説明

ナビゲーションシステム、携帯端末装置および地図表示方法

【課題】 自動車の案内の場合に市街地図の使用を制限し、経路探索サーバの地図配信負荷、通信負荷が過大にならないようにする。
【解決手段】 ナビゲーションシステムは、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを携帯端末装置10に配信する経路探索サーバ20とからなる。携帯端末装置10は、地図の種類を選択するズームインボタン162と、地図をスクロールするマニュアルスクロール手段164と、経路探索条件/動作状態検出手段171と、地図選択制御手段170とを備え、経路探索条件/動作状態検出手段171が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出した場合、地図選択制御手段170は密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話などの携帯端末装置を用いて経路探索サーバに経路探索要求し、経路探索サーバから地図データ、案内経路データやガイダンスポイント、ガイダンスデータなどを受信して携帯端末装置の表示画面にそれを表示するナビゲーションシステムに関するものである。
本発明は、特に上記のようなナビゲーションシステムにおいて、携帯端末装置を用いて自動車用の経路探索を行い、携帯端末装置の移動速度に応じて表示手段に表示する地図画像を詳細度(密度)が異なる地図画像に切り替える場合に、市街地などを走行中は一定の詳細度の地図画像の表示に制限するようにしたナビゲーションシステム、携帯端末装置および地図表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データや道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
上記カーナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を利用したものであり、地球上を周回している複数のGPS衛星から送信されるGPS信号をGPSアンテナで受信し、該GPS信号に含まれる衛星位置や時計情報等を解析して位置の特定化を行うものである。該複数のGPS衛星の個数は少なくとも4個以上必要である。GPSの単独測位精度は一般的に10m強であるが、DGPS(Differential GPS:ディファレンシャルGPS)を採用することにより5m以下に向上する。特に、現在は一部の携帯電話にしか搭載されていない測位ユニット、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信して測位するGPS受信機などの搭載が、第三世代と称される携帯電話では全ての機種に搭載されるような趨勢にある。
【0004】
近年、携帯電話、PHS等の携帯通信端末機器の性能は飛躍的に向上し、また、多機能化が進んでいる。特に通話機能の他にデータ通信機能が強化され、利用者に対してインターネットを介した種々のデータ通信サービスが提供されている。測位機能を有する携帯電話も実現されており、その利用技術として車載用のナビゲーション装置(カーナビ)を発展させ、携帯電話を端末として地図・経路情報を経路探索サーバから配信する歩行者用の通信型ナビゲーションシステムも実用化されている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1(特開2003−28662号公報)には、GPS機能付き携帯電話によるナビゲーションシステムが開示されている。このナビゲーションシステムは、GPS受信部とGPS制御部及びGPSアンテナを携帯電話に内蔵したGPS機能付き携帯電話にて複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信する手段と、該複数のGPS信号に含まれる衛星位置や衛星受信機間距離情報及び時計情報等を解析して得られた位置情報と当該GPS機能付き携帯電話の電話番号及び探索情報等のデータをパケット送信する手段と、該データを受信して当該GPS機能付き携帯電話及び目的地の位置を検出し適正尺度の地図情報やルート情報及び距離等の地図データを当該GPS機能付き携帯電話に送信することができる手段を有した地図サービスセンターを配設して構成したものである。
【0006】
また、本出願人は既に下記特許文献2(特開2003−214860号公報)に携帯電話を端末として用いたナビゲーションシステムを開示した。このナビゲーションシステムは、図13に示すように、移動体通信網2に接続される携帯端末(携帯電話)1とデータ通信サービスセンター(情報配信コンピュータシステム)3とから構成され、携帯端末1はデータ通信サービスセンター3と接続して所望のデータ通信サービスを受けるものである。携帯端末1が携帯電話、PHSである場合には移動体通信網2を経由して移動体通信基地局、電話回線網を通して所望の相手方(固定電話、携帯電話、PHSなど)と通話することができる。データ通信サービスセンター3は以下により携帯端末1の要求に応じて経路のナビゲーションサービスを行うように構成されている。
【0007】
すなわち、このナビゲーションシステムは、携帯端末1から出発地と目的地の位置情報を含む経路探索要求が発せられると、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムは、蓄積手段に蓄積された道路データを用いて出発地から目的地までを結ぶ最適経路を探索し、探索した経路データを案内経路データとして蓄積手段に一時記憶する。携帯端末1から、位置座標と案内経路を指定した表示地図情報が要求されると、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムは、蓄積手段から指定された位置座標周辺のベクトル形式の地図表示用の地図データと、指定された案内経路データを読み出し、案内経路データを特定色で道路を描画するためのベクトルデータに変え、地図データに組み込んだ後、要求元の携帯端末1宛に送信するものである。
【0008】
携帯端末1には、図示されていないが、移動に伴って現在位置を測位するためのGPS受信機が備えられており、所定の周期でGPS測位を行っている。携帯端末1は、GPS測位の結果表示地図情報に不足が生じるとデータ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムに表示地図情報の要求を出す。また、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムには蓄積手段が設けられており、道路データ(地図データ)や地図上の各所の建物等のランドマーク、交差点名、道路名などのデータが蓄積されている。これらのデータはインターネット網4を介して地図の配信を行う情報配信コンピュータシステム5、6等から最新のデータを取得してメンテナンスされる。
【0009】
ナビゲーションシステムやカーナビにおいて表示する地図情報には、広域をカバーする地図情報から市街地など小さな領域の詳細情報をカバーする地図情報があり、例えば、自動車で高速に移動しながら携帯ナビゲーション装置を利用する場合は広域をカバーする地図情報を使用し、徒歩で移動しながら携帯ナビゲーション装置を利用する場合は市街地など小さな領域の詳細情報をカバーする地図情報を使用するようになされるのが一般的である。広域をカバーする地図情報は鉄道、幹線道路、主要な建物などの情報から構成され、市街地をカバーする地図情報は広域地図の情報に加えて、カバーする範囲内の細かな道路、交差点、店舗などの情報が加えられ構成されている。これらの内容が異なる複数の地図情報を地図の階層(レイヤ)と称しており、状況に応じて複数の地図から適切な地図を選択して利用するように構成されている。
【0010】
従って、ナビゲーション装置の利用状況にあった地図情報が自動的に選択できると便利である。このような要求を満たすため、例えば、下記の特許文献3(特開2002−5670号公報)に開示された移動体用ナビゲーション装置がある。この移動体用ナビゲーション装置は、地図センターに、複数の縮尺の地図情報を蓄積管理する地図情報記憶手段と、地図情報記憶手段より必要な地図情報を抽出する地図情報検索手段とを設け、ナビゲーション装置は、移動速度検出手段及び現在位置検出手段により検出した移動速度及び現在位置情報を地図センターに送信するものである。そして地図センターは、ナビゲーション装置より受信した現在位置情報と移動速度とから、対応する縮尺の地図情報を地図情報検索手段にて地図情報記憶手段より抽出し、ナビゲーション装置に送信し、ナビゲーション装置は、地図センターより受信した地図情報を現在位置と共にモニターに表示するように構成したものである。
【0011】
また、上記特許文献3のようにナビゲーション装置と地図センターによる通信型のナビゲーションシステムではないが、速度に応じて対応する道路データに基づく地図を表示する車載用ナビゲーション装置が下記の特許文献4(特許第2782760号公報)に開示されている。このナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、車両の走行速度を検出する速度検出手段と、位置検出手段により検出された現在位置により自車位置マークが表示の中心となるように道路地図をスクロール表示する地図表示手段を備えたものである。そして、スクロール表示に必要とされる情報量が所定量以上の場合に、速度検出手段で検出される走行速度が所定の速度域であれば、その速度域に対応した道路データに基づいた地図を表示するものであり、道路データは速度域に応じて別々に保存するようにしたナビゲーション装置である。
【0012】
更に、下記の特許文献5(特開平10−222062号公報)には、移動体の移動速度に対応した縮尺で周辺の地図を表示する移動体用ナビゲーション装置が開示されている。このナビゲーション装置は、位置検出手段、速度検出手段、移動速度に対応した地図の縮尺を選択する選択手段、地図データ記憶手段、演算処理手段、表示手段等から構成されている。そして、選択手段は、速度検出手段が検出した自移動体の移動速度に対応した地図の縮尺を選択し、演算処理手段は、地図データ記憶手段から読出した地図データを基に、選択手段が選択した縮尺で、位置検出手段が検出した移動体位置周辺の地図画面の表示データを作成し、表示手段に該地図を表示するようにしたナビゲーション装置である。
【0013】
【特許文献1】特開2003−28662号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−214860号公報(図1)
【特許文献3】特開2002−5670号公報(図1)
【特許文献4】特許第2782760号公報(第1図)
【特許文献5】特開平10−222062号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記特許文献2に開示されているような携帯電話をナビゲーション端末として使用し、データ通信サービスセンターから地図、経路案内の配信を受ける通信型のナビゲーションシステムにあっては、その利用態様は様々である。すなわち、利用者が携帯電話(携帯ナビゲーション端末)を所持し、電車や徒歩で目的地までの経路案内を受ける場合、利用者が自動車で移動しながら目的地までの経路案内を受ける場合、あるいは、利用者が新幹線等の高速移動手段に乗車した状態で地図データの配信を受ける場合等、利用方法は状況に応じて様々に変わることが想定される。
【0015】
一般的なナビゲーション装置には、地図の拡大・縮小を行う機能(ズーム機能)と、表示された地図をスクロールする機能とを有している。また、これらの機能が、自動的に作動するオートモードと、ユーザの操作により作動するマニュアルモードとを選択することによりこれらの機能を、自動、または、マニュアルで操作することができるように構成した装置も提案されている。
オートスクロールでは、ナビゲーション装置の現在位置が表示画面の中央になるように表示地図がスクロール制御され、マニュアルスクロールでは操作部から指示された方向とスクロール量に基づいて表示地図をスクロール制御する。また、オートズームではナビゲーション装置の移動速度に応じた適切な大きさの地図が選択され、マニュアルズームでは、操作部から指示されたズーム量に基づいて表示地図が選択される。
【0016】
従って、経路探索サーバから地図情報の配信を受ける通信型のナビゲーションシステムにあっては、ズーム機能とスクロール機能の作動により、ナビゲーション装置の移動速度および/または現在位置によって新たに表示地図のデータが必要になった場合には経路探索サーバから該当する地図データの配信を受け、地図表示を行うことが必要になる。
【0017】
先に述べたように、携帯ナビゲーション端末の移動速度が速い場合には、広域の地図を用い、徒歩など移動速度が遅い場合には市街地エリアの密度の高い地図を用いて経路や携帯端末装置の現在地を表示することが好ましい。そこで、上記特許文献3ないし特許文献5に開示されているナビゲーションシステムのように、ナビゲーション装置(携帯端末装置)の移動速度に対応して適切な地図を選択して表示できる構成であると便利である。
しかしながら、これらの特許文献に開示されたナビゲーション装置のように移動速度に対応して表示する地図を自動的に切換える構成をとる場合、次のような不都合が生じる。
【0018】
例えば、携帯端末装置を自動車に乗車して経路探索、経路案内を受ける場合、詳細な(密度の高い)市街地図を表示するようにマニュアル選択され、オートスクロール機能が働いている場合、表示している地図が足りなくなると、自動的に経路探索サーバに対して地図要求がなされる。渋滞した市街地内で多数の自動車からこのような地図要求がなされると、経路探索サーバの地図配信負荷が増大し、ユーザ数が多いと経路探索サーバ側の処理が追いつかなくなるという問題点を生じる。また、これによりネットワークの通信負荷が過大になるという問題点を生じる。そのため、地図配信速度が遅くなり利用者に対するサービスが低下する。
【0019】
すなわち、本発明は前記の問題点を解決することを課題とし、携帯端末装置を用いて自動車用の経路探索要求があった場合、案内が開始されるまでは地図表示のオートスクロールを禁止し、案内開始後は詳細な市街地図のような地図データの使用を制限するようになせば上記の問題点を解消し得ることを想到し、本発明を完成するに至ったものである。
【0020】
すなわち、本願は、携帯端末装置を用いたナビゲーションシステムにおいて、自動車の案内の場合に市街地図の使用を制限し、経路探索サーバの地図配信負荷、ネットワークの通信負荷が過大にならないようにしたナビゲーションシステム、携帯端末装置および地図表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置と、通信手段を介して前記携帯端末装置と接続され、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、を備えたナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出した場合、前記地図選択制御手段は密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行うことを特徴とする。
【0022】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、
前記携帯端末装置は、更に、地図データ要求/取得部を備え、前記地図選択制御手段が密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う場合には、前記地図データ要求/取得部は経路探索サーバに当該密度の高い種類の地図データの配信要求を行わないことを特徴とする。
【0023】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項2にかかる発明において、
前記携帯端末装置は、更にオートスクロール手段を備え、前記ズーム手段またはスクロール手段により手動スクロール操作を行い、前記オートスクロール手段が停止した場合には、前記地図選択制御手段は前記密度の高い種類の地図の選択を許可することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項4にかかる発明は、
GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置と、通信手段を介して前記携帯端末装置と接続され、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、を備えたナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が目的地への到着を検出した場合、前記GPS受信部を含む測位手段の動作を停止することを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項5にかかる発明は、
経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、通信手段を介して接続され、GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出した場合、前記地図選択制御手段は密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行うことを特徴とする。
【0026】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる発明において、
前記携帯端末装置は、更に、地図データ要求/取得部を備え、前記地図選択制御手段が密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う場合には、前記地図データ要求/取得部は経路探索サーバに当該密度の高い種類の地図データの配信要求を行わないことを特徴とする。
【0027】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項5または請求項6にかかる発明において、
前記携帯端末装置は、更にオートスクロール手段を備え、前記ズーム手段またはスクロール手段により手動スクロール操作を行い、前記オートスクロール手段が停止した場合には、前記地図選択制御手段は前記密度の高い種類の地図の選択を許可することを特徴とする。
【0028】
本願の請求項8にかかる発明は、
経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、通信手段を介して接続され、GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が目的地への到着を検出した場合、前記GPS受信部を含む測位手段の動作を停止することを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項9にかかる発明は、
経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、通信手段を介して接続され、GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置における地図表示方法であって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出するステップと、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出した場合、前記地図選択制御手段は密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行うステップと、を有することを特徴とする。
【0030】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項9にかかる発明において、
前記携帯端末装置は、更に、地図データ要求/取得部を備え、前記地図選択制御手段が密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う場合には、前記地図データ要求/取得部が経路探索サーバに当該密度の高い種類の地図データの配信要求を行わない処理を含むことを特徴とする。
【0031】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項9または請求項10にかかる発明において、
前記携帯端末装置は、更にオートスクロール手段を備え、前記地図表示方法は、更に、前記ズーム手段またはスクロール手段により手動スクロール操作を行い、前記オートスクロール手段が停止した場合には、前記地図選択制御手段は前記密度の高い種類の地図の選択を許可するステップを有すること特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
請求項1にかかる発明においては、携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出した場合、前記地図選択制御手段は密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う。
従って、渋滞した市街地で多数の自動車から地図要求があっても、使用を許可された地図がカバーする大きさが大きいので地図要求が頻繁に発生することがなくなる。
【0033】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、携帯端末装置は、更に、地図データ要求/取得部を備え、前記地図選択制御手段が密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う場合には、前記地図データ要求/取得部は経路探索サーバに当該密度の高い種類の地図データの配信要求を行わない。
従って、渋滞した市街地で多数の自動車から地図要求があっても、使用を許可された地図がカバーする大きさが大きいので地図要求が頻繁に発生することがなくなる。このため、経路探索サーバ20の地図配信負荷が増大することなく、通信負荷が過大になることもない。
【0034】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1または請求項2にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記携帯端末装置は、更にオートスクロール手段を備え、前記ズーム手段またはスクロール手段により手動スクロール操作を行い、前記オートスクロール手段が停止した場合には、前記地図選択制御手段は前記密度の高い種類の地図の選択を許可する。
マニュアルスクロールでは、地図が停止しており新たな地図要求が経路探索サーバになされる状態でなく、詳細な市街地図の使用を許可しても地図配信の負荷や通信負荷を増大させることがない。
【0035】
また、請求項4にかかる発明においては、携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が目的地への到着を検出した場合、前記GPS受信部を含む測位手段の電源供給を停止する。
従って、GPS受信部を含む測位手段の動作を停止するものであるから、現在位置が移動しても地図のダウンロード要求が発生しなくなり、経路探索サーバの地図配信負荷を軽減し、ネットワークの通信負荷を軽減することができるようになる。また、測位手段の動作を停止するから、携帯端末装置の消費電流も抑制することができるようになる。
【0036】
また、請求項5〜請求項8にかかる発明においては、それぞれ請求項1〜請求項4にかかるナビゲーションシステムを構成する携帯端末装置を提供することができるようになる。また、請求項9〜請求項11にかかる発明においては、それぞれ請求項5〜請求項7にかかる携帯端末装置における地図表示方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。図1のナビゲーションシステムにおいては携帯電話を携帯端装置として使用し、自動車用、歩行者用の経路探索、経路案内を行うものであるが、自動車用のナビゲーションとは、例えば、携帯端末装置を操作する利用者が助手席に同乗し、移動手段を自動車として経路探索、経路案内のサービスを受け、助手席の同乗車が運転者をナビゲートする利用方法である。
【実施例1】
【0038】
本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムは、図1に示すように、経路探索サーバ20と携帯端末装置10とがネットワーク12を介して接続され、携帯端末装置10から経路探索サーバ20に経路探索条件(移動手段、出発地、目的地など)を送信し、経路探索サーバ20は経路探索条件に基づいて最適経路を探索して携帯端末装置10に配信するように構成される。
【0039】
本発明の実施例にかかる携帯端末装置10は、GPS衛星14からGPS信号を受信するGPS受信部102とインターネット網12を介して経路探索サーバ20と通信するための通信部101を備えている。なお、携帯端末装置10は具体的には携帯電話で構成され、通信部101はインターネット網12を介したパケット通信の他、携帯電話基地局との無線通信も行うように構成されている。
【0040】
携帯端末装置10は、マイクロコンピュータ等から構成され各部の動作を制御する主制御部107を備えており、GPS受信部102によってGPS衛星信号を受信し、これに基づいて現在位置算出手段103で現在位置を算出する。現在位置算出手段103で算出された携帯端末装置の現在位置情報は通信部101を介して経路探索サーバ20に送られる。また、携帯端末装置10は操作部16を有しており、操作部16を操作して出発地、目的地の情報を入力して経路案内(ナビゲーション)要求を経路探索サーバ20に送るように構成されている。経路探索条件には移動手段が含まれ、自動車または徒歩などの別を入力または選択して指定する。
【0041】
経路探索サーバ20は、地図データ配信部22、地図データ記憶部24、経路探索部26を備えており、携帯端末装置10から送信される出発地、目的地と現在位置の情報に基づいて、経路探索部26において出発地から目的地までの経路探索を行い、現在位置を含む地図データを地図データ記憶部24から読出し、経路探索部26により探索した案内経路データを地図データに埋込み、地図データ配信部20により携帯端末装置10に配信する。携帯端末装置10は、経路探索サーバ20から配信された地図データ(経路案内データを含む)を通信部101、地図データ要求/取得部105を介して受信し、地図データ記憶部106に記憶する。表示制御部111は、地図データ記憶部106に記憶された地図データを読出し、表示手段112に地図を表示する制御を行う。
【0042】
携帯端末装置10は、速度検出手段104を備えており、当該携帯端末装置10の移動速度を検出する。携帯端末装置10の移動速度は、例えば、GPSシステムから取得した2地点間における当該携帯端末装置10の平均移動速度を求めて検出することができ、あるいは、携帯端末装置10に加速度センサを設け、該加速度センサの出力を積分することによって検出することができる。速度検出手段104で検出した移動速度は地図データ要求/取得部105に送られ、地図データ要求/取得部105は、移動速度に対応した地図データの取得を経路探索サーバ20に要求する。移動速度と経路探索サーバ20に要求する地図の対応付けは、例えば、速度範囲と地図データ種別(広域地図〜市街地図)とをテーブル化した図2に示す地図データ管理テーブルによって容易に行える。
【0043】
図2は、地図の種別と移動速度範囲の対応関係を記憶した地図データ管理テーブルの構成を示す図であり、この地図データ管理テーブルは、密度の低い種類の地図である広域図1〜密度の高い種類の地図である市街地図1の4階層の地図データについて、携帯端末装置10の移動速度がどの速度範囲にあるときに対応する地図データがどの種別の地図データとなるかを記憶したものである。図2に示す地図データ管理テーブルの場合、携帯端末装置10の移動速度が時速100km以上の場合には広域図1を選択し、時速60km以上、100km以下の場合には中域図1を選択し、時速20km以上、60km以下の場合には詳細図1を選択し、時速20km以下の場合には市街地図1を選択するように対応付けられている。従って、地図データ要求/取得部105は、移動速度に基づいて地図データ管理テーブルを参照して対応する地図データ種別を決定し、経路探索サーバに地図データ種別を送信すればよい。
【0044】
操作部16には、表示手段112に表示される地図をズーム(拡大、縮小)するためのオートズーム手段108と地図を自動的にスクロールして現在位置を表示画面の中央に維持するためのオートスクロール手段109とを有効にするオートボタン161、オートボタン161の操作に基づく指示を無効とし、移動速度にかかわらず表示手段に表示されている地図を停止させるとともに、マニュアル(手動)でズームイン(拡大)、ズームアウト(縮小)するためのズームインボタン162、ズームアウトボタン163、マニュアルスクロール(手動)に切換えるためのマニュアルスクロール手段164(上下左右の矢印キー)が設けられている。
【0045】
これらのボタン、キーは、表示手段112に表示された地図を操作するためのものであり、例えば、オートボタン161が操作されると、オートズーム手段108、オートスクロール手段109が有効にされ、携帯端末装置の移動速度に応じた地図が選択され表示手段112に表示されるとともに、携帯端末装置の現在位置が表示手段112の画面中央に位置するように地図が自動的にスクロール表示される。
【0046】
ズームインボタン162およびズームアウトボタン163は、表示手段112に表示されている地図を拡大または縮小して表示するためのマニュアル操作ボタンである。また、参照符号164で示す上下左右キーは、マニュアルスクロール操作の機能を持ち、マニュルスクロール手段を構成する。このキーが操作されると表示手段112に表示されている地図は操作されたキーに応じた方向にスクロールされる。
【0047】
図3は、経路探索サーバ20が経路を探索して案内経路や地図データを携帯端末装置10に配信し、案内する場合に携帯端末装置10に表示されるメニュー画面からの画面遷移を示す図である。画面1ではルート探索が終了し携帯端末装置10が選択するメニューとして「ルート案内開始」、「ルート地図確認」、「ルート文字案内」が表示される。ルート案内開始が選択されるとポップアップで画面2が表示され、運転操作中の携帯電話の使用は法律で禁じられている旨の注意、安全な場所に停車して使用する注意、事故を起こした場合の責任の所在などのメッセージが表示され、利用者は「確認して利用する」か、「利用せずに戻る」か、何れかを選択する。
【0048】
利用者が「確認して利用する」選択を行うと、表示手段112に地図、案内経路、現在位置などが表示され、経路案内(ルート案内)が開始される。この時、地図表示のモードはオートスクロールがデフォルトとなっている。
【0049】
従って、利用者がズームインボタン162を操作して図2に示す階層Dの市街地図1を選択して地図表示を行っており、オートスクロール手段109が有効にされていると、携帯端末装置10を用いて自動車用の経路案内を受けている場合においては、その移動に伴って表示している地図が不足し、頻繁に市街地図1の配信要求が経路探索サーバ20に送られ、経路探索サーバは携帯端末装置10から要求された不足分の地図データを配信することが必要になる。
【0050】
先に述べたように、渋滞した市街地内で前述のような状態で経路案内を利用している自動車が多数存在すると、各携帯端末装置10からの経路探索サーバ20への地図配信要求の頻度がますます増加し、経路探索サーバ20の処理が追いつかなくなる恐れがあり、経路探索サーバ10と各携帯端末装置10との間のネットワークにおける通信負荷が過大になる。このため地図配信の速度が遅くなりサービスが低下するという問題が生じる。
【0051】
携帯端末装置10は、このような問題に対処するため、経路探索条件/動作状態検出手段171、地図選択制御手段170を備えている。経路探索条件/動作状態検出手段171は、経路探索条件の入力結果から移動手段が自動車であることを検出し、経路探索要求が経路探索サーバ20に送信されて経路案内が開始されたことを検出し、地図選択制御手段170はこの検出結果に基づき、地図変更禁止手段110は、マニュアル操作ボタンであるズームインボタン162を操作しても、市街地図1(図2の階層D参照)に変更することを禁止し、広域図1〜詳細図1の階層に地図しか選択できないように制御する。すなわち、地図変更禁止手段110は前述のような条件で動作する場合、詳細図1以上の階層の地図のみをオートスクロールやオートズームで扱うようにする。
【0052】
このような制御により、自動車用の経路案内を要求している場合には、経路案内が開始され、オートスクロール手段109が有効にされた状態で利用者がズームインボタン162を操作して図2に示す階層Dの市街地図1を選択しようとしても、地図選択制御手段170により市街地図1の使用が禁止され、詳細図1以上の階層の地図の選択しか許可されない。従って、渋滞した市街地で多数の自動車から地図要求があっても、使用を許可された地図がカバーする大きさが大きいので地図要求が頻繁に発生することがなく、経路探索サーバ20の地図配信負荷が増大することなく、通信負荷が過大になることもない。
【0053】
携帯端末装置10において、上下左右キー(マニュアルスクロール手段164)、および、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163等は、同時に地図停止ボタンの機能を持ち、上下左右キーの何れかが操作された場合、携帯端末装置の移動速度にかかわらず、速度に応じた地図への切換えは地図変更禁止手段110によって禁止される。また、ズームインボタン162またはズームアウトボタン163が操作されると、オートズーム手段108、オートスクロール手段109が無効とされ、地図変更禁止手段110が作動して、携帯端末装置10の現在位置とは関係なく地図停止操作が行われた時点で表示手段112に表示されていた地図、またはその地図のメッシュの範囲内での拡大地図もしくは縮小地図を表示し、携帯端末装置の現在位置が変わっても現在位置を含む新たな地図データに変更しないよう制御し、また、オートまたはマニュアルスクロールの処理によって新たな地図データの配信要求が生じないように制御する。
【0054】
利用者が新幹線等の高速移動手段に乗車中に携帯端末装置10を使用しオートボタン161を操作して経路探索サーバ20から現在位置の地図データ、経路データの配信を受けて、表示手段112に地図を表示しており、移動途中の車窓に興味を引かれる建物などを発見しその地点の地図データをズームインして詳細に地図を観察したいという場合に、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163あるいはマニュアルスクロール手段164等の地図停止ボタンを操作すると、地図変更禁止手段110が作動し、表示手段112に表示中の地図の変更が禁止される。従って、利用者は、移動している状態で、移動途中の位置における地図データを固定して表示手段112に表示して観察することができるようになる。
【0055】
経路探索サーバ20の地図データ記憶部24に記憶される地図データは、ベクター形式で作成されている。一般に地図データは、ビットマップ形式で作成される場合とベクター形式で作成される場合がある。地図データの内容が同一であり、単に当該地図を縮小、拡大する場合、ビットマップ形式で作成された地図データは、所望の縮小率、拡大率で縮小、拡大したビットマップデータを予め作成しておく必要がある。このため、各階層の地図データの他に、縮小、拡大した地図データを予め作成しておくことになる。これに対して、ベクター形式で作成された地図データは、地図を構成する各要素ベクターの大きさを所望の長さを縮小率、拡大率で演算することによって容易に拡縮処理することができ、ある階層の地図データに基づいて異なる縮小率、拡大率に拡縮した地図データを得ることができる。
【0056】
従って、図2の地図データ管理テーブルに示すように、経路探索サーバ20には広域図1、中域図1、詳細図1、市街地図1のように地図データが持つ情報量が異なる、すなわち、種類の異なる4階層(A〜D)の地図データを保存しておき、階層が異なる地図データが必要になった時点で経路探索サーバ20から携帯端末装置10に地図データを配信すればよい。そして、携帯端末装置10側で、配信された地図データから所定の比率で縮小、拡大演算を行うことによって容易に拡大、縮小した地図データを生成することができる。すなわち、ある階層の地図データから所定の比率で拡大、縮小した地図データを容易に作成できる。例えば、階層Aの広域図1の地図データから所定の比率で拡大した広域図2、広域図3という地図データを作成することができる。他の階層の地図データについても同様である。これによって、経路探索サーバ20と携帯端末装置10との間の地図データの通信負荷を軽減することができるようになる。
【0057】
このため、携帯端末装置10は地図データ拡縮処理手段115を備えている。地図データ拡縮処理手段115は、図2の地図管理テーブルに示された各階層A〜Dの広域図1〜市街地図1を拡縮処理し、図4に示す地図データ管理テーブルに示すように更に地図の大きさを増やし、それぞれにヒステリシス設定、オートズーム、オートスクロールの設定を行い、表示すべき地図の種別を変更する。
【0058】
すなわち、図4には、図2と同様の地図データ管理テーブルの構成が示されている。経路探索サーバ20の地図データ記憶部24に記憶される地図データはベクター形式で作成された地図データであり、A〜Dの4階層(レイヤ)、すなわち、広域図〜市街地図のそれぞれ異なる情報から構成される地図データである。例えば、地図データ記憶部24には、広域図1、中域図1、詳細図1、市街地図1の4地図データのみが記憶されている。他の広域図2〜市街地図2、詳細図3、市街地図3は、携帯端末装置10の地図データ拡縮処理手段115(図3参照)によって、広域図1〜市街地図1の地図データ(ベクターデータ)から所定の拡縮率で拡縮処理して作成するものである。従って、経路探索サーバ20と携帯端末装置10との間の地図データの通信は、階層の異なる地図が必要になった時だけに行えばよくなり、通信負荷を軽減することができる。
【0059】
広域図1〜市街地図3までの各地図種別に対して、携帯端末装置10の移動速度との対応がオートズーム要因移動速度の欄に設定されている。例えば、広域図1は時速200km以上に設定されている。この設定に従って移動速度に応じて地図を切換えた場合、切換えの域値前後で移動速度が増加または減少を繰り返した時に、表示される地図の切換えが頻繁に生じ観察しづらいものになり、また、通信負荷の増大をもたらす。例えば、時速100kmでは中域図1を表示しているが、時速101kmになると広域図2に切換えられる。この時、経路探索サーバからは広域図1の地図データか携帯端末装置10に配信され、この地図データから広域図2の地図データを作成する。時速が99kmに減少すると中域図1に切換えられるが、この時に経路探索サーバからは中域図1の地図データか携帯端末装置10に配信される。従って時速100kmの前後で移動速度が頻繁に変化した場合、その都度地図が切換えられ、地図データの通信が必要になる場合が生じる。
【0060】
このため、図4の地図データ管理テーブルには、ヒステリシス設定欄42に示すように1つの地図に対して移動速度が増加方向で切換える際の域値と、移動速度が減少方向で切換える際域値を異ならせて設定している。例えば、詳細図1と中域図2についてみると、移動速度が増加方向の場合は、時速100kmを超えると詳細図1から中域図2に切換え、時速120kmを超えると中域図2から中域図1に切換え、移動速度が減少方向の場合には、時速80kmを下回ると中域図2から詳細図1に切換え、時速60kmを下回ると詳細図1から詳細図2に切換えるように設定されている。
【0061】
また、この地図データ管理テーブル114には、各地図毎にオートズーム手段108におけるオートズーム処理の対象とするか否かを設定するオートズーム設定記憶部(オートズーム設定記憶手段)44、オートスクロール手段109におけるオートスクロール処理の対象とするか否かを設定するオートスクロール設定記憶部(オートスクロール設定記憶手段)46が設けられており、利用者が操作部16のズーム/スクロール設定手段166から設定することができる。従って利用者は、オートズーム、オートスクロールにおいてズーム処理、スクロール処理の対象とする地図を任意に設定することができる。
【0062】
例えば、図4のオートズーム設定記憶部44には中域図1、詳細図1、詳細図3、市街地図2をオートズーム処理の対象とする設定がされており、オートズームの処理は設定された地図データを対象に行われる。同様にオートスクロール設定記憶部46には広域図1〜市街地図1をオートスクロール処理の対象とする設定がされており、オートスクロール処理は設定された地図を対象に行われる。このオートスクロール設定は携帯ナビケーション端末10が移動中に地図を停止する際にも利用される。
【0063】
ここで、図4のオートスクロール設定記憶部46の「有効」「無効」の設定の意味について述べる。この設定は、マニュアルスクロール手段164(上下左右キー)には一切触れずに、ズームインボタン162だけを操作して行ったときに、どこでオートスクロール手段109を停止するかを意味するものであり、オートスクロール設定記憶部46に「無効」と設定されている地図まで拡大していったときにオートスクロール手段109が無効(OFF)になる(ステップS114)。すなわち、本発明にかかる携帯端末装置10においては、マニュアルスクロール手段164(上下左右キー)をちょっと押して
地図を止めてから、ズームインボタン162を操作して地図を拡大していくことも可能であり、また、操作に不慣れな人でも、ズームインボタン162だけの操作で、オートスクロール手段109を無効にして地図を停止させることができる。
【0064】
操作部16には、表示手段112に表示されている地図を、マニュアル(手動)でズームイン(拡大)、ズームアウト(縮小)するためのマニュアルズーム手段であるズームインボタン162、ズームアウトボタン163が設けられている。ズームインボタン162、ズームアウトボタン163の操作により、オートズーム手段108が停止し、移動速度にかかわらず表示手段112に表示されている地図が停止し、その後は、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163の操作により手動で地図を拡大、縮小していくことができる。
【0065】
また、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163と同様に、移動速度にかかわらず、表示手段112に表示されている地図に停止させる機能と、マニュアルスクロール(手動)に切換える機能を有するマニュアルスクロール手段164(上下左右の矢印キー)が設けられている。更に、オートスクロール動作に戻すためのクリアボタン165が設けられている。ズーム/スクロール設定手段166は、地図毎にオートズーム表示の対象とするか否かを、また、地図毎にオートスクロール表示の対象とするか否かを設定するための操作部である。
【0066】
ズームインボタン162またはズームアウトボタン163(マニュアルズーム手段)が操作された場合、オートズーム手段108は無効にされ、ボタンが操作される毎に1段階縮小または拡大された地図に切換えて表示手段112に表示が行われる。これ以上縮小あるいは拡大地図がない場合にもう一度ズームインボタン162、または、ズームアウトボタン163が操作された場合にはオートズーム手段108が有効に戻るように構成されている。
【0067】
ズームインボタン162またはズームアウトボタン163が操作されていない状態で、マニュアルスクロール手段164が操作された場合、オートスクロール手段109、オートズーム手段108はいずれも無効とされ、地図変更禁止手段110が有効となり、マニュアルスクロール手段164が操作された時点に表示手段112に表示されている地図が固定される。以後はマニュアルスクロール手段164の操作によりスクロールが可能であるが新たなエリアの地図データを必要とするスクロール処理は地図変更禁止手段110により禁止される。
【0068】
例えば、新幹線で高速移動中に移動速度に応じた地図(広域図1)が表示手段112に表示されており、移動に伴ってオートズーム手段により移動先の広域図1に自動的に切換え表示がなされている状態で、ある地点の建物等に興味を引かれ、地図を停止して詳細図あるいは市街地図に拡大して観察したいという場合には、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163あるいはマニュアルスクロール手段164を操作し、その時点で表示されていた広域図1で一旦地図を停止し、その後ズームイン手段162を操作して中域図、詳細図、市街地図に表示を切換えていけばよい。
【0069】
この状態から復帰する場合は、マニュアルスクロール手段164が操作されていない状態でクリアボタン165を操作することによりオートスクロール手段109が有効な状態に復帰する。
【0070】
図5は携帯端末装置10(携帯電話)の操作部16の外観を示す図である。図5に示すように携帯端末装置10にはマニュアルでズームインするためのボタンであるズームインボタン162(マニュアルズーム手段)およびズームアウトボタン163(マニュアルズーム手段)がボタン群の上側左右に設けられ、また上部中央にマニュアルスクロール手段164(上下左右キー)が設けられている。ズームインボタン162、ズームアウトボタン163、マニュアルスクロール手段164は先に述べたように、地図を停止するための地図停止ボタンとしての機能を有している。図6は、携帯端末装置10の表示画面に表示された地図の1例を示す図である。図6に示すように、表示画面には市街地図が表示され、また、経路案内(ナビゲーション)が表示され、ズームインボタン、ズームアウトボタンの各ボタンが下方、左右に設定されていることが表示されている。この操作部の基本構成、表示画面の構成は必要に応じて種々の変形、変更が可能である。
【0071】
次に本発明の実施例にかかる携帯端末装置10の動作手順について図7のフローチャートを参照して説明する。図7は、自動車を移動手段とした経路案内において、市街地図の使用を制限する本発明の動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、携帯端末装置10が自動車を移動手段として出発地、目的地を経路探索条件として経路探索サーバ20に経路探索を要求し、経路探索サーバ20が経路探索した結果である案内経路を携帯端末装置10に配信し、ステップS100の処理で経路案内が開始されて表示手段112に地図表示がなされる表示制御の1サイクル分の処理を示すフローチャートである。
【0072】
先ず、ステップS101の処理においてスクロール操作がなされているか否かがチェックされ、スクロール操作がなされていない場合はステップS102の処理においてオートスクロールモードで動作しているか否かがチェックされる。案内開始直後はオートスクロールの状態であるのでステップS103の処理に進み、ズームインボタン162が操作されたかをチェックし、ズームインボタン162が操作された場合は、ステップS104の地図選択処理に進む。
【0073】
ステップS104の状態は、オートスクロールが有効でズームインボタン、すなわち、より詳細な階層の地図が要求された状態であり、市街地図の使用を禁止する。すなわち、この地図選択処理においては、地図選択制御手段170により市街地図の使用が禁止され、表示画面に広域図1〜詳細図1が選択肢として表示され、市街地図1は選択できない旨の表示がされる。ステップS105の処理において選択入力があるとステップS106の処理において選択された地図に切り換えが行われ、ステップS114の処理において地図描画が行われる。携帯端末装置10にまだ該当地図データがない場合には地図データ要求/取得部105から経路探索サーバに地図要求を行う。
【0074】
図8はステップ105の地図選択処理の際に表示手段112に表示される地図選択画面の一例を示す図である。表示画面の中央には広域図1〜詳細図3までが選択肢として表示され、ズームインボタン162、ズームアウトボタン163の操作により上下にカーソル移動して所望の縮尺の地図を選択することができる。そして画面の選択肢として市街地図の選択肢表示はなく、画面にはルート案内中は市街地図を選択できない旨の表示がなされる。
【0075】
ステップS101からステップS103の処理においてスクロール操作がなく、オートスクロールがオンでズームイン操作もなければ、ステップS114の処理においてオートスクロールによる地図描画が行われる。
【0076】
ステップS101の処理においてスクロール操作が検出されると、ステップS107の処理に進みオートスクロールがオフされ、ステップS108の処理において、操作部のキー操作(ボタン操作)応じた拡大、縮小、スクロール処理が行われる。このとき地図表示は既に手動スクロールモード(オートスクロールがオフ)であるから、地図選択制御手段170はズームインボタン162の操作による市街地図の使用を許可する(禁止しない)。なぜなら、マニュアルスクロールでは地図が停止しており新たな地図要求が経路探索サーバ20になされる状態でなく、詳細な市街地図の使用を許可しても地図配信の負荷や通信負荷を増大させることがないからである。
【0077】
ステップS108の処理においては市街地図の使用が許可されているから、拡大/縮小処理により市街地図を選択することも可能である。詳細な市街地図を選択すれば、道路沿いの興味対象場所(POI)を調べたり確認したりすることができる。
【0078】
この処理手順に入った後、オートスクロールモードに戻すには、ステップS109の処理においてクリアボタン165を操作する。ステップS109の処理においてクリアボタン165の操作が検出されると、ステップS110の処理において市街地図が選択されているか否かがチェックされる。ここで市街地図が選択されていると、市街地図はオートスクロールにおいては先に述べたように地図選択制御手段170により使用が禁止されているので、ステップS111の処理において「詳細図に戻します」と言う趣旨の確認を行ってから、詳細地図に変更可であればステップS112の処理において詳細地図を用いた経路案内に戻り、ステップS113の処理においてオートスクロールをオンにしてオートスクロールモードに戻る。その後、オートスクロールモードでステップS114の地図描画の処理が行われる。
【0079】
この間の表示手段に表示される画面の遷移が図9に示されている。ステップ108の処理において、図9の画面1に示す詳細図の表示状態から、市街地図にスクロールされ画面2に示す市街地図の表示状態になっているものとする。この状態でステップS109の処理においてクリアボタン165が操作されると、オートスクロールの状態に戻るが、その際、市街地図が表示されているからステップS110の処理では市街地図の表示が検出される。
【0080】
オートスクロールに戻ると市街地図の使用が禁止されるから、ステップS111の処理において図9の画面3に示す表示を行い市街地図から詳細図に変更する確認画面を表示する。この確認画面で利用者が詳細地図への変更に同意するとステップS113の処理でオートスクロールがオンになり画面4に示すように詳細図に表示が変更される。詳細図への変更に同意されないとオートスクロールに戻らずステップS109のクリアボタン操作の検出に戻る。
【0081】
ステップS109の処理でクリアボタン165の操作が検出されなければ、ステップS114の地図描画に戻り、また、ステップS110の処理において市街地図が選択されていなければ、ステップS111、S112の処理をスキップしてステップS113の処理においてオートスクロールをオンにしてオートスクロールモードに戻る。また、ステップS111の処理において詳細地図に変更可でなければステップ109の処理に戻る。この場合、結果的にオートスクロールモードに戻す処理は行われないことになる。
【0082】
このようにして経路案内が進み、目的地または目的地から所定の距離に到達したら「まもなく目的地です。お疲れ様でした。」の音声案内をして経路案内を終了する。一般的なナビゲーションシステムにおいては、目的地に到達した後も利用者は付近の興味対象場所(Point of Interest:以下単にPOIという)を探したりするために移動を続ける場合がある。また、目的地がテーマパークであり、テーマパーク内を移動することもある。このため経路案内が終了していても現在位置表示、地図表示は継続される。従って携帯端末装置10はGPSによる現在位置測位を周期的に行い、現在位置付近の地図が不足すると経路探索サーバ20に地図配信要求することになってしまう。
【0083】
自動車用の経路案内をしている場合、目的地到達後の移動距離は徒歩移動に比べてかなり長くなる場合がある。携帯端末装置10が目的地に到達した後も現在位置測位を継続し、その後の移動により地図配信要求を経路探索サーバに送り続けると、経路探索サーバ20の地図配信負荷を増大させる。このようなケースに対応するため、経路探索条件/動作状態検出手段171は、目的地への到着を検出すると、GPS受信部102の現在位置測位動作を停止する。GPS受信部102を停止する方法としてはGPS受信部102の電源供給を停止する手段をとることが好ましい。
【0084】
このようにすることによって地図のダウンロード要求も発生しなくなり、経路探索サーバ20の地図配信負荷を軽減し、ネットワークの通信負荷も軽減される。また、GPS受信部102の動作を停止あるいは電源供給を停止すれば、携帯端末装置10におけるGPS受信部102の消費電流も抑制することができる。表示手段112への表示は携帯端末装置10において何らかの手動操作があるまで、最後の地図を表示したまま維持する。
【0085】
図10は、図1に示す携帯端末装置10の地図描画手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS201でオートズーム手段108が有効か否か(ONかOFFか)、すなわち、オートズーム処理中か否かが判定される。オートズーム手段108が有効(ON)である場合、ステップS202で携帯端末装置10の移動速度から対応する地図が選択されステップS203に進む。移動速度と地図データの対応は図4の地図データ管理テーブルで説明したとおりであり、また、移動速度に対応した地図選択の詳細は、図11に示すフローチャートを用いて後に詳細に説明する。オートズーム手段108が無効(OFF)である場合はステップS203に進む。
【0086】
次に、ステップS203でオートスクロール処理手段109が有効か否か(ONかOFFか)、すなわち、オートスクロール処理中か否かが判定される。オートスクロール手段109が有効(ON)である場合、ステップS204で携帯端末装置10の現在位置情報に基づいて現在位置を表示画面の中央に位置するように、表示手段112に描画する地図のエリアを決定してステップS206に進む。オートスクロール手段109が無効(OFF)である場合、ステップS205で携帯端末装置10の操作部16のマニュアルスクロールボタン164の操作で指定されている指定位置(任意にマニュアルスクロールボタン164で移動させた地点)に基づいて表示手段112に描画する地図のエリアを決定してステップS206に進む。
【0087】
ステップS206では、携帯端末装置10の地図データ記憶部106に前記ステップS202で決定した地図データが記憶されているかを判断する。地図データ記憶部106に該当する地図データがなければ、ステップS207で携帯端末装置10は経路探索サーバ20に該当する地図データを要求して取得する。地図データ記憶部106に該当する地図データがあればステップS204またはステップS205で決定した描画エリアに従ってステップS208で表示手段112に地図を表示(描画)し、リターン(1回の処理を終了)する。
【0088】
図11は、図1に示す携帯端末装置10の地図選択手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS301で携帯端末装置10の速度検出手段104によって移動速度を検出する。またステップS301においては、現在選択されている地図の選択情報を退避する。退避先は主制御部107のRAM等の一時記憶装置(図示せず)であってよい。次いで、ステップS302において携帯端末装置10の移動速度が、現在選択されている地図に対する上限速度を超えているかを調べる。例えば、現在選択されている地図が市街地図2であった時に、携帯端末装置10の移動速度が時速15km以上の速度であれば、ステップS303に進み、1段階縮小地図である市街地図1を仮選択する。
【0089】
そして、仮選択した市街地図1についてステップS304でオートズームの対象であるかをチェックする。このチェックは、図4に示すオートズーム設定記憶手段の設定を参照することによって行われる。図4に示す例では、市街地図1はオートズームの対象として設定されていないため判定はNOとなり、ステップS302に戻って再度移動速度を調べる。移動速度が時速25km以上の速度であれば、ステップS303で詳細図3が仮選択され、詳細図3はオートズーム対象に設定されているため判定はOKとなり、ステップS305で地図が決定(選択)される。
【0090】
ステップS302において携帯端末装置10の移動速度が上限速度を超えていない場合には、ステップS306に進み、下限速度以下であるかを調べる。下限速度をチェックする処理のステップS306から地図決定の処理のステップS309までの処理は、上限速度をチェックする処理のステップS302から地図決定の処理のステップS305における処理の手順と同様である。
【0091】
ステップS306で移動速度が下限速度を下回っていない場合は、ステップS310に進み、退避してあった地図選択情報を復元してその地図を選択する。すなわち、この場合は地図が切換わらない場合となる。また、携帯端末装置10の移動速度に対応する地図にオートズーム設定がなされていない場合も同様に、ステップS310に飛び、退避してあった地図選択情報を復元してその地図を選択することになる。
【0092】
図12は、携帯端末装置10における表示モード制御の手順を示すフローチャートである。表示モード制御においては、先ずステップS401でズームインボタン162あるいはズームアウトボタン163が操作されてマニュアルズームの制御モードになっているかをチェックする。ズームインボタン162が操作されていれば、表示手段112に表示されている地図が市街地図3であるかをステップS402でチェックする。市街地図3でなければステップS405において、表示する地図を1段階拡大する。例えば、表示中の地図が詳細図3の場合、市街地図1に拡大する。この場合、階層の異なる地図データとなるため経路探索サーバ20から該当する地図データの配信を受ける。
【0093】
ステップS402のチェックで表示中の地図が市街地図3である場合はこれ以上拡大した地図は用意されていないため、マニュアルズーム操作を終了してステップS108においてオートズーム手段108、オートスクロール手段109を有効(ON)にしてオートズーム、オートスクロールの表示モードに戻る。
【0094】
前記のステップS401におけるチェックで、ズームアウトボタン163が操作されている場合は、表示手段112に表示されている地図が広域図1であるかをステップS403でチェックする。広域図1でなければステップS406において、表示する地図を1段階縮小する。例えば、表示中の地図が詳細図1の場合、中域図1に縮小する。この場合、階層の異なる地図データとなるため経路探索サーバ20から該当する地図データの配信を受ける。そしてステップS409において、オートズーム処理手段108を無効(OFF)にしてステップS412でオートスクロール設定記憶部46の設定をチェックする。中域図1の場合、オートスクロール設定は「有効」(図4参照)であるから処理を終了してリターンする。「有効」の設定がされていない場合は,ステップS414においてオートスクロール処理手段109を無効(OFF)にして処理を終了し、リターンする。
【0095】
一方、ステップS403のチェックで表示中の地図が広域図1である場合はこれ以上縮小した地図は用意されていないため、ステップS407でクリアボタン165が操作されているかをチェックし、クリアボタン165が操作されていなければ、処理を終了してリターンする。クリアボタン165が操作されていれば、ステップS410でオートスクロール手段109を有効(ON)にして処理を終了してリターンする。
【0096】
上記のステップS401のチェックでズームインボタン162、ズームアウトボタン163の何れもが操作されていない場合、ステップS404でマニュアルスクロールボタン164が操作された場合には、ステップS411でオートズーム手段108およびオートスクロール手段109が無効(OFF)にされ、地図変更禁止手段110が作動して地図か停止し、ステップS413で手動スクロール処理を行うことができるようになる。
【0097】
なお、自動車用の経路案内を要求している場合には、経路案内が開始され、オートスクロール手段109が有効にされた状態で利用者がズームインボタン162を操作した場合には上記図10、図11、図12の処理手順によらず図7の処理手順か適用される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、携帯電話を使った歩行者ナビゲーションシステムにとどまらず、自動車の助手席搭乗者用のナビゲーションシステムとしての専用アプリケーションを実現することができて、同時に多くの利用者が携帯電話を使用してナビゲーションサービスを要求しても、経路探索サーバの処理負荷が軽減でき、サービスを低下させないシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施例にかかる携帯端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地図の種別と移動速度範囲の対応関係を記憶した地図データ管理テーブルの構成を示す図である。
【図3】ルート案内開始時に携帯端末装置に表示されるメニュー画面の遷移を示す図である。
【図4】地図管理テーブルの他の構成とオートズーム、オートスクロール設定記憶部の構成を示す図である。
【図5】携帯端末装置10の操作部の外観を示す図である。
【図6】地図表示の一例を示す表示画像の図である。
【図7】自動車を移動手段とした経路案内において、市街地図の使用を制限する本発明の実施例にかかる携帯端末装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図8】市街地図の選択を禁止する際の地図選択表示画面の一例を示す図である。
【図9】マニュアルスクロールにおける地図の拡大、縮小、スクロール処理の際に表示される表示画面遷移を示す図である。
【図10】地図描画の手順を示すフローチャートである。
【図11】地図選択の手順を示すフローチャートである。
【図12】表示モード制御の手順を示すフローチャートである。
【図13】従来の携帯電話をナビゲーション端末として用いた携帯ナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
10・・・携帯端末装置
12・・・インターネット網
14・・・GPS衛星
20・・・経路探索サーバ
16・・・操作部
161・・オートボタン
162・・ズームインボタン(マニュアルズーム手段)
163・・ズームアウトボタン(マニュアルズーム手段)
164・・マニュアルスクロール手段
165・・クリアボタン
166・・ズーム/スクロール設定手段
101・・通信部
102・・GPS受信部
103・・現在位置算出手段
104・・速度検出手段
105・・地図データ要求/取得部
106・・地図データ記憶部
107・・主制御部
108・・オートズーム手段
109・・オートスクロール手段
110・・地図変更禁止手段
111・・表示制御部
112・・表示手段
114・・地図データ管理テーブル
115・・地図データ拡縮処理手段
170・・地図選択制御手段
171・・経路探索条件/動作状態検出手段
22・・・地図データ配信部
24・・・地図データ記憶部
26・・・経路探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置と、通信手段を介して前記携帯端末装置と接続され、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、を備えたナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出した場合、前記地図選択制御手段は密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行うことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記携帯端末装置は、更に、地図データ要求/取得部を備え、前記地図選択制御手段が密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う場合には、前記地図データ要求/取得部は経路探索サーバに当該密度の高い種類の地図データの配信要求を行わないことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記携帯端末装置は、更にオートスクロール手段を備え、前記ズーム手段またはスクロール手段により手動スクロール操作を行い、前記オートスクロール手段が停止した場合には、前記地図選択制御手段は前記密度の高い種類の地図の選択を許可することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置と、通信手段を介して前記携帯端末装置と接続され、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、を備えたナビゲーションシステムであって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が目的地への到着を検出した場合、前記GPS受信部を含む測位手段の動作を停止することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、通信手段を介して接続され、GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出した場合、前記地図選択制御手段は密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行うことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項6】
前記携帯端末装置は、更に、地図データ要求/取得部を備え、前記地図選択制御手段が密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う場合には、前記地図データ要求/取得部は経路探索サーバに当該密度の高い種類の地図データの配信要求を行わないことを特徴とする請求項5に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記携帯端末装置は、更にオートスクロール手段を備え、前記ズーム手段またはスクロール手段により手動スクロール操作を行い、前記オートスクロール手段が停止した場合には、前記地図選択制御手段は前記密度の高い種類の地図の選択を許可することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、通信手段を介して接続され、GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置であって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が目的地への到着を検出した場合、前記GPS受信部を含む測位手段の動作を停止することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項9】
経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索し、密度の高い種類の地図と密度の低い種類の地図からなる異なる複数の種類の地図データのうち携帯端末装置から要求された何れかの種類の地図データと、案内経路のデータを前記携帯端末装置に配信する経路探索サーバと、通信手段を介して接続され、GPS受信部を有する測位手段と地図を表示する表示手段とを備えた携帯端末装置における地図表示方法であって、
前記携帯端末装置は、地図の種類を選択するズーム手段と、地図をスクロールするスクロール手段と、経路探索条件/動作状態検出手段と、地図選択制御手段と、を備え、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出するステップと、前記経路探索条件/動作状態検出手段が自動車による経路探索に対する経路案内であることを検出した場合、前記地図選択制御手段は密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行うステップと、を有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項10】
前記携帯端末装置は、更に、地図データ要求/取得部を備え、前記地図選択制御手段が密度の高い種類の地図の使用を禁止し、当該密度の高い種類の地図よりも密度の低い種類の地図を利用して地図表示を行う場合には、前記地図データ要求/取得部が経路探索サーバに当該密度の高い種類の地図データの配信要求を行わない処理を含むことを特徴とする請求項9に記載の地図表示方法。
【請求項11】
前記携帯端末装置は、更にオートスクロール手段を備え、前記地図表示方法は、更に、前記ズーム手段またはスクロール手段により手動スクロール操作を行い、前記オートスクロール手段が停止した場合には、前記地図選択制御手段は前記密度の高い種類の地図の選択を許可するステップを有すること特徴とする請求項9または請求項10に記載の地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−57503(P2007−57503A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246634(P2005−246634)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】