説明

ナビゲーションシステム、車載機、ナビゲーション方法及びプログラム

【課題】サーバー又は携帯端末が車載機と通信により連携するナビゲーションシステムにおいて、案案内画像において重畳する車両の現在位置データと地図画像データの対応関係を、常に、実際の車両の位置を現す関係にすることができる技術を提供する。
【解決手段】データ提供装置は現在位置データと地図画像データから切り出した切出地図画像データとを個別に車載機へ送信するとともに、現在位置データの送信周期を切出地図画像データの送信周期よりも短く送信し、車載機はデータ提供装置から受信した現在位置データと切出地図画像データとを案内画像へ重畳表示するとともに、現在位置データを受信する場合に切出地図画像データを維持しつつ現在位置データを更新し、切出地図画像データの周辺の更新位置に現在位置データが位置した場合に切出地図画像データを更新することによって案案内画像において重畳する車両の現在位置データと地図画像データの対応関係を、常に、実際の車両の位置を現す関係にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載機へ地図画像をデータ提供装置から提供することによりナビゲーション機能を実現する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球測位システム(GPS = Global Positioning System)を用いて、現在、車両が地球上のどこにいるのかを示すGPSデータを算出し、このGPSデータに基づいて自車位置マークを地図画像へ重畳処理したものを車載機のディスプレイに表示させるカーナビゲーションシステムが知られている。図1はこのカーナビゲーションシステムを示す構成図である。車載機は自動車5などの車両に搭載されている。GPSデータは、車載機において受信する3つ以上のGPS衛星4が発する電波に基づいて算出される。自車位置マークと地図画像データとの重畳処理は、図2が示すように、ディスプレイに表示させた地図画像データの所定位置に自車位置マークdを固定表示させ、自車位置マークdを現在位置とし、車両の移動によって変化するGPSデータに応じて地図画像データを更新表示する。つまり、車両の移動に応じた周辺地図を更新表示することで、自車位置マークdが移動しているかのような表示を行う。例えば、図2の地図画像データG1からG2へ、G2からG3へと地図画像データを更新表示する。
【0003】
また、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)といった携帯端末の性能向上に伴い、これらの携帯端末においてもGPSを用いたナビゲーションシステムが実現されている。このようなナビゲーションシステムでは、携帯端末と、携帯端末と無線通信を行うサーバーとの間において、その機能分担を行っている。機能分担について、例えば、携帯端末が、位置データ取得機能、目的地設定機能、マップマッチング機能、及び、表示機能などを担当し、サーバーが、地図画像蓄積機能、ルート検索機能、及び、地図画像切り出し機能などを担当している。このように機能分担を行うことによって、資源を分散・共有しコストの低減を図っている。
【0004】
しかし、カーナビゲーションシステムを搭載した車両へ、ナビゲーションシステム搭載の端末を携帯したユーザーが乗車すると、ナビゲーション機能を実現する資源が重複してしまう。この資源の重複を解消し資源の有効活用を図るシステムとして、車載機、携帯端末、及び、サーバーにおいて、その資源を分散しつつナビゲーションに必要なデータを相互に共有するカーナビゲーションシステムが提案されている。例えば、特許文献1に、車載機が携帯電話経由の通信によりサーバーからカーナビゲーションに用いる地図画像を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2002−107169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようにサーバーや携帯端末などのデータ提供装置からナビゲーションデータを車載機に提供するシステムにおいては、サーバーが地図画像データを蓄積する地図画像データ蓄積機能と、ルート検索機能と、ルート周辺地図画像データ抽出機能などを担当し、携帯端末が地図画像切出機能と、GPSデータ検知機能と、座標データ算出機能を担当し、車載機が地図画像データなどの表示機能を担当することが考えられる。このような各機能を発揮させるためには各機能を連携させる要素である、各装置間(例えば、サーバー−携帯端末間、携帯端末−車載機間)における通信の能力が十分にあることが重要である。
【0007】
つまり、各機能を連携させるための通信の能力が低い場合には、各機能の連携が劣って、ナビゲーションシステムの機能を十分に発揮させることができない虞がある。
【0008】
例えば、車両が車速40km以上で高速移動することによって、車載機搭載のGPS通信部から取得する位置データが瞬く間に変化する場合は、データ量が比較的大きい地図画像データの取得処理が通信速度の遅延などにより遅れ、現在位置を表す自車位置マークとこれに対応する適切な地図画像データとを車載機の表示部へ表示することができない虞がある。すなわち、ナビゲーションの案内画像において自車位置マークが実際の車両の位置から大きくずれてしまう可能性がある。 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、データ提供装置からナビゲーションデータを車載機に提供するナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーションの案内画像において、車両の現在位置データと地図画像データの対応関係が、実際の車両の位置を現すように表示することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、車両に搭載される車載機と、ナビゲーションに関するデータを前記車載機へ提供するデータ提供装置とを有するナビゲーションシステムであって、前記データ提供装置は、前記車両の現在位置データを検知する検知手段と、地図画像データを蓄積する蓄積手段と、前記地図画像データから前記車載機における表示サイズの地図画像を切り出す地図画像切出手段と、検知手段により検知された前記現在位置データと前記地図画像切出手段により切り出された切出地図画像データとを個別に前記車載機へ送信する送信手段と、を備え、前記車載機は、前記データ提供装置から前記現在位置データと前記切出地図画像データとを受信する受信手段と、受信した前記現在位置データと前記切出地図画像データとを重畳して案内画像を表示する表示手段と、を備え、前記送信手段は、前記現在位置データの送信周期を前記切出地図画像データの送信周期よりも短くし、前記表示手段は、前記受信手段が前記現在位置データを受信する場合に、前記切出地図画像データを維持しつつ、前記現在位置データを更新し、前記切出地図画像データの周辺の更新位置に前記現在位置データが位置した場合に、前記切出地図画像データを更新することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記データ提供装置は、前記車両の車速を検知する車速検知手段と、前記送信手段は、車速が所定車速以下の場合に、前記切出地図画像データを装飾する装飾データを車載機へ送信する手段と、を備え、前記車載機の前記表示手段は、前記現在位置データと前記切出地図画像データと前記装飾データとを重畳して前記案内画像を表示することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記データ提供装置は、前記案内画像に用いるデータを重畳する際の順序を示す表示順序データを送信する手段、を備え、前記車載機の前記表示手段は、前記表示順序データに基づいてデータを重畳して前記案内画像を表示することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のナビゲーションシステムにおいて、前記データ提供装置の前記地図画像切出手段は、目的地までの案内ルートに沿ったルート地図画像と、該ルート地図画像に隣接する隣接地図画像とを前記切出地図画像データとして切り出し、前記車載機の前記表示手段は、前記切出地図画像データを更新する際に、前記現在位置データに基づいて前記ルート地図画像及び前記隣接地図画像のうちから前記案内画像に用いる前記切出地図画像データを選択することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、データ提供装置からナビゲーションに関するデータの提供を受ける車両に搭載される車載機であって、前記データ提供装置は、前記車両の現在位置データを検知し、蓄積している地図画像データから前記車載機における表示サイズの切出地図画像データを切り出し、検知された前記現在位置データと前記切出地図画像データとを、個別に前記車載機へ送信するとともに、前記現在位置データの送信周期を前記切出地図画像データの送信周期よりも短くするものであり、前記データ提供装置から前記現在位置データと前記切出地図画像データとを受信する受信手段と、受信した前記現在位置データと前記切出地図画像データとを重畳して案内画像を表示する表示手段と、を備え、前記表示手段は、前記受信手段が前記現在位置データを受信する場合に、前記切出地図画像データを維持しつつ、前記現在位置データを更新し、前記切出地図画像データの周辺の更新位置に前記現在位置データが位置した場合に、前記切出地図画像データを更新することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載の車載機において、前記案内画像に用いるデータを重畳する際の順序を示す表示順序データを前記データ提供装置から受信する手段、
をさらに備え、前記表示手段は、前記表示順序データに基づいてデータを重畳して前記案内画像を表示することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明は、車両に搭載される車載機と、ナビゲーションに関するデータを前記車載機へ提供するデータ提供装置とを有するナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法であって、前記データ提供装置が、前記車両の現在位置データを検知する検知ステップと、前記データ提供装置が、蓄積する地図画像データから前記車載機における表示サイズの地図画像を切り出す地図画像切出ステップと、前記データ提供装置が、検知された現在位置データと蓄積する切り出された切出地図画像データを、個別に前記車載機へ送信する送信ステップと、前記車載機が、前記データ提供装置から前記現在位置データと前記切出地図画像データとを受信する受信ステップと、前記車載機が、受信した前記現在位置データと前記切出地図画像データと重畳して案内画像を表示する表示ステップと、を備え、前記送信ステップでは、前記現在位置データの送信周期を前記切出地図画像データの送信周期よりも短くし、前記表示ステップでは、前記現在位置データを受信する場合に、前記切出地図画像データを維持しつつ、前記現在位置データを更新し、前記切出地図画像データの周辺の更新位置に前記現在位置データが位置した場合に、前記切出地図画像データを更新することを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明は、車両に搭載され、データ提供装置からナビゲーションに関するデータの提供を受ける車載機に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記データ提供装置は、前記車両の現在位置データを検知し、蓄積している地図画像データから前記車載機における表示サイズの切出地図画像データを切り出し、検知された前記現在位置データと前記切出地図画像データとを個別に前記車載機へ送信するとともに、前記現在位置データの送信周期を前記切出地図画像データの送信周期よりも短くするものであり、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記データ提供装置から前記現在位置データと前記切出地図画像データとを受信するステップと、受信した前記現在位置データと前記切出地図画像データとを重畳して案内画像を表示するステップと、前記現在位置データを受信する場合に、前記切出地図画像データを維持しつつ、前記現在位置データを更新するステップと、前記切出地図画像データの周辺の更新位置に前記現在位置データが位置した場合に、前記切出地図画像データを更新するステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし8の発明によれば、データ提供装置が、切出地図画像データよりも更新頻度が多く、かつ、データ量が少ない現在位置データの送信周期を切出地図画像データの送信周期よりも短くするので、車載機における更新表示処理が遅延することがない。従って、車両の現在位置データをほぼリアルタイムに反映できる。つまり、案内画像において重畳する車両の現在位置データと地図画像データの対応関係を、常に、実際の車両の位置を現す関係にすることができる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、車両の車速が低い場合や停車している場合は現在位置データの表示精度が多少劣っても問題ないと考えられ、その場合に地図画像データを装飾する装飾データを送信することによって、案内画像における装飾データの表示を適切にできるとともに、他のデータの通信に影響を与えることがない。
【0019】
また、請求項3、及び、請求項6の発明によれば、送信タイミングが互いに異なる案内画像に用いるデータを適切な順序で重畳できる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、現在位置データが案内ルートから外れた場合であっても、現在位置データに基づいて適切な切出地図画像データを案内画像に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ナビゲーションシステムの構成を説明する図である。
【図2】図2は、ナビゲーションシステムにおける表示地図画像を示す図である。
【図3】図3は、ナビゲーションシステムの構成を説明する図である。
【図4】図4は、車載機のシステムブロック図である。
【図5】図5は、携帯端末のシステムブロック図である。
【図6】図6は、サーバーのシステムブロック図である。
【図7】図7は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図8】図8は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図9】図9は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図10】図10は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図11】図11は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図12】図12は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図13】図13は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図14】図14は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図15】図15は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図16】図16は、ナビゲーションシステムの動作を示すフローチャート図である。
【図17】図17は、ナビゲーションシステムにおけるルート周辺地図画像データを示す図である。
【図18】図18は、ナビゲーションシステムにおける切出地図画像データを示す図である。
【図19】図19は、データの構成を示す図である。
【図20】図20は、データの重畳表示を示す図である。
【図21】図21は、ナビゲーションシステムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
<実施の形態>
<1.第1の実施の形態>
<1.1ナビゲーションシステムの構成>
図3は、第1の実施の形態のナビゲーションシステム100を示す構成図である。ナビゲーションシステム100は、自動車5などの車両に搭載される車載機1、並びに、データ提供装置である携帯端末2及びサーバー3により構成される。車載機1は携帯端末2と、例えば、Bluetooth(登録商標)規格に基づく近距離無線通信を行ってナビゲーションに関するデータなどを送受信する。通信はUSB接続などによる有線通信を利用しても良い。携帯端末2は車載機1と近距離無線通信を行ってナビゲーションに関するデータなどを送受信し、GPS衛星4と無線通信を行って現在位置を測定するためのデータなどを受信する。更に、携帯端末2は、サーバー3と無線通信を行ってナビゲーションに関するデータなどを送受信する。GPS衛星4は携帯端末2と無線通信を行って現在位置を測定するためのデータなどを送信する。サーバー3は携帯端末2と無線通信を行ってナビゲーションに関するデータなどを送受信する。ナビゲーションシステム100は、このような通信により取得したナビゲーションに関するデータに基づいて、車載機1、携帯端末2、及び、サーバー3が後述するナビゲーション機能を実現する。
【0024】
本実施の形態のナビゲーションシステム100においては、携帯端末2及びサーバー3が連携して動作し、ナビゲーションに関するデータを車載機1へ提供する。従って、携帯端末2とサーバー3とを組み合わせたものが、ナビゲーションに関するデータを車載機1へ提供するデータ提供装置であるともいえる。
【0025】
また、GPSデータ、後述するGPSデータに基づいて算出する現在位置座標データ、及び、自車位置マークdは、本ナビゲーションシステム100においては、地球上の車両の位置を示すためのデータである。従って、これらのデータの夫々が、現在位置データであるともいえる。
【0026】
本発明のナビゲーションシステムの方式は、従来のように、車載機の表示画面において、現在位置を示す自車位置マークdを固定して、現在位置周辺の地図画像データを車両の移動に応じて更新表示させるナビゲーション方式とは逆に、表示されている地図を維持しつつ、車両の移動に応じてその地図上を移動するように自車位置マークdを更新表示し、自車位置マークdがその地図を移動して外れる場合にのみ地図画像データを更新表示するナビゲーション方式を採用する。
【0027】
このようにすれば、車載機1において、比較的データ量が多い地図画像データの取得処理が通信速度の遅延などにより遅れて、現在位置を示す自車位置マークdに対応した地図画像データを車載機の表示部へ重畳表示することができないという不具合を解消できる。この解消するための詳細な手段については後述する。
<1.1.1システムブロック図>
(車載機)
図4は、車載機1のシステムブロック図である。車載機1は、ナビゲーション機能、又は、楽曲再生機能などを実現するために種々の制御を行う制御部10、目的地までのルートzを強調表示して目的地まで案内する案内画面となる地図画像などを表示するとともにユーザー操作を受け付ける表示・操作部11(例えば、タッチパネル)、その他のユーザー操作を受け付ける操作部12、楽曲や操作時の効果音などを出力する音出力部13、制御に必要なデータを記憶する記憶部14(例えば、Flash Memory)、所定距離内、例えば、半径10−100m以内の通信相手とBluetooth(登録商標)規格に従って通信可能な近距離無線通信部15、及び、入出力部16(I/F)を備える。入出力部16は、車載ネットワーク8(例えば、Control Area Netowork)に接続された車両の進行方向の回転を検出する回転検出部6(例えば、ジャイロセンサ)、及び、車両の移動速度を検出する車速検出部7(例えば、車速センサ)などからの検出値を示す信号を車載ネットワークを介して受信する。なお、回転検出部6及び車速検出部7は、車両において車載機1とは別に設けられた外部装置である。
【0028】
ナビゲーション機能を実現する際には、案内画面は、表示・操作部11へ表示する。また、携帯端末2から提供される地図画像や位置データなどのナビゲーションに関するデータは近距離無線通信部15によって受信され、車載機1から携帯端末2へ送信するナビゲーションに関するデータも近距離無線通信部15によって送信する。
【0029】
制御部10は、CPU等を備えたマイクロコンピュータにより構成する。制御部10は、所定のメモリ(例えば、ROM)に記憶されたプログラムに従ってCPUが演算処理を行うことでナビゲーションシステムに関する機能を実現する。このプログラムは、予め記憶部14などに記憶されるものであるが、外部サーバとの通信やプログラムを記憶した記録媒体の読み取りなどにより更新可能となっていてもよい。
【0030】
制御部10が実現するナビゲーション機能の主なものには次の(A)〜(D)がある。
【0031】
(A)制御部10が、近距離無線通信部15によって受信された切出地図画像データ、装飾データ、及び、自車位置マークとを重畳した案内画像を表示・操作部11において表示する表示機能。
【0032】
(B)制御部10が、近距離無線通信部15によって受信された装飾データを表示・操作部11へ表示する案内画像において更新する装飾データ更新表示制御機能。
【0033】
(C)制御部10が、近距離無線通信部15によって受信された自車位置マークdを表示・操作部11へ表示する案内画像において更新する自車位置マーク更新表示制御機能。
【0034】
(D)制御部10が、近距離無線通信部15によって受信された現在位置座標データが更新位置に含まれる場合に、表示・操作部11へ表示する案内画像において切出地図画像データを更新する切出地図画像データ更新表示制御機能。
【0035】
なお、これらの機能の詳細については後述する。
【0036】
また、制御部10は、後述するナビゲーション機能を実現するために必要なステップを実行するため車載機1の各部の制御を行う。
(携帯端末)
図5は、携帯端末2のシステムブロック図である。携帯端末2は、通話機能、及び、ナビゲーション機能などを実現するために種々の制御を行う制御部20、通話をする際に電話番号などを表示する表示部21、ユーザー操作を受け付ける操作部22、通話の際に通話相手の音声、操作時の効果音、若しくは、Eメール着信時の着信音などを出力する音出力部23、通話の際に通話相手と話す音声を入力する音入力部24、制御に必要なデータを記憶する記憶部25(例えば、Flash Memory)、無線通信により他の携帯端末と通話するために通話データを送受信する通話通信部26、GPS衛星4から発信される信号を受信するGPS通信部27、無線通信によりサーバーとナビゲーションに関するデータなどを送受信する通信部28、及び、所定距離内、例えば、半径10−100m以内の通信相手とBluetooth(登録商標)規格に従ってデータ通信可能な近距離無線通信部29を備える。
【0037】
本実施の形態のナビゲーションシステム100が機能する場面においては、携帯端末2はユーザ(車両のドライバ)が携帯しているものであるため、車両内に位置している。従って、GPS通信部27は、車両の現在の位置データとなるGPSデータを取得する。
【0038】
制御部20は、CPU等を備えたマイクロコンピュータにより構成する。制御部20は、所定のメモリ(例えば、ROM)に記憶されたプログラムに従ってCPUが演算処理を行うことで、ナビゲーションに関する機能を実現する。このプログラムは、予め記憶部25などに記憶されるものであるが、外部サーバとの通信やプログラムを記憶した記録媒体の読み取りなどにより更新可能となっていてもよい。
【0039】
制御部20が実現するナビゲーション機能の主なものには次の(E)〜(J)がある。
【0040】
(E)制御部20が、GPS通信部27により受信されたGPSデータに基づいてルート周辺地図画像データのどこに自車位置マークが位置するかを示す現在位置座標データを算出する現在位置座標データ算出機能。
【0041】
(F)制御部20が、通信部28によりサーバー3から受信したルート周辺地図画像データから車載機1の表示・操作部11に表示するサイズに適したデータ量を切り出す地図画像切出処理機能。
【0042】
(G)制御部20が、切り出した切出地図画像データ、通信部28によりサーバー3から受信した装飾データ、及び、現在位置座標データを加工するデータ加工処理機能。
【0043】
(H)制御部20が、近距離無線通信部29により車載機1から受信した車速データに基づいて装飾データを送信する装飾データ制御処理機能。
【0044】
(I)制御部20が、GPS通信部27により受信したGPSデータに基づいて切出地図画像データの座標のどこに自車位置マークdが位置するかを算出して、算出したデータを、所定のタイミングで車載機1へ送信する現在位置座標データ制御処理機能。
【0045】
(J)制御部20が、切出地図画像を所定のタイミングで車載機1へ送信する切出地図画像データ制御機能。
【0046】
なお、これら機能の詳細については後述する。
【0047】
また、制御部20は、後述するナビゲーション機能を実現するために必要なステップを実行するために、携帯端末2の各部の制御を行う。
(サーバー)
図6は、サーバー3のシステムブロック図である。サーバー3は、ナビゲーション情報などのコンテンツ提供機能を実現するために種々の制御を行う制御部30、制御に必要な設定、若しくは、制御プログラムや制御データのメンテナンスなどを行うために管理者の操作を受け付ける操作部31、設定画面、若しくは、メンテナンス画面などを表示する表示部32、地図画像などのコンテンツを蓄積する記憶部33、及び、無線通信により携帯端末2とナビゲーションに関するデータなどを送受信する通信部34を備える。
【0048】
制御部30は、CPU等を備えたマイクロコンピュータにより構成する。制御部30は、所定のメモリ(ROM)に記憶されたプログラムに従ってCPUが演算処理を行うことで、ナビゲーションに関する機能を実現する。
【0049】
制御部30が実現するナビゲーション機能の主なものには次の(K)〜(M)がある。
【0050】
(K)制御部30は、通信部34により携帯端末2から受信した車両のGPSデータと目的地データとに基づいて案内ルートを作成するルート作成機能。
【0051】
(L)制御部30は、作成したルートに基づき、ルート周辺の地図画像を記憶部33から切り出して作成するルート周辺画像作成機能。
【0052】
(M)制御部30は、ルート周辺画像データを装飾する装飾データを記憶部33から抽出して作成する装飾データ作成機能。
【0053】
なお、これら機能の詳細については後述する。
【0054】
また、制御部30は、後述するナビゲーション機能を実現するために必要なステップを実行するために、サーバー3の各部の制御を行う。
【0055】
<1.1.3ナビゲーションシステム制御処理>
<携帯連携制御処理>
(車載機)
車載機1が備える制御部10が実行する制御処理を説明する。制御部10は、ユーザーにより車両のイグニッションキーが操作されACC(アクセサリー)がONにされた場合に、電源(バッテリー)から電力が供給され、種々の制御処理を実行可能な状態になる。制御部10が種々の制御処理を実行可能な状態になると、表示・操作部11、又は、操作部12においてユーザーが操作した内容に応じた制御処理を実行する。例えば、車載機1はナビゲーション機能、楽曲再生機能、又は、携帯連携機能などの種々の機能をユーザーが選択可能にするためのメニューを表示・操作部11へ表示し、ユーザーがこのメニューのうち携帯連携機能を選択した場合は、制御部10は携帯連携機能を実現するための制御処理を実行する。
【0056】
携帯連携機能を実現するためには携帯端末2やサーバー3との通信を確立するためにペアリング制御を実行する必要がある。ここで、ペアリング制御とは、携帯端末2の制御部20が近距離無線通信部21を制御して車載機1の近距離無線通信部15と無線通信を確立させ、更に、制御部20が通信部28を制御してサーバー3の通信部34と無線通信を確立させる制御をいう。
【0057】
車載機1の制御部10は、ペアリング制御が確立した後は、複数のコンテンツ提供サービスメニューを表示・操作部11へ表示する。例えば、メニューには、ナビゲーション提供サービス、楽曲提供サービス、又は、ニュース提供サービスなどがある。ナビゲーションサービスが選択された場合は、車載機1の制御部10が選択されたナビゲーションシステムを携帯端末2及びサーバー3と連携して実行する。
(携帯端末)
携帯端末2が備える制御部20が実行する制御処理を説明する。制御部20は、ユーザーにより携帯端末に備わる電源ボタンがONにされた場合に、電源(バッテリー)から電力が供給されて種々の制御処理を実行可能な状態になる。制御部20が種々の制御処理を実行可能な状態になると、ユーザーが操作部22を操作した内容に応じた制御処理を実行する。例えば、携帯端末2は通話機能、インターネット閲覧機能、又は、携帯連携機能など種々の機能を操作部22においてユーザーが操作可能にされている。ユーザーがこの操作部22により携帯連携機能を選択した場合は、制御部20は携帯連携機能を実現するためにペアリング制御処理を実行する。
【0058】
制御部20は、ペアリング制御を確立させた後に、車載機1においてナビゲーションサービスが選択された場合は、ナビゲーション提供サービスを車載機1及びサーバー3と連携して実行する。
(サーバー)
サーバー3が備える制御部30が実行する制御処理を説明する。制御部30は管理者によりサーバー3に備わる電源ボタンが操作されONにされた場合に、電源(商用電源)からの電力が供給されて種々の制御処理を実行可能な状態になる。制御部30が種々の制御処理を実行可能な状態になると、管理者が操作部31を操作した内容に応じた制御処理、又は、コンテンツ提供制御処理を実行する。つまり、管理者の操作部31の操作によりコンテンツ提供制御処理の実行が選択されルートz、制御部30は車載機1や携帯端末2などのクライアントからの要求に応じて地図画像などのコンテンツを提供する。クライアントである携帯端末2から携帯連携機能を実現するためにペアリング制御の実行要求があルートz、この要求に応じてペアリング制御を実行する。
【0059】
制御部30は、ペアリング制御を確立させた後に、車載機1においてナビゲーションサービスが選択された場合は、ナビゲーション提供サービスを携帯端末2及びサーバー3と連携して実行する。
【0060】
以降、車載機1の表示・操作部11に表示されたコンテンツ提供サービスメニューのうち、ユーザーによってナビゲーション提供サービスが選択された場合の車載機1、携帯端末2、及び、サーバー3の制御を説明する。
【0061】
<ナビゲーション制御処理>
図7において、ナビゲーションシステム100が実行するナビゲーション提供サービスを説明する。車載機1の制御部10と携帯端末2の制御部20とサーバー3の制御部30は夫々、図7に示すメインルーチンを実行する。
【0062】
<メインルーチン>
各制御部が実行するメインルーチンを図7、図8、及び、図9に基づいて説明する。
【0063】
車載機1におけるメインルーチンを図7に基づいて説明する。
【0064】
S100において、車載機1の制御部10はサブルーチンであるイニシャル処理を実行する。イニシャル処理とは、ナビゲーションシステム100の一部を担う車載機1がナビゲーション処理を実行する際に、始めに必要となるデータ提供、データ取得、データ表示などの処理を言う。制御部10はイニシャル処理を実行した後、S101へ移行する。
【0065】
S101において、制御部10はサブルーチンであるメイン処理を実行する。メイン処理とは、ナビゲーションシステム100の一部を担う車載機1がナビゲーション処理を実行中に、必要となるデータ提供、データ取得、データ表示などの処理を言う。制御部10はイニシャル処理を実行した後は、ナビゲーション提供サービスを終了し、もとの制御処理に戻る。
【0066】
携帯端末2におけるメインルーチンを図8に基づいて説明する。
【0067】
S200において、携帯端末2の制御部20はサブルーチンであるイニシャル処理を実行する。このイニシャル処理は、前述したイニシャル処理と同様で携帯端末2が実行する処理である。制御部20はイニシャル処理を実行した後、S201へ移行する。
【0068】
S201において、制御部20はサブルーチンであるメイン処理を実行する。このメイン処理は、前述したメイン処理と同様で携帯端末2が実行する処理である。制御部20はイニシャル処理を実行した後は、ナビゲーション提供サービスを終了し、もとの制御処理に戻る。
【0069】
サーバー3におけるメインルーチンを図9に基づいて説明する。
【0070】
S300において、サーバー3の制御部30はサブルーチンであるイニシャル処理を実行する。このイニシャル処理は、前述したイニシャル処理と同様でサーバー3が実行する処理である。制御部30はイニシャル処理を実行した後、S301へ移行する。
【0071】
S301において、制御部30はサブルーチンであるメイン処理を実行する。このメイン処理は、前述したメイン処理と同様でサーバー3が実行する処理である。制御部30はイニシャル処理を実行した後は、ナビゲーション提供サービスを終了し、もとの制御処理に戻る。
【0072】
<サブルーチン>
各制御部が実行するサブルーチンを図10、図11、図12、図13、図14、図15、及び、図16に基づいて説明する。
<1.2.2.3イニシャル処理>
ナビゲーションシステム100がナビゲーション処理を実行する際に、始めに必要となるデータの提供、データの取得、データの表示などのイニシャル処理を行う。このイニシャル処理を図10に基づいて説明する。
【0073】
<ルート検索処理>
S103において、車載機1の制御部10はユーザーが設定した目的地データを携帯端末を経由して、サーバー3へ送信する。
【0074】
S203において、携帯端末2の制御部20はGPSデータをサーバー3へ送信する。
【0075】
S303において、サーバー3の制御部30はルート作成機能により、受信した目的地データ、GPSデータ、及び、記憶部33(地図画像データベース)に記憶されている地図画像データに基づいて走行ルートを作成する。ルートzの作成は、例えば、地図画像データの現在位置から目的地までに存在する道路に関連付けられている特性を参照し、各ルートのコンセプトに応じた道路を組み合わせることにより実現する。
【0076】
<ルート周辺画像データ作成処理>
S304において、サーバー3の制御部30はルート周辺画像データ作成機能により、作成したルート周辺の地図画像データを記憶部33から抽出する。例えば、図17に示すルート周辺地図画像データ1000のようなものである。ルート周辺地図画像データ1000にはアドレスが付与されている。つまり、図17に示す横方向をX軸とし、縦方向をY軸として、各軸において複数のラインを設定するとともに、各ラインに一意の数字を設定する。アドレスは、例えば、X:Y=350:20のように縦軸(X)と横軸(Y)の数字で構成される。
【0077】
このアドレスは後述する、装飾データ、自車位置マークd、及び、切出地図画像データを車載機1の表示・操作部11において重畳処理を実行する際に必要となる。
【0078】
S305において、サーバー3の制御部30は抽出したルート周辺地図画像データ1000を携帯端末2へ送信する。
【0079】
<装飾データ抽出処理>
S306において、サーバー3の制御部30は、装飾データ抽出機能により、ルート周辺地図画像データ1000を装飾するデータを記憶部33から抽出する。装飾データは、例えば、ルート周辺地図画像データ1000における、住所、通り名、地名、駅名、学校名、消防署名、警察署名、区役所名、体育館名、若しくは、公園名などの各名称、及び、施設のマークなどであり、ルート周辺地図画像データを装飾するものである。また、この装飾データは、ルート周辺地図画像データ1000のどこのアドレスに位置するかを示す座標データが付与される。
【0080】
S307において、サーバー3の制御部30は装飾データを携帯端末2へ送信する。
【0081】
<現在位置座標データ算出処理>
S204において、携帯端末2の制御部20は、現在位置座標データ算出機能により、現在位置座標データを算出する。GPS通信部27が受信する、GPS衛星4から発信される信号に基づき、受信時の地球上の車両の位置を示すGPSデータを算出する。制御部20はこのGPSデータに基づいて、ルート周辺地図画像データ1000のどこのアドレスに自車位置マークdが位置するのかを示す現在位置座標データを算出する。現在位置座標データは、例えば、X:Y=100:15のように縦軸(X)と横軸(Y)の数字で構成される。
【0082】
<マップマッチング処理>
更に、携帯端末2の制御部20は、マップマッチング機能により、車両に備わる各種センサからのデータ(速度、変速段、方位などを示すデータ)を車載機1から受信し、これらのデータと座標データに基づいてマップマッチングを行う。マップマッチングとは、各種センサの検出データに基づいて算出される車両の走行軌跡と、切出地図画像における道路のラインとにおいて類似するものが無いかを判断し、類似するものがある場合はその位置を「真」とし、「真」とされる座標と現在位置座標データとの差分係数kを求め、それを補正項とし現在位置座標データ算出処理により算出した現在位置座標データへその補正項を乗じることをいう。
【0083】
S205において、携帯端末2の制御部20は、マップマッチング後の現在位置座標データを車載機1へ送信する。車載機1はこれら切出地図画像と現在位置座標データを、記憶部14へ記憶する。
【0084】
<地図画像切出処理>
S206において、携帯端末2の制御部20は、地図画像切出機能により、サーバー3から受信したルート周辺地図画像データ1000を記憶部25へ記憶させ、記憶させたルート周辺地図画像データ1000から、車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像に適したサイズのデータ量であって、ルートzに沿った互いに範囲の異なる複数の地図画像データを切り出して生成する。この地図画像を、以降、メインの切出地図画像と言う。
【0085】
例えば、メインの切出地図画像は、図17に示すM5、M8、M9、M12、M13、M16、M17、M23、M24、M25、M26、M27、M34、M41、M42、M45、M46、M47、M48、M49、M52、M59、M62、M65、M71、M72、M73、M74、M80、M83、M86、M90、及び、M91の地図画像データである。
【0086】
このような処理をする理由は、ルート周辺地図画像データ1000は、ルートzの全体を含むものであるため、車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像においてサイズが大きすぎて適さないからである。
【0087】
更に、メインの切出地図画像データの周辺の切出地図画像データについても切り出す。この地図画像を、以降、サブの切出地図画像データと言う。サブの切出地図画像データは、車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像に適したサイズのデータ量であって、メインの切出地図画像データの周辺8枚の切出地図画像データである。
【0088】
例えば、図17に示すM1〜M96の切出地図画像データからメインの切出地図画像データを除いたものである。更なる例を、図18に基づいて説明する。図18は、図17の一部であるM1〜M7の一部を拡大した図であり、この図18に示すメインの切出地図画像データM5のサブの切出地図画像データ8枚は、メインの切出地図画像データの上下左右隣の地図画像データM2、M8、M4、M6と、メインの切出地図画像データにおける四つ角の外側の地図画像データM1、M3、M7、M9である。
【0089】
携帯端末2の制御部20が地図画像切出処理を実行してサブの切出地図画像を予備的に切り出して車載機1へ送信することにより、車載機1の制御部10は、表示・操作部11へ表示する案内画像において、自車位置マークdをルートzから逸脱して、そこに表示されている地図画像データを外れるような場合でも、予備的にサブの切出地図画像データを準備しているので、その際に更新表示させる地図画像データが無いという事態を回避することができる。
【0090】
S207において、携帯端末2の制御部20は、所定枚数、例えば、9枚の切出地図画像データを送信する。9枚の切出地図画像データとは、自車位置マークdが存在するメインの切出地図画像データ1枚と、そのサブ切出地図画像データ8枚である。
【0091】
なお、切出地図画像データには、ルート周辺画像データ作成処理において付与されたアドレスデータと、切り出した後に新たに設定された切出地図画像ID(例えば、M1)が付与されている。これは、後の自車位置マークdなどを車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像において重畳表示させる際に機能する。その詳細については後述する。
【0092】
<データ加工処理>
S208において、携帯端末2の制御部20は、データ加工機能により、サーバー3から受信した装飾データや、ルート周辺地図画像データ1000から切り出した切出地図画像データなどへ所定のデータを付加して加工するデータ加工処理を実行する。
【0093】
付加される所定のデータには、制御部10が表示・操作部11へ表示する案内画像において、装飾データとその装飾データが装飾する切出地図画像データとを重畳表示する際に、それらを関連付けるための画像ID(切出地図画像ID)があり、更に、その切出地図画像データのどこのアドレスに表示するかを示す座標データと、現在位置座標データに付加する自車位置マークdがある。
【0094】
また、制御部10が表示・操作部11において、装飾データや切出地図画像データなどの案内画像に用いるデータを重畳表示させる際は、データを層別に分類しておき層が深いデータが層が浅いデータより背面になるようにしている。以降、その層をレイヤーと言う。従って、装飾データへ付加する所定のデータにはレイヤーを示すデータが含まれる。このレイヤーを示すデータは、表示・操作部11へ表示する案内画像の前面に優先的に表示する順序(重畳する際の順序)を示す表示順序データとなる。
【0095】
例えば、データには、切出地図画像データ、施設マーク、住所、自車位置マークd、及び、操作ボタンがあり、これに前記所定のデータが付加されている。所定のデータが付加されて加工されるデータの例を図19に基づいて説明する。
【0096】
D1データは、切出地図画像IDi1と、最も深いレイヤーを示すデータL1と、アドレスw1と、切出地図画像データaにより構成される。
【0097】
D2データは、切出地図画像IDi2と、L1より浅いレイヤーを示すデータL2と、座標データw1と、施設マークbにより構成される。
【0098】
D3データは、切出地図画像IDi3と、L2より浅いレイヤーを示すデータL3と、座標データw3と、住所などcにより構成される。
【0099】
D4データは、切出地図画像IDi4と、L3より浅いレイヤーを示すデータL4と、座標データw4と、自車位置マークdにより構成される。
【0100】
D5データは、切出地図画像IDi5と、L4より浅いレイヤーを示すデータL5と、座標データw5と、操作ボタンeにより構成される。
【0101】
S209において、携帯端末2の制御部20は、その加工した装飾データを車載機1へ送信する。
【0102】
<重畳表示処理>
S104において、車載機1の制御部10は、重畳表示機能により、携帯端末2から受信したデータを表示・操作部11へ表示する案内画像において重畳表示する。
【0103】
例えば、制御部10は、各データに含まれるレイヤーに従って、図20に示すように、図19に示すD1に含まれる切出地図画像データaを最背面(L1)にし、D2に含まれる施設マークbをL1の前面(L2)、D3に含まれる住所をL2の前面(L3)、D4に含まれる自車位置マークdをL3の前面(L4)、D5に含まれる操作ボタンをL4の前面(L5)にして重ねることで案内画像を生成する。
【0104】
なお、制御部10は、L1以外のL2〜L5のレイヤーについては、アイコンデータ、又は、文字データ以外の部分を透過処理して背面のデータを表示するようにし、アイコンデータ、又は、文字データの部分は背面のデータが表示されないようにする。また、L1のレイヤーについては最背面となるものであるため前面になるレイヤーのデータ以外の部分の全ての地図画像を表示させるようにする。
【0105】
この重畳表示は、制御部10が表示・操作部11へ表示する案内画像において、D4データが持つ切出地図画像IDi4と一致するIDが含まれるD1データを参照し、D1データが持つ切出地図画像データaをレイヤーL1に従って、最背面の画像として表示する。ここで、D4データを基準に重畳表示をするのは、D4データが自車位置マークdを持っているためであり、D4データからD1データを参照するのは、車載機1の記憶部14へサーバー3から受信して記憶した9枚の切出地図画像のうちから自車位置マークdが存在する切出地図画像を選択するためである。
【0106】
IDi4が含まれるD2データを参照し、D2データが持つ施設マークbをレイヤーL2に従って、切出地図画像データaよりも前面に表示するとともに、切出地図画像データaに付与されているアドレスと座標データが一致する箇所に表示する。
【0107】
IDi4が含まれるD3データを参照し、D3データが持つ住所などcをレイヤーL3に従って、施設マークbよりも前面に表示するとともに、切出地図画像データaに付与されているアドレスと座標データが一致する箇所に表示する。
【0108】
IDi4が含まれるD4データを参照し、D4データが持つ自車位置マークdをレイヤーL4に従って、住所などcよりも前面に表示するとともに、切出地図画像データaに付与されているアドレスと座標データが一致する箇所に表示する。
【0109】
IDi4が含まれるD5データを参照し、D5データが持つ操作ボタンeをレイヤーL5に従って、自車位置マークdよりも前面に表示するとともに、切出地図画像データaに付与されているアドレスと座標データが一致する箇所に表示する。
【0110】
つまり、車載機1の制御部10は、表示・操作部11へ表示する案内画像において、受信したD1データ〜D5データに含まれるレイヤーの深さに応じて表示する順序を決定する。レイヤーの深さが深いデータほどレイヤーが浅いデータよりも背面表示となるように重畳表示する。換言すると、レイヤーの深さは、制御部10が、表示・操作部11へ表示する案内画像において、前面へ優先的に表示する順序(優先順序)を示すデータであり、レイヤーの深さが深いほどその優先順序は低く、レイヤーの深さが浅いほどその優先順序は高い。
【0111】
以上で説明したように、携帯端末2の制御部20において付加されている優先順序を示すデータに基づいて、車載機1の制御部10が表示・操作部11の案内画像へ重畳表示するので、送信タイミングが互いに異なる案内画像に用いる各データが適切な順序で重畳表示される。
【0112】
車載機1の制御部10は、その重畳処理を終えるとイニシャル処理を終了して、メイン処理へ移行する。
【0113】
<メイン処理>
ナビゲーションシステム100がナビゲーション処理を実行中に、必要となるデータ提供、データ取得、データ表示などのメイン処理を行う。
【0114】
メイン処理では、ナビゲーションシステム100の一部を担う車載機1と携帯端末2がナビゲーション処理を実行中に、必要となるデータ提供、データ取得、データ表示などの制御処理を実行する。
【0115】
なお、車載機1の制御部10や携帯端末2の制御部20は、実行する各制御処理時間(各タスク)を数十ミリ秒といった短い時間で区切る。つまり、制御部の演算処理時間を各タスクに割り当てるマルチタスク制御が実施される。以降、各制御処理について個別に説明する。
【0116】
<装飾データ制御処理>
携帯端末2の制御部20は、マルチタスク制御機能と装飾データ制御機能により、本制御処理を所定の周期(数十ミリ秒周期)で実行する。この制御を図11に基づいて説明する。
【0117】
S110において、携帯端末2の制御部20は、車両に備わる車速センサのデータを車載機1から受信し、受信した車速データが所定値以下(例えば、車両の走行が1km/h以下の状態、又は、停止している状態)を示すか否かを判断する。車速データが所定値以下であると判断する場合は、S111へ移行する(S110にてYes)。車速データが所定値以下でないと判断する場合は、リターンへ以降する(S110にてNo)。
【0118】
S111において、携帯端末2の制御部20は、装飾データを前述したデータ加工処理と同様の処理によりD2データやD3データに加工して車載機1へ送信する。携帯端末2から車載機1へ既に送信している切出地図画像を装飾するのに必要な装飾データであって、未だ送信していない装飾データを所定量送信する。その後、リターンへ移行する。
【0119】
制御部20が、このようなタイミングで装飾データを送信するので、車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像における自車位置マークdや切出地図画像データの更新表示に大きな影響を与えることがない。携帯端末2の制御部20が多くの制御処理を実行すればするほど、各制御処理が遅れる傾向にあり、とりわけその案内画像へ重畳表示する自車位置マークdの更新頻度は高いためできるだけ他の制御処理を実行するべきではない。しかし、このタイミングでは、車両の走行が低車速の状態、又は、停止している状態であり、その案内画像において自車位置マークdを更新する必要がないか、更新する必要があるとしてもほんの少しの車両移動に対する更新であってあまり更新精度が求められない状態であるため、自車位置マークdの更新が必要となる場面は少ない。
【0120】
つまり、このタイミングで装飾データを送信することによって、携帯端末2から車載機1へ送信する装飾データとD4データのうち、ナビゲーション機能を発揮するための要素として重要性が高い自車位置マークdの更新精度を車載機1の表示・操作部11において高く維持しつつ、それよりは重要度が低い装飾データの更新精度を多少犠牲にしながらも確実に更新することができる。
【0121】
<現在位置座標データ制御処理>
携帯端末2の制御部20は、マルチタスク制御機能と現在位置座標データ制御機能により、現在位置座標データ制御処理を所定の周期(数十ミリ秒周期)で実行する。この制御を図12に基づいて説明する。
【0122】
S112において、携帯端末2の制御部20は、GPS衛星4からGPSデータを受信する。
【0123】
S113において、携帯端末2の制御部20は、受信したGPSデータを、現在位置座標データ算出処理と同様に、ルート周辺地図画像データ1000のどこのアドレスに自車位置マークdが位置するのかを示す現在位置座標データを算出する。
【0124】
S114において、携帯端末2の制御部20は、現在位置座標データを前述したデータ加工処理と同様の処理によりD4データなどに加工して車載機1へ送信する。その後、リターンへ移行する。
【0125】
この制御処理におけるD4データの車載機1への送信周期は、制御部20がマルチタスク制御機能による周期で必ず実行するため、後述する切出地図画像制御処理におけるD1データの送信周期よりも短くなる。
【0126】
<切出地図画像制御処理>
携帯端末2の制御部20は、マルチタスク制御機能と切出画像制御機能により、切出地図画像制御処理を所定の周期(数十ミリ秒周期)で実行する。この制御を図13に基づいて説明する。
【0127】
S115において、携帯端末2の制御部20は、車載機1から切出地図画像データの送信要求を受信したか否かを判断する。送信要求を受信したと判断する場合は、S116へ移行する(S115にてYes)。送信要求を受信しないと判断する場合は、リターンへ移行する(S115にてNo)。
【0128】
S116において、携帯端末2の制御部20は、送信要求を受けた切出地図画像データを前述したデータ加工処理と同様の処理によりD1データに加工して車載機1へ送信する。その後、リターンへ移行する。
【0129】
この制御処理におけるD1データの車載機1への送信は、制御部10が車載機1から切出地図画像データの送信要求を受信した場合のみ実行される。より詳しく説明すると、この送信要求は後述する車載機1の制御部10が実行する切出地図画像データ更新表示制御処理において、切出地図画像データが更新された場合にのみ、制御部10により送信される。従って、D1データの車載機1への送信周期は、現在位置座標データ制御処理におけるD4データの送信周期よりも長くなる。
【0130】
<装飾データ更新表示制御処理>
車載機1の制御部10は、マルチタスク制御機能と装飾データ更新表示制御機能により切出地図画像制御処理を所定の周期(数十ミリ秒周期)で実行する。この制御を図14に基づいて説明する。
【0131】
S210において、車載機1の制御部10は、携帯端末2からD2データ、又は、D3データを受信したか否かを判断する。D2データ、又は、D3データを受信したと判断する場合は、S211へ移行する(S210にてYes)。D2データ、又は、D3データを受信しないと判断する場合は、リターンへ移行する(S210にてNo)。
【0132】
S211において、車載機1の制御部10は、携帯端末2から受信した、D2データ又は、D3データを記憶部14へ記憶し、制御部10は、記憶部14へ記憶したD4データを前述した重畳表示処理と同様の重畳表示を行う。その後、リターンへ移行する。
【0133】
<自車位置マーク更新表示制御処理>
車載機1の制御部10は、マルチタスク制御機能と自車位置マーク更新表示制御機能により切出地図画像制御処理を所定の周期(数十ミリ秒周期)で実行する。この制御を図15に基づいて説明する。
【0134】
S212において、車載機1の制御部10は、携帯端末2から受信したD4データを受信したか否かを判断する。D4データを受信したと判断する場合は、S213へ移行する(S212にてYes)。D4データを受信しないと判断する場合は、リターンへ移行する(S212にてNo)。
【0135】
S213において、車載機1の制御部10は、携帯端末2から受信したD4データを記憶部14へ記憶する。制御部10は、記憶部14へ記憶したD4データを前述した重畳表示処理と同様の重畳表示を行う。その後、リターンへ移行する。
【0136】
<切出地図画像データ更新表示制御処理>
車載機1の制御部10は、マルチタスク制御機能と切出地図画像データ更新表示制御機能により切出地図画像制御処理を所定の周期(数十ミリ秒周期)で実行する。この制御を図16に基づいて説明する。
【0137】
S214において、車載機1の制御部10は、携帯端末2から受信したD4データに含まれる現在位置座標データが図18で示す切出地図画像データM5の更新領域yに含まれるか否かを判断する。ここで、更新領域yとは、表示・操作部11へ表示する案内画像における切出地図画像データの周りの所定の幅をもった領域、つまり縁をいう。車載機1の制御部10は、現在位置座標データが切出地図画像データの更新領域yに含まれると判断した場合はS215へ移行する(S214にてYes)。現在位置座標データが地図画像の更新領域yに含まれると判断しない場合は、リターンへ移行する(S214にてNo)。
【0138】
S215において、車載機1の制御部10は、記憶部14に記憶している所定枚数(例えば、9枚)の切出地図画像データであって、表示・操作部11へ次に表示すべき切出地図画像データを表示・操作部11へ表示する案内画像において他のデータと重畳表示する。次に表示すべき切出地図画像データとは、車載機1の制御部10が表示・操作部11へ表示する案内画像において自車位置マークdが更新領域yに含まれる際に、その位置が切出地図画像データの上部の場合は、その切出地図画像データの上隣の切出地図画像データを言い、その位置が切出地図画像データの下部の場合は、その切出地図画像データの下隣の切出地図画像データを言い、その位置が切出地図画像データの右部の場合は、その切出地図画像データの右隣の切出地図画像データを言い、その位置が切出地図画像データの左部の場合は、その切出地図画像データの左隣の切出地図画像データを言う。
【0139】
例えば、図18に基づいて説明すると、車載機1の制御部10は、切出地図画像データM5において、自車位置マークdをルートzに沿って切出地図画像データM5の上部における更新領域yへ移動するように更新表示した場合は、切出地図画像データM5の上隣の切出地図画像データM8を表示・操作部11へ表示する案内画像へ更新表示する。同じように、自車位置マークdをルートzを逸脱して切出地図画像データM5の下部、右部、左部における更新領域yへ移動するように更新表示した場合は、切出地図画像データM5のそれぞれ隣接する切出地図画像データM2、M3、M4、及び、M8を選択して、表示・操作部11へ表示する案内画像において更新表示する。その後、S207へ移行する。
【0140】
なお、制御部10は、切出地図画像データの隣接関係を、切出地図画像データに付与されているアドレスに基づいて判断している。
【0141】
S216において、車載機1の制御部10は切出地図画像データが更新表示された際に記憶部14に記憶している切出地図画像データを消去する。この消去は、制御部10が、記憶部14に記憶している9枚の切出地図画像データのうち、各切出地図画像データを連続するように並べた場合で、更新前の切出地図画像データを基準にし、更新前の切出地図画像データから更新後の切出地図画像データの方向(以降、更新方向という)とは逆の更新方向の切出地図画像データとその両隣の切出地図画像データとを消去する。
【0142】
例えば、図18に基づいて説明すると、車載機1の制御部10は、切出地図画像データM5において、自車位置マークdをルートzに沿って切出地図画像データM5の上部における更新領域yへ移動するように更新表示した場合は、切出地図画像データM5の上隣の切出地図画像データM8を表示・操作部11へ表示する案内画像において更新表示するとともに、更新前の切出地図画像データM5を基準にして、更新前の切出地図画像データM5から更新後の切出地図画像データM8への更新方向とは逆の更新方向となる切出地図画像データM2と、その両隣の切出地図画像データM1、及び、M3を消去する。同じように、ルートzを逸脱した自車位置マークdを、切出地図画像データM5の下部、右部、左部における更新領域yへ移動するように更新表示した場合は、切出地図画像データM5のそれぞれ隣接する切出地図画像データを表示・操作部11へ表示する案内画像において更新表示するとともに、更新前の切出地図画像データM5を基準にして、更新前の切出地図画像データM5から更新後の夫々の切出地図画像データへの更新方向とは逆の更新方向となる夫々の切出地図画像データとその両隣の切出地図画像データとを消去する。その後、S217へ移行する。
【0143】
S217において、車載機1の制御部10は、記憶部14に記憶する切出地図画像データをS216において3枚を消去したことによって9枚から6枚になっているため、携帯端末2へ新たに切出地図画像データ3枚を送信してもらうことを要求する信号を送信する。つまり、制御部10は、記憶部14に必ず所定枚数(例えば、9枚)の切出地図画像データが記憶されるように携帯端末2と連携した制御を実行する。制御部10が新たに要求する切出地図画像データは、更新後の切出地図画像データの更新方向の切出地図画像データとその両隣の切出地図画像データである。従って、制御部10は、要求するそれらの切出地図画像データのIDを携帯端末2へ送信する。
【0144】
例えば、図18に基づいて説明すると、車載機1の制御部10は、切出地図画像データM5において、自車位置マークdをルートzに沿って切出地図画像データM5の上部における更新領域yへ移動するように更新表示したとすると、切出地図画像データM5の上隣の切出地図画像データM8を表示・操作部11へ更新表示し、切出地図画像データM8の更新方向の切出地図画像データとその両隣の切出地図画像データのIDを携帯端末2へ送信する。つまり、図17における切出地図画像データM12とその両隣の切出地図画像データM11、及び、M13のIDを携帯端末2へ送信する。
【0145】
なお、要求する切出地図画像データのIDを携帯端末2へ送信するのではなく、更新表示した切出地図画像データのIDを携帯端末2へ送信して、携帯端末2の制御部20が次に送信するべき切出地図画像データを判断して、判断した切出地図画像データを車載機へ送信するようにしてもよい。
【0146】
<案内終了判定処理>
車載機1の制御部10は、案内終了判定機能により、携帯端末2から受信した座標データが目的地に含まれるか否かを判断する。つまり、ユーザを目的地まで案内することがナビゲーションシステム100の目的であるため、切出地図画像データに含まれる目的地に現在位置座標データが含まれる場合には、車両が目的地に到達したものとみなしナビゲーションシステム100を停止する。従って、制御部10は携帯端末から受信した現在位置座標データが目的地に含まれると判断する場合は、案内が終了したことを示す終了通知を携帯端末2へ送信する。
【0147】
携帯端末2の制御部20は終了通知を受信したか否かを判断し、終了通知を受信したと判断した場合は現在位置座標データ算出処理や現在位置座標データ送信処理などのナビゲーション制御を終了する。
【0148】
本ナビゲーションシステム100は、車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像を構成する切出地図画像データを維持しつつ、車両の移動に応じてその切出地図画像データを移動するように自車位置マークdを更新表示し、自車位置マークdがその切出地図画像データを移動して外れる場合にのみ切出地図画像データを更新表示するナビゲーション方式を採用している。
【0149】
このため、車載機1において、比較的データ量が多い切出地図画像データの取得処理が通信速度の遅延などにより遅れて、現在位置を示す自車位置マークdに対応した切出地図画像データを車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像において重畳することができないという事態を回避することができる。換言すると、自車位置マークdを案内画像においてほぼリアルタイムに反映できる。つまり、案内画像において重畳する車両の現在位置データと地図画像データの対応関係を、常に、実際の車両の位置を現す関係にすることができる。
【0150】
更に、このナビゲーション方式を採用した場合は、自車位置マークdと切出地図画像データの車載機1の表示・操作部11における更新が必要となる場面については、自車位置マークdのほうが遥かに多くなり、自車位置マークdと切出地図画像データの更新の際のデータ量については、切出地図画像データのほうが遥かに多くなる。このような状況において、携帯端末2は、自車位置マークdよりも更新頻度が少なく、かつ、データ量が多い切出地図画像データ量の送信頻度を自車位置マークの送信頻度よりも少なくしている。換言すると、切出地図画像データよりも更新頻度が多く、かつ、データ量が少ない自車位置マークの送信頻度を切出地図画像データの送信頻度よりも多くしている。
【0151】
このため、携帯端末2と車載機1との間の通信などに遅延が生じることなく、自車位置マークdを案内画像においてほぼリアルタイムに反映できる。つまり、案内画像において重畳する車両の現在位置データと地図画像データの対応関係を、常に、実際の車両の位置を現す関係にすることができる。
【0152】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では、ナビゲーションシステムは、車載機1、データ提供装置である携帯端末2、及び、サーバー3を備えて構成されるとして説明したが、図21が示すような、その構成に携帯端末2を備えない、車載機1、及び、データ提供装置であるサーバー3を備えて構成されるナビゲーションシステム101としても良い。
【0153】
この場合、車載機1とサーバー3との間で通信を行ってナビゲーション機能を実現する。車載機1にはサーバー3と通信を行ってナビゲーションに関するデータを送受信する通信部を備え、サーバー3には車載機1と通信を行ってナビゲーションに関するデータを送受信する通信部を備える。
【0154】
上記実施の形態においては、携帯端末2の制御部20が現在位置座標データ算出機能により、GPS通信部27により受信されたGPSデータに基づいてルート周辺地図画像データのどこに自車位置マークが位置するかを示す現在位置座標データを算出するとして説明したが、この場合、サーバー3の制御部30がその処理を実行する。
【0155】
制御部20が地図画像切出処理機能により、通信部28によりサーバー3から受信したルート周辺地図画像データから車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像に表示するサイズに適したデータ量を切り出す処理を実行すると説明したが、この場合、サーバー3の制御部30がその処理を実行する。
【0156】
制御部20がルートデータ加工処理機能により、切り出した切出地図画像データ、通信部28によりサーバー3から受信した装飾データ、及び、現在位置座標データを加工する処理を実行すると説明したが、この場合、サーバー3の制御部30がその処理を実行する。
【0157】
制御部20がマップマッチング機能により車載機1から取得した車両情報に基づいてマップマッチング処理を実行すると説明したが、この場合、サーバー3の制御部30がその処理を実行する。
【0158】
制御部20が装飾データ制御処理機能により、近距離無線通信部29により車載機1から受信した車速データに基づいて装飾データを送信する処理を実行すると説明したが、この場合、サーバー3の制御部30がその処理を実行する。
【0159】
制御部20が現在位置座標データ制御処理機能により、GPS通信部27により受信したGPSデータに基づいて切出地図画像データの座標のどこに自車位置マークdが位置するかを算出して、算出したこのデータを、所定のタイミングで車載機1へ送信する処理を実行すると説明したが、この場合、GPSデータを受信したサーバー3の制御部30がその処理を実行する。
【0160】
制御部20が切出地図画像データ制御機能により、切出地図画像を所定のタイミングで車載機1へ送信する処理を実行すると説明したが、この場合、サーバー3の制御部30がその処理を実行する。
【0161】
なお、上記処理を全て、サーバー3の制御部30が実行するとしたが、その一部を車載機1の制御部10が実行するものであっても良い。
【0162】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では他の実施の形態について説明する。もちろん、以下で説明する形態を適宜組み合わせても良い。
【0163】
<変形例1>
上記第1の実施の形態における現在位置座標データ制御処理は、携帯端末2の制御部20が、マルチタスク制御機能と現在位置座標データ制御機能により、現在位置座標データ制御処理を所定の周期(数十ミリ秒周期)で実行すると説明したが、車載機1から受信する車速データに基づいてその現在位置座標データ制御処理を実行するものであっても良い。
【0164】
つまり、携帯端末2の制御部20は、車速に応じてその現在位置座標データを制御する。車速が低車速の場合、現在位置座標データ制御処理を実行する周期を所定の周期よりも長くする。例えば、制御部20は、車速が20Km/h以下の場合には1秒周期で現在位置座標データ制御処理を実行する。
【0165】
逆に、車速が高車速の場合、現在位置座標データ制御処理を実行する周期を所定の周期よりも短くする。例えば、制御部20は、車速が40Km/h以上の場合には20ミリ秒周期で現在位置座標データ制御処理を実行する。
【0166】
車載機1の表示・操作部11へ表示する案内画像において、車速が低車速の場合に自車位置マークdの更新処理を頻繁に実行する場合は、自車位置マークdが大きく移動するような更新表示はせず、自車位置マークdが略同じ位置を示すにもかかわらず、略同じ位置についての更新表示を行うので無駄な処理を実行することになる。そこで、このようなタイミングの現在位置座標データ制御処理を実行することにより、携帯端末2における制御部20の負荷を軽減することができ、かつ、他の制御処理を遅延なく円滑に実行することができる。
【0167】
<変形例2>
上記第1の実施の形態における、GPS通信部は携帯端末2に備わっていると説明したが、車載機1に備わり車載機1の制御部10はGPS通信部により受信した車両の現在位置データを所定のタイミングで携帯端末2へ送信する処理を実行するものであってもよい。
【0168】
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されても良い。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されても良い。
【0169】
更に、各実施例の制御を説明するフローチャート図における各処理は、便宜上一の系列で示しているが、細分化された各処理を各制御部がマルチタスク制御機能により並列に処理するものであっても良い。
【符号の説明】
【0170】
1 車載機
2 携帯端末
3 サーバー
4 GPS衛星
10 制御部
11 表示・操作部
15 近距離無線通信部
20 制御部
21 近距離無線通信部
27 GPS通信部
28 通信部
33 記憶部
34 通信部
a 切出地図画像データ
b 施設マーク
c 住所
d 自車位置マーク
e 操作ボタン
z ルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載機と、ナビゲーションに関するデータを前記車載機へ提供するデータ提供装置とを有するナビゲーションシステムであって、
前記データ提供装置は、
前記車両の現在位置データを検知する検知手段と、
地図画像データを蓄積する蓄積手段と、
前記地図画像データから前記車載機における表示サイズの地図画像を切り出す地図画像切出手段と、
検知手段により検知された前記現在位置データと前記地図画像切出手段により切り出された切出地図画像データとを個別に前記車載機へ送信する送信手段と、
を備え、
前記車載機は、
前記データ提供装置から前記現在位置データと前記切出地図画像データとを受信する受信手段と、
受信した前記現在位置データと前記切出地図画像データとを重畳して案内画像を表示する表示手段と、
を備え、
前記送信手段は、前記現在位置データの送信周期を前記切出地図画像データの送信周期よりも短くし、
前記表示手段は、前記受信手段が前記現在位置データを受信する場合に、前記切出地図画像データを維持しつつ、前記現在位置データを更新し、前記切出地図画像データの周辺の更新位置に前記現在位置データが位置した場合に、前記切出地図画像データを更新することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記データ提供装置は、
前記車両の車速を検知する車速検知手段と、
前記送信手段は、車速が所定車速以下の場合に、前記切出地図画像データを装飾する装飾データを車載機へ送信する手段と、
を備え、
前記車載機の前記表示手段は、前記現在位置データと前記切出地図画像データと前記装飾データとを重畳して前記案内画像を表示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記データ提供装置は、
前記案内画像に用いるデータを重畳する際の順序を示す表示順序データを送信する手段、
を備え、
前記車載機の前記表示手段は、前記表示順序データに基づいてデータを重畳して前記案内画像を表示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記データ提供装置の前記地図画像切出手段は、目的地までの案内ルートに沿ったルート地図画像と、該ルート地図画像に隣接する隣接地図画像とを前記切出地図画像データとして切り出し、
前記車載機の前記表示手段は、前記切出地図画像データを更新する際に、前記現在位置データに基づいて前記ルート地図画像及び前記隣接地図画像のうちから前記案内画像に用いる前記切出地図画像データを選択することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
データ提供装置からナビゲーションに関するデータの提供を受ける車両に搭載される車載機であって、
前記データ提供装置は、前記車両の現在位置データを検知し、蓄積している地図画像データから前記車載機における表示サイズの切出地図画像データを切り出し、検知された前記現在位置データと前記切出地図画像データとを、個別に前記車載機へ送信するとともに、前記現在位置データの送信周期を前記切出地図画像データの送信周期よりも短くするものであり、
前記データ提供装置から前記現在位置データと前記切出地図画像データとを受信する受信手段と、
受信した前記現在位置データと前記切出地図画像データとを重畳して案内画像を表示する表示手段と、
を備え、
前記表示手段は、前記受信手段が前記現在位置データを受信する場合に、前記切出地図画像データを維持しつつ、前記現在位置データを更新し、前記切出地図画像データの周辺の更新位置に前記現在位置データが位置した場合に、前記切出地図画像データを更新することを特徴とする車載機。
【請求項6】
請求項5に記載の車載機において、
前記案内画像に用いるデータを重畳する際の順序を示す表示順序データを前記データ提供装置から受信する手段、
をさらに備え、
前記表示手段は、前記表示順序データに基づいてデータを重畳して前記案内画像を表示することを特徴とする車載機。
【請求項7】
車両に搭載される車載機と、ナビゲーションに関するデータを前記車載機へ提供するデータ提供装置とを有するナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法であって、
前記データ提供装置が、前記車両の現在位置データを検知する検知ステップと、
前記データ提供装置が、蓄積する地図画像データから前記車載機における表示サイズの地図画像を切り出す地図画像切出ステップと、
前記データ提供装置が、検知された現在位置データと蓄積する切り出された切出地図画像データを、個別に前記車載機へ送信する送信ステップと、
前記車載機が、前記データ提供装置から前記現在位置データと前記切出地図画像データとを受信する受信ステップと、
前記車載機が、受信した前記現在位置データと前記切出地図画像データと重畳して案内画像を表示する表示ステップと、
を備え、
前記送信ステップでは、前記現在位置データの送信周期を前記切出地図画像データの送信周期よりも短くし、
前記表示ステップでは、前記現在位置データを受信する場合に、前記切出地図画像データを維持しつつ、前記現在位置データを更新し、前記切出地図画像データの周辺の更新位置に前記現在位置データが位置した場合に、前記切出地図画像データを更新することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項8】
車両に搭載され、データ提供装置からナビゲーションに関するデータの提供を受ける車載機に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、
前記データ提供装置は、前記車両の現在位置データを検知し、蓄積している地図画像データから前記車載機における表示サイズの切出地図画像データを切り出し、検知された前記現在位置データと前記切出地図画像データとを個別に前記車載機へ送信するとともに、前記現在位置データの送信周期を前記切出地図画像データの送信周期よりも短くするものであり、
前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
前記データ提供装置から前記現在位置データと前記切出地図画像データとを受信するステップと、
受信した前記現在位置データと前記切出地図画像データとを重畳して案内画像を表示するステップと、
前記現在位置データを受信する場合に、前記切出地図画像データを維持しつつ、前記現在位置データを更新するステップと、
前記切出地図画像データの周辺の更新位置に前記現在位置データが位置した場合に、前記切出地図画像データを更新するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−33460(P2011−33460A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179626(P2009−179626)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】