての示唆度の和が大きいほど基準の更新要求の出力頻度に対する増加度が大きくなるように更新要求の頻度を増加させる構成としても良い。
【0013】
すなわち、観測対象が異なる複数の地点関連情報を取得する構成とする。また、観測対象が異なれば、観測対象に変化が生じた場合に地図情報が更新された確率の高さも異なる。従って、地図情報が更新された確率の高さを示す示唆度を予め観測対象毎の地点関連情報に対して対応付けておけば、複数の観測対象の中で地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じた観測対象に対応付けられた示唆度の和が大きいほど地図情報が更新された確率が高くなると見なすことができる。そこで、当該示唆度の和が大きいほど基準の更新要求の出力頻度に対する増加度が大きくなるように更新要求の頻度を増加させることにより、地図情報が更新された確率が高くなるほど地図情報が更新されやすくなるように構成することができる。
【0014】
ここで、観測対象は、実在の地物であっても良いし、地物における物理現象であっても良い。実在の地物が観測対象となる場合、道路標識や道路の凹凸などのように地物自体が観測対象となっても良いし、単位時間当たりの道路上の車両数などから導出される渋滞度のように地物の状況が観測対象となっても良い。地物における物理現象としては、車両の車速等が挙げられる。いずれにしても、観測対象に比較対象(以前の状態や基準状態)と比較して変化が生じた場合に、その変化が地図情報の更新に起因する確率を観測対象毎に比較して示唆度を定義することができればよい。
【0015】
さらに、地点関連情報として、車両が走行した道路上または当該道路の周囲に存在する道路標識を示す情報を取得する構成としても良い。この構成においては、道路標識が記録媒体に記録された地図情報と比較して変化している場合に、地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じたとみなす。すなわち、道路標識に関する地図情報は、実在の道路標識の地点を特定することによって定義されるため、車両の走行過程で観測された道路標識が地図情報と整合しない場合、高い確率で当該道路標識や当該道路標識が存在した道路が変更されたことになる。従って、以上の構成によれば、地図情報が更新された確率が高い場合に更新要求の出力頻度を増加させることができる。なお、道路標識が地図情報と比較して変化しているか否かを判定する際には、観測された道路標識が地図情報の示す道路標識と異なるか否かを判定しても良いし、観測された道路標識が地図情報に存在しない(新しい道路標識である)か否かを判定しても良い。
【0016】
さらに、地点関連情報として、車両が走行した道路に関する交通情報を取得する構成としても良い。この構成においては、記録媒体に記録された地図情報が示す道路の交通についての統計情報と交通情報とが異なる場合に、地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じたとみなす。すなわち、道路上の地点毎(区間毎)に渋滞度等の交通情報を統計すると、統計的に当該地点における交通情報が特定の状態であると定義することができる。例えば、特定の地点における渋滞度は統計的に混雑状態であると定義することができる。むろん、統計を行う際に時刻毎の統計を行っても良い。
【0017】
このように、地点毎の交通情報の統計が統計情報として定義された場合、当該地点あるいは当該地点の周辺における道路や施設に変化がなければ、当該地点あるいは当該地点の周辺における交通の状態は統計情報が示す状態に類似すると推定できる。一方、当該地点あるいは当該地点の周辺における交通の状態が、統計情報が示す状態と異なる場合、当該地点あるいは当該地点の周辺における道路や施設に変化があった(従って、地図情報が更新されるべき状態である)と推定することができる。そこで、車両が走行した道路に関する交通情報を取得し、当該取得された交通情報と統計情報とが異なる場合に更新要求の出力頻度を増加させる構成とすることで、地図情報が更新された確率が高い場合に更新要求の出力頻度を増加させることができる。
【0018】
なお、比較対象となる交通情報を取得する回数は種々の回数を想定可能である。例えば、少数回(例えば、1〜3回程度)取得した交通情報と統計情報とを比較しても良いし、多数回(例えば、10回程度)取得した交通情報と統計情報とを比較しても良い。すなわち、前者においては、交通情報が統計情報に対して急激に変化したか否かを判定することになり、後者においては、交通情報が統計情報に対して定常的に変化しているか否かを判定することになる。むろん、両者における変化度合いは異なっていても良いし、交通情報を取得する回数ではなく、比較対象となる交通情報を取得する期間が定義されていても良い。
【0019】
さらに、地点関連情報として、車両が走行した道路上での車両の動作情報を取得する構成としても良い。この構成においては、最新の動作情報が過去の動作情報に対して所定量以上の変化をした場合に、地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じたとみなす。すなわち、道路や道路の周辺の地物が変化すると、車速や車両の振動の度合いが変化するため、車両の動作が過去と比較して変化していれば、道路や道路の周辺が変化した(従って、地図情報が更新されるべき状態である)と推定することができる。そこで、地点関連情報としての動作情報が取得された場合に記録媒体に記録する構成とし、最新の動作情報と過去の動作情報とを比較すれば、両者に所定量の変化がある場合に地図情報の更新を示唆する変化が生じたと見なすことができる。そして、両者に所定量の変化がある場合に更新要求の出力頻度を増加させる構成とすることで、地図情報が更新された確率が高い場合に更新要求の出力頻度を増加させることができる。
【0020】
なお、最新の動作情報と比較される過去の動作情報は、過去の統計であっても良いし、過去の特定の時点で取得された動作情報であっても良い。また、地図情報の更新を示唆する変化が生じたと見なされる所定量は、地図情報が更新された確率が有意な確率となる程度の所定量として予め定義されていればよい。
【0021】
さらに、本発明のように車両が走行した地点に関連する地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に更新要求が出力される頻度を増加させる手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ナビゲーションシステムを示すブロック図である。
【図2】(2A)は更新要求頻度変更処理、(2B)は更新要求処理および地図情報送信処理を示すフローチャートである。
【図3】示唆度の和と更新要求の出力頻度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーションシステムの構成:
(2)地図情報更新プログラムの処理:
(2−1)更新要求頻度変更処理:
(2−2)更新要求処理および地図情報送信処理:
(3)他の実施形態:
【0024】
(1)ナビゲーションシステムの構成:
図1は、車両に搭載されたナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。本実施形態にかかる車両(図1に示すC)は、ナビゲーションシステム10を備えている。ナビゲーションシステム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20を備えており、ROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラムを実行可能であり、当該ナビゲーションプログラムは、ナビゲーション処理に付随する各種の機能を実現する複数のプログラムモジュールから構成されている。本実施形態においては、当該プログラムモジュールの一つとして地図情報更新プログラム21が備えられている。当該地図情報更新プログラム21は、更新された地図情報が当該地図情報を管理する地図情報管理装置110に蓄積されている場合に、当該更新された地図情報を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。
【0025】
本実施形態にかかる車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とカメラ44と振動センサ45と通信部46とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を示す信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、GPS受信部41の出力信号から特定される車両の現在位置を補正するなどのために利用される。また、車両の現在位置は、当該車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。
【0026】
カメラ44は、車両が走行している道路を視野に含むように車両に取り付けられており、車両が走行する道路上に存在する地物の像を示す画像情報を生成して出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介して当該画像情報を取得し、当該画像情報に基づいて道路上に形成された道路標識(例えば、ペイント等)を検出することができる。
【0027】
振動センサ45は、車両の振動(路面に対して垂直な方向の変動)に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介して当該信号を取得し、振動の程度を検出する。なお、振動センサ45は、車両の振動を検出することができればよく、加速度センサやサスペンションの高さを検出するセンサなど種々のセンサを採用することが可能である。
【0028】
通信部46は、車両の外部の図示しない地図情報管理装置110と交通情報管理装置120とのそれぞれと通信を行う回路を備えており、制御部20は、通信部46を介して地図情報管理装置110、交通情報管理装置120と通信を行うことができる。
【0029】
地図情報管理装置110は、図示しない記録媒体に地図情報を記録して保持しており、道路や道路周辺の施設等の変化に応じて所定のタイミング(例えば、一定期間毎)で当該地図情報が更新される。また、地図情報にはバージョン情報が対応付けられており、地図情報が更新される際には更新された地図情報である更新情報に対して更新後のバージョンを示すバージョン情報が対応付けられる。
【0030】
本実施形態において、制御部20は、後述する更新要求の出力頻度に従って地図情報管理装置110に対して通信部46を介して地図情報の更新要求を出力する。当該更新要求には車両に保持された地図情報(後述する地図情報30a)の中で最も新しいバージョンに対応するバージョン情報が含まれる。すなわち、記録媒体に記録された地図情報30aは、初期に生成された地図情報に対して更新情報が追加された状態となり得るため、更新情報が追加された場合には最も新しい更新情報に対応付けられたバージョン情報が更新要求とともに出力される。
【0031】
地図情報管理装置110が当該更新要求を受信すると、当該更新要求に含まれるバージョン情報と地図情報管理装置110の記録媒体に記録されている地図情報のバージョン情報とを比較する。そして、地図情報管理装置110は、地図情報管理装置110の記録媒体に記録されている地図情報のバージョンの方が新しい場合に、車両側に保持されていない地図情報を抽出し、更新情報として送信する。制御部20は、通信部46を介して地図情報管理装置110から送信された更新情報を受信すべく待機しており、更新情報を受信した場合には受信した更新情報を既存の地図情報に追加することで地図情報を更新する。
【0032】
交通情報管理装置120は、道路の周辺に設置されたセンサや車両から送信されるプローブ情報等に基づいて道路区間毎の渋滞度(道路区間毎の平均的な車両の量)を示す交通情報を生成し、送信する装置である。すなわち、交通情報管理装置120は、所定のタイミングあるいは車両からの要求に応じて道路区間毎の渋滞度を示す交通情報を送信する。制御部20は、通信部46を介して当該交通情報を取得し、道路区間毎の渋滞度を特定することが可能である。
【0033】
車両に備えられた記録媒体30には、予め地図情報30aおよび更新頻度情報30cが記録されている。また、これらの情報はナビゲーションプログラムの実行過程に修正され得る。さらに、ナビゲーションプログラムの実行過程においては地点関連情報30bが生成され、記録媒体30に記録される。地図情報30aは、車両が走行する道路の端点に対応するノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ等を含んでいる。
【0034】
さらに、本実施形態において地図情報30aには、リンクデータが示す道路区間上に形成された道路標識(速度や進行方向を示すペイント等)および当該道路標識の位置を示す道路標識データが含まれている。また、地図情報30aには、リンクデータが示す道路区間上の過去の平均的な渋滞度を示す統計データが対応付けられている。さらに、本実施形態において地図情報30aは、初期に生成された地図情報によって構成され、あるいは当該地図情報に対して更新情報が追加された状態によって構成される。初期に生成された地図情報30aや更新情報には情報の生成タイミングに対応したバージョン情報が対応付けられている。すなわち、初期に生成された地図情報30aの集合には初期のバージョンであることを示すバージョン情報が対応付けられ、新たな地図情報が生成された場合には既存の情報に対する差分の情報の集合に対して新たなバージョンであることを示すバージョン情報が対応付けられる。すなわち、地図情報30aには、記録媒体30に記録された地図情報30aの中の最新バージョンを特定可能にバージョン情報が対応づけれている。
【0035】
更新頻度情報30cは、制御部20が通信部46を介して地図情報管理装置110に対して地図情報30aの更新要求を出力する頻度を示す情報であり、デフォルトの更新要求の出力頻度(基準の更新要求の出力頻度)を示す更新頻度情報30cが予め生成されて記録媒体30に記録される。なお、本実施形態におけるデフォルトの更新要求の出力頻度は1回/二ヶ月であり、ナビゲーションプログラムの実行過程において、更新要求の出力頻度は修正され得る。
【0036】
制御部20は、ナビゲーションプログラムに含まれる地図情報更新プログラム21を実行することにより、地図情報30aの更新を行い、地図情報管理装置110において地図情報が更新された確率が高い場合には更新要求の出力頻度が増加するように修正する処理を実行する。この処理を実行するため、地図情報更新プログラム21は、地点関連情報取得部21aと更新要求頻度変更部21bと更新制御部21cとを備えている。
【0037】
地点関連情報取得部21aは、車両が走行した地点に関する地点関連情報30bを取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、地点関連情報取得部21aの処理により、車両が走行した地点に関連する情報であるとともに、地図情報の更新に対応して内容が変動し得る情報であり、かつ、当該内容の変動が地図情報30aの更新を示唆しているとみなすことができる情報を地点関連情報30bとして取得する。
【0038】
すなわち、地図情報管理装置110において地図情報が更新された場合、更新対象の道路や地物が以前と比較して実際に変化しているため、当該更新対象の道路や地物が変化することによって当該道路や地物の地点あるいはその周辺の地点に何らかの変化が生じるはずである。従って、当該変化となり得る事象を観測することにより、地図情報の更新を示唆する変化を観測することができる。
【0039】
具体的には、制御部20は、予め決められた観測対象を観測した結果を示す地点関連情報30bを生成し、記録媒体30に記録する。本実施形態において、車両は実際に車両が走行する過程で当該観測対象を観測するように構成されており、地点関連情報30bを記録媒体に記録する際に、制御部20は観測対象を観測する際に車両が走行した地点を地点関連情報30bに対応付ける。また、本実施形態における観測対象は、車両が走行した道路上の道路標識と、車両が走行した道路区間の渋滞度と、車両が走行した道路上での車両の動作とである。
【0040】
更新要求頻度変更部21bは、地点関連情報30bに地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、地図情報の更新を示唆する変化が生じる前よりも更新要求が出力される頻度を増加させる機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、地点関連情報30bを参照し、地点関連情報30bに、地図情報の更新を示唆する変化として予め決められた変化が生じていた場合、地図情報の更新を示唆する変化が生じる前の更新頻度情報30cよりも頻度が多くなるように修正する。
【0041】
本実施形態においては、観測対象の種類毎に地図情報の更新を示唆する度合いを示す示唆度が予め定義されている。すなわち、地点に関する地点関連情報30bを取得するための観測対象が異なれば、観測対象に変化が生じた場合に地図情報が更新された確率の高さも異なる。従って、地図情報が更新された確率の高さを統計や推定等に基づいて予め定義し、当該確率が高いほど示唆度が高くなるように示唆度を定義して観測対象に対応付けておけば、地点関連情報30bに地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、当該地点関連情報30bを定義するために観測された観測対象についての示唆度の和が大きいほど地図情報が更新された確率が高くなると見なすことができる。そこで、当該示唆度の和が大きいほど基準の更新要求の出力頻度に対する増加度が大きくなるように更新要求の頻度を増加させることにより、地図情報が更新された確率が高くなるほど地図情報30aが更新されやすくなるように構成することができる。
【0042】
このような構成を実現するため、制御部20は、各地点における全ての観測対象について地点関連情報30bに地図情報の更新を示唆する変化が生じたか否かを判定する。地図情報の更新を示唆する変化が生じた観測対象は着目対象として特定され、制御部20は、着目対象についての示唆度の和を取得し、当該示唆度の和に対して予め対応付けられた更新要求の出力頻度となるように更新頻度情報30cを修正する。なお、本実施形態においては、地点関連情報30bを取得するために観測された観測対象毎に地点関連情報30bの変化の有無を判定するための比較対象が予め決められており、制御部20は、予め決められた比較対象と最新の地点関連情報30bとを比較することによって地点関連情報30bに地図情報の更新を示唆する変化が生じた否かを特定する。
【0043】
本実施形態においては、以上の構成により、示唆度の和が直前よりも増大した場合に直前よりも更新要求が出力される頻度が増加するように更新頻度情報30cを変化させ、示唆度の和が直前よりも減少した場合に直前よりも更新要求が出力される頻度が減少するように更新頻度情報30cを変化させる。
【0044】
更新制御部21cは、更新頻度情報30cを参照し、当該更新頻度情報30cが示す更新要求の出力頻度で地図情報30aの更新要求を地図情報管理装置110に対して出力し、また、地図情報管理装置110が当該更新要求に応じて出力する更新情報を受信し、受信した更新情報を地図情報30aに追加して当該地図情報30aを更新する処理を制御部20に実現させるモジュールである。当該更新要求の出力と地図情報30aの更新の詳細は後述する。
【0045】
以上の構成によれば、地図情報の更新が示唆された場合に制御部20の制御によって出力される更新要求の出力頻度を増加させることができる。従って、地図情報管理装置110が管理する地図情報が更新された確率が相対的に高まった状態で地図情報30aの更新要求の頻度を増加させることができ、地図情報30aの更新の必要性に応じた頻度で地図情報30aの更新要求を行うことが可能であるとともに地図情報が更新された場合に早期に更新情報を取得することが可能である。
【0046】
(2)地図情報更新プログラムの処理:
(2−1)更新要求頻度変更処理:
次に、地図情報更新プログラムの処理について詳細に説明する。図2Aは、更新要求頻度変更処理のフローチャートであり、図2Bは車両における更新要求処理と当該更新要求処理に応じて地図情報管理装置110が実行する地図情報送信処理とのフローチャートである。
【0047】
図2Aに示す更新要求頻度変更処理は、予め決められたタイミング(例えば、車両においてナビゲーションシステム10が起動されたタイミング)にて実行される。更新要求頻度変更処理において制御部20は、地点関連情報取得部21aの処理により地点関連情報を取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、地点関連情報取得部21aの処理により、カメラ44が撮影した画像を示す画像情報を取得し、当該画像情報に対してパターンマッチング等の処理を行って車両が走行した道路上における道路標識(速度や進行方向を示すペイント等)を示す画像を抽出する。道路標識を示す画像が抽出された場合、制御部20は、当該道路標識を示す情報を道路標識が観測された地点を示す情報に対応付けて地点関連情報30bとして記録媒体30に記録する。
【0048】
また、制御部20は、地点関連情報取得部21aの処理により、通信部46を介して車両が走行した道路の交通情報を取得し、道路区間の位置を示す情報に対応付けて地点関連情報30bとして記録媒体30に記録する。すなわち、道路区間毎の渋滞度を解析可能な状態とする。
【0049】
さらに、制御部20は、地点関連情報取得部21aの処理により、車速センサ42の出力情報を取得し、車両の車速を示す情報を当該車速が観測された地点を示す情報に対応づけて地点関連情報30bとして記録媒体30に記録する。また、制御部20は、地点関連情報取得部21aの処理により、振動センサ45の出力情報を取得し、車両の振動を示す情報を当該振動が観測された地点を示す情報に対応付けて地点関連情報30bとして記録媒体30に記録する。
【0050】
次に、制御部20は、更新要求頻度変更部21bの処理により、観測対象毎の示唆度を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、地点関連情報30bに地図情報の更新を示唆する変化が生じていたか否かを道路区間毎に判定する構成としており、判定対象の道路区間に含まれる地点が対応付けられた地点関連情報30bを取得する。
【0051】
判定対象の道路区間に含まれる地点が対応付けられた地点関連情報30bが取得された場合、制御部20は、地点関連情報30bに対応する観測対象毎の比較対象を設定して地点関連情報30bに地図情報の更新を示唆する変化が生じていたか否かをする。本実施形態においては、車両がある地点を異なる時点に走行した場合に取得された地点関連情報30b同士を比較することによる判定と、車両がある地点を走行した場合に取得された地点関連情報30bと予め定義された基準情報とを比較することによる判定とが行われる。
【0052】
観測対象が道路標識である場合、制御部20は地図情報30aに含まれる道路標識データを基準情報として比較を行う。また、観測対象が道路区間毎の渋滞度である場合、制御部20は地図情報30aに含まれる統計データを基準情報として比較を行う。さらに、観測対象が車両の動作情報(車速および振動)である場合、制御部20は過去に取得された地点関連情報30bと比較する。
【0053】
具体的には、判定対象の道路区間に含まれる地点が対応付けられた地点関連情報30bとして道路標識を示す地点関連情報30bが取得された場合、制御部20は、当該地点関連情報30bが示す道路標識の地点と同一地点であると見なすことができる地点(例えば、道路標識の地点から所定距離以内の地点)を示す情報が対応付けられた道路標識データが存在するか否かを判定する。そして、当該道路標識データが存在すると判定された場合、制御部20は、地点関連情報30bが示す道路標識と道路標識データが示す道路標識が異なるか否かを判定する。地点関連情報30bが示す道路標識と道路標識データが示す道路標識が異なると判定された場合、制御部20は下記表1に基づいて示唆度6を取得する。地点関連情報30bが示す道路標識と道路標識データが示す道路標識が異なると判定されない場合、道路標識に関する示唆度は0とされる。
【表1】

【0054】
一方、地点関連情報30bが示す道路標識の地点と同一地点であると見なすことができる地点を示す情報が対応付けられた道路標識データが存在すると判定されない場合、地図情報30aの道路標識データは当該地点に既存の道路標識が存在しなかったことを示している。従って、この場合、制御部20は、地点関連情報30bが示す道路標識の地点に当該道路標識が新設されたと見なし、表1に基づいて示唆度5を取得する。
【0055】
すなわち、道路標識に関する地図情報30aは、実在の道路標識の地点を特定することによって定義されるため、車両の走行過程で観測された道路標識が地図情報30aと整合しない場合、高い確率で当該道路標識や当該道路標識が存在した道路が変更されたことになる。従って、道路標識に関する地点関連情報30bと地図情報30aに含まれる道路標識データとを比較して地点関連情報30bに地図情報の更新を示唆する変化が生じたか否かを判定する構成とすることで、地図情報管理装置110において地図情報が更新された確率が高い場合に更新要求の出力頻度を増加させることができる。なお、道路標識が新設されたと見なす場合、当該道路標識の地点に既存の道路標識が存在しなかったことになる。一方、道路標識が異なると判定された場合、当該道路標識の地点に既存の道路標識が存在したことになる。そして、既存の道路標識が存在した地点で道路標識が誤認識によって取得される確率と、既存の道路標識が存在しない地点で道路標識が誤認識によって取得される確率とでは、前者の方が小さいため、本実施形態においては前者の示唆度を後者よりも大きくしている。
【0056】
判定対象の道路区間に含まれる地点が対応付けられた地点関連情報30bとして当該道路区間の渋滞度を示す地点関連情報30bが取得された場合、制御部20は、地図情報30aを参照し、当該道路区間の統計データを取得する。そして、制御部20は、直近に取得された地点関連情報30bが示す渋滞度が統計データが示す渋滞度に対して所定量以上変化している場合、渋滞度が急激に変化したと判定する。渋滞度が急激に変化したと判定される場合、制御部20は表1に基づいて示唆度4を取得する。
【0057】
さらに、制御部20は、判定対象の道路区間における渋滞度を示す地点関連情報30bの過去の履歴を参照し、直近の所定回数(例えば10回)で取得された地点関連情報30bの渋滞度がいずれも所定量以上の渋滞が発生したことを示している場合、制御部20は、判定対象の道路区間が慢性的に渋滞していると判定する。そして、制御部20は、判定対象の道路区間が慢性的に渋滞していると判定された場合、制御部20は表1に基づいて示唆度3を取得する。なお、判定対象の道路区間において渋滞度が急激に変化したと判定されず、慢性的に渋滞していると判定されない場合、渋滞度に関する示唆度は0とされる。
【0058】
すなわち、道路上の地点毎(区間毎)に渋滞度を統計すると、統計的に当該地点における渋滞度が特定の状態であると定義することができる。そこで、本実施形態においては、地図情報30aに含まれる統計データが示す渋滞度の統計情報と車両で実際に取得した地点関連情報30bとしての交通情報とが異なる場合に、地点関連情報30bに地図情報の更新を示唆する変化が生じたとみなす構成となっている。
【0059】
そして、地点関連情報30bが示す渋滞度が地図情報30aに含まれる統計データに対して急激に変化した場合、例えば、道路の新設によって車両の流れが変わって渋滞度が急激に変化したと推定することができる。さらに、慢性的に渋滞している道路区間はその解消のために将来バイパス道路の建設等の対策がとられると推定することができる。そこで、両者ともに地図情報の更新が示唆されるとして示唆度を取得する構成としながらも、前者は実際の道路等の変更が推定される状況であるのに対し、後者は将来的な道路等の変更が推定される状況であることから、本実施形態においては前者の示唆度を後者よりも大きくしている。
【0060】
判定対象の道路区間に含まれる地点が対応付けられた地点関連情報30bとして当該地点の車速を示す地点関連情報30bが取得された場合、制御部20は、判定対象の道路区間における車速を示す地点関連情報30bの過去の履歴を参照し、過去の車速の平均に対して直近の車速が所定量以上変化したか否かを判定する。そして、過去の車速の平均に対して直近の車速が所定量以上変化したと判定された場合、制御部20は表1に基づいて示唆度2を取得する。過去の車速の平均に対して直近の車速が所定量以上変化したと判定されない場合、車速に関する示唆度は0とされる。
【0061】
判定対象の道路区間に含まれる地点が対応付けられた地点関連情報30bとして当該地点の車両の振動を示す地点関連情報30bが取得された場合、制御部20は、判定対象の道路区間における車両の振動を示す地点関連情報30bの過去の履歴を参照し、過去の車両の振動の平均に対して直近の車両の振動が所定量以上変化したか否かを判定する。そして、過去の車両の振動の平均に対して直近の車両の振動が所定量以上変化したと判定された場合、制御部20は表1に基づいて示唆度1を取得する。過去の車両の振動の平均に対して直近の車両の振動が所定量以上変化したと判定されない場合、車両の振動に関する示唆度は0とされる。
【0062】
すなわち、道路が変化すると、当該変化に応じて車速や車両の振動の度合いが変化するため、車両の動作が過去と比較して変化していれば、道路が変化したと推定し、示唆度を2あるいは1とする。なお、車速は運転者の操作によって容易に変動し、振動の程度は地図情報の変更を伴わない道路工事等によって変動し得るため、車両の動作を観測対象とした場合の示唆度は他の観測対象よりも小さくし、車速よりも振動に対応する示唆度の方が小さくなるように構成してある。
【0063】
以上のようにして観測対象毎の示唆度が取得されると、制御部20は、取得された示唆度の和を取得し、前回図2Aに示す更新要求頻度変更処理が実行されたときに算出された示唆度の和と比較して、示唆度の和が変化したか否かを判定する(ステップS110)。そして、ステップS110にて、示唆度の和が変化したと判定された場合に、制御部20は、示唆度の和に応じた更新要求の出力頻度となるように更新頻度情報30cを修正する(ステップS115)。一方、ステップS110にて、示唆度の和が変化したと判定されない場合、制御部20は、ステップS115をスキップする。
【0064】
すなわち、本実施形態においては、示唆度の和が大きくなるほど更新要求の出力頻度が多くなるように示唆度の和に対応する更新要求の出力頻度が予め設定されている。図3は、本実施形態における示唆度の和と更新要求の出力頻度との関係を示す図である。同図においては、上方に示唆度の和、下方に更新要求の出力頻度を示しており、示唆度の和が0の場合は、更新要求の出力頻度はデフォルト値である1回/二ヶ月である。一方、最も示唆度の和が多い場合は16(1+2+3+4+6:示唆度6、5の双方が成立することはないため)となり、この場合の更新要求の出力頻度は1回/2日である。そして、示唆度の和の0から16への変化に応じて更新要求の出力頻度が1回/2ヶ月から1回/2日に変化する。このような対応関係により、示唆度の和が大きいほど、更新要求の出力頻度が多くなるように構成することができる。
【0065】
(2−2)更新要求処理および地図情報送信処理:
次に、図2Bに示す更新要求処理および地図情報送信処理を説明する。図2Bにおいては、左側に更新要求処理、右側に地図情報送信処理のフローチャートを示しており、各処理によって送受信される情報の流れを破線の矢印で示している。制御部20は、ナビゲーションシステム10が起動されるたびに更新制御部21cによって更新要求処理を実行する。また、地図情報管理装置110は図示しない制御部によって地図情報送信処理を一定期間(例えば、100ms)毎に実行する。
【0066】
更新要求処理において、制御部20は、更新制御部21cの処理により、更新頻度情報30cを取得する(ステップS200)。次に、制御部20は、前回地図情報30aを更新した後に更新頻度情報30cが示す更新期間が経過したか否かを判定する(ステップS205)。すなわち、更新頻度情報30cは、図3に示すように1回の更新要求を行う間の期間を示している。そこで、制御部20は、地図情報30aを更新情報によって更新するたびに更新時刻を記録することとし、当該更新時刻のうち、最も現在に近い時刻から更新頻度情報30cが示す更新期間が経過したか否かを判定する。ステップS205において、前回地図情報30aを更新した後に更新頻度情報30cが示す更新期間が経過したと判定されない場合にはステップS210〜S220をスキップして更新要求処理を終了する。すなわち、更新要求を出力することなく更新要求処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS205において、前回地図情報30aを更新した後に更新頻度情報30cが示す更新期間が経過したと判定された場合、制御部20は、更新要求を出力する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、通信部46を介して更新要求を示す情報および地図情報30aのバージョン情報を地図情報管理装置110に対して出力する。
【0068】
地図情報管理装置110においては、地図情報送信処理において更新要求を受信したか否かを判定(ステップS300)しており、当該ステップS300にて更新要求を受信したと判定されない場合にはステップS305,S310をスキップして処理を終了する。一方、制御部20が上述のステップS210にて更新要求を出力する処理を実行していた場合、地図情報管理装置110は、ステップS300において、更新要求を受信したと判定する。この場合、地図情報管理装置110は、当該更新要求を出力した車両に対して送信すべき更新情報を抽出する(ステップS305)。すなわち、地図情報管理装置110は、更新要求に含まれるバージョン情報と地図情報管理装置110の記録媒体に記録されている地図情報のバージョン情報とを比較し、地図情報管理装置110の記録媒体に記録されている地図情報のバージョンの方が新しい場合に、更新要求に含まれるバージョン情報が示すバージョンよりも新しいバージョンの地図情報を更新情報として抽出する。そして、地図情報管理装置110は、当該更新情報を送信する(ステップS310)。なお、ステップS305において、地図情報管理装置110の記録媒体に記録されている地図情報のバージョンの方が新しいと判定されない場合には、更新情報は抽出されずステップS310もスキップされる。
【0069】
車両の制御部20は、当該更新情報が送信されると、通信部46を介して当該更新情報を受信し(ステップS215)、地図情報30aを更新する(ステップS220)。すなわち、更新情報を地図情報30aに追加することにより、これ以後にナビゲーション処理が実行された場合に、更新情報を含む地図情報30aを利用してナビゲーション処理が行われるように構成する。以上の構成においては、ステップS200,S205の処理により、更新頻度情報30cを参照し、当該更新頻度情報30cが示す更新要求の出力頻度で更新要求を出力するため、地点関連情報30bに地図情報30aが更新されたことを示唆する変化が生じていた場合に更新要求の出力頻度を多くすることができる。従って、地図情報30aが更新された確率が高いほど早期に地図情報30aの更新を完了することができる。
【0070】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、本発明のように車両が走行した地点に関連する地点関連情報に地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に更新要求が出力される頻度を増加させる限りにおいて、各種の実施形態を採用可能である。例えば、ナビゲーションシステム10は車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーションシステム10が車両内に持ち込まれて利用される態様であっても良い。
【0071】
さらに、観測対象の道路標識は道路上に形成された道路標識に限定されず、前方カメラ等で道路周辺に設置された支柱に取り付けられた道路標識を検出する構成でも良い。さらに、地点関連情報30bは、車両が走行した地点に関する情報であり、車両が実際に走行した地点あるいは当該地点周辺(当該地点から所定範囲内の領域)に関する情報であればよい。従って、当該地点や当該地点周辺に関する地図情報の更新が生じた場合に変化し得る地物や地物の状態、車両の状態等を示す情報によって構成可能である。例えば、交通情報の一部として道路の建設等が行われている地点を示す工事情報を取得する構成とする。そして、ある地点において道路の建設等が行われていることを示す工事情報が取得されていた状態から取得されない状態に変化した場合に更新要求の出力頻度を増加させる構成としても良い。また、道路に関する規制情報やイベントの開催情報等を取得し、規制やイベントが行われている期間に取得された地点関連情報30bは例外として除外する構成としても良い。
【0072】
さらに、更新要求の出力頻度を変化させる構成は地点関連情報30bの変化に依存して増加量が調整される構成に限定されず、例えば、一定量増減させる構成であっても良い。さらに、地図情報30aが更新された後に更新要求の出力頻度をデフォルト値に戻し、または、更新要求の出力頻度を減少させてもよい。さらに、渋滞度が急激に変化したか否かを判定する際に複数回交通情報を取得して、例えば交通情報が示す渋滞度の平均と統計情報とを比較しても良い。ただし、この場合、慢性的に渋滞しているか否かを判定する際の交通情報の取得回数は渋滞度が急激に変化したか否かを判定する際の交通情報の取得回数よりも少なくなるように構成される。例えば、慢性的に渋滞しているか否かを判定するためには交通情報の取得回数を10回程度とし、渋滞度が急激に変化したか否かを判定するためには交通情報の取得回数を1〜3回程度とする構成を採用可能である。
【0073】
さらに、最新の動作情報と比較される過去の動作情報は、上述のように過去の動作情報の統計(平均等)であっても良いし、過去の特定の時点で取得された動作情報であっても良い。
【符号の説明】
【0074】
10…ナビゲーションシステム、20…制御部、21…地図情報更新プログラム、21a…地点関連情報取得部、21b…更新要求頻度変更部、21c…更新制御部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…地点関連情報、30c…更新頻度情報、41…受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…カメラ、45…振動センサ、46…通信部、110…地図情報管理装置、120…交通情報管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された地図情報の更新要求を前記地図情報の管理装置に対して出力し、前記管理装置が出力する更新情報によって前記地図情報を更新するナビゲーションシステムであって、
車両が走行した地点に関する地点関連情報を取得する地点関連情報取得手段と、
前記地点関連情報に前記地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、前記地図情報の更新を示唆する変化が生じる前よりも前記更新要求が出力される頻度を増加させる更新要求頻度変更手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記地点関連情報取得手段は、複数の観測対象について前記地点関連情報を取得し、
前記更新要求頻度変更手段は、前記複数の観測対象の中で前記地点関連情報に前記地図情報の更新を示唆する変化が生じた観測対象を着目対象として特定し、前記着目対象に対応付けられた前記地図情報の更新確率の高さを示す示唆度を取得し、前記着目対象についての前記示唆度の和が大きいほど基準の更新要求の出力頻度に対する増加度が大きくなるように前記更新要求の頻度を増加させる、
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記地点関連情報取得手段は、前記車両が走行した道路上または当該道路の周囲に存在する道路標識を示す情報を前記地点関連情報として取得し、
前記更新要求頻度変更手段は、前記道路標識が前記記録媒体に記録された前記地図情報と比較して変化している場合に、前記地点関連情報に前記地図情報の更新を示唆する変化が生じたとみなす、
請求項1または請求項2のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記地点関連情報取得手段は、前記車両が走行した道路に関する交通情報を前記地点関連情報として取得し、
前記更新要求頻度変更手段は、前記記録媒体に記録された前記地図情報が示す前記道路の交通についての統計情報と前記交通情報とが異なる場合に、前記地点関連情報に前記地図情報の更新を示唆する変化が生じたとみなす、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記地点関連情報取得手段は、前記車両が走行した道路上での前記車両の動作情報を前記地点関連情報として取得し、
前記更新要求頻度変更手段は、最新の前記動作情報が過去の前記動作情報に対して所定量以上の変化をした場合に、前記地点関連情報に前記地図情報の更新を示唆する変化が生じたとみなす、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
記録媒体に記録された地図情報の更新要求を前記地図情報の管理装置に対して出力し、前記管理装置が出力する更新情報によって前記地図情報を更新する地図情報更新方法であって、
車両が走行した地点に関する地点関連情報を取得する地点関連情報取得工程と、
前記地点関連情報に前記地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、前記地図情報の更新を示唆する変化が生じる前よりも前記更新要求が出力される頻度を増加させる更新要求頻度変更工程と、
を含むことを特徴とする地図情報更新方法。
【請求項7】
記録媒体に記録された地図情報の更新要求を前記地図情報の管理装置に対して出力し、前記管理装置が出力する更新情報によって前記地図情報を更新する機能をコンピュータに実現させる地図情報更新プログラムであって、
車両が走行した地点に関する地点関連情報を取得する地点関連情報取得機能と、
前記地点関連情報に前記地図情報の更新を示唆する変化が生じた場合に、前記地図情報の更新を示唆する変化が生じる前よりも前記更新要求が出力される頻度を増加させる更新要求頻度変更機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする地図情報更新プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−108820(P2013−108820A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253467(P2011−253467)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】