説明

ナビゲーションシステム、経路探索サーバ、端末装置および広告表示方法

【課題】案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、乗り換え所要時間だけでなく、待ち時間を算出して案内するナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】交通手段の時刻表運行データ302と、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータ303と、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段315と、経路探索手段314と、表示手段216と、操作・入力手段217とを備え、経路探索手段314は、操作・入力手段217により設定された出発地と目的地の情報に従って、時刻表運行データ302、乗り換えデータ303に基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索し、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、待ち時間算出手段315は、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、表示手段216に案内経路と待ち時間とを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の出発地から目的地まで、交通機関を利用した経路を含む経路を案内するナビゲーションシステムに関するものであり、特に、交通機関における乗り換えを案内する機能を有するナビゲーションシステムにおいて、乗り換え場所において乗り換えのための移動に必要な乗り換え所要時間と、乗り換えるべき電車、列車などの交通手段を待つために必要となる乗り換え待ち時間とを案内できるようにしたナビゲーションシステム、経路探索サーバ、端末装置に関するものであり、また、本発明は、乗り換え場所と乗り換え待ち時間とに関連して当該乗り換え場所と乗り換え待ち時間に適した広告情報を提供できるようにした広告表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
このような経路探索システムは、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、各交通機関の運行時刻データをデータベース化した運行時刻データベースを参照して、乗り継ぎ(乗り換え)を含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(出発地駅、目的地駅、路線、列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示するように構成される。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0007】
また、交通機関に関する検索、案内を行うシステムとして、携帯電話などの端末装置から交通機関の路線情報や時刻表情報を案内する情報配信サーバに接続して所望の出発駅、出発時刻、目的駅などを指定して、乗車可能な路線や列車、電車などの交通手段の情報配信を受け、端末装置に表示することができる案内システムも提供されている。一般に端末装置からこのような利用を行う場合には、ダウンロードしたい情報の存在する場所を特定するためのURL(Uniform Resource Locator)やドメイン名などのアドレス情報を端末装置に入力して当該アドレスにより特定される情報配信サーバ(情報サイト)にアクセスして所望の情報をダウンロードする構成がとられている。
【0008】
交通機関を利用した経路探索、経路案内をするナビゲーションシステムなどにおける経路探索用のデータは、車載用ナビゲーションシステムや歩行者用ナビゲーションシステムにおける道路ネットワークのデータと同様に交通路線の各駅をノードとし、駅間を双方向リンクとしてネットワーク化したデータの他に、各交通路線上を運行される交通手段ごとに各リンクの運行時刻、所要時間がリンクコストのデータとして加えられる。更に、運賃データが加えられ、探索した案内経路の運賃が合わせて案内されるシステムも存在する。
【0009】
従って端末装置に配信される案内経路データには、利用者が指定した経路探索条件である出発地から目的地までの路線経路や乗車を案内するバス、電車、列車およびその時刻が含まれ、運行時刻表や駅に掲示されるいわゆる駅貼り時刻表などがそのままあるいは必要部分が画面表示できる表示データなどの形式に加工されて端末装置に配信される。端末装置では案内経路のデータや運行時刻表あるいは駅貼り時刻表を表示して経路や乗車すべき交通手段を確認することができる。
【0010】
交通機関の経路案内や交通機関を利用した経路探索において、一般には、乗り換えを考慮した案内や経路探索が行われる。例えば、下記の特許文献2(特開平8−263786号公報)には、各経由駅および各乗換駅構内の混雑情報に基づいて、降車番線のホームから乗換番線のホームまでの乗換移動に伴う平均的な乗換所要時間を乗り換え時間として案内する移動経路案内装置が開示されている。
【0011】
すなわち、この特許文献2に開示された移動経路案内装置は、乗り換え駅における乗り換え所要時間をデータ化して記憶しており、これに基づいて経路中に乗り換え駅がある場合には、乗り換え所要時間を案内する。乗り換え所要時間は、各経由駅および各乗換駅構内の混雑情報に基づいて、降車番線のホームから乗換番線のホームまでの乗換移動に伴う平均的な乗り換え所要時間を蓄積したものであり、具体的には、時間単位毎で、かつ降車番線のホームと乗換番線のホームとの差毎に1ホーム移動、2ホーム移動、3ホーム以上移動の3パターンの乗り換え所要時間を蓄積したものである。
【0012】
また、下記の特許文献3(特開2003−182579号公報)には、乗り換え時間が最少になるように経路探索して案内経路とともに最適乗車位置を案内する最適経路探索装置が開示されている。この特許文献3に開示された最適経路探索装置においては、乗り換えデータとして、路線間の乗り換え駅につき、入線側路線及び入線方向と、出線側路線及び出線方向の組み合わせ別に、入線側路線での最適乗換車両位置情報を蓄積したものである。
【0013】
この最適経路探索装置は、指定探索条件に応じて出発地から目的地まで最短時間で移動できる最適な経路を探索し、結果を記憶部に記憶させ、また最適経路上で乗り換えを行うべき駅があるときは、路線網データから最適な経路上での当該乗り換え駅での入線側路線及び入線方向と、出線側路線及び出線方向を判別したのち入線側路線での最適乗換車両位置情報を検索し、最適経路情報に付加するように構成されている。
【0014】
また、本願の出願人は、乗り換え場所での乗り換え所要時間を、時間帯などによって異なるより正確な所要時間を用いて案内し得る経路探索システムを提供する目的で、既に特願2005−005565号の発明についての特許出願を行っている。
この特願2005−005565号(以下、「先願1」という。)に開示された発明は、交通機関を利用して出発地から目的地までの乗り継ぎを含む経路を探索して案内するナビゲーションシステムにおいて、乗り継ぎ場所における乗り継ぎ時間を実勢に応じた乗り換え時間に最適化して経路探索を行い、最適案内経路を案内できるようにすることを目的としたものである。
【0015】
この先願1の発明にかかる経路探索システムは、携帯端末装置から入力された経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの交通手段を用いた経路であって、必要に応じて交通手段の乗り継ぎを含む経路を探索して案内経路とし携帯端末装置に配信する経路探索サーバを備えた経路探索システムにおいて、経路探索システムは、乗り継ぎ場所における乗り換え時間を蓄積した乗り換え時間DBと、携帯端末装置からの乗り換え時間を収集する乗り換え時間収集手段と、前記所要時間収集手段により収集した乗り継ぎ場所毎の乗り換え時間のデータを統計処理して乗り継ぎ場所毎の乗り換え時間を算出する統計処理手段と、を備え、乗り換え時間DBに蓄積された乗り換え時間を、前記統計処理手段が算出した乗り換え時間により更新するように構成したものである。
【0016】
すなわち、上記先願1の経路探索システムは、携帯電話などの携帯端末を端末装置とした通信型のナビゲーションシステムにおいては、経路探索サーバが探索した案内経路に乗り継ぎが含まれる場合に、利用者がその案内経路を実際に移動する際に現実の乗り換え時間に関するデータを収集することが可能である点に着目し、多数の乗り換え時間を収集してこれを統計処理し、実勢にあった乗り換え時間を得て、乗り換え時間のデータを更新し、これに基づいて乗り換え時間を案内するようにしたものである。
【0017】
最近では、携帯電話を端末装置として各種サービスを提供するシステムが実現されており、携帯電話を端末装置として前述したような交通機関を利用した経路探索および案内を行う通信型のナビゲーションシステムも実現している。例えば、下記の特許文献4(特開2003−106863号公報)には、携帯電話を端末装置とした通信型の情報配信システムが開示されている。この情報配信システムは携帯電話を端末装置として、所望の興味対象場所(POI)を検索して交通機関を利用して当該POIまでの地図や経路案内を当該携帯電話に提供するように構成されている。
【0018】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開平8−263786号公報(図4、段落[0022])
【特許文献3】特開2003−182579号公報(図4、図5、図6)
【特許文献4】特開2003−106863号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、交通機関を利用した経路探索、経路案内において、乗り換え駅が案内経路に含まれる場合、上記特許文献2や特許文献3に開示された技術のように乗り換えに必要な時間や乗り換え時間を最少とする最適乗車位置などを含めて正確に案内したとしても、利用者にとっては以下に述べるようにいまひとつ利便性に欠ける点があった。また、上記先願1のように正確な乗り換え所要時間を案内しても同様の問題点が生じる。
【0020】
すなわち、図10は端末装置に表示される一般的な案内経路の表示画像を示す図であり、図10Aは乗り換え所要時間の一例を示し、図10Bは乗り換え所要時間の他の例を示す図である。すなわち、図10Aに示すように、案内経路表示は、上部に候補経路が複数表示され、第1経路から順に現在地から目的地までの乗り換え駅を含み、発着時刻が表示される。図10Aでは乗り換え駅における乗り換え所要時間Taが「乗換必要時間 1分」として表示されている。
【0021】
「乗換必要時間 1分」というのは、乗換えにあまり時間を必要とせず、時間的余裕のある乗り換えの印象を与えるが、実は駅への到着時刻(着時刻)が15:45、乗り換えるべき発車時刻(発時刻)が15:46の運行スケジュールである。殆ど時間的余裕の無い乗換えである。ホームの売店に立ち寄り何か買おうなどと考えてはいけないようなケースである。
【0022】
これに対して、図10Bは、乗り換え駅における乗り換え所要時間Tbが「乗換必要時間 2分」なので少々歩くような印象であるが、よく見ると着時刻が15:45、発時刻が15:51なので、乗り換え所要時間の2分の他に4分の待ち時間があることになる。これなら売店で買い物をすることもできる。利用者はこのような差異を表示された案内から読み取らなくてはならず、利便性が良いものであるとはいい難いという問題点があった。
【0023】
すなわち、利用者がその都度着時刻と発時刻と乗り換え所要時間から計算をして待ち時間の長さを判断しなければならないという問題点があった。仮に利用者が繰り返し利用する乗り換え駅であっても、着時刻、発時刻によって待ち時間は変わってしまうので、利用者に毎回計算を強いる結果となっている。
【0024】
また、待ち時間がある場合に、当該乗り換え場所と待ち時間に関連して駅構内、あるいは、駅近辺の施設などの案内や広告を表示できると利用者にとって利便性をより向上することができ好都合であるが、上記特許文献2や3においてはこのような考慮がなされていないという問題点があった。
【0025】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、待ち時間算出手段を備え、案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、待ち時間算出手段により乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、案内すれば上記問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0026】
すなわち、本発明は、交通機関を利用した経路を探索して案内するナビゲーションシステムにおいて、案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、乗り換え所要時間だけでなく、待ち時間を算出して案内するナビゲーションシステム、経路探索サーバ、端末装置を提供することを第1の目的とし、乗り換え場所と待ち時間に応じた案内を表示することができる広告表示方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、表示手段と、操作・入力手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索し、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段は、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、前記表示手段に前記案内経路と前記待ち時間と、を表示することを特徴とする。
【0028】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記表示手段に、乗り換え場所における乗り換え所要時間と前記待ち時間と、を表示することを特徴とする。
【0029】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記表示手段に、前記待ち時間が所定値以下の場合は当該待ち時間を強調する画像を表示することを特徴とする。
【0030】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記ナビゲーションシステムは、更に、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データを備え、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出して前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0031】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記広告データを、前記待ち時間の長さに応じて抽出し、前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0032】
また、本願の請求項6にかかる発明は、
表示手段と、操作・入力手段と、を備え、操作・入力手段により設定した出発地と目的地とを含む経路探索要求を経路探索サーバに送信し、経路探索サーバから配信された案内経路データを前記表示手段に表示する端末装置にネットワークを介して接続される経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索し、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段は、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、前記表示手段に前記案内経路と前記待ち時間と、を表示することを特徴とする。
【0033】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる経路探索サーバにおいて、前記端末装置に、乗り換え場所における乗り換え所要時間と前記待ち時間と、を配信することを特徴とする。
【0034】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項6にかかる経路探索サーバにおいて、前記端末装置に、前記待ち時間が所定値以下の場合は当該待ち時間を強調する画像を配信することを特徴とする。
【0035】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項6にかかる経路探索サーバにおいて、前記経路探索サーバは、更に、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データを備え、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出して前記端末装置に配信することを特徴とする。
【0036】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項9にかかる経路探索サーバにおいて、前記広告データを、前記待ち時間の長さに応じて抽出し、前記端末装置に配信することを特徴とする。
【0037】
また、本願の請求項11にかかる発明は、
経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、を備え、前記経路探索手段は、前記操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索し、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段は、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、前記案内経路と前記待ち時間と、を端末装置に配信する経路探索サーバにネットワークを介して接続される端末装置であって、
前記端末装置は、表示手段と、操作・入力手段と、を備え、操作・入力手段により設定した出発地と目的地とを含む経路探索要求を経路探索サーバに送信し、前記経路探索サーバから配信された前記案内経路と前記待ち時間と、を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0038】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項11にかかる端末装置において、前記表示手段に、乗り換え場所における乗り換え所要時間と前記待ち時間と、を表示することを特徴とする。
【0039】
本願の請求項13にかかる発明は、請求項11にかかる端末装置において、前記表示手段に、前記待ち時間が所定値以下の場合は当該待ち時間を強調する画像を表示することを特徴とする。
【0040】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項11にかかる端末装置において、前記ナビゲーションシステムは、更に、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データを備え、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出して前記端末装置に配信する経路探索サーバに接続される端末装置であって、
前記端末装置は前記経路探索サーバから配信された前記広告データを前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0041】
本願の請求項15にかかる発明は、請求項14にかかる端末装置において、前記経路探索サーバは前記広告データを、前記待ち時間の長さに応じて抽出し、前記端末装置に配信する経路探索サーバに接続される端末装置であって、
前記端末装置は前記経路探索サーバから配信された前記広告データを前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0042】
また、本願の請求項16にかかる発明は、
経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、表示手段と、操作・入力手段と、を備えたナビゲーションシステムにおける広告表示方法であって、
前記経路探索手段が、前記操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索するステップと、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段が、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出するステップと、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出するステップと、前記表示手段に前記案内経路と前記待ち時間とを表示するステップと、を有すること特徴とする。
【0043】
本願の請求項17にかかる発明は、請求項16にかかる広告表示方法において、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出するステップは、前記待ち時間の長さに応じて抽出する処理を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
請求項1にかかる発明においては、
経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、表示手段と、操作・入力手段と、を備え、経路探索手段は、前記操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索し、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段は、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、前記表示手段に前記案内経路と前記待ち時間と、を表示する。
【0045】
このような構成によれば、案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、乗り換え所要時間だけでなく、待ち時間を算出して案内するから、利用者がその都度着時刻と発時刻と乗り換え所要時間から計算をして待ち時間の長さを判断する必要がなく、利便性を向上することができるようになる。
【0046】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記表示手段に、乗り換え場所における乗り換え所要時間と前記待ち時間と、を表示する。このような構成によれば、利用者は乗り換えに要する時間と、待ち時間と、を表示から直接知ることができるから、利便性を向上することができるようになる。
【0047】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記表示手段に、前記待ち時間が所定値以下の場合は当該待ち時間を強調する画像を表示する。このような構成によれば、待ち時間が少ないことが直ぐに判断できるようになるから、利便性を向上することができるようになる。
【0048】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記ナビゲーションシステムは、更に、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データを備え、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出して前記表示手段に表示する。
【0049】
このような構成によれば、待ち時間がある場合に、当該乗り換え場所と待ち時間に関連して駅構内、あるいは、駅近辺の施設などの案内や広告が表示されるから、利用者にとって利便性をより向上することができるようになる。
【0050】
請求項5にかかる発明においては、請求項4にかかる発明において、前記広告データを、前記待ち時間の長さに応じて抽出し、前記表示手段に表示する。このような構成によれば、利用者は待ち時間の長さに応じて、駅構内、あるいは、駅近辺の施設などの案内や広告を参照することができ、利便性をより向上することができるようになる。
【0051】
また、請求項6ないし請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項5にかかるナビゲーションシステムを構成する経路探索サーバを提供することができ、請求項11ないし請求項15にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項5にかかるナビゲーションシステムを構成する端末装置を提供することができるようになる。また、請求項16、請求項17にかかる発明においては、それぞれ請求項4、請求項5にかかるナビゲーションシステムにおける広告表示方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステムを例示するものであって、本発明をこのナビゲーションシステムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーションシステムにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0053】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示す図である。ナビゲーションシステム10は、携帯電話やPDA、ミュージックプレーヤーなどの携帯型端末を用いた端末装置20と経路探索サーバ30とがインターネットなどのネットワーク12を介して接続される構成になっている。なお、本実施例においては、経路探索、案内経路を提供するナビゲーションシステム10を具体例として説明するが、本発明はこれに限ることなく、所望の出発駅から目的駅までの交通路線や時刻情報を提供する情報配信システムなどにも適用可能である。
【0054】
経路探索サーバ30は、経路探索のため地図や道路ネットワークのデータ、交通ネットワークのデータなどからなるNW(ネットワーク)データを蓄積したデータベース(DB1)と、交通機関の時刻表や運行時刻データを蓄積したデータベース(DB2)と、乗り換え場所における乗り換え所要時間などの乗り換えデータを蓄積したデータベース(DB3)と、乗り換え場所、待ち時間などに関連付けた案内や広告のデータを広告データとして蓄積したデータベース(DB4)を備えている。これらデータベースDB1〜DB4に蓄積するデータは各種の情報配信サーバ40からネットワーク12を経由して収集することができる。
【0055】
図2は、図1のナビゲーションシステム10の概略構成を示すブロック図である。端末装置20は、例えばGPS受信機などからなるGPS測位手段213を搭載した携帯電話機であり、制御手段211、通信手段212、配信要求手段214、データ記憶手段215、表示手段216、操作・入力手段217などを備えて構成されている。利用者は、徒歩あるいは交通機関を移動手段として選択し、徒歩や交通機関を利用した経路案内を受けることができ、また、自動車の助手席に同乗した時には移動手段として自動車を選択して経路案内を受けることができる。
【0056】
制御手段211は、図示してはいないがRAM、ROMを有するマイクロプロセッサ(CPU)を備えて構成され、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。操作・入力手段217は、数字キーやアルファベットキー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどからなる操作・入力のためのものであり、出力手段である表示手段216に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、キーを操作して種々の入力操作を行うものである。従って、表示手段216は操作・入力手段217の一部としても機能する。通信手段212は、ネットワーク12を介して経路探索サーバ30と通信するためのインターフェースである。
【0057】
利用者が経路探索サーバ30に経路探索を依頼しようとする場合、端末装置20において操作・入力手段217を操作し、表示手段216に表示されるサービスメニューから経路探索を選択し、現在位置、目的地、移動手段(自動車、徒歩、交通機関あるいは徒歩と交通機関併用など)などの経路探索条件を入力する。経路探索条件は配信要求手段214で経路探索サーバ30への配信要求に編集され、通信手段212を介して経路探索サーバ30に送信される。
【0058】
経路探索サーバ30から配信される案内経路などの配信データはデータ記憶手段215に一時記憶され、必要に応じてデータ記憶手段215から読み出され、表示手段216に表示される。経路探索サーバ30からの配信データに交通機関を利用した経路が含まれる場合は、図10に示す表示例のように、複数の候補経路が順に(トータルの所要時間順や所要運賃順など表示順は利用者が設定することができる)表示される。
【0059】
本発明においては、乗り換え場所が含まれる場合、乗り換えに必要な移動時間(ホーム間の移動時間など)が移動所要時間として表示され、乗り継ぎ列車(交通手段)の発時刻までの待ち時間がなど表示される。表示される待ち時間は、後述のごとくして経路探索サーバ30により算出され、案内経路のデータ、乗り換え所要時間などのデータとともに端末装置20に配信される。
【0060】
GPS測位手段213は、予め定められた一定の周期でGPS衛星信号を受信し、端末装置20の現在位置を緯度・経度で測位する。GPS測位手段213で測位された現在位置の情報は必要に応じて経路探索サーバ30に送信され、経路探索サーバ30は端末装置20からの配信要求に応じて経路の再探索や現在位置情報に基づく各種データ、例えば、利用者が関心を持つPOI(興味対象場所)の検索、情報配信などに使用される。
【0061】
一方、経路探索サーバ30は、前述したように、経路探索のため地図、道路ネットワークデータ、交通ネットワークのデータなどからなる地図NW(ネットワーク)データ301、交通機関の時刻表や運行時刻データを蓄積した時刻表運行データ302と、乗り換え場所における乗り換え所要時間などの乗り換えデータを蓄積した乗り換えデータ303と、乗り換え場所、待ち時間などに関連付けた案内や広告のデータを広告データとして蓄積した広告データ304と、を備えている。
【0062】
また、経路探索サーバ30は、制御手段311、通信手段312、配信手段313、経路探索手段314、待ち時間算出手段315、広告選択手段316などを備えて構成されている。制御手段311は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段312は、ネットワーク12を介して端末装置20と通信するためのインターフェースである。
【0063】
経路探索手段314は端末装置20からの配信要求に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する。移動手段が徒歩や自動車による経路探索の場合、経路探索手段314は地図NWデータ301を参照して案内経路を探索する。移動手段に交通機関が含まれる場合、経路探索手段314は、更に時刻表運行データ302、乗り換えデータ303を参照して交通機関を含む案内経路を探索する。
【0064】
探索された案内経路や乗り換え所要時間などのデータは配信手段313で端末装置20に配信するためのデータに編集され、通信手段312を介して端末装置20に配信される。一般には、徒歩や自動車による経路の場合、交差点などの案内ポイントにおいて右左折を案内するガイダンスデータが付加される。交通機関を利用する経路の場合、出発駅や乗り換え駅とそこで乗車すべき電車の発時刻などのデータが付加される。
【0065】
ここで、乗り換えデータは図3に示すように乗り換え場所(乗り換え駅)のIDと当該乗り換え駅においてホーム間を移動するために必要な所要時間とをデータ化したものである。乗り換え駅において移動するホームや経路にいくつかのパターンがある時、例えば、移動するホームが1ホームであったり、3ホームであったりする場合、パターンPTa〜PTcのように各パターンごとにその移動のための所要時間がデータ化されている。これにより、乗り換え場所における乗り換え所要時間が検索される。
【0066】
経路探索の結果得られる案内経路は、交通機関を利用する経路においては、利用する路線、出発駅、乗り換え駅、目的駅と、各駅間を移動する個々の電車、列車、バスなどの交通手段の発時刻、着時刻などのデータからなる。このような経路探索は、地図NWデータ301、時刻表運行データ302、乗り換えデータ303を参照することによって得られる。
【0067】
経路探索のための地図NWデータ301は以下のように構成される。すなわち、例えば、道路が図4に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0068】
すなわち、図4において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図4では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0069】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図4において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0070】
図4ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0071】
これに対して、交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータは以下のように構成されている。例えば、図5に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅(航空機の路線においては各空港)をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。図5において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅など)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図5では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0072】
しかしながら、交通ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークではリンクコストは固定的、静的なものであったが、交通ネットワークでは、図5に示すように交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機などの各経路を交通手段と称する)が複数ある。各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0073】
図5に例示する交通ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車などの経路)の総数に比例したデータ量になる。このため交通ネットワークのデータは道路ネットワークのデータ量に比べて膨大なデータ量になる。従って、それに応じて、経路探索に要する時間も多くの時間が必要になる。
【0074】
このような交通ネットワークデータを用いて、ある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。
【0075】
例えば、図5において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択する。そして交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数などを累計して案内することになる。
【0076】
案内経路に乗り換え駅が含まれる場合、乗り換え所要時間は乗り換えデータ303(図3参照)から得られる。また、乗り換え駅への着時刻、乗り換える交通手段の発時刻は、時刻表運行データ302から得られる。時刻表運行データ302は市販されている時刻表のデータ、各駅に掲出される駅貼り時刻表などのデータである。
【0077】
ここで、本発明においては、待ち時間算出手段315が着時刻、発時刻、乗り換え所要時間とから、待ち時間を算出する。待ち時間は次の式により容易に算出することができる。すなわち、
待ち時間=(乗り換え駅発時刻)-(乗り換え駅着時刻)−(乗り換え所要時間)
となる。当然ではあるが、乗り換え所要時間を考慮した経路なので、算出した待ち時間が負になることはない。
【0078】
経路探索サーバ30は、このようにして算出した乗り換え駅における待ち時間を端末装置20に案内経路のデータとともに配信し、端末装置20はこれらの配信データを受信し、表示手段216に案内経路、乗り換え所要時間、待ち時間を表示する。図6は、表示手段216に表示される本発明による案内経路の表示画像を示す図であり、図6Aは乗り換え所要時間、待ち時間の表示画像一例を示し、図6Bは乗り換え所要時間、待ち時間の表示画像の他の例を示す図である。
【0079】
図6Aは、待ち時間がほとんどない(乗り換え所要時間だけで乗り換える交通手段の発時刻になってしまう)場合を示している。すなわち、図6Aに示すように、案内経路表示は、上部に候補経路が複数表示され、第1経路から順に現在地から目的地までの乗り換え駅を含み、発着時刻が表示される。乗り換え駅における乗り換え所要時間TMaが「乗換必要時間 1分」として表示され、待ち時間Waは「待ち時間 0分」のように表示される。この場合、利用者は乗り換えを急ぐ必要がある。
【0080】
そこで、図6Bに示すように「待ち時間 0分」の表示Wbのそばに急いで移動する必要があることを示すアイコン画像Acを表示して待ち時間がほとんどないことを強調して表示することが好ましい。この強調表示は、待ち時間が予め設定した所定の時間以下、例えば、「1分」以下であるような場合に表示すると良い。
【0081】
待ち時間が所定の値以上の場合、利用者は乗り換え駅で種々の用件を済ませることができる。例えば、駅の売店で買い物をしたり、お土産ものを購入したり、時間に余裕があれば軽食をとったりすることができ、サービスの利便性を向上させることができる。このため、本発明においては、乗り換え場所と待ち時間に関連付けて広告データ304を蓄積してある。
【0082】
図7は広告データ304のデータ構成の一例を示す図である。図7に示すように広告ID(AAA〜NNN)によって識別される広告はそのカテゴリ、当該広告の店舗や設置場所の場所情報(駅名や構内、郊外の別、位置(緯度・経度))、営業時間帯、当該店舗等における平均的な所要時間などの情報が記憶される。例えば、広告AAAはカテゴリが飲食店であり、X駅の構外にあり、営業時間帯、当該店舗における利用客の平均所要時間が40分であることが記憶されている。他の広告BBB〜NNNについても同様である。
【0083】
利用者は、乗り換え場所とそこでの待ち時間に応じて広告が表示されれば、所望の行動をとることができる。例えば、利用者が食事前であり、X駅で乗り換えの待ち時間が40分以上ある場合、飲食店AAAの広告が表示されれば、利用者に対してそこで軽食をとる動機付けがなされることが期待できる。利用者が途中下車の可能な乗車券で移動していれば、駅構外であっても当該店舗や施設の利用が可能である。待ち時間が10分程度であれば、コンビニなどでちょっとした買い物をすることで済ませるかも知れない。勿論、待ち時間が所定の値以下であれば所望の用件を済ませる時間がなく、広告のデータは配信されない。
【0084】
従って、広告データ304は図7に示すように、場所および待ち時間に関連付けて蓄積されており、この広告データ304から広告選択手段316が乗り換え場所における待ち時間Wbの長さに応じて、該当する広告を抽出して案内経路のデータや待ち時間のデータなどとともに端末装置20に配信し、端末装置20は表示手段に案内経路や待ち時間のデータとともに広告のデータも表示する。ここで、広告とは上記のような店舗の広告のみでなく、駅構内の各施設、例えば、洗面所の場所やエレベータ施設の場所を案内する案内広告も含む広義の概念である。障害者用の施設を案内する広告を含めれば、より利便性が増す。表示された広告や施設案内の画像(アイコンなど)をクリックすることで現在位置から当該施設や店舗への経路を表示できるようにすれば更に好適である。
【0085】
図8は、上記のようにして乗り換え場所と待ち時間に応じて選択された広告を表示する表示画面の一例を示す図である。図8に示す例では、乗り換え駅における乗り換え所要時間TMbが2分であり、待ち時間は、発時刻(15:51)と着時刻(15:45)の差から乗り換え所要時間(2分)を差し引いた4分である。4分あれば駅構内の売店で買い物をする時間がある。従って、駅売店の広告Adが表示される。該当する広告が複数ある場合は、複数表示してもよい。また、配信される広告は、その時点で直ちに利用できる対象でなくても、利用者は待ち時間に広告を見る時間があるので、その駅周辺の広告を出して、記憶にとどめてもらうこともできる。
【0086】
また、配信される広告のカテゴリを端末装置20により予め設定して、経路探索要求とともに経路探索サーバ30に配信要求しておき、経路探索サーバ30は広告選択手段316により広告を選択する際に指定されたカテゴリに該当する広告のみを広告データ304から検索するように構成すればよい。
【0087】
待ち時間の長さに応じて広告を選択すれば、待ち時間が短時間ならば駅構内での買い物、待ち時間が30分から1時間程度ならファーストフードからレストランまで、終電で到着して翌朝発となるような場合は近くのホテルといった関連付けをしておき、待ち時間の長さに応じて広告のカテゴリと乗り換え場所の対象エリアを広げて選択するように構成してもよい。このような広告の提供方法によれば、その場所で時間的余裕がある人に広告を見せることができるので、無作為な広告配信よりも効果的な広告配信になる。
【0088】
次に、本発明にかかるナビゲーションシステムの動作手順を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
経路探索サーバ30は先ずステップS11の処理において、端末装置20から経路の探索要求を受信し、ステップS12の処理において経路探索手段314が地図NWデータ301、時刻表運行データ302、乗り換えデータ303などを参照して要求された経路を探索する。
【0089】
次に、経路探索手段314が探索した案内経路についてステップS13の処理において乗り換えがあるかを判別する。乗り換えがなければ、ステップS17の処理に進み、配信手段313は案内経路のデータを編集して端末装置20に配信する。端末装置20は配信データを受信するとデータ記憶手段215にそのデータを記憶し、表示手段216に案内経路を表示する。
【0090】
ステップS13の処理において乗り換えがあると判別されると、待ち時間算出手段315は乗り換え駅での着時刻と発時刻および乗り換えデータ303から得た乗り換え所要時間とから待ち時間を算出する。そして広告選択手段316はステップS15の処理において、広告データ304を参照して乗り換え場所と待ち時間に応じた広告があるか否かを判別する。該当する広告がなければステップS17の処理に進み、配信手段313は案内経路のデータ、乗り換え所要時間および待ち時間のデータを編集して端末装置20に配信する。
【0091】
ステップS15の処理において、該当する広告があると、ステップS16の処理において広告データ304から該当する広告のデータを読み出す。そして、ステップS17の処理に進み、配信手段313は案内経路のデータ、乗り換え所要時間および待ち時間のデータ、読み出された広告のデータを編集して端末装置20に配信する。端末装置20は配信データを受信するとデータ記憶手段215にそのデータを記憶し、表示手段216に案内経路を表示する。
【産業上の利用可能性】
【0092】
実施例においては駅の路線間の乗り換えを例にとったが、広義には交通手段が変化する乗り換えのケースであってもよい。空港への特急の着時刻と、航空機の搭乗時刻と、搭乗手続きを含む乗り換え所要時間のデータから、待ち時間を表示しても良い。このようにすると、空港のラウンジを何分利用できるかと言った情報を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】図1のナビゲーションシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】乗り換えデータベースに蓄積される乗り換えデータの構成の一例を示す図である。
【図4】経路探索のための道路ネットワークのデータを説明するための模式図である。
【図5】経路探索のための交通ネットワークのデータを説明するための模式図である。
【図6】図6は、表示手段に表示される本発明による案内経路の表示画像を示す図であり、図6Aは乗り換え所要時間、待ち時間の表示画像の一例を示し、図6Bは乗り換え所要時間、待ち時間の表示画像の他の例を示す図である。
【図7】広告データのデータ構成の一例を示す図である。
【図8】乗り換え場所と待ち時間に応じて選択された広告を表示する表示画面の一例を示す図である。
【図9】本発明にかかるナビゲーションシステムの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】端末装置に表示される一般的な案内経路の表示画像を示す図であり、図10Aは乗り換え所要時間の一例を示し、図10Bは乗り換え所要時間の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
10・・・・ナビゲーションシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
211・・・制御手段
212・・・通信手段
213・・・GPS測位手段
214・・・配信要求手段
215・・・データ記憶手段
216・・・表示手段
217・・・操作・入力手段
30・・・・経路探索サーバ
311・・・制御手段
312・・・通信手段
313・・・配信手段
314・・・経路探索手段
315・・・待ち時間算出手段
316・・・広告選択手段
301・・・地図NWデータ
302・・・時刻表運行データ
303・・・乗り換えデータ
304・・・広告データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、表示手段と、操作・入力手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索し、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段は、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、前記表示手段に前記案内経路と前記待ち時間と、を表示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記表示手段に、乗り換え場所における乗り換え所要時間と前記待ち時間と、を表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記表示手段に、前記待ち時間が所定値以下の場合は当該待ち時間を強調する画像を表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーションシステムは、更に、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データを備え、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出して前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記広告データを、前記待ち時間の長さに応じて抽出し、前記表示手段に表示することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
表示手段と、操作・入力手段と、を備え、操作・入力手段により設定した出発地と目的地とを含む経路探索要求を経路探索サーバに送信し、経路探索サーバから配信された案内経路データを前記表示手段に表示する端末装置にネットワークを介して接続される経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、を備え、
前記経路探索手段は、前記操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索し、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段は、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、前記表示手段に前記案内経路と前記待ち時間と、を表示することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項7】
前記端末装置に、乗り換え場所における乗り換え所要時間と前記待ち時間と、を配信することを特徴とする請求項6に記載の経路探索サーバ。
【請求項8】
前記端末装置に、前記待ち時間が所定値以下の場合は当該待ち時間を強調する画像を配信することを特徴とする請求項6に記載の経路探索サーバ。
【請求項9】
前記経路探索サーバは、更に、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データを備え、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出して前記端末装置に配信することを特徴とする請求項6に記載の経路探索サーバ。
【請求項10】
前記広告データを、前記待ち時間の長さに応じて抽出し、前記端末装置に配信することを特徴とする請求項9に記載の経路探索サーバ。
【請求項11】
経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、を備え、前記経路探索手段は、操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索し、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段は、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出し、前記案内経路と前記待ち時間と、を端末装置に配信する経路探索サーバにネットワークを介して接続される端末装置であって、
前記端末装置は、表示手段と、操作・入力手段と、を備え、操作・入力手段により設定した出発地と目的地とを含む経路探索要求を経路探索サーバに送信し、前記経路探索サーバから配信された前記案内経路と前記待ち時間と、を前記表示手段に表示することを特徴とする端末装置。
【請求項12】
前記表示手段に、乗り換え場所における乗り換え所要時間と前記待ち時間と、を表示することを特徴とする請求項11に記載の端末装置。
【請求項13】
前記表示手段に、前記待ち時間が所定値以下の場合は当該待ち時間を強調する画像を表示することを特徴とする請求項11に記載の端末装置。
【請求項14】
前記経路探索サーバは、更に、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データを備え、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出して前記端末装置に配信する経路探索サーバに接続される端末装置であって、
前記端末装置は前記経路探索サーバから配信された前記広告データを前記表示手段に表示することを特徴とする請求項11に記載の端末装置。
【請求項15】
前記経路探索サーバは前記広告データを、前記待ち時間の長さに応じて抽出し、前記端末装置に配信する経路探索サーバに接続される端末装置であって、
前記端末装置は前記経路探索サーバから配信された前記広告データを前記表示手段に表示することを特徴とする請求項14に記載の端末装置。
【請求項16】
経路探索のためのネットワークデータと、交通手段の運行データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間を示す乗り換えデータと、乗り換え場所と待ち時間に関連付けられた広告データと、乗り換え場所における乗り換え所要時間および待ち時間を算出する待ち時間算出手段と、経路探索手段と、表示手段と、操作・入力手段と、を備えたナビゲーションシステムにおける広告表示方法であって、
前記経路探索手段が、前記操作・入力手段により設定された出発地と目的地の情報に従って、前記ネットワークデータ、運行データ、乗り換えデータに基づき、かつ乗換必要時間を満たすように案内経路を探索するステップと、当該案内経路に乗り換え場所が含まれる場合、前記待ち時間算出手段が、乗り換え場所における着時刻と発時刻の時間差から乗り換え所要時間を減算して待ち時間を算出するステップと、前記待ち時間が所定値以上の場合には、前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出するステップと、前記表示手段に前記案内経路と前記待ち時間とを表示するステップと、を有すること特徴とする広告表示方法。
【請求項17】
前記広告データから該当する乗り換え場所と待ち時間とに応じた広告データを抽出するステップは、前記待ち時間の長さに応じて抽出する処理を含むことを特徴とする請求項16に記載の広告表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−271283(P2007−271283A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93673(P2006−93673)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】