ナビゲーションシステム。
【目的】 ETC割引を反映した新たな便益を利用者に提供するナビゲーションシステムを提案する。
【構成】 この発明のナビゲーションシステムは、選択された経路からETC割引の対象となる有料道路を抽出する手段と、抽出されたETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように案内を行うETC割引実行手段と、を備えてなる。
【構成】 この発明のナビゲーションシステムは、選択された経路からETC割引の対象となる有料道路を抽出する手段と、抽出されたETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように案内を行うETC割引実行手段と、を備えてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムにおいて経路を探索するモードとして、例えば、「推奨経路」、「一般道路優先経路」、「有料道路優先経路」、「距離優先経路」、「時間優先経路」などがある。当該各種モードにおいて、「有料道路優先経路」はもとより、「推奨経路」や「時間優先経路」を選択したときも、選択された経路の中に有料道路が含まれることが多い。
利用者が有料道路を利用する際の関心事の一つに通行料金(有料道路利用料)がある。特許文献1では、当該通行料金を利用者に報知するナビゲーションシステムが提案されている。
また、特許文献2のナビゲーションシステムでは、有料道路を走行する際に適用される割引料金を考慮した通行料金を演算しこれを案内可能としている。
本発明に関連する技術を開示するものとして特許文献3を参照されたい。
【0003】
【特許文献1】特開平10−141982号公報
【特許文献2】特開2005−18247号公報
【特許文献3】特開2005−69857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、ETC(Electronic Toll Collection System)の普及に伴い、ETC適用車輌に特有の料金割引(以下この明細書において「ETC割引」とよぶことがある)が提供されている。
本件出願時に提供されているETC割引サービスとして、例えば、日本道路公団による深夜割引、早朝夜間割引、通勤割引などがある。
上記深夜割引の適用条件は次の通りである。
時間条件:午前0時〜午前4時の間に走行すること。
また、上記早朝夜間割引は次の通りである。
時間条件:22時〜翌6時までの間に走行すること。
距離条件:総利用距離が100km以下であること。
上記通勤割引は次の通りである。
時間条件:午前6時〜午前9時、午後5時〜午後8時に入口若しくは出口料金所を通過すること
距離条件:総利用距離が100km以下であること。
かかるETC割引条件を運転中の運転手が独自に判断すること困難である。
また既述の従来技術において、このETC割引をナビゲーションシステムに反映することは考慮されていなかった。
そこでこの発明は、ETC割引を反映した新たな便益を利用者に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記目的の達成を次のようにして図る。即ち、
選択された経路からETC割引の対象となる有料道路を抽出する手段と、
抽出されたETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように案内を行うETC割引実行手段と、
を備えてなるナビゲーションシステム。
【発明の効果】
【0006】
このように構成されたナビゲーションシステムによれば、ナビゲーションシステムが選択した経路にETC割引対象有料道路が含まれていた場合、その有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように案内を行う。ここに、通行目論見とは、ETC割引対象有料道路において出入口料金所の指定と、指定された各料金所における通過予定時刻をいう。なお、出入口料金所を指定することにより通行距離が特定される。当該通過予定時間が上記ETC割引サービスの時間条件を満足し、通行距離が同じく距離条件を満足するようにする。そのためには、料金所通過時刻及び走行距離を調整するための経路の変更(これにより料金所が変更される)はもとより、同じ経路であっても走行速度を制限し、場合によっては停止案内を行うことにより料金所通過時刻を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ETC割引条件には、既述のように距離条件と時間条件がある。
通行目論見を作成する際、まず距離条件を満足するように入口/出口料金所を最初に確認することが好ましい。抽出されたETC割引対象有料道路の通行距離がETC割引の距離条件を満足していないとき(前者が後者を越えているとき)は、入口料金所及び/又は出口料金所を変更してその走行距離が距離条件(例えば100km以下)を満足できるようにする。
料金所の変更に伴い、その予定通過時刻も変更される。従って、ETC割引の時間条件を確認することとなる。即ち、ETC割引実施時間内に入口料金所及び出口料金所のいずれか一方を通過可能か否かが確認される。当該時間条件が満足されないときには、走行速度調整(停止も含む)、経路再探索などを行って当該料金所の通過時間をETC割引実施時間内に収まるようにする。
【0008】
上記のよう作成された通行目論見であったとしても、車輌走行中に各種のアクシデント(交通渋滞等)により、ETC割引対象有料道路をその通行目論見通りに通行できないことがある。そのため、例えば所定のインターバルをおいて現在位置を基準として通行目論見で指定されている料金所の通行時刻を予測し、これと通行目論見における当該料金所の予定通過時刻と対比する。両者が一致しないときは、ETC割引実行手段が通行目論見を演算し直し、これを修正する。
【0009】
本発明の対象となるナビゲーションシステムは、車輌に固定されるカーナビゲーションシステムに限定されず、携帯電話機、PAD機、携帯パソコン装置を用いたナビゲーションシステムにも適用できることはいうまでもない。
【0010】
この発明の他の局面によれば、目的地とその希望到着時刻を指定することにより、好適な出発予定時刻を演算し、これをガイダンスする機能を有するカーナビゲーションシステムに上記のETCによる通行料金割引機能を反映させることとした。
上記好適な出発予定時刻を演算するシステムは、例えば次のようにして行うことができる。即ち、出発地(現在地)から目的地までの経路を探索したときに得られるタイムスケジュール(各地点の通過予測時間)を、その目的地到着予測時刻が目的地希望到着時刻と一致するようにシフトさせ、そのとき変更された出発時刻を出発予定時刻とすることができる。
このように、出発予定時刻を特定する際に行う演算は、タイムスケジュールのシフトを伴う他は、一般的な経路探索の演算をそのまま利用できる。よって、既述したETCによる通行料金割引機能を当該演算に反映させることができる。
【0011】
ETC割引を有効にするには時間的条件の制約があるので、ETC割引条件を満足する通行目論見を実行すると、ETC割引を考慮しない通常の経路の場合に比べて出発予定時刻が変更される場合がある。
この発明では、ETC割引による通行料金低減の効果を重視して、ETC割引が実行される経路(第2の経路)をETC割引が実行されない経路(第1の経路)に優先させて案内することとしている。しかしながら、ETC割引を反映しない場合の出発予定時刻(第1の出発予定時刻)とETC割引を反映する場合の出発予定時刻(第2の出発予定時刻)と間に大きな差があるときには、実用的ではないとして、第1の出発予定時刻と第2の出発予定時刻との差に基準値(閾値時間)を設け、両者の差が当該閾値時間内のときに限りETC割引の反映した案内をするようにしている。
【0012】
以上を考慮して、この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
指定された目的地とその希望到着時刻に基づき、所定のルールに従い出発地から目的地までの第1の経路、第1の通行料金及び第1の出発予定時刻を演算する第1の経路演算手段と、
ETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように前記出発地から前記目的地までの第2の経路、ETC割引を含んだ第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を演算する第2の経路演算手段と、
前記第1の出発予定時刻と前記第2の出発予定時刻との差が所定の閾値時間内であれば、前記第2の通行料金及び前記第2の出発予定時刻を優先的に表示する、ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【0013】
上記ナビゲーションシステムにおいては、ETC割引が有効に反映されている場合に、その旨を表示することが好ましい。
ETC割引が有効に反映されている場合は、通常の場合(ETC割引が反映されていない場合)に比べて、出発予定時間が変更されていることが多いためである。即ち、通行料金割引という経済的利便性を追求するか、又は出発予定時間という時間的利便性を追求するかを利用者の選択に委ねることが好ましい。
そのため、ETC割引が反映されていない通常の経路(第1の経路)に対して、その通行料金及び出発予定時刻を表示できるようにすることが好ましい。
【実施例】
【0014】
以下、この発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。
図1はこの発明のナビゲーションシステム1の構成を示すブロック図である。
制御部3は専用のCPUからなり、この制御部3にバスラインを通じて後述する各種の装置が接続されている。
位置特定部4は、ナビゲーションシステム1を搭載した車輌の現在位置を特定するものであり、GPS信号受信部、ジャイロ、地磁気センサ、その他のセンサを備えている。ディスプレイは5は地図や案内の内容を表示し、音声出力部は音声ガイダンスを出力する。入力部7はユーザとのインターフェースを構成し、各種の入力ボタン、ステック等からなる。通信インターフェース8は携帯電話などの通信機器を介してインターネットに接続可能とする。
【0015】
メモリ装置10はハードディスクからなり、そのプログラム保存領域には制御プログラムが保存されている。制御部3を構成するCPUはこの制御プログラムを読み出してシステム全体の制御を行う。
地図データ保存領域13はナビゲーションを行うための地図情報を始め各種のコンテンツデータを保存する。その中で、ETC割引対象有料道路情報保存部131は、ETC割引対象有料道路とそのETC割引条件を保存する。これらETC割引に関する情報は変更されることがあるので、通信インターフェース8を介して常にアップデートすることが好ましい。
地図データ保存領域13には有料道路の通行料金に関するデータ(ETC割引料金も含む)及び、到着時刻を演算するために必要な速度制限、信号機などのデータも保存されている。
【0016】
次に、このナビゲーションシステム1の動作を以下に説明する。
このナビゲーションシステム1を用いて案内を実行するにあたり、図2のフローチャートに示すとおり、最初に目的地を設定する(ステップ1)。このナビゲーションシステムは5つの案内モード「推奨経路」、「一般道路優先経路」、「有料道路優先経路」、「距離優先経路」、「時間優先経路」それぞれにつき現在位置から目的地までの経路を探索しメモリ装置10の所定の領域に保存する。当該経路が確定すると、経路に含まれる有料道路の通行料金及び目的地到着予想時刻が特定される。そして、図3に示すように、各案内モード、通行料金及び到着予想時刻がディスプレイ5に表示される(ステップ2)。ユーザにより例えば「推奨経路」選択モードが指定される(ステップ3)。
この実施例では、指定された経路(一次探索経路)に有料道路が含まれている場合(ステップ4)、ETC通行料金割引モードの選択が可能となり、当該モードの選択画面がディスプレイ5上に表示される。通行料金割引モードが選択されたとき、通行料金割引モードが実行される(ステップ5、6)。
一次探索経路に有料道路が含まれなかった場合やETC通行料金割引モードが選択されなかった場合には、一次探索経路に基づいて案内が実行される(ステップ4,5及び7)。
【0017】
ETC通行料金割引モードの動作を図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップ11ではETCカードのセット状況が確認される。ETCカードがセットされていない場合は、ディスプレイ5及び音声出力部6を介してETCカードのセットを求めるガイダンスが出力される。
ステップ13では、一次探索経路に含まれる有料道路の中から、メモリ装置10のETC割引対象有料道路情報保存領域131の内容を参照して、ETC割引対象となる有料道路を抽出する。
【0018】
ステップ15では、抽出されたETC割引対象有料道路の通行距離がETC割引の距離条件に合致しているか否かが検証される。例えば、日本道路公団による通勤割引では100kmの距離条件が課せられている。通行距離はETC割引対象有料道路の入口料金所及び出口料金所から特定される。
通行距離がETC割引の距離条件を満足していないときは、ステップ16において料金所の変更を行い、通行距離がETC割引の距離条件を満足するようにする。
例えば、図5Aに示すとおり、一次探索経路のETC割引対象有料道路において入口料金所Aと出口料金所Bとの間の距離が120kmであったとすると、上記通勤割引の距離条件を満足しないので、出口料金所Bをその手前の出口料金所Cに変更し、通行距離を95kmとする(図5B参照)。
【0019】
ステップ17では、料金所A及びCの通過時刻を演算し、当該通過時刻がETC割引の時間条件を満足するか否か検証する。例えば、既述の通勤割引では所定の時間帯内(6:00-9:00,17:00-20:00)に料金所A及び料金所Cのいずれか一方を通過すればよい。
一次探索経路に従い現在位置から通常運行した場合、料金所A及びCの通過予定時刻がいずれも上記所定時間内とならないときは、ステップ18において経路を再探索する。
例えば、図6Aに示す通り、料金所A及び料金所Cの通過予定時刻がそれぞれ15:30及び16:40であると、上記通勤割引の時間条件を満足しない。そこで、有料道路のPA(パーキングエリア)で20分程度停車するように案内をする。これにより、出口料金所の通過時間が上記通勤割引の時間条件内に収まることとなる(図6B参照)。
また、図6Cに示すように、入口料金所Aを変更して入口料金所Dとすることにより、全体の運行時間を遅くすることも可能となる。この場合、併せて通行距離を検証し、通行距離条件を満足する範囲で出口料金所を変更してもよい(図6Cの例では出口料金所をCに戻した。)。
【0020】
図7はステップ18における経路再探索の動作を詳細に説明するものである。
ステップ41、42、43、44において、当該経路再探索の動作が無限ループに陥らないようにしている。この実施例では、経路再探索のトライ回数k=5のとき、ETC割引不可の案内をユーザに提示し、オリジナルの一次探索経路に基づいて案内を実行する(ステップ44)。
【0021】
ステップ45では、現在有効な経路における各料金所の通過予測時刻がETC割引の通行時間条件より遅いか否かが判定される。通過予測時間が通行時間条件より早い場合はステップ47、ステップ49を実行し、例えば図6B、6Cに示すような経路修正を行う。
他方、通過予想時間が通行時間要件よりも遅い場合は、ステップ51に示すように、ステップ15において指定された料金所を通過することを条件として、「時間優先」経路探索を行う。当該「時間優先」経路において新たな有料道路が含まれることとなったときには(ステップ53)、当該新たな有料道路の通過料金とETC割引料金とを比較し(ステップ55)、前者の金額が後者以下であれば、ここで探索された経路を新経路として採用する。前者の金額が後者を上まわれば、当該新たな有料道路を外して経路の再探索が行われる。
【0022】
このようにして、ETC割引を受けるための通行目論見(入口料金所と出口料金所及びそれらの各通過時刻)が指定されたならば、当該通行目論見を反映した新経路を作成する。例えば、図6Bの例であれば、オリジナルの経路(一次探索経路)において、出口料金所Cとするとともに有料道路のPA(パーキングエリア)において16:15〜16:35の間は車輌を停止させるように経路を変更させる(新経路)(ステップ19)。
【0023】
次にステップ21で、上記新経路に従って車輌を運行させたときの目的地到着予想時間を演算し、ディスプレイ5に表示する等の方法で利用者に通知する。
ユーザにとって、新経路による目的地到着予想時間が受け入れられないもののときは、新経路をキャンセルすることができる(ステップ35)。この場合は、オリジナルの一次探索経路に基づいて案内が実行されることとなる(ステップ37)。
新経路の実行がユーザに受け入れられた場合は当該新経路が確定される(ステップ25)。そして、新経路に基づき案内が実行される(ステップ27)
【0024】
新経路に基づく案内に従って車輌を運行しようとしても、渋滞、事故その他原因で運行を予定通りに実行できなくなる場合がある。そこでこの実施例では、新経路を用いた案内実行中において(ステップ29)、所定の時間の間隔をとって、車輌の現在位置に基づき、当該新経路に従って車輌を運行した場合に各料金所A、Bの通過時刻を予測する(ステップ31)。この予測通過時刻を運行目論見における通過時刻比較する。そして両者が一致しないときは、現在有効な新経路をキャンセルしてステップ15に戻り、再度最適な経路探索を実行する。例えば、道路渋滞に巻き込まれて、出口料金所Cの予測通過時刻が17:50となったときは、図6BにおいてPAでの一旦停止が解除されることとなる。
【0025】
このように構成された実施例のナビゲーションシステムでは、利用者の選択に応じてETC割引を考慮した経路案内をすることができる。よって、利用者に新たな便益を提供できることとなる。
【0026】
図8はこの発明の第2の局面に対応する実施例の動作を示すフローチャートである。
ステップ60で目的地を設定すると、ディスプレイ5には到着時刻指定モードの選択画面が表示される(ステップ61)。この到着時刻指定モードが選択されないときは(ステップ61、N)、図2のステップ2へ移行して当該ステップ2以降の動作が実行される。
到着時刻指定モードが選択されたとき(ステップ61、Y)、ステップ62において目的地の希望到着時刻が指定される。ステップ63においては各案内モードにおける経路探索が行われる。この経路探索では目的地の希望到着時刻が指定されているので、経路探索を行ったときに演算される目的地到着予想時刻と当該希望到着時刻の時間差を演算し、当該時間差を現在時刻と比較して出発予定時刻を特定する。また、地図データ保存領域13に含まれる通行料金データを参照して経路に含まれる有料道路の通行料金を演算する(ステップ65)。その結果は図9のようにまとめられる。
【0027】
次に、ステップ67ではETC通行料金割引が有効になるように経路探索を行う。より具体的には図10に示すフローチャートを実行する。
図10において、ステップ81ではステップ65で探索された経路においてETC割引対象となる有料道路を抽出する。ステップ83では、抽出されたETC割引対象有料道路の通行距離がETC割引の距離条件に合致しているか否かが検証される。通行距離がETC割引の距離条件を満足していないときは、ステップ85において料金所の変更を行い、通行距離がETC割引の距離条件を満足するようにする。
【0028】
ステップ86では、ステップ83及び85において距離条件の調整された経路を通行する場合のタイムスケジュールが演算される。このタイムスケジュールは、出発時刻及び到着予想時刻をはじめとして、各地点(料金所その他)の通過予想時刻をいう。ステップ87では、このタイムスケジュールの到着予想時刻が指定されている希望到着時刻と一致するよう、このタイムスケジュールをシフトする。即ち、各地点における通過予想時刻が到着予想時刻と希望到着時刻の差分だけ変更される。
【0029】
ステップ88では、当該シフトされたタイムスケジュールにおいて料金所の通過時刻がETC割引の時間条件を満足するか否かを検証する。かかる時間条件が満足されないときは、ステップ89において経路が再探索される。ステップ89の演算は図7に示すフローチャートと実質的に同一であるのでその説明は省略する。なお、ステップ89においては図7のガイダンスステップ42は省略される。また、経路変更があったときは上記でシフトされたタイムスケジュールも変更されるものとする。
【0030】
このようにしてETC割引が反映された経路(第2の経路)が作成されたら(ステップ91)、当該第2の経路を通行したときの通行料金(第2の通行料金、ETC割引が反映されている)を演算する(ステップ93)。
また、ステップ87でシフトされ、ステップ88、89で変更のあったタイムスケジュールを参照して出発予定時刻(第2の出発予定時刻)を特定する(ステップ95)。
【0031】
図8に戻り、図10のフローチャートを実行することにより得られた、ETC割引を有効とした、第2の経路、第2の通行料金及び第2の出発予定時刻をとりまとめると図11のようになる(ステップ69)。図11においてETC割引が有効な経路についてはETCマークが付されるものとする。
ステップ71では第1と第2の出発予定時刻を比較する。比較の結果、両者の差が閾値時間(この実施例では30分とした)より小さいときは第2の経路、第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を優先的に表示する。なお、閾値時間はユーザが任意に設定、変更できるようにすることが好ましい。
例えば、図9と図11とを比較したとき、推奨経路と距離優先経路の2つのモードにおいてはステップ71の条件を満足するので(第1及び第2の出発予定時刻の時間差が15分)、ETC割引が有効な第2の経路、第2の通行料金、第2の出発予定時刻を採用する(ステップ73)。他方、有料道路優先経路及び時間優先経路のモードの場合には、第1及び第2の出発予定時刻の差が45分あるので、ETC割引を反映しない第1の経路、第1の通行料金、第1の出発予定時刻が採用される(ステップ77)。なお、システムのプログラム上、一般道路優先経路のモードにおいても図9と図11に示す結果において時間差が30分以内であるので、図11に示す結果が採用されることとなる。
【0032】
各モードの経路についてステップ71を実行した結果をとりまとめたものが図12となる。ETC割引が有効なものにはETCマークが付される。そして、この図12の状態でディスプレイ5に表示される。ユーザは図12に示されたメニューから好適な経路を選択する。
この実施例のナビゲーションシステムでは、ユーザが選択した経路の出発予定時刻より所定の時間前(例えば5分前)になった時点で、ユーザに出発時間の到来を通知する。通知の方法として、ブザーをならすことが考えられる。また、通信インターフェース8を介して、指定された携帯電話をコールすること、又はメールを送信することもできる。
図12において、例えば推奨経路のETCマークをクリック(指定)すると(ステップ75)、図13に示すように、ETC割引を反映しない第1の経路、第1の通行料金及び第1の出発予定時刻を表示することができる。これにより、ユーザはETC割引を有効にすることによる時間の変化を確認することができる。
【0033】
上記の例では、ETC割引の対象となった経路についてETC割引を考慮しないときの第1の経路、第1の通行料金及び第1の出発予定時刻をガイダンスするようにしているが、これとは逆に、図12においてETC割引が反映されていない経路についてもこれを指定することにより、ETC割引が反映された第2の経路、第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を表示することができる(図14参照)。
【0034】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1はこの発明の実施例のナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は同じくナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図3】図3はディスプレイの表示態様を示す。
【図4】図4は同じくナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は同じくナビゲーションシステムにより案内される経路を示す模式図である。
【図6】図6は同じくナビゲーションシステムにより案内される経路を示す模式図である。
【図7】図7は同じくナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は他の実施例のナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図9】図9はETC割引を考慮しないときの各モードにおける第1の経路、第1の通行料金、第1の出発予定時刻を示す。
【図10】図10は図8のステップ67の詳細演算を示すフローチャートである。
【図11】図11はETC割引を有効としたときの各モードにおける第2の経路、第2の通行料金、第2の出発予定時刻を示す。
【図12】図12はこの実施例のナビゲーションシステムのディスプレイに表示される各モードの態様を示す。
【図13】推奨経路のモードにおいてETC割引モードを無効としたときの表示態様を示す。
【図14】有料道路優先経路のモードにおいてETC割引モードを有効としたときの表示態様を示す。
【符号の説明】
【0036】
1 ナビゲーションシステム
3 制御部
4 位置特定部
5 ディスプレイ
6 音声出力部
7 入力部
8 通信インターフェース
10 メモリ装置
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムにおいて経路を探索するモードとして、例えば、「推奨経路」、「一般道路優先経路」、「有料道路優先経路」、「距離優先経路」、「時間優先経路」などがある。当該各種モードにおいて、「有料道路優先経路」はもとより、「推奨経路」や「時間優先経路」を選択したときも、選択された経路の中に有料道路が含まれることが多い。
利用者が有料道路を利用する際の関心事の一つに通行料金(有料道路利用料)がある。特許文献1では、当該通行料金を利用者に報知するナビゲーションシステムが提案されている。
また、特許文献2のナビゲーションシステムでは、有料道路を走行する際に適用される割引料金を考慮した通行料金を演算しこれを案内可能としている。
本発明に関連する技術を開示するものとして特許文献3を参照されたい。
【0003】
【特許文献1】特開平10−141982号公報
【特許文献2】特開2005−18247号公報
【特許文献3】特開2005−69857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、ETC(Electronic Toll Collection System)の普及に伴い、ETC適用車輌に特有の料金割引(以下この明細書において「ETC割引」とよぶことがある)が提供されている。
本件出願時に提供されているETC割引サービスとして、例えば、日本道路公団による深夜割引、早朝夜間割引、通勤割引などがある。
上記深夜割引の適用条件は次の通りである。
時間条件:午前0時〜午前4時の間に走行すること。
また、上記早朝夜間割引は次の通りである。
時間条件:22時〜翌6時までの間に走行すること。
距離条件:総利用距離が100km以下であること。
上記通勤割引は次の通りである。
時間条件:午前6時〜午前9時、午後5時〜午後8時に入口若しくは出口料金所を通過すること
距離条件:総利用距離が100km以下であること。
かかるETC割引条件を運転中の運転手が独自に判断すること困難である。
また既述の従来技術において、このETC割引をナビゲーションシステムに反映することは考慮されていなかった。
そこでこの発明は、ETC割引を反映した新たな便益を利用者に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記目的の達成を次のようにして図る。即ち、
選択された経路からETC割引の対象となる有料道路を抽出する手段と、
抽出されたETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように案内を行うETC割引実行手段と、
を備えてなるナビゲーションシステム。
【発明の効果】
【0006】
このように構成されたナビゲーションシステムによれば、ナビゲーションシステムが選択した経路にETC割引対象有料道路が含まれていた場合、その有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように案内を行う。ここに、通行目論見とは、ETC割引対象有料道路において出入口料金所の指定と、指定された各料金所における通過予定時刻をいう。なお、出入口料金所を指定することにより通行距離が特定される。当該通過予定時間が上記ETC割引サービスの時間条件を満足し、通行距離が同じく距離条件を満足するようにする。そのためには、料金所通過時刻及び走行距離を調整するための経路の変更(これにより料金所が変更される)はもとより、同じ経路であっても走行速度を制限し、場合によっては停止案内を行うことにより料金所通過時刻を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ETC割引条件には、既述のように距離条件と時間条件がある。
通行目論見を作成する際、まず距離条件を満足するように入口/出口料金所を最初に確認することが好ましい。抽出されたETC割引対象有料道路の通行距離がETC割引の距離条件を満足していないとき(前者が後者を越えているとき)は、入口料金所及び/又は出口料金所を変更してその走行距離が距離条件(例えば100km以下)を満足できるようにする。
料金所の変更に伴い、その予定通過時刻も変更される。従って、ETC割引の時間条件を確認することとなる。即ち、ETC割引実施時間内に入口料金所及び出口料金所のいずれか一方を通過可能か否かが確認される。当該時間条件が満足されないときには、走行速度調整(停止も含む)、経路再探索などを行って当該料金所の通過時間をETC割引実施時間内に収まるようにする。
【0008】
上記のよう作成された通行目論見であったとしても、車輌走行中に各種のアクシデント(交通渋滞等)により、ETC割引対象有料道路をその通行目論見通りに通行できないことがある。そのため、例えば所定のインターバルをおいて現在位置を基準として通行目論見で指定されている料金所の通行時刻を予測し、これと通行目論見における当該料金所の予定通過時刻と対比する。両者が一致しないときは、ETC割引実行手段が通行目論見を演算し直し、これを修正する。
【0009】
本発明の対象となるナビゲーションシステムは、車輌に固定されるカーナビゲーションシステムに限定されず、携帯電話機、PAD機、携帯パソコン装置を用いたナビゲーションシステムにも適用できることはいうまでもない。
【0010】
この発明の他の局面によれば、目的地とその希望到着時刻を指定することにより、好適な出発予定時刻を演算し、これをガイダンスする機能を有するカーナビゲーションシステムに上記のETCによる通行料金割引機能を反映させることとした。
上記好適な出発予定時刻を演算するシステムは、例えば次のようにして行うことができる。即ち、出発地(現在地)から目的地までの経路を探索したときに得られるタイムスケジュール(各地点の通過予測時間)を、その目的地到着予測時刻が目的地希望到着時刻と一致するようにシフトさせ、そのとき変更された出発時刻を出発予定時刻とすることができる。
このように、出発予定時刻を特定する際に行う演算は、タイムスケジュールのシフトを伴う他は、一般的な経路探索の演算をそのまま利用できる。よって、既述したETCによる通行料金割引機能を当該演算に反映させることができる。
【0011】
ETC割引を有効にするには時間的条件の制約があるので、ETC割引条件を満足する通行目論見を実行すると、ETC割引を考慮しない通常の経路の場合に比べて出発予定時刻が変更される場合がある。
この発明では、ETC割引による通行料金低減の効果を重視して、ETC割引が実行される経路(第2の経路)をETC割引が実行されない経路(第1の経路)に優先させて案内することとしている。しかしながら、ETC割引を反映しない場合の出発予定時刻(第1の出発予定時刻)とETC割引を反映する場合の出発予定時刻(第2の出発予定時刻)と間に大きな差があるときには、実用的ではないとして、第1の出発予定時刻と第2の出発予定時刻との差に基準値(閾値時間)を設け、両者の差が当該閾値時間内のときに限りETC割引の反映した案内をするようにしている。
【0012】
以上を考慮して、この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
指定された目的地とその希望到着時刻に基づき、所定のルールに従い出発地から目的地までの第1の経路、第1の通行料金及び第1の出発予定時刻を演算する第1の経路演算手段と、
ETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように前記出発地から前記目的地までの第2の経路、ETC割引を含んだ第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を演算する第2の経路演算手段と、
前記第1の出発予定時刻と前記第2の出発予定時刻との差が所定の閾値時間内であれば、前記第2の通行料金及び前記第2の出発予定時刻を優先的に表示する、ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【0013】
上記ナビゲーションシステムにおいては、ETC割引が有効に反映されている場合に、その旨を表示することが好ましい。
ETC割引が有効に反映されている場合は、通常の場合(ETC割引が反映されていない場合)に比べて、出発予定時間が変更されていることが多いためである。即ち、通行料金割引という経済的利便性を追求するか、又は出発予定時間という時間的利便性を追求するかを利用者の選択に委ねることが好ましい。
そのため、ETC割引が反映されていない通常の経路(第1の経路)に対して、その通行料金及び出発予定時刻を表示できるようにすることが好ましい。
【実施例】
【0014】
以下、この発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。
図1はこの発明のナビゲーションシステム1の構成を示すブロック図である。
制御部3は専用のCPUからなり、この制御部3にバスラインを通じて後述する各種の装置が接続されている。
位置特定部4は、ナビゲーションシステム1を搭載した車輌の現在位置を特定するものであり、GPS信号受信部、ジャイロ、地磁気センサ、その他のセンサを備えている。ディスプレイは5は地図や案内の内容を表示し、音声出力部は音声ガイダンスを出力する。入力部7はユーザとのインターフェースを構成し、各種の入力ボタン、ステック等からなる。通信インターフェース8は携帯電話などの通信機器を介してインターネットに接続可能とする。
【0015】
メモリ装置10はハードディスクからなり、そのプログラム保存領域には制御プログラムが保存されている。制御部3を構成するCPUはこの制御プログラムを読み出してシステム全体の制御を行う。
地図データ保存領域13はナビゲーションを行うための地図情報を始め各種のコンテンツデータを保存する。その中で、ETC割引対象有料道路情報保存部131は、ETC割引対象有料道路とそのETC割引条件を保存する。これらETC割引に関する情報は変更されることがあるので、通信インターフェース8を介して常にアップデートすることが好ましい。
地図データ保存領域13には有料道路の通行料金に関するデータ(ETC割引料金も含む)及び、到着時刻を演算するために必要な速度制限、信号機などのデータも保存されている。
【0016】
次に、このナビゲーションシステム1の動作を以下に説明する。
このナビゲーションシステム1を用いて案内を実行するにあたり、図2のフローチャートに示すとおり、最初に目的地を設定する(ステップ1)。このナビゲーションシステムは5つの案内モード「推奨経路」、「一般道路優先経路」、「有料道路優先経路」、「距離優先経路」、「時間優先経路」それぞれにつき現在位置から目的地までの経路を探索しメモリ装置10の所定の領域に保存する。当該経路が確定すると、経路に含まれる有料道路の通行料金及び目的地到着予想時刻が特定される。そして、図3に示すように、各案内モード、通行料金及び到着予想時刻がディスプレイ5に表示される(ステップ2)。ユーザにより例えば「推奨経路」選択モードが指定される(ステップ3)。
この実施例では、指定された経路(一次探索経路)に有料道路が含まれている場合(ステップ4)、ETC通行料金割引モードの選択が可能となり、当該モードの選択画面がディスプレイ5上に表示される。通行料金割引モードが選択されたとき、通行料金割引モードが実行される(ステップ5、6)。
一次探索経路に有料道路が含まれなかった場合やETC通行料金割引モードが選択されなかった場合には、一次探索経路に基づいて案内が実行される(ステップ4,5及び7)。
【0017】
ETC通行料金割引モードの動作を図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップ11ではETCカードのセット状況が確認される。ETCカードがセットされていない場合は、ディスプレイ5及び音声出力部6を介してETCカードのセットを求めるガイダンスが出力される。
ステップ13では、一次探索経路に含まれる有料道路の中から、メモリ装置10のETC割引対象有料道路情報保存領域131の内容を参照して、ETC割引対象となる有料道路を抽出する。
【0018】
ステップ15では、抽出されたETC割引対象有料道路の通行距離がETC割引の距離条件に合致しているか否かが検証される。例えば、日本道路公団による通勤割引では100kmの距離条件が課せられている。通行距離はETC割引対象有料道路の入口料金所及び出口料金所から特定される。
通行距離がETC割引の距離条件を満足していないときは、ステップ16において料金所の変更を行い、通行距離がETC割引の距離条件を満足するようにする。
例えば、図5Aに示すとおり、一次探索経路のETC割引対象有料道路において入口料金所Aと出口料金所Bとの間の距離が120kmであったとすると、上記通勤割引の距離条件を満足しないので、出口料金所Bをその手前の出口料金所Cに変更し、通行距離を95kmとする(図5B参照)。
【0019】
ステップ17では、料金所A及びCの通過時刻を演算し、当該通過時刻がETC割引の時間条件を満足するか否か検証する。例えば、既述の通勤割引では所定の時間帯内(6:00-9:00,17:00-20:00)に料金所A及び料金所Cのいずれか一方を通過すればよい。
一次探索経路に従い現在位置から通常運行した場合、料金所A及びCの通過予定時刻がいずれも上記所定時間内とならないときは、ステップ18において経路を再探索する。
例えば、図6Aに示す通り、料金所A及び料金所Cの通過予定時刻がそれぞれ15:30及び16:40であると、上記通勤割引の時間条件を満足しない。そこで、有料道路のPA(パーキングエリア)で20分程度停車するように案内をする。これにより、出口料金所の通過時間が上記通勤割引の時間条件内に収まることとなる(図6B参照)。
また、図6Cに示すように、入口料金所Aを変更して入口料金所Dとすることにより、全体の運行時間を遅くすることも可能となる。この場合、併せて通行距離を検証し、通行距離条件を満足する範囲で出口料金所を変更してもよい(図6Cの例では出口料金所をCに戻した。)。
【0020】
図7はステップ18における経路再探索の動作を詳細に説明するものである。
ステップ41、42、43、44において、当該経路再探索の動作が無限ループに陥らないようにしている。この実施例では、経路再探索のトライ回数k=5のとき、ETC割引不可の案内をユーザに提示し、オリジナルの一次探索経路に基づいて案内を実行する(ステップ44)。
【0021】
ステップ45では、現在有効な経路における各料金所の通過予測時刻がETC割引の通行時間条件より遅いか否かが判定される。通過予測時間が通行時間条件より早い場合はステップ47、ステップ49を実行し、例えば図6B、6Cに示すような経路修正を行う。
他方、通過予想時間が通行時間要件よりも遅い場合は、ステップ51に示すように、ステップ15において指定された料金所を通過することを条件として、「時間優先」経路探索を行う。当該「時間優先」経路において新たな有料道路が含まれることとなったときには(ステップ53)、当該新たな有料道路の通過料金とETC割引料金とを比較し(ステップ55)、前者の金額が後者以下であれば、ここで探索された経路を新経路として採用する。前者の金額が後者を上まわれば、当該新たな有料道路を外して経路の再探索が行われる。
【0022】
このようにして、ETC割引を受けるための通行目論見(入口料金所と出口料金所及びそれらの各通過時刻)が指定されたならば、当該通行目論見を反映した新経路を作成する。例えば、図6Bの例であれば、オリジナルの経路(一次探索経路)において、出口料金所Cとするとともに有料道路のPA(パーキングエリア)において16:15〜16:35の間は車輌を停止させるように経路を変更させる(新経路)(ステップ19)。
【0023】
次にステップ21で、上記新経路に従って車輌を運行させたときの目的地到着予想時間を演算し、ディスプレイ5に表示する等の方法で利用者に通知する。
ユーザにとって、新経路による目的地到着予想時間が受け入れられないもののときは、新経路をキャンセルすることができる(ステップ35)。この場合は、オリジナルの一次探索経路に基づいて案内が実行されることとなる(ステップ37)。
新経路の実行がユーザに受け入れられた場合は当該新経路が確定される(ステップ25)。そして、新経路に基づき案内が実行される(ステップ27)
【0024】
新経路に基づく案内に従って車輌を運行しようとしても、渋滞、事故その他原因で運行を予定通りに実行できなくなる場合がある。そこでこの実施例では、新経路を用いた案内実行中において(ステップ29)、所定の時間の間隔をとって、車輌の現在位置に基づき、当該新経路に従って車輌を運行した場合に各料金所A、Bの通過時刻を予測する(ステップ31)。この予測通過時刻を運行目論見における通過時刻比較する。そして両者が一致しないときは、現在有効な新経路をキャンセルしてステップ15に戻り、再度最適な経路探索を実行する。例えば、道路渋滞に巻き込まれて、出口料金所Cの予測通過時刻が17:50となったときは、図6BにおいてPAでの一旦停止が解除されることとなる。
【0025】
このように構成された実施例のナビゲーションシステムでは、利用者の選択に応じてETC割引を考慮した経路案内をすることができる。よって、利用者に新たな便益を提供できることとなる。
【0026】
図8はこの発明の第2の局面に対応する実施例の動作を示すフローチャートである。
ステップ60で目的地を設定すると、ディスプレイ5には到着時刻指定モードの選択画面が表示される(ステップ61)。この到着時刻指定モードが選択されないときは(ステップ61、N)、図2のステップ2へ移行して当該ステップ2以降の動作が実行される。
到着時刻指定モードが選択されたとき(ステップ61、Y)、ステップ62において目的地の希望到着時刻が指定される。ステップ63においては各案内モードにおける経路探索が行われる。この経路探索では目的地の希望到着時刻が指定されているので、経路探索を行ったときに演算される目的地到着予想時刻と当該希望到着時刻の時間差を演算し、当該時間差を現在時刻と比較して出発予定時刻を特定する。また、地図データ保存領域13に含まれる通行料金データを参照して経路に含まれる有料道路の通行料金を演算する(ステップ65)。その結果は図9のようにまとめられる。
【0027】
次に、ステップ67ではETC通行料金割引が有効になるように経路探索を行う。より具体的には図10に示すフローチャートを実行する。
図10において、ステップ81ではステップ65で探索された経路においてETC割引対象となる有料道路を抽出する。ステップ83では、抽出されたETC割引対象有料道路の通行距離がETC割引の距離条件に合致しているか否かが検証される。通行距離がETC割引の距離条件を満足していないときは、ステップ85において料金所の変更を行い、通行距離がETC割引の距離条件を満足するようにする。
【0028】
ステップ86では、ステップ83及び85において距離条件の調整された経路を通行する場合のタイムスケジュールが演算される。このタイムスケジュールは、出発時刻及び到着予想時刻をはじめとして、各地点(料金所その他)の通過予想時刻をいう。ステップ87では、このタイムスケジュールの到着予想時刻が指定されている希望到着時刻と一致するよう、このタイムスケジュールをシフトする。即ち、各地点における通過予想時刻が到着予想時刻と希望到着時刻の差分だけ変更される。
【0029】
ステップ88では、当該シフトされたタイムスケジュールにおいて料金所の通過時刻がETC割引の時間条件を満足するか否かを検証する。かかる時間条件が満足されないときは、ステップ89において経路が再探索される。ステップ89の演算は図7に示すフローチャートと実質的に同一であるのでその説明は省略する。なお、ステップ89においては図7のガイダンスステップ42は省略される。また、経路変更があったときは上記でシフトされたタイムスケジュールも変更されるものとする。
【0030】
このようにしてETC割引が反映された経路(第2の経路)が作成されたら(ステップ91)、当該第2の経路を通行したときの通行料金(第2の通行料金、ETC割引が反映されている)を演算する(ステップ93)。
また、ステップ87でシフトされ、ステップ88、89で変更のあったタイムスケジュールを参照して出発予定時刻(第2の出発予定時刻)を特定する(ステップ95)。
【0031】
図8に戻り、図10のフローチャートを実行することにより得られた、ETC割引を有効とした、第2の経路、第2の通行料金及び第2の出発予定時刻をとりまとめると図11のようになる(ステップ69)。図11においてETC割引が有効な経路についてはETCマークが付されるものとする。
ステップ71では第1と第2の出発予定時刻を比較する。比較の結果、両者の差が閾値時間(この実施例では30分とした)より小さいときは第2の経路、第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を優先的に表示する。なお、閾値時間はユーザが任意に設定、変更できるようにすることが好ましい。
例えば、図9と図11とを比較したとき、推奨経路と距離優先経路の2つのモードにおいてはステップ71の条件を満足するので(第1及び第2の出発予定時刻の時間差が15分)、ETC割引が有効な第2の経路、第2の通行料金、第2の出発予定時刻を採用する(ステップ73)。他方、有料道路優先経路及び時間優先経路のモードの場合には、第1及び第2の出発予定時刻の差が45分あるので、ETC割引を反映しない第1の経路、第1の通行料金、第1の出発予定時刻が採用される(ステップ77)。なお、システムのプログラム上、一般道路優先経路のモードにおいても図9と図11に示す結果において時間差が30分以内であるので、図11に示す結果が採用されることとなる。
【0032】
各モードの経路についてステップ71を実行した結果をとりまとめたものが図12となる。ETC割引が有効なものにはETCマークが付される。そして、この図12の状態でディスプレイ5に表示される。ユーザは図12に示されたメニューから好適な経路を選択する。
この実施例のナビゲーションシステムでは、ユーザが選択した経路の出発予定時刻より所定の時間前(例えば5分前)になった時点で、ユーザに出発時間の到来を通知する。通知の方法として、ブザーをならすことが考えられる。また、通信インターフェース8を介して、指定された携帯電話をコールすること、又はメールを送信することもできる。
図12において、例えば推奨経路のETCマークをクリック(指定)すると(ステップ75)、図13に示すように、ETC割引を反映しない第1の経路、第1の通行料金及び第1の出発予定時刻を表示することができる。これにより、ユーザはETC割引を有効にすることによる時間の変化を確認することができる。
【0033】
上記の例では、ETC割引の対象となった経路についてETC割引を考慮しないときの第1の経路、第1の通行料金及び第1の出発予定時刻をガイダンスするようにしているが、これとは逆に、図12においてETC割引が反映されていない経路についてもこれを指定することにより、ETC割引が反映された第2の経路、第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を表示することができる(図14参照)。
【0034】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1はこの発明の実施例のナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は同じくナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図3】図3はディスプレイの表示態様を示す。
【図4】図4は同じくナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は同じくナビゲーションシステムにより案内される経路を示す模式図である。
【図6】図6は同じくナビゲーションシステムにより案内される経路を示す模式図である。
【図7】図7は同じくナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は他の実施例のナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図9】図9はETC割引を考慮しないときの各モードにおける第1の経路、第1の通行料金、第1の出発予定時刻を示す。
【図10】図10は図8のステップ67の詳細演算を示すフローチャートである。
【図11】図11はETC割引を有効としたときの各モードにおける第2の経路、第2の通行料金、第2の出発予定時刻を示す。
【図12】図12はこの実施例のナビゲーションシステムのディスプレイに表示される各モードの態様を示す。
【図13】推奨経路のモードにおいてETC割引モードを無効としたときの表示態様を示す。
【図14】有料道路優先経路のモードにおいてETC割引モードを有効としたときの表示態様を示す。
【符号の説明】
【0036】
1 ナビゲーションシステム
3 制御部
4 位置特定部
5 ディスプレイ
6 音声出力部
7 入力部
8 通信インターフェース
10 メモリ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された経路からETC割引の対象となる有料道路を抽出する手段と、
抽出されたETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように案内を行うETC割引実行手段と、
を備えてなるナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ETC割引実行手段は、前記抽出されたETC割引対象有料道路の通行目論見が前記ETC割引条件を満足するように、通行距離調整のための料金所の変更案内及び/又は時間調整のための速度調整案内を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
選択された経路の走行中に前記ETC割引対象有料道路の通行予測を演算する手段と、
該通行予測を前記通行目論見と比較する手段と、
前記通行予測が前記通行目論見から外れたとき、前記通行目論見を修正する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
指定された目的地とその希望到着時刻に基づき、所定のルールに従い出発地から目的地までの第1の経路、第1の通行料金及び第1の出発予定時刻を演算する第1の経路演算手段と、
ETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように前記出発地から前記目的地までの第2の経路、ETC割引を含んだ第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を演算する第2の経路演算手段と、
前記第1の出発予定時刻と前記第2の出発予定時刻との差が所定の閾値時間内であれば、前記第2の通行料金及び前記第2の出発予定時刻を優先的に表示する、ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を表示したときは、ETC割引が有効である旨を併せて表示する、ことを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記第1の通行料金及び第1の出発予定時刻を表示させる手段が更に備えられている、ことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記閾値時間を変更する手段が更に備えられている、ことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【請求項1】
選択された経路からETC割引の対象となる有料道路を抽出する手段と、
抽出されたETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように案内を行うETC割引実行手段と、
を備えてなるナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ETC割引実行手段は、前記抽出されたETC割引対象有料道路の通行目論見が前記ETC割引条件を満足するように、通行距離調整のための料金所の変更案内及び/又は時間調整のための速度調整案内を行う、ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
選択された経路の走行中に前記ETC割引対象有料道路の通行予測を演算する手段と、
該通行予測を前記通行目論見と比較する手段と、
前記通行予測が前記通行目論見から外れたとき、前記通行目論見を修正する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
指定された目的地とその希望到着時刻に基づき、所定のルールに従い出発地から目的地までの第1の経路、第1の通行料金及び第1の出発予定時刻を演算する第1の経路演算手段と、
ETC割引対象有料道路の通行目論見がETC割引条件を満足するように前記出発地から前記目的地までの第2の経路、ETC割引を含んだ第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を演算する第2の経路演算手段と、
前記第1の出発予定時刻と前記第2の出発予定時刻との差が所定の閾値時間内であれば、前記第2の通行料金及び前記第2の出発予定時刻を優先的に表示する、ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
第2の通行料金及び第2の出発予定時刻を表示したときは、ETC割引が有効である旨を併せて表示する、ことを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記第1の通行料金及び第1の出発予定時刻を表示させる手段が更に備えられている、ことを特徴とする請求項5に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記閾値時間を変更する手段が更に備えられている、ことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−78464(P2007−78464A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265417(P2005−265417)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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